JP2016151481A - コアバレルの製造方法およびコアバレル - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料集合体が載置される下部炉心支持板の形状精度を向上させることができ、燃料集合体の位置精度を向上させることができるコアバレルの製造方法を提供する。
【解決手段】実施の形態によるコアバレルの製造方法は、ショートリング37の一端部を下部炉心支持板21に溶接接合する工程と、ショートリング37が溶接接合された下部炉心支持板21を機械加工する工程であって、燃料集合体5aが載置される載置面22と、燃料集合体5aを位置決めするための位置決めピン10が挿入されるピン孔23を形成する工程と、を備えている。下部炉心支持板21を機械加工する工程の後、載置面22上に載置される燃料集合体5aを含む炉心5を覆う本体胴30が、ショートリング37の他端部に溶接接合される。
【選択図】図2

Description

本発明の実施の形態は、コアバレルの製造方法およびコアバレルに関する。
加圧水型原子炉の圧力容器内には、燃料集合体を含む炉心を保持するコアバレル(炉心槽ともいう)が設置されている。このコアバレルは、燃料集合体の重量を支える機能と、燃料集合体の位置決めをする機能と、を有している。
従来の加圧水型原子炉では、燃料集合体は下部炉心板上に載置され、下部炉心板の下方に下部炉心支持板が設けられており、下部炉心板が、下部炉心支持柱を介して下部炉心支持板に取り付けられている。このような構成により、燃料集合体が、コアバレルを構成する下部炉心支持板によって支持されるようになっている。
上述した下部炉心支持柱は、下部炉心板および下部炉心支持板に、ボルト等によって締結されている。このことにより、ボルト破断により燃料集合体に損傷が与えられる可能性がある。そこで、下部炉心支持板に下部炉心板の機能を持たせるように、下部炉心支持板と下部炉心板を一体化させて、下部炉心支持板に燃料集合体を載置させる構造が考えられている。
このような構造に適応されるコアバレルの一例を図5に示す。図5に示すコアバレル50は、原子炉圧力容器に取り付けられるフランジ部51と、フランジ部51から下方に延びる上部胴52と、上部胴52に設けられたノズル部53と、上部胴52から下方に延びる中部胴54と、中部胴54から下方に延びる下部胴55と、下部胴55の下端部に接合された上述の下部炉心支持板56と、を備えている。このうち下部炉心支持板56は、燃料集合体が載置される載置面57を有している。上部胴52、中部胴54および下部胴55は、図6に示すように、板状の部材を円筒状に曲げて溶接接合することで作製されており、それぞれに、上部胴縦溶接線58、中部胴縦溶接線59および下部胴縦溶接線60が形成されている。また、図5に示すようにフランジ部51と上部胴52との間にはフランジ部周溶接線61が形成され、上部胴52と中部胴54との間には上部胴周溶接線62が形成され、中部胴54と下部胴55との間には中部胴周溶接線63が形成され、さらに下部胴55と下部炉心支持板56との間には下部炉心支持板周溶接線64が形成されている。
このようにコアバレルは、溶接製缶構造物となっている。しかしながら、溶接線が燃料集合体に対向していると、燃料集合体から照射される放射線によって応力腐食割れや、熱脆化、照射脆化が生じる場合が考えられる。このため、燃料集合体が下部炉心板および下部炉心支持柱を介して下部炉心支持板によって支持される形態では、燃料集合体と対向する溶接線を減らすために、鍛造により作製されたコアバレルが知られている。
特開2001−108778号公報
ところで、図5に示すコアバレルを作製する場合、まず、下部炉心支持板56が機械加工されて、載置面57や、燃料集合体の位置を決めるための位置決めピンが挿入されるピン孔(図示せず)が形成される。続いて、下部炉心支持板56に下部胴55が溶接接合される。その後、フランジ部51、上部胴52および中部胴54が、下部胴55に溶接接合される。
一般に、炉心の各燃料集合体の保持位置には高い精度が要求される。このため、下部炉心支持板56の載置面57の平面度や、ピン孔の位置若しくは形状精度は高いことが望ましい。
しかしながら、下部炉心支持板周溶接線64は、下部炉心支持板56の載置面57に近い位置に形成される。このため、この下部炉心支持板周溶接線64が形成される際の溶接の影響を受けて、既に機械加工によって形成された載置面57の平面度やピン孔の精度が要求値を満足できない場合が生じ得る。この場合、各燃料集合体の位置の精度確保が困難になる可能性がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、燃料集合体が載置される下部炉心支持板の形状精度を向上させることができ、燃料集合体の位置精度を向上させることができるコアバレルの製造方法およびコアバレルを提供することを目的とする。
実施の形態によるコアバレルの製造方法は、加圧水型原子炉の原子炉圧力容器内に設置され、燃料集合体を含む炉心を保持する製造方法である。このコアバレルの製造方法は、 ショートリングの一端部を下部炉心支持板に溶接接合する工程と、前記ショートリングが溶接接合された前記下部炉心支持板を機械加工する工程であって、前記燃料集合体が載置される載置面と、前記燃料集合体を位置決めするための位置決めピンが挿入されるピン孔を形成する工程と、を備えている。下部炉心支持板を機械加工する工程の後、載置面上に載置される燃料集合体を含む炉心を覆う本体胴がショートリングの他端部に溶接接合される。
また、実施の形態によるコアバレルは、加圧水型原子炉の圧力容器内に設置され、燃料集合体を含む炉心を保持する。このコアバレルは、燃料集合体が載置される載置面と、前記燃料集合体を位置決めするための位置決めピンが挿入されるピン孔と、を有する下部炉心支持板と、下部炉心支持板の載置面上に載置される燃料集合体を含む炉心を覆う本体胴と、一端部が下部炉心支持板に溶接接合され、他端部が本体胴に溶接接合されたショートリングと、を備えている。
本発明によれば、燃料集合体が載置される下部炉心支持板の形状精度を向上させることができ、燃料集合体の位置精度を向上させることができる。
図1は、実施の形態における加圧水型原子炉の概略構成の一例を示す縦断面図である。 図2は、図1の加圧水型原子炉におけるコアバレルを示す右半分を省略した縦断面図である。 図3は、図1の加圧水型原子炉において、下部炉心支持板に燃料集合体を保持する構成を示す要部切り欠き断面図である。 図4は、図3のコアバレルの製造方法を説明するためのフローチャートである。 図5は、一般的なコアバレルを示す右半分を省略した縦断面図である。 図6は、図5の各胴の溶接線を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態におけるコアバレルおよびコアバレルの製造方法について説明する。
まず、図1を用いて、加圧水型原子炉の概略構成について説明する。
図1に示すように、加圧水型原子炉1は、鉛直方向(図1における上下方向)に延びる中心軸線を有する円筒状の原子炉圧力容器2と、原子炉圧力容器2に設けられた冷却材入口ノズル3および冷却材出口ノズル4と、原子炉圧力容器2内に設置されたコアバレル20と、を備えている。このうちコアバレル20の上部には、後述するノズル部34が設けられており、このノズル部34が冷却材出口ノズル4に連通し、冷却材入口ノズル3から流入する冷却材との混合を回避している。
コアバレル20は、燃料集合体5aを含む炉心5を収納して保持している。コアバレル20は、後述する下部炉心支持板21を有しており、この下部炉心支持板21に、炉心5の燃料集合体5aが載置されている。
冷却材は、原子炉圧力容器2の外部の配管(図示せず)から冷却材入口ノズル3を通って原子炉圧力容器2の内部に流入する。流入した冷却材は、原子炉圧力容器2の側壁とコアバレル20との間に形成されたダウンカマ部6を下方向に流れ、原子炉圧力容器2の下部に設けられたフロースカート7によって流れの向きを上方向に変える。そして、冷却材は、下部炉心支持板21の連通孔24(図3参照)を通って炉心5に流入する。炉心5に流入した冷却材は、燃料を冷却することで温度が上昇して炉心5から流出し、ノズル部34および冷却材出口ノズル4を通って原子炉圧力容器2の外部の配管(図示せず)に流出する。
原子炉圧力容器2の上部には制御棒駆動機構8が設置されており、原子炉出力の制御や、緊急時の原子炉での反応の停止のために、炉心5内に制御棒が挿入可能に構成されている。また、原子炉圧力容器2の上部には、上部炉心支持板9が設置されており、炉心5を上方から支持するように構成されている。
次に、図2を用いて本実施の形態におけるコアバレル20について説明する。
図2に示すように、コアバレル20は、燃料集合体5aが載置される下部炉心支持板21と、下部炉心支持板21に載置される燃料集合体5aを含む炉心5を覆う本体胴30と、を有している。このうち下部炉心支持板21は板状の部材から作製され、本体胴30(後述する各胴)は、円筒状の部材、例えば、板状の部材を円筒状に曲げて溶接接合されることで作製されている。
下部炉心支持板21は、図2および図3に示すように、燃料集合体5aが載置される載置面22と、燃料集合体5aの位置を決めるための位置決めピン10が挿入されるピン孔23と、冷却材が通過する連通孔24と、を有している。これらの載置面22、ピン孔23および連通孔24は、下部炉心支持板21を機械加工する際に形成される。また、載置面22の半径方向外側には、後述するショートリング37の下端部が溶接接合される接合部25が設けられている。
本体胴30は、原子炉圧力容器2に取り付けられるフランジ部31と、フランジ部31から下方に延びる上部胴32と、上部胴32から下方に延びる下部胴33と、を有している。このうち上部胴32には、上述したノズル部34が設けられている。フランジ部31と、上部胴32と、下部胴33は、互いに溶接接合されており、フランジ部31と上部胴32との間にフランジ部周溶接線35が形成され、上部胴32と下部胴33との間に上部胴周溶接線36が形成されている。
下部炉心支持板21と下部胴33とは、ショートリング37を介して接合されている。より具体的には、ショートリング37の一端部(下端部)が下部炉心支持板21の接合部25に溶接接合され、他端部(上端部)が下部胴33に溶接接合されている。下部炉心支持板21とショートリング37との間に下部炉心支持板周溶接線38が形成され、ショートリング37と下部胴33との間に下部胴周溶接線39が形成されている。
本実施の形態によるショートリング37は、下部胴33より軸方向長さ(図2の上下方向長さ)が短くリング状に形成され、ショートリング37を下部炉心支持板21に溶接接合した後に下部炉心支持板21を機械加工することができる程度の軸方向長さを有するリングを意味するものとして用いている。より具体的には、ショートリング37は、ショートリング37を下部炉心支持板21に溶接接合した後に、ショートリング37の上端部の開口40から下部炉心支持板21に加工機の工具が届き、所望の精度で下部炉心支持板21を加工することが可能な軸方向長さを有していればよい。このようなショートリング37の軸方向長さは、例えば300mm程度であることが好適である。このことにより、一般的な加工機を用いて、ショートリング37の上端部の開口40から下部炉心支持板21に工具を延ばして精度良く機械加工することが可能となる。また、ショートリング37の軸方向長さを300mm程度とすることにより、下部胴周溶接線39を下部炉心支持板21から離すことができ、ショートリング37と下部胴33との溶接接合や下部胴周溶接線39の熱処理の際に、下部炉心支持板21が変形することを抑制できる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、コアバレル20の製造方法について説明する。
まず、ショートリング37の下端部が下部炉心支持板21の接合部25に溶接接合される(ステップS1)。この場合、ショートリング37の下端部と下部炉心支持板21の接合部25に開先(図示せず)が形成され、ショートリング37の下端部と下部炉心支持板21の接合部25とが突き合わされて溶接接合される。これにより、下部炉心支持板周溶接線38が形成される。
続いて、形成された下部炉心支持板周溶接線38に対して寸法安定化熱処理が行われる(ステップS2)。このことにより、下部炉心支持板周溶接線38の残留応力が解放される。なお、寸法安定化熱処理は、溶接後の熱処理として行われている一般的な方法で行うことができる。
次に、下部炉心支持板21が機械加工されて、載置面22、ピン孔23および連通孔24ピン孔23が形成される(ステップS3)。ここでは、下部炉心支持板21およびショートリング37が全面的に機械加工されて、載置面22、ピン孔23および連通孔24が所望の精度で最終形状に形成される。上述したステップS2による寸法安定化熱処理により下部炉心支持板周溶接線38の残留応力が既に解放されているため、ステップS3においては機械加工による応力解放が抑制されている。このことにより、機械加工の精度向上が可能となっている。なお、機械加工は、ショートリング37の上端部の開口40から下部炉心支持板21に届く工具を有する加工機を用いて機械加工が行われる。また、最終形状とは、下部炉心支持板21およびショートリング37が、コアバレル20完成時の形状と同じ形状である状態を意味する。
続いて、炉心5を覆う本体胴30の下部胴33がショートリング37の上端部に溶接接合される(ステップS4)。より具体的には、下部胴33の下端部とショートリング37の上端部に開先(図示せず)が形成され、下部胴33の下端部とショートリング37の上端部とが突き合わされて溶接接合される。これにより、下部胴周溶接線39が形成される。この際、下部胴周溶接線39は下部炉心支持板21から離れた位置に形成されるため、下部胴33とショートリング37の溶接接合によって下部炉心支持板21が変形することを抑制できる。
その後、形成された下部胴周溶接線39に対して寸法安定化熱処理が行われる(ステップS5)。このことにより、下部胴周溶接線39の残留応力が解放される。この際、下部炉心支持板周溶接線38は、上述したステップS2において残留応力を解放しているため、ステップS5による熱処理時には、下部炉心支持板21が変形することを抑制できる。また、上述したように、下部胴周溶接線39は、下部炉心支持板21から離れた位置に形成されるため、下部胴周溶接線39の寸法安定加熱処理によって、下部炉心支持板21が変形することを抑制できる。
なお、フランジ部31と上部胴32とが溶接接合される工程と、上部胴32と下部胴33とが溶接接合される工程は、ステップS5の際に行われてもよく、あるいは、ステップS5の前または後で行われていてもよい。いずれの場合においても、形成されたフランジ部周溶接線35や上部胴周溶接線36は、上述したステップS2やS5と同様の寸法安定化熱処理されることが好ましい。
このように本実施の形態によれば、ショートリング37の下端部が溶接接合された下部炉心支持板21が機械加工されることにより、下部炉心支持板21に燃料集合体5aが載置される載置面22と、燃料集合体5aを位置決めするための位置決めピン10が挿入されるピン孔23が形成され、その後、本体胴30の下部胴33がショートリング37の上端部に溶接接合される。このことにより、機械加工により載置面22とピン孔23が形成された後に形成される下部胴周溶接線39を、下部炉心支持板21から離すことができる。このため、下部炉心支持板21を機械加工した後の溶接により、下部炉心支持板21が変形することを抑制できる。この結果、燃料集合体5aが載置される下部炉心支持板21の形状精度を向上させることができ、燃料集合体5aの位置精度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、下部炉心支持板21としての板状の部材と、ショートリング37や本体胴30のような円筒状の部材とを溶接接合することにより、コアバレル20を得ることができる。このことにより、コアバレル20を鍛造などによって作製する場合に比べて安価に作製することができる。
さらに、本実施の形態によれば、ショートリング37と下部炉心支持板21との間に形成された下部炉心支持板周溶接線38に対して熱処理を行った後に、下部炉心支持板21が機械加工される。このことにより、下部炉心支持板21の機械加工の前に、下部炉心支持板周溶接線38の残留応力を解放することができる。このため、下部炉心支持板21を機械加工する際に応力解放が行われることが防止され、機械加工の精度を向上させることができる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 加圧水型原子炉
2 原子炉圧力容器
5 炉心
5a 燃料集合体
10 位置決めピン
20 コアバレル
21 下部炉心支持板
22 載置面
23 ピン孔
30 本体胴
37 ショートリング

Claims (3)

  1. 加圧水型原子炉の原子炉圧力容器内に設置され、燃料集合体を含む炉心を保持するコアバレルの製造方法であって、
    ショートリングの一端部を下部炉心支持板に溶接接合する工程と、
    前記ショートリングが溶接接合された前記下部炉心支持板を機械加工する工程であって、前記燃料集合体が載置される載置面と、前記燃料集合体を位置決めするための位置決めピンが挿入されるピン孔を形成する工程と、
    前記下部炉心支持板を機械加工する工程の後に、前記載置面上に載置される前記燃料集合体を含む前記炉心を覆う本体胴を前記ショートリングの他端部に溶接接合する工程と、を備えたことを特徴とするコアバレルの製造方法。
  2. 前記下部炉心支持板を機械加工する工程の前に、前記ショートリングと前記下部炉心支持板との間に形成された溶接線に対して熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のコアバレルの製造方法。
  3. 加圧水型原子炉の圧力容器内に設置され、燃料集合体を含む炉心を保持するコアバレルであって、
    前記燃料集合体が載置される載置面と、前記燃料集合体を位置決めするための位置決めピンが挿入されるピン孔と、を有する下部炉心支持板と、
    前記下部炉心支持板の前記載置面上に載置される前記燃料集合体を含む前記炉心を覆う本体胴と、
    一端部が前記下部炉心支持板に溶接接合され、他端部が前記本体胴に溶接接合されたショートリングと、を備えたことを特徴とするコアバレル。
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