JP2016150831A - 電磁ブレーキ装置、巻上機及びエレベータ - Google Patents

電磁ブレーキ装置、巻上機及びエレベータ Download PDF

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尚文 尾方
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Abstract

【課題】簡単な構成でブレーキの動作音を低減できるとともに、長期信頼性に優れた電磁ブレーキ装置、巻上機、及びエレベータを提供する。
【解決手段】電磁ブレーキ装置10は、ブレーキ部17と、アマチュア14と、コア11と、付勢機構13と、電磁コイル12と、を有する。コア11は、アマチュア14の主面部14cに対向して配置される。アマチュア14は、主面部14cの一側と他側において、主面部14cとコア11の間に働く吸引力が異なるように構成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、被制動体を制動する電磁ブレーキ装置、この電磁ブレーキ装置を備えた巻上機、及びエレベータに関する。
従来、エレベータは、乗りカゴと、釣合錘と、乗りカゴと釣合錘とを連結するロープと、このロープが巻回される巻上機と、を備えている。巻上機は、ロープが巻き掛けられた綱車と、綱車と共に回転駆動するドラムと、を有している。また、このような巻上機には、一般にドラムの駆動を制動する電磁ブレーキ装置が設けられている。
電磁ブレーキ装置は、被制動体であるドラムに当接するブレーキ部と、ブレーキ部を支持するアマチュアと、を有している。そして、電磁ブレーキ装置は、ブレーキ部がドラムに当接、又はブレーキ部がドラムから離反するようにアマチュアを移動させることで、ドラムの駆動を制動する。
例えば、特許文献1には、固定鉄心とブレーキコイルを有する電磁マグネットと、ブレーキコイルへの通電により電磁マグネットに吸引される可動鉄心と、可動鉄心に設けられたブレーキシューと、を有する電磁ブレーキ装置が記載されている。
さらに、この特許文献1に記載された電磁ブレーキ装置は、非対称の力で可動鉄心を移動させブレーキシューを被制動体に接触させる制動力付勢部と、可動鉄心の回転運動の向きを変える変位拘束治具と、を備えている。可動鉄心を被制動体側に移動させる場合に、可動鉄心は、制動力付勢部の非対称な力により、回転運動する。そして、可動鉄心は、回転運動の途中で、変位拘束治具に当接することにより、回転運動の向きが変わるとともに一旦停止する。その後、可動鉄心が移動を再開することで、ブレーキシューが被制動体に低速で接触する。これにより、特許文献1に記載された技術では、ブレーキの動作音を低減させている。
特開2012−163142号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、付勢機構に相当する制動力付勢部の非対称な力によりアマチュアに相当する可動鉄心を移動させるために、付勢力の異なる複数種の付勢ばねが必要となっていた。そのため、特許文献1に記載された技術では、付勢機構の取り付け作業が繁雑化し、製造上のミスが生じやすい、という問題を有していた。
また、特許文献1に記載された技術では、アマチュアと変位拘束治具を当接させているため、アマチュアと変位拘束治具が破損したり、アマチュアや変位拘束治具の経年的な劣化が生じやすかった。そのため、特許文献1に記載された技術では、電磁ブレーキ装置の長期信頼性の確保が難しい、という問題も有していた。
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、簡単な構成でブレーキの動作音を低減できるとともに、長期信頼性に優れた電磁ブレーキ装置、巻上機、及びエレベータを提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の電磁ブレーキ装置は、被制動体を制動する電磁ブレーキ装置であって、ブレーキ部と、アマチュアと、コアと、付勢機構と、電磁コイルと、を有する。ブレーキ部は、被制動体に当接する。アマチュアは、ブレーキ部を支持する。コアは、アマチュアのブレーキ部を支持する面とは反対側の主面部に対向して配置される。付勢機構は、コアに設けられ、アマチュアを付勢し、ブレーキ部を被制動体に押しつける。電磁コイルは、コアに設けられ、付勢機構の付勢力に抗してアマチュアを吸引し、ブレーキ部を被制動体から離反させる。アマチュアは、主面部の一側と他側において、主面部とコアの間に働く吸引力が異なるように構成されている。
また、本発明の巻上機は、乗りかごに連結されたロープが巻回される巻上機であって、ロープが巻き掛けられた綱車と、綱車に接続され、綱車と共に回転駆動するドラムと、ドラムの駆動を制動する電磁ブレーキ装置と、を備える。電磁ブレーキ装置は、上述した電磁ブレーキ装置が用いられる。
また、本発明のエレベータは、昇降路内を昇降する乗りかごと、乗りかごとロープを介して連結される釣合錘と、ロープを巻き掛けることにより乗りかごを昇降させる巻上機と、を備えている。巻上機は、上述した巻上機が用いられる。
本発明の電磁ブレーキ装置、巻上機及びエレベータによれば、簡単な構成でブレーキの動作音を低減できるとともに、長期信頼性に優れたものとなる。
本発明の第1の実施の形態例にかかるエレベータを模式的に示す概略構成図である。 本発明の第1の実施の形態例にかかる巻上機の正面図である。 本発明の第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置の断面図である。 図3に示すT−T線断面図である。 本発明の第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置におけるアマチュアの平面図である。 本発明の第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置の動作を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置におけるアマチュアの平面図である。 図7に示すS−S線断面図である。 本発明の第3の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置におけるアマチュアの断面図である。
以下、本発明のエレベータの実施の形態例について、図1〜図9を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、図1〜図9における矢印Zは、鉛直方向Zを示す。
<1.第1の実施の形態例>
[1−1.エレベータの構成]
まず、本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるエレベータの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本例のエレベータ1を模式的に示す概略構成図である。
本例のエレベータ1は、建物構造物内に形成された昇降路100の上方に機械室を有しない、いわゆる機械室レスエレベータである。図1に示すように、エレベータ1は、昇降路100内を昇降する乗りかご110と、巻上機120と、釣合錘130と、2つの従動プーリ140,150と、ロープ170と、を備えている。
巻上機120は、昇降路100の最下部に配置されている。この巻上機120は、ロープ170を介して乗りかご110及び釣合錘130をつるべ式に昇降させるものである。2つの従動プーリ140,150は、昇降路100の上部に固定されている。
ロープ170の一端と他端は、昇降路100の最上部に固定されている。このロープ170は、釣合錘130に設けられた錘側プーリ131から第1の従動プーリ140に装架され、そして、巻上機120、第2の従動プーリ150、乗りかご110に設けられたせり上げ用プーリ111の順に巻き掛けられている。
次に、図2を参照して本例の巻上機120について説明する。
図2は、本例の巻上機120の正面図である。
図2に示すように、巻上機120は、フレーム121と、駆動シーブ(綱車)122と、ドラム123と、2つの電磁ブレーキ装置10,10と、不図示のモータと、を有している。
フレーム121は、昇降路100内に立設され(図1参照)、駆動シーブ122、被制動体の一例を示すドラム123、2つの電磁ブレーキ装置10,10及びモータを支持している。
駆動シーブ122は、略円板状に形成され、外周面には、ロープ170が巻き掛けられている。ドラム123は、駆動シーブ122よりも大径の略円板状に形成され、且つ、駆動シーブ122と一体的に形成されている。モータは、駆動シーブ122及びドラム123を回転駆動させる。
駆動シーブ122がモータによって回転すると、ロープ170が移動し、乗りかご110及び釣合錘130が昇降路内を昇降する(図1参照)。
2つの電磁ブレーキ装置10,10は、ドラム123を挟んで鉛直方向Zに対向するように、フレーム121に支持されている。2つの電磁ブレーキ装置10,10は、ドラム123の外周面に当接して、ドラム123及び駆動シーブ122を制動する。
なお、本例では、2つの電磁ブレーキ装置10,10を鉛直方向Zに対向するように配置した例を説明したが、これに限定されるものではない。2つの電磁ブレーキ装置10,10は、ドラム123を挟んで水平方向と平行をなす方向に対向するように配置してもよく、あるいはドラム123の鉛直方向Zの上方または下方において所定の角度を開けて配置してもよい。また、電磁ブレーキ装置10の詳細な構成は、後述する。
[1−2.電磁ブレーキ装置の構成]
次に、図3〜図5を参照して本例の電磁ブレーキ装置10について説明する。
図3は、本例の電磁ブレーキ装置10の断面図である。また、図4は、図3に示すT−T線断面図である。また、図5は、本例の電磁ブレーキ装置10におけるアマチュア14の平面図である。
なお、本例では、2つの電磁ブレーキ装置10,10の構成は、共通しているため、以下では、鉛直方向Zの上方に配置した電磁ブレーキ装置10の構成についてのみ説明する。また、電磁ブレーキ装置10における鉛直方向Zと直交し、かつドラム123の軸方向とも直交する方向を第1の方向Xとする。さらに、鉛直方向Zと直交し、かつ第1の方向Xとも直交する方向を第2の方向Yとする。すなわち、第1の方向Xは、電磁ブレーキ装置10を通過するドラム123の駆動方向と平行をなし、第2の方向Yは、ドラム123の駆動方向と直交する。
図3に示すように、電磁ブレーキ装置10は、コア11と、電磁コイル12と、付勢機構13と、コア11と対向するアマチュア14と、非磁性部16と、ドラム123に当接するブレーキ部17と、4本の支持部18と、を有している。
コア11は、略矩形板状に形成されている。そして、コア11は、その長手方向が第1の方向Xと平行になるように配置される。なお、コア11の形状は、矩形板状に限定されるものではなく、例えば、円柱状や楕円柱状等その他各種の形状に形成してもよい。
コア11における鉛直方向Zの一側の一端面11aの四隅の各角部には、鉛直方向Zに沿って他側の他端面11dまで貫通するコア貫通孔11bが形成されている。コア11の一端面11aには、後述する支持部本体18aのねじ頭19aが当接されている。
コア11における鉛直方向Zの他側には、円環状のコイル取付溝部11cと、2つのばね取付溝部11eが形成されている。コイル取付溝部11cは、コア11の他端面11dにおける中央部に形成されている。2つのばね取付溝部11e,11eは、コイル取付溝部11cの半径方向の内側に形成されている。2つのばね取付溝部11e,11eは、コア11における第2の方向Yの略中央において、第1の方向Xに所定の間隔を開けて形成されている。
コイル取付溝部11cには、円環状の電磁コイル12が配置されている。また、2つのばね取付溝部11e,11eには、後述する付勢機構13を構成する2つのばね13a,13aが配置されている。
電磁コイル12は、所定の巻数で巻回されて、固定樹脂等の固定手段によりコイル取付溝部11cに固定されている。電磁コイル12を通電することにより、コア11が磁化され、アマチュア14がコア11側へ吸引される。そのため、他端面11dは、アマチュア14を吸着する吸着面となっている。
付勢機構13は、2つのばね13a,13aを有している。2つのばね13a,13aは、例えば、圧縮コイルばねであり、本例の付勢部材の一例を示す。なお、付勢部材としては、圧縮コイルばねに限定されるものではなく、例えば、ゴム、板ばね、発泡ウレタン等その他各種の弾性部材を用いてもよい。
図3及び図4に示すように、2つのばね13a,13aにおける鉛直方向Zの一端部は、2つのばね取付溝部11e,11eの底面に当接し、他端部は、アマチュア14に当接している。そして、2つのばね13a,13aは、コア11とアマチュア14の間に、圧縮された状態で配置されている。これにより、2つのばね13a,13aは、アマチュア14をコア11に対して離反する方向に付勢し、後述するブレーキ部17をドラム123に押しつけている。
さらに、2つのばね13a,13aは、同じ付勢力を有する同種の圧縮コイルばねである。そして、2つのばね13a,13aの付勢力は、電磁コイル12への通電によって発生するアマチュア14をコア11側に吸引する吸引力よりも弱く設定されている。
また、2つのばね13a,13aは、それぞればね取付溝部11eに挿入される。そのため、2つのばね13a,13aは、電磁コイル12の半径方向の内側に配置される。図5に示すように、2つのばね13a,13aの他端部は、アマチュア14における第2の方向Yの中心を通り、かつ、アマチュア14における第1の方向Xと平行な線(以下、「中心線」という)X1上に当接する。また、2つのばね13a,13aは、アマチュア14における第1の方向Xの中心から等間隔に配置されている。
なお、2つのばね13a,13aの配置は、上述した配置に限定されるものではなく、2つのばね13a,13aの付勢力を後述するアマチュア14の一端面14aに対して均一に加えることができればよい。すなわち、2つのばね13a,13aは、例えば、電磁コイル12の半径方向の外側に配置されていてもよい。
また、ばね13aの設置数は、電磁ブレーキ装置10に求められる制動力などに応じて適宜変更可能である。すなわち、例えば、ばね13aを1つ、または3つ以上設けてもよい。コア11に形成されたばね取付溝部11eの数は、付勢機構13を構成するばね13aの数に対応して設けられる。したがって、ばね13aを1つ設ける場合は、ばね取付溝部11eはコア11に1つ形成され、ばね13aを3つ設ける場合は、ばね取付溝部11eはコア11に3つ形成される。
次に、アマチュア14について説明する。
アマチュア14は、コア11の他端面11dに対向して配置される。アマチュア14は、略矩形板状に形成されている。図5に示すように、アマチュア14は、その長手方向が第1の方向Xと平行をなし、その短手方向が第2の方向Yと平行となるように配置されている。
アマチュア14における鉛直方向Zの一側の一端面14aの四隅の各角部には、アマチュア貫通孔14bが形成されている。また、図3に示すように、アマチュア貫通孔14bは、アマチュア14の一端面14aから鉛直方向Zに沿って、鉛直方向Zの他側の他端面14dまでアマチュア14を貫通している。さらに、アマチュア貫通孔14bは、コア貫通孔11bにおける鉛直方向Zの他側に対向する。そして、コア貫通孔11b及びアマチュア貫通孔14bには、後述する支持部18の支持部本体18aが挿通する。
また、アマチュア14の一端面14aは、コア11の他端面11dと平行に対向する。そして、一端面14aには、コア11に設けた2つのばね13a,13aが当接する。また、アマチュア14の他端面14dには、後述するブレーキ部17が固定されている。
アマチュア14における鉛直方向Zの一側の主面部14cには、凹部15が形成されている。凹部15は、主面部14cにおける一端面14aからコアに対して離反する方向、すなわち鉛直方向Zの他側に向けて略長方形状に凹んでいる。
図5に示すように、凹部15は、その長手方向が第1の方向Xと平行をなし、短手方向が第2の方向Yと平行となるように形成されている。凹部15は、アマチュア14における主面部14cの中心線X1に対して第2の方向Yの一側に設けられている。
また、凹部15の長手方向の長さ、すなわち第1の方向Xの長さは、アマチュア14の長手方向(第1の方向X)の長さよりも若干短く設定されている。さらに、凹部15の短手方向の長さ、すなわち第2の方向Yの長さは、アマチュア14における短手方向(第2の方向Y)の長さの1/2以下に設定されている。すなわち、凹部15は、アマチュア14における主面部14cの略半分の領域を占有している。
凹部15の鉛直方向Zの深さは、例えば、0.4〜0.5mmに設定されている。なお、凹部15の鉛直方向Zの深さは、電磁ブレーキ装置10に求められる制動力に応じて適宜設定されるものである。
また、図3及び図4に示すように、凹部15には、非磁性部16が配置されている。非磁性部16は、例えば、接着剤を用いた接着固定や、固定ねじを用いた締結固定等のその他各種の固定方法により凹部15に固定されている。
非磁性部16は、電磁コイル12への通電によるコア11の磁界(磁場)の影響を受けない材料、若しくは受けにくい材料で構成されている。このような材料としては、例えば、銅、金、銀、鉛、炭素等の非磁性材料が挙げられ、材料コストや信頼性の観点から、銅を用いて構成されていることが好ましい。なお、非磁性材料とは、強磁性体以外の材料をいい、例えば磁界の影響を受けにくい常磁性体や、反磁性体等を含むものとする。
また、非磁性部16は、略平板状に形成されている。非磁性部16における長手方向の長さ、すなわち第1の方向Xの長さは、凹部15の第1の方向Xの長さと等しく設定されている。また、非磁性部16における短手方向の長さ、すなわち第2の方向Yの長さは、凹部15の第2の方向Yの長さと等しく設定されている。そのため、非磁性部16の第2の方向Yの長さは、アマチュア14における第2の方向Yの長さの1/2以下に設定されている。
そして、図5に示すように、凹部15に非磁性部16を固定すると、アマチュア14における主面部14cの中心線X1に対して第2の方向Yの一側の領域には、非磁性部16が配置される。そのため、アマチュア14における中心線X1に対して第2の方向Yの一側が非磁極面となり、アマチュア14における中心線X1に対して第2の方向Yの他側が磁極面となる。これにより、アマチュア14は、中心線X1に対して第2の方向Yの一側と他側で磁性が異なるように構成される。すなわち、アマチュア14は、主面部14cの第2の方向Yの一側と他側において、アマチュア14とコア11の間に働く吸引力が異なるように構成される。
さらに、非磁性部16における鉛直方向Zの長さは、凹部15の鉛直方向Zの深さと等しくなるように設定されている。そのため、図3及び図4に示すように、非磁性部16の鉛直方向Zの一側の一端面16aが、アマチュア14の一端面14aとフラット(面一)になるように、非磁性部16は、凹部15に埋め込まれる。すなわち、非磁性部16の一端面16aは、アマチュア14の一端面14aと、同一平面上に収まる。
また、図5に示すように、非磁性部16の一端面16aの一部には、2つのばね13a,13aの他端部の一部が当接している。また、2つのばね13a,13aの他端部の残りの一部は、アマチュア14の一端面14aに当接している。上述したように、非磁性部16の一端面16aは、アマチュア14の一端面14aと同一平面上に収まるため、コア11とアマチュア14の間に介在されている2つのばね13a,13aの圧縮量を均一にすることができる。
また、非磁性部16には、アマチュア貫通孔14bと対応する位置に非磁性部貫通孔16bが形成されている。アマチュア貫通孔14b及び非磁性部貫通孔16bには、後述する支持部18の支持部本体18a及びスペーサ18bが挿通する。
次に、ブレーキ部17について説明する。
図3及び図4に示すように、ブレーキ部17は、ブレーキシュー17aと、ブレーキパッド17bと、を有している。ブレーキシュー17aは、略直方体状に形成されている。ブレーキシュー17aにおける鉛直方向Zの一側の端面は、アマチュア14の他端面14dに固定されている。
また、ブレーキシュー17aにおける鉛直方向Zの他側の端面には、ブレーキパッド17bが固定されている。ブレーキパッド17bにおける鉛直方向Zの他側の端面は、円弧状の凹面に形成されている。ブレーキパッド17bの他側の端面の曲率半径は、ドラム123における外周面の曲率半径と略等しい。
ブレーキシュー17aは、フレーム121に設けられた開口部121aに挿入される。また、ブレーキシュー17aが、鉛直方向Zに沿って摺動することで、ブレーキパッド17bが、ドラム123に対して接触及び離反する。また、ブレーキパッド17bが、アマチュア14及びブレーキシュー17aを介して付勢機構13によってドラム123に押し付けられることで、ドラム123が制動される。
また、図3に示すように、開口部121aにおける第1の方向Xで互いに対向する2つの壁面は、ブレーキシュー17aが摺動するガイド面である。このように、ブレーキシュー17aが接触するガイド面を、開口部121aにおける第1の方向X、すなわちドラム123の駆動方向で互いに対向する2つの壁面としている。これにより、ブレーキパッド17bをドラム123に押しつける際に、ブレーキシュー17aがドラム123と共にドラム123の駆動方向に追随し、ドラム123の制動面からずれることを抑制することができる。
また、図4に示すように、開口部121aにおける第2の方向Yで互いに対向する2つの壁面と、ブレーキシュー17aとの間には、所定の間隔が形成されている。
次に、支持部18について説明する。
図3及び図4に示すように、支持部18は、支持部本体18aと、スペーサ18bと、を有している。支持部本体18aは、円柱状に形成されている。支持部本体18aにおける鉛直方向Zの一側の端部には、ねじ頭19aが形成され、他側の端部には、支持雄ねじ部20aが形成されている。
図4に示すように、4本の支持部18のうち、第2の方向Yの他側に配置される2本の支持部18の支持部本体18aは、コア貫通孔11b及びアマチュア貫通孔14bを貫通する。また、4本の支持部18のうち、第2の方向Yの一側に配置される2本の支持部18の支持部本体18aは、コア貫通孔11bと、アマチュア貫通孔14bと、非磁性部貫通孔16bを貫通する。
支持部本体18aのねじ頭19aは、コア11の一端面11aに当接する。また、支持部本体18aの支持雄ねじ部20aは、フレーム121に設けた雌ねじ部に螺合される。これにより、支持部本体18aを介してフレーム121にコア11を固定することができる。
スペーサ18bは、円筒状に形成されている。スペーサ18bは、支持部本体18aの鉛直方向Zの他側に嵌合し、支持部本体18aの外周面を覆う。スペーサ18bの外径は、アマチュア貫通孔14b及び非磁性部貫通孔16bの内径よりも小さく設定され、かつ、コア貫通孔11bの内径よりも大きく設定されている。
図4に示すように、4本の支持部18のうち、第2の方向Yの他側に配置される2本の支持部18のスペーサ18bは、アマチュア貫通孔14bを貫通する。また、4本の支持部18のうち、第2の方向Yの一側に配置される2本の支持部18のスペーサ18bは、アマチュア貫通孔14bと、非磁性部貫通孔16bを貫通する。
スペーサ18bの鉛直方向Zの他端部は、フレーム121に当接する。また、スペーサ18bの鉛直方向Zの一端部は、コア11の他端面11dに当接する。すなわち、スペーサ18bは、コア11とフレーム121の間に介在される。したがって、スペーサ18bは、フレーム121に対するコア11の高さ位置を規定するように機能する。
そして、上述した構成を有する4本の支持部18は、アマチュア14をコア11に対して接近及び離反する方向に移動可能に支持している。
なお、本例では、支持部18を4本設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、電磁ブレーキ装置に支持部18を3本以下、あるいは5本以上設けてもよい。そして、支持部18が貫通するコア貫通孔11b、アマチュア貫通孔14b、及び非磁性部貫通孔16bの数は、設けられる支持部18の数に応じて適宜設定されるものである。
[1−3.電磁ブレーキ装置の動作]
次に、図4及び図6を参照して本例の電磁ブレーキ装置10の動作について説明する。
図6(A),図6(B)は、本例の電磁ブレーキ装置10の動作を説明するための図である。
ドラム123を制動しない非制動時の電磁ブレーキ装置10では、電磁コイル12が通電されることにより、コア11が磁化される。そして、アマチュア14を吸引する、いわゆる吸引力がコア11とアマチュア14の間に発生する。そのため、アマチュア14が2つのばね13a,13aの付勢力に抗してコア11側に吸引される。
ここで、本例のアマチュア14には、中心線X1に対して第2の方向Yの一側に非磁性部16が配置されている。そのため、アマチュア14とコア11の間に働く吸引力は、アマチュア14の中心線X1に対して第2の方向Yの一側が他側よりも小さくなる。
したがって、図6(A)に示すように、アマチュア14がコア11側へ移動する際に、アマチュア14は、中心線X1に対して第2の方向Yの他側が一側よりも先にコア11側へ移動する。次いで、アマチュア14の中心線X1に対して第2の方向Yの一側がコア11側へ移動する。そのため、アマチュア14の一端面14aは、コア11の他端面11dに対して平行な状態から所定の角度で傾斜し、アマチュア14がコア11に接近する。そして、アマチュア14における第2の方向Yの他側は、アマチュア14における第2の方向Yの一側よりも先にコア11に接触する。
ここで、上述したように、アマチュア14及び非磁性部16を貫通する支持部18のスペーサ18bの外径は、アマチュア貫通孔14b及び非磁性部貫通孔16bの内径よりも小さく設定されている。また、開口部121aにおける第2の方向Yで互いに対向する2つの壁面と、ブレーキシュー17aとの間には、所定の間隔が形成されている。
また、アマチュア貫通孔14b及び非磁性部貫通孔16bの内径と、スペーサ18bの外径の差は、アマチュア14を所定の角度で傾斜させることができるように適宜設定されている。さらに、開口部121aにおける第2の方向Yで互いに対向する2つの壁面と、ブレーキシュー17aと間隔は、アマチュア14が傾斜した際に、ブレーキシュー17aと開口部121aの壁面が接触しない程度の大きさに設定されている。
そのため、アマチュア14の一端面14aがコア11の他端面11dに対して所定の角度で傾斜した際に、アマチュア14がスペーサ18bに引っ掛かったり、ブレーキシュー17aが開口部121aに引っ掛かったりすることを防ぐことができる。これにより、アマチュア14をスムーズにコア11に接近させることができる。
そして、アマチュア14は、中心線X1に対して第2の方向Yの他側から一側の順にコア11の他端面11dに当接する。その結果、図6(B)に示すように、ブレーキシュー17a及びブレーキパッド17bは、ドラム123から離反する。
これに対して、ドラム123を制動する非制動時の電磁ブレーキ装置10では、電磁コイル12への通電が遮断されることにより、コア11の磁力が失われていく。そして、2つのばね13a,13aの付勢力により、アマチュア14がコア11から離反し、ドラム123側へ移動する。
ここで、アマチュア14がコア11から受ける残磁力の影響、すなわち、アマチュア14とコア11の間に働く吸引力は、主面部14cの中心線X1に対して第2の方向Yの一側が他側よりも小さくなる。
したがって、図6(A)に示すように、アマチュア14がドラム123側へ移動する際に、アマチュア14は、中心線X1に対して第2の方向Yの一側が他側よりも先にドラム123側へ移動する。次いで、アマチュア14の中心線X1に対して第2の方向Yの側がドラム123側へ移動する。
ここで、アマチュア14がドラム123側へ移動する場合においても、上述したアマチュア14がコア11側へ移動する場合と同様に、アマチュア14の一端面14aをコア11の他端面11d及びドラム123の制動面に対して所定の角度で傾斜させることができる。
そして、ブレーキパッド17bは、中心線X1に対して第2の方向Yの一側から他側の順にドラム123の外周面に当接する。その結果、図4に示すように、ブレーキパッド17bは、ドラム123の制動面を圧接する。
以上のように、本例の電磁ブレーキ装置10によれば、アマチュア14がコア11に接触する時において、アマチュア14における第1の方向Yの一側と他側を、コア11に段階的に接触させることができる。また、ブレーキパッド17bがドラム123に接触する時でも、ブレーキパッド17bをドラム123に段階的に接触させることができる。
そのため、アマチュア14とコア11の接触時、及びブレーキパッド17bとドラム123の接触時において、接触面における一側と他側が同時に接触する場合と比較して、衝撃力を分散させることができる。これにより、電磁ブレーキ装置10におけるアマチュア14とコア11が接触する際の動作音と、ドラム123を制動する際の動作音を低減することができ、電磁ブレーキ装置10の静音化を向上させることができる。
また、本例の電磁ブレーキ装置10によれば、付勢力の異なる複数種のばねを用いることなくアマチュアをドラム123の制動面に対して所定の角度で傾斜させることができる。すなわち、本例での電磁ブレーキ装置10では、付勢機構13を構成する2つのばね13a,13aを同じ付勢力を有する同種の圧縮コイルばねにすることができる。このため、付勢機構13の取り付け作業を簡略化でき、作業効率の向上が図られるとともに、製造上のミスを低減することができる。
さらに、本例の電磁ブレーキ装置10は、特許文献1に記載された技術のように、アマチュアに当接し、アマチュアを傾斜させる変位拘束治具等を設ける必要がない。そのため、アマチュア14が変位拘束治具等のようなコア11以外の部材に接触して破損することを防ぐことができ、アマチュア14が移動する際の衝撃力を低減することができる。
したがって、本例の電磁ブレーキ装置10によれば、取り付け部品を増加することなく、簡単な構成でブレーキの動作音を低減できるとともに、長期信頼性に優れたものとなる。
なお、本例の電磁ブレーキ装置10は、凹部15及び非磁性部16における第2の方向Yの長さをアマチュア14における第2の方向Yの長さの1/2以下に設定する例を説明したが、凹部15及び非磁性部16における第2の方向Yの長さは、これに限られない。凹部15及び非磁性部16は、主面部14cにおける一端面14aを占有する面積が、中心線X1に対して第2の方向Yの一側と他側において異なるように設けられていればよい。すなわち、凹部15及び非磁性部16における第2の方向Yの長さは、アマチュア14の第2の方向Yの長さの1/2よりも大きく設定してもよいし、1/2よりも小さく設定してもよい。
これにより、主面部14cの中心線X1に対して第2の方向Yの一側と他側において、アマチュア14とコア11の間に働く吸引力が異なるものとなる。したがって、アマチュア14の吸引時または解放時において、アマチュア14を、コア11の他端面11dや、ドラム123の制動面に対して所定の角度で傾斜させることができる。
なお、中心線X1に対して第2の方向Yの一側において凹部15及び非磁性部16が占める割合と、中心線X1に対して第2の方向Yの他側において凹部15及び非磁性部16が占める割合の差を大きくすることが好ましい。これにより、主面部14cの中心線X1に対して第2の方向Yの一側と他側における、アマチュア14とコア11の間に働く吸引力の差を大きくすることができる。その結果、アマチュア14が移動する際に、アマチュア14を、大きく傾斜させることができる。
<2.第2の実施の形態例>
次に、図7及び図8を参照して、本発明の電磁ブレーキ装置の第2の実施の形態例について説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置におけるアマチュアの平面図である。また、図8に示すS−S線断面図である。
この第2の実施の形態例に係る電磁ブレーキ装置が、第1の実施の形態例に係る電磁ブレーキ装置10と異なるところは、非磁性部の構成である。そのため、ここでは、非磁性部の構成について説明する。
以下、第1の実施の形態例の電磁ブレーキ装置10と同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図7及び図8に示すように、アマチュア24の主面部24cには、凹部25が形成されている。なお、凹部25の構成は、第1の実施の形態例にかかる凹部15と同様であるため、その説明は省略する。
非磁性部26は、第1の非磁性片26aと、第2の非磁性片26bと、第3の非磁性片26cと、を有している。第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cは、それぞれ略矩形板状に形成されている。
第1の非磁性片26aは、凹部25における第2の方向Yの他側に配置されている。第3の非磁性片26cは、凹部25における第2の方向Yの一側に配置されている。第2の非磁性片26bは、第1の非磁性片26aと第3の非磁性片26cの間に配置されている。そして、第1の非磁性片26aと、第2の非磁性片26bと、第3の非磁性片26cは、凹部25内に第2の方向Yに沿って隙間なく配置されている。
第3の非磁性片26cは、3つの非磁性片26a,26b,26cの中で最も磁界(磁場)の影響を受けない材料で構成されている。第2の非磁性片26bは、第1の非磁性片26aよりも磁界(磁場)の影響を受けない材料で構成されている。また、第1の非磁性片26aは、アマチュア24よりも磁界(磁場)の影響を受けない材料で構成されている。そのため、凹部25に配置された非磁性部26は、第2の方向Yの一側と他側で、磁性が異なる。
これにより、アマチュア24における中心線X1から第2の方向Yの一側に向けて、アマチュア24とコア11の間に働く吸引力が小さくなる。したがって、アマチュア24の吸引時または解放時において、アマチュア24をドラム123の制動面に対して所定の角度で傾斜させることができる。なお、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cの構成材料は、第1の実施の形態例にかかる非磁性部16と同様の非磁性材料を用いることができる。
第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける第2の方向Yの長さは、それぞれ、アマチュア24における第2の方向Yの長さの1/6以下に設定されている。また、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける第2の方向Yの長さは、それぞれ略同じ長さに設定されている。
図8に示すように、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける鉛直方向Zの長さは、それぞれ同じ長さに設定されている。そして、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける鉛直方向Zの長さは、凹部25の鉛直方向Zの深さと同じ長さに設定されている。
そのため、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cは、その鉛直方向Zの一側の一端面が、アマチュア24の一端面24aとフラット(面一)になるように埋め込まれている。すなわち、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cの一端面と、アマチュア24の一端面24aは、同一平面上に収まる。
なお、第2の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置は、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける第2の方向Yの長さをアマチュア24の第2の方向Yの長さの1/6以下に設定する例を説明したが、これに限られない。
例えば、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける第2の方向Yの長さを、アマチュア24の第2の方向Yの長さの1/6よりも大きく設定してもよい。あるいは、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける第2の方向Yの長さを、アマチュア14の第2の方向Yの長さの1/6よりも小さく設定してもよい。
また、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cにおける第2の方向Yの長さを、互いに異なる長さで設定してもよい。さらに、第1の非磁性片26a、第2の非磁性片26b、及び第3の非磁性片26cを、アマチュア24に互いに隙間を開けて配置してもよい。
さらに、3つの非磁性片26a,26b,26cを1つの凹部25内に配置した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、アマチュア24の主面部24cに、第2の方向Yに沿って間隔を開けて3つの凹部を設けてもよい。そして、3つの非磁性片26a,26b,26cは、3つの凹部に1つずつ配置される。
また、第2の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置は、非磁性部26を3つの非磁性片で構成する例を説明したが、これに限られない。すなわち、非磁性部を構成する非磁性片の数は、例えば、2つ、または4つ以上であってもよい。
さらに、3つの非磁性片26a,26b,26cにおける鉛直方向Zの長さを全て同じ長さにした例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、3つの非磁性片26a,26b,26cにおける鉛直方向Zの長さを互いに異なる長さに設定してもよい。この場合、凹部25は、3つの非磁性片26a,26b,26cの一端面と、アマチュア24の一端面24aが同一平面上に収まるように、3つの非磁性片26a,26b,26cの鉛直方向Zの長さに応じて形成される。
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する電磁ブレーキ装置によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置10と同様の作用効果を得ることができる。
<3.第3の実施の形態例>
次に、図9を参照して、本発明の電磁ブレーキ装置の第3の実施の形態例について説明する。
図9は、本発明の第3の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置におけるアマチュアの断面図である。
この第3の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置が、第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置10と異なる点は、アマチュアの凹部と非磁性部の構成である。そのため、ここでは、アマチュアの凹部と非磁性部の構成について説明する。
以下、第1の実施の形態例の電磁ブレーキ装置10、及び第2の実施の形態例の電磁ブレーキ装置と同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略し、異なる構成部分のみを説明する。
図9に示すように、アマチュア34の主面部34cにおける第2の方向Yの一側には、凹部35が形成されている。凹部35は、第1の段差部35aと、第2の段差部35bと、第3の段差部35cと、を有している。
第1の段差部35aは、3つの段差部35a,35b,35cのうち最も第2の方向Yの他側に形成されている。第3の段差部35cは、3つの段差部35a,35b,35cのうち最も第2の方向Yの一側に形成されている。第2の段差部35bは、第1の段差部35aと第3の段差部35cの間に形成されている。
第1の段差部35aは、アマチュア34の一端面34aから鉛直方向Zの他側に所定の長さで凹んだ段差部となっている。第2の段差部35bは、第1の段差部35aから鉛直方向Zの他側に所定の長さで凹んだ段差部である。また、第3の段差部35cは、第2の段差部35bから鉛直方向Zの他側に所定の長さで凹んだ段差部である。すなわち、3つの段差部35a,35b,35cのうち第1の段差部35aにおける鉛直方向Zの長さが最も短く設定されている。そして、3つの段差部35a,35b,35cのうち第3の段差部35cにおける鉛直方向Zの長さが最も長く設定されている。したがって、凹部35は、第2の方向Yの他側から一側に向かうにつれて段階的に鉛直方向Zの長さが変化する。
また、第1の段差部35aとアマチュア34の一端面34aとの段差の高さと、第1の段差部35aと第2の段差部35bとの段差の高さと、第2の段差部35bと第3の段差部35cとの段差の高さは、それぞれ同じ高さに設定されている。
第1の段差部35a、第2の段差部35b、及び第3の段差部35cにおける第2の方向Yの長さは、それぞれ、アマチュア14における第2の方向Yの長さの1/6以下に設定されている。また、第1の段差部35a、第2の段差部35b、及び第3の段差部35cにおける第2の方向Yの長さは、それぞれ同じ長さに設定されている。
このような構成を有する凹部35には、非磁性部36が配置されている。非磁性部36におけるコア11と対向する一面、すなわち鉛直方向Zの一端面は、平面状に形成されている。非磁性部36は、第2の方向Yに沿って、鉛直方向Zの長さ、すなわち厚さが3段階に変化している。非磁性部36における第2の方向Yの一側が、最も鉛直方向Zの長さが長く形成されており、非磁性部36における第2の方向Yの他側が、最も鉛直方向Zの長さが短くなるように形成されている。
また、非磁性部36における第2の方向Yの一側の鉛直方向Zの長さは、凹部35における第3の段差部35cの鉛直方向Zの長さと等しく設定されている。非磁性部36における第2の方向Yの他側の鉛直方向Zの長さは、凹部35における第1の段差部35aの鉛直方向Zの長さと等しく設定されている。さらに、非磁性部36における第2の方向Yの中間部の鉛直方向Zの長さは、凹部35における第2の段差部35bの鉛直方向Zの長さと等しく設定されている。
これにより、非磁性部36を凹部35に配置した際に、非磁性部36の一端面と、アマチュア34の一端面34aとを同一平面上に収めることができる。
また、非磁性部36における鉛直方向Zの長さを、第2の方向Yに沿って段階的に変化させている。そのため、非磁性部36における第2の方向Yの一側と他側で、磁性を変化させることができる。
なお、第3の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置は、第1の段差部35a,第2の段差部35b,及び第3の段差部35cにおける第2の方向Yの長さを、アマチュア24の第2の方向Yの長さの1/6以下に設定する例を説明したが、これに限られない。
例えば、第1の段差部35a、第2の段差部35b、及び第3の段差部35cにおける第2の方向Yの長さを、アマチュア14の第2の方向Yの長さの1/6よりも大きく設定してもよい。あるいは、第1の段差部35a、第2の段差部35b、及び第3の段差部35cにおける第2の方向Yの長さを、アマチュア14の第2の方向Yの長さの1/6よりも小さく設定してもよい。
また、第1の段差部35a、第2の段差部35b、及び第3の段差部35cにおける第2の方向Yの長さを、それぞれ互いに異なる長さに設定してもよい。
また、凹部35には、第1の段差部35a、第2の段差部35b、及び第3の段差部35cの3つの段差部を有する例を説明したが、これに限られない。すなわち、段差部の数は、例えば、2つ、または4つ以上であってもよい。そして、非磁性部の鉛直方向Zの長さも、凹部の段差部の数に応じて段階的に変化させることが好ましい。
さらに、凹部において第2の方向Yの一側から他側にかけて連続的に、鉛直方向Zの長さを変化させてもよい。この場合、非磁性部における鉛直方向Zの長さも凹部に対応させて、第2の方向Yの一側から他側にかけて連続的に変化させることが好ましい。
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する電磁ブレーキ装置によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる電磁ブレーキ装置10と同様の作用効果を得ることができる。
以上、エレベータ、巻上機及び電磁ブレーキ装置の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のエレベータ、巻上機及び電磁ブレーキ装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施の形態例では、アマチュアの長手方向が第1の方向Xと平行をなし、短手方向が第2の方向Yと平行となるように、アマチュアを配置した例を説明したが、これに限定されない。例えば、アマチュアの長手方向が第2の方向Yと平行をなし、短手方向が第1の方向Xと平行となるように、アマチュアを配置してもよい。この場合、凹部及び非磁性部は、アマチュアの長手方向の一側に配置される。
また、上述した実施の形態例では、アマチュアの凹部に非磁性部を配置する例を説明したが、これに限定されるものではなく、凹部に非磁性部を設けない構成としてもよい。この場合、アマチュアとコア11の間の間隔は、中心線X1に対して第2の方向Yの一側が他側に比べて大きくなる。これにより、アマチュアとコア11の間に働く吸引力は、主面部の中心線X1に対して第2の方向Yの一側が他側よりも小さくなる。したがって、アマチュアの吸引時または解放時において、アマチュアをドラムの制動面に対して所定の角度で傾斜させることができる。
そして、アマチュアの凹部において、2つのばね13a,13aが当接する位置に、底上げ部等を形成してもよい。そして、底上げ部の鉛直方向Zの一側の端面を主面部の端面と同一平面上に収まるように形成することで、コア11とアマチュアの間に介在されている2つのばね13a,13aの圧縮量を均一にすることができる。
また、アマチュアの第2の方向Yの一側に略長方形状の凹部を形成し、矩形板状の非磁性部を凹部に配置する例を説明したが、これに限定されるものではない。アマチュアに形成される凹部の形状としては、略円形状、楕円形状や、多角形状の凹部であってもよくその他各種の形状が適用されるものである。そして、非磁性部の形状は、凹部の形状に対応して適宜設定されるものである。さらに、アマチュアにおける第2の方向Yの一側を、一端面よりも一段凹んだ段差部としてもよい。
また、アマチュアの凹部に、アマチュアよりも磁力が強い強磁性体を配置してもよい。これにより、アマチュアの一側と他側で、アマチュアとコアの間に働く吸引力を変化させることができる。
さらに、上述した実施の形態例では、電磁ブレーキ装置として、エレベータの巻上機におけるドラムを制動する電磁ブレーキ装置に適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。電磁ブレーキ装置としては、例えば、電車、自動車や乗客コンベア等のその他各種の被制動体を制動する電磁ブレーキ装置に適用されるものである。
1…エレベータ、 100…昇降路、 120…巻上機、 121…フレーム、 121a…開口部、 122…駆動シーブ、 123…ドラム、 170…ロープ、 10…電磁ブレーキ装置、 11…コア、 11b…コア貫通孔、 11c…コイル取付溝部、11e…ばね取付溝部、 12…電磁コイル、 13…付勢機構、 13a…ばね(付勢部材)、 14,24,34…アマチュア、 14b…アマチュア貫通孔、 14a…一端面(一面)、 14c,24c,34c…主面部、 15,25,35…凹部、 16,26,36…非磁性部、 16b…非磁性部貫通孔、 17…ブレーキ部、 17a…ブレーキシュー、 17b…ブレーキパッド、 18…支持部、 18a…支持部本体、 18b…スペーサ、 26a…第1の非磁性片、 26b…第2の非磁性片、 26c…第3の非磁性片、 35a…第1の段差部、 35b…第2の段差部、 35c…第3の段差部

Claims (8)

  1. 被制動体を制動する電磁ブレーキ装置であって、
    前記被制動体に当接するブレーキ部と、
    前記ブレーキ部を支持するアマチュアと、
    前記アマチュアの前記ブレーキ部を支持する面とは反対側の主面部に対向して配置されるコアと、
    前記コアに設けられ、前記アマチュアを付勢し、前記ブレーキ部を前記被制動体に押しつける付勢機構と、
    前記コアに設けられ、前記付勢機構の付勢力に抗して前記アマチュアを吸引し、前記ブレーキ部を前記被制動体から離反させる電磁コイルと、を有し、
    前記アマチュアは、前記主面部の一側と他側において、前記主面部と前記コアの間に働く吸引力が異なるように構成されている
    電磁ブレーキ装置。
  2. 前記アマチュアの前記主面部の一側には、前記主面部における前記コア側の一面から前記コアと離反する方向に凹んだ凹部が設けられている
    請求項1に記載の電磁ブレーキ装置。
  3. 前記凹部には、非磁性体が配置されている
    請求項2に記載の電磁ブレーキ装置。
  4. 前記非磁性体における前記コア側の一面と、前記主面部の一面は、同一平面上に収まる
    請求項3に記載の電磁ブレーキ装置。
  5. 前記アマチュアは、前記主面部の一面における前記被制動体の駆動方向に対して直交する方向の中心を通り、かつ、前記被制動体の駆動方向と平行な線に対して一側と他側で、磁性が異なるように形成されている
    請求項1に記載の電磁ブレーキ装置。
  6. 前記付勢機構は、複数の付勢部材で構成され、
    前記複数の付勢部材は、それぞれ同じ強さの付勢力を有する
    請求項1に記載の電磁ブレーキ装置。
  7. 乗りかごに連結されたロープが巻回される巻上機であって、
    前記ロープが巻き掛けられた綱車と、
    前記綱車に接続され、前記綱車と共に回転駆動するドラムと、
    前記ドラムの駆動を制動する電磁ブレーキ装置と、を備え、
    前記電磁ブレーキ装置は、
    前記ドラムに当接するブレーキ部と、
    前記ブレーキ部を支持するアマチュアと、
    前記アマチュアの前記ブレーキ部を支持する面とは反対側の主面部に対向して配置されるコアと、
    前記コアに設けられ、前記アマチュアを付勢し、前記ブレーキ部を前記ドラムに押しつける付勢機構と、
    前記コアに設けられ、前記付勢機構の付勢力に抗して前記アマチュアを吸引し、前記ブレーキ部を前記ドラムから離反させる電磁コイルと、を有し、
    前記アマチュアは、前記主面部の一側と他側において、前記主面部と前記コアの間に働く吸引力が異なるように構成されている
    巻上機。
  8. 昇降路内を昇降する乗りかごと、
    前記乗りかごとロープを介して連結される釣合錘と、
    前記ロープを巻き掛けることにより前記乗りかごを昇降させる巻上機と、を備え、
    前記巻上機は、
    前記ロープが巻き掛けられた綱車と、
    前記綱車に接続され、前記綱車と共に回転駆動するドラムと、
    前記ドラムの駆動を制動する電磁ブレーキ装置と、を備え、
    前記電磁ブレーキ装置は、
    前記ドラムに当接するブレーキ部と、
    前記ブレーキ部を支持するアマチュアと、
    前記アマチュアの前記ブレーキ部を支持する面とは反対側の主面部に対向して配置されるコアと、
    前記コアに設けられ、前記アマチュアを付勢し、前記ブレーキ部を前記ドラムに押しつける付勢機構と、
    前記コアに設けられ、前記付勢機構の付勢力に抗して前記アマチュアを吸引し、前記ブレーキ部を前記ドラムから離反させる電磁コイルと、を有し、
    前記アマチュアは、前記主面部の一側と他側において、前記主面部と前記コアの間に働く吸引力が異なるように構成されている
    エレベータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7448050B1 (ja) 2023-02-24 2024-03-12 三菱電機ビルソリューションズ株式会社 ブレーキ装置

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