JP2016149971A - シーディング剤及び該シーディング剤を使用したチョコレート生地の製造方法 - Google Patents

シーディング剤及び該シーディング剤を使用したチョコレート生地の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】通常より高温でのテンパリング工程であっても、シーディング剤の添加量を増やすことなく、少量の添加でプロパーテンパーなチョコレート生地が得られるシーディング剤を提供すること。また、前記シーディング剤を使用したチョコレート生地の製造方法の提供。【解決手段】StOStの安定型結晶と、レシチン及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種以上とを含有するシーディング剤を提供する。(ただし、StOStは1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロールを表す)また、32〜40℃の融液状チョコレート生地に、前記シーディング剤を添加し、32〜40℃の温度で5分間以上保持するチョコレート生地の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、シーディング剤及び該シーディング剤を使用したチョコレート生地の製造方法に関する。
チョコレートは、カカオ豆を主原料とし、優れた香味や口どけを有する嗜好性の高い食品である。一般的なチョコレートとして知られるテンパー型チョコレート(カカオ豆に含まれるココアバターのみを油脂分として含むチョコレート等)は、通常、チョコレート原料から得られた融液状のチョコレート生地を、テンパリング操作した後、該チョコレート生地を冷却固化することで得られる。テンパリング操作とは、様々な結晶構造をとり得るココアバターを安定結晶として固化させるために、融液状のチョコレート生地中に安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。具体的には、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレート生地を、品温を27〜28℃程度まで下げた後に、再度29〜31℃程度まで加温する操作として知られる。
テンパリング操作で生じる安定結晶の量が適正であれば、チョコレート生地の冷却時における固化速度が速くなり、チョコレート生地が固化する際に十分な体収縮が生じる。また、固化後のチョコレートが成形型から良好に剥離し(つまり、型抜けが良く)、ファットブルーム(チョコレート表面に白い油脂結晶が生成する現象を指し、以下、「ブルーム」という)の発生がなく、優れた光沢を有するチョコレートが得られる。また、得られたチョコレートの保存中におけるブルーム耐性もよい。こうした適正なテンパリング状態は「プロパーテンパー」と呼ばれる。
他方、テンパリング操作で生じる安定結晶の量が少ないと、ブルームが発生する場合が多く、得られたチョコレートの保存中におけるブルーム耐性が低下し、短期間でブルームが発生してしまう可能性がある。こうしたテンパリング状態は「アンダーテンパー」と呼ばれる。また、テンパリング操作で生じる安定結晶の量が多いと、得られるチョコレートのキメが粗くなり、チョコレートの保存中におけるブルーム耐性が低下する可能性がある。こうしたテンパリング状態は「オーバーテンパー」と呼ばれる。したがって、チョコレートの製造は、アンダーテンパーやオーバーテンパーを回避するため、テンパリング状態の管理が重要である。
テンパリング状態を管理する方法としては、テンパーインデックス値が用いられる。テンパーインデックス値とは、融解したチョコレートを一定条件で冷却し、この時の油脂の結晶化による温度変化と冷却時間との変化の関係をプロットして得られる曲線の形状を利用して、テンパリングの程度を1〜9までの小数点以下1桁で数値化したものであり、通常、テンパーメーターを使用して算出される。そして、テンパーインデックス値が1〜3の場合はアンダーテンパーであり、油脂の安定型結晶が少量でテンパリングが不十分の状態を表し、4〜6の場合はプロパーテンパーであり、油脂の安定型結晶が適量でテンパリングが良好な状態を表し、7〜9の場合はオーバーテンパーであり、過剰なテンパリングにより油脂の安定型結晶が過剰に存在するため粘度が上昇した状態を表す。
また、複雑なテンパリング操作を簡略化等したチョコレートの成形法として、「シーディング法」と呼ばれるチョコレートの粉末等をシーディング剤としてチョコレート生地に添加混合する方法が知られる。シーディング剤は、安定結晶の結晶核として機能するため、テンパリングを促進させる。シーディング剤としては、例えば、1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール(StOSt)、1,3−ジベヘニル−2−オレオイルグリセロール(BOB)の結晶等を添加する方法が開発されている(例えば、特許文献1〜5)。
上記の結晶等を使用したシーディング法は、テンパリング操作を簡略化等できる利便性の高い方法である。しかし、テンパリング操作を行うべきチョコレート生地は、通常約30℃に保持されているところ、このような生地温度を有する生地に対して上記の結晶等を使用したシーディング法を行うと、チョコレート生地の粘度が経時的に上昇し、チョコレート生地のハンドリング性を低下させてしまうことが知られていた。
チョコレート生地の粘度上昇は、チョコレート生地の生地温度を上げることで低減することができるが、この場合、シーディング剤の添加が少量であると、シーディング剤中の結晶核が融解し、テンパリングの促進効果が低下するため、多量のシーディング剤(例えば、チョコレート生地中の油分に対して5質量%程度のStOSt結晶やBOB結晶を添加)を使用する必要がある。
しかし、多量のシーディング剤を使用することは、コストの増加や、得られるチョコレートのブルーム耐性や口どけ等が悪くなるという問題があった。
特開昭63−240745号公報 特開昭64−60330号公報 特開平2−406号公報 特開平2−242639号公報 特開2008−5745号公報
本発明の課題は、通常より高温でのテンパリング工程であっても、シーディング剤の添加量を増やすことなく、少量の添加でプロパーテンパーなチョコレート生地が得られるシーディング剤を提供することである。また、前記シーディング剤を使用したチョコレート生地の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、StOStの安定型結晶と、レシチン及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種以上とを含有するシーディング剤を使用することで、高温でのテンパリング工程において、シーディング剤の添加量を増やすことなく、プロパーテンパーなチョコレート生地が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、StOStの安定型結晶と、レシチン及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種以上とを含有することを特徴とするシーディング剤である。
本発明の第2の発明は、前記レシチンを0.5〜10質量%及び/または前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.2〜10質量%含有することを特徴とする第1の発明に記載のシーディング剤である。
本発明の第3の発明は、前記レシチン及び前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有し、該レシチンと該ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの質量比が1:1〜3:1であることを特徴とする第1の発明又は第2の発明に記載のシーディング剤である。
本発明の第4の発明は、StOStの安定型結晶を30〜80質量%含有することを特徴とする第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに記載のシーディング剤である。
本発明の第5の発明は、32〜40℃の融液状チョコレート生地に、第1の発明〜第4の発明のいずれか1つに記載のシーディング剤を添加し、32〜40℃の温度で5分間以上保持することを特徴とするチョコレート生地の製造方法である。
本発明によれば、通常より高温でのテンパリング工程であっても、シーディング剤の添加量を増やすことなく、少量の添加でプロパーテンパーなチョコレート生地が得られるシーディング剤、及び経時的な生地粘度の上昇が抑制され、取扱いが容易なテンパー型チョコレート生地の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明においてシーディング剤とは、チョコレート生地のテンパリング操作において、テンパリングを促進させる効果をもつチョコレート用の添加剤を指す。
[StOStの安定型結晶]
本発明において使用されるStOStの安定型結晶は、鎖長構造が3鎖で、かつ副格子がβ型の三斜晶系を示す1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール(StOSt)の安定型結晶である。StOStの結晶型が3鎖長β型であることは、X線回折(粉末法)の測定により得られる回折ピークから判断される。すなわち、油脂結晶について、その短面間隔を2θが17〜26度の範囲でX線回折を測定し、4.5〜4.7Åの面間隔に対応する強い回折ピークを検出し、4.1〜4.3Å及び3.8〜3.9Åの面間隔に対応する回折ピークを検出しないか、微小な回折ピークである場合に、β型結晶であると判断される。また、油脂結晶について、その長面間隔を2θが0〜8度の範囲で測定し、60〜65Åに相当する強い回折ピークを検出する場合に、3鎖長構造であると判断される。
本発明において使用されるStOStの安定型結晶は、StOStを含有する油脂(StOSt含有油脂とも呼ばれる)を使用することが好ましい。つまり、本発明において使用されるStOStの安定型結晶は、StOStを含有する油脂に由来する結晶であってもよい。StOStを含有する油脂がStOStの安定型結晶として使用できるかは、上記と同様にX線回折を測定することにより判断でき、該油脂のStOSt含有量を、該油脂のStOStの安定型結晶含有量として扱う。
StOStを含有する油脂としては、例えば、カカオ代用脂の原料油脂として使用される、サル脂、シア脂、モーラー脂、マンゴー核油、アランブラッキア脂、ペンタデスマ脂等の油脂、及びそれらを分別した高融点部又は中融点部が挙げられる。また、既知の方法に基づいて、ハイオレイックヒマワリ油及びステアリン酸エチルエステルの混合物に対して、1,3位選択性リパーゼ製剤を用いてエステル交換反応を行い、脂肪酸エチルエステルを蒸留により除去した油脂、及びそれを分別した高融点部又は中融点部であってもよい。
StOStを含有する油脂のStOSt含有量は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。なお、StOSt含有量は、ガスクロマトグラフ法及び銀イオンカラム−HPLC法により求めることができる。
また、本発明のシーディング剤中のStOStの安定型結晶の含有量は、30〜80質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましく、35〜45質量%が最も好ましい。StOStの安定型結晶の含有量が上記の範囲にあると、StOStの安定型結晶がシーディング剤として効率良く機能する。
本発明のシーディング剤は、StOSt含有油脂を液状油脂で適宜希釈することにより、StOStの安定型結晶の含有量を上記の範囲に調整することが好ましい。ここで、液状油脂とは、20℃で液状状態の油脂のことであり、ひまわり油、大豆油、菜種油、紅花油、綿実油、米油、オリーブ油、亜麻仁油、並びにそれら単独の油又は複数混合油の水素添加油、それら単独の油又は複数混合油のエステル交換油、及びそれら単独の油又は複数混合油の分別油等の加工油等が挙げられる。これらの中でも、ひまわり油を用いることが好ましい。
[レシチン]
本発明において使用されるレシチンは、動植物由来のレシチンを用いることができ、例えば、卵黄、乳等の動物由来のレシチン、大豆、菜種、小麦、米、コーン、綿実、紅花、アマニ、ゴマ、ひまわり種子等の植物由来のレシチン、これらの分画レシチン、酵素処理レシチン、水素添加レシチン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、植物由来のレシチンが好ましく、大豆由来のレシチンが、価格及び入手性という観点において好ましい。レシチンの市販品としては、日清オイリオグループ(株)のレシチンDX、和光純薬(株)の大豆レシチン、太陽化学(株)のサンレシチンA、理研ビタミン(株)のレシオンP等が挙げられる。
また、本発明のシーディング剤中のレシチンの含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜6質量%がより好ましく、0.7〜4質量%が最も好ましい。レシチンの含有量が上記の範囲にあると、シーディング剤の添加が少量でも、チョコレート生地がプロパーテンパーなものになる。
[ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル]
本発明において使用されるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPRとも呼ばれる)は、縮合リシノレイン酸ポリグリセリン、ポリグリセリンポリリシノレート、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等と表記されることがある。製法としては主にヒマシ油から得られるリシノレイン酸を脱水縮合した縮合リシノレイン酸とポリグリセリンとのエステル化により得られるが、実際的には市販品を使用するのが簡便で経済的であり好ましい。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの市販品としては、坂本薬品工業(株)のSY−GlysterCR−310、CR−500、CR−ED、CRS−75、太陽化学(株)のサンソフトNo.818DG、818SK、818R等が適宜使用できる。
また、本発明のシーディング剤中のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、0.2〜10質量%が好ましく、0.3〜7質量%がより好ましく、0.3〜5質量%が最も好ましい。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が上記の範囲にあると、シーディング剤の添加が少量でも、チョコレート生地がプロパーテンパーなものになる。
本発明のシーディング剤にレシチンとポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含む場合、該レシチンと該ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの質量比は、1:1〜3:1であることが好ましく、1.5:1〜2.5:1あることがより好ましく、1.8:1〜2.2:1あることが最も好ましい。質量比が上記の範囲にあると、シーディング剤の添加が少量でも、チョコレート生地がプロパーテンパーなものになる。
また、前記レシチンと前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの質量比が上記の範囲であるとき、シーディング剤中の該レシチンと該ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの合計の含有量は、0.5〜7質量%が好ましく、0.7〜6質量%がより好ましく、1〜5質量%が最も好ましい。
[その他の原料]
本発明のシーディング剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、油脂、糖類、蛋白類等を含有することができる。
[本発明のシーディング剤の製造方法]
本発明のシーディング剤は、StOStの安定型結晶を含むため、StOStを含有する油脂のStOStを安定型に結晶化した後、レシチン及び/またはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、必要に応じて他の原料を混合して製造するか、又は、StOStを含有する油脂と、レシチン及び/またはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、必要に応じて他の原料を混合した後、StOStを安定型に結晶化して製造することで得られる。
例えば、StOStを含有する油脂と、レシチン及び/またはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、必要に応じて他の原料を混合し、加熱して油脂結晶が融解した融液状態から、通常マーガリン・ショートニング等の可塑性油脂を製造する際に使用されるオンレーター、ボーテーター、コンビネーター等の急冷混捏装置を用いて、好ましくは5〜25℃、より好ましくは10〜20℃に冷却結晶化し、可塑性状態もしくはペースト状態とした後、好ましくは30.5〜38℃、より好ましくは31〜36℃で12〜24時間調温することにより、StOStの安定型結晶を含むシーディング剤を製造できる。
[本発明のチョコレート生地の製造方法]
本発明は、また、上記本発明のシーディング剤を使用するチョコレート生地の製造方法を提供する。すなわち、融液状態にあるチョコレート生地に、本発明のシーディング剤を添加する工程(シーディング工程)を含む、シーディング済み融液状チョコレート生地の製造方法を提供する。
本発明におけるチョコレート生地とは、チョコレートの原材料の粉砕やコンチングを経て得られた液状のチョコレートであって、冷却固化されて最終的に固形のチョコレートとなる前段階の液状のチョコレートを指す。本発明における融液状態にあるチョコレート生地とは、チョコレート生地中の油脂が融解されたチョコレート生地を指す。チョコレート生地が融液状態であるかどうかは、該チョコレート生地を冷却固化した後の、チョコレート生地の型抜けを確認することで判断できる。冷却固化されたチョコレート生地が成形型から型抜けしない場合(具体的には、成形型からのチョコレート生地の離型率が70%未満である場合)、チョコレート生地が融液状態であると判断する。なお、本発明における「チョコレート生地中の油脂」とは、ココアバター等の油脂単体のみならず、カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等のチョコレート生地の原料中に含まれる油脂も全て合計したものである。例えば、一般的に、カカオマスの油脂(ココアバター)含量は55質量%であり、ココアパウダーの油脂(ココアバター)含量は11質量%であり、全脂粉乳の油脂(乳脂)含量は25質量%であるから、チョコレート生地中の油脂は、各原料のチョコレート生地中の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせたものを合計した値となる。
本発明におけるチョコレート生地は、チョコレート生地に含まれる油脂中においてStOStを20〜70質量%含むことが好ましく、20〜60質量%含むことがより好ましく、25〜50質量%含むことが最も好ましい。チョコレート生地中のStOSt含量が上記範囲にあると、本発明のシーディング剤を高温域(32〜40℃)で使用する場合に、シーディング効果が得られ易く、得られるチョコレートの口どけ及びブルーム耐性が良好となる。
本発明のシーディング剤を添加する工程におけるチョコレート生地の生地温度は32〜40℃である。この生地温度は、シーディング法における通常の生地温度(約30℃)より高い。チョコレート生地の生地温度を32〜40℃に保持することにより、チョコレート生地の粘度の増加を抑制でき、かつ、シーディング剤に含まれるStOStの安定型結晶がチョコレート生地中に均一に分散され易くなり、安定したシーディング効果が得られうる。添加工程におけるチョコレート生地の生地温度は33〜39℃であることが好ましく、34〜39℃であることがより好ましく、34〜37℃であることがさらに好ましい。
また、本発明のシーディング剤の添加後のチョコレート生地を32〜40℃に保持する時間は、5分間以上であり、5〜30分間あることが好ましく、5〜15分間であることがより好ましい。保持する時間が上記の範囲内にあると、シーディング剤の添加後の生地粘度の上昇が抑えられるので、チョコレート生地の取り扱いが容易となる。
上記本発明のシーディング剤を添加する工程における、融液状態にあるチョコレート生地に添加する本発明のシーディング剤の添加量は、チョコレート生地中の油脂に対して、該シーディング剤が0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜4.5質量%であることがより好ましく、0.4〜4質量%あることがさらに好ましい。シーディング剤の添加量が上記範囲であると、チョコレート生地の生地温度が高温(例えば、32〜40℃)であっても、また、このような高温下でチョコレート生地を保持しても、安定したシーディング効果を期待できる。シーディング剤をチョコレート生地に添加した後は、攪拌等によりシーディング剤をチョコレート生地中に均一に分散させてもよい。そして、シーディング済みのチョコレート生地を冷却固化することにより、チョコレートが得られる。
本発明におけるチョコレート生地は、油脂のほかに、通常チョコレートに使用されるカカオマス、ココアパウダー、糖類、乳製品(乳固形類等)、乳化剤、香料、色素等のほか、澱粉類、ガム類、熱凝固性蛋白、各種粉末類等の食品改質材等が含まれていてもよい。チョコレート生地は、常法に従い、原材料の混合、ロールリファイニング等による微粒化、必要に応じてコンチング処理等を行い製造することができる。コンチング処理等において、加熱により油脂結晶が完全に融解した状態のチョコレート生地を本発明におけるチョコレート生地として使用できる。チョコレートの風味を損なわないように、コンチング処理における加熱は、40〜60℃で行うことが好ましい。なお、本発明におけるチョコレート生地は、水、果汁、各種洋酒、牛乳、濃縮乳、生クリーム等を含有した含水物であってもよく、O/W乳化型、W/O乳化型のいずれであってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、StOSt含量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)及び銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)により測定し、StOSt結晶のX線回折は、X線回折装置UltimaIV(株式会社リガク社製)を用いて、CuKα(λ=1.542Å)を線源とし、Cu用フィルタ使用、出力1.6kW、操作角0.96〜30.0°、測定速度2°/分の条件で測定した。
[StOSt含有油脂の調製]
既知の方法に従って、ハイオレイックヒマワリ油40質量部に、ステアリン酸エチルエステル60質量部を混合し、1,3位選択性リパーゼ製剤を添加してエステル交換反応を行った。ろ過処理によりリパーゼ製剤を除去し、得られた反応物を薄膜蒸留にかけ、反応物から脂肪酸エチルを除去して蒸留残渣を得た。得られた蒸留残渣を乾式分別により高融点部を除去し、得られた低融点部からアセトン分別により2段目の低融点部を除去して中融点部を得た。得られた中融点部を常法によりアセトン除去及び脱色、脱臭処理して、StOSt含量が74.8質量%であるStOSt含有油脂を得た。
[シーディング剤の調製]
表1及び2の配合に基づき、StOSt含有油脂、ハイオレイックヒマワリ油、パームオレイン、レシチン、及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを混合し、60℃で完全に油脂結晶を融解させた後、オンレーターにて窒素ガスを吹き込みながら急冷結晶化(最終冷却温度25℃)を行い、34℃で24時間調温して、窒素吹き込み量35体積%の可塑性状のシーディング剤(実施例1〜8及び比較例1)を得た。調製したシーディング剤は、3鎖長β型のStOSt安定型結晶を含むものであった。
なお、表1中の各原料の詳細は下記のとおりである。
StOSt含有油脂:上記で製造した油脂
ハイオレイックヒマワリ油:日清オイリオグループ(株)製、商品名「日清ひまわり油(S)」
パームスーパーオレイン:日清オイリオグループ(株)製造品、ヨウ素価65
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル:太陽化学(株)製、商品名「サンソフトNo.818SK」
レシチン:辻製油(株)製、商品名「SLP−ペーストNG」
Figure 2016149971
Figure 2016149971
[チョコレートのテンパリング評価]
表3の配合に従って、常法により、50℃で原材料を融解混合した後、ロールリファイニング、コンチングを行い、34℃の調温水を循環させた万能攪拌機の容器に400g充填し、撹拌しながら品温が34℃である融液状チョコレート生地(油分(油脂含量):35%、油脂中のStOSt含有量:26.2質量%)を調製した。
次に、該融液状チョコレート生地に、上記で製造したシーディング剤を、該融液状チョコレート生地中の油分に対し、1.0質量%となるように添加し、攪拌しながら引き続き34℃にて5分間保持した。
Figure 2016149971
上記で調製した、各融液状チョコレート生地について、テンパーメーター(TENPERMETER E5、Sollich GmbH&Co.製)を用いて、テンパーインデックス値を求め、下記の基準によりチョコレートのテンパリング評価を行った。評価結果を表4に示す。
最も良好:テンパーインデックス値が、4.6〜5.4
良好:テンパーインデックス値が、4.0〜4.5または5.5〜6.0
不良:テンパーインデックス値が、3.9以下又は6.1以上
Figure 2016149971
表4の結果より、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとレシチンを含有しないシーディング剤(比較例1)を使用したチョコレート生地は、アンダーテンパー(不良)であった。よって、比較例1のシーディング剤で適切なテンパリングを行うためには、シーディング剤の添加量を増やす必要があり、そうすると、コストの増加や、得られるチョコレートのブルーム耐性や口どけが悪くなると考えられる。
他方、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルまたはレシチンを含有するシーディング剤(実施例1,3,4,6〜8)を使用したチョコレート生地は、プロパーテンパーであった。また、含有するレシチンとポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの質量比が約2:1であるシーディング剤(実施例2及び5)を使用したチョコレート生地も、プロパーテンパーであった。

Claims (5)

  1. StOStの安定型結晶と、レシチン及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種以上とを含有することを特徴とするシーディング剤。
    (ただし、StOStは1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロールを表す)
  2. 前記レシチンを0.5〜10質量%及び/または前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.2〜10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のシーディング剤。
  3. 前記レシチン及び前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有し、該レシチンと該ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの質量比が1:1〜3:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシーディング剤。
  4. StOStの安定型結晶を30〜80質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシーディング剤。
  5. 32〜40℃の融液状チョコレート生地に、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシーディング剤を添加し、32〜40℃の温度で5分間以上保持することを特徴とするチョコレート生地の製造方法。
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