しかしながら上記従来の技術では、着座部材にワークが傾いて固定されるのを防ぐため、着座部材にワークを載置する前に作業者が行う付帯作業(着座部材やワークを拭ったり着座部材やワークに圧縮空気を吹き付けたりして、着座部材とワークとの間に挟み込まれるおそれのある切り屑(切り粉)等の異物を除去する作業)が煩雑である。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、着座部材にワークを載置する前に作業者が行う付帯作業を軽減できるワーク固定装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
この目的を達成するために請求項1記載のワーク固定装置によれば、着座部材に載置されたワークの保持および保持の解除が保持装置により行われる。着座部材は、ワークが着座する着座面に第1噴出口が開口する。保持装置によりワークの保持が解除されるときは、第1噴出口は、第1気体供給源が供給する気体を噴出して着座面とワークとの間にある異物を吹き飛ばす。そのため、着座部材にワークを載置するために着座部材の着座面にワークを近づけると、第1噴出口が噴出する気体がワークの表面にぶつかり、その気体が着座部材の着座面へ向かって反射する。着座部材にワークを載置する作業を行うときに、着座面にワークを近づけると、着座部材の着座面やワークの表面(着座面が当たる部分)に付着した切り屑(切り粉)等の異物を吹き飛ばすことができるので、着座部材にワークを載置する前に作業者が行う付帯作業(着座部材やワークを拭ったり着座部材やワークに圧縮空気を吹き付けたりする作業)を軽減できる効果がある。
請求項2記載のワーク固定装置によれば、第1噴出口は、着座面の予め定められた位置にワークが着座するとワークに覆われる位置に設けられている。そのため、着座部材にワークを載置するために着座部材の着座面にワークを近づけたときに、第1噴出口から噴出する気体を漏れなくワークの表面にぶつけることができる。第1噴出口から噴出する気体をワークの表面(着座面が当たる部分)に集中できるので、請求項1の効果に加え、異物を吹き飛ばすために第1噴出口から噴出する気体を無駄なく使える効果がある。
請求項3記載のワーク固定装置によれば、保持装置は、第1気体供給源から気体が供給されることでワークの保持の解除を行うクランプ装置である。第1噴出口は、クランプ装置がワークの保持を解除するときの第1気体供給源から供給された気体を噴出する。第1気体供給源から供給された気体を利用することにより、第1噴出口から噴出する気体の供給源を別途設けることを不要にできるので、請求項1又は2の効果に加え、装置を簡素化できる効果がある。
請求項4記載のワーク固定装置によれば、着座部材は着座面に開口し第2気体供給源が供給する気体を噴出する第2噴出口を備えている。第2噴出口と第2気体供給源とを連通する配管に配設される圧力スイッチは設定された圧力で作動するので、着座面にワークが正常に着座してワークで第2噴出口が塞がれると、配管の圧力が上昇して圧力スイッチが作動する。一方、ワークの着座が不完全であると、第2噴出口から気体が漏れて圧力スイッチが作動しない。即ち、圧力スイッチの作動状態によってワークの着座の状態が正常であるか否かを判定できる。第2噴出口は、第1噴出口よりも着座面の中心寄りに設けられているので、第2噴出口よりも着座面の中心寄りに第1噴出口が設けられる場合と比較して、着座面に着座したワークが第2噴出口を塞ぐときは、着座面の内の広範囲の部分にワークを安定して着座させることができる。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、着座部材に載置されるワークの安定性を確保できる効果がある。
請求項5記載のワーク固定装置によれば、第2気体供給源は、配管に供給する気体の圧力が、第1気体供給源が供給する気体の圧力と比較して小さい。そのため、第2噴出口が塞がれた場合の圧力の変化を圧力スイッチが検出できる程度の出力をもつ第2気体供給源を採用することで、請求項4の効果に加え、圧力スイッチの検出感度を確保しつつ装置を簡素化できる効果がある。また、第2気体供給源より第1気体供給源が供給する気体の圧力を大きくすることで、着座部材の着座面やワークの表面に付着した異物を吹き飛ばす作用を向上できる効果がある。
請求項6記載のワーク固定装置によれば、第1噴出口は、第2噴出口の周りの複数箇所に設けられているので、第1噴出口が1箇所に設けられる場合と比較して、第1噴出口が噴出する気体がワークの表面にあたる面積と、反射した気体が着座部材にあたる面積とを広くできる。よって、請求項4又は5の効果に加え、着座部材の着座面やワークの表面に付着した異物を吹き飛ばすことができる範囲を拡大できる効果がある。
請求項7記載のワーク固定装置によれば、着座部材は、着座面の反対側の面に形成される環状の溝部が第1噴出口に連通する。溝部に収装される環状のシール部材と溝部の内側または外側の壁部との間に、周方向に連続すると共に第1噴出口に連通する流路が形成されるので、複数の第1噴出口の内の1つに気体を供給すると、第1噴出口に連通する流路により他の第1噴出口からも気体を噴出させることができる。よって、請求項6の効果に加え、第2噴出口の周りの複数の第1噴出口から気体を噴出する着座部材を簡易に作成できる効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるワーク固定装置10(ワークWの固定を解除する状態)の断面図であり、図2はワーク固定装置10(ワークWを固定する状態)の断面図である。図1及び図2では基盤11及びワークWの一部の図示が省略されている。また、ワークWが載置される着座部材40は基盤11に複数個が配置されるが、図1及び図2では基盤11の図示の一部が省略されていることに伴い、着座部材40は1個が図示される。
図1及び図2に示すようにワーク固定装置10は、ワークWの第1面W1を研削する工作機械の一部であり、第1面W1の反対側の第2面W2が着座部材40に当接するワークWの固定および固定の解除を行う装置である。ワーク固定装置10は、鉛直方向(図1上下方向)に延びる基盤11に配置されたクランプ装置20及び着座部材40を備えている。基盤11は、着座部材40(後述する第2噴出口50)に接続される連通路12が形成されている。クランプ装置20は、着座部材40に載置されたワークWを、クランプ片26によって着座部材40との間で締め付けてワークWを固定する装置である。本実施の形態ではクランプ装置20は複動式のエアシリンダであり、シリンダ21を第1室23と第2室24とに区画するピストン22に、クランプ片26が取り付けられたロッド25が固定されている。
切換弁30は、第1気体供給源31から供給される気体(本実施の形態では圧縮空気)の流れ方向を切り換えて第1室23又は第2室24に供給するための装置であり、第1配管32が第1室23に接続され、第2配管33が第2室24に接続される。第3配管34は、第1配管32及び着座部材40(後述する第1噴出口49)に接続される配管であり、逆止弁35が配設されている。逆止弁35は、第1配管32から着座部材40への気体の流通を許容する一方、着座部材40から第1配管32への気体の流通を阻止する弁である。
基盤11に形成された連通路12に配管36が接続されている。配管36は、第2気体供給源37から供給される気体(本実施の形態では圧縮空気)を連通路12及び着座部材40(後述する第2噴出口50)へ導くものである。第2気体供給源37は、配管36に供給する気体の圧力が、第1気体供給源31が供給する気体の圧力と比較して小さく設定されている。配管36は、配管36の圧力を検出して予め設定された圧力で作動する圧力スイッチ38が配設されている。なお、第1気体供給源31や第2気体供給源37は、工場内に敷設されたエア(圧縮空気)配管、高圧空気容器(空気ボンベ)、コンプレッサ等が用いられる。
図3を参照して着座部材40について説明する。図3(a)は着座部材40の側面図であり、図3(b)は着座部材40の正面図であり、図3(c)は図3(b)のIIIc−IIIc線における着座部材40の断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように着座部材40は、直方体状に形成された基部41と、基部41の長手方向の中央に突設された円盤状の着座部42とを備え、金属または硬質の合成樹脂により一体に成形されている。着座部材40は、着座部42に着座面43が形成され、着座面43の反対側に位置する基部41の底面44が平面状に形成されている。着座面43はワークWが着座する面であり、相手面(ワークW)の形状に応じて曲面または平面(本実施の形態では平面)に形成される。着座部42は、基部41の第1側面45に縁部が接し、第1側面45の反対側の第2側面46と縁部が離間するので、基部41の第2側面46側と着座部42との間に段差47が設定される。段差47によって着座部材40の方向の判別ができるので、着座部材40の基盤11への取付間違いを防止できる。
着座部材40は、着座部42の両側の基部41をそれぞれ貫通するボルト挿通孔48が形成されている。ボルト挿通孔48は、基盤11に形成されためねじ(図示せず)に螺合するボルト(図示せず)が挿通される部位であり、基盤11へのボルトの螺着によって着座部材40が基盤11に取り付けられる。着座部42は、着座面43に開口する第1噴出口49(第1ノズル)が、周方向に等間隔に複数(本実施の形態では5個)設けられており、着座面43に開口する第2噴出口50(第2ノズル)が、第1噴出口49よりも着座面43の中心寄りの1カ所(本実施の形態では着座面43の中心)に設けられている。第1噴出口49の内径は、第2噴出口50の内径よりも小さい値に設定されている。全ての第1噴出口49は、着座面43の予め定められた位置にワークWが載置されると、ワークWに覆われる位置に設けられている。
図3(c)に示すように着座部材40は、第1噴出口49に連通する第1通路51が基部41に形成されている。第1通路51は、第1噴出口49と同軸の円筒状に形成されており、内径が、第1噴出口49の内径より大きく設定されている。着座部材40の5カ所に形成された第1噴出口49及び第1通路51は、それらをそれぞれ通る5本の軸線が互いに平行で、且つ、着座面43に対して直交するように配置されている。
着座部材40は、第2噴出口50に連通する第2通路52が基部41に形成されている。第2通路52は、第2噴出口50と同軸の円筒状に形成されており、内径が、第2噴出口50の内径より大きく設定されている。第2噴出口50及び第2通路52は、それらを通る軸線が着座面43に対して直交するように配置されている。着座部材40は、第2側面46に開口する第3通路53が基部41に形成されている。第3通路53は、第3配管34(図1参照)が接続される部位であり、基部41に形成された5本の第1通路51の内の1本の第1通路51に連通する。
着座部材40は、底面44に開口すると共に全ての第1通路51に連通する溝部54が形成されている。溝部54は、底面44視における形状が円環状に形成されており、第1噴出口49の軸線を含む断面の形状が矩形状に形成されている。溝部54の内側(内周側)の壁部55(円筒の側面)と外側(外周側)の壁部56(円筒の側面)との径方向の距離(溝部54の幅)は、第1通路51の内径より大きく設定されている。溝部54は、シール部材60及びリング部材62が収装されている。
シール部材60は、第3通路53から第1噴出口49へ導入された気体の溝部54からの漏れを防ぐための円環状の部材(ガスケット)であり、軸方向(図3(c)上下方向)の厚さが、溝部54の深さより小さく設定されている。シール部材60は、溝部54の底部57に端面が密接し、内周面および外周面が壁部55,56にそれぞれ密接する。シール部材60は、端面と内周面とを連絡する傾斜面61が形成されている。シール部材60は、傾斜面61において外周面側から内周面側へ向かうにつれて、軸方向(図3(c)上下方向)の厚さが次第に小さくなる。その結果、溝部54の壁部55及び底部57とシール部材60の傾斜面61との間に、溝部54の周方向に連続する流路58が形成される。
シール部材60の端面における傾斜面61の開始点(径方向の位置)は第1通路51内に位置するので、傾斜面61によって形成される流路58は、全ての第1通路51に連通する。その結果、第3通路53から第1通路51へ供給された気体を、流路58を使って全ての第1噴出口49から噴出させることができる。よって、第2噴出口50の周りに形成された複数の第1噴出口49から気体を噴出する着座部材40を簡易に作成できる。
リング部材62は、溝部54に収装される円環状の金属製または硬質の合成樹脂製の部材である。リング部材62は、シール部材60の軸方向に重ねて溝部54に収装されることで、基部41の底面44と端面が同一面上に配置される。基盤11に底面44及びリング部材62が接するように着座部材40を基盤11の上に置き、ボルト挿通孔48に挿通したボルト(図示せず)で着座部材40を基盤11に取り付けると、リング部材62が、第1噴出口49からの気体の噴出に伴うシール部材60の移動や変形を防ぎ、シール部材60の気密性を確保する。
図1及び図2に戻ってワーク固定装置10の使用方法について説明する。図1に示すように、クランプ装置20がワークWの保持を解除する場合には、第1気体供給源31から供給される気体が切換弁30により第1配管32へ流れ、第1室23に気体が供給される。これにより、ロッド25が伸長してクランプ片26によるワークWの保持が解除される。同時に、第1配管32に接続される第3配管34に気体が流れ、第3通路53(図3(c)参照)から着座部材40に気体が供給される。第3通路53に供給された気体は、流路58を通って全ての第1噴出口49から噴出する。また、着座部材40は、第2気体供給源37から配管36及び連通路12を通って供給される気体を第2噴出口50から噴出する。第1噴出口49及び第2噴出口50は着座面43と軸線が直交しているので、第1噴出口49及び第2噴出口50から噴出する気体(噴流)の軸は、いずれも着座面43と直交する。
作業者は、着座部材40にワークWを載置してクランプ装置20にワークWを保持させるため、第1噴出口49及び第2噴出口50から気体を噴出させた状態で、ワークWを持って着座部材40へ近づける。第1噴出口49が噴出する気体(噴流)がワークWの第2面W2に衝突するので、ワークWの第2面W2(着座面43が当たる部分)に付着した切り屑(切り粉)等の異物を吹き飛ばすことができる。
気体(噴流)が第2面W2に衝突する勢いはワークWが着座面43へ近づくにつれて強くなるので、ワークWに衝突して着座面43へ向かって反射する噴流によって、ワークWが着座面43へ接触する手前で、着座面43に付着した異物も吹き飛ばすことができる。その結果、着座部材40にワークWを載置する前に作業者が行う付帯作業(着座部材40やワークW(第2面W2)を拭ったり着座部材40やワークWに圧縮空気を吹き付けたりして異物を除去する作業)を軽減できる。よって、ワークWを着座部材40に載置する作業において、これまで要していた付帯作業の分だけ作業時間を短縮できる。
なお、第1噴出口49は、着座面43の予め定められた位置にワークWが着座するとワークWに覆われる位置に設けられている。ワークWを着座面43へ近づけたときに、第1噴出口49から噴出する気体を漏れなくワークWの第2面W2にぶつけることができるので、異物を吹き飛ばすために、第1噴出口49から噴出する気体を無駄なく使うことができる。
第1噴出口49は着座面43と軸線が直交しているので、第1噴出口49から噴出する気体(噴流)の軸は着座面43と直交する。噴流の軸が着座面43と斜交する場合と比較して、ワークWの第2面W2に衝突して反射する噴流を着座面43に向かわせ易くできる。よって、着座面43に付着した異物を吹き飛ばし易くできる。
第1噴出口49は、クランプ装置20がワークWの保持を解除するときに、第1気体供給源31から第3配管34を通って供給された気体を噴出する。第1気体供給源31から供給された気体を利用してワークW等に付着した異物を吹き飛ばすので、第1噴出口49から噴出する気体の供給源を別途設けることを不要にできる。よって、ワーク固定装置10を簡素化できる。
ワーク固定装置10は、クランプ装置20がワークWの保持を解除するための第1配管32に第3配管34(外部配管)を接続し、第3配管34を着座部材40の第3通路53(図3(c)参照)に接続することで、第1気体供給源31から供給された気体を利用できる。従って、気体を使ってワークWの保持の解除を行うクランプ装置20に第3配管34を追加し着座部材40を交換するだけで、大規模な改造を行うことなく、既存のワーク固定装置を、作業者の付帯作業を軽減できる装置に改良できる。
図2に示すように、着座部材40の着座面43にワークWが正常に着座すると、ワークW(第2面W2)で第1噴出口49及び第2噴出口50が塞がれる。第2噴出口50が塞がれると、配管36の圧力が上昇して圧力スイッチ38が作動する。一方、ワークWの着座が不完全であると、第2噴出口50から気体が漏れて圧力スイッチ38が作動しない。ワーク固定装置10は、圧力スイッチ38の作動状態によってワークWの着座の状態が正常であると判定される場合に、第1気体供給源31からの気体の流れ方向を切換弁30により第2配管33へ切り換える。クランプ装置20の第2室24に気体が供給されると、ロッド25が収縮してクランプ片26によりワークWが基盤11側へ押し付けられ、クランプ片26と着座部材40との間でワークWが保持される。
切換弁30により第1気体供給源31からの気体の流れ方向が第2配管33へ切り換えられると、第3配管34へ気体が導入されなくなるので、第1噴出口49からの気体の噴出も停止する。第3配管34は、逆止弁35が、第1配管32から着座部材40への気体の流通を許容する一方、着座部材40から第1配管32への気体の流通を阻止するので、仮に第1配管32に負圧が生じても、第1噴出口49から第3配管34を通って第1配管32へ気体が流入することを防止できる。よって、クランプ装置20の動作の安定性を確保できる。
ワークWの着座の正否を判断するための気体を噴出する第2噴出口50は、第1噴出口49よりも着座面43の中心寄りに設けられる。そのため、第2噴出口50よりも着座面43の中心寄りに第1噴出口49が設けられる場合と比較して、着座面43に着座したワークWが第2噴出口50を塞ぐときは、着座面43の広範囲の部分にワークWを着座させることができる。よって、着座部材40に載置されるワークWの安定性を確保できる。
第2噴出口50に気体を供給する第2気体供給源37は、配管36に供給する気体の圧力が、第1気体供給源31が供給する気体の圧力と比較して小さい。そのため、第2噴出口50が塞がれた場合の圧力の変化を圧力スイッチ38が検出できる程度の出力をもつ第2気体供給源37を採用することで、圧力スイッチ38の検出感度を確保しつつ装置を簡素化できる。また、第2気体供給源37より第1気体供給源31が供給する気体の圧力を大きくすることで、着座面43やワークWの第2面W2に付着した異物を吹き飛ばす作用を向上できる。
なお、第1噴出口49の内径は、第2噴出口50の内径よりも小さい値に設定されているので、流量が同一の場合に、第2噴出口50から噴出する気体の圧力と比較して、第1噴出口49から噴出する気体の圧力を大きくできる。第1噴出口49から噴出する気体の流速を、第2噴出口50から噴出する気体の流速より大きくできるので、着座面43やワークWの第2面W2に付着した異物を吹き飛ばす作用を向上できる。
また、第1噴出口49は、第2噴出口50の周りの複数箇所に設けられているので、第1噴出口49が1箇所に設けられる場合と比較して、第1噴出口49が噴出する気体がワークWの第2面W2にあたる面積と、反射した気体が着座部材40にあたる面積とを広くできる。よって、着座面43やワークWの第2面W2に付着した異物を吹き飛ばすことができる範囲を拡大できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。着座部材40の形状や大きさは当然のことながら適宜設定できる。
上記実施の形態では、ワーク固定装置10が、ワークWを研削する工作機械の一部である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本実施の形態で説明した各構成を他のワーク固定装置に適用することは当然可能である。他のワーク固定装置としては、例えば、ワークWを固定してワークWの切断、穿孔、研磨を行う他の工作機械のワーク固定装置、ワークWを固定してワークWの検査を行う検査装置のワーク固定装置が挙げられる。
上記実施の形態では、クランプ片26の締付力によってワークWを固定するクランプ装置20(保持装置)を備えるワーク固定装置10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の保持装置を採用することは当然可能である。他の保持装置としては、例えば、磁石による吸引力によってワークWを固定する保持装置が挙げられる。
上記実施の形態では、第1噴出口49は、第1噴出口49の軸線と直交する断面形状が円形の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1噴出口49の形状を、例えば、長穴状(スリット状)、周方向に連続する環状等に設定することは当然可能である。
上記実施の形態では、第1噴出口49や第2噴出口50から空気(圧縮空気)を噴出させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、窒素等の他の気体を用いることは当然可能である。
上記実施の形態では、複動式のシリンダ21をもつクランプ装置20について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。気体を使ってワークWの保持を解除する機構を備えていれば、単動式のシリンダをもつクランプ装置を用いることは当然可能である。単動式のシリンダの場合、スプリングにより締付力を発生する。
上記実施の形態では、空気圧により締付力を直接発生するクランプ装置20について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、空気圧により油圧を発生させ、設定圧に達すると油圧力を保持するクランプ装置を用いることは当然可能である。
上記実施の形態では、ワークWの保持を解除する間は第1噴出口49から気体が噴出する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ワークWが近づいたことを非接触で検出する近接センサを基盤11に取り付けると共に、電磁弁を第3配管34に設けることができる。これにより、ワークWの保持が解除されており、且つ、ワークWが近づいたときに、電磁弁を開弁して第1噴出口49から気体が噴出するように設定できる。
上記実施の形態では、設定された圧力で作動する圧力スイッチ38を配管36に配設する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、圧力を検出する圧力センサを配管36に配設し、この圧力センサが検出する圧力が設定値に達したか否かを判断する制御装置を別に設けることは当然可能である。この場合は、圧力センサ及び制御装置が圧力スイッチを構成する。
上記実施の形態では、第3配管34に逆止弁35が配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第3配管34の逆止弁35を省略することは当然可能である。
上記実施の形態では、着座部材40の底面44に環状の溝部54を形成し、溝部54に収装されたシール部材60によって溝部54を塞ぎ、内側の壁部55、底部57及び傾斜面61に囲まれた領域で周方向に連続する流路58を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。傾斜面61の傾斜する向きを変えて、外側の壁部56、底部57及び傾斜面61に囲まれた領域で周方向に連続する流路58を形成することは当然可能である。
上記実施の形態では、溝部54に収装されたシール部材60によって溝部54を塞ぎ、傾斜面61によって周方向に連続する流路58を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。溝部54に収装されるシール部材60に代えて、底面44に密接して溝部54を塞ぐ板状のガスケットを配置したり、第2通路52と溝部54との間および溝部54の周囲にそれぞれOリングを配置したりして、それらを着座部材40の底面44と基盤11とにより挟み込んで気密を確保し流路を形成することは当然可能である。
上記実施の形態では、シール部材60及びリング部材62を溝部54に収装する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、シール部材60の軸方向の厚さを溝部54の深さと略同一に設定すれば、リング部材62を省略しても、基盤11によってシール部材60の移動や変形を規制できる。