JP4791392B2 - 加工治具 - Google Patents
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Description
また、従来のポジション装置は、加工品のクランプ状態を検出する第1の空気圧センサと、加工品がポジション装置に搬入された状態で加工品の有無を検出する第2の空気圧センサを設け、圧縮空気の吹き出し口は加工品を載置するポジション装置の載置面に開口している(例えば、特許文献2)。
図1はこの発明の実施の形態1による加工治具の平面図と、この加工治具に備えられた隙間測定系の模式図を示す。また、図2はこの加工治具に被加工物体であるワークを載置した場合の加工治具の短辺方向の断面を示す模式図、図3はこの加工治具に被加工物体であるワークを載置した場合の加工治具の長辺方向の断面を示す模式図である。
本実施の形態1では、ワークの周辺部をクランプにより押さえて、ワークの内側をくりぬく、いわゆるポケット加工を実施するための加工治具を例として採用している。
また、本実施の形態1では説明がし易いようにワークの寸法形状や加工方法を具体的に示しているが、もちろん、本実施の形態1のような寸法形状のワークの加工に限られるものではなく、また加工方法もポケット加工に限られるものではない。
本実施の形態1で加工されるワーク2の寸法は、例えば長さ100mm、幅50mm、厚み8mmの直方体としている。加工治具1もこのような寸法のワーク2に対応するように作製されている。また、ポケット加工後、すなわちワーク2の内側をくり抜かれた後の底面の板厚は1mm程度とし、非常に薄く変形しやすいため高い加工精度が必要である。
エアーノズル6とエアー排出孔7の配置はワーク2を押さえるワーク押さえクランプ5の間隔を考慮し、最も効率よく隙間が検出できる箇所に設定することが望ましい。本実施の形態1では、ワーク押さえクランプ5が設置された4箇所の内側のエリア(図1中一点鎖線で示す)の中心となる位置にエアーノズル6を配置し、エアーノズル6を中心として加工治具面3の長手方向及び短手方向に各2箇所ずつ、計4箇所エアー排出孔7を配置した。その配置の間隔は、長手方向側については、エアー排出孔7とエアーノズル6との距離が、上記ワーク押さえクランプ5の内側エリアにおける長手方向の幅の約1/3となるように設定している。また、短手方向についても、エアー排出孔7とエアーノズル6との距離が、上記ワーク押さえクランプ5の内側エリアにおける短手方向の幅の約1/3となるように設定している。
エアー排出孔7につながるエアー排出配管12はエアー排出孔7から入り込む異物等に対して大きな配管径とすることで、異物による圧損の影響を軽減する。従って、本実施の形態1では予想される異物等の大きさ(エアー排出孔7の直径が2mmであるため異物は2mm以下)に対して直径8mmのエアー排出配管12を使用している。また、エアー排出配管12に、入り込んだ切削液などを取り出すための水抜き穴(図示せず)などを設置すればメンテナンス性を向上させることができる。
図4に示すように、隙間が大きい場合には、エアーノズル6から吹き出されたエアーは、主に変形したワーク2と加工治具面3との隙間から外部へ排出される(図中の矢印はエアーの流出経路の一例を示す)。該隙間は十分大きくエアーが通る際に抵抗がほとんど生じないため、第二の圧力計9bの圧力値は上がらず、ゼロに近い値を示す。すなわち、第一の圧力計9aと第二の圧力計9bを比較するとその差圧は第一の圧力計9aの元圧の値とほぼ同値となる。
このように、第一の圧力計9aと第二の圧力計9bとの差圧が、第一の圧力計9aの圧力値とほぼ同値となった場合は、ワーク2と加工治具面3との隙間が大きく、異物14のかき込みや、ワーク2が傾いて取り付けられたなどが原因による異常状態と判断する。この場合、ワーク2を取り除き、加工治具面3およびワーク2の清掃を行ってから、再度ワーク2を設置する。
図5に示すように、ワーク押さえクランプ5に押さえられることによりワーク2が変形する場合、ワーク押さえクランプ5に押さえられた部分は加工治具面3に密着し、ワーク押さえクランプ5の内側のエリアに小さい隙間が生じることが多い。このような状態では、ワーク2周辺部が加工治具面3に密着しているため、エアーノズル6から吹き出されるエアーをワーク2の周辺から外部に排出することが困難になる。エアーノズル6から吹き出されたエアーが変形したワーク2と加工治具面3との隙間を通る際には、隙間が小さいことにより抵抗が生じるため第二の圧力計9bの値が上昇する。そして、隙間に拡がったエアーは、図5中の矢印に示すように主にエアー排出孔7から排出される。ここで、図5では分かり易いように隙間を誇張して表現しているが、実際には隙間はエアー排出孔7に比べて十分小さいため、エアー排出孔7を通過するエアーにかかる抵抗は隙間を通る際の抵抗に比して十分小さいものである。
エアーノズル6から吹き出されるエアーが隙間を通り拡がる際に、隙間が小さいほど抵抗が大きいためエアーは流れにくく大きな圧力が必要となる。従って第二の圧力計9bの値は隙間が小さくなるほど高くなる。すなわち第一の圧力計9aと第二の圧力計9bの差圧は隙間が小さくなるほどゼロに近づく。この差圧が設定した規定値以下になれば、ワーク2と加工治具面3との隙間が十分小さくなったと判断し加工が開始される。差圧による隙間の有無の判断は作業者が行っても良いし、装置により自動的に判定しても良い。
差圧が規定値以上である場合は、ワーク2を取り除き、加工治具面3およびワーク2の清掃やワーク2の変形を確認し、再度ワーク2の設置をする。差圧が規定値以下になるまで上記手順を繰り返すことにより、ワーク2の設置が確実に行えた時のみ加工が開始される。
例えば、長手方向に設けられたエアー排出孔7側の開閉弁13aを開にし、短手方向側の開閉弁13bを閉にした状態では、長手方向に隙間が生じていると差圧がある程度生じるが、短手方向にのみ隙間が生じている場合にはエアーが排出されないため差圧はゼロに近い値になる。また逆に、短手方向側の開閉弁13bを開にし長手方向側の開閉弁13aを閉にした状態では、短手方向に隙間が生じていると差圧がある程度生じるが、長手方向にのみ隙間が生じている場合には差圧はゼロに近い値になる。いずれの方向にも隙間が生じている場合には、開閉弁13a、13bの開閉が上記のいずれの状態でも差圧が生じる。
基準値の設定には、所定の厚みの測定隙間15aを形成した隙間マスターゲージ15を、ワーク2の代わりに加工治具1に固定することにより行う。図6は隙間マスターゲージ15の構造を示す平面図および断面図である。
図6に示すように隙間マスターゲージ15はその中央部、すなわち加工治具面2に固定された際にクランプ3の内側となるエリアに、測定隙間15aを形成している。
測定隙間15aの寸法はワーク2の加工精度に応じ設定すれば良く、本実施の形態1では例えばワーク2に要求される平面度が50μm以下である場合について検討する。ここでは要求される平面度が50μm以下であるため、加工前のワーク2を加工治具面3に固定した状態で、加工治具面3とワーク2との隙間の目標値として30μm以下を設定する。従って、隙間マスターゲージ15は測定隙間15aの寸法が10、20、30、50μmの4種類を準備する。
次に、今回隙間の目標値として30μm以下と設定したため、30μm前後で差圧が大きく変化するように、エアーの流量を流量制御弁10を用いて調整する。今回は一番狭い10μmの隙間マスターゲージ15で第一の圧力計9aと第二の圧力計9bとの差圧が約100kPaとなるように流量を設定した場合に、10μmから50μmの隙間に対しての差圧の変化が大きくなった。その結果を図7に示す。横軸は、隙間マスターゲージ15の測定隙間15aに対応し、縦軸は各測定隙間15aに対応する差圧(第一の圧力計9aと第二の圧力計9bとの差)である。図7からもわかるように、10μmから50μmの測定隙間15aに対して、全体で約400kPa以上の差圧の変化が生じており、隙間の違いを判定することができる。そして、今回隙間の目標値を30μm以下と設定したため、図7より隙間30μmに対応する差圧値350kPaを差圧の規定値と設定し、図5等で説明したように差圧が規定値以下すなわち350kPa以下となった場合にのみ加工を開始する。もちろん、流量制御弁10の調整値や加工開始の基準となる規定値の設定はこれに限られず、ワーク2の加工精度に応じて適宜設定するものである。
上記のように設定した差圧の基準値をもとに、実際加工するワーク2と加工治具面3との差圧を測定することにより、隙間の有無及びその大きさを測定することができる。
図8は、この発明の実施の形態2における加工治具の平面図と、この加工治具に備えられた隙間測定系の模式図を示す。上述した実施の形態1では図1に示すように加工治具面3に対してエアーノズル6を一箇所設置していたが、この実施の形態2では、図8に示すように比較的縦横のアスペクト比が大きいワーク2を加工する加工治具1の場合に、加工治具面3に、エアーノズル6とその近傍に配置されるエアー排出孔7とを一組としたものを複数組設置し、複数箇所で隙間測定を実施した例を説明する。なお、実施の形態1におけるものと同様の部分については同一符号を付して説明を省略する。
次に、エアーノズル6およびエアー排出孔7の配置位置について説明する。
エアーノズル6とエアー排出孔7の配置はワーク2を押さえるワーク押さえクランプ5の間隔を考慮し、効率よく隙間が検出できる箇所に設置すればよいが、本実施の形態2では下記の通りとした。すなわち、図8に示す6箇所のワーク押さえクランプ5のうち上側4箇所のワーク押さえクランプ5に囲まれた内側エリアのほぼ中央部に、第一のエアーノズル6aと第一のエアー排出孔7aを加工治具面3の短手方向に一定間隔をとって配置し、下側4箇所のワーク押さえクランプ5に囲まれた内側エリアのほぼ中央部に、第二のエアーノズル6bと第二のエアー排出孔7bを加工治具面3の短手方向に一定間隔をとって配置した。このエアーノズル6a、6bとエアー排出孔7a、7bとの配置間隔は各ワーク押さえクランプ5の内側エリアの短手方向の幅の約1/3となるように設定した。
高圧エアーは、高圧エアー配管8を経由してエアーノズル6から供給され、高圧エアー配管8には第一のエアーノズル6a側の高圧エアー配管8aまたは第二のエアーノズル6b側の高圧エアー配管8bへエアーの供給を切り替えるための電磁弁16が備えられている。各エアーノズル6a、6bに圧力が均等にかかるように、電磁弁16からエアーノズル6a、6bまでの高圧エアー配管8a、8bの長さを同一の長さとなるよう設計した。電磁弁16の切り替えは作業者によって手動で実施してもよく、また外部から切り替え信号を入力することにより自動的に実施してもよい。
なお、本実施の形態2では一つのエアーノズル6に対して一つのエアー排出孔7を一組としているが、上述の実施の形態1の例のように一つのエアーノズルに対して複数個のエアー排出孔を一組としてこれを複数箇所に設けてもよく、また必要に応じてその複数個のエアー排出孔に開閉弁を設ける構成としてもよい。
図9に示すように、隙間マスターゲージ15の下面には、第一のエアーノズル6aと第一のエアー排出孔7aおよび第二のエアーノズル6bと第二のエアー排出孔7bの配置に対応する位置に測定隙間15a、15bを形成している。測定隙間15a、15bの厚み寸法や、流量制御弁2の調整については実施の形態1と同様であり、数種類の隙間マスターゲージ15により各厚みの測定隙間に対する差圧の基準値を設定する。この基準値をもとに、実際加工するワーク2と加工治具面3との差圧を測定し、その測定結果から隙間の有無及びその大きさを測定することができる。
7,7a,7b エアー排出孔、9a 第一の圧力計、9b 第二の圧力計、
13,13a,13b 開閉弁。
Claims (2)
- ワークを加工治具面に密着させて固定し上記ワークに加工を施す加工治具であって、上記加工治具面に設けられエアーを吹き出すエアーノズルと、上記エアーノズルの近傍に設けられ上記加工治具面からエアーを外部に排出するエアー排出孔とを備え、上記エアーノズルにつながる圧力計により上記ワークと上記加工治具面との間の隙間を検出し、
上記加工治具面には、上記エアーノズル一個に対して上記エアー排出孔が複数個配置され、上記各エアー排出孔には該エアー排出孔につながる開閉弁を備えることにより、所望のエアー排出孔を選択的に使用できることを特徴とする加工治具。 - 上記加工治具面には、上記エアーノズルと該エアーノズルの近傍に配置される上記エアー排出孔とが複数組設けられ、各組の設置箇所ごとに上記ワークと上記加工治具面との間の隙間を検出することを特徴とする請求項1に記載の加工治具。
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