建物の壁材は、用いる場所又は部位によって厚みが異なることもあるし、壁材の表面に壁紙を貼り付けることもあり、この壁紙の厚みは作業現場によって異なることも多い。このため、壁紙も壁材の一部としてみると、壁材の厚みは一律に定まっていない。また壁材に壁紙を貼り付ける場合にはこれと同様の壁紙を蓋部材にも貼り付けられることが多く、この場合には蓋部材の厚みも想定より多少厚くなることがある。
一方、特許文献1に記載の点検口枠は、壁材の厚みが点検口枠(枠部材)の厚みと同等程度のもののみに適用できるに過ぎず、厚みが薄い壁材に対して点検口枠(枠部材)を取り付けにくいし、仮に取り付けることができても点検口枠が安定しなかった。また特許文献1に開示の点検口枠は、厚みが厚い点検口蓋8’を取り付けにくく、仮に取り付けることができても点検口蓋8’が安定しなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、異なる厚みの壁材に対して枠部材を安定して取り付けることができる点検口装置を提供することを目的とする。また本発明は、異なる厚みの蓋部材を枠部材に安定して取り付けることができる点検口装置を提供することを別の目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明の点検口装置は、室内空間と壁裏空間とを仕切る壁材に形成された点検口の周縁に沿って設けられる枠部材と、枠部材が有する開口を塞ぐように取り付けられる板状の蓋部材と、点検口の周縁部の壁材に枠部材を固定するために、枠部材に係脱可能に取り付けられる壁裏側クランプ部と、を備えるものであって、枠部材は、枠部材の壁裏空間側に形成された壁裏側被係合部と、枠部材の室内空間側に形成され、壁裏側クランプ部とともに壁材を挟持する壁材当接部と、を有し、壁裏側クランプ部は、壁裏側被係合部に対して係脱可能に係合する壁裏側係合部と、壁裏側係合部が壁裏側被係合部に係合している状態において、壁材を挟んで壁材当接部と対向するように配置される壁裏側クランプ本体部と、を有し、点検口の周縁部の壁材と壁裏側クランプ本体部との間に、スペーサが配置されることを特徴とする(請求項1)。
本発明によれば、枠部材を取り付ける壁材の厚みが壁材当接部と壁裏側クランプ部との間の距離より薄くても、壁材と壁裏側クランプ部との間にスペーサが設けられるため、壁材当接部及び壁裏側クランプ部によってスペーサとともに壁材を安定して挟持することができる。よって、例えば規格違いにより壁材の厚みが想定よりも大幅に薄い場合にもその壁材の厚みの不足分をスペーサで補うことができ、スペーサとともに壁材を安定して挟持することが可能となる。したがって、本発明の点検口装置は、厚みが薄い壁材に対して枠部材を安定して取り付けることができる。
また、上記とは逆に例えば規格違いにより壁材の厚みが厚いことにより、スペーサとともに壁材を挟持しにくい場合は、スペーサを取り外すことで、スペーサの厚み分だけ枠部材が挟持し得る壁材の厚みを増加させることができる。このため、本発明の点検口装置は、施工現場で壁材の厚みを確認してから、その厚みに応じて、その場でスペーサの必要性の有無を判断し、壁材に安定して挟持されやすい構成とすることができるという利点もある。
本発明において、好ましくは、スペーサは、点検口の周縁に沿う方向の寸法が壁裏側クランプ部よりも短いことである(請求項2)。
この構成によれば、壁材と壁裏側クランプ部との間に、スペーサを設ける領域(「スペーサ挟持領域」とも記す)とスペーサを設けない領域(「スペーサ非挟持領域」とも記す)とを併存させることができるため、化粧シートの貼り合わせ等で壁材の厚みが僅かに厚くなることに起因して、スペーサ挟持領域における壁裏側クランプ部の壁裏側係合部が壁裏側被係合部に係合しにくい場合でも、スペーサ非挟持領域における壁裏側クランプ部の壁裏側係合部が壁裏側被係合部に係合し、壁材に対して枠部材を安定して取り付けることができる。よって、壁材と壁裏側クランプ部との間の全面にスペーサを設ける場合に比して、安定して挟持し得る壁材の厚みの許容幅を広げることができる。
本発明において、好ましくは、枠部材は、四角形状の枠体であり、枠部材の一辺の長さに対するスペーサの長手方向の長さの割合は25%以上75%以下である(請求項3)。
この構成によれば、上記スペーサ非挟持領域における係合によって壁材に対して枠部材を固定しやすい。
本発明において、好ましくは、スペーサの長手方向の中央は、壁裏側クランプ部の長手方向の略中央の位置に取り付けられる(請求項4)。
この構成によれば、壁裏側クランプ部の両端にスペーサ非挟持領域を設けることができるため、壁裏側クランプ部の両端を枠部材に固定することができ、壁材を安定して挟持しやすい。
本発明において、好ましくは、蓋部材を枠部材内に保持するために、枠部材に係脱可能に取り付けられる室内側クランプ部をさらに備え、枠部材は、枠部材の室内空間側に形成された室内側被係合部を有し、室内側クランプ部は、室内側被係合部に対して係脱可能に係合する室内側係合部と、室内側係合部が室内側被係合部に係合している状態において、蓋部材の室内空間側の周縁部を押圧する蓋部材固定部と、を有する(請求項5)。
この構成によれば、蓋部材を押圧する蓋部材固定部(室内側クランプ部)によって蓋部材を枠部材に安定して取り付けることができる。
本発明において、好ましくは、スペーサは、その内部に空隙を有する(請求項6)。
この構成によれば、壁裏側クランプ部と壁材によって挟持されるスペーサが厚み方向に変形しやすくなるため、壁材の厚みが変わる場合でも、その壁材の厚みの変化をスペーサの変形によって吸収することができ、壁材の厚みの変化に対応しやすい点検口装置とすることができる。
本発明において、好ましくは、スペーサは、壁裏側クランプ部の壁材に接する側の面に固定されている(請求項7)。
この構成によれば、壁材にスペーサを設ける場合に比して、壁裏側クランプ部の壁材への取り付けにおける位置合わせを簡便に行うことができる。
本発明において、好ましくは、スペーサは、壁裏側クランプ部の壁材に接する側の面に接着されており、スペーサの壁裏側クランプ部に接する側の面は、微細な凹凸が施されている(請求項8)。
この構成によれば、スペーサの表面に設けられた微細な凹凸が、壁裏側クランプ部に接着するときの接着力向上に寄与する。これにより、スペーサの滑りによる枠部材の位置ずれを防止することができ、安定して壁材に枠部材を取り付けることができる。
本発明において、好ましくは、壁裏側クランプ部は、壁裏側クランプ本体部と枠部材とを連結する連結部をさらに有し、連結部は可撓性材料で構成されている(請求項9)。
この構成によれば、連結部が可撓性材料で構成されているので、連結部の枠部材への取り付け部分を中心に回動可能に壁裏側クランプ部を取り付けることができる。これにより壁材の厚みが壁材当接部と壁裏側クランプ部との間の距離よりも厚いことによって壁材が壁材当接部と壁裏側クランプ部との間に納まりにくい場合でも、その厚み差を吸収するように連結部が撓んで壁材当接部と壁裏側クランプ部との間の距離を広げることができる。このため、厚みが少し厚い壁材を壁裏側クランプ部と壁材当接部とで挟持することができ、厚みが少し厚い壁材に枠部材を固定することが可能となる。
しかも、壁裏側係合部を壁裏側被係合部から取り外しても、壁裏側クランプ部が連結部を介して枠部材に取り付けられているので、壁裏側クランプ部が枠部材から完全に分離されなくなり、壁裏側クランプ部を紛失することを防止することができる。
本発明において、好ましくは、壁裏側係合部の先端は、断面略円形状であり、壁裏側被係合部の先端は、鉤状である(請求項10)。
この構成によれば、壁材の厚みが壁材当接部と壁裏側クランプ部との間の距離よりも厚いことにより壁材が壁材当接部と壁裏側クランプ部との間に納まらずに壁裏側係合部を壁裏側被係合部に完全に係合させることができなくても、壁裏側係合部の先端の断面略円形状の湾曲面を部分的に壁裏側被係合部の鉤状部の先端に係止させることができる。これにより壁裏側係合部の湾曲面と壁裏側被係合部の鉤状部の先端との間に摩擦力が働いて、壁裏側係合部が壁裏側被係合部から離れにくくなり、厚みがやや厚い壁材又は化粧シートを含む壁材に対して枠部材を固定することができる。
本発明の点検口装置の別の一形態は、室内空間と壁裏空間とを仕切る壁材に形成された点検口の周縁に沿って設けられる枠部材と、前記枠部材が有する開口を塞ぐように取り付けられる板状の蓋部材と、前記点検口の周縁部の壁材に前記枠部材を固定するために、前記枠部材に係脱可能に取り付けられる壁裏側クランプ部と、を備え、前記枠部材は、前記枠部材の壁裏空間側に形成された壁裏側被係合部と、前記枠部材の室内空間側に形成され、前記壁裏側クランプ部とともに前記壁材を挟持する壁材当接部と、を有し、前記壁裏側クランプ部は、前記壁裏側被係合部に対して係脱可能に係合する壁裏側係合部と、前記壁裏側係合部が前記壁裏側被係合部に係合している状態において、前記壁材を挟んで前記壁材当接部と対向するように配置される壁裏側クランプ本体部と、前記壁裏側クランプ本体部と前記枠部材とを連結する連結部と、を有し、前記連結部は、可撓性材料で構成され、前記壁裏側係合部の先端は、断面略円形状であり、前記壁裏側被係合部の先端は、鉤状であることを特徴とする。
本発明によれば、枠部材を取り付ける壁材の厚みが壁材当接部と壁裏側クランプ部との間の距離よりもやや厚いことによって壁材が壁材当接部と壁裏側クランプ部との間に納まりにくい場合でも、連結部が可撓性材料で構成されているので、その厚み差を吸収するように連結部が撓んで、壁材当接部と壁裏側クランプ部との間の距離を広げることができる。これにより厚みが少し厚い壁材を壁裏側クランプ部と壁材当接部とで挟持して壁材に枠部材を固定することが可能となる。
しかも、連結部が撓むことで壁裏側係合部を壁裏側被係合部に完全に係合させることができなくなっても、壁裏側係合部の断面略円形状の湾曲面を部分的に壁裏側被係合部の鉤状部の先端に係止させることができる。これにより壁裏側係合部の湾曲面と壁裏側被係合部の鉤状部の先端との間に摩擦力が働いて、壁裏側係合部が壁裏側被係合部から離れにくくなり、厚みがやや厚い壁材又は化粧シートを貼り付けた壁材に対して枠部材を固定することができる。
したがって、本発明の点検口装置は、上記構成を有することにより、厚みが少し厚い壁材に対して枠部材を取り付けることができる。
本発明の点検口装置のさらに別の一形態は、室内空間と壁裏空間とを仕切る壁材に形成された点検口の周縁に沿って設けられる枠部材と、前記枠部材が有する開口を塞ぐように取り付けられる板状の蓋部材と、前記蓋部材を前記枠部材に保持するために、前記枠部材に係脱可能に取り付けられる室内側クランプ部と、を備える点検口装置であって、前記枠部材は、前記枠部材の室内空間側に形成された室内側被係合部と、前記枠部材の壁裏空間側に形成され、前記室内側クランプ部とともに前記蓋部材を挟持する蓋部材当接部と、を有し、前記室内側クランプ部は、前記室内側被係合部に対して係脱可能に係合する室内側係合部と、前記室内側係合部が前記室内側被係合部に係合している状態において、前記蓋部材を挟んで前記蓋部材当接部と対向するように配置される室内側クランプ本体部と、前記室内側クランプ本体部の前記蓋部材と接する側の面に設けられ、前記蓋部材の周縁部を押圧する蓋部材固定部と、前記室内側クランプ本体部と前記枠部材とを連結する連結部と、を有し、前記連結部は、可撓性材料で構成され、前記室内側係合部の先端は、断面略円形状であり、前記室内側被係合部の先端は、鉤状であることを特徴とする(請求項12)。
本発明によれば、枠部材に取り付ける蓋部材の厚みが蓋部材当接部と室内側クランプ部との間の距離よりもやや厚いことによって蓋部材が蓋部材当接部と室内側クランプ部との間に納まりにくい場合でも、連結部が可撓性材料で構成されているので、その厚み差を吸収するように連結部が撓んで、蓋部材当接部と室内側クランプ部との間の距離を広げることができる。これにより厚みが少し厚い壁材を室内側クランプ部と蓋部材当接部とで挟持して枠部材に厚みがやや厚い蓋部材を固定することが可能となる。
しかも、連結部が撓むことで室内側係合部を室内側被係合部に完全に係合させることができなくなっても、室内側係合部の断面略円形状の湾曲面を部分的に室内側被係合部の鉤状部の先端に係止させることができる。これにより室内側係合部の湾曲面と室内側被係合部の鉤状部の先端との間に摩擦力が働いて、室内側係合部が室内側被係合部から離れにくくなり、厚みがやや厚い蓋部材又は化粧シートを貼り付けた蓋部材を枠部材に固定することができる。
したがって、本発明の点検口装置は、上記構成を有することにより、厚みが少し厚い蓋部材を枠部材に安定して取り付けることができる。
本発明によれば、異なる厚みの壁材に対して枠部材を安定して取り付けることができる点検口装置を提供することができる。また、本発明によれば、異なる厚みの蓋部材を枠部材に安定して取り付けることができる点検口装置を提供することができる。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<点検口装置の構成>
図1は、本実施形態の点検口装置(枠部材に蓋部材を取り付けた状態)を示す斜視図(A)及び正面図(B)であり、図2は、図1(B)におけるII−II線断面図である。本実施形態の点検口装置100は、図1及び図2に示されるように、室内空間S1と壁裏空間S2とを仕切る壁材2(図2のみ図示)に形成された点検口T1の周縁に沿って設けられる枠部材1と、枠部材1が有する開口T2を塞ぐように取り付けられる板状の蓋部材3と、点検口T1の周縁部の壁材2に枠部材1を固定するために、枠部材1に係脱自在に固定する壁裏側クランプ部7と、枠部材1に蓋部材3の周縁部を固定するために、枠部材1に係脱自在に固定する室内側クランプ部8と、点検口T1の周縁部の壁材2と壁裏側クランプ部7との間に配置されたスペーサ4と、を備えている。
壁材2は、床と天井とを接続する上下方向に平行な横壁である。点検口T1は、壁材2に形成された四角形状の開口である。枠部材1は、点検口T1の周縁に沿って設けられ、開口T2を有する。蓋部材3は、枠部材1の開口T2を塞ぐことができる所定厚みの四角形の平板状の板材である。図1(B)中の点線は蓋部材3の外周を示している。
図3は、枠部材1を壁裏空間S2側から見た正面図である。枠部材1は、図3に示すように、正面視で中央に開口T2を有する四角形状であり、点検口T1の上縁に沿って延びる上辺部材1aと、点検口T1の下縁に沿って延びる下辺部材1bと、点検口T1の左縁に沿って延びる左辺部材1cと、点検口T1の右縁に沿って延びる右辺部材1dと、を有する。各辺部材1a〜1dは、一体に成形されたものであってもよいし、各辺部材1a〜1dが別体である場合、例えばコーナーピースを用いて突合せ部を結合してもよい。枠部材1a〜1dは、蓋部材3を支持する強度を有する硬質材料で構成される。硬質材料としては、例えば、硬質の塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂、アルミニウム又はアルミニウム合金が挙げられる。
図1(A)、(B)に示すように、枠部材1には、各辺部材1a〜1dの壁裏空間S2側に対して1つずつ計4つの長尺状の壁裏側クランプ部7が取り付けられ、各辺部材1a〜1dの室内空間S1側に1つずつ計4つの室内側クランプ部8が取り付けられる。そして、4つの壁裏側クランプ部7の壁材2に接する側の面に1つずつ計4つのスペーサ4が設けられる。
図4は、図2における要部を拡大して示す断面図である。枠部材1の各辺部材1a〜1dは、図4に示すように、点検口T1の周縁に対向するように設けられた外側壁10aと、外側壁10aよりも内側(点検口T1の中心側)に間隔をあけて互いに平行に配置された内側壁10bと、外側壁10a及び内側壁10bを連結する連結壁10cと、外側壁10aの室内空間S1側の先端から外側(点検口T1の中心と反対側)に延出し、壁裏側クランプ部7とともに壁材2を挟持する平板状の壁材当接部10dと、内側壁10bの壁裏空間S2側の先端から内側(点検口の中心側)に延出し、蓋部材3の壁裏空間S2側の周縁部を支持するために設けられた平板状の蓋部材当接部10eと、蓋部材当接部10eの略中央部から壁裏空間S2側に突出し、壁裏側クランプ部7を枠部材1に取り付けるための取付部10fと、を備えている。枠部材1(各辺部材1a〜1d)の内側壁10bは、図1(B)の点線に示すように、蓋部材3の外周面を囲うように構成される。
図4を参照して、外側壁10a及び内側壁10bの壁裏空間S2側の先端は、辺部材1a〜1dの長手方向全体に亘って溝状の凹部(壁裏側被係合部)17aを形成している。そして、外側壁10aの壁裏空間S2側の先端には、内側壁10b側に突出する鉤状部(突片)17bが形成されている。鉤状部(突片)17bは、図2に示すように、壁裏空間S2側の先端から室内空間S1側に向けて徐々に厚みが厚くなる傾斜面17cと、傾斜面17cの(室内空間S1側の)端部と外側壁10aとを垂直に結ぶ段差17dとを有している。
この凹部17aに係合する凸部を有する壁裏側クランプ部7は、各辺部材1a〜1dの長手方向全体に亘って設けられる平板状の壁裏側クランプ本体部7aと、壁裏側クランプ本体部7aの先端の壁材2側の面に設けられた突起7bと、壁裏側クランプ本体部7aと取付部10fとを連結する連結部7cと、壁裏側クランプ本体部7aの壁材2側の面に突設され、枠部材1の凹部17aに挿入される凸部7d(壁裏側係合部)と、を備えている。
枠部材1の溝状の凹部17aに、壁裏側クランプ部7の凸部7dが挿入されることより、凸部7dが凹部17aに係合し、壁裏側クランプ部7が枠部材1に固定される。
壁裏側クランプ本体部7aは、枠部材1の各辺部材1a〜1dの長手方向に直交する方向に所定の幅を有しており、壁裏側クランプ部7を枠部材1に固定した状態(つまり凸部7dを凹部17aに係合した状態)において、壁裏側クランプ本体部7aは、点検口T1の周縁の壁材2を壁裏空間S2側から保持するように配置される。このような壁裏側クランプ部7は、スペーサ4を介して枠部材1の壁材当接部10dとともに壁材2を挟持することにより、枠部材1を壁材2に固定する。
上記凸部7dは、壁裏側クランプ本体部7aの長手方向全体に亘って設けられ、壁裏側クランプ本体部7aの枠部材1と接触する側の面から突出する平板状の首部71bと、首部71bの先端に一体に設けられた断面略円形状の拡径部(増厚部)71aと、を備えている。図4に示すように、壁裏側クランプ部7を閉じた状態では、鉤状部17bの先端が、拡径部71aと首部71bの境界部(括れ部)に係合している。
首部71bの厚みは、拡径部71aの直径(厚み)よりも小さい。凹部17aの幅(つまり外側壁10aと内側壁10bの間隔)は、壁裏側クランプ部7の拡径部71aの直径(厚み)よりも若干大きい。鉤状部17bの先端と、内側壁10bの外面との距離は、拡径部71aの直径よりも若干小さい。
突起7bは、スペーサ4の外側(点検口T1の中心と反対側)の端部に接触し、スペーサ4の滑りを防止するために設けられる。この突起7bは、壁裏側クランプ部7の長手方向全体に亘って設けられる。
また、壁裏側クランプ本体部7aの壁材2に接する側の面に、スペーサ4が固定されている。スペーサ4は両面テープによって壁裏側クランプ本体部7aに貼り付けられている。
枠部材1の一辺の長さ(各辺部材1a〜1dの長手方向の寸法)に対するスペーサ4の長手方向の長さの割合は25%以上75%以下である。ここで、「枠部材の一辺の長さ」は、各辺部材1a〜1dの内側縁の寸法のことを言うものとする。また、スペーサ4の長手方向の長さが一定でない場合、「長手方向の長さ」とは、長手方向におけるスペーサ4の最小長さを意味するものとする。つまり、スペーサ4の長手方向の長さは、図1(B)に示されるように、スペーサ4を真上から正面視したときの形状が長方形の場合は、当該長方形の長辺の長さを意味し、スペーサ4を真上から正面視したときのスペーサの形状が例えば台形である場合は、その台形の長手方向に短い方の辺の長さを意味するものとする。
スペーサ4を、その長手方向に直交する面で切断した断面の形状は、図2に示すように、壁裏側クランプ部7に接する側を上底とし、壁材2と接する側を下底とすると、下底が上底の長さよりも長い略台形である。このスペーサ4は、その内部に空隙を有する。
図2に示されるように、スペーサ4の壁裏側クランプ部7に接する側の面は、微細な凹凸が施されている。
スペーサ4は、例えば、硬質の塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂等の硬質の合成樹脂で構成される。
連結部7cは、壁裏側クランプ本体部7aの内側(点検口T1の中心側)の端部に設けられており、壁裏側クランプ本体部7aと枠部材1の取付部10fとを一体に連結している。
係止部7b及び連結部7cは、可撓性材料から構成されている。可撓性材料の種類は特に限定されないが、例えば、軟質の塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
枠部材1(各辺部材1a〜1d)の外側壁10a及び内側壁10bの室内空間S1側の先端は、上記壁裏空間S2側の先端の凹部17aと同様、枠部材1a〜1dの長手方向全体に亘って溝状の凹部18aを形成している。そして、内側壁10bの室内空間S1側の先端部には、外側壁10a側に突出する鉤状部(突片)18bが形成されている。鉤状部(突片)18bは、上記壁裏空間S2側の先端の鉤状部17bと同様、室内空間S1側の先端から壁裏空間S2側に向けて徐々に厚みが厚くなる傾斜面18cと、傾斜面18cの(壁裏空間S2側の)端部と内側壁10bとを垂直に結ぶ段差18dとを有している。この溝状の凹部(室内側被係合部)18aに、室内側クランプ部8の凸部(室内側係合部)8dが挿入される。これにより凸部8dが凹部18aに係合し、室内側クランプ部8が枠部材1に固定される。
室内側クランプ部8は、各辺部材1a〜1dの長手方向全体に亘って設けられる平板状の室内側クランプ本体部8aと、室内側クランプ本体部8aの蓋部材3と接する側の面に設けられる蓋部材固定部8bと、室内側クランプ本体部8aと枠部材1の壁材当接部10dとを連結する連結部8cと、室内側クランプ本体部8aの蓋部材3側の面に突設され、凹部18aに挿入される凸部8dと、を備えている。
室内側クランプ本体部8aは、枠部材1の各辺部材1a〜1dの長手方向に直交する方向に所定の幅を有しており、室内側クランプ部8を枠部材1に固定した状態(つまり凸部8dを凹部18aに係合した状態)において、室内側クランプ本体部8aは、開口T2の周縁の蓋部材3を室内空間S1側から保持するように配置される。このような室内側クランプ部8は、枠部材1の蓋部材当接部10eとともに蓋部材3を挟持することにより、蓋部材3を枠部材1に固定する。
蓋部材固定部8bは、室内側クランプ部8を枠部材1(各辺部材1a〜1d)に固定した状態で、室内側クランプ本体部8aと接続する基端部から先端部までが蓋部材3の厚み方向D3に沿って壁裏空間S2側に延びている。
連結部8cは、室内側クランプ本体部8aの外側(点検口の中心と反対側)の端部に設けられており、室内側クランプ本体部8aと枠部材1の壁材当接部10dとを一体に連結している。
蓋部材固定部8b及び連結部8cは、可撓性材料から構成されている。可撓性材料の種類は特に限定されないが、例えば、軟質の塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
凸部(室内側係合部)8dは、室内側クランプ本体部81の長手方向全体に亘って設けられ、室内側クランプ本体部8aの蓋部材3と接する側の面から突出する平板状の首部81bと、首部81bの先端に一体に設けられた断面略円形状の拡径部(増厚部)81aと、を備えている。図4に示すように、室内側クランプ部8を閉じた状態では、鉤状部18bの先端が、拡径部81aと首部81bの境界部(括れ部)に係合する。
凹部18a及び凸部8dの大きさ及び構造の関係は、上述の凹部17a及び凸部7dのそれらと同様であるため再度の説明は省略する。
<点検口装置の使用方法>
図5(A)を参照して、まず、壁裏側クランプ部7及び室内側クランプ部8を外した状態の枠部材1を点検口T1に挿入する。このとき、枠部材1は、その壁材当接部10dが壁材2の点検口T1の周縁部に当接する位置まで挿入される。
次いで、図5(B)に示されるように、壁裏側クランプ部7を枠部材1に固定する。具体的には、壁裏側クランプ部7の凸部7d(図4)を枠部材1の凹部17a内に押し込んで、凸部7dの拡径部71aを鉤状部17bに係合させる。壁裏側クランプ部7の凸部7dを凹部17a内に押し込むと、スペーサ4が壁材2の壁裏空間S2側の面に当接する。これにより、図5(B)に示されるように、壁裏側クランプ部7と壁材当接部10dとの間に壁材2が挟持され、壁材2に枠部材1が取り付けられる。
次に、図5(B)、(C)に示すように、枠部材1の開口T2に蓋部材3を挿入して、蓋部材3の壁裏空間側の面が蓋部材当接部10eに当接する位置まで蓋部材3を押し込む。
次いで、図5(C)に示されるように、室内側クランプ部8の凸部8dを各辺部材1a〜1dの凹部18a内に押し込むことにより、凸部8aの拡径部81aを鉤状部18bに係合させる。室内側クランプ部8の凸部8aを凹部18a内に押し込んだ状態では、蓋部材固定部8bの先端部が蓋部材3の室内空間S1側の面に当接する。これにより、枠部材1に蓋部材3を取り付けることができる。
なお、壁裏空間S2内を点検するために、枠部材1から蓋部材3を取り外す際には、枠部材1に蓋部材3を取り付ける順序と逆の順序で作業を行えばよい。具体的には、まず、枠部材1から室内側クランプ部8を外す(図5(C))。そして、蓋部材3の室内空間S1側の面に設けられた図外の把手を持って、蓋部材3を室内空間S1側に引っ張ることにより、蓋部材3を枠部材1から取り外す(図5(B))。このようにして、枠部材1の開口T2から壁裏空間S2内を点検する。
<作用等>
以上説明したように、本実施形態に係る点検口装置100によれば、枠部材1は、壁材当接部10dとともにスペーサ4を介した壁裏側クランプ部7によって壁材2を挟持することができる。つまり、壁裏側クランプ部7及び壁材当接部10dによって挟持し得る厚みに対して壁材2の厚みが薄い場合に、この壁材2の厚み不足をスペーサ4が補うことにより、壁材2に対して枠部材1を安定して固定することができる。
また、建設現場において、壁材2の室内空間S1側の面に壁紙等が貼り付けられることもあるが、壁紙を含めた壁材2の厚みが極端に厚くなる場合にはスペーサ4を取り外すことで、スペーサ4の厚み分だけ枠部材1が挟持し得る壁材2の厚みを増加させることができる。つまり、本実施形態の点検口装置によれば、施工現場で壁材2の厚みを確認してから、その厚みに応じて、その場でスペーサ4の必要性の有無を判断し、必要がなければスペーサ10を取り外すという選択もとり得るため、施工現場における壁材2の不測の厚み変化に対応しやすいという利点もある。
また例えば図6に示すように、壁紙等の化粧シート5を貼り合わせた結果、壁材当接部10dと壁裏側クランプ部7との間の距離に対して、化粧シート5も含めた壁材2とスペーサ4の合計厚みが厚くなり、壁裏側クランプ部の凸部(壁裏側係合部)7dが、枠部材1の凹部(壁裏側被係合部)17aに完全に係合しなくなることがある。
この場合、スペーサ4の点検口の周縁に沿う方向の寸法が、壁裏側クランプ部7のそれよりも短いことにより、スペーサ4の長手方向において、壁材2と壁裏側クランプ部7との間にスペーサ4が配置される領域(以下「スペーサ挟持領域」と記す)と、スペーサ4が配置されずに壁裏側クランプ部7が壁材2に接する領域(以下「スペーサ非挟持領域」と記す)と、を有する構成とすることができるため、図6に示すようにスペーサ挟持領域における壁裏側クランプ部7の凸部7dが枠部材1の凹部17aに係合しにくい場合でも、図7に示すようにスペーサ非挟持領域における壁裏側クランプ部7の凸部7dを、枠部材1の凹部(壁裏側被係合部)17aに係合させることができるため、このスペーサ非挟持領域における係合により枠部材1を壁材2に安定して固定することができる。
このため、化粧シート5も含めた壁材2の厚みが規定よりも少し厚くなる程度(例えば図6に示す程度)であれば、スペーサ10を取り外すことなく、壁裏側クランプ部7及び壁材当接部10dによって壁材2を挟持することができる。
なお、上記においては、厚みのある化粧シート5を貼り付けることにより壁材2全体の厚みが厚くなる場合を説明したが、壁材2そのものが規格違いにより厚みが厚くなる場合も、上記化粧シート5を設ける場合と同様にして、壁材に枠部材1を安定に固定できる。
スペーサ4の長手方向の中央は、図1に示すように、壁裏側クランプ部7の長手方向の略中央の位置に取り付けられる。このような位置にスペーサ4を設けることにより、スペーサ挟持領域の両端にスペーサ非挟持領域を設けることができるため、壁材2を安定して挟持しやすい。
スペーサ4は空隙を有するので、厚みが薄い壁材2に対しては、スペーサ4を少なめに弾性変形させて(つまりスペーサ4をあまり弾性変形させずに)枠部材1を壁材2に固定する一方で、厚みが厚い壁材2に対しては、スペーサ4を多めに弾性変形させてスペーサ4を壁材2に押し付けて枠部材1を壁材2に固定することができる。このようにスペーサ4は、壁材2の厚みの微妙な相違を吸収することができる。
スペーサ4は、壁裏側クランプ部7に対して接着されているので、壁材2にスペーサ4が接着される場合に比して、壁裏側クランプ部7の取り付け時の壁材2との位置合わせを簡便に行うことができる。
また、スペーサ4の壁裏側クランプ部7に接する側の面に形成される微細な凹凸により、壁裏側クランプ部7に対するスペーサ4の接着力を向上させることができる。スペーサ4と壁裏側クランプ部7との接着力が高いことにより、枠部材1の位置ずれを防止することができ、壁材2に対して枠部材1を安定に取り付けることができる。
壁裏側クランプ部7の凸部7d及び室内側クランプ部8の凸部8dはいずれも、断面略円形状の拡径部(増厚部)71a、81aであるため、凸部7d、8dを凹部17a、18aに対して軽く押し込むことにより、拡径部71a、81aが鉤状部17b、18bを乗り越え、凸部7d、8dを凹部17a、18aに容易に嵌合させることができる。また、凸部7d、8dが凹部17a、18aに嵌合した状態で凸部7d、8dを軽く引っ張ることにより、凸部7d、8dを押し込むときとは反対方向に拡径部71a、81aが鉤状部17b、18bを乗り越え、凸部7d、8dを凹部17a、18aから容易に取り外すことができる。従って、凸部7d、8dと凹部17a、18aの係合および係合解除を容易に行うことができ、これにより、壁裏側クランプ部7による壁材2への固定、及び、室内側クランプ部8による蓋部材3の固定を容易に行うことができる。
また、上記断面略円形状の凸部7dであり、かつ鉤状の鉤状部17bが形成されているため、凸部7dが対応する凹部17aに完全に挿入されなくても、凸部7dの先端の湾曲面を部分的に凹部17aの鉤状部17bの先端に係止させることができる。これは、図6に示すような、壁材2の厚みが厚いことに起因して、壁裏側クランプ部7の凸部7dが、枠部材1の凹部17aに完全に係合させることができない場合に特に有効である。これにより凸部7dの先端と凹部17aの鉤状部17bの先端との間に摩擦力が働いて凸部7dが凹部17aから離れにくくなり、厚みが厚い壁材2又は化粧シート5を含む壁材2に対して枠部材1を固定することができる。
同様に、上記断面略円形状の凸部8dであり、かつ鉤状の鉤状部18bが形成されているため、凸部8dが凹部18aに完全に挿入されなくても、凸部8dの先端の湾曲面を部分的に凹部18aの鉤状部18bの先端に係止させることができる。これは、図9に示すように蓋部材3に厚手の化粧シート5を貼り付けたことに起因して室内側クランプ部8の凸部8dが、枠部材1の凹部18aに完全に係合させることができない場合に有効である。これにより凸部8dの先端と凹部18aの鉤状部18bの先端との間に摩擦力が働いて凸部8dが凹部18aから離れにくくなり、厚みが厚い蓋部材3又は厚手の化粧シート5を貼り付けた蓋部材3を枠部材1に固定することができるし、しかもその固定状態で蓋部材3が安定しやすい。
また、鉤状部17bは壁裏空間S2側の先端から室内空間S1側に向けて徐々に厚みが厚くなる傾斜面17cと、傾斜面17cの(室内空間S1側の)端部と外側壁10aとを垂直に結ぶ段差17dとを有しているので、断面略円形状の凸部7dを凹部17aに挿入する時には凸部7dが傾斜面を滑って凹部17aに入り込みやすい。その一方で、凹部17aに挿入された凸部7dは拡径部71aが段差17dに引っかかるため凸部7dが凹部17aから外れにくい。
また、室内側クランプ部8の凸部(室内側係合部)8dが枠部材1の凹部18aと係合するときに、室内側クランプ部8の蓋部材固定部8bが蓋部材3を押圧した状態となる。従って、室内側クランプ部8によって蓋部材3を枠部材1に対してロックし、枠部材1から蓋部材3が外れるのを防止することができる。
また、壁裏側クランプ部7及び室内側クランプ部8は、可撓性の連結部7c、8cを介して枠部材1と一体化されている。つまり、壁裏側クランプ部7及び室内側クランプ部8が枠部材1から完全に分離されないので、係合を外したときに壁裏側クランプ部7及び室内側クランプ部8を紛失するのを防止することができる。
また、上記断面略円形状の凸部8dであり、かつ鉤状の鉤状部18bが形成されているため、凸部8dが対応する凹部18aに完全に挿入されなくても、凸部8dの先端の湾曲面を部分的に凹部18aの鉤状部18bの先端に係止させることができる。これは、図6に示すような、蓋部材3の厚みが厚いことに起因して、室内側クランプ部8の凸部8dが、枠部材1の凹部18aに完全に係合させることができない場合に特に有効である。これにより凸部8dの先端と凹部18aの鉤状部18bの先端との間に摩擦力が働いて凸部8dが凹部18aから離れにくくなり、厚みが厚い蓋部材3又は厚手の化粧シート5を含む蓋部材3を枠部材1を固定することができる。
また、鉤状部18bは室内空間S1側の先端から壁裏空間S2側に向けて徐々に厚みが厚くなる傾斜面と、傾斜面の(壁裏空間S2側の)端部と外側壁10aとを垂直に結ぶ段差とを有しているので、断面略円形状の凸部7dを凹部17aに挿入する時には凸部7dが傾斜面を滑って凹部17aに入り込みやすい。その一方で、凹部17aに挿入された凸部7dは拡径部71aが段差に引っかかるため凸部7dが凹部17aから外れにくい。
また、室内側クランプ部8の凸部(室内側係合部)8dが枠部材1の凹部18aと係合するときに、室内側クランプ部8の蓋部材固定部8bが蓋部材3を押圧した状態となる。従って、室内側クランプ部8によって蓋部材3を枠部材1に対してロックし、枠部材1から蓋部材3が外れるのを防止することができる。
しかも、連結部7cが可撓性材料で構成されているので、連結部7cの枠部材1への取り付け部分を中心に回動可能に壁裏側クランプ部7を取り付けることができる。これにより壁材2の厚みが壁材当接部10dと壁裏側クランプ部7との間の距離よりも厚いことによって壁材2が壁材当接部10dと壁裏側クランプ部7との間に納まりにくい場合でも、その厚み差を吸収するように連結部7cが撓んで壁材当接部10dと壁裏側クランプ部7との間の距離を広げることができる。これにより厚みが少し厚い壁材2であっても、壁裏側クランプ部7と壁材当接部10dとで壁材2を挟持して壁材2に枠部材1を固定することが可能となる。
上記実施形態において、拡径部71a、81aの断面形状が、略円形状のものを説明したが、拡径部71a、81aの断面形状は三角形状(矢尻状)であってもよい。
上記実施形態においては、凹部17a、18aを枠部材1(辺部材1a)に形成し、凸部7d、8dを壁裏側クランプ部7及び室内側クランプ部8に形成したが、逆に、凹部17a、18aを壁裏側クランプ部7及び室内側クランプ部8に形成し、凸部7d、8dを枠部材1(辺部材1a)に形成してもよい。
上記実施形態において、壁裏側クランプ部7に対してスペーサ4を両面テープによる接着で固定したが、ビス留め等によってスペーサ4を固定してもよいし、接着剤による接着でスペーサ4を固定してもよい。また、スペーサ4は壁裏側クランプ部7に固定するのではなく、壁材2の周縁部に対してスペーサ4を固定してもよい。
上記実施形態において、スペーサ4の長手方向の中央は、壁裏側クランプ部7の長手方向の略中央の位置に取り付けられる形態を示したが、壁裏側クランプ部7の長手方向のいずれか一端のみにスペーサ4を配置してもよいし、壁裏側クランプ部7の長手方向の両端にそれぞれ1つずつ配置してもよい。また、1つの壁裏側クランプ部7の長手方向に対して、間隔をおいて2以上のスペーサ4を配置してもよい。
上記実施形態において、スペーサ4は、硬質材料で構成されていたが、可撓性材料で構成されていてもよい。可撓性材料の種類は特に限定されないが、例えば、軟質の塩化ビニル樹脂、合成ゴム、ポリウレタン樹脂等の発泡体を挙げることができる。また、スペーサ4の断面形状は、図2に示すような台形に限られず、三角形、四角形、多角形、半円形等であってもよい。
上記実施形態においては、スペーサ4が壁裏側クランプ部7に取り付けられている形態を説明したが、本発明の点検口装置はスペーサ4を含む形態のみに限られず、上記実施形態の点検口装置100からスペーサ4を取り外した形態のものも包含する。例えば、図8に示すように、壁材当接部10dと壁裏側クランプ部7との間の距離よりも化粧シート5を含む壁材2の厚みが厚い場合には、上記実施形態のスペーサ4を枠部材1から取り外してもなお壁材2が枠部材1の壁裏側クランプ部7と壁材当接部10dとの間に納まらない。この場合でも、壁裏側クランプ本体部7aと枠部材1とが可撓性材料で構成された連結部7cによって連結されているので、連結部7cが撓んで壁材の厚みの過剰分を吸収するように壁材当接部10dと壁裏側クランプ部7との間の距離を広げることができる。これにより厚みが少し厚い壁材2でも、壁裏側クランプ部7と壁材当接部10dとで挟持して枠部材1を固定することが可能となる。
しかも、上記のように壁材2が少し厚い場合には、連結部7cが撓むことで壁裏側クランプ部7の凸部7dを凹部17aに完全に係合させることができなくなるが、凸部7dの先端が断面略円形状であり、かつ凹部17aの先端が鉤状の鉤状部17bになっているので、凸部7dの先端の断面略円形状の湾曲面を部分的に凹部17aの鉤状部17bの先端に係止させることができる。これにより凸部7dの先端と凹部17aの先端の鉤状部17bとの間に摩擦力が働いて凸部7dが鉤状部17bから離れにくくすることができ、化粧シート5を含む壁材2に対して枠部材1を固定することができる。
図8においては、化粧シート5の厚みが厚いことによって化粧シート5も含めた壁材2全体の厚みが厚くなっている場合を示しているが、単に壁材2の厚みのみが厚くても(化粧シート5が設けられていなくても)、図8に示す形態と同様にして、凸部7dの先端の断面略円形状の一部のみを部分的に凹部17aの先端の鉤状部17bに係止させることができる。
上記実施形態においては、蓋部材3が蓋部材当接部10eと室内側クランプ部8との間に納まる場合を説明したが、図9に示すように、蓋部材3に厚手の化粧シート5が貼り付けられた場合には、蓋部材当接部10eと室内側クランプ部8との間に蓋部材3が納まりにくくなることもある。この場合でも、連結部8cが可撓性材料で構成されているので、その厚み差を吸収するように連結部8cが撓んで、蓋部材当接部10eと室内側クランプ部8との間の距離を広げることができる。これにより厚みが少し厚い蓋部材3を室内側クランプ部8と蓋部材当接部10eとで挟持して枠部材2に厚みがやや厚い蓋部材3を固定することが可能となる。
しかも、連結部8cが撓むことで室内側係合部8dを室内側被係合部18aに完全に係合させることができなくなっても、室内側係合部8dの断面略円形状の湾曲面を部分的に室内側被係合部18aの鉤状部18bの先端に係止させることができる。これにより室内側係合部8dの湾曲面と室内側被係合部18aの鉤状部18bの先端との間に摩擦力が働いて、室内側係合部8dが室内側被係合部18aから離れにくくなり、化粧シート5を貼り付けて厚みが厚くなった蓋部材3を枠部材2に固定することができる。
図9においては、厚手の化粧シート5を貼り付けたことによって化粧シート5も含めた蓋部材3全体の厚みが厚くなっていた場合を示しているが、化粧シート5が貼り付けられずに単に蓋部材3の厚みが厚い場合でも図9に示す形態と同様に、凸部7dの先端の断面略円形状の一部のみを部分的に凹部18aの先端の鉤状部18bに係止させることができる。これにより厚みが厚い蓋部材3を枠部材2に安定して取り付けることができる。
上記実施形態において、点検口装置100を横壁の点検口T1に配置したが、天井の点検口又は床の点検口に配置してもよい。