以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<点検口装置の構成>
図1は、本実施形態の点検口装置(枠部材1に蓋部材2を取り付けた状態)を室内空間側から見た正面図であり、図2は図1におけるII−II線断面図である。本実施形態の点検口装置100は、図1及び図2に示すように、室内空間S1と壁裏空間S2とを仕切る壁材K(図2のみ図示)の点検口T1の周縁に沿って設けられる略四角形状の枠部材1と、枠部材1に取り付けられる板状の蓋部材2と、蓋部材2の周縁部を枠部材1に固定するために枠部材1に係脱可能に取り付けられるカバー部材5と、を備えている。
壁材Kは、図2に示すように下地桁材SKに固定されており、床と天井とを接続する上下方向に平行な横壁である。下地桁材SKは、例えば、木質材、軽量鉄骨、あるいは鋼管などで構成されている。点検口T1は、壁材Kに形成された略四角形状の開口である。
枠部材1は、点検口T1の周縁に沿って設けられ、中央に開口T2を有する略四角形状の枠体である。蓋部材2は、枠部材1の開口T2を塞ぐことができる所定厚みの略四角形の平板状の板材である。図1中、破線は蓋部材2の外周を示している。カバー部材5は、枠部材1の各辺部材1a〜1dの室内空間S1側に各1つ計4つ取り付けられている。蓋部材2の外周は、図1に示すように、カバー部材5の内周縁よりも外側に位置している。ここで、「外側」とは、点検口T1の中心から離れる側を意味し、「内側」とは点検口T1の中心側を意味する。
枠部材1は、辺部材1a〜1dと、それらを繋ぐコーナー連結部材3a〜3dと、を備えている。辺部材1a〜1d及びコーナー連結部材3a〜3dはいずれも、蓋部材2を支持する強度を有する硬質材料で構成される。硬質材料としては、例えば、硬質の塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アルミニウム又はアルミニウム合金が挙げられる。
辺部材1a〜1dは、略四角形状の枠部材1の各辺を構成し、上側、下側、左側及び右側に位置する辺部材をそれぞれ、上辺部材1a、下辺部材1b、左辺部材1c及び右辺部材1dという。辺部材1a〜1dはいずれも両端が斜め45°の角度で切り落とされた長尺状の等脚台形であり、各辺部材1a〜1dの突合せ部分をコーナー連結部材3a〜3dで連結することにより一体化している。以下、コーナー連結部材3a〜3dを総称して「コーナー連結部材3」と記すこともある。
上記4つの辺部材1a〜1dのうち互いに交差する任意の辺部材の組は、請求項の「第1辺部材」及び「第2辺部材」に相当する。例えば、互いに交差する上辺部材1a及び右辺部材1dの組については、そのいずれか一方が「第1辺部材」に、他方が「第2辺部材」に相当する。このことは、右辺部材1dと下辺部材1bの組、下辺部材1bと左辺部材1cの組、及び左辺部材1cと上辺部材1aの組においても同様である。以下の説明においては、請求項との対応関係を明確にするために上辺部材1a及び右辺部材1dをそれぞれ「第1辺部材」及び「第2辺部材」と記すこともある。
図3はコーナー連結部材の斜視図であり、図4はコーナー連結部材に2つの辺部材(上辺部材1a及び右辺部材1d)を取り付けた後の枠部材1の一部切欠き斜視図であり、図5は図4の枠部材に蓋部材を取り付けた状態の一部切欠き斜視図であり、図6は、図5におけるVI−VI線断面図である。
コーナー連結部材3は、辺部材1a〜1dの突合せ部分を連結し、かつその連結部分を補強するものであり、図3に示すように、基底接触部31と、側壁接触部32と、嵌合部33と、延出接触部34とを一体に有している。
基底接触部31は、上面視でL字型の平板形状を呈し、このL字型の2辺のそれぞれの延びる方向に4本の溶着凸部35がL字型に設けられている。上記基底接触部31の2辺のそれぞれに対して1つずつ上辺部材1a及び右辺部材1dの後述する基底部12(図4)を溶着することで、図4に示すように上辺部材1a及び右辺部材1dをそれぞれ固定する。ここでの溶着は、辺部材1a、1dの基底部12をコーナー連結部材3の基底接触部31に接触させた上で、基底接触部31の下側から超音波を照射して溶着凸部35を溶融させることにより行なう。かかる溶着後には溶着凸部35が溶融して厚みが薄くなってしまうため、図4に示すように枠部材1の完成品においては溶着凸部35を確認することは困難となる。
基底接触部31の壁裏空間S2側の面(つまり図3における下側面)が枠部材1の四隅の壁裏空間S2側の端面となる。基底接触部31の外側端部には、室内空間S1側に立ち上がる側壁接触部32が一体に設けられている。また側壁接触部32よりも内側であって、かつ側壁接触部32に略平行に離間して2つの嵌合部33が一体に設けられている。
2方向に延びる基底接触部31の各先端には、コの字型に切り欠いた切欠き部7aが設けられている。当該切欠き部7aは、辺部材1a〜1dの挿通孔7にネジ又は釘等の固定部材Nを挿入するときに、当該固定部材Nが通過する部位である。このため、辺部材1a〜1dとの位置関係で言うと、切欠き部7aは、上述の辺部材1a〜1dの挿通孔7の下方に位置している。
側壁接触部32は、基底接触部31の外側端部から室内空間S1側に延びる平板状の部材であり、コーナー連結部材3aに取り付けた辺部材1a、1dの後述する側壁11の外側に接触する部位である。側壁接触部32は、外側壁11aの室内空間S1側の端部から壁裏空間S2側の端部までの長さと略同一長さだけ基底接触部31の外側端部から室内空間S1側に延出している。この側壁接触部32によって辺部材1a、1dの外側壁11aの外側面を押さえる。
嵌合部33は、辺部材1aの被嵌合部11d(外側壁11aと内側壁11bとの間)に嵌合させる平板状の部材であり、コーナー連結部材3a〜3dと辺部材1a〜1dとの位置合わせを容易にするために設けられる。側壁接触部32と嵌合部33とは互いに略平行となっており、側壁接触部32と嵌合部33との間には後述する外側壁11aが取り付けられる。嵌合部33は、基底接触部31のL字型の2辺のそれぞれに対して1つずつ計2つ設けられており、それぞれに対して辺部材1a、1dの被嵌合部11dを嵌合させることにより、コーナー連結部材3a〜3dに対する辺部材1a、1dの位置を合わせる。
嵌合部33は、図3に示すように、被嵌合部11dの間隙(後述する内側壁11bと外側壁11aとの間の距離)よりも厚みの小さいベース壁33aと、当該ベース壁33aの側面の一部をその厚み方向に突出させた突起33bと、を有している。突起33bは、ベース壁33aの長手方向に離間してそれぞれ4つずつ基底接触部31から室内空間S1側に延びており、被嵌合部11dに挿入された嵌合部33が意図せず被嵌合部11dから外れてしまうことを防止するために設けられる。
延出接触部34は、側壁接触部32の室内空間S1側(図3の上側)の端部から外側に延出する部位であり、図4に示すように辺部材1a〜1dの後述する延出部14の壁裏空間S2側に当接する。この延出接触部34が延出部14に当接することで枠部材1の外周部分が補強される。延出接触部34の厚みは、図6に示すように、壁材当接部14bの外側延出部14aからの突出長さと略同一とされている。このため、コーナー連結部材3に辺部材1a〜1dを取り付けた状態において、壁材当接部14bの壁裏空間S2側の面と延出接触部34とが略同一平面を構成している。
枠部材1を構成する辺部材1a〜1dはそれぞれ、図6に示すように、側壁11と、基底部12と、支持部13と、延出部14と、蓋縁支持部15と、を一体に有している。
側壁11は、点検口T1の縁に対向して設けられる平板状の部材であり、点検口T1の内縁全体に亘って設けられている。側壁11は、壁材Kに対向する外側壁11aと、外側壁11aよりも内側に外側壁11aに略平行に離間して配置された内側壁11bと、外側壁11aと内側壁11bとを内外に連結する連結壁11cとを有している。
外側壁11a及び内側壁11bの壁裏空間S2側の端部が被嵌合部11dとなる。被嵌合部11dは、壁裏空間S2側に開放された凹溝形状であり、辺部材1a〜1dの長手方向の全体に亘って設けられている。この被嵌合部11dに、コーナー連結部材3の後述する嵌合部33が挿入されることにより、各辺部材1a〜1dがそれぞれコーナー連結部材3a〜3dに固定される。
外側壁11a及び内側壁11bは、図6に示すように、連結壁11cよりも室内空間S1側に被係合部11eを形成している。被係合部11eは、室内空間S1側に開放された凹溝形状を有し、辺部材1a〜1dの長手方向の全体に亘って設けられている。被係合部11eを構成する内側壁11bの室内空間S1側の端部には、外側壁11a側に突出する鉤状部(突片)11hが形成されている。この鉤状部11hに、後述するカバー部材5の係合部53を挿入することにより係合部53が被係合部11eに係合し、カバー部材5が枠部材1に固定される。
鉤状部11hは、図6に示すように、室内空間S1側の先端から壁裏空間S2側に向けて徐々に厚みが厚くなる傾斜面11gと、傾斜面11gの壁裏空間S2側の端部と内側壁11bとを垂直に結ぶ段差11iとを有している。傾斜面11gは、係合部53が接触した時に係合部53を被係合部11e内に案内する角度で傾斜している。段差11iは、係合部53を引っ掛けることで係合部53が被係合部11eから簡単に外れることを防止している。
基底部12は、図6に示すように、内側壁11bの壁裏空間S2側の端部から内側に延出する平板状の部材であり、蓋部材2が枠部材1の壁裏空間S2側に外れてしまうことを防止するために設けられる。この基底部12の内側端部が枠部材1の内周縁となる。基底部12の壁裏空間S2側の面は、コーナー連結部材3の基底接触部31に当接している。基底部12には、図2に示すように、ネジあるいは釘などの固定部材Nの軸部を挿通する挿通孔7が形成されている。
支持部13は、図6に示すように、基底部12の内側端部から室内空間S1側に直角に延びる蓋側延出部13aと、基底部12の内側端部から壁裏空間S2側に直角に延びる下地側延出部13bと、を有している。蓋側延出部13aは、蓋部材2の外周近傍を壁裏空間S2側から支持し、下地側延出部13bは、点検口T1に枠部材1を取り付けた状態で下地桁材SKに当接している。蓋側延出部13aの室内空間S1側の端部は、後述する蓋縁支持部15の室内空間S1側の面と略同一平面とされている。下地側延出部13bの壁裏空間S2側への延出長さは、後述するコーナー連結部材3の基底接触部31の厚みと略同一になっている。
延出部14は、図6に示すように、外側壁11aの室内空間S1側の端部から外側に延出する外側延出部14aと、外側延出部14aの外側端部から壁裏空間S2側に延びる壁材当接部14bとを有している。外側延出部14aはコーナー連結部材3の延出接触部34に接触する部分であり、この外側延出部14aの室内空間S1側の端部には連結部52が取り付けられている。壁材当接部14bの外側延出部14aから壁裏空間S2側への延出長さは、延出接触部34の厚みと略同一となっている。枠部材1の点検口T1への取付は、壁材当接部14bの壁裏空間S2側の端部を点検口T1周辺の壁材Kに当接させることにより行なう。
蓋縁支持部15は、蓋側延出部13aの先端部分とともに蓋部材2の壁裏空間S2側を支持する部位であり、内側壁11bの内側面から内側に延びている。上述のように蓋側延出部13aと蓋縁支持部15との2点で蓋部材2の一辺の壁裏空間S2側が支持される。
カバー部材5は、カバー本体部51と、連結部52と、係合部53とを有している。
カバー本体部51は、図1に示すように辺部材1a〜1dの長手方向全体に亘って設けられ、開口T2の周縁の蓋部材2を室内空間S1側から保持する平板状の部材である。図6に示すカバー部材5を枠部材1に固定した状態(つまり係合部53を被係合部11eに係合させた状態)において、カバー本体部51の内周縁51aが蓋部材2の外周縁よりも内側に位置することで、蓋部材2が枠部材1の室内空間側に外れることを防止する。カバー本体部51の内周縁よりも係合部53側には当接片6が取り付けられている。
当接片6は、図6に示す断面視で、所定の角度をなして折れ曲がっており、係合部53が被係合部11eに係合した状態で当接片6の先端が蓋部材2の表面に接するように壁裏空間S2側に突出している。当接片6が蓋部材2の室内空間S1側に当接するとともに枠部材1の蓋側延出部13a及び蓋縁支持部15が蓋部材2の壁裏空間S2側に当接することで、蓋部材2が厚み方向の前後に固定される。
当接片6は、カバー本体部51の端部近傍に取り付けられており、可撓性を有する材料で構成されている。ここでの可撓性を有する材料の種類は特に限定されず、例えば、軟質の塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。弾性変形する前の(いわゆる自然状態の)当接片6の厚みは、蓋部材2が前後に動作することを防止し得る程度の強度と、指で押し込んだ時に容易に変形し得る程度の柔軟性とのバランスを両立するという趣旨で0.3mm以上1mm以下とされている。
連結部52は、カバー本体部51の外側の端部に設けられており、カバー本体部51と外側延出部14aとを連結している。連結部52の一端はカバー本体部51と一体化されており、連結部52の他端は外側延出部14aと一体化されている。連結部52も、当接片6と同様の可撓性材料で構成されている。この連結部52を変形させることにより被係合部11eに係合している係合部53の係合を解除することか可能となる。
係合部53は、枠部材1の被係合部11eに挿入される凸部であり、カバー本体部5aの長手方向全体に亘って設けられている。係合部53は、カバー本体部5aの蓋部材2と接する側の面から突出する平板状の首部53aと、首部53aの先端に一体に設けられた断面略円形状の増厚部53bとを備えている。
首部53aは、カバー本体部5aの壁裏空間S2側の面から突出し、カバー本体部5aの長手方向全体に亘って延びる平板状の部位である。図6に示すように、増厚部53bの直径は、外側壁11aと内側壁11bとの間の距離よりも若干小さく、首部53aの厚みは、増厚部53bの直径(厚み)よりもさらに小さくなっている。図6に示すように、カバー部材5の係合部53を被係合部11eに係合させた状態では、鉤状部11hの段差11iが、首部53aと増厚部53bとの境界部(括れ部)に係合している。
<枠部材の組立方法>
枠部材1の組立方法を説明する。まず、図3に示すコーナー連結部材3の2つの嵌合部33のうちの一方の嵌合部33に対し上辺部材1aの被嵌合部11dを嵌め込む。そして、他方の嵌合部33に対し右辺部材1dの被嵌合部11dを嵌め込む。嵌合部33は、上辺部材及び右辺部材1a、1dの取付位置を決定するために設けられるものであるため、上辺部材及び右辺部材1a、1dの被嵌合部11dを嵌合部33に嵌め込むだけの作業で、コーナー連結部材3に対する上辺部材1a及び右辺部材1dの取付位置を確定することができる。
次に、上辺部材1a及び右辺部材1dを取り付けた状態のコーナー連結部材3aを裏返す。つまり、溶着凸部35が形成されている面が下向きになるようにコーナー連結部材3aを配置する。このときにも嵌合部33の突起33bが被嵌合部11dに引っかかっているので、上辺部材1a及び右辺部材1dがコーナー連結部材3から外れにくくなっている。この状態で、コーナー連結部材3aの基底接触部31に対して超音波を照射することにより溶着凸部35を溶解させて、コーナー連結部材3と上辺部材1a及び右辺部材1dとを溶着する。これにより図4に示す状態、つまり上辺部材1a及び右辺部材1dがコーナー連結部材3aに一体化された状態とすることができる。これと同様の作業を各辺部材1a〜1dに対して実行することにより略四角形の枠体で構成される枠部材1を作製することができる。
<点検口装置の使用方法>
上記で作製した枠部材1を用いた点検口装置の使用方法を説明する。まず、図7に示すように、カバー部材5の係合部53を被係合部11eから外した状態の枠部材1を、点検口T1に挿入する。このとき、枠部材1は、コーナー連結部材3及び支持部13の壁裏空間S2側の端部が下地桁材SKに当接する位置まで挿入される。このとき、壁材当接部14bの壁裏空間S2側の端部も壁材Kに当接する。そして、ネジ等の固定部材Nを基底部12の挿通孔7に挿通して下地桁材SKにねじ込むことにより、枠部材1を下地桁材SKに固定する。
次に、図8に示すように、枠部材1の開口T2に蓋部材2を挿入して、蓋部材2の壁裏空間S2側の面が蓋側延出部13a及び蓋縁支持部15に当接する位置まで蓋部材2を押し込む。そして、カバー部材5の係合部53を辺部材1a〜1dの被係合部11e内に押し込むことにより、係合部53の増厚部53bを鉤状部11hに係合させる。カバー部材5の係合部53を係合させることで図2に示す状態となる。カバー部材5の係合部53を被係合部11eに係合させた状態では、増厚部53bが段差11iに引っかかるので、係合部53の係合状態は解除されにくく係合がロックされた状態となっている。また、当接片6の先端が蓋部材2の室内空間S1側の面に当接しているので、蓋部材2が枠部材1から外れることを防止することができる。
なお、壁裏空間S2内を点検するために枠部材1から蓋部材2を取り外す際には、上述の枠部材1に蓋部材2を取り付ける順序と逆の順序で作業を行えばよい。具体的には、まず、図2に示す状態において、カバー部材5と蓋部材2との隙間に指を入れて、この指を引き上げることにより被係合部11eによる係合部53の係合状態を解除し、図8に示すようにカバー部材5の係合部53を枠部材1から取り外す。そして、蓋部材2の室内空間S1側の面に設けられた図外の把手を持って、蓋部材2を室内空間S1側に引っ張ることにより、図7に示すように蓋部材2を枠部材1から取り外す。このようにして、枠部材1の開口T2から壁裏空間S2内を点検することができる。
<作用等>
以上説明したように、本実施形態に係る点検口装置100によれば、第1及び第2辺部材1a、1dの側壁11がコーナー連結部材3の側壁接触部32に接触しているので、第1及び第2辺部材1a、1dの側壁11に外側の力が加わっても第1及び第2辺部材1a、1dが外側に広がらないように側壁接触部32が第1及び第2辺部材1a、1dの外側への広がりを抑えることができる。
点検口T1に枠部材1を取り付ける時には延出部14を壁材Kに当接させることで延出部14の端部に負荷がかかるし、枠部材1に蓋部材2を取り付ける時にはカバー部材5の連結部52を弾性変形させることで、第1及び第2辺部材1a、1dの延出部14の室内空間側の端部に負荷がかかるが、当該延出部14がコーナー連結部材3の延出接触部34に沿って点検口T1の外側に延びているので、上記負荷の一部をコーナー連結部材3(延出接触部34)に逃がすことができる。このように第1及び第2辺部材1a、1dの延出部14にかかる負荷をコーナー連結部材3に逃がすことで、第1及び第2辺部材1a、1dの延出部14が変形することを抑制することができる。したがって、側壁11と側壁接触部32との接触面よりも点検口T1の内側で、上記コーナー連結部材3を第1及び第2辺部材1a、1dに固定すれば、コーナー連結部材3の側壁接触部32及び延出接触部34は第1及び第2辺部材1a、1dに固定しなくても(接触させるだけで)、枠部材1の第1及び第2辺部材1a、1dの交差部分の強度を十分に高めることができ、以って枠部材1の強度を高めることができる。
本実施形態によれば、従来技術のように辺部材1a〜1dの突合せ部分の室内空間S1側及び壁裏空間S2側の両側にコーナー連結部材3を設けなくても、壁裏空間S2側のみにコーナー連結部材3を設けるだけで、各辺部材1a〜1dを一体に連結することができる。このため、本実施形態によれば、従来のように、各辺部材1a〜1dの突合せ部分の両側(室内空間S1側及び壁裏空間S2側)に対してコーナー連結部材3を設ける場合に比して、各辺部材1a〜1d同士を連結するときの作業を簡略化することができる。
上記実施形態では、枠部材1に蓋部材2を取り付ける時に蓋部材2の壁裏空間S2側が基底部12に接触することで、蓋部材2の壁裏空間S2側を支持することができる。そして、上辺部材1a及び右辺部材1dの基底部12がコーナー連結部材3の基底接触部31に接触しているので、上辺部材1a及び右辺部材1dの基底部12に壁裏空間S2側向けの力が過剰に加わっても基底接触部31が基底部12を壁裏空間S2側から支えることができ、基底部12が壁裏空間S2側に変形することを抑制し得る。
また上辺部材1a及び右辺部材1dの側壁11、延出部14及び基底部12の3面のいずれか1つの部位に負荷が集中したときにもその負荷を他の1又は2の部位に分散することができるし、各部位がそれぞれコーナー連結部材3の側壁接触部32、延出接触部34及び基底接触部31のいずれかに接触しているので、コーナー連結部材3が上辺部材1a及び右辺部材1dの交差部分の強度を弱点なく補強し得る。
そして、コーナー連結部材3の基底接触部31が上辺部材1a及び右辺部材1dの基底部12の壁裏空間S2側に当接するため、枠部材1を下地桁材SKに取り付けたときに基底部12と下地桁材SKとの間に生じる空隙を埋めることができる。これにより下地桁材SKに取り付けたときの基底部12の脆弱性を基底接触部31によって補うことができ、以って壁材Kに枠部材1を取り付けたときの取付強度を高めることができる。
上記実施形態では、コーナー連結部材3の嵌合部33を上辺部材1a及び右辺部材1dの被嵌合部11dに嵌合することにより、コーナー連結部材3における上辺部材1a及び右辺部材1dの取付位置を仮決めすることができる。このように上辺部材1a及び右辺部材1dの取付位置を仮決めした上で、上辺部材1a及び右辺部材1dとコーナー連結部材3とを溶着することにより、上記溶着作業時に上辺部材1a及び右辺部材1dがコーナー連結部材3から位置ズレすることなく、上辺部材1a及び右辺部材1dとコーナー連結部材3とを容易に固定することができる。
上記実施形態では、上辺部材1a及び右辺部材1dの基底部12とコーナー連結部材3の基底接触部31とを溶着しているので、壁裏空間S2側の面で上辺部材1a及び右辺部材1dとコーナー連結部材3aとを溶着することができ、溶着作業を簡便に行うことができる。またこの部分は接触面積が幅広になっているのでこの部分を溶着することで両部材の接合強度を高めることができ、上辺部材1a及び右辺部材1dがコーナー連結部材3aから外れにくくなる。
本実施形態では、外側壁11aと内側壁11bとの間隔よりもベース壁33aの厚みを小さくしているので、嵌合部33を被嵌合部11dに嵌合させやすい。そして、ベース壁33aの側面に4つの突起33bを設けているので、嵌合部33を被嵌合部11dに嵌合させた状態で当該突起33bが被嵌合部11dの内側面(つまり外側壁11a)に接触するため、嵌合部33が被嵌合部11dに嵌合された状態で嵌合部33が被嵌合部11dから外れにくい。逆にベース壁33aに突起33bを設けていない場合には嵌合部33が被嵌合部11dに引っかからなくなるので、嵌合部33が被嵌合部11dから外れやすくなってしまう。嵌合部33が被嵌合部11dから外れることを防止するためにベース壁33aの厚みを外側壁11aと内側壁11bとの間隔と略同一とすると、これらの部位の接触面積が増えることで接触部分に摩擦が生じやすくなるので、嵌合部33を被嵌合部11dに嵌合させにくくなる。
コーナー連結部材3の基底接触部31は、コーナー連結部材3の他の部位に比して図6に示すように辺部材1a、1dとの接触部分が幅広になっているので、かかる幅広の面を超音波溶着することで溶着作業をしやすいし、両部材の接合強度を高めることができる。しかも、コーナー連結部材3a〜3dの基底接触部31が基底部12の壁裏空間側に溶着されているので、辺部材1a〜1dの基底部12の脆弱性をコーナー連結部材3の基底接触部31によって補うことができる。
上記溶着作業は、従来のそれよりも格段に簡便になっている。つまり上記実施形態においては、コーナー連結部材3が辺部材1a〜1dの壁裏空間S2側から室内空間S1側まで一体に接触する一部材となっているため、その溶着作業を一箇所のみに施すだけで両部材を一体化し得るし、溶着作業を施す箇所も両部材が幅広に接触している部分一箇所のみで足り、従来技術における両部材が幅狭に接触している部位の溶着作業は省略し得る。
上記実施形態において、鉤状部11hは、室内空間S1側の先端から壁裏空間S2側に向けて徐々に厚みが厚くなる傾斜面11gと、傾斜面11gの壁裏空間S2側の端部と内側壁11bとを垂直に結ぶ段差11iとを有し、増厚部53bは断面略円形状であるので、係合部53を被係合部11eに押し込むと、断面略円形状の増厚部53bが被係合部11eの傾斜面11gを滑って、被係合部11eの段差11iを超えるまで増厚部53bを円滑に動作させて係合部53を被係合部11eに係合させることができる。しかも、係合部53を係合させた状態では、増厚部53bが段差11iに引っかかるので係合状態が解除されにくくなっている。
カバー部材5は、可撓性の連結部52を介して辺部材1a〜1dと一体化されているので、連結部52を曲げ伸ばしすることにより、カバー部材5を辺部材1a〜1dに連結した状態のまま、辺部材1a〜1dに対してカバー部材5を動作させることができる。つまり、カバー部材5が辺部材1a〜1dから完全に分離することがないので、係合部53の係合を解除したときにカバー部材5を紛失することを防止することができる。
上記実施形態において、被係合部11eが内側壁11bに鉤状部11hが形成された凹部であり、係合部53が厚みの大きい増厚部53bが先端に形成された凸部であり、被係合部11eに係合部53を挿入して増厚部53bが鉤状部11hを乗り越えることにより係合部53が被係合部11eと係合するので、被係合部11eに対して係合部53を軽く押し込むことで、増厚部53bが鉤状部11hを乗り越えて凹部に凸部を容易に係合させることができるし、この係合状態で凸部を軽く引っ張ることにより、凸部を押し込むときとは反対方向に増厚部53bが鉤状部11hを乗り越え、凸部を凹部から容易に取り外すことができる。このように係合部53を被係合部11eに係合させやすいし、またその係合状態を容易に解除することもできる。
また、下地側延出部13bの壁裏空間S2側への延出長さが、後述するコーナー連結部材3の基底接触部31の厚みと略同一になっているので、辺部材1a〜1dにコーナー連結部材3a〜3dを取り付けたときに基底接触部31の壁裏空間S2側の面と下地側延出部13bの壁裏空間S2側の面とがいずれも下地桁材SKに当接し、下地桁材SKに取り付けた枠部材1が安定しやすい。
しかも、壁材当接部14bの外側延出部14aから壁裏空間S2側への延出長さが、延出接触部34の厚みと略同一となっているので、壁材Kに枠部材1を取り付けたときに、壁材当接部14b及び延出接触部34の両方が壁材Kに当接することになるので、壁材Kに取り付けた枠部材1が安定しやすい。
(変形例)
上記実施形態において、枠部材1の四隅全てに同一のコーナー連結部材3を設ける場合を説明したが、枠部材1の四隅のいずれか一隅のみに上記構成を有するコーナー連結部材3aを用いる限り、他のコーナー連結部材3b〜3dは上記実施形態で説明したものとは別形状であってもよい。辺部材1a〜1dについても同様で、枠部材1の四辺全てに上記実施形態の構成の辺部材を用いる必要はなく、枠部材1を構成する辺部材1a〜1dのうちのいずれか2以上の辺部材が請求項でいう「第1辺部材」及び「第2辺部材」に相当するものである限り、他の辺部材は別形状であっても差し支えない。
上記実施形態においては、上辺部材1a及び右辺部材1dの基底部12とコーナー連結部材3の基底接触部31とを溶着によって固定したが、側壁11と側壁接触部32との接触面よりも内側(点検口T1の中心側)で、上辺部材1a及び右辺部材1dがコーナー連結部材3に固定されている限り、上記実施形態の固定位置に限られない。例えば、上辺部材1a及び右辺部材1dの被嵌合部11dとコーナー連結部材3の嵌合部33とを溶着により一体化してもよい。この部分を溶着することでも、コーナー連結部材3から上辺部材1a及び右辺部材1dを外れにくくすることができる。
上記実施形態においては、基底接触部31に対して4本のL字型の溶着凸部35を設ける場合を説明したが、上記溶着凸部35の本数は4本に限定されず、3本以下であっても5本以上であってもよい。また、上辺部材1a及び右辺部材1dとコーナー連結部材3との固定方法は、超音波溶着に限定されず、例えば接着剤による接着を用いてもよい。
上記実施形態において、側壁11は、外側壁11aと内側壁11bの2枚を平行に離間して設け、その略中央部を連結壁11cによって連結したものを用いているが、上記実施形態のみに限られず、例えば外側壁11aと内側壁11bとが一体の板状部材を構成し、当該板状部材の室内空間S1側及び壁裏空間S2側にそれぞれ各1つの凹溝(被係合部及び被嵌合部)が設けられる形態であってもよい。
上記実施形態においては、内側壁11bの先端部に鉤状部11hを形成しているが、鉤状部11hを外側壁11aの先端部に形成してもよいし、鉤状部11hを内側壁11bと外側壁11aの双方に形成してもよい。鉤状部11hを外側壁11aに形成する場合には、鉤状部11hは内側壁11b側に突出させることになる。
上記実施形態においては、側壁11に被係合部11eを形成し、カバー部材5に係合部53を形成しているが、逆に、カバー部材5に被係合部を形成し、側壁11に係合部を形成してもよい。
上記実施形態においては、係合部53の先端部の断面が略断面円形状である増厚部53bを説明したが、増厚部53bの断面形状は、三角形状(矢尻状)であってもよい。
上記実施形態においては、点検口装置100に取り付ける壁材Kが側壁の場合を説明したが、天井の点検口又は床下点検口に取り付けてもよい。