JP5391128B2 - コーナーカバー - Google Patents

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Description

本発明は、壁隅を挟んで配置された一対の幅木又は廻り縁を被覆するコーナーカバーに係り、特に、長手方向に沿って凹溝が形成された表面を有する幅木又は廻り縁を被覆するに好適なコーナーカバーに関する。
従来から、室内の壁のうち床に接する壁縁には、長尺状の壁縁用板材である幅木が取り付けられており、天井に接する壁縁には、長尺状の壁縁用板材である廻り縁が取り付けられている。そして、室内のうち入隅又は出隅である壁隅には、一対の壁縁用板材が、壁隅を挟んで配置されている。
壁隅における壁縁用板材を施工する際には、壁隅に配置される壁縁用板材の端面となる木口が斜め45°に傾斜するように、壁縁用板材をカットしたり、予め傾斜した木口に加工されたコーナー用の壁縁部材を準備したりして、これらの傾斜した木口同士に隙間ができないように木口同士を突合せている。しかしながら、施工者の施工技術、木口の加工精度の違いにより、正確に木口同士を突合わせることは容易ではなく、施工品質にばらつきが出易いのが実情である。また、仮に、木口の突合わせがうまくいった場合であっても、長年の使用に伴い、木口近傍から壁面に貼り付けられた化粧シートの一部が剥離したり、基材との収縮差によって木口近傍に隙間が生じたりして、壁隅の意匠性を損なうことがある。
このような点を鑑みて、例えば、壁隅を挟んで配置された一対の壁縁用板材(幅木又は廻り縁)を覆うためのコーナーカバーが提案されている。コーナーカバーの一例として、壁面と、これに対向する壁縁用板材の裏面との間に、鉛直方向から挿入される挟持羽根部を有し、該挟持羽根部とカバー本体との間において壁縁用板材を挟持するコーナーカバーが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、別の態様として、長手方向に沿って凹溝が形成された面が表面となり、壁面に対向する面が裏面となるように配置される壁縁用板材を用いた場合には、この表面の凹溝に係合するような係合凸部をカバー内側面に設けたコーナーカバーが提案されている(例えば特許文献2参照)。
実用新案登録第3127147号公報 実開平5−78794号公報
しかしながら、特許文献1に記載のコーナーカバーの場合、挟持羽根部とカバー本体との間において壁縁用板材を挟持しているので、コーナーカバーの水平方向の移動は拘束されるが、鉛直方向の移動は拘束されない。従って、コーナーカバーの鉛直方向の移動を抑えるためには、コーナーカバーと壁縁用板材とを接着剤や両面テープで固着する必要があった。
また、特許文献2に記載のコーナーカバーの場合、壁縁用板材の表面に形成された凹溝と、コーナーカバーの内側面に形成された係合凸部とが係合するため、コーナーカバーの鉛直方向の移動は拘束されるが、水平方向の移動は拘束されない。従って、このような場合であっても、コーナーカバーの水平方向の移動を抑えるためには、コーナーカバーと壁縁用板材とを接着剤や両面テープで固着する必要があった。
このように、コーナーカバーに接着剤を用いた場合、施工時には、コーナーカバーは固着されているが、経年の使用による接着剤または両面テープの粘着剤の劣化、コーナーカバーと壁縁用板材との収縮差等により、壁隅からコーナーカバーが外れてしまうことがあった。このような場合、メンテナンスをする際には、壁縁用板材を再手配し再設置(張替え)をすることもあり、メンテナンスの時間、手間、及びコストがかかり過ぎてしまうことがあった。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、接着剤又は両面テープを用いることなく、壁隅を挟んで配置された一対の壁縁用板材に容易に取り付けることができ、長期間使用しても脱落することがないコーナーカバーを提供することにある。
前記課題を解決すべく、発明者らは、以下に示すような検討を重ねた。例えば、特許文献1に示す挟持羽根部を用いた場合に、壁面に対向する壁縁用板材の裏面に、この挟持羽根部と嵌合する嵌合溝を設ければ、コーナーカバーの鉛直方向の移動が拘束される。しかしながら、この場合、壁縁用板材のコーナー近傍の裏面に新たな溝加工を施す必要があり、このような加工は、費用や手間等を考えた場合、現実的ではないと考えた。
そこで、挟持羽根部を用いつつ、壁縁用板材の裏面の加工は行わず、特許文献2に示すように、壁縁用板材の表面に長手方向に沿って形成された凹溝を利用することが望ましいと考えた。なお、この凹溝は、壁縁用板材を壁に固定する釘等の固定具が入り込むための溝であるため、一般的な幅木又は廻り縁であれば表面に形成されているものであり、この凹溝を利用すれば、新たな溝加工を施す必要がないので余分なコストはかからない。
このような観点から、発明者らは、挟持羽根部と、表面の凹溝に係合する係合凸部と、組み合わせた数多くの種類のコーナーカバーを製作し、製作したコーナーカバーを用いて、繰り返し実験を行った。その際に、図11(a)に示すコーナーカバー(幅木の入隅用コーナーカバー)90を用いて、図11(b)に示すように鉛直方向Vから壁隅用板材(幅木50)にコーナーカバー90を挿入しよう(差し込もう)とした場合、コーナーカバー90の挟持羽根部92が破損することがわかった。
そこで、発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、図11(c)に示すように、コーナーカバー90を壁縁用板材50に挿入する初期段階においては、スムーズにコーナーカバーを容易に下方に移動させることができるが、図11(d)に示すように、ひとたび、係合凸部93が壁縁用板材50の表面53に乗り上げると、係合凸部93に対向する位置の挟持羽根部92の部分92aに過度の力が作用してしまい、これによりこの部分92aが破損したものと考えた。このような現象は、出隅用幅木用のコーナーカバー、及びこれらに対応する廻り縁用のコーナーカバーであっても、同様に発生すると考えられる。
そして、この破損原因を究明した結果、発明者らは、これらいずれのコーナーカバーを用いた場合であっても、挟持羽根部と係合凸部との双方を用いて、挿入時に挟持羽根部に過度の力が作用しないようにする(挟持羽根部が破損しないようにする)ためには、係合凸部に対向する位置に挟持羽根部の部分が存在しないことが最も重要であるという、これまでに無い新たな知見を得た。
本発明は、発明者らが得たこの新たな知見に基づくものであり、本発明に係るコーナーカバーは、長手方向に沿って凹溝が形成された面が表面となり、壁面に対向する面が裏面となるように、壁隅を挟んで壁縁に配置された一対の幅木又は廻り縁である壁縁用板材を覆うコーナーカバーであって、該コーナーカバーは、天井又は床に端縁部を対向配置することにより、前記一対の壁縁用板材の前記表面を被覆する表面被覆部と、前記壁縁用板材の裏面と前記壁面との間に配置することにより、前記表面被覆部と共働して前記壁縁用板材を挟持する板状の挟持羽根部と、前記一対の壁縁用板材の端面を仕切るように鉛直方向に沿って延在し、前記挟持羽根部に接合することにより前記挟持羽根部を支持する羽根支持部と、を少なくとも備えており、前記表面被覆部には、前記凹溝に係合する係合凸部が形成されており、前記挟持羽根部と前記羽根支持部との接合部分は、鉛直方向において前記係合凸部よりも前記端縁部側にあることを特徴とするものである。
本発明によれば、挟持羽根部とこれを支持する羽根支持部と接合部分は、鉛直方向において係合凸部よりも前記端縁部側にあるので、係合凸部に対向する位置には、羽根支持部に接合された挟持羽根部の接合部分が存在しないことになる。これにより、コーナーカバーを鉛直方向から壁縁用板材に取り付ける際に、表面被覆部に形成された係合凸部が、壁縁用板材の凹溝に係合する前に、壁縁用板材の表面に乗り上げたとしても、係合凸部に対向する位置には挟持羽根部は存在しないので、過度の力が作用することによる挟持羽根部の破損はなく、スムーズにコーナーカバーを壁隅に配置することができる。
このような結果、表面被覆部と挟持羽根部との間において壁縁用板材が挟持されるので、コーナーカバーの水平方向の移動を拘束することができ、さらに、壁縁用板材の表面に形成された凹溝と、コーナーカバーの内側面に形成された係合凸部とが係合するので、コーナーカバーの鉛直方向の移動を拘束することができ、長年使用した場合であっても、コーナーカバーが壁縁用板材から脱落することはない。
ここで、本発明にいう「挟持羽根部と羽根支持部との接合部分が、鉛直方向において係合凸部よりも端縁部側にある」とは、その鉛直方向における挟持羽根部と羽根支持部との接合部分(接合部分の鉛直方向に沿った端縁部側と反対側の少なくとも端部分)が、少なくとも係合凸部の頂部よりも端縁部側にあることをいい、この係合凸部の頂部に対向する位置に、接合部分が位置しないことを意味するものである。そして、取り付け対象が幅木の場合、接合部分は、係合凸部の頂部よりも下側にあり、廻り縁の場合、接合部分は、係合凸部の頂部よりも上側にあることになる。
このような挟持羽根部は、上述した接合位置において羽根支持部に接合され、かつ、鉛直方向から壁縁用板材の裏面と壁面との間にスムーズに挟持羽根部を挿入し、壁縁用板材を挟持することができるのであれば、その形状、大きさ等は特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましくは、前記挟持羽根部の前記端縁部側の端部は、先細り形状になっている。本発明によれば、挟持羽根部の端縁部側の端部が先細り形状となっているので、壁縁用板材のコーキングを切りながら、壁縁用板材の裏面と壁面との隙間に、挟持羽根部が容易に入り込むことができる。
また、羽根支持部は、挟持羽根部と上述した接合位置で接合し、安定して挟持羽根部を支持することができるのであれば、特に、その構造は限定されるものではない。しかしながら、より好ましくは、前記羽根支持部の前記端縁部側の端部が、前記突出端部の先端に一致するように、アーチ状に凹んでいる。本発明によれば、羽根支持部の前記端縁部側の端部が、アーチ状となっているので、コーナーカバー挿入時に、この端部における応力集中を回避することができる。また、挟持羽根部の先細り形状の端部と相まって、挟持羽根部と羽根支持部とにより得られる端部形状は、鏃(やじり)形状となるので、壁縁用板材の裏面と壁面との間に、コーキング材などの樹脂材が存在した場合であっても、この端部によりこの樹脂材を切断しながら、よりスムーズにコーナーカバーを壁隅に挿入することができる。
また、本発明に係るコーナーカバーの前記挟持羽根部には、前記係合凸部側に向かって張出した張出し部が形成されていることが好ましく、前記張出し部は、前記羽根支持部の近傍に切欠き部を形成していることがより好ましい。
本発明によれば、この張出し部により、さらに補助的に壁縁用板材を挟持することができるので、挟持羽根部の挟持をより強固にすることができる。また、張り出部を、係合凸部に対向した位置、さらには、係合凸部を超えた位置においても、設けてもよい。また、張出し部の羽根支持部の近傍に切欠き部を形成することにより、張出し部は、羽根支持部に干渉することなく水平方向に撓み易くなり、コーナーカバーを鉛直方向から取り付ける際に、張出し部は引っかかりなくスムーズに、壁縁用板材の裏面と壁面との隙間に、挟持羽根部が容易に入り込むことができる。
さらに、本発明に係るコーナーカバーの前記挟持羽根部は、前記端縁部側に進むに従って、前記表面被覆部との間隔が広くなるように傾斜していることが好ましく、前記張出し部は、該張出し部以外の挟持羽根部の部分よりもより大きく傾斜していることがより好ましい。
本発明によれば、挟持羽根部は、端縁部側に進むに従って、表面被覆部との間隔が広くなるように傾斜しているので、挟持羽根部と表面被覆部との間に形成された挟持空間に、壁隅用板材を案内し易い。さらに、張出し部の傾斜角度が、張出し部以外の挟持羽根部の部分の傾斜角度よりもより大きくなっているので、張出し部による壁隅用板材の挟持をより向上させることができ、コーナーカバー取り付け後のガタツキを軽減することができる。
さらに、本発明に係るコーナーカバーは、前記表面被覆部と連続し、前記一対の壁縁用板材の側面を被覆する側面被覆部を備えており、前記羽根支持部は、前記側面被覆部の内側面に接合されている。このような構造にすることで、羽根支持部は補強されるので、例えば、側面被覆部を、金槌やゴムハンマー等で鉛直方向から軽く叩くことにより、挟持羽根部及び羽根支持部が破損することなく、容易にコーナーカバーを取り付けることができる。
また、本発明に係るコーナーカバーの前記係合凸部のうち前記表面被覆部の周縁近傍の部分には、前記係合凸部の他の部分に比べて膨らんだ隆起部が形成されていることが好ましい。本発明によれば、表面被覆部の周縁近傍に隆起部を設けることにより、コーナーカバーを鉛直方向から壁縁用板材に挿入する際に、係合凸部のうち隆起部分のみが、壁縁用板材の表面に接触した状態で乗り上げるので、壁縁用板材との接触面積を小さくすることができ、スムーズにコーナーカバーを壁隅に配置することができる。
本発明によれば、接着剤又は両面テープを用いることなく、壁隅の壁縁用板材に容易に取りつけることができ、長期間使用しても脱落することがない。
第一実施形態のコーナーカバーとして、幅木の入隅用、幅木の出隅用、廻り縁の入隅用、廻り縁の出隅用のコーナーカバーを配置した状態を示した模式的斜視図。 第一の実施形態に係る幅木の入隅用のコーナーカバーを説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すA矢視側面図であり、(d)は、(a)に示す、B矢視側面図。 (a)は、図1のA−A線に沿った矢視断面図であり、(b)は、図1のB−B線に沿った矢視断面図。 コーナーカバーを幅木と壁隅との間に挿入する状態を説明するための模式的断面図であり、(a)は、コーナーカバーの取り付けの初期状態の断面図、(b)は、係合凸部が幅木の表面に乗り上げた状態の断面図、(c)は、壁縁用板材へのコーナーカバーの取り付けが完了した状態の断面図。 第一の実施形態に係る幅木の出隅用のコーナーカバーを説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すC矢視側面図であり、(d)は、(a)に示す、D矢視側面図。 第二の実施形態に係る幅木の出隅用のコーナーカバーを説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すA矢視側面図であり、(d)は、(a)に示す、B矢視側面図。 図6(a)のC−C線に沿った矢視断面図。 図6に示すコーナーカバーを設置する方法を説明するための図であり、(a)は、上方からコーナーカバーを挿入する方法を説明するための図、(b)は、水平方向からコーナーカバーを挿入する方法を説明するための図。 (a)は、図8(a)のD−D線に沿った矢視断面図、(b)は、図8(a)のE−E線に沿った矢視断面図。 第二の実施形態に係る幅木の出隅用のコーナーカバーを説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すC矢視側面図であり、(d)は、(a)に示す、D矢視側面図。 これまでの実験により製作した幅木の入隅用のコーナーカバーの一例を説明するためのであり、(a)は、コーナーカバーの模式的斜視図、(b)上方からコーナーカバーを取り付ける方法を説明するための図、(a)は、コーナーカバーの取り付けの初期状態の断面図、(b)は、係合凸部が幅木の表面に乗り上げた状態の断面図。
以下に、図面に基づき、本発明に係るコーナーカバーの2つの実施形態を説明する。
図1は、コーナーカバーとして、第一実施形態に係るコーナーカバーを配置した状態を示した模式的斜視図である。図2は、第一の実施形態に係る幅木の入隅用コーナーカバーを説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すA矢視側面図であり、(d)は、(a)に示すB矢視側面図である。図3の(a)は、図1のA−A線に沿った矢視断面図であり、(b)は、図1のB−B線に沿った矢視断面図である。図4はコーナーカバーを幅木と壁隅との間に挿入する状態を説明するための模式的断面図であり、(a)は、コーナーカバーの取り付けの初期状態の断面図、(b)は、係合凸部が幅木の表面に乗り上げた状態の断面図、(c)は、壁縁用板材へのコーナーカバーの取り付けが完了した状態の断面図である。
本実施形態に係るコーナーカバー1Aは、図1に示す幅木50に用いるためのコーナーカバーである。まず、入隅CA及び出隅CBに配置された幅木50について説明する。幅木50は、長尺状の壁縁用板材であり、長手方向Lに沿って凹溝51が形成された面が表面53となり、壁面Wに対向する面が裏面54となり(図3参照)、一方の側面55が天井側に向き、他方の側面56が床側に接する(図4参照)ように壁隅の壁面Wに配置されている。また、壁隅となる入隅CA又は出隅CBでは、一対の幅木50が、入隅CA又は出隅CBを挟んで、幅木50の端面(木口)58が向いあうように配置されている(図3参照)。
まず、幅木の入隅用コーナーカバー1Aについて説明する。図2及び図3(a)に示すように、幅木の入隅用コーナーカバー1Aは、入隅CAを挟んで配置された一対の幅木50を覆う樹脂製のコーナーカバーであり、射出成形により一体成形されている。コーナーカバー1Aは、表面被覆部10A、側面被覆部15A、挟持羽根部20A、及び羽根支持部30Aを少なくとも備えている。
表面被覆部10Aは、床に近接するように、下方側の端縁部11Aを床に対向配置することにより、一対の幅木50,50の表面53を被覆する部分であり、入隅の形状に合わせて水平方向に沿った断面がL字状になっている。表面被覆部10Aの内側面12Aには、幅木50の凹溝51に係合する係合凸部13Aが形成されている。また、側面被覆部15Aは、幅木50の側面55を被覆する部分であり、表面被覆部10Aと連続して形成されている。
挟持羽根部20Aは、一対の幅木50,50の双方の裏面54,54と壁面Wとの間に配置するための板状の部分であり、表面被覆部10Aと共働して幅木50を挟持する部分である(図3参照)。具体的には、表面被覆部10Aから入隅CAに向って延在した羽根支持部30Aが挟持羽根部20Aを支持することにより、コーナーカバー1Aには、表面被覆部10Aと挟持羽根部20Aとの間に幅木50を挟持するための挟持空間SAが形成される。なお、挟持羽根部20Aの肉厚は、コーナーカバー取り付け時に、挟持羽根部20Aが破損せず、設置後に幅木50が浮き上らない程度であることが望ましい。
さらに羽根支持部30Aは、入隅の一対の幅木50の端面58を仕切るように、表面被覆部10Aの内側面12Aから入隅CAに向って鉛直方向Vに沿って延在しており、挟持羽根部20Aを鉛直方向Vに沿って接合部33Aにおいて接合することにより、挟持羽根部20Aを支持している。
挟持羽根部20Aと羽根支持部30Aとの接合部分33Aは、鉛直方向Vにおいて係合凸部13Aよりも端縁部11A側(下側)にある(図2(c),(d)参照)。換言すると、接合部分33Aの少なくとも上側(端縁部11Aと反対側)の端部の位置P2が、鉛直方向Vにおいて係合凸部13Aの頂部の位置P1よりも下側となっている。
さらに、挟持羽根部20Aの端部のうち端縁部11A側(下側)の下方端部21Aは、V字状に先細り形状(テーパー付きの形状)となっており、この下方端部21Aの先細りの先端と、羽根支持部30Aの端部のうち端縁部11A側(下側)の下方端部31Aとが一致している。
このように構成されたコーナーカバー1Aは、挟持羽根部20Aとこれを支持する羽根支持部30Aとの接合部分33Aが、鉛直方向Vにおいて係合凸部13Aよりも下側(端縁部11A側)にあるので、係合凸部13Aに対向する位置には、羽根支持部30Aに接合された挟持羽根部20Aの接合部分が存在しないことになる。
これにより、図4(a)に示すように、コーナーカバー1Aを下方に向って鉛直方向Vから、挟持羽根部20Aが、幅木50の裏面54と壁面Wとの隙間に差し込まれ、図4(b)に示すように、表面被覆部10Aに形成された係合凸部13Aが、幅木50の凹溝51に係合する前に、表面53に乗り上げたとしても、係合凸部13Aに対向する位置には挟持羽根部20Aの接合部分が存在しない。
この結果、図4(b)の状態からさらにコーナーカバー1Aを、下方に押し込んだとしても、挟持羽根部20Aには過度の力が作用することはなく(取り付け時における挟持羽根部20Aの破損はなく)、スムーズに、図4(c)に示すようにコーナーカバー1Aを入隅CAに配置することができる。また、挟持羽根部20Aの端部21Aが先細り形状となっているので、幅木50のコーキングを切りながら、幅木50の裏面54と壁面Wとの隙間に、挟持羽根部20Aを容易に入り込むことができる。
このようにして、表面被覆部10Aと挟持羽根部20Aとの間において形成された挟持空間に、幅木50が挟持されるので、コーナーカバー1Aの水平方向(壁面と垂直方向)の移動を拘束することができ、さらに、幅木50の凹溝51と、コーナーカバー1Aの係合凸部13Aとが係合するので、コーナーカバー1Aの鉛直方向Vの移動を拘束することができる。この結果、コーナーカバー1Aが幅木50から脱落することを防止することができる。また、これまでにコーナーカバー1Aが取り付けられていない入隅CAにおいて、仮に何らかの衝撃等により、幅木50の一部が剥離、損傷等した場合であっても、コーナーカバー1Aを簡単に取り付けることができるので、損傷した幅木50の意匠性を保ちつつ、その部分を修復することができる。
図5は、第一の実施形態に係る幅木の出隅用のコーナーカバーを説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すC矢視側面図であり、(d)は、(a)に示す、D矢視側面図である。
なお、図5に示す、幅木の出隅用のコーナーカバー1Bは、図1に示す入隅用のコーナーカバー1Aを出隅の形状に合わせて各部分の形状を変更している。従って、幅木の入隅用のコーナーカバー1Aと同じ機能を有する部分には、符号の末尾の文字「A」を「B」に変更した符号を付し、以下にその変更点のみを、図5と共に、図1及び図3(b)を参照して簡単に説明する。
図5に示すように、幅木の出隅用のコーナーカバー1Bは、出隅CBの形状に合わせて、表面被覆部10Bと、挟持羽根部20Bが形成されており(図1及び図3b参照)、挟持羽根部20Bとこれを支持する羽根支持部30Bとの接合部分33Bは、鉛直方向Vにおいて係合凸部13Bよりも下側(端縁部11B側)にあるので、幅木の入隅用のコーナーカバー1Aの上述した効果と同様の効果が得られる。
また、図2及び図5において、幅木用のコーナーカバー1A,1Bを示したが、図1に示す廻り縁60の形状に合わせて、図2及び図5と同様の構造のコーナーカバー1C,1Dを製作すれば、図1に示す廻り縁の入隅用、又は廻り縁の出隅用のコーナーカバー1C,1Dも幅木用コーナーカバー1A,1Bと同じ構造であるので、上述したコーナーカバー1A,1Bと同様の効果が得られることは勿論である。
図6は、第二の実施形態に係る幅木の入隅用を説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すA矢視側面図であり、(d)は、(a)に示す、B矢視側面図である。図7は、図6(a)のC−C線に沿った矢視断面図である。
なお、第二実施形態のコーナーカバーが、第一実施形態のコーナーカバーと相違する点は、挟持羽根部及び羽根支持部の構造と、係合凸部の一部の構造であり、その他の部分は、同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
図6に示すように、コーナーカバー1A’の挟持羽根部20A’には、鉛直方向Vにおいて、接合部分33Aから係合凸部13A側に向かって、縁部22Aの一部が傾斜して張出した張出し部23Aが形成されており、張出し部23Aは、羽根支持部30A’の近傍に切欠き部24Aを形成している。
また、図7に示すように、挟持羽根部20A’は、端縁部11A側(下側)に進むに従って、表面被覆部10Aの内側面12Aとの間隔が広くなるように傾斜している。また、端縁部側(下側)における挟持羽根部20A’と表面被覆部10Aとの間隔は、幅木50が案内できるように、幅木50の厚みよりも広くなっている。さらに、張出し部23Aは、張出し部23A以外の挟持羽根部20A’の部分25Aの傾斜角度θ1よりもより大きい傾斜角度θ2で傾斜しており、係合凸部側(上側)における張出し部23Aと表面被覆部10Aとの間隔は、この間で幅木50をより確実に挟持できるように、幅木50の厚みよりも狭くなっている。
羽根支持部30A’は、端縁部側(下側)の端部32Aにおいて、設置時の応力集中による挟持羽根部20A’の破損・樹脂の白化を防止すべくアーチ状に凹んでいる。また、端部32Aは、挟持羽根部20A’の先細り形状となる下方端部21Aの先端に一致している。これにより、挟持羽根部20A’と羽根支持部30A’との端部形状は、鏃(やじり)形状となっている。さらに羽根支持部30A’は、上側において、側面被覆部15Aの内側面16Aに接合されている。
係合凸部13Aのうち表面被覆部10Aの周縁近傍の部分には、係合凸部13Aの他の部分に比べてさらに隆起した隆起部14Aが形成されている。この隆起部14Aは、表面被覆部10Aの一部を、係合凸部13よりもさらに内側(幅木が配置される側)に屈曲することにより形成されており、隆起部14Aは、表面被覆部10Aの内側面12Aに対して傾斜した面を有している。
以下に図6に示すコーナーカバーを取り付ける方法を図8及び図9を参照して説明する。図8の(a)は、上方からコーナーカバーを挿入する方法を説明するための図、(b)は、水平方向からコーナーカバーを挿入する方法を説明するための図である。図9(a)は、図8(a)のD−D線に沿った矢視断面図、図9(b)は、図8(a)のE−E線に沿った矢視断面図である。
図8(a)に示すように、鉛直方向からコーナーカバー1A’を取り付けようとした場合、側面被覆部15Aを、金槌やゴムハンマー等で鉛直方向Vから軽く叩くことにより、コーナーカバー1A’の挟持羽根部20A’を幅木50と壁面Wとの隙間に差し込む。羽根支持部30A’は、側面被覆部15Aに接合されているので、コーナーカバー1A’の補強リブとして働くため、コーナーカバー1A’の剛性を高め、樹脂製である挟持羽根部20A’及び羽根支持部30A’が白化または破損することなく、容易にコーナーカバー1A’を取り付けることができる。
また、挟持羽根部20A’は、端縁部11A側(下側)に進むに従って、表面被覆部10Aとの間隔が広くなるように傾斜しているので、挟持羽根部20A’と表面被覆部10Aとの間に、幅木50が案内されやすい。さらに、挟持羽根部20A’と羽根支持部30A’とにより形成される端部形状は、鏃(やじり)形状となっているので、例えば、図9(b)に示すように幅木50の端面が突き合せて設置されている場合や、幅木50の裏面と壁面Wとの間にコーキング材などの樹脂材が存在した場合であっても、この端部によりこの樹脂材を切断しながら、コーナーカバーを差し込むことができる。
また、張出し部23Aに切欠き部24Aを形成することにより、張出し部23Aは、水平方向に撓み易く、コーナーカバー1A’を鉛直方向Vから取り付ける際には、たとえ傾斜角度が大きい張出し部23Aであっても、張出し部23Aは、幅木10の裏面54などに引っかかり難い。
さらに、表面被覆部10Aの周縁近傍に隆起部14Aを設け、その隆起部14Aを傾斜面により形成したので、垂直方向の隆起部14Aに作用する負荷の応力集中を軽減し、係合凸部13Aのうち隆起部14Aのみを幅木50の表面に接触した状態で(第一実施形態よりもより小さい接触面積で)スムーズに乗り上げることができる。
以上のような理由から、コーナーカバー1A’を破損させることなくスムーズに、幅木50に取り付けることができる。
なお、図8(b)に示すように、水平方向からコーナーカバー1A’を取り付けてもよく、この場合、張出し部の縁部22Aが傾斜しているので、挟持羽根部20A’をスムーズに幅木50と壁面Wとの間に差し込むことができる。
このようにして得られたコーナーカバー1A’は、張出し部23Aを設けることにより、接合部分から係合凸部13A側の位置においても、張出し部23Aが補助的に幅木50を挟持し、さらには、張出し部23Aが、張出し部23A以外の挟持羽根部20A’の部分よりもより大きく傾斜しているので、張出し部23Aによる幅木50の挟持をより向上させ、挟持羽根部20A’の挟持をより強固にすることができる。
図10は、それぞれ、第二の実施形態に係る幅木の出隅用コーナーカバーを説明するための模式図であり、(a)は、内面側からコーナーカバーを見た斜視図、(b)は、外面側からコーナーカバーを見た斜視図であり、(c)は、(a)に示すC矢視側面図であり、(d)は、(a)に示す、D矢視側面図である。
なお、図10に示す、幅木の出隅用のコーナーカバー1B’は、図6に示す入隅用のコーナーカバー1A’を出隅の形状に合わせて各部分の形状を変更した。従って、幅木の入隅用のコーナーカバー1A’と同じ機能を有する部分には、符号の文字「A」を「B」に変更した符号を付した。そして、図10に示すように、幅木の出隅用のコーナーカバー1B’は、出隅CBの形状に合わせて、表面被覆部10Bと、挟持羽根部20B’が形成されている。従って、図10に示す幅木の出隅用のコーナーカバー1B’は、上述した幅木の入隅用のコーナーカバー1A’の効果と同様の効果が得られ、さらに、図示しない、廻り縁の入隅用、又は廻り縁の出隅用のコーナーカバーであっても同様の効果が得られることは勿論である。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
例えば、本実施形態の表面被覆部の係合凸部は、幅木の凹溝に係合させたときに、上下方向にクリアランスが設けられるように形成してもよい。これにより、幅木の取り付け位置、凹溝の加工公差により、一方の幅木の凹溝と、他方の幅木の凹溝の位置にずれが生じた場合であっても、このずれを吸収し、双方の凹溝に係合凸部を係合させることができる。
また第二実施形態では、鉛直方向において、張出し部は、係合凸部の位置を越えてないように張り出しているが、挟持羽根部と羽根支持部との接合部分が、鉛直方向において係合凸部が形成された位置よりも端縁部側(下側)となっていれば、張出し部が、係合凸部を越えて張り出してもよい。
1A〜1D,1A’,1B’:コーナーカバー、10A,10B:表面被覆部、11A,11B:端縁部、12A,12B:内側面、13A,13B:係合凸部、14A,14B:隆起部、15A,15B:側面被覆部、20A,20B、20A’、20B’:挟持羽根部、23A,23B:張出し部、24A,24B:切欠き部、30A、30B、30A’、30B’:羽根支持部、50:幅木、51:凹溝、53:表面、54:裏面、55:側面、58:端面、60:廻り縁、CA:入隅、CB:出隅

Claims (9)

  1. 長手方向に沿って凹溝が形成された面が表面となり、壁面に対向する面が裏面となるように、壁隅を挟んで壁縁に配置された一対の幅木又は廻り縁である壁縁用板材を覆うコーナーカバーであって、該コーナーカバーは、
    天井又は床に端縁部を対向配置することにより、前記一対の壁縁用板材の前記表面を被覆する表面被覆部と、
    前記壁縁用板材の裏面と前記壁面との間に配置することにより、前記表面被覆部と共働して前記壁縁用板材を挟持する板状の挟持羽根部と、
    前記一対の壁縁用板材の端面を仕切るように鉛直方向に沿って延在し、前記挟持羽根部に接合することにより前記挟持羽根部を支持する羽根支持部と、を少なくとも備えており、
    前記表面被覆部には、前記凹溝に係合する係合凸部が形成されており、前記挟持羽根部と前記羽根支持部との接合部分は、鉛直方向において前記係合凸部よりも前記端縁部側にあることを特徴とするコーナーカバー。
  2. 前記挟持羽根部の前記端縁部側の端部は、先細り形状になっていることを特徴とする請求項1に記載のコーナーカバー。
  3. 前記羽根支持部の前記端縁部側の端部は、前記突出端部の先端に一致するように、アーチ状に凹んでいることを特徴とする請求項2に記載のコーナーカバー。
  4. 前記挟持羽根部には、前記係合凸部側に向かって張出した張出し部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコーナーカバー。
  5. 前記張出し部は、前記羽根支持部の近傍に切欠き部を形成していることを特徴とする請求項4に記載のコーナーカバー。
  6. 前記挟持羽根部は、前記端縁部側に進むに従って、前記表面被覆部との間隔が広くなるように傾斜している特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコーナーカバー。
  7. 前記張出し部は、該張出し部以外の前記挟持羽根部の部分よりもより大きく傾斜していることを請求項6に記載のコーナーカバー。
  8. 前記コーナーカバーは、前記表面被覆部に連続し、前記一対の壁縁用板材の側面を被覆する側面被覆部を備えており、前記羽根支持部は、前記側面被覆部に接合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコーナーカバー。
  9. 前記係合凸部のうち前記表面被覆部の周縁近傍の部分には、前記係合凸部の他の部分に比べて膨らんだ隆起部が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のコーナーカバー。
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