JP2016143826A - 電力用半導体装置、超音波接合方法および超音波接合装置 - Google Patents

電力用半導体装置、超音波接合方法および超音波接合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】工程数の増加および製品のコストの増加を最小限にしつつ高い接合強度および剥離耐性を有する超音波接合方法および当該超音波接合を行なう超音波接合装置を提供するとともに、当該超音波接合がなされた電力用半導体装置を提供する。【解決手段】電力用半導体装置は、第1の金属部材2と、第2の金属部材5と、界面層12とを備えている。第2の金属部材5は第1の金属部材2と超音波接合されている。界面層12は第1および第2の金属部材2,5の間に配置されている。界面層12は第1および第2の金属部材2,5の混成組成からなり、かつ平均結晶粒サイズが第1の金属部材2の平均結晶粒サイズと第2の金属部材5の平均結晶粒サイズとの平均値の1/4以下である。界面層12の厚みの平均値は0.2μm以上1.0μm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、電力用半導体装置、超音波接合方法および超音波接合装置に関し、特に、超音波接合により導電性リボンが電極パッドに接合された電力用半導体装置および当該超音波接合方法、ならびに当該超音波接合をする超音波接合装置に関するものである。
電力用半導体装置に含まれる半導体素子には電極パッドと呼ばれる部材が含まれ、電極パッドは導電性ワイヤまたは導電性リボンによりリードフレームなどの他の部材と電気的に接続される。導電性ワイヤまたは導電性リボンを電極パッドに接合する際には、超音波接合法がよく用いられる。超音波接合法は、被接合体同士を接触させ、接合面に圧力を加えながら超音波振動を加えることで生じる摩擦熱および機械的摺動を利用して被接合体同士を接合する方法である。超音波接合法においては、複数の被接合体同士の相互拡散を阻害する金属酸化物などを除去し新生面を露出させつつ、加えられた圧力で複数の被接合体同士が相互拡散により互いに接合される。
超音波接合法は、加熱不要かつ短時間で接合可能という利点を有するために、たとえば以下の各特許文献の開示技術にて用いられている。
特開2008−311383号公報 特開2011−45909号公報 特開平7−302974号公報 特開2012−125809号公報
しかしながら、特に高い接合強度を要する電力用半導体装置に対して上記の各特許文献に開示される技術を適用した場合には、複数の被接合体同士の接合部近傍における十分な接合強度が得られず、接合後の各被接合体間での剥離を来す可能性が高くなる。また、たとえば接合部の信頼性を高める観点から超音波接合がなされた後に熱処理を行なった場合、当該熱処理を行なわない場合に比べて工程数が増加し、製品のコストが増加する可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、工程数の増加および製品のコストの増加を最小限にしつつ高い接合強度および剥離耐性を有する超音波接合方法および当該超音波接合を行なう超音波接合装置を提供するとともに、当該超音波接合がなされた電力用半導体装置を提供することである。
本発明の電力用半導体装置は、第1の金属部材と、第2の金属部材と、界面層とを備えている。第2の金属部材は第1の金属部材と超音波接合されている。界面層は第1および第2の金属部材の間に配置されている。界面層は第1および第2の金属部材の混成組成からなり、かつ平均結晶粒サイズが第1の金属部材の平均結晶粒サイズと第2の金属部材の平均結晶粒サイズとの平均値の1/4以下である。界面層の厚みの平均値は0.2μm以上1.0μm以下である。
本発明の超音波接合方法においては、まず第1の金属部材と第2の金属部材とが互いに接触される。第1の金属部材と第2の金属部材とを互いに接触されたまま、第1および第2の金属部材に、第1の押圧力を加えた状態で、第1の金属部材と第2の金属部材との接触面に超音波振動を与えた状態が一定時間維持される。超音波振動を与えたまま、第1および第2の金属部材に、第1の押圧力を超える第2の押圧力が加えられる。
本発明の超音波接合装置は、被加振ツールと、超音波発生源と、押圧機構とを備えている。被加振ツールは、第1の金属部材と第2の金属部材とを互いに接触させた状態で、第1および第2の金属部材を押圧する。超音波発生源は、被加振ツールが第1および第2の金属部材を押圧する際に被加振ツールに対して超音波振動を加える。押圧機構は、被加振ツールが第1および第2の金属部材を押圧する際に被加振ツールを押圧する。被加振ツールには圧力緩衝機構を有する。圧力緩衝機構は、被加振ツールから第1および第2の金属部材が押圧され始めるときに被加振ツールが第1または第2の金属部材の表面から受ける力を吸収することにより、第1および第2の金属部材に押圧機構からの押圧力よりも大きな超音波振動力を付与する。
本発明によれば、互いに超音波接合された第1および第2の金属部材の間に、これらよりも平均結晶粒サイズが小さい界面層が形成される。このため高い接合強度および剥離耐性を有する超音波接合部を有する電力用半導体装置を提供することができる。
本発明の超音波接合方法によれば、第1および第2の金属部材を超音波接合する際に、第1の押圧力を加えた状態で両者間に超音波振動が与えられた後、それを超える第2の押圧力を加えた状態で両者間に超音波振動が与えられる。これにより、接合強度および剥離耐性がより高められた超音波接合部を形成することができる。
本発明の超音波接合装置によれば、接合のために第1および第2の金属部材が押圧され始めるときには第1および第2の金属部材に押圧機構からの押圧力よりも大きな超音波振動力が付与される。このため接合強度および剥離耐性が高められた超音波接合部を形成することができる。
実施の形態1における導電性リボンと電極パッドとの接合部を含む、電力用半導体装置の構成の一部を示す概略断面図である。 図1の電力用半導体装置が未使用の状態における、図1中に点線で囲んだ領域A、すなわち導電性リボンと電極パッドとの接合部の構成を示す拡大概略断面図である。 図2に示す各部の寸法を示す、拡大概略断面図である。 図1の電力用半導体装置の使用により熱が加えられた後における、図1中に点線で囲んだ領域A、すなわち導電性リボンと電極パッドとの接合部の構成を示す拡大概略断面図である。 実施の形態1における導電性リボンと電極パッドとの超音波接合方法の概略を示すフローチャートである。 実施の形態1の超音波接合方法における導電性リボンと電極パッドとの間に加える圧力の時間変化の第1例を示すグラフである。 実施の形態1の超音波接合方法における導電性リボンと電極パッドとの間に加える圧力の時間変化の第2例を示すグラフである。 比較例における図2と同様の、図1中に点線で囲んだ領域A、すなわち導電性リボンと電極パッドとの接合部の構成を示す拡大概略断面図である。 実施の形態2の説明に用いられる導電性リボンと電極パッドとの接合構造の概略断面図である。 実施の形態2の超音波接合装置の構成を示す概略断面図である。 図10の超音波接合装置を用いて、導電性リボンと電極パッドとが押圧され接合される態様を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず図1を用いて、本実施の形態の電力用半導体装置の一部分の構成について説明する。
図1を参照して、本実施の形態の電力用半導体装置100は、半導体素子1と、導電性リボン2と、回路基板3とを有している。図1においては回路基板3は、左右方向に関する一部のみを抽出するように示されており、半導体素子1は回路基板3の平面視における一部と重なるように配置されている。すなわち通常は半導体素子1は回路基板3よりも平面視におけるサイズが小さく、互いに間隔をあけて回路基板3上に複数配置されている。
半導体素子1は、半導体チップ4と、電極パッド5と、裏面電極6とを有している。半導体チップ4は、半導体素子1全体の土台としての部材であり、半導体ウェハを矩形のチップ状に切断することにより形成されている。
半導体チップ4はシリコン、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、ダイヤモンドなどにより構成されることが好ましく、特定の材料に限定されるものではない。しかし半導体チップ4はワイドバンドギャップ半導体材料である、炭化珪素、窒化ガリウム系材料(たとえば窒化ガリウム(GaN))、ダイヤモンドからなる群から選択されるいずれかからなることがより好ましい。基本的に電力用半導体装置100の半導体素子1に形成される素子は大電流を流しながら駆動させるため、ワイドバンドギャップ半導体材料の半導体チップ4が用いられれば、電力用半導体装置100の電力の低損失化が可能となる。またこのような電力用半導体装置100は耐電圧性が高く許容電流密度も高いため、電力変換装置の小型化が可能となる。
電極パッド5は半導体素子1に含まれる部材であるが、半導体チップ4に形成された素子と電気的に接続された端子として、半導体チップ4の一方(図1の上側)の主表面上に形成されている。言い換えれば電極パッド5は半導体素子1の表面電極として機能する。裏面電極6は、半導体チップ4に形成された素子と電気的に接続された端子(半導体素子1の裏面電極)として、半導体チップ4の他方(図1の下側)の主表面上に形成されている。
導電性リボン2は紐状の部材であり、その一方の端部が半導体素子1の最上部にあたる電極パッド5(の上部)に接合されている。図1中に点線で囲まれた領域A、すなわち導電性リボン2と電極パッド5との接合部については後述する。また図示されないが、導電性リボン2の他方の端部はたとえば回路基板3の表面の一部の(図1の半導体素子1とは平面的に重ならない領域の)導電領域(リードフレームなど)に接続される。
回路基板3は、絶縁基板7と、表面回路パターン8と、裏面回路パターン9とを有している。絶縁基板7は、たとえばセラミック材料により形成された平板状の部材である。表面回路パターン8および裏面回路パターン9は、それぞれ絶縁基板7の一方(図1の上側)および他方(図1の下側)の主表面上に形成された導電性の薄膜としての回路パターンである。表面回路パターン8および裏面回路パターン9は、詳しく図示されないが図1の絶縁基板7の主表面上に互いに間隔をあけて複数形成されている。
半導体素子1は、回路基板3すなわち回路基板3の一方(上側)の主表面上の表面回路パターン8と、はんだ10を挟むように接合されている。また回路基板3の他方(下側)の主表面側には放熱金属板11が配置されており、放熱金属板11は、回路基板3すなわち回路基板3の他方(下側)の主表面上の裏面回路パターン9と、はんだ10を挟むように接合されている。放熱金属板11は半導体素子1などの駆動時に発生する熱を速やかに下方に放熱するために配置されている。放熱金属板11は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの熱伝導性に優れた金属材料により形成されることが好ましい。
次に図2〜図4を用いて、特に導電性リボン2と電極パッド5との接合部(図1中の領域A)について詳細に説明する。
図2を参照して、まず完成直後の(まだ駆動させていない新品の)電力用半導体装置100においては、導電性リボン2(第1の金属部材)と電極パッド5(第2の金属部材)とは超音波接合されている。この接合部によりたとえば半導体チップ4に形成された端子を電力用半導体装置100の外部などと電気的に接続することができる。
すなわち導電性リボン2と電極パッド5とは、超音波接合法により互いに接合されている。導電性リボン2は複数の導電性リボン結晶粒2aが集まることにより構成されており、電極パッド5は複数の電極パッド結晶粒5aが集まることにより構成されている。
導電性リボン2および電極パッド5はいずれも金属材料であり特定の材料に限定されるものではないが、アルミニウムを主成分とする、具体的には全体のうち90質量%以上がアルミニウムからなる金属材料であることがより好ましい。つまり導電性リボン2および電極パッド5は全体の質量のうち90%以上の質量がアルミニウムにより占められることが好ましい。導電性リボン2および電極パッド5は、アルミニウム以外に(全体のうち10質量%以下の)様々な不純物を含んでいてもよい。導電性リボン2および電極パッド5はアルミニウムを主成分とする組成である場合に、超音波接合方法により特に良好な接合を形成することができる。
導電性リボン2と電極パッド5との間(導電性リボン2と電極パッド5との接合される界面の近く)には界面層12が配置されている。界面層12は、導電性リボン結晶粒2aと電極パッド結晶粒5aとが特にこれらの接触する部分の近くにおいて微細化しながら溶融したものが冷却することにより形成された、電極パッド5(半導体素子1)の主表面に沿う方向に延びる層状の領域である。界面層12は通常、導電性リボン2と電極パッド5とが平面的に重なる領域の全体に形成されている。
したがって界面層12は、元々は導電性リボン2および電極パッド5であったがそれらが変質することにより形成された領域である。このため界面層12は、導電性リボン2と電極パッド5との双方の組成(すなわちアルミニウムを主成分とする組成)が混ざり合った組成すなわち混成組成からなっている。なおここでは導電性リボン2および電極パッド5とは、変質して界面層12になった領域を除く、すなわち界面層12の形成前後ともに導電性リボン2および電極パッド5として存在する領域を意味するものとする。
界面層12は、複数の界面層結晶粒12aが集まることにより構成されている。ここで図3を参照して、界面層12に含まれる複数の界面層結晶粒12aの平均結晶粒サイズは、導電性リボン2に含まれる導電性リボン結晶粒2aの平均結晶粒サイズと電極パッド5に含まれる電極パッド結晶粒5aの平均結晶粒サイズとの平均値の1/4以下である。ここでの平均値とは、導電性リボン2、電極パッド5、界面層12のそれぞれの一部分を抽出してたとえば画像処理することにより求められた結晶粒のサイズの平均値を意味するものとする。
図3においては、界面層結晶粒12aの1つの結晶粒サイズは寸法Aで、導電性リボン結晶粒2aの1つの結晶粒サイズは寸法Bで、電極パッド結晶粒5aの1つの結晶粒サイズは寸法Cで、それぞれ示されている。これらの値は、各結晶粒内においてその長さが最大になるようにひかれた直線Lの長さ(寸法)として定義される。
界面層12の図3(図1〜図2)の上下方向に関する厚みt1の平均値は0.2μm以上1.0μm以下となっている。なお図2および図3においては導電性リボン2と界面層12との境界B1、および電極パッド5と界面層12との境界B2は互いにほぼ平行に直線状(平面状)に延びている。しかしこのような態様に限らず、たとえば上記境界B1および境界B2が大きな凹凸を有する形状である場合もある。その場合においては界面層12の厚みt1は全体においてほぼ一定にはならず領域間でばらつきが大きくなるが、その場合においても厚みt1の平均値が0.2μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
導電性リボン2の図3(図1〜図2)の上下方向に関する厚みt2の平均値は通常は数百μm程度であるが、当該厚みt2の平均値は100μm以上1cm以下であることが好ましい。また電極パッド5の図3(図1〜図2)の上下方向に関する厚みt3の平均値は通常は数百nm程度であるが、当該厚みt3の平均値は0.2μm以上であることが好ましい。
まず厚みt2の最小値である100μmとは、導電性リボン2と電極パッド5との接合時に導電性リボン2を押圧する後述の被加振ツールが導電性リボン2をその厚み方向に押し込むことによる塑性変形(厚みの縮小)の量にほぼ等しい。このためt2の平均値を100μm以上とすることにより、被加振ツールにより導電性リボン2が圧縮を受けた後においても押圧部に導電性リボン2がある厚みで残存する状態とすることができる。また厚みt2の最大値である1cmとは、導電性リボン2が電極パッド5との超音波接合時に超音波振動を両者の接合部にまで伝播することが可能な最大の厚みである。このためt2の平均値を1cm以下とすることにより、超音波振動を用いて導電性リボン2と電極パッド5とを確実に接合することができる。さらに電極パッド5が界面層12を介して導電性リボン2と接合された構造を確実に形成する観点から、電極パッド5の厚みt3の平均値は0.2μm以上であることが好ましい。
なお導電性リボン2と電極パッド5とが超音波接合されている場合、たとえば導電性リボン2の表面の一部の後述の被加振ツールによる押圧の痕が残存する。この押圧の痕および、図2に示す接合部の断面観察により、導電性リボン2と電極パッド5とが超音波接合されていることを確認することができる。
次に図4を参照して、電力用半導体装置100の半導体素子1などを駆動させることにより半導体素子1は発熱する。この熱が導電性リボン2と電極パッド5との界面層12にも伝わることにより、特に界面層12の近くの導電性リボン結晶粒2aおよび電極パッド結晶粒5aは成長してそれぞれ導電性リボン結晶粒2b、電極パッド結晶粒5bとなる。これにより、その大きくなった導電性リボン結晶粒2b、電極パッド結晶粒5bは近くの界面層結晶粒12aを取り囲むようになる。
その結果、最終的に界面層結晶粒12a(界面層12)は消失してその領域には導電性リボン結晶粒2bと電極パッド結晶粒5bとが複数配置されるようになる。導電性リボン結晶粒2bと電極パッド結晶粒5bとは互いにその少なくとも一部の表面形状がほぼ同じとなることにより、互いにその表面が噛み合うように入り組んだ接合構造となり、両者の間にアンカー効果が生じる。このアンカー効果が生じた部分が導電性リボン2と電極パッド5との境界B3に相当し、境界B3は導電性リボン2と電極パッド5とが互いに入り組んだ凹凸形状となっている。これにより導電性リボン結晶粒2bと電極パッド結晶粒5bとは互いに強固に接合される。
このように電力用半導体装置100の駆動により界面層12が熱履歴を受けた後には、界面層12は消滅し、導電性リボン2の一部としての導電性リボン結晶粒2bと電極パッド5の一部としての電極パッド結晶粒5bとにより両者が接合された構成となる。
一方、図3および図4に示すように、(界面層12を除く)導電性リボン2の導電性リボン結晶粒2aおよび電極パッド5の電極パッド結晶粒5aは、接合前、図3に示す接合後、および図4に示す熱履歴後のいずれにおいてもそのサイズおよび形状はほぼ変化しない。このため上記の(図3に示す)寸法Aの平均値が寸法Bおよび寸法Cの平均値の1/4以下であるとの関係は、導電性リボン結晶粒2aと電極パッド結晶粒5aとの接合前の寸法、および接合後の寸法の、双方において成立する。
次に、図5〜図7を用いて、本実施の形態の電力用半導体装置の製造方法のうち特に導電性リボン2と電極パッド5との超音波接合方法について説明する。
図5を参照して、超音波接合工程をスタートするにあたり、まず被接合部材同士、すなわち導電性リボン2と電極パッド5とが互いに接触される(S101)。具体的には、半導体素子1の一方の主表面上に形成された電極パッド5の表面上に、導電性リボン2の一方の端部が接触するように設置される。
次に、(基準となる押圧力未満の大きさの)第1の押圧力を加えた状態で、超音波振動が接触面に付与される(S102)。このような押圧力は、(本実施の形態においては省略されるが)たとえば後述する超音波接合装置に含まれる被加振ツールにより、導電性リボン2と電極パッド5とが接触される部分(接触面)に加えられる。つまりここでは、後述する超音波接合装置の被加振ツールが押圧力を加えることにより、導電性リボン2と電極パッド5とがより強く接触する態様とされる。
このとき、第1の押圧力が加えられた状態で、当該接触面に超音波振動が加えられる。ここでは、後述する超音波接合装置に含まれる超音波発生源が被加振ツールに対して超音波振動を加えることにより、被加振ツールが接触面に超音波振動を加える。なお被加振ツールは接触面に沿う方向に往復運動(摺動)するように超音波振動する。
ここでの基準となる押圧力はたとえば1.0N/mm2であり、それ以下の第1の押圧力とは1.0N/mm2以下の圧力を意味する。このように工程(S102)では、導電性リボン2と電極パッド5とを互いに接触させたまま、これらの接触面に1.0N/mm2以下の押圧力と、超音波振動との双方が同時に与えられる。工程(S102)における接触面に押圧力と超音波振動との双方が同時に与えられた状態が、一定時間維持される。なお工程(S102)においては、当該接触面に1.0N/mm2の押圧力が加えられることがより好ましい。
次に、工程(S102)の状態が一定時間(第1の所定の時間)維持された後、当該接触面に超音波振動を与えたまま、当該接触面に上記の基準となる押圧力を超える大きさの(第1の押圧力よりも大きい)第2の押圧力が加えられる(S103)。ここでの第2の押圧力とは3.0N/mm2以上20N/mm2以下である。このように工程(S103)では、導電性リボン2と電極パッド5とを互いに接触させたまま、超音波接合装置の被加振ツールが、導電性リボン2と電極パッド5との接触面に3.0N/mm2以上20N/mm2以下の押圧力と、超音波振動との双方を同時に与える。工程(S103)における接触面に押圧力と超音波振動との双方が同時に与えられた状態が、一定時間維持される。
最後に、工程(S103)の状態が一定時間(第2の所定の時間)維持されたことにより、導電性リボン2と電極パッド5とが超音波接合されたものと判定され、超音波接合が完了する(S104)。これにより、図2および図3に示すように導電性リボン2と電極パッド5との間に界面層12が形成され、導電性リボン2と電極パッド5とが超音波接合される。超音波接合の完了(S104)が明確になされることにより、たとえば接合の完了後も過剰に導電性リボン2などに振動などが印加され続けることによる導電性リボン2の過剰溶融などの不具合を抑制することができる。
図6を参照して、このグラフの横軸は超音波接合工程における工程(S101)〜(S104)の各工程を行なう時間を示し、このグラフの縦軸は導電性リボン2と電極パッド5との接触面に加える圧力を示している。図6においては、超音波接合の際に超音波振動させながら加えられる押圧力は、(立ち上がりに要する最初の短い時間を除き)工程(S102)の状態が維持される第1の所定の時間の間、ほぼ一定の値(1.0N/mm2よりやや小さい値)を示している。また図6においては、超音波接合の際に超音波振動させながら加えられる押圧力は、(立ち上がりに要する最初の短い時間を除き)工程(S103)の状態が維持される第2の所定の時間の間、ほぼ一定の値(3.0N/mm2より大きく20N/mm2より小さい値)を示している。
図7を参照して、ここでは工程(S102)の状態が維持される第1の所定の時間の間、加えられる押圧力は1.0N/mm2以下ではあるが一定値ではなく、時間の経過とともに漸増している。また同様に、図7においては工程(S103)の状態が維持される第2の所定の時間の間、加えられる押圧力は3.0N/mm2以上20N/mm2以下ではあるが一定値ではなく、時間の経過とともに漸増している。
本実施の形態においては、図6または図7のいずれの方法で押圧力が印加されてもよいが、図6のように工程(S102)、(S103)のそれぞれにおいて同じ強さの圧力がある時間維持される押圧方法を用いる方がより好ましい。ここで同じ強さの圧力とは、たとえば当該維持される時間内における圧力の変化の許容幅が0.01N/mm2以下である。
図6のように工程(S102)、(S103)のそれぞれにおいて同じ強さの圧力を維持することにより、図7の場合に比べて接合時に導電性リボン2と電極パッド5との接触面に加わるエネルギ量が安定する。このため形成される界面層12がたとえば図2、図3に示すように境界B1,B2が平行な平面(直線)状となるようにより均一に形成される。その結果、導電性リボン2と電極パッド5との接合強度および剥離耐性をより高くすることができ、電力用半導体装置100の信頼性をより高めることができる。
次に、図8の比較例を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図8を参照して、これは比較例として、導電性リボン2と電極パッド5とが両者の間に界面層12を介することなく互いに直接超音波接合された例を示している。なおこの例は図2および図3と同様に、完成直後の(まだ駆動させていない新品の)電力用半導体装置の導電性リボン2と電極パッド5との接合部を示している。ただし図8は以上の点においてのみ図2および図3と異なっており、その他の構成については基本的に本実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図8の導電性リボン2と電極パッド5とは、本実施の形態の工程(S102)を有さず工程(S103)のように接合時に初期段階から高い(3.0N/mm2以上の)押圧力を付与し続けながら超音波振動が付与されることにより形成されている。
この高い押圧力により導電性リボン結晶粒2aと電極パッド結晶粒5aとは微細化されることなく、導電性リボン2と電極パッド5との間には原子レベルでの相互拡散が生じ、これにより両者が接合される。その結果、導電性リボン2と電極パッド5との接合部に相当する境界B4の近くにおいても、接合前とほぼ同じ形状および(比較的大きい)サイズを有する結晶粒が並んでいる。境界B4付近における結晶粒はサイズが大きいため、境界B4の近くには空隙部13が形成される。空隙部13の存在により、導電性リボン2と電極パッド5との接合強度が低下する可能性がある。
また図8の態様を有する電力用半導体装置の半導体素子などが駆動して熱履歴を受けた際には、接合界面である境界B4に沿って粒界成長が進行する。平面状(直線状)に延びる境界B4は、特に粒界成長による剥離が起こりやすい構造である。このため導電性リボン2と電極パッド5との間に剥離が起こりやすい。
これに対し、本実施の形態においては、図5のフローチャートに示す超音波接合方法を用いて、図2および図3に示すような超音波接合部が形成される。この超音波接合方法においては、工程(S102)において1.0N/mm2以下の弱い押圧力を加えることにより、接触された導電性リボン2(導電性リボン結晶粒2a)と電極パッド5(電極パッド結晶粒5a)とが相互拡散する前に、両者の接触面に超音波振動が加えられ接触面が摺動される。その結果、導電性リボン2と電極パッド5との特に接触面およびその近くにおいて表面が摩耗し、導電性リボン結晶粒2aおよび電極パッド結晶粒5aよりもサイズの小さい微細な結晶粒が生じる。またそれと同時に、接触面の摺動による摩擦熱により結晶粒の一部が溶融する。次に工程(S103)に進み、超音波振動を付与したまま圧力を高めることにより、一部溶融した微細結晶粒が冷却されながら相互拡散することにより、電極パッド5の主表面などに沿う方向に延び、複数の界面層結晶粒12aからなる層状の界面層12が形成される。これにより、導電性リボン2と電極パッド5とは微細な界面層結晶粒12aからなる界面層12を介して互いに超音波接合される。
工程(S102)において微細化された結晶粒は、そのほとんどすべてが界面層12を構成する。この工程においては押圧力が小さいため、微細化された結晶粒は相互拡散することが少なく、たとえ移動しても界面層12を形成するためのわずかな移動量にとどまる。したがってこの段階においては界面層結晶粒12aが導電性リボン2および電極パッド5側に広がることは少ない。このため上記のように、導電性リボン結晶粒2aと電極パッド結晶粒5aとは、界面層12からの距離にかかわらず、基本的に接合前と接合後との間でほとんど変化しない。つまり導電性リボン結晶粒2aおよび電極パッド結晶粒5aの大きさは、接合後においても接合前と同様に、界面層12からの距離が短い領域においても比較的大きいサイズを有している。
工程(S102)において微細化された結晶粒により、図2および図3の接合部の境界B1,B2の近くには空隙部13がほとんど形成されず、導電性リボン2と電極パッド5との接合強度を高くすることができる。このため電極パッド5と、その外部とを電気的に接続する導電性リボン2とを強固に接合することができ、その信頼性が高められる。弱い押圧力を加えながら超音波振動させる工程(S102)において接合されるべき領域同士を接触させながら当該領域を微細化させ、より高い押圧力を加えながら超音波振動させる工程(S103)において微細化された結晶粒が界面近くの領域のほぼ全体に広がるように相互拡散される。このようなプロセスを有するため、結晶粒が微細化される工程(S102)を経ることなく工程(S103)のみにより図8の構成が形成される比較例とは異なり、本実施の形態においては上記のように界面層12を有する接合強度の高い構成が形成可能となる。
以上の効果を奏するためには、界面層結晶粒12aの平均結晶粒サイズが、導電性リボン結晶粒2aの平均結晶粒サイズと電極パッド結晶粒5aの平均結晶粒サイズとの平均値の1/4以下であり、かつ界面層12の厚みの平均値が0.2μm以上1.0μm以下であることが要求される。
また界面層12は、電力用半導体装置100の使用により半導体素子1が熱履歴を受けた際には消失するが、このとき、導電性リボン2と電極パッド5とは導電性リボン結晶粒2bおよび電極パッド結晶粒5bのアンカー効果により強固に接合される。これらの結晶粒2b,5bの接触部である境界B3(図4参照)は不規則で大きな凹凸形状を有しているため、粒界成長が当該凹凸形状に沿って、導電性リボン結晶粒2bと電極パッド結晶粒5bとが入り組んだランダムな方向に、結晶粒2b,5bからの障害を受けながら進行する。したがって界面層12を有する本実施の形態においては、熱履歴を受けた後において図8の比較例に比べて剥離が進行しにくい。また界面層12を有する構成においては、境界B3の凹凸形状による上記のアンカー効果も相まって、半導体素子1の熱履歴により界面層12が消失した後においても導電性リボン2と電極パッド5との接合強度が高くなる。
本実施の形態においては超音波振動を加えながら、それと同時に押圧力が2段階で加えられる。このため本実施の形態によれば、たとえば超音波振動を加えた後に押圧力を加えたり熱処理を行なうような接合方法に比べて、工程数を削減し、形成される製品のコストを低減させることができる。
ここで工程(S102)における第1段階の押圧力を1.0N/mm2以下とすることにより、微細な界面層結晶粒12aを確実に形成させ、かつそれが相互拡散することなくその形成された場所に留まるようにする効果が高められる。また工程(S103)における第2段階の押圧力を3.0N/mm2以上(20N/mm2以下)とすることにより、界面層結晶粒12aが相互拡散して界面層12を形成させる効果が高められる。
実際に、アルミニウムを主成分とする導電性リボン2と電極パッド5とが図2(本実施の形態)のように接合された構造と図8(比較例)のように接合された構造との2種類に対し、ヒートサイクル試験が行われ、それぞれの剥離耐性が評価された。ヒートサイクル試験は、氷点下40℃の液体が浸された液槽内と150℃の液体が浸された液槽内とに各試料を5分ずつ交互に浸漬することにより行なわれた。
その結果、図2(本実施の形態)のように接合された構造においては2000サイクル経過後も導電性リボン2と電極パッド5とが接合された態様が維持されていた。これに対し、図8(比較例)のように接合された構造においては2000サイクル到達前に導電性リボン2と電極パッド5との接合部が剥離した。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1の電力用半導体装置100に含まれる導電性リボン2と電極パッド5との接合部(界面層12を有する)などを形成するための超音波接合装置について説明する。なお図9を参照して、ここでは図示を容易にするため、接合される部材としては実施の形態1の導電性リボン2と電極パッド5と(の接合構造200:図中の点線で囲まれた領域Aは図2などに対応)のみを示している。しかし実際には以下の超音波接合装置は図9の接合構造200のような単純な構成に限らず、図1に示す電力用半導体装置100(に含まれる接合部)の形成などにも広く適用可能である。ここで図10および図11を用いて、本実施の形態の超音波接合装置の構成について説明する。
図10および図11を参照して、本実施の形態の超音波接合装置300は、設置部21と、被加振ツール22と、加振機構部23と、押圧機構24と、全体制御盤25とを有している。図10のようにたとえば超音波接合装置300の下側から上側に向けて設置部21、被加振ツール22、加振機構部23、押圧機構24の順に配置されることが好ましい。
設置部21は、超音波接合しようとする部材を設置するための領域である。設置部21は、基台26と、保護シート27とを有しており、基台26の一方(たとえば上側)の主表面上に保護シート27が貼り付けられた構成を有している。特に図11に示すように、保護シート27が貼り付けされた基台26の上に、接合しようとする導電性リボン2と電極パッド5とが設置される。さらに図示されないが、設置部21は、基台26と一体化された背骨および天板によって構成された静止機構と、静止機構に設けられた可動部および駆動部とを有している。
被加振ツール22は、導電性リボン2と電極パッド5とを互いに接触させた状態で、導電性リボン2と電極パッド5とを押圧する部材である。被加振ツール22は、被加振ツール下部28と、被加振ツール上部29と、圧力緩衝機構としての金属製ばね30とを有している。また加振機構部23は、二股アーム31と、超音波ホーン32と、超音波発生源33とを有している。
被加振ツール下部28は、被加振ツール22のうち最も下部、すなわち被接合部材である導電性リボン2および電極パッド5と直接接触可能に対向する部材である。被加振ツール下部28は下方に向けて尖った形状を有していることが好ましい。被加振ツール上部29は被加振ツール22のうち最も上部に配置されており、被加振ツール下部28を支持し、かつ加振機構部23に固定された部材である。金属製ばね30は、被加振ツール下部28と被加振ツール上部29との間に挟まれ、被加振ツール下部28と被加振ツール上部29とを結合している。
二股アーム31は、図10および図11の左側および右側の双方において下方に延びるアーム状の領域同士が一体となるように繋げられた構成を有している。二股アーム31の左側のアーム状領域の(下側の)端部は、ねじ34により被加振ツール上部29が固定されており、二股アーム31の左側のアーム状領域の内側側面の一部には超音波ホーン32が接触している。また二股アーム31の右側のアーム状領域の内側側面の一部には超音波発生源33が固定されている。言い換えれば二股アーム31の左側と右側とのアーム状領域に挟まれた領域は超音波ホーン32と超音波発生源33とが互いに接触固定された態様を有している。
超音波発生源33は、被加振ツール22が導電性リボン2および電極パッド5を押圧する際に被加振ツール22に対して超音波振動を加える部材である。つまり超音波発生源33は、被加振ツール22に加える超音波振動を供給する。また超音波ホーン32は、超音波発生源33の供給する超音波振動に対して共鳴する部材である。超音波ホーン32はこれに接触する二股アーム31の一部の領域に、図10および図11の矢印F1が示すように左右方向に往復する超音波振動をさせるように加振する。これにより、二股アーム31に固定された被加振ツール22が矢印F1に示すように左右方向に往復するように超音波振動するため、被加振ツール下部28が、これに接触する導電性リボン2および電極パッド5に超音波振動を与えることができる。
押圧機構24は加振機構部23に接続されており、加振機構部23は被加振ツール22に接続されている。押圧機構24は、被加振ツール22が導電性リボン2および電極パッド5を互いに接触するよう押圧する際に被加振ツール22に対して矢印F2に示す下向きの押圧力を加える。また押圧を終了する際には、押圧機構24は、被加振ツール22などを矢印F3に示す上側に移動させる。言い換えれば加振機構部23および被加振ツール22は、押圧機構24の押圧力F2などにより上下方向に昇降することが可能となっている。したがって導電性リボン2および電極パッド5は、被加振ツール22からの矢印F2の向きの押圧力が加えられることにより互いに接触される。
押圧機構24は、圧力センサ35と、深度センサ36と、サーボモータ37とを有している。圧力センサ35および深度センサ36はひとまとめになっており、これらはサーボモータ37と連結された構成を有している。圧力センサ35は、被加振ツール22と被接合部材(導電性リボン2など)との間の圧接圧力を測定する。深度センサ36は被加振ツール22の(図10および図11の上下方向に関する)移動量を測定する。サーボモータは押圧機構24の押圧力F2を制御する。
以上により、導電性リボン2と電極パッド5との接合時においてこれらの接触面には、加振機構部23からの超音波振動と、押圧機構24から押圧力との双方が付与される。
全体制御盤25は、基台26の近くに設置されている。全体制御盤25は、駆動制御ユニット38と電源ユニット39とを有している。駆動制御ユニット38は、押圧力制御手段40および昇降制御手段41を含んでいる。
押圧力制御手段40は、圧力センサ35によって検出された被加振ツール22の押圧力が目標圧力となるように、サーボモータ37に対する押圧力の制御指令を発生する。昇降制御手段41は、超音波接合の工程が完了した際(図5の工程(S104)参照)において押圧機構24に被加振ツール22を上昇させ導電性リボン2などから離間させる機構である。電源ユニット39は、被加振ツール22の導電性リボン2などへの押圧開始時を基準として、工程時間がある時間(判定閾値としての時間)に達したとき(たとえば図5の工程(S104)の「第2の所定の時間」)に電圧の供給を停止する装置である。この操作により、図5の工程(S104)に示すように超音波接合工程が完了したことになる。
本実施の形態の超音波接合装置300は、上記のように超音波接合を開始するために図5の工程(S102)のように被加振ツール22が導電性リボン2などに対して(1.0N/mm2以下の)弱い圧力を加えて接触させ始める際に(たとえばこれとほぼ同時に)超音波発生源33から超音波振動を供給し始める。この、被加振ツール22から導電性リボン2および電極パッド5が押圧され始める時に被加振ツール22が導電性リボン2および電極パッド5の表面から受ける力を吸収するための圧力緩衝機構として、金属製ばね30が接続されている。
その結果、特に被加振ツール22が導電性リボン2の表面に接触した直後においては、工程(S102)のように導電性リボン2と電極パッド5とには、これらの接触面を保つための弱い押圧力が印加される程度であり、押圧機構24からの当該押圧力よりも大きな超音波振動力を押圧力よりも優先的に付与することが可能である。
圧力緩衝機構は、上記のように金属製ばね30に限らず、押圧機構24を用いた被加振ツール22の押圧時に導電性リボン2から受ける力を吸収でき、かつ超音波振動を導電性リボン2と電極パッド5との接触面に伝達可能な任意の部材とすることができる。たとえば当該圧力緩衝機構として、図示されないがエアシリンダが用いられてもよい。エアシリンダが被加振ツール22の構成部材として用いられることにより、金属製ばね30と同様に、押圧力よりも大きな超音波振動力を付与することが可能となる。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の超音波接合装置300は、被加振ツール22に押圧力を吸収してこれを小さくする圧力緩衝機構(金属製ばね30など)を有し、被加振ツール22が導電性リボン2と電極パッド5とに押圧力および超音波振動力を与え始める時期においては押圧力よりも超音波振動力が大きくなるように制御することが可能となっている。これにより、実施の形態1に示す工程(S102)と工程(S103)との2段階の押圧工程を有する超音波接合方法を実現可能とし、その結果、実施の形態1(図2など)に示す界面層12を有する構成を有する超音波接合装置(図9の接合構造200が界面層12を有するようになる)を形成することができる。
具体的には、金属製ばね30による導電性リボン2などへの押圧力の一部を吸収して小さくするたとえば工程(S102)の初期段階などにおいては、導電性リボン2には押圧力よりも優先的に超音波振動力が加えられる。このため超音波振動による摩擦熱および機械的摺動により、接触面の酸化被膜が除去されるとともに結晶粒が微細化するが、結晶粒の相互拡散は進行しない。これは相互拡散は大きな押圧力により起こるためである。
たとえばその後の工程(S103)において金属製ばね30の圧力吸収許容量を超える大きな押圧力が押圧機構24から印加されると、相互拡散が起こってたとえば図2の界面層12が形成される。このため実施の形態1で説明したように、当該超音波接合装置300は、高い接合強度および剥離耐性を有する超音波接合部を有する電力用半導体装置などを供給することができる。
さらに、たとえば工程簡略化のために押圧力の目標値を1つのみ設定した場合を考える。ここでの押圧力の目標値は、工程(S103)において加える比較的大きな押圧力の値である。この場合においても、金属製ばね30により押圧力が吸収され小さくなる工程(S102)が存在することになり、そこで結晶粒が微細化される。その後、金属製ばね30による押圧力を吸収する効果が弱まり工程(S103)に進めば、当初の目標値であるより大きな押圧力が加えられ、相互拡散による接合がなされる。このように本実施の形態の超音波接合装置300を用いれば、押圧力の目標値を1つのみ設定した場合においても、必然的に押圧力が2段階に変化することを可能とする。
また上記の超音波接合装置300は、駆動制御ユニット38と電源ユニット39とを有する全体制御盤25により、超音波接合の工程が完了した際(図5の工程(S104)参照)において被加振ツール22の下方への押圧を停止させこれを上昇させるなどの制御を確実に実行させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 半導体素子、2 導電性リボン、2a 導電性リボン結晶粒、3 回路基板、4 半導体チップ、5 電極パッド、5a 電極パッド結晶粒、6 裏面電極、7 絶縁基板、8 表面回路パターン、9 裏面回路パターン、10 はんだ、11 放熱金属板、12 界面層、12a 界面層結晶粒、13 空隙部、21 設置部、22 被加振ツール、23 加振機構部、24 押圧機構、25 全体制御盤、26 基台、27 保護シート、28 被加振ツール下部、29 被加振ツール上部、30 金属製ばね、31 二股アーム、32 超音波ホーン、33 超音波発生源、34 ねじ、35 圧力センサ、36 深度センサ、37 サーボモータ、38 駆動制御ユニット、39 電源ユニット、40 押圧力制御手段、41 昇降制御手段、100 電力用半導体装置、200 接合構造、300 超音波接合装置、B1,B2,B3,B4 境界、F1,F2,F3 矢印。

Claims (11)

  1. 第1の金属部材と、
    前記第1の金属部材と超音波接合された第2の金属部材と、
    前記第1および第2の金属部材の間に配置された界面層とを備え、
    前記界面層は、前記第1および第2の金属部材の混成組成からなり、かつ平均結晶粒サイズが前記第1の金属部材の平均結晶粒サイズと前記第2の金属部材の平均結晶粒サイズとの平均値の1/4以下であり、
    前記界面層の厚みの平均値は0.2μm以上1.0μm以下である、電力用半導体装置。
  2. 前記第1の金属部材の厚みの平均値が100μm以上1cm以下であり、
    前記第2の金属部材の厚みの平均値が0.2μm以上である、請求項1に記載の電力用半導体装置。
  3. 前記第2の金属部材を含むように構成された半導体素子をさらに備え、
    前記第1の金属部材は導電性リボンであり、前記第2の金属部材は電極パッドである、請求項1または2に記載の電力用半導体装置。
  4. 前記半導体素子はワイドバンドギャップ半導体材料により形成される、請求項3に記載の電力用半導体装置。
  5. 前記ワイドバンドギャップ半導体材料は、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、ダイヤモンドからなる群から選択されるいずれかである、請求項4に記載の電力用半導体装置。
  6. 前記第1および第2の金属部材はいずれもアルミニウムを90質量%以上含む金属材料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
  7. 第1の金属部材と第2の金属部材とを互いに接触させる工程と、
    前記第1の金属部材と前記第2の金属部材とを互いに接触されたまま、前記第1および第2の金属部材に、第1の押圧力を加えた状態で、前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との接触面に超音波振動を与えた状態が一定時間維持される工程と、
    前記超音波振動を与えたまま、前記第1および第2の金属部材に、前記第1の押圧力を超える大きさの第2の押圧力を加える工程とを備える、超音波接合方法。
  8. 前記第2の押圧力が一定時間維持されるように加えられた後に前記第1の金属部材と前記第2の金属部材とが超音波接合されたことを判定する工程を備える、請求項7に記載の超音波接合方法。
  9. 前記第1および第2の金属部材はいずれもアルミニウムを90質量%以上含む金属材料であり、
    前記第1の押圧力は1.0N/mm2以下である、請求項7または8に記載の超音波接合方法。
  10. 前記第2の押圧力は3.0N/mm2以上である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の超音波接合方法。
  11. 第1の金属部材と第2の金属部材とを互いに接触させた状態で、前記第1および第2の金属部材を押圧する被加振ツールと、
    前記被加振ツールが前記第1および第2の金属部材を押圧する際に前記被加振ツールに対して超音波振動を加える超音波発生源と、
    前記被加振ツールが前記第1および第2の金属部材を押圧する際に前記被加振ツールを押圧する押圧機構とを備え、
    前記被加振ツールには、前記被加振ツールから前記第1および第2の金属部材が押圧され始めるときに前記被加振ツールが前記第1または第2の金属部材の表面から受ける力を吸収することにより前記第1および第2の金属部材に前記押圧機構からの押圧力よりも大きな超音波振動力を付与することが可能な圧力緩衝機構を有する、超音波接合装置。
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