JP2016143449A - 非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
非水系電解液電池に用いる電解液は、一般に、主として電解質と非水溶媒とから構成されている。リチウムイオン二次電池の電解液としては、LiPF6等の電解質を、環状カーボネート等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート等の低粘度溶媒との混合溶媒に溶解させた非水系電解液が用いられている。
これまでに、特定の添加剤を非水電解液中に含有させることで、リチウムイオン二次電池の電池特性を改善する方法が提案されている。例えば、特許文献1では正極がリチウム複合酸化物を含む材料であり、負極がグラファイトを含む材料であり、非水溶媒は環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを主成分とし、且つ非水溶媒中に0.1重量%以上4重量%以下の1,3−プロパンスルトンおよび/または1,4−ブタンスルトンが含有されている電解液を用いることで、室温における50サイクル後の容量維持率が向上することが報告されている。特許文献2ではハロゲン原子を有する炭酸エステルの誘導体を含む溶媒と、[ B(CiH2(i-2)O4)(CjH2(j-2)O4)]-(式中、iおよびjはそれぞれ2以上の整数である。)で表される第1のアニオンと、この第1のアニオン以外の第2
のアニオンとを含む電解液を用いることで、4.2V、25℃の環境下でサイクル特性および-20℃の環境下での低温特性が向上することが報告されている。特許文献3ではCu親和
性化合物として、2つのニトリル基を有するジニトリル化合物、3つのニトリル基を有するトリニトリル化合物、2つのニトリル基を有しかつ分子中にチオエーテル基を有するチオジアルキルニトリル化合物のうちの1 種または2 種以上を含有する電解液を用いることで、過放電特性が向上することが報告されている。
ル特性や高率放電特性が向上することは実証されていなかった。
本発明者は上記課題を解決するために種々の検討を重ねた結果、特定の化合物を、既定の使用量で組み合わせた時に、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
<1> 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極とを備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、
不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量をX(質量%)、
ハロゲン原子を有する環状カーボネートの含有量をY(質量%)、
スルトン化合物およびニトリル化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物の含有量をZ(質量%)、
イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物、下記式(1)で表される化合物およびアクリル基またはメタクリル基を分子内に2つ以上有する化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物の含有量をA(質量%)、
としたとき、以下の式を全て満たすことを特徴とする非水系電解液。
0≦X≦0.5
0.5≦Y≦8.0
0.8≦Z≦6.0
0.8≦A≦5.0
ただし、上記含有量とは、非水電解液全体の重量に対する各化合物の割合(質量%)を示し、各化合物を2種類以上含むとき、X,Y,ZおよびAはその合計量を示す。
<2> 前記Z(質量%)がスルトン化合物の含有量であり
1.0≦Z≦4.0
を満たし、かつ、ビニレンカーボネートを含有しないことを特徴とする、<1>に記載の非水系電解液。
<3> 前記Z(質量%)がジニトリル化合物の含有量であり
1.0≦Z≦4.0
を満たし、かつ、ビニレンカーボネートを含有しないことを特徴とする、<1>に記載の非水系電解液。
<4> 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極とを備える非水系電解液二次電池であって、
<1>〜<3>のいずれか1つに記載の非水系電解液を用いることを特徴とする非水系電解液二次電池。
本発明の非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同様に、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有し、
不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量をX(質量%)、
ハロゲン原子を有する環状カーボネートの含有量をY(質量%)、
スルトン化合物およびニトリル化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物の含有量をZ(質量%)、
イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物、下記式(1)で表される化合物およびアクリル基またはメタクリル基を分子内に2つ以上有する化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物の含有量をA(質量%)、
としたとき、以下の式を全て満たすことを特徴とする。
0≦X≦0.5
0.5≦Y≦8.0
0.8≦Z≦6.0
0.8≦A≦5.0
ただし、上記含有量とは、非水電解液全体の重量に対する各化合物の割合(質量%)を示し、各化合物を2種類以上含むとき、X,Y,ZおよびAはその合計量を示す。
請求項に記載されている不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
例えば、ビニレンカーボネート(VC)、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、1,2−ジメチルビニレンカーボネート、1,2−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物類;ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−n−プロピル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1,1−ジビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート化合物類;1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジエチル−2−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物類、エチニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
ンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましく、中でもビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートがより好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種類以上を併用する場合は、ビニレンカーボネートとビニルエチレンカーボネートとを併用するのが好ましい。
0≦X≦0.5
を満たす。中でも含有量Xの上限は0.3以下がより好ましく、さらに0.2以下が好ましい。このような条件では、他の添加剤との組み合わせにおいて、高温保存ガスの発生を抑制できるとともに、抵抗上昇が抑制されるために、高温サイクル特性や高率放電特性も優れたものとなる。
請求項に記載されているハロゲン原子を有する環状カーボネートとしては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
ハロゲン原子を有する環状カーボネートのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの中でも、フッ素原子、塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
ハロゲン原子を有する環状カーボネートの含有量は、非水電解液全体の重量に対する含有量をY(質量%)としたとき、
0.5≦Y≦8.0
を満たす。中でも含有量Yの上限としては7.0以下がより好ましく、さらに6.0以下が好ましく、特に5.0以下が好ましい。含有量Yの下限としては0.8以上がより好ましく、さらに1.0以上が好ましい。このような条件では、他の添加剤との組み合わせにおいて、高温保存ガスの発生を抑制できるとともに、高温サイクル特性が向上する。
請求項に記載されているスルトン化合物およびニトリル化合物としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
スルトン化合物としては、例えば、
1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトンが挙げられる。これらの中でも、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトンが好ましく、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトンが優れたサイクル特性を得るために特に好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ノナンニトリル、デカンニトリル、ラウロニトリル、トリデカンニトリル、テトラデカンニトリル、ヘキサデカンニトリル、ペンタデカンニトリル、ヘプタデカンニトリル、オクタデカンニトリル、ノナデカンニトリル、イコサンニトリル、クロトノニトリル、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル等のモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスクシノニトリル、トリメチルスクシノニトリル、テトラメチルスクシノニトリル、3,3'−オキシジプロ
ピオニトリル、3,3'−チオジプロピオニトリル、3,3'−(エチレンジオキシ)ジプピオニトリル、3,3'−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル等のジニトリル、1,
2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、1,2,3−トリス(2−シアノエトキシ)プロパン、トリス(2−シアノエチル)アミン、等のトリニトリル、が挙げられる。
0.8≦Z≦6.0
を満たす。中でも含有量Zの上限としては、5.5以下がより好ましく、さらに5.0以下が好ましい。含有量Zの下限としては、1.0以上がより好ましい。このような範囲内であると、電池内部の抵抗上昇が大きすぎず、ガス発生の抑制効果も十分に得られるためである。
化合物の含有量をZ(N)としたとき、1.0≦Z(N)≦4.0であることが好ましく、1.0≦Z(N)≦3.5であることが更に好ましい。
〔1−4.イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物、式(1)で表される化合物、およびアクリル基またはメタクリル基を分子内に2つ以上有する化合物〕
イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物、式(1)で表される化合物およびアクリル基またはメタクリル基を分子内に2つ以上有する化合物としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
メトキシカルボニルイソシアネート、エトキシカルボニルイソシアネート、プロポキシカルボニルイソシアネート、ブトキシカルボニルイソシアネート、メトキシスルホニルイ
ソシアネート、エトキシスルホニルイソシアネート、プロポキシスルホニルイソシアネート、ブトキシスルホニルイソシアネート、フルオロスルホニルイソシアネート、
1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,7−ジイソシアナトヘプタン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,9−ジイソシアナトノナン、1,10−ジイソシアナトデカン、
1,3−ジイソシアナトプロペン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、
トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシ
クロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチル=イソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチル=イソシアネート)、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4−(イソシアナトメチル)オクタメチレン=ジイソシアネート等が挙げられる。
下記式(1)で表される化合物としてはたとえば、以下の化合物が挙げられる。
例えば、トリビニルイソシアヌレート、トリ(1−プロペニル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、メチルジアリルイソシアヌレート、エチルジアリルイソシアヌレート、ジエチルアリルイソシアヌレート、ジエチルビニルイソシアヌレート、トリ(プロパルギル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリ
ロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
例えば、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、テトラエチレン
グリコールジアクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,6-ヘキ
サンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールポリメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオール
ジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールポリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどが挙げられる。
イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物、下記式(1)で表される化合物、およびアクリル基またはメタクリル基を分子内に2つ以上有する化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物の含有量は、非水電解液全体の重量に対する含有量をA(質量%)としたとき、
0.8≦A≦5.0
を満たす。中でも含有量Aの上限としては、4.0以下がより好ましく、さらに3.0以下が好ましい。含有量Aの下限としては、1.0以上がより好ましい。このような条件で
は、他の添加剤との組み合わせにおいて、サイクル特性の向上効果が大きいともに、抵抗上昇が抑制されるために、高率放電特性も優れたものとなる。
本発明では特定の化合物を特定の量で組み合わせて電解液に加えることで、単独または、特定の範囲から逸脱した量を用いた場合には達成することができない、バランスのとれた特性の電池が得られる電解液を得ることができる。このような効果が発現する理由の詳細は分かっていないが、次のように考えられる。すなわち、本発明では、不飽和結合を有する環状カーボネートの量を一定以下の量に制限し、ハロゲン原子を有する環状カーボネートを用いることで、負極表面上に生成する被膜の抵抗を抑制している。さらに、スルトン化合物およびニトリル化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物、下記式(1)で表される化合物、およびアクリル基またはメタクリル基を分子内に2つ以上有する化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物が一定の含有量で存在すると、負極表面上に生成する被膜の安定性が向上し、結果として、サイクル特性や保存特性などの各種電池特性が向上するものと考えられる。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に採用することができる。本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
LiCF3SO3、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,2−テトラフルオロエタンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩などが挙げられる。
3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩とを併用することが好ましい。
本発明の非水系電解液が含有する非水溶媒としては、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
通常使用される非水溶媒の例としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状及び環状カルボン酸エステル、鎖状及び環状エーテル、含リン有機溶媒、含硫黄有機溶媒、芳香族含フッ素溶媒等が挙げられる。
ル基の炭素数は、1以上5以下が好ましく、特に好ましくは1以上4以下である。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが電池特性向上の点から好ましい。また、アルキル基の水素の一部をフッ素で置換した鎖状カーボネート類も挙げられる。フッ素で置換した鎖状カーボネートとしては、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロメチル)カーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、2−フルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、1,1−エトキシメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した鎖状エーテルが挙げられる。フッ素で置換した鎖状エーテルとして、ビス(トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシトリフルオロエトキシエタン、メトキシトリフルオロエトキシエタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−エトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−プロポキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2−ジフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンがより好ましい。
含リン有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した含リン有機溶媒が挙げられる。フッ素で置換した含リン有機溶媒として、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、リン酸トリス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)などが挙げられる。
上記の非水溶媒の中でも、環状カーボネートであるエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを用いることが好ましく、更にこれらと鎖状カーボネートとを併用することが電解液の高い電導度と低い粘度を両立できる点から好ましい。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、従来公知のものを任意に用いることができる。尚、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
過充電防止剤の具体例としては、2−メチルビフェニル、2−エチルビフェニル等のアルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロペンチルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、エチルフェニルカーボネート、トリス(2−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−
t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−アミルフェニル)ホスフェート、ト
リス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリ(t-ブチルフェニル)ホスフェート、メチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘ
キシルフルオロベンゼン等の芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。濃度が上記範囲にあることにより、所望する過充電防止剤の効果が発現しやすくなり、また、高温保存特性等の電池の特性の低下を抑制する。非水系電解液に過充電防止剤を含有させることによって、過充電による非水系電解液二次電池の破裂・発火を抑制することができ、非水系電解液二次電池の安全性が向上するので好ましい。
クル特性を向上させる点で好ましい。この濃度が上記範囲にあることにより、助剤の効果が発現しやすくなり、また、高率荷放電特性等の電池の特性の低下を抑制する。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
炭素質材料としては、(1)天然黒鉛、(2)人造黒鉛、(3)非晶質炭素、(4)炭素被覆黒鉛、(5)黒鉛被覆黒鉛、(6)樹脂被覆黒鉛等が挙げられる。
球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いることができる。具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された炭素材に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、球形化処理を行なう装置が好ましい。また、炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返して与える機構を有するものであるのが好ましい。
(4)炭素被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、タール、ピッチや樹脂等の有機化合物である炭素前駆体を混合し、400〜2300℃の範囲で1回以上熱処理し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、非晶質炭素が核黒鉛を被覆している炭素黒鉛複合体が挙げられる。複合の形態は、表面全体または一部を被覆しても、複数の一次粒子を前記炭素前駆体起源の炭素をバインダーとして複合させたものであってもよい。また、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛にベンゼン、トルエン、メタン、プロパン、芳香族系の揮発分等の炭化水素系ガス等を高温で反応させ、黒鉛表面に炭素を堆積(CVD)さ
せることでも炭素黒鉛複合体を得ることもできる。
(6)樹脂被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、樹脂等を混合、400℃未満の温度で乾燥し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、樹脂等が核黒鉛を被覆している樹脂被覆黒鉛が挙げられる。
上記(2)〜(5)に用いられるタール、ピッチや樹脂等の有機化合物としては、石炭系重質油、直流系重質油、分解系石油重質油、芳香族炭化水素、N環化合物、S環化合物、ポリフェニレン、有機合成高分子、天然高分子、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群より選ばれた炭化可能な有機化合物などが挙げられる。また、原料有機化合物は混合時の粘度を調整するため、低分子有機溶媒に溶解させて用いてもよい。
負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム単体、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよく、特に制限されない。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、通常0.335nm以上であり、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下がさらに好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることがさらに好ましい。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均
粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、本発明の炭素質材料の体積基準平均粒径と定義する。
炭素質材料のラマンR値は、レーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下がさらに好ましく、0.5以下が特に好ましい。
一方、上記範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
・レーザー波長 :Arイオンレーザー514.5nm(半導体レーザー532nm)
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値:バックグラウンド処理、
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上がさらに好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下がさらに好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
解液との反応性が増加し、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい場合がある。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上がさらに好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下がさらに好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が、上記範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の電池を得ることができない場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい場合がある。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上がさらに好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の
配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がさらに好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がさらに好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下がさらに好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
〔3−1.正極活物質〕
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。
<リチウム遷移金属系化合物>
リチウム遷移金属系化合物とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiS2やMoS2などの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MexMo6S8(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4などが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe2O4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn2O4、LiCoMnO4、LiNi0.5Mn1.5O4、LiCoVO4などが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO2(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO2、LiNiO2、LiNi1−xCoxO2、LiNi1−x−yCoxMnyO2、LiNi0.5Mn0.5O2、Li1.2Cr0.4Mn0.4O2、Li1.2Cr0.4Ti0.4O2、LiMnO2などが挙げられる。
また、リチウム含有遷移金属化合物は、例えば、下記組成式(A)または(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であることが挙げられる。
1)下記組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li1+xMO2 ・・・(A)
ただし、xは通常0以上、0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上、5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換している場合もある。
さらに、組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物は、以下一般式(A’)のとおり、213層と呼ばれるLi2MO3との固溶体であってもよい。
αLi2MO3・(1−α)LiM’O2・・・(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。
M’は、平均酸化数が3+である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、
Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
Li[LiaMbMn2−b−a]O4+δ・・・(B)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、Al及びMgから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上、0.6以下である。
また、aの値は通常0以上、0.3以下である。また、上記組成式中のaは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のaが−0.65以上、1以下に測定されることがある。
さらに、δの値は通常±0.5の範囲である。
δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa,bを求めるには、各遷移金属とリチウムを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求めることで計算される。
また、上記リチウム遷移金属系化合物は、フッ素置換されていてもよく、LiMn2O4‐xF2xと表記される。
上記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5O2、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05O2、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33O2、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1O2、Li1+xMn1.8Al0.2O4、Li1+xMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、リチウム遷移金属系化合物は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,
Pb,Sb,Si及びSnの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
リチウム二次電池用正極は、上述のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作製される。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。正極活物質
層中の導電材の割合は、通常0.01質量%以上、50質量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、さらに好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
レータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上がさらに好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下がさらに好ましい。空孔率が、上記範囲より小さ過ぎると、膜抵抗が大きくなってレート特性が悪化する傾向がある。また、上記範囲より大き過ぎると、セパレータの機械的強度が低下し、絶縁性が低下する傾向にある。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(以下EC)ととエチルメチルカーボネート(以下EMC)とジエチルカーボネート(以下DEC)をそれぞれ30体積%、40体積%、30体積%となるように混合した非水溶媒に対し、LiPF6を1.2Mとなるように溶解させた。そこに、「表1」に記載の添加剤を加えて非水系電解液を調整した。表中のそれぞれ略号は以下を示す。
FEC:フルオロエチレンカーボネート、
化合物Z1:1,3−プロパンスルトン、
化合物Z2:アジポニトリル、
化合物Z3:ラウロニトリル、
化合物Z4:オクタンニトリル、
化合物A1:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、
化合物A2:トリアリルイソシアヌレート、
化合物A3:トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、
化合物A4:テトラメチロールメタンテトラアクリレート。
負極活物質として黒鉛粉末98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン1質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン1質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを銅箔の片面に塗布して乾燥、プレスして負極を作成した。作製した負極は60℃で12時間減圧乾燥して用いた。
正極活物質としてコバルト酸リチウム96.8質量部に、導電助剤1.6質量部、バインダー(pVDF)1.6質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーをアルミニウム箔の両面に塗布して乾燥、プレスして正極を作成した。作製した正極は80℃で12時間減圧乾燥して用いた。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に0.4mL注入し、真空封止を行ない、シート状電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
1.サイクル試験
上記のように作製した電池を、25℃において、4.35Vまで充電し、3Vまで放電し、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、45℃の環境下で4.35Vまで充電、3Vまで放電を繰り返すサイクル試験を0.5Cの電流値で200サイクル行った。ここで、0.5Cとは、充電または放電に2時間かかる電流値のことである。1サイクル目の放電容量に対する、200サイクル目の放電容量の割合を「サイクル容量維持率(%)」として「表1」にまとめた。
上記のように作製した電池を、25℃において、4.35Vまで充電し、3Vまで放電し、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、4.35Vまで充電した電池を80℃の環境下で、3日間放置した。この時のガス発生量(mL)をアルキメデス法で測定し、0.1(mL)に対する割合(%)を「高温保存ガス量(%)」として「表1」にまとめた。
上記のように作製した電池を、25℃において、4.35Vまで充電し、3Vまで放電し、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、4.35Vまで充電した電池を25℃の環境下で、0.2Cの電流値で3Vまで放電した時の容量を0.2C容量とし、再度4.35Vまで充電した電池を25℃の環境下で、1.0Cの電流値で3Vまで放電した時の容量を1.0C容量としたとき、0.2C容量に対する1.0C容量の割合(%)を「高率放電率(%)」として「表1」にまとめた。
<特性評価試験2>
1.サイクル試験
上記のように作製した電池を、25℃において、4.4Vまで充電し、3Vまで放電し、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、45℃の環境下で4.4V
まで充電、3Vまで放電を繰り返すサイクル試験を0.7Cの電流値で500サイクル行った。1サイクル目の放電容量に対する、500サイクル目の放電容量の割合をサイクル容量維持率(%)として「表2」にまとめた。
上記のように作製した電池を、25℃において、4.4Vまで充電し、3Vまで放電し、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、4.4Vまで充電した電池を80℃の環境下で、3日間放置した。この時のガス発生量(mL)をアルキメデス法で測定し、0.1(mL)に対する割合(%)を高温保存ガス量(%)として「表2」にまとめた。
本発明の非水系電解液二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ、家庭用大型蓄電池等を挙げることができる。
Claims (4)
- 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極とを備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、
不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量をX(質量%)、
ハロゲン原子を有する環状カーボネートの含有量をY(質量%)、
スルトン化合物およびニトリル化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物の含有量をZ(質量%)、
イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物、下記式(1)で表される化合物、およびアクリル基またはメタクリル基を分子内に2つ以上有する化合物より選ばれる少なくとも1種以上の化合物の含有量をA(質量%)、
としたとき、以下の式を全て満たすことを特徴とする非水系電解液。
0≦X≦0.5
0.5≦Y≦8.0
0.8≦Z≦6.0
0.8≦A≦5.0
ただし、上記含有量とは、非水電解液全体の重量に対する各化合物の割合(質量%)を示し、各化合物を2種類以上含むとき、X,Y,ZおよびAはその合計量を示す。 - 前記Z(質量%)がスルトン化合物の含有量であり
1.0≦Z≦4.0
を満たし、かつ、ビニレンカーボネートを含有しないことを特徴とする、請求項1に記載の非水系電解液。 - 前記Z(質量%)がジニトリル化合物の含有量であり
1.0≦Z≦4.0
を満たし、かつ、ビニレンカーボネートを含有しないことを特徴とする、請求項1に記載の非水系電解液。 - 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極とを備える非水系電解液二次電池であって、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解液を用いることを特徴とする非水系電
解液二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015015877A JP6507677B2 (ja) | 2015-01-29 | 2015-01-29 | 非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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