JP2016142609A - 遠方電磁界推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】グランドプレーンが存在する条件の下で、電磁波の放射源である供試体の近傍で測定された電磁界に基づいて、放射源からより遠い位置の仮想の観測点における電磁界を、容易に且つ精度よく推定する。
【解決手段】遠方電磁界推定装置では、グランドプレーン1が存在する条件の下で、電磁波の放射源である供試体2を囲まない条件(供試体2の上下面を含まない)において、その近傍で測定された複数の電磁界と鏡像点における電磁界に基づいて、供試体2から十分に離れた距離の遠方の観測点における電磁界を、容易に且つ精度よく推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器等の電磁波の放射源による電磁界を、放射源の近傍で測定し、測定された電磁界に基づいて、放射源からより遠い位置の遠方の観測点における電磁界を推定する遠方電磁界推定装置に関する。
一般的に、電子機器等から放射される放射妨害波を測定する試験では、国際的に定められた試験条件および試験方法により、主に放射妨害波の放射源から10mまたは3m離れた位置で放射妨害波の測定が行われる。また、30MHzから1GHzの周波数帯における放射妨害波を測定する試験は、一般的に、グランドプレーン(金属床面)の上または上方に、放射源である供試体を配置して行われる。
また、一般的に、放射妨害波を測定する試験は、オープンサイト、あるいは国際的に定められたサイトの適合性を満足した電波暗室において行われる。電波暗室は、シールドルームの壁面に電波吸収体が貼り付けられて構成されている。この電波暗室では、使用目的や使用される電磁波の周波数等によって、シールドルームの大きさ、形や、電波吸収体の種類が選定されている。主な電波暗室としては、長さが20mから30m程度、幅が10mから20m程度、高さが7mから12m程度の10m法電波暗室と、長さが7mから11m程度、幅が4mから7m程度、高さが5mから7m程度の3m法電波暗室とが存在する。これらは、放射妨害波を測定する試験に要する距離に応じて使い分けられている。
電波暗室は、上述のような比較的大きな長さ、幅および高さを必要とし、建屋施設が大規模となり、且つ、建屋施設と各種必要設備への投資総額ならびに維持運用コストが大きくなるという不具合を有している。
そこで、より小さい空間で放射妨害波を測定できる小規模な装置が求められている。この要求に対して、プリント基板等を対象とした極近傍電磁界を測定する装置や準近傍電磁界を測定する装置、ならびに測定された近傍電磁界からラブ(Love)の等価定理等を用いて遠方電磁界を推定する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、被測定物を囲むように仮想的な直方体や円筒を設定し、その直方体や円筒の面を走査するように電磁界を測定し、測定された電磁界に基づいて、被測定物からより遠い位置における電磁界を推定する方法が記載されている。また、特許文献1には、仮想的な直方体の一面をグランド面として他の5面のみを走査してもよい旨が記載されている。
特開2004−69372号公報
特願2013−166651号
特許文献1に記載された方法では、グランド面を考慮せずに、被測定物を囲むように仮想的な直方体や円筒を設定して、その直方体や円筒の面を走査するか、仮想的な直方体の一面をグランド面として他の5面のみを走査している。すなわち、この方法では、グランド面の影響は考慮されていない。そのため、この方法を、前述のようにグランドプレーン上に被測定物が配置される条件で行われる試験に適用すると、グランドプレーンの影響により、推定された電磁界は、実際に測定される電磁界とは大きく異なることが容易に推察できる。
この問題を解決するため、本発明者等はグランドプレーンの影響を受けることなく精度良く遠方電磁界を推定する方法を発明し、特許出願した(特許文献2)。この特許文献2には、放射源を囲むように設定した仮想的な直方体の6面の近傍電磁界接線成分の振幅と位相の測定において、放射源の下方の面を含まず、かつ、等価定理が適用できるように、グランドプレーンに垂直な4面と上方の1面で設定された測定面において、グランドプレーンにより形成された鏡像測定面を与えてグランドプレーンを介して形成される直方体6面を設定し、鏡像測定面における電磁界接線成分は影像原理により振幅と位相を与えて、等価定理により遠方観測点の電磁界を推定する方法が記載されている。
しかし、特許文献2に記載された方法では、被測定物の上方の面における近傍電磁界を測定する必要があるので、低コスト化、測定の効率化の観点からは更なる改善が望まれる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、グランドプレーンが存在する条件の下で、電磁波の放射源を囲まない条件において、その近傍で測定された電磁界に基づいて、放射源からより遠方の観測点における電磁界を、容易に且つ精度よく推定できるようにした遠方電磁界推定装置を提供することにある。
本発明の遠方電磁界推定装置は、グランドプレーンの上方に配置された電磁波の放射源である供試体によって、当該供試体から距離rの遠方観測点に形成される電界と磁界の少なくとも一方を求める装置である。遠方電磁界推定装置は、近傍電磁界測定装置と、演算処理部とを備えている。
近傍電磁界を測定する装置は、電界と磁界の少なくとも一方を検出するプローブと、電界と磁界の位相を参照するアンテナと、供試体に対するプローブの相対的位置を変更可能な位置制御機構と、プローブ、アンテナ及び位置制御機構を用いた電界と磁界の少なくとも一方の測定の制御を行う制御部とを備えている。
制御部は、
供試体の位置を基準に、y軸を前記グランドプレーン上方の高さ方向に、z軸を前記観測点方向に、x軸を前記y軸ならびにz軸と直交する方向としたとき、供試体から前方に距離+z(距離zは距離rより十分小さい)で離れた位置における前方測定面を想定し、供試体のグランドプレーンからの中心高さhEUTと遠方観測点のグランドプレーンから最大高さhRxを結ぶ直線が、前方測定面と交差するグランドプレーンからの高さを基準高さhrefとして(1)式より求め、
供試体から前方と同様に後方に等距離−zで離れた位置における後方測定面を想定し、後方測定面における基準高さhrefと遠方観測点の最大高さhRxを結ぶ直線が、前方測定面と交差する高さを基準に測定高さhmeasを(2)式により求め、
その測定高さhmeas以下で前後が±z及び左右が±x(距離xは距離rより十分小さい)の距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される測定面に、または、前後左右が±z=±xの等距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される測定面に、または、半径がzの等距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される測定面に複数の測定点を設ける第1の動作と、
プローブ、アンテナ及び位置制御機構を用いて、複数の測定点における電界の測定面の接線方向の成分である複数の測定点電界と、複数の測定点における磁界の測定面の接線方向の成分である複数の測定点磁界の少なくとも一方を測定する第2の動作を実行する。
演算処理部は、
グランドプレーンを中心として測定面と面対称の位置関係を有する鏡像測定面上に、グランドプレーンを中心として複数の測定点と面対称の位置関係を有する複数の鏡像点を設定し、第2の動作で測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方に基づいて、複数の鏡像点における電界の鏡像測定面の接線方向の成分である複数の鏡像点電界と複数の鏡像点における磁界の鏡像測定面の接線方向の成分である複数の鏡像点磁界の少なくとも一方を算出する第1の演算処理と、
第2の動作で測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方と、第1の演算処理で算出された複数の鏡像点電界と複数の鏡像点磁界の少なくとも一方に基づいて、遠方観測点における電界と磁界の少なくとも一方を算出する第2の演算処理とを実行する。
また、複数の測定点は、交差する2方向に並ぶように配列されていてもよい。この場合、2方向の各々について、隣接する2つの測定点間の測定面上における距離は電磁波の波長の1/2以下であってもよい。
また、位相を参照するアンテナは、測定面の外部に設けられ、放射源の位置と同期して常に供試体との距離と位置関係が一定となるよう配置する。
また、本発明の遠方電磁界推定装置において、複数の測定点電界、複数の測定点磁界、複数の鏡像点電界および複数の鏡像点磁界は、それぞれ、グランドプレーンに平行な水平成分とグランドプレーンに垂直な垂直成分とを含んでいてもよい。この場合、複数の鏡像点電界の水平成分は、それぞれ対応する測定点電界の水平成分と振幅は等しいが逆位相である。複数の鏡像点電界の垂直成分は、それぞれ対応する測定点電界の垂直成分と振幅および位相が等しい。複数の鏡像点磁界の水平成分は、それぞれ対応する測定点磁界の水平成分と振幅および位相が等しい。複数の鏡像点磁界の垂直成分は、それぞれ対応する測定点磁界の垂直成分と振幅は等しいが逆位相である。
また、本発明の遠方電磁界推定装置において、供試体、プローブ、位置制御機構およびアンテナは、グランドプレーンを構成する金属床面を有する電波暗室内に配置されてもよい。
また、本発明の遠方電磁界推定装置において、プローブは、電界に応じた信号を出力する電界検出部と、磁界に応じた信号を出力する磁界検出部とを有していてもよい。また、プローブは、複数の測定点電界および複数の測定点磁界において、グランドプレーンに平行な水平成分と前記グランドプレーンに垂直な垂直成分を検出するために直交電界検出部、または、直交磁界検出部を有していてもよい。電界検出部は、電界に応じた差動信号を生成する電界アンテナ部と、電界アンテナ部によって生成された差動信号を出力する2つの電界出力ポートと、電界アンテナ部の一部をシールドする電界シールド部とを含んでいてもよい。磁界検出部は、磁界に応じた差動信号を生成する磁界アンテナ部と、磁界アンテナ部によって生成された差動信号を出力する2つの磁界出力ポートと、磁界アンテナ部の一部をシールドする磁界シールド部とを含んでいてもよい。
また、電界検出部の出力信号の振幅および位相を、実際に電界検出部が受けた電界の振幅および位相に対応する値に補正するための第1の補正情報と、磁界検出部の出力信号の振幅および位相を、実際に磁界検出部が受けた磁界の振幅および位相に対応する値に補正するための第2の補正情報が予め求められていてもよい。そして、演算処理部は、第1および第2の補正情報に基づいて、複数の測定点電界と複数の測定点磁界を算出してもよい。この場合、第1の演算処理では、第1および第2の補正情報により求められた複数の測定点電界および複数の測定点磁界に基づいて、複数の鏡像点電界および複数の鏡像点磁界を算出してもよい。また、第2の演算処理では、そのようにして求められた複数の測定点電界、複数の測定点磁界、複数の鏡像点電界および複数の鏡像点磁界に基づいて、遠方の観測点における電界と磁界の少なくとも一方を算出してもよい。
また、遠方観測点の電界を、実際の受信器で測定された値に補正するため、受信アンテナ特性を補正する第3の補正情報と、経路特性を補正する第4の補正情報が予め求められおり、第3および第4の補正情報に基づいて、受信器で測定される電圧に変換してもよい。
第3の補正情報は、自由空間において、基準となる放射源から、遠方観測点に受信アンテナを配置して自由空間アンテナファクターを用いて伝送損失特性を求め、次に、基準となる放射源のみとして遠方観測点における電界強度を求め、電界強度と伝送損失とを引くことにより求めてもよい。
また、第3の補正情報は、基準となる放射源をグランドプレーンから任意の高さに配置して遠方観測点に受信アンテナを配置して伝送損失を求め、次に、基準となる放射源のみとして遠方観測点における電界強度を求め、電界強度から伝送損失とを引くことにより求めてもよい。
本発明による遠方電磁界推定装置では、例えば、測定高さhmeas以下で前後が±zおよび左右が±xの距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される上方の面を含まない測定面に複数の測定点を設定して、複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方を測定し、鏡像測定面上に複数の鏡像点を設定して、測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方に基づいて、複数の鏡像点電界と複数の鏡像点磁界の少なくとも一方を算出する。そして、測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方と、算出された複数の鏡像点電界と複数の鏡像点磁界の少なくとも一方とに基づいて、遠方観測点における電界と磁界の少なくとも一方を算出する。これにより、本発明によれば、電磁波の供試体の近傍におけるグランドプレーンに対して垂直に形成される上方の面を含まない測定面で測定された電磁界に基づいて、遠方観測点における電磁界を精度よく推定することができる。また本発明によれば、上方の面を含まない測定面で測定することから、遠方電磁界推定装置の低コスト化、ならびに、測定の高効率化がはかれるという効果を奏する。
遠方電磁界推定装置の配置例を示す斜視図である。 近傍測定点と鏡像点および遠方観測点の関係を示すための遠方電磁界推定装置の側面図である。 測定面高さhmeasを決定する式(1)、(2)の説明に供する説明図である。 複数測定点と複数鏡像点の説明に供する説明図である。 鏡像点電界と鏡像点磁界の算出方法の説明に供する説明図である。 近傍電磁界測定装置の動作説明に供する説明図である。 近傍電磁界測定装置の動作フロー図である。 電界検出部の一例を示す斜視図である。 磁界検出部の一例を示す斜視図である。 交差型電界プローブの一例を示す正面図および側面図である。 交差型磁界プローブの一例を示す正面図および側面図である。 電界・磁界検出部、位相参照点アンテナ、プリアンプ、受信器の関係を示す関係図である。 オシロスコープとベクトル信号解析ソフトのアーキテクチャーの一例を示す概略図である。 電磁界プローブ係数の測定方法の説明に供する説明図である。 電界プローブ係数の一例を示す特性図である。 磁界プローブ係数の一例を示す特性図である。 アンテナ係数を算出するための前提条件の説明に供する説明図である。 自由空間におけるアンテナ係数を算出するための説明に供する説明図である。 図18に基づいて算出したアンテナ係数の一例を示す特性図である。 グランドプレーンを考慮したアンテナ係数を算出するための説明に供する説明図である。 本発明の実施形態におけるコンピュータの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の演算処理部の処理フロー図である。 本発明の妥当性を検証するために用いた模擬ノイズ発生器を示す回路図である。 本発明の妥当性を検証するために実施した実験の説明に供する説明図である。 特許文献2による比較実験の説明に供する説明図である。 距離3mにおける50MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離3mにおける100MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離3mにおける300MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離3mにおける500MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離3mにおける800MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離10mにおける50MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離10mにおける100MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離10mにおける300MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離10mにおける500MHzのハイトパターンを示す特性図である。 距離10mにおける800MHzのハイトパターンを示す特性図である。 実際の遠方における測定系統を示す測定系統図である。 距離3mにおける最大受信電圧の周波数特性を示す特性図である。 距離10mにおける最大受信電圧の周波数特性を示す特性図である。 本発明の妥当性を検証するために用いた実機を模擬した回路基板を示す概略図である。 本発明の妥当性を検証するために実施した実機を模擬した回路基板の測定説明に供する説明図である。 距離3m、水平偏波における最大受信電圧の周波数特性を示す特性図である。 距離3m、垂直偏波における最大受信電圧の周波数特性を示す特性図である。 距離10m、水平偏波における最大受信電圧の周波数特性を示す特性図である。 距離10m、垂直偏波における最大受信電圧の周波数特性を示す特性図である。 本発明の妥当性を検証するために実施したゲーム機の測定説明に供する説明図である。 実際の遠方における測定系統を示す測定系統図である。 ゲーム機の放射妨害波における比較検討周波数を示す特性図である。 373MHz、距離3m、水平偏波における受信電圧の分布特性を示す特性図である。 373MHz、距離3m、垂直偏波における受信電圧の分布特性を示す特性図である。 590MHz、距離3m、水平偏波における受信電圧の分布特性を示す特性図である。 590MHz、距離3m、垂直偏波における受信電圧の分布特性を示す特性図である。 786MHz、距離3m、水平偏波における受信電圧の分布特性を示す特性図である。 786MHz、距離3m、垂直偏波における受信電圧の分布特性を示す特性図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る遠方電磁界推定装置は、近傍電磁界の測定を実行する装置と、近傍電磁界の演算、ならびに、遠方電磁界を推定する演算処理部とを備えている。一例として、グランドプレーン1に対して垂直に形成される直方体の上方の面を含まない面を測定する近傍電磁界測定装置を図1に示す。近傍電磁界を測定する装置は、電界と磁界の少なくとも一方を検出するプローブ8と、電界と磁界の位相を参照する小型アンテナ(位相参照点アンテナ)11と、供試体2に対するプローブ8の相対的位置を変更可能な位置制御機構(具体的にはスキャナー9と回転台10)と、プローブ8、小型アンテナ11及び位置制御機構9、10を用いた電界と磁界の少なくとも一方の測定制御を行う制御部(具体的には走査用コントローラ15や後述するコンピュータ17)とを備えている。ここで、スキャナー9と回転台10、また、ローテータ12は、制御ケーブル16にて走査用コントローラ15に接続されている。また、プローブ8および位相参照点アンテナ11は、プリアンプ14を経由して受信器13に接続されている。さらに、走査用コントローラ15の制御部と受信器13との通信、ならびに、システム全体の測定制御や電界または磁界の演算処理と遠方電磁界推定を実行する測定制御・演算処理用コンピュータ17を備えている。本実施の形態では、請求項に対応する制御部と演算処理部は、コンピュータ17及びその周辺装置(13、14、15)によって実現されている。なお、本実施形態においては、少なくとも供試体2、位相参照点アンテナ11および位置制御機構9、10はグランドプレーン1を構成する金属床面を有する電波暗室内に配置されている。
図1に示したグランドプレーン1に対して垂直に形成される直方体の上方の面を含まない面における近傍電磁界の測定では、始めに、コンピュータ17に通信ケーブル18で接続されている走査用コントローラ15の制御部によりスキャナー9に搭載されたプローブ8を制御して、1つの面の複数の測定点における電界と磁界の少なくとも一方を測定する。次に、走査用コントローラ15により回転台10を制御して、供試体2を90度毎回転させて、かつ、走査用コントローラ15によりローテータ12を制御して、位相参照点アンテナ11を回転台10と同期させて90度毎回転させることにより、他の面の複数の測定点における電界と磁界の少なくとも一方を得ることができる。
プリアンプ14は、電磁界プローブ8の電界検出部または磁界検出部から出力される差動信号を構成する2つの信号をそれぞれ増幅して、受信器13に送る。プリアンプ14は、参照点アンテナ11の出力信号を増幅して、受信器13に送る。受信器13は、受けた複数の信号に対応する複数の測定データを生成する。複数の測定データは、受信器13からコンピュータ17に送られる。
次に、図2を参照して、遠方電磁界推定装置による遠方電磁界の推定方法について説明する。本実施の形態に係る遠方電磁界推定装置では、図2に示すように、グランドプレーン1によって区画された2つの空間のうちの一方に配置された電磁波の供試体2によって、供試体2から距離rで離れた遠方の観測点3における電界と磁界の少なくとも一方を求める。
ここで、グランドプレーン1は、等電位面であり、例えば金属床面によって実現される。グランドプレーン1によって区画された2つの空間とは、図2に示したようにグランドプレーン1が水平に位置している場合には、グランドプレーン1の上側の空間と、グランドプレーン1の下側の空間である。図2では、供試体2は、グランドプレーン1の上側の空間に配置されている。供試体2は、例えば、電磁波を発生する電子機器である。このような状況は、例えば、グランドプレーン1を構成する金属床面を有する電波暗室内に供試体2が配置された状況である。図2では、グランドプレーン1を基準とした観測点3の高さを、記号hRxで表している。
本実施の形態に係る遠方電磁界推定装置は、以下の第1と第2の動作及び第1と第2の演算処理を備えている。
制御部は、
図2に示すように、供試体2の位置を基準に、y軸を前記グランドプレーン上方の高さ方向に、z軸を前記観測点方向に、x軸を前記y軸ならびにz軸と直交する方向としたとき、供試体2から前方に距離+z(距離zは距離rより十分小さい)で離れた位置における前方の測定面4を想定し、供試体2のグランドプレーン1からの中心高さhEUTと遠方観測点3のグランドプレーン1から最大高さhRxを結ぶ直線が、測定面4と交差するグランドプレーン1からの高さを基準高さhrefとして(1)式により求め、
Figure 2016142609
供試体2から前方と同様に後方に等距離−zで離れた位置における後方の測定面4を想定し、後方の測定面4における基準高さhrefと遠方観測点3の最大高さhRxを結ぶ直線が、前方測定面4と交差する高さを基準に測定高さhmeasを(2)式により求め、
Figure 2016142609
測定高さhmeas以下で前後が±z及び左右が±x(距離xは距離rより十分小さい)の距離でグランドプレーン1に対して垂直に形成される上方の面を含まない測定面4に、複数の測定点5を設ける第1の動作と、
プローブ8、位置参照点アンテナ11、位置制御機構9、10を用いて、複数の測定点5における電界の測定面の接線方向の成分である複数の測定点電界と、複数の測定点5における磁界の測定面の接線方向の成分である複数の測定点磁界の少なくとも一方を測定する第2の動作を実行する。
例えば、測定面4を、測定高さhmeas以下で前後が±zおよび左右が±xの距離でグランドプレーン1に対して垂直に形成される上方の面を含まない測定面4、または、前後左右が±z=±xの等距離でグランドプレーン1に対して垂直に形成される上方の面を含まない測定面4とすれば、供試体2を回転台10で90度毎回転させて、かつ、位相参照点である小型アンテナ11を同時にローテータ12により90度毎回転させることにより、上方の面を含まない測定面4の全面における複数の測定点電界と、複数の測定点磁界が得られる。なお、半径がzの等距離でグランドプレーン1に対して垂直に形成される上方の面を含まない測定面4であっても、回転台10を用いて任意角度間隔で回転させて、位置制御スキャナー9を供試体2の中心で上下に走査すれば、上方の面を含まない測定面4の全面における複数の測定点電界と、複数の測定点磁界が得られる。
演算処理部は、
図2に示すように、グランドプレーン1を中心として測定面4と面対称の位置関係を有する鏡像測定面6上に、グランドプレーン1を中心として複数の測定点5と面対称の位置関係を有する複数の鏡像点7を設定し、第2の動作で測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方に基づいて、複数の鏡像点7における電界の鏡像測定面6の接線方向の成分である複数の鏡像点電界と複数の鏡像点7における磁界の鏡像測定面6の接線方向の成分である複数の鏡像点磁界の少なくとも一方を算出する第1の演算処理と、
第2の動作で測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方と、第1の演算処理で算出された複数の鏡像点電界と複数の鏡像点磁界の少なくとも一方に基づいて、遠方の観測点3における電界と磁界の少なくとも一方を算出する第2の演算処理とを実行する。
一方、本実施の形態に係る遠方電磁界推定方法は、以下の第1ないし第4の手順を備えている。第1の手順では、測定高さhmeas以上で前後が±z及び左右が±xの距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される上方の面を含まない測定面に複数の測定点を設定する。
第2の手順では、複数の測定点における電界の測定面の接線方向の成分である複数の測定点電界と、複数の測定点における磁界の測定面の接線方向の成分である複数の測定点磁界の少なくとも一方を測定する。
第3の手順では、グランドプレーンを中心として測定面と面対称の位置関係を有する鏡像測定面上に、グランドプレーンを中心として複数の測定点と面対称の位置関係を有する複数の鏡像点を設定し、第2の手順で測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方に基づいて、複数の鏡像点における電界の鏡像測定面の接線方向の成分である複数の鏡像点電界と複数の鏡像点における磁界の鏡像測定面の接線方向の成分である複数の鏡像点磁界の少なくとも一方を算出する。
第4の手順では、第2の手順で測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界の少なくとも一方と、第3の手順で算出された複数の鏡像点電界と複数の鏡像点磁界の少なくとも一方とに基づいて、遠方観測点の電界と磁界の少なくとも一方を算出する。
次に、図3を参照して、測定高さhmeasを決定した根拠について説明する。本発明の遠方電磁界推定では、ハイゲンス・フレネルの原理を応用している。ハイゲンス・フレネルの原理では、任意の波面から離れたどこの面における電磁界も球面波を発生させる二次の素元波と考えることができ、シェルクノフにより提案された等価定理で数学的に処理することができる。ここで、本発明の遠方電磁界推定装置では、例えば、グランドプレーンに対して垂直に形成される上方の面を含まない面を測定面4とすれば、上方の面における二次の素元波の電磁エネルギーを補うように測定面4の高さhmeasを決める必要がある。 少なくとも、図3に示すように、供試体2から観測点3に伝搬する電磁波の経路を考慮する必要があり、供試体2の中心高さhEUTと遠方観測点3の最大高さhRxを結ぶ直線が、前方の測定面4と交差する高さhref以上(ここでは基準高さとしている)の二次の素元波を含める必要がある。また、後方の測定面4に対する二次の素元波も大きく影響することから、基準高さhrefを後方測定面4に適用する必要があり、後方測定面4における基準高さhrefと遠方観測点3の最大高さhRxを結ぶ直線が、前方測定面4と交差する高さ以上の高さを測定高さhmeasとし、測定範囲をこの測定高さhmeas以下とすることで、上方の面における二次の素元波の電磁エネルギーを補うことができる。
このようにして決定された測定高さhmeasに基づき、第1の演算処理と第2の演算処理を実行して、ラブやシェルクノフにより提案された等価定理で数学的に処理して遠方電磁界を求めることができる。例えば、図2に示した測定点5で電磁流密度分布が与えられるとき、直接電磁界を求めてもよいが(3)式及び(4)式に示すベクトルポテンシャル関数を通して求めることができる。この大きな利点の一つは、ベクトルポテンシャル関数A,Fの直角座標成分はスカラー波動方程式に帰着され、比較的容易に解が求められることである。等価電磁流密度J,Mに対してフーリエ変換を用いた解は(5)式及び(6)式となる。
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Gはグリーン関数であり、▽G,▽G/r,▽G/rは(7)式となる。ここで、ηは固有インピーダンス、kは2π/λ、λは電磁波の波長、ベクトル表記のrは観測点へ向く単位方向ベクトルである。
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最終的に(3)式の第1項と第2項は(8)式で表される。
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続いて、(3)式の第3項は(9)式で表される。
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(8)式と(9)式に従い、近傍界の測定面4を平面とすると、その平面を格子状mnに分割して体積積分を面積分で表すと(10)式となり、電界を計算することができる。なお、等価電磁流密度Jmn,Mmnは測定した電磁界(接線成分)で(11)式で近似して表す。ここで、dsmnは面S上の微小面積を表す。
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一方、磁界は(12)式で計算することができる。
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式(10)、(12)は、面S上の電磁界の面Sの接線方向の成分の分布が正しく分かれば、それを波源として、電磁界の解の唯一性から、任意の位置の観測点における電磁界を決定できることを意味している。なお、面S上の等価的な電磁流密度Jmn,Mmnは、式(5)、(6)に示したフーリエ変換を用いた解で表現していることから、任意の位置の観測点における電磁界を正確に求めるためには、フーリエ変換の性質であるサンプリング定理に従い、面S上の電磁界の面Sの接線方向の成分を測定する測定点5の間隔をλ/2以下とする必要がある。
本実施の形態では、測定面4と鏡像測定面6が合わさって形成される面が、上記の説明における面Sに相当する。また、複数の測定点電界、複数の測定点磁界、複数の鏡像点電界および複数の鏡像点磁界は、面S上の電磁界の面Sの接線方向の成分に対応している。
始めに、式(11)を用いて、複数の測定点電界、複数の測定点磁界、複数の鏡像点電界および複数の鏡像点磁界に基づいて、測定面4と鏡像測定面6上の等価電磁流密度Jmn,Mmnの分布を求める。更に、式(10)、(12)を用いて、観測点3における遠方電磁界を算出する。
次に、図4、5を参照して、本実施の形態における複数の測定点と複数の鏡像点について詳細に説明する。図4に示すように、例えば、グランドプレーン1に対して垂直に形成される直方体面の上方の面を含まない測定面4上にいて、複数の測定点5は交差する2方向に並ぶように配列されている。具体的に説明すると、本実施の形態では、測定面4を構成する4面の各々は、格子状に複数の領域に分割される。複数の測定点5は、それぞれ複数の領域の外縁または内部の所定の位置に配置される。所定の位置は、例えば、領域の中心でもよいし、領域の外縁の4つの角のうちの1つの位置でもよい。1つの領域の面積は、式(10)、(12)のdsmnに対応する。
なお、測定面4を格子状mnに分割して体積積分を面積分で表現した式(10)、(12)では、任意のサンプリング間隔とした場合に、測定面の左右上下端辺及び上下端部の面積dsmnに違いが生じ、放射界の計算に影響を与える。このため、測定面の左右上端辺及び上端部で格子点を固定し、格子点の外側となる部分の面積は計算に含まないものとしている。従って、左右上端辺ではdsmnの1/2、上端部ではdsmnの1/4となり、下端辺ではdsmnの3/2、下端部ではdsmnの3/4となる。
測定対象の電磁波の波長が範囲を有する場合には、電磁波の波長の下限値に基づいて、格子状m(=Δx),n(=Δy)の間隔を決定することできる。例えば、電磁波の周波数の上限値を1GHzとすると、電磁波の波長の下限値は30cmである。この場合には、m(=Δx),n(=Δy)を15cm以下、好ましくは10cm以下とする。すなわち電磁波の波長(下限値)の1/2以下にすればよい。
次に、図5を参照して、鏡像点電界と鏡像点磁界の算出方法について説明する。始めに、図5(a)を参照して、鏡像測定点電界の算出方法について説明する。ここでは、複数の測定点電界は、それぞれ、グランドプレーン1に平行な水平成分E1とグランドプレーン1に垂直な垂直成分E2とを含んでいるものとする。この場合、複数の鏡像測定点電界も、それぞれ、グランドプレーン1に平行な水平成分E3とグランドプレーン1に垂直な垂直成分E4とを含む。複数の鏡像測定点電界の水平成分E3と垂直成分E4は、以下のように、グランドプレーン1の境界条件を満足するように与えられる。すなわち、複数の鏡像測定点電界の水平成分E3は、それぞれ対応する測定点電界の水平成分E1と振幅は等しいが逆位相である。複数の鏡像測定点電界の垂直成分E4は、それぞれ対応する測定点電界の垂直成分E2と振幅および位相が等しい。図5(a)には、1つの測定点電界の水平成分E1と垂直成分E2と、それに対応する1つの鏡像測定点電界の水平成分E3と垂直成分E4を示している。
次に、図5(b)を参照して、鏡像測定点磁界の算出方法について説明する。ここでは、複数の測定点磁界は、それぞれ、グランドプレーン1に平行な水平成分H1とグランドプレーン1に垂直な垂直成分H2とを含んでいるものとする。この場合、複数の鏡像測定点磁界も、それぞれ、グランドプレーン1に平行な水平成分H3とグランドプレーン1に垂直な垂直成分H4とを含む。複数の鏡像測定点磁界の水平成分H3と垂直成分H4は、以下のように、グランドプレーン1の境界条件を満足するように与えられる。すなわち、複数の鏡像測定点磁界の水平成分H3は、それぞれ対応する測定点磁界の水平成分H1と振幅および位相が等しい。複数の鏡像測定点磁界の垂直成分H4は、それぞれ対応する測定点磁界の垂直成分H2と振幅は等しいが逆位相である。図5(b)には、1つの測定点磁界の水平成分H1と垂直成分H2と、それに対応する1つの鏡像測定点磁界の水平成分H3と垂直成分H4を示している。
図6、7を参照して、近傍電磁界測定装置を用いて複数の測定点5における測定点電界と測定点磁界の少なくとも一方を測定する際における近傍電磁界測定装置の動作の概要について説明する。
始めに、供試体2の大きさと、プローブ8の受信感度と、格子状m,nの間隔とを考慮して、測定高さhmeas(=ymax)、hmin(=ymin)と±x、±zの測定領域の寸法を定める。初期状態において、ステップS01により供試体2の位置を原点(図6では(0,hEUT,0))として、測定面4における中心位置(図6では(0,hEUT,+z))へプローブ8を移動させ空間の座標を定める。そして、図6に示すように、プローブ8を測定開始点(図6では(−x,hmin,+z)の位置)であるA位置にステップS02で移動させて、開始点における測定点電界または測定点磁界をステップS03により測定する。次に、開始点の測定が完了後、ステップS04でキャリッジ19に沿った方向へプローブ8をΔx移動させて、測定点電界または測定点磁界をステップS05により測定する。この動作を(+x,hmin,+z)まで繰り返し、hmin(=ymin)での測定が完了後、キャリッジ19をスティ20に沿ってΔy移動させて、高さhmin+Δyにおける測定点である(+x,hmin+Δy,+z)の測定点電界または測定点磁界を測定する。これら一連の動作を高さhmeas(=ymax)の終点のB位置まで実行して、第1の測定面の複数の測定点における測定点電界または測定点磁界の測定が、ステップS06で完了する。
次に、ステップS07で回転台10の位置をθ=0degの位置からθ=90degの位置へ回転させて、第2の面の測定開始点のB位置から終点のA位置までキャリッジ19とスティ20により走査させるステップS02からステップS06を実行し、第2の測定面の複数の測定点における測定点電界または測定点磁界が測定される。このようにして、第4の面までステップS02からステップS07を実行することにより、直方体面または立方体の上方の面を含まない測定面における複数の測定点電界または複数の測定点磁界を測定し、ステップS08で完了する。なお、図6には示していないが、図1に示した位相参照点アンテナ11は回転台10の位置と同期してローテータ12によりθ=0degの位置からθ=90degの位置へ回転させている。これら一連の動作フローを図7に示す。この動作フローの実行は、図1に示したコンピュータ17から走査用コントローラ15へ、走査コマンドを送ることにより実現している。演算処理部が行う処理については、後で詳しく説明する。
なお、半径がzの距離でグランドプレーン1に対して垂直に形成される円筒面であっても、回転台10を用いて任意角度θの間隔で回転させて、位置制御スキャナー9のスティ20を供試体2の中心で上下に走査すれば、上方の面を含まない円筒面における複数の測定点電界または複数の測定点磁界を測定することができる。
続いて、図8および図9を参照して、プローブ8の一例である電磁界プローブ例について説明する。図8は、電界検出部を分解して示す斜視図である。図9は、磁界検出部を分解して示す斜視図である。
図8に示すように、電界検出部は、パターン化された導体層よりなる電界アンテナ部21を含むプリント基板22と、プリント基板22の上下に配置された導体よりなるシールド板23と、シールド板23の上下を結合させる多数のスルーホール24で構成されている。電界アンテナ部21は、ダイポールアンテナを構成している。電界アンテナ部21から検出される電界に応じた信号は、2つの電界出力ポート25、26によりプリアンプを経由して受信器に供給される。2つの電界出力ポート25、26は、電界アンテナ部21によって生成された差動信号を出力する。なお、差動信号は、振幅が等しく位相が反対の2つの信号によって構成される。
図9に示すように、磁界検出部は、パターン化された導体層よりなる磁界アンテナ部27を含むプリント基板29と、先端に微小なギャップ28を設けた導体よりなるシールド板30と、シールド板30の上下を結合させる多数のスルーホール31で構成されている。磁界アンテナ部27は、ギャップ28を有するシールドデットループアンテナを構成している。磁界アンテナ部27から検出される磁界に応じた信号は、2つの磁界出力ポート32、33によりプリアンプを経由して受信器に供給される。2つの磁界出力ポート32、33は、磁界アンテナ部27によって生成された差動信号を出力する。
次に、図10および図11を参照して、プローブ8の一例である直交電磁界プローブ例について説明する。図10は、交差電界検出部(直交電界検出部)を示す正面図と側面図である。図11は、交差磁界検出部(直交磁界検出部)を示す正面図と側面図である。
図10に示すように、電界検出部は、交差させて配列した導体棒よりなる交差電界アンテナ部34と、交差電界アンテナ部34を接続するコネクター35と、交差電界アンテナ部34をサポートする材料36で構成されている。交差電界アンテナ部34は、直交ダイポールアンテナを構成している。交差電界アンテナ部34から検出される電界に応じた信号は、4つの電界出力ポート37,38、39、40によりプリアンプを経由して受信器に供給される。2つの電界出力ポート37、38および直交する2つの電界出力ポート39、40は、交差電界アンテナ部34によって生成された差動信号を出力する。
図11に示すように、磁界検出部は、交差させて配列した側面に微小なギャップ42を設けた同軸線路よりなる交差磁界アンテナ部41と、コネクター43と、交差電界アンテナ部41をサポートする材料44で構成されている。交差磁界アンテナ部41は、ギャップ42を有するシールドデットループアンテナを構成している。交差磁界アンテナ部41から検出される磁界に応じた信号は、4つの磁界出力ポート45,46、47、48によりプリアンプを経由して受信器に供給される。2つの磁界出力ポート45、46および直交する2つの磁界出力ポート47、48は、交差磁界アンテナ部41によって生成された差動信号を出力する。
上述のように電界検出部と磁界検出部は、いずれも差動信号を生成する。このような電界検出部と磁界検出部は、差動信号を構成する2つの信号に同相で生じる定常雑音を相殺でき、検出方向に対する依存性が小さいという特長を有している。
次に、図12、13を参照して、電界検出部と磁界検出部により検出された電界と磁界に応じた差動信号を、高速且つ広帯域に処理して電界の振幅及び位相と磁界の振幅及び位相を求める受信器の一例について説明する。図12は、電界検出部または磁界検出部、位相参照点アンテナ、プリアンプ、さらには受信器の関係を示す図である。
図12に示すように、プローブ8で検出された差動信号は、180度位相合成器49により合成され、プリアンプ13を経由して受信器14に取り込まれる。また、位相参照点アンテナで検出された信号は、プリアンプ13を経由して受信器14に取り込まれる。受信器14は、高速且つ広帯域に信号をサンプリングすることが求められることから、高速且つ高精度なアナログ・デジタル・コンバーターを搭載したオシロスコープなどが適用できる。また、プローブ8で検出された差動信号の位相を求めるため、位相参照点アンテナ11の信号に対して位相差解析が実行できるベクトル信号解析ソフトなどが適用できる。
図13は、高速且つ高精度なアナログ・デジタル・コンバーターを搭載したオシロスコープと、位相差解析が実行できるベクトル信号解析ソフトのアーキテクチャーを示した図である。図13に示すように、プローブ信号と位相参照点アンテナ信号は、信号コンディショニングされて、アンチ・エリアシング・フィルターを経由してアナログ・デジタル・コンバーターによりデジタル化される。そして、それぞれのデジタル信号は、直交検波器により広帯域なベクトル変調(デジタル変調)信号を生成して、デジタルフィルターを経由して時間データとして保存される。次に、高速でサンプリングされたそれぞれの信号の時間データをリサンプリングして、プローブ信号の振幅は、窓関数を畳み込んでFFT処理して周波数ドメインに変換して表示し、プローブ信号の位相は、位相参照点アンテナとの位相差を表示する。ここで、1回のサンプリングに要する時間は、周波数帯域が1GHzであれば数百マイクロ秒から数ミリ秒程度であり、高速且つ広帯域な信号処理を実現することができる。
上述により測定された電界の振幅および位相と磁界の振幅および位相は、電界検出部および磁界検出部の固有の受信特性に応じて、出力信号の振幅および位相を、実際に検出部が受けた振幅および位相に対応する値に補正する必要がある。ここでは、第1の補正情報を電界プローブ係数と呼び、第2の補正情報を磁界プローブ係数と呼ぶことにする。
プローブ係数を求める方法では、まず、放射源から基準となる電磁波を放射させ、この電磁波を電磁界プローブによって検出して、電界プローブ係数と磁界プローブ係数を求めるための基礎データを収集する。ここでは、基準となる放射源として、バイコニカルアンテナと、ログペリオディックアンテナを用いた。
図14(a)および(b)を参照して、基準放射源としてバイコニカルアンテナを用いた場合について説明する。プローブ係数を求める方法では、電磁界プローブ8およびバイコニカルアンテナ52の他に、ベクトルネットワークアナライザー53を用いた。
始めに、図14(a)に示すように、基準放射源用送信ケーブル54をベクトルネットワークアナライザー53のポート1とポート2に接続して校正した。次に、図14(b)に示すように、バイコニカルアンテナ52と電磁界プローブ8を、グランドプレーン1を基準として高さ1mの位置に配置した。バイコニカルアンテナ52と電磁界プローブ8の間の距離は、30cm〜100mの範囲において10cm間隔で変化させた。バイコニカルアンテナ52は、水平偏波の電磁波を放射するように配置した。電磁界プローブ8は、電界検出部が電界の水平成分を検出し、磁界検出部が磁界の垂直成分を検出するように配置した。バイコニカルアンテナ52が放射する電磁波の周波数は、30MHz〜300MHz、1MHz間隔とした。電磁界プローブ8の電界検出部と磁界検出部から出力される2つの差動信号は、180度位相合成器により合成され、プリアンプを経由してベクトルネットワークアナライザー53に供給され、S21の伝搬特性が得られる。なお、プローブ用受信ケーブル50、51は、実際の測定に用いるものと完全に一致したものを用いた。
次に、バイコニカルアンテナ52の代わりにログペリオディックアンテナを、グランドプレーン1を基準として高さ1mの位置に配置した。ログペリオディックアンテナと電磁界プローブ8の間の距離は、30cm〜100mの範囲において10cm間隔で変化させた。ログペリオディックアンテナは、水平偏波の電磁波を放射する姿勢で配置した。ログペリオディックアンテナが放射する電磁波の周波数は、300MHz〜1GMHz、1MHz間隔とした。ログペリオディックアンテナを用いた場合におけるその他の条件は、バイコニカルアンテナ52を用いた場合と同様である。
一方、プローブ係数を求める方法では、図14(b)に示した測定条件に基づくそれぞれの放射源、ここではバイコニカルアンテナとログペリオディックアンテナをモデル化して、モーメント法によって、基準放射源52と電磁界プローブ8との間隔rを30cm〜100mの範囲で10cm間隔の各々の位置において、電磁界プローブ8が存在しない状態の基準電磁界強度EMOM(r)、HMOM(r)を計算した。そして、測定したS21(r)の伝搬特性と計算した基準電磁界強度により、(13)、(14)式に従って電界プローブ係数PFと磁界プローブ係数PFとを求めた。
Figure 2016142609
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電界プローブ係数PFと磁界プローブ係数PFは、それぞれ振幅と位相の情報を有している。ここで、電界プローブ係数PFが有する振幅の情報を電界振幅係数と呼び、電界プローブ係数PFが有する位相の情報を電界位相係数と呼び、磁界プローブ係数PFが有する振幅の情報を磁界振幅係数と呼び、磁界プローブ係数PFが有する位相の情報を磁界位相係数と呼ぶ。
バイコニカルアンテナまたはログペリオディックアンテナと電磁界プローブの間の距離を変化させて、電界振幅係数および電界位相係数と、磁界振幅係数および磁界位相係数とを求めたところ、距離に関わらずにほぼ一定になることが分かった。
ここで、周波数毎の電界振幅係数、電界位相係数、磁界振幅係数、磁界位相係数のそれぞれの平均値を、電界振幅係数PFEm、電界位相係数PFEp、磁界振幅係数PFHm、磁界位相係数PFHpとする。プローブ係数を求める方法では、電界プローブ係数の振幅の情報として電界振幅係数PFEmを求め、電界プローブ係数の位相の情報として電界位相係数 PFEpを求め、磁界プローブ係数の振幅の情報として磁界振幅係数PFHmを求め、磁界プローブ係数の位相の情報として磁界位相係数PFHpを求めた。
図15(a)は、図8に示した電界検出部の電界プローブにおける電界振幅係数PFEmを示す特性図である。また、図15(b)は、図8に示した電界検出部の電界プローブにおける電界位相係数PFEpを示す特性図である。ここで、電界検出部の電界アンテナ部21のエレメントの全長は50mmを有する電界プローブを用いた。
図16(a)は、図9に示した磁界検出部の磁界プローブにおける磁界位相係数PFHpを示す特性図である。また、図16(b)は、図9に示した磁界検出部の磁界プローブにおける磁界位相係数PFHpを示す特性図である。ここで、磁界検出部の磁界アンテナ部27の方形ループの1辺の長さが20mmを有する磁界プローブを用いた。なお、300MHz以下の周波数で受信感度が必要な場合には、方形ループの1辺の長さが50mmを有する磁界プローブを用いた。
使用する電磁界プローブに関して、電界プローブ係数PFを用いて、電界検出部の出力信号の振幅および位相を、電界検出部の受信特性、受信ケーブルの伝送特性、プリアンプのゲインの影響が排除された値、すなわち実際に電界検出部が受けた電界の振幅および位相に対応する値に補正することができる。同様に、磁界プローブ係数PFを用いて、磁界検出部の出力信号の振幅および位相を、磁界検出部の受信特性、受信ケーブルの伝送特性、プリアンプのゲインの影響が排除された値、すなわち実際に磁界検出部が受けた磁界の振幅および位相に対応する値に補正することができる。具体的には、補正後の電界は、電界検出部の出力信号に電界プローブ係数PFを掛けることによって得られ、補正後の磁界は、磁界検出部の出力信号に磁界プローブ係数PFを掛けることによって得られる。
遠方観測点において推定された遠方電磁界は、実際の測定で使用する受信アンテナや、受信ケーブル、プリアンプなどの影響が考慮されていない。このため、実際に用いる受信アンテナの受信特性、および受信ケーブルとプリアンプの損失とゲインである経路特性に応じた値に補正する必要がある。ここでは、アンテナ特性を補正する第3の補正情報をアンテナ係数と呼び、経路特性を補正する第4の補正情報を経路係数と呼ぶことにする。このアンテナ係数と経路係数により、実際に受信器で測定される電圧dBVに換算することができる。
受信アンテナのアンテナ係数を求める場合、上述した基準放射源を用いてプローブ係数を求めた条件が前提となる。ここで、図17、18を参照して、受信アンテナのアンテナ係数を求める方法について説明する。
図17に示すように、供試体2の近傍を測定した電磁界はプローブ係数により補正される。このことは、基準放射源52の近傍をモーメント法で計算した電磁界との相対値で表されることを意味している。これらの近傍電磁界を用いて遠方観測点56の遠方電磁界を求めた場合、供試体2の遠方観測点56の遠方電磁界も、基準放射源52の遠方観測点56の遠方電磁界との相対値で表されることになる。この前提条件に従って、基準放射源52を用いてアンテナ係数を求める。ここでは、基準放射源として、30MHz〜300MHzではバイコニカルアンテナと、300MHz〜1GHzではログペリオディックアンテナを用いた。受信アンテナは、基準放射源52と同様として、バイコニカルアンテナとログペリオディックアンテナを用いた。
図18に示すように、始めに、自由空間において、基準放射源52から、遠方の距離rの遠方観測点に受信アンテナ55を配置して、伝送損失特性、すなわちサイトアッテネーションCSA値をスミスの公式(15)により求める。ここで、スミスの公式中のアンテナファクターには、自由空間アンテナファクターAFを用いた。次に、基準放射源52のみとして、前記と同じ遠方の距離rの遠方観測点56における電界強度Eをモーメント法により求め、その電界強度Eから前述のCSA値を引くことにより、すなわち(16)式によりアンテナ係数CFAFが求まる。このアンテナ係数CFAFを求める方法は、供試体2において電磁波の放射位置が未知で、偏波が未知の場合に有効である。このようにして、受信アンテナをバイコニカルアンテナとログペリオディックアンテナとした場合のアンテナ係数を求めた結果を図19に示す。
Figure 2016142609
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一方、供試体2において電磁波の放射位置が既知で、偏波が既知の場合には、グランドプレーンの影響を考慮することができる。この場合、図20に示すように、基準放射源52をグランドプレーン1から既知の放射源位置の高さhTxに配置し、遠方観測点56の距離rで受信アンテナ55を高さhRx配置してモーメント法によりCSA値を求める。次に、基準放射源52のみとして、距離rで、高さhRxの遠方観測点56おける電界強度Eをモーメント法により求め、その電界強度Eから前述のCSA値を引くことにより、すなわち(16)式のCSA値をモーメント法のCSA値としてアンテナ係数CFAFが求まる。
どちらのアンテナ係数を選定するかは、供試体から放射される電磁波の位置及び偏波が既知であるか、未知であるかで判断することができる。
遠方観測点において、受信アンテナをバイコニカルアンテナとログペリオディックアンテナとした場合の遠方電界は、(17)式により、推定した遠方電界ENFTに対して、アンテナ係数CFAFを引き、受信ケーブルとプリアンプの損失とゲインである経路係数 PFPassを加えることにより、例えばスペクトラムアナライザーやEMIレシーバーなどの受信器で測定される電圧dBVに換算することができる。
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次に、図1および図21を参照して、演算処理部について詳しく説明する。図21は、図1におけるコンピュータ17のハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ17は、主制御部66と、入力装置67と、出力装置68と、記憶装置69と、これらを互いに接続するバス70とを備えている。主制御部66は、CPU(中央処理装置)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)を有している。入力装置67は、遠方電磁界推定装置の動作に必要な情報の入力や各種の動作の指示を行うために用いられる。出力装置68は、遠方電磁界推定装置の動作に関連する各種の情報を出力(表示を含む)するために用いられる。
記憶装置69は、情報を記憶できるものであれば、その形態は問わないが、例えばハードディスク装置または光ディスク装置である。また、記憶装置69は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体71に対して情報を記録し、また記録媒体71より情報を再生するようになっている。記録媒体71は、例えばハードディスクまたは光ディスクである。
なお、記憶装置69の記録媒体71に記録されたプログラムを実行することにより、図1に示した供試体2に対するプローブ8の位置制御機構(スキャナー9と、回転台10)と、測定面の電磁界の位相参照する小型アンテナ11の動作を走査用コントローラ15によって制御する機能を発揮するようになっている。
また、上述のプログラムを実行することにより、電磁界プローブ8とプリアンプ14で得られた出力信号と、参照点アンテナ11とプリアンプ14で得られた出力信号を、受信器13で受けた複数の信号に対応する複数の測定データをコンピュータ17に送る機能を発揮するようになっている。
次に、図1および図22を参照して、演算処理について詳しく説明する。図22は、演算処理を示すフローチャートである。図22に示したように、演算処理では、まず、ステップS101で、操作者が予め位相参照点アンテナで受信された放射妨害波の周波数を選択して、供試体2の中心高さ、供試体2から遠方観測点までの水平方向の距離rと、供試体2の角度の範囲と間隔、観測点高さの範囲と間隔、観測点で解析する偏波などの演算条件を入力する。EMI試験では、距離rが3mまたは10mが主であり、供試体2の角度の範囲は0度〜360度で、かつ、観測点高さの範囲は1m〜4mである。また、放射妨害波は、水平偏波および垂直偏波の電界強度として表される。
次に、ステップS102で、演算処理部が第1の演算処理を行う。すなわち、演算処理部は、鏡像測定面6上に複数の鏡像点7を設定し、近傍電磁界測定装置で測定された複数の測定点電界と複数の測定点磁界またはどちらか一方を、電界プローブ係数と磁界プローブ係数により補正する。そして、補正されたに複数の測定点電界と複数の測定点磁界またはどちらか一方に基づいて、複数の鏡像点7における複数の鏡像点電界と複数の鏡像点磁界またはどちらか一方を算出する。
次に、ステップS103で、演算処理部は、式(11)を用いて、複数の測定点電界、複数の測定点磁界またはどちらか一方、複数の鏡像点電界および複数の鏡像点磁界またはどちらか一方に基づいて、全ての面上の等価電磁流密度Jmn,Mmnの分布を求める。
次に、ステップS104で、演算処理部は、入力された供試体2の角度の範囲内の最小値と観測点高さの範囲内の最小値における観測点の位置座標から、供試体2から観測点3までの距離を求めて、全ての面上の等価電磁流密度Jmn,Mmnの分布から、(10)式を用いて観測点3における遠方電磁界を算出する。
次に、ステップS105で、S104で算出した遠方電磁界の電界強度に対して、(17)式にてアンテナ係数CFAFと経路係数PFPassを考慮した受信器での測定値である受信電圧dBVに換算して記憶する。
次に、演算処理部は、ステップS106で、観測点高さの最小値に高さの間隔だけ増加させて、ステップS104からステップS105を実行する。そして、観測点高さの最大値まで繰返して、供試体2の角度の最小値における受信器での測定値である受信電圧dBVのハイトパターンを得る。
次に、ステップS107で、演算処理部は、供試体2の角度の最小値に角度間隔だけ増加させて、ステップS104からステップS106を実行する。そして、供試体2の角度の最大値まで繰り返して、ステップS108で、供試体2の角度の範囲および観測点高さの範囲の複数の観測点における受信器での測定値である受信電圧dBVの分布を求めて、記憶する。
以上の演算処理により、入力された供試体2の角度の範囲および観測点高さの範囲内の複数の観測点3における最大受信電圧dBVの角度および高さを求めることができる。
なお、測定面が磁気壁であると仮定して、(11)の代わりに、Js=2n×H、Ms=0という関係を用いて、複数の測定点磁界と複数の鏡像点磁界に基づいて、面上の面電流Jsの分布のみにより、観測点における遠方電磁界を算出することもできる。
また、測定面が電気壁であると仮定して、(11)式の代わりに、Js=0、Ms=−2n×Eという関係を用いて、複数の測定点電界と複数の鏡像点電界に基づいて、面上の面磁流Msの分布のみにより、観測点における遠方電磁界を算出することも可能である。
[検証実験]
以下、図23ないし図26を参照して、本実施の形態に係る遠方電磁界推定装置および遠方電磁界推定方法の妥当性を検証するために実施した実験について説明する。実験は、供試体2が放射する電磁波が水平偏波となる条件で実施した。
供試体2には、擬似ノイズ発生器として、図23に示すように、10MHzの水晶発振子58で構成した回路基板に、全長約40cmのスモールバイコニカルアンテナ57を接続したものを用いた。
実験では、図24に示すように、スモールバイコニカルアンテナ57をグランドプレーン1から高さ1mに配置して、水平偏波の電磁波を放射する姿勢とした。
ここで、スモールバイコニカルアンテナ57の位置を直交座標系、すなわち、x軸を観測点と直交する方向に、y軸をグランドプレーン上方の高さ方向に、z軸を観測点方向として定義する。始めに、直方体の上方の面を含まない平面1a,1b,1c,1dからなる測定面4を想定した。4つの平面は、直方体の面うちグランドプレーンと垂直な4面に対応する。平面1a,1bは、x軸に垂直であって、それぞれの一辺がグランドプレーン1に接している。平面1c,1dは、z軸に垂直であって、それぞれの一辺がグランドプレーン1に接している。測定面4のx軸,z軸の寸法は、それぞれ60cmとした。また、測定面4のy軸の寸法は、本実施の形態の最大高さhmeasの妥当性を検証するため、 150cm、180cm、200cmと変化させて、z軸方向、すなわち、供試体2の角度が0度方向の遠方観測点3の高さ範囲における受信電圧を、本発明の実施形態による一連の動作および演算処理にて求めた。なお、遠方観測点距離rは、EMI試験における3mおよび10mとし、遠方観測点3の高さの範囲は1m〜4mとした。また、x,y,z軸の各方向について、隣接する2つの測定点5間の測定面4上における距離はΔx=Δy=Δz=10〔cm〕とした。
次に、測定面4のy軸の高さ範囲を決めた理由について説明する。上述した条件では、供試体2のグランドプレーン1からの中心高さhEUTは1mであり、遠方観測点3のグランドプレーン1から最大高さhRxは4mとしている。また、zは±0.3mであり、遠方観測点3の距離を3mとすると、測定高さhmeasは(1)、(2)式により、180cm以上となる。一方、遠方観測点3の距離が10mの場合、hmeasは、150cm以上となる。従って、本実施の形態の最大高さhmeasの妥当性を検証では、測定面4のy軸の高さ範囲を150cm、180cm、200cmとした。
一方、比較のため、特許文献2に基づき、図25に示すように、供試体2を囲むように設定したグランドプレーンに垂直な4面1a、1b、1c、1dに、上方の1面1eを加えた測定面4を形成して、遠方観測点3の高さ範囲における受信電圧dBVを特許文献2に従って求めた。なお、測定高さhmeasは130cmとした。
次に、図26ないし図35を参照して、周波数は、50MHz、100MHz、300MHz、500MHz、800MHzにおける実証実験の結果について説明する。ここで、遠方観測点の距離が3mの場合における受信電圧のハイトパターン特性を、図26から図30に示す。また、遠方観測点の距離が10mの場合における受信電圧のハイトパターン特性を、図31から図35に示す。各図の記号H101の破線は、本発明の実施形態の最大高さhmeasが200cmの場合を、記号H102の一点破線は、最大高さhmeasが180cmの場合を、記号H103の二点破線は、最大高さhmeasが150cmの場合を示す。記号H104の実線は、特許文献2による受信電圧のハイトパターン特性を示す。なお、300MHz以下の周波数では、図20に示すグランドプレーンを考慮したアンテナ係数を、300MHzを超える周波数では、図18、19に示す自由空間におけるアンテナ係数を用いた。
図26から図30の遠方観測点の距離が3mの場合における受信電圧のハイトパターン特性H101、H102、H103は、特許文献2のハイトパターン特性H104と同じ傾向を示し、H101、H102とH104との偏差は、ヌル点および800MHzの受信アンテナ高さ3m以上を除き、1dB程度であり、小さいことが分かる。一方、H103とH104との偏差は、100MHzで大きく2dB程度であり、また、300MHz以上ではヌル点の発生する高さに若干のズレが生じており、偏差が大きいことが分かる。以上の結果から、遠方観測点の距離が3mの場合、最大高さhmeasは180cm以上が良く、望ましくは200cm程度が良いことが分かる。
図31から図35の遠方観測点の距離が10mの場合における受信電圧のハイトパターン特性H101、H102、H103は、特許文献2のハイトパターン特性H104と同じ傾向を示し、H101、H102とH104との偏差は、ヌル点を除いて1dB以内であり、小さいことが分かる。一方、H103とH104との偏差は、100MHzにおいて若干大きく、1.5dB程度であることが分かる。以上の結果から、遠方観測点の距離が10mの場合、最大高さhmeasは150cm以上が良く、望ましくは180cm程度が良いことが分かる。
次に、図36と図38を参照して、本発明の実施形態の最大高さhmeasが200cmにおける最大受信電圧の周波数特性と、実際に測定した最大受信電圧の周波数特性を比較した結果について説明する。
図36に示すように、遠方観測点3に受信アンテナ55(バイコニカルアンテナとログペリオディックアンテナ)を配置し、受信ケーブル60とプリアンプ14を経由してスペクトラムアナライザー59に供給された受信電圧dBVを測定し、最大受信電圧の周波数特性を求めた。なお、受信ケーブル60とプリアンプ14の損失とゲインである経路係数 PFPassを測定により求めて、一方の本発明の実施形態における最大受信電圧の周波数特性を求めるときに用いた。
遠方観測点の距離が3mの場合における最大受信電圧の周波数特性を、図37に示す。また、遠方観測点の距離が10mの場合における最大受信電圧の周波数特性を、図38に示す。各図の記号F1の×印は、本発明の実施形態の最大高さhmeasが200cmの最大受信電圧の周波数特性を、記号F2の実線は、実際に測定した最大受信電圧の周波数特性を示す。
図37および図38において、記号F1の本発明の実施形態である最大受信電圧の周波数特性は、30MHz付近の受信電圧が非常に小さくなる周波数を除いて、記号F2の実際に測定した最大受信電圧の周波数特性と、良い一致を示していることが分かる。
図26ないし図35に示したように、本実施の形態による受信電圧のハイトパターン特性は、比較例による上方の1面を加えた特許文献2の特性とほぼ一致している。また、図37および図38に示したように、本実施の形態による最大受信電圧の周波数特性は、実際に測定した特性とほぼ一致している。これらの結果から、本実施の形態に係る遠方電磁界推定装置が妥当であることが確認された。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施形態では、図39に示すように、20MHzの水晶発振子61と、2つのIC62を搭載した、長さ17.5cm、幅5cmの実機を模擬した回路基板63を用いて、記号F、記号B、記号R、記号Lに示す前後左右を遠方観測点の方向として変化させ、すなわち供試体角度の0度は記号Fに、90度は記号Rに、180度は記号B、270度は記号Lとして、遠方観測点の距離が3mおよび10mにおける受信電圧のハイトパターン特性を推定し、最大受信電圧の周波数特性を求めた。そして、実際に測定した最大受信電圧の周波数特性と比較した。
第2の実施形態では、図40に示すように、回路基板63をグランドプレーン1から高さ0.8mに配置した。ここで、回路基板63の位置を直交座標系、すなわち、x軸を観測点と直交する方向に、y軸をグランドプレーン上方の高さ方向に、z軸を観測点方向として定義する。始めに、直方体の上方の面を含まない平面1a,1b,1c,1dからなる測定面4を想定した。4つの平面は、直方体の面うちグランドプレーンと垂直な4面に対応する。平面1a,1bは、x軸に垂直であって、それぞれの一辺がグランドプレーン1に接している。平面1c,1dは、z軸に垂直であって、それぞれの一辺がグランドプレーン1に接している。測定面4のx軸,z軸の寸法は、それぞれ40cmとした。また、測定面4のy軸の寸法である最大高さhmeasを(1)式、(2)式から160cmとして、回路基板63の角度が0度の記号F、90度の記号R、180度の記号B、270度の記号Lの方向に対する遠方観測点3の高さ範囲における受信電圧を、本発明の第1の実施形態による一連の動作および演算処理にて求めた。なお、遠方観測点距離rは、EMI試験における3mおよび10mとし、遠方観測点3の高さの範囲は1m〜4mとした。また、x,y,z軸の各方向について、隣接する2つの測定点5間の測定面4上における距離はΔx=Δy=Δz=10〔cm〕とした。また、遠方観測点に受信アンテナを配置した場合の自由空間のアンテナ係数CFAFと、測定による経路係数PFPass。を用いた。一方、実際の測定では、図35の測定系により、最大受信電圧の周波数特性を測定した。
図41(a)記号F、(b)記号R、(c)記号B、(d)記号Lに、距離3mで、水平偏波における本発明の第2の実施形態である最大受信電圧の周波数特性、記号F3の×印と、実施に測定した最大受信電圧の周波数特性、記号F4の実線を示す。また、図42(a)記号F、(b)記号R、(c)記号B、(d)記号Lに、距離3mで、垂直偏波における本発明の第2の実施形態である最大受信電圧の周波数特性、記号F3の×印と、実施に測定した最大受信電圧の周波数特性、記号F4の実線を示す。
図41および図42の距離3mおよび水平・垂直両偏波において、記号F3の本発明の第2の実施形態である最大受信電圧の周波数特性は、記号F4の実際に測定した最大受信電圧の周波数特性と、良い一致を示していることが分かる。
次に、図43(a)記号F、(b)記号R、(c)記号B、(d)記号Lに、距離10mで、水平偏波における本発明の第2の実施形態である最大受信電圧の周波数特性、記号F3の×印と、実施に測定した最大受信電圧の周波数特性、記号F4の実線を示す。また、図44(a)記号F、(b)記号R、(c)記号B、(d)記号Lに、距離10mで、垂直偏波における本発明の第2の実施形態である最大受信電圧の周波数特性、記号F3の×印と、実施に測定した最大受信電圧の周波数特性、記号F4の実線を示す。
図43および図44の距離10mおよび水平・垂直両偏波において、記号F3の本発明の第2の実施形態である最大受信電圧の周波数特性は、記号F4の実際に測定した最大受信電圧の周波数特性と、良い一致を示していることが分かる。
図41ないし図44に示したように、本発明の第2の実施形態による最大受信電圧の周波数特性は、実際に測定した特性とほぼ一致している。これらの結果から、本発明の実施形態である実機を模擬した回路基板を用いて、供試体角度を90度毎に変化させた場合においても、遠方電磁界推定装置が妥当であることが確認された。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施形態では、クロック周波数が295MHzで動作するエモーションエンジン1つと、クロック周波数が147.5MHzで動作するグラフィックシンセサイザー1つと、クロック周波数34MHz〜38MHzで動作するI/Oプロセッサー多数を搭載した、長さ30cm、幅20cm、高さ10cmのゲーム機を用いて、ゲーム機の角度を0度〜360度の範囲で変化として、遠方観測点の距離が3mにおける受信電圧のハイトパターン特性を推定し、最大受信電圧の周波数特性を求めた。そして、実際に、ゲーム機の角度をターンテーブルにより0度〜360度の範囲で変化させて、遠方観測点の距離が3mにおける最大受信電圧の周波数特性を測定した。
第3の実施形態では、図45に示すように、ゲーム機64をグランドプレーン1から高さ0.8mに配置した。ここで、ゲーム機64の位置を直交座標系、すなわち、x軸を観測点と直交する方向に、y軸をグランドプレーン上方の高さ方向に、z軸を観測点方向として定義する。始めに、直方体の上方の面を含まない平面1a,1b,1c,1dからなる測定面4を想定した。4つの平面は、直方体の面うちグランドプレーンと垂直な4面に対応する。平面1a,1bは、x軸に垂直であって、それぞれの一辺がグランドプレーン1に接している。平面1c,1dは、z軸に垂直であって、それぞれの一辺がグランドプレーン1に接している。測定面4のx軸,z軸の寸法は、それぞれ60cmとした。また、測定面4のy軸の寸法である最大高さhmeasを(1)式、(2)式から160cmとして、ゲーム機の角度を0度〜360度の範囲で、間隔5度毎に対する遠方観測点3の高さ範囲における受信電圧を、本発明の第1の実施形態による一連の動作および演算処理にて求めた。なお、遠方観測点距離rは、EMI試験における3mとし、遠方観測点3の高さの範囲は1m〜4mとした。また、x,y,z軸の各方向について、隣接する2つの測定点5間の測定面4上における距離はΔx=Δy=Δz=10〔cm〕とした。また、遠方観測点に受信アンテナを配置した場合の自由空間のアンテナ係数CFAFと、測定による経路係数PFPass。を用いた。一方、実際の測定では、図46に示す測定系により、ゲーム機64をターンテーブル65上に配置して、0度〜360度の範囲で、間隔5度毎に対する最大受信電圧の周波数特性を測定した。
図47の一例に示すように、ゲーム機から放射される放射妨害波の内、記号F101の373MHz、記号F102の590MHz、記号F103の786MHzの3つの周波数を選択して、本発明の第3の実施形態の推定結果と実際に測定した結果を比較した。
ここで、記号F101の373MHzにおいて、ゲーム機の角度を横軸に、受信アンテナの高さを縦軸として、最大受信電圧の分布を求めた結果を図48(a)、(b)および図49(a)、(b)に示す。また、記号F102の590MHzにおいて、最大受信電圧の分布を求めた結果を図50(a)、(b)および図51(a)、(b)に示す。さらに、記号F102の786MHzにおいて、最大受信電圧の分布を求めた結果を図52(a)、(b)および図53(a)、(b)に示す。なお、(a)では本発明の第3の実施形態の推定結果を、(b)では実際に測定した結果を示した。
図48ないし図53の距離3mおよび水平・垂直両偏波において、本発明の第3の実施形態である受信電圧分布の推定結果は、実際の測定結果と、良く一致していることが分かる。
これらの結果から、本発明の第3の実施形態であるゲーム機を用いて、ゲーム機の角度と、受信アンテナの高さを細かく変化させた場合においても、遠方電磁界推定装置が妥当であることが確認された。
1…グランドプレーン 2…供試体 3…観測点 4…測定面 5…測定点
6…鏡像測定面 7…鏡像点 8…プローブ 9…スキャナー 10…回転台
11…位相参照点アンテナ 12…ローテータ 13…受信器 14…プリアンプ
15…走査用コントローラ 16…制御用ケーブル
17…測定制御・演算用コンピュータ 18…通信ケーブル
19…キャリッジ 20…スティ 21…電界アンテナ部 22…プリント基板
23…シールド板 24…スルーホール 25…Port1
26…Port2 27…磁界アンテナ部 28…ギャップ 29…プリント基板
30…シールド板 31…スルーホール 32…Port1 33…Port2
34…電界アンテナ部 35…コネクター 36…サポート材 37…Port1
38…Port2 39…Port3 40…Port4
41…磁界アンテナ部 42…ギャップ 43…絶縁体 44…サポート材
45…Port1 46…Port2 47…Port3 48…Port4
49…180度位相合成器 50、51…プローブ用受信ケーブル
52…基準放射源 53…ベクトルネットワークアナライザー
54…基準放射源用送信ケーブル 55…受信アンテナ 56…遠方観測点
57…スモールバイコニカルアンテナ 58…10MHz水晶発振子
59…スペクトラムアナライザー 60…受信ケーブル
61…20MHz水晶発振子 62…IC 63…回路基板
64…ゲーム機 65…ターンテーブル
66…主制御部 67…入力装置 68…出力装置 69…記憶装置
70…バス 71…記憶媒体
E1…電界の平行成分 E2…電界の垂直成分
E3…鏡像電界の平行成分 E4…鏡像電界の垂直成分
H1…磁界の平行成分 H2…磁界の垂直成分
H3…鏡像磁界の平行成分 H4…鏡像磁界の垂直成分
H101…本発明200cm H102…本発明180cm
H103…本発明150cm H104…特許文献2の場合
F1…本発明推定結果 F2…測定結果
F101、F102、F103…比較検討周波数

Claims (12)

  1. グランドプレーンの上方に配置された電磁波の放射源である供試体によって、前記供試体から距離rの遠方観測点に形成される電界と磁界の少なくとも一方を求める遠方電磁界推定装置であって、
    近傍電磁界測定装置と、演算処理部とを備え、
    前記近傍電磁界測定装置は、
    電界と磁界の少なくとも一方を検出するプローブと、
    電界と磁界の位相を参照するアンテナと、
    前記供試体に対する前記プローブの相対的位置を変更可能な位置制御機構と、
    前記プローブ、前記アンテナ及び前記位置制御機構とを用いた電界と磁界の少なくとも一方の測定の制御を行う制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記供試体の位置を基準に、y軸を前記グランドプレーン上方の高さ方向に、z軸を前記観測点方向に、x軸を前記y軸ならびにz軸と直交する方向としたとき、前記供試体から前方に距離+z(距離zは距離rより十分小さい)で離れた位置における前方測定面を想定し、前記供試体のグランドプレーンからの中心高さhEUTと前記遠方観測点のグランドプレーンから最大高さhRxを結ぶ直線が、前記前方測定面と交差するグランドプレーンからの高さを基準高さhrefとして下式(1)により求め、
    Figure 2016142609
    前記供試体から前方と同様に後方に等距離−zで離れた位置における後方測定面を想定し、前記後方測定面における基準高さhrefと前記遠方観測点の最大高さhRxを結ぶ直線が、前記前方測定面と交差する高さを基準に測定高さhmeasを下式(2)により求め、
    Figure 2016142609
    前記測定高さhmeas以下で前後が±z及び左右が±x(距離xは距離rより十分小さい)の距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される測定面に、または、前後左右が±z=±xの等距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される測定面に、または、半径がzの等距離でグランドプレーンに対して垂直に形成される測定面に複数の測定点を設ける第1の動作と、
    前記プローブ、前記アンテナ及び前記位置制御機構を用いて、前記複数の測定点における電界の前記測定面の接線方向の成分である複数の測定点電界と、前記複数の測定点における磁界の前記測定面の接線方向の成分である複数の測定点磁界の少なくとも一方を測定する第2の動作とを実行し、
    前記演算処理部は、
    前記グランドプレーンを中心として前記測定面と面対称の位置関係を有する鏡像測定面上に、前記グランドプレーンを中心として前記複数の測定点と面対称の位置関係を有する複数の鏡像点を設定し、前記第2の動作で測定された前記複数の測定点電界と前記複数の測定点磁界の少なくとも一方に基づいて、前記複数の鏡像点における電界の前記鏡像測定面の接線方向の成分である複数の鏡像点電界と前記複数の鏡像点における磁界の前記鏡像測定面の接線方向の成分である複数の鏡像点磁界の少なくとも一方を算出する第1の演算処理と、
    前記第2の動作で測定された前記複数の測定点電界と前記複数の測定点磁界の少なくとも一方と、前記第1の演算処理で算出された前記複数の鏡像点電界と前記複数の鏡像点磁界の少なくとも一方に基づいて、前記遠方観測点における電界と磁界の少なくとも一方を算出する第2の演算処理とを実行することを特徴とする遠方電磁界推定装置。
  2. 前記複数の測定点は、交差する2方向に並ぶように配列され、前記2方向の各々について、隣接する2つの測定点間の前記測定面上における距離は前記電磁波の波長の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の遠方電磁界推定装置。
  3. 前記位相を参照するアンテナは、前記測定面の外部に設けられ、前記供試体の位置と同期して常に前記供試体との距離と位置関係が一定となるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の遠方電磁界推定装置。
  4. 前記複数の測定点電界、前記複数の測定点磁界、前記複数の鏡像点電界および前記複数の鏡像点磁界は、それぞれ、前記グランドプレーンに平行な水平成分と前記グランドプレーンに垂直な垂直成分とを含み、
    前記複数の鏡像点電界の水平成分は、それぞれ対応する測定点電界の水平成分と振幅は等しいが逆位相であり、
    前記複数の鏡像点電界の垂直成分は、それぞれ対応する測定点電界の垂直成分と振幅および位相が等しく、
    前記複数の鏡像点磁界の水平成分は、それぞれ対応する測定点磁界の水平成分と振幅および位相が等しく、
    前記複数の鏡像点磁界の垂直成分は、それぞれ対応する測定点磁界の垂直成分と振幅は等しいが逆位相であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の遠方電磁界推定装置。
  5. 前記供試体、前記プローブ、前記位置制御機構および前記アンテナは、前記グランドプレーンを構成する金属床面を有する電波暗室内に配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の遠方電磁界推定装置。
  6. 前記プローブは、電界に応じた信号を出力する電界検出部と、磁界に応じた信号を出力する磁界検出部とを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の遠方電磁界推定装置。
  7. 前記プローブは、前記複数の測定点電界または前記複数の測定点磁界の測定において、前記グランドプレーンに平行な水平成分と前記グランドプレーンに垂直な垂直成分を検出するために直交電界検出部、または、直交磁界検出部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の遠方電磁界推定装置。
  8. 前記電界検出部は、電界に応じた差動信号を生成する電界アンテナ部と、前記電界アンテナ部によって生成された差動信号を出力する2つの電界出力ポートと、前記電界アンテナ部の一部をシールドする電界シールド部とを含み、
    前記磁界検出部は、磁界に応じた差動信号を生成する磁界アンテナ部と、前記磁界アンテナ部によって生成された差動信号を出力する2つの磁界出力ポートと、前記磁界アンテナ部の一部をシールドする磁界シールド部とを含むことを特徴とする請求項6に記載の遠方電磁界推定装置。
  9. 前記電界検出部の出力信号の振幅および位相を、実際に前記電界検出部が受けた電界の振幅および位相に対応する値に補正するための第1の補正情報と、前記磁界検出部の出力信号の振幅および位相を、実際に前記磁界検出部が受けた磁界の振幅および位相に対応する値に補正するための第2の補正情報が予め求められており、
    前記演算処理部は、前記第1および第2の補正情報に基づいて、前記複数の測定点電界と前記複数の測定点磁界を算出することを特徴とする請求項6に記載の遠方電磁界推定装置。
  10. 前記演算処理部は、
    前記遠方観測点の電界を、実際の受信器で測定された値に補正するため、受信アンテナ特性を補正する第3の補正情報と、経路特性を補正する第4の補正情報が予め求められおり、前記第3および第4の補正情報に基づいて、受信器で測定される電圧に変換することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の遠方電磁界推定装置。
  11. 前記第3の補正情報は、自由空間において、基準となる放射源から、前記遠方観測点に受信アンテナを配置して自由空間アンテナファクターを用いて伝送損失特性を求め、次に、前記基準となる放射源のみとして前記遠方観測点における電界強度を求め、前記電界強度と前記伝送損失とを引くことにより求められることを特徴とする請求項10に記載の遠方電磁界推定装置。
  12. 前記第3の補正情報は、基準となる放射源をグランドプレーンから任意の高さに配置して前記遠方観測点に受信アンテナを配置して伝送損失を求め、次に、前記基準となる放射源のみとして前記遠方観測点における電界強度を求め、前記電界強度から前記伝送損失とを引くことにより求められることを特徴とする請求項10に記載の遠方電磁界推定装置。
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