JP2016141571A - 結晶の製造方法 - Google Patents

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克明 正木
Katsuaki Masaki
克明 正木
恵彦 山口
Keihiko Yamaguchi
恵彦 山口
堂本 千秋
Chiaki Domoto
千秋 堂本
有 村瀬
Yu Murase
有 村瀬
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Abstract

【課題】 結晶の品質を向上させること。【解決手段】 本発明の結晶の製造方法は、炭化珪素の結晶2の製造方法であって、種結晶3と、坩堝5と、坩堝5内に貯留された結晶の原料を融解した溶液6と、種結晶3、坩堝5および溶液6を内部に収容するチャンバー7とを準備する準備工程と、チャンバー7内に不活性ガスを第1供給量で供給する第1供給工程と、種結晶3を溶液6に接触させる接触工程と、第1供給工程の後、チャンバー7内に不活性ガスを、第1供給量よりも多い第2供給量で供給する第2供給工程と、第2供給工程の後、種結晶3を引き上げて、種結晶3の表面に結晶を成長させる成長工程とを備える。その結果、結晶2の品質を向上させることができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、炭化珪素の結晶の製造方法に関する。
従来から、炭素および珪素を含む溶液を使用した溶液法によって、炭化珪素の種結晶に炭化珪素の結晶を成長させることが知られている。そして、例えば特許文献1には、不活性ガスが供給されるチャンバー内で、結晶成長が行われることが記載されている。
特開2010―184849号公報
溶液法によって炭化珪素の結晶を成長させる際、溶液を高温に加熱した状態で、結晶成長が行われる。そのため、結晶製造装置内が高温になり、結晶製造装置が潜在的に含んでいる不純物がチャンバー内の雰囲気中に混じって結晶に取り込まれ、結晶の品質が低下する虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みて案出されたものであり、炭化珪素の結晶の品質を向上させることを目的とする。
本発明の一実施形態に係る結晶の製造方法は、炭化珪素の結晶の製造方法であって、種結晶と、坩堝と、前記坩堝内に貯留された結晶の原料を融解した溶液と、前記種結晶、前記坩堝および前記溶液を内部に収容するチャンバーとを準備する準備工程と、前記チャンバー内に不活性ガスを第1供給量で供給する第1供給工程と、前記種結晶を前記溶液に接触させる接触工程と、前記第1供給工程の後、前記チャンバー内に不活性ガスを、前記第1供給量よりも多い第2供給量で供給する第2供給工程と、前記第2供給工程の後、前記種結晶を引き上げて、前記種結晶の表面に結晶を成長させる成長工程とを備える。
本発明の一実施形態に係る結晶の製造方法によれば、成長した結晶の品質を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る結晶の製造方法に使用する結晶製造装置の一例を模式的に示す断面図である。
<結晶製造装置>
以下に、本発明の一実施形態に係る結晶の製造方法に使用する結晶製造装置の一例について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本例の結晶製造装置の概略を示している。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
結晶製造装置1は、半導体部品等に使用される炭化珪素の結晶2を製造する装置である
。結晶製造装置1は、種結晶3の下面に結晶2を成長させることによって結晶2を製造する。結晶製造装置1は、図1に示すように、主に、保持部材4および坩堝5を含んでおり、保持部材4には種結晶3が固定され、坩堝5内には溶液6が貯留される。そして、結晶製造装置1において、種結晶3、保持部材4、坩堝5および溶液6は、チャンバー7の内部に収容されている。結晶製造装置1は、種結晶3の下面を溶液6に接触させて、種結晶3の下面に結晶2を成長させる。すなわち、結晶製造装置1は、チャンバー7内で、結晶2を成長させている。
結晶2は、製造された後に加工されてウェハになり、半導体部品の製造プロセスを経て半導体部品の一部となる。結晶2は、種結晶3の下面に成長した炭化珪素の結晶のインゴットである。結晶2は、例えば円状または多角形状の平面形状を有する柱状に形成される。結晶2は、炭化珪素の単結晶からなる。結晶2の直径または幅は、例えば25mm以上200mm以下に設定される。結晶2の高さは、例えば30mm以上300mm以下に設定される。
種結晶3は、結晶製造装置1で成長させる結晶2の種となる。種結晶3は、例えば円状または多角形状の平面形状を有する平板状に形成されている。種結晶3は、結晶2と同じ材料からなる結晶である。すなわち、本実施形態では、炭化珪素の結晶2を製造するため、炭化珪素の結晶からなる種結晶3を用いる。種結晶3は、単結晶または多結晶からなる。本実施形態では、種結晶3は単結晶からなる。
種結晶3は、保持部材4の下面に固定されている。種結晶3は、例えば炭素を含んだ接着材(図示せず)によって、保持部材4に固定されている。また、種結晶3は、保持部材4によって、上下方向に移動可能となっている。
保持部材4は、種結晶3を保持して、溶液6に対して種結晶3の搬入出を行なう。具体的に、保持部材4は、種結晶3を溶液6に接触させたり、溶液6から結晶2を遠ざけたりする機能を有する。保持部材4は、図1に示すように、移動装置8の移動機構(図示せず)に固定されている。移動装置8は、移動装置8に固定されている保持部材4を、例えばモータを利用して上下方向に移動させる移動機構を有している。その結果、移動装置8によって保持部材4は上下方向に移動し、種結晶3は保持部材4の移動に伴って上下方向に移動する。
保持部材4は、例えば柱状に形成されている。保持部材4は、例えば炭素の多結晶体または炭素を焼成した焼成体等からなる。保持部材4は、上下方向に伸びた軸の周囲に回転可能な状態で移動装置8に固定されていてもよい。
溶液6は、坩堝5の内部に溜められて(収容されて)おり、結晶2の原料を種結晶3に供給して結晶2を成長させるものである。溶液6は、結晶2と同じ材料を含む。すなわち、結晶2は炭化珪素の結晶であるから、溶液6は炭素と珪素とを含む。本実施形態において、溶液6は、珪素溶媒に炭素を溶質として溶解させたものである。なお、溶液6は、炭素の溶解度を向上させる等の理由から、例えばネオジム、アルミニウム、タンタル、スカンジウム、クロム、ジルコニウム、ニッケルまたはイットリウム等の金属材料を添加材として1種類または2種類以上含んでいてもよい。
坩堝5は、溶液6を収容するものである。また、坩堝5は、結晶2の原料を内部で融解させる器としての機能を担っている。坩堝5は、炭素を含有して形成されている。具体的には、坩堝5は、例えば黒鉛で形成されている。本実施形態では、坩堝5の中で珪素を融解させて、融解した珪素に坩堝5の一部(炭素)が溶解することによって、溶液6としている。坩堝5は、溶液6を貯留するために、例えば上面側に開口を有する凹部を有してい
る。
本実施形態では、炭化珪素の結晶2を成長させる方法として溶液法を用いている。溶液法では、溶液6を、種結晶3の下面において準安定状態(熱力学的に結晶の析出と溶出とが平衡している安定状態に極めて近い状態)に保ちつつ、種結晶3の温度を下げること等によって結晶2の析出が溶出よりも僅かに進行する条件に制御し、種結晶3の下面に結晶2を成長させている。すなわち、溶液6では、珪素(溶媒)に炭素(溶質)を溶解させており、炭素の溶解度は、溶媒の温度が高くなるほど大きくなる。ここで、加熱して高温になった溶液6が種結晶3への接触で冷えると、溶解した炭素が過飽和状態となって、溶液6の種結晶3近傍が局所的に準安定状態となる。そして、溶液6が安定状態(熱力学的に平衡状態)に移行しようとして、種結晶3の下面に炭化珪素の結晶2として析出する。その結果、種結晶3の下面に結晶2が成長していく。
チャンバー7は、結晶2、種結晶3、保持部材4、坩堝5および溶液6を内部に収容するものである。チャンバー7によって、結晶2の成長を行う空間と外部の雰囲気とを分離することができ、結晶2に余分な不純物が混じることを低減するものである。チャンバー7の内部の雰囲気中は、不活性ガスで満たされている。これによって、チャンバー7の内部と外部とを遮断することができる。
チャンバー7は、保持部材4の通過する通過孔71と、チャンバー7内にガスを供給するための供給孔72と、チャンバー7内からガスを排出する排気孔73とを有している。そして、結晶製造装置1は、チャンバー7の内部にガスを供給するガス供給手段(不図示)を有しており、ガス供給手段を介して供給孔72からチャンバー7内にガスが供給される。
チャンバー7は、例えば円筒状に形成される。チャンバー7は、例えば400m
m以上1000mm以下の直径を有する円を底面とし、例えば1400mm以上2000mm以下の高さに設定される。チャンバー7は、例えばステンレスまたは石英等の材料で形成される。チャンバー7内に供給される不活性ガスとしては、例えばArまたはHe等が挙げられる。
このチャンバー7と坩堝5との間には、保温材9が配されている。この保温材9は、坩堝5の周囲を囲んでいる。保温材9は、坩堝5からの放熱を抑制し、坩堝5内の温度分布を均一に近づける。坩堝5は、回転可能な状態でチャンバー7の内部に配されていてもよい。
坩堝5には、チャンバー7の周囲に配置された加熱装置10によって、例えば側部から熱が加えられる。本実施形態の加熱装置10は、コイル11および交流電源12を含んでおり、例えば電磁波を利用した電磁加熱方式によって坩堝5の加熱を行なう。なお、加熱装置10は、例えば、カーボン等の発熱抵抗体で生じた熱を伝熱する方式等の他の方式を採用してもよい。
コイル11は、導体によって形成され、坩堝5およびチャンバー7の周囲を囲んでいる。コイル11は、坩堝5およびチャンバー7を円筒状に囲むように、坩堝5およびチャンバー7の周囲に配されている。すなわち、コイル11を有する加熱装置10は、コイル11による円筒状の加熱領域を有している。交流電源12は、コイル11に交流電流を流すためのものであり、交流電流の周波数が高いものを用いることによって、坩堝5内の設定温度までの加熱時間を短縮することができる。
本実施形態では、交流電源12および移動装置8が制御装置13に接続されて制御され
ている。つまり、結晶製造装置1は、制御装置13によって、溶液6の加熱および温度制御と、種結晶3の搬入出とが連動して制御されている。制御装置13は、中央演算処理装置およびメモリ等の記憶装置を含んでおり、例えば公知のコンピュータからなる。
<結晶の製造方法>
以下、本発明の実施形態に係る結晶の製造方法について説明する。結晶の製造方法は、主に、準備工程、第1供給工程、接触工程、第2供給工程、成長工程および引き離し工程を有する。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
(準備工程)
種結晶3を準備する。種結晶3としては、例えば昇華法または溶液法等によって製造された炭化珪素の結晶2のインゴットを平板状に形成したものを用いる。なお、平板状への加工は、例えば機械加工等によって炭化珪素のインゴットを切断することによって行なう。
保持部材4を準備し、保持部材4の下面に種結晶3を固定する。具体的には、保持部材4を準備した後、保持部材4の下面に炭素を含有する接着材を塗布する。次いで、接着材を挟んで保持部材4の下面上に種結晶3を配して、保持部材4の下面に種結晶3を固定する。本実施形態では、種結晶3を保持部材4に固定した後、保持部材4の上端を移動装置8に固定する。移動装置8への固定は、上述した通り、保持部材4の中心部分を含んで上下方向に伸びた軸の周囲を回転可能となるように行なわれる。すなわち、保持部材4が自転可能である。
坩堝5と、坩堝5内に貯留された、珪素溶媒に炭素を溶解した溶液6とを準備する。具体的には、まず、坩堝5を準備する。次いで、坩堝5内に、珪素の原料となる珪素の塊を入れて、坩堝5を珪素の融点(1414℃)以上に加熱する。このとき、融解して液化した珪素(溶媒)内に坩堝5を形成している炭素(溶質)が溶解する。その結果、坩堝5内に珪素溶媒に炭素を溶解した溶液6を準備することができる。なお、溶液6に含まれる炭素は、予め原料として炭素粒子を加えることによって、珪素粒子を融解させると同時に炭素を溶解させてもよい。なお、溶液6の温度は、成長工程開始時の温度まで上昇させてもよい。
チャンバー7を準備して、種結晶3、保持部材4、坩堝5および溶液6を収容する。本実施形態では、坩堝5は、加熱装置10のコイル11に囲われたチャンバー7内に保温材9を介して収容される。本実施形態では、坩堝5のチャンバー7への収容は、上述した通り、坩堝5の中心部分を含んで上下方向に伸びた軸の周囲を回転可能となるように行なわれる。すなわち、坩堝5は自転可能である。
なお、上記した溶液6の準備は、坩堝5をチャンバー7に収容して、加熱装置10によって坩堝5を加熱することで行なってもよい。また、予め坩堝5を結晶製造装置1の外で加熱して溶液6を形成した後に、坩堝5をチャンバー7内に配してもよい。また、溶液6を坩堝5以外の他の容器等で形成した後、チャンバー7内に設置された坩堝5に溶液6を注ぎ込んでもよい。
(第1供給工程)
チャンバー7内に不活性ガスを供給する。そして、チャンバー7の内部の雰囲気を不活性ガスで満たす。なお、不活性ガスの供給は、一定の所定の供給量(第1供給量)で行われる。不活性ガスの第1供給量は、例えば80分以上30時間以内にチャンバー7内の雰囲気が入れ替わる流量に設定される。チャンバー7内の雰囲気が入れ替わる時間はチャン
バー7の体積をガス流量で割ることによって算出される。具体的には、不活性ガスの第1供給量は、例えば1slm以上20slm以下に設定される。
不活性ガスは、後に記載の成長工程の間は、チャンバー7内に供給し続けるとともにチャンバー7内に供給した不活性ガスは排気し続けるとよい。その結果、チャンバー7内は新鮮なガスが充満することになり、結晶に不純物が取り込まれることを低減することができる。なお、不活性ガスを供給する第1供給工程は、準備工程と同時に行ってもよいし、準備工程の後に行ってもよい。本実施形態では、準備工程と同時に第1供給工程を行う。
(接触工程)
種結晶3の表面を溶液6に接触させる。具体的には、種結晶3の下面を溶液6の液面中央部に接触させる。種結晶3は、保持部材4を下方に移動させることで溶液6に接触させる。なお、本実施形態では、種結晶3を下方向へ移動させることで種結晶3を溶液6に接触させているが、坩堝5を上方向へ移動させることで種結晶3を溶液6に接触させてもよい。
種結晶3は、種結晶3の下面の少なくとも一部が溶液6の液面に接触していればよい。それゆえ、種結晶3の下面全体が溶液6に接触するようにしてもよいし、種結晶3の側面または上面が浸かるように溶液6に接触させてもよい。種結晶3の側面または上面が浸かるように溶液6に入れた場合には、種結晶3の下面全体を確実に溶液6に接触させることができ、生産性を向上させることができる。
種結晶3の接触は、溶液6の温度を成長工程開始の温度まで上昇させて行なうとよい。溶液6の温度を上昇させてから種結晶3を接触させることによって、成長工程開始の前に種結晶3の溶解を抑制することができる。成長工程の開始時の溶液6の温度は、例えば1900℃以上2100℃以下となるように設定される。
(第2供給工程)
チャンバー7内に供給する不活性ガスの供給量を増加させる。ここで、チャンバー7内に供給する不活性ガスの供給量を増加させることで、チャンバー7内の雰囲気中に漂う不純物を追い出すことできる。その結果、チャンバー7内の雰囲気中の不純物の量を低減することができ、成長する結晶2の品質を向上させることができる。なお、不活性ガスの供給は、第1供給量よりも多い、一定の所定の供給量(第2供給量)で行われる。不活性ガスの第2供給量は、例えば40分以上360分以内にチャンバー7内の雰囲気が入れ替わる流量に設定される。具体的には、不活性ガスの第2供給量は、例えば5slm以上40slm以下に設定される。なお、本実施形態では、第2供給工程は、接触工程の後に行なわれる。
不活性ガスは、Ar(アルゴン)ガスであってもよい。その結果、Arは不活性ガスの中でも比較的質量が大きいことから、チャンバー7内の雰囲気中の不純物を追い出しやすくすることができる。
チャンバー7内に供給するガスは、チャンバー7の上方から供給してもよい。その結果、上方に向かって開口している坩堝5内の雰囲気を効果的に置換することができる。
一方で、不活性ガスとしてArガスを使用するときは、Arガスをチャンバー7の下方から供給してもよい。Arガスは質量が大きく下方に溜まりやすいため、不純物を上方へ排出しやすくすることができる。
第2供給工程は、溶液6の温度が成長工程開始の温度に達した後に行ってもよい。その
結果、溶液6の昇温時にガス供給量を増加させる場合と比較して、チャンバー7内の圧力が上がらず結晶製造装置1に内在する不純物が出やすくなる。その結果、第2供給工程の後に、結晶製造装置1に内在する不純物を出にくくすることができる。
第2供給工程において、溶液6の加熱温度を上げてもよい。その結果、不活性ガスの供給量の増加によって溶液6の温度が低下することを低減することができる。
第2供給工程において、坩堝5を回転させてもよい。その結果、不活性ガスの供給量の増加によって、溶液6内の大きな温度勾配が生じて、溶液6内に雑晶が形成されることを低減することができる。
(成長工程)
第2供給工程の後、溶液6に接触した種結晶3の下面に、溶液6から結晶2を成長させる。結晶2の成長は、種結晶3の下面を溶液6に接触させることによって、種結晶3の下面と種結晶3の下面付近の溶液6との間に温度差ができる。そして、例えば、その温度差によって、溶液6中に溶解している炭素が過飽和状態になり、溶液6中の炭素および珪素が結晶2として種結晶3の下面に析出し始める。なお、結晶2は、少なくとも種結晶3の下面から成長させればよく、種結晶3の下面および下面近傍の側面から成長させてもよい。
種結晶3を引き上げることによって、結晶2を柱状に成長させることができる。このとき、結晶2の平面方向および下方への成長速度を調整しながら種結晶3を上方向に少しずつ引き上げることによって、一定の幅または径を保った状態で結晶2を成長させることができる。種結晶3の引き上げの速度は、例えば50μm/h以上2000μm/h以下に設定することができる。成長工程において、結晶2の成長は、例えば10時間以上150時間以下行なう。なお、種結晶3の引き上げは、相対的に行なわれていればよい。すなわち、坩堝5を引き下げることによって種結晶3を相対的に引き上げてもよいし、溶液6の液面が低下することによって種結晶3を相対的に引き上げてもよい。
成長工程の間は、一定量の不活性ガスを供給し続けてもよい。このとき、不活性ガスを第2供給量で供給してもよい。その結果、チャンバー7内の不純物濃度の増加を抑制し、結晶2に不純物が取り込まれることを低減することができる。
また、成長工程において、不活性ガスを第1供給量で供給してもよい。その結果、チャンバー7内の温度の低下を低減し、例えば溶液6内に雑晶が発生することを低減することができる。
(引き離し工程)
成長工程の後、成長させた結晶2を溶液6から引き離し、結晶成長を終了する。
本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、溶液6の準備は、坩堝5をチャンバー7に収容して、加熱装置10によって坩堝5を加熱することで行なってもよい。溶液6をチャンバー7内に準備することによって、溶液6を準備する際の加熱によって結晶製造装置1に内在する不純物を出しやすくすることできる。その結果、結晶成長前に効果的にチャンバー7内の不純物を予め排除することができる。
準備工程において、珪素の塊を融解して溶液6を準備するとともに、チャンバー7内に
不活性ガスを第1供給量および第2供給量よりも多い第3供給量で供給してもよい。また、不活性ガスを第3供給量で供給する場合、珪素の融点より小さい温度で坩堝5を一定時間維持してもよい。その結果、溶液6内に不純物が溶け込むことを低減することができる。なお、坩堝5は、例えば、チャンバー7から排気されるガス中の窒素濃度が1ppm以下になるまで、一定時間維持すればよい。なお、不活性ガスの第3供給量は、例えば30分以上80分以内にチャンバー7内の雰囲気が入れ替わる流量に設定される。具体的には、不活性ガスの第3供給量は、例えば20slm以上60slm以下に設定される。
また、準備工程において、第3供給量で不活性ガスを供給する場合、珪素の融点より小さい温度で坩堝5を一定時間維持しているときに、不活性ガスの第3供給量での供給を開始してもよい。その結果、チャンバー7内の圧力が上がらず結晶製造装置1に内在する不純物が出やすくなり、後の工程において結晶製造装置1に内在する不純物を出にくくすることができる。
また、準備工程において、第3供給量で不活性ガスを供給する場合、珪素の塊を融解するとき、第1供給工程を開始してもよい。その結果、不活性ガスの供給による溶液6内の温度の変動を低減することができる。
第2供給工程と成長工程を所定の回数、繰り返してもよい。その結果、結晶の品質を維持したまま、結晶を長尺化することができる。
また、第2供給工程と成長工程との間に不活性ガスの供給量を減少させる供給減少工程をさらに備えてもよい。その結果、成長工程中において、溶液6の温度が低下しすぎることを低減することができる。なお、不活性ガスの供給は、第2供給量よりも少ない、一定の所定の供給量(第4供給量)で行われる。不活性ガスの第4供給量は、例えば360分以上3000分以内にチャンバー7内の雰囲気が入れ替わる流量に設定される。具体的には、不活性ガスの第4供給量は、例えば0.5slm以上5slm以下に設定される。
また、成長工程中において、第2供給工程と供給減少工程とを繰り返してもよい。その結果、例えば、不純物の多い層と少ない層を交互に成長させることができ、結晶格子間隔がわずかに異なる層が交互に積層される。そのため結晶成長終了時の熱応力を緩和し、転位の発生などを低減することができる。
また、成長工程中において、第1供給工程と不活性ガスの供給を停止する停止工程とを繰り返してもよい。その結果、例えば、不純物の多い層と少ない層を交互に成長させることができ、結晶格子間隔がわずかに異なる層が交互に積層される。そのため結晶成長終了時の熱応力を緩和し、転位の発生などを低減することができる。
1 結晶製造装置
2 結晶
3 種結晶
4 保持部材
5 坩堝
6 溶液
7 チャンバー
71 通過孔
72 供給孔
73 排気孔
8 移動装置
9 保温材
10 加熱装置
11 コイル
12 交流電源
13 制御装置

Claims (13)

  1. 炭化珪素の結晶の製造方法であって、
    種結晶と、坩堝と、前記坩堝内に貯留された前記結晶の原料を融解した溶液と、前記種結晶、前記坩堝および前記溶液を内部に収容するチャンバーとを準備する準備工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスを第1供給量で供給する第1供給工程と、
    前記種結晶を前記溶液に接触させる接触工程と、
    前記第1供給工程の後、前記チャンバー内に前記不活性ガスを、前記第1供給量よりも多い第2供給量で供給する第2供給工程と、
    前記第2供給工程の後、前記種結晶を引き上げて、前記種結晶の表面に結晶を成長させる成長工程とを備える、結晶の製造方法。
  2. 前記不活性ガスとして、Arガスを使用する、請求項1に記載の結晶の製造方法。
  3. 前記成長工程において、前記チャンバー内に前記不活性ガスを供給しながら、前記結晶を成長させる、請求項1または2に記載の結晶の製造方法。
  4. 前記成長工程において、前記不活性ガスの供給量を一定にする、請求項3に記載の結晶の製造方法。
  5. 前記成長工程において、前記不活性ガスを前記第2供給量で供給する、請求項4に記載の結晶の製造方法。
  6. 前記第2供給工程と前記成長工程との間に、前記不活性ガスの供給量を減少させる供給減少工程をさらに備える、請求項3または4に記載の結晶の製造方法。
  7. 前記成長工程において、前記不活性ガスを前記第1供給量で供給する、請求項6に記載の結晶の製造方法。
  8. 前記第2供給工程と前記成長工程を繰り返す、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  9. 前記第2供給工程において、前記溶液の加熱温度を上昇させる、請求項1〜8のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  10. 前記第2供給工程において、前記坩堝を回転させる、請求項1〜9のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  11. 前記準備工程において、前記チャンバー内で前記溶液を準備する、請求項1〜10のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  12. 前記準備工程において、炭素を含む前記坩堝と、前記坩堝内で珪素の塊を融解してなる前記溶液とを準備するとともに、前記チャンバー内に前記不活性ガスを前記第1供給量および前記第2供給量よりも多い第3供給量で供給する、請求項11に記載の結晶の製造方法。
  13. 前記準備工程において、前記珪素の塊を融解するときに前記珪素の融点より低い温度で前記坩堝を一定時間維持する、請求項12に記載の結晶の製造方法。
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