JP2016121027A - 保持体、結晶製造装置および結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶液法による炭化珪素結晶の製造において、種結晶内の温度分布を均熱に近づけることにより、成長する結晶の品質を向上させることができる種結晶の保持体およびこれを用いた炭化珪素結晶製造方法の提供。【解決手段】種結晶4を保持する第1保持体51と、第1保持体51上に配置された、第1保持体51よりも太い第2保持体52と、第1保持体51および第2保持体52の内部に位置し、且つ第1保持体51の下端に位置した開口Bと第2保持体52の下部に位置した天井面Cとを有する空洞部Aと、を備えた液成長法における種結晶保持体5。【選択図】図2
Description
本発明は、炭化珪素の結晶を成長させるのに用いる保持体、それを用いた結晶製造装置および結晶の製造方法に関する。
現在、トランジスタなどのデバイスを形成する基板材料として、炭素と珪素の化合物である炭化珪素(Silicon Carbide:SiC)が注目されている。炭化珪素は、バンドギャ
ップがシリコンと比べて幅広く、絶縁破壊に至る電界強度が大きいことなどを理由に注目されている。炭化珪素の結晶は、炭素および珪素を含む溶液を用いて溶液法で製造される(例えば、特許文献1参照)。
ップがシリコンと比べて幅広く、絶縁破壊に至る電界強度が大きいことなどを理由に注目されている。炭化珪素の結晶は、炭素および珪素を含む溶液を用いて溶液法で製造される(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された発明では、種結晶が単なる棒状のシードホルダー(保持体)に保持されていることから、種結晶内に温度勾配が生じやすい。その結果、例えば結晶の品質が低下するおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みて案出されたものであり、結晶の品質を向上させることを目的とする。
本発明の一実施形態に係る保持体は、溶液法で使用される種結晶を保持する保持体であって、種結晶を保持する第1保持体と、前記第1保持体上に配置された、前記第1保持体よりも太い第2保持体と、前記第1保持体および前記第2保持体の内部に位置し、且つ前記第1保持体の下端に位置した開口と前記第2保持体の下部に位置した天井面とを有する空洞部と、を備える。
本発明の一実施形態に係る結晶製造装置は、種結晶と、前記種結晶の上面中央部に前記開口が重なるように配置されて前記種結晶を保持する、上記した保持体と、前記保持体が出入する開口を上端に有し、炭素および珪素を含む溶液を貯留する坩堝と、を備える。
本発明の一実施形態に係る結晶の製造方法は、上記した保持体、ならびに内部に炭素および珪素を含む溶液を貯留した坩堝を準備する工程と、前記保持体の前記第1保持体の下面に炭化珪素からなる種結晶を保持する保持工程と、前記保持体に保持した前記種結晶の下面を前記坩堝内に貯留された前記溶液に接触させる接触工程と、前記種結晶を前記溶液から引き上げて、前記種結晶の下面に前記溶液から炭化珪素の結晶を成長させる結晶成長工程と、を有する。
本発明によれば、種結晶内の温度分布を均熱に近づけやすくすることができ、成長する結晶の品質を向上させることができる。
<保持体および結晶製造装置>
本発明の一実施形態に係る保持体および結晶製造装置について、図1、2を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図1は、結晶製造装置を模式的に示した断面図であり、結晶製造装置1の概略を示している。図2は、保持体の断面を模式的に拡大して示した拡大図である。
本発明の一実施形態に係る保持体および結晶製造装置について、図1、2を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図1は、結晶製造装置を模式的に示した断面図であり、結晶製造装置1の概略を示している。図2は、保持体の断面を模式的に拡大して示した拡大図である。
結晶製造装置1は、図1に示したように、主に、溶液2が貯留された坩堝3と、種結晶4を保持する保持体5とを備えている。結晶製造装置1は、溶液2に種結晶4を接触させて種結晶4の表面に結晶41を成長させる。すなわち、結晶製造装置1は、溶液法によって結晶41を製造するものである。なお、本実施形態では、種結晶4の下面を溶液2に接触させて、種結晶4の下面に結晶41を成長させている。
溶液2は、種結晶4の下面に結晶41を成長させるために、種結晶4に結晶41の原料を供給するものである。溶液2は、成長させたい結晶41と同じ材料を含んでなる。すなわち、炭化珪素の結晶41を成長させたい場合には、溶液2は炭素と珪素とを含んでなる。本実施形態において、溶液2は、炭素(溶質)が珪素(溶媒)に溶けて構成されている。
本実施形態では、上記の通り、炭化珪素の結晶41を成長させる方法として溶液法を用いている。溶液法では、溶液2を、種結晶4の下面において準安定状態(熱力学的に結晶41の析出と溶出とが平衡している安定状態に極めて近い状態)に保ちつつ、種結晶4の温度を下げること等によって結晶41の析出が溶出よりも僅かに進行する条件に制御し、種結晶4の下面に結晶41を成長させている。すなわち、溶液2では、珪素(溶媒)に炭素(溶質)を溶解させており、炭素の溶解度は、溶媒の温度が高くなるほど大きくなる。ここで、加熱して高温になった溶液2が種結晶4への接触で冷えると、溶解した炭素が過飽和状態となって、溶液2の種結晶4近傍が局所的に準安定状態となる。そして、溶液2が安定状態(熱力学的に平衡状態)に移行しようとして、種結晶4の下面に炭化珪素の結晶41として析出する。その結果、種結晶4の下面に結晶41が成長していく。
坩堝3は、製造する炭化珪素の結晶41の原料を内部で融解するものである。本実施形態では、坩堝3の中で結晶41の原料(炭素および珪素)を融解させて、溶液2として貯留する。坩堝3は、例えば炭素(黒鉛)によって構成されている。坩堝3を炭素で構成することで、溶液2に坩堝3の一部が溶け出し、溶液2に炭素を供給することができる。また、坩堝3は、種結晶4および保持体5が出入する開口を上端に有している。
坩堝3は、図1に示したように、結晶製造装置1が備える坩堝容器6の内部に配置されている。坩堝容器6は、坩堝3を収容している。この坩堝容器6と坩堝3との間には、保温材7が坩堝3の周囲を囲んで配置されている。保温材7は、坩堝3からの放熱を抑制し、坩堝3内の温度を安定して保つことに寄与している。
坩堝3には、加熱機構8によって、熱が加えられる。本実施形態の加熱機構8は、電磁波によって坩堝3を加熱する電磁誘導加熱方式を採用しており、コイル9および交流電源10を含んで構成されている。
コイル9は、導体によって構成され、坩堝3の周囲を囲むように配置されている。交流電源10はコイル9に交流電流を流すためのものであり、交流電流の電流を大きくするこ
とによって坩堝3内の設定温度までの加熱時間を短縮することができる。
とによって坩堝3内の設定温度までの加熱時間を短縮することができる。
本実施形態では、加熱機構8として電磁誘導加熱方式を採用しているが、他の方式を用いて加熱してもよい。加熱機構8は、例えばカーボンなどの発熱抵抗体で生じた熱を伝熱する方式などの他の方式を採用することができる。この伝熱方式の加熱機構を採用する場合は、例えば坩堝3と保温材7との間に発熱抵抗体が配置される。
種結晶4は、結晶製造装置1で成長させる結晶41の種となる。種結晶4は、例えば円板状である。種結晶4は、例えば炭素を含んだ接着剤(不図示)を介して保持体5の下面に固定されている。種結晶4の材料は、成長させたい結晶41と同じ材料からなる。すなわち、炭化珪素の結晶41を成長させたい場合には、種結晶4は炭化珪素からなる。
種結晶4は、搬送機構11で上下方向(Z軸方向)に移動させられることによって溶液2に接触させられる。搬送機構11は、溶液2の中から製造した結晶41を搬出する機能も担っている。搬送機構11は、図1に示したように、保持体5および動力源12を含んで構成されている。保持体5によって、種結晶4および種結晶4の下面に成長した結晶41の搬入出が行なわれる。種結晶4は保持体5の下面に取り付けられており、この保持体5は、動力源12によって上下方向の移動が制御される。
本実施形態では、加熱機構8の交流電源10と搬送機構11の動力源12とが制御部13に接続されて制御されている。つまり、この結晶製造装置1は、制御部13によって、溶液2の加熱および温度制御と種結晶4の搬入出とが連動して制御されている。制御部13は、中央演算処理装置およびメモリなどの記憶装置を含んで構成されており、例えば公知のコンピュータからなる。
保持体5は、種結晶4を保持する。また、保持体5は、種結晶4を保持することによって、種結晶4の下面に成長する結晶41も保持する。保持体5は、柱状に形成されている。保持体5は、図2に示したように、種結晶4を保持する第1保持体51と、第1保持体51の上面に配された第2保持体52とを有している。
第1保持体51は、下面(保持体5の下面)にて種結晶4を保持するものである。第1保持体51は、例えば炭素から構成されている。第1保持体51は、炭化珪素からなる種結晶4との熱膨張量の差を低減する観点から、炭素を主成分とする材料によって構成されていればよい。第1保持体51は、例えば炭素の多結晶体または炭素を焼成した焼成体などである。
第1保持体51の外形は、例えば円柱状、または四角形状もしくは六角形状などの多角形状の底面を持つ多角柱状などの形状となっている。本実施形態では、第1保持体51の外形は、直径が例えば14mm以上200mm以下である円が底面として設定され、高さが例えば5mm以上100mm以下に設定された円柱状に形成されている。
第1保持体51の下面の外縁は、種結晶4の上面の外縁よりも内側に位置している。言い換えれば、第1保持体51の太さは、種結晶4の上面の直径よりも小さい。その結果、例えば、溶液2が種結晶4の側面を這い上がって第1保持体51の側面に到達し、雑晶の発生を低減することができる。
第2保持体52は、第1保持体51を保持するものである。また、第2保持体52の上端部(保持体5の上端部)は、結晶製造装置1内で動力源12に保持されている。第2保持体52は、例えば炭素から構成されている。第2保持体52は、第1保持体51との熱膨張量の差を低減する観点から、第1保持体51と同じ材料によって構成されてもよい。
第2保持体52は、例えば炭素の多結晶体または炭素を焼成した焼成体などである。
第2保持体52は、例えば炭素の多結晶体または炭素を焼成した焼成体などである。
第2保持体52の外形は、例えば円柱状、または四角形状もしくは六角形状などの多角形状の底面を持つ多角柱状などの形状となっている。本実施形態では、第2保持体52の外形は、直径が例えば20mm以上250mm以下である円が底面として設定され、高さが例えば10mm以上1000mm以下に設定された円柱状に形成されている。
第2保持体52の太さは、第1保持体51の太さよりも太い。言い換えれば、第2保持体52の直径は、第1保持体51の直径よりも大きい。その結果、第2保持体52は、種結晶4の上面に対向する下面を有することになり、種結晶4の熱放射による温度低下を低減することができる。
第1保持体51および第2保持体52の内部には空洞部Aが形成されている。そして、空洞部Aは、第1保持体51の下端に位置している開口Bと、第2保持体52の下部に位置している天井面Cとを有している。なお、第1保持体51は、種結晶4の上面中央部に空洞部Aの開口Bが重なるように位置している。
本実施形態に係る保持体5は、上記の構成を有していることによって、第1保持体51を介した熱伝導による種結晶4の放熱を低減することができ、熱放射による種結晶4の放熱を大きくすることができる。その結果、影響の大きい種結晶4の放熱経路を制限することができるため、種結晶4の温度調整をしやすくすることができる。
また、保持体5は、空洞部Aの天井面Cが第2保持体52の下面よりも上方に位置していることから、天井面Cを第2保持体52の下面よりも冷やしやすくすることができる。その結果、熱放射しやすい第1保持体51の外側の種結晶4の熱放射量と、熱放射しにくい第1保持体51の内側の種結晶4の熱放射量との差を低減することができる。したがって、種結晶4内の温度分布を均熱に近づけやすくなり、種結晶4の下面に成長する結晶41の品質を向上させることができる。
第1保持体51の下面の面積は、第1保持体51よりも外側に位置する第2保持体52の下面の面積よりも小さくてもよい。その結果、第1保持体51を介する熱伝導による種結晶4の温度低下を低減することができる一方で、第2保持体52の下面を介する熱放射による種結晶4の温度低下を向上させることができる。その結果、熱放射による種結晶4の放熱を支配的にしやすくすることができる。なお、第1保持体51の下面の面積は、例えば70mm2以上2000mm2以下に設定される。また、第1保持体51よりも外側に位置する第2保持体52の下面の面積は、例えば200mm2以上40000mm2以下に設定される。
また、種結晶4は、比較的に分厚く形成されてもよい。その結果、第1保持体51を介する熱伝導による種結晶4の温度低下を低減することができ、種結晶4の温度条件を調整しやすくなる。なお、種結晶4の厚みは、例えば2mm以上40mm以下に設定されている。
種結晶4は、種結晶4に接触している第1保持体51の下面の幅よりも大きい厚みを有していてもよい。その結果、第1保持体51を介する熱伝導による種結晶4の放熱を低減することができ、種結晶4の温度条件を調整しやすくすることができる。
第1保持体51と第2保持体52は、一体的に形成されてもよい。その結果、種結晶4の温度調整をしやすくすることができる。すなわち、例えば、保持体5が第1保持体51および第2保持体52が個別に準備されて接着材などで接着されて形成される場合と比較
して、接着材の不均一性に起因した種結晶4に予期せぬ温度分布が発生することを低減することができる。
して、接着材の不均一性に起因した種結晶4に予期せぬ温度分布が発生することを低減することができる。
空洞部Aの天井面Cは、曲面でもよい。天井面Cを例えば凸曲面または凹曲面とすることで、天井面Cに対向した種結晶4の熱放射量を変化させることができる。その結果、種結晶4の天井面Cに対向する場所の成長速度を任意に制御することができる。なお、天井面Cは、平坦面であってもよい。
第2保持体52の第1保持体51よりも外側に位置する下面の面積は、天井面Cの面積よりも大きい。その結果、例えば、結晶41を平面方向(XY平面方向)に成長させたとしても、第2保持体52の下面を結晶41の外周部に対向させやすくなり、結晶41の外周部において、結晶41が過剰に放熱することを低減することができる。なお、空洞部Aの天井面Cの面積は、例えば70mm2以上30000mm2以下に設定されている。なお、天井面Cの面積は、種結晶4の上面の面積の1/2倍以下であってもよいし、1/4倍以下であってもよい。
空洞部Aの天井面Cの面積は、種結晶4の上面に対向する第2保持体52の下面の面積よりも大きくてもよい。その結果、熱放射しやすい種結晶4の外周部の熱放射量と、熱放射しにくい種結晶4の中央部の熱放射量との差を低減することができる。
空洞部Aの開口Bの形状は、第1保持体51の下面の外縁と相似形でもよい。その結果、第1保持体51と種結晶4の接着箇所における接触幅を均一に近づけることができ、種結晶4の放熱を均一に近づけることができる。なお、空洞部Aの開口Bの形状は、例えば、円状、または四角形状もしくは六角形状などの多角形状に形成されている。この中でも、特に円状であることが好ましい。その結果、多角形の場合と比較して、角部などで局所的に放熱することを防止することができる。
空洞部Aの開口Bの形状は、第2保持体52の下面の外縁と相似形でもよい。その結果、種結晶4の放熱を均一に近づけることができる。
空洞部Aの開口Bの面積は、第1保持体51の下面の面積よりも大きくてもよい。その結果、第1保持体51を介する熱伝導による種結晶4の放熱を低減することができる一方で、天井面Cを介する熱放射による種結晶4の放熱を向上させることができる。その結果、熱放射による種結晶4の温度低下を支配的にしやすくすることができる。なお、空洞部Aの開口Bの面積は、例えば70mm2以上30000mm2以下に設定される。
第1保持体51の長さは、坩堝3の開口から溶液2の液面までの距離よりも小さくてもよい。その結果、結晶41を長尺化した場合に、第2保持体52の温度低下を低減することができる。坩堝3の開口から溶液2の液面までの距離は、例えば30mm以上300mm以下に設定される。
第2保持体52の下面は、結晶41の成長中において、坩堝3の開口よりも下方に位置してもよい。その結果、結晶41を長尺化した場合に、第2保持体52の放熱を低減することができる。
第1保持体51の上面の外縁から第2保持体52の下面の外縁までの距離は、第1保持体51の長さよりも大きくてもよい。その結果、結晶41の外周部の過剰な放熱を低減しやすくすることができる。
空洞部Aの天井面Cは、結晶41の成長中において、坩堝3の開口よりも上方に位置し
てもよい。その結果、熱放射しやすい第1保持体51の外側の種結晶4の熱放射量と、熱放射しにくい第1保持体51の内側の種結晶4の熱放射量との差を低減することができる。なお、空洞部Aは、柱状に形成されている。空洞部Aの高さは、例えば10mm以上1000mm以下に設定される。
てもよい。その結果、熱放射しやすい第1保持体51の外側の種結晶4の熱放射量と、熱放射しにくい第1保持体51の内側の種結晶4の熱放射量との差を低減することができる。なお、空洞部Aは、柱状に形成されている。空洞部Aの高さは、例えば10mm以上1000mm以下に設定される。
第2保持体52の下面の外縁は、種結晶4の上面の外縁よりも外側に位置してもよい。その結果、例えば、結晶41を平面方向に成長させたとしても、種結晶4から平面方向に沿った外側の領域の熱放射量とその内側の熱放射量との差を低減することができ、結晶41の品質を向上させることができる。
<結晶の製造方法>
以下、本発明の実施形態に係る結晶の製造方法について説明する。結晶の製造方法は、準備工程、保持工程、接触工程、結晶成長工程および引き離し工程を有する。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
以下、本発明の実施形態に係る結晶の製造方法について説明する。結晶の製造方法は、準備工程、保持工程、接触工程、結晶成長工程および引き離し工程を有する。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
(準備工程および保持工程)
種結晶4を準備する。種結晶4としては、例えば昇華法等によって製造された炭化珪素の結晶のインゴットを平板状に形成したものを用いる。なお、平板状への加工は、例えば機械加工によって炭化珪素のインゴットを切断することによって行なう。
種結晶4を準備する。種結晶4としては、例えば昇華法等によって製造された炭化珪素の結晶のインゴットを平板状に形成したものを用いる。なお、平板状への加工は、例えば機械加工によって炭化珪素のインゴットを切断することによって行なう。
保持体5を準備し、保持体5の下面に種結晶4を固定する。具体的には、保持体5を準備した後、保持体5の下面に炭素を含有する接着剤を塗布する。次いで、接着剤を挟んで保持体5の下面上に種結晶4を配して、保持体5の下面に種結晶4を保持する。
坩堝3と、坩堝3内に貯留された、珪素溶媒に炭素を溶解した溶液2とを準備する。具体的には、まず、坩堝3を準備する。次いで、坩堝3内に、珪素の原料となる珪素粒子を入れて、坩堝3を珪素の融点(1420℃)以上に加熱する。このとき、融解して液化した珪素(溶媒)内に坩堝3を形成している炭素(溶質)が溶解する。その結果、坩堝3内に珪素溶媒に炭素を溶解した溶液2を準備することができる。
加熱装置10を準備して、坩堝3を加熱装置10内に収容する。本実施形態では、坩堝3は、加熱装置10のコイル11に囲われた坩堝容器8内に保温材9を介して配されることで、加熱装置10内に収容される。
(接触工程)
種結晶4の下面を溶液2に接触させる。具体的には、種結晶4の下面を溶液2の液面中央部に接触させる。種結晶4は、保持体5を下方に移動させることで溶液2に接触させる。
種結晶4の下面を溶液2に接触させる。具体的には、種結晶4の下面を溶液2の液面中央部に接触させる。種結晶4は、保持体5を下方に移動させることで溶液2に接触させる。
種結晶4は、種結晶4の下面の少なくとも一部が溶液2の液面に接触していればよい。それゆえ、種結晶4の下面全体が溶液2に接触するようにしてもよいし、種結晶4の側面または上面が浸かるように溶液2に接触させてもよい。
種結晶4の接触は、溶液2の温度を結晶成長工程開始の温度まで上昇させて行なうとよい。溶液2の温度を上昇させてから種結晶4を接触させることによって、結晶成長工程開始の前に種結晶4の溶解を抑制することができる。結晶成長工程の開始時の溶液2の温度は、例えば1900℃以上2100℃以下となるように設定される。
(結晶成長工程)
溶液2に接触した種結晶4の下面に、溶液2から結晶41を成長させる。結晶41の成長は、種結晶4の下面を溶液2に接触させたときから始まる。すなわち、種結晶4の下面を溶液2に接触させることによって、種結晶4の下面と種結晶4の下面付近の溶液2との間に温度差ができる。そして、その温度差によって、溶液2中に溶解している炭素が過飽和状態になり、溶液2中の炭素および珪素が結晶41として種結晶4の下面に析出し始める。したがって、結晶成長工程は接触工程の直後から開始される。なお、結晶41は、少なくとも種結晶4の下面から成長させればよく、種結晶4の下面および下面近傍の側面から成長させてもよい。
溶液2に接触した種結晶4の下面に、溶液2から結晶41を成長させる。結晶41の成長は、種結晶4の下面を溶液2に接触させたときから始まる。すなわち、種結晶4の下面を溶液2に接触させることによって、種結晶4の下面と種結晶4の下面付近の溶液2との間に温度差ができる。そして、その温度差によって、溶液2中に溶解している炭素が過飽和状態になり、溶液2中の炭素および珪素が結晶41として種結晶4の下面に析出し始める。したがって、結晶成長工程は接触工程の直後から開始される。なお、結晶41は、少なくとも種結晶4の下面から成長させればよく、種結晶4の下面および下面近傍の側面から成長させてもよい。
種結晶4を引き上げることによって、結晶41を柱状に成長させることができる。このとき、結晶41の平面方向および下方への成長速度を調整しながら種結晶4を上方向に少しずつ引き上げることによって、一定の幅または径を保った状態で結晶41を成長させることができる。種結晶4の引き上げの速度は、例えば50μm/h以上2000μm/h以下に設定することができる。結晶成長工程において、結晶41の成長は、例えば10時間以上150時間以下行なう。
(引き離し工程)
結晶成長工程の後、成長させた結晶41を溶液2から引き離し、結晶成長を終了する。
結晶成長工程の後、成長させた結晶41を溶液2から引き離し、結晶成長を終了する。
本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
1 結晶製造装置
2 溶液
3 坩堝
4 種結晶
41 結晶
5 保持体
51 第1保持体
52 第2保持体
6 坩堝容器
7 保温材
8 加熱機構
9 コイル
10 交流電源
11 搬送機構
12 動力源
13 制御部
A 空洞部
B 開口
C 天井面
2 溶液
3 坩堝
4 種結晶
41 結晶
5 保持体
51 第1保持体
52 第2保持体
6 坩堝容器
7 保温材
8 加熱機構
9 コイル
10 交流電源
11 搬送機構
12 動力源
13 制御部
A 空洞部
B 開口
C 天井面
Claims (14)
- 溶液法で使用される種結晶を保持する保持体であって、
種結晶を保持する第1保持体と、
前記第1保持体上に配置された、前記第1保持体よりも太い第2保持体と、
前記第1保持体および前記第2保持体の内部に位置し、且つ前記第1保持体の下端に位置した開口と前記第2保持体の下部に位置した天井面とを有する空洞部と、を備える保持体。 - 前記天井面は、曲面である、請求項1に記載の保持体。
- 前記第2保持体の前記第1保持体よりも外側に位置する下面の面積は、前記天井面の面積よりも大きい、請求項1または2に記載の保持体。
- 前記開口の形状は、前記第1保持体の下面の外縁と相似形である、請求項1〜3のいずれかに記載の保持体。
- 前記開口の形状は、前記第2保持体の下面の外縁と相似形である、請求項1〜4のいずれかに記載の保持体。
- 前記開口の面積は、前記第1保持体の下面の面積よりも大きい、請求項1〜5のいずれかに記載の保持体。
- 前記第1保持体の下面の面積は、前記第1保持体よりも外側に位置する前記第2保持体の下面の面積よりも小さい、請求項1〜6のいずれかに記載の保持体。
- 種結晶と、
前記種結晶の上面中央部に前記開口が重なるように配置されて前記種結晶を保持する、請求項1〜7のいずれかに記載の保持体と、
前記保持体が出入する開口を上端に有し、炭素および珪素を含む溶液を貯留する坩堝と、を備える結晶製造装置。 - 前記天井面の面積は、前記種結晶の上面に対向する前記第2保持体の下面の面積よりも大きい、請求項8に記載の結晶製造装置。
- 前記第1保持体の長さは、前記坩堝の開口から前記溶液の液面までの距離よりも小さい、請求項8または9に記載の結晶製造装置。
- 前記天井面は、結晶の成長中において、前記坩堝の開口よりも上方に位置する、請求項8〜10のいずれかに記載の結晶製造装置。
- 前記第2保持体の下面は、結晶の成長中において、前記坩堝の開口よりも下方に位置する、請求項8〜12のいずれかに記載の結晶製造装置。
- 前記第1保持体の上面の外縁から前記第2保持体の下面の外縁までの距離は、前記第1保持体の長さよりも大きい、請求項8〜12のいずれかに記載の結晶製造装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の保持体、ならびに内部に炭素および珪素を含む溶液を貯留した坩堝を準備する準備工程と、
前記保持体の前記第1保持体の下面に炭化珪素からなる種結晶を保持する保持工程と、
前記保持体に保持した前記種結晶の下面を前記坩堝内に保持された前記溶液に接触させる接触工程と、
前記種結晶を前記溶液から引き上げて、前記種結晶の下面に前記溶液から炭化珪素の結晶を成長させる結晶成長工程とを有する結晶の製造方法。
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