JP2016129819A - フィルタ構成物を備えたストーマパウチ - Google Patents

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Abstract

【課題】バルーニングを防止するまたは少なくとも低減する。
【解決手段】パウチとフィルタ構成物とを含むストーマ装具が提供される。フィルタ構成物は、フィルタ構成物内の要素のための封入体を形成する第1および第2フォイルを有する。フィルタ構成物は、フィルタ構成物がパウチの内側で拘束されずに吊っておかれるようにパウチの内側に装着される。2つのフォイル層は、ストーマパウチの壁とほぼ平行であってもよい。フォイル層には、フィルタ構成物のガス入口として機能する多数の穴が設けられる。フィルタ構成物はプレフィルタ要素と脱臭フィルタとを含む。排泄物を収集する方法ならびにストーマ装具が提供される。バルーニングの回数を低減する方法、およびバルーニングの数を低減するストーマ装具も提供される。バルーニングまでの時間を延ばす方法、ならびにバルーニングまでの時間を延ばすストーマ装具も提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は2つのフォイル、第1フォイルおよび第2フォイルに囲まれたフィルタ構成物を有するストーマ装具に関する。フィルタ構成物は、フォイル層の少なくとも1つに穴が設けられ、穴はガス入口として機能する。本発明は、ストーマからの排泄物を収集する方法、バルーニングの回数を低減する方法、およびバルーニングが発生する前の時間を延ばす方法にも関する。最後に、本発明は、排泄物を収集する方法に使用されるストーマ装具、バルーニングの回数を低減するためのストーマ装具、およびバルーニングが発生する前の時間を延ばすためのストーマ装具に関する。
多くの胃腸管疾患に対する外科手術に関連して、多くの事例における結論の1つは、患者の腹壁に、内臓の内容物を排泄するための、コロストミーまたはイレオストミーなどの腹部ストーマを造設することである。腸管ガスを含む内臓内容物の排泄を意のままに調節することは不可能である。このため、使用者はかかる開口部から出る物質をパウチに収集するために装具に頼らねばならない。パウチはその後適切な時に空にされるおよび/または廃棄される。
腸内ガスの排出が、体積で測定した場合、固体および液体糞便物質の排出を何百パーセントも上回る場合もあり得る。従って、腸管パウチまたは収集パウチの連続的または頻繁な通気が大抵必要である。通常、外部に流れる腸内ガスは適切なフィルタによって脱臭される。一般に活性フィルタは活性炭素を塗され、活性炭素が腸内ガスの臭いの主要成分であるH2Sを吸収する。
収集パウチの使用中、コロストミーまたはイレオストミーからの排出物が、収集パウチの内側に面するフィルタ面に粘着する可能性がある。これは最後にはフィルタの詰まりを招き、従ってフィルタを通る流れを低減する。フィルタが完全に塞がれた場合、フィルタは機能停止に至り、パウチはガスで満たされ膨張する。バルーニングとして知られる効果である。これにより使用者は困惑するかもしれない。パウチが衣服を通して気付かれるようになるためである。これはまた使用者の肌から装具を脱離させる、またはウェハからパウチを脱離させる可能性もある。
本発明はフィルタ構成物を備えたストーマ装具に関する。ストーマ装具のパウチは前壁と後壁を有する。フィルタ構成物は第1および第2フォイルを有し、第1および第2フォイルが、フィルタ構成物の要素用の封入体を形成する。フィルタ構成物は、使用中、パウチ内で実質的に拘束されずに吊っておかれるようにパウチ内に装着されてもよく、それはフィルタ構成物がパウチの動きに追従できること、さらに使用中に潰れて丸まることができることを意味する。フィルタ構成物にガス入口を設けるように、第1または第2フォイルの少なくとも一方に穴が設けられる。拘束されずに吊られたフィルタ構成物を設置することにより少なくとも1つの入口が常に開放していることが保証されるため、そのようなストーマ装具は使用中、任意の時間にフィルタを介して過剰ガスを排出できる。
本発明によるストーマ装具の実施形態を示す。 本発明によるストーマ装具の別の実施形態を示す。 本発明によるストーマ装具の別の実施形態を示す。 図2および3の実施形態のフィルタ構成物の分解図を示す。 本発明によるストーマ装具のさらに別の実施形態を示す。 排出開口部を備えたフィルタ構成物の実施形態を示す。 3層フォイル構造に包まれた脱臭フィルタの実施形態を示す。 3層フォイル構造に包まれた脱臭フィルタの実施形態を示す。 本発明によるストーマ装具の実施形態を示す。図1においてパウチが第1の形態で示されている。 本発明によるストーマ装具の同じ実施形態を示すが、図9において装具は第2の形態で示されている。 本発明によるストーマ装具内で使用するためのフィルタ構成物を示す。 本発明によるストーマ装具のパウチを試験するために用いられる試験の設定を示す。 本発明によるストーマ装具の試験結果を示す。 本発明によるストーマ装具の試験結果を示す。 本発明によるストーマ装具の試験結果を示す。
第1の態様において、本発明は、
ガスがパウチから出るための少なくとも1つの通気開口部、
を含むパウチと、
封入体を画定する第1フォイル層および第2フォイル層を含むフィルタ構成物であって、封入体がプレフィルタ要素を含み、
少なくとも1つのガス入口が前記第1および/または第2フォイル層の少なくとも一方に設けられ、
少なくとも1つのガス出口が前記第2フォイル層に設けられる
フィルタ構成物と
を含むストーマ装具であって、
フィルタ構成物のガス出口がパウチの通気開口部と連通するようにフィルタ構成物の第2フォイル層がパウチの前壁または後壁に装着され、
装着は、フィルタ構成物の大部分をパウチ内で拘束しないで吊っておくようなものである、
ストーマ装具に関する。
上に記載したようなフィルタ構成物を備えたストーマ装具は、フィルタ構成物がパウチ内で拘束されずに吊り下がっているため、バルーニングを防止するまたは少なくとも低減する優れた特性を有する。
拘束されずに吊り下がるによって、フィルタ構成物が、実質的に妨げられないパウチの動きに追従できることを意味する。フィルタ構成物は通気開口部のごく近くを囲む領域においてのみ装着され、封入体の外形の(全部でない場合)大部分をストーマ装具と接触しないままにしておいてもよい。代替的にまたは追加的に、フィルタ構成物は、第2フォイル表面にわたって離散した点において装着される。これは、1つの実施形態において、フィルタ構成物の大部分が使用中に潰れるおよび丸まることができ、従ってフィルタ構成物をパウチの壁にくっつかないように保ち、それによりガス入口の少なくともいくらかを常に開放した状態に保つことを意味する。潰れるおよび丸まるは、フィルタ構成物がパウチの面において波状の形状を得ることを意味する。
別の実施形態において、フィルタを拘束しないで吊っておく結果、フィルタ構成物はパウチに片持ち式に装着される。
フィルタ構成物の大部分とは、フィルタ構成物の装着される部分の表面領域が、フィルタ構成物の残りの表面領域よりも相当に小さいことを意味する。例えば、装着される領域は、10%または5%あるいはわずか1%など、フィルタ構成物の表面領域の20%未満を構成する。
ストーマ装具は当技術分野において公知である。ストーマ装具は一般に、排泄物収集チャンバを画定するパウチを形成するように周縁または縁部周囲で溶着または接着されたガスおよび液体不透過性フォイル材料(例えばポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはエチレンビニルアセテート(EVA))の前壁および後壁を有するパウチを含む。パウチはパウチを空にするための開口部がパウチの底部に設けられるように縁部周囲の一部のみで溶着あるいは接着されてもよい。その場合、パウチには、その開口部を閉じるための手段が設けられる。パウチは一般には排泄物入口開口部を含み、その開口部は外側に、体側のウェハに結合するための機械的または接着剤結合手段か、使用者の腹部に直接接着するために適合された肌に優しい接着剤が提供されている。
通常、排泄物入口開口部は、使用者が立っている時、排泄物入口開口部がストーマ装具の中線よりも上にあるように、ストーマ装具の上側部分に配置される。これにより排泄物入口開口部の下に大きな収集容積が残る。従って、ストーマ装具およびパウチの上側は排泄物入口開口部に近い部分として画定され、下側は反対部分として画定される。ストーマ装具およびパウチの長手方向は上から下までの方向として定義される。ストーマ装具、パウチおよびパウチ内に配置されるフィルタ構成物の横方向は、長手方向に垂直なパウチの面内の方向として定義される。軸方向はストーマの方向として定義される。
フィルタ構成物は、フィルタ構成物用の封入体を画定するフォイルの第1層および第2層を含む。第1および第2フォイル層は、フィルタ構成物の要素(例えばプレフィルタ)の表面に積層されてもよい。積層されるとは、フォイルが表面全体に装着され、その結果、要素とフォイル層との間に空間がないことを意味する。フォイルは接着または熱溶着によって装着されてもよい。第1および第2フォイル層が要素の表面に積層される場合、フォイル層は同じくそれらの輪郭に沿って必ずしも互いに貼り付けられる必要はない。フォイル層がそれらの輪郭で貼り付けられない場合、またはそれらの輪郭に沿って少なくとも部分的に貼り付けられない場合、貼り付けられない部分はフィルタ構成物へのガス入口を画定する。
あるいは、第1および第2フォイル層は、封入体を画定するようにそれらの輪郭全体に沿って互いに貼り付けられてもよい。この場合、プレフィルタ要素が、製造中、フィルタ構成物の断面方向に少し圧縮されてもよい。プレフィルタ要素の圧縮により、フォイルとプレフィルタ要素との間に距離がないことが保証され、それにより排出物の液体または半固体部分がプレフィルタ要素を迂回するリスクが軽減される。それにより、フィルタ構成物に入る液体物質がプレフィルタ要素を通って流れることが確実になる。
フォイル層は溶着によって互いに張付けられてもよく、溶着は製造時に使用される速いプロセスである。フォイル自体は従って溶着可能である。フォイルはまた、例えばアクリレートおよび/またはホットメルト接着剤を使用する接着プロセスによって互いに貼り付けられてもよい。さらにフォイルはガスおよび液体不透過性であってもよい。PEフォイルなどの材料が使用に好適であり得る。あるいは、フォイルは不織布または織布であってもよい。しかし、排出物の液体または半固体部分が、脱臭要素に到達する前に少なくともいくらかの距離はプレフィルタ要素を通って移動することが確実でなければならない。従って、脱臭要素のごく近くを囲むフォイルはガスおよび液体不透過性でなければならない。ある実施形態では、ガスおよび液体不透過性フォイルは、脱臭要素から少なくとも3cmの距離内に適用されてもよい。別の実施形態では、ガスおよび液体不透過性フォイルは、脱臭要素からわずか15mmの距離内に適用されてもよい。それは以下で記載するようにパウチ内の排出物の種類に応じて変わる。
ある実施形態において、フィルタ構成物は封入体内に脱臭フィルタを含む。あるいは、脱臭フィルタは、パウチの通気開口部と連通するようにパウチの外側表面に位置付けられてもよい。脱臭フィルタはまた、パウチの内側に通気開口部と連通した状態で位置付けられてもよいが、しかし封入体の外側でガス出口と連通している。
脱臭フィルタは、ストーマパウチに通常は使用されるフィルタパッケージとして提供されてもよい。一般に、脱臭フィルタは、ガス流方向と平行な脱臭フィルタの表面に積層されるフォイル層を有する。これにより、ガスが脱臭フィルタの意図したガス流方向に流されることが保証される。従って、適切な脱臭が達成される。フィルタ構成物は2つまたは3つなど2つ以上の脱臭フィルタを含んでもよい。パウチ内の通気開口部の数は、フィルタ構成物の脱臭フィルタの数に一致するべきである。例として、Coloplast A/S製のFiltrodor(登録商標)のような形状および流路を有するフィルタパッケージを使用してもよい。このフィルタパッケージはディスク状発泡体要素を含み、発泡体は炭素が含浸されている。発泡体要素はディスクの両側をガス不透過性フォイルで被覆されるが、フォイルの一方の中心に打抜かれた穴の部分は被覆されない。この穴は脱臭フィルタへのガス出口として機能し、要素の周辺はガス入口として機能する。脱臭フィルタを通るガス流方向は、ガスが中心から脱臭フィルタに入り周辺から出ていくように反対であってもよい。ガスがディスクの周辺から中心への(またはその逆)距離を移動した時、適切に脱臭される。かかる要素の直径は約20〜25mmであってもよいが、脱臭能力に応じてもっと大きくてもまたは小さくてもよい。
また脱臭フィルタは一端に入口を、他端に出口を備えた矩形形状であってもよい。かかる脱臭フィルタは欧州特許EP第0235928B1号明細書に記載されているタイプのものであってもよい。
脱臭フィルタは、発泡体、フェルト、不織布等などの炭素担持多孔性材料である場合もあり、または活性炭素は、例えば炭化ビスコース等などの炭化材料をベースとする場合もある。炭素は非活性化されるか、または酸化銅、酸化クロム、過マンガンカリウム、または他の触媒化合物などの触媒化合物を加えることによって活性化され得る。
好ましい実施形態において、第1および/または第2フォイル層の少なくとも一方に直径約0.1〜2.0mmの穴が設けられる。両フォイル層に穴を設けてもよい。これらの穴は、ガスがフィルタ構成物の中に入るガス入口として機能する。穴の小さなサイズは、半固体物質およびある程度までの液体物質がフィルタ構成物の中に入ることを防ぐ助けになるが、ガスの進入は許容する。
両方のフォイル層の穴は、排出物がパウチの中でフィルタ構成物の近くに置かれた場合でも、全ての入口がストーマからの排出物によって覆われる危険性を最小化する。排出物に位置は、使用者の動き(横たわるまたは起き上がる)に応じて、および排出物の種類に応じて変わる。通常、排出物はストーマパウチの後壁の近くに少なくとも位置する。この場合、前壁に面するフォイルの穴にガスはアクセスできる。排出物は同じく前壁の近くに位置する場合もあり、この場合、後壁に面するフォイルの穴にガスはアクセスできる。
穴はパンチング、燃焼、およびエッチングによって、あるいはレーザ、ドリル、ニードルまたは打抜きダイを使用して作成されてもよい。穴の数は、イレオストミーパウチ用に1個からコロストミーパウチ用に150個超までの間のいずれの数であってもよい。穴の数はフィルタ構成物のサイズおよびストーマから出る排出物の種類によって変わる。
本発明のフィルタ構成物は、イレオストミーならびにコロストミーに関連して使用されると考えられる。通常、2種類のストーマは異なる種類の排出物を排出する。イレオストミーについて、排出物は典型的により粘度のない(thinner)状態で、よりシロップ状であるが、コロストミーからの排出物は典型的にもっと粥状である。しかしながら、排出物の種類は食物および液体の摂取に依存する。従って、以下において、イレオストミーまたはコロストミーから排出されたかどうかに関係なく、粘度のない(thin)排出物(シロップ状〜液体)およびより粘度のある(thicker)排出物(粥状)に言及する。
より粘度のある排出物に関して、ガス入口として機能する穴が、穴の上に排出物が塗布されることが原因で閉塞する危険がある。排出物は比較的粘度のある硬さを有するため、穴を完全に通過することができないかもしれない。したがって、穴が排出物で満たされる可能性もあり、ゆえにガス入口としての機能が停止する。粘度のない排出物に関して、排出物が穴を通過できるため、穴は決して排出物で満たされず、ゆえに閉塞されない。したがって、粘度のある排出物には粘度のない排出物よりも、より多い数の穴(ガス入口)が必要とされる。粘度のない排出物に関して、穴(ガス入口)の数は2または1個の穴(ガス入口)のみであってもよく、一方で、粘度のある排出物に関して、最大150個の穴(ガス入口)が使用されてもよい。粘度のある排出物には、少なくとも50個を超える穴(ガス入口)が使用されてもよい。
穴の数だけでなく穴のサイズも排出物の種類に応じて変えてもよい。この理由は、これらの穴は典型的に直径が2mm未満のため、粘度のある排出物は穴(ガス入口)を通過できそうにないからである。他方、小さい穴は粘度のない排出物を止めることができそうにない。従って、粘度のない排出物には少ない数の大きな穴(ガス入口)が好ましく、粘度のある排出物には多くの数の小さい穴(ガス入口)が好ましい。
穴のサイズが直径サイズとして提示されたとき、穴が円ではなく楕円である場合は直径サイズとは穴の最大直径のことである。穴がさらに角状の場合、直径サイズとは同じく最大「直径」のことであり、この場合それは穴を横切る最も長い対角線の寸法であってもよい。
本発明の実施形態において、2個の隣り合う穴の間の第1の距離は、液体が、標準的な使用時間内に、ある穴から隣の穴まで移動できないようなものである。
関連する実施形態において、脱臭要素から最も近いガス入口までの第2の距離は、液体が、標準的な使用時間内に、最も近いガス入口から脱臭要素まで移動できないようなものである。
本出願を通して、穴と穴の間の第1の距離あるいはガス入口と脱臭要素との間の第2の距離に言及する場合は常に、これらの距離はフィルタ構成物の平面方向にある。したがって、第2の距離は、フィルタ構成物のフォイル面における方向の、脱臭フィルタに最も近いガス入口からそのガス入口に最も近い脱臭フィルタの縁までの距離として定義される。平面方向はフィルタ構成物のフォイル層によって決定され、各フォイルが平面方向に延在する。
粘度のある排出物に関して、全てのガス入口が排出物によって塞がれた時にフィルタ構成物の閉塞が起きると考えられる。ガス入口は、半固体物質が穴全体に塗布され穴を閉鎖することによって塞がれ得る。隣接する穴と穴の間の第1の距離およびガス入口から脱臭要素までの第2の距離は、1つの穴を閉塞する排出物が、フォイル表面に沿ってプレフィルタ材料を通って隣の穴へまたは脱臭要素へ移動し、それを閉塞することができないことを保証する。脱臭要素に入り込む液体および半固体物質は、この要素の腹部ガスを脱臭する能力を奪ったままの状態にするかもしれない。2個のガス入口間の第1の距離またはガス入口から脱臭要素までの第2の距離が平面方向において10mmを上回る場合、半固体または液体物質は、標準的な使用時間内にプレフィルタ物質を通って移動できないことを試験は示した。同様に、これらの距離は、あまりに多くのガス入口を被覆することによる
フィルタ構成物の表面全体にわたる排出物の塗布の危険性を最小化する。
第2の距離はある実施形態では少なくとも5mmである。フィルタ構成物のフォイルの小さな穴のため、少量の液体のみがプレフィルタ要素に入ることができ、従って、短い距離のみがこの液体を止めるのに必要である。しかし、第2の距離は約3cmであってもよい。ここでも粘度のない排出物と粘度のある排出物との間で違いがある。粘度のある排出物はあまり遠くまでプレフィルタ要素の中を移動できない。従って、ガス入口と脱臭要素との間の第2の距離はむしろ短く、例えば5mmという短さであってもよい。ある実施形態では、脱臭要素とガス入口との最小距離は15mm超である。それにより、標準的な使用時間の間、液体も半固体物質も脱臭要素に到達しないことが保証される。
しかしながら、粘度のない排出物はそれ以上にプレフィルタ要素を通って移動できる。従って、ガス入口と脱臭フィルタとの間の第2の距離はより長く、例えば少なくとも3cmであるべきである。
ガス入口とフィルタ構成物の縁部との間の第3の距離は5mm超であってもよい。ガス入口がフィルタ構成物の縁部に近い場合、縁部の方向に隣接する穴はない。従って、その距離はここでより短くてもよい。
フィルタ構成物を画定するフォイル封入体に、ストーマパウチの中で下に面する排出開口部を備えてもよい。それはストーマパウチの底部に面している。この底部に面する排出開口部は、特に粘度のない排出物がフィルタ構成物から排出される機会を提供する。開口部に一方向弁を設け、パウチ内の排出物がこの開口部を通ってフィルタ構成物に入らないようにしてもよい。一方向弁は当技術分野で公知であり例えばフォイル弁として設けられてもよい。
ある実施形態では、フィルタ構成物は、ガス出口を囲むフランジをさらに含む。フィルタフランジは射出成型されたフランジであってもよい。このフィルタフランジは、フィルタ構成物をストーマパウチに溶着するための要素を提供するという目的を果たす。それにより、フィルタ構成物の位置付けがストーマパウチの製造から独立し、ストーマパウチの製造中かあるいはその後の任意の時に位置づけをすることができる。さらに、フィルタフランジは、実質的に非伝導性の材料から作製され、熱を吸収できる。それゆえ、溶着プロセスからの熱はフィルタ構成物に伝わらない。従って、フィルタ構成物は、プレフィルタ要素と脱臭フィルタとを含む完成した要素として作製可能であり、その後、フォイルとプレフィルタ要素とが互いに溶着するという危険性がない状態でストーマパウチに溶着される。
フィルタフランジは、ともにストーマパウチに素早く溶着できる材料であるPEまたはEVAなどの材料から作製してもよい。溶着は例えば160℃で約2分の1秒間行うことができる。フランジの厚さは、フォイルとプレフィルタ要素とが互いに溶着しないように溶着からの熱を吸収できるように約0.5mmを超えるべきである。厚さの上限は、ストーマパウチを目立たないようにするための要件によって制御される。従って約1mm未満であるべきである。
フィルタフランジはストーマパウチに溶着される代わりに接着されてもよい。これはアクリレートまたはホットメルト接着剤を使用して行われてもよい。
フィルタ構成物はまたストーマパウチに直接溶着されてもよい、つまりフィルタフランジを省略してもよい。この場合、脱臭フィルタが直接パウチに溶着される。すなわち脱臭フィルタを覆うフォイルがストーマパウチの前壁または後壁に溶着される。
脱臭フィルタを覆うフォイルは、本発明の実施形態において、脱臭フィルタに積層された3層フォイル構造から作製されてもよい。この場合、フォイルはガス不透過性かつ液体不透過性のバリアフォイルから作製されてもよく、その結果、ガスおよび液体は、画定されたガス出口以外の他のいずれの場所においてもフィルタから出ることを阻止される。3層構造は、パウチフォイルに溶着されるように適合された外側フォイル層、中間保護層として機能するように適合された中間フォイル層、および脱臭フィルタに積層されるように適合された内側フォイル層から作製されてもよい。中間層は層を通して発生するピンホールからフォイル構造を保護する。その保護能力は、中間フォイル層が外側フォイル層および内側フォイル層よりもかなり高い溶融温度を有することを保証することによって提供される。例えば、外側および内側フォイル層は80℃〜150℃の溶融温度を有してもよく、中間層はその状況において200℃を超える溶融温度を有してもよい。例として内側および外側層はエチレンビニルアセテート(EVA)とポリエチレン(EVAPE)のコポリマーから作製されてもよく、中間層はポリアミド(PA)から作製されてもよい。
記載されるように、3層構造は、ストーマパウチの中に位置付けられる時、脱臭フィルタの外側に面する側に溶着されるかまたは積層されてもよい。パウチの中で内側に面する側では、フォイルを通過して漏れるガスはストーマパウチに再び入るだけなので、ピンホールの回避およびガス不透過性はあまり重要ではない。しかしながら、それにもかかわらず、3層フォイル構造は同じように内側に使用されてもよく、それによって分離フォイルを使用する必要性を避ける。いずれにしても外側に向かうガス漏れは回避するべきである。
上に記載のように、フォイル層が脱臭フィルタのカバー層として使用される場合、脱臭フィルタは溶着プロセスからの熱を吸収できるため、このフィルタはそれ自体が熱吸収フランジとして機能し得る。
プレフィルタ要素は発泡体材料、例えばPEまたはポリウレタン(PU)から作製されてもよい。細孔サイズは30または45PPIなど15〜100PPIであってもよい。PPIは細孔サイズの尺度を表す単位であるが、実際には、発泡体材料1インチあたりの細孔の数を指す。フェルト、毛羽(fluff)、不織布あるいは他の任意の多孔性材料を使用してもよい。ガス(固体および/または半固体排泄物を含む)は、フィルタ構成物へのガス入口を提供するフォイル層の穴を通ってプレフィルタ要素の中へ入る。発泡体の蛇行性構造により、液体および半固体排泄物の大部分は発泡体の中に捕捉され、ガスだけが発泡体を通過して脱臭フィルタに到達する。
プレフィルタ要素の厚さは、約2または3mmなど1〜5mmであってもよい。その厚さは、第1フォイル層から第2フォイル層に向かう方向におけるプレフィルタ要素の寸法と一致するフィルタ構成物を通る方向の寸法として定義される。
プレフィルタ要素の面積は、パウチの前壁または後壁とほとんど同じ面積を有するほどに大きくてもよい。しかし、製造公差のための余地は残すべきである。プレフィルタ要素の面積は、パウチの平面に取り込んだ場合、前壁または後壁の面積の10%という低さであってもよい。これは大きなパウチ例えばMaxiパウチが使用された場合である。別の実施形態において、プレフィルタ要素の面積は、パウチの前壁または後壁の面積の80または90%までであってもよい。これは特に小さいパウチ例えばMiniパウチの場合にあてはまってもよい。また、プレフィルタ要素の面積は、パウチの平面に取り込んだ場合、パウチの面積の少なくとも20%であってもよい。
大きなプレフィルタ要素は、粘度のない排出物で満たされたパウチに有利であり得る。その理由は、粘度のない排出物がプレフィルタ要素に入るのを完全に防止するのは困難であるからである。従って、粘度のない排出物が脱臭フィルタに到達するのを防止するために大量の発泡体が必要になる。大きなプレフィルタ要素は、少なくともいくつかのガス入口が開放することを保証するために多数のガス入口が必要になるため、粘度のある排出物で満たされるパウチにも有利であり得る。先に記載したように、粘度のある排出物がパウチ内に存在する時、入口穴を覆う排出物の塗布のため、ガス入口は塞がれる。従って、パウチが粘度のある排出物で満たされた時、ガス入口を備えた大きい面積のフォイルが必要とされる。
フィルタ構成物のガス出口は、ストーマパウチの穴またはスリットの形態の通気開口部と連通し、その結果、ガス出口を出るガスが通気開口部に入り周囲環境へ出るかまたは脱臭フィルタがパウチの外側に位置付けられる場合は脱臭フィルタに入る。連通は、ガス出口を通気開口部と整列するように位置付けるか、少なくとも通気開口部の近くに位置付けることによってなされてもよい。パウチからのガスがフィルタ構成物を通過しないで通気開口部を出ることを防止するように、通気開口部を、例えば通気開口部を囲む溶着によって囲むべきである。通常これは、ガス出口と通気開口部とが溶着の境界内に配置されるように、フィルタ構成物をストーマパウチに連続溶着式に溶着することによって確実にすることができる。
本発明の実施形態において、フィルタ構成物はさらに、ガス出口に配置された膜を含む。この膜はガス透過性であるが、水分不透過性である。膜は微孔性かつ疎水性で、Goretex(登録商標)またはTyvek(登録商標)のような材料から作製されてもよい。膜は0.01バール差圧において100〜550ml/分、例えば250ml/分または350ml/分の流通を提供できるべきである。
膜は脱臭フィルタの表面に、すなわち脱臭フィルタの表面と第2フォイルの「内側」表面との間に装着、例えば接着されてもよい。あるいは、膜は第2フォイルの外側に、すなわちガス出口とパウチの通気開口部との間に配置される。
フィルタ構成物のフォイル層はプレフィルタ要素、脱臭フィルタおよび膜を囲んでもよい。
封入体が脱臭フィルタを囲む1つの実施形態では、プレフィルタ要素が脱臭フィルタ用の打抜きを含む。打抜きはディスク状の脱臭フィルタと一致するようにディスク状であってもよい。ガス入口がフィルタ構成物の周縁近くに配置され、脱臭フィルタはその周縁に沿ってそのガス入口を有し、および略中心に配置された出口を有する。
プレフィルタ要素を環状発泡体要素として提供してもよい。それは円形または角状の外周を有してもよい。プレフィルタ要素の一部(例えば中心部分)は、プレフィルタ要素内で打抜きをパンチングまたは切り抜くことによって除去され、それによって、脱臭フィルタ用の余地を残す。好ましくは脱臭フィルタ用の打抜きは、脱臭フィルタの外側輪郭と実質的に形状が一致する。脱臭フィルタがディスク状の場合、脱臭フィルタ用の打抜きは概ねディスク状であり、脱臭フィルタが角状またはバナナ形状の場合、脱臭フィルタ用の打抜きは概ねその形状で形成される。脱臭フィルタ用打抜きと脱臭フィルタとを形状一致することは、よりコンパクトな構造を提供する。周縁でガス入口を通ってフィルタ構成物に入るガスは、プレフィルタ要素を通ってプレフィルタ要素の内側周縁に向かって移動し、そこから脱臭フィルタの中へ移動する。その後、ガスは脱臭フィルタを通って横切るように移動し、ガス出口を提供するフォイル層の一方の開口部でフィルタ構成物を出る。そのようなフィルタ構成物はコンパクトであり、製品の要求または構成に従ってストーマパウチ内のいずれの場所にも容易に配置できる。
ある実施形態では、プレフィルタ要素と脱臭フィルタはフィルタ構成物内で互いに並置されるようにプレフィルタ要素が脱臭フィルタの隣に配置される。かかる構成において、脱臭フィルタはフィルタ構成物の一端に配置される。プレフィルタ要素および脱臭要素は、換言すると、連続して配置されてもよい。従ってフィルタ構成物は矩形であってもよく、好ましくはストーマパウチの輪郭に追従できるようにわずかに曲げられてもよい。1つの関連実施形態において、プレフィルタ要素と脱臭フィルタは同じ面に配置される。あるいは脱臭フィルタはプレフィルタ要素の上に配置される。
本発明のある実施形態は、使用者がストーマを、場合によりストーマ周辺領域を確認できる点検窓を組み込むフィルタ構成物に関する。
プレフィルタ要素が少なくとも排泄物入口開口部の直径の直径を有する円形の穴を有する略ディスク状要素であるように点検窓はプレフィルタ要素に設けられてもよく、フィルタ構成物のフォイル層はプレフィルタ要素の円形の穴の周辺に沿って溶着される。
シースルー状の点検窓を設けるため、フォイル層は透明である必要があるか、あるいはフォイル層は円形の穴に合わせて除去される必要がある。
関連の実施形態において、点検窓はプレフィルタ要素の中心から外れて配置され、脱臭フィルタが脱臭フィルタ用の打抜きに配置される。
点検窓は、排泄物入口開口部の上にプレフィルタ要素の細片を、および排泄物入口開口部の下に脱臭フィルタ用の打抜きを備えたより広い領域を残すように配置されてもよい。それにより、脱臭フィルタは排泄物入口開口部の下に配置される。しかし、点検窓は、プレフィルタ要素の細片が排泄物入口開口部および脱臭フィルタ用の打抜きを備えたより広い領域の下にあり、かつ脱臭フィルタが排泄物入口開口部の上に配置されるように配置されてもよい。
ストーマ点検窓により使用者はストーマおよびストーマ周辺領域をストーマ装具の外側から点検することができる。これはパウチの前壁の一部が透明であることを必要とする。個々の部分の直径は、特定の実施形態において、以下の通りであってもよい。脱臭フィルタ30mm、プレフィルタ要素110mm、プレフィルタ要素内の点検窓70mm。
別の実施形態において、プレフィルタ要素がバナナ形状でありストーマの上に配置され、従ってストーマを見る邪魔にならないため、点検窓が設けられてもよい。プレフィルタ要素は排泄物入口開口部の上に、部分的にその周囲に配置されてもよい。このプレフィルタ要素は脱臭フィルタ用の余地を提供するためにバナナ形状の中間に円形の穴を有してもよい。
本発明のある実施形態は、本発明によるストーマ装具に、欧州特許第1578308B1号明細書に記載されているようなフィルタフラップを設けることに関する。それにより、本発明のフィルタ構成物を通る流れが過剰になり、その結果パウチの前壁と後壁が互いに向かって崩れ始め、パンケーキ状になった場合、前記特許に記載されたフラップによってパウチの通気開口部を部分的にまたは完全に閉鎖できることが保証される。
第2の態様において、本発明はストーマ装具であって、
前壁および後壁を含むパウチと、
ストーマからの排出物がパウチに入るための後壁の排泄物入口開口部と、
ガスがパウチから出るための少なくとも1つの通気開口部と、
封入体を画定する第1および第2フォイル層を含むフィルタ構成物であって、
フォイル層の各々がパウチの前壁および後壁と実質的に平行であるようにフィルタ構成物がパウチの内側に装着され、第1フォイル層が後壁に面し、第2フォイル層がパウチの前壁に面し、
フィルタ構成物は少なくともフォイル層の1つにガス入口が設けられ、第2フォイルに配置されたガス出口が通気開口部と連通するように適合された
フィルタ構成物と、
プレフィルタ要素を含む封入体と、
を含むストーマ装具に関する。
フィルタ構成物を備えたストーマ装具は、上で記載したように、常にパウチからガスを排出できる。フォイル層の1つに、または両方の層にガス入口を設けることにより、プレフィルタを通る経路を常に提供する。
さらに前壁および後壁に対して平行なフォイルの配置は、使用中に排出物によってガス入口が覆われる危険性を最小化する。
ある実施形態において、本発明の第2の態様によるストーマ装具は、封入体の内部に配置された脱臭フィルタを含み、プレフィルタ要素を出たガスが脱臭フィルタに直接入り、そこからガス出口を通って排出するようになっている。ガス流方向は、ガスがガス入口からプレフィルタ要素を通り、脱臭フィルタを通り、そしてガス出口および通気開口部から出る方向として定義される。
本発明の第2の態様によるストーマパウチにおいて、フィルタ構成物は、輪郭溶着プロセス工程時にパウチフォイルに装着された1つ以上の保持手段を含んでもよい。
保持手段はフィルタ構成物のフォイル層の1つまたは両方の分離部分または一体部分であってもよい。分離部分の場合、保持手段は溶着または接着によってフォイル層に装着されてもよい。保持手段はフィルタ構成物をストーマパウチの上側部分においてストーマパウチの輪郭に装着してもよく、それにより使用中、重力が、フィルタ構成物をパウチの中へ下方に押し下げ、所望の位置に保持することを助けるようになっている。同様に保持手段は、望まれる場合、フィルタ構成物をより下側の位置に装着してもよい。
従ってフィルタ構成物は使用中にパウチの内側で引きはがされることが防止される。ある程度まで、なおもフィルタ構成物は使用中に潰れることができる。その理由は、保持手段はフィルタ構成物の上側部分をストーマパウチに装着しているだけだからである。従ってフィルタ構成物の下側部分はなおも拘束されずに吊られていてもよい。
本発明の第3の態様において、本発明はストーマ装具であって、
パウチであって、
前壁および後壁と、
ストーマからの排出物がパウチに入るための後壁の排泄物入口開口部と、
ガスがパウチから出るための少なくとも1つの通気開口部と
を含むパウチと、
ストーマパウチに装着され、封入体を画定する第1フォイル層および第2フォイル層を含むフィルタ構成物であって、封入体がプレフィルタ要素を含み、
複数のガス入口が第1および/または第2フォイル層の少なくとも1つに設けられ、
ガス出口が第2フォイル層に設けられた、
フィルタ構成物と、
を含み、
フィルタ構成物が、パウチが満たされた時に潰れるように適合されている、
ストーマ装具に関する。
フィルタ構成物を備えたストーマ装具は、上に記載したように、パウチ内のガスを常に排出することができる。フィルタ構成物のフォイル層へのガス入口の配置、およびフィルタ構成物の潰れる能力は、特にパウチが満たされた時またはバルーニングがパウチ内で発生した時、少なくとも1つの入口が常に開放していることを確実にする。パウチが満たされた時、パウチはより膨らんだ縦長の形態に形状を変える。これは、パウチ内の負荷が原因でパウチの下側部分がわずかに下方へ移動し得ること、および同時にあるいはその代わりに、パウチが軸方向(ストーマの外を向く方向)に厚くなり得ることを意味する。これは幅方向の減少をもたらし、かつフィルタ構成物が潰れるようになる。
第1、第2および第3の態様による本発明の実施形態において、パウチが満たされた時、フィルタ構成物の幅とパウチの幅との間の横方向における関係の結果として、フィルタ構成物は潰れる。
横方向におけるフィルタ構成物の幅を、横方向におけるパウチの幅に適合することによって、パウチが満たされた時にフィルタ構成物が潰れることが可能になる。使用中、パウチの形態は次の2つの形態の間で移動する。
−パウチが膨張も膨らみもしない第1の形態
−パウチが膨張しおよび/または膨らむ第2の形態。
パウチが満たされている間およびフィルタがガス量を処理できる限り、パウチは第1および第2の形態の間のいずれかの形態をとり得る。
これは、パウチの第1の形態において、パウチの幅が、新しい未使用パウチの元々の幅と比べた場合、実質的に変わらないことを意味する。パウチの第2の形態において、パウチの幅は、新しい未使用パウチの元々の幅と比べて減少している。
第1、第2または第3の態様による本発明の実施形態において、フィルタ構成物の横方向の幅は、パウチの横方向の幅の少なくとも80%または少なくとも60%など、少なくとも100%である。
フィルタ構成物の幅は、フォイル層の面において横方向にフィルタ構成物を横切る最大の幅であることを意味する。同様にパウチの幅は、パウチの壁の面において横方向にパウチを横切る最大の幅である。
フィルタ構成物が、パウチに一致する幅を有する場合、およびフィルタ構成物がパウチに入れられる場合、フィルタ構成物はパウチに入れられるとすぐに波形形状を得るかまたはわずかに巻かれる。これはフィルタ構成物の表面にわたり配置されたガス入口へのアクセスをもたらす助けになる。
パウチの第2の形態において、パウチの幅は減少することが考えられる。パウチの幅の少なくとも80%の幅を提供することによって、パウチの内側に簡単に装着できるフィルタ構成物が得られる。何故なら幅の差が、フィルタ構成物をパウチの前壁または後壁に装着し、続いて公知のいずれかの方法によって前壁または後壁をそれらの縁部に沿って互いに貼り付けるための余地を残すからである。従って、その80%は、フィルタ構成物およびパウチの製造公差に備えるものであり、その一方、パウチが満たされたまたは膨らんだ場合、パウチの幅が新しい未使用パウチの元々の幅の80%未満に減少するために巻かれるフィルタを提供する。
パウチの幅の少なくとも60%の幅を提供することによって、上と同じ効果、すなわち製造公差のために前例より少し多い余地を残し、巻かれる前にパウチ内に前例より少し多い充填およびバルーニングを必要とするフィルタ構成物を提供するという効果が得られる。
本発明の第2および第3の態様では、ストーマ装具およびフィルタ構成物の他の全ての部品は、上で本発明の第1の態様のもとで記載されたようなものであってもよい。例えば本発明の第2または第3の態様によるストーマ装具は、封入体の内部に、パウチの外部にまたは封入体とパウチ壁との間に配置された脱臭フィルタを含んでもよい。同じく第2または第3の態様によるストーマ装具は、直径約0.1〜2.0mmの、例えばイレオストミーパウチに2個〜コロストミーパウチに150個超までの数のガス入口として機能する穴を含んでもよい。同じく本発明の第2または第3の態様によるストーマ装具において、ストーマ装具自体、ガス入口間の距離およびガス入口と脱臭フィルタとの間の距離、フィルタフランジ、パウチの壁に対するフィルタ構成物の溶着、プレフィルタ要素、脱臭フィルタ、ガス出口および通気部、膜、溶着位置を含むフィルタ構成物の異なる部分の提供、および点検窓が、上に記載したように提供されてもよい。
本発明の特に興味深い実施形態は、第1、第2および第3の態様に従い、
−ガス入口が約2mmなど少なくとも1mmの直径を有し、
−プレフィルタ要素の面積が、後壁の面積の40%より大きい
ストーマ装具に関する。
そのようなストーマ装具は、少数の大きな穴とプレフィルタ要素の大きな面積とを有するため、特にイレオストミーと関連した使用に有用である。従って、粘度のない排出物がプレフィルタに入り込むことを防ぐことは不可能であるが、プレフィルタ要素はイレオストミーパウチの標準的な着用時間を通して粘度のない排出物を含有できる十分な大きさであるという事実を利用する。大きな穴は、イレオストミーからの粘度のない排出物が、穴を覆って排出物を塗布することによって穴を閉塞することを(ほとんど)不可能にする。
後壁の面積の40%より大きいプレフィルタ要素の面積を提供することによって、多孔性材料がわずか5mmの厚さであったとしても、適切な量の多孔性材料が存在する。これは、プレフィルタ要素がそこに入る液体の量を処理できるような適切な量の多孔性材料をなおも残す。
本発明の別の興味深い実施形態は、第1、第2または第3の態様に従い、
−ガス入口の数が50個より多く、第1および第2フォイルの両方に設けられ
−ガス入口が、約0.5mmなど1mm未満の直径を有する穴、ならびに約2mmなど約1mm以上の直径を有する穴を含む、
ストーマ装具に関する。
そのようなストーマ装具は特にコロストミーと関連した使用に有用である。その理由は、コロストミーから出る排出物の多くはむしろ粘度があり、従って、上に記載したように、フィルタ構成物は、排出物がフィルタ構成物の表面にわたって塗布されるために閉塞され、従って、穴の全てが閉塞されないように、穴の数は多くそして両方のフォイルに配置される必要がある。さらにコロストミーからの排出物は、より粘度のない排出物も含み得る。従ってガス入口の直径がさまざまであると有利である。
本発明の第4の態様において、本発明はストーマ排泄物をストーマ装具に収集する方法に関し、ストーマ装具は、パウチと、封入体を画定する第1フォイル層および第2フォイル層を含むフィルタ構成物とを含み、封入体はプレフィルタ要素を含み、複数のガス入口がフォイル層の少なくとも1つに設けられ、ガス出口が第2フォイル層に設けられ、フィルタ構成物は、その大部分がパウチ内で拘束されずに吊っておかれるようにパウチ内に装着され、方法は、ストーマの周囲にストーマ装具を配置することを含む。
ある実施形態において、パウチには通気開口部が設けられ、フィルタ構成物は、そのガス出口がパウチの通気開口部と連通するように配置される。
第5の態様は、パウチとフィルタ構成物とを含むストーマ装具であって、封入体を画定する第1フォイル層と第2フォイル層とを含み、封入体がプレフィルタ要素を含み、複数のガス入口がフォイル層の少なくとも1つに設けられ、ガス出口が第2フォイル層に設けられ、フィルタ構成物は、その大部分がパウチ内で拘束されずに吊っておかれるようにパウチ内に装着されたストーマ装具に関し、ストーマ排泄物を収集する方法で使用するためのものであり、方法はストーマの周囲にストーマ装具を配置することを含む。
ある実施形態において、パウチには通気開口部が設けられ、フィルタ構成物は、そのガス出口がパウチの通気開口部と連通するように配置される。
上の第4および第5の態様の実施形態において、ストーマ排泄物は夜の間に収集される。
第4および第5の態様で記載された方法およびストーマ装具により、使用者は、自分のストーマパウチのバルーニングに決して妨げられないため、夜の大部分を通して眠ることが可能になる。
本発明の第6の態様において、本発明はストーマ装具内で発生するバルーニングの回数を低減する方法に関し、ストーマ装具はパウチと、封入体を画定する第1フォイル層および第2フォイル層を含むフィルタ構成物とを含み、封入体はプレフィルタ要素を含み、複数のガス入口がフォイル層の少なくとも1つに設けられ、ガス出口が第2フォイル層に設けられ、フィルタ構成物は、その大部分がパウチ内で拘束されずに吊っておかれるようにパウチ内に装着され、方法は、ストーマの周囲にストーマ装具を配置することを含む。
本発明の第7の態様において、本発明は、パウチと封入体を画定する第1フォイル層および第2フォイル層を含むフィルタ構成物とを含むストーマ装具であって、封入体がプレフィルタ要素を含み、複数のガス入口がフォイル層の少なくとも1つに設けられ、ガス出口が第2フォイル層に設けられ、フィルタ構成物は、その大部分がパウチ内で拘束されずに吊っておかれるようにパウチ内に装着されたストーマ装具に関し、ストーマ装具内で発生するバルーニングの回数を低減するための方法で使用するためのものであり、方法は、ストーマの周囲にストーマ装具を配置することを含む。
臨床試験は、本発明によるストーマ装具が、発生するバルーニングの回数を50%超低減できることを示した。以下のパラグラフを参照されたい。これは、使用者が、本発明によるストーマ装具を着用した場合、バルーニングにあまり悩まされず、従って、当惑する状況が発生する回数が減り、かつパウチをウェハからまたはストーマ装具を使用者の肌から取り外す回数も減るようになることを意味する。
本発明の第8の態様において、本発明は、バルーニングがストーマ装具内で発生するまでの時間を延ばす方法に関し、ストーマ装具はパウチと封入体を画定する第1フォイル層および第2フォイル層を含むフィルタ構成物とを含み、封入体はプレフィルタ要素を含み、複数のガス入口がフォイル層の少なくとも1つに設けられ、ガス出口が第2フォイル層に設けられ、フィルタ構成物は、その大部分がパウチ内で拘束されずに吊っておかれるようにパウチ内に装着されており、方法は、ストーマの周囲にストーマ装具を配置することを含む。
本発明の第9の態様において、本発明はパウチと封入体を画定する第1フォイル層および第2フォイル層を含むフィルタ構成物とを含むストーマ装具であって、封入体がプレフィルタ要素を含み、複数のガス入口がフォイル層の少なくとも1つに設けられ、ガス出口が第2フォイル層に設けられ、フィルタ構成物は、その大部分がパウチ内で拘束されずに吊っておかれるようにパウチ内に装着されたストーマ装具に関し、バルーニングがストーマ装具内で発生するまでの時間を延ばす方法で使用するためのものであり、方法は、ストーマの周囲にストーマ装具を配置することを含む。
臨床試験は、本発明によるストーマ装具が、バルーニングが発生するまでの時間を70%超延ばすことができることを示した。以下のパラグラフを参照されたい。これは、使用者が、バルーニングの問題を有するまで、より長い時間本発明によるストーマ装具を着用できることを意味する。これはより良いより多くの妨げられない夜の眠りをもたらし得る。何故なら使用者がストーマ装具から空気を出すために起きる必要がないためである。
本発明の第6、第7、第8または第9の態様において、ストーマ装具はコロストミーの周囲に配置され、第1および第2フォイル層には50個を超える数のガス入口が設けられる。またコロストミーと関連した使用のためのガス入口の数は、100個超およびさらには150個超など、75個を超えてもよい。
本発明の第6、第7、第8または第9の態様の別の実施形態において、ストーマ装具はイレオストミーの周囲に配置され、フォイル層の少なくとも1つには、少なくとも1mmの直径の少なくとも1つのガス入口が設けられ、プレフィルタ要素が、標準的な着用時間を通してプレフィルタ要素に入る液体排出物を処理するのに十分な大きさの体積を有する。ガス入口の数はこの実施形態では2個であってもよい。
液体排出物を処理するのに十分な大きさの体積は、(ストーマの軸方向における)プレフィルタの厚さが少なくとも5mmであり、フィルタ構成物の面におけるプレフィルタの面積が、後壁の面積の少なくとも40%であることを意味する。
上に記載されたストーマ装具の他の態様は、本発明の第4〜第9の態様と組み合わせてもよい。
臨床試験
上に記載したストーマ装具は、コロストミーを保有する使用者(20人)とイレオストミーを保有する使用者(20人)によって試験された。試験は、各々が多孔性材料のプレフィルタ50mm×10mm×3mmと、炭化発泡体の脱臭フィルタ30mm×7mm×3mmとを有する2個のフィルタ構成物を含む基準ストーマ装具と比較された。研究はオープンで無作為化された交差研究と指定された。全ての使用者がワンピース型ストーマ装具を使用しており、少なくとも週に1度はバルーニングの問題を大抵経験した。使用者は、バルーニングを経験した時にストーマ装具を交換するように指示され、そうでない場合は標準的な交換パターンに従った。
両タイプの使用者が、バルーニング発生までの時間の延長およびバルーニング発生回数の減少を経験した。
コロストミー保有使用者について、試験された基準ストーマ装具の数は567装具であり、本発明によるストーマ装具の数は526装具であった。基準装具のバルーニング回数は129回であり、本発明による装具のバルーニング回数は59回であった。従って本発明の装具によって経験されたバルーニング回数は52%減少した。
イレオストミー保有使用者について、試験された基準ストーマ装具の数は294装具であり、本発明によるストーマ装具の数は283装具であった。基準装具のバルーニング回数は161回であり、本発明による装具のバルーニング回数は74回であった。従って本発明の装具によって経験されたバルーニング回数は62%減少した。
基準装具を試験したコロストミー保有使用者は、平均して約1.5日毎にバルーニングを経験した(0.72バルーニング/使用者/日)。同じ使用者が本発明によるストーマ装具を試験した時、平均して約4日毎にバルーニングを経験した(0.26バルーニング/使用者/日)。従って、バルーニングが発生するまでの時間は74%延びた。
基準装具を試験したイレオストミー保有使用者は、平均してほぼ毎日バルーニングを経験した(0.90バルーニング/使用者/日)。同じ使用者が本発明によるストーマ装具を試験した時、平均して約3日毎にバルーニングを経験した(0.34バルーニング/使用者/日)。従って、バルーニングが発生するまでの時間は82%延びた。
実施例−フィルタ構成物の試験
ストーマパウチ(=ストーマ装具)を保持可能なフィルタ試験装置を使用し、圧力および空気流を監視しながら試験を行った。装置は圧力を監視する差圧メータと、空気流を監視する流れ制御器とを含む。さらに装置は、汚染事象の制御されたシミュレーションをストーマパウチフィルタに適用可能である。フィルタ試験装置は、模擬コロまたはイレオ排出物を含むストーマパウチに、制御されたマッサージングと振動を与える。模擬コロ排出物は粥様の粘度を有し、模擬イレオ排出物はシロップ様の粘度を有する。
試験は、模擬コロ排出物媒体を含有するストーマパウチをフィルタ試験装置に取り付けることによって行われた。この後、ストーマパウチを10ミリバールまで膨張した。圧力が10ミリバールで安定した時、未汚染のフィルタ構成物を通る流れが、流れ制御器の値を読むことによって測定された。
未汚染の流れに気が付いた時、ストーマパウチは空気を抜かれ、マッサージプレートをストーマパウチに向かって前方へ移動させ、排出物含有ストーマパウチをマッサージすることによって第1の汚染サイクルを実行し、結果として、フィルタ構成物を含むストーマパウチ内の表面の制御された汚染を得た。
サイクルが完了した時、ストーマパウチを再度10ミリバールまで膨張し、フィルタ構成物を通る流れを、上に記載したように測定した。
この汚染ステップは、フィルタ構成物が閉塞するまで繰り返された。フィルタ構成物を通る流れを、汚染サイクル毎に10ミリバールで測定した。
異なる試験シリーズが実行された。
第1試験シリーズにおいて、本発明によるフィルタ構成物を備えたストーマパウチが試験され、基準フィルタ構成物を備えたストーマパウチと比較された。本発明によるフィルタ構成物は、約110mmの略円形周囲を有し、かつ中心から切除された約60mmの点検窓を有するプレフィルタ要素を含んだ。さらにフィルタ構成物には、プレフィルタ要素の下側部分に配置された約30mmの脱臭要素用の穴が設けられた。基準フィルタ構成物は、多孔性材料のプレフィルタ50mm×10mm×3mmと、炭化発泡体の脱臭フィルタ30mm×7mm×3mmとを含む。
本発明によるストーマパウチは2つの異なる種類のものだった。シリーズ1.1において、ストーマパウチはコロストミーに関して使用されるように適合されたパウチであり、ガス入口として機能する96個の穴が設けられた。穴は1mm未満、約0.5mmの直径を有するニードルで打抜かれた。直径約1mmの6個の穴が設けられた。このシリーズでは、本発明による4個のストーマパウチおよび5個の基準パウチが試験された。全てのパウチ(試験パウチおよび基準パウチ)は、先に記載された排出物のような粥に匹敵する試験媒体で満たされた。下の表は、パウチを通る流れがなくなるまでに各パウチが何回汚染サイクルにかけられたかを示す。
Figure 2016129819
上の表1から、本発明に従い(試験体1〜試験体4)かつコロ様排出物でかなりの範囲まで満たされたストーマパウチは、参照パウチ(参照1〜参照5)よりも機能が優れていることが分かる。平均して本発明によるストーマパウチは、参照パウチのわずか1〜2サイクルと比べて、13汚染サイクル持続した。
シリーズ1.2は、本発明に従いかつイレオストミーとの関連で使用されるように適合されたストーマパウチを含む。これらのパウチはガス入口として機能する直径約1mmの2個の穴が設けられた。このシリーズにおいて、4個の本発明によるストーマパウチと5個の参照パウチが試験された。全てのパウチ(試験パウチおよび基準パウチ)は、先に記載されたシロップ状排出物に匹敵する試験媒体で満たされた。下の表は、パウチを通る流れがなくなるまでに各パウチが何回汚染サイクルにかけられたかを示す。
Figure 2016129819
上の表2から、本発明に従い(試験体1〜試験体4)かつイレオ様排出物でかなりの範囲まで満たされたストーマパウチは、参照パウチ(参照1〜参照5)よりも機能が優れていることが分かる。平均して本発明によるストーマパウチは、参照パウチのわずか1サイクルと比べて、12汚染サイクル持続した。
2番目の試験シリーズは、穴のサイズの影響に関する。コロストミーからの排出物は粘度のない排出物と粘度のある排出物の両方を含み得るため、このシリーズではイレオストミーパウチのみが試験された。従って、穴のサイズの影響は、粘度のない排出物のみを含むパウチの試験に非常に重要である。シリーズ2.1において、2mmの穴を有するイレオストミーパウチが試験された。これらの結果は、1mmの穴を有するイレオストミーパウチを含むシリーズ2.2と比較される。下の表3はこれら2つの試験シリーズの結果を示す。
Figure 2016129819
上の表の結果は、1mm穴は2mm穴よりも好ましくないことを示す。これは、粘度のない排出物は小さい方の(1mmの)穴を閉塞し得るから、およびフィルタ構成物が2個のガス入口のみを含むからかもしれず、それらの両方が開放され続けることは非常に重要である。2mm穴は粘度のない排出物によってけっして閉塞されない。さらに、大きいプレフィルタ要素はプレフィルタ要素に入る排出物を−少なくとも約9サイクル(シリーズ2.1)−処理すること(含むこと)が可能である。
図面の詳細な説明
図1は本発明の1つの実施形態によるストーマ装具1を示す。ストーマ装具は後壁2および前壁3を有するパウチを含み、後壁および前壁はそれらの縁部に沿って溶着されている(不図示)。後壁2は、本実施形態では肌に優しい接着剤5に囲まれた排泄物入口開口部4を有し、従ってこれはいわゆる一体型装具である。ストーマ6は同様に知られている。ストーマ装具内のフィルタ構成物10が、第1フォイル層11および第2フォイル層12を含み、2つのフォイル層はそれらの外側輪郭13に沿って溶着される。フォイル層11、12は多数の穴14を備え、これらの穴はフィルタ構成物10へのガス入口として機能する。プレフィルタ要素15は、本実施形態において、脱臭フィルタ17用の打抜き16を備えた略環状要素である。脱臭フィルタ17は本実施形態ではディスク状要素である。脱臭フィルタ17は、ガスおよび液体不透過性フォイル18、19に囲まれる。これらフォイル18、19は、フィルタ構成物10全体を囲むフォイル層11、12に溶着または接着され、さらに脱臭フィルタ17の表面に溶着または接着される。従って、フィルタ構成物に流入するガスは、周辺から中心に向かって脱臭フィルタを通って流れるように収容される。フィルタ構成物10は、脱臭フィルタ17の中心部分に配置される膜20も含み、それにより、フィルタ構成物のガス出口22を覆う。この実施形態において、ガス出口22はフィルタフランジ21に囲まれる。フィルタフランジはフィルタ構成物10に永久的に装着され、ストーマ装具1に溶着される。それにより、フィルタ構成物10はストーマ装具1に装着される。ガス出口22は、パウチの前壁3の通気穴23を通して、脱臭されたガスを外部環境へ流す。図面は正確な縮尺率のものではない。
図2および3は本発明によるストーマ装具101の別の実施形態を示す。図2は、後側から見たストーマ装具101の様子であり、図3は断面で見た様子を示す。ストーマ装具101は(図2に示すように)少なくとも3種類のサイズ、MINI(小)、MIDI(中)およびMAXI(大)で提供されてもよい。3種類のサイズは、フィルタ構成物110とストーマ装具101との間のこれら3種類のサイズの相対的なサイズ関係を説明するように示されている。この実施形態は、ストーマ6およびストーマ6のごく周囲の領域を見るのに十分な大きさの点検窓125をプレフィルタ要素115が含む点で、図1の実施形態と異なる。点検窓125は、フィルタ構成物110を封入するために使用される同一のフォイル111、112から作られ、このフィルタ構成110は、フォイル111、112が本実施形態において透明であるため可能である。従って、点検窓125は、フィルタ構成物内の物質が侵入し検査窓125の視界を妨げることを防止するように、フォイルを円126に一緒に溶着することによって作られる。本発明のフィルタ構成物はまた他のサイズ、種類および形状の身体排泄物収集パウチに組み込まれてもよいことは理解されよう。
フィルタ構成物へのガス入口114は多数存在し、点検窓125の周囲に通常は配置される。プレフィルタ要素115の下側部分は、脱臭フィルタ117用の打抜き116を含む。図1の実施形態のように、ガスが周辺から中心に向かって脱臭フィルタを横断的に移動するように収容されることを確実にするように、脱臭フィルタ117はフォイル118、119に囲まれる。図1のフィルタ構成物と同様に、このフィルタ構成物110にも膜120が備えられる。図1に関して記載したように、フィルタ構成物110は、フィルタフランジ121をパウチの前壁に溶着することによって、パウチに永久的に装着されてもよい。
フィルタ構成物110にはさらにフォイルの保持手段130、131が備え付けられる。これらの保持手段130、131はパウチの縁部に溶着され、フィルタ構成物110の位置の保持および制御を補助してもよい。
図4は図2および3のフィルタ構成物110の分解図を示す。しかしフィルタ構成物を制御する保持手段は図示されていない。フィルタ構成物110は、フィルタフランジ121、膜120、ガス入口114を提供する多数の穴を含む第2フォイル層112、脱臭フィルタ用の打抜き116を有する発泡体のプレフィルタ要素115、上にフォイル118を有する脱臭フィルタ117、第2フォイル119(フォイル118、119が一緒に脱臭フィルタを囲む)、および最後に、同じくガス入口114として多数の穴が提供された第1フォイル層111を含む。穴の位置付けは、穴の間の距離に関する上述の要件を満たす。
図5は本発明によるストーマ装具201を示し、フィルタ構成物210内のプレフィルタ要素215が概ねバナナ形状であり排泄物入口開口部204の上に配置されている。プレフィルタ要素は第1フォイル層211および第2フォイル層212を含み、作製中、より大きいフォイル長さ241、242の部分を形成する。2つのより大きいフォイル長さ241、242は上端243から下端244の方へ延在する。上端243はストーマパウチ201の上縁の上に配置され、フィルタ構成物210の下端の下へ延在する。同様に、より大きいフォイル241、242はパウチの側面を越えて延在する。これらのより大きいフォイル241、242において、点検窓225を含むフィルタ構成物210は、プレフィルタ要素の内側周囲226(バナナ形状の内側湾曲側)で、プレフィルタ要素の下端227、228に沿って、およびプレフィルタ要素の外側周囲229(バナナ形状の外側湾曲側)でフォイルを溶着することによって提供される。穴245は、作製中、フィルタ構成物を制御するために使用される。装具201が作製される時、この仕上げられたフィルタ構成物は、別個の溶着プロセスの間、前壁または後壁のいずれかに装着されるか、あるいは、パウチの縁部を溶着する時に前壁および後壁に装着される。
図5に示されるもののようなフォイル長さは、図1〜4の実施形態を作製するために使用されてもよい。
図6は、排出開口部350が備えられたフィルタ構成物310を示す。排出開口部350は、フィルタ構成物310からの一方通行の経路を提供する2つのフォイルフラップ352、353を備えた一方向弁351を含む。通常使用の間、排出開口部350が下に面するようにフィルタ構成物が配置される場合、フィルタ構成物310内の液体排出物が排出開口部350に向かって移動し、一方向弁351を通ってパウチの中へ排出される。弁350の一方向機能のため、パウチ内の液体排出物は、弁350を通ってフィルタ構成物310へ流入することができない。
図7はフィルタ構成物410の一部を示し、脱臭フィルタ417が3層フォイル構造418、410に囲まれている。図7Aはフィルタ構成物の一部を示し、図7Bはフォイル418および419を構成する3層を示す。3層フォイル構造は、外側層419a、中間層419bおよび内側層419cを含む。外側層419a(脱臭フィルタから離れる方を向く)および内側層419c(脱臭フィルタに向かって内側に面する)は同じ材料、例えばEVAPEから作製されてもよく、中間層419bはPAから作製されてもよい。先に記載したように、ガス出口の方を向くフォイル構造419は、液体およびガス不透過性でなければならないが、一方で、フォイル構造418は、使用中パウチの中で内側を向いているためガス不透過性である必要はない。図7Aは、プレフィルタ要素415とフィルタ構成物を囲むフォイル411、412とを含むフィルタ構成物410の一部を示す。脱臭フィルタからのガス出口422は、図に示すように膜420で覆われてもよい。フォイル構造419はパウチの前壁403に溶着されてもよい。
図8は本発明によるストーマ装具501を示す。ストーマ装具501は図8において、パウチが膨張されても膨らまされてもいない第1形態で示されている。ストーマ装具501は本発明によるフィルタ構成物510を含む。フィルタ構成物は、パウチの第1形態においてパウチの幅Bの少なくとも60%(好ましくは少なくとも80%)である幅bを有する。幅は、この文脈において、パウチの横方向の寸法を意味する。両方の幅は、片側の最も外側の境界から横方向にパウチ(またはフィルタ構成物)を横切って最も外側の境界まで測定される。
図9はパウチが膨張されているあるいは膨らまされている第2構成で示される本発明によるストーマ装具501を示す。図から明らかなように、この構成のパウチの幅B’は、フィルタ構成物の幅bよりも小さくなるように減少された。
図10は本発明による別のフィルタ構成物601を示す。フィルタ構成物は第1フォイル層611および第2フォイル層612を含む。フォイル層に囲まれているのは発泡体のプレフィルタ615である。2つのフォイル層611、612には穴の形態であるガス入口614が設けられる。フィルタ構成物610は脱臭フィルタ617も含む。図から、プレフィルタ615に入った排出物640が、特定の距離だけプレフィルタの中へ移動することが明らかである。従って、ガス入口614が各々の間で排出物の最大侵入長さよりも長い距離をとって位置付けられている場合、排出物は1つのガス入口から、隣接するガス入口まで移動することは不可能である。
図11は上述の実施例で使用されるフィルタ試験装置1000の概略図を示す。フィルタ試験装置1000は、フィルタ構成物を通る流れを測定するための流れ制御装置1001と、ストーマパウチ内の圧力を測定するための差圧メータ1002とを備える。かかる流れ制御装置および圧力メータは当技術分野において公知である。フィルタ試験装置1003は、制御されたマッサージと振動をストーマパウチに適用することができる制御装置である。ストーマパウチ(不図示)は、試験の間、ホルダープレート1005、1006を備えたストーマパウチホルダ1004にパウチの両側で保持される。フィルタ試験装置1003はマッサージプレート1007を制御して、制御されたマッサージをパウチに適用する。
図12および13は試験シリーズ1の結果を示す。図12はコロストミーパウチの試験結果を示し(上に記載した試験シリーズ1.1に一致)、図13はイレオストミーパウチの試験結果を示す(上に記載した試験シリーズ1.2に一致)。本発明によるストーマパウチと標準フィルタ(上に記載)を備えたストーマパウチとの間の差は明らかである。両図において、点線は本発明によるストーマパウチの試験結果を示し、破線(図の左側)は標準フィルタを備えたストーマパウチの試験結果を示す。点線および破線の間の実線は平均値を示す。図13では、標準フィルタに関しては平均値線のみ見ることができる。全てのフィルタが1サイクルしか持続しなかったためである。従って、コロストミーパウチに関して、図12において、本発明によるストーマパウチが、汚染に関してパウチを通る流れが許容レベルを下回る前に平均13サイクル持続したことが示されている。これは1〜2サイクルだけ持続した標準フィルタを備えたストーマパウチの平均値と比較される。イレオストミーパウチに関して、図13は、本発明による平均ストーマパウチが12サイクル持続することを示す。標準フィルタを備えた平均ストーマパウチは1サイクルのみ持続する。
図14は上述の試験シリーズ2に対応する試験結果を示す。図14は、直径わずか1mmの穴を使用すること(破線)が、イレオストミーパウチにマイナスの影響を及ぼすことを明らかにしている。流れがより早く弱まり、1mmの穴を使用するパウチは2mmの穴を有するパウチ(実線)よりも持続が短い。

Claims (18)

  1. 前壁および後壁を含むパウチと、
    ストーマからの排出物が前記パウチに入るための前記後壁の排泄物入口開口部と、
    ガスが前記パウチから出るための少なくとも1つの通気開口部と、
    封入体を画定する第1および第2フォイル層を含むフィルタ構成物であって、
    前記フォイル層の各々が前記パウチの前記前壁および後壁と実質的に平行であるように前記フィルタ構成物が前記パウチの内側に装着され、前記第1フォイル層が前記後壁に面し、前記第2フォイル層が前記パウチの前記前壁に面し、
    前記フィルタ構成物は少なくとも前記第2フォイル層にガス入口が設けられ、前記第2フォイル層のガス出口が前記通気開口部と整列して配置される
    フィルタ構成物と、
    プレフィルタ要素を含む前記封入体と、
    を含むストーマ装具。
  2. 前記フィルタ構成物が前記封入体の中に脱臭フィルタを含む、請求項1に記載のストーマ装具。
  3. 前記ガス入口が、前記第1フォイル層および前記第2フォイル層の両方に設けられる、請求項1又は2に記載のストーマ装具。
  4. 前記ガス入口の数が50個超である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のストーマ装具。
  5. 前記ガス入口の数が50個超であり、前記第1フォイル層および第2フォイル層の両方に設けられ、
    前記ガス入口が、1mm未満の直径を有する穴、ならびに1mmよりも大きな直径を有する穴を含む
    請求項1に記載のストーマ装具。
  6. ガス入口の数が2個である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のストーマ装具。
  7. 前記ガス入口が、少なくとも1mmの直径を有し、
    前記プレフィルタ要素の面積が前記後壁の面積の40%より大きい
    請求項6に記載のストーマ装具。
  8. 前記プレフィルタ要素の面積が、前記パウチの平面に取り込んだ場合、前記パウチの面積の少なくとも20%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のストーマ装具。
  9. 前記パウチが満たされた時、前記フィルタ構成物の幅と前記ストーマ装具の幅との間の横方向における関係の結果として、前記フィルタ構成物が潰れる、請求項3に記載のストーマ装具。
  10. 前記フィルタ構成物の横方向の幅は、前記パウチの横方向の幅の少なくとも60%である、請求項4に記載のストーマ装具。
  11. 前記ガス入口が、少なくとも1mmの直径を有し、
    前記プレフィルタ要素の面積が前記後壁の面積の40%より大きい
    請求項1に記載のストーマ装具。
  12. 2個の隣接するガス入口の間の第1の距離が10mm超である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のストーマ装具。
  13. 前記脱臭フィルタから最も近いガス入口までの第2の距離が15mm超である、請求項2に記載のストーマ装具。
  14. ガス入口と前記フィルタ構成物の縁部との間の第3の距離が5mm超である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のストーマ装具。
  15. 前記フィルタ構成物の前記封入体が、前記ストーマ装具内で下方を向く排出開口部を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のストーマ装具。
  16. 前記プレフィルタ要素が前記脱臭フィルタ用の打抜きを含む、請求項2に記載のストーマ装具。
  17. 前記フィルタ構成物が、使用者が前記ストーマおよびストーマ周辺領域を見ることができる点検窓を組み込む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のストーマ装具。
  18. 前記フィルタ構成物が、前記前壁および/または後壁に装着されている1つ以上の保持手段を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のストーマ装具。
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