JP2016127759A - 回転電機制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御モードを切り替えることなく、必要に応じて、インバータが出力する駆動電圧信号の基本波成分の振幅の大きさを大きくすることが可能な回転電機制御装置を提供すること。【解決手段】温度予測部349において、回転電機の温度に相関する予測温度を求める。補正波形生成部351は、その予測温度が低くなるほど、変調率が高くなるように、あるいは、変調率が高く、かつ位相が進むように、電圧指令信号vu*、vv*、vw*を補正するための補正波形fを生成する。そのため、低温時に、回転電機の出力を高めたり、その立ち上りを早めたりすることができ、回転電機による駆動応答性を高めることができる。【選択図】図3
Description
本発明は、所定の機器を回転駆動する回転電機を制御する回転電機制御装置に関する。
従来の回転電機の制御装置として、インバータの電源を直流の定電圧源とした電圧形インバータを用い、インバータの各スイッチング素子をPWM信号により駆動するものが知られている。この制御装置では、電圧指令信号を正弦波信号とし、この正弦波信号を三角波キャリア信号と比較することにより、パルス幅変調されたPWM信号を生成する。そして、このPWM信号にてインバータの各スイッチング素子を駆動することにより、回転電機の駆動電圧信号として用いられるインバータの出力電圧は、電圧指令信号を模擬した正弦波状となる。このような正弦波PWM制御を行うことにより、インバータの出力電圧を自由に制御することができる。
ただし、上述した正弦波PWM制御では、インバータが駆動電圧信号として発生可能な交流電圧の基本波成分の振幅は電源電圧の半分以下であり、電源電圧の半分の大きさに対する基本波成分の振幅の比で表される変調率は1以下に制限される。そこで、インバータを、変調率が1以上となる過変調PWM制御や矩形波制御により動作させることにより、インバータが出力する駆動電圧信号の基本波成分の振幅をさらに増加させることが提案されている。
例えば、特許文献1や、特許文献2には、正弦波PWM制御モード、過変調PWM制御モード、及び、矩形波制御モードのいずれかの制御モードにてモータを駆動するようにインバータを制御する制御装置が記載されている。
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2に記載の制御装置のように、所定の条件が成立したときに制御モードを切り替える構成の場合、各制御モードを実行するための制御ロジックをそれぞれ用意しなければならず、さらに、制御モード切替を判定するための切替ロジックも必要となる。また、制御モードの切り替えの遅れにより、トルク指令値などに対する追従遅れが発生しやすくなり、制御性能の悪化を招く虞もある。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、制御モードを切り替えることなく、必要に応じて、インバータが出力する駆動電圧信号の基本波成分の振幅の大きさを大きくすることが可能な回転電機制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1発明による回転電機制御装置(300)は、
回転電機(200)を駆動するための駆動電圧信号を出力するインバータ(323)と、
電圧指令信号とキャリア信号との比較結果に応じて、駆動電圧信号を出力するようにインバータを動作させるためのPWM信号を生成するPWM信号生成手段(344)と、
回転電機の温度に相関する温度を検出する温度検出手段(349)と、
温度検出手段によって検出された温度に基づき、その温度が低下するほど、変調率が高くなるように電圧指令信号を補正するための補正信号を生成する補正信号生成手段(351)と、を備え、
PWM信号生成手段は、補正信号生成手段により生成された補正信号によって補正された電圧指令信号に基づいて、PWM信号を生成することを特徴とする。
回転電機(200)を駆動するための駆動電圧信号を出力するインバータ(323)と、
電圧指令信号とキャリア信号との比較結果に応じて、駆動電圧信号を出力するようにインバータを動作させるためのPWM信号を生成するPWM信号生成手段(344)と、
回転電機の温度に相関する温度を検出する温度検出手段(349)と、
温度検出手段によって検出された温度に基づき、その温度が低下するほど、変調率が高くなるように電圧指令信号を補正するための補正信号を生成する補正信号生成手段(351)と、を備え、
PWM信号生成手段は、補正信号生成手段により生成された補正信号によって補正された電圧指令信号に基づいて、PWM信号を生成することを特徴とする。
このように、本第1発明による回転電機制御装置は、制御モードを切り替えるのではなく、キャリア信号と比較される電圧指令信号を、補正信号により補正することにより、インバータが出力する駆動電圧信号の基本波成分の振幅の大きさを変化させる。このため、制御モードの切り替え時に必要となる各種の制御ロジックや切り替えロジックが不要となる。また、制御モードの切り替えの必要がないため、制御モードの切り替えに伴う追従遅れなどの制御性能の悪化を招く虞も低減することができる。
さらに、本第1発明では、補正信号生成手段が、温度検出手段によって検出される、回転電機の温度に相関する温度に基づき、その温度が低下するほど、変調率が高くなるように電圧指令信号を補正するための補正信号を生成する。回転電機の温度が低くなるほど、その回転電機の可動部に対するフリクションが増加したり、回転電機が駆動対象機器を駆動する際の抵抗が大きくなったりする傾向がある。本発明では、回転電機の温度に相関する温度が低くなるほど、変調率が高くなるように電圧指令信号を補正するための補正信号を生成する。そのため、低温時に、回転電機の出力を高めることができ、回転電機による駆動対象機器の駆動応答性を高めることができる。
また、第2発明による回転電機制御装置は、回転電機(200)の近傍に設けられ、回転電機の少なくとも1相のステータコイルに接続されたシャント抵抗(324〜326)を備え、温度検出手段(349)は、電圧指令信号と、シャント抵抗に流れる電流から算出された実電圧信号との、単位時間当りの積分値の差に基づいて、回転電機の温度に相関する温度を検出することを特徴とする。このような構成を採用することにより、専用の温度センサを設けることなく、各相のステータコイルに流れる電流を検出するためのシャント抵抗の温度依存性を利用して、シャント抵抗の温度を検出することができる。このシャント抵抗は、回転電機の近傍に設けられるため、シャント抵抗の温度は、回転電機の温度に相関する。
上記括弧内の参照番号は、本発明の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
また、上述した特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
以下、本発明の回転電機制御装置の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態では、回転電機制御装置を回転電機と一体化して、回転電機一体型制御装置として具現化した例について説明する。
まず、図1に基づき、本実施形態に係る回転電機一体型制御装置100の概略構成について説明する。図1に示すように、この回転電機一体型制御装置100は、回転電機200と、回転電機200の駆動を制御する制御部300と、回転位置検出部400と、を備えている。
回転電機200は、例えば、車両のエンジンを駆動するスタータ、エンジン出力をアシストするモータ、及び減速時にエネルギー回生を行うリジェネレータとしての機能を備えたISG(Integrated Starter Generator)であり、ステータ210と、シャフト220と、ロータ230と、を有している。ステータ210は、円筒状のステータコアを有し、そのステータコアには、内壁から突出する複数の突極が形成されている。そして、それぞれの突極に、3相のステータコイル213がそれぞれ巻きつけられている。この3相のステータコイル213に位相がずれた交流電流を流すことにより、ステータ210は、ロータ230を回転させる回転磁界を発生する。
シャフト220は、ロータ230と一体的に形成され、ロータ230とともに回転する。図1では、その回転軸をLと示している。シャフト220の一端側には、回転位置検出部400の構成要素である磁石410が固定されている。また、シャフト220には、磁石410が固定された一端と反対の他端にプーリ221が固定されている。このため、シャフト220の回転とともにプーリ221も回転する。プーリ221には図示しないベルトが係合され、このベルトを介して、エンジンにシャフト220の回転運動が伝達される。
ロータ230は、ステータ210と同軸の円筒状の部材であり、ステータ210の内周側に配置されている。そして、ロータ230の軸を含む、中央の空洞部にシャフト220が挿入固定されている。ロータ230は、その内部にロータコイル232を有している。このロータコイル232に流れる電流により形成される磁界と、ステータ210により形成される回転磁界とが相互作用して、ロータ230に回転のモーメントが発生する。なお、ロータコイル232の代わりに、ロータ230に永久磁石を埋め込んだ構成を採用しても良い。
ステータ210とロータ230は、図1に示すように、モータケース240に収容されている。モータケース240には、回転軸Lに沿ってシャフト220を挿通するための挿通孔241が形成されている。挿通孔241には、シャフト220を回転可能に支持する軸受242が配置されている。
制御部300は、回路基板310と、その回路基板310上に実装された、回転電機200の駆動を制御するマイクロコントローラ(以下、マイコン)320や電源IC321などのチップ、回転位置検出部400の構成要素である、ホール素子や磁気抵抗素子などの磁電変換素子420、及びその他の回路素子を有している。回路基板310は、例えば、一般的に知られたプリント基板である。マイコン320は、制御処理や演算処理を行うCPU、各種プログラムやデータを保存するためメモリを含む記憶装置、入力回路、出力回路等を含んで構成されている。電源IC321は、マイコン320への電源供給を管理する機能を備えている。磁電変換素子420は、シャフト220の一端に設けられた磁石410に対向するように配置され、磁石410、すなわちロータ230の回転角度に応じた電気信号を出力する。これらの回路基板310、及び、回路基板310に実装されたマイコン320、電源IC321、磁電変換素子420は、筐体330に収容されている。また、筐体330はカバー331に収容されている。
筐体330の外部であって、カバー331の内面に、制御部300の構成要素としてのスイッチング素子322が配置されている。このスイッチング素子322は、後述するインバータを構成するためのもので、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)やMOSFETなどで構成される。そして、カバー331の外面であって、スイッチング素子322が配置された部分の近傍に放熱フィン332が配置されている。放熱フィン332は、おもにスイッチング素子322が発生した熱をカバー331の外部に放熱する役割を果たす。
次に、図2を参照しつつ、制御部300の構成について詳しく説明する。なお、図2では、電源IC321の図示を省略している。
回転電機200は、インバータ323を介して、例えば12Vもしくは48Vの電圧を発生する車載バッテリ10に接続されている。車載バッテリ10と並列に平滑コンデンサ12が接続されており、車載バッテリ10から供給される動作電圧の安定化が図られている。
インバータ323は、回転電機200の各相(U相、V相、W相)のステータコイルに対応して、それぞれ、直列接続された一対のスイッチング素子322を備えている。そして、一対のスイッチング素子322同士を接続する接続線から分岐する分岐線が、各相のステータコイルに接続されている。各スイッチング素子322には、それぞれ、ダイオードが並列に接続されている。
本実施形態による回転電機200の制御装置は、上述したように、回転電機200の回転角度θを検出する回転位置検出部400を備えている。さらに、回転電機200の各相のステータコイルを流れる電流iu,iv,iwをそれぞれ検出する電流センサとしてのシャント抵抗324〜326も備えている。各シャント抵抗324〜326は、各相のステータコイルと直列に接続されており、各相のステータコイルに流れる電流と同じ電流が、各シャント抵抗324〜326にも流れる。
これら各センサの検出値は、マイコン320に入力される。マイコン320は、これらのセンサの検出値に加え、図示しない上位ECUからのトルク指令値を入力する。上位ECUは、例えば、車速センサ、ブレーキペダルセンサ、アクセルペダルセンサなどの各種センサの検出信号に基づいて、マイコン320に対し、回転電機200が発生すべきトルク指令値を指示する。マイコン320は、トルク指令値、及びセンサの検出値に基づいて、インバータ323を操作する操作信号(PWM信号)を生成して出力する。なお、回転電機200がリジェネレータとして機能すべきときには、上位ECUは、マイナスのトルク指令値を指示する。
次に、インバータ323の操作信号の生成方法について、図3の機能ブロック図を参照しつつ、詳しく説明する。図3の機能ブロック図は、マイコン320において実行される機能をブロックにより図示したものである。
マイコン320は、回転電機200が発生すべきトルク指令値τ*を上位ECUから受信する。すると、指令変換部340が、受け取ったトルク指令値τ*に対応する、回転座標であるdq座標における電流指令値id *、iq *を算出する。なお、公知のように、dq座標は、例えば、回転子のS極からN極に向かう方向をd軸とし、そのd軸に垂直なq軸によって定義される回転座標である。
指令変換部340において、電流指令値id *、iq *が算出されると、電流フィードバック(F/B)制御部341が、算出された電流指令値id *、iq *と、後述する座標変換部346から出力されるdq座標における実モータ電流値id、iqとに基づき、実モータ電流値id、iqを電流指令値id *、iq *に近づけるように、インバータ323の各スイッチング素子322を駆動するための電圧指令値vd *、vq *を演算する。すなわち、回転電機200を実際に流れるdq座標上の電流値id、iqを、トルク指令値τ*に応じて設定される電流指令値id *、iq *にフィードバック制御するための操作量としてdq軸上の電圧指令値vd *、vq *を算出する。
電圧指令値vd *、vq *が算出されると、座標変換部342において、回転電機200の各相(U相、V相、W相)のステータコイルに出力すべきU相電圧指令値Vu *、V相電圧指令値Vv *、W相電圧指令値Vw *が、座標変換によって生成される。この座標変換は、例えば、以下のようにして実行することができる。
まず、dq座標において算出された電圧指令値vd *、vq *を、静止座標であるαβ座標上の値に座標変換する。なお、公知のように、αβ座標は、ロータ230の回転軸Lを原点として、相互に直交するα軸及びβ軸によって定義される静止座標である。このdq座標からαβ座標への座標変換は、回転位置検出部400の検出信号に基づいて、後述する回転角度算出部345によって算出された回転角度θに基づいて実行される。ロータ230の回転角度θにより、dq座標とαβ座標との相対的な位相関係が特定できるためである。さらに、座標変換部342は、αβ座標において算出されたα軸電圧指令値vα *及びβ軸電圧指令値vβ *に対して、2相−3相変換を行って、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *、W相電圧指令値vw *を生成する。
座標変換部342により生成されたU相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *、W相電圧指令値vw *は、補正部343に与えられる。補正部343は、後述する補正波形生成部351が生成する補正波形fを用いて、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *、W相電圧指令値vw *をそれぞれ補正して、補正U相電圧指令値v’u *、補正V相電圧指令値v’v *、補正W相電圧指令値v’w *を生成する。そして、PWM制御部344では、補正U相電圧指令値v’u *、補正V相電圧指令値v’v *、補正W相電圧指令値v’w *をそれぞれキャリア信号と比較し、その比較結果に基づいて、各相のPWM信号を生成する。具体的には、PWM制御部344は、補正U相電圧指令値v’u *、補正V相電圧指令値v’v *、補正W相電圧指令値v’w *が、キャリア信号である三角波信号と交差するポイント(時間)を求め、その求めたポイントにてパルスがオン又はオフするようにPWM信号を生成する。
回転角度算出部345は、回転位置検出部400の磁電変換素子420から出力された、シャフト220(ロータ230)の回転に応じて変化する検出信号に基づき、ロータ230の回転角度θを算出する。回転角度算出部345によって算出された回転角度θは、2つの座標変換部342、346に与えられる。
電流算出部347は、各相のステータコイルにそれぞれ直列に接続されたシャント抵抗324〜326の両端電位差に基づいて、各シャント抵抗324〜326に流れる電流(つまり、各相のステータコイルに流れる電流)を算出するものである。各シャント抵抗324〜326の抵抗値は予め定められているので、各シャント抵抗の両端電位差から、それぞれのシャント抵抗324〜326を流れる電流を求めることができる。
ただし、各シャント抵抗324〜326の抵抗値は温度依存性があり、シャント抵抗324〜326の温度に応じて、抵抗値が変化する。本実施形態では、詳しくは後述するが、各シャント抵抗324〜326の温度依存性を利用して、回転電機200の温度を推定により検出する。
座標変換部346は、電流算出部347によって算出された各相のステータコイルに流れる実モータ電流値iU、iV、iWを、dq座標における実モータ電流値id、iqに座標変換するものである。この座標変換は、上述した座標変換部342における座標変換とは逆に、3相−2相変換、αβ座標からdq座標への変換を行うことによってなされる。
電流算出部347によって算出された実モータ電流値iU、iV、iWは、電圧算出部348にも与えられる。電圧算出部348は、実モータ電流値iU、iV、iWに基づいて、回転電機200の各相のステータコイルに印加されている実モータ電圧値vU、vV、vWを算出する。この算出された実モータ電圧値vU、vV、vWは、温度予測部349に与えられる。
つまり、図4に示すように、補正U相電圧指令値v’u *、補正V相電圧指令値v’v *、補正W相電圧指令値v’w *のそれぞれの時間的な変化を示す電圧指令信号の単位時間(0〜T)当りの積分値と、実モータ電圧値vU、vV、vWのそれぞれの時間的変化を示す実モータ電圧信号の単位時間当りの積分値との差の絶対値を温度係数Temp_cnとして算出する。すなわち、本実施形態では、回転電機200の各相に対して、それぞれ温度係数Temp_cnが算出される。
なお、数式1における「Δt」は、電圧指令信号と実モータ電圧信号との位相ずれを補正するためのものであるが、この補正は行わなくても良い。
ここで、上述したように、各シャント抵抗324〜326は、図5に示すように、温度依存性を有しており、シャント抵抗324〜326の温度が高くなるほど、抵抗値が大きくなる。なお、図5には、25℃の室温を基準としたシャント抵抗324〜326の抵抗値変化率の一例を示している。このような抵抗値変化率は、抵抗温度係数(Temperature Coefficient Resistance:TCR)と呼ばれる。
このように、各シャント抵抗324〜326の抵抗値は温度依存性を有しているので、図4に示すように、シャント抵抗324〜326の温度に応じて、電圧指令信号と、実モータ電圧信号とがずれる場合がある。換言すれば、電圧指令信号と実モータ電圧信号のずれの大きさからシャント抵抗324〜326の温度を推定することができる。本実施形態では、電圧指令信号と実モータ電圧信号のずれの大きさを求めるため、上述した数式1を用いている。
そして、温度予測部349は、算出した温度係数Temp_cnに基づいて、シャント抵抗324〜326の予測温度を求める。例えば、温度予測部349は、図6に示すような、予め実験的に求めた温度係数Temp_cnと予測温度との関係を定めたマップを記憶しており、このマップを参照することにより、温度係数Temp_cnから予測温度を求めることができる。ただし、マップを用いる以外にも、例えば、温度係数と、予測温度との関係を数式によって表し、温度係数をその数式に代入することにより、予測温度を求めることも可能である。温度予測部349が算出した予測温度は、加重補正係数算出部350に出力される。
なお、上述したように、制御部300は、回転電機200と一体化されているので、シャント抵抗324〜326は、回転電機200の近傍に配置され、双方の環境温度は実質的に同一とみなすことができる。すなわち、シャント抵抗324〜326の予測温度は、回転電機200の温度と高い相関性を有している。
加重補正係数算出部350は、予測温度に基づいて、補正波形fを生成するための基礎となる加重補正係数を算出する。本実施形態では、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *、W相電圧指令値vw *に対して、振幅及び位相を補正可能な補正波形fを生成する。そのため、加重補正係数算出部350は、予測温度に応じて、振幅に関する加重補正係数Aと、位相に関する加重補正係数Pとを算出する。例えば、加重補正係数算出部350は、図7に示すように、予測温度と振幅及び位相に関する加重補正係数A、Pとの関係を予め定めてマップとして記憶しておき、予測温度が与えられたとき、このマップを参照して、対応する振幅及び位相の加重補正係数A、Pを求める。
図7に示すマップでは、基準温度である25℃のとき、振幅及び位相の加重補正係数A、Pはともにゼロとなり、それよりも予測温度が低くなるほど、加重補正係数A、Pが大きくなるように定められている。その際、基準温度よりも低い所定温度範囲では、位相に関する加重補正係数はゼロに維持しつつ、振幅に関する加重補正係数Aだけを増加するようにし、その所定温度範囲を超えて予測温度が低下する範囲において、位相に関する加重補正係数Pを増加するように設定することが好ましい。位相の補正は、回転電機200の制御特性に与える影響が相対的に大きいため、振幅の補正により十分な出力が得られる場合には、振幅の補正だけで済ませた方が好ましいためである。
なお、基準温度よりも高い温度範囲においては、振幅及び位相の加重補正係数A、Pはゼロであっても良いし、マイナスの補正係数を取っても良い。
補正波形生成部351は、加重補正係数算出部350によって算出された加重補正係数A、Pを用いて、補正波形fを生成する。本実施形態では、補正波形fとして、三角波を用いている。補正波形fとしての三角波は、加重補正係数A、Pを用いて、例えば、下記の数式2により算出することができる。
上記数式2により、振幅に関する加重補正係数Aに応じた振幅を有し、かつ、位相に関する加重補正係数Pに応じて位相の進んだ補正波形fとしての三角波を生成することができる。
このようにして算出された補正波形fは、上述したように、補正部343において、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *、W相電圧指令値vw *にそれぞれ加算されて、補正U相電圧指令値v’u *、補正V相電圧指令値v’v *、補正W相電圧指令値v’w *が算出される。
なお、補正波形fは、各相の予測温度に応じた加重補正係数により個別に生成されても良い。一方で、例えば、各シャント抵抗324〜326の予測温度の平均値や最低値に基づいて、各相の電圧指令値vu *、vv *、vw *に対して共通の補正波形fが生成されても良い。
また、補正波形fは、その頂点が中央に位置する三角波のみでなく、例えば、のこぎり波など頂点が中央から位相の進み方向にずれた三角波であっても良いし、正弦波、台形波などであっても良い。
図8は、例えば1相のステータコイルに対する基本波としての、電圧指令値の変化を示す電圧指令信号の、振幅だけが補正された場合と、振幅と位相とが補正された場合の補正信号を示している。図8に示すように、振幅が大きくなるように、あるいは、振幅が大きくかつ位相が進むように補正することにより、インバータ323が出力する駆動電圧信号の基本波成分の振幅の大きさを大きくすることができ、変調率を高めることができる。また、位相を進めることにより、駆動電圧信号の基本波成分をより早く立ち上げることができる。
本実施形態では、回転電機200は、車両のエンジンを駆動するスタータ、あるいはエンジン出力をアシストするモータとしての役割を果たす。このような役割を果たす上で、回転電機200の温度が低くなるほど、その回転電機200の可動部(シャフト220)に対するフリクションが増加したり、回転電機200の駆動対象であるエンジン内のオイルの粘性が高くなって、エンジンを駆動する際の抵抗が大きくなったりする傾向がある。本実施形態では、回転電機200の温度に相関する予測温度を求め、その予測温度が低くなるほど、変調率が高くなるように、あるいは、変調率が高く、かつ位相が進むように、電圧指令信号を補正するための補正波形fを生成する。そのため、低温時に、回転電機200の出力を高めたり、その立ち上りを早めたりすることができ、回転電機200によるエンジンの駆動応答性を高めることができる。
次に、図9のフローチャートを参照して、予測温度に基づく加重補正制御の流れについて説明する。
まず、ステップS100において、所定間隔毎に、ポーリング処理、又は割込み処理として、加重補正制御を開始する。続く、ステップS110では、シャント抵抗を流れる電流の電流値を算出する。そして、ステップS120において、出力している(補正された)電圧指令信号と、シャント抵抗を流れる電流値から求めた電圧値の変化を示す実電圧信号との積分値の差の絶対値から温度係数を求め、さらに、温度係数に基づいて、予測温度を算出する。
ステップS130では、予測温度を所定の設定温度と比較する。この比較処理において、予測温度が設定温度よりも高いと判定された場合、制御部300の温度が高温になっているとみなせるため、ステップS170に進んで、回転電機200の駆動を停止する。これにより、異常高温によって制御部300が損傷することを防止することができる。
一方、ステップS130の比較処理において、予測温度は設定温度未満と判定された場合、ステップS140の処理に進む。ステップS140では、予測温度に基づいて、振幅及び位相に関する加重補正係数A、Pを算出する。なお、上述したように、これらの加重補正係数A、Pは、予測温度が基準温度未満である場合に有意な値が算出され、基準温度以上の場合には、原則として、ゼロとなる。ただし、基準温度以上の場合に、オプションとして、マイナスの補正係数を算出しても良い。
続くステップS150では、ステップS140において算出した加重補正係数に基づいて、補正波形fを生成する。そして、ステップS160において、補正波形fを電圧指令信号に加算することにより、電圧指令信号を補正する。
このように本実施形態によれば、制御モードを切り替えるのではなく、キャリア信号と比較される電圧指令信号を補正波形fにより補正することにより、インバータ323が出力する駆動電圧信号の基本波成分の振幅の大きさを変化(大きく)させるようにしている。このため、制御モードの切り替え時に必要となる各種の制御ロジックや切り替えロジックが不要となる。また、制御モードの切り替えの必要がないため、制御モードの切り替えに伴う追従遅れなどの制御性能の悪化を招く虞も低減することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々、変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、回転電機200は、ISGとして、エンジンを始動するスタータ、あるいはエンジンの出力をアシストするモータの役割を果たす例について説明したが、回転電機200の駆動対象機器は、必ずしもエンジンに限られない。
また、上述した実施形態では、シャント抵抗324〜326の温度依存性を利用して、回転電機200の温度に相関する温度を検出した。しかしながら、回転電機200の近傍に温度センサを設けて、回転電機200の温度に相関する温度を検出しても良い。
100 回転電機一体型制御装置
200 回転電機
300 制御部
320 マイコン
323 インバータ
324〜326 シャント抵抗
400 回転位置検出部
200 回転電機
300 制御部
320 マイコン
323 インバータ
324〜326 シャント抵抗
400 回転位置検出部
Claims (9)
- 所定の機器を回転駆動する回転電機(200)を制御する回転電機制御装置(300)であって、
前記回転電機を駆動するための駆動電圧信号を出力するインバータ(323)と、
電圧指令信号とキャリア信号との比較結果に応じて、前記駆動電圧信号を出力するように前記インバータを動作させるためのPWM信号を生成するPWM信号生成手段(344)と、
前記回転電機の温度に相関する温度を検出する温度検出手段(349)と、
前記温度検出手段によって検出された前記温度に基づき、前記温度が低下するほど、変調率が高くなるように前記電圧指令信号を補正するための補正信号を生成する補正信号生成手段(351)と、を備え、
前記PWM信号生成手段は、前記補正信号生成手段により生成された前記補正信号によって補正された前記電圧指令信号に基づいて、前記PWM信号を生成することを特徴とする回転電機制御装置。 - 前記回転電機の近傍に設けられ、前記回転電機の少なくとも1相のステータコイルに接続されたシャント抵抗(324〜326)を備え、
前記温度検出手段は、前記電圧指令信号と、前記シャント抵抗に流れる電流から算出された実電圧信号との、単位時間当りの積分値の差に基づいて、前記回転電機の温度に相関する温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の回転電機制御装置。 - 前記シャント抵抗は、前記回転電機における各相のステータコイルにそれぞれ接続されるように複数設けられ、
前記温度検出手段は、前記複数のシャント抵抗に流れる電流から算出された実電圧信号に基づき、前記各相のステータコイルごとに個別に温度を検出し、
前記補正信号生成手段は、前記各相のステータコイルごとに検出された温度に基づいて、前記各相のステータコイルごとに前記補正信号を算出することを特徴とする請求項2に記載の回転電機制御装置。 - 前記補正信号生成手段は、前記温度検出手段によって検出される温度と、前記電圧指令信号の振幅を補正するための振幅補正係数との関係を予め記憶しており、前記温度検出手段によって検出された温度に対応する前記振幅補正係数を用いて、前記補正信号を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回転電機制御装置。
- 前記補正信号生成手段は、さらに、前記温度検出手段によって検出される温度と、前記電圧指令信号の位相を補正するための位相補正係数との関係を予め記憶しており、前記温度検出手段によって検出された温度に対応する前記位相補正係数を用いて、前記補正信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の回転電機制御装置。
- 前記補正信号による前記電圧指令信号の補正は、前記補正信号を前記電圧指令信号に加算することによって行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の回転電機制御装置。
- 前記温度検出手段によって検出された温度が所定の設定温度以上である場合、前記回転電機の駆動を停止する停止手段(S170)を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の回転電機制御装置。
- 前記補正信号生成手段は、前記温度検出手段によって検出された温度が所定の補正実行温度以下である場合に、前記変調率が高くなるように前記電圧指令信号を補正するための前記補正信号を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の回転電機制御装置。
- 前記回転電機制御装置は、前記回転電機と一体に形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の回転電機制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015001735A JP2016127759A (ja) | 2015-01-07 | 2015-01-07 | 回転電機制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015001735A JP2016127759A (ja) | 2015-01-07 | 2015-01-07 | 回転電機制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016127759A true JP2016127759A (ja) | 2016-07-11 |
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ID=56358229
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JP2015001735A Pending JP2016127759A (ja) | 2015-01-07 | 2015-01-07 | 回転電機制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019176583A (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-10 | ブラザー工業株式会社 | 電圧検出装置 |
CN114070163A (zh) * | 2021-12-01 | 2022-02-18 | 深圳市优必选科技股份有限公司 | 电机的控制方法、电机的控制装置及电机的控制模块 |
-
2015
- 2015-01-07 JP JP2015001735A patent/JP2016127759A/ja active Pending
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