以下、本発明にかかる粉粒体処理装置の一実施形態について、各図面に基づいて説明する。
図1〜図3に、粉粒体の処理を行う粉粒体処理装置1を示す。粉粒体処理装置1は、粉粒体を、粉粒体処理容器2内で転動、浮遊流動、撹拌及び解砕のうちの少なくとも一の運動をさせながら混合、造粒、整粒、コーティング、及び乾燥のうちの少なくとも一の処理を行う装置であって、本体10と、本体10に回動可能に支持される筐体20と、筐体20に装着される粉粒体処理容器2(例えば図5参照)とを有する。なお、図1〜図3においては、粉粒体処理容器2を装着していない状態の粉粒体処理装置1を示す。
本体10は、粉粒体処理装置1の基台となる部材であり、図1に示すように、制御部11とベース部12とを有している。制御部11は、縦長の略直方体の部材であり、種々の設定や処理中の各種状態の検知等によって、粉粒体処理装置1の処理動作等を制御する。制御部11の内部には、図示省略の制御基板やコンピュータ等が格納される。制御部11の正面には、種々の表示や設定等を行うタッチパネルや、粉粒体処理装置1の各箇所における気体の圧力や流量等を示す表示部、空気の流量を調節するニードル弁等の調節部等からなる操作表示部13が配置されている。
図2に示すように、制御部11の上面には、種々のチューブやケーブルが接続可能な、複数(図示では6個)のコネクタ14が設けられている。詳細は後述するが、コネクタ14に接続されるチューブやケーブルは、パルス気流を供給する複数(例えば3本)の給気チューブA(図8参照)、複数(例えば2本)の圧力測定用チューブP(図5参照)、及び温度計T(図5参照)である。詳細は後述するが、給気チューブAは、例えば、流動層容器40を粉粒体処理容器2として用いる際に(図8参照)、流動層容器40に接続されて気体を供給することで、バグフィルター432を逆洗洗浄する。また、圧力測定用チューブPは、例えば、粉粒体処理容器2内の圧力や、バグフィルター432の外側(2次側)の圧力等を測定する。さらに、温度計Tは、例えば、排気される気体の温度を測定する。なお、各コネクタ14は、制御部11の内部において、目的に応じた部材や機器等に接続されている。また、制御部11の上面の中央付近には、筐体20や制御部11の内部や、粉粒体処理容器2の内部等を照明する照明ライトLが設けられている。
一方、ベース部12は、上面視で矩形(図2参照)の枠体であり、図1において左右方向に対向する各辺には、筐体20を回動可能に支持する一対の支持部としての支持部材15が取付けられる。これらの支持部材15は、図3(a)に示すように、下部がベース部12に固定されており、上部には、支持部材15を結ぶ水平方向の軸線回りに筐体20を回動可能な回動部材16が取付けられる。回動部材16は、筐体20に取付けられる回転軸としてのカム(図示省略)を回転自在に保持する複数のカムフォロア16aや、回転方向のトルクを発生させるディスクダンパ16b等から構成される。また、一方側(図1では左側)の回動部材16及び支持部材15には、回動部材16を所定の回動状態で固定する固定ネジ17、及び筐体20を所望の姿勢に位置決めするインデックスプランジャ18が設けられる(図3(a)参照)。このように、支持部材15、回動部材16、固定ネジ17、インデックスプランジャ18等は、筐体20の姿勢を変換する姿勢変換手段を構成する。
ここで、筐体20の一面(図1では左面)側には、所定位置に複数の位置決め穴(20a、20b)が形成される(図3(a)参照)。また、図3(b)には、図3(a)の状態に対して、図示において時計回りに90度、筐体20を回動した状態を示す。なお、以下において、図3(a)に示す筐体20の姿勢を第1姿勢と呼び、図3(b)に示す筐体20の姿勢を第2姿勢と呼ぶ。
次に、図4(a)〜図4(e)に基づいて、筐体20の構造について説明する。筐体20は、略直方体であって、図4(a)(正面図)に示すように、筐体20の内部には、粉粒体処理容器2(図示省略)に対して軸線周りの回転力を与える回転駆動部21と、粉粒体処理容器2内に気体を供給する給気部22と、粉粒体処理容器2内の気体を排出する排気部23とが収容される。ここで、回転駆動部21と、給気部22と、排気部23とは、粉粒体処理装置1を稼働する装置稼働部を構成する。粉粒体処理容器2は、筐体20の一面(装着面201で示す)に、後述する接続部(回転駆動軸212、給気口226a、排気口232a)をそれぞれ接続することによって装着される。
回転駆動部21は、筐体20の上方の略中央に設けられており、図4(b)(左側面図)に示すように、粉粒体処理容器2内の回転部(詳細は後述)に回転駆動を与える駆動モーター等の回転駆動源211、減速機や駆動伝達手段等の中間部材(図示省略)を介して回転駆動源211の回転動力が伝達される回転駆動軸212等によって構成される。回転駆動源211及び中間部材は、図示省略の支持部材によって、筐体20の内面側に固定される。本実施形態においては、回転駆動源211として、電磁気の誘導作用によって回転力を発生するインダクションモーターを用いる。回転駆動軸212の端部は、粉粒体処理容器2の回転部の回転軸と連結可能な連結端212aを有する。連結端212aは、例えば図1に示すように、筐体20の一面(装着面201)側から突出している。
給気部22は、筐体20の外部の空気(気体)を取込む機構であり、図4(c)(図4(a)のA−A断面の平面図)に示すように、筐体20の下方において、側壁に沿って延びるように配置され、筐体20の一面(図4(c)では左側面)に形成される、外気を吸引する吸引口221、吸引口221から延びる給気経路222等によって構成される。給気経路222は、図示省略の固定部材によって、筐体20の内面側の所定位置で固定保持される。吸引口221には、給気フィルタ(図示省略)が取付けられており、給気経路222の途中には、気流を発生させる給気手段としてのライダー223、取込まれた気体の温度を調整する温調手段224、給気経路222内を通過する気体の流量を測定する流量計225等が設けられる。また、図4(a)に示すように、給気経路222の端部側は、図示の垂直方向に延び(直線部226で示す)、直線部226の上端(給気口226aで示す)近傍は、筐体20の一面(装着面201)側から突出している。
ここで、図4(a)に示すように、給気経路222の直線部226は、回転駆動軸212と軸線を共有している。回転駆動軸212が給気経路222の直線部226を包套した状態で、筐体20の一面(装着面201)側から、回転駆動軸212の連結端212a及び直線部226の給気口226aが突出している。そのため、図2に示すように、上面視においては、回転駆動軸212の上端部(連結端212a)と給気経路222の直線部226の上端部(給気口226a)とによる二重管構造となっている。ここで、直線部226の下端部は、給気経路222に対して回転自在に連結されている。また、上記のように、回転駆動軸212は、回転駆動源211によって回転駆動される。そのため、回転駆動軸212と給気経路222の直線部226とは、一緒に回転することが可能である。なお、図示のように、回転駆動軸212よりも直線部226の方が、より突出している。
排気部23は、筐体20の外部に気体を排出する機構であり、図4(d)(右側面図)及び図4(e)(背面図)に示すように、筐体20の上方に配置され、筐体20の一面(背面側:図4(e)参照)に形成される、気体を筐体20の外部に排出する排出口231と、排出口231に向けて延びる排気経路232等によって構成される。排気経路232の途中には、排気手段としてのライダー233等が設けられる。また、排気経路232の端部(排気口232aで示す)は、筐体20の一面(装着面201)側から突出している。なお、ライダー223、233は、例えば、ブレスライダー等の名称で知られており、図示省略の圧縮空気供給手段から圧縮空気を供給することで、強力な気流を発生させる装置である。本実施形態においては、給気部22及び排気部23の両方にライダー223、233を配置したが、給気部22又は排気部23のいずれか一方のみに配置してもよい。
ここで、回転駆動軸212(連結端212a)、給気口226a、及び排気口232aは、筐体20の一面(装着面201)から突出しており、それぞれ、紛粒体処理容器2に接続される接続部としてはたらく。なお、粉粒体処理容器2の詳細及び装着面201への装着(接続部への接続)方法等は、粉粒体処理容器2の種類によって異なるため、以下の実施態様において随時説明する。
この他、図2に示すように、装着面201には、装着された粉粒体処理容器2を固定するネジ孔202が複数箇所(図示では4箇所)に形成されている。また、図3(a)等に示すように、筐体20の一面(図1の左側面)側には、筐体20の内部を冷却する冷却ファン203が取付けられている。
以下、粉粒体処理装置1の本体10における、筐体20の姿勢の設定方法について説明する。まず、固定ネジ17を緩め、インデックスプランジャ18を取り外した状態で、筐体20の姿勢を変更して図3(a)(第1姿勢)又は図3(b)(第2姿勢)に示す姿勢となるように回動させる。このとき、各姿勢においては、支持部材15においては、インデックスプランジャ18の配置位置と、筐体20に形成された位置決め穴20a又は20bとが重なる。次に、インデックスプランジャ18の先端を位置決め穴20a又は20bに挿入すると共に、固定ネジ17を締める。このようにして、筐体20の所定の姿勢で固定することができる。このように、筐体20を回動することで姿勢を変更することができるため、筐体20の姿勢変更の作業が容易である。また、粉粒体処理装置1において、回動しない部材(本実施形態においては本体10)内に制御部11や操作表示部13を設置できるため、姿勢変更に伴う衝撃が発生することがなく、また、操作表示部13の位置が変更しないため、操作を行いやすい。なお、位置決め穴を適宜形成することによって、筐体20を所望の角度に傾斜した姿勢とすることができる。
以下、図5〜図7に基づいて、粉粒体処理装置1の一態様として、コーティング装置3として用いる例を説明する。本態様においては、内部に収容される粉粒体に対して種々の処理を行う粉粒体処理容器2として回転ドラム30を用いる。図5に示すように、回転ドラム30は、筐体20を、回転駆動軸212の軸線が水平方向を向く姿勢(第1姿勢)とした状態で、筐体20の装着面201に装着される。
本態様において用いられる回転ドラム30は、図6に示すように、回転駆動部21の回転駆動軸212に連結可能な回転軸31を有し、回転軸31の軸線周りに回転する回転部としてのドラム体32と、ドラム体32を収容するケーシング33と、ドラム体32の内部に収容された粉粒体に膜剤液等のスプレー液を噴霧するスプレーノズルユニット34とを備えている。
図7に示すように、ドラム体32は、多角形(例えば12角形)の横断面形状を有する周壁部321と、周壁部321の前端側(図7の左側)の前端壁部322と、周壁部321から後端側(図7の右側)に連続した後端壁部323とを備えている。周壁部321の各辺面には、それぞれ多孔部で形成される通気部が設けられている。前端壁部322の前端部には、前端開口部324が形成され、後端壁部323の後端部には、回転軸31が連結されている。ここで、回転軸31は中空の管状であり、ドラム体32の内部に連通している。なお、回転軸31の端部は開口しており、給気口としてはたらく。また、回転軸31の内部には、回転駆動軸212の内部に位置する給気経路222の直線部226を保持可能な保持部材31aを有する。
ケーシング33は、図6に示すように、略円筒形状をなす円筒部331と、円筒部331の前端に設けられた開口部を開閉可能な開閉扉332と、後端側(図6の左側)の後端壁333とを備えている。ケーシング33の内部空間は、外部に対して気密に封止されている。また、円筒部331の上部には、圧力測定用チューブPが接続されるコネクタ331aが配設される。
開閉扉332には、中央部にスプレーノズルユニット34が装着されている。スプレーノズルユニット34は、開閉扉332を通って、ドラム体32の前端壁部322の前端開口部324からドラム体32の内部に挿入される。また、スプレーノズルユニット34には、空気を供給する給気ホース341、及びコーティング用の液体を供給する給液ホース342とが接続される(図5及び図6参照)。
後端壁333は、円筒部331よりも外周側に張り出すフランジ部333aを有しており、中央には筐体20の回転駆動部21の回転駆動軸212が挿通する孔部(図示省略)が形成されている。フランジ部333aには、回転ドラム30を筐体20の装着面201に取付ける際に取付ネジ334を挿通する取付け孔335が形成される。取付け孔335は、本実施形態においては、4箇所に形成され、円形の孔部と、孔部から側方に延びる溝部とによって構成される。
また、円筒部331の側壁には、ケーシング33内の気体を排出する排気管35が設けられる。排気管35は、一端側が円筒部331の側壁に連結され、他端側には、筐体20の装着面201から突出した排気口232aと接続可能な排気口35aが形成される。また、排気管35の経路途中には、ケーシング33から排気された気体の温度を測定する温度計Tが接続されるコネクタ35bが配設される。
ここで、図6に示すように、ドラム体32の周壁部321とケーシング33の円筒部331の内周面との間には、通気空間336が形成される。一方、ケーシング33の円筒部331の側壁には、上記のように排気管35が設けられている。これによって、回転ドラム30は、回転軸31(給気口)から、ドラム体32、ドラム体32の通気部、通気空間336、排気管35を介して、排気管35の端部(排気口35aで示す)までが、通気可能に連通される。
以下に、粉粒体処理容器2として回転ドラム30を用いた粉粒体処理装置1(コーティング装置3)の動作について説明する。本態様においては、粉粒体に対して転動によるコーティング処理を行う例を示す。
まず、筐体20を図3(b)に示すような第2姿勢とした状態で固定して、粉粒体処理容器2としての回転ドラム30を筐体20に装着する。装着は、回転ドラム30を、筐体20の装着面201の所定位置に載置する。その状態で、取付ネジ334(図5参照)によってフランジ部333aを筐体20に固定することで、回転ドラム30を装着する。このとき、回転駆動部21の回転駆動軸212と回転ドラム30の回転軸31とは接続部材、例えばカップリング36(図7参照)によって接続される。これによって、回転駆動部21の回転駆動源211の回転駆動力によって、回転ドラム30のドラム体32を回転することができる。
また、回転駆動軸212の内部には、給気部22の給気経路222の直線部226が配置されているため、回転駆動軸212と回転軸31との接続と同時に、直線部226が回転軸31の保持部材31aに保持されて、回転可能となると共に、給気口226aと回転軸31(回転ドラム30の給気口)とが接続されて、気体の供給が可能になる。さらに、回転ドラム30の排気管35の排気口35aを、筐体20の装着面201から突出する排気経路232の排気口232aと接続する。これによって、筐体20の給気部22は、給気口226aを通って、回転ドラム30の回転軸31から排気口35aまでを介して、排気部23までが、通気可能に連通される。
次に、回転ドラム30に対して、種々のホースやケーブル等を取付ける。例えば、回転ドラム30の前面のスプレーノズルユニット34には、給気ホース341及び給液ホース342が連結される(図5及び図6参照)。なお、給気ホース341及び給液ホース342は、図示省略の給気装置及び給液装置にそれぞれ接続されており、スプレーノズルユニット34から噴射する空気及びコーティング液を供給する。また、回転ドラム30のケーシング33の上部に配設されたコネクタ331aには、回転ドラム30内の圧力を測定する圧力測定用チューブPが接続され、排気管35に配設されたコネクタ35bには、温度計Tが接続される。圧力測定用チューブP及び温度計Tは、制御部11のコネクタ14に接続される。
さらに、照明ライトLをケーシング33の円筒部331の上方に配置する。円筒部331の上面には、照明ライトLによる照射用の窓部(図示省略)が形成されており、ケーシング33の開閉扉332前面には、内部確認用の窓部(図示省略)が形成されている。これによって、照明ライトLの照明光を回転ドラム30の上方から照射することで、処理中のドラム体32の内部の粉粒体の様子を視認することができる。
このようにして準備されたコーティング装置3を用いて、粉粒体のコーティング処理を行う際には、本体10の制御部11の操作表示部13に設置されるタッチパネルを操作して、コーティング処理を選択し、回転ドラム30を用いることや、処理を行うための種々の設定条件を入力する。なお、これらの条件の入力は、個々に入力してもよく、予め記憶されている複数の条件のうちから該当する条件を選択してもよい。このようにして、操作表示部13によって入力設定された処理や条件等に基づいて、制御部11は、回転駆動部21、給気部22、排気部23等の制御を行う。
コーティング処理は、回転ドラム30のドラム体32を回転することによって、ドラム体32内に投入された粉粒体を、転動によって撹拌混合し、スプレーノズルユニット34のスプレーノズルから、粉粒体層に膜剤液等のスプレー液を噴射することによって行われる。噴霧された膜剤液等のスプレー液は、ドラム体32の回転に伴う撹拌混合作用によって各粉粒体の表面に展延され、粉粒体層を通過する処理気体によって乾燥される。これにより、各粉粒体の表面にコーティング被膜が形成される。コーティング処理が完了した後は、ケーシング33の開閉扉332を開くことにより、ドラム体32の内部から処理済品を取出す。
このとき、ドラム体32には、筐体20の給気部22から温風又は冷風の処理気体が供給(通気)される。処理気体は、回転軸31に支持される給気口226aからドラム体32内に流入し、ドラム体32の内部の粉粒体層を通過した後、ドラム体32の周壁部の通気部から、通気空間336、排気管35を介して、筐体20の排気部23から排気される。
以上のように、粉粒体処理装置1の一態様として、筐体20を第2姿勢とした状態で、回転ドラム30を装着することによって、粉粒体に対して転動によるコーティング処理を行うことができる。
なお、上記態様においては、筐体20を、接続部が水平方向を向く、第2姿勢とした状態で使用した例を示したが、接続部が、水平方向に対して傾斜した方向を向く第3姿勢で用いられるコーティング装置としても同様に適用可能である。この場合には、図3(a)に示すように、筐体20の一面(図1では左側面)に位置決め穴20cを形成することで、筐体20を所定の角度の姿勢とすることができる。なお、筐体20の傾斜角度は、例えば30度〜45度の範囲とすることが好ましい。これによって、ドラム体32内の転動層の容積量を大きくすることができ、粉粒体の撹拌混合効果を高めることができる。また、ドラム体32の内周面側には、バッフル(撹拌羽根)を配置してもよい。これによって、粉粒体の撹拌を効率的に行うことができる。
続いて、図8に基づいて、粉粒体処理装置1の他の態様として、流動層装置4として用いる例を示す。本態様においては、粉粒体処理容器2として流動層容器40を用いる。流動層容器40は、筐体20を、接続部が鉛直上方を向く姿勢(第1姿勢)とした状態で、筐体20の装着面201に装着される。なお、粉粒体処理容器2以外の構成については、上記の態様と同じであるため、詳細な説明を省略する。
本態様において用いられる流動層容器40は、筒状の形状をなしており、下から順に、気体が供給される給気室41と、粉粒体の造粒やコーティング等を行う処理室42と、気体が排出される排気室43とに区分される。ここで、処理室42は、上方に向かうに従って漸次拡径する拡径部を有する下方処理室42aと、円筒形状の上方処理室42bに分かれており、流動層容器40は、給気室41、下方処理室42a、上方処理室42b、及び排気室43に、それぞれ分割可能に構成される。
給気室41と処理室42との間は、パンチングメタル等の多孔板(又は金網)で構成された気体分散板411で仕切られている。また、給気室41の底面には、気体を流通可能な給気管412が形成される。ここで、図8に示すように、給気管412の内部には、回転駆動軸212の内部に位置する給気経路222の直線部226を保持可能な保持部材412aを有する。給気管412の下端部の給気口412bは、筐体20の装着面201から突出した回転駆動軸212と接続される。また、給気管412の上部は、給気室41内に挿入されており、給気管412の上端付近には、給気管412の内部と給気室41とを通気可能なスリット(図示省略)が形成される。これによって、流動層容器40は、給気管412から、スリット、流動層容器40の給気室41、気体分散板411を介して、処理室42と通気可能に連通される。
処理室42には、スプレー液(膜調剤、結合剤液等)を噴霧するスプレーノズル(図示省略)が設置されており、給気室41から導入された流動化気体により、粉粒体を浮遊流動させながら造粒やコーティング処理を行うようになっている。また、図示は省略するが、スプレーノズルには、スプレー液を供給する給液ホース、及びコンプレッサーからの圧縮された空気を供給する給気ホースが接続される。
処理室42と排気室43との間は、仕切壁431によって仕切られている。仕切壁431には、複数の開口が設けられ、各開口には固気分離用のバグフィルター432が取付けられる。処理室42は、バグフィルター432を介して排気室43と連通する。バグフィルター432によって、処理室42の粉粒体を含む固気混合気体から気体を分離した後、その分離した気体を排気室43に導入するようになっている。
排気室43には、バグフィルター432で分離された気体を排出する排気管433が形成される。排気管433の端部433aには、排気ダクト44が連結される。排気室43の上方の複数箇所(図示では3箇所)には、バグフィルター432に気体を供給するエア供給管434が形成され、エア供給管434の上端部は、制御部11から延びる給気チューブAが接続可能なように排気室43の上壁から突出している。また、排気室43の前面側中央には、圧力測定用チューブPが接続されるコネクタ435が形成される。
排気ダクト44は、水平状態から垂直状態になるように湾曲する湾曲部441と、垂直な垂直部442とから構成される。湾曲部441の水平方向の端部は、排気室43に形成される排気管433に接続され、垂直部442の下端部は、筐体20の装着面201から突出した排気口232aと接続可能な排気口44aが形成される。これによって、流動層容器40は、処理室42から、バグフィルター432、排気室43、排気管433、排気ダクト44を介して排気口44aまでが、通気可能に連通される。
排気ダクト44の湾曲部441には、排気室43から排気された気体の温度を測定する温度計Tが接続されるコネクタ441aが配設される。
また、排気ダクト44の垂直部442には、流動層容器40を支持する固定アーム45が取付けられる。固定アーム45は、下方処理室42aの外壁に取付けられる第1固定アーム45a、及び上方処理室42bの外壁に取付けられる第2固定アーム45bから構成される。これらの固定アーム45(第1固定アーム45a、第2固定アーム45b)は、それぞれ排気ダクト44の垂直部442に取付けられる固定部材46に連結される。固定部材46は、排気ダクト44に挿通される円形部46aを一端部側に有し、円形部46aには、排気ダクト44に固定する固定ネジ46bが取付けられる。また、排気ダクト44の垂直部442には、第2固定アーム45bの上下方向の位置決めを行う位置決め部材47、及び位置決め部材47を所定位置で固定する固定ハンドル47aが設けられる。
以下に、粉粒体処理容器2として、流動層容器40を用いた粉粒体処理装置1(流動層装置4)の動作について説明する。本態様においては、粉粒体に対して浮遊流動による造粒処理を行う例を示す。なお、本態様の流動層装置4においては、粉粒体にコーティング処理を行うこともできる。
まず、筐体20を図3(a)に示すような第1姿勢とした状態で固定して、粉粒体処理容器2としての流動層容器40を筐体20に装着する。ここで、流動層容器40と排気ダクト44とは、第1固定アーム45a、第2固定アーム45b、及び排気管433との連結部を介してそれぞれ連結されているため、流動層容器40と排気ダクト44とは一体的に取り扱うことができる。そのため、給気口412b及び排気口44aのそれぞれの連結によって、流動層容器40を筐体20の装着面201に装着することができる。
流動層容器40及び排気ダクト44の装着は、流動層容器40の給気口412bと筐体20の回転駆動軸212の連結端212aとの接続、及び排気ダクト44の排気口44aと筐体20の排気口232aとの接続によって行われる。このとき、これらの接続は、接続部材、例えばカップリング48によって接続される。また、流動層容器40の給気口412bは、筐体20の回転駆動軸212の連結端212aと接続することによって、筐体20の給気部22の給気口226aとも接続される。これによって、筐体20の給気部22は、流動層容器40の給気室41の給気管412から排気口44aまでを介して、排気部23まで通気可能に連結される。なお、本態様においては、流動層容器40には、回転する回転部を有しないため、筐体20の回転駆動部21の回転駆動軸212は、回転駆動されることはない。
次に、流動層容器40に対して、種々のチューブやケーブル等を接続する。例えば、排気室43には、上壁から突出したエア供給管434の上端部(図示では3箇所)に、給気チューブAを接続すると共に、前面に配設されるコネクタ435に圧力測定用チューブPを接続する。また、排気ダクト44に配設されるコネクタ441aには、温度計Tを接続する。給気チューブA、圧力測定用チューブP、及び温度計Tのそれぞれの他方側の端部は、制御部11の上面において、それぞれのコネクタ14に接続される。この他、スプレーノズルに、給液ホース及び給気ホースを連結する。
さらに、照明ライトLを処理室42の背面側に配置する。ここで、図示は省略するが、流動層容器40は、前面側に内部確認用のスリット窓が形成されており、背面側には、照明用の窓部が形成されている。これによって、照明ライトLの照明光を流動層容器40の背面側から照射することで、処理中の処理室42内部の様子や、バグフィルター432に付着した粉粒体の状態等を視認することができる。
このようにして準備された流動層装置4を用いて、粉粒体の造粒処理を行う際には、本体10の制御部11の操作表示部13に設置されるタッチパネルを操作して、造粒処理を選択し、流動層容器40を用いることや、処理を行うための種々の設定条件を入力する。なお、上記と同様に、これらの条件の入力は、個々に入力してもよく、予め記憶されている複数の条件のうちから該当する条件を選択してもよい。このようにして、操作表示部13によって入力設定された処理や条件等に基づいて、制御部11は、給気部22、排気部23等の制御を行う。なお、本態様においては、回転駆動部21は使用しないため、動作されない。
流動層容器40内で、粉粒体の造粒処理を行う際には、気体分散板411を介して処理室42に導入される流動化気体によって、処理室42内に収容された粉粒体が浮遊流動される。ここで、流動層容器40の給気室41に供給される気体は、筐体20の給気部22において取込まれる外気であり、温調手段224によって所定温度に加熱されて、給気口412bから給気管412を通って給気室41に供給される。
次に、処理室42内で浮遊流動される粉粒体に、スプレーノズル(図示省略)からスプレー液が噴霧される。この状態では、スプレーノズルから噴霧されるスプレー液、例えば結合剤のミストによって、湿潤した粉粒体が付着凝集して成長し、乾燥されて、所定径の粒子が得られる。造粒処理が完了した後は、処理室42に形成された図示省略の取出し口から、処理済品を取出す。なお、本態様の流動層装置4を用いて、コーティング処理を行う際には、スプレーノズルから噴霧されるスプレー液の種類は、例えば膜剤液が用いられて、同様にコーティング処理が行われる。
このとき、処理室42内で粉粒体を浮遊流動させた流動化気体は、微粒子を含んだ固気混合気体として処理室42内を上昇する。処理室42内を上昇してバグフィルター432に達した固気混合気体は、バグフィルター432によって固気分離され、分離された気体がバグフィルター432の内部を通って排気室43に導入される。そして、排気室43に接続された排気ダクト44を通って、排気部23から流動層装置4の外部に排出される。
ここで、造粒処理を行うと、バグフィルター432の外面側には、固気分離された粉粒体粒子が付着する。バグフィルター432に粉粒体粒子が付着すると、濾過機能が低下するため、濾過機能の低下を検出(本態様においては、排気室43の圧力値を測定)して、所定の基準値に達した時点、或いは、予め設定された所定時間が経過した時点で、粉粒体の造粒処理を中断して、バグフィルター432に付着した粉粒体を除去する浄化動作が行われる。
バグフィルター432の浄化動作は、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を、制御部11の上面に接続された給気チューブAを介して、流動層容器40の排気室43に形成されたエア供給管434に供給することで行われる。エア供給管434に供給された圧縮空気は、エア供給管434の下端から排気室43及びバグフィルター432に向けて噴射される。噴射された気体により、排気室43及びバグフィルター432内の圧力が上昇し、バグフィルター432内部の気体がバグフィルター432を通過して、処理室42内に噴射される。このとき、バグフィルター432を通過した気体が処理室42内に噴射される際に、バグフィルター432の外面に付着した粉粒体粒子が落とされて、処理室42内で浮遊流動する粉粒体の流動層に戻される。
なお、本態様においては、流動層容器40の下方処理室42aと給気室41とを、これらを連結した状態で流動層容器40から取り外し、他の処理機構(例えば転動流動機構や解砕流動機構等)と交換することができる。これらの処理機構は、主に流動層容器40の給気室41に設けられており、他の処理機構への変更は、給気室41を交換することで行われる。以下、下方処理室42aと給気室41とを併せて着脱部49と呼ぶ。これによって、粉粒体を浮遊流動させて流動層を形成して処理を行う際に、流動層に転動流動を与える転動機構51(図9参照)や、粒子径の小さな粒子の造粒等を行う解砕機構61(図10参照)等を用いることができるようになる。なお、各処理機構の詳細については後述する。
以下、流動層容器40から着脱部49を取り外し、他の処理機構を有する着脱部52、着脱部62と交換する動作について説明する。まず、流動層容器40の下端の給気口412bと、筐体20の回転駆動軸212の連結端212aとの接続(カップリング48)、及び下方処理室42aと上方処理室42bとの連結をそれぞれ取り外す。次に、第1固定アーム45aを固定する固定部材46の固定ネジ46bを緩める。これによって、第1固定アーム45aが、排気ダクト44の垂直部442を中心に回転可能となり、第1固定アーム45aによって支持された着脱部49は、排気ダクト44の垂直部442を中心に揺動可能になる。このようにして、流動層容器40の着脱部49を揺動させた状態において、給気室41と下方処理室42aとの間の連結部分を取り外すことで、給気室41を分離することができる。このとき、下方処理室42aは、第1固定アーム45aによって支持された状態が維持される。
この状態で、他の処理機構を有する給気室(給気室53又は給気室63)と交換することによって、他の処理機構に変更することができる。他の処理機構を有する給気室53又は給気室63は、下方処理室42aと連結することで着脱部52又は着脱部62を形成する。そして、着脱部52又は着脱部62を揺動して、下方処理室42aを上方処理室42bに連結すると共に、給気口412bを回転駆動軸212の連結端212aと接続する。このようにして、他の処理機構への変更を完了する。以下、流動層装置4の一部の処理機構を変更して行う各処理について詳細に説明する。
図9(a)に、粉粒体処理装置1を、転動機構51を有する転動流動層装置5として用いる例を示す。本態様においては、粉粒体処理容器2として転動流動層容器50を用いる。なお、転動流動層容器50は、転動機構51を有する着脱部52以外の構成は、上記の態様と同じであるため、図示を省略し、図9(a)には、着脱部52の近傍を拡大した概略図を示す。
本態様における転動流動層容器50は、上記の流動層容器40と同様に、筒状形状をしており、下から順に、給気室53、処理室54(下方処理室54a、上方処理室54b)、及び排気室(図示省略)とに区分される。本態様においては、処理室54の底部に、転動機構51が配置されている。転動機構51は、回転部としての円形の薄板部材のディスクロータ511と、ディスクロータ511の上面側に形成される円錐形のコーン部512及び複数のブレード(凸状羽根)513(図示例では3個:図9(b)参照)と、ディスクロータ511に回転力を与える回転軸部514とから構成される。
回転軸部514は、筐体20から突出する回転駆動軸212に接続される伝達軸514aと、下端側が伝達軸514aの上端に連結され、上端側がディスクロータ511の下面部に連結される回転軸514bとによって構成される。ここで、伝達軸514aは中空の管状であり、回転駆動軸212の内側に位置する給気経路222の直線部226の給気口226aを、保持部材515によって伝達軸514aの内部に固定支持する。伝達軸514aの上端付近には、伝達軸514aの周壁の内側と外側とを連通するスリット(図示省略)が複数設けられる。伝達軸514aの下端は開口しており、給気口としてはたらく。
以下に、本態様における粉粒体処理装置1(転動流動層装置5)の動作について説明する。本態様においては、粉粒体に対して、転動流動によるコーティング処理を行う例を示す。なお、詳細な説明は省略するが、上記と同様に、粉粒体に対して造粒処理を行うこともできる。
粉粒体処理装置1を転動流動層装置5として用いる際には、まず、上記の流動層容器40の着脱部49に、転動機構51を有する給気室53を予め装着して転動流動層容器50を形成し、上記と同様に、筐体20に転動流動層容器50を装着する。また、既に、流動層装置4として用いている状態で、転動流動処理を行う際には、上記のように、流動層容器40の着脱部49を揺動させ、給気室41の交換によって転動機構51を有する給気室53を装着して、転動流動層容器50を形成することで、転動流動層装置5として用いることができる。なお、既に、後述する解砕流動層装置6として用いている場合にも、給気室63を給気室53に交換することで、同様に転動流動層装置5として用いることができる。
筐体20に転動流動層容器50を装着する際には、転動流動層容器50の回転軸部514の下端を、筐体20の回転駆動軸212に、例えばカップリング55(図9参照)によって接続する。このとき、回転駆動軸212の内側に配置される給気経路222の給気口226a付近は、保持部材515によって伝達軸514aの内側に保持される。これによって、回転軸部514は、伝達軸514a及び回転軸514bによって、回転駆動軸212の回転駆動力を伝達することで、ディスクロータ511に回転力を与えることができると共に、伝達軸514aの下端(給気口)と筐体20の給気口226aとが接続され、回転軸部514の内部及び上端付近に形成されたスリットから、給気経路222から供給される気体を給気室53に供給することができる。
このようにして準備された転動流動層装置5を用いて粉粒体のコーティング処理を行う際には、本体の操作表示部(図示省略)に設置されるタッチパネルを操作して、コーティング処理を選択し、転動流動層容器50を用いることや、処理を行うための種々の設定条件を入力する。なお、上記と同様に、これらの条件の入力は、個々に入力してもよく、予め記憶されている複数の条件のうちから該当する条件を選択してもよい。このようにして、操作表示部によって入力設定された処理や条件等に基づいて、制御部は、回転駆動部、給気部、排気部等の制御を行う。
転動流動層容器50内で、粉粒体のコーティング処理を行う際には、処理室54内に収容された粉粒体が、処理室54に導入される流動化気体によって浮遊流動される。本態様においては、給気室53に供給された流動化気体は、ディスクロータ511の外周部と処理室54の内壁面との間の環状隙間から処理室54に導入される。このとき、回転するディスクロータ511上の粉粒体は、コーン部512とブレード513による転動圧密作用を強く受け、外周部に転動してきたときに、流動化気体に乗って処理室54の中央上部に吹き上げられ、コーン部512の円錐テーパ面に沿って流動循環する。
次に、処理室54内で転動浮遊流動される粉粒体に、スプレーノズル(図示省略)からスプレー液が噴霧される。本態様においては、スプレーノズルから噴霧されるスプレー液、例えば膜剤液のミストによって粉粒体が湿潤すると同時に、膜剤液に含まれる固形成分が粉粒体の表面に付着し、乾燥固化されて、粉粒体の表面に被覆層が形成される。コーティング処理が完了した後は、処理室54に形成された取り出し口(図示省略)から、処理済品を取出す。なお、本態様の転動流動層装置5を用いて、造粒処理を行う際には、スプレーノズルから噴霧されるスプレー液の種類は、例えば結合剤が用いられて、同様に造粒処理が行われる。
このとき、処理室54内で粉粒体を浮遊流動させた流動化気体は、上記と同様に、微粒子を含んだ固気混合気体として処理室54を上昇する。図示は省略するが、処理室54内を上昇してフィルターに達した固気混合気体は、フィルターによって固気分離され、分離された気体がフィルターの内部を通って、排気室に導入される。そして、排気室に接続された排気管を通って、排気部から転動流動層装置5の外部に排出される。
本態様においては、回転部として、円形の薄板部材であるディスクロータ511を用いたが、これに限ることはなく、ディスクロータ511を、多数の孔部を形成した多孔板で形成してもよい。また、ディスクロータ511の上面側は、複数のブレード513を設けることなく、全面が平坦な円版で形成してもよい。さらに、ディスクロータ511を、多数の孔部を有し、かつ全面が平坦な円板で形成してもよい。
図10に、粉粒体処理装置1を、解砕機構61を有する解砕流動層装置6として用いる例を示す。本態様においては、粉粒体処理容器2として解砕流動層容器60を用いる。なお、解砕流動層容器60は、解砕機構61を有する着脱部62以外の構成は、上記の態様と同じであるため、図示を省略し、図10には、着脱部62の近傍を拡大した概略図を示す。
本態様における解砕流動層容器60は、上記の流動層容器40と同様に、筒状形状をしており、下から順に、給気室63、処理室64(下方処理室64a、上方処理室64b)、及び排気室(図示省略)とに区分される。本態様においては、処理室64の底部に、解砕機構61が配置されている。解砕機構61は、回転部としての回転ロータ611と、回転ロータ611の上方に設けられるインペラー(回転羽根)612と、回転ロータ611及びインペラー612に回転力を与える回転軸部613と、円筒状のドラフトチューブ614とから構成される。
回転軸部613は、上記の回転軸部514と同様であり、筐体20から突出する回転駆動軸212に接続される伝達軸613aと、下端側が伝達軸613aの上端に連結され、上端側が回転ロータ611を通って、インペラー612の上端まで延びる回転軸613bとによって構成される。ここで、伝達軸613aは中空の管状であり、回転駆動軸212の内側に位置する給気経路222の直線部226の給気口226aを、保持部材615によって、伝達軸613aの内部に固定支持する。伝達軸613aの上端付近には、伝達軸613aの周壁の内側と外側とを連通するスリット(図示省略)が複数設けられる。伝達軸613aの下端は開口しており、給気口としてはたらく。
ここで、インペラー612は、複数、例えば2枚の解砕羽根612aを有し、回転軸613bに上方から挿通して固定ネジ616によって固定される。一方、ドラフトチューブ614は、下方の形状が、下方に向かって漸次縮径する円錐形状を有しており、所定径の多数の孔を有するスクリーン(ふるい)部614aを有する。また、ドラフトチューブ614の外周面には、円板形状の取付部材614bが設けられている。図9に示すように、インペラー612の解砕羽根612aの側縁とスクリーン部614aの内面との間には、所定の間隙を有している。なお、図示においては、間隙を誇張して示している。このように、インペラー612とスクリーン部614aとによって、粉粒体の解砕処理が行われる解砕処理部65が形成される。
以下に、本態様における粉粒体処理装置1(解砕流動層装置6)の動作について説明する。本態様においては、粉粒体に対して、凝集を解砕する解砕処理を伴うコーティング処理や造粒処理を行う例を示す。
粉粒体処理装置1を解砕流動層装置6として用いる際には、まず、上記の流動層容器40の着脱部49に、解砕機構61を有する給気室63を予め装着して解砕流動層容器60を形成し、上記と同様に、筐体20に解砕流動層容器60を装着する。また、既に、流動層装置4として用いている状態で、解砕流動処理を行う際には、上記のように、流動層容器40の着脱部49を揺動させ、給気室41の交換によって解砕機構61を有する給気室63を装着して、解砕流動層容器60を形成することで、解砕流動層装置6として用いることができる。なお、既に、上記の転動流動層装置5として用いている場合にも、同様に、給気室53を給気室63に交換することで、解砕流動層装置6として使用することができる。
ここで、流動層容器40から着脱部49を揺動させて、解砕機構61を装着する際には、回転ロータ611が、給気室63に支持されているため、給気室63を取付けることで装着できる。一方、ドラフトチューブ614は、着脱部62の下方処理室64aに上方から挿入することで装着する。このとき、ドラフトチューブ614の外周面に形成された取付部材614bが、下方処理室64aの傾斜した内壁部に当接するため、所定位置にドラフトチューブ614を取付けることができる。ドラフトチューブ614を取付けた状態で、回転軸613bにインペラー612を上方から挿通して、固定ネジ616で固定する。
筐体20に解砕流動層装置6を装着する際には、上記の転動流動層容器50の装着と同様に、解砕流動層容器60の回転軸部613の下端を、筐体20の回転駆動軸212に、例えばカップリング67(図10参照)によって接続する。このとき、回転駆動軸212の内側に配置される給気経路222の給気口226a付近は、保持部材615によって伝達軸613aの内側に保持される。これによって、回転軸部613は、伝達軸613a及び回転軸613bによって、回転駆動軸212の回転駆動力を伝達することで、回転ロータ611及びインペラー612に回転力を与えることができると共に、伝達軸613aの下端(給気口)と筐体20の給気口226aとが接続され、回転軸部613の内部及び上端付近に形成されたスリットから、給気経路222から供給される気体を給気室63に供給することができる。
このようにして準備された解砕流動層装置6を用いて粉粒体の解砕処理を伴う処理を行う際には、本体の操作表示部(図示省略)に設置されるタッチパネルを操作して、実施予定の処理(例えば、コーティング処理や造粒処理)を選択し、解砕流動層容器60を用いることや、処理を行うための種々の設定条件を入力する。なお、上記と同様に、これらの条件の設定は、個々に入力してもよく、予め記憶されている複数の条件のうちから該当する条件を選択してもよい。このようにして、操作表示部によって入力設定された処理や条件等に基づいて、制御部は、駆動部、給気部、排気部等の制御を行う。
解砕流動層容器60内で、粉粒体のコーティング処理や造粒処理を行う際には、処理室64内に収容された粉粒体が、処理室64に導入される流動化気体によって浮遊流動される。本態様においては、給気室63に供給された気体は、回転ロータ611の外周部と処理室64の内壁面との間の環状隙間から処理室64に導入される。さらに、処理室64内に噴出した流動化気体は、解砕機構61のスクリーン部614a及びドラフトチューブ614の外周部と、処理室64の内壁面との間の空間部を上昇して、フィルター(図示省略)に達する。
このとき、処理室64内に投入された粉粒体は、回転ロータ611の外周部と処理室64の内壁面との間の環状隙間、スクリーン部614a及びドラフトチューブ614の外周部と処理室64の内壁面との間の空間部を上昇する上昇気流に乗って上昇し、処理室64内をある程度上昇した後、自重によって下降し、ドラフトチューブ614の内部に流入する。そして、ドラフトチューブ614内に流入した粉粒体は、ドラフトチューブ614内を下降して解砕処理部65に達する。解砕処理部65において、粉粒体は、インペラー612の回転に伴う遠心効果を受け、所定径の多数の孔を有するスクリーン部614aを通過する際に、二次凝集(コーティング処理時)部分や団粒(造粒処理時)部分が解砕されて、単粒子又は所定粒径の粒子に分散される。
解砕処理部65のスクリーン部614aを通過した粉粒体は、回転ロータ611の遠心効果によって再び上記の上昇気流に戻される。このようにして、処理室64内の粉粒体に、回転ロータ611の外周部と処理室64の内壁面との間の環状隙間、スクリーン部614a及びドラフトチューブ614の外周部と処理室64の内壁面との間の空間部を上昇し、ドラフトチューブ614の内部に沿って下降する方向に浮遊循環する流動層が形成される。
次に、処理室64で浮遊流動される粉粒体に、スプレーノズル(図示省略)から噴霧されるスプレー液のミストによって、粉粒体が湿潤を受けると同時に、スプレー液中に含まれるコーティング基材が粉粒体の表面に付着し(コーティング処理時)、あるいは、スプレー液中に含まれるバインダー基材によって複数の粉粒体が凝集して所定径の粒子に成長する(造粒処理時)。
そして、スプレー液の噴霧を受けた粉粒体は、ドラフトチューブ614の外周部と処理室64の内壁面との間の空間部を上昇する際に乾燥をうけ、再びドラフトチューブ614内に流入する。このように、して、解砕→スプレー液噴霧→乾燥というサイクルを連続して行うことによって、微小粒径の単粒子に対するコーティング処理が可能となり、あるいは、仕上がり粒子径の小さな粒子の造粒処理が行われる。これらの処理が完了した後は、処理室64に形成された取り出し口(図示省略)から、処理済品を取出す。
このとき、処理室64内で粉粒体を浮遊流動させた流動化気体は、上記と同様に、微粒子を含んだ固気混合気体として処理室64を上昇する。処理室64内を上昇してフィルター(図示省略)に達した固気混合気体は、フィルターによって固気分離され、分離された気体がフィルターの内部を通って、排気室(図示省略)に導入される。そして、排気室に接続された排気管(図示省略)を通って、排気部(図示省略)から解砕流動層装置6の外部に排出される。
なお、粉粒体処理装置1を流動層装置4(転動流動層装置5、解砕流動層装置6を含む)として用いる際には、給気室41(給気室53、給気室63)への気体の供給を、筐体20内の排気部23の排気手段としてのライダー233を駆動して、吸引力によって給気してもよく、給気部22の給気手段としてのライダー223を駆動して給気してもよい。また、給気手段として、風力(及び圧力)が所定の周期で変化する気体脈動波を発生させる脈動波発生手段を設けてもよい。
さらに、流動層容器40、転動流動層容器50、又は解砕流動層容器60に替えて、処理容器の処理室42の底部(詳しくは給気室41)に、円筒形のドラフトチューブを設置したワースター式流動層容器を装着することによって、粉粒体処理装置1を、ワースター式流動層装置として用いてもよい。
なお、粉粒体処理装置1を流動層装置4(転動流動層装置5、解砕流動層装置6)として用いた場合の、上記の態様においては、流動層容器40の第1固定アーム45を回動させて、着脱部を揺動させる例を示したが、第2固定アーム45を回動させて、上方処理室42bを揺動させることもできる。上方処理室42bを揺動させることによって、バグフィルター432を上方処理室42bから取外して洗浄したり、新しいバグフィルター432に交換したりすることができる。
また、図11に基づいて、粉粒体処理装置1のさらに他の態様として、撹拌処理装置7として用いる例を示す。本態様においては、粉粒体処理容器2として撹拌処理容器70を用いる。撹拌処理容器70は、筐体20を、接続部が鉛直上方を向く姿勢(第1姿勢)とした状態で、筐体20の装着面201上に装着される。なお、撹拌処理容器70以外の構成については、上記の態様と同じであるため、詳細な説明を省略する。
本態様において用いられる撹拌処理容器70は、略円筒形状をなしており、底面部71と、底面部71の外周から上方に延びる側壁部72とで構成される。その外面側は、底面部71から側壁部72の上方部分にかけて、ジャケット73によって覆われている。側壁部72は、上端が開口し、この開口と全周に亘って当接可能であり、撹拌処理容器70の上部を構成する蓋部74が、適宜の開閉機構(図示省略)により開閉自在に装着されている。
撹拌処理容器70の底面部71には、回転部としての撹拌羽根75が回転自在に配設されている。撹拌羽根75は、撹拌処理容器70の底面部71の中心に位置するボス部751と、ボス部751の外周に放射状に設けられる複数の羽根部752とを備えている。また、ボス部751の下面側には、回転駆動力を伝達する回転軸76が連結されている。
ここで、回転軸76は中空の管状体であり、図10に示すように、回転軸76の内部には、回転駆動軸212の内部に位置する給気経路222の直線部226を保持可能な保持部材761を有する。回転軸76の下端部は、筐体20の装着面から突出した回転駆動軸212と接続可能である。また、回転軸76の上端部は、ボス部751の内面側において連結されており、図示は省略するが、回転軸76とボス部751との間に気体を流通可能なスリットが形成される。回転軸76の下端は開口しており、給気口としてはたらく。これによって、撹拌処理容器70は、回転軸76(給気口)から、スリットを介して、撹拌処理容器70内に連通する。なお、スリットは、回転軸76と撹拌処理容器70との間の隙間をシールするエアシールの機能も備えている。
蓋部74には、スプレー液(膜剤液、結合液等)を噴霧するスプレーノズルS等の液供給手段を挿入するための挿入口741と、撹拌処理容器70内の空気を排気するための排気室742が設置されている。蓋部74と排気室742との間には、固気分離用のフィルター743が取付けられる。撹拌処理容器70の内部は、フィルター743を介して排気室742と連通する。フィルター743によって撹拌処理容器70内の粉粒体を含む固気混合気体から気体を分離した後、その分離した気体を排気室742に導入するようになっている。
排気室742には、フィルター743で分離された気体を排出する排気管744が形成される。排気管744の端部は開口しており、排気口としてはたらく。なお、排気管744の端部には、排気ダクト77が接続される。排気室742の上方には、フィルター743に気体を供給するエア供給管745形成され、排気室742の上方の側部には、制御部11から延びる給気チューブAが連結可能なように、排気室742の側壁からコネクタ746が突出している。さらに、図示は省略するが、熱風の供給口や点検窓や、必要に応じて、洗浄液供給手段の挿入口等が蓋部74に設置される。なお、蓋部74も、側壁部72と同様にジャケット73によって覆われている。
排気ダクト77は、水平状態から垂直状態になるように湾曲する湾曲部771と、垂直な垂直部772とから構成される。湾曲部771の水平方向の端部は、排気室742に形成される排気管744の端部(排気口)に接続され、垂直部772の下端部は、筐体20の装着面201から突出した排気口232aと接続可能な排気口772aが形成される。これによって、撹拌処理容器70は、撹拌処理容器70の内部から、フィルター743、排気室742、排気管744、排気ダクト77を介して、排気口772aまで連通する。
以下に、粉粒体処理容器2として、撹拌処理容器70を用いた粉粒体処理装置1(撹拌処理装置7)の動作について説明する。本態様においては、粉粒体に対して、撹拌による造粒処理を行う例を示す。
まず、筐体20を図3(a)に示すような第1姿勢とした状態で固定して、粉粒体処理容器2としての撹拌処理容器70を筐体20に装着する。装着は、撹拌処理容器70の底面部に設けられた、取付部材78を筐体20の装着面201に取付けることで行われる。このとき、筐体20の回転駆動軸212と回転軸76とが接続されると共に、筐体20の給気口226aと回転軸76の下端の給気口とが接続されて、気体の流通が可能になる。また、排気管744の端部(排気口)と、筐体20から突出した排気部23の排気経路232の排気口232aとを、排気ダクト77を介して接続する。
次に、撹拌処理容器70に対して、種々のチューブやケーブル等を接続する。例えば、排気室742には、側壁から突出したコネクタ746に、給気チューブAを接続し、排気ダクト77の湾曲部771に配設されたコネクタ771aに温度計Tを接続する。なお、排気室742に圧力測定用チューブPを接続するように構成してもよい。給気チューブA、温度計T、及び圧力測定用チューブPのそれぞれの他方側の端部は、制御部11の上面において、それぞれのコネクタ14に接続される。この他、図示は省略するが、スプレーノズルSに、スプレー液を供給する給液ホース、及びコンプレッサーからの圧縮空気を供給する給気ホースを連結する。また、図示は省略するが、撹拌処理容器70に、撹拌処理容器70内を点検する点検窓、及び照明用の窓部を形成して、照明ライトLの照明光を窓部から照射することで、処理中の撹拌処理容器70内部の様子や、フィルター743に付着した粉粒体の状態等を点検窓から視認してもよい。
このようにして準備された撹拌処理装置7を用いて粉粒体の撹拌造粒処理を行う際には、本体10の制御部11の操作表示部13に設置されるタッチパネルを操作して、撹拌造粒処理を選択し、撹拌処理容器70を用いることや、処理を行うための種々の設定条件を入力する。なお、上記と同様に、これらの条件の設定は、個々に入力してもよく、予め記憶されている複数の条件のうちから該当する条件を選択してもよい。このようにして、操作表示部13によって入力設定された処理や条件等に基づいて、制御部11は、回転駆動部21、給気部22、排気部23等の制御を行う。
撹拌処理容器70内で、粉粒体の撹拌造粒処理を行う際には、撹拌処理容器70内に投入された粉粒体を、撹拌羽根75の回転により撹拌混合する。このとき、撹拌羽根75により遠心力と回転力とが与えられた粉粒体は、回転方向に下り勾配となるように傾斜した羽根部752の先端に案内されて上昇推進力が与えられ、撹拌処理容器70の内面に沿って上昇する。上昇推進力が与えられた粉粒体は、撹拌処理容器70の中心部に向かって落下する。このようにして、粉粒体は、蓋部74に衝突することなく、転動、圧密運動を繰り返しながら、撹拌処理容器70内を旋回する。
次に、撹拌処理容器70内を旋回する粉粒体に、スプレーノズルSから結合剤液等の添加液を噴霧又は滴下する。この添加液によって湿潤した粉粒体が付着凝集して成長し、乾燥されて所定径の粒子が得られる。撹拌造粒処理が完了した後は、撹拌処理容器70に形成された図示省略の取出し口から処理済品を取り出す。ここで、撹拌処理容器70内から処理済品を取出す際には、取出し口が下方に位置するように、筐体20を所定角度傾斜させた状態として、処理済品を取出してもよい。これによって、撹拌処理容器70殻の処理済品の取出しを容易に行うことができる。
このとき、撹拌造粒処理の際には、撹拌処理容器70内に、蓋部74に形成された給気口(図示省略)から熱風が供給されると共に、筐体20の給気口226aから回転軸76をシールするエアシール用の気体が供給される。供給された熱風及び気体は、撹拌処理容器70内に配置されたフィルター743で固気分離され、分離された気体がフィルター743の内部を通って排気管744から排出される。排気管744から排出された気体は、排気ダクト77を通って排気部23から撹拌処理装置7の外部に排出される。
ここで、撹拌造粒処理を行うと、フィルター743の外面側には、固気分離された粉粒体粒子が付着する。フィルター743に粉粒体粒子が付着すると、濾過機能が低下するため、濾過機能の低下を検出(排気流量や排気室742の圧力値を測定)して、所定の基準値に達した場合、或いは、予め設定された所定時間が経過した時点で、粉粒体の撹拌造粒処理を中断して、フィルター743に付着した粉粒体を除去する浄化作業が行われる。
フィルター743の浄化作業は、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を、制御部11の上面に接続された給気チューブAを介して、撹拌処理容器70の排気室742に形成されたエア供給管745から流入することで行われる。給気チューブAから供給された圧縮空気は、エア供給管745から排気室742及びフィルター743に向けて噴射される。噴射された気体により、排気室742及びフィルター743の圧力が上昇し、フィルター743内部の気体がフィルター743を通過して、撹拌処理容器70内に噴射される。このとき、フィルター743を通過した気体が撹拌処理容器70内に噴射される際に、フィルター743の外面に付着した粉粒体粒子が落とされて、撹拌処理容器70内で撹拌混合される粉粒体に合流する。
以上のように、粉粒体処理装置1の一態様として、撹拌処理容器70を装着することによって、粉粒体に対して撹拌による造粒処理やコーティング処理を行うことができる。
なお、上記の態様においては、排気室742内にフィルター743を設けた例を示したが、フィルター743を、蓋部74の上部に取付けて、装置外の室内に排気するようにしてもよい。この場合、撹拌処理装置7は、研究室内で使用されて少量処理を行う、所謂ラボ機であることが好ましい。
また、撹拌処理容器70内に、撹拌造粒処理中に粉粒体の過剰凝集によって生成された団塊を解砕するチョッパーを設けてもよい。チョッパーは、撹拌処理容器70の側壁部72に水平方向の軸線を有するように設けてもよく、蓋部74に垂直方向の軸線を有するように設けてもよい。いずれにおいても、チョッパーは、側壁部72又は蓋部74に片持ち状に回転自在に支持され、回転駆動源に連結される。撹拌処理容器70内にチョッパーを設けることによって、撹拌処理を行う際に、撹拌される粉粒体をチョッパーによって剪断することで、団塊の発生や偏析を防止することができる。
さらに、図12に基づいて、粉粒体処理装置のさらに他の態様として、整粒処理装置8として用いる例を示す。本態様においては、粉粒体処理容器2として、整粒処理容器80を用いる。整粒処理容器80は、筐体20を、接続部が水平方向を向く姿勢(第2姿勢)とした状態で、筐体20の装着面に装着される。なお、粉粒体処理容器2以外の構成については、上記の態様と同じであるため、詳細な説明は省略する。
本態様において用いられる整粒処理容器80は、筐体20に取付けられる支持部81と、支持部81の端部に設けられる円筒状のハウジング部82とを備えている。
支持部81は、円筒形の長尺部材であり、一端側には、筐体20に取付けられる取付部811を有し、他端側には、ハウジング部82が備えられる。支持部81の内部には、一端側が筐体20の回転駆動部21の回転駆動軸212に接続可能であり、駆動を伝達する駆動伝達軸812が回転可能に備えられる。駆動伝達軸812の他端部は、ギアボックス821に連結される。
また、ハウジング部82は、上下が開口した円筒形状をなし、中央よりも若干下方において、駆動伝達軸812に連結される。ハウジング部82の内部には、駆動伝達軸812の水平方向の軸線を有する回転力を、垂直方向の軸線を有する回転力にに変更する複数のギアを内蔵するギアボックス821と、造粒された粒状体を解砕する解砕機構822とを有する。なお、解砕機構822は、上記の解砕流動層装置6における解砕機構61と同様であり、ギアボックス821の内部のギアに連結される回転軸822aと、回転部としてのインペラー(回転羽根)822bと、インペラー822bの側縁を囲って配置されるスクリーン822cとを含んで構成される。
インペラー822bは、複数、例えば2枚の解砕羽根を有し、回転軸822aに固定ネジ(図示省略)によって固定される。一方、スクリーン822cは、下方に向かって漸次縮径する円錐形状を有しており、所定径の多数の孔を有するふるいとして機能する。また、インペラー822bの解砕羽根の側縁とスクリーン822cの内面との間には、所定の間隙を有している。
以下に、本態様における粉粒体処理装置1(整粒処理装置8)の動作について説明する。本態様においては、造粒された粒体を解砕することで整粒を行う例を示す。
まず、筐体20を図3(b)に示すような第2姿勢とした状態で固定して、粉粒体処理容器2としての整粒処理容器80の取付部811を筐体20に装着する。このとき、回転駆動部21の回転駆動軸212と整粒処理容器80の駆動伝達軸812の端部とが接続される。これによって、回転駆動部21の回転駆動源211の回転駆動力によって、駆動伝達軸812を介して回転部としてのインペラー822bを回転駆動することができる。
ここで、整粒処理装置8を使用する際には、図示は省略するが、粉粒体を連続的に造粒処理して顆粒状の造粒物を製造する造粒装置としての、例えば連続式撹拌処理装置において、造粒後の処理物を排出する排出部の直下に配置して、造粒された粒状体に対して解砕による整粒処理を行う。このとき、整粒処理装置8のハウジング部82の上端部には、造粒装置の排出部と連結されて、粒状体の供給をガイドする供給部材F(図12に1点鎖線で示す)が設けられ、ハウジング部82の下端部には、排出される粒状体を集積する排出部材E(図12に1点鎖線で示す)が設けられる。なお、供給部材F及び、排出部材Eは、共に、下方に向かうに従って縮径する円錐部を有する漏斗形状の部材であり、排出部材Eの下端部には、整粒された粒状態を次工程に移送する移送ホースが連結されている。なお、図示は省略するが、ハウジング部82の背面側に照明用の窓部を形成し、前面側に点検窓を形成し、照明ライトLの照明光を窓部から照射することで、処理中のハウジング部82の内部の様子等を点検窓から視認してもよい。
このようにして準備された整粒処理装置8を用いて、粒状体の整粒処理を行う際には、本体10の制御部11の操作表示部13に設置されるタッチパネルを操作して、整粒処理を選択し、整粒処理容器80を用いることや、処理を行うための種々の設定条件を入力する。なお、上記と同様に、これらの条件の設定は、個々に入力してもよく、予め記憶されている複数の条件のうちから該当する条件を選択してもよい。このようにして、操作表示部13によって入力設定された処理や条件に基づいて、制御部11は、回転駆動部21の制御を行う。なお、本態様においては、給気部22及び排気部23は使用しないため、動作されない。
造粒装置が駆動されて、造粒処理が行われると、造粒された粒状体が、排出部から排出されて、供給部材Fを介して、整粒処理装置8のハウジング部82に供給される。供給された粉粒体は、ハウジング部82の解砕機構822によって、インペラー822bの回転に伴う遠心効果を受け、所定径の多数の孔を有するスクリーン822cを通過する際に、複数の粒状体が凝集や団粒した部分が解砕される。ハウジング部82のスクリーン822cを通過して整粒された粒状体は、ハウジング部82内を通ってハウジング部82の下端部から排出され、排出部材Eを介して、移送ホースによって、例えば、乾燥処理装置等の次工程に移送される。
以上のように、粉粒体処理装置1の一態様として、整粒処理容器80を装着することによって、造粒された粒状体に対して解砕機構822によって解砕することで、整粒処理を行うことができる。
以上述べてきたように、本発明にかかる粉粒体処理装置1は、気体の給気部22、気体の23排気部、及び、回転駆動部21が筐体20の内部に収容された装置稼働部と、装置駆動部の姿勢変換手段と、粉粒体に対して、造粒、コーティング、混合、乾燥、及び整粒のうち少なくとも一の処理を行うための粉粒体処理容器2とを備え、装置稼働部は、筐体20の一面(装着面201)側に、粉粒体処理容器2を接続するための接続部を有し、接続部には、給気部の給気口226aと、排気部の排気口232aと、回転駆動部の回転駆動軸212とが設けられていると共に、回転駆動軸212は、接続部が鉛直上方を向いたときに、鉛直方向に延び、姿勢変換手段は、接続部が鉛直上方を向いた第1姿勢と、接続部が水平方向を向いた第2姿勢と、接続部が傾斜方向を向いた第3姿勢とに、装置稼働部の姿勢を変換可能であり、容器構造が異なる複数の粉粒体処理容器2の中から選択される一の粉粒体処理容器2に対して、選択された粉粒体処理容器2の容器構造に応じて、第1姿勢、第2姿勢、及び第3姿勢の中から一の姿勢を選択し、姿勢変換手段により、装置稼働部を選択した一の姿勢に設定し、接続部の給気口226a及び排気口232aを粉粒体処理容器2の給気口及び排気口に接続する接続態様と、接続部の回転駆動軸212を粉粒体処理容器2の回転部に接続する接続態様のうち、少なくとも一方の接続態様で、選択された粉粒体処理容器2を接続部に接続することを特徴とする。これによって、1台の粉粒体処理装置1に対して、選択された粉粒体処理容器に応じて、装置稼働部の姿勢を設定して、目的に応じた粉粒体の処理ができるようになる。そのため、複数の粉粒体処理装置を設置して準備する必要がなく、設備の省スペース化を図ることができると共に、設備費用の増加を抑制できる。
なお、上記の実施形態においては、装置稼働部の姿勢の変換を、本体10に回動可能に支持された筐体20を回動することで行う例を示したが、これに限ることはなく、筐体20を本体10に固定しておき、本体10全体の姿勢を変更させてもよい。なお、この場合には、各姿勢における接地部分には、バネ等の衝撃吸収部材を有する支持脚を設けることが好ましい。これによって、粉粒体処理装置1の姿勢を変換した際に発生する衝撃を吸収することができる。
また、筐体20において、回転駆動軸212と、給気経路222の直線部226とは、軸線を共有するように配置したが、これに限ることはなく、給気口226aが回転駆動軸212と別の個所に配置されるように給気経路222を構成してもよい。これに伴い、粉粒体処理容器2には、気体を供給する給気口を別途形成して、筐体20の給気口226aと処理容器2の給気口とを、例えば、給気管等で連結することが好ましい。これによって、筐体20の給気部22で吸引した外気を、処理容器2に供給することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。