JP2016122528A - リチウム金属電池前駆体、リチウム金属電池およびその製造方法 - Google Patents

リチウム金属電池前駆体、リチウム金属電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム金属電池を安全に製造するためのリチウム金属電池前駆体、それを用いたリチウム金属電池の製造方法、および、その製造方法から得られるリチウム金属電池を提供すること。【解決手段】リチウム金属電池前駆体1は、正極集電体7と、正極集電体7の上に設けられる正極活物質層8と、正極活物質層8の上に設けられるセパレータ3と、セパレータ3の上に設けられる負極集電体5とを備え、正極活物質層8が、リチウム化合物を含有し、電解液30が、セパレータ3および正極活物質層8の内部に存在し、負極活物質層6を備えていない。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム金属電池前駆体、リチウム金属電池およびその製造方法に関し、特に、リチウム金属電池前駆体、それを用いたリチウム金属電池の製造方法、および、それから得られるリチウム金属電池に関する。
リチウム金属は、理論容量密度が非常に高いため、従来から、負極活物質層としてリチウム金属を用いたリチウム金属電池が開発されている。このようなリチウム金属電池としては、一次電池(使い捨て電池)および二次電池のいずれもが開発されている。
例えば、リチウム金属からなる負極と、リチウムマンガン複合酸化物などからなる正極と、多孔質ポリマーからなるセパレータとを備え、これらが液状の有機電解質で充填されたリチウム金属電池が知られている(特許文献1参照。)。
米国公開公報2010/0285372
しかるに、リチウム金属電池を製造および輸送する際に、外部からの予期せぬ衝撃や高温によって、リチウム金属電池が変形または破損する場合がある。その場合に、リチウム金属電池は、高い反応性を備えるため、リチウム金属電池の発火などが生じるおそれがある。
本発明の目的は、リチウム金属電池を安全に製造するためのリチウム金属電池前駆体、それを用いたリチウム金属電池の製造方法、および、その製造方法から得られるリチウム金属電池を提供することにある。
本発明のリチウム金属電池前駆体は、正極集電体と、前記正極集電体の上に設けられる正極活物質層と、前記正極活物質層の上に設けられるセパレータと、前記セパレータの上に設けられる負極集電体とを備え、正極活物質層が、リチウム化合物を含有し、電解液が、前記セパレータおよび前記正極活物質層の内部に存在し、負極活物質層を備えていないことを特徴としている。
また、本発明のリチウム金属電池前駆体は、前記セパレータと前記負極集電体との間に、さらに非多孔質無機酸化物層を備えることが好適である。
また、本発明のリチウム金属電池前駆体では、前記非多孔質無機酸化物層が、イオン伝導性無機酸化物を含有することが好適である。
また、本発明のリチウム金属電池前駆体では、前記イオン伝導性無機酸化物が、ケイ酸四リチウムとリン酸リチウムとの混合物であることが好適である。
また、本発明のリチウム金属電池前駆体では、前記セパレータ、または、前記セパレータおよび前記非多孔質無機酸化物層が、エアロゾルデポジション法により形成されていることが好適である。
また、本発明のリチウム金属電池前駆体では、前記電解液が、リチウム塩を含有することが好適である。
本発明のリチウム金属電池の製造方法は、上記のリチウム金属電池前駆体を用意する工程、および、前記リチウム金属電池前駆体に電圧を印加することにより、前記負極集電体の上に負極活物質層を形成する工程を備えることを特徴としている。
本発明のリチウム金属電池は、上記のリチウム金属電池の製造方法によって得られることを特徴としている。
本発明のリチウム金属電池前駆体を用いる本発明のリチウム金属電池の製造方法によれば、使用の直前に、リチウム金属電池前駆体に電圧を印加することにより、負極活物質層を形成したリチウム金属電池を得ることができる。そのため、負極活物質層を備えないリチウム金属電池前駆体を輸送および保管し、使用の直前にリチウム金属電池を得ることができる。その結果、安全性に優れる。
図1は、本発明のリチウム金属電池前駆体の一実施形態の概略図を示す。 図2は、図1に示すリチウム金属電池前駆体の製造方法に用いられるエアロゾルデポジション装置の概略構成図である。 図3Aおよび図3Bは、図1に示すリチウム金属電池を製造する工程図であって、 図3Aは、リチウム金属電池前駆体を用意する工程、 図3Bは、リチウム金属電池を得る工程を示す。
1.リチウム金属電池前駆体
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るリチウム金属電池前駆体1は、正極2と、セパレータ3と、非多孔質無機酸化物層4と、負極集電体5と、電解液30と、外装体32とを備える。
正極2は、正極集電体7および正極活物質層8を備えている。
正極集電体7は、電子伝導性を備え、正極活物質層8を保持できるものであればよく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、金箔などの金属箔が挙げられる。
正極集電体7の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
正極活物質層8は、正極集電体7の一方の表面(上面)に積層されている。
正極活物質層8は、正極組成物から形成されている。正極組成物は、正極活物質を含有する。
正極活物質は、リチウム化合物を含有する。このため、リチウム金属電池前駆体1に電圧を印加することにより、非多孔質無機酸化物層4と負極集電体5との間に負極活物質層としてのリチウム金属層を析出させ、リチウム金属電池9を得ることができる。
リチウム化合物としては、好ましくは、リチウム系複合酸化物が挙げられる。リチウム系複合酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、硫酸鉄リチウムおよびそれらの変性体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
これらリチウム系複合酸化物の中では、導電性の観点から、好ましくは、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムが挙げられる。
正極活物質の形状は、粒子状(粉末状)であれば特に限定されず、例えば、バルク状、針形状、板形状、層状であってもよい。バルク形状には、例えば、球形状、直方体形状、破砕状またはそれらの異形形状が含まれる。
正極活物質の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、8μm以下である。
平均粒子径はメジアン径(D50)であって、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(日機装社製、マイクロトラックMT3000)によって測定される。
正極組成物は、例えば、集電剤、バインダーなどの添加物を含有することもできる。
集電剤は、正極2の導電性を向上するものであり、例えば、炭素材料、金属材料などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素などが挙げられる。金属材料としては、例えば、銅、ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
これら集電剤の中では、好ましくは、炭素材料が挙げられ、より好ましくは、カーボンブラックが挙げられる。
集電剤の含有割合は、正極活物質100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下である。
バインダーは、正極活物質を結着するものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルゴム、カルボキシメチルセルロースなどのポリマーが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
バインダーの含有割合は、正極活物質100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
正極活物質層8は、好ましくは、多孔質体である。
正極活物質層8の多孔度は、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上、より好ましくは、35%以上であり、また、例えば、80%以下、好ましくは、65%以下である。
多孔度は、測定対象(正極活物質層8など)の質量wおよび体積v(=幅×長さ×厚み)から相対密度ρ(=w/v)を計算し、次いで、下記式により算出することができる。
多孔度={1−(ρ/ρ´)}×100
なお、ρ´は、理論密度を示し、例えば、測定対象の材料から、内部に空隙が全く存在しないフィルムを成形した際における密度とすることができる。
これにより、電解液30(後述)を正極活物質層8の内部に充填することができ、イオン伝導性に優れる。
正極活物質層8の厚みは、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
セパレータ3は、正極活物質層8の一方の表面(上面)に配置されている。詳しくは、セパレータは、セパレータ3の一方の表面(上面)が非多孔質無機酸化物層4(後述)と接触し、セパレータ3の他方の表面(下面)が正極活物質層8と接触するように、非多孔質無機酸化物層4と正極活物質層8との間に配置されている。
セパレータ3は、好ましくは、イオン伝導性無機酸化物を含有し、かつ、多孔質体を含有している。より好ましくは、セパレータ3は、イオン伝導性無機酸化物の多孔質体からなる。これにより、リチウム金属電池前駆体1から得られるリチウム金属電池9のリチウムイオンの伝導性を向上し、電池容量などの電池特性に優れる。また、非多孔質無機酸化物層4を補強することができ、非多孔質無機酸化物層4のクラックの発生を抑制することができる。
また、セパレータ3は、好ましくは、イオン伝導性無機酸化物を材料とするAD法(後述)によって多孔質の層状に形成されるセラミックス層である。
イオン伝導性無機酸化物としては、リチウムイオンを伝導することができる無機酸化物であれば限定的でないが、例えば、リチウム系無機酸化物が挙げられ、好ましくは、リチウム系リン酸化合物が挙げられる。リチウム系リン酸化物としては、例えば、ケイ酸四リチウムとリン酸リチウムとの混合物(LiSiO・LiPO)、リン酸ホウ素リチウム(LiBPO、ただし、0<x≦0.2)、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。好ましくは、ケイ酸四リチウムとリン酸リチウムとの混合物が挙げられる。
ケイ酸四リチウムとリン酸リチウムとの混合割合は、ケイ酸四リチウム:リン酸リチウムとして、質量比で、例えば、10:90〜90:10、好ましくは、30:70〜70:30である。
イオン伝導性無機酸化物のイオン伝導度は、例えば、1×10−8S/cm以上、好ましくは、1×10−7S/cm以上であり、また、例えば、1×10−1S/cm以下である。イオン伝導度は、電気化学インピーダンス分析法(EIS)によって測定される。例えば、インピーダンス/ゲインフェースアナライザー(Solartron Analytical社製)を用いることができる。
イオン伝導性無機酸化物は、好ましくは、粒子状に形成されている。粒子状としては、具体的には、バルク状、針形状、板形状、層状などが挙げられる。バルク形状には、例えば、球形状、直方体形状、破砕状またはそれらの異形形状が含まれる。
イオン伝導性無機酸化物の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、2.5μm以下である。
セパレータ3の多孔度は、例えば、5%以上、好ましくは、8%以上であり、また、例えば、85%以下、好ましくは、75%以下、より好ましくは、50%以下、とりわけ好ましくは、30%以下である。
セパレータ3の平均孔径は、例えば、1nm以上、好ましくは、10nm以上であり、また、例えば、2000nm以下、好ましくは、700nm以下、より好ましくは、100nm以下である。
平均孔径は、例えば、セパレータ3を厚み方向に切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)によってその切断面の拡大SEM画像を観察し、そのSEM画像に表示される空隙の孔径の最大長さにおける平均値である。
セパレータ3の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、20μm以下、好ましくは、15μm以下、さらに好ましくは、10μm以下である。
非多孔質無機酸化物層4は、セパレータ3の一方の表面(上面)に配置されている。詳しくは、非多孔質無機酸化物層4は、非多孔質無機酸化物層4の一方の表面(上面)が負極集電体5(後述)と接触し、非多孔質無機酸化物層4の他方の表面(下面)がセパレータ3と接触するように、負極集電体5とセパレータ3との間に配置されている。これにより、リチウム金属電池前駆体1から得られるリチウム金属電池9において、電解液30が負極活物質層6(リチウム金属層)の表面に直接接触することを抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。また、リチウム金属層6におけるデンドライトの発生、成長を抑制することができる。
非多孔質無機酸化物層4は、例えば、無機酸化物からなる非多孔質(緻密な)の層である。好ましくは、無機酸化物の非多孔質体からなる。
また、非多孔質無機酸化物層4は、好ましくは、無機酸化物を材料とするAD法(後述)によって層状に形成されるセラミックス層である。
非多孔質無機酸化物層4を構成する無機酸化物としては、好ましくは、イオン伝導性無機酸化物が挙げられ、より好ましくは、イオン伝導性および非電子伝導性の無機酸化物が挙げられる。
イオン伝導性および非電子伝導性の無機酸化物は、リチウムイオンは伝導させるが、電子は伝導させない無機酸化物であれば限定的でないが、具体的には、リチウム系無機酸化物が挙げられ、好ましくは、リチウム系リン酸化合物が挙げられる。
リチウム系リン酸化合物としては、セパレータ3で例示したイオン伝導性無機酸化物と同一のものが挙げられ、好ましくは、ケイ酸四リチウムとリン酸リチウムとの混合物(LiSiO・LiPO)が挙げられる。
非多孔質無機酸化物層4の多孔度は、例えば、5%未満、好ましくは、3%以下であり、また、例えば、0%以上である。
非多孔質無機酸化物層4の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上であり、また、例えば、2μm以下、好ましくは、1μm以下である。非多孔質無機酸化物層4の厚みが上記範囲を下回ると、リチウム金属電池前駆体1からリチウム金属電池9を製造する際に、リチウム金属電池9の負極活物質層6に電解液が接触し、電池寿命が低下する場合がある。一方、非多孔質無機酸化物層4の厚みが上記範囲を上回ると、製造したリチウム金属電池9に電圧を印加し、充電する際に、リチウムイオンが非多孔質無機酸化物層4を通過する時間が長くなるため、充電が困難となる場合がある。
負極集電体5は、非多孔質無機酸化物層4の一方の表面(上面)に配置されている。
負極集電体5は、電子伝導性を備え、後述する負極活物質層6を保持できるものであればよく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、金箔などの金属箔が挙げられる。
負極集電体5の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、35μm以下である。
セパレータ3および正極活物質層8の内部には、電解液30が存在している。すなわち、セパレータ3および正極活物質層8のそれぞれの内部の空隙が、電解液30で満たされている。より具体的には、電解液30は、正極2、セパレータ3、非多孔質無機酸化物層4および負極集電体5を浸漬するようにリチウム金属電池前駆体1に充填されている。
電解液30は、例えば、非水電解液であり、好ましくは、有機溶媒およびイオン電解質を含有する。
有機溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、例えば、メチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのフラン類、例えば、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
好ましくは、環状カーボネート、鎖状カーボネートなどが挙げられ、より好ましくは、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの併用が挙げられる。
イオン電解質としては、好ましくは、リチウム塩が挙げられる。これにより、リチウムイオンの伝導性を向上し、また、正極活物質層8へのリチウムイオンの挿入(インターカレーション)/脱離を容易にすることができる。
リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSiF、LiClO、LiB(C、LiSbSO、LiCHSO、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSON、LiC(SOCF、LiAlCl、LiClなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
高いイオン伝導性の観点から、好ましくは、LiPF、Li(CFSONなどが挙げられる。
電解液30におけるリチウム塩の含有割合は、例えば、0.1mol/L以上、好ましくは、0.4mol/L以上であり、また、例えば、10mol/L以下、好ましくは、5mol/L以下である。
電解液30は、好ましくは、イオン液体をさらに含有する。これにより、リチウム金属電池前駆体1およびリチウム金属電池9の安全性がより一層優れる。
イオン液体としては、例えば、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
電解液30がイオン液体を含有する場合、電解液30におけるイオン液体の含有割合は、例えば、10体積%以上、好ましくは、30体積%以上、より好ましくは、40体積%以上であり、また、例えば、100体積%未満、好ましくは、60体積%以下である。なお、残部が、リチウム塩および有機溶媒である。
外装体32は、前駆体構造体33(すなわち、正極2/セパレータ3/非多孔質無機酸化物層4/負極集電体5)および電解液30を、外装体32の内部に封止(収容)している。
外装体32は、公知または市販品を用いればよく、例えば、ラミネートフィルム、金属缶などが挙げられる。
ラミネートフィルムを形成する層としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、ステンレスなどの金属層、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物層、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂などのポリマー層などが挙げられる。これらは、1層単独で使用することもでき、また、2層以上を使用することもできる。
金属缶の材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、ステンレスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
なお、リチウム金属電池前駆体1は、負極活物質層6(後述)を備えていない。
負極活物質層は、例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウムアルミニウム合金など)などから形成される。
2.リチウム金属電池前駆体の製造方法
リチウム金属電池前駆体1は、例えば、正極集電体7に正極活物質層8を積層し、正極2を得る正極形成工程、正極2の正極活物質層8にセパレータ3を積層し、セパレータ/正極積層体(SEA31)を得るSEA形成工程、負極集電体5に非多孔質無機酸化物層4を積層し、負極集電体積層体34を形成する積層体形成工程、負極集電体積層体34をSEA31に積層し、前駆体構造体33を得る構造体形成工程、前駆体構造体33に電解液30を供給する供給工程によって製造される。
まず、正極集電体7に正極活物質層8を積層する(正極形成工程)。
具体的には、正極組成物を含有するスラリーを正極集電体7の表面に塗布する。
スラリーは、正極組成物および溶媒を混合することにより得られる。
溶媒としては、上記した有機溶媒に加えて、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどケトン類、例えば、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。また、溶媒として、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールなどの水系溶媒も挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を使用することもできる。
塗布方法は、公知の方法が挙げられ、例えば、ドクターブレード、ロールコート、スクリーンコート、グラビアコートなどが挙げられる。
塗布量は、正極活物質を基準として、例えば、3.5〜50mg/cmである。
次いで、スラリーを乾燥し、塗布膜を形成する。
必要に応じて、塗布膜を圧縮する。圧縮方法は、公知の方法が挙げられ、例えば、ローラ、平板などで塗膜をプレスする方法が挙げられる。
これにより、正極集電体7と、その一方の表面に積層され、多孔質体である正極活物質層8とを備える正極2が得られる。
なお、正極活物質層8は、正極組成物を含有するスラリーを正極集電体7の表面に塗布することにより形成することもできるが、例えば、後述するエアロゾルデポジション法により形成することもできる。
次いで、正極2の正極活物質層8にセパレータ3を積層する(SEA形成工程)。
セパレータ3の積層方法は、例えば、エアロゾルデポジション法、コールドスプレー法、ホットスプレー法、プラズマスプレー法などが挙げられる。
好ましくは、エアロゾルデポジション法(AD法・ガスデポジション法・気体堆積法)が挙げられる。これにより、イオン伝導性無機酸化物からなる多孔質体を正極活物質層8の表面に確実に形成させることができる。また、孔径の小さい多孔質体を形成することができる。
以下、エアロゾルデポジション法(以下、AD法とする。)を用いてセパレータ3を形成する方法を説明する。
AD法によってセパレータ3を形成するには、例えば、図2に示すエアロゾルデポジション装置10が用いられる。
エアロゾルデポジション装置10は、成膜チャンバー11、エアロゾルチャンバー12およびキャリアガス輸送装置13を備えている。
成膜チャンバー11は、正極2の表面(詳しくは、正極活物質層8の表面)に、セパレータ3を形成するための成膜室であって、基板ホルダー14、成膜チャンバー11内の温度を測定するための温度計(図示せず)、および、成膜チャンバー11内の圧力を測定するための圧力計(図示せず)を備えている。
基板ホルダー14は、支柱15、台座16およびステージ17を備えている。
支柱15は、台座16およびステージ17を連結させるために、成膜チャンバー11の天井壁を貫通して下方(鉛直方向下方)に突出するように設けられている。
台座16は、正極2を成膜チャンバー11内に保持および固定するために、支柱15の長手方向一端部(下端部)に設けられている。
ステージ17は、セパレータ3の形成時において、正極2を任意の方向(x方向(前後方向)、y方向(左右方向)、z方向(上下方向)およびθ方向(回転方向))に移動可能とするために、成膜チャンバー11の天井壁の上面に設けられ、支柱15の長手方向他端部(上端部)に接続されている。これにより、ステージ17は、支柱15を介して台座16に接続され、ステージ17により、台座16を移動可能としている。
また、成膜チャンバー11には、メカニカルブースターポンプ18およびロータリーポンプ19が接続されている。
メカニカルブースターポンプ18およびロータリーポンプ19は、成膜チャンバー11内を減圧するとともに、成膜チャンバー11に連結管20(後述)を介して連通されるエアロゾルチャンバー12内を減圧するために、成膜チャンバー11に、順次接続されている。
エアロゾルチャンバー12は、セパレータ3の材料(すなわち、イオン伝導性無機酸化物の粉末)を貯留する貯留槽であって、振動装置21、および、エアロゾルチャンバー12内の圧力を測定するための圧力計(図示せず)を備えている。
振動装置21は、エアロゾルチャンバー12、および、エアロゾルチャンバー12内のセパレータ3の材料を振動させるための装置であって、公知の振盪器が用いられる。
また、エアロゾルチャンバー12には、連結管20が接続されている。
連結管20は、エアロゾル化された材料(以下、エアロゾル)を、エアロゾルチャンバー12から成膜チャンバー11に輸送するための配管であって、その一方側端部(上流側端部)がエアロゾルチャンバー12に接続されるとともに、他方側が成膜チャンバー11の底壁を貫通して台座16に向かって延びるように配置されている。また、成膜チャンバー11内において、連結管20の他方側端部(下流側端部)には、成膜ノズル22が接続されている。
成膜ノズル22は、エアロゾルを正極活物質層8の表面に噴き付けるための噴射装置であって、成膜チャンバー11内において、噴射口が鉛直方向上側の台座16に向かうように、配置されている。具体的には、成膜ノズル22は、その噴射口が台座16(特に、台座16に配置される正極活物質層8の表面)と所定間隔(例えば、1mm以上、好ましくは、20mm以上であり、また、例えば、100mm以下、好ましくは、80mm以下)を隔てるように上下方向において対向配置されている。これにより、エアロゾルチャンバー12から供給されるエアロゾルを、正極活物質層8の表面に噴き付け可能としている。
なお、成膜ノズル22の噴射口形状としては、特に制限されず、エアロゾルの噴射量、噴射範囲などに応じて、適宜設定される。
また、連結管20の流れ方向途中には、連結管開閉弁23が介在されている。連結管開閉弁23としては、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。
キャリアガス輸送装置13は、キャリアガスボンベ25を備えている。
キャリアガスボンベ25は、例えば、酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、空気ガスなどのキャリアガスを貯留するボンベであって、ガス管26を介して、エアロゾルチャンバー12に接続されている。
ガス管26は、キャリアガスをキャリアガスボンベ25からエアロゾルチャンバー12に輸送するための配管であって、その上流側端部がキャリアガスボンベ25に接続されるとともに、下流側端部がエアロゾルチャンバー12に接続されている。
また、ガス管26の流れ方向途中には、ガス流量計27が介在されている。ガス流量計27は、ガス管26内のガスの流量を調整するとともに、その流量を検知するための装置であって、特に制限されず、公知の流量計が用いられる。
さらに、ガス管26の流れ方向途中には、ガス流量計27よりも下流側において、ガス管開閉弁28が介在されている。ガス管開閉弁28としては、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。
このようなエアロゾルデポジション装置10によりセパレータ3を形成するためには、まず、成膜ノズル22と、正極活物質層8とを間隔を隔てて対向配置する。具体的には、台座16に、正極活物質層8の表面が、成膜ノズル22側(下側)に向かうように、正極2を配置する。
一方、エアロゾルチャンバー12には、上記したセパレータ3の材料(例えば、イオン伝導性無機酸化物の粉末)を投入する。
なお、投入の前に、セパレータ3の材料を予め乾燥させることもできる。
乾燥温度としては、例えば、50〜150℃であり、乾燥時間としては、例えば、1〜24時間である。
次いで、この方法では、ガス管開閉弁28を閉とし、また、連結管開閉弁23を開とするとともに、メカニカルブースターポンプ18およびロータリーポンプ19を駆動させることにより、成膜チャンバー11内およびエアロゾルチャンバー12内を減圧する。
成膜チャンバー11内の圧力は、例えば、5〜80Paであり、エアロゾルチャンバー12内の圧力は、例えば、5〜80Paである。
次いで、この方法では、セパレータ3の材料を、エアロゾルチャンバー12内において、振動装置21により振動させるとともに、ガス管開閉弁28を開として、キャリアガスボンベ25からキャリアガスをエアロゾルチャンバー12に供給する。これによりセパレータ3の材料をエアロゾル化させるとともに、発生したエアロゾルを、連結管20を介して成膜ノズル22に輸送することができる。このとき、エアロゾルは、成膜ノズル22の内壁に衝突して破砕され、より粒径の小さな粒子となる。
また、ガス流量計27により調整されるキャリアガスの流量は、例えば、0.1L/分以上、好ましくは、30L/分以上であり、また、例えば、80L/分以下、好ましくは、50L/分以下である。
次いで、この方法では、破砕された材料の粒子を、成膜ノズル22の噴射口から正極活物質層8の表面に向けて噴射する(噴射工程)。
エアロゾル噴射中のエアロゾルチャンバー12内の圧力は、例えば、50〜80000Paである。また、成膜チャンバー11内の圧力は、例えば、10〜1000Paである。
また、エアロゾル噴射中のエアロゾルチャンバー12内の温度は、例えば、0〜50℃である。
また、エアロゾル噴射中、好ましくは、ステージ17を適宜移動させることにより、正極活物質層8の表面に均等にエアロゾルを噴き付ける。
このような場合において、ステージ17の移動速度(すなわち、成膜ノズル22の移動速度)は、例えば、0.1〜50mm/秒である。
これにより、正極活物質層8の一方の表面(鉛直方向下側)に、セパレータ3を形成することができる。その結果、正極2およびセパレータ3を備えるSEA31が得られる。
なお、上記では、噴射工程において、ステージ17を移動させていたが、エアロゾルデポジション装置10に応じて、成膜ノズル22を移動させて、正極活物質層8と成膜ノズル22との相対速度を0.1〜50mm/秒とさせることもできる。
また、相対速度やセパレータ3の厚みに応じて、上記噴射工程を複数回繰り返して実施してもよい。繰返回数は、好ましくは、1〜10回である。
また、上下方向に成膜ノズル22と台座16とを対向配置していたが、例えば、左右方向(上下方向と直交する方向)に成膜ノズル22と台座16とを対向配置することもできる。
一方、負極集電体5に非多孔質無機酸化物層4を積層する(積層体形成工程)。
好ましくは、負極集電体5の表面に対して、AD法により、非多孔質無機酸化物層4を積層する。これにより、非多孔質無機酸化物層4を負極集電体5の表面に密に、かつ強固に形成させることができる。そのため、リチウム金属電池前駆体1から得られるリチウム金属電池9において、電解液30が負極活物質層6(リチウム金属層)の表面に直接接触することをより確実に抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。また、リチウム金属層6におけるデンドライトの発生、成長をより確実に抑制することができる。
非多孔質無機酸化物層4をAD法により形成する場合、成膜ノズル22から噴射される材料(例えば、イオン伝導性無機酸化物)の衝突速度を、多孔質体であるセパレータ3を形成する場合と比較して、高くなるように設定する。
具体的には、材料などに応じて適宜決定されるが、成膜ノズル22の噴射口と、台座16(特に、台座16に配置される負極集電体5との表面)との間隔は、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上、また、例えば、30mm以下、好ましくは、20mm以下、より好ましくは、15mm以下である。
キャリアガスの流量は、例えば、10L/分以上、好ましくは、55L/分以上、より好ましくは、60L/分以上であり、また、例えば、100L/分以下、好ましくは、80L/分以下である。
これにより、負極集電体5の表面(鉛直方向下側)に、非多孔質無機酸化物層4を形成することができる。その結果、非多孔質無機酸化物層4と負極集電体5との積層体(負極集電体積層体34)が得られる。
次いで、負極集電体積層体34をSEA31に積層する(構造体形成工程)。具体的には、SEA31のセパレータ3の表面が、負極集電体積層体34の非多孔質無機酸化物層4の表面に接触するように、公知の方法で配置する。
これにより、正極2/セパレータ3/非多孔質無機酸化物層4/負極集電体5の前駆体構造体33が得られる。
次いで、正極リード(図示せず)を正極集電体7に、負極リード(図示せず)を負極集電体5に取り付ける。
次いで、前駆体構造体33に電解液30を供給する(供給工程)。
すなわち、前駆体構造体33に電解液30を供給するとともに、ラミネートフィルムなどの外装体32で前駆体構造体33を封止する。
具体的には、電解液30がセパレータ3および正極活物質層8のそれぞれの内部に十分に存在するように、前駆体構造体33に電解液30を供給する。好ましくは、セパレータ3および正極活物質層8のそれぞれの内部の空隙を、電解液30で満たす。
電解液30を供給した後に、ラミネートフィルムなどの外装体32を公知の方法で完全に封止する。
これにより、リチウム金属電池前駆体1が製造される。
なお、上記製造方法では、負極集電体積層体34をSEA31に積層して、前駆体構造体33を作製しているが、例えば、SEA31のセパレータ3表面に、非多孔質無機酸化物層4を積層して、非多孔質無機酸化物/SEA積層体を得、次いで、非多孔質無機酸化物/SEA積層体の非多孔質無機酸化物層4表面に負極集電体5を配置することにより、前駆体構造体33を作製することもできる。この方法では、負極集電体5を電解液30から保護するために、負極集電体5にスパッタ、蒸着などの表面処理をしてもよい。
本発明では、非多孔質無機酸化物層4および負極集電体5の界面への電解液30の浸入を抑制し、負極集電体5(ひいてはリチウム金属電池9のリチウム金属層)に対する電解液30の接触を抑制できる観点から、好ましくは、負極集電体積層体34をSEA31に積層して、前駆体構造体33を作製する。
3.リチウム金属電池の製造方法
リチウム金属電池9は、上記のリチウム金属電池前駆体1を用意し、このリチウム金属電池前駆体1に電圧を印加することにより製造される。
具体的には、図3Aが示すように、負極リードおよび正極リードを介して、電圧を印加する。
電圧は、例えば、2.5V以上、好ましくは、3.0V以上であり、また、例えば、6.5V以下、好ましくは、6.0V以下である。
印加時間は、例えば、30秒以上、好ましくは、60秒以上であり、また、例えば、60分以下、好ましくは、30分以下である。
これにより、図3Bが示すように、負極集電体5と非多孔質無機酸化物層4との間に、リチウム金属層である負極活物質層6が析出される。
負極活物質層6の厚みは、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
そして、このようなリチウム金属電池9では、一次電池(使い捨て電池)および二次電池のいずれとしても使用できる。例えば、正極活物質層8としてLiCoOを用い、二次電池として用いる場合は、次の反応式1〜3で表す電気化学反応が生ずる。
Figure 2016122528
リチウム金属電池9の初期充電容量および初期放電容量は、それぞれ、例えば、0.1mAh/cm以上、好ましくは、1.0mAh/cm以上であり、また、例えば、20mAh/cm以下、好ましくは、10mAh/cm以下である。
リチウム金属電池9は、例えば、角型電池や円筒型電池などの巻回型電池として形成でき、また、積層型電池として形成することもできる。また、ボタン型電池、ピン型電池などとすることもできる。
4.変形例
図1の実施形態では、セパレータ3と負極集電体5との間に非多孔質無機酸化物層4を備えているが、例えば、図示しないが、セパレータ3と負極集電体5との間に非多孔質無機酸化物層4を備えなくてもよい。すなわち、セパレータ3は、その表面が負極集電体5の表面と直接接触するように、負極集電体5の表面に配置されていてもよい。
この実施形態も、図1の実施形態と同様の作用効果を奏する。この実施態様から得られるリチウム金属電池9は、特に、一次電池として好適に使用することができる。
なお、本発明のリチウム金属電池前駆体1から得られるリチウム金属電池9を二次電池として使用する場合には、リチウム金属電池前駆体1は、好ましくは、非多孔質無機酸化物層4を備える。非多孔質無機酸化物層4を備える図1の実施形態では、電解液30が負極活物質層6(リチウム金属層)の表面に直接接触することを抑制することができ、充放電の繰り返しによる電池容量の低下を抑制することができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
(正極の作製)
正極活物質としてLiCoO(平均粒子径(D50)5μm)90質量部、導電剤としてカーボン粉末5質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン5質量部、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)400質量を混合して、正極組成物スラリーを調製した。
スラリーをドクターブレード法によって、アルミニウム箔(正極集電体、厚みが25μm)の片面に塗布し、乾燥させて、塗布膜を作製した。
その後、塗布膜を圧縮ローラで圧縮して、厚みが70μmである正極活物質層を形成した。正極活物質層は、多孔質体であり、多孔度は50%であった。
これにより、正極を作製した。
(セパレータの形成)
エアロゾルデポジション法を用いて、正極の正極活物質層に、セパレータを直接形成した。
具体的には、図2に示すエアロゾルデポジション装置(キャリアガス:空気ガス)を用意し、その成膜チャンバー(22℃)内において、基板ホルダーの台座に、正極を設置した。
なお、このとき、成膜ノズルの噴射口と正極活物質層の表面との間隔が、20mmとなるように調節した。
一方、リチウム系無機酸化物(LiSiO・LiPO(50:50wt%)、平均粒子径(D50)0.75μm、イオン伝導度2×10−6S/cm)を用意し、500mLのガラス製エアロゾルチャンバーに投入した。
その後、ガス管開閉弁を閉とし、また、連結管開閉弁を開とするとともに、メカニカルブースターポンプおよびロータリーポンプを駆動させることにより、成膜チャンバー内およびエアロゾルチャンバー内を、50Paまで減圧した。
次いで、空気ガスの流量が50L/分となるようにガス流量計により調整し、また、エアロゾルチャンバーを振盪器により振動させながら、ガス管開閉弁を開とした。これによって、エアロゾルチャンバー内において、粉末混合物をエアロゾル化し、得られたエアロゾルを、成膜ノズルから噴射させた。
なお、このときのエアロゾルチャンバー内の圧力は、約1000〜50000Paであり、成膜チャンバー内の圧力は、約300Paであった。
そして、基板ホルダーのステージによって、正極が固定された台座を移動速度5mm/秒でx−y方向に移動させるとともに、成膜ノズルから噴射されるエアロゾルを、正極活物質層の表面に噴き付けた。
これにより、セパレータ(イオン伝導性無機酸化物からなる多孔質体)を正極活物質層の表面に形成して、セパレータ/正極積層体(SEA)を得た。セパレータの厚みは7μm、多孔度は10%、平均孔径は20nmであった。
(負極集電体積層体の形成)
Ni箔(負極集電体、厚さ25μm)を用意し、AD法の条件を下記の条件に変更した以外は上記の条件と同様にして、Ni箔の表面に対してAD法を実施した。
測定条件は、成膜ノズルの噴射口とセパレータの表面との間隔を15mmとし、空気ガス(キャリアガス)の流量を60L/分とした。
これにより、非多孔質無機酸化物層(イオン伝導性無機酸化物からなる非多孔質体)をNi箔の表面に形成して、非多孔質無機酸化物層とNi箔との積層体(負極集電体積層体)を得た。非多孔質無機酸化物層の厚みは、1μm、多孔度は、3%であった。
(構造体の作製)
セパレータ表面が非多孔質無機酸化物層表面に接触するように、SEAを負極集電体積層体に積層した。これにより、前駆体構造体(すなわち、正極/セパレータ/非多孔質無機酸化物層/負極集電体の積層体)を作製した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを50:50(体積比)で混合した混合溶液に、2.0mol/LとなるようにLiPFを溶解させて、電解質含有有機溶媒を調製した。
N‐メチル‐N‐プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(PP13−TFSI、イオン液体)に、0.4mol/Lとなるようにリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(Li(CFSON;Li−TFSI)を溶解させて、電解質含有イオン液体を調製した。
電解質含有有機溶媒と電解質含有イオン液体とを60:40の体積比で混合することにより、電解液を調製した。
(リチウム金属二次電池の製造)
得られた前駆体構造体をアルミニウムのラミネートフィルムで封止した。完全に封止する前に、セパレータおよび正極活物質層が完全に湿潤するように電解液を十分に加えて、ラミネートフィルム内部を電解液で満たした。
これにより、実施例1のリチウム金属電池前駆体を製造した(図1参照)。
実施例2
非多孔質無機酸化物層を積層しなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例2のリチウム金属電池前駆体を製造した。
(リチウム金属電池の製造)
各実施例のリチウム金属電池前駆体に、図3Aに示すように、6Vの電圧を30秒間印加した。
電圧印加後のリチウム金属電池前駆体の内部を確認したところ、実施例1においては、図3Bに示すように、Ni箔と非多孔質無機酸化物層との間に、厚さ15μmのリチウム金属層(負極活物質層)が形成されていた。また、実施例2においても、Ni箔とセパレータとの間に、厚さ10μmのリチウム金属層が形成されていた。
また、これらの電圧印加後のリチウム金属電池を作動させてみたところ、電池として機能したため、リチウム金属電池となっていることが分かった。
なお、実施例1のリチウム金属電池の初期充電容量は、2.0mAh/cm、初期放電容量は、1.9mAh/cmであり、実施例2のリチウム金属電池の初期充電容量は、2.0mAh/cm、初期放電容量は、1.8mAh/cmであった。
さらに、充放電を10回繰り返した後の充放電容量を測定したところ、 実施例1のリチウム金属電池の充電容量は、1.8mAh/cmであり、実施例2のリチウム金属電池の充電容量は、0.2mAh/cmであった。
1 リチウム金属電池前駆体
3 セパレータ
4 非多孔質無機酸化物層
5 負極集電体
6 リチウム金属層
7 正極集電体
8 正極活物質層
9 リチウム金属電池
30 電解液

Claims (8)

  1. 正極集電体と、
    前記正極集電体の上に設けられる正極活物質層と、
    前記正極活物質層の上に設けられるセパレータと、
    前記セパレータの上に設けられる負極集電体と
    を備え、
    正極活物質層が、リチウム化合物を含有し、
    電解液が、前記セパレータおよび前記正極活物質層の内部に存在し、
    負極活物質層を備えていないことを特徴とする、リチウム金属電池前駆体。
  2. 前記セパレータと前記負極集電体との間に、さらに非多孔質無機酸化物層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム金属電池前駆体。
  3. 前記非多孔質無機酸化物層が、イオン伝導性無機酸化物を含有することを特徴とする、請求項2に記載のリチウム金属電池前駆体。
  4. 前記イオン伝導性無機酸化物が、ケイ酸四リチウムとリン酸リチウムとの混合物であることを特徴とする、請求項3に記載のリチウム金属電池前駆体。
  5. 前記セパレータ、または、前記セパレータおよび前記非多孔質無機酸化物層が、エアロゾルデポジション法により形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム金属電池前駆体。
  6. 前記電解液が、リチウム塩を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム金属電池前駆体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウム金属電池前駆体を用意する工程、および、
    前記リチウム金属電池前駆体に電圧を印加することにより、前記負極集電体の上に負極活物質層を形成する工程
    を備えることを特徴とする、リチウム金属電池の製造方法。
  8. 請求項7のリチウム金属電池の製造方法によって得られることを特徴とする、リチウム金属電池。
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