JP2016120996A - トロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置 - Google Patents

トロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コストやメンテナンスの問題を低減しつつ、吊り荷に対して好適に振れ止め制御を行い得るトロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置を提供する。
【解決手段】ガーダやブーム上を横行するトロリ7と、該トロリ7から複数のロープ16,16'、20,20'により吊り下げられる吊り荷8と、前記複数のロープを駆動しトロリ7を横行させるウインチドラム15,15'、19,19'とを備えたトロリ式クレーンに関し、前記複数のロープの途中に各々備えられたシーブ17,17'、21,21'にシーブ荷重検出器25を取り付けて前記ロープの張力を検出し、該張力から推定振れ角を算出し、該推定振れ角に対しカルマンフィルタ処理を行って算出した吊り荷8の振れ角予測値を用いてトロリ7に対し吊り荷8の振れを抑えるフィードバック制御を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、トロリ式クレーンの稼働中に発生する吊り荷の振れ角を検出し、振れ止め制御を行うための制御方法及び装置に関する。
港湾や建設現場等で用いられるクレーンには各種の形式があり、橋形クレーンや、天井クレーン、一部のジブクレーン等の中には、水平方向に張り渡したジブやガーダに沿ってトロリを横行させ、該トロリにグラブバケットやフック等の吊り荷をロープで吊り下げて運搬するトロリ式クレーンと呼ばれるものがある。
こうしたトロリ式クレーンにおいては、トロリの横行に伴い、吊り荷にトロリの移動方向に沿った振れが発生する。吊り荷が目標の位置へ到達した際、吊り荷に振れがあると、振れが収まるまでは正確な位置へ運搬物の揚げ降ろしを行うことができず、作業効率が低下する。また、発生する振れの角度や大きさによっては、吊り荷やロープが周辺の機械や構造物に干渉する場合もあり、吊り荷の振れはできる限り抑えることが望ましい。振れを抑えるには、吊り荷の振れ角を検出し、該振れ角をもとにトロリや吊り荷の動作に対して適切な制御(振れ止め制御)を加えることが有効である。
そのようなトロリ式クレーンにおける振れ止め制御のための技術を記載した文献として、例えば、下記特許文献1〜3がある。振れ角検出装置により振れ角や振れ角速度を検出するほか、トロリの位置や速度など、振れ角にかかわる種々の数値を測定し、これらのデータをもとにオブザーバやカルマンフィルタを利用して振れ角を推定し、推定した振れ角に基づいて振れ止め制御を行うものである。
特開2009−234699号公報 特開2000−7274号公報 特開2000−318973号公報
しかしながら、実際にトロリ式クレーンを運用するにあたり、吊り荷の振れ角を直接検出することは現実的に困難である。例えば、上記特許文献1に記載の振れ角制御装置では、吊り荷側に取り付けたマーカをトロリ側の撮像装置で撮影し、画像処理によって振れ角を検出する光学式の装置を用いているが、こうした光学式の振れ角検出器は、高価な機器類を要しコストがかかるうえ、機器の付け外しに非常に手間を要し、頻繁なメンテナンスの必要もある。また、天候や周辺の環境によっては撮影や画像処理が困難となり、振れ角の検出が正確にできない場合がある。
振れ角を検出するその他の方法としては、例えば、巻上ロープの基部側の支点付近に、巻上ロープに追従するロッドを取り付け、該ロッドの角度として巻上ロープの振れ角を検出するものがある。しかし、こうした機械式の振れ角検出器は、やはり機器の付け外しに手間がかかるほか、機器と巻上ロープとの間に接触部や摺動部が多いために汚れが溜まりやすく、そのために検出精度が低下する懸念がある。
上記した振れ角の検出に係る問題のほか、モデル化に伴う問題もある。すなわち、精度の良い振れ角の予測値や、高い制御性能を実現するためには、制御対象のモデルが複雑になることが多く、そのような複雑なモデルを扱うことは設計にかかるコストや手間を増大させてしまう。また、モデルの立て方によっては、トロリや吊り荷に対する外乱や、モデル化誤差等に対するシステム全体のロバスト性が低くなってしまう虞もある。
本発明は、斯かる実情に鑑み、コストやメンテナンスの問題を低減しつつ、吊り荷に対して好適に振れ止め制御を行い得るトロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置を提供しようとするものである。
本発明は、ガーダやブーム上を横行するトロリと、該トロリから複数のロープにより吊り下げられる吊り荷と、前記複数のロープを駆動し前記トロリを横行させるウインチドラムとを備えたトロリ式クレーンの振れ止め制御方法であって、前記複数のロープの途中に各々備えられたシーブにシーブ荷重検出器を取り付けて前記ロープの張力を検出し、該張力から推定振れ角を算出し、該推定振れ角に対してカルマンフィルタによる処理を行って吊り荷の振れ角予測値を算出し、該振れ角予測値を用いて前記トロリに対し前記吊り荷の振れを抑えるフィードバック制御を行うことを特徴とするトロリ式クレーンの振れ止め制御方法にかかるものである。
而して、このようにすれば、単純で安価な機構により、吊り荷の振れ角を精度良く予測することができる。
本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法においては、トロリ式クレーンをばねマスダンパの1質点系モデルと仮定して定義した数式モデルに対して前記カルマンフィルタを設計することが好ましく、このようにすれば、単純な数式モデルで精度の高い振れ角予測値を得ることができる。
本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法においては、前記振れ角予測値に加え、前記トロリの横行位置、前記トロリの横行方向速度、前記吊り荷の吊下ロープ長を用いてゲインスケジュールH制御器を導出し、該ゲインスケジュールH制御器により前記トロリに対する振れ止めフィードバック制御速度指令を求めることが好ましく、このようにすれば、システム全体に対して外乱やモデル化誤差を考慮したロバストな制御系を構築できる。
本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法においては、前記ゲインスケジュールH制御器からの振れ止めフィードバック制御速度指令と、前記トロリに対する横行操作速度指令とを線形結合した振れ止め制御速度指令により前記トロリの制御を行うことが好ましく、このようにすれば、前記トロリへの横行操作速度指令に基づいて前記トロリを横行させながら、前記吊り荷の推定振れ角をもとに前記吊り荷の振れ角を零に収束させることができる。
本発明は、ガーダやブーム上を横行するトロリと、該トロリから複数のロープにより吊り下げられる吊り荷と、前記複数のロープを駆動し前記トロリを横行させるウインチドラムとを備えたトロリ式クレーンの振れ止め制御方法であって、前記複数のロープの途中に各々備えられたシーブと、該シーブに取り付けられて前記ロープの張力を検出するシーブ荷重検出器と、前記ロープの張力から推定振れ角を算出し、該推定振れ角に対してカルマンフィルタによる処理を行って吊り荷の振れ角予測値を算出し、該振れ角予測値を用いて前記トロリに対し前記吊り荷の振れを抑えるフィードバック制御を行うよう構成された制御装置とを備えたことを特徴とするトロリ式クレーンの振れ止め制御装置にかかるものである。
本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御装置においては、トロリ式クレーンをばねマスダンパの1質点系モデルと仮定して定義した数式モデルに対して前記カルマンフィルタを設計し、前記制御装置に実装することが好ましい。
本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御装置においては、前記トロリの横行位置や前記吊り荷の吊下げロープ長を検出する吊り荷現状位置検出器を備え、前記振れ角予測値に加えて前記トロリの横行位置、前記トロリの横行方向速度、前記吊り荷の吊下ロープ長を用いてゲインスケジュールH制御器を導出し、該ゲインスケジュールH制御器により前記トロリに対する振れ止めフィードバック制御速度指令を求めるよう前記制御装置を構成することが好ましい。
本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御装置においては、前記ゲインスケジュールH制御器からの振れ止めフィードバック制御速度指令と、前記トロリに対する横行操作速度指令とを線形結合した振れ止め制御速度指令により前記トロリの制御を行うよう前記制御装置を構成することが好ましい。
本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置によれば、コストやメンテナンスの問題を低減しつつ、吊り荷に対して好適に振れ止め制御を行い得るという優れた効果を奏し得る。
本発明を適用したグラブバケット式アンローダの一例を示す側面図である。 本発明を適用したグラブバケット式アンローダの一例を示す斜視図である。 本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置の実施例における制御ブロック図である。 本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置の実施例における制御ブロック図である。 シーブにかかる張力を図示する概略図である。 トロリ式クレーンの数式モデルの説明図である。 力入力モデルを速度入力モデルに変換するブロック線図である。 カルマンフィルタにおける演算の工程を示すフローチャートである。 本発明の実施により推定または予測された吊り荷の振れ角と、実際の振れ角とを比較して示す線図である。 線形パラメータ変動系モデルを導出するためのブロック線図である。 端点制御器の導出に用いる一般化プラントを示すブロック線図である。 本発明を適用したグラブバケット式アンローダの実験機における振れ止め運転時の挙動を示す線図であり、(a)はトロリ及び吊り荷に対する速度指令、(b)はトロリの横行位置、(c)は吊り荷の振れ角を示す。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1、図2は本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置を実施する形態の一例を示すもので、本発明をグラブバケット式アンローダに対して適用した場合を例示している。
グラブバケット式アンローダは、バラ物運搬船に積載された鉱石、石炭等のバラ物を荷揚げするために、岸壁に備えられる橋形クレーンの一種である。図1に示したグラブバケット式アンローダは、海側の海脚1と陸側の陸脚2を有して岸壁上のレール3上を走行する機械本体4と、該機械本体4上部の陸側に設けられたガーダ5から海側へ張り出しピン6aを中心に俯仰が可能なブーム6と、該ブーム6及びガーダ5の長手方向に沿って横行するトロリ7と、該トロリ7から吊下げられて昇降と開閉を行うようにした吊り荷としてのグラブバケット8とを有している。そして、前記ブーム6の海側に位置したトロリ7から開いた状態のグラブバケット8をバラ物運搬船9の上部開口9aから船内に吊り下げてバラ物上に載置し、グラブバケット8を閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケット8を上昇させ、続いて、トロリ7を陸側に横行させることによりグラブバケット8を陸側に移動させ、グラブバケット8が前記機械本体4に備えたホッパ10上に来たときに開くことによりバラ物をホッパ10内へ投入するようにしている。ホッパ10内に投入されたバラ物は、機械本体4に備えた機内コンベヤ11等により陸上の搬送コンベヤ12に供給されるようになっている。尚、図2中、13はアンローダを操作するオペレータが搭乗する移動運転室、14は機械本体4の上部の陸側端に設けられた機械室である。
前述の如きグラブバケット式アンローダとしては、例えば、図2に示される如く、4本のウインチドラムを備え、該ウインチドラムの駆動により前記トロリ7を横行させると共にグラブバケット8を昇降・開閉させるようにした4ドラム式のアンローダがある。
前記ウインチドラムとしての巻上ドラム15から繰り出した巻上ロープ16はガーダ5(図1参照)の陸側端部に設けたシーブ17を経てトロリ7上のシーブ18に導かれた後、下方に向けられて下端がグラブバケット8の一側(陸側)に固定されている。又、前記ウインチドラムとしての巻上ドラム15'から繰り出した巻上ロープ16'はブーム6(図1参照)の海側端部に設けたシーブ17'を経てトロリ7上のシーブ18'に導かれた後、下方に向けた下端がグラブバケット8の他側(海側)に固定されている。
又、前記ウインチドラムとしての開閉ドラム19から繰り出した開閉ロープ20はガーダ5(図1参照)の陸側端部に設けたシーブ21を経てトロリ7上のシーブ22に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット8のバケット本体8a,8aの連結部に取り付けた下部移動シーブ23と、タイロッド8bを介しピン連結により前記バケット本体8aを支持する上部フレーム8cに取り付けた上部固定シーブ24(図1参照)との間に複数回掛け回され、グラブバケット8の所要箇所に固定されている。一方、前記ウインチドラムとしての開閉ドラム19'から繰り出した開閉ロープ20'はブーム6(図1参照)の海側端部に設けたシーブ21'を経てトロリ7上のシーブ22'に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット8の下部移動シーブ23と上部固定シーブ24(図1参照)との間に複数回掛け回され、グラブバケット8の所要箇所に固定されている。
図2に示した4ドラム式のアンローダでは、巻上ドラム15,15'を停止した状態において、開閉ドラム19,19'により開閉ロープ20,20'を同時に繰り出すと、グラブバケット8の下部移動シーブ23と上部固定シーブ24(図1参照)の間隔が開いて前記グラブバケット8は開き、開閉ドラム19,19'により開閉ロープ20,20'を同時に巻き込むと、下部移動シーブ23と上部固定シーブ24(図1参照)の間隔が狭くなりグラブバケット8は閉じられる。
又、前記巻上ドラム15,15'により巻上ロープ16,16'を繰り出す操作と、開閉ドラム19,19'により開閉ロープ20,20'を繰り出す操作を同時に行うと、グラブバケット8は下降し、又、前記巻上ドラム15,15'により巻上ロープ16,16'を巻き込む操作と、開閉ドラム19,19'により開閉ロープ20,20'を巻き込む操作を同時に行うと、グラブバケット8は上昇する。
一方、陸側のシーブ17,21からトロリ7上の陸側のシーブ18,22に巻上ロープ16及び開閉ロープ20を導いている巻上ドラム15及び開閉ドラム19の巻き込み操作と、海側のシーブ17',21'からトロリ7の海側のシーブ18',22'に巻上ロープ16'及び開閉ロープ20'を導いている巻上ドラム15'及び開閉ドラム19'の繰り出し操作を同時に行うと、トロリ7とグラブバケット8は陸側へ横行する。逆に、巻上ドラム15及び開閉ドラム19の繰り出し操作と、巻上ドラム15'及び開閉ドラム19'の巻き込み操作を同時に行うと、トロリ7及びグラブバケット8は海側へ横行する。即ち、巻上ドラム15,15'と開閉ドラム19,19'の操作によって、トロリ7及びグラブバケット8の横行を行わせることができる。
そして、本実施例においては、シーブ荷重検出器25を用いて検出した各ロープ(巻上ロープ16,16'及び開閉ロープ20,20')の張力から吊り荷(グラブバケット)8の振れ角を推定すると共に、吊り荷現状位置検出器26によって吊り荷8の現状位置を検出するようにしてある。
シーブ荷重検出器25は、前記巻上シーブ17,17'及び開閉シーブ21,21'に取り付けられたロードセル等の荷重センサであり、図3、図4に示す如く、前記4つのシーブにおいて検出された荷重を荷重信号25aとして制御装置27の振れ角算出部28に入力するようになっている。
吊り荷現状位置検出器26は、トロリ7を横行させると共にグラブバケット8を昇降・開閉させるためのロープ(巻上ロープ16,16'及び開閉ロープ20,20')を駆動するウインチドラム(巻上ドラム15,15'及び開閉ドラム19,19')のドラム回転数を計測するエンコーダ等の回転センサであり、計測したドラム回転数を回転数信号26aとして制御装置27の吊り荷現状位置計算部29に入力するようになっている。
また、移動運転室13に設けられたコントローラ30をオペレータが操作することにより、その操作信号30aがトロリ7への横行操作速度指令Vrefや横行目標位置指令Xrefとして制御装置27に入力されるようになっている。尚、横行目標位置指令Xrefは、横行操作速度指令Vrefを積分することにより算出することができる。
制御装置27は、シーブ荷重検出器25から入力される荷重信号25aに基づいてグラブバケット8の振れ角θを推定し、推定した振れ角θと、吊り荷現状位置検出器26から入力される回転数信号26aから算出される吊り荷8の吊下ロープ長lやトロリ7の横行位置x等に基づいて振れ止めフィードバック制御速度指令ufbを算出し、該振れ止めフィードバック制御速度指令ufbと前記横行操作速度指令Vrefとを線形結合した振れ止め制御速度指令uを制御信号27aとして前記ウインチドラムのモータ31のインバータ32に対し出力するようになっている。インバータ32は、制御信号27aに基づいてモータ31を介し前記ウインチドラムの横行動作を制御する。
次に、上記本実施例における制御の詳細について、図3〜図11を用いて説明する。
制御装置27は、トロリ7への横行操作速度指令Vrefに基づいてトロリ7を横行させながら、吊り荷8の推定振れ角θをもとに吊り荷8の振れ角を零に収束させるものである。
まず、制御装置27の吊り荷現状位置計算部29(図4参照)は、吊り荷現状位置検出器26から入力される回転数信号26aをもとに、トロリ7の横行位置(位置検出値)x、トロリ7の横行速度(速度検出値)Vfb、及びトロリ7から吊り荷(グラブバケット)8までの距離(吊下ロープ長検出値)lを算出する。このとき、トロリ7の横行速度はトロリ7の横行方向位置の微分値として算出することができる。
次に、制御装置27の振れ角算出部28は、シーブ荷重検出器25から入力されるシーブ荷重信号25aをもとに、吊り荷8の振れ角θを推定する。具体的には、図5に示す如く、前記シーブ(巻上シーブ17,17'、開閉シーブ21,21')には、それぞれTm1、Tm2、Ta1、Ta2の張力がかかるが、これらの張力は、吊り荷8の推定振れ角θに応じて変化する。すなわち、推定振れ角θは、以下の通り、張力Tm1、Tm2、Ta1、Ta2を独立変数とした関数として算出できる。
θ=f(Tm1,Tm2,Ta1,Ta2
次に、制御装置27は、上記吊り荷現状位置計算部29で算出した位置検出値x、速度検出値Vfb、吊下ロープ長検出値lと、上記振れ角算出部28で算出した推定振れ角θをカルマンフィルタ33に入力する(図4参照)。このカルマンフィルタ33は、該カルマンフィルタ33の内部で定義するクレーンモデル34で吊り荷8の振れ角を予測し、この予測した振れ角を前記推定振れ角θと比較して、その誤差分散が最小となるように推定し、振れ角についての最適な推定結果を返すシステム構成になっている。
以下、カルマンフィルタ33の設計手順を説明する。カルマンフィルタ33を設計するためには、制御対象であるトロリ式クレーン(本実施例の場合は、グラブバケット式アンローダ)の数式モデル(クレーンモデル)34を導出する必要がある。
トロリ式クレーンの数式モデル34は、以下に説明する手順により導出される。まず、トロリ式クレーンの数式モデル34を導出するためのモデル定義を、次の通り仮定する。
a)ロープ質量は考慮しない。
b)トロリ7は横行方向(x方向)の運動のみを考慮した、ばねマスダンパの1質点系モデルとする。
c)制御入力(振れ止め制御速度指令)uは直接トロリ7に作用する。
以上の定義をもとに、トロリ式クレーンの数式モデル34を図6に示す通りに仮定する。主な記号の定義を以下に示す。
:トロリ質量[kg]、M:吊り荷質量[kg]、l(t):吊下ロープ長[m]、u(t):制御入力[N]、x(t):トロリ7のx方向位置(横行位置)[m]、x(t):吊り荷8のx方向位置[m]、y(t):吊り荷8のy方向位置[m]、θ(t):吊り荷8の振れ角[rad]、k:トロリ7の等価的ばね定数[N/m]、c:トロリ7の等価的減衰係数[N・s/m]、Kpp:インバータ相当速度ゲイン、g:重力加速度[m/s]、t:時間[s]である。尚、添字tはトロリを、添字oは吊り荷を表す。
トロリ7のもつ運動エネルギーT、位置エネルギーV、トロリ7にかかる外力Pは以下の通りである。ここで、変数の上部に記したドット記号(・)は、その変数の導関数(時間による微分値)を表す。尚、ドット記号が二個付されている場合には、その変数の二次導関数を表す。
Figure 2016120996
吊り荷8のもつ運動エネルギーT、位置エネルギーV、吊り荷8にかかる外力Pは以下の通りである。
Figure 2016120996
上記[数1]、[数2]をラグランジュ方程式に当てはめて運動方程式を導出する。qを一般化座標とすると、ラグランジュ方程式は以下の通りである。
Figure 2016120996
上記[数3]より、以下の運動方程式が求まる。
Figure 2016120996

Mは2×2の質量行列、Cは2×2の減衰行列、Kは2×2の剛性行列、Fは2×1の入力行列である。
さらに、状態量xを
Figure 2016120996

として展開すると、状態方程式および出力方程式は以下の通りとなる。
Figure 2016120996
ここで、上記状態方程式は力入力であるが、実機においてはトロリ7はインバータ32を介した横行操作速度指令によって駆動される。そこで、インバータ32の速度制御ゲイン相当をKppとし、図7に示すブロック線図により速度制御を実現する。よって、上記[数6]の状態方程式は、以下の速度制御入力モデルの状態方程式で表現できる。
Figure 2016120996
上記[数6]の出力方程式および[数7]の状態方程式に基づき、カルマンフィルタ33を設計する。カルマンフィルタ33の制御対象とするトロリ式クレーンは、[数6]および[数7]に共分散行列で定義されるプロセスノイズwおよび観測ノイズvを加味し、以下の状態方程式および出力方程式で与えられる。
Figure 2016120996
プロセスノイズwは、数式モデルでシミュレートされる挙動と実際の挙動との誤差である。このプロセスノイズwの大きさを共分散行列Qで設定する。共分散行列Qの算出は、プロセスノイズwの各成分の標準偏差σを設定することで行う。
Figure 2016120996
尚、プロセスノイズの要因としては、風などの外乱、モデル化に伴う誤差、運動方程式を離散化することによる誤差、制御装置における計算誤差などが考えられる。
観測ノイズvについても、その大きさを共分散行列Rで設定する。上記プロセスノイズwの場合と同様、共分散行列Rの算出は、観測ノイズvの各成分の標準偏差σを設定することで行う。
Figure 2016120996
尚、観測ノイズの要因としては、センサ固有の電気的なノイズやドリフト、1質点振り子振動以外のロープやその他機械の振動などが考えられる。
カルマンフィルタ33内部において実行される制御演算について、図8を参照しながら説明する。制御演算の実行にあたっては、まずステップS1として、上記プロセスノイズwと観測ノイズv、およびその共分散行列Q、Rについて、各成分の具体的な数値を設定する。これらの数値については、経験的に決定する。
さらに、カルマンフィルタ33内部における数式モデル34の状態量
Figure 2016120996

の初期値
Figure 2016120996

および初期共分散CovXを以下の通り設定する。ここで、ハット記号(^)は上記モデルを用いた予測値であることを表す。
Figure 2016120996
次に、ステップS2として、上記クレーンモデル34([数8]参照)における係数行列の離散化を行い、離散化した係数行列A、B、Cを導出する。尚、この演算における添字tは離散的な時間を表す。
次に、ステップS3として、現時点(t時刻)における内部状態の推定結果から、Δt時間後(t+Δt時刻)における内部状態と観測値を以下の通り予測する。尚、Δtは制御演算周期を表す。ここで、制御入力にはトロリ7への横行操作速度指令Vrefではなく、トロリ7の実際の速度であるセンサ検出値Vfbを用いる。初期演算時の内部状態としては上記[数12]の値を用いる。
Figure 2016120996
さらに、ステップS4として、Δt時間後(t+Δt時刻)における内部状態と観測値の共分散を予測する。ここで、各共分散にはプロセスノイズ、観測ノイズが含まれるため、共分散の予測値は以下の通りとなる。
Figure 2016120996
ステップS5として、内部状態の修正量の重みとなるカルマンゲインKt+Δtを算出する。このカルマンゲインは上記[数15]で算出した共分散から構成され、プロセスノイズを含む。
Figure 2016120996
ステップS6として、内部状態を予測した観測値と、実際の観測値とから、内部状態の推定値を下記[数17]により更新する。ここで更新した推定値は、次の演算周期のステップS3において代入される。
Figure 2016120996
さらにステップS7として、内部状態の共分散を以下の[数18]により更新する。ここで更新した推定値は、次の演算周期のステップS4において代入される。
Figure 2016120996
ステップS7までの演算が終了したら、ステップS2に戻り、内部状態およびその共分散を修正しながらステップS2からS7までの工程を上記演算周期で繰り返す。これにより、吊り荷8の振れ角θをリアルタイムで正確に推定することができる。
図9は、グラブバケット式アンローダの実験機において、上記工程により予測した吊り荷の振れ角のデータと、実際の振れ角のデータとを比較して示す線図である。尚、本比較検証試験に用いた実験機は、グラブバケット式アンローダの実機のサイズを縮小して製作したスケールダウン型のものである。一点鎖線で示されるのがシーブ荷重検出器25から入力される荷重信号25aに基づく推定振れ角θであり、破線で示されるのが推定振れ角θから上記カルマンフィルタ処理工程により予測した振れ角予測値
Figure 2016120996

である。実線はシーブ荷重検出器(ロードセル)25とは別のセンサにより検出した振れ角を示しており、これが真値であると仮定することができる。破線で示される振れ角予測値は、実線で示される真値とよく適合していることがわかる。このように、本実施例においては、巻上シーブ17,17'や開閉シーブ21,21'にかかる張力から吊り荷8の振れ角を推定し、さらにカルマンフィルタ33による処理を行って吊り荷8の振れ角を予測しているので、上記特許文献1、2等に記載されているような複雑な機構や高価な機器を用いることなく、単純で安価な機器により吊り荷8の振れ角を精度良く予測することができる。しかも、カルマンフィルタ33はトロリ式クレーンをばねマスダンパの1質点系モデルと仮定した数式モデル34に対して設計されるので、簡単なクレーンモデル34で精度の高い振れ角予測値を得ることができる。
カルマンフィルタ33を用いた上記工程により得られた振れ角θの予測値(上記[数19])を利用し、上記クレーンモデル34に対して、吊り荷の吊下ロープ長lの変動に対応したゲインスケジュールH制御器35(図4参照)を導出し、該ゲインスケジュールH制御器35により振れ止めフィードバック制御速度指令ufbを生成する(図4参照)。ゲインスケジュールH制御器35の導出は、LTI(線形時不変)端点制御器を補間してスケジューリングを行う端点法と呼ばれる定式化された手法により行う。
ゲインスケジュールH制御器35は、LPV(線形パラメータ変動系)モデルを導出し、該LPVモデルに対してLMI(線形行列不等式)を用いて求められる。
LPVモデルの導出について以下に説明する。まず、[数6][数7]より、制御対象であるトロリ式クレーンの速度制御入力モデルの状態方程式および出力方程式は、以下の[数20]で表すことができる。
Figure 2016120996

尚、
Figure 2016120996

は零行列である。
ここで、LMIに基づくゲインスケジュールH制御器35を設計する上で、制御入力行列Bppは不変でなければならないという制約がある。しかし、Bppは吊下ロープ長lを成分として含んでおり、この吊下ロープ長lは変動パラメータであり、上記[数20]をゲインスケジュールH制御器35にそのまま使用することはできない。そこで、上記[数20]の速度制御入力モデルに対して1次のローパスフィルタ(LPF)を図10に示すように加味する。これにより、上記[数20]は以下に示す拡大系の状態方程式および出力方程式で表現でき、LPFの係数行列
=0
により入力行列Bを不変とすることができる。
Figure 2016120996
拡大プラントのシステム行列Aに行列Bppのパラメータ変動を含めた上記[数22]を制御設計モデルとし、これに対してLPVモデルを導出する。
上記[数22]中のシステム行列Aは、同行列の(4,1)成分であるパラメータZの定数倍である変動成分と、その他の定数成分に分けられ、以下のように表せる。
Figure 2016120996
よって、上記[数22]の状態方程式は、[数23]のシステム行列Aを用い、LPVモデルとして下記[数24]のように式変形できる。尚、AS0は行列AからZによって変動する成分を取り除いた定数項のみを集めた行列であり、Aは行列AからAS0を除くZの係数のみに依存する行列である。
Figure 2016120996
上記[数24]で定義されるLPVモデルP(Z)に対して、H端点制御器Ki(i=1,2)を導出する。H端点制御器Kを導出するにあたっては、まず一般化プラントを図11のように定義する。W、W、Dは制御仕様を設計に反映させるための設計パラメータ(周波数重み)であり、それぞれ次の意味を持つ。Wは、数学モデルと実機との誤差であるモデル化誤差を補うための重み付けである。W(Ws1、Ws2)は、トロリの位置決め、吊り荷の振れ止めに対する重み付けである。Dは、標準H制御の仮定を満たすために導入している。w、wはそれぞれ外乱および仮想的な観測ノイズを示し、z、zは制御量を示す。
端点制御器Kの導出とは、図11の一般化プラントの一巡伝達関数をG(s)としたとき、仮想的な外乱wから制御量z、zまでのHノルムを1未満とする以下の不等式(H制御問題)を解くことである。
Figure 2016120996
ここで、wからzまでの伝達関数は以下の通りとなる。
Figure 2016120996
は相補感度関数と呼ばれるもので、以下の式を満たすことでロバスト安定性が満たされるとされる。
Figure 2016120996
wからzまでの伝達関数は以下の通りとなる。
Figure 2016120996
は整定関数と呼ばれるもので、これが小さいほど応答性が良いとされる。なるべく小さな定数をγとした以下の式を満足させるよう制御器を設計する。
Figure 2016120996
[数26]〜[数29]により、[数25]は以下のように書き換えることができる。
Figure 2016120996
設計パラメータW、Wについては、最初に適当に決定した値で一義的に制御器Kを導出し、閉ループ系の数値シミュレーションや実験応答により、最終的なW、Wを決定する。W、Wが決定すると、設計プログラムにより連続時間系のH端点制御器K、Kが以下の式で定まるので、この制御器K、Kを制御装置に実装する。
Figure 2016120996
上で求めた連続時間系の制御器Kを制御装置27に実装し、吊り荷8の吊下ロープ長lに依存するパラメータZを用いて、制御周期毎に以下の式の凸補間による線形補間によりゲインスケジューリングを行う。これにより、リアルタイムでゲインスケジュールH制御器Kを求める。
Figure 2016120996
尚、ここで求められるゲインスケジュールH制御器Kは連続時間制御器であるため、ゲインスケジュール演算と同時に制御装置の制御周期Δt毎に離散化する必要がある。離散時間制御器をパデ近似により求め、所望の離散時間ゲインスケジュールH制御器Kを導出する。この離散時間制御器Kを通すことにより、振れ止めフィードバック制御速度指令ufbが生成される。
実設計において、上記[数31]の連続時間系のH端点制御器を導出するにあたっては、制御設計ソフトのMatlab(登録商標)を利用することができる。これにより、[数31]の連続時間H端点制御器K、Kがバイナリファイル形式で得られるので、このバイナリファイルを制御装置27に実装し、上記演算を制御装置27において制御周期ごとに行うことで、ゲインスケジュールH制御器35として最終的な離散時間制御器Kが求まる。
このようにしてゲインスケジュールH制御器35の導出により生成された振れ止めフィードバック制御速度指令ufbは、図4に示す如く、線形結合制御部36においてトロリ7への横行操作速度指令Vrefと所定の割合で線形結合され、振れ止め制御速度指令uが生成される。振れ止め制御速度指令uは制御装置27から制御信号27aとしてインバータ32に出力され、制御信号27aの入力を受けたインバータ32がモータ31を介して前記ウインチドラムを駆動する。これにより、トロリ7の横行速度を指令速度に保ちながら吊り荷8の振れ角を零に収束させることができる。
上記した振れ止め制御の効果を検証した試験結果の一例を図12に示す。図12は、上述のグラブバケット式アンローダのスケールダウン型の実験機を用いて振れ止め制御の効果を検証したデータであり、トロリ式クレーンであるグラブバケット式アンローダの実験機において、吊り荷であるグラブバケット8を海側(ハッチ領域、図1における運搬船9の上空付近)から陸側(ホッパ領域、図1におけるホッパ10の上空付近)まで、振れ止め制御を用いた運転により往復させた場合の挙動を示している。(a)がトロリ7やグラブバケット8に対する速度指令、(b)がトロリ7の横行位置、(c)が吊り荷であるグラブバケット8の振れ角をそれぞれ示している。
本試験では、Time=0[sec]の時点においてトロリ7はハッチ領域((b)における14m付近の位置)にあり、グラブバケット8には初期振れがある。この状態から、トロリ7を陸側のホッパ領域に向けて横行させる。Time=5[sec]からTime=約15[sec]にかけて、(a)に示す如くトロリ7に対して速度指令が与えられ、該速度指令に従い、(b)に示す如くトロリ7はホッパ領域((b)における5m付近の位置)へ近づく。
ここで、本試験では、トロリ7がハッチ領域に近づいたTime=約13[sec]付近の時点からトロリ7の減速を開始し、この減速時に(a)に実線で示す如く、トロリ7に対して振れ止め制御を実施している。すると、Time=約13[sec]からTime=約15[sec]にかけて、(c)に示す如く、グラブバケット8の振れ角は速やかに零へと収束し、トロリ7がホッパ領域に到達するTime=15[sec]付近の時点では、グラブバケット8の振れ角はほぼ零となっている。
トロリ7がホッパ領域に到着した後、本試験では、Time=約15[sec]からTime=約20[sec]にかけて、グラブバケット8の開き動作を行っている。この間も、トロリ7に対して振れ止め制御を行うことで、グラブバケット8の振れ角をほぼ零に保っている。
次に、Time=約20[sec]の時点から、トロリ7をホッパ領域からハッチ領域へ横行させる。(c)に示す如く、Time=約20[sec]付近の時点でトロリ7の横行開始に伴いグラブバケット8に振れ角が発生するが、Time=約24[sec]付近の時点から、トロリ7の減速を行うと同時に振れ止め制御を実施すると、グラブバケット8の振れ角は速やかに零へと収束し、トロリ7がハッチ領域へ到達するTime=約27[sec]付近の時点では、振れ角は再びほぼ零となる。
このように、吊り荷に初期振れがある状態からでも、ホッパ領域またはハッチ領域への到着時点で、荷役がスムーズに実行できる許容振れ幅の範囲にまで吊り荷の振れを即座に低減できており、上述の振れ止め制御の十分な効果を確認することができる。尚、吊り荷に初期振れがない場合には、当然ながら初期振れがある場合以上の効果を確認できる。
このように、本実施例においては、ガーダ5やブーム6上を横行するトロリ7と、該トロリ7から複数のロープ(巻上ロープ16,16'、開閉ロープ20,20')により吊り下げられる吊り荷8と、前記複数のロープを駆動しトロリ7を横行させるウインチドラム(巻上ドラム15,15'、開閉ドラム19,19')とを備えたトロリ式クレーンの振れ止め制御方法に関し、前記複数のロープの途中に各々備えられたシーブ(巻上シーブ17,17'、開閉シーブ21,21')にシーブ荷重検出器25を取り付けて前記ロープの張力を検出し、該張力から推定振れ角θを算出し、該推定振れ角に対してカルマンフィルタ33による処理を行って吊り荷8の振れ角予測値を算出し、該振れ角予測値を用いてトロリ7に対し前記吊り荷8の振れを抑えるフィードバック制御を行うので、単純で安価な機構により、吊り荷8の振れ角を精度良く予測することができる。
また、本実施例においては、トロリ式クレーンをばねマスダンパの1質点系モデルと仮定して定義した数式モデル34に対して前記カルマンフィルタ33を設計するので、単純な数式モデル34で精度の高い振れ角予測値を得ることができる。
また、本実施例においては、前記振れ角予測値に加え、トロリ7の横行位置x、トロリ7の横行方向速度V、吊り荷8の吊下ロープ長lを用いてゲインスケジュールH制御器35を導出し、該ゲインスケジュールH制御器35によりトロリ7に対する振れ止め制御速度指令uを求めるので、システム全体に対して外乱やモデル化誤差を考慮したロバストな制御系を構築できる。
また、本実施例においては、ゲインスケジュールH制御器35からの振れ止めフィードバック制御速度指令ufbと、トロリ7に対する横行操作速度指令Vrefとを線形結合した振れ止め制御速度指令uによりトロリ7の制御を行うので、トロリ7への横行操作速度指令Vrefに基づいてトロリ7を横行させながら、吊り荷8の推定振れ角θをもとに吊り荷8の振れ角を零に収束させることができる。
従って、上記本実施例によれば、コストやメンテナンスの問題を低減しつつ、吊り荷に対して好適に振れ止め制御を行い得る。
尚、本発明のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、上記実施例ではグラブバケット式アンローダを例にとって説明したが、トロリ式クレーンであれば各形式のクレーンに対して適用し得ること等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
5 ガーダ
6 ブーム
7 トロリ
8 吊り荷(グラブバケット)
15,15' ウインチドラム(巻上ドラム)
16,16' ロープ(巻上ロープ)
17,17' シーブ(巻上シーブ)
19,19' ウインチドラム(開閉ドラム)
20,20' ロープ(開閉ロープ)
21,21' シーブ(開閉シーブ)
25 シーブ荷重検出器
26 吊り荷現状位置検出器
27 制御装置
33 カルマンフィルタ
34 数式モデル
35 ゲインスケジュールH制御器

Claims (8)

  1. ガーダやブーム上を横行するトロリと、該トロリから複数のロープにより吊り下げられる吊り荷と、前記複数のロープを駆動し前記トロリを横行させるウインチドラムとを備えたトロリ式クレーンの振れ止め制御方法であって、
    前記複数のロープの途中に各々備えられたシーブにシーブ荷重検出器を取り付けて前記ロープの張力を検出し、該張力から推定振れ角を算出し、該推定振れ角に対してカルマンフィルタによる処理を行って吊り荷の振れ角予測値を算出し、該振れ角予測値を用いて前記トロリに対し前記吊り荷の振れを抑えるフィードバック制御を行うことを特徴とするトロリ式クレーンの振れ止め制御方法。
  2. トロリ式クレーンをばねマスダンパの1質点系モデルと仮定して定義した数式モデルに対して前記カルマンフィルタを設計することを特徴とする請求項1に記載のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法。
  3. 前記振れ角予測値に加え、前記トロリの横行位置、前記トロリの横行方向速度、前記吊り荷の吊下ロープ長を用いてゲインスケジュールH制御器を導出し、該ゲインスケジュールH制御器により前記トロリに対する振れ止めフィードバック制御速度指令を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法。
  4. 前記ゲインスケジュールH制御器からの振れ止めフィードバック制御速度指令と、前記トロリに対する横行操作速度指令とを線形結合した振れ止め制御速度指令により前記トロリの制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のトロリ式クレーンの振れ止め制御方法。
  5. ガーダやブーム上を横行するトロリと、該トロリから複数のロープにより吊り下げられる吊り荷と、前記複数のロープを駆動し前記トロリを横行させるウインチドラムとを備えたトロリ式クレーンの振れ止め制御装置であって、
    前記複数のロープの途中に各々備えられたシーブと、
    該シーブに取り付けられて前記ロープの張力を検出するシーブ荷重検出器と、
    前記ロープの張力から推定振れ角を算出し、該推定振れ角に対してカルマンフィルタによる処理を行って吊り荷の振れ角予測値を算出し、該振れ角予測値を用いて前記トロリに対し前記吊り荷の振れを抑えるフィードバック制御を行うよう構成された制御装置と
    を備えたことを特徴とするトロリ式クレーンの振れ止め制御装置。
  6. トロリ式クレーンをばねマスダンパの1質点系モデルと仮定して定義した数式モデルに対して前記カルマンフィルタを設計し、前記制御装置に実装したことを特徴とする請求項5に記載のトロリ式クレーンの振れ止め制御装置。
  7. 前記トロリの横行位置や前記吊り荷の吊下げロープ長を検出する吊り荷現状位置検出器を備え、前記振れ角予測値に加えて前記トロリの横行位置、前記トロリの横行方向速度、前記吊り荷の吊下ロープ長を用いてゲインスケジュールH制御器を導出し、該ゲインスケジュールH制御器により前記トロリに対する振れ止めフィードバック制御速度指令を求めるよう前記制御装置を構成したことを特徴とする請求項5又は6に記載のトロリ式クレーンの振れ止め制御装置。
  8. 前記ゲインスケジュールH制御器からの振れ止めフィードバック制御速度指令と、前記トロリに対する横行操作速度指令とを線形結合した振れ止め制御速度指令により前記トロリの制御を行うよう前記制御装置を構成したことを特徴とする請求項7に記載のトロリ式クレーンの振れ止め制御装置。
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