JPH11236185A - 吊荷運搬装置 - Google Patents

吊荷運搬装置

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JPH11236185A
JPH11236185A JP3773898A JP3773898A JPH11236185A JP H11236185 A JPH11236185 A JP H11236185A JP 3773898 A JP3773898 A JP 3773898A JP 3773898 A JP3773898 A JP 3773898A JP H11236185 A JPH11236185 A JP H11236185A
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JP
Japan
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shake
primary
displacement
trolley
speed
Prior art date
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Withdrawn
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JP3773898A
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English (en)
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Tadaaki Monzen
唯明 門前
Susumu Kono
進 河野
Noriaki Miyata
紀明 宮田
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吊荷の振れ止め制御能率および性能の向上が
図り、吊荷の運搬を他物との干渉なくかつ迅速化可能に
する。 【解決手段】 1次振れ検出部22、吊荷Kの振れ変
位,トロリ2の位置およびトロリ2の速度の各検出値
と、運転員により設定されたトロリ目標速度設定値とを
入力として、1次振れ変化および1次振れ速度を位相遅
れなく検出させ、制御演算部20に、トロリ2の位置,
トロリ2の速度,トロリ目標設定値と1次振れ変位およ
び1次振れ速度とにもとづいて、振れ止めのためのトロ
リ制御値を演算させ、この演算結果に従ってトロリ駆動
装置7を制御させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、吊荷の振れ止め
機能を有する吊荷運搬装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は従来の吊荷運搬装置を示す構成図
であり、同図において、1はレール、2はレール上を横
行(図では左右方向に)するトロリ、3はトロリ2に吊
持されたロープ、4はロープ3端に吊持された滑車、5
aは滑車4の下端に設けられて、リフタ6の上端に設け
られたフック5bに係合するフックである。従って、リ
フタ6は滑車4の下部に揺動可能に吊持されている。
【0003】また、7はトロリ2に設けられたトロリ駆
動装置で、これにトロリ位置検出手段(図示しない)お
よびトロリ速度検出手段(図示しない)が設けられてい
る。8はトロリ2の底面に取り付けられて滑車4上のマ
ーク9を撮影して、滑車4とリフタ6とからなる吊荷K
の振れ変位を検出するカメラ、10は操作盤、12は運
転員によって操作盤10から出力されるトロリ目標速度
設定信号であるノッチ指令信号、11はこのノッチ指令
信号およびトロリ2側からの振れ変位検出信号13,ト
ロリ位置検出信号14,トロリ速度検出信号15にもと
づいて、振れ止め可能なトロリ速度指令信号16を、前
記トロリ駆動装置7へ出力する制御装置である。
【0004】かかる従来の吊荷運搬装置では、トロリ2
をレール1に沿って右から左に横行させるように加速す
ると、吊荷Kは慣性力によって、図の右側である後方へ
振れる。そして、一定距離を移動した後、トロリ2を減
速すると、吊荷Kは慣性力によって、今度は、図の左側
である前方に振れる。
【0005】そこで、このような吊荷Kの振れを、滑車
4上のマーク9をカメラ8で検出し、この検出した振れ
変位検出信号、前記トロリ位置検出信号,トロリ速度検
出信号およびノッチ指令信号にもとづいて、トロリ2の
走行による吊荷Kの振れを抑えるようなトロリ速度指令
信号を、制御装置11において、演算により求め、この
トロリ速度指令信号を前記トロリ駆動装置7へ入力する
ことで、前記吊荷Kの振れを抑制制御することができ
る。
【0006】図9は前記制御装置11の詳細を示すブロ
ック図である。同図において、17は前記3つの検出信
号とトロリ速度指令信号をデジタル変換するA/D変換
部、18はA/D変換部17の出力のうち高周波成分を
除去するローパスフィルタ、19はローパスフィルタ1
8の出力から振れ速度を算出する微分演算部、20は前
記A/D変換部17からのノッチ指令信号,トロリ速度
信号,トロリ位置信号と、ローパスフィルタ18からの
1次振れ(長周期の振れ)変位信号と、微分演算部19
からの1次振れ速度信号とにもとづいて、振れ止めのた
めのトロリ速度指令信号を求め出力する制御演算部、2
1はこのトロリ速度指令信号をアナログ変換してトロリ
速度指令出力を得るD/A変換部である。
【0007】ところで、前記吊荷Kは、トロリ2の横行
時の加減速によって、図8に示すような振れを発生す
る。これは、ロープ3と吊荷Kによる長周期の振子運動
が主であるが、滑車4とリフタ6とはフック5a,5b
を介して接続された2重剛体振子となっているため、前
記1次振れとともにリフタ6の慣性モーメントによる短
周期の振れ(2次振れ)も発生する。この2次振れは、
1次振れに比べて振幅は極めて小さく、自由減衰も大き
いので、1次振れを止めるという振れ止め制御の観点か
らさほど重要ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
吊荷運搬装置にあっては、前記2次振れの振動が滑車つ
まりマーク9位置にも影響を及ぼすため、カメラ8が1
次振れに高周波の2次振れを加えた形で振れ変位を検出
し、2次振れのみを検出することはできない。そして、
振れ止め制御は1次振れに対して減衰を与える制御であ
り、高周波振動に対しては、むしろ加振による悪影響を
及ぼすという課題があった。
【0009】一方、これに対し、振れ変位信号に対し
て、2次振れによる高周波振動をカットするローパスフ
ィルタ18を前記のように設けているが、図10(a)
に示すような、1次振れと2次振れの合成である振れ変
位検出信号に対して、ローパスフィルタ18を通過させ
2次振れ分を低減した後の振れ変位信号は、図10
(b)に示すようになり、この結果、図10(c)に示
すように、1次振れに対して位相遅れtが加わって、結
果的に振れ止めに長い時間がかかってしまい、振れ止め
の収束性能の劣化を招いているという課題があった。
【0010】この発明は前記課題を解決するものであ
り、吊荷の振れ止め制御能率および性能の向上が図れる
とともに、これによって、吊荷の運搬を他物との干渉な
くかつ迅速化できる吊荷運搬装置を得ることを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的達成のために、
請求項1の発明にかかる吊荷運搬装置は、1次振れ検出
部に、前記吊荷の振れ変位,前記トロリの位置および前
記トロリの速度の各検出値と運転員により設定されたト
ロリ目標速度設定値とを入力として、1次振れ変位およ
び1次振れ速度を位相遅れなく検出させ、制御演算部
に、前記トロリの位置,前記トロリの速度および前記ト
ロリ目標速度設定値と、前記1次振れ変位および前記1
次振れ速度とにもとづいて、前記振れ止めのためのトロ
リ制御値を演算させ、この演算結果に従ってトロリ駆動
装置を制御させるようにしたものである。
【0012】また、請求項2の発明にかかる吊荷運搬装
置は、前記1次振れ検出部に、前記吊荷の振れ変位の検
出信号の中から設定周波数以上の2次振れ変位の信号を
通過させるハイパスフィルタと、該ハイパスフィルタの
出力にもとづき、2次振れ固有振動数の推定計算を実行
するオブザーバと、該オブザーバで推定計算した2次振
れ固有振動数にもとづき、前記振れ変位の検出信号から
2次振れ固有振動数の帯域のみを除去するノッチフィル
タのパラメータを計算するパラメータ計算部とを設け、
前記ノッチフィルタが出力する1次振れ変位および該1
次振れ変位を微分して得られる1次振れ速度を前記制御
演算部へ入力するようにしたものである。
【0013】また、請求項3の発明にかかる吊荷運搬装
置は、前記1次振れ検出部に、事前計測によりコイル情
報およびロープ長ごとの2次振れ固有振動数を格納した
数値テーブルと、該数値テーブルから得られた2次振れ
固有振動数にもとづき、前記振れ変位の検出信号から2
次振れ固有振動数の帯域のみを除去するノッチフィルタ
のパラメータを計算するパラメータ計算部とを設け、前
記ノッチフィルタが出力する1次振れ変位および該1次
振れ変位を微分して得られる1次振れ速度を前記制御演
算部へ入力するようにしたものである。
【0014】また、請求項4の発明にかかる吊荷運搬装
置は、前記1次振れ検出部に、吊荷の振れに応じた複数
の振れ変位検出信号を入力として得た各出力信号振幅を
比較して、最大振幅となるものの固有振動数を2次振れ
固有振動数として出力する複数のバンドパスフィルタ
と、該バンドパスフィルタから得られた2次振れ固有振
動数にもとづき、前記振れ変位の検出信号から2次振れ
固有振動数の帯域のみを除去するノッチフィルタのパラ
メータを計算するパラメータ計算部とを設け、前記ノッ
チフィルタが出力する1次振れ変位および該1次振れ変
位を微分して得られる1次振れ速度を前記制御演算部へ
入力するようにしたものである。
【0015】また、請求項5の発明にかかる吊荷運搬装
置は、クレーンよりロープを介して吊り下げたコンテナ
を運搬する吊荷運搬装置において、1次振れ検出部に、
前記コンテナの振れ変位,前記クレーンの位置および前
記クレーンの速度の各検出値と運転員により設定された
クレーン目標速度設定値とを入力として、1次振れ変化
および1次振れ速度を位相遅れなく検出させ、制御演算
部に、前記クレーンの位置,前記クレーンの速度および
前記クレーン目標速度設定値と、前記1次振れ変位およ
び前記1次振れ速度とにもとづいて、前記振れ止めのた
めのクレーン制御値を演算し、この演算結果に従ってク
レーン駆動装置を制御させるようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の一形態
を図について説明する。図2はこの発明の吊荷運搬装置
の全体を示す構成図であり、これが図8に示したものと
異なるところは、前記制御装置11に代えて1次振れ検
出部を有する制御装置110を用いた点である。この制
御装置110は、図1に示すように、前記1次振れ検出
部22を有し、これにより、振れ信号中の2次振れ成分
を除去した1次振れの変位と速度を位相遅れなく検出し
て、前記制御演算部20に入力するものである。なお、
この制御演算部20では前記同様の演算を行って、トロ
リ駆動力指令信号を算出し、D/A変換部21でアナロ
グ信号に変換した後、トロリ駆動装置7にトロリ速度指
令出力として入力し、吊荷Kの振れ止めを行う。
【0017】図3は前記1次振れの変位と速度を検出す
る1次振れ検出部22の詳細を示すブロック図であり、
23は所定周波数以上の2次振れ成分を通過させるハイ
パスフィルタ、24はその2次振れ成分にもとづき2次
振れ固有振動数の推定計算を行うオブザーバ、25はそ
の2次振れ固有振動数の推定値にもとづいて、前記振れ
変位の検出信号から2次振れ固有振動数の帯域のみを除
去するノッチフィルタ26のパラメータを計算するパラ
メータ計算部、27は1次振れ変位を微分して1次振れ
速度を求める微分回路である。
【0018】かかる1次振れ検出部22では、A/D変
換部17でデジタル変換した振れ変位検出信号を、図4
に示すようなゲイン特性を持つ5次のバタワース型のハ
イパスフィルタ23に入力し、このハイパスフィルタ2
3で0.5Hz以上の2次振れ信号を通過させ、0.2
Hz以下の1次振れは除去する。なお、このハイパスフ
ィルタ23を通過した2次振れ信号は位相遅れが大き
く、従って、2次振れ相当の変位信号となる。
【0019】続いて、オブザーバ24では、ハイパスフ
ィルタ23通過後の2次振れ相当変位に対応する2次振
れ固有振動数の推定計算を行う。前記オブザーバ24は
図5に示す通りであり、同図において、ベクトルCおよ
びベクトルDは定数列ベクトル、ベクトルKはオブザー
バゲイン、ベクトルGk およびベクトルHk は行列であ
る。このオブザーバ24の動作は次の通りである。ま
ず、前時刻であるk−1時刻に推定計算したk時刻の状
態推定量ベクトルxk を、便宜上後述のオブザーバの設
計方法の説明との整合性をとるためベクトルxk/k-1
する。
【0020】
【数1】
【0021】x1,k/k-1 ,x2,k/k-1,ωk/k-1 は各々
k−1時刻に推定したk時刻の2次振れ相当の変位,速
度,固有振動数の推定値である。これを使って行列のベ
クトルGk ,ベクトルHk の各要素の値を以下の式
(2),(3)より計算する。
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】
【0024】 g11=f11,k/k-1 …(4) g12=f12,k/k-1 …(5)
【0025】
【数4】
【0026】 g21=f21,k/k-1 …(7) g22=f22,k/k-1 …(8)
【0027】
【数5】
【0028】 g31=0 …(10) g32=0 …(11) g33=0 …(12)
【0029】
【数6】
【0030】
【数7】
【0031】ここで、f11,k/k-1,f12,k/k-1,f
21,k/k-1,f22,k/k-1,は以下に示すf 11,k,f12,k
21,k,f22,k,のωk にωk/k-1 の値を入れて計算す
るものである。
【0032】 f11,k =1−(1/2)ωk 2τ2 +(1/3) ζωk 3τ3 …(15) f12,k =τ−ζωkτ2−(1/6) ωk 2τ3 +(2/3) ζ2ωk 3τ3 …(16) f21,k =−ωk 2τ+ζωk 3τ2 +(1/6) ωk 4τ3 …(17) f22,k =1−2ζωkτ-(1/2)ωk 2τ2+2ζ2ωk 2τ2+(2/3)ζωk 3τ3 −(4/3)ζ3ωk 3τ3 …(18)
【0033】ここで、ζは2次振れ自由減衰率、τはサ
ンプリング周期である。続いて、以下の計算を、式(1
9)から式(20)にもとづいて行う。
【0034】
【数8】
【0035】
【数9】
【0036】
【数10】
【0037】ここで、ベクトルxk はk−1時刻に推定
したk時刻の状態の状態推定量であり、各要素は2次振
れ相当の変位,速度および固有振動数の推定量である。
微分値xk はハイパスフィルタより得られた2次振れ相
当変位そのものである。ベクトルCは[1,0,0]の
定数列ベクトル、Dは[0,0,1]の定数列ベクトル
である。ベクトルKは状態推定が安定かつ速やかに収束
するように設定した定数行列であるオブザーバゲインで
ある。こうして得られた2次振れ相当変位の固有振動数
推定値ωk は、ハイパスフィルタ23によって位相はず
れるものの固有振動数は変わらないため、すなわち、2
次振れ固有振動数を推定したことになる。
【0038】次に、2次振れ固有振動数推定値ωk を使
って、振れ変位検出信号13から2次振れ固有振動数の
帯域のみを除去するノッチフィルタのパラメータを以下
の式(23)から式(28)にもとづいて計算する。 d2 ={(2/τ)2 +2ξωk (2/τ)+ωk 2} …(22) n2 ={(2/τ)2 +ωk 2}/d2 …(23) n1 ={−2(2/τ)2 +2ωk 2}/d2 …(24) n0 ={(2/τ)2 +ωk 2}/d2 …(25) d1 ={−2(2/τ)2 +2ωk 2}/d2 …(26) d0 ={(2/τ)2 −2ξωk (2/τ)+ωk 2}/d2 …(27) ここでτは制御演算周期、ξは調整パラメータで、例え
ば定数値0.2である。
【0039】そして前記パラメータを使って、式(2
8)のノッチフィルタの演算を行う。 yk =n2k+n1k-1+n0k-2−d1k-1−d2k-2 …(28) ここでuk がノッチフィルタ処理前、すなわち振れ変位
検出信号13で、yk がノッチフィルタ後、すなわち2
次振れ成分を除去したことによる1次振れ変位である。
なお、式(28)で表したノッチフィルタは、例えば2
次振れ固有振動数ωk が0.7×2π(rad/s)で
あった場合は、図6に示す周波数特性を有する。すなわ
ち、0.7Hzの振動成分に対しては振幅を1%以下に
低減し、0.2Hzの1次振れ成分に対しては、図6
(a)に示すように振幅低減なく、かつ図6(b)に示
すように位相遅れなく通過させることを示している。そ
して最後に抽出した1次振れ変位に対して微分演算を行
い1次振れ速度を算出する。
【0040】次に、前記したオブザーバ24の設計方法
を説明する。ここでの説明はオブザーバ24を事前に机
上設計する際の方法についての説明であり、本発明の1
次振れ検出部22でリアルタイムに演算させる前記式
(2)から式(21)の導出方法を示すものである。ま
ず、2次振れのダイナミクスは、式(29)から式(3
1)に示す通りである。
【0041】
【数11】
【0042】
【数12】
【0043】
【数13】
【0044】ここでxは2次振れ相当変位、微分値xは
2次振れ相当速度、ωは2次振れ固有振動数、ζは2次
振れ自由減衰率である。ここでx,微分値xを2次振れ
相当と書いたのは振れ検出信号をハイパスフィルタ23
に通して2次振れ成分を抽出した結果、位相が実際の2
次振れよりも大きく遅れているためである。離散系表現
すると、式(32)から式(36)に示すようになる。
ここで、f11,k,f12 ,k,f21,k,f11,kは式(15)
から式(18)に示す通りである。
【0045】
【数14】
【0046】
【数15】
【0047】
【数16】
【0048】 x1,k =xK …(35)
【0049】
【数17】
【0050】なお、2次振れ固有振動数ωk は、ロープ
長,搬送コンテナ有無,コンテナ寸法および重量によっ
て変化するため、式(32)から式(36)は時変つま
り非線形の状態方程式である。添字のkはk時刻での数
値または変数であることを示す。τはサンプリング周期
である。この状態方程式のもと観測される2次振れ相当
変位微分値xk を使って、2次振れ固有振動数ωk を推
定する問題を考える。まず、ωk を状態変数化し状態方
程式の線形化を行う。式(32)から式(36)に対し
て1次オーダまでのTaylor展開を行うと、式(3
7)および式(38)になる。
【0051】
【数18】
【0052】
【数19】
【0053】ここで、添字のk/k−1とはk−1時刻
に推定した次時刻kの状態推定値のことである。従って
式(37),式(38)の右辺は、1項目のx1,k 、2
項目のx2,k ,3項目のω2 のみが変数であり、他は定
数である。状態方程式の形で表現すると、式(39)か
ら式(42)のようになる。
【0054】
【数20】
【0055】
【数21】
【0056】
【数22】
【0057】
【数23】
【0058】また、観測量は2次振れ相当変位x1,k
あるから、観測方程式は式(43)になる。
【0059】
【数24】
【0060】つまり、新たにω2 を状態変数として追加
し、状態量を拡張した線形の状態方程式および観測方程
式が導出できたことになる。こうして、2次振れ固有振
動数ω2 の推定は、状態方程式および観測方程式が式
(39)から式(43)で与えられる線形的システムの
状態推定問題に帰着できる。システムが線形であるか
ら、状態推定にオブザーバ24が適用できる。このオブ
ザーバ24の演算式を書き表わすと式(44)から式
(46)のようになる。
【0061】
【数25】
【0062】
【数26】
【0063】
【数27】
【0064】以上がオブザーバである式(2)から式
(22)の導出過程を示す理論説明である。このよう
に、この発明では、図7(a)に示すような1次振れお
よび2次振れを含む振れ変位検出信号から、1次振れ検
出部22によって図7(b)に示すような1次振れ変位
が検出され、1次振れ検出開始時の最初の数秒間を除い
ては、2次振れ成分はほぼ完全に除去できており、しか
も位相遅れも図7(c)に示すよう生じていない。これ
により、振れ止めを開始した10秒地点より、1次振れ
は速やかに収束している。この結果、振れ止め時間が短
くなり、荷役時間を短縮することができる。
【0065】なお、前記実施の形態では、1次振れ検出
における2次振れ固有振動数の推定に、オブザーバ24
を用いた場合を説明したが、事前計測によりコイル情報
(重量と寸法)とロープ長ごとに数値テーブル化した2
次振れ振動数を用いることもできる。これにより振れ止
め制御を行う際は、上位計算機からコイル情報を受信
し、またロープ長は巻取りロールのエンコーダで検出
し、これらを用いて数値テーブルから所定の2次振れ振
動数を読み取り、これをパラメータ計算部25へ入力す
ることで、前記同様に、ノッチフィルタ26を介して1
次振れ変位および1次振れ速度を出力できる。
【0066】また、オブザーバ24の代わりに、コンテ
ナクレーンの吊荷の振れ検出信号からのロッキング振動
成分除去を対象とした特願平9−62291号の技術を
利用して、2次振れ振動数変化範囲に多数のバンドパス
フィルタを設けて、これに振れ検出信号を通して得た各
出力信号振幅を見比べて、最大振幅が得られるバンドパ
スフィルタの固有振動数を2次振れ振動数とすることも
できる。
【0067】さらに、前記実施の形態では天井クレーン
の吊荷Kの2次振れを除去することにより、1次振れの
振れ止めを行う場合を示したが、コンテナクレーンの吊
荷であるコンテナの振れ検出信号に加わる高周波のロッ
キング振動成分を除去して振れ止めを行う場合にも全く
同様に適用できる。
【0068】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、1次
振れ検出部に、前記吊荷の振れ変位,前記トロリの位置
および前記トロリの速度の各検出値と運転員により設定
されたトロリ目標速度設定値とを入力として、1次振れ
変位および1次振れ速度を位相遅れなく検出させ、制御
演算部に、前記トロリの位置,前記トロリの速度および
前記トロリ目標設定値と、前記1次振れ変位および前記
1次振れ速度とにもとづいて、前記振れ止めのためのト
ロリ制御値を演算させ、この演算結果に従ってトロリ駆
動装置を制御させるように構成したので、1次振れを速
やかに収束でき、これによりトロリやクレーンに吊持し
た吊荷の振れ止め時間を短く抑えることができ、その結
果として、荷役作業能率の向上を図ることができるとい
う効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の一形態による吊荷運搬装置
の制御装置を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の一形態による吊荷運搬装置
の全体を示す構成図である。
【図3】 図1における1次振れ検出部の詳細を示すブ
ロック図である。
【図4】 図3におけるハイパスフィルタの周波数特性
図である。
【図5】 図3におけるオブザーバの詳細を示すブロッ
ク図である。
【図6】 図3におけるノッチフィルタの周波数特性を
示す特性図である。
【図7】 図3のブロック各部における振れ信号の変位
特性を示す特性図である。
【図8】 従来の吊荷運搬装置を示す構成図である。
【図9】 図8における制御装置を示すブロック図であ
る。
【図10】 図9のブロック各部における振れ信号の変
位特性を示す特性図である。
【符号の説明】
K 吊荷 1 レール 2 トロリ 3 ロープ 7 トロリ駆動装置 20 制御演算部 22 1次振れ検出部 23 ハイパスフィルタ 24 オブザーバ 25 パラメータ計算部 26 ノッチフィルタ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2重剛体振子モードの吊荷を、レール上
    を移動するトロリから吊り降したロープに吊持しながら
    運搬する吊荷運搬装置において、 前記吊荷の振れ変位,前記トロリの位置および前記トロ
    リの速度の各検出値と運転員により設定されたトロリ目
    標速度設定値とを入力として、1次振れ変位および1次
    振れ速度を位相遅れなく検出する1次振れ検出部と、 前記トロリの位置,前記トロリの速度および前記トロリ
    目標速度設定値と、前記1次振れ変位および前記1次振
    れ速度とにもとづいて、前記振れ止めのためのトロリ制
    御値を演算し、この演算結果に従ってトロリ駆動装置を
    制御する制御演算部とを備えたことを特徴とする吊荷運
    搬装置。
  2. 【請求項2】 前記1次振れ検出部は、 前記吊荷の振れ変位の検出信号の中から設定周波数以上
    の2次振れ変位の信号を通過させるハイパスフィルタ
    と、 該ハイパスフィルタの出力にもとづき、2次振れ固有振
    動数の推定計算を実行するオブザーバと、 該オブザーバで推定計算した2次振れ固有振動数にもと
    づき、前記振れ変位の検出信号から2次振れ固有振動数
    の帯域のみを除去するノッチフィルタのパラメータを計
    算するパラメータ計算部とを備え、 前記ノッチフィルタが出力する1次振れ変位および該1
    次振れ変位を微分して得られる1次振れ速度を前記制御
    演算部へ入力するようにしたことを特徴とする請求項1
    に記載の吊荷運搬装置。
  3. 【請求項3】 前記1次振れ検出部は、事前計測により
    コイル情報およびロープ長ごとの2次振れ固有振動数を
    格納した数値テーブルと、 該数値テーブルから得られた2次振れ固有振動数にもと
    づき、前記振れ変位の検出信号から2次振れ固有振動数
    の帯域のみを除去するノッチフィルタのパラメータを計
    算するパラメータ計算部とを備え、 前記ノッチフィルタが出力する1次振れ変位および該1
    次振れ変位を微分して得られる1次振れ速度を前記制御
    演算部へ入力するようにしたことを特徴とする請求項1
    に記載の吊荷運搬装置。
  4. 【請求項4】 前記1次振れ検出部は、吊荷の振れに応
    じた複数の振れ変位検出信号を入力として得た各出力信
    号振幅を比較して、最大振幅となるものの固有振動数を
    2次振れ固有振動数として出力とする複数のバンドパス
    フィルタと、 該バンドパスフィルタから得られた2次振れ固有振動数
    にもとづき、前記振れ変位の検出信号から2次振れ固有
    振動数の帯域のみを除去するノッチフィルタのパラメー
    タを計算するパラメータ計算部とを備え、 前記ノッチフィルタが出力する1次振れ変位および該1
    次振れ変位を微分して得られる1次振れ速度を前記制御
    演算部へ入力するようにしたことを特徴とする請求項1
    に記載の吊荷運搬装置。
  5. 【請求項5】 クレーンよりロープを介して吊り下げた
    コンテナを運搬する吊荷運搬装置において 前記コンテナの振れ変位,前記クレーンの位置および前
    記クレーンの速度の各検出値と運転員により設定された
    クレーン目標速度設定値とを入力として、1次振れ変化
    および1次振れ速度を位相遅れなく検出する1次振れ検
    出部と、 前記クレーンの位置,前記クレーンの速度および前記ク
    レーン目標速度設定値と、前記1次振れ変位および前記
    1次振れ速度とにもとづいて、前記振れ止めのためのク
    レーン制御値を演算し、この演算結果に従ってクレーン
    駆動装置を制御する制御演算部とを備えたことを特徴と
    する吊荷運搬装置。
JP3773898A 1998-02-19 1998-02-19 吊荷運搬装置 Withdrawn JPH11236185A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016120996A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 Ihi運搬機械株式会社 トロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016120996A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 Ihi運搬機械株式会社 トロリ式クレーンの振れ止め制御方法及び装置

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