[第1の実施形態]
以下、車両用シートスライド装置に関する第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に対して傾動自在に設けられたシートバック3と、このシートバック3の上端に設けられたヘッドレスト4と、を備えている。
また、図1及び図2に示すように、車両の床部Fには、前後方向(図1中、左右方向)に延びる一対のロアレール5が設けられている。更に、これら各ロアレール5には、その延伸方向に沿って当該各ロアレール5上を相対移動するアッパレール6が装着されている。そして、シート1は、これら各アッパレール6の上方に支持されている。
即ち、本実施形態では、これらのロアレール5及びアッパレール6によってシートスライド装置10が形成されている。そして、このシートスライド装置10の機能を利用することにより、その車両前後方向におけるシート1の位置調整を行うことが可能になっている。
詳述すると、図3(a)(b)、及び図4〜図6に示すように、ロアレール5は、車両の床部F(図1参照)との固定部となる平板状の底壁部11を備えている。また、底壁部11の幅方向(図5中、左右方向)両端には、それぞれ外壁部12が立設されている。更に、これら各外壁部12の上端(図5中、上側の端部)には、それぞれ幅方向内側に向かって延びるフランジ状の上壁部13が形成されている。そして、これら各上壁部13の先端には、それぞれ下側に向かって折り返された内壁部14が形成されている。
一方、アッパレール6は、幅方向に対向する一対の側壁部15を備えている。また、アッパレール6は、これらの両側壁部15間を接続する板状の上壁部16を備えている。そして、本実施形態のアッパレール6は、これらの両側壁部15及び上壁部16が形成する断面略コ字状のアッパレール本体18がロアレール5側の両内壁部14間に配置されるようにして当該ロアレール5に装着されている。
また、図5及び図6に示すように、本実施形態のアッパレール6は、各側壁部15の下端から幅方向外側に向かって折り返された折返部23を備えている。そして、その折返部23が、ロアレール5を構成する外壁部12、上壁部13及び内壁部14に囲まれた空間内に配置されることにより、そのロアレール5に対する上方向及び幅方向の相対移動が規制されるようになっている。
尚、本実施形態では、上記のように幅方向に対向するロアレール5の外壁部12とアッパレール6の折返部23との間には、ボール状の転動体24が介在されている。具体的には、これらの転動体24は、長尺棒状に形成された保持部材25の長手方向両端に保持されている。そして、本実施形態では、これらの転動体24がロアレール5の外壁部12及びアッパレール6の折返部23に摺接して転動することにより、そのロアレール5に対するアッパレール6の円滑な相対移動が確保されている。
また、図4〜図6、及び図7(a)(b)に示すように、本実施形態のシートスライド装置10は、アッパレール6に支持されるとともにロアレール5に対して係合可能なロックレバー30を備えている。そして、本実施形態では、このロックレバー30とロアレール5との係合関係に基づいて、当該ロアレール5に対するアッパレール6の相対移動を規制可能なロック機構31が形成されている。
詳述すると、図4、図5及び図7に示すように、本実施形態のアッパレール6には、当該アッパレール6の延伸方向に交差する支持軸32が設けられている。具体的には、アッパレール本体18を構成する両側壁部15には、それぞれ、当該各側壁部15を貫通する支持孔33が設けられている。即ち、支持軸32は、これらの各支持孔33に挿通されることにより、両側壁部15に対して略直交する態様で当該各側壁部15間に掛け渡されている。そして、本実施形態のシートスライド装置10は、そのアッパレール6の内側において、この支持軸32により回動可能に支持された左右一対のロックレバー30(30a,30b)を備えている。
本実施形態では、これらの各ロックレバー30は、それぞれ、アッパレール6の延伸方向に延びる一対の側板部34(34a,34b)と、これらの各側板部34の上端を接続する上板部35と、を有している。また、各側板部34には、それぞれ、互いに対向する挿通孔36が形成されている。本実施形態では、これらの挿通孔36は、各ロックレバー30の長手方向に延びる長孔形状を有している。そして、各ロックレバー30は、これらの挿通孔36に対して上記アッパレール6の両側壁部15間に掛け渡された支持軸32が挿通されることにより、その支持軸32が形成する回動軸Q周りに回動することが可能となっている。
また、図4〜図6に示すように、本実施形態のシートスライド装置10は、アッパレール6の内側を幅方向に区画する隔壁部材37を備えている。具体的には、本実施形態の隔壁部材37は、板材を略T字状に折曲加工することにより形成されている。即ち、この隔壁部材37は、上下方向に延びる隔壁部37aと、この隔壁部37aの上端から幅方向両側に延びるフランジ37bと、を備えており、そのフランジ37bがアッパレール6の上壁部16に固定されることによって、隔壁部37aがアッパレール6の内側を幅方向に二分する位置に配置される構成になっている。そして、本実施形態の各ロックレバー30は、アッパレール6の内側において、この隔壁部37aを幅方向に挟む位置に配置されている。
図4、図6及び図7に示すように、本実施形態のロックレバー30は、その先端(図7中、右側の端部)に、略平板状の係合部38を有している。具体的には、アッパレール6の延伸方向に沿うように両側壁部15a,15b間に並置された2つのロックレバー30のうち、図6中、左側に位置する側壁部15a側に配置された第1のロックレバー30aには、その側壁部15a側に向かって延びる係合部38aが設けられている。また、図6中、右側に位置する側壁部15b側に配置された第2のロックレバー30bには、その側壁部15b側に向かって延びる係合部38bが設けられている。更に、これら各係合部38a,38bの延設方向に位置するアッパレール6の各側壁部15a,15bには、それぞれ、その係合部38a,38bが挿通される挿通孔39が形成されている。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、その先端部分に設けられた各係合部38a,38bが上下動する態様で、第1及び第2のロックレバー30a,30bが、それぞれ独立に回動する構成になっている。
また、図4〜図7に示すように、ロアレール5の各内壁部14(14a,14b)には、それぞれ、下方に向かって突出する複数の係合爪40が形成されている。具体的には、これらの係合爪40は、ロアレール5の延伸方向に沿って略均等間隔に設けられている。そして、本実施形態では、これらの各係合爪40によって、その延伸方向に沿って二列に並ぶロアレール5側の係合部41(41a,41b)が形成されている。
一方、各ロックレバー30の係合部38には、それぞれ、複数の貫通孔42が設けられている。そして、本実施形態のロックレバー30は、これら各貫通孔42に各係合爪40が挿入される態様で、そのロアレール5側の係合部41に係合する構成になっている。
即ち、本実施形態のロックレバー30は、先端側が上方移動する方向(図7(b)中、反時計回り方向)に回動することにより、その各貫通孔42の形成に伴い各係合部38に残された棒状部分がロアレール5側の各係合爪40間に挿入されるようになっている。そして、本実施形態のロック機構31は、これらの各挿入部44が各係合爪40に対してロアレール5の延伸方向から係合することにより、そのロックレバー30が支持されたアッパレール6の相対移動を規制する構成になっている(ロック状態)。
また、各ロックレバー30は、先端側が下方移動する方向(図7(b)中、時計回り方向)に回動することにより、その係合部38に形成された各挿入部44がロアレール5側の各係合爪40間から抜脱される。そして、本実施形態の本実施形態のロック機構31は、これにより、そのアッパレール6の拘束が解除、即ち当該アッパレール6のロアレール5に対する相対移動が許容される構成になっている(アンロック状態)。
さらに詳述すると、図4、図5、図7及び図8に示すように、本実施形態のシートスライド装置10は、各ロックレバー30(30a,30b)を回動付勢することにより、その先端に設けられた係合部38(38a,38b)をロアレール5側の各係合部41(41a,41b)に押し当てる付勢部材としてのバネ部材46を備えている。
本実施形態では、このバネ部材46は、線材を二つ折りに折り曲げ加工することにより形成されている。具体的には、このバネ部材46は、各ロックレバー30の長手方向に延びる一対の延伸部46a,46bと、これらの両延伸部46a,46bの基端側に形成された折曲部46cと、を備えて構成されている。そして、各延伸部46a,46bの先端部分が、それぞれ、各ロックレバー30a,30bの先端部分に当接することにより、その弾性力(弾性復元力)に基づいて、各ロックレバー30a,30bを回動付勢することが可能になっている。
具体的には、本実施形態のバネ部材46は、その各延伸部46a,46bが、それぞれ、断面略コ字形状をなす各ロックレバー30a,30bの両側板部34及び上板部35の内側に配置されるように構成されている。尚、本実施形態では、各ロックレバー30a,30bを構成する上板部35の先端部分には、それぞれ、係止孔47が形成されている。そして、バネ部材46の各延伸部46a,46bには、その先端部分を略U字状に折り曲げることにより、その各係止孔47内に挿入される係止部46eが形成されている。
また、本実施形態のバネ部材46は、各延伸部46a,46bの基端部分に、それぞれ、略円弧状に折り曲げられた掛止部46gを有している。そして、これらの各掛止部46gが上記支持軸32に対して上方側から掛止される態様で、各ロックレバー30a,30bとともにアッパレール6に支持されるようになっている。
更に、本実施形態のバネ部材46は、この支持軸32に掛止された各掛止部46gを基準として、上記折曲部46c、及び各延伸部46a,46bの先端部分が、各掛止部46gよりも上方側に配置されるように、その側面視において略W字状となるような折曲形状を有している。更に、このバネ部材46は、その折曲部46cがアッパレール6の上壁部16に当接するように構成されている。そして、本実施形態のバネ部材46は、撓められた状態でアッパレール6に取着されることにより、その弾性力に基づいて、各ロックレバー30a,30bを、それぞれ独立に回動付勢することが可能になっている。
即ち、本実施形態のロック機構31において、第1のロックレバー30aは、このバネ部材46の延伸部46aに押圧されることにより回動する。そして、その先端に設けられた係合部38aが、図6中、左側に位置するロアレール5の内壁部14aに設けられた第1の係合部41aに押し当てられるようになっている。
同様に、第2のロックレバー30bもまた、このバネ部材46の延伸部46bに押圧されることにより回動する。そして、その先端に設けられた係合部38bが、図6中、右側に位置するロアレール5の内壁部14bに設けられた第2の係合部41bに押し当てられるようになっている。
また、図1〜図4に示すように、本実施形態のシートスライド装置10は、シート1のスライド位置を調整すべく、引き上げ操作される操作ハンドル48を備えている。本実施形態では、この操作ハンドル48は、管材を折曲加工することにより形成されている。具体的には、この操作ハンドル48は、アッパレール6の延伸方向に対して略直交する方向に延びる長尺略棒状の操作部48aを有している。また、この操作部48aの両端は、それぞれ、各アッパレール6の延伸方向に沿って折り曲げられている。そして、図7に示すように、本実施形態の操作ハンドル48は、この折曲部分を接続部48bとして、各ロックレバー30の基端側(同図中、左側の端部)に接続される構成になっている。
即ち、本実施形態の操作ハンドル48は、操作部48aを把持して引き上げ操作することにより、その接続部48bに接続された各ロックレバー30を、図7(b)中、時計回りに回動させることが可能になっている。そして、図8及び図9(a)(b)に示すように、本実施形態のロック機構31は、これにより各ロックレバー30の先端に設けられた係合部38が下方移動することで、その各挿入部44がロアレール5側の各係合爪40間から抜脱される。つまりは、そのアッパレール6に支持された各ロックレバー30とロアレール5側の各係合部41との噛み合いが解除される構成になっている。
(微段スライド機能及び常時噛み合い構造)
次に、本実施形態のロック機構に備えられた微段スライド機能及び常時噛み合い構造について説明する。
図9〜図11に示すように、本実施形態のロック機構31において、ロアレール5側の各係合部41を構成する各係合爪40間の溝幅W0は、これらの各係合爪40間に挿入された各ロックレバー30の挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿って移動できるように、その挿入部44の挿入幅W1よりも広く設定されている。また、本実施形態のロック機構31は、第1のロックレバー30aの各挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った一方側から各係合爪40に係合するとき、第2のロックレバー30bの各挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った他方側から各係合爪40に係合するように構成されている。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、ロアレール5に対するアッパレール6の相対移動を規制する構成になっている。
例えば、図9(a)(b)に示されるような相対移動位置にアッパレール6がある場合、第1のロックレバー30aの係合部38aは、その各挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った第1方向(図9(a)中、左側、車両前方側)から各係合爪40に当接する態様で、ロアレール5側における第1の係合部41aに係合する。そして、このとき、第2のロックレバー30bの係合部38bは、その各挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った第2方向(図9(b)中、右側、車両後方側)から各係合爪40に当接する態様で、ロアレール5側における第2の係合部41bに係合する。
また、図10(a)(b)に示されるような相対移動位置にアッパレール6がある場合、第1のロックレバー30aの係合部38aは、その各挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った第2方向(図10(a)中、右側、車両後方側)から各係合爪40に係合する態様で、ロアレール5側における第1の係合部41aに係合する。そして、このとき、第2のロックレバー30bの係合部38bは、その各挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った第1方向(図10(b)中、左側、車両前方側)から各係合爪40に当接する態様で、ロアレール5側における第2の係合部41bに係合するようになっている。
本実施形態のロック機構31は、このように、アッパレール6の移動位置に応じて、第1のロックレバー30aの各挿入部44が第1の係合部41aを構成する各係合爪40に係合する方向と第2のロックレバー30bの各挿入部44が第2の係合部41bを構成する各係合爪40に対する係合方向とが入れ替わるように構成されている。そして、その第1のロックレバー30aの各挿入部44と第2のロックレバー30bの各挿入部44との間で各係合爪40に対する係合方向が入れ替わる最小移動距離を調整ピッチNとして、アッパレール6の移動位置を調整することが可能になっている。
さらに詳述すると、図9〜図11に示すように、本実施形態のロック機構31において、第1及び第2のロックレバー30a,30bは、その係合部38に形成された互いの各挿入部44がロアレール5の延伸方向において等しい位置に配置されるように構成されている。一方、ロアレール5側における第1及び第2の係合部41a,41bは、その各係合爪40が形成された間隔(形成ピッチM)の「1/2」ずつ、互いの位相がずれている。更に、本実施形態では、これら各挿入部44の挿入幅W1と各係合爪40の爪幅W2との和(合計値)もまた、その各係合爪40の形成ピッチMの「1/2」となっている(W1+W2=1/2M)。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、各係合爪40の形成ピッチMの「1/2」を調整ピッチNとして、そのアッパレール6の移動位置を調整することが可能となっている(微段スライド機能)。
また、本実施形態のロック機構31は、第1及び第2のロックレバー30a,30bが独立にロック及びアンロック動作することで、これら各ロックレバー30a,30bのうちの一方については各挿入部44が各係合爪40間に挿入された状態となり、他方については各挿入部44が各係合爪40間から抜脱された状態となることが許容されている。そして、本実施形態では、これにより、そのロアレール5に対するアッパレール6の移動位置に依らず、第1及び第2のロックレバー30a,30bのうちの少なくとも一方の挿入部44がロアレール5側の各係合部41a,41bを構成する係合爪40間に挿入される。即ち、何れの移動位置においても、その第1及び第2のロックレバー30a,30bのうちの少なくとも一方の係合部38がロアレール5側の各係合部41に噛み合う状態となるように構成されている。
例えば、図12(a)(b)に示されるような相対移動位置にアッパレール6がある場合、第1のロックレバー30aの係合部38aは、その各挿入部44と各係合爪40とが干渉することで、ロアレール5側の第1の係合部41aに対して係合不能な状態になっている。しかしながら、このとき、第2のロックレバー30bの係合部38bについては、その各挿入部44がロアレール5側の第1の係合部41aを構成する各係合爪40間に挿入されている。
同様に、図13(a)(b)に示されるような相対移動位置にアッパレール6がある場合、第2のロックレバー30bの係合部38bは、その各挿入部44と各係合爪40とが干渉することで、ロアレール5側の第2の係合部41bに対して係合不能な状態になっている。しかしながら、このときもまた、第1のロックレバー30aの係合部38aについては、その各挿入部44がロアレール5側の第1の係合部41aを構成する各係合爪40間に挿入されるようになっている。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、そのロアレール5の各係合部41に対する各ロックレバー30の常時噛み合い構造を実現することで、高い信頼性を確保することが可能になっている。
更に、本実施形態では、このように第1及び第2のロックレバー30a,30bの何れか一方のみが噛み合い状態にある場合には、その噛み合い状態にある側の各挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿って各係合爪40の間を移動可能になっている。そして、本実施形態のロック機構31は、これを利用してアッパレール6の移動位置を修正することにより、その第1及び第2のロックレバー30a,30bの双方がロアレール5側の各係合部41a,41bに噛み合う状態、つまりは完全なロック状態に移行させることが可能になっている。
(操作ハンドルの接続構造)
次に、本実施形態における各ロックレバーに対する操作ハンドルの接続構造について説明する。
図4、及び図14〜図17に示すように、本実施形態のロックレバー30は、その基端側が当該ロックレバー30の回動軸Qを構成する支持軸32よりも車両前方側(図15中、左側)に延びている。また、本実施形態の操作ハンドル48において、その操作部48aの両端に設けられた各接続部48bは、先端側(図15中、右側、車両後方側)に開口する筒形状を有している。そして、本実施形態の操作ハンドル48は、その筒状に形成された各接続部48b内に各ロックレバー30の基端側が挿入される態様で、当該各ロックレバー30に接続される構成になっている。
詳述すると、図4、図14及び図15に示すように、本実施形態のロックレバー30は、その各側板部34a,34bの基端部分が、それぞれ、回動軸Qを挟んで上記挿入部44が形成された先端側とは反対方向、即ち車両前方側に延びる第1基端部51及び第2基端部52を構成するようになっている。
具体的には、本実施形態では、アッパレール6の幅方向内側に配置される第1側板部34aの基端側が第1基端部51を構成し、その第1側板部34aよりもアッパレール6の幅方向外側に配置されることにより当該アッパレール6の側壁部15の近傍に配置される第2側板部34bの基端側が第2基端部52を構成する。また、第2基端部52は、第1基端部51よりも回動軸Qから離間した位置まで車両前方側に延びている。尚、上板部35については、概ねロックレバー30の回動軸Qが形成される位置、即ち各側板部34に挿通孔36が形成された位置が基端となっている。そして、本実施形態の操作ハンドル48は、その並列に並ぶ各ロックレバー30a,30bの両第1基端部51が、接続部48bの筒内に挿入されることにより、これらの各ロックレバー30a,30bに対して接続されるようになっている。
また、図7、図8及び図15に示すように、本実施形態のシートスライド装置10は、これらの各ロックレバー30a,30bと操作ハンドル48との間に介在されるバネ部材49を備えている。本実施形態では、このバネ部材49は、線材を二つ折りに折り曲げ加工することにより形成されている。そして、このバネ部材49もまた、一対の延伸部49a,49bと、これらの両延伸部49a,49bの基端側に形成された折曲部49cと、を備えている。
本実施形態では、このバネ部材49は、その各延伸部49a,49bの先端部分が、それぞれ、各ロックレバー30a,30bの断面コ字形状内に挿入される態様で当該各ロックレバー30a,30bに取着されている。また、その折曲部49cは、アッパレール6の幅方向に拡開する環形状をなしている。更に、操作ハンドル48の接続部48bには、その下端部分に、アッパレール6の幅方向に延びる溝部48cが形成されている。そして、本実施形態のバネ部材49は、この溝部48cに対して折曲部49cが係合する状態で、各ロックレバー30a,30bと操作ハンドル48の接続部48bとの間に介在されている。
即ち、本実施形態のバネ部材49は、その各延伸部49a,49bの先端部分が、それぞれ、下方側から各ロックレバー30a,30bの上板部35に当接することにより、その折曲部49cが操作ハンドル48の接続部48bを支えるように構成されている。そして、本実施形態では、このバネ部材49の弾性力に基づいて、その各ロックレバー30a,30bと操作ハンドル48とが弾力的に接続されるようになっている。
また、図16に示すように、本実施形態では、操作ハンドル48の接続部48bは、その上下方向(同図中、上下方向)を長手とする断面矩形状の内部空間を有した略角筒状に形成されている。そして、この接続部48bの筒内高さ(上下方向長)H1は、当該接続部48bの筒内に挿入される各ロックレバー30a,30bの第1基端部51(第1側板部34a)の挿入高さ(上下方向長)H2よりも大きな値に設定されている(H1>H2)。
即ち、本実施形態の操作ハンドル48は、接続部48bの筒内に挿入された各ロックレバー30a,30bの第1基端部51について、その上下方向移動を許容する構成になっている。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、第1及び第2のロックレバー30a,30bの一方についてはロアレール5の係合部41と噛み合う状態となり、他方についてはロアレール5の係合部41と噛み合わない状態となることを許容する構成になっている。
また、本実施形態の操作ハンドル48は、上記のように引き上げ操作されることにより、その筒状をなす接続部48bの下壁部分が、当該接続部48bの筒内に挿入された各ロックレバー30a,30bの第1基端部51を持ち上げるように構成されている。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、その第1及び第2のロックレバー30a,30bの双方をアンロック動作させることが可能な構成になっている。
一方、図14、図15、図17及び図18に示すように、各ロックレバー30a,30bの第2基端部52は、当該各ロックレバー30a,30bと操作ハンドル48とが接続された状態において、それぞれ、その接続部48bをアッパレール6の幅方向に挟む位置に配置される。また、本実施形態では、操作ハンドル48の接続部48bには、当該接続部48bをアッパレール6の幅方向に貫通する態様で軸状部材53が固着されている。具体的には、この軸状部材53は、その操作ハンドル48と各ロックレバー30a,30bとが接続された状態において、アッパレール6の前端部(図3参照、同図中、左側の端部)近傍に配置される。そして、各ロックレバー30a,30bの第2基端部52は、それぞれ、その先端部分が、この軸状部材53の上方に配置されるようになっている。
即ち、本実施形態の操作ハンドル48は、引き上げ操作されることにより、その軸状部材53が下方から各ロックレバー30a,30bの第2基端部52を持ち上げるように構成されている。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、その第1及び第2のロックレバー30a,30bを速やかにアンロック動作させることが可能になっている。
更に、本実施形態では、アッパレール6の両側壁部15には、その前端部分を切り欠く態様で孔部54が形成されている。また、この孔部54には、上記軸状部材53の軸端が挿通されるようになっている。そして、本実施形態のロック機構31は、これにより、その操作ハンドル48の動作範囲を規定する構成になっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シートスライド装置10は、延伸方向に沿って均等間隔に並ぶ複数の係合爪40を有してロアレール5に設けられた第1及び第2の係合部41a,41bと、アッパレール6に支持されることにより第1及び第2の係合部41a,41b間に並置される第1及び第2のロックレバー30a,30bと、を備える。また、第1及び第2のロックレバー30a,30bは、それぞれ、バネ部材46に回動付勢されることにより、各係合爪40間に挿入される挿入部44を有して互いに異なるロアレール5側の係合部41に押し当てられる。更に、シートスライド装置10は、その第1のロックレバー30aの挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った一方側から係合爪40に係合する状態で、第2のロックレバー30bの挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った他方側から係合爪40に係合するように構成される。そして、シートスライド装置10は、ロアレール5に対するアッパレール6の移動位置に依らず、第1及び第2のロックレバー30a,30bのうちの少なくとも一方の挿入部44がロアレール5側の各係合爪40間に挿入されるように構成される。
上記構成によれば、第1のロックレバー30aの各挿入部44と第2のロックレバー30bの各挿入部44との間で各係合爪40に対する係合方向が入れ替わる最小移動距離を調整ピッチNとして、その各係合爪40の形成ピッチMよりも狭い間隔でアッパレール6の移動位置を調整することができる。また、アッパレール6の幅方向両側において当該アッパレール6に支持された各ロックレバー30a,30bとロアレール5側の各係合部41a,41bとが係合することにより、高いロック剛性を確保することができる。更に、何れの移動位置においても、各ロックレバー30a,30bの少なくとも一方(の係合部38)がロアレール5側の各係合部41に噛み合う状態を確保することができる。そして、これにより、簡素な構成にて、高い信頼性を確保しつつ、その調整自由度を高めることができる。
(2)各挿入部44の挿入幅W1と各係合爪40の爪幅W2との和は、その各係合爪40の形成ピッチMの「1/2」に設定される(W1+W2=1/2M)。また、アッパレール6の調整ピッチNもまた、各係合爪40の形成ピッチMの「1/2」に設定される(N=1/2M)。そして、これにより、各挿入部44の挿入幅W1と各係合爪40の爪幅W2との和がアッパレール6の調整ピッチNに等しい(W1+W2=N)、即ち各係合爪40に対する各挿入部44の係合方向が入れ替わるアッパレール6の最小移動距離に等しくなるように設定される。
上記構成によれば、第1のロックレバー30aの挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った一方側から係合爪40に係合する状態で、第2のロックレバー30bの挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った他方側から係合爪40に係合する状態にさせることができる。
(3)第1及び第2のロックレバー30a,30bは、互いの挿入部44がロアレール5の延伸方向において等しい位置に配置されるように構成される。このような構成とすることで、レール幅方向両側においてバランスよく、各ロックレバー30a,30bとロアレール5側の各係合部41a,41bとを係合させることができる。そして、これにより、より高い信頼性を確保することができる。
(4)アッパレール6には、第1のロックレバー30aと第2のロックレバー30bとの間を区画する隔壁部37aが設けられる。このように構成することで、それぞれ独立に設けられた第1及び第2のロックレバー30a,30b間の干渉を防ぐことができる。そして、これにより、これらの各ロックレバー30a,30bの円滑な動作を担保することで、より高い信頼性を確保することができる。
(5)各ロックレバー30は、回動軸Qを挟んで挿入部44が設けられた先端側とは反対方向に延びる第1基端部51及び第2基端部52を備える。第1基端部51は、筒状に形成された操作ハンドル48の接続部48bに対して上下方向に隙間を有して挿入される。そして、第2基端部52は、操作ハンドル48が引き上げ操作されることにより第1基端部51よりも回動軸Qから離間した位置において操作ハンドル48に設けられた押圧突部としての軸状部材53に持ち上げられるように構成される。
上記構成によれば、接続部48bの筒内に挿入された第1基端部51が上下方向移動可能であることにより、各ロックレバー30a,30bの一方についてはロアレール5側の係合部41と噛み合う状態となり、他方についてはロアレール5の係合部41と噛み合わない状態となることが許容される。また、操作ハンドル48の引き上げ操作時には、その接続部48bが、当該接続部48bの筒内に挿入された第1基端部51を持ち上げることにより、各ロックレバー30a,30bの双方をアンロック動作させることができる。そして、この引き上げ操作時、更に、接続部48bに設けられた押圧突部としての軸状部材53が第2基端部52を持ち上げることにより、その第1及び第2のロックレバー30a,30bを速やかにアンロック動作させることができる。
(6)アッパレール6の両側壁部15には、その前端部分を切り欠く態様で操作ハンドル48に設けられた軸状部材53の軸端が挿通される孔部54が形成される。これにより、操作ハンドル48を安定的に保持し、及びその動作範囲を規定することができる。
[第2の実施形態]
以下、車両用シートスライド装置に関する第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
図19〜図21、及び図22(a)(b)に示すように、本実施形態のシートスライド装置10Bは、アッパレール6の内側において回動可能に支持された各ロックレバー30B(30a,30b)の動作を案内するガイド部材60を備えている。
詳述すると、本実施形態のガイド部材60は、アッパレール6Bの延伸方向に延びる略平板状の基部61と、この基部61の幅方向両端(図20中、左右方向)から下方に向かって延びる一対のガイド部62と、を備えている。尚、本実施形態では、このガイド部材60は、板材を折曲加工することにより形成されている。また、アッパレール6Bの上壁部16Bには、当該アッパレール6Bの延伸方向に延びる一対の長孔63が形成されている。そして、本実施形態のガイド部材60は、これらの各長孔63に対し、その両ガイド部62を挿入する態様でアッパレール6Bに取着されるようになっている。
即ち、本実施形態のガイド部材60は、上記各長孔63に挿入された両ガイド部62がアッパレール6B内に突出するように構成されている。具体的には、これらのガイド部62は、アッパレール6B内に設けられた上記隔壁部材37を挟んで略平行に配置される。そして、このガイド部材60は、その基部61が上壁部16Bの上面に当接する状態でアッパレール6Bに固定される構成になっている。
また、本実態形態では、各ロックレバー30Bの先端部分には、それぞれ、上記アッパレール6Bの上壁部16Bに形成された長孔63と同様、そのアッパレール6Bの延伸方向に延びる長孔状のガイド孔64が形成されている。即ち、本実施形態の各ロックレバー30Bは、そのガイド孔64内に上記ガイド部材60のガイド部62が挿通されるように構成されている。そして、本実施形態のシートスライド装置10Bは、これにより、そのガイド部材60のガイド部62に案内された状態で、各ロックレバー30Bの先端に設けられた係合部38が上下動する構成になっている。
以上、本実施形態によれば、上記第1の実施形態における効果に加え、より円滑に、各ロックレバー30Bを動作させることができる。そして、これにより、より高い信頼性を確保することができる。
[第3の実施形態]
以下、車両用シートスライド装置に関する第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1及び第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
図23〜図25に示すように、本実施形態のシートスライド装置10Cは、その隔壁部37aとガイド部62とが一体に設けられた隔壁部材37Cを備えている。具体的には、この隔壁部材37Cには、その幅方向両側に延びるフランジ37bの先端を下方に折り返すことによって、隔壁部37aと平行に延びる複数の爪部37dが設けられている。即ち、本実施形態では、これらの各爪部37dが各ロックレバー30C(30a,30b)のガイド孔64に挿通される。そして、本実施形態のシートスライド装置10Cは、これにより、その隔壁部材37Cに設けられた各爪部37dがガイド部62として機能する構成になっている。
尚、本実施形態では、隔壁部材37Cの幅方向両側に、それぞれ二本ずつ、そのガイド部62となる爪部37dが形成されている。そして、各ロックレバー30Cもまた、それぞれ、これらの各爪部37dに対応する2つのガイド孔64を備えている。
また、図23、及び図26〜図30に示すように、本実施形態の操作ハンドル48Cは、上下方向に延びる略平板状に形成された接続部48dを備えている。尚、この接続部48dは、管材を用いた折曲加工により操作ハンドル48Cを形成する際、その接続部48dとなる部分を板状にプレスすることにより形成される。
一方、本実施形態のロックレバー30Cは、その基端部分において、アッパレール6の幅方向内側に配置される第1側板部34aのみが、そのロックレバー30Cの回動軸Qが形成される位置、即ち挿通孔36が形成された位置よりも車両前方側(図30中、左側)に延設された形状を有している。そして、本実施形態の操作ハンドル48は、そのアッパレール6の幅方向(図28中、左右方向)に並ぶ両第1側板部34aの間に接続部48dが配置される態様で、各ロックレバー30C(30a,30b)の基端部分に接続される構成になっている。
具体的には、上記第1の実施形態におけるシートスライド装置10と同様、各ロックレバー30a,30bの基端部と操作ハンドル48の接続部48bとの間には、バネ部材49が介在される。そして、本実施形態のシートスライド装置10Cにおいてもまた、このバネ部材49の弾性力に基づいて、その各ロックレバー30a,30bと操作ハンドル48とが弾力的に接続されるようになっている。
尚、本実施形態においてもまた、接続部48bの下端には、バネ部材49の折曲部49cが係合する溝部48cが形成されている。また、本実施形態の接続部48bには、当該接続部48bを厚み方向、即ちアッパレール6の幅方向に貫通する貫通孔65が形成されており、押圧突部となる軸状部材53は、この貫通孔65に挿通されている。そして、本実施形態の操作ハンドル48Cは、各ロックレバー30a,30bとの接続状態において、その車両前方側に延びる第1側板部34aの端部が、この軸状部材53の上方に配置されるように構成されている。
即ち、本実施形態の操作ハンドル48Cは、引き上げ操作されることにより、その軸状部材53が下方から各ロックレバー30a,30bの第1側板部34aを持ち上げるように構成されている。そして、本実施形態のシートスライド装置10Cは、これにより、第1及び第2のロックレバー30a,30bの独立した動作を許容するとともに、その引き上げ操作に基づいて、これらの各ロックレバー30a,30bを迅速にアンロック動作させることが可能な構成になっている。
また、図29及び図30に示すように、本実施形態では、操作ハンドル48Cの接続部48bは、その先端部分が各ロックレバー30a,30bの回動軸Qとなる支持軸32の上方に延びている。そして、操作ハンドル48Cの非操作時、この接続部48bの先端部分と支持軸32との間には隙間が形成されるようになっている。
即ち、本実施形態では、この接続部48bの先端部分と支持軸32との間に設定された隙間によって、第1及び第2のロックレバー30a,30bの独立した動作が可能となっている。そして、これにより、各ロックレバー30a,30bの一方についてはロアレール5の係合部41と噛み合う状態となり、他方についてはロアレール5の係合部41と噛み合わない状態となることが許容されている。
また、この操作ハンドル48Cは、引き上げ操作されることにより、その接続部48bの先端部分が上方側から支持軸32に当接するようになっている。そして、本実施形態のシートスライド装置10Cは、これにより、その支持軸32を支点として、各ロックレバー30a,30bと操作ハンドル48Cと一体にが回動することで、これら各ロックレバー30a,30bと操作ハンドル48Cとの間の接続を維持する構成になっている。
以上、本実施形態においてもまた、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、隔壁部材37Cにガイド部62を設けることで、構成の簡素化を図ることができる。そして、これにより、部品点数を削減して、その組付作業の効率化及び製造コストの低減を図ることができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、ロック機構31は、先端に設けられた係合部38が下方移動する方向に各ロックレバー30(30B,30C)が回動することによりアンロック状態となるように構成されることとしたが、係合部38が上方移動する方向の回動によりアンロック状態となるように構成してもよい。
・各ロックレバー30(30B,30C)側の係合部38の形状は、任意に変更してもよい。例えば、各挿入部44が櫛歯状に並ぶ形状としてもよい。そして、その各挿入部44の数は、任意に変更してもよい。
・また、各挿入部44の挿入幅W1、及びロアレール5側の係合部41を構成する各係合爪40の爪幅W2を変更してもよい。但し、この場合においても、その挿入部44の挿入幅W1と係合爪40の爪幅W2との和が、その各係合爪40に対する各挿入部44の係合方向が入れ替わるアッパレール6の最小移動距離、即ち調整ピッチNに等しくなるように構成するとよい(W1+W2=N)。これにより、第1のロックレバー30aの挿入部44がロアレール5の一方側から係合爪40に係合する状態で、第2のロックレバー30bの挿入部44がロアレール5の延伸方向に沿った他方側から係合爪40に係合するようになる。
・更に、上記各実施形態では、ロアレール5に設けられた第1及び第2の係合部41a,41bが互いに各係合爪40の形成ピッチMの1/2ずれた位相を有することとした。しかし、これに限らず、第1及び第2の係合部41a,41bを同位相とし、第1及び第2のロックレバー30a,30bの各挿入部44が互いに各係合爪40の形成ピッチMの1/2ずれた位相を有する構成としてもよい。また、第1及び第2の係合部41a,41b間の位相、及び第1及び第2のロックレバー30a,30b間の位相の双方が、ともにずれた構成であってもよい。そして、この場合においてもまた、上記のような「挿入部44の挿入幅W1」+「係合爪40の爪幅W2」=「調整ピッチN」の関係が成立するようにするとよい。
・上記各実施形態では、別体に設けられた隔壁部材37をアッパレール6に固定することとしたが、その隔壁部37aがアッパレール6と一体に形成される構成であってもよい。また、このような隔壁部37aを有しない構成であってもよい。更に、ガイド部62がアッパレール6と一体に形成される構成であってもよい。そして、これら隔壁部及びガイド部の構成についてもまた、任意に変更してもよい。
・各ロックレバー30a,30bの一方については、ロアレール5の係合部41と噛み合う状態になり、他方についてロアレール5の係合部41と噛み合わない状態となることを許容しつつ、各ロックレバー30a,30bの双方をアンロック動作させることができるものであれば、その操作ハンドル48との接続構造は、任意に変更してもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記ロアレールに設けられた前記第1及び第2の係合部が互いに前記各係合爪の形成ピッチの1/2ずれた位相を有するとともに、前記挿入部の挿入幅と前記係合爪の爪幅との和が該各係合爪の形成ピッチの1/2となるように構成されること、を特徴とする車両用シートスライド装置。
上記構成によれば、第1のロックレバーの挿入部がロアレールの延伸方向に沿った一方側から係合爪に係合する状態で、第2のロックレバーの挿入部がロアレールの延伸方向に沿った他方側から係合爪に係合する。そして、その第1のロックレバーの各挿入部と第2のロックレバーの各挿入部との間で各係合爪に対する係合方向が入れ替わる当該各係合爪の形成ピッチの1/2を調整ピッチとして、アッパレールの移動位置を調整することができる。
(ロ)前記アッパレールは、一対の側壁部を備えるとともに、該各側壁部には、前記押圧突部が挿通される孔部が形成されること、を特徴とする車両用シートスライド装置。これにより、操作ハンドルを安定的に保持し、及びその動作範囲を規定することができる。
(ハ)前記各ロックレバーは、上端が接続された一対の側壁部を備え、該各側壁部に形成された長手方向に延びる長孔内に前記アッパレールに設けられた支持軸が挿通されることにより回動可能に軸支されるとともに、前記各側壁部の間に配置された付勢部材によりロック方向に付勢されること、を特徴とする車両用シートスライド装置。これにより、各ロックレバーをより円滑に回動させることができる。その結果、より高い信頼性を確保することができる。
(ニ)前記各ロックレバーは、回動軸を挟んで前記挿入部が設けられた先端側とは反対方向に延設されることにより前記操作ハンドルの引き上げ操作に基づき該操作ハンドルに設けられた押圧突部に持ち上げられる基端部を備えること、を特徴とする車両用シートスライド装置。