JP2016119868A - Thermococcuskodakaraensis由来変異型PCNA - Google Patents

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Abstract

【課題】DNA複製の増幅増強活性に優れた増殖核抗原(PCNA)変異体の提供。
【解決手段】Thermococcus kodakaraensisのPCNA2由来の特定のアミノ酸配列の第107番目に相当するアミノ酸を中性アミノ酸残基に改変した変異型PCNA。前記で示されるPCNA単量体において、更に、前記配列のアミノ酸配列における、107番目に相当するアミノ酸残基以外の、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されているアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。前記特定のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。該変異型PCNAを用いれば、PCRの伸長時間を大幅に短縮でき、診断などの遺伝子増幅において非常に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、DNA複製因子に関し、より詳しくは、DNA複製を補助する機能に優れたProliferating Cell Nuclear Antigen(増殖核抗原)(本明細書では、PCNAとも記載する。)に関する。
DNA複製は、DNAヘリカーゼで複製起点の二本鎖構造が解かれることにより開始される。解かれたDNAには、一本鎖DNA結合タンパク質が結合して一本鎖が安定化され、さらに、それぞれの鎖上にプライマーを合成するためのプライマーゼが働く。次に複製因子Replication Factor C(本明細書では、RFCとも記載する。)がプライマーを認識して結合し、PCNAをDNA鎖上に誘導する。PCNAはDNAポリメラーゼをDNA鎖上に留めておくためのクランプの役目をし、PCNAと複合したDNAポリメラーゼが新生鎖を合成する。
ここで挙げたPCNAは生体内での重要な複製因子であり、DNA合成系においてもPCNAの添加は、ポリメラーゼのDNA伸長活性(プライマー伸長活性)および増幅増強活性を促進することが知られている。DNA合成系で用いられるPCNAとしては、Pyrococcus・furiosus由来のもの(以下、Pfu−PCNAとも表記する)、および、Thermococcus kodakaraensis KOD−1株由来のもの(以下、KOD−PCNA1とも表記する)が知られている。
真核細胞および古細菌において、多くの場合PCNAは三量体を形成する。特許文献1によれば、PCNAの多量体は、一方の単量体のN末端側領域と他方の単量体のC末端側領域とが界面となって接合し形成される。野生型Pfu−PCNAでは、配列番号2に記載のアミノ酸配列における、139番目、第143番目および第147番目のアミノ酸残基群と、第82番目、第84番目、第109番目のアミノ酸残基群とが、接合し、相互に影響しあうネットワークを形成すると考えられている。
また特許文献1では、Pfu−PCNAの変異体についても検討されている。野生型のPfu−PCNAにおいては、多量体形成に寄与する界面領域内で分子間相互作用を形成する部位が、単量体相互に、電荷的に引き合うようなアミノ酸残基で構成されている。これに対し、変異体では分子間相互作用を形成するアミノ酸残基どうしが電荷的に反発しあうようにアミノ酸残基が構成されており、単量体のまま又は多量体を形成して、野生型より優れた増幅増強活性を備えているとされている。これは変異を加えることで多量体形成能が弱まり、RFCなどのクランプローダーがなくても核酸にロードしやすくなったためと考えられる。
また、我々はKOD−PCNA1についても上記、界面の部位に変異を入れた変異体を評価し、界面領域への変異が増幅増強活性に大きく関わることを示している(特許文献2、および3)。
これら特許文献1〜3のPCNA変異体を用いればDNA合成における増幅量の改善につながることがわかっている。
一方、Thermococcus kodakaraensisは、上記に示したKOD−PCNA1のほかに、もうひとつのPCNA(KOD−PCNA2)を持つことが知られている(非特許文献1)。このKOD−PCNA2はKOD−PCNA1とタンパク相同性が低く、上記に記載した界面とは異なるアミノ酸で多量体形成を行っていることが示されている。
構造解析の結果からは配列番号1に記載のアミノ酸における、第143番目、第177番目のアミノ酸残基群と、第82番目、第87番目、第107、第109番目のアミノ酸残基群とが、また第75番目のアミノ酸と第172番目のアミノ酸とが接合し、相互に影響しあうネットワークを形成すると考えられている。
しかしながら、KOD−PCNA2について、多量体形成部位に変異を入れた例はなく、KOD−PCNA2がPCRで働くかは知られていなかった。また、Pfu−PCNA、およびKOD−PCNA1のPCNAを用いても、PCRでうまく増幅しないことが散見されており、別のPCNAでの評価が求められていた。
WO2007/004654(国際公開、再公表) 特願2013−162990 特願2013−162991
PNAS February 15,2011 vol. 108 no. 7 2711-2716
本発明が解決しようとする課題は、DNA複製において、増幅増強活性に優れたPCNA変異体を得ることである。
本発明者らは、Thermococcus kodakaraensis由来のPCNA(KOD―PCNA2)の多量体形成に関わるアミノ酸残基(配列番号1)の第107番目に相当するアミノ酸を中性アミノ酸残基に改変した変異型PCNAを作製することにより、DNA複製において、増幅増強活性を示すという知見を得、本発明を完成した。代表的な本発明は、以下の通りである。
[項1]
以下の(1)から(3)のうちいずれかで示されるPCNA単量体。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列の第107番目のアミノ酸残基を中性アミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(2)(1)で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号1に記載のアミノ酸配列における、107番目に相当するアミノ酸残基以外の、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されているアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。
(3)配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。
[項2]
項1に記載のPCNA単量体が備えるアミノ酸配列をコードするDNA。
[項3]
項2に記載のDNAを組み込んだベクター。
[項4]
項3に記載のベクターを含む形質転換体。
[項5]
項4に記載の形質転換体を培地で培養し、前記形質転換体中または培地中に、PCNA単量体および/または前記単量体で構成された多量体を蓄積させ、蓄積したPCNAの単量体または多量体を回収する工程を含む、PCNAの製造方法。
[項6]
項1に記載のPCNA単量体および/または前記単量体で構成された多量体を含むDNA複製用試薬。
[項7]
項6に記載の試薬を備えた、DNA複製用キット。
[項8]
PCR用の試薬を備えた、項7に記載のDNA複製用キット。
[項9]
項1に記載のPCNA単量体および/または前記単量体で構成された多量体と、DNAポリメラーゼとの存在下でDNAの合成反応を行う、DNAの複製方法。
[項10]
前記DNAの合成反応がPCRである、項9に記載のDNAの複製方法。
本発明により、DNA複製における増幅増強活性に優れた汎用性の高いDNA複製促進因子が提供される。
本発明のPCNAの増幅増強活性の確認
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説する。
本明細書においては、塩基配列、アミノ酸配列およびその個々の構成因子については、アルファベット表記による簡略化した記号を用いる場合があるが、いずれも分子生物学・遺伝子工学分野における慣行に従う。また、本明細書においては、アミノ酸配列の変異を簡潔に示すため、例えば「D143A」などの表記を用いる。「D143A」は、第143番目のアスパラギン酸をアラニンに置換したことを示しており、すなわち、置換前のアミノ酸残基の種類、その場所、置換後のアミノ酸残基の種類を示している。欠損はΔで表記する。
また、配列番号は、特に断らない限り、配列表に記載された配列番号に対応する。また、多重変異体の場合は、上記の表記を「/」でつなげて表す。たとえば「D143A/D147A」は、第143番目のアスパラギン酸をアラニンに置換し、かつ、第147番目のアスパラギン酸をアラニンに置換したことを示す。三重変異体以上の多重変異体については、さらに「/」の記号のあとに「P36H」などの変異箇所についての情報を追記する。
また、本明細書において「変異型PCNA」という場合の「変異型」とは、従来知られたPCNAとは異なるアミノ酸配列を備えることを意味するものであり、人為的変異によるか自然界における変異によるかを区別するものではない。
(1)本発明のPCNA
本発明の実施形態の一つは、以下の(1)から(3)のうちいずれかで示されるPCNA単量体である。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列の107番目のアミノ酸残基を中性アミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(2)(1)で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号1に記載のアミノ酸配列における、107番目に相当するアミノ酸残基以外の、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加(これらを纏めて「変異」とも表す。)されているアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。
(3)配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。
(1.1)アミノ酸配列
配列番号1は、Thermococcus kodakaraensis由来のPCNA(以下、KOD−PCNA2とも記載する。)のアミノ酸配列である。
配列番号1において、107番目のアミノ酸残基はPCNAの多量体形成に関わるアミノ酸残基のうちの1つである。PCNAの多量体形成に関わるアミノ酸残基は、構造解析により解明されており、配列番号1に記載のアミノ酸における、第143番目、第177番目のアミノ酸残基群と、第82番目、第87番目、第107、第109番目のアミノ酸残基群とが、また第75番目のアミノ酸と第172番目のアミノ酸とが接合することにより形成される。真核細胞および古細菌においては、多くの場合PCNAは三量体を形成する。
上記(2)のポリペプチドは、増幅増強活性を保持する限度で、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸配残基が置換、欠失、挿入および/または付加(以下、これらを纏めて「変異」とも表す。)されたアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
一又は数個の変異は、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)など公知の手法を利用して、後述する本発明のPCNA単量体をコードするDNAに変異を導入することによって実施することが可能である。また、紫外線照射など他の方法によってもバリアントPCNA単量体を得ることができる。バリアントPCNA単量体には、PCNAを保持する微生物の個体差、種や属の違いに基づく場合などの天然に生じるバリアント(例えば、一塩基多型)も含まれる。
上記(3)のポリペプチドは、増幅増強活性を保持することを限度で、配列番号1に示されるアミノ酸配列と比較した同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましくは、本発明のPCNA単量体が有するアミノ酸配列と配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性は、85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。このような一定以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、上述するような公知の遺伝子工学的手法に基づいて作成することができる。
アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本明細書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、アミノ酸配列の同一性を算出する。
上記の(2)または(3)に記載したようなPCNAとして、好ましくは、PCNAの精製を簡便にすべくN末に挿入したHisタグなどが挙げられるが、これに限定されない。
(1.2)中性アミノ酸残基
本発明のPCNA単量体においては、配列番号1における107番目のアミノ酸残基が中性アミノ酸残基に置換されるが、置換する塩基性アミノ酸の種類は特に限定されない。本発明の中性アミノ酸としては、天然のものであれば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。好ましくは、置換部位の周辺部位の立体構造に与える影響がもっとも小さいアラニンである。
(1.3)増幅増強活性
増幅増強活性はPCRによって評価できる。鋳型となるDNA、緩衝材、マグネシウム、dNTPs、プライマー、およびファミリーBに属するDNAポリメラーゼを含むPCR反応液に、評価するPCNAを添加し、PCNA添加なしのものと増幅量を比較することで、増幅増強活性を確認することができる。好ましくは、増幅量が少ないPCR反応系でPCNAの増幅増強活性は評価しやすく、さらに好ましくは、dUTPを含む反応系や伸長時間が短い反応条件などでPCNAの増幅増強活性を評価することが望ましい。
(1.3.1)増幅増強活性の測定方法
PCNAの増幅増強活性を評価しやすくするため、伸長時間を短くし、増幅量を少なくした反応系でPCNAの増幅増強活性を比較する。
本明細書においては、増幅増強活性は以下の方法で評価する。
(i)PCR
KOD Dash(Toyobo社製)添付の10×PCR Buffer(反応に用いる濃度の10倍に濃縮されている。)を用いて、
1×PCR Buffer、
0.2mM dNTPs、
1pmolのプライマー(配列番号3及び4)、
50ngのヒトゲノムDNA(Roche製)、
1Uの KOD −Plus− ポリメラーゼ
を含むよう反応液を調製する。
50μlの前記反応液中に、評価するPCNAを250ng添加し、
94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→68℃、30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCRを行う。
(ii)PCR産物の分析
反応終了後、5μlの反応液についてアガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下、増幅DNA断片を、PCNAを添加していないものと比較することで増幅増強活性を評価することができる。増幅増強活性の高いPCNAは添加によって増幅量が増加する。
増幅量の増加を定量的に評価する方法としては、Gel Pro Analyzer(Media Cybernetics)などソフトを利用することが挙げられるが増幅量を数値化できるソフトであれば、これに限定されない。
このような方法で増幅量を比較したとき、PCNAを添加した場合の増幅量が、PCNAを添加しなかった場合の増幅量の1.0倍(好ましくは1.2倍、さらに好ましくは1.5倍、さらに好ましくは2倍、3倍)を超える。もしくは増幅していなかったターゲットが増幅すれば、そのPCNAが「増幅増強活性を有する」と判断する。
(1.4)
PCRにおいては、プライマーと鋳型DNAを用いてDNA複製を繰り返し、幾何級数的にDNAを増幅させる。そのため、PCNAはDNAポリメラーゼに対するクランプとしての機能を果たすと共に、DNAポリメラーゼが鋳型上で安定した後または所定領域の増幅後には鋳型から速やかに外れることが望ましい。
本発明のPCNA変異体が従来のPCNA変異体よりDNAの複製反応を促進し得る作用・機序は必ずしも明確ではないが、多量体により形成される環構造が温度上昇時に解除されるような構造を有することにより、DNAの複製反応の繰り返しが円滑に行われ、その結果、DNA複製反応をより促進するということが推測される。
(1.5)
本発明のPCNA単量体は、単離されたもの又は精製されたものであることが好ましい。また、本発明のPCNA単量体は、上記保存に適した溶液中に溶解した状態又は凍結乾燥された状態(例えば、粉末状)で存在してもよい。本発明のPCNA単量体に関して使用する場合の「単離された」とは、当該酵素以外の成分(例えば、宿主細胞に由来する夾雑タンパク質、他の成分、培養液等)を実質的に含まない)状態をいう。具体的には例えば、本発明の単離されたPCNA単量体は、夾雑タンパク質の含有量が重量換算で全体の約20%未満、好ましくは約10%未満、更に好ましくは約5%未満、より一層好ましくは約1%未満である。一方で、本発明のPCNA単量体は、保存又は酵素活性の測定に適した溶液(例えば、バッファー)中に存在してもよい。また、一部または全部が三量体などの多量体を形成していてもよい。
(2)本発明のPCNAの製造方法等
(2.1)本発明のPCNAをコードするDNA
PCNAをコードする遺伝子は、PCNAをもつ微生物からクローニングすることができる。またアミノ酸の配列情報や核酸の配列情報をもとに人工的に合成することもできる。
本発明の実施形態の一つは、上記の本発明の変異型PCNA単量体が備えるアミノ酸配列をコードするDNAである。具体的には以下の(A)〜(D)のいずれかである。
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列の107番目のアミノ酸残基を中性アミノ酸残基に置換したアミノ酸配列をコードする塩基配列を示すDNA
(B)配列番号5に記載の塩基配列において、第319〜321番目が中性アミノ酸残基をコードするトリプレットに対応するヌクレオチドで置き換えられたDNA
(C)前記(B)に示される塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつ、第319〜321番目が中性アミノ酸残基をコードするトリプレットに対応するヌクレオチドで置き換えられ、かつ、増幅増強活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(D)配列番号5のポリヌクレオチドの有する塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、
配列番号1における107番目に相当するアミノ酸残基が中性アミノ酸残基で置き換えられたアミノ酸配列をコードする塩基配列を有し、かつ、増幅増強活性を有するPCNAをコードするポリヌクレオチド
本明細書において「タンパク質をコードするDNA」とは、それを発現させた場合に当該タンパク質が得られるDNA、即ち、当該タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するDNAのことをいう。従ってコドンの縮重によって相違するDNAも含まれる。
本発明のDNAは、それがコードするアミノ酸配列を有するタンパク質が、増幅増強活性を備える限り、配列番号5に示される塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である塩基配列を有する。
塩基配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本明細書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムAdvanced BLAST 2.1において、プログラムにblastnを用い、各種パラメータはデフォルト値に設定して検索を行うことにより、ヌクレオチド配列の相同性の値(%)を算出する。
本発明のDNAは、それがコードするタンパク質が増幅増強活性を有する限り、配列番号5に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであっても良い。
「ストリンジェントな条件」とは、一般には、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって、例えば、Molecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)を参照して設定することができる。
本明細書では、「ストリンジェントな条件」とは、以下に示す条件を言う。
ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mLの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる。
(2.2)ベクター
本発明の実施形態の一つは、上記の本発明の変異型PCNAが備えるアミノ酸配列をコードするDNAを組み込んだベクターである。
本発明のベクターは、上記(2.1)で説明する本発明の変異型PCNAをコードするDNAが組み込まれたベクターである。ここで「ベクター」とは、それに挿入された核酸分子を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子(キャリアー)であり、適当な宿主細胞内で本発明のDNAを複製可能であり、且つ、その発現が可能である限り、その種類や構造は特に限定されない。即ち、本発明のベクターは発現ベクターである。ベクターの種類は、宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。
ベクターの具体例としては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)等を挙げることができる。また、糸状菌を宿主とする場合に適したベクターや、セルフクローニングに適したベクターを使用することも可能である。
大腸菌を宿主とする場合は、例えば、M13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBlueScript又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)など)を使用することができる。酵母を宿主とする場合は、pYepSec1、pMFa、pYES2等を使用することができる。昆虫細胞を宿主とする場合は、例えば、pAc、pVL等が使用でき、哺乳類細胞を宿主とする場合は、例えば、pCDM8、pMT2PC等を使用することができるが、これらに限定される訳ではない。
発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。本発明のDNAのベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
(2.3)形質転換体
本発明の実施形態の一つは、上記の本発明の変異型PCNAが備えるアミノ酸配列をコードするDNAを組み込んだベクターを含む形質転換体である。
DNAの宿主への導入手段は特に制限されないが、例えば、上記(2.2)で説明するベクターに組み込まれた状態で宿主に導入される。宿主細胞は、本発明のDNAを発現して変異型PCNAを生産することが可能である限り、特に制限されない。具体的には、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、カビ、昆虫細胞、植物培養細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができる。
宿主が原核細胞の場合は、エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属などが例として挙げられ、それぞれ、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)C600、エシェリヒア・コリHB101、エシェリヒア・コリDH5α、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ブレビバチルス・チョウシネンシス(Brevibacillus choshinensis)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)などが例として挙げられる。また、ベクターとしてはpBR322、pUC19、pBlueScriptなどが例として挙げられる。
宿主が酵母の場合は、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、キャンデイダ(Candida)属、ピキア(Pichia)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属などが例として挙げられ、それぞれ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、キャンデイダ・ウチリス(Candida utilis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、クリプトコッカス・エスピー(Cryptococcus sp.)などが例として挙げられる。ベクターとしてはpAUR101、pAUR224、pYE32などが挙げられる。
宿主が糸状菌細胞である場合は、アスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、コレトトリカム(Colletotrichum)属などが例として挙げられ、それぞれ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)、コレトトリカム・ヒエマリス(Colletotrichum hiemalis)等を例示することができる。即ち、形質転換体では、通常、外来性のDNAが宿主細胞中に存在するが、DNAが由来する微生物を宿主とするいわゆるセルフクローニングによって得られる形質転換体も好適な実施形態である。
本発明の形質転換体は、好ましくは、上記(2.2)に示される発現ベクターを用いたトランスフェクションまたはトランスフォーメーションによって調製される。形質転換は、一過性であっても安定的な形質転換であってもよい。トランスフェクション及びトランスフォーメーションはリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、Hanahanの方法、酢酸リチウム法、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法、等を利用して実施することができる。
形質転換体に生成させた本発明のPCNAは、必要に応じて、タンパク質精製の定法により、精製、単離することができる。
(2.4)PCNAの製造方法
本発明の実施形態の一つは、前記の形質転換体を培地で培養し、前記形質転換体中または培地中に、PCNA単量体または前記単量体で構成された多量体を蓄積させ、蓄積したPCNAの単量体または多量体を回収する工程を含む、変異型PCNAの製造方法である。
上記改変PCNA遺伝子を必要に応じて発現ベクターに移し替え、宿主として例えば大腸菌を、該発現ベクターを用いて形質転換した後、アンピシリン等の薬剤を含む寒天培地に塗布し、コロニーを形成させる。コロニーを栄養培地、例えばLB培地や2×YT培地に接種し、37℃で12〜20時間培養した後、菌体を破砕して粗酵素液を抽出する。ベクターとしては、pBlueScript由来のものが好ましい。菌体を破砕する方法としては公知のいかなる手法を用いても良いが、例えば超音波処理、フレンチプレスやガラスビーズ破砕のような物理的破砕法やリゾチームのような溶菌酵素を用いることができる。この粗酵素液を80℃、30分間熱処理し、遠心することで宿主由来のタンパクを除去し、SDS−PAGEに供することで、目的タンパクの発現を確認することができる。
上記方法により選抜された菌株から精製PCNAを取得する方法は、いかなる手法を用いても良いが、例えば下記のような方法がある。栄養培地に培養して得られた菌体を回収した後、酵素的または物理的破砕法により破砕抽出して粗酵素液を得る。得られた粗酵素抽出液から熱処理、例えば80℃、30分間処理し、その後硫安沈殿によりPCNA画分を回収する。この粗酵素液をセファデックスG−25(アマシャムファルマシア・バイオテク製)を用いたゲル濾過等の方法により脱塩を行うことができる。この操作の後、Qセファロースカラムクロマトグラフィーに供することで、精製し、精製酵素標品を得ることができる。該精製酵素標品はSDS−PAGEによってほぼ単一バンドを示す程度に純化される。
組換えタンパク質として本PCNAを得る場合は、精製を容易にするため、配列番号1のN末もしくはC末にHisタグを挿入しても良い。
組換えタンパク質として本PCNAを得ることにすれば種々の修飾が可能である。例えば、本PCNAをコードするDNAと他の適当なDNAとを同じベクターに挿入し、当該ベクターを用いて組換えタンパク質の生産を行えば、任意のペプチドないしタンパク質が連結された組換えタンパク質からなる本PCNAを得ることができる。また、糖鎖及び/又は脂質の付加や、あるいはN末端若しくはC末端のプロセッシングが生ずるような修飾を施してもよい。以上のような修飾により、組換えタンパク質の抽出・精製の簡便化、又は生物学的機能の付加等が可能である。
なお、PCNAの単量体は、一方の単量体のN末端側領域と他方の単量体のC末端側領域とが界面となって接合し多量体を形成する。その接合は可逆的であるため、PCNA単量体として発現させたものの少なくとも一部が多量体を形成することがある。
(3)本発明の変異型PCNAの利用法等
(3.1)DNAの複製方法
本発明の実施形態の一つは、上記の本発明のPCNAおよびDNAポリメラーゼの存在下でDNAの合成反応を行う、DNAの複製方法である。前記方法において、PCNAは単量体であっても前記単量体で構成された多量体のいずれであってもかまわないし、その両方の形態が混在していても良い。
DNAの複製方法は特に限定されない。PCR、プライマーエクステンション、ニックトランスレーション、逆転写酵素によるFirst strand cDNA合成、などが挙げられるが、PCRによるDNA増幅が好適な形態として挙げられる。
DNAの複製方法の条件も特に限定されない。たとえばPCRの場合の代表的な条件を以下に示す。
増幅対象DNAに、
(a)DNAポリメラーゼ
(b)PCNA
(c)一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である一対のプライマー
(d)DNA合成基質(デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、および、
(e)マグネシウムイオン、アンモニウムイオン及び/又はカリウムイオンを含むバッファー溶液
を、混合し、
サーマルサイクラー等を用いて反応液の温度を以下の(I)から(IV)で示されるサイクルで上下させることにより、(1)DNA変性、(2)プライマーのアニーリング、(3)プライマーの伸長の熱サイクルを繰り返し、特定のDNA断片を増幅させる。
(I)反応液を94°C程度に加熱し、30秒から1分間温度を保ち、2本鎖DNAを1本鎖に分かれさせる。
(II)60°C程度(プライマーによって若干異なる)にまで急速冷却し、その1本鎖DNAとプライマーをアニーリングさせる。
(III)プライマーの分離がおきずDNAポリメラーゼの活性に至適な温度帯まで、再び加熱する。実験目的により、その温度は60−72℃程度に設定される。DNAが合成されるのに必要な時間、増幅する長さによるが通常1分から2分、この温度を保つ。
(IV)ここまでが1つのサイクルで、以後、(I)から(III)までの手順を繰り返していく事で特定のDNA断片を増幅させる。
上記PCR方法においては、必要に応じて、さらに、BSA、非イオン界面活性剤を用いてもよい。また、さらに、耐熱性DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性及び/又は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を抑制する活性を有する抗体を用いても良い。前記抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体などが挙げられる。本反応組成は、PCRの感度上昇、非特異増幅の軽減に特に有効である。
本発明のPCNAは、様々なDNAポリメラーゼと相性がよく、汎用性が高い。DNAポリメラーゼは、通常、伸長性または忠実性のいずれか一方に優れ、一長一短があるのが一般的である。しかし、本発明のPCNAと組み合わせることにより、忠実性を低下させずに、伸長性を向上し得るため、DNAポリメラーゼの短所を補強しつつDNA複製活性が増強され得る。
(3.1.1)α型ポリメラーゼとの組み合わせ
本発明のPCNAは特に伸長性向上に有効であり、忠実性には優れるが伸長性に劣るタイプのα型ポリメラーゼとの組み合わせにおいて特に有用である。典型的なα型ポリメラーゼとしては、ファミリーBに属するものが挙げられる。なかでもPyrococcusやThermococcusなど古細菌に由来するものが好ましい。
例えば、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社)、TaKaRa EX Taq(タカラバイオ社)、Vent DNA Polymerase(NEW ENGLAND Bio Labs社)、Deep VentR DNA Polymerase(New England Biolabs社)、Pfu Turbo DNA Polymerase(ストラタジーン社)、KOD DNA Polymerase(東洋紡社)、およびPwo DNA Polymerase(ロッシュ・ダイアグノスティックス社)など、現在主要に用いられているDNAポリメラーゼのほとんどに適用し得るが、これらに限定されるものではない。
(3.1.2)
上記のα型ポリメラーゼは、さらに、減少した塩基類似体検出活性を有する変異体であっても良い。塩基類似体とはアデニンやシトシン、グアニン、チミン以外の塩基を示し、ウラシルやイノシンなどが挙げられる。通常、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、塩基類似体であるウラシルやイノシンを検出すると強く結合し、ポリメラーゼ機能を阻害する。塩基類似体検出活性とは、塩基類似体と強く結合し、ポリメラーゼ機能を阻害する活性を示す。減少した塩基類似体検出活性を有するファミリーBに属するDNAポリメラーゼ変異体とは、ウラシルやイノシンへの結合能力が低いことを特徴とするファミリーBに属するDNAポリメラーゼ変異体である。
このような変異体は、ウラシルの結合に関するアミノ酸配列(ウラシル結合ポケット)の少なくとも1か所に改変を加えることにより作製できる。具体的には、Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列(配列番号6)の1〜40番目、および78〜130番目によって形成されるウラシルの結合に関するアミノ酸配列(ウラシル結合ポケット)の少なくとも1か所に改変を加え、野生型のDNAポリメラーゼと比較してウラシルやイノシンへの結合能力を低下させたDNAポリメラーゼ変異体が例示される。
ウラシルの結合に関するアミノ酸配列はパイロコッカス属に由来するDNAポリメラーゼ及びサーモコッカス属に由来するDNAポリメラーゼにおいて高度に保存されている。サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号6)においては、上述の通り、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。パイロコッカス・フリオサス(配列番号7)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・ゴルゴナリウス(配列番号8)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・リトラリス(配列番号9)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。パイロコッカス・エスピーGB−D(配列番号10)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピーJDF−3(配列番号11)のおいては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピー9°N−7(配列番号12)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピーKS−1(配列番号13)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・セラー(配列番号14)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・シクリ(配列番号15)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。
(3.1.3)
本発明の核酸増幅法に用いる減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼ変異体として、より好ましいのは、ウラシルと相互作用に直接関連していると想定されている、配列番号6または配列番号7で示されるアミノ酸配列の7、36、37、90〜97および112〜119番目のうち少なくとも1つに改変を加えた古細菌DNAポリメラーゼ変異体、たとえば、
(a1)配列番号6または配列番号7で示されるアミノ酸配列の7、36、37、90〜97および112〜119番目に相当するアミノ酸のうち、少なくとも1つのアミノ酸の改変を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
である。
(3.1.4)
上記のDNAポリメラーゼ変異体は、以下の(a2)で示されるものであってもよい。
(a2)(a1)で示されるDNAポリメラーゼ変異体において、さらに、7、36、37、90〜97および112〜119番目以外の部位において少なくとも1つのアミノ酸が改変されており、そのアミノ酸配列と配列番号6との同一性またはそのアミノ酸配列と配列番号7との同一性が80%以上(好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上)であり、かつ、減少した塩基類似体検出活性を有するポリペプチド。
アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本明細書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、アミノ酸配列の同一性を算出する。
(3.1.5)
上記のDNAポリメラーゼ変異体は、以下の(a3)で示されるものであってもよい。
(a3)(a1)で示されるDNAポリメラーゼ変異体において、さらに、7、36、37、90〜97および112〜119番目以外の部位において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されており、かつ、減少した塩基類似体検出活性を有するポリペプチド。
ここで「数個」とは、「減少した塩基類似体検出活性」が維持される限り制限されないが、例えば、全アミノ酸の約20%未満に相当する数であり、好ましくは約15%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。より具体的には、変異されるアミノ酸残基の個数は、例えば、2〜160個、好ましくは2〜120個、より好ましくは2〜80個、更に好ましくは2〜40個であり、より更に好ましくは2〜5個である。
なお、「配列番号6に示されるアミノ酸配列における7、36、37、90〜97、および112〜119番目に相当するアミノ酸」とは、配列番号6に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼにおいて、配列番号6の7、36、37、90〜97、および112〜119番目に対応するウラシルの結合に関するアミノ酸配列を含む表現である。本明細書において、前記と同じ形式の表記における「相当する」の意味は、前記の例示と同じである。
本願明細書において、配列番号6に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列おける、配列番号6上のある位置(順番)と対応する位置とは、配列の一次構造を比較(アラインメント)したとき、配列番号6の当該位置と対応する位置とする。本明細書において、前記と同じ形式の表記における「対応する位置」の意味は、前記の例示と同じである。
配列の一次構造を比較する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本明細書では、DNA Databank of Japan(DDBJ)のClustalW(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/index.php?lang=ja)においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、配列の一次構造を比較する。
なお、特許4395377号または特表2006−507012号には、ウラシルと相互作用に直接関連していると想定されている7、36、37、90〜97、および112〜119番目のアミノ酸のいずれかに改変を加えた古細菌DNAポリメラーゼ変異体がいくつか例示されているが、その全ての改変体が本願の課題にかなう良好な特性を有しているわけではなく、中には活性を失っているものも見られる。
(3.1.6)
本発明の核酸増幅法に用いる減少した塩基類似体検出活性を有する古細菌DNAポリメラーゼ変異体は、より好ましくは、配列番号6または配列番号7で示されるアミノ酸配列の7、36、または93番目に相当するアミノ酸のうち、少なくとも1つのアミノ酸の改変を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
前記ポリペプチドにおいて、アミノ酸の改変が1か所である場合、7番目のアミノ酸であるチロシン(Y)が非極性アミノ酸に置換されていることが好ましく、具体的にはY7A、Y7G、Y7V、Y7L、Y7I、Y7P、Y7F、Y7M、Y7W、及びY7Cからなる群より選ばれるアミノ酸置換が例示される。別の例としては、36番目のアミノ酸であるプロリン(P)が正電荷をもつ極性アミノ酸に置換されていることが好ましく、具体的にはP36H、P36K、またはP36Rのアミノ酸置換が例示される。別の例としては、93番目のアミノ酸であるバリン(V)が正電荷をもつ極性アミン酸に置換されていることが好ましく、具体的にはV93Q、V93K、またはV93Rのアミノ酸置換が例示される。
より好ましくは、Y7A、P36H、P36K、P36R、V93Q、V93K、及びV93Rからなる群より選ばれるいずれかである。さらに好ましくはP36K、P36RまたはP36Hである。さらに好ましくはP36Hである。
前記ポリペプチドにおいて、アミノ酸の改変が2か所である場合、好ましい変異体として、Y7A/V93K、Y7A/P36H、Y7A/P36R、Y7A/V93R、Y7A/V93QまたはP36H/V93Kなどが挙げられる。好ましくは、Y7A/P36HまたはY7A/V93Kなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明における塩基類似体検出活性の評価は、以下の方法に従う。
KOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付の10×PCR Buffer、またはPfu DNA Polymerase(Agilent社製)添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO、0.2mM dNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)、約1.3kbを増幅する15pmolの配列番号16及び17に記載のプライマー、10ngのヒトゲノムDNA(Roche製)、1Uの各酵素を含む50μlの反応液中に、dUTP(Roche製)を終濃度0.5、5、50、100、200μMになるよう添加する。94℃、30秒の前反応の後、98℃、10秒→65℃、30秒→68℃、1分30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)にてPCRを行う。反応終了後、5μlの反応液についてアガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下約1.3kbの増幅DNA断片を確認することで塩基類似体検出活性が減少しているかどうかが評価できる。
(3.1.7)
本発明の核酸増幅法に用いる改変されたDNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列のいずれかに少なくとも1つのアミノ酸の改変を含んでいてもよい。
3‘−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、取り込まれたヌクレオチドをDNA重合体の3’末端から除去する能力を指し、上記の3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域とは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼで高度に保存されている部位であり、サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号6)、パイロコッカス・フリオサスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号7)、サーモコッカス・ゴルゴナリウスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号8)、サーモコッカス・リトラリスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号9)、パイロコッカス・エスピーGB−Dに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号10)、サーモコッカス・エスピーJDF−3に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号11)、サーモコッカス・エスピー9°N−7に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号12)、サーモコッカス・エスピーKS−1に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号13)、サーモコッカス・セラーに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号14)、又はサーモコッカス・シクリに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号15)においては、137〜147、206〜222、および308〜318番目のアミノ酸である。
本発明は具体的に配列を提示したDNAポリメラーゼ以外のDNAポリメラーゼにも適用される。また、配列番号6〜15に示されるDNAポリメラーゼ以外のファミリーBに属する古細菌由来DNAポリメラーゼにおいては、配列番号6の137〜147、206〜222、および308〜318番目のアミノ酸からなる3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域と対応する領域のことを示す。
なお、「配列番号6に示される137〜147、206〜222、および308〜318番目に相当するアミノ酸」とは、配列番号6に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼにおいて、配列番号6の137〜147、206〜222、および308〜318番目に対応するアミノ酸配列を含む表現である。
上記の3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域への改変とは、置換、欠失、または付加からなり得る。配列番号6における137〜147、206〜222、および308〜318番目に対応するアミノ酸への改変を示す。
前記3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域を改変したDNAポリメラーゼとしては、配列番号6または配列番号7における141、142、143、210、311番目に対応するアミノ酸の少なくとも一つを改変したものが好ましい。これらの改変型DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠損している。
より好ましくは、アミノ酸の改変がD141A、E143A、D141A/E143A、I142R、N210D、またはY311Fから選択されるいずれか一つである、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させたDNAポリメラーゼである。
なお、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させた(エキソ(−))DNAポリメラーゼとは、活性の完全な欠如を含み、例えば、親酵素と比較して0.03%、0.05%、0.1%、1%、5%、10%、20%、または最大でも50%以下のエキソヌクレアーゼ活性を有する改変されたDNAポリメラーゼを指す。
前記3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域を改変したDNAポリメラーゼとして、別の好ましい形態は、配列番号6または配列番号7における147番目に対応するアミノ酸を改変したものである。より好ましくは、H147E、またはH147Dから選択されるいずれか一つである。これらの改変型DNAポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を維持したまま、PCR効率が向上している。
(3.1.8)
本発明のDNA複製方法においては,本発明のPCNAがRFCを必要としないことから、反応系にRFCを添加しなくてよい。RFC標品は一般には市販されておらず、その調製は手間を要する。RFC標品が利用できるとしても、添加して使用する場合には、RFC以外のDNA複製系の諸因子との適切な量比等の条件設定が必要であるが、本発明においてはこれらを考慮しなくてよいというメリットがある。また、特にPCRでの使用の場合には、本発明のPCNAはRFCを併用しなくとも、野生型PCNAとRFCの併用時よりも優れた促進活性を発揮する。
また、PCRの具体的な条件に関しては、既に多くの解説書が発行されており、本発明の方法においてもそれらの文献を参考にして適宜反応条件等を調整してよい。PCRの条件としては、例えば、DNAポリメラーゼの添加量、PCRの反応時間、反応溶液の温度の設定、反応溶液の成分、反応溶液のpH、投入する鋳型ポリヌクレオチドの量などの種々の条件が調整される。
(3.2)DNA複製用試薬、DNA複製用キット
本発明の試薬キットは、上記本発明のPCNAおよび必要に応じその他の試薬類を含むDNA複製用の試薬キットである。本発明のPCNAは、単量体および/または前記単量体で構成された多量体を含む形態で、DNA複製用試薬の一成分として好適に用い得る。本発明の試薬キットは、本発明のPCNAがPCRにおいて特に好適に用い得るため、PCR用の試薬キットとして特に好適である。
本発明の試薬キットに備えられるPCNAはどのような形態であってもよく、精製タンパク質、タンパク質をコードするポリヌクレオチドが組み込まれた組換えポリヌクレオチド、あるいはこの組換えポリヌクレオチドが導入された形質転換体などの形態が例示される。組換えポリヌクレオチドや形質転換体の好ましい形態については、上記で説明したとおりである。また、本発明のPCNAと他のPCNAを組み合わせてもよい。また、本発明のPCNAが、組換えDNAまたは形質転換体の形態で提供される場合には、本発明のPCNAを発現させるために用いられる試薬類等を備えてもよい。また、本発明のPCNAを含む試薬には、必要に応じてバイオテクノロジー試薬として一般に用いられる他の成分や媒体を配合してもよい。
(4)
(4.1)DNAポリメラーゼ活性測定法
酵素活性が強い場合には、保存緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8.0),50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.1% Tween20,0.1% Nonidet P40,50% グリセリン)でサンプルを希釈して測定を行う。(1)下記のA液25μl、B液5μl、C液5μl、滅菌水10μl、及び酵素溶液5μlをマイクロチューブに加えて75℃にて10分間反応する。(2)その後氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後更に10分間氷冷する。(3)この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)で濾過し、0.1N 塩酸およびエタノールで十分洗浄する。(4)フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード製)で計測し、鋳型DNAのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件で30分当りの10nmolのヌクレオチドを酸不溶性画分(即ち、D液を添加したときに不溶化する画分)に取り込む酵素量とする。
A:40mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)16mM 塩化マグネシウム15
mM ジチオスレイトール100μg/mL BSA(牛血清アルブミン)
B:1.5μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C:1.5mM dNTP(250cpm/pmol [3H]dTTP)
D:20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E:1mg/mL仔牛胸腺DNA
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
(実施例1)
KOD−PCNA2変異体のプラスミド作製
Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来の改変型耐熱性PCNA遺伝子を含有するプラスミドを作製した。
変異導入に使用されるDNA鋳型は、pBlueScriptにクローニングされたサーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来のPCNA2(配列番号5)(pKODPCNA2)を参考にし、人工合成にて作成した。人工合成した核酸を、pET23bにクローニングし、変異導入のDNA鋳型(pMjaPCNA)として利用した。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(Toyobo社製)を用いて、方法は取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリDH5αを形質転換し、酵素調製に用いた。
実施例1で作製したプラスミドを表1に示す。
(実施例2)
KOD−PCNA2変異体の作製
実施例1で得られた菌体の培養は以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition、p.A.2)80mLを500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム;ギブコ製)で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリDH5α(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にて16時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、Qセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1%ノニデットP40、50%グリセリン)に置換し、KOD−PCNA2変異体を得た。
(実施例3)
KOD−PCNA2のスクリーニング
PCRで増幅増強活性がある変異体を取得するため、上記で作製したKOD−PCNA2変異体を用いて、上記(1.3.1)で示した増幅増強活性の測定方法に従い、PCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)を用いてHuman β−グロビンの3.6kbを増幅することで比較した。PCNAは25、50、100、200、400、800ngを反応系に添加した。
表2は各KOD−PCNA2変異体の増幅増強活性を調べた結果になる。縦軸は各KOD−PCNA2の変異箇所を示し、横軸が添加したPCNA量を示す。
増幅量を以下の0〜2の3段階で示した。
0:増幅なし(増幅増強活性なし)
1:薄く増幅している(微弱な増幅増強活性あり)
2:増幅している(増幅増強活性あり)
結果、E107位をA、G、Wに置換した変異体で増幅増強活性が確認された。図1は、増幅増強活性のあったE107A、およびコントロールとして増幅増強活性のなかったD87Aの電気泳動結果である。
今回用いたKOD−PCNA2ではE107位以外のアミノ酸の置換ではPCRでの増幅増強活性は確認できなかった。構造解析で知られている部位に単純に変異を入れるだけでは増幅増強活性のあるものが得られるわけではないことがわかる。このKOD−PCNA2変異体を用いれば、PCRの伸長時間を大幅に短縮でき、診断などの遺伝子増幅において非常に有用だと考えられる。
本発明は、バイオテクノロジー関連産業において有用であり、特にDNA合成に関わる技術関連において有用である。

Claims (10)

  1. 以下の(1)から(3)のうちいずれかで示されるPCNA単量体。
    (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列の第107番目のアミノ酸残基を中性アミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチド。
    (2)(1)で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号1に記載のアミノ酸配列における、107番目に相当するアミノ酸残基以外の、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されているアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。
    (3)配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、増幅増強活性を有するポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のPCNA単量体が備えるアミノ酸配列をコードするDNA。
  3. 請求項2に記載のDNAを組み込んだベクター。
  4. 請求項3に記載のベクターを含む形質転換体。
  5. 請求項4に記載の形質転換体を培地で培養し、前記形質転換体中または培地中に、PCNA単量体および/または前記単量体で構成された多量体を蓄積させ、蓄積したPCNAの単量体または多量体を回収する工程を含む、PCNAの製造方法。
  6. 請求項1に記載のPCNA単量体および/または前記単量体で構成された多量体を含むDNA複製用試薬。
  7. 請求項6に記載の試薬を備えた、DNA複製用キット。
  8. PCR用の試薬を備えた、請求項7に記載のDNA複製用キット。
  9. 請求項1に記載のPCNA単量体および/または前記単量体で構成された多量体と、DNAポリメラーゼとの存在下でDNAの合成反応を行う、DNAの複製方法。
  10. 前記DNAの合成反応がPCRである、請求項9に記載のDNAの複製方法。
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