JP2016117273A - 立体造形物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の立体造形物の製造方法は、配向性材料を配向させる工程を含む立体造形物の製造方法であって、いわゆる「液体硬化方式」と「粉体接着方式」とに大別される。
本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式は、第一の工程と、第二の工程と、第三の工程と、を少なくとも含み、第四の工程と、第五の工程と、を含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記第一の工程は、前記配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する工程である。
本発明で用いられる立体造形用液体、即ち、本発明の立体造形物の製造方法で用いる第一の液体は、配向性材料を少なくとも含み、硬化性材料を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記配向性材料としては、前記立体造形用液体中に分散状態で存在し、外部エネルギーの付与により配向する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記配向性材料としては、例えば、針状乃至棒状物質、繊維状物質、板状乃至層状物質、異方性ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記針状乃至棒状物質や繊維状物質としては、例えば、炭素繊維(カーボンファイバー)、ガラス繊維(ガラスファイバー)、アルミナ水和物(ベーマイト)、ウォラストナイト;ステンレス、アルミニウム等の金属繊維などが用いられる。これらの中でも、炭素繊維が特に好ましい。
前記針状乃至棒状物質のアスペクト比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10以上であることが好ましい。
前記VGCF−Hは、平均繊維径150nm、平均繊維長1μm以上20μm以下のチューブ状の炭素繊維である。
前記VGCF−Sは、平均繊維径100nm、平均繊維長1μm以上20μm以下のチューブ形状の炭素繊維である。
前記VGCF−H及びVGCF−Sの繊維軸方向の体積抵抗値は、約1×10−4Ω・cm)であることが好ましい。
前記炭素繊維の含有量は、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記板状乃至層状物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単一層の状態で水に分散した層状鉱物であることが好ましい。
前記層状鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母などが挙げられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、前記例示したものを、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製))、フッ素化ヘクトライト SWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、合成ヘクトライトが好ましい。
前記異方性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液晶性ポリマーが代表的に用いられるが、異方性溶融相を形成し得るポリマーであり、エステル結合を有するポリマーが好ましい。
前記硬化性材料としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)照射、加熱等により重合反応を生起し硬化する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物、熱硬化性化合物などが挙げられる。これらの中でも、常温で液体の材料が好ましい。
前記単官能モノマーは、不飽和炭素−炭素結合を1つ有する化合物であり、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、その他の単官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーは、ハイドロゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記単官能モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上10質量%以下の範囲であると、立体造形用液体中の配向性材料の分散安定性が保たれ、かつ立体造形物の延伸性を向上させるという利点がある。前記延伸性とは、立体造形物を引張った際に伸び、破断しない特性のことをいう。
前記多官能モノマーは、不飽和炭素−炭素結合を2つ以上有する化合物であり、活性エネルギー線硬化型モノマーが好ましく、例えば、2官能モノマー、3官能モノマー、3官能以上のモノマーなどが挙げられる。
前記多官能モノマーのホモポリマーは、水溶性であることが好ましい。本発明において、前記多官能モノマーのホモポリマーの水溶性は、例えば、30℃の水100gに前記ホモポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶剤、光重合開始剤、界面活性剤、着色剤、安定化剤、水溶性樹脂、低沸点アルコール、表面処理剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水などを用いることができる。前記水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解乃至分散させてもよい。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記有機溶剤としては、水性であることが好ましく、例えば、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、プロピルプロピレンジグリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の含有量は、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記複数種の光重合開始剤を用い、該光重合開始剤の最大感度波長が20nm以上異なることが好ましい。これにより、光硬化を誘起する光源を領域により制御可能となり、領域毎に強度及び配向性材料の配向率を制御することが可能となる。
前記増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、ピペリジン等の環状アミン系化合物;o−トリルチオ尿素等の尿素系化合物;ナトリウムジエチルチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物;N,N’−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物;トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物;ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記安定化剤は、前記配向性材料を分散安定させ、ゾル状態を保つために用いられる。また、インクジェット方式では液体としての特性安定化のために必要に応じて安定化剤が用いられる。
前記安定化剤としては、例えば、高濃度リン酸塩、グリコール、非イオン界面活性剤などが挙げられる。
前記表面処理剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、クマロン樹脂、脂肪酸エステル、グリセライド、ワックスなどが挙げられる。
前記第一の液体の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。
前記表面張力が、20mN/m以上であると、立体造形の際に立体造形用液体の吐出性が良好であり、45mN/m以下であると、吐出ノズル等に立体造形用液体を充填する際の充填性が良好である。
なお、前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記粘度が、3mPa・s以上20mPa・s以下の範囲であると、立体造形の際の立体造形用液体の吐出性が良好である。
なお、前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
これらの中でも、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサー方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
前記第二の工程は、前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる工程である。
前記せん断力を配向形成に用いる場合には、噴射着弾された第一の液体の表面を、所定方向にひきずり、せん断力を付与する。
前記せん断力を付与する部材としては、例えば、ブレード、所定方向に回転可能なローラなどが挙げられる。
配向性材料を含む第一の液体を噴射し、着弾した部分に対し、機械的にせん断力を付与すると、前記第一の液体中の前記配向性材料がひきずり方向に配向する。この状態で活性エネルギー線照射機により照射された紫外線により前記第一の液体中の硬化性材料が硬化され、前記配向性材料の配向状態が固定する。
電場及び磁場を配向形成に用いる場合には、インクジェットヘッドに隣接させる必要はなく、外部に配置して、所定の方向に電場及び磁場を発生させることが可能である。
前記電場付与手段としては、例えば、造形エリアの周囲、又はインクジェットヘッド走査領域に対向電極を配置し、電極間に電位差を形成する。
前記磁場付与手段としては、例えば、造形エリアの周囲、又はインクジェットヘッド走査領域にコイルを配置し、磁界を形成する。
レーザー光照射を配向形成に用いる場合には、集光されたレーザービームを、複数のガルバノミラーを介してXY平面方向にスキャンして、1層の任意の箇所にエネルギーを付与することが可能である。
また、光重合開始剤を異なる波長で感度の高い複数種類に調整する。更に、レーザー光で一方の波長に感度の高い光重合開始剤の分解反応を励起させ、任意の領域のみの反応を促進させることが可能である。
前記第二の工程は、前記第二の工程で配向性材料が配向した膜を硬化させる工程である。
前記紫外線(UV)照射ランプの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドなどが挙げられる。
前記超高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたDeepUVタイプは、短波長領域の照射が可能である。
前記メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効であり、Pb、Sn、Fe等の金属のハロゲン化物が用いられ、光重合開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。硬化に用いられるランプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FusionSystem社製のHランプ、Dランプ、又はVランプ等のような市販されているものを使用することができる。
前記第四の工程は、硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する工程である。
前記硬化性材料としては、前記第一の液体と同様のものを用いることができる。
前記第一の液体とは異なる位置に付与するとは、前記第一の液体と前記第二の液体の付与位置が重ならないことを意味し、前記第一の液体と前記第二の液体とが隣接していても構わない。
前記第二の液体は、前記第一の液体に含まれる前記配向性材料と結合する材料を含むことが好ましい。これにより、第一の液体に含まれる配向性材料の配向を促進させることができる。
前記第五の工程は、前記第四の工程で形成された膜を硬化させる工程である。
前記第五の工程においては、前記第一の工程で形成された膜の硬化と、前記第四の工程で形成された膜の硬化とを同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいが、生産効率の点から同時に行うことが好ましい。
前記膜を硬化する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第三の工程と同様である。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元データの取得や加工を行うデータ処理工程、ハイドロゲルとその支持体(硬質成形体)を剥離する剥離工程、立体造形物の清浄工程、立体造形物の研磨工程などが挙げられる。
前記第二の形態に係る立体造形物の製造方法によれば、立体造形物の一部に異方性を付与することができる。
前記第一の立体造形物の製造工程は、配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す工程である。
前記第三の処理は、配向した膜に代えて、前記第一の処理で形成された膜を硬化させること以外は前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第三の工程と同様である。
前記第二の立体造形物の製造工程は、配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の処理で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の処理と、前記二の処理で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返すものである。
前記第二の処理は、前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第二の工程と同様である。
前記第三の処理は、前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第三の工程と同様である。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元データの取得や加工を行うデータ処理工程、ハイドロゲルとその支持体(硬質成形体)を剥離する剥離工程、立体造形物の清浄工程、立体造形物の研磨工程などが挙げられる。
前記データ処理工程については、例えば、特許第5239037号公報の記載を参照して行うことができ、本発明においては、例えば、データの取得から第一の液体セットを用いて各液体材料を吐出させるまでの処理を以下のようにして行う。
なお、第一の液体セットとは、前記第一の液体と前記第二の液体との組み合わせのことである。
更に、インクジェットヘッドに活性エネルギー線照射機及び配向形成手段を隣接させることにより、平滑処理に要する時間を省くことができ、高速造形が可能である。前記配向形成手段とは、噴射着弾された材料表面を、所定方向にひきずり、せん断を与えることが可能な部材である。前記部材としては、ブレードや所定方向に回転可能なローラなどが挙げられる。
また、電場及び磁場を配向形成手段として用いる場合には、上述のようにインクジェットヘッドに隣接させる必要はなく、造形エリアの外部に電極やコイルを配置させ、所定の方向に電場、磁場を発生させることが可能である。
更に、別の配向形成手段としては、レーザー光を照射する装置を具備することも可能である。
従来の立体造形方法においては、前記第一の液体と前記第二の液体との接触部分が相溶し、光硬化時に境界が不鮮明になる。その結果、立体造形物の表面に微小な凹凸が残留する結果となるが、本発明の立体造形物の製造方法においては、前記第一の液体と前記第二の液体とが非相溶状態であることにより、光硬化後の境界が鮮明になる。更に、得られた立体造形物と支持体との硬度の差により、剥離性が向上する。これにより、立体造形物の表面平滑性が向上し、造形後の研磨工程を省略又は大幅に軽減することが可能となる。
本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式による立体造形物は、力学的特性、伝熱特性、誘電率及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有する異方性領域を少なくとも一部に備えており、前記立体造形物の全体が異方性領域であっても構わない。
また、前記異方性領域が有する力学特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有さない等方性領域を更に有し、前記異方性領域及び前記等方性領域のいずれか一方が、他方を完全に包含していることが好ましい。
前記有機ポリマーは、水溶性を示す限りにおいて、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよいが、ホモポリマーが好ましい。
本発明において、前記水溶性有機ポリマーの水溶性とは、例えば、30℃の水100gに前記水溶性有機ポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
本発明の立体造形物は、少なくとも一部(任意の層及び任意の箇所)に異方性領域を有しているので、例えば、血管や筋肉などの異方性を有する組織の質感などを忠実に再現できる臓器モデルとして好適である。
また、ePTFE人工血管の作製に適応することができる。従来は、撥水性材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を筒状にし、急速に引き延ばし(expand)て、無数の亀裂を生じさせることによりePTFE人工血管を作製している。本発明の立体造形物の製造方法により、繊維方向に依存して切れ味や外力に対する力学的異方性を有し、実物に近い高強度な人工血管を作製することができる。
(1)機械的異方性の応用例としては、例えば、木製建築物、炭素繊維強化ゴルフクラブシャフト、竹製和弓、コーディエライト製ハニカム触媒単体などが挙げられる。
(2)誘電圧電性の異方性の応用例としては、例えば、焦電体薄膜赤外線センサ素子、強誘電体不揮発メモリ、水晶振動子、表面弾性波フィルタなどが挙げられる。
(3)磁性異方性の応用例としては、例えば、磁石粉末の磁場成形プロセス、ラバーマグネット作成プロセス、磁気浮上リニアモーターカーなどが挙げられる。
(4)電気伝導性の異方性の応用例としては、例えば、Bi−Te系ペルチェ素子、電界放射型ディスプレイ、高温超電導線材料などが挙げられる。
(5)電磁気伝播異方性の応用例としては、例えば、車間制御用ミリ波レーダー・アンテナシステム、電磁波アイソレーターなどが挙げられる。
(6)光学異方性の応用例としては、例えば、液晶ディスプレイ、熱線反射ガラス、偏向フィルタ、異方性エッチングなどが挙げられる。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図2に示すように、立体造形装置1は、ヘッドユニット20と、ステージ11と、造形物支持基板12と、平板電極対13を備えている。
また、ヘッドユニット20を図2中矢印Bで示す方向に走査させる際には、支持体用吐出ヘッド22、造形物用吐出ヘッド21、紫外線照射機25を用いて、造形物層61及び支持体層71が形成される。なお、支持体用吐出ヘッド23及び紫外線照射機24を、補助的に用いてもよい。
図3に示すように、立体造形装置2は、立体造形装置1と比較すると、ヘッドユニット30内の支持体用吐出ヘッド22、23と紫外線照射機24、25との位置がそれぞれ入れ替えられている以外は立体造形装置1と同じ構成である。
図4Aに示すように、立体造形装置3は、立体造形装置1と比較すると、ヘッドユニット40が前記第一の液体に前記機械的エネルギーを付与して配向できるように変更されているとともに、平板電極対13が除去されている以外は立体造形装置1と同じ構成である。
なお、造形物用吐出ヘッド21、支持体用吐出ヘッド23、及び紫外線照射機24の説明は、図2における説明と同様であるため省略する。
配向ローラ24の円周部の線速度としては、前記機械的エネルギーを付与する観点から、ヘッドユニット40の走査速度よりも速いことが好ましい。
図4A中矢印Bで示す方向にヘッドユニット40を走査すると、図4Bに示すように、前記第一の液体が配向ローラ26により前記機械的エネルギーを付与されて配向され、紫外線照射機24により配向された状態で硬化される。
本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式の他の一例は、第一の成膜工程と、第二の成膜工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記第一の成膜工程は、高強度部分用液体材料と低強度部分用液体材料とを交互に付与して膜を形成し、該膜を硬化させる工程である。
前記高強度部分用液体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記高強度部分用液体材料の硬化後(高強度部分)の80%圧縮強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0MPa以上が好ましく、1.2MPa以上100MPa以下がより好ましい。また、前記低強度部分用液体材料の硬化後(低強度部分)の80%圧縮強度に対して2倍以上であることが好ましい。前記高硬度部分に対して80%圧縮強度が好ましい範囲であると、立体造形物に異方性を付与しやすくなる点で有利である。
前記低強度部分用液体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記低強度部分用液体材料の硬化後(低強度部分)の80%圧縮強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5MPa以下が好ましく、0.6MPa以上50MPa以下がより好ましい。また、前記高強度部分の80%圧縮強度に対して1/2以下であることが好ましい。前記低強度部分の80%圧縮強度が好ましい範囲であると、立体造形物に異方性を付与しやすくなる点で有利である。
前記高強度部分及び前記低強度部分の80%圧縮強度は、例えば、室温の環境下で、万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)などを用いて測定することができる。
前記第二の成膜工程は、硬化させた前記高強度部分用液体材料の上に前記低強度部分用液体材料を付与し、あるいは硬化させた前記低強度部分用液体材料の上に前記高強度部分用液体材料を付与して膜を形成し、該膜を硬化させる工程であり、本工程を繰り返すことにより異方性を付与した立体造形物を製造する。
前記インクジェット方式による前記高強度部分用液体材料と前記低強度部分用液体材料とを付与する手段としては、ヘッドユニットに吐出ヘッドが2つ以上設けられている形態が好ましい。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
例えば、図2に示したヘッドユニット20が備える造形物用吐出ヘッド21及び支持体用吐出ヘッド22、23のうち2つの吐出ヘッドを用いて、2種類の部材を打ち分けることが可能であることから、図5Aに示すように、XY平面上を走査するヘッドユニット20により前記高強度部分用液体材料と前記低強度部分用液体材料とを交互に吐出して硬化し、高強度部分61aと低強度部分61bとを交互に構成した網目構造にさせることができる。
高強度部分61a及び低強度部分61bを前記網目構造にすることで、図5AのX軸方向の引張強度又は圧縮強度が、Y軸方向の引張強度又は圧縮強度より高くなる。
前記網目構造は、異方性を付与する対象範囲で周期的な構造であることが好ましい。また、異方性に強度分布を持たせる場合は、図5Bに示すようなパラメータを適宜傾斜的に調整することで実現が可能である。
図5Bで示すように、X軸方向における高強度部分61aの長さをL1、X軸方向における低強度部分61bの長さをL2、高強度部分61aと低強度部分61bとがオーバーラップする長さをL3、Y軸方向における高強度部分61a及び低強度部分61bの長さをW1とすると、L1〜L3及びW1のパラメータの設定で力学的異方性の程度を調整することが可能となる。
また、インクジェット方式を用いた場合、この配置を自在な方向に設定することが可能であり、臓器モデルにおいて血管など力学強度に複雑な異方性の方向分布を持つ部品を形成することが可能である。
なお、Z軸方向(積層方向)にも同様な網目構造とすることで更に異方性を付与することが可能である。
本発明の立体造形物の製造方法における粉体接着方式は、層形成工程と、粉体材料配向工程と、層硬化工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記層形成工程は、配向性粉体材料を用いて粉体材料層を形成する工程である。
前記粉体材料層の形成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第3607300号公報に記載の公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、前記配向性粉体材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材により薄層に拡げる方法、前記配向性粉体材料の表面を押圧して薄層に拡げる方法、公知の立体造形装置を用いる方法、くし歯状の配向部材などにより前記前記配向性粉体材料に接触する方法などが挙げられる。
なお、前記平均厚みは、特に制限はなく、公知の方法に従って測定することができる。
前記配向性粉体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均長軸長さと平均短軸長さとの比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)であるアスペクト比が1.1以上であることが好ましい。前記アスペクト比が好ましい範囲であると、前記配向性粉体材料に配向性を付与しやすくなる点で有利である。
また、前記配向性粉体材料としては、例えば、針状乃至棒状物質、繊維状物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、前記配向性粉体材料は、必要に応じて、その他の成分を含むようにしてもよい。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質としては、形状、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質のアスペクト比としては、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。前記アスペクト比が前記好ましい範囲であると、機械的エネルギーにより配向しやすくなる点で有利である。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の長手方向の長さとしては、0.1μm以上500μm以下であることが好ましく、5μm以上300μm以下がより好ましく、15μm以上250μm以下が特に好ましい。前記長手方向の長さが前記好ましい範囲であると、立体造形物の製造効率に優れ、ハンドリング性が良好となる点で有利である。また、前記長手方向の長さが500μm以下であると、前記配向性粉体材料を均して層を形成した際に、形成した層における前記配向性粉体材料の充填率が向上し、得られる立体造形物に空隙等が生じ難い点で有利である。
なお、前記長手方向の長さは、立体造形物の寸法精度に影響を与えることがある。前記寸法精度は、後述する立体造形用接着液の吐出位置精度、前記立体造形用接着液の吐出量と前記配向性粉体材料の層厚みに依存しており、前記長手方向の長さが前記立体造形用接着液の吐出間隔を上回ると寸法精度が長手方向の長さに依存することとなる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の長手方向の長さは、公知の観察装置、例えば、透過型電子顕微鏡、反射型電子顕微鏡、蛍光顕微鏡、光学顕微鏡などを用いて粒子の状態を観察し、画像解析ソフト(例えば、Image J)を利用して個々の粒子の大きさを計測することで平均粒子長、粒子長分布などを得ることができる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の径としては、カーボンナノチューブのような中空微小なものから20μmを超えるものでもよい。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の粒度分布、外形、表面積、円形度、流動性、濡れ性などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、炭素繊維が好ましい。
前記PAN系炭素繊維においては、他の前記炭素繊維より強度の点で有利であり、前記市販品としては、例えば、東レ社、東邦テナックス社、三菱レイヨン社、HEXCEL社、Cytec社、台湾プラスチック社、Zoltek社、SGL社などのものが挙げられる。
前記ピッチ系炭素繊維においては、他の前記炭素繊維より低熱膨張性、弾性、及び剛性の点で有利であり、前記市販品としては、例えば、三菱樹脂社、日本グラファイトファイバー社、Cytec Engineered Materials社、クレハ社、大阪ガスケミカル社、Anshan Sinocab Carbon Fibers社などのものが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、硬化剤、反応開始剤、流動化剤、フィラー、レベリング剤などが挙げられる。 前記配向性粉体材料に前記硬化剤及び前記反応開始剤が含まれると、前記立体造形用接着液との反応を行い促進できるため、前記立体造形用接着液から硬化剤及び反応開始剤を減らすことが可能となり、前記立体造形用接着液の保存安定性、熱安定性、及び取扱い性を向上させることができる点で有利である。また、造形後に二次硬化させることも可能となるため、前記立体造形物の強度、耐膨潤性、及び耐溶解性を向上させることができる。
前記配向性粉体材料に前記流動化剤が含まれると、前記配向性粉体材料により形成される層などを容易にかつ効率よく形成し得る点で有利である。
前記配向性粉体材料に前記フィラーが含まれると、得られる硬化物(立体造形物)に空隙などが生じ難くなる点で有利である。
前記配向性粉体材料に前記レベリング剤が含まれると、前記配向性粉体材料の濡れ性及び取扱い性が向上する点で有利である。
前記粉体材料配向工程は、前記層形成工程で形成した粉体材料層を、配向部材により配向させる工程である。
前記粉体材料層の配向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配向部材により前記粉体材料層を配向させることが好ましい。
前記配向部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記機械的エネルギーを前記配向性粉体材料に効率よく付与して配向させるため、前記配向性粉体材料との接触面積が大きいものが好ましい。
前記配向部材の形状としては、例えば、三角歯ブレード、くし歯ブレードなどが挙げられる。
前記くし歯の断面形状としては、四角、円状、楕円状、菱形状、砲弾状、五角形状などが挙げられる。
前記くし歯の断面形状が円状であると、前記機械的エネルギーの伝達が少ない反面、他の前記断面形状に比べて前記配向性粉体材料の抵抗が少ないため、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない点で有利である。
前記くし歯の断面形状が楕円状及び菱形状のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができ、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない点で有利である。
前記くし歯の断面形状が砲弾状及び五角形状のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができる点で有利である。
前記層硬化工程は、立体造形用接着液を付与して、前記粉体材料層の所定領域を硬化させる工程である。前記層硬化工程では、前記粉体材料層に前記立体造形用接着液を吐出させて硬化させることにより、前記配向性粉体材料の配向状態が固定される。
前記粉体材料層の硬化は、前記粉体材料層に吐出された前記立体造形用接着液が硬化されることにより行われる。
このときの硬化は、前記立体造形用接着液を吐出された前記粉体材料層のみならず、吐出された前記粉体材料層と、その下に存在する、先に硬化された前記粉体材料層との間でも接着して硬化される。
前記立体造形用接着液の吐出は、接着剤吐出手段により行われる。
前記接着剤吐出手段は、前記立体造形用接着液を吐出させる手段であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレー方式、ディスペンサー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
前記スプレー方式による吐出では、簡便に微細な吐出物を形成でき吐出面積が広く吐出性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流により前記配向性粉体材料が飛散する場合がある。
前記ディスペンサー方式による吐出では、液滴の定量性に優れるが吐出面積が狭くなる。ただし、吐出液量を多くすることが可能であるため、1mm以上での間隔で吐出が可能となり、このときに前記配向性粉体材料を長手方向の長さが1mm以上のものを使用することで配向に応じた特性が強く発現することが可能となる。
前記インクジェット方式による吐出では、前記スプレー方式と比べて液滴の定量性が良く、前記ディスペンサー方式と比べて吐出面積が広くでき、複雑な立体形状を高精度かつ高効率で形成し得る点で有利である。
それゆえ、これらの中でも、前記ディスペンサー方式による吐出が好ましく、前記インクジェット方式による吐出がより好ましい。
前記インクジェット方式による前記立体造形用接着液吐出手段は、前記立体造形用接着液を前記粉体材料層に吐出可能なノズルを有する。なお、前記ノズルとしては、公知のインクジェット吐出装置におけるノズル(吐出ヘッド)を好適に使用することができ、またインクジェット吐出装置を立体造形用接着液吐出手段として好適に使用することができる。
なお、前記インクジェット吐出装置としては、例えば、株式会社リコー製の吐出テスト評価装置 拡張型吐出装置 EV2500などが好適に挙げられる。
前記インクジェット吐出装置は、ヘッド部から一度に滴下できるインク量が多く、吐出面積が広いため、吐出の高速化を図ることができる点で好ましい。
前記立体造形用接着液は、少なくとも接着成分を含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。なお、前記配向性粉体材料として用いる針状乃至棒状物質及び繊維状物質に接着性を有するようにしてもよい。
前記接着成分としては、ポリマー、モノマー、及びオリゴマーのいずれの状態であってもよく、硬化プロセスに合わせて適時選択され、硬化過程でポリマーを生成して前記配向性粉体材料を接着させるものであればよい。
この中で様々な粉体に対して接着力があり、粉体濃度が高いときでも硬化が可能なエポキシ樹脂が好ましい。
前記配向性粉体材料が水と反応しない場合は、前記立体造形用接着液として固着作用を持つ有機溶剤を用いることができる。例えば、前記立体造形用粉体材がスチレンビーズである場合は、スチレン表面を溶解させて接着を促すことができるアセトンやメチルエチルケトンを前記立体造形用接着液として用いることができる。
前記その他の成分としては、前記配向性粉体材料間の接着強度を高める目的で、接着成分である樹脂、接着を促して樹脂間の硬化を強化する架橋剤、溶解接着を促進する有機溶媒などが挙げられ、また、前記立体造形用接着液の保存安定性を保つような安定化剤、インクジェット吐出安定性を確保するために保湿剤などが挙げられる。
前記粘度が前記好ましい範囲であると、吐出時に液滴が尾を引くようなことなく独立した液滴に分離しやすくなるため、液ミストの発生、サテライト滴の分離などの吐出異常を抑制でき、高速吐出が可能となる点で有利である。
例えば、前記立体造形用接着液をインクジェット方式により吐出する場合、粘度が30mPa・s以下であれば、インクジェットヘッドに負荷がかかりにくい。特に、圧電素子を利用したインクジェットヘッドでは、前記圧電素子に印加する電圧を過剰に上げずに吐出でき、電流のリークなどの発生を抑制することが可能となる。
前記反応性化合物は、前記接着成分の構成材料のうち10質量%〜90質量%の含有量を占めるが、用いる硬化反応の種類により化合物が異なる。
前記硬化反応としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重縮合反応、重付加反応、付加縮合反応などが挙げられるが、反応過程で低分子成分が発生しない点で、前記重付加反応、前記付加縮合反応が好ましい。
これらの中でも、水素移動型重付加反応、イオン重合反応、ラジカル重合反応が好ましい。これらは、硬化特性及び密着強度、並びに硬化プロセスに応じて、1種単独で使用してよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラジカル重合系の反応化合物としては、反応性官能基として不飽和炭化水素鎖を有する化合物が挙げられるが、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオロイル基、マレオイル基を有する化合物が好ましい。
また、その他、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレートなどが挙げられ、反応開始に用いられる光の波長に応じて選択できる。
これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記光重合開始剤の含有量は、接着成分の全量に対して1質量%〜10質量%が好ましい。
前記イオン重合系の反応性化合物としては、例えば、ビニル芳香族類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミド類、エポキシ基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イオン重合性の反応性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光酸発生剤としては、例えば、ルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体が挙げられる。
前記オニウム塩としては、例えば、S、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団に対し有機基(そのうち少なくとも一つが芳香環を有する)が結合した陽イオンと、テトラフルオロボレート(BF4)−、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート〔B(C6F5)4〕−、ヘキサフルオロホスフェート(PF6)−、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)−、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)−、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)−のいずれかの陰イオンからなる塩が挙げられる。
また、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、鉄アレン錯体も光カチオン重合開始剤として用いることができる。
前記光塩基発生剤としては、例えば、9−anthrylmethyl N,N−diethylcarbamate、( E )−1−[3−(2−hydroxyphenyl)−2−propenoyl]piperidine、1−(anthraquinon−2−yl)ethyl imidazolecarboxylate、2−ニトロフェニルメチル 4−メタクリロイルオキシピペリジン−1−カルボキシラート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム 2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、 1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウム−n−ブチルトリフェニルボラートなどが挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、エポキシ化合物と、硬化剤と、を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリチオール化合物、イミダゾール化合物、酸無水物などが挙げられる。
前記反応触媒として、塩基性物質を使用して製造されたポリチオール化合物の脱アルカリ処理方法としては、例えば、処理を行うポリチオール化合物をアセトン、メタノールなどの有機溶媒に溶解し、希塩酸、希硫酸等の酸を加えることにより中和した後、生成した塩を抽出、洗浄等により除去する方法やイオン交換樹脂を用いて吸着除去する方法、蒸留によりポリチオール化合物を分離精製する方法などが挙げられる。
前記ポリチオール化合物の中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトブチレート)、及び1,3,5−トリス(3−メルカブトプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンから選択される少なくとも1種が、貯蔵安定性と硬化性のバランスに優れる点で好ましい。
前記炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン、ヒドロキシ基などにより置換されていてもよい。
これらの中でも、前記R5、R6、及びR7としては、水素原子、メチル基、エチル基、又はフェニル基であることが好ましい。
前記炭素原子数1〜20のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、2−メチル−ヘキサン−1,6−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基などが挙げられる。
前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン、ヒドロキシ基などにより置換されていてもよい。
これらの中でも、前記R8としては、メチレン基、−CH2CH2COO−が好ましい。
前記炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基などが挙げられる。
前記炭素原子数1〜20のアルキル基、及びアリール基としては、前記R5、R6、及びR7と同様のものが挙げられる。
前記その他の工程としては、例えば、粉体除去工程、加熱工程、表面保護処理工程、塗装工程などが挙げられる。
前記粉体除去工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)の余剰粉末を除去する工程である。
前記粉体除去工程は、粉体除去手段により好適に行うことができる。
前記粉体除去手段としては、例えば、エアーブローなどが挙げられる。
前記加熱工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)に対して熱反応を起こさせ硬化促進する工程である。前記加熱工程を行うことにより、前記硬化物の重合率及び架橋度を向上させ、また前記配向性粉体材料と前記立体造形用接着液との結合を促進させることができ、加熱手段により好適に行うことができる。
前記加熱手段としては、例えば、公知の赤外線ヒータや電気炉などが挙げられる。
前記表面保護処理工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)に保護層を形成等する工程である。前記表面保護処理工程を行うことにより、様々な特性を前記硬化物(立体造形物)の表面に与えることができる。なお、前記保護層としては、例えば、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層などが挙げられる。
前記表面保護処理工程は、表面保護処理手段により好適に行うことができる。
前記表面保護処理手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
前記塗装工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)に塗装を行う工程である。前記塗装工程を行うことにより、前記硬化物(立体造形物)を所望の色に着色させることができ、塗装手段により好適に行うことができる。
前記塗装手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
本発明の立体造形物の製造方法における粉体接着方式の形態としては、前述した各「工程」を各「処理」として置き換えた場合、例えば、「層形成工程」を「層形成処理」と表すように、粉体配向処理と、層形成処理と、層硬化処理と、を複数回繰り返す第三の立体造形物の製造工程を含むことが必要であり、更に、前記層形成処理と、前記層硬化処理と、を複数回繰り返す第四の立体造形物の製造工程と、前記第三の立体造形物の製造工程と、を繰り返すことが好ましい。
前記第三の立体造形物の製造工程は、粉体配向処理と、層形成処理と、層硬化処理と、を複数回繰り返す工程である。
前記層形成処理は、前記粉体配向処理で前記配向性粉体材料を配向させた前記配向性粉体材料が均され、層が形成される前記層形成工程と同様である。
前記層硬化処理は、前記層形成工程で形成された層を硬化させる前記層硬化工程と同様である。
前記第四の立体造形物の製造工程は、層形成処理と、層硬化処理と、を複数回繰り返す工程である。
前記層硬化処理は、前記配向性粉体材料を配向させないこと以外は、前記層形成処理で形成された前記配向性粉体材料の膜を硬化させる前記層硬化工程と同様である。
本発明の立体造形物は、前記粉体材料層に前記立体造形用接着液を付与させて得られた硬化物である。なお、前記硬化物に対して前記加熱工程を行い、硬化を促進させた立体造形物であってもよい。
前記立体造形物は、前記配向性粉体材料が配向されているため、力学的異方性、電気的異方性などを付与されている。
前記立体造形物の強度としては、前記配向性粉体材料の中から前記立体造形物を取り出す作業で崩れない強度があればよい。例えば、表面を擦っても型崩れ等が生ずることがない程度であり、エアー圧力を0.3MPaとし、ノズル口径が2mmのエアーガンを用いて、距離5cmよりエアーブロー処理をしても割れ等が生ずることがない程度があればよい。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
S102:生成された前記造形用データに基づき、前記立体造形装置により、必要な箇所に前記配向性粉体材料が配向された後、均されて層が形成され、前記立体造形用接着液を吐出及び硬化して立体造形物を生成する。
S103:前記立体造形用接着液の吐出及び硬化が行われていない不要な前記配向性粉体材料をエアーブローなどにより除去する。
S104:加熱処理された立体造形物を得て、本処理を終了する。
前記3Dデータは、例えば、造形したい立体形状のポリゴンデータ、不整三角網データなどであり、立体形状を構成する要素毎に2次元方向に前記異方性ベクトルが指定されている。
S202:前記スライスデータに前記異方性ベクトルを割り付けて指定する。また、前記スライスデータに前記異方性ベクトルが指定されていない平面層が発生した場合は、その上下に位置する平面層の前記異方性ベクトルを参照し、前記異方性ベクトルを補完して割り付けるようにしてもよい。
S203:前記異方性ベクトルに基づいて各平面層のスライスデータを回転させる。また、その回転角情報を前記スライスデータとともに記憶する。
S204:前記スライスデータのみを2次元データの造形ピクセルに割り付け、ラスターデータに変換する。
S205:S204で得た前記ラスターデータに、S203で記憶した前記回転角情報を、図8Aで示す回転ステージ113の回転角として付随させたものを造形用データとして生成し、前記造形用データを前記立体造形装置の記憶部に記憶させて、本処理を終了させる。
前記粉体接着方式における立体造形装置としては、前記配向性粉体材料を敷き詰めながら前記配向性粉体材料に含まれる前記配向性粉体材料を配向した後、前記配向性粉体材料を均す動作を繰り返して前記配向性粉体材料を積層できれば特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
前記立体造形装置は、一般に、粉体収容槽と、粉体成形槽と、均し機構と、接着剤吐出手段と、を備えている。
前記粉体収容槽及び前記粉体成形槽は、隣接して設けられており、各槽の上部の開口面が同一平面上になるように配置されている。また、前記粉体収容槽及び前記粉体成形槽の底部は、それぞれ独立に昇降可能である。
本発明においては、前記立体造形装置に対し、まず、前記配向性粉体材料が上部まで満たされている前記粉体収容槽の底部を上昇させるとともに、前記粉体成形槽の底部を開口面から層厚み分下降させ、前記粉体収容槽の上部の開口面より前記配向性粉体材料を隆起させる。次に、隆起した前記配向性粉体材料を前記均し機構により前記粉体成形槽の底部に敷き詰めながら配向させて(前記粉体材料配向工程)、均すようにさせる(前記層形成工程)。更に、均して形成された層に前記立体造形用接着液を吐出させて選択的に硬化させる(前記層硬化工程)。この動作を繰り返し行わせ、前記配向性粉体材料を硬化させながら積層して立体造形物が製造されることが好ましい。
前記粉体収容槽としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯留槽、タンク、カートリッジなどが挙げられる。
前記粉体収容槽の底部としては、前記配向性粉体材料を載置でき、昇降可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、
前記粉体成形槽としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯留槽、タンク、カートリッジなどが挙げられる。
前記粉体成形槽の底部としては、前記配向性粉体材料を載置でき、昇降可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配向性粉体材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられ、回転可能であることが好ましい。
前記粉体成形槽の底部の表面、即ち、前記粉末材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよいが、前記立体造形用接着液との親和性が低いことが好ましい。前記載置面と前記立体造形用接着液との親和性が前記載置面と前記配向性粉体材料との親和性よりも低いと、得られた立体造形物を前記載置面から取り外すことが容易である点で有利である。
図8A及び図8Bに示すように、粉末積層造形装置101は、粉体成形槽111と、粉体収容槽112と、吐出ヘッド120と、均し部材131と、配向部材133と、を備えている。
粉体収容槽112は、底部に昇降可能なステージ114を備えている。
粉体成形槽111及び粉体収容槽112は、隣接して設けられており、各槽の上部の開口面が同一平面上になるように配置されている。
吐出ヘッド120は、粉体成形槽111の上方に配置され、走査しながら粉体成形槽111表面の前記配向性粉体材料に前記立体造形用接着液を前記造形用データに基づいて吐出する。
前記均し部材としての板状ブレード131、及び前記配向部材としてのくし歯ブレード133は、前記均し機構の一部であり、粉体収容槽112の前記配向性粉体材料の表面から粉体成形槽111の回転ステージ113に押し込むように傾けた状態で開口面を図中矢印Cで示す方向に、くし歯ブレード133、板状ブレード131の順で平行移動させることにより、前記配向性粉体材料の配向及び均しが行われ、前記粉体材料層が形成される。
なお、前記配向性粉体材料の配向を行わない場合は、板状ブレード131のみを平行移動させて、前記配向性粉体材料の均しが行われ、前記粉体材料層が形成される。
図9Aに示すように、板状ブレード131を平行移動させると、図11Aに示すように、配向性粉体材料150が均される。
前記均し部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記板状ブレードが好ましく、くし歯溝を有するブレードがより好ましい。
前記くし歯溝を有するブレードで前記配向性粉体材料を均すと、前記配向性粉体材料の配向と同時に均しが可能であるが、平行移動させる際にブレードへの抵抗が大きくなる。
図9B及び図9Cに示すように、くし歯ブレード133による配向では、その形状により三角歯ブレード132より強く機械的エネルギーを伝達させることができるため、より好ましい。くし歯ブレード133も三角歯ブレード132と同様に歯が通った跡が荒れた状態となることから、前記粉体材料層の最表面を平滑な状態に整えるために、板状ブレード131による均しが必要となる。
くし歯ブレード133が円状くし歯141であると、他の前記断面形状に比べて前記配向性粉体材料の抵抗が少ないため、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない反面、前記機械的エネルギーの伝達が少なくなる。
くし歯ブレード133が楕円状くし歯142及び菱形状くし歯143のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができ、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない点で有利である。
くし歯ブレード133が砲弾状くし歯144及び五角形状くし歯145のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができる点で有利である。
本処理では、図6のS101で生成した造形用データに基づき、前記立体造形装置により前記配向性粉体材料を配向させて硬化しながら積層させる立体造形処理を行う。なお、ある層においては配向する向きを変化させるようにした。
S302:粉体成形槽111の回転ステージ113を、例えば、500μm下降させる(図13A参照)。
なお、回転ステージ113の下降量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、最初の下降量としては、回転ステージ113に立体造形物が固着することを防ぐことを目的に一層分の厚さ以上の下降を行い、粉体成形槽111に前記配向性粉体材料を敷き詰めさせることが好ましい。
S303:粉体収容槽112のステージ114を、例えば、600μm上昇させ、配向性粉体材料150を隆起させる(図13B参照)。
なお、粉体収容槽112の上昇量としては、上昇して隆起させた前記配向性粉体材料の体積が、回転ステージ113の下降量による粉体成形槽111の体積以上になるようにし、粉体成形槽111の前記開口部までに配向性粉体材料150を敷き詰められるようにすることが好ましい。
S304:板状ブレード131を、粉体収容槽112の開口部から粉体成形槽111の開口部まで押し込むように傾けた状態で平行移動させることにより、粉体成形槽111に配向性粉体材料150を移送させる(図13C、図13D参照)。
S306:図7のS205で付随させた前記造形用データの回転角の情報に準じて回転ステージ113を回転させる(図13F参照)。
S307:粉体収容槽112のステージ114を、例えば、60μm上昇させ、前記配向性粉体材料を隆起させる(図13G参照)。
S308:粉体収容槽112の開口部から粉体成形槽111の開口部まで、くし歯ブレード133と板状ブレード131とをこの順で押し込むように平行移動させることにより、粉体成形槽111に前記配向性粉体材料を配向させながら移送して均す(図13H、図13I参照)。
S310:前記立体造形用接着液を吐出させた前記配向性粉体材料に硬化を促進するエネルギー光(硬化光)を照射させ、前記立体造形用接着液を前記造形用データに準じて硬化させる。
S312:粉体成形槽111の回転ステージ113を初期の位置まで上昇させて、本処理を終了させる。
このような本発明の立体造形物の製造方法により、複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、前記配向性粉体材料を用いて簡便かつ効率良く、型崩れが生ずることなく、全部又は一部に異方性を付与して製造することができる。
こうして得られた立体造形物は、充分な強度を有し、異方性を有し、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用することができる。
<第一の液体(軟質成形体用材料)の調製>
以下のようにして、第一の液体1(軟質成形体用材料)を調製した。
減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を準備した。
(1)開始剤液1として、メタノール98質量部に対して光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)を2質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
(2)開始剤液2として、純水98質量部に対してペルオキソ二硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を2質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
まず、純水195質量部を攪拌させながら、層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)8質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)20質量部を添加した。更に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2質量部を添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、開始剤液1を0.5質量部、及び開始剤液2を5質量部添加し、攪拌混合後、減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過により不純物等を除去し、第一の液体1を得た。
得られた第一の液体1について、以下のようにして、表面張力及び粘度を測定したところ、表面張力は31.2mN/mであり、粘度は25℃で6.5mPa・sであった。
得られた第一の液体1について、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)を用いて、懸滴法により表面張力を測定した。
得られた第一の液体1について、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)で25.0℃の環境で測定した。
硬化性材料としてウレタンアクリレート(ダイヤビームUK6038、三菱レイヨン株式会社製)10質量部、硬化性材料としてネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(KAYARAD MANDA、日本化薬株式会社製)90質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)3質量部、及び着色剤として青顔料(Lionol Blue 7400G、東洋インキ製造株式会社製)2質量部の合計300gをホモジナイザー(HG30、日立工機株式会社製)により、回転数2,000rpmで均質な混合物が得られるまで分散した。続いて、ろ過により不純物等を除去した。最後に、真空脱気を10分間実施し、第二の液体1(硬質成形体用材料)を得た。
得られた第二の液体1について、第一の液体1と同様にして測定した表面張力は27.1mN/m、第一の液体1と同様にして測定した粘度は25℃で10.1mPa・sであった。
図2に示した立体造形装置1により、第一の液体1及び第二の液体1を用い、以下のようにして、1辺が約10mmの立方体とした立体造形物1aと、JIS K 7162(ISO 527−2)に記載されているダンベル形状(ストレート部分80mm×幅10mm、平均厚み4mm)の2種の立体造形物1b及び1cと、を得た。
なお、立体造形物1aは、配向性の評価で用いるものであり、立体造形物1b及び1cは、引張強度試験の試験片として用いられるものである。立体造形物1bは、配向性材料の配向方向を引張方向と一致させており、立体造形物1cは、配向性材料の配向方向を引張方向と直交する方向にさせており、製造する際には、立体造形物1bの前記造形用データの各ピクセルのX軸成分とY軸成分とを入れ替えた(図16A、図16B参照)。
また、立体造形物1a〜3aを1辺が約10mmの立方体、及びダンベル形状にする際に、第二の液体1を硬化させた前記支持体を、外枠とした。
前記第一の工程から前記第三の工程を120回繰り返すことにより、立体造形物(ハイドロゲル)1を得た。
得られた立体造形物1aについて、小角X線回折パターンを小角散乱測定装置(株式会社リガク製、SWXDシリーズ)により測定した。
得られた小角X線回折パターンから、配向性界面に対して90°±10°の範囲内に散乱したX線強度、及び270°±10°範囲内に散乱したX線強度の和をI(⊥)と、全方位の散乱光強度をI(w)とを求め、I(⊥)/I(w)の値を配向性の指標とした。
得られた立体造形物1b及び1cを用いて、万能試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−I)によりJIS K 7161(ISO 527−1)試験方法に準じながら、引張強度試験を行った。
具体的には、前記万能試験機にロードセル1kN、及び1kN用圧縮治具を設けて、立体造形物1b及び1cを配置した後、試験速度2mm/minで実行して、引張距離と応力の関係をプロットし、最大応力を引張強度とした。
立体造形物1bの引張強度S(配)と、立体造形物1cの引張強度S(直)との比[S(配)/S(直)]を力学的異方性の指標として引張強度の評価をした。
実施例1−1において、外部電場を印加せずに、即ち、前記第二の工程を行わなかった以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物2a〜2cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表1に示した。
実施例1−1において、前記支持体の外枠を、実施例1−1で製造した立体造形物1a〜1cと同じ形状及び大きさの容器に代え、第一の液体1を流し込み、石英ガラスで蓋をして密封状態とし、紫外線の照射条件として照射強度を500mJ/cm2、照射時間を1時間として前記容器の全体に照射させるように変えた以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物3a〜3cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表1に示した。
実施例1−1のようにすべての膜に異方性を付与するのではなく、部分的に異方性を付与させるため、実施例1における前記第一の工程及び前記第三の工程を69回(層分)繰り返し行い、図14に示すようなパターンで、前記第一の工程、前記第二の工程、及び前記第三の工程を10回(層分)繰り返し行った後、前記第一の工程及び前記第三の工程を50回(層分)繰り返し行い、小角X線回折パターン測定用の立体造形物4aのみを製造し、実施例1−1と同様にして立体造形物4aの小角X線回折パターンを測定することによる配向性を評価した。
その結果、図15に示すような、立体造形物4aの内部の70層〜79層までにおいて配向性材料が配向した異方性領域を有することが認められた。
実施例1−1において、前記層状鉱物として合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)8質量部を炭素繊維(VGCF−H、昭和電工株式会社製)10質量部に代えた以外は、実施例1−1と同様にして第一の液体2を得た。
比較例1−2において、第一の液体1から第一の液体2にし、金型を直径6mm、長さが50mmである円筒状の容器に代え、小角X線回折パターン測定用の立体造形物5aのみを製造し、比較例1−2と同様にして立体造形物5aの小角X線回折パターンを測定することによる配向性を評価した。
その結果、外部電場を印加した方向に均質に炭素繊維が配向したが、部分的に異方性領域を有することが認められなかった。
実施例1−1において、第一の液体1から第一の液体2に代えた以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物6a〜6cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表2に示した。
実施例1−3において、前記第二の工程を行わなかった以外は、実施例1−3と同様にして立体造形物7a〜7cを製造し、実施例1−3と同様に評価した。結果を表2に示した。
実施例1−3において、金型を直径6mm、長さが50mmである円筒状の容器に代え、外部電場を60kV/mから2kV/mに変えた以外は、実施例1−3と同様にして立体造形物8a〜8cを製造し、実施例1−3と同様に評価した。結果を表2に示した。
実施例1−1において、立体造形装置を図2に示した立体造形装置1から図4Aに示した立体造形装置3にして外部エネルギーを電場からせん断力に変え、第一の液体1から第一の液体2に代えた以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物9a〜9cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表4に示した。
<高強度部分用液体材料及び低強度部分用液体材料の調製>
以下のようにして、高強度部分用液体材料及び低強度部分用液体材料を調製した。
減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を準備した。
開始剤液3として、メタノール99.5質量部に対して光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)を0.5質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
まず、純水173.5質量部を攪拌させながら、層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)5質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したジメチルアクリルアミド(DMAA(登録商標)、KJケミカルズ株式会社製)20質量部を添加した。更に、界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル(エマルゲン(登録商標)LS−106、花王株式会社製)1質量部を添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、開始剤液3を0.5質量部添加し、攪拌混合後、減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過により不純物等を除去し、高強度部分用液体材料1を得た。
高強度部分用液体材料1において、表3に示すように、前記多官能モノマーとして和光純薬工業株式会社製のメチレンビスアクリルアミド(MBAA)を0.2質量部加え、各組成の質量部を変えたこと以外は、高強度部分用液体材料1と同様にして、低強度部分用液体材料1を得た。
なお、前記パラメータは以下のとおりであり、高強度部分61a及び低強度部分61bのパターンは5層毎に反転させた。
L1:1.80mm
L2:0.90mm
L3:0.45mm
W1:0.34mm
また、高強度部分61a及び低強度部分61bの80%圧縮強度は、バルク材とした高強度部分61a及び低強度部分61bを、室温の環境下で万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)により測定した結果、それぞれ2.5MPa及び0.3MPaであった。
実施例1−5において、高強度部分用液体材料1を表3に示す高強度部分用液体材料2に代えた以外は、実施例1−5と同様にして立体造形物11a、11bを製造し、実施例1−5と同様に評価した。結果を表4に示した。
また、高強度部分61a及び低強度部分61bの80%圧縮強度は、実施例1−5と同様に、バルク材とした高強度部分61a及び低強度部分61bを、室温の環境下で万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)により測定した結果、それぞれ2.5MPa及び0.3MPaであった。
実施例1−5において、前記パラメータを以下のように変えた以外は、実施例1−5と同様にして立体造形物12a、12bを製造し、実施例1−5と同様に評価した。結果を表4に示した。
L1:1.80mm
L2:0.70mm
L3:0.20mm
W1:0.34mm
また、高強度部分61a及び低強度部分61bの80%圧縮強度は、実施例1−5と同様に、バルク材とした高強度部分61a及び低強度部分61bを、室温の環境下で万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)により測定した結果、それぞれ2.5MPa及び0.3MPaであった。
−立体造形用接着液の調製−
褐色ビンにスターラーチップを入れ、そこに3−エチル−3−ヒドロキシオキセタン(OXT−101、東亞合成株式会社製)80質量部、UVACURE1500(ダイセル・オルネクス株式会社製)10質量部と、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム・ヘキサフルオロアンチモナート(V)3質量部と、ビス[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフィド・ビス(ヘキサフルオロアンチモナート(V))2質量部と、メチルエチルケトン5質量部を加えて、密閉した上で遮光して1時間攪拌を行い調製した。
調製した液を、アクロLC−11100フィルタ(日本ポール株式会社製、メディア材質PP、ろ過精度6μm)で加圧ろ過し、立体造形用接着液1を得た。
1)まず、図8Aに示したような立体造形装置101を用いて、粉体収容槽112から粉体成形槽111に配向性粉体材料を移送させ、回転ステージ113上に配向性粉体材料を、その平均厚みが50μmとなるように供給した。
2)次に、供給された配向性粉体材料の表面に、立体造形用接着液1を50℃に加温して温調可能な公知のインクジェット吐出ヘッドのノズルから前記スライスデータに応じて、吐出箇所の付着量が5g/m2となるように立体造形用接着液1を吐出した。
3)次に、配向性粉体材料の表面にUVランプ(CoolArc UV Lamp Head、BALDWIN社製、240W/cm)からの紫外光をランプ移動速度420mm/sで照射した。
4)次に、前記1)及び2)の操作を所定の2mmの平均厚みになるまで40回繰返し、供給された配向性粉体材料のうち立体造形用接着液1により硬化された部分を供給された配向性粉体材料から取り出した。取り出したものに対してエアーブローにより余分な配向性粉体材料を除去し、オーブンを用いて100℃で3時間維持し、熱硬化工程を行い、立体造形物13aを得た。
また、立体造形物13aと同様に各ブレードの進行方向に対して試験片の引張方向が同一となるように製造した(図16A、図16B参照)。立体造形物11aと同様のプロセスで製造して、立体造形物13bを得た。
得られた立体造形物13a、13bに対して引張強度及び破壊点伸び率の測定を行った。結果を表5に示した。
実施例2−1において、配向性粉体材料をピッチ系炭素繊維(クレカチョップM−2007S、株式会社クレハ製、平均長軸長さ(平均繊維長)90μm、平均短軸長さ(平均繊維径)14.5μm、アスペクト比6.2)に代えた以外は、実施例2−1と同様にして立体造形物14a、14bを製造し、実施例2−1と同様に評価した。結果を表5に示した。
実施例2−1において、配向性粉体材料をカーボンブラック(カーボンブラック#10、三菱化学株式会社製、算術平均径75nm、アスペクト比1.0)に代えた以外は、実施例2−1と同様にして立体造形物15a、15bを製造し、実施例2−1と同様に評価した。結果を表5に示した。
<1> 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の工程と、
前記第二の工程で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第一の立体造形物の製造工程と、
配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の処理で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の処理と、前記第二の処理で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第二の立体造形物の製造工程と、
を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<3> 前記第一の立体造形物の製造工程と、前記第二の立体造形物の製造工程と、前記第一の立体造形物の製造工程と、をこの順に繰り返す前記<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記外部エネルギーが、せん断力、電場、磁場、及びレーザー光照射の少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記配向性材料が、層状鉱物、炭素繊維、及び異方性ポリマーから選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記第一の液体が硬化性材料を更に含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第四の工程と、
前記第四の工程で形成された膜を硬化させる第五の工程と、
を複数回繰り返す前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記硬化性材料が、単官能モノマー及び多官能モノマーの少なくともいずれかである前記<6>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記第二の液体が、前記第一の液体に含まれる前記配向性材料と結合する材料を含む前記<7>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記第一の液体が、複数種の光重合開始剤を含有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記複数種の光重合開始剤の最大感度波長が20nm以上異なる前記<10>に記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 第一の液体の付与方法が、インクジェット法及びディスペンサー法のいずれかである前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 配向性材料及び硬化性材料を少なくとも含むことを特徴とする立体造形用液体である。
<14> 力学的特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有する異方性領域を少なくとも一部に備えることを特徴とする立体造形物である。
<15> 前記異方性領域が有する力学特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有さない等方性領域を更に有し、
前記異方性領域及び前記等方性領域のいずれか一方が、他方を完全に包含している前記<14>に記載の立体造形物である。
<16> 高強度部分用液体材料と、前記高強度部分用液体材料の硬化後の80%圧縮強度に対して硬化後の80%圧縮強度が1/2以下である低強度部分用液体材料と、を交互に付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第一の成膜工程と、
硬化させた膜における前記高強度部分用液体材料の上に前記低強度部分用液体材料を付与し、あるいは硬化させた前記低強度部分用液体材料の上に前記高強度部分用液体材料を付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第二の成膜工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<17> 配向性粉体材料を用いて粉体材料層を形成する層形成工程と、
前記層形成工程で形成した粉体材料層を、配向部材により配向させる粉体材料配向工程と、
前記粉体材料配向工程で配向された前記粉体材料層に立体造形用接着液を付与して、前記粉体材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程と、
を複数回繰り返すことで立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<18> 配向性粉体材料のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が、1.1以上である前記<17>に記載の立体造形物の製造方法である。
<19> 配向性粉体材料の一層あたりの平均厚みが、30μm以上500μm以下である前記<17>から<18>に記載の立体造形物の製造方法である。
<20> 配向部材による粉体材料層の配向が、くし歯ブレードの平行移動による前記粉体材料層への接触である前記<17>から<19>に記載の立体造形物の製造方法である。
前記<13>に記載の立体造形用液体は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形用液体を提供することを目的とする。
前記<14>から<15>のいずれかに記載の立体造形物は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物は、少なくとも一部に力学的特性等の異方性が付与されている立体造形物を提供することを目的とする。
前記<16>に記載の立体造形物の製造方法は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記<17>から<20>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
11 ステージ
12 造形物支持基板
13 平板電極対
20、30、40 ヘッドユニット
21 造形物用吐出ヘッド
22、23 支持体用吐出ヘッド
24、25 紫外線照射機
26 配向ローラ
51 第一の液体
52 第二の液体
60 立体造形物
61 造形物層
61a 高強度部分
61b 低強度部分
62 異方性領域
63 等方性領域
71 支持体層
101 立体造形装置
111 粉体成形槽
112 粉体収容槽
113 回転ステージ
114 ステージ
120 吐出ヘッド
131 板状ブレード
133 くし歯ブレード
150 配向性粉体材料
151 立体造形用接着液
Claims (13)
- 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の工程と、
前記第二の工程で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。 - 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第一の立体造形物の製造工程と、
配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の処理で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の処理と、前記第二の処理で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第二の立体造形物の製造工程と、
を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。 - 前記第一の立体造形物の製造工程と、前記第二の立体造形物の製造工程と、前記第一の立体造形物の製造工程と、をこの順に繰り返す請求項2に記載の立体造形物の製造方法。
- 前記外部エネルギーが、せん断力、電場、磁場、及びレーザー光照射の少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記配向性材料が、層状鉱物、炭素繊維、及び異方性ポリマーから選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記第一の液体が硬化性材料を更に含有する請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第四の工程と、
前記第四の工程で形成された膜を硬化させる第五の工程と、
を複数回繰り返す請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。 - 第一の液体の付与方法が、インクジェット法及びディスペンサー法のいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 力学的特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有する異方性領域を少なくとも一部に備えることを特徴とする立体造形物。
- 前記異方性領域が有する力学特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有さない等方性領域を更に有し、
前記異方性領域及び前記等方性領域のいずれか一方が、他方を完全に包含している請求項9に記載の立体造形物。 - 高強度部分用液体材料と、前記高強度部分用液体材料の硬化後の80%圧縮強度に対して硬化後の80%圧縮強度が1/2以下である低強度部分用液体材料と、を交互に付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第一の成膜工程と、
硬化させた膜における前記高強度部分用液体材料の上に前記低強度部分用液体材料を付与し、あるいは硬化させた前記低強度部分用液体材料の上に前記高強度部分用液体材料を付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第二の成膜工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。 - 配向性粉体材料を用いて粉体材料層を形成する層形成工程と、
前記層形成工程で形成した粉体材料層を、配向部材により配向させる粉体材料配向工程と、
前記粉体材料配向工程で配向された前記粉体材料層に立体造形用接着液を付与して、前記粉体材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程と、
を複数回繰り返すことで立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法。 - 配向性粉体材料のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が、1.1以上である請求項12に記載の立体造形物の製造方法。
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