JP2016117273A - 立体造形物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法の提供。【解決手段】配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の工程と、前記第二の工程で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の工程と、を複数回繰り返す立体造形物の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形物及びその製造方法に関する。
近年、様々な3次元積層造形方法の発展により、複雑な積層造形物を簡便に製作することが可能となった。例えば、光造形法、粉末焼結法、インクジェット法、シート積層法、押し出し法などが提案されており、多様な材質を用いて造形することも可能になっている(特許文献1〜3等参照)。
また、特許文献4には、インクジェット法による複数素材の材質を造形し、人体の一部分をモデル化し、可視化する方法及びシステムが提案されており、このような造形方法の応用範囲が多様化する傾向にある。例えば、臓器モデルや人工血管などへの応用が考えられる。実際の血管や筋肉は繊維方向に依存して切れ味や外力に対する力学的異方性を持つことが知られている。このような力学的異方性を再現できる立体造形物は、手技練習用の臓器モデルとしてのリアリティを実現でき、人工血管の強度が飛躍的に向上するという利点がある。
しかしながら、前記先行技術文献は、いずれも、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法については記載されていない。
本発明は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の工程と、前記第二の工程で前記配向性材料が配向された膜を硬化させる第三の工程と、を複数回繰り返すことを特徴とする。
本発明によると、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1は、層状鉱物、及び層状鉱物を水中で分散させた状態の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式で用いられる立体造形装置の一例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式で用いられる立体造形装置の他の一例を示す概略断面図である。 図4Aは、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式で用いられる立体造形装置の他の一例を示す概略断面図である。 図4Bは、図4Aに示した立体造形装置のヘッドユニットが膜を配向させた状態を示す概略断面図である。 図5Aは、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式の他の一例を用いて製造された立体造形物の概略上面図である。 図5Bは、図5A中にGで示した範囲における立体造形物の拡大図である。 図6は、本発明の立体造形物の製造方法の粉体接着方式の流れの一例を示すフローチャートである。 図7は、造形用データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図8Aは、本発明の立体造形物の製造方法における粉体接着方式で用いられる立体造形装置の一例を示す概略斜視図である。 図8Bは、図8Aに示した立体造形装置の概略上面図である。 図9Aは、板状ブレードを示す概略正面図である。 図9Bは、三角歯ブレードを示す概略正面図である。 図9Cは、くし歯ブレードを示す概略正面図である。 図9Dは、くし歯溝を有するブレードを示す概略正面図である。 図10Aは、くし歯の下面が円状であるくし歯ブレードの一部を示す概略下面図である。 図10Bは、くし歯の下面が楕円状であるくし歯ブレードの一部を示す概略下面図である。 図10Cは、くし歯の下面が菱形状であるくし歯ブレードの一部を示す概略下面図である。 図10Dは、くし歯の下面が砲弾状であるくし歯ブレードの一部を示す概略下面図である。 図10Eは、くし歯の下面が五角形状であるくし歯ブレードの一部を示す概略下面図である。 図11Aは、板状ブレードの平行移動による配向性粉体材料の動きを示す説明図である。 図11Bは、三角歯ブレードの平行移動による配向性粉体材料の動きを示す説明図である。 図11Cは、くし歯溝を有するブレードの平行移動による配向性粉体材料の動きを示す説明図である。 図12は、立体造形処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図13Aは、図12のS302における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Bは、図12のS303における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Cは、図12のS304における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Dは、図12のS304における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Eは、図12のS305における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Fは、図12のS306における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Gは、図12のS307における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Hは、図12のS308における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Iは、図12のS308における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図13Jは、図12のS309における立体造形装置の動作の一例を示す概略断面図である。 図14は、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式による配向処理の一例を示す概略図である。 図15は、図14で示した配向処理により一部を配向された立体造形物の一例を示す概略斜視図である。 図16Aは、粉体接着方式による引張強度試験用の試験片の作製状態の一例を示す概略上面図である。 図16Bは、粉体接着方式による引張強度試験用の試験片の作製状態の一例を示す概略上面図である。 図17は、粉体接着方式における引張強度試験用の試験片の一例を示す概略上面図である。
(立体造形物の製造方法)
本発明の立体造形物の製造方法は、配向性材料を配向させる工程を含む立体造形物の製造方法であって、いわゆる「液体硬化方式」と「粉体接着方式」とに大別される。
((液体硬化方式))
本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式は、第一の工程と、第二の工程と、第三の工程と、を少なくとも含み、第四の工程と、第五の工程と、を含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<第一の工程>
前記第一の工程は、前記配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する工程である。
<<立体造形用液体>>
本発明で用いられる立体造形用液体、即ち、本発明の立体造形物の製造方法で用いる第一の液体は、配向性材料を少なくとも含み、硬化性材料を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−配向性材料−
前記配向性材料としては、前記立体造形用液体中に分散状態で存在し、外部エネルギーの付与により配向する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記配向性材料としては、例えば、針状乃至棒状物質、繊維状物質、板状乃至層状物質、異方性ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−針状乃至棒状物質及び繊維状物質−−
前記針状乃至棒状物質や繊維状物質としては、例えば、炭素繊維(カーボンファイバー)、ガラス繊維(ガラスファイバー)、アルミナ水和物(ベーマイト)、ウォラストナイト;ステンレス、アルミニウム等の金属繊維などが用いられる。これらの中でも、炭素繊維が特に好ましい。
前記針状乃至棒状物質のアスペクト比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10以上であることが好ましい。
前記炭素繊維としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、昭和電工株式会社製の気相成長炭素繊維VGCF−H(登録商標)、VGCF−S(登録商標)(以下、「VGCF−H」、「VGCF−S」という)などが挙げられる。
前記VGCF−Hは、平均繊維径150nm、平均繊維長1μm以上20μm以下のチューブ状の炭素繊維である。
前記VGCF−Sは、平均繊維径100nm、平均繊維長1μm以上20μm以下のチューブ形状の炭素繊維である。
前記VGCF−H及びVGCF−Sの繊維軸方向の体積抵抗値は、約1×10−4Ω・cm)であることが好ましい。
前記炭素繊維の含有量は、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−−板状乃至層状物質−−
前記板状乃至層状物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単一層の状態で水に分散した層状鉱物であることが好ましい。
前記層状鉱物は、図1の上図に示すように、単位格子を結晶内に持つ二次元円盤状の結晶が積み重なった状態を呈しており、前記層状鉱物を水中で分散させると、図1の下図に示すように、各単一層状態で分離して円盤状の結晶となる。
前記層状鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母などが挙げられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、前記例示したものを、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製))、フッ素化ヘクトライト SWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、合成ヘクトライトが好ましい。
前記配向性材料としての層状鉱物は、前記硬化性材料が重合してなる水溶性有機ポリマーと複合化して形成された三次元網目構造中に、水が包含されているハイドロゲルを形成することができる。
前記層状鉱物の含有量は、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上40質量%以下の範囲において、立体造形用液体の粘度が適正であり、インクジェットでの吐出性及び立体造形物の硬度が良好となる。
−−異方性ポリマー−−
前記異方性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液晶性ポリマーが代表的に用いられるが、異方性溶融相を形成し得るポリマーであり、エステル結合を有するポリマーが好ましい。
前記異方性ポリマーとしては、例えば、(1)芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、脂肪族ジカルボニル単位、及びアルキレンジオキシ単位から選ばれる構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂、あるいは、(2)前記(1)の構造単位と、芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、及び芳香族イミノオキシ単位から選ばれる構造単位とからなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミド樹脂などが挙げられる。
前記(1)異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、及び芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及びアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、及びテレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、及びテレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、及びテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、及びテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、及びテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
前記(2)異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミド樹脂としては、例えば、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、脂肪族ジカルボニル単位、及びアルキレンジオキシ単位から選ばれる構造単位と、芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、及び芳香族イミノオキシ単位から選ばれる構造単位以外に、更にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドなどが挙げられる。
前記異方性ポリマーの含有量としては、前記第一の液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−硬化性材料−
前記硬化性材料としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)照射、加熱等により重合反応を生起し硬化する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物、熱硬化性化合物などが挙げられる。これらの中でも、常温で液体の材料が好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性化合物は、分子構造中にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する比較的低粘度のモノマーであり、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。
−−単官能モノマー−−
前記単官能モノマーは、不飽和炭素−炭素結合を1つ有する化合物であり、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、その他の単官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、又はN,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体としては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、などが挙げられる。
前記その他の単官能モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記単官能モノマーを重合させることにより、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーが得られる。
前記アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーは、ハイドロゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記単官能モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上10質量%以下の範囲であると、立体造形用液体中の配向性材料の分散安定性が保たれ、かつ立体造形物の延伸性を向上させるという利点がある。前記延伸性とは、立体造形物を引張った際に伸び、破断しない特性のことをいう。
−−多官能モノマー−−
前記多官能モノマーは、不飽和炭素−炭素結合を2つ以上有する化合物であり、活性エネルギー線硬化型モノマーが好ましく、例えば、2官能モノマー、3官能モノマー、3官能以上のモノマーなどが挙げられる。
前記多官能モノマーのホモポリマーは、水溶性であることが好ましい。本発明において、前記多官能モノマーのホモポリマーの水溶性は、例えば、30℃の水100gに前記ホモポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
前記2官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(PETA)、トリアリルイソシアネート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記4官能以上のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーの含有量は、立体造形用液体の全量に対して、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.001質量%以上1質量%以下の範囲であると、得られるポリマーの弾性率及び硬度を適正な範囲に調整することができる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶剤、光重合開始剤、界面活性剤、着色剤、安定化剤、水溶性樹脂、低沸点アルコール、表面処理剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
−−水−−
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水などを用いることができる。前記水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解乃至分散させてもよい。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−有機溶剤−−
前記有機溶剤としては、水性であることが好ましく、例えば、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、プロピルプロピレンジグリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の含有量は、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
−−光重合開始剤−−
前記光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記第一の液体は、複数種の光重合開始剤を含有することが好ましい。これにより、立体造形物の領域毎に強度及び配向性材料の配向率を制御することが可能となる。
前記複数種の光重合開始剤を用い、該光重合開始剤の最大感度波長が20nm以上異なることが好ましい。これにより、光硬化を誘起する光源を領域により制御可能となり、領域毎に強度及び配向性材料の配向率を制御することが可能となる。
なお、光(特に紫外線)を照射する際に、硬化速度を向上する目的で、増感剤を使用することもできる。
前記増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、ピペリジン等の環状アミン系化合物;o−トリルチオ尿素等の尿素系化合物;ナトリウムジエチルチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物;N,N’−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物;トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物;ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−安定化剤−−
前記安定化剤は、前記配向性材料を分散安定させ、ゾル状態を保つために用いられる。また、インクジェット方式では液体としての特性安定化のために必要に応じて安定化剤が用いられる。
前記安定化剤としては、例えば、高濃度リン酸塩、グリコール、非イオン界面活性剤などが挙げられる。
−−表面処理剤−−
前記表面処理剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、クマロン樹脂、脂肪酸エステル、グリセライド、ワックスなどが挙げられる。
−第一の液体の物性−
前記第一の液体の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。
前記表面張力が、20mN/m以上であると、立体造形の際に立体造形用液体の吐出性が良好であり、45mN/m以下であると、吐出ノズル等に立体造形用液体を充填する際の充填性が良好である。
なお、前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記第一の液体の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、3mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下がより好ましい。
前記粘度が、3mPa・s以上20mPa・s以下の範囲であると、立体造形の際の立体造形用液体の吐出性が良好である。
なお、前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記第一の液体は、各種立体造形物の製造に好適に用いることができ、本発明の液体硬化方式における立体造形物の製造方法、及び本発明の立体造形物として特に好適に用いることができる。
前記第一の液体を付与する方法としては、前記第一の液体からなる液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を好適に使用することができる。
これらの中でも、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサー方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
<第二の工程>
前記第二の工程は、前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる工程である。
前記外部エネルギーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、せん断力、電場、磁場、レーザー光照射などが挙げられる。
−せん断力−
前記せん断力を配向形成に用いる場合には、噴射着弾された第一の液体の表面を、所定方向にひきずり、せん断力を付与する。
前記せん断力を付与する部材としては、例えば、ブレード、所定方向に回転可能なローラなどが挙げられる。
配向性材料を含む第一の液体を噴射し、着弾した部分に対し、機械的にせん断力を付与すると、前記第一の液体中の前記配向性材料がひきずり方向に配向する。この状態で活性エネルギー線照射機により照射された紫外線により前記第一の液体中の硬化性材料が硬化され、前記配向性材料の配向状態が固定する。
−電場及び磁場−
電場及び磁場を配向形成に用いる場合には、インクジェットヘッドに隣接させる必要はなく、外部に配置して、所定の方向に電場及び磁場を発生させることが可能である。
前記電場付与手段としては、例えば、造形エリアの周囲、又はインクジェットヘッド走査領域に対向電極を配置し、電極間に電位差を形成する。
前記磁場付与手段としては、例えば、造形エリアの周囲、又はインクジェットヘッド走査領域にコイルを配置し、磁界を形成する。
−レーザー光照射−
レーザー光照射を配向形成に用いる場合には、集光されたレーザービームを、複数のガルバノミラーを介してXY平面方向にスキャンして、1層の任意の箇所にエネルギーを付与することが可能である。
また、光重合開始剤を異なる波長で感度の高い複数種類に調整する。更に、レーザー光で一方の波長に感度の高い光重合開始剤の分解反応を励起させ、任意の領域のみの反応を促進させることが可能である。
<第三の工程>
前記第二の工程は、前記第二の工程で配向性材料が配向した膜を硬化させる工程である。
前記膜を硬化する手段としては、例えば、紫外線(UV)照射ランプ、電子線照射装置などが挙げられる。前記膜を硬化する手段には、オゾン除去機構を有していることが好ましい。
前記紫外線(UV)照射ランプの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドなどが挙げられる。
前記超高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたDeepUVタイプは、短波長領域の照射が可能である。
前記メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効であり、Pb、Sn、Fe等の金属のハロゲン化物が用いられ、光重合開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。硬化に用いられるランプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FusionSystem社製のHランプ、Dランプ、又はVランプ等のような市販されているものを使用することができる。
<第四の工程>
前記第四の工程は、硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する工程である。
前記第二の液体は、立体造形物を支持するための硬質成形体となる液体である(「硬質成形体用材料」ともいう)。前記第二の液体は、硬化性材料を含有し、光重合開始剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるが、水や層状鉱物は含まない。
前記硬化性材料としては、前記第一の液体と同様のものを用いることができる。
前記第一の液体とは異なる位置に付与するとは、前記第一の液体と前記第二の液体の付与位置が重ならないことを意味し、前記第一の液体と前記第二の液体とが隣接していても構わない。
前記第二の液体は、前記第一の液体に含まれる前記配向性材料と結合する材料を含むことが好ましい。これにより、第一の液体に含まれる配向性材料の配向を促進させることができる。
<第五の工程>
前記第五の工程は、前記第四の工程で形成された膜を硬化させる工程である。
前記第五の工程においては、前記第一の工程で形成された膜の硬化と、前記第四の工程で形成された膜の硬化とを同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいが、生産効率の点から同時に行うことが好ましい。
前記膜を硬化する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第三の工程と同様である。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元データの取得や加工を行うデータ処理工程、ハイドロゲルとその支持体(硬質成形体)を剥離する剥離工程、立体造形物の清浄工程、立体造形物の研磨工程などが挙げられる。
前記第一の形態の立体造形物の製造方法においては、前記各工程を複数回繰り返すものである。前記繰り返し回数としては、作製する立体造形物の大きさ、形状、構造などに応じて異なり一概には規定できないが、一層あたりの平均厚みが10μm以上50μm以下の範囲であれば、精度よく、剥離することもなく造形することが可能であるため、作製する立体造形物の高さ分だけ繰り返して積層することが必要である。
本発明の第二の形態に係る立体造形物の製造方法は、第一の立体造形物の製造工程と、第二の立体造形物の製造工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記第二の形態に係る立体造形物の製造方法によれば、立体造形物の一部に異方性を付与することができる。
<第一の立体造形物の製造工程>
前記第一の立体造形物の製造工程は、配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す工程である。
前記第一の処理は、前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第一の工程と同様である。
前記第三の処理は、配向した膜に代えて、前記第一の処理で形成された膜を硬化させること以外は前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第三の工程と同様である。
<第二の立体造形物の製造工程>
前記第二の立体造形物の製造工程は、配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の処理で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の処理と、前記二の処理で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返すものである。
前記第一の処理は、前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第一の工程と同様である。
前記第二の処理は、前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第二の工程と同様である。
前記第三の処理は、前記第一の形態に係る立体造形物の製造方法における前記第三の工程と同様である。
前記第二の形態に係る立体造形物の製造方法は、前記第一の立体造形物の製造工程と、前記第二の立体造形物の製造工程と、前記第一の立体造形物の製造工程とを、この順で繰り返すことにより、異方性領域と、等方性領域とを有し、前記異方性領域及び前記等方性領域のいずれか一方が、他方を完全に包含している立体造形物を得ることができる点で好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元データの取得や加工を行うデータ処理工程、ハイドロゲルとその支持体(硬質成形体)を剥離する剥離工程、立体造形物の清浄工程、立体造形物の研磨工程などが挙げられる。
<<データ処理工程>>
前記データ処理工程については、例えば、特許第5239037号公報の記載を参照して行うことができ、本発明においては、例えば、データの取得から第一の液体セットを用いて各液体材料を吐出させるまでの処理を以下のようにして行う。
なお、第一の液体セットとは、前記第一の液体と前記第二の液体との組み合わせのことである。
まず、三次元CADで設計された三次元形状、及び三次元スキャナやディジタイザで取り込んだ三次元形状のいずれかのサーフェイスデータ又はソリッドデータを、STLフォーマットに変換して得られた各種データを立体造形装置に入力する。この入力された各種データに基づいて、造形しようとする三次元形状の造形方向を決める。なお、造形方向については、特に制限はなく、通常はZ方向(高さ方向)が最も低くなる方向を選ぶことが好ましい。
造形方向を確定した後、その三次元形状のXY平面、XZ平面、YZ平面への投影面積を求める。得られたブロック形状に補強のため、XY平面の上面を除いて、その他の各面を適当量外側に移動させる。移動させる量としては、特に制限はなく、形状、大きさ、及び使用材料で異なるが、1mm〜10mm程度である。これで造形しようとする形状を閉じ込めた(上面は開放されている)ブロック形状が特定される。
前記ブロック形状を一層の厚みでZ方向に輪切り(スライス)にする。前記一層の平均厚みとしては、使用する材料により異なり一概には規定できないが、10μm以上50μm以下が好ましい。造形しようとする立体造形物が1個の場合は、このブロック形状がステージ(一層造形毎に一層分ずつ下降する造形物を載せるテーブル)の中心に配置される。また、複数個同時に造形する場合では、ブロック形状が前記ステージに配置されるが、ブロック形状を積み重ねることも可能である。これらブロック形状化や輪切りデータ(スライスデータ:等高線データ)や前記ステージへの配置は、使用する材料を指定すれば自動的に作成することも可能である。
次に、輪切りデータの最外郭の輪郭線を基準に、内外判定(輪郭線上の位置に、前記第一の液体セットの各液体材料を吐出するかを判定すること)で、各液体材料をインクジェット方式で吐出する位置が制御される。
前記第一の液体セットにおける各液体材料を吐出する順序としては、例えば、前記第一の液体及び前記第二の液体を用いる場合には、支持体を形成する前記第二の液体を吐出してから、立体造形物を形成する前記第一の液体を吐出することが好ましい。このような順序で吐出させると、先に前記支持体で溝や堰などの溜部ができ、その中に前記第一の液体を吐出することになる。すると、前記第一の液体として常温で液体である材料を使っても「たれ」の心配がなく、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等を幅広く用いることができる。
また、造形時間をより短縮させるには、一体化したインクジェットヘッドの往路及び復路のそれぞれで前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかを吐出して積層する方法が好ましい。前記第一の液体セットの各液体材料を吐出するインクジェットヘッドに活性エネルギー線照射機(例えば、紫外線照射機)を隣接させることにより、平滑処理に要する時間を省くことができ、高速造形が可能である。
更に、インクジェットヘッドに活性エネルギー線照射機及び配向形成手段を隣接させることにより、平滑処理に要する時間を省くことができ、高速造形が可能である。前記配向形成手段とは、噴射着弾された材料表面を、所定方向にひきずり、せん断を与えることが可能な部材である。前記部材としては、ブレードや所定方向に回転可能なローラなどが挙げられる。
また、電場及び磁場を配向形成手段として用いる場合には、上述のようにインクジェットヘッドに隣接させる必要はなく、造形エリアの外部に電極やコイルを配置させ、所定の方向に電場、磁場を発生させることが可能である。
更に、別の配向形成手段としては、レーザー光を照射する装置を具備することも可能である。
以上説明したように、本発明の立体造形物の製造方法の液体硬化方式においては、インクジェット法又はディスペンサー法などの細孔より液体を吐出することにより、一層ずつの像を形成できるように塗布され、配向処理され、硬化する前の前記第一の液体と前記第二の液体とが、接する部分が明瞭に分離され、混和しない非相溶状態にある。
従来の立体造形方法においては、前記第一の液体と前記第二の液体との接触部分が相溶し、光硬化時に境界が不鮮明になる。その結果、立体造形物の表面に微小な凹凸が残留する結果となるが、本発明の立体造形物の製造方法においては、前記第一の液体と前記第二の液体とが非相溶状態であることにより、光硬化後の境界が鮮明になる。更に、得られた立体造形物と支持体との硬度の差により、剥離性が向上する。これにより、立体造形物の表面平滑性が向上し、造形後の研磨工程を省略又は大幅に軽減することが可能となる。
((液体硬化方式による立体造形物))
本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式による立体造形物は、力学的特性、伝熱特性、誘電率及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有する異方性領域を少なくとも一部に備えており、前記立体造形物の全体が異方性領域であっても構わない。
また、前記異方性領域が有する力学特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有さない等方性領域を更に有し、前記異方性領域及び前記等方性領域のいずれか一方が、他方を完全に包含していることが好ましい。
本発明の立体造形物は、臓器モデルとして用いる場合には、少なくとも硬化性材料が重合してなる水溶性有機ポリマーと、配向性材料としての層状鉱物の単一層分散体とが複合化して形成された三次元網目構造の中に、水が包含されているハイドロゲルであることが臓器モデルを作製する点から好ましい。
前記水溶性有機ポリマーとしては、例えば、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する有機ポリマーが挙げられる。前記水溶性有機ポリマーは、水系のゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記有機ポリマーは、水溶性を示す限りにおいて、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよいが、ホモポリマーが好ましい。
本発明において、前記水溶性有機ポリマーの水溶性とは、例えば、30℃の水100gに前記水溶性有機ポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
<用途>
本発明の立体造形物は、少なくとも一部(任意の層及び任意の箇所)に異方性領域を有しているので、例えば、血管や筋肉などの異方性を有する組織の質感などを忠実に再現できる臓器モデルとして好適である。
また、ePTFE人工血管の作製に適応することができる。従来は、撥水性材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を筒状にし、急速に引き延ばし(expand)て、無数の亀裂を生じさせることによりePTFE人工血管を作製している。本発明の立体造形物の製造方法により、繊維方向に依存して切れ味や外力に対する力学的異方性を有し、実物に近い高強度な人工血管を作製することができる。
更に、本発明の立体造形物及び立体造形物の製造方法は、前記臓器モデルや人工血管以外にも、以下に示す異方性を持った部位を有する立体造形物及びその製造方法にも適用することができる。
(1)機械的異方性の応用例としては、例えば、木製建築物、炭素繊維強化ゴルフクラブシャフト、竹製和弓、コーディエライト製ハニカム触媒単体などが挙げられる。
(2)誘電圧電性の異方性の応用例としては、例えば、焦電体薄膜赤外線センサ素子、強誘電体不揮発メモリ、水晶振動子、表面弾性波フィルタなどが挙げられる。
(3)磁性異方性の応用例としては、例えば、磁石粉末の磁場成形プロセス、ラバーマグネット作成プロセス、磁気浮上リニアモーターカーなどが挙げられる。
(4)電気伝導性の異方性の応用例としては、例えば、Bi−Te系ペルチェ素子、電界放射型ディスプレイ、高温超電導線材料などが挙げられる。
(5)電磁気伝播異方性の応用例としては、例えば、車間制御用ミリ波レーダー・アンテナシステム、電磁波アイソレーターなどが挙げられる。
(6)光学異方性の応用例としては、例えば、液晶ディスプレイ、熱線反射ガラス、偏向フィルタ、異方性エッチングなどが挙げられる。
次に、本発明における立体造形物の製造方法における液体硬化方式について図面を参照して説明する。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図2は、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式に用いられる立体造形装置の一例を示す概略断面図である。
図2に示すように、立体造形装置1は、ヘッドユニット20と、ステージ11と、造形物支持基板12と、平板電極対13を備えている。
ヘッドユニット20は、立体造形装置1の上部に配置されており、造形物用吐出ヘッド21と、支持体用吐出ヘッド22、23と、紫外線照射機24、25と、を備えている。このヘッドユニット20は、X軸方向及びY軸方向に走査しながら前記第一の液体又は前記第二の液体を吐出して、紫外線を照射し、前記第一の液体を固形化若しくはゲル化させた造形物層61、又は前記第二の液体を硬化させた支持体層71の形成を繰り返すことにより立体造形物を製造する。
ヘッドユニット20を図2中矢印Aで示す方向に走査させる際には、支持体用吐出ヘッド23、造形物用吐出ヘッド21、紫外線照射機24を用いて、造形物層61及び支持体層71が形成される。なお、支持体用吐出ヘッド22及び紫外線照射機25を、補助的に用いてもよい。
また、ヘッドユニット20を図2中矢印Bで示す方向に走査させる際には、支持体用吐出ヘッド22、造形物用吐出ヘッド21、紫外線照射機25を用いて、造形物層61及び支持体層71が形成される。なお、支持体用吐出ヘッド23及び紫外線照射機24を、補助的に用いてもよい。
なお、ヘッドユニット20は、造形物用吐出ヘッド21と、支持体用吐出ヘッド22、23と、紫外線照射機24、25と、一体とする構成であるが、必要に応じて個別のユニットとしてもよい。
支持体用吐出ヘッド22、23は、ヘッドユニット20の中央部に配置されており、−Z軸方向に前記第二の液体を吐出して、造形物支持基板12、造形物層61、及び支持体層71のいずれかに付着させる。
造形物用吐出ヘッド21は、支持体用吐出ヘッド23を挟むように配置されており、−Z軸方向に前記第一の液体を吐出して、造形物支持基板12、又は造形物層61及び支持体層71のいずれかに付着させる。
紫外線照射機24、25は、ヘッドユニット20のX軸方向の両端部に配置されている。この紫外線照射機24、25は、造形物用吐出ヘッド21、22及び支持体用吐出ヘッド23からそれぞれ吐出された前記第一の液体及び前記第二の液体に紫外線を照射して、造形物層61及び支持体層71のいずれかを形成する。
平板電極対13は、ヘッドユニット20により前記第一の液体又は前記第二の液体が付着する領域を挟むように対向して配置されている。この平板電極対13にそれぞれ所定の電圧を印加して前記領域に電場が発生することにより、前記第一の液体中に含まれる前記配向性材料が前記電気エネルギーを付与されて配向されるため、紫外線の放射で前記配向性材料の配向性を保ったまま、前記第一の液体を固形化又はゲル化させることができる。
ステージ11は、造形物支持基板12の下方に配置され、造形物支持基板12を図示しない駆動手段により図2A中Z軸方向に移動可能である。このステージ11は、ヘッドユニット20と造形物層61及び支持体層71との間隙を調整して一定に保つようにするため、積層した層数に応じて下げるようにしている。
造形物支持基板12は、立体造形装置1の下部に配置され、ヘッドユニット20が前記第一の液体及び前記第二の液体の層を形成する際の基板となる。
このような構成である立体造形装置1は、前記第二の液体を支持体用吐出ヘッド23から吐出して硬化させて溜部を有する第一の支持体層を形成し、前記第一の支持体層の溜部に前記第一の液体を造形物用吐出ヘッド21から吐出し、前記第一の液体に紫外線を照射して第一の造形物層を形成して、前記第一の支持体層の上に前記第二の液体を吐出し硬化させて溜部を有する第二の支持体層を積層し、前記第二の支持体層の溜部に前記第一の液体を吐出し、前記第一の液体に紫外線を照射して前記第一の造形物層の上に第二の造形物層を積層するようにして立体造形物35を製造する。
図3は、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式に用いられる立体造形装置の他の一例を示す概略断面図であり、図2で示した立体造形装置1よりも各層の平滑性を向上できる構成とした立体造形装置2を示している。
図3に示すように、立体造形装置2は、立体造形装置1と比較すると、ヘッドユニット30内の支持体用吐出ヘッド22、23と紫外線照射機24、25との位置がそれぞれ入れ替えられている以外は立体造形装置1と同じ構成である。
ヘッドユニット30により前記第二の液体を吐出させて硬化し、支持体層71を構成する場合、図3中矢印A、Bで示すいずれの方向に走査する際に紫外線照射機24、25を使用すると、前記第二の液体を吐出させた後にすぐ紫外線が照射され、その照射に伴って発生する熱により前記第二の液体の表面が平滑化されるため、立体造形物の寸法安定性が向上できる。
更に、立体造形装置2には、インク回収、リサイクル機構などを付加することも可能である。ノズル面に付着した前記第一の液体セットの各液体材料を除去するブレードや不吐出ノズルの検出機構を具備してもよい。更に、造形時の装置内環境温度を制御するようにしてもよい。
図4Aは、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式で用いられる立体造形装置の他の一例を示す概略断面図である。
図4Aに示すように、立体造形装置3は、立体造形装置1と比較すると、ヘッドユニット40が前記第一の液体に前記機械的エネルギーを付与して配向できるように変更されているとともに、平板電極対13が除去されている以外は立体造形装置1と同じ構成である。
立体造形装置3のヘッドユニット40は、造形物用吐出ヘッド21と、支持体用吐出ヘッド23と、紫外線照射機24と、配向ローラ26と、を備えている。
なお、造形物用吐出ヘッド21、支持体用吐出ヘッド23、及び紫外線照射機24の説明は、図2における説明と同様であるため省略する。
配向ローラ26は、ヘッドユニット40の下部に配置されており、図4A中矢印Tで示す回転方向に回転しながら、造形物用吐出ヘッド21から吐出された前記第一の液体に擦り付けられることにより、前記機械的エネルギーを前記第一の液体に付与して配向させる。
配向ローラ24の円周部の線速度としては、前記機械的エネルギーを付与する観点から、ヘッドユニット40の走査速度よりも速いことが好ましい。
図4A中矢印Bで示す方向にヘッドユニット40を走査すると、図4Bに示すように、前記第一の液体が配向ローラ26により前記機械的エネルギーを付与されて配向され、紫外線照射機24により配向された状態で硬化される。
((液体硬化方式の他の一例))
本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式の他の一例は、第一の成膜工程と、第二の成膜工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<第一の成膜工程>
前記第一の成膜工程は、高強度部分用液体材料と低強度部分用液体材料とを交互に付与して膜を形成し、該膜を硬化させる工程である。
−高強度部分用液体材料−
前記高強度部分用液体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記高強度部分用液体材料の硬化後(高強度部分)の80%圧縮強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0MPa以上が好ましく、1.2MPa以上100MPa以下がより好ましい。また、前記低強度部分用液体材料の硬化後(低強度部分)の80%圧縮強度に対して2倍以上であることが好ましい。前記高硬度部分に対して80%圧縮強度が好ましい範囲であると、立体造形物に異方性を付与しやすくなる点で有利である。
−低強度部分用液体材料−
前記低強度部分用液体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記低強度部分用液体材料の硬化後(低強度部分)の80%圧縮強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5MPa以下が好ましく、0.6MPa以上50MPa以下がより好ましい。また、前記高強度部分の80%圧縮強度に対して1/2以下であることが好ましい。前記低強度部分の80%圧縮強度が好ましい範囲であると、立体造形物に異方性を付与しやすくなる点で有利である。
−−圧縮強度−−
前記高強度部分及び前記低強度部分の80%圧縮強度は、例えば、室温の環境下で、万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)などを用いて測定することができる。
<第二の成膜工程>
前記第二の成膜工程は、硬化させた前記高強度部分用液体材料の上に前記低強度部分用液体材料を付与し、あるいは硬化させた前記低強度部分用液体材料の上に前記高強度部分用液体材料を付与して膜を形成し、該膜を硬化させる工程であり、本工程を繰り返すことにより異方性を付与した立体造形物を製造する。
前記高強度部分用液体材料と前記低強度部分用液体材料とを交互に付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一の液体を付与する方法と同様に、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、前記インクジェット方式が好ましい。
前記インクジェット方式による前記高強度部分用液体材料と前記低強度部分用液体材料とを付与する手段としては、ヘッドユニットに吐出ヘッドが2つ以上設けられている形態が好ましい。
次に、本発明における立体造形物の製造方法における液体硬化方式の他の一例について図面を参照して説明する。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
本発明における立体造形物の製造方法における液体硬化方式の他の一例としては、図2〜図4Aに示したような複数の吐出ヘッドを備えるヘッドユニットを用いて、図5Aに示すような方法が挙げられる。
図5Aは、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式の他の一例を用いて製造された立体造形物の概略上面図であり、前記立体造形物の形成過程を上方から見た図である。
例えば、図2に示したヘッドユニット20が備える造形物用吐出ヘッド21及び支持体用吐出ヘッド22、23のうち2つの吐出ヘッドを用いて、2種類の部材を打ち分けることが可能であることから、図5Aに示すように、XY平面上を走査するヘッドユニット20により前記高強度部分用液体材料と前記低強度部分用液体材料とを交互に吐出して硬化し、高強度部分61aと低強度部分61bとを交互に構成した網目構造にさせることができる。
高強度部分61a及び低強度部分61bを前記網目構造にすることで、図5AのX軸方向の引張強度又は圧縮強度が、Y軸方向の引張強度又は圧縮強度より高くなる。
前記網目構造は、異方性を付与する対象範囲で周期的な構造であることが好ましい。また、異方性に強度分布を持たせる場合は、図5Bに示すようなパラメータを適宜傾斜的に調整することで実現が可能である。
図5Bは、図5A中にGで示した範囲における立体造形物の拡大図である。
図5Bで示すように、X軸方向における高強度部分61aの長さをL1、X軸方向における低強度部分61bの長さをL2、高強度部分61aと低強度部分61bとがオーバーラップする長さをL3、Y軸方向における高強度部分61a及び低強度部分61bの長さをW1とすると、L1〜L3及びW1のパラメータの設定で力学的異方性の程度を調整することが可能となる。
また、インクジェット方式を用いた場合、この配置を自在な方向に設定することが可能であり、臓器モデルにおいて血管など力学強度に複雑な異方性の方向分布を持つ部品を形成することが可能である。
なお、Z軸方向(積層方向)にも同様な網目構造とすることで更に異方性を付与することが可能である。
以上、本発明の立体造形物の製造方法における液体硬化方式について説明したが、次に粉体接着方式について説明する。
((粉体接着方式))
本発明の立体造形物の製造方法における粉体接着方式は、層形成工程と、粉体材料配向工程と、層硬化工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<層形成工程>
前記層形成工程は、配向性粉体材料を用いて粉体材料層を形成する工程である。
<<粉体材料層の形成>>
前記粉体材料層の形成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第3607300号公報に記載の公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、前記配向性粉体材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材により薄層に拡げる方法、前記配向性粉体材料の表面を押圧して薄層に拡げる方法、公知の立体造形装置を用いる方法、くし歯状の配向部材などにより前記前記配向性粉体材料に接触する方法などが挙げられる。
前記粉体材料層の一層あたりの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以上500μm以下が好ましく、60μm以上300μm以下がより好ましい。前記粉体材料層の平均厚みが30μm以上であると、前記粉体材料層に後述する立体造形用接着液を付与して硬化させたとき、取り扱いに耐え得る強度を有するため、その後の粉体除去作業や加熱処理等の際に型崩れなどの問題が生じにくくなる。また、前記粉体材料層の平均厚みが500μm以下であると、前記粉体材料層に前記立体造形用接着液を付与して硬化させたときの寸法精度が向上する。
なお、前記平均厚みは、特に制限はなく、公知の方法に従って測定することができる。
−配向性粉体材料−
前記配向性粉体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均長軸長さと平均短軸長さとの比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)であるアスペクト比が1.1以上であることが好ましい。前記アスペクト比が好ましい範囲であると、前記配向性粉体材料に配向性を付与しやすくなる点で有利である。
また、前記配向性粉体材料としては、例えば、針状乃至棒状物質、繊維状物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、前記配向性粉体材料は、必要に応じて、その他の成分を含むようにしてもよい。
−−針状乃至棒状物質や繊維状物質−−
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質としては、形状、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質のアスペクト比としては、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。前記アスペクト比が前記好ましい範囲であると、機械的エネルギーにより配向しやすくなる点で有利である。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の長手方向の長さとしては、0.1μm以上500μm以下であることが好ましく、5μm以上300μm以下がより好ましく、15μm以上250μm以下が特に好ましい。前記長手方向の長さが前記好ましい範囲であると、立体造形物の製造効率に優れ、ハンドリング性が良好となる点で有利である。また、前記長手方向の長さが500μm以下であると、前記配向性粉体材料を均して層を形成した際に、形成した層における前記配向性粉体材料の充填率が向上し、得られる立体造形物に空隙等が生じ難い点で有利である。
なお、前記長手方向の長さは、立体造形物の寸法精度に影響を与えることがある。前記寸法精度は、後述する立体造形用接着液の吐出位置精度、前記立体造形用接着液の吐出量と前記配向性粉体材料の層厚みに依存しており、前記長手方向の長さが前記立体造形用接着液の吐出間隔を上回ると寸法精度が長手方向の長さに依存することとなる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の長手方向の長さは、公知の観察装置、例えば、透過型電子顕微鏡、反射型電子顕微鏡、蛍光顕微鏡、光学顕微鏡などを用いて粒子の状態を観察し、画像解析ソフト(例えば、Image J)を利用して個々の粒子の大きさを計測することで平均粒子長、粒子長分布などを得ることができる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の径としては、カーボンナノチューブのような中空微小なものから20μmを超えるものでもよい。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の粒度分布、外形、表面積、円形度、流動性、濡れ性などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記針状乃至棒状物質及び繊維状物質の材質としては、例えば、炭素繊維(カーボンファイバー)、ガラス繊維(ガラスファイバー)、アルミナ水和物(ベーマイト)、ウォラストナイト、金属繊維などが用いられる。なお、前記金属繊維としては、例えば、ステンレス、アルミニウムなどが挙げられる。
これらの中でも、炭素繊維が好ましい。
前記炭素繊維としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられ、市販品を使用することができる。
前記PAN系炭素繊維においては、他の前記炭素繊維より強度の点で有利であり、前記市販品としては、例えば、東レ社、東邦テナックス社、三菱レイヨン社、HEXCEL社、Cytec社、台湾プラスチック社、Zoltek社、SGL社などのものが挙げられる。
前記ピッチ系炭素繊維においては、他の前記炭素繊維より低熱膨張性、弾性、及び剛性の点で有利であり、前記市販品としては、例えば、三菱樹脂社、日本グラファイトファイバー社、Cytec Engineered Materials社、クレハ社、大阪ガスケミカル社、Anshan Sinocab Carbon Fibers社などのものが挙げられる。
また、前記炭素繊維を黒鉛化処理することで得られた黒鉛繊維を利用することも可能である。前記黒鉛繊維は、前記炭素繊維に比べて強度は低下するが、高弾性の特性を得ることができ特徴的な特性を得ることができる。
また、前記針状乃至棒状物質としては、前記立体造形用接着液との親和性を高める目的などから、公知の表面(改質)処理がなされていてもよい。前記表面処理としては、求められる特性に応じて無機材料及び有機材料のいずれでも利用可能であり、前記針状乃至棒状物質と前記立体造形用接着液との特性に応じて選択される。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、硬化剤、反応開始剤、流動化剤、フィラー、レベリング剤などが挙げられる。 前記配向性粉体材料に前記硬化剤及び前記反応開始剤が含まれると、前記立体造形用接着液との反応を行い促進できるため、前記立体造形用接着液から硬化剤及び反応開始剤を減らすことが可能となり、前記立体造形用接着液の保存安定性、熱安定性、及び取扱い性を向上させることができる点で有利である。また、造形後に二次硬化させることも可能となるため、前記立体造形物の強度、耐膨潤性、及び耐溶解性を向上させることができる。
前記配向性粉体材料に前記流動化剤が含まれると、前記配向性粉体材料により形成される層などを容易にかつ効率よく形成し得る点で有利である。
前記配向性粉体材料に前記フィラーが含まれると、得られる硬化物(立体造形物)に空隙などが生じ難くなる点で有利である。
前記配向性粉体材料に前記レベリング剤が含まれると、前記配向性粉体材料の濡れ性及び取扱い性が向上する点で有利である。
前記配向性粉体材料は、各種立体造形物の製造に好適に用いることができ、本発明の粉体接着方式における立体造形物の製造方法、及び本発明の立体造形物として特に好適に用いることができる。
また、前記層形成工程は、前記配向部材を用いて前記配向性粉体材料を層状に敷き詰めるように造形エリアへ供給することにより前記粉体材料配向工程と同時に行われるようにしてもよい。
<粉体材料配向工程>
前記粉体材料配向工程は、前記層形成工程で形成した粉体材料層を、配向部材により配向させる工程である。
<<粉体材料層の配向>>
前記粉体材料層の配向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配向部材により前記粉体材料層を配向させることが好ましい。
−配向部材−
前記配向部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記機械的エネルギーを前記配向性粉体材料に効率よく付与して配向させるため、前記配向性粉体材料との接触面積が大きいものが好ましい。
前記配向部材の形状としては、例えば、三角歯ブレード、くし歯ブレードなどが挙げられる。
前記三角歯ブレードによる配向では、前記粉体材料層の深いところまで前記機械的エネルギーを伝達させることができるが、前記粉体材料層の表面が三角歯の形状に応じて荒れた状態となる。それゆえ、前記粉体材料層の最表面を平滑な状態に整えるために、前記均し部材による均しが必要となる。
前記くし歯ブレードによる配向では、前記三角歯ブレードより強く前記機械的エネルギーを伝達させることができるため、より好ましい。前記くし歯ブレードも前記三角歯ブレード同様にくし歯が通った跡が荒れた状態となるため、前記粉体材料層の最表面を平滑な状態に整えるために、前記均し部材による均しが必要となる。
前記くし歯の断面形状としては、四角、円状、楕円状、菱形状、砲弾状、五角形状などが挙げられる。
前記くし歯の断面形状が円状であると、前記機械的エネルギーの伝達が少ない反面、他の前記断面形状に比べて前記配向性粉体材料の抵抗が少ないため、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない点で有利である。
前記くし歯の断面形状が楕円状及び菱形状のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができ、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない点で有利である。
前記くし歯の断面形状が砲弾状及び五角形状のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができる点で有利である。
なお、前記配向部材としては、前記配向性粉体材料との当接部が直線状である板状ブレードでもよく、その場合、最表層の前記配向性粉体材料に対して強く前記機械的エネルギーを伝達させることができるが、下層にまで十分な前記機械的エネルギーを付与することができないことがある。そのため、一層当たりの平均厚みを小さくし、複数回数積層させてから前記立体造形用接着液を吐出させることにより前記配向性粉体材料の配向性を得るようにしてもよい。
<層硬化工程>
前記層硬化工程は、立体造形用接着液を付与して、前記粉体材料層の所定領域を硬化させる工程である。前記層硬化工程では、前記粉体材料層に前記立体造形用接着液を吐出させて硬化させることにより、前記配向性粉体材料の配向状態が固定される。
<<硬化>>
前記粉体材料層の硬化は、前記粉体材料層に吐出された前記立体造形用接着液が硬化されることにより行われる。
このときの硬化は、前記立体造形用接着液を吐出された前記粉体材料層のみならず、吐出された前記粉体材料層と、その下に存在する、先に硬化された前記粉体材料層との間でも接着して硬化される。
前記立体造形用接着液の吐出は、接着剤吐出手段により行われる。
−接着剤吐出手段−
前記接着剤吐出手段は、前記立体造形用接着液を吐出させる手段であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレー方式、ディスペンサー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
前記スプレー方式による吐出では、簡便に微細な吐出物を形成でき吐出面積が広く吐出性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流により前記配向性粉体材料が飛散する場合がある。
前記ディスペンサー方式による吐出では、液滴の定量性に優れるが吐出面積が狭くなる。ただし、吐出液量を多くすることが可能であるため、1mm以上での間隔で吐出が可能となり、このときに前記配向性粉体材料を長手方向の長さが1mm以上のものを使用することで配向に応じた特性が強く発現することが可能となる。
前記インクジェット方式による吐出では、前記スプレー方式と比べて液滴の定量性が良く、前記ディスペンサー方式と比べて吐出面積が広くでき、複雑な立体形状を高精度かつ高効率で形成し得る点で有利である。
それゆえ、これらの中でも、前記ディスペンサー方式による吐出が好ましく、前記インクジェット方式による吐出がより好ましい。
前記立体造形用接着液をインクジェット方式により吐出する場合では、吐出間隔を150μmより小さくするとともに前記配向性粉体材料の長手方向の長さを150μm以下とすることで前記立体造形物の寸法精度を高めることができる。
前記インクジェット方式による前記立体造形用接着液吐出手段は、前記立体造形用接着液を前記粉体材料層に吐出可能なノズルを有する。なお、前記ノズルとしては、公知のインクジェット吐出装置におけるノズル(吐出ヘッド)を好適に使用することができ、またインクジェット吐出装置を立体造形用接着液吐出手段として好適に使用することができる。
なお、前記インクジェット吐出装置としては、例えば、株式会社リコー製の吐出テスト評価装置 拡張型吐出装置 EV2500などが好適に挙げられる。
前記インクジェット吐出装置は、ヘッド部から一度に滴下できるインク量が多く、吐出面積が広いため、吐出の高速化を図ることができる点で好ましい。
−立体造形用接着液−
前記立体造形用接着液は、少なくとも接着成分を含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。なお、前記配向性粉体材料として用いる針状乃至棒状物質及び繊維状物質に接着性を有するようにしてもよい。
−−接着成分−−
前記接着成分としては、ポリマー、モノマー、及びオリゴマーのいずれの状態であってもよく、硬化プロセスに合わせて適時選択され、硬化過程でポリマーを生成して前記配向性粉体材料を接着させるものであればよい。
紫外線による光硬化を利用する接着成分は、反応性化合物(モノマー、オリゴマー)と、光重合開始剤とを含有し、更に必要に応じて各種の接着樹脂(ポリマー)、表面張力調整剤、増感剤、光安定化剤、スリップ剤、表面処理剤、粘度低下剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、分散剤、レベリング剤、溶剤などが含有される。
熱や赤外線による熱硬化を利用する接着成分は、反応性化合物(モノマー、オリゴマー)と、熱重合開始剤とを含有し、更に必要に応じて各種の接着樹脂(ポリマー)、表面張力調整剤、レドックス剤、熱安定化剤、スリップ剤、表面処理剤、粘度低下剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、分散剤、レベリング剤、溶剤などが含有される。
赤外線及び温度環境による熱硬化の場合では、エポキシ基を有する化合物、メチロール基を持つ化合物、イソシアネート基を持つ化合物、アミン基を持った化合物、酸無水物、チオール類、ヘキサメチレンテトラミン、ホルマリンなどの化合物を用いることができる。
この中で様々な粉体に対して接着力があり、粉体濃度が高いときでも硬化が可能なエポキシ樹脂が好ましい。
また、前記配向性粉体材料が焼石膏(硫酸カルシウム・1/2水和物)のように水と反応して固化する場合は、前記立体造形用接着液として水を用いることができる。ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性の固体樹脂を前記配向性粉体材料に含んでいる場合でも、前記立体造形用接着液として水を用いることができる。
前記配向性粉体材料が水と反応しない場合は、前記立体造形用接着液として固着作用を持つ有機溶剤を用いることができる。例えば、前記立体造形用粉体材がスチレンビーズである場合は、スチレン表面を溶解させて接着を促すことができるアセトンやメチルエチルケトンを前記立体造形用接着液として用いることができる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、前記配向性粉体材料間の接着強度を高める目的で、接着成分である樹脂、接着を促して樹脂間の硬化を強化する架橋剤、溶解接着を促進する有機溶媒などが挙げられ、また、前記立体造形用接着液の保存安定性を保つような安定化剤、インクジェット吐出安定性を確保するために保湿剤などが挙げられる。
前記立体造形用接着液の吐出時の温度における粘度としては、3mPa・s〜30mPa・sが好ましく、5mPa・s〜20mPa・sがより好ましい。
前記粘度が前記好ましい範囲であると、吐出時に液滴が尾を引くようなことなく独立した液滴に分離しやすくなるため、液ミストの発生、サテライト滴の分離などの吐出異常を抑制でき、高速吐出が可能となる点で有利である。
例えば、前記立体造形用接着液をインクジェット方式により吐出する場合、粘度が30mPa・s以下であれば、インクジェットヘッドに負荷がかかりにくい。特に、圧電素子を利用したインクジェットヘッドでは、前記圧電素子に印加する電圧を過剰に上げずに吐出でき、電流のリークなどの発生を抑制することが可能となる。
前記立体造形用接着液を低粘度化するため、吐出時に前記立体造形用接着液及び液供給系を40℃〜80℃程度に加温して低粘度にした前記立体造形用接着液を吐出してもよいが、液吐出部だけでなく液供給系まで加温する必要がある。この場合、特に、前記液吐出部の液温度が安定するように、ヘッドを含めた前記液吐出部の温度調節を、前記液供給系と別に行うことが好ましい。
−−反応性化合物−−
前記反応性化合物は、前記接着成分の構成材料のうち10質量%〜90質量%の含有量を占めるが、用いる硬化反応の種類により化合物が異なる。
前記硬化反応としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重縮合反応、重付加反応、付加縮合反応などが挙げられるが、反応過程で低分子成分が発生しない点で、前記重付加反応、前記付加縮合反応が好ましい。
これらの中でも、水素移動型重付加反応、イオン重合反応、ラジカル重合反応が好ましい。これらは、硬化特性及び密着強度、並びに硬化プロセスに応じて、1種単独で使用してよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素移動型重付加反応では、対となる2種以上の反応性化合物によって付加反応を起こすことで反応が進み、対となる官能基が限定されている。
前記イオン重合反応及び前記ラジカル重合反応では、反応を起こすための活性種を生成する反応開始剤が必要になり、ラジカル発生開始剤を用いるラジカル重合系、酸発生開始剤を用いるカチオン重合系、塩基発生開始剤を用いるアニオン重合系のそれぞれで使用できる化合物が異なる。
前記反応開始剤が、エネルギーを付与することで分解等の反応を起こし活性種を生成するが、与えるエネルギーによる活性種が生成する容易さによって光開始型又は熱開始型の反応開始剤となる。
紫外線を用いた光硬化の場合では、ラジカル重合を利用する場合は前記硬化性材料で示した硬化材料を利用可能であり、イオン重合を利用する場合では、ビニル芳香族類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミド類、エポキシ基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。
−−−ラジカル重合系の反応化合物−−−
前記ラジカル重合系の反応化合物としては、反応性官能基として不飽和炭化水素鎖を有する化合物が挙げられるが、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオロイル基、マレオイル基を有する化合物が好ましい。
単官能基の前記ラジカル重合系の反応化合物としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
二官能基の前記ラジカル重合系の反応化合物としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能基の前記ラジカル重合系の反応化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)、トリアリルイソシアネート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられる。
オリゴマーの前記ラジカル重合系の反応化合物としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド樹脂、エーテル系樹脂、多価アルコール等のアクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。
硬化性ポリマーの前記ラジカル重合系の反応性化合物としては、例えば、重合性官能基を有する水溶性樹脂、エマルジョンタイプの反応性樹脂などが挙げられる。
これらのラジカル重合系の反応性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラジカル重合系の反応性化合物の重合開始剤としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれかの重合開始剤が用いられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系などが挙げられる。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントンなどが挙げられる。
また、その他、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレートなどが挙げられ、反応開始に用いられる光の波長に応じて選択できる。
これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記光重合開始剤の含有量は、接着成分の全量に対して1質量%〜10質量%が好ましい。
光開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、重合性3級アミンなどが挙げられる。また、光重合開始剤含有タイプの光硬化型樹脂を使用してもよい。
前記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物や有機過酸化物、無機過酸化物が挙げられ、例えば、アゾニトリル類、アゾエステル類、アゾアミド類、アゾアミジン類、アゾイミダゾリウム類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシエステル類、ペルオキソ二硫酸塩類などが挙げられ、反応系への溶解性や反応温度に応じて選択できる。
−−−イオン重合系の反応化合物−−−
前記イオン重合系の反応性化合物としては、例えば、ビニル芳香族類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミド類、エポキシ基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル芳香族類としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、α−メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレンなどが挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレングリコールのプロペニルエーテルなどが挙げられる。
前記N−ビニルアミド類としては、例えば、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾールなどが挙げられる。
前記エポキシ基を有する化合物としては、例えば、(1)ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物、(2)ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、ビスフェノールF、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、ビスフェノールA、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、ビスフェノールS、オキシビスフェノール、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物、およびこれらのエチレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル、およびこれらのエチレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル、(4)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族又は脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体、(5)N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物(6)ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化合物、(7)エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物、又はこれらの端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したもの、(8)脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール及びこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等、(9)エポキシ基を有する多官能化合物として、グリシジルエーテル系、グリジルエステル系、グリシジルアミン系があり、フェノール、クレゾール、ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジシクロペンタジエン等の複数種の芳香族化合物とホルマリンを縮合させて得られるノボラック樹脂やフェノール樹脂のグリシジルエーテルや、アニリンやポリアミンのエピクロルヒドリン付加物などが挙げられる。
前記オキセタニル基を有する化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3′−[1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン)]ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン(メタ)アクリレート、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。
その他のイオン重合性の反応性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランなどのオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンなどの環状アセタール化合物、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状ラクトン化合物、エチレンスルフィド、チオエピクロルヒドリンなどのチイラン化合物、1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンなどのチエタン化合物、テトラヒドロチオフェン誘導体などの環状チオエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物などが挙げられる。
前記イオン重合性の反応性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イオン重合性の反応開始剤としては、前記カチオン重合系及び前記アニオン重合系の光重合開始剤が挙げられる。
前記カチオン重合系では、一般的に光カチオン重合に使用される光酸発生剤を用いることができる。
前記光酸発生剤としては、例えば、ルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体が挙げられる。
前記オニウム塩としては、例えば、S、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団に対し有機基(そのうち少なくとも一つが芳香環を有する)が結合した陽イオンと、テトラフルオロボレート(BF)−、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート〔B(C〕−、ヘキサフルオロホスフェート(PF)−、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF)−、ヘキサフルオロアルセネート(AsF)−、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl)−のいずれかの陰イオンからなる塩が挙げられる。
また、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、鉄アレン錯体も光カチオン重合開始剤として用いることができる。
前記アニオン重合系では、光アニオン重合に使用される光塩基発生剤を用いることができる。
前記光塩基発生剤としては、例えば、9−anthrylmethyl N,N−diethylcarbamate、( E )−1−[3−(2−hydroxyphenyl)−2−propenoyl]piperidine、1−(anthraquinon−2−yl)ethyl imidazolecarboxylate、2−ニトロフェニルメチル 4−メタクリロイルオキシピペリジン−1−カルボキシラート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム 2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、 1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウム−n−ブチルトリフェニルボラートなどが挙げられる。
−−エポキシ樹脂−−
前記エポキシ樹脂は、エポキシ化合物と、硬化剤と、を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
前記エポキシ化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エポキシ当量が70〜3,000が好ましく、90〜2,000がより好ましい。前記エポキシ当量が前記好ましい範囲であると、十分な硬化性が得られるという点で有利である。
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリチオール化合物、イミダゾール化合物、酸無水物などが挙げられる。
前記ポリチオール化合物としては、分子内にチオール基を2個以上有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)等のポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物のように、製造工程上塩基性物質の使用を必要としない、ポリチオール化合物などが挙げられる。
更に、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール等のアルキルポリチオール化合物;末端チオール基含有ポリエーテル;末端チオール基含有ポリチオエーテル;エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物;ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物などのように、その製造工程上の反応触媒として、塩基性物質を使用するものにあっては、脱アルカリ処理を行いアルカリ金属イオン濃度を50ppm以下としたポリチオール化合物などが挙げられる。
前記反応触媒として、塩基性物質を使用して製造されたポリチオール化合物の脱アルカリ処理方法としては、例えば、処理を行うポリチオール化合物をアセトン、メタノールなどの有機溶媒に溶解し、希塩酸、希硫酸等の酸を加えることにより中和した後、生成した塩を抽出、洗浄等により除去する方法やイオン交換樹脂を用いて吸着除去する方法、蒸留によりポリチオール化合物を分離精製する方法などが挙げられる。
前記ポリチオール化合物の中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトブチレート)、及び1,3,5−トリス(3−メルカブトプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンから選択される少なくとも1種が、貯蔵安定性と硬化性のバランスに優れる点で好ましい。
前記エポキシ化合物と前記ポリチオール化合物との混合比としては、チオール当量数/エポキシ当量数で、0.2〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。前記混合比が前記好ましい範囲であると、十分な速硬化性が得られるとともに耐熱性などの物性が得られる点で有利である。
前記イミダゾール化合物としては、一般式(2)で示す化合物が用いられる。
<一般式(2)>
Figure 2016117273
前記一般式(2)において、kは、1以上6未満であり、1又は2が好ましい。jは、0又は1であり、1が好ましい。
前記一般式(2)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基を示す。
前記炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン、ヒドロキシ基などにより置換されていてもよい。
これらの中でも、前記R、R、及びRとしては、水素原子、メチル基、エチル基、又はフェニル基であることが好ましい。
前記一般式(2)に示したRは、炭素原子数1〜20のアルキレン基、アリーレン基、又は−CHCHCOO−を示す。
前記炭素原子数1〜20のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、2−メチル−ヘキサン−1,6−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基などが挙げられる。
前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン、ヒドロキシ基などにより置換されていてもよい。
これらの中でも、前記Rとしては、メチレン基、−CHCHCOO−が好ましい。
前記一般式(2)において、Rは、kが1の場合、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基、又はシアノメチル基であり、kが2〜6の場合、炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。
前記炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基などが挙げられる。
前記炭素原子数1〜20のアルキル基、及びアリール基としては、前記R、R、及びRと同様のものが挙げられる。
前記イミダゾール化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記エポキシ化合物100質量部に対して、1質量部〜5質量部であることが好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶剤、フィラー、粘度調整剤、その他のバインダー樹脂などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エポキシ化合物、硬化剤、その他添加剤に応じて自由に選択することができるが、安定した硬化反応を得られる点で、不純物が管理された溶剤が好ましい。 また、前記立体造形用接着液の保存性の点で、エポキシ基と反応性がある活性水素のある溶剤より活性水素のない溶剤が好ましい。更に、完全に溶解した状態ではなく分散した状態であっても乾燥時に樹脂層が形成されるものであれば、部材への濡れ性、乾燥速度、粘度などの点から自由に選択することができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、シリカ、アルミナなどのような無機粒子であっても、メラミン樹脂、アクリル樹脂などの樹脂微粒子であってもよく、市販品を使用することができる。前記市販品としては、例えば、積水化学工業社、宇部ケミカル社、株式会社ADEKA等から購入が可能である。
前記粘度調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸アマイドなどを添加して、接着剤の塗工の際に適した粘度に調整してもよい。また塗膜に泡による吐出斑が発生しないために抑泡剤や消泡剤を添加してもよい。
前記溶剤の乾燥を促進させるために、硬化反応しない範囲での加温、減圧乾燥をさせてもよい。前記減圧乾燥では、高沸点の溶剤であっても前記エポキシ樹脂を硬化反応させずに乾燥させることができる。
また、一般的なエポキシ樹脂の構造としては、架橋密度が高くなるため、ヤング率が高くなり、接着膜厚を薄くすると十分な接着力を得ることが困難であったが、前記接着膜厚を0.5μmより厚くすると、必要な接着力を確保することができる。なお、前記接着膜厚を管理するためには、ギャップ剤、例えば、粒径の管理されたシリカフィラーや樹脂を重合させたフィラーを用いることで可能になる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、粉体除去工程、加熱工程、表面保護処理工程、塗装工程などが挙げられる。
<<粉体除去工程>>
前記粉体除去工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)の余剰粉末を除去する工程である。
前記粉体除去工程は、粉体除去手段により好適に行うことができる。
前記粉体除去手段としては、例えば、エアーブローなどが挙げられる。
<<加熱工程>>
前記加熱工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)に対して熱反応を起こさせ硬化促進する工程である。前記加熱工程を行うことにより、前記硬化物の重合率及び架橋度を向上させ、また前記配向性粉体材料と前記立体造形用接着液との結合を促進させることができ、加熱手段により好適に行うことができる。
前記加熱手段としては、例えば、公知の赤外線ヒータや電気炉などが挙げられる。
<<表面保護処理工程>>
前記表面保護処理工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)に保護層を形成等する工程である。前記表面保護処理工程を行うことにより、様々な特性を前記硬化物(立体造形物)の表面に与えることができる。なお、前記保護層としては、例えば、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層などが挙げられる。
前記表面保護処理工程は、表面保護処理手段により好適に行うことができる。
前記表面保護処理手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
<<塗装工程>>
前記塗装工程は、前記層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)に塗装を行う工程である。前記塗装工程を行うことにより、前記硬化物(立体造形物)を所望の色に着色させることができ、塗装手段により好適に行うことができる。
前記塗装手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
((粉体接着方式の他の実施形態))
本発明の立体造形物の製造方法における粉体接着方式の形態としては、前述した各「工程」を各「処理」として置き換えた場合、例えば、「層形成工程」を「層形成処理」と表すように、粉体配向処理と、層形成処理と、層硬化処理と、を複数回繰り返す第三の立体造形物の製造工程を含むことが必要であり、更に、前記層形成処理と、前記層硬化処理と、を複数回繰り返す第四の立体造形物の製造工程と、前記第三の立体造形物の製造工程と、を繰り返すことが好ましい。
前記立体造形物の製造方法が好ましい形態であると、異方性領域と、等方性領域とを有する立体造形物を得ることができる点で有利である。
<第三の立体造形物の製造工程>
前記第三の立体造形物の製造工程は、粉体配向処理と、層形成処理と、層硬化処理と、を複数回繰り返す工程である。
前記粉体配向処理は、前記配向性粉体材料を少なくとも含む配向性粉体材料に外部エネルギーを付与して前記配向性粉体材料を配向させる前記粉体材料配向工程と同様である。
前記層形成処理は、前記粉体配向処理で前記配向性粉体材料を配向させた前記配向性粉体材料が均され、層が形成される前記層形成工程と同様である。
前記層硬化処理は、前記層形成工程で形成された層を硬化させる前記層硬化工程と同様である。
前記繰り返し回数としては、作製する立体造形物の大きさ、形状、構造などに応じて異なり一概には規定できないが、一層あたりの平均厚みが30μm以上500μm以下の範囲であれば、精度よく、剥離することもなく造形することが可能であるため、作製する立体造形物の高さ分だけ繰り返して積層することが必要である。
<第四の立体造形物の製造工程>
前記第四の立体造形物の製造工程は、層形成処理と、層硬化処理と、を複数回繰り返す工程である。
前記層形成処理は、前記配向性粉体材料を少なくとも含む前記配向性粉体材料が均され、層が形成される前記層形成工程と同様である。
前記層硬化処理は、前記配向性粉体材料を配向させないこと以外は、前記層形成処理で形成された前記配向性粉体材料の膜を硬化させる前記層硬化工程と同様である。
前記繰り返し回数としては、作製する立体造形物の大きさ、形状、構造などに応じて異なり一概には規定できないが、一層あたりの平均厚みが30μm以上500μm以下の範囲であれば、精度よく、剥離することもなく造形することが可能であるため、作製する立体造形物の高さ分だけ繰り返して積層することが必要である。
(粉体接着法による立体造形物)
本発明の立体造形物は、前記粉体材料層に前記立体造形用接着液を付与させて得られた硬化物である。なお、前記硬化物に対して前記加熱工程を行い、硬化を促進させた立体造形物であってもよい。
前記立体造形物は、前記配向性粉体材料が配向されているため、力学的異方性、電気的異方性などを付与されている。
前記立体造形物の強度としては、前記配向性粉体材料の中から前記立体造形物を取り出す作業で崩れない強度があればよい。例えば、表面を擦っても型崩れ等が生ずることがない程度であり、エアー圧力を0.3MPaとし、ノズル口径が2mmのエアーガンを用いて、距離5cmよりエアーブロー処理をしても割れ等が生ずることがない程度があればよい。
次に、本発明における立体造形物の製造方法における粉体接着方式について図面を参照して説明する。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
本発明の立体造形物の製造方法を、図6の本発明の立体造形物の製造方法の粉体接着方式の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って説明する。
S101:製造しようとしている立体造形物の3Dデータに基づいて造形用データを生成させる造形用データ生成処理を、図示しないパーソナルコンピュータなどにより行う。
S102:生成された前記造形用データに基づき、前記立体造形装置により、必要な箇所に前記配向性粉体材料が配向された後、均されて層が形成され、前記立体造形用接着液を吐出及び硬化して立体造形物を生成する。
S103:前記立体造形用接着液の吐出及び硬化が行われていない不要な前記配向性粉体材料をエアーブローなどにより除去する。
S104:加熱処理された立体造形物を得て、本処理を終了する。
次に、図6のS101で行う造形用データ生成処理を、図7の造形用データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って説明する。
本実施形態では、図示しないパーソナルコンピュータなどにより、異方性を示す情報(以下、「異方性ベクトル」という)を有する3Dデータから造形用データを生成させる。
前記3Dデータは、例えば、造形したい立体形状のポリゴンデータ、不整三角網データなどであり、立体形状を構成する要素毎に2次元方向に前記異方性ベクトルが指定されている。
S201:前記異方性ベクトルを考慮せずに、前記3Dデータを造形ステップに準じた平面層でスライスしたスライスデータを生成する。
S202:前記スライスデータに前記異方性ベクトルを割り付けて指定する。また、前記スライスデータに前記異方性ベクトルが指定されていない平面層が発生した場合は、その上下に位置する平面層の前記異方性ベクトルを参照し、前記異方性ベクトルを補完して割り付けるようにしてもよい。
S203:前記異方性ベクトルに基づいて各平面層のスライスデータを回転させる。また、その回転角情報を前記スライスデータとともに記憶する。
S204:前記スライスデータのみを2次元データの造形ピクセルに割り付け、ラスターデータに変換する。
S205:S204で得た前記ラスターデータに、S203で記憶した前記回転角情報を、図8Aで示す回転ステージ113の回転角として付随させたものを造形用データとして生成し、前記造形用データを前記立体造形装置の記憶部に記憶させて、本処理を終了させる。
次に、図6のS102で用いた前記立体造形装置の一例について説明する。
<<粉体接着方式における立体造形装置>>
前記粉体接着方式における立体造形装置としては、前記配向性粉体材料を敷き詰めながら前記配向性粉体材料に含まれる前記配向性粉体材料を配向した後、前記配向性粉体材料を均す動作を繰り返して前記配向性粉体材料を積層できれば特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
前記立体造形装置は、一般に、粉体収容槽と、粉体成形槽と、均し機構と、接着剤吐出手段と、を備えている。
前記粉体収容槽及び前記粉体成形槽は、隣接して設けられており、各槽の上部の開口面が同一平面上になるように配置されている。また、前記粉体収容槽及び前記粉体成形槽の底部は、それぞれ独立に昇降可能である。
本発明においては、前記立体造形装置に対し、まず、前記配向性粉体材料が上部まで満たされている前記粉体収容槽の底部を上昇させるとともに、前記粉体成形槽の底部を開口面から層厚み分下降させ、前記粉体収容槽の上部の開口面より前記配向性粉体材料を隆起させる。次に、隆起した前記配向性粉体材料を前記均し機構により前記粉体成形槽の底部に敷き詰めながら配向させて(前記粉体材料配向工程)、均すようにさせる(前記層形成工程)。更に、均して形成された層に前記立体造形用接着液を吐出させて選択的に硬化させる(前記層硬化工程)。この動作を繰り返し行わせ、前記配向性粉体材料を硬化させながら積層して立体造形物が製造されることが好ましい。
−粉体収容槽−
前記粉体収容槽としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯留槽、タンク、カートリッジなどが挙げられる。
前記粉体収容槽の底部としては、前記配向性粉体材料を載置でき、昇降可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、
−粉体成形槽−
前記粉体成形槽としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯留槽、タンク、カートリッジなどが挙げられる。
前記粉体成形槽の底部としては、前記配向性粉体材料を載置でき、昇降可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配向性粉体材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられ、回転可能であることが好ましい。
前記粉体成形槽の底部の表面、即ち、前記粉末材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよいが、前記立体造形用接着液との親和性が低いことが好ましい。前記載置面と前記立体造形用接着液との親和性が前記載置面と前記配向性粉体材料との親和性よりも低いと、得られた立体造形物を前記載置面から取り外すことが容易である点で有利である。
図8Aは、本発明の立体造形物の製造方法における粉体接着方式で用いられる立体造形装置の一例を示す概略斜視図である。図8Bは、図8Aで示す立体造形装置の概略上面図である。
図8A及び図8Bに示すように、粉末積層造形装置101は、粉体成形槽111と、粉体収容槽112と、吐出ヘッド120と、均し部材131と、配向部材133と、を備えている。
粉体成形槽111は、底部に昇降可能な回転ステージ113を備えている。この回転ステージ113は、図8A中矢印Rで示す方向に回転可能に配置されている。
粉体収容槽112は、底部に昇降可能なステージ114を備えている。
粉体成形槽111及び粉体収容槽112は、隣接して設けられており、各槽の上部の開口面が同一平面上になるように配置されている。
吐出ヘッド120は、粉体成形槽111の上方に配置され、走査しながら粉体成形槽111表面の前記配向性粉体材料に前記立体造形用接着液を前記造形用データに基づいて吐出する。
前記均し部材としての板状ブレード131、及び前記配向部材としてのくし歯ブレード133は、前記均し機構の一部であり、粉体収容槽112の前記配向性粉体材料の表面から粉体成形槽111の回転ステージ113に押し込むように傾けた状態で開口面を図中矢印Cで示す方向に、くし歯ブレード133、板状ブレード131の順で平行移動させることにより、前記配向性粉体材料の配向及び均しが行われ、前記粉体材料層が形成される。
なお、前記配向性粉体材料の配向を行わない場合は、板状ブレード131のみを平行移動させて、前記配向性粉体材料の均しが行われ、前記粉体材料層が形成される。
次に、前記均し部材及び前記配向部材について、図9A〜図10Eに基づいて図11A〜図11Cを参照しながら説明する。
図9Aは、板状ブレードを示す概略正面図であり、前記均し部材の一例を示している。
図9Aに示すように、板状ブレード131を平行移動させると、図11Aに示すように、配向性粉体材料150が均される。
−均し部材−
前記均し部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記板状ブレードが好ましく、くし歯溝を有するブレードがより好ましい。
前記くし歯溝を有するブレードで前記配向性粉体材料を均すと、前記配向性粉体材料の配向と同時に均しが可能であるが、平行移動させる際にブレードへの抵抗が大きくなる。
図9B及び図9Cは、三角歯ブレード及びくし歯ブレードを示す概略正面図であり、前記配向部材の一例を示している。くし歯ブレード133(あるいは三角歯ブレード132)を平行移動させると、図11Bに示すように、配向性粉体材料150が配向される。
図9B及び図9Cに示すように、くし歯ブレード133による配向では、その形状により三角歯ブレード132より強く機械的エネルギーを伝達させることができるため、より好ましい。くし歯ブレード133も三角歯ブレード132と同様に歯が通った跡が荒れた状態となることから、前記粉体材料層の最表面を平滑な状態に整えるために、板状ブレード131による均しが必要となる。
また、くし歯ブレード133のくし歯の断面形状としては、図10A〜図10Eに示すように、円状くし歯141、楕円状くし歯142、菱形状くし歯143、砲弾状くし歯144、五角形状くし歯145などが挙げられる。
くし歯ブレード133が円状くし歯141であると、他の前記断面形状に比べて前記配向性粉体材料の抵抗が少ないため、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない反面、前記機械的エネルギーの伝達が少なくなる。
くし歯ブレード133が楕円状くし歯142及び菱形状くし歯143のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができ、配向後の前記粉体材料層の表面の荒れが少ない点で有利である。
くし歯ブレード133が砲弾状くし歯144及び五角形状くし歯145のいずれかであると、強く前記機械的エネルギーを伝達させることができる点で有利である。
図9Dは、くし歯溝を有するブレードを示す概略正面図であり、前記均し部材と前記配向部材とを兼ねたブレードを示している。くし歯溝を有するブレード134を平行移動させると、図11Cに示すように、1回の平行移動で配向とともに均しが可能となる点で有利である。
次に、図6のS102で前記立体造形装置の図示しない制御部が行う立体造形処理を、図12の立体造形処理の流れの一例を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って、図8A〜図9Dに基づいて図13A〜図13Jを参照しながら説明する。
本処理では、図6のS101で生成した造形用データに基づき、前記立体造形装置により前記配向性粉体材料を配向させて硬化しながら積層させる立体造形処理を行う。なお、ある層においては配向する向きを変化させるようにした。
S301:立体造形装置101の全モジュールを初期化させる。
S302:粉体成形槽111の回転ステージ113を、例えば、500μm下降させる(図13A参照)。
なお、回転ステージ113の下降量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、最初の下降量としては、回転ステージ113に立体造形物が固着することを防ぐことを目的に一層分の厚さ以上の下降を行い、粉体成形槽111に前記配向性粉体材料を敷き詰めさせることが好ましい。
S303:粉体収容槽112のステージ114を、例えば、600μm上昇させ、配向性粉体材料150を隆起させる(図13B参照)。
なお、粉体収容槽112の上昇量としては、上昇して隆起させた前記配向性粉体材料の体積が、回転ステージ113の下降量による粉体成形槽111の体積以上になるようにし、粉体成形槽111の前記開口部までに配向性粉体材料150を敷き詰められるようにすることが好ましい。
S304:板状ブレード131を、粉体収容槽112の開口部から粉体成形槽111の開口部まで押し込むように傾けた状態で平行移動させることにより、粉体成形槽111に配向性粉体材料150を移送させる(図13C、図13D参照)。
S305:各平面層間隔に応じて粉体成形槽111の回転ステージ113を、例えば、50μm下降させる(図13E参照)。
S306:図7のS205で付随させた前記造形用データの回転角の情報に準じて回転ステージ113を回転させる(図13F参照)。
S307:粉体収容槽112のステージ114を、例えば、60μm上昇させ、前記配向性粉体材料を隆起させる(図13G参照)。
S308:粉体収容槽112の開口部から粉体成形槽111の開口部まで、くし歯ブレード133と板状ブレード131とをこの順で押し込むように平行移動させることにより、粉体成形槽111に前記配向性粉体材料を配向させながら移送して均す(図13H、図13I参照)。
S309:前記立体造形用吐出手段としての吐出ヘッド120により、前記造形用データに準じて粉体成形槽111の表面の前記配向性粉体材料に前記立体造形用接着液を吐出させる(図13J参照)。
S310:前記立体造形用接着液を吐出させた前記配向性粉体材料に硬化を促進するエネルギー光(硬化光)を照射させ、前記立体造形用接着液を前記造形用データに準じて硬化させる。
S311:前記造形用データを確認し、造形終了か否かを判定する。造形終了ではないと判定すると処理をS305へ移行し、造形終了であると判定する処理をS312へ移行する。
S312:粉体成形槽111の回転ステージ113を初期の位置まで上昇させて、本処理を終了させる。
このような本発明の立体造形物の製造方法により、複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、前記配向性粉体材料を用いて簡便かつ効率良く、型崩れが生ずることなく、全部又は一部に異方性を付与して製造することができる。
こうして得られた立体造形物は、充分な強度を有し、異方性を有し、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1−1)
<第一の液体(軟質成形体用材料)の調製>
以下のようにして、第一の液体1(軟質成形体用材料)を調製した。
−水の調製−
減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を準備した。
−開始剤液の調製−
(1)開始剤液1として、メタノール98質量部に対して光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)を2質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
(2)開始剤液2として、純水98質量部に対してペルオキソ二硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を2質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
−第一の液体の調製−
まず、純水195質量部を攪拌させながら、層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)8質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)20質量部を添加した。更に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2質量部を添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、開始剤液1を0.5質量部、及び開始剤液2を5質量部添加し、攪拌混合後、減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過により不純物等を除去し、第一の液体1を得た。
得られた第一の液体1について、以下のようにして、表面張力及び粘度を測定したところ、表面張力は31.2mN/mであり、粘度は25℃で6.5mPa・sであった。
<表面張力の測定>
得られた第一の液体1について、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)を用いて、懸滴法により表面張力を測定した。
<粘度の測定>
得られた第一の液体1について、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)で25.0℃の環境で測定した。
<第二の液体(硬質成形体用材料)の調製>
硬化性材料としてウレタンアクリレート(ダイヤビームUK6038、三菱レイヨン株式会社製)10質量部、硬化性材料としてネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(KAYARAD MANDA、日本化薬株式会社製)90質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)3質量部、及び着色剤として青顔料(Lionol Blue 7400G、東洋インキ製造株式会社製)2質量部の合計300gをホモジナイザー(HG30、日立工機株式会社製)により、回転数2,000rpmで均質な混合物が得られるまで分散した。続いて、ろ過により不純物等を除去した。最後に、真空脱気を10分間実施し、第二の液体1(硬質成形体用材料)を得た。
得られた第二の液体1について、第一の液体1と同様にして測定した表面張力は27.1mN/m、第一の液体1と同様にして測定した粘度は25℃で10.1mPa・sであった。
<立体造形物の造形>
図2に示した立体造形装置1により、第一の液体1及び第二の液体1を用い、以下のようにして、1辺が約10mmの立方体とした立体造形物1aと、JIS K 7162(ISO 527−2)に記載されているダンベル形状(ストレート部分80mm×幅10mm、平均厚み4mm)の2種の立体造形物1b及び1cと、を得た。
なお、立体造形物1aは、配向性の評価で用いるものであり、立体造形物1b及び1cは、引張強度試験の試験片として用いられるものである。立体造形物1bは、配向性材料の配向方向を引張方向と一致させており、立体造形物1cは、配向性材料の配向方向を引張方向と直交する方向にさせており、製造する際には、立体造形物1bの前記造形用データの各ピクセルのX軸成分とY軸成分とを入れ替えた(図16A、図16B参照)。
また、立体造形物1a〜3aを1辺が約10mmの立方体、及びダンベル形状にする際に、第二の液体1を硬化させた前記支持体を、外枠とした。
まず、立体造形装置1の造形物用吐出ヘッド21及び支持体用吐出ヘッド22としてのインクジェットヘッド(MH2420、リコーインダストリー株式会社製)に通じる2個のタンクにそれぞれ第一の液体1及び第二の液体1を充填した。次に、各インクジェットヘッドから第一の液体1及び前記支持体となる第二の液体1をそれぞれ吐出させ、平均厚み20μmの膜を成膜した(第一の工程)。
次に、前記第一の工程で得られたすべての膜に対して、電極間距離が50mmの平板電極対を前記膜の両側に配置し、3kVの直流電圧を30秒間印加して、外部電場60kV/mにより配向処理を行った(第二の工程)と同時に後述のとおり水銀ランプによる紫外線を照射して造形を実施した。
前記配向処理直後又は途中において紫外線を照射して膜を硬化することが可能となる。紫外線照射機(SPOT CURE SP5−250DB、ウシオ電機株式会社製)で350mJ/cmの光量を5分間照射して、前記膜を硬化させた(第三の工程)。
前記第一の工程から前記第三の工程を120回繰り返すことにより、立体造形物(ハイドロゲル)1を得た。
得られた立体造形物1aから1cの配向性及び引張強度について、以下のようにして、評価した。結果を表1に示した。
<配向性の評価>
得られた立体造形物1aについて、小角X線回折パターンを小角散乱測定装置(株式会社リガク製、SWXDシリーズ)により測定した。
得られた小角X線回折パターンから、配向性界面に対して90°±10°の範囲内に散乱したX線強度、及び270°±10°範囲内に散乱したX線強度の和をI(⊥)と、全方位の散乱光強度をI(w)とを求め、I(⊥)/I(w)の値を配向性の指標とした。
<引張強度の評価>
得られた立体造形物1b及び1cを用いて、万能試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−I)によりJIS K 7161(ISO 527−1)試験方法に準じながら、引張強度試験を行った。
具体的には、前記万能試験機にロードセル1kN、及び1kN用圧縮治具を設けて、立体造形物1b及び1cを配置した後、試験速度2mm/minで実行して、引張距離と応力の関係をプロットし、最大応力を引張強度とした。
立体造形物1bの引張強度S(配)と、立体造形物1cの引張強度S(直)との比[S(配)/S(直)]を力学的異方性の指標として引張強度の評価をした。
(比較例1−1)
実施例1−1において、外部電場を印加せずに、即ち、前記第二の工程を行わなかった以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物2a〜2cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表1に示した。
(比較例1−2)
実施例1−1において、前記支持体の外枠を、実施例1−1で製造した立体造形物1a〜1cと同じ形状及び大きさの容器に代え、第一の液体1を流し込み、石英ガラスで蓋をして密封状態とし、紫外線の照射条件として照射強度を500mJ/cm、照射時間を1時間として前記容器の全体に照射させるように変えた以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物3a〜3cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表1に示した。
Figure 2016117273
(実施例1−2)
実施例1−1のようにすべての膜に異方性を付与するのではなく、部分的に異方性を付与させるため、実施例1における前記第一の工程及び前記第三の工程を69回(層分)繰り返し行い、図14に示すようなパターンで、前記第一の工程、前記第二の工程、及び前記第三の工程を10回(層分)繰り返し行った後、前記第一の工程及び前記第三の工程を50回(層分)繰り返し行い、小角X線回折パターン測定用の立体造形物4aのみを製造し、実施例1−1と同様にして立体造形物4aの小角X線回折パターンを測定することによる配向性を評価した。
その結果、図15に示すような、立体造形物4aの内部の70層〜79層までにおいて配向性材料が配向した異方性領域を有することが認められた。
(比較例1−3)
実施例1−1において、前記層状鉱物として合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)8質量部を炭素繊維(VGCF−H、昭和電工株式会社製)10質量部に代えた以外は、実施例1−1と同様にして第一の液体2を得た。
比較例1−2において、第一の液体1から第一の液体2にし、金型を直径6mm、長さが50mmである円筒状の容器に代え、小角X線回折パターン測定用の立体造形物5aのみを製造し、比較例1−2と同様にして立体造形物5aの小角X線回折パターンを測定することによる配向性を評価した。
その結果、外部電場を印加した方向に均質に炭素繊維が配向したが、部分的に異方性領域を有することが認められなかった。
(実施例1−3)
実施例1−1において、第一の液体1から第一の液体2に代えた以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物6a〜6cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表2に示した。
(比較例1−4)
実施例1−3において、前記第二の工程を行わなかった以外は、実施例1−3と同様にして立体造形物7a〜7cを製造し、実施例1−3と同様に評価した。結果を表2に示した。
(比較例1−5)
実施例1−3において、金型を直径6mm、長さが50mmである円筒状の容器に代え、外部電場を60kV/mから2kV/mに変えた以外は、実施例1−3と同様にして立体造形物8a〜8cを製造し、実施例1−3と同様に評価した。結果を表2に示した。
Figure 2016117273
(実施例1−4)
実施例1−1において、立体造形装置を図2に示した立体造形装置1から図4Aに示した立体造形装置3にして外部エネルギーを電場からせん断力に変え、第一の液体1から第一の液体2に代えた以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物9a〜9cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表4に示した。
(実施例1−5)
<高強度部分用液体材料及び低強度部分用液体材料の調製>
以下のようにして、高強度部分用液体材料及び低強度部分用液体材料を調製した。
−水の調製−
減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を準備した。
−開始剤液の調製−
開始剤液3として、メタノール99.5質量部に対して光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)を0.5質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
−高強度部分用液体材料の調製−
まず、純水173.5質量部を攪拌させながら、層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(LAPONITE(登録商標)XLG、ビックケミー社製)5質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したジメチルアクリルアミド(DMAA(登録商標)、KJケミカルズ株式会社製)20質量部を添加した。更に、界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル(エマルゲン(登録商標)LS−106、花王株式会社製)1質量部を添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、開始剤液3を0.5質量部添加し、攪拌混合後、減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過により不純物等を除去し、高強度部分用液体材料1を得た。
−低強度部分用液体材料の調製−
高強度部分用液体材料1において、表3に示すように、前記多官能モノマーとして和光純薬工業株式会社製のメチレンビスアクリルアミド(MBAA)を0.2質量部加え、各組成の質量部を変えたこと以外は、高強度部分用液体材料1と同様にして、低強度部分用液体材料1を得た。
実施例1−1において、外部電場を印加せず、第一の液体1を高強度部分用液体材料1に、第二の液体1を低強度部分用液体材料1に代えて前記インクジェットヘッドのタンクにそれぞれ充填し、図5Aで示したように、高強度部分61a及び低強度部分61bが周期的な網目構造をなすように以下のパラメータで部材の配置構成をして、異方性を外部エネルギーの付与でなく構造的に付与させ、引張強度のみの評価を行った以外は、実施例1−1と同様にして立体造形物10b、10cを製造し、実施例1−1と同様に評価した。結果を表4に示した。
なお、前記パラメータは以下のとおりであり、高強度部分61a及び低強度部分61bのパターンは5層毎に反転させた。
L1:1.80mm
L2:0.90mm
L3:0.45mm
W1:0.34mm
また、高強度部分61a及び低強度部分61bの80%圧縮強度は、バルク材とした高強度部分61a及び低強度部分61bを、室温の環境下で万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)により測定した結果、それぞれ2.5MPa及び0.3MPaであった。
(実施例1−6)
実施例1−5において、高強度部分用液体材料1を表3に示す高強度部分用液体材料2に代えた以外は、実施例1−5と同様にして立体造形物11a、11bを製造し、実施例1−5と同様に評価した。結果を表4に示した。
また、高強度部分61a及び低強度部分61bの80%圧縮強度は、実施例1−5と同様に、バルク材とした高強度部分61a及び低強度部分61bを、室温の環境下で万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)により測定した結果、それぞれ2.5MPa及び0.3MPaであった。
(実施例1−7)
実施例1−5において、前記パラメータを以下のように変えた以外は、実施例1−5と同様にして立体造形物12a、12bを製造し、実施例1−5と同様に評価した。結果を表4に示した。
L1:1.80mm
L2:0.70mm
L3:0.20mm
W1:0.34mm
また、高強度部分61a及び低強度部分61bの80%圧縮強度は、実施例1−5と同様に、バルク材とした高強度部分61a及び低強度部分61bを、室温の環境下で万能試験機(AG−I、株式会社島津製作所製)により測定した結果、それぞれ2.5MPa及び0.3MPaであった。
Figure 2016117273
Figure 2016117273
(実施例2−1)
−立体造形用接着液の調製−
褐色ビンにスターラーチップを入れ、そこに3−エチル−3−ヒドロキシオキセタン(OXT−101、東亞合成株式会社製)80質量部、UVACURE1500(ダイセル・オルネクス株式会社製)10質量部と、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム・ヘキサフルオロアンチモナート(V)3質量部と、ビス[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフィド・ビス(ヘキサフルオロアンチモナート(V))2質量部と、メチルエチルケトン5質量部を加えて、密閉した上で遮光して1時間攪拌を行い調製した。
調製した液を、アクロLC−11100フィルタ(日本ポール株式会社製、メディア材質PP、ろ過精度6μm)で加圧ろ過し、立体造形用接着液1を得た。
配向性粉体材料としてPAN系炭素繊維(トレカ ミルドファイバーMLD−300、東レ株式会社製、平均長軸長さ(平均繊維長)130μm、平均短軸長さ(平均繊維径)7μm、アスペクト比18.6)と、立体造形用接着液1と、図17に示す形状のJIS K 6251引張3号形ダンベル状に合わせたサイズ(平行部分の平均厚み2mm、平行部分の幅5mm、初期の標線間距離20mm)の形状印刷パターンを用いて、立体造形物13a、13bを以下のようにして製造した。
立体の造形は、図8Aに示すように各ブレードの進行方向に対してダンベルの引張方向が垂直となる様に製造した。
1)まず、図8Aに示したような立体造形装置101を用いて、粉体収容槽112から粉体成形槽111に配向性粉体材料を移送させ、回転ステージ113上に配向性粉体材料を、その平均厚みが50μmとなるように供給した。
2)次に、供給された配向性粉体材料の表面に、立体造形用接着液1を50℃に加温して温調可能な公知のインクジェット吐出ヘッドのノズルから前記スライスデータに応じて、吐出箇所の付着量が5g/mとなるように立体造形用接着液1を吐出した。
3)次に、配向性粉体材料の表面にUVランプ(CoolArc UV Lamp Head、BALDWIN社製、240W/cm)からの紫外光をランプ移動速度420mm/sで照射した。
4)次に、前記1)及び2)の操作を所定の2mmの平均厚みになるまで40回繰返し、供給された配向性粉体材料のうち立体造形用接着液1により硬化された部分を供給された配向性粉体材料から取り出した。取り出したものに対してエアーブローにより余分な配向性粉体材料を除去し、オーブンを用いて100℃で3時間維持し、熱硬化工程を行い、立体造形物13aを得た。
また、立体造形物13aと同様に各ブレードの進行方向に対して試験片の引張方向が同一となるように製造した(図16A、図16B参照)。立体造形物11aと同様のプロセスで製造して、立体造形物13bを得た。
得られた立体造形物13a、13bに対して引張強度及び破壊点伸び率の測定を行った。結果を表5に示した。
(実施例2−2)
実施例2−1において、配向性粉体材料をピッチ系炭素繊維(クレカチョップM−2007S、株式会社クレハ製、平均長軸長さ(平均繊維長)90μm、平均短軸長さ(平均繊維径)14.5μm、アスペクト比6.2)に代えた以外は、実施例2−1と同様にして立体造形物14a、14bを製造し、実施例2−1と同様に評価した。結果を表5に示した。
(比較例2−1)
実施例2−1において、配向性粉体材料をカーボンブラック(カーボンブラック#10、三菱化学株式会社製、算術平均径75nm、アスペクト比1.0)に代えた以外は、実施例2−1と同様にして立体造形物15a、15bを製造し、実施例2−1と同様に評価した。結果を表5に示した。
Figure 2016117273
表5の結果から、実施例2−1、2−2において、各ブレードの移動方向に前記配向性粉体材料が配向されて異方性が発現したことが分かった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の工程と、
前記第二の工程で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第一の立体造形物の製造工程と、
配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の処理で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の処理と、前記第二の処理で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第二の立体造形物の製造工程と、
を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<3> 前記第一の立体造形物の製造工程と、前記第二の立体造形物の製造工程と、前記第一の立体造形物の製造工程と、をこの順に繰り返す前記<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記外部エネルギーが、せん断力、電場、磁場、及びレーザー光照射の少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記配向性材料が、層状鉱物、炭素繊維、及び異方性ポリマーから選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記第一の液体が硬化性材料を更に含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第四の工程と、
前記第四の工程で形成された膜を硬化させる第五の工程と、
を複数回繰り返す前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記硬化性材料が、単官能モノマー及び多官能モノマーの少なくともいずれかである前記<6>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記第二の液体が、前記第一の液体に含まれる前記配向性材料と結合する材料を含む前記<7>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記第一の液体が、複数種の光重合開始剤を含有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記複数種の光重合開始剤の最大感度波長が20nm以上異なる前記<10>に記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 第一の液体の付与方法が、インクジェット法及びディスペンサー法のいずれかである前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 配向性材料及び硬化性材料を少なくとも含むことを特徴とする立体造形用液体である。
<14> 力学的特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有する異方性領域を少なくとも一部に備えることを特徴とする立体造形物である。
<15> 前記異方性領域が有する力学特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有さない等方性領域を更に有し、
前記異方性領域及び前記等方性領域のいずれか一方が、他方を完全に包含している前記<14>に記載の立体造形物である。
<16> 高強度部分用液体材料と、前記高強度部分用液体材料の硬化後の80%圧縮強度に対して硬化後の80%圧縮強度が1/2以下である低強度部分用液体材料と、を交互に付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第一の成膜工程と、
硬化させた膜における前記高強度部分用液体材料の上に前記低強度部分用液体材料を付与し、あるいは硬化させた前記低強度部分用液体材料の上に前記高強度部分用液体材料を付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第二の成膜工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<17> 配向性粉体材料を用いて粉体材料層を形成する層形成工程と、
前記層形成工程で形成した粉体材料層を、配向部材により配向させる粉体材料配向工程と、
前記粉体材料配向工程で配向された前記粉体材料層に立体造形用接着液を付与して、前記粉体材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程と、
を複数回繰り返すことで立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<18> 配向性粉体材料のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が、1.1以上である前記<17>に記載の立体造形物の製造方法である。
<19> 配向性粉体材料の一層あたりの平均厚みが、30μm以上500μm以下である前記<17>から<18>に記載の立体造形物の製造方法である。
<20> 配向部材による粉体材料層の配向が、くし歯ブレードの平行移動による前記粉体材料層への接触である前記<17>から<19>に記載の立体造形物の製造方法である。
前記<1>から<12>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記<13>に記載の立体造形用液体は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形用液体を提供することを目的とする。
前記<14>から<15>のいずれかに記載の立体造形物は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物は、少なくとも一部に力学的特性等の異方性が付与されている立体造形物を提供することを目的とする。
前記<16>に記載の立体造形物の製造方法は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記<17>から<20>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法は、従来における諸問題を解決し、以下の目的と達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法は、立体造形物の少なくとも一部に力学的特性等の異方性を付与することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
特開平3−183530号公報 特開平6−190929号公報 特開平5−106628号公報 特許第5239037号公報
1 立体造形装置
11 ステージ
12 造形物支持基板
13 平板電極対
20、30、40 ヘッドユニット
21 造形物用吐出ヘッド
22、23 支持体用吐出ヘッド
24、25 紫外線照射機
26 配向ローラ
51 第一の液体
52 第二の液体
60 立体造形物
61 造形物層
61a 高強度部分
61b 低強度部分
62 異方性領域
63 等方性領域
71 支持体層
101 立体造形装置
111 粉体成形槽
112 粉体収容槽
113 回転ステージ
114 ステージ
120 吐出ヘッド
131 板状ブレード
133 くし歯ブレード
150 配向性粉体材料
151 立体造形用接着液

Claims (13)

  1. 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
    前記第一の工程で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の工程と、
    前記第二の工程で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の工程と、
    を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第一の立体造形物の製造工程と、
    配向性材料を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の処理と、前記第一の処理で形成された膜に外部エネルギーを付与して前記配向性材料を配向させる第二の処理と、前記第二の処理で配向性材料が配向した膜を硬化させる第三の処理と、を複数回繰り返す第二の立体造形物の製造工程と、
    を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  3. 前記第一の立体造形物の製造工程と、前記第二の立体造形物の製造工程と、前記第一の立体造形物の製造工程と、をこの順に繰り返す請求項2に記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記外部エネルギーが、せん断力、電場、磁場、及びレーザー光照射の少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記配向性材料が、層状鉱物、炭素繊維、及び異方性ポリマーから選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 前記第一の液体が硬化性材料を更に含有する請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  7. 硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第四の工程と、
    前記第四の工程で形成された膜を硬化させる第五の工程と、
    を複数回繰り返す請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  8. 第一の液体の付与方法が、インクジェット法及びディスペンサー法のいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  9. 力学的特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有する異方性領域を少なくとも一部に備えることを特徴とする立体造形物。
  10. 前記異方性領域が有する力学特性、伝熱特性、誘電率、及び密度から選択される少なくとも1種の異方性を有さない等方性領域を更に有し、
    前記異方性領域及び前記等方性領域のいずれか一方が、他方を完全に包含している請求項9に記載の立体造形物。
  11. 高強度部分用液体材料と、前記高強度部分用液体材料の硬化後の80%圧縮強度に対して硬化後の80%圧縮強度が1/2以下である低強度部分用液体材料と、を交互に付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第一の成膜工程と、
    硬化させた膜における前記高強度部分用液体材料の上に前記低強度部分用液体材料を付与し、あるいは硬化させた前記低強度部分用液体材料の上に前記高強度部分用液体材料を付与して膜を形成し、該膜を硬化させる第二の成膜工程と、
    を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  12. 配向性粉体材料を用いて粉体材料層を形成する層形成工程と、
    前記層形成工程で形成した粉体材料層を、配向部材により配向させる粉体材料配向工程と、
    前記粉体材料配向工程で配向された前記粉体材料層に立体造形用接着液を付与して、前記粉体材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程と、
    を複数回繰り返すことで立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  13. 配向性粉体材料のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が、1.1以上である請求項12に記載の立体造形物の製造方法。
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