JP2016116478A - 被覆造粒種子 - Google Patents

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Abstract

【課題】球状であって、しかも高い発芽率を有し、短時間で被覆造粒ができる被覆造粒種子を提供する。【解決手段】種子の表面に被覆層が形成された球状の被覆造粒種子であって、前記被覆層が疎水性の無機粒子を含有することを特徴とする。ここで、前記無機粒子はケイ素酸化物及びチタン酸化物の少なくとも一方を主成分とする粒子であるのが好ましい。また、前記無機粒子は非晶質の粒子であるのが好ましい。そしてまた、前記無機粒子は10nm〜1000nmの一次粒子径を有し、凝集して二次粒子を形成しているのが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、種子の表面に被覆層が形成された被覆造粒種子に関するものである。
近年、播種作業の省力化を図るために、多用な形状をした作物種子の表面に造粒材によって被覆層を形成し造粒・球状化することが行われている。この被覆造粒に用いる造粒材としては、鉱物粉体などの天然の無機粉体がこれまでから広く使用されている。
ところが、天然の無機粉体は、組成及び品質にばらつきがあり、被覆造粒した粒子が球状化せず異形化し、種子の一部が被覆されないことがあった。被覆造粒した種子が異形化すると、例えば播種機による播種が円滑に行われないなどの不具合が生じる。このため、ポリビニルアルコール(PVA)やカルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチンなどの結合剤を造粒材に添加して被覆造粒種子の球状化を促進させることが行われている(例えば特許文献1など)。
特開昭58−141709号公報 特開平2−60510号公報
しかしながら、結合剤を多量に添加すると、被覆造粒種子は球状にはなるものの種子の発芽率が低下する。
また、被覆造粒種子の生産性を高める観点から、被覆造粒処理の時間短縮化が望まれている。
なお、特許文献2に、特定の非晶質シリカを被覆層に所定量含有させた被覆造粒種子が開示されているが、特許文献2に記載の発明の目的は、土壌に播種した際に被覆層が崩壊せずに大きく割れるようにすることであり、特許文献2の実施例で使用している非晶質シリカはいずれも親水性である。
本発明の目的は、球状で、しかも高い発芽率を維持し、短時間で被覆造粒ができる被覆造粒種子を提供することにある。
本発明によれば、種子の表面に被覆層が形成された球状の被覆造粒種子であって、前記被覆層が疎水性の無機粒子を含有することを特徴とする被覆造粒種子が提供される。
ここで、前記無機粒子はケイ素酸化物及びチタン酸化物の少なくとも一方を主成分とする粒子であるのが好ましい。
また、前記無機粒子は非晶質の粒子であるのが好ましい。
そしてまた、前記無機粒子は10nm〜1000nmの一次粒子径を有し、凝集して二次粒子を形成しているのが好ましい。
前記無機粒子の前記被覆層における含有量としては0.02wt%〜5wt%の範囲であるのが好ましい。
本発明に係る被覆造粒種子では、種子表面を被覆する被覆層に疎水性の無機粒子が含有されているので、球状でしかも高い発芽率を維持し、短時間で被覆造粒可能となる。
実施例1における球状の被覆造粒種子と非球状(変形)の被覆造粒種子の写真である。 実施例2における球状の被覆造粒種子と非球状(変形)の被覆造粒種子の写真である。
本発明に係る被覆造粒種子の大きな特徴は、種子表面を被覆する被覆層に疎水性の無機粒子が含有されていることにある。被覆層に疎水性の無機粒子が含有されていることによって高い発芽率を維持しながら球状化でき、また被覆造粒時間を短縮できる詳細な機構については未だ充分には解明されていないが、本発明者等は次のような機構によるものではないかと今のところ推測している。被覆層に無機粒子が含有されていると、鉱物粉体などの被覆材によって種子を造粒球状化する際に、形成途上の被覆層に不均一な力が加わったときに、疎水性の無機粒子がその力を分散させて被覆層全体に均一に力が加わるようにし、結果として種子の周り全体に被覆層が形成されて球状の被覆造粒種子が形成される。
本発明で使用する無機粒子としては、疎水性のものであれば特に限定はなく従来公知の無機粒子が使用できる。中でも、ケイ素酸化物及びチタン酸化物の少なくとも一方を主成分とする粒子が好ましい。さらには、非晶質の粒子であるのが好ましい。
本発明で好適に使用されるケイ素酸化物を主成分とする粒子としては、疎水化処理されたシリカ粒子が挙げられる。疎水化処理剤としては、特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシランカップリング剤が好適に挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、アシルオキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用することが可能である。
シリカ粒子に対する疎水化処理剤の量としては、シリカ粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、通常、シリカ粒子100重量部に対して、2〜50重量部程度であり、好ましくは5〜20重量部程度である。なお、本発明においては、疎水性シリカ粒子として、市販品を好適に使用することができる。本発明において使用可能な市販されている疎水性シリカ粒子としては、例えば、「HDK H15」、「HDK H18」、「HDK H20」、「HDK H30」(以上、ワッカー社);「TS−382」、「TS−500」、「TS−530」、「TS−610」(以上、キャボット社);「AZ−260」、「AZ−360」、「AY−460」(以上、東ソー・シリカ社);「MT−10」、「DM−10」、「KS−20SC」、「HM−20L」、「DM−20」(以上、トクヤマ社);「D10」、「D13」、「D17」(以上、エボニック社);「R972」、「R974」、「R805」、「R812」、「R816」(以上、日本アエロジル社)等が挙げられる。
また、本発明で好適に使用されるチタン酸化物を主成分とする粒子としては、疎水化処理されたチタン粒子が挙げられる。疎水化処理剤としては、特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシランカップリング剤が好適に挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、オルガノアルコキシシラン、オルガノアシルオキシシラン、オルガノクロロシラン、オルガノシラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプも使用することもできる。この中で、好適にはオルガノアルコキシシラン及びオルガノアシルオキシシランがより好適に用いられる。
酸化チタン粒子に対する疎水化処理剤の処理量としては、酸化チタン粒子に100重量部対して12〜25重量部が好ましく、更に15〜22重量部であることが特に好ましい。なお、本発明においては、疎水性の酸化チタン粒子として、市販品を好適に使用することができる。本発明において使用可能な市販されている疎水性の酸化チタン粒子としては、例えば、「DIS−10A」、「DIS−11A」(以上、堺化学工業社);「MTY−700BS」、「JMT−150IB」(以上、テイカ社);「STT−30EHJ」(以上、チタン工業社)、「NKT−90」、「T−805」(以上、日本アエロジル社)等が挙げられる。
疎水性シリカ粒子及び疎水性酸化チタン粒子などの本発明で使用する無機粒子の一次粒子径は10nm〜1000nmの範囲が好ましく、より好ましくは20nm〜100nmの範囲である。加えて、これらの無機粒子が凝集して二次粒子を形成しているのが好ましい。
また、無機粒子の被覆層における含有量は0.02wt%〜5wt%の範囲が好ましい。無機粒子の含有量が0.02wt%未満では、被覆造粒種子が異形化し種子の一部が被覆されないおそれがある一方、含有量が5wt%を超えると種子の発芽率が低下するおそれがある。
本発明の被覆層は、鉱物粉体などからなる造粒材により形成される。造粒材としては、従来公知の造粒材が使用され、例えば無機粉体に、必要により結合剤や添加剤を配合したものが好適に使用できる。無機粉体としては、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロサイト等)、蛇紋石(クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等)、モンモリロナイト鉱物(ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等)、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等)、パイロフィライト、タルク、蝋石、雲母(白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等)、複鎖型粘土鉱物(パリゴルスカイト、セピオライト等)、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土、パーライト、シラスバルーンなどが挙げられる。これらの無機粉体のうち1種を単独で、又は、2種以上を混合若しくは併用して用いることができる。無機粉体の平均粒径は、1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは5〜50μmの範囲である。
本発明の被覆層は、必要に応じて撥水剤を含んでいてもよい。撥水剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、油脂、蝋、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪族アルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物、シリコン系撥水剤、フッ素系撥水剤等が挙げられる。
結合剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ショ糖、セルロース・アセテート、セルロース・アセテート・プロピオネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ゼラチン等が挙げら、これら1種又は2種以上を組み合わせて使用する。
また、必要により配合する添加剤としては、例えば、過酸化カルシウム等の発根・発芽促進剤、植物ホルモン、消毒剤、抗真菌剤、殺菌剤、殺バクテリア剤、殺微生物剤、殺軟体動物剤、殺虫剤や殺センチュウ剤などの農薬、防虫剤、肥料、揺変剤、造粒物の比重を大きくするための砂や鉄粉等の錘、魚等に食べられないようにするための着色剤や忌避剤、有用微生物等が挙げられる。
被覆造粒される種子については、その形状及び種類に特に限定はなく、例えば(i)長さ2.0〜5.0mm、幅0.5〜2.0mm、且つ、厚さ0.3〜0.5mmの長粒状の種子(例えば、レタス種子が挙げられる。)、(ii)直径1.0〜3.0mmの略球状の種子(例えば、キャベツ種子が挙げられる。)及び(iii)直径1.5〜4.0mmの偏平な卵円状の種子(例えば、ナス種子が挙げられる。)、並びに、他の任意の形状の種子が挙げられる。詳しくは、例えば野菜種子、草花種子、牧草種子、野草種子、穀物種子及び工芸作物種子が挙げられ、より具体的には以下のものが挙げられる。
野菜種子としては、例えばキュウリ、メロン、カボチャ等のウリ科の野菜種子;ナス、トマト等のナス科の野菜種子;エンドウ、インゲン等のマメ科の野菜種子;タマネギ、ネギ等のユリ科の野菜種子;カブ、ハクサイ、キャベツ、ハナヤサイ等のブラシカ属及びダイコンなどのアブラナ科の野菜種子;ニンジン、セロリ等のセリ科の野菜種子;ゴボウ、レタス、シュンギク等のキク科の野菜種子;シソ等のシソ科の野菜種子;ホウレンソウ等のアカザ科の野菜種子等が挙げられる。これらの中でも、被覆造粒種子が異形化すると特に不具合を生じる略球状状の種子であるユリ科、アブラナ科の野菜種子について本発明は好適に適用される。
草花種子としては、例えばハボタン、ストック、アリッサム等のアブラナ科の草花種子、例えばロベリア等のキキョウ科の草花種子、例えばアスター、ジニア、ヒマワリ等のキク科の草花種子、例えばデルフィニウム等のキンポウゲ科の草花種子、例えばキンギョソウ等のゴマノハグサ科の草花種子、例えばプリムラ等のサクラソウ科の草花種子、例えばベゴニア等のシュウカイドウ科の草花種子、例えばサルビア等のシソ科の草花種子、例えばパンジー、ビオラ等のスミレ科の草花種子、例えばペチュニア等のナス科の草花種子、例えばユーストマ等のリンドウ科の草花種子等が挙げられる。
牧草種子としては、例えば、チモシー(オオアワガエリ)、イタリアンライグラス(ネズミムギ)、バーミューダグラス(ギョウギシバ)、オーツヘイ(燕麦)、スーダングラス、クレイングラス、フェスク、及び、オーチャードグラス(カモガヤ)の牧草種子が挙げられる。
野草種子としては、例えば、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)、クローバー(シロツメクサ)等のマメ科の野草種子、例えばメヒシバ等のイネ科の野草種子等が挙げられる。
穀物種子としては、例えば、イネ、オオムギ、コムギ、ダイズ、アワ、ヒエ及びキビが挙げられる。
工芸作物種子としては、例えば、テンサイなどのアカザ科種子、タバコなどのナス科種子、ナタネなどのアブラナ科種子、イグサ等のイネ科種子が挙げられる。
被覆造粒される種子は予め、選別、除菌、発芽改良などのための処理が施されていてもよい。また、種子の表面に過酸化カルシウム等の発根・発芽促進剤、植物ホルモン、消毒剤、抗真菌剤、殺菌剤、殺バクテリア剤、殺微生物剤、殺軟体動物剤、殺虫剤や殺センチュウ剤などの農薬、有用微生物、防虫剤、有害動物忌避剤、撥水剤、界面活性剤、増粘剤、着色材、抗発泡剤等が添加されていてもよい。また、これらの添加剤は結合剤によって種子表面に固定されていてもよい。
被覆造粒種子は、例えば、前記種子に対して、傾斜回転パン型造粒機や流動層造粒機等の従来公知の造粒機を用いて、水及び/又は結合剤を噴霧しながら、疎水性の無機粒子を添加した造粒材を徐々に供給することにより製造される。撥水剤や農薬活性成分、顔料等も必要により造粒材に混合しても構わない。また、造粒操作を繰り返して被覆層を積層構造としても構わない。そしてまた、長時間の輸送や保存を考慮した場合には、造粒後に被覆造粒種子を乾燥することが推奨される。被覆造粒種子を乾燥する場合の品温としては、種子に高温ストレスを与えないよう、50℃以下、詳しくは5℃〜50℃の範囲が好ましい。乾燥装置としては、従来公知の乾燥装置を用いることができ、例えば流動層乾燥機やドラム乾燥機、静置式の棚型乾燥機などが好適に使用される。
被覆造粒種子の粒径については特に限定はなく、播種作業の作業性に応じて、また、種子の発芽を妨げない程度の大きさとなるように、種子の大きさや植物種に応じて適宜決定される。平均粒径としては通常1〜20mmの範囲が好適である。具体的には、キャベツ、レタス、ハクサイ、ニンジンなどの野菜種子については、直径2.5〜3.5mm;タマネギ及びネギ類、トマト、ナス等の大型の種子については、直径3.5〜4.5mm;ユーストマ等の微細な種子については、直径1.0〜1.7mmである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(被覆材の作製)
造粒材としてのパリゴルスカイトを80重量部、撥水剤としてのステアリン酸カルシウムを20重量部、疎水性の無機粒子としての疎水性非晶質シリカを0.1重量部(被覆材に対して0.1wt%)をそれぞれ小型タンブラーミキサーに投入し、30分撹拌混合し、種子被覆用の被覆材を作製した。
(被覆造粒種子を作製)
種子としてのブロッコリーの種子15g(粒数:2000粒)を直径36cmの遠心流動型の転動造粒機に投入し、回転撹拌させながら、水道水をスプレーで噴霧して、種子に吹きつけながら、被覆材を徐々に投入し、最終的に100粒の重量が3gになるまで造粒した。そして、造粒機から造粒物を取り出し、35℃の温風を15分間吹き付けて、被覆層を乾燥した。次いで、35℃設定の棚置き乾燥機に一晩入れ、内部種子の含水率が7%dw以下になるまで乾燥した。乾燥後の被覆造粒種子を篩にかけ、直径約3.0mmの被覆造粒種子を得た。得られた被覆造粒種子の球状化率及び発芽率を下記のようにして測定した。結果を表1に示す。
(球状化率の測定)
得られた被覆造粒種子から200粒を無作為抽出し、球状のものと非球状のものとを目視によって選別し、球状の被覆造粒種子の個数割合を算出して、これを球状化率(%)とした。なお、最長径/最短径が1.1以下のものを球状とした。図1に、球状の被覆造粒種子と非球状(変形)の被覆造粒種子の写真を示す。写真の左側が球状の被覆造粒種子、右側が変形の被覆造粒種子である。
(発芽試験)
濾紙2枚を敷いた直径9cmのシャーレを2個用意し、そこに水4.5mLを滴下した後、被覆造粒種子の50粒をそれぞれ置床し、温度15度及び温度20℃で約900ルクスの光条件下で保存して7日目の発芽率(%)を測定した。
(比較例1)
被覆材に疎水性非晶質シリカを添加しなかった以外は実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球状化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
表1から理解されるように、実施例1の被覆造粒種子と比較例1の被覆造粒種子とで発芽率に大きな差は見られなかったが、球形化率においては比較例1では88%であったのに対し、実施例1では100%と両者に大きな差が見られた。
(実施例2)
(被覆材の作製)
造粒材としてのパリゴルスカイトを80重量部、撥水剤としてのステアリン酸カルシウムを20重量部、疎水性の無機粒子としての疎水性非晶質シリカを0.02重量部(被覆材に対して0.02wt%)をそれぞれ小型タンブラーミキサーに投入し、30分撹拌混合し、種子被覆用の被覆材を作製した。
種子としてのタマネギの種子15g(粒数:3500粒)を直径36cmの遠心流動型の転動造粒機に投入し、回転撹拌させながら、水道水をスプレーで噴霧して、種子に吹きつけながら、被覆材を徐々に投入し、最終的に100粒の重量が5gになるまで造粒した。そして、造粒機から造粒物を取り出し、35℃の温風を15分間吹き付けて、被覆層を乾燥した。次いで、35℃設定の棚置き乾燥機に一晩入れ、内部種子の含水率が7%dw以下になるまで乾燥した。乾燥後の被覆造粒種子を篩にかけ、直径約3.5mmの被覆造粒種子を得た。得られた被覆造粒種子の球状化率を下記のようにして測定した。結果を表2に示す。図2に、球状の被覆造粒種子と非球状(変形)の被覆造粒種子の写真を示す。写真の左側が球状の被覆造粒種子、右側が変形の被覆造粒種子である。
(実施例3〜7)
被覆材への疎水性非晶質シリカの添加量を表2に示す添加量とし、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て球状化率を測定した。結果を表2に示す。また、実施例4については、球形化率の他、被覆造粒に要した加工時間と発芽率(%)も測定した。結果を表2に合わせて示す。
(比較例2)
被覆材に疎水性非晶質シリカを添加しなかった以外は実施例2と同様にして被覆造粒種子を得て、球状化率、加工時間及び発芽率を測定した。結果を表2に合わせて示す。
(比較例3)
無機粒子として疎水性非晶質シリカに換えて親水性非晶質シリカを0.5重量部(被覆材に対して0.5wt%)添加した以外は実施例2と同様にして被覆造粒種子を得て、球状化率、加工時間及び発芽率を測定した。結果を表2に合わせて示す。
表2から明らかなように、疎水性非晶質シリカを0.02wt%から7.0wt%まで添加した実施例2〜7の被覆造粒種子では、球形化率が90%以上と高かった。特に疎水性非晶質シリカの添加率が0.02wt%から5wt%まで添加した実施例2〜6の被覆造粒種子では、球形化率が95%以上とより一層高かった。
これに対して、疎水性非晶質シリカを添加しなかった比較例2の被覆造粒種子及び親水性非晶質シリカを添加した比較例3の被覆造粒種子では球形化率は82%及び72%と低かった。また、比較例2及び比較例3では加工時間がいずれも22分であったのに対し、疎水性非晶質シリカを添加した実施例4では19分と短かった。
(実施例8)
被覆材に、疎水性非晶質シリカに換えて疎水性酸化チタンを1.0wt%添加した以外は実施例2と同様にして被覆造粒種子を得て、球状化率及び加工時間を測定した。結果を表3に示す。
(比較例4)
被覆材に疎水性酸化チタンを添加しなかった以外は実施例8と同様にして被覆造粒種子を得て、球状化率及び加工時間を測定した。結果を表3に示す。
表3から理解されるように、疎水性非晶質シリカに換えて疎水性酸化チタンを添加した実施例8の被覆造粒種子は、疎水性酸化チタンを添加しなかった比較例4の被覆造粒種子に比べて、加工時間は短く球形化率は高かった。
(実施例9)
造粒材としての蝋石を30重量部、ゼオライトを20重量部、シラスバルーンを30重量部、珪藻土を20重量部、疎水性の無機粒子としての疎水性非晶質シリカを0.5重量部(被覆材に対して0.5wt%)をそれぞれ小型タンブラーミキサーに投入し、30分撹拌混合し、種子被覆用の被覆材を作製した。
種子としてのトルコギキョウの種子1.0g(粒数:30000粒)を直径36cmの遠心流動型の転動造粒機に投入し、回転撹拌させながら、PVP水溶液(4.0%)をスプレーで噴霧して、種子に吹きつけながら、被覆材を徐々に投入し、最終的に100粒の重量が0.2gになるまで造粒した。そして、造粒機から造粒物を取り出し、35℃の温風を15分間吹き付けて、被覆層を乾燥した。次いで、35℃設定の棚置き乾燥機に一晩入れ、内部種子の含水率が7%dw以下になるまで乾燥した。乾燥後の被覆造粒種子を篩にかけ、直径約1.0mmの被覆造粒種子を得た。得られた被覆造粒種子の加工時間及び発芽率を測定した。結果を表4に示す。
(比較例5)
被覆材に疎水性非晶質シリカを添加しなかった以外は実施例9と同様にして被覆造粒種子を得て、加工時間及び発芽率を測定した。結果を表4に示す。
表4から明らかなように、トルコギキョウの種子を被覆造粒した場合には、疎水性非晶質シリカを0.5wt%添加した実施例9と、疎水性非晶質シリカを添加しなかった比較例5とで、発芽率に大きな差は見られなかったが、被覆造粒に要する加工時間が実施例9の場合の方が比較例5の場合よりも短かった。
本発明に係る被覆造粒種子は、球状でしかも高い発芽率を維持し、短時間で被覆造粒可能であり有用である。

Claims (5)

  1. 種子の表面に被覆層が形成された球状の被覆造粒種子であって、
    前記被覆層が疎水性の無機粒子を含有することを特徴とする被覆造粒種子。
  2. 前記無機粒子がケイ素酸化物及びチタン酸化物の少なくとも一方を主成分とする粒子である請求項1記載の被覆造粒種子。
  3. 前記無機粒子が非晶質の粒子である請求項1又は2記載の被覆造粒種子。
  4. 前記無機粒子が10nm〜1000nmの一次粒子径を有し、凝集して二次粒子を形成している請求項1〜3のいずれかに記載の被覆造粒種子。
  5. 前記無機粒子の前記被覆層における含有量が0.02wt%〜5wt%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の被覆造粒種子。
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