JP5400641B2 - コート種子の保存方法 - Google Patents

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Description

本発明は、種子の表面を無機粉体及び樹脂の少なくとも一方で被覆したコート種子の保存方法に関するものである。
野菜等の種子において、例えば播種を容易にする(播種作業を省力化する)ために、種子の表面を無機粉体で被覆したいわゆる造粒コート種子が近年広く普及しつつある。また、殺菌剤や殺虫剤などの農薬を含む樹脂で種子の表面を被覆したいわゆるフィルムコート種子も普及しつつある。通常、これらのコート種子は数百〜数万粒が袋詰めや瓶詰めされて保存されている。
裸種子の保存方法については、多くの種子品目において、低温・低湿条件下で保存することによって良好な発芽性が維持されることが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
ところが、コート種子の場合、感受性の強い品目・品種の種子では、保存されていたコート種子を播種すると、発芽はするものの子葉異常や本葉異常などの苗質異常が発生することがあった。このコート種子の苗質異常は、本発明者等が行った実験結果では、これまで裸種子で好適とされていた低温・低湿条件下で保存してもまったく改善されなかった。
「種子生物学」鈴木善弘著,第294頁〜第311頁
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い発芽率を維持しながら苗質異常の発生を抑制できるコート種子の保存方法及び封止物を提供することにある。
本発明によれば、無機粉体及び樹脂の少なくとも一方で種子の表面を被覆したコート種子を、不活性ガスの雰囲気下で保存することを特徴とするコート種子の保存方法が提供される。
また本発明によれば、気密性を有する容器に、無機粉体及び樹脂の少なくとも一方で種子の表面を被覆したコート種子を入れ、不活性ガスを封入してなることを特徴とするコート種子の封止物が提供される。
前記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、炭素ガス、アルゴンガスの少なくとも1つが好ましい。
前記種子としては、アブラナ科の野菜種子が好ましく、ブラシカ属の種子がより好ましい。
本発明のコート種子の保存方法及び封止物によれば、高い発芽率を維持しながら苗質異常の発生を抑制できるようになる。
実施例1と比較例1の苗の生育状態を示す比較写真である。 正常な本葉を示す写真である。 本葉異常の例を示す写真である。 本葉異常の例を示す写真である。 本葉異常の例を示す写真である。 子葉異常の例を示す写真である。
これまでに、裸種子の保存方法として不活性ガスの雰囲気下で保存する試みは行われていた。しかし、それらの試みの一般的な結論は、低温・乾燥条件下で種子を保存することで種子の寿命を延ばすことができ、不活性ガスによる効果はほとんど期待できないというものであった(例えば、「種子生物学」鈴木善弘著,P312〜P314、「農林種子学総論」中村俊一郎著,P209〜P211)。また、これまで種子の保存効果の指標としては発芽率が用いられていた。ところが、コート種子の場合、低温・乾燥条件下で種子を保存すると初期の発芽率は維持されるものの、裸種子では見られない、子葉異常や本葉異常などの苗質異常が発生することがあった。そこで、本発明者等はかかる苗質異常を抑制すべく鋭意検討を重ねた結果、コート種子を不活性ガスの雰囲気下で保存することにより苗質異常が抑制されることを見出し本発明をなすに至った。
裸種子では発生しない苗質異常がコート種子に限って発生するメカニズムについては今のところ明らかではないが、コーティング工程における水吸収や乾燥などの各種処理が種子に何らかのストレスを与え、ストレスにより保存期間中に種子生理の変化が誘導され、苗質異常が生じると推測させる。不活性ガスの雰囲気下で種子を保存すると、不活性ガスによる何らかの作用で前記ストレスに起因する種子生理の変化が生じないのではないかと推測される。
本発明に係る保存方法の大きな特徴の一つは、コート種子に特有に発生する苗質異常を抑えることにある。そこで、まず、本発明における保存対象であるコート種子について説明する。本発明における保存対象であるコート種子には、種子表面を無機粉体などで被覆・成形したいわゆる造粒コート種子及び種子表面を樹脂で被覆したいわゆるフィルムコート種子が少なくとも含まれる。
無機粉体や樹脂で被覆される種子については、その形状及び種類に特に限定はなく、例えば(i)長さ2.0〜5.0mm、幅0.5〜2.0mm、且つ、厚さ0.3〜0.5mmの長粒状の種子(例えば、レタス種子が挙げられる。)、(ii)直径1.0〜3.0mmの略球状の種子(例えば、キャベツ種子が挙げられる。)及び(iii)直径1.5〜4.0mmの偏平な卵円状の種子(例えば、ナス種子が挙げられる。)、並びに、他の任意の形状の種子が挙げられる。詳しくは、例えば野菜種子、草花種子、牧草種子、野草種子、穀物種子及び工芸作物種子が挙げられ、より具体的には以下のものが挙げられる。
野菜種子としては、例えばキュウリ、メロン、カボチャ等のウリ科の野菜種子;ナス、トマト等のナス科の野菜種子;エンドウ、インゲン等のマメ科の野菜種子;タマネギ、ネギ等のユリ科の野菜種子;カブ、ハクサイ、キャベツ、ハナヤサイ等のブラシカ属及びダイコンなどのアブラナ科の野菜種子;ニンジン、セロリ等のセリ科の野菜種子;ゴボウ、レタス、シュンギク等のキク科の野菜種子;シソ等のシソ科の野菜種子;ホウレンソウ等のアカザ科の野菜種子等が挙げられる。これらの中でも、外部ストレスに対する感受性の強いアブラナ科、特にブラシカ属の野菜種子について本発明は好適に適用される。
草花種子としては、例えばハボタン、ストック、アリッサム等のアブラナ科の草花種子、例えばロベリア等のキキョウ科の草花種子、例えばアスター、ジニア、ヒマワリ等のキク科の草花種子、例えばデルフィニウム等のキンポウゲ科の草花種子、例えばキンギョソウ等のゴマノハグサ科の草花種子、例えばプリムラ等のサクラソウ科の草花種子、例えばベゴニア等のシュウカイドウ科の草花種子、例えばサルビア等のシソ科の草花種子、例えばパンジー、ビオラ等のスミレ科の草花種子、例えばペチュニア等のナス科の草花種子、例えばユーストマ等のリンドウ科の草花種子等が挙げられる。
牧草種子としては、例えば、チモシー(オオアワガエリ)、イタリアンライグラス(ネズミムギ)、バーミューダグラス(ギョウギシバ)、オーツヘイ(燕麦)、スーダングラス、クレイングラス、フェスク、及び、オーチャードグラス(カモガヤ)の牧草種子が挙げられる。
野草種子としては、例えば、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)、クローバー(シロツメクサ)等のマメ科の野草種子、例えばメヒシバ等のイネ科の野草種子等が挙げられる。
穀物種子としては、例えば、イネ、オオムギ、コムギ、ダイズ、アワ、ヒエ及びキビが挙げられる。
工芸作物種子としては、例えば、テンサイなどのアカザ科種子、タバコなどのナス科種子、ナタネなどのアブラナ科種子、イグサ等のイネ科種子が挙げられる。
造粒コート種子は、例えば、前記種子に対して、傾斜回転パン型造粒機や流動層造粒機等の従来公知の造粒機を用いて、水及び/又はバインダーを噴霧しながら無機粉体を徐々に供給することにより製造される。撥水剤や農薬活性成分、顔料等を必要により無機粉体に混合しても構わない。また、造粒操作を繰り返して被覆層を積層構造としても構わない。そしてまた、長時間の輸送や保存を考慮した場合には、造粒後にコート種子を乾燥することが推奨される。コート種子を乾燥する場合の品温としては、種子に高温ストレスを与えないよう、50℃以下、詳しくは5℃〜50℃の範囲が好ましい。乾燥装置としては、従来公知の乾燥装置を用いることができ、例えば流動層乾燥機やドラム乾燥機、静置式の棚型乾燥機などが好適に使用される。乾燥後のコート種子における、内部種子の含水率は、10%dw以下が好ましく、より好ましく7%dw以下である。なお、内部種子の含水率は次のようにして求めたものである。
〔含水率測定法〕
(1)任意容量の耐熱容器を準備し、その重量(重量aとする)を測定する。
(2)本発明のコート種子の被覆層を除去した内部種子を所定量(例えば、0.5〜1.0g程度)を前記の耐熱容器内に入れて、その重量(重量bとする)を測定する。
(3)耐熱容器ごとオーブンに入れて、105℃で16〜24時間程度、加熱乾燥する。
(4)乾燥後の耐熱容器ごと、シリカゲルの入ったデシケーター内に入れて、常温になるまで放置した後、その重量(重量cとする)を測定する。
(5)下記式から含水率を求める。
含水率(%dw)=(b−c)/(c−a)×100
造粒コート種子の形状や大きさについては特に限定はなく、播種作業の作業性に応じて、また、種子の発芽を妨げない程度の大きさとなるように、種子の大きさや植物種に応じて適宜決定される。平均粒子径としては通常1〜20mmの範囲が好適である。具体的には、キャベツ、レタス、ハクサイ、ニンジンなどの野菜種子については、直径2.5〜3.5mmの球状若しくは略球状;タマネギ及びネギ類、トマト、ナス等の大型の種子については、直径3.5〜4.5mmの球状若しくは略球状;ユーストマ等の微細な種子については、直径1.0〜1.7mmの球状若しくは略球状の形状及び大きさが挙げられる。
造粒コート種子で使用する無機粉体としては、通常の造粒コート種子の分野で用いられる無機粉体を用いることができる。例えば、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロサイト等)、蛇紋石(クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等)、モンモリロナイト鉱物(ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等)、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等)、パイロフィライト、タルク、蝋石、雲母(白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等)、シリカ(クリストバライト、クォーツ等)、複鎖型粘土鉱物(パリゴルスカイト、セピオライト等)、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土などが挙げられる。これらの無機粉体のうち1種を単独で、又は、2種以上を混合若しくは併用して用いることができる。被覆層全体に占める無機粉体の含有割合としては、5〜90wt%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜70wt%である。本発明で用いる無機粉体の平均粒子径は、1〜100μm、好ましくは5〜50μmの範囲である。なお、無機粉体の平均粒子径は、レーザー回折・錯乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA-300、堀場製作所社製)を用いて測定したものである。
次に、フィルムコート種子は、例えば、前記種子に対して、殺菌剤や殺虫剤などの農薬を溶解分散させた水溶性樹脂又は親水性樹脂の水溶液を噴霧した後、必要により低温(例えば50℃以下)で乾燥することによって製造される。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩およびその共重合物あるいは天然の多糖類が挙げられ、これらを水に溶解させ殺菌剤や殺虫剤の農薬などを加えて水溶液を調製し、この水溶液を種子にスプレーなどで噴霧し種子表面を被覆する。また、親水性樹脂としては、例えば、酢酸ビニルやポリウレタンのエマルションが挙げられる。
水溶性樹脂又は親水性樹脂による種子表面の被覆処理は、従来公知の種子のコーティング装置など各種の混合機を用いることができる。樹脂の被覆量に特に限定はないが、通常、コート種子に対して0.5〜20重量%の範囲が好ましい。
フィルムコート種子の被覆樹脂に含有させる物質としては、殺菌剤や殺虫剤などの農薬の他、例えば、種子表面特性を改善するための無機粉体やワックスなどの成分発芽改善や苗の初期生長を促進するような肥料成分、植物生長調節物質、酸素供給剤、有効微生物、乾燥性向上のためのエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類、保湿・湿潤性や作業性を向上させるためのエチレングリコール、プロピレングリコールなどの低級グリコール類、その他の薬剤が挙げられる。また、殺菌剤や殺虫剤などの農薬が種子表面にフィルムコートされていることを明示するために、着色剤を樹脂に含有させてもよい。着色剤は顔料及び染料のいずれであっても構わない。
また、互いに反応する農薬を併用する場合や、着色剤成分とその他の成分を分ける場合などには、樹脂被覆層を積層構造としても構わない。さらには、農薬を含有した樹脂被覆層の外側に、さらに無機粉体による被覆層を形成した構造としても構わない。反対に、無機粉体による被覆層の外側に、さらに農薬を含有した樹脂被覆層を形成した構造としても構わない。
本発明に係る保存方法のもう一つの大きな特徴は、不活性ガスの雰囲気下でコート種子を保存することにある。本発明で使用する不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、炭素ガス、アルゴンガスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。これらの中でも入手容易性や取扱い性などの観点から窒素ガスが好ましい。
不活性ガスの雰囲気濃度としては90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上である。また不活性ガスの雰囲気圧力としては、外気流入防止や保存安定性等の観点からは大気圧以上であるのが好ましい。
コート種子と不活性ガスとを容器に封入して本発明に係る封止物とする場合、使用する容器としては、気密性を有するものであれば特に限定はなく、従来公知のものが使用できる。例えば、ガラス製瓶、金属製瓶、プラスチック製瓶、プラスチックフィルム製袋、アルミニウム製袋およびアルミニウムフィルムに紙・プラスチックフィルム・セロハンなどをラミネートしたアルミラミネート袋等が挙げられる。
本発明で使用する容器の気体透過率は、1×10−10(cc/cm・cm・s・10mmHg)以下であるのが好ましい。なお、気体透過率は、定圧下で水銀柱10mmHgの圧力変化を与えたとき、容器の単位厚さ当り、単位面積当り、単位時間当りの気体の体積で表わしたものでる。
前記容器には、コート種子と共に、さらに乾燥剤や脱酸素剤等を同封してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
(無機粉体の調整)
珪藻土を36重量部、ろう石クレーを32重量部、覆鎖状粘度鉱物を12重量部、高級脂肪酸金属塩を20重量部、それぞれ小型タンブラーミキサーに投入し、30分撹拌混合し、種子被覆用の無機粉体を得た。
(コート種子の作製)
元種子としてのハクサイの種子58g(粒数:1600粒)を直径36cmの遠心流動型の転動造粒機に投入し、回転撹拌させながら、水道水をスプレーで噴霧して、種子に吹きつけながら、無機粉体を徐々に投入し、最終的に100粒の重量が3gになるまで造粒した。そして、造粒機から造粒物を取り出し、35℃の温風を15分間吹き付けて、被覆層を乾燥した。次いで、35℃設定の棚置き乾燥機に一晩入れ、内部種子の含水率が7%dw以下になるまで乾燥した。乾燥後のコート種子を篩にかけ、直径2.8〜3.6mmのコート種子を得た。
(実施例1)
得られたコート種子300粒をアルミラミネート袋(10×16cm)に入れ、シーリング装置で密封した。アルミラミネート袋の一部に1cm程度の切り込みを入れ、そこから窒素ガスを封入した。アルミラミネート袋を手でゆっくり押し、袋内のガスを出した。窒素ガスの封入・排出を2〜3回繰り返した。そして最後に窒素ガスを封入し、切り込み部をシーリング装置で密封し、窒素ガスを封入したコート種子の封止物を得た。
得られたコート種子の封止物を15℃/30%RHの条件下で4ヶ月間保存した後、封止物を開封し、128粒のコート種子を育苗ポットにそれぞれ播種した。そして、苗の生育状態を目視により観察し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。また、図1(左側)に、育苗12日目の苗の状態を示す写真を示す。
(実施例2)
実験室内(24℃±4℃/33%±18%RH)で封止物を保存した以外は実施例1と同様にして実験を行い、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
(実施例3)
30℃の恒温条件下で封止物を保存した以外は実施例1と同様にして実験を行い、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
得られたコート種子300粒をアルミラミネート袋(10×16cm)に入れ、窒素ガスを封入せず、通常大気雰囲気のままシーリング装置で密封し、コート種子の封止物を得た。得られたコート種子の封止物を、15℃/30%RHの条件下で4ヶ月間保存した後、封止物を開封しコート種子を播種し、苗の生育状態を目視により観察し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。図1(右側)に育苗12日目の苗の状態を示す写真を示す。また、図2に正常な本葉の写真を、図3〜図5に本葉異常を示す写真を、図6に子葉異常を示す写真をそれぞれ示す。
(比較例2)
封止物の保存条件を5℃の恒温条件下で6ヶ月間とした以外は、比較例1と同様にしてコート種子を保存、播種し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
(比較例3)
前記得られたコート種子300粒と乾燥剤としてのシリカゲル2gとをポリプロピレン製の内容積80mLの瓶に入れ、通常大気雰囲気のままシーリング装置で密封して封止物とした。そして、この封止物を、15℃/30%RHの条件下で4ヶ月間保存した後、比較例1と同様にして、コート種子を播種し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
(比較例4)
シリカゲルを入れなかった以外は比較例3と同様にして封止物を作製し、保存した後、コート種子を播種し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
(比較例5)
得られたコート種子300粒をアルミラミネート袋(10×16cm)に入れ、真空脱気してコート種子の封止物を得た。得られたコート種子の封止物を、15℃/30%RHの条件下で4ヶ月間保存した後、封止物を開封しコート種子を播種し、苗の生育状態を目視により観察し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
(比較例6)
シリカゲルを入れなかった以外は比較例3と同様にして封止物を作製し、実験室内(24℃±4℃/33%±18%RH)で4ヶ月間保存した後、比較例1と同様にして、コート種子を播種し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
(比較例7)
シリカゲルを入れなかった以外は比較例3と同様にして封止物を作製し、30℃の恒温条件下で4ヶ月間保存した後、比較例1と同様にして、コート種子を播種し、本葉異常及び子葉異常の発生割合を求めた。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、窒素ガスを封入した実施例1〜3の封止物のコート種子では、4ヶ月保存後でも本葉異常及び子葉異常はほとんど見られなかった。
これに対し、大気雰囲気で保存した比較例1の封止物のコート種子では、本葉異常が70%及び子葉異常が92%もの高い割合で発生した(図1の写真(右)を参照)。また、保存温度を5℃に下げた比較例2の封止物のコート種子でも、本葉異常が30%及び子葉異常が46%の割合で発生した。さらに、容器をポリプロピレン製瓶としコート種子と共にシリカゲルを封入した比較例3、容器をポリプロピレン製瓶とした比較例4、アルミラミネート袋内を真空脱気した比較例5の各封止物のコート種子でも、本葉異常が44%以上発生し、子葉異常が75%以上発生した。そしてまた、容器をポリプロピレン製瓶とし室内環境下で保存した比較例6、及び容器をポリプロピレン製瓶とし30℃の恒温条件下で保存した比較例7の各封止物のコート種子では、発芽率がいずれも88%と低くなるとともに、本葉異常が95%、子葉異常が99%以上発生した。なお、元種子であるハクサイをコート処理せずに15℃/30%RHで4ヶ月間保存した場合には本葉異常及び子葉異常はほとんど見られなかった。
本発明のコート種子の保存方法及び封止物では、高い発芽率を維持しながら苗質異常の発生を抑制でき有用である。

Claims (6)

  1. 無機粉体及び樹脂の少なくとも一方で種子の表面を被覆したコート種子を、不活性ガスの雰囲気下で保存することを特徴とするコート種子の保存方法。
  2. 前記不活性ガスが窒素ガス、ヘリウムガス、炭素ガス、アルゴンガスの少なくとも1つである請求項1記載のコート種子の保存方法。
  3. 前記種子がアブラナ科の野菜種子である請求項1又は2記載のコート種子の保存方法。
  4. 気密性を有する容器に、無機粉体及び樹脂の少なくとも一方で種子の表面を被覆したコート種子を入れ、不活性ガスを封入してなることを特徴とするコート種子の封止物。
  5. 前記不活性ガスが窒素ガス、ヘリウムガス、炭素ガス、アルゴンガスの少なくとも1つである請求項4記載のコート種子の封止物。
  6. 前記種子がアブラナ科の野菜種子である請求項4又は5記載のコート種子の封止物。
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