JP2016116470A - 変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素、変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする単離核酸分子、変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を固定した酵素電極、酵素電極を備えたバイオ電池、及びバイオセンサー - Google Patents

変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素、変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする単離核酸分子、変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を固定した酵素電極、酵素電極を備えたバイオ電池、及びバイオセンサー Download PDF

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Abstract

【課題】酵素電極の電極触媒として安定的にその触媒活性を発揮でき、野生型に比べて高い触媒電流密度を達成できる変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素、単離核酸分子、酵素電極、バイオ電池及びバイオセンサーの提供。【解決手段】(a)野生型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の第26番目のバリンと第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基がシステインへ置換されたアミノ酸配列、(b)前記位置第26番目と第334番目以外のアミノ酸の1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、付加、又は挿入されたアミノ酸配列、又は(c)前記位置以外のアミノ酸配列が80%以上、配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、野生型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素に比べて、電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上した変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素。【選択図】なし

Description

本発明は、変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素、当該変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする単離核酸分子、当該変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を固定した酵素電極、当該酵素電極を備えたバイオ電池、及びバイオセンサーに関する。より詳細には、本発明は、電極触媒として電極基材上に吸着固定され酵素電極とした際に、安定してその触媒活性を発揮でき、触媒電流密度の高密度化を図れる変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素、当該変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする単離核酸分子、当該変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を固定した酵素電極、当該酵素電極を備えたバイオ電池、及びバイオセンサーに関する。
近年、バイオ資源を利用したバイオ電池が、その高いエネルギー効率及び低い環境負荷から次世代のエネルギーとして提案されている。微生物を始めとする生物は、酵素等の生体触媒により、炭水化物、タンパク質、脂質等を酸化分解する生体内代謝過程において、ATP等の高エネルギー物質を生成して、生命活動に必要なエネルギーを獲得している。バイオ電池は、かかる生体内代謝過程において発生するエネルギーを電気エネルギーとして電極に取り出す発電装置である。
酵素の触媒機能を利用したバイオ電池の実用化に当たっては、酵素の選択がその成否を左右する。なかでも、自然界に多く存在し、エネルギー変換効率も高いグルコースを燃料とするバイオ電池の構築が実用性の高い技術として注目されている。ここで、グルコースを酸化する酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ等が知られている。しかし、グルコースオキシダーゼは電子供与体として酸素と反応するため、グルコースオキシダーゼによって触媒されるグルコース酸化エネルギーを電気エネルギー変換する上では、反応液中の溶存酸素をあらかじめ除去する必要があった。一方、グルコース脱水素酵素は、グルコースオキシダーゼとは異なり酸素との反応性を有しないため、電気エネルギー変換に際して、反応液中の溶存酸素の影響を受けないとの利点を有し、また反応速度も非常に早い。かかる有利な特性によりグルコース脱水素酵素は、糖類の検出、バイオ電池の電極触媒等に利用されており、食品化学、臨床化学、生化学等の多岐にわたる分野において利用価値が高い酵素である。
グルコース脱水素酵素としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、「NAD+」と略する場合がある。)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、「NADP+」と略する場合がある。)を補酵素として機能するものが広く知られていた。このようなNAD(P)+依存型グルコース脱水素酵素は、多種多様の生物から単離されている。しかしながら、NAD(P)+依存型グルコース脱水素酵素の場合、グルコースの酸化により還元されたNAD(P)+を電極反応と共役させるようとすると、ジアホラーゼ等の追加コンポーネントが必要となり、電極構造が複雑化するとの問題もあった。
近年、ピロロキノリンキノン(以下「PQQ」と略する場合がある。)が、グルコース脱水素酵素の新たな補酵素として見出された。このようなPQQ依存性酵素として、大腸菌YliI株(Escherichia coli YliI)由来のアルドース糖ヒドロゲナーゼ、及びアシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のグルコース脱水素酵素が知られていた。アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のPQQ依存性グルコース脱水素酵素は、菌体のペリプラズム画分に存在し、酸化により得られた電子を呼吸鎖に受け渡すことでエネルギー生産に関与していることが知られていた。
かかるPQQ依存性グルコース脱水素酵素(以下、「PQQGDH」と称する場合がある)の配列情報解析及びタンパク質の立体構造解析等の研究が行われている(非特許文献1及び非特許文献2等を参照のこと)。非特許文献1には、アシネトバクター・カルコアセティカス由来のPQQGDHの構造遺伝子の全塩基配列を同定し、それらにコードされるタンパク質の1次構造を明らかにしたことが報告されている。非特許文献2には、当該PQQGDHのX線結晶解析が行われ、その立体構造が報告されている。PQQGDHの立体構造は、4つのβ鎖からなる逆平行βシートが6枚集まった構造(6 propeller構造)をしており、他のキノプロテインの多くは8 propeller構造をとることから、構造的にユニークな酵素であることが知られている。
上記したように、他のグルコースを酸化する酵素と比較して、反応速度が非常に早く、かつ、溶存酸素の影響を受けにくいという利点をも有している。かかる利点を生かして、PQQGDHはバイオセンサーやバイオ電池の電極触媒としての利用が研究されている。例えば、特許文献1には、PQQGDHを利用した血糖測定用グルコースセンサーの作製が開示されている。
しかしながら、PQQGDHをはじめとして多くの酵素は、一般的な金属触媒等に比べて熱安定性及び耐久性が低く、外部環境の変化に伴って立体構造が変化してその触媒活性が低下してしまうという問題点があった。そのため、バイオ電池やバイオセンサーの電極触媒としての実用化に際して大きな障害となっていた。そこで、より安定性の高い酵素電極を作製すべく、耐熱性酵素の構築に関する研究が進められている。例えば、特許文献2及び非特許文献3には、PQQGDHが同一のサブユニットから構成されるホモ2量体を形成し活性を発現することに着目し、PQQGDHの5CDループ領域に位置する所定のアミノ酸残基をシステインに置換することで、耐熱性が大幅に向上したことが報告されている。これは、2量体化したPQQGDHモノマー間にジスルフィド結合を導入することにより、活性型のホモ2量体の安定化を図ったものである。
特許文献2及び非特許文献3の技術は、酵素の耐熱性に着目するものであるが、酵素を電極基材等に固定する際には、疎水性の電極基材との接触による酵素の立体構造の変化等に伴う酵素触媒活性の低下をはじめとする様々な問題を回避する必要がある。例えば、PQQGDHを電極基材に吸着固定させる際に、このPQQGDHのホモ2量体が不活性型のモノマーに解離した状態で吸着することが起り得る。その結果、構築された酵素電極の触媒電流密度が低下することが知られていることから、更なる、酵素電極等に好適に利用できるPQQGDHの提供が望まれていた。
特開第2005-233976号公報(特願2005-109100号) 国際公開第2002/072839号公報(特願2002-571892号)
Cleton-Janseb A.M.、Goosen N.、Vink K.、van de Putte P.他著、"Cloning, characterization and DNA sequencing of the gene encoding the Mr50000 quinoprotein glucose dehydrogenase from Acinetobacter calcoaceticus"Mol. Gene. Genet.、第217巻、第2〜3号、第430〜436頁、1989年 Oubrie A.、Rozeboom HJ.、Kalk KH.、Olsthoorn AJ.、Duine JA.、Dijkstra BW.他著、"Structure and mechanism of soluble quinoprotein glucose dehydrogenase" EMBO J.、第18巻、第19号、第5187〜5194頁、1999年 Igarashi S.、Sode K.他著、"Stabilization of quaternary structure of water-soluble quinoprotein glucose dehydrogenase." Mol. Biotechnol.、第24巻、第2号、第97〜104頁、2003年
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべく、酵素電極の電極触媒として安定的にその触媒活性を発揮でき、野生型に比べて高い触媒電流密度を達成できるPQQ依存性グルコース脱水素酵素の提供を目的とする。更に、本発明は、当該酵素の特性を活用した酵素電極、引いてはバイオ電池及びバイオセンサーの提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、野生型アシネトバクター・カルコアセティカス由来のPQQ依存性グルコース脱水素酵素の少なくとも2箇所の特定アミノ酸残基をシステインに置換した変異型酵素を電極触媒として電極基材上に吸着固定し酵素電極とした際に、当該変異体酵素が安定してその触媒活性を発揮でき、酵素電極の触媒電流密度の高密度化を図れることを見出した。かかる変異型酵素の理化学的特性を利用することにより、より実用面において有利な酵素電極、及び当該酵素電極を利用したバイオ電池並びにバイオセンサーを構築できることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成するため、以下の[1]〜[8]に示す発明を提供する。
[1]下記(a)、(b)、又は(c)のアミノ酸配列からなり、かつ、配列番号1のアミノ酸配列に示す野生型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素に比べて、電極触媒として電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上した変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリンと第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基がシステインへ置換されたアミノ酸配列
(b)(a)のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目と第334番目に対応する位置のアミノ酸残基以外の位置に、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加、又は挿入されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリンと第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基がシステインへ置換されたアミノ酸配列
[2]配列番号2に示すアミノ酸配列において、第26番目のバリンと第334番目のセリンがシステインへ置換されたアミノ酸配列を含む上記[1]の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素。
[3]配列番号3に示すアミノ酸配列からなる上記[1]又は[2]の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素。
上記[1]〜[3]の構成によれば、新規な変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の提供が可能となる。本発明によって提供される変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素は、野生型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素に比べて、電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上している。ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素は、その触媒活性の発揮にはホモ2量体を形成する必要があるが、酵素電極作製等の過程で、電極基材等の表面に酵素を吸着固定する際に、このホモ2量体がモノマーに解離した状態で吸着することが起り得る。その結果、酵素の触媒活性が失われ、構築された酵素電極の触媒電流密度が低下することが知られていた。本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素は、安定な2量体を形成し、上記のような好ましくない現象を改善するものである。つまり、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を固定した酵素電極は、その触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができる。かかる特性を有する本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素は、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるグルコースの脱水素反応を要する技術に適用できる。特に、バイオ電池及びバイオセンサー電極触媒として利用することができ、バイオ電池の高出力化及びバイオセンサーの高感度化に貢献することができる。
[4]上記[1]〜[3]の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする単離核酸分子。
上記[4]の構成によれば、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする核酸分子を提供することができる。また、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする核酸分子を取得できたことから、遺伝子工学的手法により低コストかつ工業的に当該酵素を大量生産することができる。これにより、更に本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の産業上の利用価値をさらに向上させることができる。
[5]上記[1]〜[3]の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を電極基材上に吸着固定した酵素電極。
[6]前記電極基材が、カーボン基材である上記[4]の酵素電極。
上記[5]及び[6]の構成によれば、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を電極触媒として吸着固定した酵素電極を提供できる。本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素は、安定な2量体を形成することから、電極基材上に固定しても不活性型であるモノマーに解離することがない。酵素電極の電極基材として疎水性のカーボン基材が汎用されるが、かかるカーボン基材にも安定的に固定される。したがって、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を吸着固定した酵素電極は、その触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができ、バイオ電池及びバイオセンサー電極触媒として利用することができ、バイオ電池の高出力化及びバイオセンサーの高感度化に貢献することができる。
[7]上記[5]又は[6]の酵素電極を備えたバイオ電池。
上記[7]の構成によれば、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を電極触媒として固定した酵素電極を備えたバイオ電池を提供することができる。本発明の酵素電極は、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の触媒機能を利用するものであり、触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができる。したがって、かかる酵素電極を備えたバイオ電池は、グルコース等の燃料を効率的に酸化して電気エネルギーを取り出すことができ、電池出力の向上を図ることができる。本発明のバイオ電池は、安全でクリーンなエネルギー源として、医療や福祉、情報通信、移動型や携帯型電子機器等、種々の産業分野において利用可能である。
[8]上記[5]又は[6]の酵素電極を備えたバイオセンサー。
上記[8]の構成によれば、変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を電極触媒として固定した酵素電極を備えたバイオセンサーを提供することができる。本発明の酵素電極は、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の触媒機能を利用するものであり、触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができる。したがって、かかる酵素電極を備えたバイオセンサーは、グルコース等の測定対象物質を高感度かつ迅速に検出及び測定することができる。本発明のバイオセンサーは、グルコース等のピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の基質と成り得る物質の検出及び測定を要する全ての分野で利用可能であり、特に、医療、食品、環境分野等、種々の産業分野において利用可能である。
実施例1で取得した野生型PQQGDH及び変異型PQQGDH(変異型V26C_S334C及び変異型Q352C)のアミノ酸配列を示す図である。 変異型PQQGDH(変異型V26C_S334C及び変異型Q352C)の2量体化の確認を検討した実施例1の結果を示す電気泳動図である。 変異型PQQGDH(変異型V26C_S334C及び変異型Q352C)固定電極の電気化学特性評価(CV)を検討した実施例4の結果を示すグラフである。 変異型PQQGDH(変異型V26C_S334C)固定電極の電気化学特性評価(CA)を検討した実施例5の結果を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
(本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素)
本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素(以下、「PQQGDH」と略する)、天然に存在する野生型PQQGDHのアミノ酸配列において、特定の位置のアミノ酸が、特定の他のアミノ酸に置換されており、野生型PQQGDHに比べて、電極触媒として電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上している。PQQGDHは、その触媒活性の発揮にはホモ2量体を形成する必要があるが、酵素電極作製等の過程で、電極基材等の表面にPQQGDHを吸着固定する際に、このホモ2量体がモノマーに解離した状態で吸着することが起り得る。その結果、酵素の触媒活性が失われ、構築された酵素電極の触媒電流密度が低下することが知られていた。本発明の変異型PQQGDHは、安定な2量体を形成し、上記のような好ましくない現象を改善するものである。
ここで、PQQGDHとは、グルコースを基質として、グルコースの脱水素反応を触媒する能力を有し、以下のように、補酵素ピロロキノリンキノン(以下、「PQQ」と略する場合がある。)存在下に、グルコースに作用してグルコノラクトンを生成する反応を触媒する。
D-グルコース + 電子受容体 → D-グルコノラクトン + 還元型電子受容体
野生型PQQGDHとは、本発明の変異型PQQGDHの基礎となるPQQGDHのことを意味し、自然界より分離される標準的なPQQGDHのアミノ酸配列において、意図的若しくは非意図的に変異が生じていないものを意味する。したがって、変異部位を有しない限り、天然由来だけでなく、遺伝子組換え体のように人為的手段により生じたものを含める。
野生型PQQGDHとしては、上記特性を有する限り何れの生物由来のものであってもよい。しかしながら、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のPQQGDHが好ましい。特には、先行技術文献の項の非特許文献1(JOURNAL Mol. Gen. Genet.、第217巻、第2〜3巻、第430〜436頁、1989年)に記載のアシネトバクター カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のグルコース脱水素酵素(GENBANK ACCESSION No : X15871)が好ましく例示される。その塩基配列及びアミノ酸配列の一例を、それぞれ配列番号1及び配列番号2に示す。この酵素は、Acinetobacter細菌のペリプラズム画分に存在しており、酸化により得られた電子を呼吸鎖に渡すことでエネルギー生産に関与している。他のグルコース酸化酵素に比べ、反応速度が非常に速く、また溶存酸素の影響を受けにくいという特徴があるため酵素電極として利用価値が非常に高い酵素である。そのため自己血糖測定器に広く利用され、またグルコースを燃料とした酵素電池の酵素触媒としての応用が期待されている。
本発明の変異型PQQGDHは、野生型PQQGDHのアミノ酸配列の好適例を示す上述の配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目及び第334番目に対応する位置のアミノ酸残基がシステイン残基に置換されている。PQQGDHは、グルコースの脱水素活性の発揮にはホモ2量体を形成する必要があり、モノマーではその触媒活性を発現することはできない酵素である。そして、ホモ2量体形成時に、一方のモノマーの配列番号2に示すアミノ酸配列における第26番目のバリンは他方の第334番目のセリンに、逆に第334番目のセリンは他方の第26番目のバリンに近接することが立体構造解析で明らかになっている。かかる近接する第26番目と第334番目をシステインに置換することにより、一方のモノマーの第26番目及び334番目が、他方の第334番目と第26番目とそれぞれジスルフィド結合を形成し安定した2量体を形成するようになる。モノマーにおける第26番目と第334番目は離間した位置にあることから、本発明の変異型PQQGDHは非常に安定したホモ2量体を形成する。かかるジスルフィド結合は、活性発現に際して立体障害となることもなく、本発明のPQQGDHは、「電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上」したものとなる。
野生型PQQGDHの立体構造解析において、一方のモノマーの配列番号2に示すアミノ酸配列における第26番目のバリンと他方の第334番目のセリン間、逆に第334番目のセリンと他方の第26番目のバリン間のCβ間距離(A)は、4.2と近接しており、また、第352番目のグルタミン間の距離も4.6と近接していることが知られている(表1)。しかしながら、第352番目のグルタミンをシステインに置換しジスルフィド結合を形成させても、本発明の変異型PQQGDHのような「電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上」するとの効果は得られない。このことから、1本のジスルフィド結合での結合では、電極基材の吸着固定した際のホモ2量体の解離を抑制することはできないものと考えられる。してみると、上述の先行技術文献の項における特許文献2(特願2002-571892)に開示の415番目のアミノ酸残基のシステインへの置換、及び第414番目のアミノ酸残基のシステインへの置換によって得られた変異型PQQGDH(表1)についても同様にもホモ2量体の解離を効果的に抑制することはできないものと考えられる。上記先行技術文献には、表1に示す第340番目と第418番目のシステインへの置換により2本のジスルフィド結合での結合を形成し2量体を安定することが記載されているが、第26番目と第334番目のアミノ酸残基間の距離と比べると第340番目と第418番目のアミノ酸残基間の距離は離間しており、電極基材の吸着固定した際のホモ2量体の解離を効果的に抑制することはできないものと考えられる。また、2量体間にこのようなジスルフィド結合を導入する際には、当該酵素の活性発現に際して立体障害とならない位置であることも必要となる。したがって、ホモ2量体形成時の近接位置にあるアミノ酸残基にジスルフィド結合を形成させるようにシステインを導入しても、酵素触媒活性が低下したり、酵素電極の電極触媒としての機能を発揮できないケースがある。
ここで、「電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上」とは、本発明の改変型PQQGDHを電極基材に吸着固定して構築した酵素電極が、その触媒機能を円滑に発揮して触媒電流密度が向上していることを意味する。野生型PQQGDHを固定した酵素電極に比べて、触媒電流密度が好ましくは10 %以上、例えば5〜10%程度上昇した場合に、「電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上している」と判断することができる。
本発明の変異型PQQGDHは公知の方法によって取得することができる。例えば、改変の基礎となる野生型PQQGDHをコードする遺伝子に対して改変を施し、得られた変異型遺伝子を用いて宿主細胞を形質転換し、かかる形質転換体の培養物から上述の本発明の変異型PQQGDHの理化学的特性、つまり、グルコースの脱水素反応を触媒する能力を有し、かつ、当該酵素を電極触媒として電極基材に吸着固定して構築した酵素電極がその触媒機能を円滑に発揮して触媒電流密度が野生型PQQGDHに比べて向上しているとの特性を有するタンパク質を採取することによって取得することができる。かかる理化学特性の確認は、例えば実施例3〜5の記載に基づいて行うことができる。
なお、改変の基礎となる野生型PQQGDHをコードする遺伝子は、公知の遺伝子クローニング技術を用いて取得することができる。例えば、GenBank等の公知のデータベースを検索することによって取得することができる所望の野生型PQQGDH遺伝子の塩基配列を基にして作製したDNAをプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により、生物体由来のゲノムDNA、全RNAから逆転写反応によって合成したcDNA等から所望の酵素をコードする核酸分子を調製することができる。ここで用いられるプローブは、所望の酵素と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。このようなプローブとしては、所望の酵素をコードする核酸分子の塩基配列に基づき、この塩基配列の連続する10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。そして、プローブは必要に応じて適当な標識が付されていてよく、このような標識として放射線同位体、蛍光色素等が例示される。
また、所望の野生型PQQGDH遺伝子の塩基配列を基にして作製したプライマーとして用いるPCRによっても同様に、生物体由来のゲノムDNA、cDNAを鋳型として所望の酵素をコードする核酸分子を調製することができる。PCRを利用する場合に用いられるプライマーは、所望の酵素と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいてプライマーの設計を行う。プライマーの設計は、所望の領域を増幅するように、例えばプライマー設計支援ソフト等を利用して設計することができる。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。このようなプライマーとしては、所望の増幅領域を挟んで設計され、10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
ここで、相補的とは、プローブ又はプライマーと標的核酸分子とが塩基対合則に従って特異的に結合し安定な二重鎖構造を形成できることを意味する。ここで、完全な相補性のみならず、プローブ又はプライマーと標的核酸分子が互いに安定な二重鎖構造を形成し得るのに十分である限り、いくつかの核酸塩基のみが塩基対合則に沿って適合する部分的な相補性であっても許容される。その塩基数は、標的核酸分子を特異的に認識するために十分に長くなければならないが、長すぎると逆に非特異的反応を誘発するので好ましくない。したがって、適当な長さはGC含量等の標的核酸の配列情報、並びに、反応温度、反応液中の塩濃度等のハイブリダイゼーション反応条件など多くの因子に依存して決定される。
また公知の遺伝子情報に基づいて、常法のホスホルアミダイト(pHospHoramidite)法等の核酸合成法により合成することによっても取得することができる。
ここで、本発明の変異型の基礎として好適なPQQGDHの配列情報として、上述のアシネトバクター カルコアセティカス由来のグルコース脱水素酵素(GENBANK ACCESSION No : X15871)のアミノ酸配列及び塩基配列、それぞれ配列表の配列番号2及び配列番号1に示す。
野生型PQQGDHをコードする遺伝子に変異部位を挿入する方法としては、特に制限はなく、当業者に公知の変異型タンパク質作製のための変異導入技術を利用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法、PCR法等を利用して変異を導入するPCR突然誘発法、あるいは、トランスポゾン挿入突然変異誘発法などの公知の変異導入技術を利用することができる。また、市販の変異導入用キット(例えば、QuikChange(登録商標) Site-directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製))を利用してもよい。
特には、野生型PQQGDHをコードするDNAを鋳型として、所望の改変(欠失又は置換)を施した配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行うことによって取得することが、好ましく例示される。ここで、変異型PQQGDHの調製において、PCRを利用する場合に用いられるプライマーは、野性型PQQGDHをコードする核酸分子と相補的な配列を含み、かつ所望の変異が挿入できるように設計されたものであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいて設計される。プライマーの設計は、所望の領域を増幅するように、例えばプライマー設計支援ソフト等を利用して設計することができる。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。このようなプライマーとしては、10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
また、目的とする変異型PQQGDHのアミノ酸配列が定めれば、それをコードする適当な塩基配列を決定でき、常法のホスホルアミダイト法等の核酸合成技術を利用して本発明の変異型PQQGDHをコードする核酸分子を化学的に合成することができる。
また、このような本発明の変異型PQQGDHは自然又は人工の突然変異により生じた突然変異体の中から、上述の本発明の変異型PQQGDHの理化学的特性を有するか否かスクリーニングすることにより取得できる。さらには、本発明の変異型PQQGDHは、化学的合成技術によっても製造することができる。例えば、ペプチド合成機を用いて合成し、得られるポリペプチドを適当な条件の下で、再構築することにより調製することができる。
本発明の変異型PQQGDHとして、アシネトバクター カルコアセティカス由来の野生型PQQGDH(GENBANK ACCESSION No : X15871)のアミノ酸配列の一例である配列番号2に示すアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリン及び第334番目のセリンがシステインに置換されたアミノ酸配列を有するものが好適に例示される。特に好ましくは、本発明の変異型PQQGDHは、配列番号3に示すアミノ酸配列を有する。
さらに、野生型PQQGDH(GENBANK ACCESSION No : X15871)を産生する菌株以外のアシネトバクター カルコアセティカスの他の菌株、及び他種の菌体及び生物体由来の野生型PQQGDHのアミノ酸配列のうち、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリン及び第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基がシステインに置換されたものも、上述の本発明の変異型PQQGDHの理化学的特性を有している限り、本発明の変異型PQQGDHに含まれる。したがって、また、GENBANK ACCESSION No : X15871で示されるPQQGDHのホモログ等の配列番号2に示すアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列おいて、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリン及び第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基がシステインに置換されたものも、本発明の変異型PQQGDHに含まれる。このような置換位置は、対象となる野生型PQQGDHのアミノ酸配列と、配列番号2に示すアミノ酸配列をアラインメントさせ、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリン及び第334番目のセリンに対応する位置を検索することにより決定することができる。
また、上述の変異型PQQGDHの理化学的特性を保持している限り、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリン及び第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基の置換に加えて、上記アミノ酸残基以外の特定のアミノ酸残基に改変が生じている改変部位を有するものであってもよい。改変とは、改変の基礎となるタンパク質のアミノ酸配列のうち、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入および付加の少なくとも1つからなる改変が生じていることを意味する。そして、「1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変」とは、改変の基礎となるタンパク質をコードする遺伝子に対する公知のDNA組換え技術、点変異導入方法等によって、欠失、置換、挿入又は付加することができる程度の数のアミノ酸が、欠失、置換、挿入又は付加されることを意味し、これらの組み合わせをも含む。例えば、このような変異型は、配列番号2で示すアミノ酸配列に対して、アミノ酸レベルで70%以上、好ましくは80% 以上、更に好ましくは90%、95%以上の相同性を保持するものとすることができる。
このような改変を有するタンパク質は自然又は人工の突然変異により生じた突然変異体の中から当該活性を有するタンパク質をスクリーニングすることにより取得できる。或いは、変異型PQQGDHをコードする核酸分子に対して公知の方法で改変を施すことによっても取得できる。かかる方法については、上述した方法に準じて行うことができる。
当業者は、アミノ酸配列の改変に際して変異型PQQGDHのその酵素活性を保持する改変を容易に予測することができる。具体的には、例えばアミノ酸置換の場合には、タンパク質構造保持の観点から極性、電荷、親水性、若しくは疎水性等の点で置換前のアミノ酸と類似した性質を有するアミノ酸に置換することができる。このような置換は保守的置換として当業者には周知である。具体例を挙げると、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有する。また、非荷電性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられる。これらの各グループ内のアミノ酸置換は、タンパク質の機能が維持されるとして許容される。また、その後の精製、固相への固定化等の便宜のため、アミノ酸配列のN、又はC末端にヒスチジンタグ(His-tag)、FLAGタグ(FLAG-tag)等を付加したものも好適に例示される。このようなタグペプチドの導入は常法により行なうことができる。また、酵素活性の消失を引き起こさない範囲内で、C末端側若しくはN末端側のアミノ酸残基を切断した切断型でもよい。更に、グルコシル化等の化学修飾を付加してもよい。
本発明の変異型PQQGDHは、野生型PQQGDHに比べて、電極触媒として電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上している。これは、本発明の変異型PQQGDHが、2量体形成に際して近接する第26番目と第334番目をシステインに置換することにより、一方のモノマーの第26番目及び334番目が、他方の第334番目と第26番目とそれぞれジスルフィド結合を形成し安定した2量体を形成し、電極基材に吸着固定された際にも安定的に2量体構造を維持することができることに起因する。また、かかるジスルフィド結合は、活性発現に際して立体障害になることもない。このように本発明の変異型PQQGDHを固定した酵素電極は、その触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができる。かかる特性を有する本発明の変異型PQQGDHは、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるグルコースの脱水素反応を要する技術に適用できる。特に、バイオ電池及びバイオセンサー電極触媒として利用することができ、バイオ電池の高出力化及びバイオセンサーの高感度化に貢献することができる。
(変異型PQQGDHをコードする核酸分子)
本発明の変異型PQQGDH遺伝子は、上述の本発明の変異型PQQGDHの理化学的特性を有するすべての変異型PQQGDHをコードするものを包含する。好適には、配列番号2に示すアミノ酸配列において、第26番目のバリン及び第334番目のセリンがシステインに置換されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする全てのポリヌクレオチドである。特には、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする全てのポリヌクレオチドである。ここで、本発明におけるポリヌクレオチドにはDNA及びRNAの双方が含まれ、DNAである場合には、1本鎖であると、二本鎖であるとは問わない。
本発明の変異型PQQGDHをコードする核酸分子は、本明細書においてそのアミノ酸配列に基づいて塩基配列が明確になったことから、かかる配列情報に基づいて、常法のホスホルアミダイト法等のDNA合成法を利用して化学的に合成することができる。また、改変の基礎となる野生型PQQGDHをコードするDNAに対して改変を施すことによっても製造することができる。なお、詳細については前述した。
更に、上述の変異型PQQGDHの理化学的特性を保持している限り、配列番号2に示すアミノ酸配列において、第26番目のバリン及び第334番目のセリンがシステインに置換されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むものも本発明に含まれる。このようなポリヌクレオチドは、公知の変異導入技術や、常法のホスホルアミダイト法等のDNA合成法を利用することにより作製できる。もしくは、配列番号2に示すアミノ酸配列において、第26番目のバリン及び第334番目のセリンがシステインに置換されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してエキソヌクレアーゼを作用させることによって取得することができる。このようなポリヌクレオチドとしては、配列番号2に示すアミノ酸配列において、第26番目のバリン及び第334番目のセリンがシステインに置換されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1又は複数の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたものも含まれる。したがって、塩基配列の3'、又は5'末端にタグペプチドをコードする塩基配列が付加したものも好適に例示される。
ここで、ストリンジェントな条件とは、塩基配列において、60 %以上、好ましくは70 %、より好ましくは80 %以上、特に好ましくは90 %、95 %以上の同一性を有するDNA同士が優先的にハイブリダイズし得る条件をいう。ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションの反応や洗浄の際の塩濃度及び温度を適宜変化させることによって調製することができる。例えば、Sambrook他著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor、New York等に記載のサザンハイブリダイゼーションのための条件等が挙げられる。
より具体的には、50 %(v/v) ホルムアミド、5×SSC中で、42 ℃にて16時間のハイブリダイゼーションが例示される。ここで、1×SSCは、0.15 M NaCl、0.015 M クエン酸ナトリウム、pH 7.0である。また、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0 %(v/v)、変性非特異的DNAを0〜200 μl含んでいてよい。そして、洗浄条件としては、2×SSC、0.1 % SDS中の5 ℃にて5分間の洗浄、及び0.1×SSC、0.1 % SDS中の65 ℃にて30分間〜4時間の洗浄が例示される。また、これらと同等の条件も当業者は容易に理解できるであろう。
(本発明の組換えベクター)
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の変異型PQQGDHをコードする核酸分子を組み込むことによって構築することができる。利用可能なベクターとしては、外来DNAを組み込め、かつ宿主細胞中で自律的に複製可能なものであれば特に制限はない。したがって、ベクターは、変異型PQQGDHをコードする核酸分子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素部位の配列を含むものである。例えば、プラスミドベクター(pEX系、pUC系、及びpBR系等)、ファージベクター(λgt10、λgt11、及びλZAP等)、コスミドベクター、ウイルスベクター(ワクシニアウイルス、及びバキュロウイルス等)等が包含される。
本発明の組換えベクターは、変異型PQQGDHをコードする核酸分子がその機能を発現できるように組み込まれている。したがって、核酸分子の機能発現に必要な他の公知の塩基配列が含まれていてもよい。例えば、プロモータ配列、リーダー配列、シグナル配列、並びにリボソーム結合配列等が挙げられる。プロモータ配列としては、例えば、宿主が大腸菌の場合にはlacプロモータ、trpプロモータ等が好適に例示される。しかしながら、これに限定するものではなく公知のプロモータ配列を利用できる。更に、本発明の組換えベクターには、宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等をも含ませることができる。このようなマーキング配列としては、薬剤耐性、栄養要求性などの遺伝子をコードする配列等が例示される。具体的には、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等が例示される。
ベクターへの変異型PQQGDHをコードする核酸分子等の挿入は、例えば、適当な制限酵素で本発明の遺伝子を切断し、適当なベクターの制限酵素部位、又はマルチクローニング部位に挿入して連結する方法などを用いることができるが、これに限定されない。連結に際しては、DNAリガーゼを用いる方法等、公知の方法を利用できる。また、DNA Ligation Kit(Takara-bio社)等の市販のライゲーションキットを利用することもできる。
(本発明の形質転換体)
本発明の形質転換体は、適当な細胞を、本発明の変異型PQQGDHをコードする核酸分子を含む組換えベクターで形質転換することによって構築することができる。ここで、宿主となる細胞としては、本発明の変異型PQQGDHをコードする核酸分子を効率的に発現できる宿主細胞であれば、特に制限はない。原核生物を好適に利用でき、特には大腸菌を利用することができる。その他、枯草菌、バシラス属細菌、シュードモナス属細菌等をも利用できる。大腸菌としては、例えば、E.coli DH5α、E.coli BL21、E.coli JM109等を利用できる。更に、原核生物に限定されず真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、Saccharomyces cerevisiae等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を利用することも可能である。形質転換法としては、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソームトランスフェクション法、マイクロインジェクション法等を公知の方法を利用することができる。
(本発明の変異型PQQGDHの製造方法)
本発明の変異型PQQGDHの製造方法は、上述の本発明の形質転換体を培養し、得られた培養物からグルコースの脱水素反応を触媒する能力を有し、かつ、当該酵素を電極触媒として電極基材に吸着固定して構築した酵素電極がその触媒機能を円滑に発揮して触媒電流密度が野生型PQQGDHに比べて向上しているとの理化学的特性を有するタンパク質を採取することにより行なう。即ち、上述の本発明の形質転換体を培養する培養工程と、前記培養工程で発現した前記タンパク質を回収する回収工程とを備える。このように、適当な宿主で発現させることによって、低コストで変異型PQQGDHの大量生産が可能となる。
培養工程は、本発明の形質転換体を適当な培地に接種し、常法に準じて培養することにより行なわれる。本発明の形質転換体の培養は、宿主細胞の栄養生理学的特性を勘案して、培養条件を選択すればよい。使用される培地としては、宿主細胞が資化し得る栄養素を含み、形質転換体におけるタンパク質の発現を効率的に行えるものであれば特に制限はない。したがって、宿主細胞の生育に必要な炭素源、窒素源その他必須の栄養素を含む培地であることが好ましく、天然培地、合成培地の別を問わない。例えば、炭素源として、グルコース、デキストラン、デンプン等が、また、窒素源としては、アンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、ペプトン、カゼイン等が挙げられる。他の栄養素としては、所望により、無機塩類、ビタミン類、抗生物質等とを含ませることができる。宿主細胞が大腸菌の場合には、LB培地、M9培地等が好適利用できる。また、培養形態についても特に制限はないが、大量培養の観点から液体培地が好適に利用できる。
本発明の組換えベクターを保持する宿主細胞の選別は、例えば、マーキング配列の発現の有無により行なうことができる。例えば、マーキング配列として薬剤耐性遺伝子を利用する場合には、薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤含有培地で培養することによって行うことができる。
精製工程は、上述の培養工程において得られた形質転換体の培養物からの変異型PQQGDHを回収、即ち、単離精製することによって行えばよい。本発明の酵素の存在する画分に応じて、一般的なタンパク質の単離精製方法に準じた手法を適用すればよい。具体的には、変異型PQQGDHが宿主細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を除去して培養上清を得る。続いて、培養上清に、公知のタンパク質精製方法を適宜選択することにより、本発明の酵素を単離精製することができる。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、透析、SDS-PAGE電気泳動、ゲル濾過、疎水、陰イオン、陽イオン、アフィニティークロマトグラフィ等の各種クロマトグラフィ等の公知の単離精製技術を単独、又は適宜組み合わせて適用することができる。特にアフィニティークロマトグラフィを利用する場合、本発明の酵素をHis Tag等のタグペプチドとの融合タンパク質として発現させて、かかるタグペプチドに対する親和性を利用することが好ましい。また、変異型PQQGDHが宿主細胞内で産生される場合には、培養物を遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を回収する。続いて、リゾチーム処理などの酵素的破砕方法、又は超音波処理、凍結融解、浸透圧ショック等の物理的破砕方法等により、宿主細胞を破砕する。破砕後、遠心分離、濾過等の手段により可溶化画分を収集する。得られた可溶化画分を、上述の細胞外に生産できる場合と同様に処理することにより単離精製することができる。
(グルコースの検出方法)
本発明の変異型PQQGDHは、試料中のグルコースの検出のために利用することができる。グルコースの検出は、グルコースに対してPQQ依存的に脱水素反応を触媒する当該酵素の活性を測定することにより行うことができる。酵素の活性は、PQQ依存的に糖類の脱水素反応を触媒する酵素の活性測定法として知られる方法をいずれも利用して行うことができる。例えば、酸化還元試薬の呈色反応により定量することができる。例えば、ジクロロインドフェノール(以下、「DCIP」と略する。)や、ニトロテトラゾリウムブルー(以下、「NTB」と略する。)等を利用することができる。具体的には、本発明の変異型PQQGDHをフェナジンメトスルフェート(以下「PMS」と略する。)等の電子メディエーターの共存下で、測定対象となる試料と反応させる。グルコースの酸化に伴って還元型PMSが生成し、続いて、還元型PMSによるDCIPの還元脱色反応を波長600 nmで、又は、還元型PMSによるNTBの還元により生成するジホルマザンを波長570 nmで分光光度法により測定することにより行うことができる。かかる吸光度変化をもって当該酵素の活性とすることができ、ひいてはグルコースの存在を検出することができる。吸光度の測定は、既知のマイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス社製)を用いることができる。また、そして、適当な試験条件が選択されていれば、上述の電極酸化電流及び吸光度の変化は、測定しようとする酵素活性に直線的に比例する。このとき、あらかじめ目的濃度範囲内における標準濃度のグルコース溶液を用いて作成した標準曲線に基づいて、測定により得られた変化値に基づいてグルコース濃度を求めることができる。また、本発明の変異型PQQGDH固定化電極を電子メディエーターの共存下で、測定対象となる試料と反応させ、電極酸化電流を測定することにより行うことができる。この場合は、かかる電極酸化電流をもって当該酵素の活性とすることができ、ひいてはグルコースの存在を検出することができる。
(本発明の酵素電極)
本発明の変異型PQQGDHは、酵素電極の電極触媒として利用することができ、かかる酵素電極も本発明の一部を構成する。本発明の酵素電極は、電極基材に本発明の変異型PQQGDHを吸着固定することにより構築することができる。
電極基材としては、外部回路に接続可能なグラファイト、グラッシーカーボン等のカーボン基材、アルミニウム、銅、金、白金、銀、ニッケル、パラジウム等の金属又は合金、SnO2、In2O3、WO3、TiO2等の導電性酸化物等、従来公知の材質の導電性基材を使用することができる。好ましくはカーボン基材である。また、これらの導電性基材を単層又は2種以上の積層構造をもって構成してもよい。電極の大きさ及び形状等は特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜調整することができる。
電極基材上への酵素の固定は、物理的吸着、イオン結合,共有結合を介して固定する担体結合法等の公知の方法によって行うことができる。また、グルタルアルデヒドなどの二価性官能基をもつ架橋試薬で架橋固定する架橋法をも利用できる。更には、アルギン酸,カラギーナン等の多糖類、導電性ポリマー、酸化還元ポリマー、光架橋性ポリマー等の網目構造をもつポリマー、透析膜等の半透性膜内に封入して固定する包括法等をも利用することができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。好ましくは、物理的吸着により酵素を電極基材に固定する。
物理的吸着は、本発明の改変型PQQGDHを電極基材上に物理的な力により固定するものである。そして、吸着結合による固定の場合、本発明の改変型PQQGDH含む溶液に電極基材を接触させ、これを乾燥させることによって簡便に固定できる。固定に際しては、変異型PQQGDHは、補酵素PQQを含むホロ酵素の状態で固定することが好ましい。しかしながら、アポ酵素の形態で固定し、PQQを別の層として、又は、適当な緩衝液に溶解させた形態で供給してよい。また、その他の、酵素の触媒活性の発現のために必要な物質、例えばカルシウムイオンを、別の層として、又は、適当な緩衝液に溶解させた形態で供給してよい。
本発明の酵素電極は、電極触媒である本発明の変異型PQQGDHは、安定な2量体を形成することから、電極基材上に固定しても不活性型であるモノマーに解離することがない。酵素電極の電極基材として疎水性のカーボン基材が汎用されるが、かかるカーボン基材にも安定的に固定される。したがって、本発明の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を固定した酵素電極は、その触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができ、バイオ電池及びバイオセンサー電極触媒として利用することができ、バイオ電池の高出力化及びバイオセンサーの高感度化に貢献することができる。
(本発明のバイオ電池)
本発明の変異型PQQGDHは、バイオ電池の構築に利用することができ、かかるバイオ電池も本発明の一部を構成する。本発明のバイオ電池は、例えば、酸化反応を行うアノード極と、還元反応を行うカソード極から構成され、必要に応じてアノードとカソードを隔離する電解質層を含んで構成され、好ましくは、本発明の変異型PQQGDHを外部回路に接続した電極基材上に固定した本発明の酵素電極を備える。好ましくは、本発明の変異型PQQGDHを外部回路に接続した電極基材上に固定した酵素電極はアノード側電極として構築される。このように構成することにより、アノード電極側では、変異型PQQGDHが基質を酸化することによって生じた電子を電極に取り出すと共に、プロトンを発生する。一方、カソード側は、酸素や過酸化水素等の酸化剤を還元して電子を伝達することのできる触媒を固定して構成されることが好ましく、アノード側で発生したプロトンが酸素と反応することによって水を生成するように構成される。また、カソード側電極としては、例えば、ピルビン酸オキシダーゼ、ラッカーゼ等のマルチ銅酵素等の酵素が固定された電極を使用することもできる。
電解質層としては、電子伝達能を有さず、プロトンの輸送が可能な電解質であれば、何れの物質をも利用することができる。
必要に応じて、酵素反応と電極間の電子伝達を媒介する電子メディエーターを用いることができる。メディエーターは、特に限定されるものではないが、例えば、キノン類、シトクロム類、ビオロゲン類、フェナジン類、フェノキサジン類、フェノチアジン類、フェリシアン化物、フェレドキシン類、フェロセンおよびその誘導体等が例示される。
このように構成することにより、アノード電極側の酵素が燃料である基質を酸化して電子を受け取る。そして、この電子は、直接、又は酵素反応と電極間の電子伝達を仲介するためのメディエーターを通してアノード電極に受け渡たされる。そして、アノード電極から外部回路を通ってカソード電極に電子が受け渡されることによって電流が発生する。一方、アノード電極側で発生したプロトンが電解質層を通って、カソード電極側に移動し、外部回路を通してアノード側から移動してきた電子と反応し水を生成する。グルコースとの反応においては、以下に示す電流応答が生じ、電流を発生する。
グルコース+グルコース脱水素酵素(酸化型)
→ グルコノラクトン + グルコース脱水素酵素(還元型);
グルコース脱水素酵素(還元型) → グルコース脱水素酵素(酸化型) + e-
本発明のバイオ電池は、本発明の変異型PQQGDHの触媒機能を利用するものであり、PQQGDHを電極触媒として固定した酵素電極を備えてある。かかる酵素電極は、触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができるものであることから、本発明のバイオ電池は、グルコース等の燃料を効率的に酸化して電気エネルギーを取り出すことができ、電池出力の向上を図ることができる。本発明のバイオ電池は、安全でクリーンなエネルギー源として、医療や福祉、情報通信、移動型や携帯型電子機器等、種々の産業分野において利用可能である。
(バイオセンサー)
本発明の変異型PQQGDHは、グルコースを検出するためのグルコースセンサーなどのバイオセンサーの構築に利用することができ、かかるバイオセンサーも本発明の一部を構成する。本発明のグルコースセンサーは、電極基材に変異型PQQGDHを固定した酵素電極として構成される作用電極、及びその対極を設けて構成される。必要に応じて、測定精度の信頼性を高める観点から、銀塩化銀などの参照極を設けた三電極方式として構成してもよい。ここで、作用電極とする電極基材に変異型PQQGDHを固定した酵素電極については、バイオ電池の電極に準じて構築することができる。
本発明のグルコースセンサーによる測定は、測定試料を当該グルコースセンサーと接触させることにより行われる。接触により、電極上に固定された酵素と当該酵素の基質である測定対象物質との間で酸化還元反応が生じ、これにより発生した電流を検知することで行われる。かかる応答電流値をもって、試料中の基質の存在の有無若しくは濃度を測定することができる。具体的には、例えば、測定対象となる試料を接触させると、試料中に含まれるグルコースが作用極上に固定された変異型PQQGDHと反応し、続いて電子メディエーターが還元される。そして、電極系に電圧を印加して電子受容体の還元体を酸化し、得られる酸化電流値の変化により試料中のグルコースを検出することができる。このとき、あらかじめ目的濃度範囲内における標準濃度のグルコース溶液により標準曲線を作成することにより、得られた酸化電流値に基づいてグルコース濃度を求めることができる。こで、試料としては、糖類の存在が予想されるすべての試料を対象とすることができる。例えば、血液、尿、唾液等の生物体由来の生物試料、食品試料、環境試料等が例示されるがこれに限定されるものではない。また、必要に応じてこれらの試料に適当な処理を行った試料をも含み得る。
本発明のバイオセンサーを用いた測定法としては、酸化電流もしくは還元電流を測定するクロノアンペロメトリーまたはクーロメトリー、サイクリックボルタンメトリー法など、公知の方法を利用することができる。
本発明のバイオセンサーは、変異型PQQGDHの触媒機能を利用するものであり、PQQGDHを電極触媒として固定した酵素電極を備えてある。かかる酵素電極は、触媒機能を円滑に発揮して酵素触媒電流の高密度化を図ることができるものであることから、かかる酵素電極を備えたバイオセンサーは、グルコース等の測定対象物質を高感度かつ迅速に検出及び測定することができる。したがって、本発明のバイオセンサーは、グルコース等のピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の基質と成り得る物質の検出及び測定を要する全ての分野で利用可能であり、特に、医療、食品、環境分野等、種々の産業分野において利用可能である。
以下、実施例において、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
野生型ピロロキノリンキノン依存型グルコース脱水素酵素(以下、「PQQGDH」と称する)は、その酵素活性の発現のためにはホモ2量体を形成する必要がある。しかしながら、酵素電極の作製等において、電極基材等の表面に酵素を吸着固定する際、この2量体が解離した状態で吸着固定することが起り得る、その結果、酵素活性が失われ、期待した触媒電流密度が得られなかった。そこで、以下の実施例において、吸着固定等の処理を行った場合にでも、ホモ2量体を維持し、酵素活性を良好に発現し得る変異型PQQGDHを取得するため、変異導入部位を鋭意検討した。
実施例1:変異型PQQGDHの構築
電極基材等に吸着固定等の処理を行った場合にでも、ホモ2量体を維持して酵素活性を良好に発現し得る変異型PQQGDHを取得するため検討を行った。
1.変異型PQQGDHをコードする発現ベクターの構築
上述のアシネトバクター カルコアセティカス由来の野生型PQQGDH遺伝子(GENBANK ACCESSION No : X15871)に基づいて、部位特異的変異導入により、26番目のバリンと334番目のセリンをコードするコドンをシステインをコードするコドンに変換した遺伝子(変異型V26C_S334C)、及び第352番目のグルタミンをコードするコドンをシステインをコードするコドンに変換した遺伝子(変異型Q352C)を作製した。作製した遺伝子を、C末端にヒスチジンタグが付加するように、NdeIとBamHIサイトを用いてpET-22b(+)(Novagen社)ベクターに挿入し、変異型PQQGDH発現ベクターとした。同様にして、野生型PQQGDHをコードする遺伝子を含む発現ベクターを構築した。変異型V26C_S334C、変異型Q352C及び野生型PQQGDHの発現ベクターのそれぞれ発現する全アミノ酸配列を図1に示すと共に、配列表の配列番号3、4及び5として示す。
変異導入のために用いたプライマーの配列情報は以下の通り。
V26C用
ACGDH_V26-5: CATTTGCTGATTGCCCTCTAACTCC(配列番号6)
ACGDH_V26-3: GGAGTTAGAGGGCAATCAGCAAATG(配列番号7)
S334C用
ACGDH_S334-5: GACGAAAGAATGCGAATGGACTGG(配列番号8)
ACGDH_S334-3: CCAGTCCATTCGCATTCTTTCGTC(配列番号9)
Q352用
ACGDH_Q352C-5: ATATACCGTTTGCGATACCTACA(配列番号10)
ACGDH_Q352C-3: TGTAGGTATCGCAAACGGTATAT(配列番号11)
2.変異型PQQGDHの発現
上記1で構築した変異型V26C_S334C、変異型Q352C及び野生型PQQGDHの発現ベクターを用いてBL21(DE3)株を形質転換した。これをLB培地にて37 ℃で振とう培養し、培養液がおよそOD600=0.6となったときに、終濃度0.01 mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(isopropyl-s-D-thiogalactopyranoside:IPTG)を添加し発現誘導を行った。発現誘導後、28 ℃で一晩培養し菌体を回収した。回収した菌体をPBSに懸濁後、超音波によって菌体を破砕した。続いて、遠心分離を行い、上清を水溶性画分として回収した。回収した水溶性画分からTALON樹脂(CLONTECH社製)を用いたメタルイオンアフィニィークロマトグラフィーにてヒスチジンタグをもった変異型V26C_S334C、変異型Q352C及び野生型PQQGDHの精製を行った。精製は、PBSで平衡化したTALON樹脂に水溶性画分を加え、1 mMイミダゾールを含むPBSで樹脂を洗浄し、最後に100 mMイミダゾールを含むPBSにより変異型V26C_S334C、変異型Q352C、及び野生型PQQGDHを溶出した。得られた溶出画分を、Hitrap desalting column(GEヘルスケア社製)を用いてイミダゾールを除去すると共に、1 mM CaCl2を含む50 mM MOPS(pH7.0)緩衝液にバッファー交換した。
3.変異型PQQGDHのホロ化と2量体化の促進
上記2で得られた変異型V26C_S334C、及び変異型Q352Cに、ホロ化のためのPQQを終濃度で30 μM、及び2量体化促進のためフェリシアン化カリウムを終濃度1μMで添加し、一晩4 ℃の暗所に放置した。放置後、Hitrap desalting column(GEヘルスケア社製)を用いて、過剰なPQQとフェリシアン化カリウムを除去した。また、2量体化しなかったPQQGDHを除去するため、60 ℃で30分間保温後、遠心分離して上清を回収した。
4.野生型PQQGDHのホロ化
上記2で得られた野生型PQQGDHに、ホロ化のためのPQQを終濃度で1 μM添加し、一晩4 ℃の暗所に放置した。放置後、Hitrap desalting column(GEヘルスケア社製)を用いて、過剰なPQQを除去した。また、精製度を上げるために、50 ℃で30分間保温後、遠心分離して上清を回収した。
5.変異型PQQGDHの2量体化の確認
上記3で得られた変異型V26C_S334C、変異型Q352C及び野生型PQQGDHをSDS-PAGEで分析し、2量体を形成しているか否かを確認した。
SDS-PAGEの結果を図2に示す。図2の左側側が還元処理サンプル、右側が未還元サンプルの電気泳動図であり、レーン1は野生型PQQGDH、レーン2は変異型Q352C、レーン3は変異型V26C_S334Cの結果である。図2の結果より、還元状態では、変異型V26C_S334C、変異型Q352C、及び野生型PQQGDHともに50kDa付近にバンドが確認された。一方、非還元状態では、野生型PQQGDHでは還元状態と同様に50kDa付近にバンドが確認されたが、変異型V26C_S334C、及び変異体Q352Cでは100kDa付近にバンドを確認することができた。このことから、変異型V26C_S334C、及び変異体Q352Cはジスルフィド結合により安定な2量体を形成しているものと考えられる。
実施例2.変異型PQQGDHの酵素活性評価
本実施例では、上記実施例1で取得した変異型PQQGDHの酵素活性を評価した。
上記実施例1の3で取得した変異型V26C_S334C、及び変異型Q352C、並びに上記実施例1の4で取得した野生型PQQGDH の酵素活性を測定した。酵素活性は、フェナジンメソサルフェート(PMS)をメディエーターとした2,6-ジクロロフェノールインドフェノール(DCIP)の還元反応測定により行った。具体的には、0.5 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 8.0)中、50 mM グルコース、200 μM PMS、50 μM DCIP、1 nM 酵素を混合し、600 nmの吸光度の消失速度を測定した。
ここで、測定原理について簡単に説明すると、PQQGDHは、グルコースの水酸基を酸化してD-グルコノラクトンを生成する反応を触媒する。グルコースの酸化に伴って還元型PQQが生成し、還元型PQQにより、還元型PMSが生成する。この還元型PMSによるDCIPの還元脱色反応を波長600 nmで分光光度法により測定することにより行った。
結果を表2に示す。
表2の結果より、変異型V26C_S334Cと野生型PQQGDHは同等の活性を示したが、変異型Q352Cは20%ほど活性が低下していた。変異型V26C_S334Cと変異型Q352Cは、上述の通り、野生型PQQGDHの2量体形成時に互いに近接したアミノ酸残基をシステインに変換したものである。しかしながら、変異型Q352Cの酵素活性は低下した。
実施例3.変異型PQQGDHを固定した酵素電極の作製
本実施例では、上記実施例1で取得した変異型PQQGDHを電極基材に固定した酵素電極を作製した。同様にして、野生型PQQGDHを固定した酵素電極の作製をも行った。
電極基材としては、電極面積約0.07cm2のグラッシーカーボン電極(BAS社製)を用いた。電極面に、0.625、1.25、2.5、5.0、10.0、20.0 μg/mlの各濃度に調製した変異型V26C_S334C、変異型Q352C、及び野生型PQQGDHを滴下し、4 ℃にて一晩静置してPQQGDHを吸着させた。なお、変異型V26C_S334C及び変異型Q352Cは、上記実施例1の3にて取得したものを、野生型PQQGDHは上記実施例1の4で取得したものを使用した。吸着後、1 mMのCaCl2を含む50 mMのMOPS(pH 7.0)緩衝液中で10分間電極を洗浄し、10 μMのPQQと1 mMのCaCl2を含む50 mM MOPS(pH 7.0)緩衝液中に浸し、酵素電極(野生型PQQGDH固定電極、変異型V26C_S334C固定電極、変異型Q352C固定電極)とした。
実施例4.変異型PQQGDH固定電極の電気化学特性評価(CV)
本実施例では、上記実施例3で作製した酵素電極の電気化学特性の評価を行った。電気化学特性の評価は酵素電極のサイクリックボルタンメトリー(CV)により行った。
CVは、BAS社製の電気化学測定装置を用い、作用極として実施例3で作製した酵素電極(野生型PQQGDH固定電極、変異型V26C_S334C固定電極、及び変異型Q352C固定電極)、参照電極として銀/塩化銀電極、対電極として白金を用いた三電極方式にて測定を行った。測定溶液は、100 mMのグルコースと1 mMの2,6‐ジクロロフェノールインドフェノール(DCIP)を含む0.5 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 8.0)を用いた。そして、測定溶液に酵素電極、参照電極、対電極を浸し、-0.2 V〜0.3 Vの範囲を掃引速度50 mV/sで測定した。また、コントロールとして、酵素を吸着固定させないグラッシーカーボン電極についても上記と同様の手順によりCV測定を行った。
結果を図3に示す。図3は、20 μg/ml濃度の野生型PQQGDH固定電極、変異型V26C_S334C固定電極、及び変異型Q352C固定電極のCV測定結果を示し、横軸が電位(V vs. Ag/AgCl)、縦軸が電流(mA/cm-2)を示す。図3の結果から、変異型V26C_S334C固定電極は、野生型PQQGDH固定電極よりも電流応答値が高くなった。これにより、野生型PQQGDHにおいてV26C及びS334Cの変異を有することで、安定した電流応答値が得られることが判明した。しかしながら、2量体形成時に近接するQ352のシステインへの変異では、変異型V26C_S334Cで観察されたような電流応答値の向上は確認されなかった。また、実施例2では酵素活性の低下が確認された。このことから、近接位置にあるアミノ酸残基にジスルフィド結合を形成させるようにシステインを導入しても、酵素触媒活性が低下したり、酵素電極の電極触媒としての機能を発揮できないケースがあることが判明した。したがって、酵素電極の触媒電流密度の向上を図るためには、安定な2量体を形成でき、かつ活性発現に際して立体障害にならないような位置にジスルフィド結合を形成するにように変異位置を設計する必要があることが理解できる。
実施例5.変異型PQQGDH電極の電気化学特性評価(CA)
本実施例では、上記実施例4に続き、上記実施例3で作製した酵素電極の電気化学特性の評価を行った。電気化学特性の評価は酵素電極のクロノアンペロメトリー(CA)により行った。
CAは、上記実施例3のCVと同条件下で、実施例3で作製した酵素電極(野生型PQQGDH固定電極及び変異型V26C_S334C固定電極)を作用極として設定電位0.2Vで行った。測定開始から3分間経過後の電流応答値を限界電流密度として記録した。なお、本実施例では、実施例4で電流応答値の低下が認められた変異型Q352C固定電極については検討を行わなかった。
結果を図4に示す。図4は、各濃度におけるV26C_S334C固定電極及び野生型PQQGDH固定電極のCA測定結果(3回測定の平均値)を示し、横軸が酵素の電極への固定化濃度(μg/ml)、縦軸が限界電流密度(mA/cm2)を示す。図4の結果から、吸着濃度5μg/mlで野生型PQQGDH固定電極及び変異型V26C_S334C固定電極共に限界電流密度が飽和し、電流密度はそれぞれ1.7 mA/cm2及び1.9 mA/cm2であった。これにより、PQQGDHにおいてV26C及びS334Cの変異を有することで、野生型に比べて10%以上電流密度が向上することが判明した。かかる電流密度の向上は、実施例1の4で確認した結果を併せて鑑みるに、V26C及びS334Cの変異を有することによりホモ2量体の解離を抑制したことに起因するものと理解される。
以上の実施例1〜5の結果より、本発明の変異型PQQGDHは安定したホモ2量体を形成することが理解される。そして、当該変異型PQQGDHを固定した酵素電極は、その触媒機能を円滑に発揮できることから、野生型PQQGDHを固定した酵素電極より高い電流応答を示し、酵素触媒電流の高密度化を図ることができることも判明した。このような高触媒電流を与える変異型PQQGDHを固定した酵素電極は、バイオ電池や倍センサーの電極として利用でき、バイオ電池の高出力化及びバイオセンサーの高感度化に寄与すると期待される。
本発明は、変異型PQQGDH、及び当該及びその利用に関する関し、グルコース脱水素酵素の利用が要求される全ての分野で利用可能であり、特に、医療、食品、環境分野等、種々の産業分野において利用可能である。

Claims (8)

  1. 下記(a)、(b)、又は(c)のアミノ酸配列からなり、かつ、配列番号1のアミノ酸配列に示す野生型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素に比べて、電極触媒として電極基材に吸着固定し酵素電極とした際に得られる触媒電流密度が向上した変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素。
    (a)配列番号2に示すアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリンと第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基がシステインへ置換されたアミノ酸配列
    (b)(a)のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目と第334番目に対応する位置のアミノ酸残基以外の位置に、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加、又は挿入されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目のバリンと第334番目のセリンに対応する位置のアミノ酸残基がシステインへ置換されたアミノ酸配列
  2. 配列番号2に示すアミノ酸配列において、第26番目のバリンと第334番目のセリンがシステインへ置換されたアミノ酸配列を含む請求項1に記載の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素。
  3. 配列番号3に示すアミノ酸配列からなる請求項1又は2に記載の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素をコードする単離核酸分子。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の変異型ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素を電極基材上に吸着固定した酵素電極。
  6. 前記電極基材が、カーボン基材である請求項5に記載の酵素電極。
  7. 請求項5又は6に記載の酵素電極をアノード電極として備えたバイオ電池。
  8. 請求項5又は6に記載の酵素電極を備えたバイオセンサー。
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