JP2016113603A - ポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリアミド樹脂50〜90質量%と、数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂50〜10質量%と、を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、その成形体が優れた機械的性質、耐薬品性、耐久性を有することから、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空、宇宙分野等の各種部品用の材料として広く利用されている。近年、これら各種部品に関して、ポリアミド樹脂に要求される性能レベルが一層高くなってきており、このような高まる要求に応えるため、ポリアミド樹脂に異種の樹脂を混合して各々の樹脂が単独で発揮できる特性を超える混合樹脂材料を得ようとする工夫がなされている。
このような樹脂材料として、特開平05−163413号公報(特許文献1)には、数平均分子量が500〜1500であるノボラック型フェノール樹脂とポリアミド樹脂とを必須成分として溶融混合又は溶液混合してなる樹脂を樹脂成分とする成形材料が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている成形材料は、乾燥状態では強度や耐衝撃性が優れているものの、吸水状態での機械的強度が必ずしも十分なものではなかった。
また、特開平07−53862号公報(特許文献2)には、脂肪族系結晶性ポリアミド樹脂60〜95重量%、半芳香族系非晶性ポリアミド樹脂0〜20重量%、フェノ−ル樹脂5〜30重量%の混合物100重量部、ガラス繊維50〜200重量部より成るポリアミド樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示されているポリアミド樹脂組成物においても、乾燥状態では強度や剛性が優れているものの、吸水状態での機械的強度が必ずしも十分なものではなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来用いられてきたものよりも数平均分子量が大きい数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂をポリアミド樹脂と特定の割合で組み合わせることによって、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂50〜90質量%と、数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂50〜10質量%と、を含有することを特徴とするものである。
上記本発明のポリアミド樹脂組成物においては、前記ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量が1700〜50000であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものであることを特徴とするものである。
上記本発明のポリアミド樹脂成形体においては、ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選択される少なくとも一種の繊維を更に含むものであることが好ましい。
なお、本発明のポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体によって上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明においては、ポリアミド樹脂に含有させるノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量を1600〜500000とすることにより、ポリアミド樹脂のガラス転移温度を大きく向上させることができ、乾燥状態のみならず吸水状態であっても優れた機械的強度(弾性率及び強度)を示すことが可能になるものと推察される。また、ポリアミド樹脂にノボラック型フェノール樹脂を含有させることにより、ポリアミド樹脂の分子鎖内に含まれる親水的な部分にノボラック型フェノール樹脂が強く結合するようになり、水分子とポリアミド樹脂の結合が抑制され、吸水率が低下するものと推察される。これらより、本発明のポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体は、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体とすることができるようになるものと推察される。
本発明によれば、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂50〜90質量%と、数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂50〜10質量%と、を含有するものである。
(ポリアミド樹脂)
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂を50〜90質量%を含有することが必要である。ポリアミド樹脂の含有量が前記下限未満になると、脆く、成形が困難となり、前記上限を超えると、吸水状態での機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物を得ることができなくなる。なお、このようなポリアミド樹脂の含有量は、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度がより優れているポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にあるという観点から、50〜85質量%がより好ましく、50〜80質量%が特に好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂を50〜90質量%を含有することが必要である。ポリアミド樹脂の含有量が前記下限未満になると、脆く、成形が困難となり、前記上限を超えると、吸水状態での機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物を得ることができなくなる。なお、このようなポリアミド樹脂の含有量は、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度がより優れているポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にあるという観点から、50〜85質量%がより好ましく、50〜80質量%が特に好ましい。
前記ポリアミド樹脂は、アミド結合(−NH−CO−)を介して複数の単量体が重合されてなる鎖状骨格を有する重合体である。前記ポリアミド樹脂を構成する単量体としては、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸;ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω−ラウリルラクタム等のラクタム等が挙げられる。これらの単量体としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記ポリアミド樹脂としては、ジアミンとジカルボン酸との共重合によっても得ることができる。単量体としての前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノぺンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1、19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン;キシリレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらのジアミンとしては1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体としての前記ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらのジカルボン酸としては1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなポリアミド樹脂としては、炭素原子数が11である単量体を用いたポリアミド樹脂(以下、場合によりこのポリアミド樹脂を「PA11(ポリアミド11)系樹脂」と総称する)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T/2M−5T、ポリアミド9T/2M−8T等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、このようなポリアミド樹脂の中でも、融点が低く、混合時にフェノール樹脂の分解を抑制できる傾向にあるという観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド612等の脂肪族系のポリアミドからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。また、機械的強度が高くかつ吸水性が低い傾向にある半芳香族系のポリアミドの中では融点が低いポリアミドMXD6が好ましい。更に、得られるポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6及びポリアミド610からなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
前記ポリアミド6(PA6)は、炭素数が6である単量体のうち、ε−カプロラクタムを単独重合させて得られるポリアミド樹脂であり、前記ポリアミド66(PA66)は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との共重合により得られるポリアミド樹脂であり、前記ポリアミド610は、植物油であるひまし油由来のセバシン酸と石油由来のヘキサメチレンジアミンとの共重合により得られるポリアミド樹脂である。また、前記ポリアミドMXD6は、メタキシリレンジアミン(MXDA)とアジピン酸とから得られる結晶性のポリアミド樹脂である。
なお、このようなポリアミド樹脂の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このようなポリアミド樹脂としては、市販のものを用いてもよい。市販のポリアミド樹脂としては、ユニチカ社製のポリアミド6(商品名:ユニチカナイロン6「A1030BRL」)、宇部興産社製のポリアミド6(商品名:UBEナイロン「1015B」)、東レ社製のポリアミド6(商品名:アラミン(登録商標)「CM1017」)、東レ社製のポリアミド66(商品名:アラミン(登録商標)「CM3001−N」)、三菱ガス化学社製のポリアミドMXD6(商品名:レニー(登録商標)「S6001」)等が挙げられる。
また、本発明にかかるポリアミド樹脂の数平均分子量(Mn)としては、特に制限されないが、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度がより優れているポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にあるという観点から、5000〜500000が好ましく、10000〜100000がより好ましい。なお、数平均分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を行うことにより測定することができる。また、ヘキサフルオロイソプロパノール等を有機溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による液体クトマトグラフ法により測定し、ポリスチレン換算して得ることができる。
(ノボラック型フェノール樹脂)
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂を50〜10質量%含有することが必要である。ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)が、前記下限未満になると、吸水状態での機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物を得ることができなくなり、前記上限を超えると、ポリアミド6等のポリアミド樹脂と相溶せず、相分離した状態となる。なお、このようなノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)は、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度がより優れているポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にあるという観点から、1700〜50000がより好ましく、2000〜10000が特に好ましい。なお、数平均分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を行うことにより測定することができる。また、テトラヒドロフラン等を有機溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による液体クトマトグラフ法により測定し、ポリスチレン換算して得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂を50〜10質量%含有することが必要である。ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)が、前記下限未満になると、吸水状態での機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物を得ることができなくなり、前記上限を超えると、ポリアミド6等のポリアミド樹脂と相溶せず、相分離した状態となる。なお、このようなノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)は、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度がより優れているポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にあるという観点から、1700〜50000がより好ましく、2000〜10000が特に好ましい。なお、数平均分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を行うことにより測定することができる。また、テトラヒドロフラン等を有機溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による液体クトマトグラフ法により測定し、ポリスチレン換算して得ることができる。
また、このようなノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記下限未満になると、吸水状態での機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物を得ることができなくなり、前記上限を超えると、脆く、成形が困難となる。なお、このようなノボラック型フェノール樹脂の含有量は、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度がより優れているポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にあるという観点から、15〜50質量%がより好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、数平均分子量及び含有量を前記とする以外は特に制限されないが、具体的には、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒の存在下で縮合重合して製造されるもの等が挙げられる。ここで用いるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノール−A、ナフトール等の1価、並びに多価フェノール類、及びそれらの置換体が挙げられる。これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルデヒド類としては、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、n−プロパナール、n−ブタナール、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メチル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリルアルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒としては、シュウ酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、蟻酸、マレイン酸、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等が挙げられる。
なお、このようなノボラック型フェノール樹脂の中でも、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度がより優れている樹脂組成物が得られる傾向にあるという観点から、フェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、キシレノールホルムアルデヒド樹脂、ビスフェノールAホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
なお、このようなノボラック型フェノール樹脂の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このようなノボラック型フェノール樹脂としては、市販のものを用いてもよい。市販のノボラック型フェノール樹脂としては、旭有機材工業社製のノボラック型フェノール樹脂(商品名:超高分子量グレード「PAPS−PN70」)等が挙げられる。
(ポリアミド樹脂組成物の製造方法)
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂及び前記ノボラック型フェノール樹脂を、特定の比率で、かつ、ポリアミド樹脂の融点以上で混合(混練)する(混合工程)ことにより得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂及び前記ノボラック型フェノール樹脂を、特定の比率で、かつ、ポリアミド樹脂の融点以上で混合(混練)する(混合工程)ことにより得ることができる。
このような混合工程における混合方法としては、特に制限されず、例えば、押出機(一軸スクリュー押出機、二軸混練押出機等)、ニーダ及びミキサ(高速流動式ミキサ、バドルミキサ、リボンミキサ等)等の混練装置を用いて行うことができる。これらの装置は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、2種以上を併用する場合には連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。更に、このような押出機等の混練装置による混合の前に、前記ポリアミド樹脂及び前記ノボラック型フェノール樹脂を特定の比率でドライブレンド等により予混合し、その後前記押出機等の混練装置により混合を行ってもよい。
また、このような混合工程における混合温度としては、特に限定されず、溶融混合を行うことができる温度であればよい。なお、ポリアミド樹脂の種類及びノボラック型フェノール樹脂の種類により適宜調整されるものであるため一概にはいえないが、本発明に係る各樹脂が溶融された状態で混合されることができるという観点からは、230〜330℃であることが好ましく、240〜300℃であることがより好ましく、250〜270℃であることが更に好ましい。
更に、溶融混合する以外の方法としては、共に可溶な溶媒を用いて溶液混合することも可能である。
本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリアミド樹脂の仕込み量及び前記ノボラック型フェノール樹脂の仕込み量を特定の比率とすることが大切であり、このようなポリアミド樹脂組成物の製造方法において準備する樹脂原料の仕込み量としては、上記本発明のポリアミド樹脂組成物の含有量と同一となるように原料の仕込み量を設定する。このような原料全量の仕込み比が、ほぼ得られるポリアミド樹脂組成物の含有比率となる。
本発明の樹脂組成物の製造方法では、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリアミド樹脂及びノボラック型フェノール樹脂以外の他の成分を含有することができる。このような他の成分としては、上記以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、着色剤、抗酸化剤、充填剤、強化剤、抗紫外線剤、熱安定化剤、抗菌剤、帯電防止剤等を配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。なお、これら他の成分を樹脂組成物に含有せしめる場合、その含有量としては、前記樹脂組成物の全量に対して70質量%以下であることが好ましい。
前記他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ABS系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸)、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃剤としては、具体的には、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル等)、窒素系難燃剤(グアニジン、トリアジン、メラミン、及びこれらの誘導体等)、無機系難燃剤(金属水酸化物等)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃助剤としては、具体的には、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記着色剤としては、具体的には、顔料及び染料等が挙げられる。
(ポリアミド樹脂成形体及びその製造方法)
次に、本発明のポリアミド樹脂成形体について説明する。本発明のポリアミド樹脂成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。
次に、本発明のポリアミド樹脂成形体について説明する。本発明のポリアミド樹脂成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。
なお、このようなポリアミド樹脂成形体の製造方法としては、特に制限されず、公知の成形方法を適宜採用することができる。また、本発明のポリアミド樹脂成形体としては、成形体の形状、大きさ及び厚さ等も特に限定されず、その用途も特に限定されない。前記成形方法としては、具体的には、射出成形、押出成形、移送成形、真空成形、ブロー成形、発泡成形、延伸成形、プレス成形、押出複合成形、射出圧縮成形、加飾成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)及び金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂成形体及びその製造方法においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリアミド樹脂組成物以外の他の成分を含有することができる。このような他の成分としては、充填剤、強化剤、上記以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、着色剤、抗酸化剤、抗紫外線剤、熱安定化剤、抗菌剤、帯電防止剤等を配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、このような他の成分としては、前記本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれていてもよく、また、ポリアミド樹脂成形体の製造において含有せしめてもよい。なお、これら他の成分をポリアミド樹脂成形体に含有せしめる場合、その含有量としては、前記ポリアミド樹脂成形体の全量に対して70質量%以下であることが好ましい。
前記充填剤としては、具体的には、ガラス成分(ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク等)、シリカ、無機繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維)、黒鉛、珪酸化合物(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ等)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩及び硫酸塩、有機繊維(芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維、ポリイミド繊維、植物性繊維等)が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記強化剤としては、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ(単層および多層)、炭化ケイ素ウィスカ、アルミナ繊維、BN繊維、アラミド繊維、チタニア繊維、ジルコニア繊維、Si−Ti−C−O繊維、金系繊維、銀系繊維、鉄系繊維、銅系繊維、気相法炭素繊維(VGCF)、ボロン繊維、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維等の強化繊維が挙げられる。中でも、機械的特性向上の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、BN繊維、アラミド繊維、PBO繊維からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記他の熱可塑性樹脂、前記難燃剤、前記難燃助剤、前記着色剤は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において記載したものである。
なお、本発明のポリアミド樹脂成形体においては、機械強度向上の観点から、ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選択される少なくとも一種の繊維を更に含むものであることがより好ましい。含有量としては、前記ポリアミド樹脂成形体の全量に対して90質量%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。したがって、本発明のポリアミド樹脂成形体は、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れており、様々な用途に用いることができる。例えば、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野において、好適に用いることができる。具体的には、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の外装材、内装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。また、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材等が挙げられる。すなわち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材等が挙げられる。更に、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体等としても活用できる。
以上、本発明のポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体の好適な実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、ポリアミド樹脂としてポリアミド6(PA6、ユニチカ社製、標準グレード「A1030BRL」、数平均分子量(Mn):14500、融点222℃)90質量%と、ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製、超高分子量グレード「PAPS−PN70」、数平均分子量(Mn):2200、軟化点156℃)10質量%とをドライブレンドにより予め混合し、二軸溶融混練押出機(テクノベル社製、「KZW15−60MG」、クリュー径15mm、L/D=59)を用いて、温度250℃、押出速度1.0kg/時間、スクリュー回転数70rpmの条件で加熱溶融混練した。次いで、押し出された溶融混練物をペレタイザーを用いて裁断し、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
先ず、ポリアミド樹脂としてポリアミド6(PA6、ユニチカ社製、標準グレード「A1030BRL」、数平均分子量(Mn):14500、融点222℃)90質量%と、ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製、超高分子量グレード「PAPS−PN70」、数平均分子量(Mn):2200、軟化点156℃)10質量%とをドライブレンドにより予め混合し、二軸溶融混練押出機(テクノベル社製、「KZW15−60MG」、クリュー径15mm、L/D=59)を用いて、温度250℃、押出速度1.0kg/時間、スクリュー回転数70rpmの条件で加熱溶融混練した。次いで、押し出された溶融混練物をペレタイザーを用いて裁断し、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
次に、射出成形機(新興セルビック社製、「COMMAND MOBILE」)を用いて、設定温度250℃、金型温度140℃の射出条件で、得られたポリアミド樹脂組成物を射出成形せしめてポリアミド樹脂成形体を得た。次いで、このポリアミド樹脂成形体から評価試験用の試験片(長さ40mm×幅5mm×厚さ2mm)を作製した。
得られた試験片を用いて、JIS K 7171で規定される方法に準拠して曲げ試験を行い、曲げ弾性率及び曲げ強度を求めた。なお、試験片としては、前記樹脂組成物を射出成形した後、80℃で12時間以上真空乾燥したものを「乾燥状態の試験片」とした。また、この乾燥状態の試験片を、23℃の蒸留水中で重量の変化がなくなるまで吸水させたものを「吸水状態の試験片」とした。上記曲げ試験は、この「乾燥状態の試験片」及び「吸水状態の試験片」について行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。
また、吸水状態における曲げ弾性率試験時の応力−歪み曲線を図1に示す。図1の応力−歪み曲線は、インストロン社製の万能型試験機を用いて、支持間距離32mm、クロスヘッド速度1mm/分の条件で行った3点曲げ試験により得た。このときの室温は23℃、湿度は50%であった。試験片に変形(歪み)を徐々に与えていくと、戻ろうとする力(応力)がその歪み量に対応して増加していくが、歪みが一定量を超えるとそれ以上応力は上昇しなくなる点が表れる。その時の応力値が曲げ強度と定義され、また、歪みの小さい領域の応力−歪み曲線の傾きが曲げ弾性率と定義される。曲げ弾性率が大きいほどその材料は硬く、曲げ強度が高いほどその材料は壊れにくいことを示す。
(実施例2)
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図1に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図1に示す。
(実施例3)
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図1に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図1に示す。
更に、実施例3において得られたペレット状のポリアミド樹脂組成物を250℃に設定したプレス成形機により圧縮成形して貯蔵弾性率測定用の試験片(幅5mm×長さ45mm×厚み0.5mm)を得た。次いで、この試験片を、23℃の蒸留水中で重量の変化がなくなるまで吸水させたものを「吸水状態の貯蔵弾性率測定用の試験片」とした。この吸水状態の試験片について、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御(株)製「itk DVA−220」)を用いて温度範囲:−100℃〜150℃、昇温速度:5℃/分、変形モード:引張、歪み:0.05%、測定周波数:10Hz、チャック間距離:30mmの条件で動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率(GPa)を求めた。得られた結果を図3に示す。図3は、実施例3で得られたポリアミド樹脂組成物の温度と貯蔵弾性率との関係を示すグラフである。
(実施例4)
ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN4」(旭有機材工業社製)とノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を重量比30:70で混合したノボラック型フェノール樹脂(数平均分子量(Mn):1700、軟化点142℃)に代え、ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。
ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN4」(旭有機材工業社製)とノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を重量比30:70で混合したノボラック型フェノール樹脂(数平均分子量(Mn):1700、軟化点142℃)に代え、ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。
(比較例1)
樹脂原料としてポリアミド樹脂としてのポリアミド6(PA6)100質量%を用い、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、比較用ポリアミド樹脂、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用ポリアミド樹脂及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図1及び図2に示す。
樹脂原料としてポリアミド樹脂としてのポリアミド6(PA6)100質量%を用い、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、比較用ポリアミド樹脂、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用ポリアミド樹脂及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図1及び図2に示す。
また、得られた比較用樹脂組成物の貯蔵弾性率測定試験を実施例3と同様にして行った。得られた結果を図3に示す。
(比較例2)
ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」に代えてノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製、高分子量グレード「PAPS−PN4」、数平均分子量(Mn):760、軟化点108℃)10質量%を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。なお、図2の応力−歪み曲線が示す関係等は、実施例1で示した図1と同様である。
ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」に代えてノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製、高分子量グレード「PAPS−PN4」、数平均分子量(Mn):760、軟化点108℃)10質量%を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。なお、図2の応力−歪み曲線が示す関係等は、実施例1で示した図1と同様である。
(比較例3)
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は比較例2と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は比較例2と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。
(比較例4)
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は比較例2と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は比較例2と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。
更に、得られた比較用樹脂組成物の貯蔵弾性率測定試験を実施例3と同様にして行った。得られた結果を図3に示す。
(比較例5)
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が95質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が5質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミド6の混合量が95質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が5質量%となるようした以外は実施例1と同様にして、比較用樹脂組成物、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用樹脂組成物及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表1に示す。また、吸水状態における応力−歪み曲線を図2に示す。
(実施例5)
ポリアミド6「A1030BRL」を、ポリアミド66(PA66、東レ社製、標準グレード「CM3001−N」、融点264℃)に代え、ポリアミド樹脂としてのポリアミド66の混合量が90質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が10質量%となるようにし、二軸溶融混練押出機による加熱溶融混練の条件を温度270℃、押出速度1.0kg/時間、スクリュー回転数70rpm、射出成形機による射出条件を設定温度290℃、金型温度150℃とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
ポリアミド6「A1030BRL」を、ポリアミド66(PA66、東レ社製、標準グレード「CM3001−N」、融点264℃)に代え、ポリアミド樹脂としてのポリアミド66の混合量が90質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が10質量%となるようにし、二軸溶融混練押出機による加熱溶融混練の条件を温度270℃、押出速度1.0kg/時間、スクリュー回転数70rpm、射出成形機による射出条件を設定温度290℃、金型温度150℃とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(実施例6)
ポリアミド樹脂としてのポリアミド66の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミド66の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(実施例7)
ポリアミド樹脂としてのポリアミド66の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミド66の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(比較例6)
樹脂原料としてポリアミド樹脂としてのポリアミド66(PA66)100質量%を用い、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を混合しなかった以外は実施例5と同様にして、比較用ポリアミド樹脂、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用ポリアミド樹脂及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
樹脂原料としてポリアミド樹脂としてのポリアミド66(PA66)100質量%を用い、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を混合しなかった以外は実施例5と同様にして、比較用ポリアミド樹脂、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用ポリアミド樹脂及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(実施例8)
ポリアミド6「A1030BRL」を、ポリアミドMXD6(三菱ガス化学社製、標準グレード「S6001」、融点238℃)に代え、ポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6の混合量が90質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が10質量%となるようにし、二軸溶融混練押出機による加熱溶融混練の条件を温度270℃、押出速度1.0kg/時間、スクリュー回転数70rpm、射出成形機による射出条件を設定温度290℃、金型温度150℃とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
ポリアミド6「A1030BRL」を、ポリアミドMXD6(三菱ガス化学社製、標準グレード「S6001」、融点238℃)に代え、ポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6の混合量が90質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が10質量%となるようにし、二軸溶融混練押出機による加熱溶融混練の条件を温度270℃、押出速度1.0kg/時間、スクリュー回転数70rpm、射出成形機による射出条件を設定温度290℃、金型温度150℃とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(実施例9)
ポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は実施例8と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6の混合量が80質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が20質量%となるようした以外は実施例8と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(実施例10)
ポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例8と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
ポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6の混合量が70質量%、ノボラック型フェノール樹脂の混合量が30質量%となるようした以外は実施例8と同様にして、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、ポリアミド樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(比較例7)
樹脂原料としてポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6 100質量%を用い、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を混合しなかった以外は実施例8と同様にして、比較用ポリアミド樹脂、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用ポリアミド樹脂及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
樹脂原料としてポリアミド樹脂としてのポリアミドMXD6 100質量%を用い、ノボラック型フェノール樹脂「PAPS−PN70」を混合しなかった以外は実施例8と同様にして、比較用ポリアミド樹脂、比較用樹脂成形体及び評価試験用の試験片を得た。得られた比較用ポリアミド樹脂及び比較用樹脂成形体の評価試験を実施例1と同様にして行った。得られた結果を、比較用樹脂組成物の仕込み量とともに表2に示す。
(評価試験結果)
表1、表2及び図1〜図2に示した実施例1〜10の結果と比較例1〜7の結果との比較から明らかなように、実施例1〜10の本発明のポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体は、いずれも乾燥状態において十分に高い機械的強度(曲げ弾性率及び曲げ強度)を有するとともに、ポリアミド樹脂が高い吸水状態となった場合においても、十分に高い機械的強度(曲げ弾性率及び曲げ強度)を有することが確認された。
表1、表2及び図1〜図2に示した実施例1〜10の結果と比較例1〜7の結果との比較から明らかなように、実施例1〜10の本発明のポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体は、いずれも乾燥状態において十分に高い機械的強度(曲げ弾性率及び曲げ強度)を有するとともに、ポリアミド樹脂が高い吸水状態となった場合においても、十分に高い機械的強度(曲げ弾性率及び曲げ強度)を有することが確認された。
これに対して、比較例2〜4の分子量の低いノボラック型フェノール樹脂を用いた場合は、吸水状態における機械的強度がPA6(比較例1)とほとんど変わらないことが確認された。また、比較例5のノボラック型フェノール樹脂の仕込み量が少ない場合は、吸水状態における機械的強度がPA6(比較例1)とほとんど変わらないことが確認された。
また、図3に示した実施例3の結果と比較例1及び4との結果との比較から明らかなように、実施例3のポリアミド樹脂成物は、吸水状態においてガラス転移温度が室温以上となり、吸水状態においても優れた機械的性質を示すことが確認された。すなわち、比較例1の比較用樹脂組成物(PA6)が吸水状態になると、図3に示したように、その軟化温度は−40℃程度を示し、室温では機械的物性に劣るゴム状態となっていることが分る。また、比較例4の比較用樹脂組成物(分子量の低いノボラック型フェノール樹脂)を用いた場合には、吸水時のガラス転移温度は0℃までしか上昇せず、室温では弾性率が大きく低下しており、比較例1(PA6)とほとんど変化が無いことが分る。これに対し、実施例3のポリアミド樹脂成物では軟化温度は25℃まで上昇し、室温付近では弾性率の高い状態を保持していることが確認された。
以上より、本発明のポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体は、乾燥状態において十分に高い機械的強度(曲げ弾性率及び曲げ強度)を有するとともに、水中に浸漬する又は/及び高湿度環境下に放置する等、ポリアミド樹脂が高い吸水状態となった場合においても、優れた機械的強度(高い曲げ弾性率及び高い曲げ強度)を示すことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れているポリアミド樹脂組成物及びそれからなるポリアミド樹脂成形体を提供することが可能となる。
したがって、本発明のポリアミド樹脂組成物は、乾燥状態のみならず吸水状態での優れた機械的強度が要求される用途、例えば、自動車用途としては内板、エンジンカバー、吸気マニホールド、アクセルペダル、ドアハンドル等、自動車用途以外では建材、スポーツ・レジャー用品、ギア、ファスナー、コネクタ等として有用である。
Claims (4)
- ポリアミド樹脂50〜90質量%と、数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂50〜10質量%と、を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- 前記ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量が1700〜50000であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものであることを特徴とするポリアミド樹脂成形体。
- ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選択される少なくとも一種の繊維を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のポリアミド樹脂成形体。
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