JP2019218423A - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

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隆行 平井
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寛治 鷹岡
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Abstract

【課題】 十分に高い曲げ弾性率及び破断伸びをいずれも達成することができる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】 ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂を含有しており、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して前記ポリアミド樹脂の含有量が90〜10質量%であり、前記ポリカーボネート樹脂の含有量が10〜90質量%であり、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対して前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量が0.1〜4.0質量部である、ことを特徴とする樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びそれからなる樹脂成形体に関し、より詳しくは、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂を含有する樹脂組成物及びそれを成形してなる樹脂成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、成形性に優れると共に、その成形体が優れた靭性、耐摩耗性、難燃性、及び耐薬品性等を有するという特性から、自動車や電子機器をはじめとする様々な製品の部品や合成繊維の素材として、広範にわたって重用されている。また、従来より、このようなポリアミド樹脂の特性を向上及び/又は改質させることを目的として、性質の異なる樹脂をポリアミド樹脂に混合して複合化させる技術が盛んに検討されている。
例えば、特開昭62−197448号公報(特許文献1)には、A)ポリアミド及びB)ポリカーボネートをベースとする熱可塑性成形材料において、C)ヒドロキシ基−OHを有する重合体成分を、A)〜C)に対して0.1〜30質量%含有する、ポリアミドカーボネートをベースとする熱可塑性成形材料が記載されている。
また、特開2016−113603号公報(特許文献2)には、ポリアミド樹脂50〜90質量%と、数平均分子量が1600〜500000であるノボラック型フェノール樹脂50〜10質量%とを含有するポリアミド樹脂組成物が記載されている。
特開昭62−197448号公報 特開2016−113603号公報
しかしながら、上記の各種分野においては、ポリアミド樹脂に要求される性能のレベルが高くなってきており、このような高まる要求に応えるために本発明者らがさらなる検討を行ったところ、ポリアミド樹脂に異種の樹脂を混合することにより高温において十分に高い機械強度(曲げ弾性率等)を達成させようとすると、延性(破断伸び等)が低下してしまい、十分に高い曲げ弾性率及び破断伸びをいずれも達成することが困難であることを見い出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高い曲げ弾性率及び破断伸びをいずれも達成することができる樹脂組成物、及びそれからなる樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂とポリカーボネート樹脂との複合化において、比較的少量のノボラック型フェノール樹脂を組み合わせることにより、高温(例えば、80℃)においても十分に高い曲げ弾性率を達成することができ、さらに、前記ポリアミド樹脂と前記ポリカーボネート樹脂との界面強度が改善され、また、両者が均一に複合化されて、優れた延性も発揮できる樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂を含有しており、
前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して前記ポリアミド樹脂の含有量が90〜10質量%であり、前記ポリカーボネート樹脂の含有量が10〜90質量%であり、
前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対して前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量が0.1〜4.0質量部である、
ことを特徴とするものである。
本発明の樹脂組成物においては、前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド9T、及びポリアミドMXD6からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、前記ポリカーボネート樹脂が、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、及び脂環式ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、また、前記ノボラック型フェノール樹脂が、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、及びビスフェノールAノボラックからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
さらに、本発明の樹脂成形体は、上記本発明の樹脂組成物を成形してなるものであることを特徴とするものである。
なお、本発明の構成によって前記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂に加えて、第3の成分として、ノボラック型フェノール樹脂を特定量含有する。ノボラック型フェノール樹脂は2個以上のヒドロキシ基(−OH)を有するため、このヒドロキシ基と、前記ポリアミド樹脂が有するアミド結合(−NH−CO−)並びに前記ポリカーボネート樹脂が有する炭酸エステル結合(−O−CO−O−)との間で強固な水素結合が形成される。そのため、前記ポリアミド樹脂と前記ポリカーボネート樹脂とがこれらの水素結合を介して接着され、両樹脂相間の界面強度が強くなり、また、両樹脂が均一に複合化されるものと本発明者らは推察する。
また、このようにヒドロキシ基を有する前記ノボラック型フェノール樹脂は、前記ポリアミド樹脂と前記ポリカーボネート樹脂とのアミド−エステル交換反応の触媒としても機能することが可能である。そのため、本発明の樹脂組成物中では前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の少なくとも一部でこれらのコポリマーが形成され、これが前記ポリアミド樹脂と前記ポリカーボネート樹脂との界面に存在して両者の界面エネルギーを十分に低下させることが可能となる。本発明者らは、この点も両樹脂相間の界面強度が強くなり、また、両樹脂が均一に複合化される理由であると推察する。そして、このように両樹脂相間の界面強度が改善される結果、本発明の樹脂組成物によれば、耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂によって高温においても十分に高い曲げ弾性率を達成することが可能になると共に、優れた延性をも発揮することが可能となると本発明者らは推察する。
他方、前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量が本発明に係る特定量を超えて多くなりすぎると、前記ノボラック型フェノール樹脂による上記の触媒機能によって、前記ポリアミド樹脂と前記ポリカーボネート樹脂とが過剰に反応し、逆に曲げ弾性率及び延性が低下するものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、十分に高い曲げ弾性率及び破断伸びをいずれも達成することができる樹脂組成物、及びそれからなる樹脂成形体を提供することが可能となる。また、本発明によれば、上記特性に加えて、十分に低い溶融粘度を有し、高い曲げ強度も達成することができる樹脂組成物、及びそれからなる樹脂成形体を提供することも可能となる。
実施例1で得られた樹脂成形体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例2で得られた樹脂成形体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例3で得られた樹脂成形体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1で得られた樹脂成形体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明の樹脂組成物は、 ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂を含有しており、
前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して前記ポリアミド樹脂の含有量が90〜10質量%であり、前記ポリカーボネート樹脂の含有量が10〜90質量%であり、
前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対して前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量が0.1〜4.0質量部である。
<ポリアミド樹脂>
本発明において、ポリアミド樹脂とは、アミド結合(−NH−CO−)を介して複数の単量体が単独重合又は共重合されてなる鎖状骨格を有する重合体(ポリアミド)及びこれらの混合物を示す。このようなポリアミドを得る方法としては、特に制限されず、公知の方法又はそれに準じた方法を適宜採用することができる。
前記ポリアミドを構成する単量体としては、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸;ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω−ラウリルラクタム等のラクタム等が挙げられる。これらの単量体としては、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記ポリアミドとしては、ジアミン及びジカルボン酸を単量体とする共重合体であってもよい。前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノぺンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1、19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン;キシリレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなポリアミドとしては、例えば、前記単量体として炭素数が11である単量体を用いて得られるポリアミド11(PA11);炭素数が6である単量体のうち、ε−カプロラクタムを単独重合させて得られるポリアミド6(PA6);ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との共重合により得られるポリアミド66(PA66);植物油であるひまし油由来のセバシン酸と石油由来のヘキサメチレンジアミンとの共重合により得られるポリアミド610(PA610);ポリアミド612(PA612);ポリアミド12(PA12);ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との共重合により得られるポリアミド6T(PA6T);ポリアミド6I(PA6I);ポリアミド9T(PA9T);ポリアミドM5T(PAM5T);ポリアミド1010(PA1010);ポリアミド1012(PA1012);ポリアミド10T;メタキシリレンジアミン(MXDA)とアジピン酸とから得られる結晶性のポリアミドであるポリアミドMXD6;ポリアミド6T/66;ポリアミド6T/6I;ポリアミド6T/6I/66;ポリアミド6T/2M−5T;ポリアミド9T/2M−8Tが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのポリアミドの中でも、本発明に係るポリアミド樹脂としては、高温における曲げ弾性率がより低いためにポリカーボネート樹脂による物性向上効果(特に、高温における機械強度(曲げ弾性率等)向上効果)がより顕著に奏される傾向にある観点からは、分子内に芳香環を含まないポリアミドである脂肪族ポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012)、及び半芳香族ポリアミド(例えば、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6)からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド9T、及びポリアミドMXD6からなる群から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種を含有することがさらに好ましく、また、これらの好ましいポリアミド(2種以上である場合には混合物)を、前記ポリアミド樹脂の全質量に対して80質量%以上、より好ましくは100質量%含有することが好ましい。
また、本発明に係るポリアミド樹脂の分子量としては、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による数平均分子量(ポリスチレン換算)で、5,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜100,000であることがより好ましい。
さらに、本発明に係るポリアミド樹脂としては、250℃における溶融粘度が1〜10,000Pa・sであることが好ましく、10〜1,000Pa・sであることがより好ましい。前記溶融粘度が前記下限未満であると、ポリカーボネート樹脂との混合がし難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂組成物の流動性が低下して成形が困難となる傾向にある。
また、本発明に係るポリアミド樹脂としては、ガラス転移温度が−50〜200℃であることが好ましく、0〜150℃であることがより好ましい。前記ガラス転移温度が前記下限未満であると、樹脂成形体の低温(例えば、室温程度)における曲げ弾性率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、さらなるガラス転移温度向上効果は期待できなくなる傾向にある。
なお、このようなポリアミド樹脂としては、例えば、ユニチカ株式会社製のポリアミド6(商品名:ユニチカナイロン6「A1030BRL」)、宇部興産株式会社製のポリアミド6(商品名:UBEナイロン「1015B」)、東レ株式会社製のポリアミド6(商品名:アラミン(登録商標)「CM1017」)、東レ株式会社製のポリアミド66(商品名:アラミン(登録商標)「CM3001−N」)、三菱ガス化学株式会社製のポリアミドMXD6(商品名:レニー(登録商標)「S6001」)等の市販のものを用いてもよい。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明において、ポリカーボネート樹脂とは、炭酸エステル結合(−O−CO−O−)を有する鎖状又は分岐鎖状の重合体(ポリカーボネート)及びこれらの混合物を示す。前記ポリカーボネートは、例えば、ヒドロキシ化合物、又はヒドロキシ化合物及び少量のポリヒドロキシ化合物と、カーボネート前駆体とを反応させることによって得ることができる。前記反応方法としては、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、及び環状カーボネート化合物の開環重合法等の公知の方法又はそれに準じた方法を適宜採用することができる。
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、2価のフェノール化合物が挙げられ、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA等]、ジヒドロキシベンゼン類[1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)等]、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン等]、ジヒドロキシジアリールエーテル類[2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等]、ジヒドロキシジアリールスルフィド類[4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等]、ジヒドロキシジアリールスルホキシド類[4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等]、ジヒドロキシジアリールスルホン類[4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等]、エーテルジオール類[イソソルビド、イソマンニド、イソイディッド等]が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記ヒドロキシ化合物には、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等や、3価以上のフェノール化合物を組み合わせて用いてもよい。
前記カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、及び炭酸ジエステルが挙げられ、例えば、ホスゲン;前記ヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、モノクロロホルメート体等のハロホルメート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなポリカーボネートとしては、例えば、芳香族ポリカーボネート、半芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂環式ポリカーボネートが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのポリカーボネートの中でも、本発明に係るポリカーボネート樹脂としては、高温における弾性率に優れ、成形加工性にも優れる傾向にある観点から、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、及び脂環式ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、芳香族ポリカーボネート及び脂環式ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、ポリ−4,4’−イソプロピリデン−ジフェニルカーボネート及びポリイソソルビドカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種を含有することがさらに好ましく、また、これらの好ましいポリカーボネート(2種以上である場合には混合物)を、前記ポリカーボネート樹脂の全質量に対して80質量%以上、より好ましくは100質量%含有することが好ましい。
また、本発明に係るポリカーボネート樹脂の分子量としては、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による数平均分子量(ポリスチレン換算)で、5,000〜40,000であることが好ましく、10,000〜30,000であることがより好ましい。
さらに、本発明に係るポリカーボネート樹脂としては、250℃における溶融粘度が1〜10,000Pa・sであることが好ましく、10〜1,000Pa・sであることがより好ましい。前記溶融粘度が前記下限未満であると、ポリアミド樹脂との混合がし難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂組成物の流動性が低下して成形が困難となる傾向にある。
また、本発明に係るポリカーボネート樹脂としては、ガラス転移温度が80〜200℃であることが好ましく、100〜180℃であることがより好ましい。前記ガラス転移温度が前記下限未満であると、得られる樹脂成形体の高温における曲げ弾性率の向上効果が十分に奏されない(ポリアミド樹脂の高温における弾性率を向上させる効果が小さくなる)傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂組成物の流動性が低下して成形が困難となる傾向にある。
なお、このようなポリカーボネート樹脂としては、例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のポリ−4,4’−イソプロピリデン−ジフェニルカーボネート(商品名:ユーピロン「S−2000」)、帝人株式会社製のポリ−4,4’−イソプロピリデン−ジフェニルカーボネート(商品名:パンライト)、三菱ケミカル株式会社製のポリイソソルビドカーボネート(商品名:デュラビオ)等の市販のものを用いてもよい。
<ノボラック型フェノール樹脂>
本発明において、ノボラック型フェノール樹脂とは、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で共重合せしめてなる重合体(ノボラック型フェノール)及びこれらの混合物を示す。このようなノボラック型フェノールを得る方法としては、特に制限されず、公知の方法又はそれに準じた方法を適宜採用することができる。
前記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ナフトール等の1価及び多価のフェノール類、並びにそれらの置換体が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、n−プロパナール、n−ブタナール、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メチル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリルアルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒドが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記酸性触媒としては、例えば、シュウ酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、蟻酸、マレイン酸、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなノボラック型フェノールとしては、例えば、フェノールノボラック等のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾールノボラック等のクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレノール−ホルムアルデヒド樹脂、ビスフェノールAノボラック等のビスフェノールA−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのノボラック型フェノールの中でも、本発明に係るノボラック型フェノール樹脂としては、熱的安定性と前記ポリアミド樹脂に対する相溶性の観点から、フェノール、クレゾール及びビスフェノールAのうちの少なくとも1種のフェノール類と、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドのうちの少なくとも1種のアルデヒド類との共重合体を含有することが好ましく、また、前記フェノール類と前記アルデヒド類とのモル比(フェノール類のモル数:アルデヒド類のモル数)が1.0:0.1〜3.0(より好ましくは1:0.3〜2.0、さらに好ましくは1:0.5〜1.0)である共重合体を含有することがより好ましく、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、及びビスフェノールAノボラックからなる群から選択される少なくとも1種を含有することがさらに好ましい。また、本発明に係るノボラック型フェノール樹脂としては、上記の好ましいノボラック型フェノール(2種以上である場合には混合物)を、前記ノボラック型フェノール樹脂の全質量に対して80質量%以上、より好ましくは100質量%含有することが好ましい。
また、本発明に係るノボラック型フェノール樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による数平均分子量(ポリスチレン換算)で、500〜5,000であることが好ましく、800〜3,000であることがより好ましい。前記分子量が前記下限未満であると、ポリアミド樹脂との混練過程で分解・揮発したり、樹脂成形体のガラス転移温度が低下したりする傾向にあり、他方、前記上限を超えると、溶融粘度が高くなって、樹脂組成物の溶融粘度も高くなる傾向にある。
また、本発明に係るノボラック型フェノール樹脂としては、ガラス転移温度が50〜250℃であることが好ましく、70〜200℃であることがより好ましい。前記ガラス転移温度が前記下限未満であると、樹脂成形体のガラス転移温度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂との混合がし難くなる傾向にある。
なお、このようなノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、旭有機材株式会社製のAVライト(商品名)「SP1006N」)、住友ベークライト株式会社製のスミライトレジン(商品名)等の市販のものを用いてもよい。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、及び前記ノボラック型フェノール樹脂を含有する。
本発明の樹脂組成物において、前記ポリアミド樹脂の含有量(混合物である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して、10〜90質量%であることが必要である。前記ポリアミド樹脂の含有量としては、15〜85質量%であることが特に好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。前記ポリアミド樹脂の含有量が前記下限未満であると、成形性及び得られる樹脂成形体の耐薬品性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂成形体において高温での十分な曲げ弾性率が達成されなくなる傾向にある。
本発明の樹脂組成物において、前記ポリカーボネート樹脂の含有量(混合物である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して、10〜90質量%であることが必要である。前記ポリカーボネート樹脂の含有量としては、15〜85質量%であることが特に好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。前記ポリカーボネート樹脂の含有量が前記下限未満であると、得られる樹脂成形体において高温での十分な曲げ弾性率が達成されなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、成形性及び樹脂成形体の耐薬品性が低下する傾向にある。
また、本発明の樹脂組成物において、前記ポリアミド樹脂の含有量と前記ポリカーボネート樹脂の含有量との比(ポリアミド樹脂の含有量:ポリカーボネート樹脂の含有量)としては、上記のポリアミド樹脂の含有量及びポリカーボネート樹脂の含有量と同様の観点から、90:10〜10:90であることが好ましく、15:85〜85:15であることがより好ましく、20:80〜80:20であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物において、前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量(混合物である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対して、0.1〜4.0質量部であることが必要である。前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量としては、0.1〜3.5質量部であることが特に好ましく、0.1〜3.0質量部であることがさらに好ましい。前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量が前記下限未満であると、曲げ弾性率及び破断伸びの向上効果が十分に奏されなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ノボラック型フェノール樹脂のアミド−エステル交換反応の触媒機能によって、ポリアミド樹脂とポリカーボネート樹脂とが過剰に反応し、粘度が上昇して成形が困難となったり、樹脂成形体の曲げ弾性率及び破断伸びが低下したりする傾向にある。
また、本発明の樹脂組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、及び前記ノボラック型フェノール樹脂以外の他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、上記以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、着色剤、抗酸化剤、抗紫外線剤、熱安定化剤、抗菌剤、帯電防止剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ABS系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃剤としては、具体的には、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル等)、窒素系難燃剤(グアニジン、トリアジン、メラミン、及びこれらの誘導体等)、無機系難燃剤(金属水酸化物等)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃助剤としては、具体的には、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記着色剤としては、具体的には、顔料及び染料等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物がこれらの他の成分をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、及び前記ノボラック型フェノール樹脂の合計100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。前記含有量が前記上限を超えると、成形性が低下したり得られる樹脂成形体においてガラス転移温度が低下する傾向にある。
また、本発明の樹脂組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、充填剤及び/又は強化材をさらに含有していてもよい。前記充填剤及び強化材としては、具体的には、ガラス成分(ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク等);シリカ;炭化ケイ素ウィスカ;アルミナ繊維、BN繊維、アラミド繊維、チタニア繊維、ジルコニア繊維、Si−Ti−C−O繊維、金系繊維、銀系繊維、鉄系繊維、銅系繊維、気相法炭素繊維(VGCF)、ボロン繊維、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維等の強化繊維;黒鉛;珪酸化合物(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー等);金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ等);カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の炭酸塩及び硫酸塩;有機繊維(芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維、ポリイミド繊維、植物性繊維等)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物がこれらの充填剤及び/又は強化材をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、及び前記ノボラック型フェノール樹脂の合計100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましい。前記含有量が前記上限を超えると、成形性が低下する傾向にある。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法又はそれに準じた方法を適宜採用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、前記ノボラック型フェノール樹脂、及び必要に応じて前記他の成分や充填剤、強化材を、上記の特定の含有量となるように配合して混合することにより得ることができる。前記樹脂組成物の製造時における各原料の配合比はほぼ得られる樹脂組成物及び樹脂成形体における各成分の含有比となる。
前記混合の方法としては、溶融混練や溶液混合等が挙げられる。例えば、前記溶融混練としては、押出機(一軸スクリュー押出機、二軸混練押出機等)、ニーダ、又はミキサ(高速流動式ミキサ、バドルミキサ、リボンミキサ等)等の混練装置を用いる方法が挙げられる。これらの装置は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、2種以上を併用する場合には連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。さらに、このような混練装置による混合の前に、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、前記ノボラック型フェノール樹脂等を前記含有量となるようにドライブレンド等により予備混合し、その後、前記混練装置を用いて溶融混練してもよい。
また、前記溶融混練時の温度としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、及び前記ノボラック型フェノール樹脂を溶融混練できる温度であれば特に制限はなく、また、前記ポリアミド樹脂、前記ポリカーボネート樹脂、及び前記ノボラック型フェノール樹脂の種類により適宜設定されるものであるため、一概にはいえないが、例えば、200〜300℃が好ましく、210〜270℃がより好ましい。
〔樹脂成形体〕
次に、本発明の樹脂成形体について説明する。本発明の樹脂成形体は、前記本発明の樹脂組成物を成形してなるものである。このような本発明の樹脂成形体は、高温(例えば、80℃)においても、機械的性質(曲げ弾性率、曲げ強度、破断伸び等)に優れる。さらに、本発明の樹脂組成物及び樹脂成形体では、前記ポリアミド樹脂と前記ポリカーボネート樹脂との界面強度が十分に強く、また、両者が均一に複合化されているため、結果として、耐薬品性の向上、吸水率の低下、ガラス転移温度の上昇、外観の向上も可能となる。
また、本発明の樹脂組成物は、溶融粘度が低く、高い流動性を有しており、成形性に優れているため、本発明の樹脂成形体の製造方法としては特に制限はなく、従来公知の方法又はそれに準じた方法を適宜採用することができる。具体的には、射出成形、押出成形、移送成形、真空成形、ブロー成形、発泡成形、延伸成形、プレス成形、押出複合成形、射出圧縮成形、加飾成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の従来公知の成形方法を適宜選択して、所望の形状、大きさ、厚さの成形体を容易に製造することができる。
本発明の樹脂成形体としては、その形状、大きさ、及び厚さは特に制限されず、その用途も特に制限されない。例えば、本発明の樹脂成形体は、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等の外装材、内装材及び構造材として用いることができる。前記自動車の外装材、内装材及び構造材としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、自動車用衝撃エネルギー吸収材、自動車用歩行者保護材、自動車用乗員保護材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。さらに、本発明の樹脂成形体は、建築物、家具等の内装材、外装材及び構造材、具体的には、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材及び構造材等としても用いることができ、その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体としても用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における樹脂組成物の混練トルク測定、並びに、各実施例及び比較例で得られた樹脂成形体の曲げ弾性率・曲げ強度・破断伸び測定、及び断面評価は、それぞれ以下の方法によりおこなった。
<混練トルク測定>
各実施例及び比較例での樹脂組成物の溶融混練において、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用い、温度250℃、回転数100rpmの条件で混練に要したトルク(混練トルク、単位:N・m)を測定した。
<曲げ弾性率・曲げ強度・破断伸び測定>
各実施例及び比較例で得られた樹脂成形体について、80℃に設定した恒温槽中で10分間静置した後、万能試験機(インストロン ジャパン カンパニイ リミテッド製)を用い、支点間距離:32mm、変位速度:1mm/sec、温度:80℃の条件で曲げ試験を実施し、得られた荷重−たわみ曲線から80℃における曲げ弾性率(単位:GPa)を求めた。また、前記曲げ試験において、樹脂成形体への荷重の負荷に対する応力(戻ろうとする力)の最大値を求めて、80℃における曲げ強度(単位:MPa)とした。さらに、前記曲げ試験で破断後の樹脂成形体の評点間距離を、該曲げ試験前の原評点間距離(32mm)に対する割合で表した値を破断伸び(単位:%)として求めた。
<断面評価>
各実施例及び比較例で得られた樹脂成形体を液体窒素で十分に冷却した後、打撃を加えて破断し、凍結破断面を作製した。作製した樹脂成形体の断面(凍結破断面)について、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテクマニファクチャ&サービス製、「S−3600N」)を用いて、加速電圧1.5kV、倍率1000倍の条件で観察した。観察された断面について、以下の基準:
A:樹脂相間の界面が観察されず、極めて一様な外観を有している
B:樹脂相間の界面が観察されるものの各相の界面間は接着しており、一様な外観を有している
C:樹脂相間の界面が明瞭に観察され、かつ、各相が分離して外観が一様ではない
に基づいて評価をした。なお、A>B>Cの順に、ポリアミド樹脂とポリカーボネート樹脂との複合化が良好であるといえる。
(実施例1)
ポリアミド樹脂(ポリアミド6(PA)、商品名:A1030BRL(ユニチカ株式会社製))50質量部、ポリカーボネート樹脂(ポリ−4,4’−イソプロピリデン−ジフェニルカーボネート(PC)、商品名:ユーピロン「S−2000」(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製))50質量部、及びノボラック型フェノール樹脂(PN、商品名:AVライト「SP1006N」(旭有機材株式会社製))0.3質量部をドライブレンドした後、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、250℃において5分間、溶融混練を実施し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の組成を下記の表1に示す。なお、表1中、「PA+PC内質量%」は、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対する各含有量[質量%]を、「対PA+PC質量部」は、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対する各質量部を、それぞれ示す(以下同じ)。
次いで、得られた樹脂組成物を、プレス成形(温度:250℃、圧力:6MPa)で厚さ2mm、幅100mm、長さ100mmの平板状に成形し、厚さ2mm、幅20mm、長さ100mmの大きさに切り出し、80℃で12時間真空乾燥させて樹脂成形体を得た。
(実施例2〜3、比較例2)
ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂の配合量をそれぞれ下記の表1に示す量としたこと以外は実施例1と同様にして各樹脂組成物及び樹脂成形体を得た。
(比較例1)
ノボラック型フェノール樹脂を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂成形体を得た。
(比較例3)
ノボラック型フェノール樹脂に代えて、ポリビニルアルコール(PVA、商品名:ゴーセノール「N−300」(日本合成化学株式会社製))を用い、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びポリビニルアルコールの配合量を下記の表1に示す量としたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂成形体を得た。
各実施例及び比較例における樹脂組成物の混練トルク測定、並びに、各実施例及び比較例で得られた樹脂成形体の曲げ弾性率・曲げ強度・破断伸び測定を実施した。得られた結果を下記の表2に示す。また、実施例1〜3及び比較例1で得られた樹脂成形体の断面評価を実施した。得られた結果を下記の表2に示し、各樹脂成形体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1〜図4にそれぞれ示す(表2中には、対応する図番号を示す)。なお、表2中、「10<」は、破断伸びが10%以上であったことを示す。
表2及び図1〜図3に示した結果から明らかなように、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び特定量以下(ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対して4.0質量部以下)のノボラック型フェノール樹脂を組み合わせた本発明の樹脂組成物からなる樹脂成形体(実施例1〜3)では、断面の外観が極めて一様であり、ポリアミド樹脂とポリカーボネート樹脂とが均一に複合化していることが確認された。また、これらの樹脂組成物においては混練トルクが十分に小さく、すなわち溶融粘度が十分に低く、成形性に優れることも確認された。さらに、本発明の樹脂組成物からなる樹脂成形体(実施例1〜3)では、80℃の高温においても曲げ弾性率が十分に高く、かつ、破断伸びも十分に大きいことが確認された。これは、上記のようにポリアミド樹脂とポリカーボネート樹脂とが均一に複合化され、破壊の起点が十分に少なくなったためであると推察される。
他方、ノボラック型フェノール樹脂を配合しなかった樹脂成形体(比較例1)では、ポリアミド樹脂とポリカーボネート樹脂との界面が明瞭に確認されて断面評価はCであり(図4)、両者は均一に複合化されておらず、さらに、曲げ弾性率や破断伸びも低いものであった。また、ノボラック型フェノール樹脂に代えて、同じくヒドロキシ基を有するポリビニルアルコールを配合した樹脂成形体(比較例3)では、比較例1と比べて破断伸びは向上したものの、80℃における曲げ弾性率及び曲げ強度はいずれも低下した。さらに、ノボラック型フェノール樹脂を配合した場合であっても上記の特定量を超えて配合した樹脂組成物からなる樹脂成形体(比較例2)では、比較例1と比べて破断伸びの向上効果は低く、80℃における曲げ弾性率については逆に低下した。さらに、比較例2では、混練中のトルクが上昇しすぎて成形性が低下することも確認された。
以上説明したように、本発明によれば、十分に高い曲げ弾性率及び破断伸びをいずれも達成することができる樹脂組成物、及びそれからなる樹脂成形体を提供することが可能となる。また、本発明によれば、十分に低い溶融粘度を有し、高い曲げ強度も達成することができる樹脂組成物、及びそれからなる樹脂成形体を提供することも可能となる。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂を含有しており、
    前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して前記ポリアミド樹脂の含有量が90〜10質量%であり、前記ポリカーボネート樹脂の含有量が10〜90質量%であり、
    前記ポリアミド樹脂及び前記ポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対して前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量が0.1〜4.0質量部である、
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド9T、及びポリアミドMXD6からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂が、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、及び脂環式ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ノボラック型フェノール樹脂が、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、及びビスフェノールAノボラックからなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなるものであることを特徴とする樹脂成形体。
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