JP2023018424A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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哲也 安井
Tetsuya Yasui
知之 中川
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Abstract

【課題】耐塩化カルシウム性が良好で、水を溶媒とした場合及びメタノールを溶媒とした場合のソックスレーによる抽出法による抽出量が低く、絶縁性があり、吸水量が低く、吸水時の機械的特性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)を60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)を5~40質量%含むポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂(A)は、JIS K6920-2に準拠して、25℃で測定した相対粘度が1.9以上5.0以下であり、前記ノボラック型フェノール樹脂(B)は、軟化点温度が130℃以下であり、前記ポリアミド樹脂組成物を、水を溶媒としたソックスレーによる抽出法により6時間抽出した際の抽出分が、抽出に用いたポリアミド樹脂組成物100質量%に対して1.5質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関する。
自動車業界では燃料費節減のため,車体の軽量化,防錆,遮音効果などを目的に従来の金属部品を樹脂部品で代替する傾向がある。なかでも,ナイロン6やナイロン66は耐熱性,剛性が高いため自動車部品材料として相当の使用実績がある。しかし,これらのポリアミドは塩化カルシウム,塩化マグネシウム,塩化亜鉛,岩塩などのハロゲン化金属塩を用いた道路凍結防止剤に侵されひび割れ(クラック)を生じ易いという欠点があった。この欠点を改良するため,いくつかの方法が提案されている。
特許文献1には、ポリアミド90~60重量%、フェノール化合物5~30重量%及びエチレン系エラストマー5~25重量%を含むポリアミド樹脂組成物からなる耐道路凍結防止剤性および低吸水性を有するポリアミド樹脂からなる自動車用アンダー・フード部品が開示されている。このフェノール化合物としては、ノボラック型フェノール樹脂が使用されている。
ポリアミド樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを含むポリアミド樹脂組成物は、特許文献2~4にも開示されている。
特許文献2には、ポリアミド樹脂と高分子量のノボラック型フェノール樹脂とを含むポリアミド樹脂組成物が、ポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度を大きく向上させることができ、乾燥状態のみならず吸水状態であっても機械的強度に優れていることが記載されている。
特許文献3には、ポリアミド樹脂に1~15重量%のノボラック型フェノール樹脂を添加したポリアミド樹脂組成物が、メルトフローインデックスを高めることができることが記載されている。
特許文献4には、低溶融粘度のポリアミド樹脂と低分子量のノボラック型フェノール樹脂とフィラーとを含むポリアミド樹脂組成物が、フィラーを高含有量で含みながら溶融流動性に優れることが記載されている。
特開昭60-188456号公報 特開2016-113603号公報 特表2011-500875号公報 特開2003-246934号公報
しかしながら、特許文献1では、特定量のエチレン系エラストマーを含むため、ポリアミド樹脂組成物としての機械物性や耐熱性が低下してしまう事があった。特許文献2では、ノボラック型フェノール樹脂が高分子量であるため、ポリアミド樹脂組成物の流動性が低下し、十分な成形加工性が得られない場合があった。特許文献3では、ノボラック型フェノール樹脂の含有量が少ないため、ポリアミド樹脂の吸水抑制が十分できない場合があった。特許文献4では、低溶融粘度のポリアミド樹脂と低分子量のノボラック型フェノール樹脂とを組み合わせるため、分子量が低く無機フィラーの量が多くなり、耐衝撃性が低下してしまうことがあった。
本発明は、耐塩化カルシウム性が良好で、水を溶媒とした場合及びメタノールを溶媒とした場合のソックスレーによる抽出法による抽出量が低く、絶縁性があり、吸水量が低く、吸水時の機械的特性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、たとえば以下の[1]~[8]である。
[1]ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)を60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)を5~40質量%含むポリアミド樹脂組成物であって、
前記ポリアミド樹脂(A)は、JIS K6920-2に準拠して、25℃で測定した相対粘度が1.9以上5.0以下であり、
前記ノボラック型フェノール樹脂(B)は、軟化点温度が130℃以下であり、
前記ポリアミド樹脂組成物を、水を溶媒としたソックスレーによる抽出法により6時間抽出した際の抽出分が、抽出に用いたポリアミド樹脂組成物100質量%に対して1.5質量%以下であるポリアミド樹脂組成物。
[2]前記ノボラック型フェノール樹脂(B)が、下記式(1)で表されるノボラック型フェノール樹脂である[1]のポリアミド樹脂組成物。
Figure 2023018424000001

(上記式(1)中、nは、1~200である。)
[3]前記ポリアミド樹脂(A)が、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)からなる群から選択される少なくとも1種を含む[1]又は[2]のポリアミド樹脂組成物。
[4]前記ノボラック型フェノール樹脂(B)は、軟化点温度が110~130℃である[1]~[3]3のいずれかのポリアミド樹脂組成物。
[5]前記ポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂成分として、ノボラック型フェノール樹脂(B)を主成分として含む[1]~[4]のいずれかのポリアミド樹脂組成物。
[6]実質的にエチレン系エラストマーを含まない[1]~[5]のいずれかのポリアミド樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれかのポリアミド樹脂組成物の成形品。
[8]自動車部品である[7]の成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、水を溶媒とした場合及びメタノールを溶媒とした場合のソックスレーによる抽出法による抽出量が低く、耐塩化カルシウム性が良好で、絶縁性があり、吸水量が低く、吸水時の機械的特性に優れる。
本発明は、ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)を60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)を5~40質量%含むポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂(A)は、JIS K6920-2に準拠して、25℃で測定した相対粘度が3.0~4.5であり、前記ノボラック型フェノール樹脂(B)は、軟化点温度が130℃以下であり、前記ポリアミド樹脂組成物を、水を溶媒としたソックスレーによる抽出法により6時間抽出した際の抽出分が、抽出に用いたポリアミド樹脂組成物100質量%に対して1.5質量%以下であるポリアミド樹脂組成物に関する。
本明細書において、「実質的に含まない」とは、ポリアミド樹脂組成物の特性やポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の機能や特性に変化を及ぼす程度には含まないという意味であり、機能や特性を損なわない程度に含まれることを排除するものではない。
<ポリアミド樹脂(A)>
ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)を含む。
ポリアミド樹脂(A)としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)、芳香族ホモポリアミド樹脂(A-3)及び芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、成形性の観点から、ポリアミド樹脂(A)は、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)を含むことがより好ましい。
(A-1)脂肪族ホモポリアミド樹脂
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)は、1種類の脂肪族の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)は、1種類のラクタム及び当該ラクタムの加水分解物であるアミノカルボン酸の少なくとも一方からなるものであってもよく、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸との組合せからなるものであってもよい。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
ラクタムとしては、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン、ラウロラクタム等が挙げられる。
これらの中でも重合生産の観点から、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム、及びラウロラクタムからなる群から選択される1種が好ましい。
また、アミノカルボン酸としては6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が挙げられる。
これらの中でも重合生産の観点から、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸からなる群から選択される1種が好ましい。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-/1,4-シクロヘキシルジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3-/1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミン等の脂環式ジアミン等が挙げられる。
これらの中でも重合生産性の観点から、脂肪族ジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミンがより好ましい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-/1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン-4,4’-ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸からなる群から選択される1種がより好ましく、アジピン酸又はドデカンジオン酸が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)として具体的には、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリエナントラクタム(ポリアミド7)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリラウロラクタム(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリアミド122等が挙げられる。脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)は1種単独で用いても、2種以上を組合せた混合物として用いてもよい。
中でも脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)は、重合生産性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610及びポリアミド612からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610及びポリアミド612ら選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド6が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の相対粘度は、JIS K 6920-2に準拠し、脂肪族ホモポリアミド1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される。脂肪族ホモポリアミドの相対粘度は、1.9以上5.0以下であることが好ましく、2.3以上4.5以下であることがより好ましく、2.7以上4.3以下であることがさらに好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、3.2以上4.2以下が特に好ましい。相対粘度が上記範囲であると成形加工性が良く、機械物性も良好である。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。
(A-2)脂肪族共重合ポリアミド樹脂
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)は、2種以上の脂肪族の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)は、ジアミンとジカルボン酸との組合せ、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群から選択されるモノマーの共重合体である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
ジアミンとしては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。ジアミンは1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これらの中でも重合生産性の観点から、脂肪族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、直鎖状脂肪族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ヘキサメチレンジアミンが更に好ましい。
ジカルボン酸としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。ジカルボン酸は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これらの中でも脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、アジピン酸及びドデカンジオン酸からなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
ラクタムとしては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。ラクタムは1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも重合生産の観点から、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、アミノカルボン酸としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。アミノカルボン酸は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これらの中でも重合生産の観点から、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)として具体的には、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ポリアミド6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウロラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウロラクタム共重合体(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/66/612)等の脂肪族共重合ポリアミドが挙げられる。脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)は1種単独で用いても、2種以上を組合せた混合物として用いてもよい。
これらの中でも、成形品の吸水率を抑制し、機械的強度を保つ観点から、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6/66及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド6/66が特に好ましい。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)の製造装置、重合方法としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の項で例示したものと同様のものが挙げられる。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)の相対粘度は、成形加工性と機械物性の観点から、JIS K 6920-2に準拠し、脂肪族共重合ポリアミド1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が1.9以上5.0以下であることが好ましく、2.3以上4.5以下であることがより好ましく、2.7以上4.3以下であることがさらに好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、3.2以上4.2以下が特に好ましい。相対粘度が上記範囲であると成形加工性が良く、機械物性も良好である。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)の末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。末端アミノ基濃度が前記範囲にあると、強化材との密着性や他樹脂への接着性の点から好ましい。
(A-3)芳香族ホモポリアミド樹脂
芳香族ホモポリアミド樹脂(A-3)とは、芳香族系モノマー成分由来の1種類の構成単位からなる芳香族ポリアミド樹脂であり、例えば、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン、または芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンを原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
原料の脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸としては、前記の脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられ、脂環式ジアミン及び脂環式ジカルボン酸として例示したものも含まれる。
芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
芳香族ホモポリアミド樹脂(A-3)の具体的な例としては、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T) 、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)などが挙げられる。芳香族ホモポリアミド樹脂(A-3)は1種単独で用いても、2種以上を組合せた混合物として用いてもよい。
芳香族ホモポリアミド樹脂(A-3)の製造装置、重合方法としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の項で例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明における(A-3)芳香族ホモポリアミド樹脂の重合度には特に制限はないが、成形加工性と機械物性の観点から、JIS K 6920-2に従い、(A-3)芳香族共重合ポリアミドの樹脂温度25℃で測定した相対粘度が、1.9以上5.0以下であることが好ましく、2.3以上4.5以下であることがより好ましく、2.7以上4.3以下であることがさらに好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、3.2以上4.2以下が特に好ましい。
(A-4)芳香族共重合ポリアミド樹脂
芳香族ポリアミドとは、芳香族系モノマー成分を少なくとも1成分含む芳香族ポリアミド樹脂であり、例えば、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン、または芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンを原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂である。芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)は、上記芳香族ポリアミド樹脂の中で、2種以上の構成単位からなるポリアミド樹脂である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
原料の脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸としては、前記の脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられ、脂環式ジアミン及び脂環式ジカルボン酸として例示したものも含まれる。
芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
これらの芳香族ジアミン及び芳香族ジカルボン酸は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、芳香族共重合ポリアミド樹脂は、ラクタム、アミノカルボン酸由来の構成単位を含んでいてもよく、ラクタム、アミノカルボン酸としては、前記の脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。
これらのラクタム、アミノカルボン酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)の具体的な例としては、(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド6I/6)、ポリドデカミド/ポリヘキサメチレンテレフタラミドコポリマー(ポリアミド12/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタルアミド)コポリマー(ポリアミド6T/M5T)などが挙げられる。芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)は1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、ポリアミド6T/6Iが好ましい。
芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)の製造装置、重合方法としては、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の項で例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明における芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)の重合度には特に制限はないが、成形加工性と機械物性の観点から、JIS K 6920-2に従い、(A-4)芳香族共重合ポリアミドの樹脂温度25℃で測定した相対粘度が、1.9以上5.0以下であることが好ましく、2.3以上4.5以下であることがより好ましく、2.7以上4.3以下であることがさらに好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、3.2以上4.2以下が特に好ましい。相対粘度が上記範囲であると成形加工性が良く、機械物性も良好である。
芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-4)の末端アミノ基濃度は、20μmol/g以上60μmol/g以下が好ましい。末端アミノ基濃度が前記範囲にあると、強化材との密着性や他樹脂への接着性の点から好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、JIS K-6920-2に準拠して、ポリアミド1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が1.9以上5.0以下であり、2.3以上4.5以下であることが好ましく、2.7以上4.3以下であることがより好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、3.2以上4.2以下がさらに好ましい。相対粘度が上記範囲であると成形加工性が良く、機械物性も良好である。
ポリアミド樹脂(A)が、相対粘度が異なる2種以上のポリアミド樹脂(例えば、少なくとも1種の脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)と少なくとも1種の脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)を含む場合、ポリアミド樹脂(A)における相対粘度は、上記内容で測定されるのが好ましいが、それぞれのポリアミド樹脂の相対粘度とその混合比が判明している場合、それぞれの相対粘度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度としてもよい。
ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ中和滴定で求められる末端アミノ基濃度として、30μmol/g以上の範囲が好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下の範囲がより好ましい。上記範囲であれば、成形加工性や機械物性を十分に得ることができる。
ポリアミド樹脂(A)が、末端アミノ基濃度の異なる2種以上のポリアミド樹脂(例えば、少なくとも1種の脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)と少なくとも1種の脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2))を含む場合、ポリアミド樹脂(A)における末端アミノ基濃度は、上記中和摘定で測定されるのが好ましいが、それぞれのポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度とその混合比が判明している場合、それぞれの末端アミノ基濃度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度としてもよい。
ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド樹脂組成物100質量%中、60~95質量%、好ましくは65~85質量%、より好ましくは70~80質量%含まれる。ポリアミド樹脂(A)の含有割合が上記範囲より少ないと、成形加工性が悪くなり、上記範囲より多いと、成形品の吸水率が高まるとともに、耐塩化カルシウム性が低下する。
<ノボラック型フェノール樹脂(B)>
ノボラック型フェノール樹脂(B)としては、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒の存在下で縮合重合して製造されるものが挙げられる。ただし、フェノール類とアルデヒド類をアルカリ性触媒の存在下で縮合重合して製造されたレゾール型フェノール-ホルムアルデヒドを含まない。
ここでノボラック型フェノール樹脂(B)の製造に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ナフトール等の1価又は多価フェノール類、並びにそれらの置換体が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フェノール、クレゾールが好ましく、フェノールがより好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂(B)の製造に用いられるアルデヒド類としては、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、n-プロパナール、n-ブタナール、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3-メチル-n-ブタナール、ベンズアルデヒド、p-トリルアルデヒド、2-フェニルアセトアルデヒド等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒドがより好ましい。
酸性触媒としては、特に制限されないが、シュウ酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、蟻酸、マレイン酸、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等が挙げられる。
なお、このようなノボラック型フェノール樹脂(B)の中でも、機械物性や耐熱性の観点から、下記式(1)で表されるフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
Figure 2023018424000002

上記式(1)中、nは、1~200が好ましく、1~50がより好ましく、5~20がさらに好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂(B)の数平均分子量は、成形加工性や耐熱性の観点から、500~5,000が好ましく、300~3,000がより好ましい。数平均分子量は、JIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1000×価数)/水酸基価を用いて算出する(この式において、水酸基価の単位は[mgKOH/g]である)。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点温度は、130℃以下であり、110~130℃が好ましく、120~130℃がより好ましい。軟化点温度は、JIS K6910に基づく環球法軟化点測定により求めた値である。ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点温度が上記範囲にあることで、成形加工性が良好になる。
このようなノボラック型フェノール樹脂の市販品としては、明和化成製のHF-4M、NC58等が挙げられる。
ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ノボラック型フェノール樹脂(B)は、5~40質量%、好ましくは10~30質量%含まれる。ノボラック型フェノール樹脂の配合量が上記範囲より少ないと、成形品の吸水率が高まるとともに、耐塩化カルシウム性が悪くなる。ノボラック型フェノール樹脂の含有割合が上記範囲より多いと、ポリアミド組成物での耐熱性や機械物性が低下する。
<添加剤>
ポリアミド樹脂組成物は目的等に応じて、任意成分として、染料、顔料、繊維状補強物、粒子状補強物、可塑剤、酸化防止剤、耐熱剤、発泡剤、耐候剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の機能性付与剤等を適宜含有していてもよい。
任意の添加剤は、ポリアミド樹脂組成物100質量%中、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.05~0.5質量%含まれていてもよい。
ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)及びノボラック型フェノール樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。ポリアミド樹脂(A)及びノボラック型フェノール樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂は、機械物性や成形加工性の観点から、ポリアミド樹脂組成物100質量%中、2質量%以下が好ましく、0.1質量%未満がより好ましく、含まないことがさらに好ましい。すなわち、ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂(B)を主成分として含むことが好ましく、ポリアミド樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂100質量%中、ノボラック型フェノール樹脂(B)を90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましい。
また、ポリアミド樹脂組成物は、実質的にエチレン系エラストマーを含まないことが好ましい。エチレン系エラストマーを含むと、耐熱性が低下してしまうからである。
<ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
ポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば次の方法を適用することができる。
ポリアミド樹脂(A)と、ノボラック型フェノール樹脂(B)と、その他任意成分との混合には、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機が用いられる。例えば、2軸押出機を使用して、全ての原材料を配合後、溶融混練する方法、一部の原材料を配合後、溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後、溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。
<ポリアミド樹脂組成物の特性>
ポリアミド樹脂組成物を、水を溶媒としたソックスレー抽出方法により6時間抽出した際の抽出分は、抽出に用いたポリアミド樹脂組成物100質量%に対して1.5質量%以下であり、1.2質量%以下であることが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物を、メタノールを溶媒としたソックスレー抽出方法により3時間抽出した際の抽出分は、抽出に用いたポリアミド樹脂組成物100質量%に対して7.5質量%以下であり、6.8量%以下であることが好ましい。
抽出方法は、ソックスレー抽出方法を用いた。抽出分は、式:(煮沸前のポリアミド樹脂組成物の質量― 煮沸後真空乾燥した後の残渣の質量)/煮沸前のポリアミド樹脂組成物の質量で求めた。
このような、熱水抽出量及び熱メタノール抽出量は、ノボラック樹脂の選択、各成分の配合量を適宜調整することにより、調整することができる。
水を溶媒とした場合及びメタノールを溶媒とした場合のソックスレー抽出方法による抽出量が前記範囲より多いと、成形品からポリアミド樹脂及びノボラック樹脂が分解してモノマー等が溶出する量が多いことになり、成形品が脆くなったり、成形品の表面にモノマーがブリードアウトする。
[ポリアミド樹脂組成物の成形品及びその用途]
ポリアミド樹脂組成物は、射出成形による射出成形品、押出成形による押出成形品、ブロー成形によるブロー成形品、回転成形による回転成形品の製造に好適に用いることができる。ポリアミド樹脂組成物は、射出成形性が良好であるので、射出成形による射出成形品により好適に用いることができる。
ポリアミド樹脂組成物から射出成形による射出成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。例えばISO294-1に準拠した方法が参酌される。
ポリアミド樹脂組成物から押出成形により押出成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。
また、ポリエチレンなどのポリオレフィンや他の熱可塑性樹脂と共押出した後、ブロー成形を行い、多層構造体を得ることも可能である。その場合ポリアミド樹脂組成物層とポリオレフィンなどの他の熱可塑性樹脂層の間に接着層を設けることも可能である。多層構造体の場合、本発明のポリアミド樹脂組成物は外層、内層のいずれにも使用し得る。
ポリアミド樹脂組成物からブロー成形によりブロー成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。一般的には、通常のブロー成形機を用いパリソンを形成した後、ブロー成形を実施すればよい。パリソン形成時の好ましい樹脂温度は、ポリアミド樹脂組成物の融点より10℃から70℃高い温度範囲で行うことが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物から回転成形による回転成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。例えば国際公開公報2019/054109に記載の方法が参酌される。
射出成形による射出成形品、押出成形による押出成形品、ブロー成形によるブロー成形品、及び回転成形による回転成形品としては、特に限定されないが、スポイラー、エアインテークダクト、インテークマニホールド、レゾネーター、燃料タンク、ガスタンク、作動油タンク、燃料フィラーチューブ、燃料デリバリーパイプ、その他各種ホース・チューブ・タンク類などの自動車部品、電動工具ハウジング、パイプ類などの機械部品を始め、タンク、チューブ、ホース、フィルム等の電気・電子部品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品など各種用途が好適に挙げられる。これらの中でも、ポリアミド樹脂組成物は耐塩化カルシウム性に優れることから、自動車部品に使用されることが好ましい。
また、ポリアミド樹脂組成物は、ガスバリア性に優れるため、高圧ガスと接触する成形品、たとえば、高圧ガスに接するタンク、チューブ、ホース、フィルム等に好適に用いられる。前記ガスの種類としては、特に制限されず、水素、窒素、酸素、ヘリウム、メタン、ブタン、プロパン等が挙げられ、極性の小さいガスが好ましく、水素、窒素、メタンが特に好ましい。
また、ポリエチレンなどのポリオレフィンや他の熱可塑性樹脂と共押出した後、ブロー成形を行い、多層構造体を得ることも可能である。その場合 高圧ガスに触れる成形品用材料層とポリオレフィンなどの他の熱可塑性樹脂層の間に接着層を設けることも可能である。多層構造体の場合、本発明の 高圧ガスに触れる成形品用材料は外層、内層のいずれにも使用し得る。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例における測定方法は以下の通りである。
<相対粘度>
JIS K6920-2に準拠し、ポリアミド1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した値である。
<軟化点温度>
軟化点温度は、JIS K6910に基づく環球法軟化点測定により求めた値である。
<熱水抽出量>
水を溶媒としたソックスレーによる抽出法により、ポリアミド樹脂組成物を熱水と共に6時間煮沸後、熱水を除去し、残渣を真空乾燥機にて90℃16時間乾燥を行った。残渣量を秤量し、煮沸前のポリアミド樹脂組成物の質量から煮沸後真空乾燥した後の残渣の質量を差し引いて得られる減量分を煮沸前のポリアミド樹脂組成物の質量で除した値を、ポリアミド樹脂組成物100質量%あたりの熱水抽出分とした。
<熱メタノール抽出量>
メタノールを溶媒としたソックスレーによる抽出法により、ポリアミド樹脂組成物を熱メタノールと共に3時間煮沸後、熱メタノールを除去し、残渣を真空乾燥機にて90℃16時間乾燥を行った。残渣量を秤量し、煮沸前のポリアミド樹脂組成物の質量から煮沸後真空乾燥した後の残渣の質量を差し引いて得られる減量分を煮沸前のポリアミド樹脂組成物の質量で除した値を、ポリアミド樹脂組成物100質量%あたりの熱メタノール抽出分とした。
<耐塩化カルシウム性>
ポリアミド樹脂組成物を射出成形して得られるISO TYPE-A試験片を使用した。試験片にガーゼを載せ、飽和塩化カルシウム溶液を塗布し、80℃、90%RHで24時間放置し、前処理を行なった。前処理後の試験片を100℃のオーブンで2時間加熱した後、80℃、90%RHの恒温槽に20時間放置するという試験を1サイクルとして行い、1サイクル終了毎にキーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX-5000にて試験片のクラック発生の有無を観察し、以下の基準で評価した。
〇:試験片にクラックが発生していない
×:試験片にクラックが発生している。
なお、1サイクル後にクラックが発生しなかったものを合格とした。
<誘電率及び誘電正接>
ポリアミド樹脂組成物を射出成形機FANUC社製T-100D、型締め力100トン、スクリュー径36mmを用いて、シリンダー温度250℃、金型温度40℃、射出速度50mm/secの条件で、100mm×70mm×厚み2mmの平板を作成した。この平板を水中40℃で7日間浸漬処理したものを試験体として用いた。誘電率測定装置としては、インピーダンスアナライザAgilent 4294A(アジレント・テクノロジー社製)及びフィクスチャーAgilent 16451B(アジレント・テクノロジー社製)を用いた。測定は、電極接触法を採用し、誘電正接は10GHzにおける値を求めた。
<吸水後の機械的特性>
ポリアミド樹脂組成物のISO TYPE-A試験片を40℃の水に168時間浸漬させ、前処理した 試験片を用いて以下の機械的特性を測定した。なお、吸水率は、浸漬前後の試験片の質量差から算出した。
(1)吸水後の引張降伏応力及び引張破壊呼びひずみ
前記40℃水中で168時間吸水させた試験片を用いて、ISO527に準じて、インストロン製引張試験機型式5567を使用して23℃で測定した。
(2)吸水後の曲げ強さ及び曲げ弾性率
前記40℃水中で168時間吸水させた試験片を用いて、ISO 178に準拠した方法でインストロン製引張試験機型式5567を使用して23℃で測定した。
[実施例1~5、比較例1~4]
表1に記載した各成分を二軸混練機TEX44HCT、シリンダー径44mm L/D35で、シリンダー温度250℃、スクリュー回転160rpm、吐出量50kg/hrsにて溶融混練し、目的とするポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。
なお、表中の組成の単位は質量%であり、樹脂組成物全体を100質量%とする。
表1に記載の成分は、以下のものを使用した。
PA6:ポリアミド6、相対粘度3.36 (宇部興産株式会社製)
PA6/66:ポリアミド6/66、相対粘度4.05、ポリアミド6 85mol%、ポリアミド66 15mol% (宇部興産株式会社製)
ノボラック型フェノール樹脂(1):軟化点温度:102℃、製品名HF-4M(明和化成製)、式(1)で表される構造であって、n=約6.7
ノボラック型フェノール樹脂(2):軟化点温度:125℃、製品名NC58(明和化成製)、式(1)で表される構造であって、n=約14.6
Figure 2023018424000003
表1の結果から、実施例1~5では、熱水での抽出量が1.5質量%以下であり、耐塩化カルシウム性が良好で、絶縁性があり、吸水量が低く、吸水時の機械的特性に優れるポリアミド樹脂組成物が得られている。
実施例1~5と比較例3及び4とを比較すると、ポリアミド樹脂組成物が特定の軟化点温度の範囲で特定の範囲の量のノボラック型フェノール樹脂を含有すると、ポリアミド樹脂単独の場合よりも、吸水率、耐塩化カルシウム性、絶縁性、機械的特性が優れることがわかる。
実施例1~5と比較例1及び2とを比較すると、熱水での抽出量が1.5質量%を超えると、
ポリアミド樹脂組成物の機械物性低下が生じている。また、このように熱水抽出量および熱メタノール抽出量が多いと、成形品表面へのブリードアウトが生じてしまう。
実施例2~4を比較すると、本願発明の範囲内ではノボラック型フェノール樹脂の添加量が多いと曲げ弾性率が高く、吸水率が低く、絶縁性及び耐塩化カルシウム性もより良好になることがわかる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐塩化カルシウム性が良好で、絶縁性があり、吸水量が低く、吸水時の機械的特性に優れるため、自動車部品に好適に使用できる。

Claims (8)

  1. ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)を60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)を5~40質量%含むポリアミド樹脂組成物であって、
    前記ポリアミド樹脂(A)は、JIS K6920-2に準拠して、25℃で測定した相対粘度が1.9以上5.0以下であり、
    前記ノボラック型フェノール樹脂(B)は、軟化点温度が130℃以下であり、
    前記ポリアミド樹脂組成物を、水を溶媒としたソックスレーによる抽出法により6時間抽出した際の抽出分が、抽出に用いたポリアミド樹脂組成物100質量%に対して1.5質量%以下であるポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記ノボラック型フェノール樹脂(B)が、下記式(1)で表されるノボラック型フェノール樹脂である請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
    Figure 2023018424000004

    (上記式(1)中、nは、1~200である。)
  3. 前記ポリアミド樹脂(A)が、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-1)及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-2)からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記ノボラック型フェノール樹脂(B)は、軟化点温度が110~130℃である請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂成分として、ノボラック型フェノール樹脂(B)を主成分として含む請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 実質的にエチレン系エラストマーを含まない請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物の成形品。
  8. 自動車部品である請求項7の成形品。
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