JP6759706B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有することから、エンジニアリングプラスチックスとして様々な用途で展開され、様々な成形方法によって使用されている。そのなかで、ブロー成形によるブロー成形品としての利用も進んでいる。
上記に関連して、ポリアミド樹脂とポリフェニレンサルファイド樹脂とエチレン系アイオノマー樹脂とオレフィン系エラストマー樹脂とを含むポリアミド樹脂組成物が提案され、ブロー成形性と低温靭性が優れるとされている(例えば、特許文献1参照)。また芳香族ポリアミド樹脂と衝撃改質剤と安定剤とを含むポリアミド樹脂組成物が提案され、平滑な表面外観を有するブロー成形体が得られるとされている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−204675号公報 特表2006−523763号公報
従来技術のポリアミド樹脂組成物では、成形体の良好な表面外観と、ブロー成形に好適な溶融粘度とを両立させることが困難な場合があった。特に滞留後に成形した場合に成形体の表面外観が不良となる場合があった。
本発明は、成形体の良好な表面外観を維持しながら、ブロー成形性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
ポリアミド樹脂(A)及び耐衝撃材(B)を含み、前記ポリアミド樹脂(A)のJIS K−6920に基づきポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が2.7以上であり、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ中和滴定で求められる末端アミノ基濃度が、30μmol/g以上であり、前記耐衝撃材(B)は、酸無水物基の含有量が、25μmol/g超過100μmol/g未満であり、前記耐衝撃材(B)の含有率が、5質量%以上40質量%以下であるポリアミド樹脂組成物である。
本発明によれば、成形体の良好な表面外観を維持しながら、ブロー成形性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
実施例2に係るポリアミド樹脂組成物の滞留前に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。 実施例2に係るポリアミド樹脂組成物の滞留後に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。 実施例3に係るポリアミド樹脂組成物の滞留前に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。 実施例3に係るポリアミド樹脂組成物の滞留後に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。 実施例4に係るポリアミド樹脂組成物の滞留前に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。 実施例4に係るポリアミド樹脂組成物の滞留後に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。 比較例1に係るポリアミド樹脂組成物の滞留前に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。 比較例1に係るポリアミド樹脂組成物の滞留後に成形した成形体の表面外観の一例を示す図である。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[ポリアミド樹脂組成物]
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)及び耐衝撃材(B)を含む。前記ポリアミド樹脂(A)は、JIS K−6920に基づきポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が2.7以上であり、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ中和滴定で求められる末端アミノ基濃度が、30μmol/g以上である。前記耐衝撃材(B)は、酸無水物基の含有量が、25μmol/g超過100μmol/g未満であり、前記耐衝撃材(B)の含有率が、5質量%以上40質量%以下である。限定されたポリアミド(A)と限定された耐衝撃材(B)を特定の含有率で含むことで、成形体の良好な表面外観を維持しながら、ブロー成形性に優れる。さらに溶融滞留させた後であっても成形性に優れる溶融粘度を有し、加えて滞留後に成形した場合でも表面外観に優れる成形体を得ることができる。したがって、特にブロー成形による成形品の製造に好適に用いることができる。
ポリアミド樹脂(A)
ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂(A)は、ホモポリアミド及び共重合ポリアミドの何れを含んでいてもよく、少なくとも1種の脂肪族ホモポリアミド(A−1)と、少なくとも1種の共重合ポリアミド(A−2)とを含むことが好ましい。
脂肪族ホモポリアミド(A−1)
脂肪族ホモポリアミド(A−1)は、1種類の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族ホモポリアミド(A−1)は、1種類のラクタム及び当該ラクタムの加水分解物であるアミノカルボン酸の少なくとも一方からなるものであってもよく、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸との組合せからなるものであってもよい。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びドデカンラクタムからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、アミノカルボン酸としては6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミン等の脂環式ジアミン;等が挙げられる。これらの中でも重合生産性の観点から、脂肪族ジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミンがより好ましい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;等が挙げられる。これらの中でも脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、セバシン酸及びドデカンジオン酸が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミド(A−1)として具体的には、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリエナントラクタム(ポリアミド7)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリアミド122等が挙げられる。脂肪族ホモポリアミド(A−1)は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
中でも脂肪族ホモポリアミド(A−1)は、重合生産性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610及びポリアミド612からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610及びポリアミド612ら選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド6が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミド(A−1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
脂肪族ホモポリアミド(A−1)の相対粘度は、JIS K−6920に準拠し、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される。脂肪族ホモポリアミド樹脂の相対粘度は、2.7以上であることが好ましく、2.7以上5.0以下であることがより好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、2.7以上4.5未満がさらに好ましい。2.7未満では、ポリアミド組成物の溶融粘度が低くなり、押出成形でも特にブロー成形時のパリソン形状保持が困難となる。また5.0超過では、ポリアミド組成物の溶融粘度が非常に高くなり、ブロー成形時、溶融樹脂の均一な肉厚が得られなくなる可能性がある。
脂肪族ホモポリアミド(A−1)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。脂肪族ホモポリアミド(A−1)の末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。
ポリアミド樹脂(A)が脂肪族ホモポリアミド(A−1)を含む場合、脂肪族ホモポリアミド(A−1)のポリアミド樹脂組成物の総量中における含有率は、成形加工性の観点から、例えば30質量%以上95質量%以下であり、35質量%以上90%以下が好ましく、40質量%以上85質量%以下がより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は、2種以上の脂肪族ホモポリアミド(A−1)を含んでも良い。2種以上の脂肪族ホモポリアミド(A−1)は互いに、構成単位が異なるものであってもよいし、分子量(例えば、数平均分子量)が異なるものであってもよい。ポリアミド樹脂組成物が2種以上の脂肪族ホモポリアミド(A−1)を含む場合、既存重合製品を使用出来、混練工程での生産性調整や成形加工性に応じた材料設計が可能となる。
ポリアミド樹脂(A)が、相対粘度が異なる脂肪族ホモポリアミド(A−1)を2種類以上含む場合、ポリアミド樹脂(A)における相対粘度は、上記内容で測定されるのが好ましいが、それぞれの相対粘度とその混合比が判明している場合、それぞれの相対粘度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度としてもよい。
共重合ポリアミド(A−2)
共重合ポリアミド(A−2)は、2種以上の構成単位からなるポリアミド樹脂である。共重合ポリアミド(A−2)は、ジアミンとジカルボン酸の組合せ、およびラクタム又はアミノカルボン酸からなる群から選択される2種以上のモノマーの共重合体である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチルジフェニルメタン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−メチル−5−エチルフェニル)プロパンなどの芳香族ジアミン;等が挙げられる。ジアミンはこれらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、重合生産性の観点から、脂肪族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、直鎖状脂肪族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ヘキサメチレンジアミンが更に好ましい。
これらのジアミンは1種類で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン−2,4−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;等が挙げられる。ジカルボン酸はこれらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、アジピン酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
これらのジカルボン酸は1種類で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びドデカンラクタムからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、アミノカルボン酸としては6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
共重合ポリアミド(A−2)として具体的には、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ポリアミド6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/66/612)等の脂肪族共重合ポリアミド;ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミド共重合体(ポリアミド6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミド共重合体(ポリアミド6I/6)、ポリドデカミド/ポリヘキサメチレンテレフタラミド共重合体(ポリアミド12/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(ポリアミド66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(ポリアミド66/6/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド)共重合体(ポリアミド6T/M5T)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)等の芳香族共重合ポリアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、生産性の観点から、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド6/66/12及びポリアミド6T/6Iからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これらの共重合ポリアミド(A−2)は、各々単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
共重合ポリアミド(A−2)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
共重合ポリアミド(A−2)の相対粘度は特に制限されないが、本発明の効果を向上させる観点から、JIS K−6920に準拠し、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が1.8以上5.0以下であることが好ましい。
共重合ポリアミド(A−2)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。共重合ポリアミド(A−2)の末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。
ポリアミド樹脂(A)が共重合ポリアミド(A−2)を含む場合、共重合ポリアミド(A−2)のポリアミド樹脂組成物の総量中における含有率は、成形加工性の観点から、例えば1質量%以上30質量%以下であり、2質量%以上25質量%以下が好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は、共重合ポリアミド(A−2)として、脂肪族共重合ポリアミドの少なくとも1種と、芳香族共重合ポリアミドの少なくとも1種とを含むことが好ましい。脂肪族共重合ポリアミドと芳香族共重合ポリアミドとを含む場合、脂肪族共重合ポリアミドの芳香族共重合ポリアミドに対する含有比(脂肪族/芳香族)は、例えば0.1以上20以下であり、0.5以上10以下が好ましい。
ポリアミド樹脂(A)に含まれる脂肪族ホモポリアミド(A−1)及び共重合ポリアミド(A−2)の総含有率は、例えば50質量%以上であり、70質量%以上が好ましい。またポリアミド樹脂(A)における脂肪族ホモポリアミド(A−1)に対する共重合ポリアミド(A−2)の含有比率は、例えば1質量%以上40質量%以下であり、2質量%以上30質量%以下が好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)として芳香族ホモポリアミドを含んでいてもよい。芳香族ホモポリアミドは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸からなり、ジアミン及びジカルボン酸の少なくとも一方が芳香族系モノマー成分である芳香族基を含むホモポリアミド樹脂である。芳香族ホモポリアミドの具体例としては、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)等が挙げられる。ポリアミド樹脂(A)が芳香族ホモポリアミドを含む場合、ポリアミド樹脂(A)中の含有率は、例えば30質量%以下であり、20質量%以下が好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、JIS K−6920に準拠し、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される相対粘度が2.7以上であり、2.7以上5.0以下であることが好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、2.7以上4.5未満がより好ましい。2.7未満では、ポリアミド組成物の溶融粘度が低くなり、押出成形でも特にブロー成形時のパリソン形状保持が困難となる。また5.0超過では、ポリアミド組成物の溶融粘度が非常に高くなり、ブロー成形時、溶融樹脂の均一な肉厚が得られなくなる可能性がある。
ポリアミド樹脂(A)が、相対粘度が異なる2種以上のポリアミド樹脂(例えば、少なくとも1種の脂肪族ホモポリアミド(A−1)と少なくとも1種の共重合ポリアミド(A−2))を含む場合、ポリアミド樹脂(A)における相対粘度は、上記内容で測定されるのが好ましいが、それぞれのポリアミド樹脂の相対粘度とその混合比が判明している場合、それぞれの相対粘度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度としてもよい。
耐衝撃材(B)との反応性から、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ中和滴定で求められる末端アミノ基濃度として、30μmol/g以上であり、30μmol/g以上110μmol/g以下の範囲が好ましく、30μmol/g以上70μmol/g以下の範囲がより好ましい。30μmol/g未満では、耐衝撃材(B)との反応性が悪くなり、溶融粘度や耐衝撃性を十分に得られない。また110μmol/g超過では、溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪化する。
ポリアミド樹脂(A)が、末端アミノ基濃度の異なる2種以上のポリアミド樹脂(例えば、少なくとも1種の脂肪族ホモポリアミド(A−1)と少なくとも1種の共重合ポリアミド(A−2))を含む場合、ポリアミド樹脂(A)における末端アミノ基濃度は、上記中和摘定で測定されるのが好ましいが、それぞれのポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度とその混合比が判明している場合、それぞれの末端アミノ基濃度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度としてもよい。
耐衝撃材(B)
ポリアミド樹脂組成物は、少なくとも1種の耐衝撃材(B)を含む。耐衝撃材としてはゴム状重合体が挙げられる。耐衝撃材は、ASTM D−790に準拠して測定した曲げ弾性率が500MPa以下であることが好ましい。
耐衝撃材(B)として具体的には、(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体等を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。耐衝撃材として好ましくは、エチレン/α−オレフィン系共重合体である。
(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素数3以上又は4以上のα−オレフィンとを共重合した重合体である。
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、 4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いてもよい。
また共重合体は、非共役ジエン等のポリエンを共重合したものであってもよい。非共役ジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン等が挙げられる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いてもよい。
(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体である。α,β−不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル等が挙げられる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いてもよい。
また、耐衝撃材(B)として用いられる(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、並びに(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、カルボン酸及び/又はその誘導体で変性された重合体である。このような成分により変性することにより、ポリアミド樹脂(A)に対して親和性を有する官能基をその分子中に含むこととなる。
ポリアミド樹脂(A)に対して親和性を有する官能基としては、カルボキシ基、酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩、カルボン酸イミド基、カルボン酸アミド基、エポキシ基等が挙げられる。これら官能基のうち、耐衝撃材(B)は少なくとも、酸無水物基を有する。
これらの官能基を含む化合物の例として、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸及びこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等が挙げられる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いることができる。これらの中では無水マレイン酸が好ましい。
耐衝撃材(B)における酸無水物基の含有量は、25μmol/g超過100μmol/g未満であり、35μmol/g以上95μmol未満が好ましく、40μmol/g以上90μmol/g以下がより好ましい。含有量が25μmol/g以下では高い溶融粘度の組成物を得ることができず、ブロー成形などにおいてドローダウンが発生し、目標の肉厚寸法を得られない。また含有量が100μmol以上であると溶融粘度が高くなり、押出機に対する負荷が大きくなり十分な成形加工ができない場合がある。耐衝撃材(B)が有する酸無水物基の含有量は、トルエン、エタノールを用いて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1規定のKOHエタノール溶液による中和滴定で測定される。
耐衝撃材(B)として、酸無水物基の含有量が異なる2種以上の耐衝撃材を用いる場合、耐衝撃材(B)における酸無水物基の含有量は、トルエン、エタノールを用いて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1規定のKOHエタノール溶液による中和滴定で測定されるのが好ましいが、それぞれの耐衝撃材の酸無水物基の含有量とその混合比が判明している場合、それぞれの酸無水物基の含有量にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、耐衝撃材(B)の酸無水物量としてもよい。
耐衝撃材(B)は、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1g/10分以上10.0g/10分以下であることが好ましい。MFRが0.1g/10分以上であると、ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎず、例えば押出成形におけるブロー成形時にパリソンの形状が不安定になることが抑制され、成形体の厚みがより均一になる傾向がある。また、MFRが10.0g/10分以下であると、パリソンのドローダウンが大きくなりすぎず、良好なブロー成形性が得られる傾向がある。
耐衝撃材(B)の含有率は、ポリアミド樹脂組成物の総量中に5質量%以上40質量%以下であり、13質量%以上27質量%以下が好ましい。耐衝撃材(B)の含有率が5質量%未満では、溶融粘度及び耐衝撃性が充分に得られない場合があり、40質量%超過では、ポリアミド樹脂が本来有している強度や耐熱性等の特性を低下する傾向がある。
ポリアミド樹脂組成物を塩酸150℃16時間処理することで、ポリアミド成分を加水分解させることが出来、未分解物成分を耐衝撃材(B)成分として取り出すことができる。
(添加剤)
ポリアミド樹脂組成物は目的等に応じて染料、顔料、繊維状補強物、粒子状補強物、可塑剤、酸化防止剤、発泡剤、耐候剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の機能性付与剤等を適宜含有していてもよい。本発明の効果向上の為、ポリアミド樹脂組成物は、酸化防止剤を含有するのが好ましい。
酸化防止剤は、分子構造から、銅系酸化防止剤(無機系酸化防止剤)、有機系酸化防止剤に分類することができ、いずれを用いてもよい。
(銅系酸化防止剤)
銅系酸化防止剤の含有率は、ポリアミド樹脂組成物の総量中に5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないことが更に好ましい。ここで実質的に含まないとは不可避的に混入する銅系酸化防止剤の存在を許容することを意味する。
ポリアミド樹脂組成物が、銅系酸化防止剤を所定量以上で含む場合、耐衝撃材の銅との接触により銅害が発生して耐衝撃材が劣化する場合があると考えられる。但し、有機酸化防止剤との組み合わせにおいてはこの限りでは無い。
銅系酸化防止剤として具体的には、銅塩及びハロゲン化カリウムの混合物を挙げることができる。銅塩及びハロゲン化カリウムの混合物における銅塩としては、ヨウ化銅を挙げることができる。
(有機系酸化防止剤)
ポリアミド樹脂組成物は、熱溶着特性と耐熱特性の観点から、耐熱材として有機系酸化防止剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。有機系酸化防止剤を含むことで、ブロー成形時においてインターバルタイムが長くなった場合でも通常の熱老化性、物性、溶融粘度等を維持しながら、熱溶着性をより向上させることができる。これは例えば、有機系酸化防止剤の添加によって、耐衝撃材の熱劣化によるゲル化が抑制され、それにより造核作用が抑制されるためと考えられる。
有機系酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等を挙げることができる。有機系酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤及びチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フェノール系酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
フェノール系酸化防止剤として具体的には、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド(Irganonox 1098;BASFジャパン株式会社製)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート(Irganox 1010;BASFジャパン株式会社製)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](Irganox 245;BASFジャパン株式会社製)、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(SUMILIZER GA−80;住友化学株式会社製)、を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤として具体的には、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート(Irganox PS802;BASFジャパン株式会社製)、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(SUMILIZER TP−D;住友化学株式会社製)、ジドデシル(3,3’−チオジプロピオネート)(Irganox PS800;BASFジャパン株式会社製)を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
リン系酸化防止剤として具体的には、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos 168;BASFジャパン株式会社製)、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエルスリトールジフォスファイト(ADEKASTAB PEP−36;株式会社ADEKA製)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−4,4−ビフィニルジホスフィンを主成分とするビフィニル、三塩化リン及び2,4−ジ−tert−ブチルフェノールの反応生成物(Hostanox P−EPQ P;クラリアントジャパン株式会社製)、を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これら有機系酸化防止剤は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物は、熱溶着性の観点から、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含有することが好ましく、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤と少なくとも1種のチオエーテル系酸化防止剤とを含有することがより好ましい。
フェノール系酸化防止剤は、ポリアミド樹脂組成物の総量中に、0.01質量%以上5質量%以下含有することが好ましく、0.05質量%以上2質量%以下含有することがより好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤は、ポリアミド樹脂組成物の総量中に、0.01質量%以上5質量%以下含有することが好ましく、0.05質量%以上2質量%以下含有することがより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば次の方法を適用することができる。
脂肪族ホモポリアミド(A−1)及び共重合ポリアミド(A−2)を含むポリアミド樹脂(A)と、耐衝撃材(B)と、必要に応じて含まれる酸化防止剤との混合には、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機が用いられる。例えば、2軸押出機を使用して、全ての原材料を配合後、溶融混練する方法、一部の原材料を配合後、溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後、溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物は、成形性に優れる溶融粘度を有し、成形時に滞留した場合でも成形体の表面外観に優れることから、ブロー成形による成形品の製造に好適に用いることができる。
ポリアミド樹脂からブロー成形により成形品を製造する方法については特に制限されず、公知の方法を利用することができる。一般的には、通常のブロー成形機を用いパリソンを形成した後、ブロー成形を実施すればよい。パリソン形成時の好ましい樹脂温度は、ポリアミド樹脂組成物の融点より10℃から70℃高い温度範囲で行うことが好ましい。
また、ポリエチレンなどのポリオレフィンや他の熱可塑性樹脂と共押出した後、ブロー成形を行い、多層構造体を得ることも可能である。その場合ポリアミド樹脂組成物層とポリオレフィンなどの他の熱可塑性樹脂層の間に接着層を設けることも可能である。多層構造体の場合、本発明のポリアミド樹脂組成物は外層、内層のいずれにも使用し得る。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例において使用した樹脂及び成形品の物性評価方法を以下に示す。
(溶融特性)
東洋精機製キャピログラフ1D 式P−Cを用いて、溶融粘度を測定した。測定温度は250℃でオリフィスは穴径1mm、長さ10mmを使用して、せん断速度12.16sec−1、121.6sec−1、243sec−1の時の溶融粘度を測定した。なお、滞留後の溶融粘度については、せん断速度243sec−1にて測定した。
(機械物性)
ISO規格TYPE−A又はTYPE−B試験片を射出成形にて作成して機械物性のデータ取得に使用した。引張降伏応力及び引張破壊呼びひずみ及び引張弾性率については、ISO527−1,2に準じて、インストロン製引張試験機型式5567を使用して23℃で測定した。
シャルピー衝撃強さについては、ISO179−1に準じて、安田精機製シャルピー衝撃試験機No.258−PCを用いて、23℃および−40℃において、Aノッチ入り厚み4mmの試験片を用いてエッジワイズ衝撃試験を行った。(n=10)
荷重たわみ温度については、ISO75−1,2に準じて、東洋精機製熱ひずみ測定装置を使用して、曲げ応力0.45MPa、フラットワイズ方式にて測定した。
(表面外観)
成形体の表面外観については、ポリアミド樹脂組成物をキャピログラフ内で250℃、20分滞留した後と、滞留させる前の両方について、キャピログラフから押し出されたストランドの表面状態を目視で観察し、滞留後のストランドにおいて、直線的に押出され変形が無いものを良好(○)として、直線的では無く変形して押出されたものを不良(×)として評価した。
表面外観の一例を図1Aから図4Bに示す。図1Aは実施例2に係るポリアミド樹脂組成物の滞留前に押出したストランドの外観画像であり、図1Bは滞留後に押出したストランドの外観である。図2A及び2Bはそれぞれ実施例3に係るポリアミド樹脂の滞留前と滞留後の外観であり、図3A及び3Bはそれぞれ実施例4に係るポリアミド樹脂の滞留前と滞留後の外観であり、図4A及び4Bはそれぞれ比較例1に係るポリアミド樹脂の滞留前と滞留後の外観である。
(ブロー成形性)
株式会社日本製鋼所(JSW)製のブロー成形機JB105を用いてブロー成形性を確認した。測定条件は、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数30rpm、ダイコア径56mm、ダイコア出口肉厚2mm設定にてアキュームヘッドより樹脂を排出させ、70cm付近で排出をストップさせる方法にてパリソンの表面外観やドローダウン特性を確認した。その中で、パリソン表面に凹凸が確認されず、ブロー成形時ドローダウン性が問題無い範囲のものを(○)として、条件次第で改善可能なものを(△)とし、パリソン表面に凹凸が確認されたり、ドローダウンが大きくブロー成形が不可であったりしたものを(×)とした。
・ポリアミド樹脂
脂肪族ホモポリアミド
PA6−1:1030B;宇部興産株式会社製、相対粘度4.1、末端アミノ基濃度33μmol/g
PA6−2:1022B;宇部興産株式会社製、相対粘度3.4、末端アミノ基濃度40μmol/g
PA6−3 1015B;宇部興産株式会社製、相対粘度2.6、末端アミノ基濃度40μmol/g
共重合ポリアミド
CoPA6/66/12 : 6434B;宇部興産株式会社製、相対粘度4.1、末端アミノ基濃度30μmol/g
CoPA6/66 : 5034X14;宇部興産株式会社製、相対粘度4.0、末端アミノ基濃度33μmol/g
CoPA6T/6I : Grivory G21;EMS−CHEMIE(Japan)製、相対粘度2.0、末端アミノ基濃度38μmol/g
・耐衝撃材
MH5010;無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体;酸無水物基含有量50μmol/g;三井化学株式会社製
MH5020;無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体;酸無水物基含有量100μmol/g;三井化学株式会社製
MH7010;無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体;酸無水物基含有量50μmol/g;三井化学株式会社製
MH7020;無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体;酸無水物基含有量100μmol/g;三井化学株式会社製
表1に記載したポリアミド樹脂及び耐衝撃材をシリンダー径44mm L/D35であるTEX44HCT二軸混練機でスクリュー回転170rpm、吐出量50kg/hrsにて溶融混練し、目的とするポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。なお、表中の組成の数値は質量部であり、「−」は未配合であることを意味する。
得られたペレットを上記物性評価に使用した。得られた結果を表1に示す。
上記の結果から、本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、ブロー成形性に求められる高い溶融粘度を維持しながら、成形時に滞留した場合でも成形体の表面外観に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することが出来る。

Claims (3)

  1. ポリアミド樹脂(A)及び耐衝撃材(B)を含み、
    前記ポリアミド樹脂(A)は、JIS K−6920に基づきポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が2.7以上であり、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ中和滴定で求められる末端アミノ基濃度が、30μmol/g以上であり、
    前記耐衝撃材(B)は、酸無水物基の含有量が、25μmol/g超過100μmol/g未満であり、
    前記耐衝撃材(B)の含有率が、5質量%以上40質量%以下であり、
    前記ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪族共重合ポリアミド、及び、ポリアミド6T/6Iである芳香族共重合ポリアミドを含む、ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記ポリアミド樹脂(A)が、脂肪族ホモポリアミド(A−1)を含み、
    前記脂肪族ホモポリアミド(A−1)が、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610及びポリアミド612からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
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