JP2023018449A - 3次元造形用ポリアミド樹脂組成物及びその3次元造形された成形体 - Google Patents

3次元造形用ポリアミド樹脂組成物及びその3次元造形された成形体 Download PDF

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知之 中川
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Abstract

【課題】3Dプリンターで成形した場合に、成形品の反りが抑制されるとともに、ノズルから押し出される際の発泡が抑制されて成形品の外観が良好であり、吸水率が低く、強度も満足できる3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)5~40質量%を含む。【選択図】図1

Description

本発明は3次元造形用ポリアミド樹脂組成物に関する。
立体の成形品の製造方法として、3次元造形用の製造装置である3Dプリンターを用いて3 次元造形物を製造する方法が行われている。3Dプリンターでは、3次元の座標データをもとに、2次元層を順次積層していくことによって3次元造形物を製造する。
3Dプリンターでは、熱溶解積層方式( 以下、「FDM法」とも言う。)、液槽光重合方式、インクジェット方式等の方式が採用され、これらの中でもFDM法が広く使用されている。
FDM法では、フィラメント状の原料組成物を、加熱溶融しながらノズル部位からのX-Y平面テーブル上に連続的に押し出され堆積したものが、さらにZ軸方向に積層されていき、堆積すると共に融着し、これが冷却するにつれて一体となって固化する。
FDM法に用いる原料としては、溶融流動性が求められることから、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネートABS樹脂及びポリ乳酸等の熱可塑性樹脂が用いられてきた。
一方、射出成形において溶融流動性が良好な樹脂組成物として、ポリアミド樹脂組成物とノボラック型フェノール樹脂を含むポリアミド樹脂組成物が知られている。(特許文献1参照)。同様の組成物が、吸水率が低いとともに、機械特性に優れることが知られている(特許文献2及び3参照)。
特表2011-500875号公報 特開昭60-188456号公報 特開2016-113603号公報
従来のFDM法に用いられてきたポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネートABS樹脂及びポリ乳酸等の熱可塑性樹脂は、ノズルから押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂が3次元成形品として固化する際、熱収縮等の影響で成形品に反り等の変形が生じ、精度の高い成形品が得られないことがあった。
ポリアミド樹脂組成物とノボラック型フェノール樹脂を含むポリアミド樹脂組成物は、射出成形の成形方法に用いられてきたが、3Dプリンターで成形する試みは行われてこなかった。
そこで、本願発明は、3Dプリンターで成形した場合に、成形品の反りが抑制されるとともに、ノズルから押し出される際の発泡が抑制されて成形品の外観が良好であり、吸水率が低く、強度も満足できる3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、例えば以下の[1]~[8]からなる。
[1]3次元造形用ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)5~40質量%を含む3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
[2]前記ポリアミド樹脂(A)が脂肪族共重合ポリアミド(A-1)を含む[1]の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
[3]前記ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種である[1]の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
[4]前記ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点温度が110~150℃である[1]~[3]のいずれかの3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
[5]前記3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を、射出成形して得られたISO527タイプA型引張試験片を、40℃の水に24時間浸漬させた場合の吸水率が2.2%以下である、[1]~[4]のいずれかの3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
[6]前記3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を、3Dプリンターを用いて3次元造形して得られたISO527タイプA型引張試験片を、23℃、50%RH条件下で24時間放置した後、定盤に置き、幅方向辺の一方の端部を重りで固定した時の、もう一方の幅方向辺の端部の定盤面からの反り上がり量 が30mm以下である、[1]~[5]のいずれかの3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれかの3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を成形して得られる3次元造形用モノフィラメント。
[8][1]~[6]のいずれかの3次元造形用ポリアミド樹脂組成物又は請求項7に記載の3次元造形用モノフィラメントを、3Dプリンターを用いて3次元造形して得られる成形体。
本願の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、3Dプリンターで成形した場合に、成形品の反りが抑制されるとともに、ノズルから押し出される際の発泡が抑制されて成形品の外観が良好であり、吸水率が低く、強度も満足できる。
3Dプリンターの一例を示す図である。
本願発明は、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)5~40質量%を含む3次元造形用ポリアミド樹脂組成物(以下、「ポリアミド樹脂組成物」ともいう。)に関する。
本明細書において、「3次元造形」とは、3Dプリンターによる造形をいう。
<<3次元造形用ポリアミド樹脂組成物>>
<ポリアミド樹脂(A)>
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)を含む。
ポリアミド樹脂(A)としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)、芳香族ホモポリアミド樹脂(A-4)及び芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、成形加工性の観点から、ポリアミド樹脂(A)は、脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)を含むことがより好ましい。
(A-1)脂肪族共重合ポリアミド樹脂
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)は、2種以上の脂肪族の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)は、ジアミンとジカルボン酸との組合せ、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群から選択されるモノマーの共重合体である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-/1,4-シクロヘキシルジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3-/1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミン等の脂環式ジアミン等が挙げられる。これらの中でも重合生産性の観点から、脂肪族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、直鎖状脂肪族ジアミンからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ヘキサメチレンジアミンが更に好ましい。これらのジアミンは1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-/1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン-4,4’-ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、アジピン酸及びドデカンジオン酸から選択される少なくとも1種が更に好ましい。これらのジカルボン酸は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ラクタムとしては、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン、ラウロラクタム等が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これらのラクタムは1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、アミノカルボン酸としては6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これらのアミノカルボン酸は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)として具体的には、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ポリアミド6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウロラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウロラクタム共重合体(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/66/612)等の脂肪族共重合ポリアミドが挙げられる。脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)は1種単独で用いても、2種以上を組合せた混合物として用いてもよい。
これらの中でも、成形品の吸水率を抑制し、3Dプリンターで製造した成形品の反り発泡を抑制するとともに機械的強度を保つ観点から、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド6/66/12が特に好ましい。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の相対粘度は、成形加工性及び機械特性の観点から、JIS K 6920-2に準拠して、脂肪族共重合ポリアミド1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した相対粘度が2.3以上5.0以下であることが好ましく、2.4以上5.0以下がより好ましく、2.4以上4.5以下がさらに好ましく、2.4以上4.2以下が特に好ましい。
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。末端アミノ基濃度が前記範囲にあると、他樹脂との接着性の点から好ましい。
(A-2)脂肪族ホモポリアミド樹脂
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)は、1種類の脂肪族の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)は、1種類のラクタム及び当該ラクタムの加水分解物であるアミノカルボン酸の一方からなるものであってもよく、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸との組合せからなるものであってもよい。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
ラクタムとしては、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものがε挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選択される1種が好ましい。
また、アミノカルボン酸としては脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。これらの中でも重合生産の観点から、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸からなる群から選択される1種が好ましい。
ジアミンとしては、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。これらの中でも重合生産性の観点から、脂肪族ジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミンがより好ましい。
ジカルボン酸としては、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。これらの中でも脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸からなる群から選択される1種がより好ましく、アジピン酸又はドデカンジオン酸が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)として具体的には、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリエナントラクタム(ポリアミド7)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリラウロラクタム(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリアミド122等が挙げられる。脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)は1種単独で用いても、2種以上を組合せた混合物として用いてもよい。
中でも脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)は、重合生産性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610及びポリアミド612からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610及びポリアミド612ら選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド6が更に好ましい。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)の製造装置、重合方法としては、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の項で例示したものと同様のものが挙げられる。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)の相対粘度は、JIS K 6920-2に準拠し、脂肪族ホモポリアミド1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される。脂肪族ホモポリアミドの相対粘度は、2.3以上5.0以下であることが好ましく、2.4以上5.0以下がより好ましく、2.4以上4.5以下がさらに好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、2.4以上4.2以下が特に好ましい。2.3以上であると、より成形加工が容易であり、5.0以下ではポリアミド樹脂のより良好な機械物性を維持できる。
脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)の末端アミノ基濃度は、30μmol/g以上であることが好ましく、30μmol/g以上50μmol/g以下がより好ましい。
(A-3)芳香族共重合ポリアミド樹脂
芳香族ポリアミドとは、芳香族系モノマー成分を少なくとも1成分含む芳香族ポリアミド樹脂であり、例えば、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン、または芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンを原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂である。芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)は、上記芳香族ポリアミド樹脂の中で、2種以上の構成単位からなるポリアミド樹脂である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
原料の脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸としては、前記の脂肪族共重合ポリアミド(A-1)のの原料として例示したものと同様のものが挙げられ、脂環式ジアミン及び脂環式ジカルボン酸として例示したものも含まれる。
これら脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
これらの芳香族ジアミン及び芳香族ジカルボン酸は1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、芳香族共重合ポリアミド樹脂は、ラクタム、アミノカルボン酸由来の構成単位を含んでいてもよく、ラクタム、アミノカルボン酸としては、前記の脂肪族共重合ポリアミド(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。
これらのラクタム、アミノカルボン酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)の具体的な例としては、(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド6I/6)、ポリドデカミド/ポリヘキサメチレンテレフタラミドコポリマー(ポリアミド12/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタルアミド)コポリマー(ポリアミド6T/M5T)などが挙げられる。芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)は1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、ポリアミド6T/6Iが好ましい。
芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)の製造装置、重合方法としては、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の項で例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明における芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)の重合度には特に制限はないが、JIS K 6920-2に従って、25℃で測定した相対粘度が、成形加工性及び機械物性の観点から、2.3以上5.0以下であることが好ましく、2.4以上5.0以下がより好ましく、2.4以上4.5以下がさらに好ましく、2.4以上4.2以下が特に好ましい。
芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ、中和滴定で求められる。芳香族共重合ポリアミド樹脂(A-3)の末端アミノ基濃度は、20μmol/g以上60μmol/g以下が好ましい。
(A-4)芳香族ホモポリアミド樹脂
芳香族ホモポリアミド樹脂(A-4)とは、芳香族系モノマー成分由来の1種類の構成単位からなる芳香族ポリアミド樹脂であり、例えば、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン、または芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンを原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
原料の脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸としては、脂肪族共重合ポリアミド(A-1)の原料として例示したものと同様のものが挙げられ、脂環式ジアミン及び脂環式ジカルボン酸として例示したものも含まれる。
芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
芳香族ホモポリアミド樹脂(A-4)の具体的な例としては、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T) 、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)などが挙げられる。芳香族ホモポリアミド樹脂(A-4)は1種単独で用いても、2種以上を組合せた混合物として用いてもよい。
芳香族ホモポリアミド樹脂(A-4)の製造装置、重合方法としては、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1)の項で例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明における(A-4)芳香族ホモポリアミド樹脂の重合度には特に制限はないが、JIS K 6920-2に従って、25℃で測定した相対粘度が、成形加工性及び機械物性の観点から、2.3以上5.0以下であることが好ましく、2.4以上5.0以下がより好ましく、2.4以上4.5以下がさらに好ましく、2.4以上4.2以下が特に好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、JIS K 6920-2に準拠して、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される相対粘度が2.3以上5.0以下であることが好ましく、2.4以上5.0以下がより好ましく、2.4以上4.5以下がさらに好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、2.4以上4.2以下が特に好ましい。2.3以上であると、より成形加工が容易である。また5.0以下であるとポリアミド樹脂のより良好な機械物性を得ることができる。
ポリアミド樹脂(A)が、相対粘度が異なる2種以上のポリアミド樹脂(例えば、少なくとも1種の脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)と少なくとも1種の脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1))を含む場合、ポリアミド樹脂(A)における相対粘度は、上記内容で測定されるのが好ましいが、それぞれのポリアミド樹脂の相対粘度とその混合比が判明している場合、それぞれの相対粘度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度としてもよい。
ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度は、フェノールとメタノールの混合溶媒に溶解させ中和滴定で求められる末端アミノ基濃度として、30μmol/g以上の範囲が好ましく、30μmol/g以上110μmol/g以下の範囲がより好ましく、30μmol/g以上70μmol/g以下の範囲がさらに好ましい。30μmol/g以上であれば、強化材との接着性が良く、溶融粘度や耐衝撃性を十分に得ることができる。また110μmol/g以下で成形加工性が良好である。
ポリアミド樹脂(A)が、末端アミノ基濃度の異なる2種以上のポリアミド樹脂(例えば、少なくとも1種の脂肪族ホモポリアミド樹脂(A-2)と少なくとも1種の脂肪族共重合ポリアミド樹脂(A-1))を含む場合、ポリアミド樹脂(A)における末端アミノ基濃度は、上記中和摘定で測定されるのが好ましいが、それぞれのポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度とその混合比が判明している場合、それぞれの末端アミノ基濃度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度としてもよい。
ポリアミド樹脂(A)は、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物100質量%中、60~95質量%、好ましくは70~85質量%、より好ましくは70~78質量%含まれる。ポリアミド樹脂(A)の含有割合が上記範囲より少ないと、ポリアミド樹脂の機械物性が低下し、上記範囲より多いと、成形品の吸水率が高まるとともに、3次元造形装置で製造した成形品の反りが大きく、発泡も多い。
<ノボラック型フェノール樹脂(B)>
ノボラック型フェノール樹脂(B)としては、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒の存在下で縮合重合して製造されるものが挙げられる。ただし、フェノール類とアルデヒド類をアルカリ性触媒の存在下で縮合重合して製造されたレゾール型フェノール-ホルムアルデヒドを含まない。
ここでノボラック型フェノール樹脂(B)の製造に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ナフトール等の1価又は多価フェノール類、並びにそれらの置換体が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フェノール、クレゾールが好ましく、フェノールがより好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂(B)の製造に用いられるアルデヒド類としては、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、n-プロパナール、n-ブタナール、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3-メチル-n-ブタナール、ベンズアルデヒド、p-トリルアルデヒド、2-フェニルアセトアルデヒド等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒドがより好ましい。
酸性触媒としては、特に制限されないが、シュウ酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、蟻酸、マレイン酸、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等が挙げられる。
なお、このようなノボラック型フェノール樹脂(B)の中でも、機械物性や耐熱性の観点から、下記式(1)で表されるフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
Figure 2023018449000002

上記式(1)中、nは、1~200が好ましく、1~50がより好ましく、5~20がさらに好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂(B)の数平均分子量は、成形加工性や耐熱性の観点から、100~20,000が好ましく、300~15,000がより好ましい。数平均分子量は、JIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1000×価数)/水酸基価を用いて算出する(この式において、水酸基価の単位は[mgKOH/g]である)。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点温度は、成形加工性や耐熱性の観点から、50~250℃が好ましく、70~200℃がより好ましく、110~150℃がさらに好ましく、110~130℃が特に好ましく、120~130℃が最も好ましい。軟化点温度は、JIS K6910に基づく環球法軟化点測定により求めた値である。
このようなノボラック型フェノール樹脂の市販品としては、明和化成製のHF-4M、NC58等が挙げられる。
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ノボラック型フェノール樹脂(B)は、5~40質量%、好ましくは5~35質量%、より好ましくは22~30質量%含まれる。ノボラック型フェノール樹脂の配合量が上記範囲より少ないと、成形品の吸水率が高まるとともに、3次元造形装置で製造した成形品の反りが大きく、吸水による発泡も多い。ノボラック型フェノール樹脂の含有割合が上記範囲より多いと、ポリアミド自体の機械物性が損なわれる。
<添加剤>
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は目的等に応じて、任意成分として、染料、顔料、繊維状補強物、粒子状補強物、可塑剤、酸化防止剤、耐熱剤、発泡剤、耐候剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の機能性付与剤等を適宜含有していてもよい。
任意の添加剤は、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物100質量%中、好ましくは0.01~45質量%、より好ましくは0.05~30質量%含まれる。
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)、ノボラック型フェノール樹脂(B)以外の樹脂を含んでいてもよい。好ましくは、20質量%以下含まれる。
<3次元造形用ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば次の方法を適用することができる。
ポリアミド樹脂(A)と、ノボラック型フェノール樹脂(B)と、その他任意成分との混合には、単軸、二軸混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機が用いられる。例えば、二軸混練機を使用して、全ての原材料を配合後、溶融混練する方法、一部の原材料を配合後、溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後、溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。
<3次元造形用ポリアミド樹脂組成物の特性>
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物をISO527に従ってポリアミド樹脂(A)がポリアミド6を含む場合は成形温度:250℃、金型温度:40℃、ポリアミド樹脂(A)がポリアミド6を含まない場合は成形温度:220℃、金型温度:40℃で射出成形して得られたタイプA型引張試験片を、成形後吸水させないようにして室温で保管後、初期重量(W0)を測定し、40℃の水に24時間浸漬させ、取り出し後に付着水分をふき取り、重量(W1)を測定し、((W1-W0)/W0)×100により算出した吸水率が2.2%以下であることが好ましく、2.0%以下がより好ましい。
このように3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、吸水率が抑制されている。
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物をISO527の形状に従って3Dプリンターを用いて3次元造形して得られたタイプA型引張試験片を23℃、50%RH条件下で24時間放置した後、定盤に試験片を置き、幅方向辺の一方の端部を幅30mm、200gの重りで固定し、もう一方の幅方向辺の端部の定盤面からの反り上がり量を指矩で測定して得られた反り上がり量が30mm以下であることが好ましく、20mm以下がより好ましい。
このように3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、3Dプリンターを用いて3次元造形して得られる成形体の反りが抑制され、精度の良好な成形品を得ることができる。
<3次元造形用フィラメント>
3次元造形用フィラメントは、上記3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を用いて製造される。3次元造形用フィラメントの製造方法は特に制限されないが、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を、押出成形等の公知の成形方法により成形する方法や3次元造形用ポリアミド樹脂組成物の製造時にそのままフィラメントとする方法等によって得ることができる。
具体的には、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物から、3次元造形用フィラメントを製造する方法としては、例えば、3次元造形用フィラメントを押出成形により得る場合、その条件は、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物の融点又はガラス転移温度(Tg)に、5~100℃、好ましくは10~80℃加えた温度設定が好ましい。
3次元造形用フィラメントの径は、装置によって定められるが、1.75mm仕様の場合は1.65~1.85mmの範囲が好ましい。また3.00mm仕様の場合は、2.90~3.10mmが好ましい。
溶融前の3次元造形用フィラメント同士のブロッキングを防ぐため、3次元造形用フィラメント表面にブロッキング剤を塗布又はコーティングしてもよい。
ここで用いることのできるブロッキング剤の例としては、シリコーン系ブロッキング剤、タルク等の無機フィラー、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらのブロッキング剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フィラメントの好ましい形態としては、フィラメントをボビン等に巻きとった巻回体、フィラメントを容器に収納したカートリッジが挙げられる。
<3次元造形方法>
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物または3次元造形用フィラメント(以下、「3次元造形用材料」ともいう。)を3次元造形物製造装置である3Dプリンターにより造形することで、成形体を製造することができる。
3Dプリンターとしては、特に制限がないが、FDM法の装置が好ましく挙げられる。図1に示すようにFDM法の3Dプリンターは、通常、原料供給部、ギア2、チューブ3、ヒーター6を備えたノズル4及びテーブル5を備えている。ヒーターとノズルは、別個であってもよい。
FDM法の3Dプリンターにおいて、3次元造形用材料は原料供給部から繰り出され、対向する1組のギア2によりチューブ3へ送り込まれ、ヒーター6で加熱溶融され、ノズル4より押し出される。
3次元造形用材料を加熱し溶融する温度は、特に制限されないが、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物の融点又はガラス転移温度(Tg) 以上であって、同融点又はガラス転移温度(Tg)+300℃ 以下が好ましく、具体的には融点又はガラス転移温度(Tg)に、5~100℃、好ましくは10~80℃加えた温度設定が好ましい。
ノズル4から押し出された溶融状態の3次元造形用材料は、3次元の座標データをもとに、3次元の座標データを輪切りにした2次元層をX-Y軸方向を規定するテーブル5の上に堆積し、この2次元層をZ軸方向に順次積層することにより、3次元造形された成形体を得ることができる。
造形スピードは、10~100mm/秒であることが好ましい。
<3次元造形して得られる成形体の用途>
3次元造形用ポリアミド樹脂組成物または3次元造形用フィラメントを3次元造形して得られる成形体の用途としては、特に限定されないが、スポイラー、エアインテークダクト、インテークマニホールド、レゾネーター、燃料タンク、ガスタンク、作動油タンク、燃料フィラーチューブ、燃料デリバリーパイプ、その他各種ホース・チューブ・タンク類などの自動車部品、電動工具ハウジング、パイプ類などの機械部品を始め、タンク、チューブ、ホース、フィルム等の電気・電子部品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品など各種用途が好適に挙げられる。
また、3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、ガスバリア性に優れるため、高圧ガスと接触する成形品、たとえば、高圧ガスに接するタンク、チューブ、ホース、フィルム等に好適に用いられる。前記ガスの種類としては、特に制限されず、水素、窒素、酸素、ヘリウム、メタン、ブタン、プロパン等が挙げられ、極性の小さいガスが好ましく、水素、窒素、メタンが特に好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
測定に使用した試験片は以下の方法で作成した。
(1)射出成形による試験片作成
ポリアミド樹脂組成物を射出成形にてISO527に従い、ポリアミド6はシリンダー温度250℃、金型温度40℃、それ以外の共重合体のポリアミドはシリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、タイプA型引張試験片を作成した。
(2)3Dプリンターによる造形
(2-1)フィラメントの作成
ポリアミド樹脂組成物を押出機を用いて、シリンダー温度230℃、ノズル径3mmから押し出される樹脂を巻き取り、フィラメント径1.75mmになるように調整し、3Dプリンターに用いるフィラメントを作成する。
(2-2)3Dプリンターによる造形
3Dプリンターは武藤工業株式会社製、商品名:Value3D MagiX MF-2200Dを用いて、ノズル径0.5mm、ノズルヒーター240℃、テーブル温度110℃、積層ピッチ0.3mm、造形スピード72mm/秒、冷却ファン無し、にて、(2-1)で得られたフィラメントを使用して、3次元の座標データをもとに、溶融したフィラメントをテーブルの上に順次積層させて、造形品を得た。
実施例及び表1に記載の数値は、以下の方法で測定した。
(3)測定方法
<相対粘度>
JIS K6920-2に準拠し、ポリアミド1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定した値である。
<軟化点温度>
軟化点温度は、JIS K6910に基づく環球法軟化点測定により求めた値である。
<吸水率>
ポリアミド樹脂組成物を、上記(1)の条件で射出成形して得られたタイプA型引張試験片を、成形後吸水させないようにして室温で保管後、初期重量(W0)を測定した。次いで、その乾燥処理後の試験片を40℃の水に24時間浸漬させた場合及び80℃の水に24時間浸漬させた場合のそれぞれについて、取り出し後付着水分をふき取り重量(W1)を測定し、((W1-W0)/W0)×100により算出したものを吸水率とした。
<3Dプリンター造形品の反り量>
ポリアミド樹脂組成物を、上記(2)の3Dプリンターによる造形方法に従って、ISO527の形状に従った形で造形し、得られた試験片を23℃、50%RH条件下で24時間放置した。次に、定盤に試験片を置き、幅方向辺の一方の端部を幅30mm、200gの重りで固定した時の、もう一方の幅方向辺の端部について、定盤面からの反り上がり量を指矩で測定した。
<3Dプリンターノズルからの発泡状態>
ポリアミド樹脂組成物を上記(2-1)の方法によりフィラメントにした。得られたフィラメントを、23℃、50%RH条件下で24時間、100時間、240時間放置し、24時間後、100時間後、240時間後の調湿フィラメントとして用いた。
3Dプリンターに、調湿フィラメントを送り速度を300mm/分で供給し、3Dプリンターのノズルから出てくる樹脂の発泡状態を目視にて確認した。
発泡を以下の基準で評価した。
×:発泡が多く見られる
△:発泡が少し見られる
〇:発泡が見られない
24時間後の調湿フィラメントを用いた場合に、発泡が見られない場合を合格とした。
<3Dプリンター造形品機械物性>
Z軸方向の機械物性については、ポリアミド樹脂組成物を、上記(2)の3Dプリンターによる造形方法に従って、ISO178に準じた試験片形状の造形品を作成し、インストロン製引張試験機型式5567を使用して、チャック間距離:20mm、試験速度:5mm/分の条件で、引張強さ及び引張破壊呼びひずみを測定した。
X-Y軸方向の機械物性については、ポリアミド樹脂組成物を、上記(2)の3Dプリンターによる造形方法に従って、ISO527に準じたタイプA型試験片形状の造形品を作成し、インストロン製引張試験機型式5567を使用して、チャック間距離:115mm、試験速度:5mm/分の条件で、引張強さ及び引張破壊呼びひずみを測定した。
なお、X-Y軸方向とは、造形しているテーブル面をいい、Z軸方向とは、X-Y軸で定められる平面に垂直な方向をいう。
[実施例1~10、比較例1~4]
表1に記載した各成分を二軸混練機ZSK32McPlus(コペリオン社製)、L/D 48、スクリュー径32mmで、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量50kg/hにて溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物のペレットを作製した。
得られたペレットから、上記(1)の試験片及び(2)の造形品を作成した。
なお、表中の組成の単位は質量%であり、樹脂組成物全体を100質量%とする。
表1に記載の成分は、以下のものを使用した。
PA6(1):ポリアミド6、相対粘度2.47 (宇部興産株式会社製)
PA6(2):ポリアミド6、相対粘度3.37 (宇部興産株式会社製)
PA6/66:ポリアミド6/66、相対粘度4.05、ポリアミド6 85mol%、ポリアミド66 15mol% (宇部興産株式会社製)
PA6/12:ポリアミド6/12、相対粘度3.87、ポリアミド6 80mol%、ポリアミド12 20mol% (宇部興産株式会社製)
PA6/66/12:ポリアミド6/66/12、相対粘度4.05、ポリアミド6 80mol%、ポリアミド66 10mol%,ポリアミド12 10mol% (宇部興産株式会社製)
ノボラック型フェノール樹脂(1):軟化点温度:102℃、製品名HF-4M(明和化成製)、式(1)で表される構造であって、n=約6.7
ノボラック型フェノール樹脂(2):軟化点温度:125℃、製品名NC58(明和化成製)、式(1)で表される構造であって、n=約14.6
Figure 2023018449000003
実施例1~10のポリアミド樹脂組成物は、3Dプリンターで成形した場合に、成形品の反りが抑制されるとともに、ノズルから押し出される際の発泡が抑制されて外観が良好であり、吸水率が低く、強度も満足できる。
特に、脂肪族共重合ポリアミドを含む実施例8~10のポリアミド樹脂組成物は、成形品の反りがより抑制されているとともに、強度も高い。
実施例3と4とを比較すると、相対粘度が特定の範囲にあるポリアミド樹脂を使用した場合に、より反りが抑制されることが分かる。
実施例1と実施例5とを比較すると、ノボラック型フェノール樹脂の軟化点温度が特定の範囲にある場合に、より反りが抑制されることが分かる。
実施例1~3と実施例5~7とを比較すると、ノボラック型フェノール樹脂の軟化点温度が特定の範囲にある場合に、強度が高くなることがわかる。
本発明の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物は、3Dプリンターによる造形に好適に用いられる。
1 フィラメント
2 ギア
3 チューブ
4 ノズル
5 テーブル
6 ヒーター
7 FDM法の3Dプリンター

Claims (8)

  1. 3次元造形用ポリアミド樹脂組成物100質量%中、ポリアミド樹脂(A)60~95質量%及びノボラック型フェノール樹脂(B)5~40質量%を含む3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記ポリアミド樹脂(A)が脂肪族共重合ポリアミド(A-1)を含む請求項1に記載の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点温度が110~150℃である請求項1~3のいずれか1項に記載の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を、射出成形して得られたISO527タイプA型引張試験片を、40℃の水に24時間浸漬させた場合の吸水率が2.2%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を、3Dプリンターを用いて3次元造形して得られたISO527タイプA型引張試験片を、23℃、50%RH条件下で24時間放置した後、定盤に置き、幅方向辺の一方の端部を重りで固定した時の、もう一方の幅方向辺の端部の定盤面からの反り上がり量 が30mm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物を成形して得られる3次元造形用モノフィラメント。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の3次元造形用ポリアミド樹脂組成物又は請求項7に記載の3次元造形用モノフィラメントを、3Dプリンターを用いて3次元造形して得られる成形体。
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