以下、本発明に係る遊技機の一実施形態である、所謂一般電役タイプのパチンコ機1について、図面を参照して説明する。
先ず、図1〜図4を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図3参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射装置(図示略)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられ、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、発射装置によって遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の角には、スピーカ26が夫々設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。発射装置(図示略)によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。センター飾り8は、表示画面28、役物装置30、ワープ通路31、クルーン33、第四図柄作動口12、第四普通電動役物19を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の略中央に配置されている。表示画面28は、例えばLCD等によって構成され、様々な映像を表示する。表示画面28は、例えば、普通当たり判定の結果を遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄を表示する。
役物装置30は、遊技盤2の背面側に取り付けられる機構盤(図示略)に取り付けられ、正面視横長の略楕円形状の装飾ユニット80を、センター飾り8において表示画面28の上方に備える。装飾ユニット80の前面には、「7」の数字と「SEVEN」の文字を結合してデフォルメした装飾部材90が設けられている。そして、役物装置30は、遊技状態に応じて、装飾ユニット80を下方に移動させながら、装飾部材90を時計回りに回転させ(図16,図17参照)、表示画面28の略中央まで移動した際には、装飾ユニット80の外周面の4カ所から、両手と両足をイメージした右手部材131、左手部材132、右足部材133、及び左足部材134(以下、総称する場合は「手足部材131〜134」と呼ぶ)を夫々伸長させることができる(図2参照)。
ワープ通路31は、センター飾り8において表示画面28の左方に設けられている。ワープ通路31は、遊技領域4を流下する遊技球の一部を、センター飾り8の外側から内側へ案内するための通路である。クルーン33は、センター飾り8において表示画面28の下方に設けられている。クルーン33は、上側が開口する断面略U字状の皿部材である。ワープ通路31を案内された遊技球は、クルーン33の内部へ誘導される。第四図柄作動口12は、センター飾り8においてクルーン33の内側に設けられている。第四普通電動役物19は、センター飾り8において表示画面28の右方に設けられている。
図4に示すように、ワープ通路31は、ワープ入口311と通路部312とワープ出口313とを備えている。ワープ入口311は、センター飾り8の左側の略中央に設けられ、遊技領域4の左側を流下する遊技球の一部をワープ通路31に受け入れ可能である。通路部312は、ワープ入口311から右下方に傾斜しながら延設され、ワープ入口311から進入した遊技球の通路をなす。ワープ出口313は、通路部312においてワープ入口311が設けられる端部とは反対側の端部に設けられ、通路部312を通過した遊技球を排出可能である。センター飾り8は、さらにガイド部32を備える。ガイド部32は、ワープ出口313から右下方に傾斜しながらワープ出口313とクルーン33とを連結して、ワープ通路31を通過した遊技球をクルーン33の内側へ案内する。なお、図3は、表示画面28、役物装置30、および第四普通電動役物19の図示を省略する。
図4に示すように、クルーン33は、その内側に、ガイド部32から進入した遊技球が旋回可能な凹部を備えている。凹部の底部には、2つの排出口331と第四図柄作動口12とが形成されている。2つの排出口331は、底部の前側に設けられ、凹部の底部まで移動した遊技球をクルーン33の下側に排出する。第四図柄作動口12は凹部において2つの排出口331よりも後方に設けられている。クルーン33の内側に進入した遊技球は、凹部の上を旋回し、その旋回力が弱まると、2つの排出口331から落下するか、又は第四図柄作動口12へ入賞する。2つの排出口331から落下した遊技球は、クルーン33の直下に設けられているステージ部34の上に落下する。ステージ部34は、センター飾り8の下部において、前下方に向けて僅かに傾斜した斜面部である。ステージ部34の上に落下した遊技球は、ステージ部34の上を転動した後、ステージ部34の前方から遊技領域4へ落下する。
図2に戻り、センター飾り8の略中央下方には、第一図柄作動ゲート11が設けられ、第一図柄作動ゲート11の右斜め上方には、第四図柄作動ゲート13が設けられている。第四図柄作動ゲート13の右斜め上方には、第一普通電動役物16が設けられ、第一普通電動役物16の左斜め下方には、第二普通電動役物17が設けられ、第二普通電動役物17の左斜め下方には、第三普通電動役物18が設けられている。さらに遊技盤2には、上記以外に各種の電飾ランプ、入賞口、風車、および遊技くぎ等が設けられている。
また、遊技盤2の右下部には、第一普通当たり判定、第二普通当たり判定、第三普通当たり判定、および第四普通当たり判定の結果および各判定における保留球数等を、例えばLEDで表示する図柄表示部24が設けられている。
次に、図5〜図8を参照し、役物装置30の構造について説明する。なお、図5は、役物装置30の前面を上方にして寝かせた状態、図6は、役物装置30の背面側をやや傾けた状態を図示したものである。それ故、パチンコ機1に組み付けた状態の実際の向きとは異なるが、説明の便宜上、パチンコ機1に組み付けたときの方向で、役物装置30の各種部品を説明する。
役物装置30は、駆動支持機構40、移動部材60、装飾ユニット80の3つの部位で構成されている。駆動支持機構40は、役物装置30を駆動し、且つ役物装置30全体を支持する部位である。移動部材60は、駆動支持機構40により上下に移動されると共に、装飾ユニット80を遊技盤2の略中央で支持する部位である。装飾ユニット80は、移動部材60の上下動に合わせ、2種類の演出動作を行う部位である。役物装置30は、駆動支持機構40が、遊技盤2の背面側に取り付けられる機構盤(図示略)に螺子で取り付けられることにより、遊技盤2に間接的に固定される。駆動支持機構40は、表示画面28の左側で、且つセンター飾り8の左側部の背面側に隠れて配置される。それ故、パチンコ機1を正面から見た状態では見えないようになっている。
先ず、駆動支持機構40の構造について説明する。駆動支持機構40は、正面視上下方向に長い略直方体状の樹脂製の筐体を備える。図5,図6に示すように、この筐体は、前ケース411と後ケース412を前後に合わせることで構成され、支持本体部41とギア格納部42の2つの部位に分かれる。
支持本体部41は、正面視上下方向に長い略直方体状に形成されている。図7,図8に示すように、支持本体部41は、その内側に、上下方向に延びる金属棒であるガイド軸50と、該ガイド軸50に沿って上下動する移動部材60を格納する。ガイド軸50の上端部と下端部は、支持本体部41の上壁と底壁に夫々固定されている。また、支持本体部41の上壁の下面には、磁性体である金属板53が取り付けられている。この金属板53は、ガイド軸50に沿って上下動する移動部材60の上部に埋設された後述する磁石54と対向する位置関係にある。また、ガイド軸50の下端部近傍には、右側に一段高く形成された段部51が設けられ、該段部51の上面には、ゴム製のストッパ52が固定されている。
さらに、図5,図6に示すように、支持本体部41の右側面には、該右側面の長手方向に沿って延びる長方形状の開口46が設けられている。その開口46の内側からは、移動部材60の一部である後述する板状のユニット支持部62が外側に向かって、支持本体部41の長手方向に直交する方向に突出している。さらに、その開口46の開口端の前側を構成する前ケース411の右端面には、開口46の長手方向に対して平行に延びる直線状の直線ギア45が形成されている。
他方、ギア格納部42は、支持本体部41の左側面の略中段位置に、支持本体部41と内側を連通して設けられ、正面視上下方向に長い略直方体状に形成されている。図6,図8に示すように、ギア格納部42を構成する後ケース412の背面の上側には、略円盤状に後方に隆起する凸状部42Aが設けられている。その凸状部42Aの下方には、略長方形状に後方に隆起する凸状部42Bが設けられている。凸状部42Bには、略円柱状の取付台29を介して外側からモータ27が固定されている。モータ27は、取付台29を介して、凸状部42Bの外面に直交する方向に出力軸(図示略)を向けて固定されている。該出力軸は、取付台29の内部に配置されたギア(図示略)と噛合している。そして、そのギアの回転に伴って回転する回転軸55が、凸状部42Bに設けた穴(図示略)を介して、ギア格納部42の内側に延び、その先端部にピニオンギア56が固定されている。該ピニオンギア56は、ギア格納部42の内部の下側に格納され、上記ギア構造により、モータ27の駆動で回転する。
また、ギア格納部42の内部の上側であって、ピニオンギア56に対して上方に離間する位置には、補助ギア57が回転自在に格納されている。補助ギア57は、ピニオンギア56よりも大径である。ピニオンギア56と補助ギア57の夫々の軸方向は、役物装置30の前後方向に向けられ、互いに平行である。ピニオンギア56と補助ギア57は、移動部材60の左側面に設けられた後述するラックギア65(図7,図8参照)と噛合している。ピニオンギア56は、モータ27の駆動で移動部材60を上下動させ、補助ギア57は、上下動する移動部材60を支持する。これにより、移動部材60は安定して上下動することができる。
そして、上記形成からなる駆動支持機構40において、支持本体部41の上面右側、右側面下部、左側面上部、ギア格納部42の左側面の下部には、夫々、固定片47が設けられている。各固定片47には、固定穴47Aが設けられている。各固定穴47Aには、螺子(図示略)が挿入され、遊技盤2の背面側に取り付けられる機構盤(図示略)において夫々対応する各固定穴(図示略)に締結される。これにより、機構盤に対して、駆動支持機構40が固定される。
次に、移動部材60の構造について説明する。図7に示すように、移動部材60は、正面視逆L字状に形成され、移動本体部61とユニット支持部62を備える。移動本体部61は、駆動支持機構40の支持本体部41の内側に格納され、モータ27の駆動で上下動される部位である。ユニット支持部62は、移動本体部61の右側面の上半分から、支持本体部41の開口46を介して、右側方に突出する部位である。
移動本体部61は、正面視上下方向に長い略長方形の板状に形成され、その下半分は、下方に向かって先細り状に形成されている。移動本体部61の左側面は上下方向に平行な平面であり、その左側面には、上下方向に延びる板状のラックギア65が固定されている。さらに、移動本体部61右側面と、ユニット支持部62の下面とが連結する円弧状部分には、下方に向けて略台形状に突出する当接部66が設けられている。当接部66は、移動部材60がガイド軸50に沿って下方に移動した場合に、支持本体部41の内側に設けられたストッパ52に当接する。この時、装飾ユニット80が、表示画面28の略中央の位置で停まるようになっている。
さらに、移動本体部61の略中央には、自身の長手方向に沿って、上下方向に延びる被ガイド溝64が設けられている。この被ガイド溝64には、支持本体部41の内側に設けられたガイド軸50が挿入される。これにより、移動部材60は、ガイド軸50に沿って支持本体部41の内側を上下方向にガイドされる。また、移動本体部61の上部には、磁石54が埋設されている。例えば、移動部材60がガイド軸50の上端部まで移動した場合、磁石54は、支持本体部41の上壁の下面に取り付けられた金属板53に接近する。このとき、磁石54の磁力により、移動部材60は、金属板53に引きつけられた状態となるので、ギア71,72にかかる負荷を軽減できる。
他方、ユニット支持部62は、正面視略長方形の板状に形成され、移動本体部61の右側面の上部から右側方に延設されている。ユニット支持部62の前面は、前方に開口する断面凹状に形成され、その内側の前面には、2枚のギア71,72が横並びに、夫々回転自在に設けられている。ギア71は、ユニット支持部62の左側に配置され、支持本体部41の右側面に設けられた直線ギア45と噛合する。ギア72は、ユニット支持部62の右側に配置され、ギア71と、装飾ユニット80の後述するギア170とに夫々噛合する。このような構成により、移動部材60が上下動すると、直線ギア45が上下動するので、該直線ギア45に噛合するギア71が回転する。そして、ギア71の回転に伴い、ギア72が回転することで、装飾ユニット80のギア170が回転するようになっている。なお、ユニット支持部62の前面には、ギア71,72を覆うようにして、カバー621が取り付けられている。
さらに、図6,図8に示すように、ユニット支持部62の右端部は、右方に向かって先細りになった略台形状に形成され、その先端側の上下の両角部には、一対の固定穴68が設けられている。さらに、ユニット支持部62の上端部と下端部において、固定穴68から左側にやや離間する位置には、背面視略三角形状の一対の固定片67が設けられている。各固定片67には、固定穴67Aが設けられている。各固定穴68,67Aには、螺子(図示略)が挿入され、装飾ユニット80の後述する後ケース180に設けられた固定穴98,99(図13参照)に締結される。これにより、ユニット支持部62の右端側に、装飾ユニット80が固定される。
次に、図9〜図13を参照し、装飾ユニット80の構造について説明する。図9,図10に示すように、装飾ユニット80は、筐体部800と装飾部材90を備える。筐体部800は、正面視横方向に長い略楕円形状で、且つ前後方向に厚みのある略円柱状に形成されている。装飾部材90は、上述のように、「7」の数字と「SEVEN」の文字をデフォルメして結合させた形状を有し、筐体部800の前面において回転自在に設けられている。図11,図12に示すように、例えば、駆動支持機構40に対して、装飾ユニット80が上方から最下方位置まで移動すると、筐体部800の右上部の開口185から右手部材131が伸び、左上部の開口186から左手部材132が伸び、右下部の開口187から右足部材133が伸び、左下部の開口188から左足部材134が伸びる。手足部材131〜134が各開口185〜188から夫々伸びることによって、装飾ユニット80を、筐体部800を胴体とする特定のキャラクターに変形させることができる。
図12,図13に示すように、装飾ユニット80は、前面側から順に、装飾部材90、面板100、電飾基板110、前ケース120、手足部材131〜134、ガイド板140、コイルバネ150、カム板160、ギア170、後ケース180を備える。筐体部800は、前ケース120と後ケース180で構成され、その内側に、手足部材131〜134、ガイド板140、コイルバネ150、カム板160、ギア170等が夫々収納されている。以下、各部材について詳細に説明する。
先ず、後ケース180の構造について説明する。図12,図13に示すように、後ケース180は有底円筒状に形成され、背面視横方向に長い略楕円形状の底板181と、該底板181の外周に沿って前方に立設された周壁182とを備える。底板181の略中央部には、後方に向かって凸状に膨らんだ背面視略半円形状のギア配置部183が設けられている。ギア配置部183の底部中央には、軸穴184が設けられている。その軸穴184には、装飾部材90の回転軸91の後端部が回転自在に挿入される。そして、ギア配置部183の左側には、開口部189が設けられている。開口部189は、ギア配置部183の内側に配置されるギア170の一部を外部に露出させる。それ故、ギア170に対し、移動部材60のユニット支持部62に設けられたギア72を噛合させることができる。
そして、図13に示すように、後ケース180を後方から見た場合に、開口部189の上縁部と下縁部であって、ギア配置部183の近傍には、固定穴98が夫々設けられている。さらに、これら一対の固定穴98から右側方(前方から見て左側方)に離間する位置には、固定穴99が夫々設けられている。これら一対の固定穴98と一対の固定穴99は、移動部材60のユニット支持部62の右端部に設けられた一対の固定穴68と一対の固定穴68Aとに夫々対応し、螺子が夫々締結される。これにより、開口部189を塞ぐようにして、移動部材60のユニット支持部62が、後ケース180に固定される。
また、図12に示すように、周壁182の底板181側の端部とは反対側の前端部において、前方から見て、右上部、左上部、右下部、左下部の夫々の位置には、矩形状に夫々切り欠かれた開口185,186,187,188が形成されている。これら開口185〜188は、前ケース120の周端部によって開口する側を閉塞されることで、手足部材131〜134を出退させる略長方形状の開口部を形成する。また、底板181において、ギア配置部183の上側、下側、及び右側の夫々の位置には、固定穴107,108,109(図8,図13参照)が設けられている。
次に、前ケース120の構造について説明する。図12,図13に示すように、前ケース120は、正面視略楕円形の板状に形成され、その前面側には、外周縁部を残して後方に凹状に窪んだ正面視略楕円形状の凹部121(図12参照)が設けられている。凹部121の中心には、円形状の軸穴124が設けられている。その軸穴124には、装飾部材90の回転軸91の後端部が、円筒状のスペーサ97を介して回転自在に挿入される。さらに、凹部121の内側において、軸穴124を中心とする仮想円周上に、3つの固定穴122が互いに等間隔で設けられている。これら固定穴122は、面板100の後述する3本の円筒部102に夫々対向する位置にある。さらに、軸穴124の近傍には、コイルバネ150の後述する一端部151が係止するバネ係止部128が設けられている。
また、図13に示すように、前ケース120の背面において、軸穴124の上方には、一組の長突起123Aと短突起125Aが設けられ、軸穴124の下方には、一組の長突起123Bと短突起125Bが設けられ、軸穴124の右方には、一組の長突起123Cと短突起125Cが設けられ、軸穴124の左方には、短突起125Dのみが設けられている。長突起123A〜123Cは略円筒状に形成され、長突起123Aは、後ケース180の固定穴107と対向し、長突起123Bは、後ケース180の固定穴108と対向し、長突起123Cは、後ケース180の固定穴109と対向する。そして、固定穴107〜109に螺子(図示略)を挿入し、長突起123A〜123Cの夫々の穴に対して締結することで、前ケース120と後ケース180が互いに固定される。また、短突起125A〜125Dは、長突起123A〜123Cよりも短い略円筒状に形成され、ガイド板140に設けられた後述する4つの固定穴148A〜148Dに対して夫々対向する。
次に、面板100について説明する。図12,図13に示すように、面板100は、透明の樹脂部品であって、正面視横長の略楕円形状に形成されている。面板100には、例えば、装飾部材90の「7」の形状に沿ってくり抜いたミラーフィルムが貼付されてもよい。面板100の中心には、円形状の軸穴101が設けられている。その軸穴101には、装飾部材90の回転軸91が回転自在に挿入される。さらに、面板100の背面の周縁部であって、軸穴101を中心とする仮想円周上には、後方に向かって突出する3本の円筒部102が互いに等間隔に設けられている。これら3本の円筒部102は、前ケース120の凹部121内に設けられた3つの固定穴122に夫々対応する。そして、各固定穴122に螺子(図示略)を挿入し、円筒部102に対して締結することで、前ケース120の凹部121の内側に、面板100が固定される。
次に、電飾基板110について説明する。図12,図13に示すように、電飾基板110は、面板100と同様に、正面視横長の略楕円形状に形成されている。電飾基板110の前面には、複数のLED(図示略)が設けられ、例えば、遊技状態に応じてLEDを点灯又は点滅させることができる。電飾基板110の中心には、円形状の軸穴111が設けられている。その軸穴111には、装飾部材90の回転軸91が回転自在に挿入される。また、電飾基板110の外周縁部には、3つの半円形状の溝112が夫々互いに等間隔に設けられている。3つの溝112は、前ケース120の凹部121内に設けられた3つの固定穴122に夫々対応する。これにより、電飾基板110を前ケース120の凹部121の内側に固定した状態では、3つの固定穴122は3つの溝112の内側に配置される。電飾基板110は、面板100の背面側に配置されるので、遊技者は面板100を介して電飾基板110上のLEDの光を確認できる。
次に、手足部材131〜134について説明する。図12,図13に示すように、手足部材131〜134は、例えば、右手、左手、右足、左足を、夫々、デフォルメして立体的にデザインした樹脂部品である。手足部材131〜134の基端部には、円筒状のコロ部材131A〜134Aが設けられている。手足部材131〜134は、装飾部材90の回転軸91を中心に、回転軸91の径方向外側に向かって伸びるように夫々配置され、コロ部材131A〜134Aは、回転軸91に対して平行、且つ前後方向に延びている。後述するが、コロ部材131A〜134Aは、ガイド板140及びカム板160によって、夫々、回転軸91を中心に放射状にガイドされることにより、手足部材131〜134の夫々の位置決めを行う。
次に、図12〜図14を参照し、ガイド板140の形状について説明する。図14に示すように、ガイド板140は、正面視横長の略楕円形状に形成されている。ガイド板140の中心には、円形状の軸穴145が設けられている。軸穴145は、後述するコイルバネ150の径よりもやや大きい径を有する。その軸穴145には、コイルバネ150が配置され、さらにその内側に、装飾部材90の回転軸91が回転自在に挿入される。ガイド板140には、軸穴145を中心に、右上方、左上方、右下方、左下方に向けて夫々延びる、4本の直線状のガイド穴141〜144が設けられている。これらガイド穴141〜144の夫々の長手方向の両端部は、円弧状に形成されている。これらガイド穴141〜144には、手足部材131〜134のコロ部材131A〜134Aが夫々挿入される(図18参照)。ガイド穴141〜144の幅は、コロ部材131A〜134Aの径よりもやや大きいので、コロ部材131A〜134Aは、ガイド穴141〜144に沿って摺動できる。なお、以下説明では、ガイド穴141〜144の軸穴145側の一端部を「基端部」、その基端部とは反対側で外側に延びる他端部を「外端部」と呼ぶことにする。
また、ガイド穴141と142に挟まれる間の略中央、ガイド穴143と144に挟まれる間の略中央、ガイド穴141と143に挟まれる間の略中央、ガイド穴142と144に挟まれる間の略中央には、固定穴148A〜148Dが夫々設けられている。これら固定穴148A〜148Dは、上述の前ケース120に設けられた短突起125A〜125D(図13参照)に対して夫々対向する。よって、固定穴148A〜148Dに螺子(図示略)を挿入し、短突起125A〜125Dの夫々の穴に締結することで、前ケース120の背面側に、ガイド板140を固定できる。
さらに、ガイド板140において、固定穴148Aの上側には、横長の扁平円形状の穴部149Aが設けられ、固定穴148Bの下側には、穴部149Aと同形状の穴部149Bが設けられている。これら穴部149A,149Bには、前ケース120と後ケース180を互いに連結する長突起123A,123Bが夫々挿入される(図13,図18参照)。また、図13に示すように、ガイド板140の背面において、穴部149Aのガイド穴142側の近傍には、後方に突出する柱状の突起部146が設けられている。さらに、穴部149Bのガイド穴143側の近傍にも、後方に突出する柱状の突起部147が設けられている。これら突起部146,147は、カム板160の時計回りへの回動範囲を規制するものである。
次に、図12,図13,図15を参照し、カム板160の形状について説明する。図15に示すように、カム板160は、正面視横長の四角形状に形成されている。カム板160の中心には、円形状の軸穴165が設けられている。その軸穴165には、装飾部材90の回転軸91が回転自在に挿入される。カム板160には、軸穴165とカム板160の外縁部との間において、正面視反時計回り側に傾斜して延びる4本の溝カム161〜164が設けられている。そして、溝カム161〜164の軸穴165側の夫々の一端部(以下、「基端部」と呼ぶ)の位置は、軸穴165に対して、反時計回り方向にずれている。さらに、溝カム161〜164は、その長手方向の略中央部分が正面視時計回り側に若干膨らむ略円弧状に形成されている。
さらに、溝カム161〜164の夫々の基端部とは反対側の他端部(以下、「外端部」と呼ぶ)には、正面視反時計回り側に略直角に屈曲する屈曲部161A〜164Aが設けられている。これら溝カム161〜164には、ガイド板140のガイド穴141〜144と同様に、手足部材131〜134のコロ部材131A〜134Aが夫々挿入される(図18参照)。溝カム161〜164の幅は、コロ部材131A〜134Aの径よりもやや大きいので、コロ部材131A〜134Aは、溝カム161〜164に沿って摺動できる。
そして、図12,図13に示すように、コロ部材131A〜134Aは、ガイド板140のガイド穴141〜144、カム板160の溝カム161〜164に対して、ガイド板140側から夫々挿入され、それらの各先端部に対して、カム板160の背面側から、座金状の留具95が夫々固定される。これにより、コロ部材131A〜134Aは、ガイド穴141〜144、及び溝カム161〜164から離脱することなく摺動できる。
また、図15に示すように、カム板160のうち、溝カム161と162の間の外縁部分は、溝カム161の屈曲部161Aの屈曲形状と、溝カム162の外縁部の形状とに沿って、切り欠き状に形成されている。そのうち、屈曲部161Aの屈曲形状の内側部分には、係止部168が形成されている。係止部168は、前ケース120と後ケース180を連結する長突起123Aに対して、正面視反時計回り方向の上流側から係止する(図18参照)。その係止部168の近傍には、溝状に形成されたバネ係止部175が設けられている。バネ係止部175には、後述するコイルバネ150の他端部152が係止する。
他方、カム板160のうち、溝カム163と164の間の外縁部分においても、溝カム164の屈曲部164Aの屈曲形状と、溝カム163の外縁部の形状とに沿って、切り欠き状に形成されている。そのうち、屈曲部164Aの屈曲形状の内側部分には、係止部169が形成されている。係止部169は、前ケース120と後ケース180を連結する長突起123Bに対して、正面視反時計回り方向の上流側から係止する(図18参照)。さらに、図13,図15に示すように、カム板160の背面において、溝カム164の基端部と溝カム164の基端部の間であって、軸穴165の近傍には、後方に向かって突出する柱状の被係止部167が設けられている。
そして、カム板160のうち、溝カム162の屈曲部162Aの外側に位置する外側部162Bと、溝カム163の屈曲部163Aの外側に位置する外側部163Bは、カム板160が時計回りに360°回転した場合に、ガイド板140に設けられた突起部146,147に夫々当接する(図5参照)。これにより、カム板160の回転を停止させることができる。
次に、コイルバネ150について説明する。図12,図13に示すように、コイルバネ150は、金属線をコイル状に巻回して形成され、自身の軸方向の両端部に、該軸方向に直交する方向に延びる一端部151と他端部152を備える。コイルバネ150は、ガイド板140の軸穴145の内側に挿入して配置され、その内側には、装飾部材90の回転軸91が回転自在に挿入される。コイルバネ150の一端部151は前ケース120側に配置され、他端部152はカム板160側に配置される。一端部151は、前ケース120の背面の軸穴124近傍に設けられたバネ係止部128(図13参照)に係止する。他端部152は、カム板160の軸穴165の近傍に設けられたバネ係止部175に係止する。これらの係止構造により、カム板160を時計回りに回転させた場合、カム板160には、コイルバネ150の反時計回りへのバネ力が働く。
次に、ギア170について説明する。図12,図13に示すように、ギア170は、中央に軸穴171を備える。その軸穴171には、装飾部材90の回転軸91の後端側が挿入され、螺子(図示略)で固定されている。それ故、ギア170は、装飾部材90及び回転軸91と共に一体して回転する。ギア170の前面における軸穴171の近傍には、前方に突出する柱状の係止部172が設けられている。ギア170が時計回りに回転した場合に、係止部172は、カム板160の背面側に設けられた被係止部167に当接し、さらに時計回りに回転して被係止部167を付勢することで、カム板160を時計回りに回転させることができる。
図16〜図22を参照し、役物装置30の動作について説明する。ここでは、役物装置30の動作の流れを5段階に分けて順に説明する。
−第1段階−
図16に示すように、第1段階は、役物装置30の可動開始時である。装飾ユニット80は、手足部材131〜134が筐体部800内に格納された状態で、駆動支持機構40の最上部に位置する。このときの装飾部材90は、「7」の文字の上下左右が正規の位置(回転角度=0°)にある。
図18に示すように、装飾ユニット80の内部では、ガイド板140は、図14に示す上下左右の向きの状態で、前ケース120に対して固定されている。それ故、ガイド穴141は、軸穴145側から右上方向に傾斜して延び、ガイド穴142は、軸穴145側から左上方向に傾斜して延び、ガイド穴143は、軸穴145側から右下方向に傾斜して延び、ガイド穴144は、軸穴145側から左下方向に傾斜して延びる。これらガイド穴141〜144の位置と方向は、筐体部800において変わらない。
これに対し、カム板160は、回転軸91に対して回転可能に設けられ、且つコイルバネ150によって反時計回りに付勢されている。そして、第1段階では、カム板160の係止部168が、前ケース120と後ケース180を連結する長突起123Aに係止し、係止部169が、長突起123Bに係止している。それ故、カム板160は、図15の上下左右の向きに対して、反時計回りにずれた位置で姿勢が保持されている。
さらに、ガイド穴141と溝カム161の夫々の基端部が互いに重なり、ガイド穴142と溝カム162の夫々の基端部が互いに重なり、ガイド穴143と溝カム163の夫々の基端部が互いに重なり、ガイド穴144と溝カム164の夫々の基端部が互いに重なっている。そして、これらガイド穴141〜144と溝カム161〜164の夫々の内側に対して、手足部材131〜134のコロ部材131A〜134Aが配置されている。
その結果、右手部材131のコロ部材131Aは、ガイド穴141の基端部に押し込まれ、左手部材132のコロ部材132Aは、ガイド穴142の基端部に押し込まれ、右足部材133のコロ部材133Aは、ガイド穴143の基端部に押し込まれ、左足部材134のコロ部材134Aは、ガイド穴144の基端部に押し込まれるので、手足部材131〜134は、筐体部800の内側に引き込まれた状態となる。なお、第1段階では、ギア170の係止部172は、カム板160の被係止部167に対して、時計回り方向の下流側に隣接している。
−第2段階−
図16に示すように、第2段階は、モータ27(図6参照)が駆動し、装飾ユニット80が下方に移動を開始した後の状態である。モータ27が駆動すると、回転軸55と共にピニオンギア56(図7参照)が正面視時計回りに回転する。ピニオンギア56の回転により、該ピニオンギア56に噛合するラックギア65が下方に移動する。これにより、ラックギア65と共に移動部材60が下方に移動する。そして、移動部材60が下方に移動するに従い、支持本体部41の右側面に設けられた直線ギア45に噛合するギア71は時計回りに回転する。これに伴い、ギア72は反時計回りに回転するので、装飾ユニット80のギア170は時計回りに回転し始める。よって、装飾部材90が時計回りに回転し始める。なお、図16に示す第2段階の装飾部材90の回転角度は、例えば76°である。
このとき、装飾ユニット80の内部では、図19に示すように、ギア170が時計回りに回転し始めるので、ギア170に設けられた係止部172も回転軸91を中心に、時計回りに回転する。しかしながら、係止部172は、カム板160の被係止部167には当接しないので、カム板160は回転せず、コイルバネ150の付勢によってその位置を保持する。よって、手足部材131〜134は、筐体部800の内側に引き込まれた状態のままで、装飾部材90のみが回転する。
−第3段階−
図16に示すように、第3段階は、第2段階に引き続き、装飾ユニット80が下方にさらに移動した状態である。装飾ユニット80の下方への移動に伴い、装飾部材90はさらに時計回りに回転する。なお、図16に示す第3段階の装飾部材90の回転角度は、例えば285°である。
このとき、装飾ユニット80の内部では、図20に示すように、ギア170が時計回りに回転し続けるので、ギア170に設けられた係止部172も回転軸91を中心に、時計回りに回転し続ける。そして、第3段階では、係止部172は、カム板160の被係止部167に対して、時計回り方向の上流側から当接する。なお、この段階でも、手足部材131〜134は、筐体部800の内側に引き込まれた状態のままである。
−第4段階−
図17に示すように、第4段階では、第3段階に引き続き、装飾ユニット80が下方にさらに移動し、装飾部材90が時計回りに回転し続ける。これに合わせ、装飾ユニット80の開口185〜188から、手足部材131〜134が外側に徐々に移動し始める。なお、図17に示す第4段階の装飾部材90の回転角度は、例えば332°である。
このとき、装飾ユニット80の内部では、図21に示すように、ギア170が時計回りに回転し続けるので、ギア170に設けられた係止部172も回転軸91を中心に、時計回りに回転し続ける。そして、係止部172は、第3段階でカム板160の被係止部167に当接しているので、第4段階では、コイルバネ150のバネ力に反して、被係止部167をそのまま時計回りに押し込む。これにより、カム板160は、時計回りに回転し始め、カム板160の係止部168は、長突起123Aから時計回りに離間し、係止部169は長突起123Bから時計回りに離間する。
そして、カム板160の回転に伴い、ガイド板140のガイド穴141〜144に対して、カム板160の溝カム161〜164の位置が変わる。例えば、図20に示すように、第3段階では、ガイド穴141の基端部と溝カム161の基端部とが互いに重なっているが、この状態からカム板160のみが時計回りに回転すると、図21に示すように、ガイド穴141と溝カム161とが重なる重複位置が、ガイド穴141の外端部に向かって徐々に移動する。そして、この重複位置に、右手部材131のコロ部材131Aが位置する。即ち、重複位置の移動に伴い、コロ部材131Aは、溝カム161の内縁部によってガイド穴141の外端部に向けて徐々に押し上げられる。なお、その他の手足部材132〜134についても同様の動作を生じる。
−第5段階−
そして、第4段階から、装飾ユニット80が下方にさらに移動すると、装飾部材90が時計回りにさらに回転し、装飾ユニット80の開口185〜188から、手足部材131〜134がさらに外側に移動する。そして、装飾ユニット80を支持する移動部材60の当接部66(図7参照)が、支持本体部41の段部51に固定されたストッパ52(図7参照)に当接すると、図17に示すように、装飾ユニット80は、支持本体部41の開口46(図6参照)における移動範囲の最下端位置で停止する。このとき、装飾部材90は第1段階から360°回転するので、「7」の文字は正規の位置に戻り、手足部材131〜134は開口185〜188から最大限の長さで伸びる。
このとき、装飾ユニット80の内部では、図22に示すように、カム板160がさらに時計回りに回転することによって、ガイド穴141〜144と溝カム161〜164とが夫々重なる重複位置が、ガイド穴141〜144の夫々の外端部まで移動する。これにより、コロ部材131A〜134Aは、ガイド穴141〜144の夫々の外端部で停止するので、手足部材131〜134の移動は停止する。この状態では、コロ部材131A〜134Aは、溝カム161〜164の屈曲部161A〜164Aに嵌り込み、ガイド穴141〜144との間でロックされた状態となる。これにより、コロ部材131A〜134Aは、ガイド穴141〜144の夫々の外端部で確実に位置決めされるので、手足部材131〜134は、筐体部800の開口185〜188から最も伸びた位置で、安定して位置決めされる。このように、手足部材131〜134は伸びた状態で確実に停止するので、夫々の動きをシャープに見せることができる。
さらに、手足部材131〜134が停止すると同時に、それまで時計回りに回転していたカム板160のうち、溝カム162の外側にある外側部162Bは、ガイド板140の上部に設けられた突起部146に当接し、溝カム163の外側にある外側部163Bは、ガイド板140の下部に設けられた突起部147に当接する。これにより、カム板160の時計回りの回転は停止する。そして、カム板160の軸穴165に固定された回転軸91の回転も止まるので、装飾部材90は第1段階から360°回転した状態で停止する。こうして、装飾ユニット80は、図10,図11に示す状態となり、筐体部800を胴体とし、その周囲から手足部材131〜134が伸びたキャラクターに変形することができる。
本実施形態では、例えば、大当たり等の遊技状態に応じて、役物装置30を可動させることができる。上記のように、役物装置30を駆動させると、表示画面28の上部に配置された装飾ユニット80が、筐体部800の前側にある装飾部材90を回転させながら下方に移動を開始する。そして、その移動する途中から、手足部材131〜134が筐体部800の外周から伸び始め、表示画面28の略中央まで下がって停止したときには、装飾部材90は可動初期時から360°回転して元の状態に戻り、手足部材131〜134が筐体部800の外周から最大限に伸びた状態となる。このとき、遊技者から見て真正面に、キャラクターに変形した装飾ユニット80を配置させることができるので、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
そして、上述のように、役物装置30は、駆動開始から駆動終了までの間に、(1)装飾ユニット80の移動、(2)装飾部材90の回転、(3)手足部材131〜134の出退動作、の3つの動作を一連の流れとして実行するので、複合的な演出動作をテンポよく効果的に行うことができる。そして、本実施形態は特に、これらの複数の動作を一つのモータ27で行うことができるので、電力消費の節約、モータにかかる部品コストの節約、役物装置30の構造の簡素化等を図ることができる。
また、本実施形態では、ギア170に設けられた係止部172は、回転軸91が下方向に回転する際の係止部172の回動範囲において、その回動範囲の移動開始位置から離間する位置で、カム板160に設けられた被係止部167と係止するようになっている。これにより、装飾ユニット80が下方向に移動を開始した直後は、回転軸91が時計回りに回転を開始するので、装飾部材90が回転し始めるが、係止部172が被係止部167と係止するまでは、カム板160は回転しない。よって、手足部材131〜134は動かず、開口185〜188から外側に出ない。そして、回転軸91が時計回りにさらに回転し、係止部172が被係止部167と係止することによって、カム板160が時計回りに回転を開始し、手足部材131〜134が動き出す。このような構造とすることで、手足部材131〜134が動き出すタイミングを、装飾部材90が動き出すタイミングに対してずらすことができる。よって、装飾部材90と手足部材131〜134を段階的に動作させることができ、特有の演出効果を奏することができる。
また、カム板160に設けられた溝カム161〜164は、回転軸91の軸方向から見て、時計回り方向側に若干膨らむ略円弧状に形成されているので、カム板160が回転軸91を中心に時計回り方向に回転する場合に、コロ部材131A〜134Aを溝カム161〜164に沿って滑らかに摺動させることができる。これにより、手足部材131〜134を滑らかに移動させることができる。
なお、詳述しないが、最下端位置まで下がった装飾ユニット80を上昇させるには、役物装置30のモータ27を逆回転させればよい。これにより、上記一連の動作とは反対の動作が行われるので、装飾部材90が反時計回りに回転しながら、装飾ユニット80が上方に移動し、外側に伸びていた手足部材131〜134は、筐体部800の内側に移動して収納される(図1参照)。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1は、役物装置30を遊技盤2の前面に備える。役物装置30は、駆動支持機構40、移動部材60、装飾ユニット80を備える。駆動支持機構40は、移動部材60を上下方向に往復移動可能に支持すると共に、モータ27と、モータ27の駆動で回転するピニオンギア56を備える。移動部材60は、ピニオンギア56に噛合するラックギア65を一端部に有し、ピニオンギア56の回転に伴って上下方向に移動する。駆動支持機構40は、そのラックギア65に対して平行で且つラックギア65とは反対側に向けて配置された直線ギア45を備える。装飾ユニット80は、移動部材60のラックギア65を有する一端部とは反対側の他端部で、且つ直線ギア45が配置されている側に設けられている。これにより、モータ27が駆動すると、移動部材60が上下方向に移動するので、該移動部材60に設けられた装飾ユニット80も上下方向に移動する。
さらに、装飾ユニット80は、筐体部800、回転軸91、装飾部材90、ギア170、手足部材131〜134、カム板160等を備える。回転軸91は、筐体部800に回転可能に支持され、ピニオンギア56の軸方向に対して平行に配置されている。装飾部材90は、回転軸91に設けられている。ギア170は、回転軸に設けられ、直線ギア45に対してギア71,72を介して間接的に噛合する。手足部材131〜134は、筐体部800に設けられ、回転軸91の径方向に往復移動する。カム板160は、回転軸91に設けられ、回転軸91の回転力を、手足部材131〜134を径方向に移動させる動力に変換する。よって、パチンコ機1は、モータ27の駆動だけで、移動部材60に支持された装飾ユニット80を上下方向に移動させながら、装飾ユニット80に設けられた装飾部材90を回転させ、さらに、装飾ユニット80の筐体部800から手足部材131〜134を径方向に移動させることができる。つまり、1つのモータ27の動力で、装飾ユニット80、装飾部材90、及び手足部材131〜134を夫々動かすことができるので、少ない動力で高い演出効果の得られるパチンコ機1を提供できる。
また、本実施形態では、装飾ユニット80は、筐体部800内にガイド板140を備える。ガイド板140は、ガイド穴141〜144を備える。ガイド穴141〜144は、手足部材131〜134に設けられたコロ部材131A〜134Aを、径方向に往復移動して案内する。さらに、カム板160は、コロ部材131A〜134Aが摺動可能に係止する溝カム161〜164を備える。溝カム161〜164を回転軸91の軸方向から見た場合に、溝カム161〜164は、カム板160の軸穴165側から径方向外側にかけて、反時計回り方向に傾斜して延び、且つガイド穴141〜144に対して交差する方向に配置されている。これにより、回転軸91と共に、カム板160が時計回りに回転すると、ガイド穴141〜144に対して溝カム161〜164が時計回りに回動する。このとき、溝カム161〜164が時計回りに回動するにつれて、コロ部材131A〜134Aはガイド穴141〜144に沿って径方向外側に付勢される。よって、手足部材131〜134を筐体部800の外側に向けて移動させることができる。
また、本実施形態では、溝カム161〜164の夫々の外端部には、反時計回り方向側に屈曲する屈曲部161A〜164Aが設けられている。カム板160が回転軸91と共に時計回りに回転すると、コロ部材131A〜134Aが係止する溝カム161〜164が回転軸91を中心に回動する。このとき、コロ部材131A〜134Aは溝カム161〜164に沿って径方向外側に移動すると共に、ガイド穴141〜144においても径方向外側に移動する。そして、コロ部材131A〜134Aがガイド穴141〜144の径方向外側の一端部まで移動すると、溝カム161〜164の径方向外側の一端部に設けられた屈曲部161A〜164Aまで移動するので、コロ部材131A〜134Aはガイド穴141〜144の夫々の外端部と溝カム161〜164の屈曲部161A〜164Aとに挟まれて保持された状態となる。これにより、手足部材131〜134が径方向外側に最大に移動した位置で安定して位置決めされる。
また、本実施形態では、ガイド穴141〜144及び溝カム161〜164に、コロ部材131A〜134Aを摺動可能に係止するので、手足部材131〜134を滑らかに移動させることができる。
なお、上記説明において、上方から下方に向かう方向が本発明の「第1方向」に相当し、時計回り方向が本発明の「第2方向」に相当し、反時計回り方向が本発明の「第3方向」に相当する。また、装飾部材90が本発明の「第1装飾部材」に相当し、駆動支持機構40が本発明の「支持部材」に相当し、手足部材131〜134が本発明の「第2装飾部材」に相当する。
また、本発明に係る遊技機において、前記カム板は、前記回転軸に回転可能に支持され、前記装飾ユニットは、前記カム板を前記第3方向に付勢する付勢手段と、前記筐体部に設けられ、前記付勢手段の付勢力によって前記第3方向に回転する前記カム板に設けられた第1係止部が係止することによって、前記カム板の前記第3方向への回転を停止させる第1被係止部と、前記ギア又は前記回転軸に設けられ、前記回転軸の回転に伴って、前記回転軸の軸回りを回動する第2係止部と、前記カム板に設けられ、前記回転軸が前記第2方向へ回転する際に、前記回転軸と共に前記第2方向へ回動する前記第2係止部が係止することによって、前記付勢手段による付勢力に抗して前記カム板を前記第2方向へ回転させる第2被係止部とを備えてもよい。
装飾ユニットが第1方向に移動する場合、支持部材に設けられた直線ギアに噛合するギアが回転するので、回転軸が第2方向に回転する。このとき、回転軸の回転に伴って第2係止部が第2方向に回動し、更に第2被係止部に係止することによって、カム板が第2方向へ押されて回転する。これにより、第2装飾部材は径方向外側に移動できる。また、カム板は付勢手段によって第3方向に付勢されているので、第2方向に回動する第2係止部と第2被係止部の間を隙間なく密着させることができる。これにより、回転軸の第2方向への回転に合わせて、カム板を第2方向へ回転させ、第2装飾部材を径方向外側に移動させることができる。
前記第2係止部は、前記回転軸が前記第2方向に回転する際の前記第2係止部の回動範囲において、前記回動範囲の移動開始位置から離間する位置で、前記第2被係止部と係止してもよい。装飾ユニットが第1方向に移動を開始した直後、回転軸が第2方向に回転を開始するので、第1装飾部材は回転し始める。これに対し、回転軸が第2方向に回転し、第2係止部が第2被係止部と係止するまでは、カム板は回転しないので、第2装飾部材は動かない。そして、回転軸が第2方向に回転してから第2係止部が第2被係止部と係止することによって、カム板が回転を開始し、第2装飾部材が動く。これにより、第2装飾部材が動き出すタイミングを、第1装飾部材の動き出すタイミングに対してずらすことができる。よって、第1装飾部材と第2装飾部材とが段階的に動作するという演出効果を奏することができる。
前記筐体部は、正面視略円形状であって、前記第2装飾部材は、前記筐体部を正面から見た場合に、右上、右下、左上、及び左下において、前記径方向に往復移動可能に夫々設けられ、前記ガイド部材は、4つの前記第2装飾部材の前記被案内部に対応する4つの前記ガイド穴を備え、前記カム板は、4つの前記第2装飾部材の前記被案内部に対応する4つの前記溝カムを備えてもよい。この構成によって、装飾ユニットは、筐体部を胴体、右上と左上の第2装飾部材を両手、右下と左下の第2装飾部材を両足として、擬人化して遊技者に見せることができる。また、装飾ユニットが第1方向において往復移動することによって、胴体から両手と両足が出退するという特有の演出効果を奏することができる。
前記溝カムは、前記回転軸の軸方向から見た場合に、前記第2方向側に膨らむ略円弧状に形成されてもよい。溝カムは第2方向側に膨らむ略円弧状であるので、カム板が回転軸を中心に第2方向に回転する場合に、被案内部を溝カムに沿って滑らかに摺動させることができる。
前記第1方向は、上方から下方、又は下方から上方に向かう方向であって、前記モータが前記出力軸を回転し、前記移動部材が上方から下方、又は下方から上方に移動する場合に、前記回転軸が前記第2方向に回転するようにしてもよい。この構成によって、装飾ユニットが上方から下方、又は下方から上方に移動する動作に合わせ、第1装飾部材が回転し、第2装飾部材が径方向に移動するという特有の演出効果を奏することができる。
前記第1方向は、上方から下方に向かう方向であって、前記支持部材には、前記移動部材が最上部に移動した位置に、前記移動部材に設けられた第1当接部と当接する第2当接部が設けられ、前記第1当接部及び前記第2当接部の何れか一方には磁石が設けられ、他方には磁性体が設けられてもよい。これにより、移動部材が下方から上方に移動する場合、第1当接部が第2当接部に引きつけられるので、モータにかかる負担を軽減できる。
前記移動部材は、前記第1方向に対して平行に延設され、前記移動部材の前記一端部及び前記他端部は、前記移動部材の長手方向に直交する方向の一端部及び他端部であって、前記移動部材の前記他端部には、前記装飾ユニットの前記筐体部を支持する支持部が設けられ、前記支持部は、前記長手方向に直交する方向に、且つ前記直線ギアが配置されている側に延設されてもよい。移動部材は、第1方向に対して平行に延設されているので、そのような移動部材の一端部にラックギアを設けることで、ラックギアを第1方向に対して平行に長くできる。これにより、装飾ユニットの第1方向における移動距離を長くできるので、装飾ユニットの第1方向への移動をダイナミックに演出できる。また、装飾ユニットは、移動部材の支持部に支持され、その支持部は、移動部材の長手方向に直交する方向で、且つ直線ギアが配置されている側に延設されているので、モータや移動部材から離れた位置で、装飾ユニットを動かすことができる。これにより、例えば、所定の遊技状態になった場合に、遊技盤の中央において装飾ユニットを動かすことができるので、よりダイナミックな演出効果を奏することができる。
前記支持部材は、前記ピニオンギアと同方向に回転可能であって、前記ラックギアと噛合する補助ギアを備えてもよい。ラックギアに補助ギアが噛合することによって、移動部材が安定的に支持されるので、サイズの大きい移動部材であっても、第1方向に安定して移動させることができる。
前記支持部材は、前記第1方向に対して平行に延び、前記移動部材を前記第1方向に案内するガイド軸を備えてもよい。支持部材はガイド軸に沿って移動部材を第1方向に案内するので、移動部材は第1方向に安定して移動できる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態の役物装置30では、移動部材60を用いて装飾ユニット80を上下方向に移動させるが、上下方向に限らず、例えば、左右方向、斜め方向等に移動させてもよい。
また、役物装置30の筐体部800の形状、装飾部材90の形状、手足部材131〜134の夫々の形状は、上記実施形態の形状に限らず、自由に変更可能である。さらに、手足部材131〜134の装飾部材については、本数や場所等を変更してもよい。
また、上記実施形態では、例えば、パチンコ機1が特定の遊技状態になった時に、役物装置30を駆動させる。その時の動作の一例として、上述のように、装飾ユニット80を下方に連続的に移動させることによって、装飾部材90を時計回りに回転させ、さらに、手足部材131〜134を筐体部800から伸長させることができる。その他に、例えば、装飾ユニット80を上下に小刻みに移動させることによって、装飾部材90を時計回りと反時計回りに交互に回転させ、さらに、手足部材131〜134を筐体部800から小刻みに出退させることができる。
また、上記実施形態では、駆動支持機構40の支持本体部41の上壁の下面に金属板53を取り付けているが、金属板53は磁石でもよい。また、支持本体部41の上壁の下面に磁石54を取り付け、移動部材60の上部に金属板53を取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、装飾ユニット80を下方に移動する第5段階で、ギア170に設けられた係止部172が、カム板160に設けられた被係止部167に係止するようになっているが、第1段階から係止部172を被係止部167に係止させるようにしてもよい。この場合、装飾ユニット80が下方に移動を開始した時から、手足部材131〜134が筐体部800の開口185〜188から外側に伸びるので、上記実施形態とは異なる動作をさせることができる。
また、上記実施形態では、装飾ユニット80が下方に移動する場合に、装飾部材90は時計回りに回転するが、例えば、ユニット支持部62に配置されるギア71,72に一枚ギアを配置することで、ギア170を回転させる方向を変えることができる。この場合、装飾部材90は反時計回りに回転する。なお、装飾部材90を反時計回りに回転させる場合、カム板160の溝カム161〜164の傾斜する方向を、図15が示す方向に対して反対にすればよい。
また、上記実施形態では、装飾ユニット80のギア170は、ギア71,72を介して、直線ギア45と間接的に噛合するが、例えば、移動部材60のユニット支持部62を省略し、ギア170と直線ギア45を直接噛合させてもよい。
また、上記実施形態では、上方から下方に向かう方向を本発明の「第1方向」としたが、下方から上方に向かう方向を「第1方向」としてもよい。即ち、役物装置30は、装飾ユニット80を下方から上方に移動する際に、装飾部材90を回転させ、手足部材131〜134を伸長させてもよい。
なお、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、演出装置、図柄表示部、電動役物、入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「表示画面」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。