JP2016111002A - 非水電解質二次電池用セパレータ及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用セパレータ及び非水電解質二次電池 Download PDF

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暢宏 平野
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Abstract

【課題】良好な通気度を確保しながら、粉落ちの発生(セパレータ中の樹脂粒子の脱落)を抑制する非水電解質二次電池用セパレータを提供する。【解決手段】本開示に係る非水電解質二次電池用セパレータは、セルロース繊維と、前記セルロース繊維と水素結合する置換基含有の樹脂粒子とを含むものである。【選択図】なし

Description

本開示は、非水電解質二次電池用セパレータ及び非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池用のセパレータとしては、セルロース繊維から構成される多孔膜が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、セルロース繊維を含む非水電解質二次電池用のセパレータとしては、セルロース繊維等の繊維状物と、アルミナ等の無機粒子とから構成された多孔膜が知られており、また、アルミナ等の無機粒子が板状粒子であることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2013−099940号公報 特開2008−4438号公報
しかし、特許文献1に開示の非水電解質二次電池用セパレータでは、良好な通気度が得られない場合がある。また、特許文献2に開示の非水電解質二次電池用セパレータでは、無機粒子がセパレータから脱落する、所謂粉落ちが発生する場合がある。
そこで、本開示は、良好な通気度を確保しながら、粉落ちの発生(セパレータ中の樹脂粒子の脱落)を抑制する非水電解質二次電池用セパレータを提供する。
本開示に係る非水電解質二次電池用セパレータは、セルロース繊維と、セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子とを含む。
本開示によれば、良好な通気度を確保しながら、粉落ちの発生(セパレータ中の樹脂粒子の脱落)を抑制する非水電解質二次電池用セパレータが得られる。
図1は、本開示の実施形態の一例である非水電解質二次電池を示す断面図である。
(本開示の基礎となった知見)
まず、本開示に係る一態様の着眼点について説明する。本発明者らは、上記特許文献1のように、セルロース繊維から構成されるセパレータでは、セルロース繊維同士が水素結合して緻密な膜が形成されるため、良好な通気度が得られないことを見出した。また、本発明者らは、上記特許文献2のように、セルロース繊維等の繊維状物とアルミナ等の無機粒子とから構成されるセパレータでは、セルロース繊維とアルミナ等の無機粒子との結着性が低いため、セパレータを作製する際や二次電池を作製する際に、セパレータ中の無機粒子が脱落するという粉落ちが発生することを見出した。そして、このような粉落ちが発生すると、セパレータに大きな孔が形成されるため、例えば、リチウムデンドライトがセパレータを貫通し易くなり、内部短絡の発生を十分に防止できない可能性がある。上記知見に基づき、本発明者は、以下に説明する各態様の発明を想到するに至った。
本開示の第1態様にかかる非水電解質二次電池用セパレータは、セルロース繊維と、前記セルロース繊維と水素結合する置換基含有の樹脂粒子とを含むものである。第1態様によれば、セパレータに樹脂粒子が充填されることで、セルロース繊維同士の間に樹脂粒子が介在して、セルロース繊維同士の間隔が適度に広げられるため、良好な通気度が得られる。すなわち、セパレータへの電解液の浸透やセパレータ中のイオンの移動を可能にする適度な孔がセパレータに形成される。また、樹脂粒子はセルロース繊維と水素結合する置換基を有しているため、セルロース繊維と樹脂粒子の接着性が向上し、セパレータ中の樹脂粒子が脱落するという粉落ちの発生が抑制される。このように、良好な通気度を確保しながら、粉落ちの発生を抑制することで、例えば、セパレータに大きな孔が形成されることが抑えられるため、リチウムデンドライトによる内部短絡の発生を防止することが可能となる。
第2態様において、例えば、第1態様にかかる前記セルロース繊維の平均繊維径が0.05μm以下であってもよい。第2態様によれば、セルロース繊維の平均繊維径が0.05μmを超える場合と比較して、例えばセパレータに微細な孔が形成され易く、リチウムデンドライトによる内部短絡の発生が抑制される。
第3態様において、例えば、第1態様又は第2態様にかかる前記樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv)/数平均粒子径(Dn)は2未満であってもよい。第3態様によれば、体積平均粒子径(Dv)/数平均粒子径(Dn)が2以上である場合や、特許文献2のアルミナ等の板状粒子と比較して、セパレータに均一な孔が形成され、より良好な通気度が得られる。なお、特許文献2の板状粒子の場合、板状粒子の平板面がセパレータの面に平行となるように配向され、セパレータの孔が板状粒子により覆われている場合もあれば、板状粒子の平板面がセパレータの面に垂直となるように配向され、セパレータの孔が板状粒子により十分に覆われていない場合もある。このため、特許文献2のセパレータにおいて、板状粒子によるセパレータの孔径制御は困難となる。
第4態様において、例えば、第1態様〜第3態様にかかる前記樹脂粒子の体積平均粒子径は50nm〜500nmの範囲であってもよい。第4態様によれば、体積平均粒子径が上記範囲を満たさない場合と比較して、より良好な通気度が得られ、又は粉落ちの発生がより抑制される。
第5態様において、例えば、第1態様〜第4態様にかかる前記樹脂粒子の軟化温度は200℃以上であってもよい。第5態様によれば、軟化温度が200℃未満の場合と比較して、セパレータの耐熱収縮性が向上する。
第6態様において、例えば、第1態様〜第5態様にかかる前記樹脂粒子がアクリル系架橋樹脂粒子を含んでもよい。第6態様によれば、セパレータの耐熱収縮性が向上する。
本開示の第8態様にかかる非水電解質二次電池は、例えば、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在する第1態様〜第6態様のいずれかに記載の非水電解質二次電池用セパレータと、非水電解質と、を備える、ものである。第8態様によれば、セパレータの良好な通気度が確保され、粉落ちの発生が抑制される。その結果、例えば、リチウムデンドライトによる内部短絡の発生が抑制される。
以下、図面を参照しながら、本開示に係る実施形態について詳細に説明する。以下で説明する実施形態は一例であって、本開示はこれに限定されるものではない。なお、実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものである。
図1は、本開示の実施形態の一例である非水電解質二次電池10を示す断面図である。
図1に示すように、非水電解質二次電池10は、正極11と、負極12と、正極11と負極12との間に介在する非水電解質二次電池用セパレータ20(以下、単に「セパレータ20」という)と、非水電解質(不図示)とを備える。正極11及び負極12は、セパレータ20を介して巻回され、セパレータ20と共に捲回型電極群を構成している。非水電解質二次電池10は、円筒型の電池ケース13と、封口板14とを備え、捲回型電極群及び非水電解質が電池ケース13内に収容されている。捲回型電極群の長手方向の両端部には、上部絶縁板15及び下部絶縁板16が設けられている。正極11には、正極リード17の一端が接続され、封口板14に設けられた正極端子19には正極リード17の他端が接続されている。負極12には、負極リード18の一端が接続され、電池ケース13の内底に負極リード18の他端が接続されている。電池ケース13の開口端部は、封口板14にかしめ付けられ、電池ケース13が封口されている。
図1に示す例では、捲回型電極群を含む円筒形電池を示しているが、本開示の適用はこれに限定されない。電池の形状は、例えば、角形電池、扁平電池、コイン電池、ラミネートフィルムパック電池等であってもよい。
正極11は、例えば、リチウム含有複合酸化物等の正極活物質を含む。リチウム含有複合酸化物は、特に限定されず、コバルト酸リチウム、コバルト酸リチウムの変性体、ニッケル酸リチウム、ニッケル酸リチウムの変性体、マンガン酸リチウム、マンガン酸リチウムの変性体などが例示できる。コバルト酸リチウムの変性体は、例えばニッケル、アルミニウム、マグネシウムなどを含む。ニッケル酸リチウムの変性体は、例えばコバルトやマンガンを含む。
正極11は、正極活物質を必須成分として含み、結着剤や導電材を任意成分として含む。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDFの変性体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性アクリロニトリルゴム粒子などが用いられる。PTFEやゴム粒子は、例えば、増粘効果のあるカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、可溶性変性アクリロニトリルゴムと組み合わせて用いることが好ましい。導電材には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、各種グラファイトなどが用いられる。
負極12は、例えば、黒鉛のような炭素材料、ケイ素含有材料、スズ含有材料等の負極活物質を含む。黒鉛は、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛等を挙げることができる。また、金属リチウムや、スズ、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等を含むリチウム合金を用いてもよい。
負極12は、負極活物質を必須成分として含み、結着剤や導電材を任意成分として含む。結着剤としては、例えば、PVDF、PVDFの変性体、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、SBRの変性体などが用いられる。これらのうち、化学的安定性の観点から、特にSBR及びその変性体が好ましい。SBR及びその変性体は、増粘効果のあるCMCと組み合わせて用いることが好ましい。
非水電解質は、特に限定されないが、リチウム塩を溶解した非水溶媒を用いることが好適である。リチウム塩には、例えばLiPF6、LiBF4などを用いることができる。非水溶媒には、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などを用いることができる。これらは複数種を組み合わせて用いることが好ましい。
セパレータ20は、正極11と負極12との間に介在し、正極11と負極12との短絡を防止しつつLiイオンを透過する機能を有する。セパレータ20は、非水電解質二次電池10の充放電の際にLiイオンが通過する経路となる孔を多数有する多孔膜である。
セパレータ20は、セルロース繊維と、セルロース繊維と水素結合する置換基含有の樹脂粒子を含む多孔膜である。セパレータ20は、セルロース繊維以外の有機繊維を含んでいてもよい。セルロース繊維以外の有機繊維としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維等が挙げられる。さらに、セパレータ20は、その他の成分として、例えば、サイズ剤、ワックス、無機充填材、有機充填材、着色剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などを含んでいてもよい。
<セルロース繊維>
セルロース繊維は、例えば、針葉樹木材パルプ、広葉樹木材パルプ、エスパルトパルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、コットンパルプ等の天然セルロース繊維、或いはこれら天然セルロース繊維を有機溶剤紡糸されたリヨセル等の再生セルロース繊維などが挙げられる。
セルロース繊維は、孔径制御、非水電解質の保持性、電池寿命等の点から、フィブリル化したセルロース繊維であることが好ましい。フィブリル化とは、摩擦作用等により小繊維の多束構造体よりなる上記繊維を小繊維(フィブリル)に解し、繊維の表面を毛羽立たせた現象等を意味する。フィブリル化は、ビーター、リファイナー、ミル等の叩解機等により繊維を叩解することや、ビーズミル、押出混練機、高圧下剪断力で繊維を解繊することにより得られる。
セルロース繊維の含有量は、例えばセパレータ20の機械的強度等の点から、セパレータ20の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、60質量%〜90質量%の範囲であることがより好ましい。
セルロース繊維の平均繊維径は、0.05μm以下であることが好ましく、0.02μm〜0.03μmの範囲であることがより好ましい。セルロース繊維の平均繊維径を0.05μm以下とすることで、上記範囲を満たさない場合と比較して、例えばセパレータに緻密な孔が形成され、リチウムデンドライトによる内部短絡の発生が抑制される。また、平均繊維径の異なる2種類のセルロース繊維を用いることも好適である。好適な例としては、平均繊維径が0.02μm以下、平均繊維長が50μm以下のセルロース繊維Aと、平均繊維径が0.7μm以下、平均繊維長が50μm以下のセルロース繊維Bとを用いることが挙げられる。
<樹脂粒子>
樹脂粒子は、セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子であれば特に制限されるものではない。セルロース繊維と水素結合する置換基は、例えばセルロース繊維のヒドロキシル基や酸素原子と水素結合するものであり、具体的には、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、チオール基、ウレタン基、アミド基、イミド基、エーテル基等が挙げられる。セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子は、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の樹脂粒子が挙げられる。セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子は、セルロース繊維と容易に水素結合し、セルロース繊維と樹脂粒子との接着性がより向上する点等から、エステル基を有する樹脂粒子であることが好ましく、具体的には、アクリル系樹脂粒子等が挙げられる。アクリル系樹脂粒子は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの共重合体等の樹脂粒子が挙げられる。また、セパレータの耐熱収縮性を向上させる点から、アクリル系樹脂粒子は、アクリル系架橋樹脂粒子であることがより好ましい。アクリル樹脂に架橋構造を付与するには、重合性二重結合を分子中に複数個有するアクリル系もしくはメタクリル系モノマー、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート(以下、3EGAと称する場合がある)等を架橋剤として単独または複数組み合わせて使用すればよい。その他の架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。これらの架橋剤の中では、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートが好ましい。エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートを架橋剤として用いることで、架橋構造中にセルロース繊維と水素結合する置換基(ヒドロキシル基)を形成することができるため、セルロース繊維とアクリル系架橋樹脂粒子の接着性がより向上すると考えられる。
セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の軟化温度は、セパレータ20の耐熱収縮性を向上させる点で、200℃以上であることが好ましい。200℃以上の軟化温度を有する樹脂粒子としては、例えばアクリル系架橋樹脂粒子等が挙げられる。なお、軟化温度は、JIS−K7196−1991に記載の熱機械分析(TMA)により測定される。
セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv)/数平均粒子径(Dn)は、2未満であることが好ましく、1〜1.5の範囲であることが好ましい。セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv)/数平均粒子径(Dn)が2未満であると、2を超える場合と比較して、均一な粒径分布を有する樹脂粒子がセパレータ20中に分散するため、例えば上記特許文献2の板状の無機粒子と比べて、セパレータ20の孔径が均一化され易くなり、より良好な通気度を有するセパレータが得られる。体積平均粒子径(Dn)及び数平均粒子径(Dn)は、レーザー回折粒度分布測定装置[例えば、LA−750{堀場制作所(株)製}]、又は光散乱粒度分布測定装置[例えば、ELS−8000{大塚電子(株)製}]を用いて測定できる。
セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の体積平均粒子径は、0.05μm〜0.5μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜0.3μmの範囲であることがより好ましい。セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv)が0.05μm未満であると、セルロース繊維同士の間隔を十分に広げることが困難となり、上記範囲を満たす場合と比較して、良好な通気度が得られない場合がある。また、セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の平均粒子径が0.5μmを超えると、セルロース繊維同士の間隔が広がり過ぎて、上記範囲を満たす場合と比較して、良好な通気度、又は機械的強度が低下する場合がある。
セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の含有量は、特に制限されるものではないが、セパレータ20の全量に対して10質量%〜40質量%の範囲が好ましく、10質量%〜20質量%の範囲がより好ましい。セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の含有量が10質量%未満であると、上記範囲を満たす場合と比較して、セルロース繊維同士の間隔を十分に広げられず、微細な孔径を有するセパレータ20となり易いため、良好な通気度が得られない場合がある。また、セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の含有量が40質量%を超えると、上記範囲を満たす場合と比較して、樹脂粒子によりセパレータ20の孔が過剰に塞がれ易くなり、良好な通気度が得られない場合がある。
<樹脂粒子の調製方法>
セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子は、例えば、アクリル酸モノマー等のセルロース繊維と水素結合する置換基を有するモノマー、過流酸アンモニウム(APS)等の重合開始剤、場合により架橋剤等を水系溶媒に添加し、所定の温度で撹拌することにより得られる。このようにして得られるセルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子は、水系溶媒に分散したエマルジョンとなる。
<その他の成分>
セパレータ20は、前述の通り、セルロース繊維及びセルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子以外の成分を含んでも良いが、シャットダウン機能の点から、セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子より軟化温度の低い成分を含むことが望ましい。セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子より軟化温度の低い成分は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、シャットダウン機能は、セパレータ20を構成する材料が溶融し、セパレータ20の孔を閉塞することを作動原理とし、電池温度が上昇してある温度に達したときに、著しく抵抗が増大する機能を言う。このシャットダウン機能により、電池が何らかの原因で発熱したときに、セパレータ20により電流を遮断することができ、電池のさらなる発熱を防止することができる。
セパレータ20の通気度は、例えば、5秒/100cc〜50秒/100ccの範囲が好ましく、5秒/100cc〜20秒/100ccの範囲がより好ましい。セパレータ20は、前述の通り、セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子によりセルロース繊維同士の間隔が適度に広げられるため、上記のような良好な通気度が確保される。また、セルロース繊維と水素結合する置換基を有する樹脂粒子の含有量や粒径、セルロース繊維の繊維径等により、セパレータ20の通気度を調整することができる。通気度は、一定の圧力の下に与えられた多孔膜面の垂直方向にエアーを通過させて、100ccのエアーが通過するまでかかる時間を測定することにより得られる。
セパレータ20の通気度が50秒/100ccの範囲を超えると、上記範囲を満たす場合と比較して、例えばセパレータ20の孔径が小さいため、電解液がセパレータ20に浸透し難くなり、サイクル特性等が低下する場合がある。また、セパレータ20の通気度が5秒/100cc未満になると、上記範囲を満たす場合と比較して、セパレータ20の孔径が大きいため、リチウムデンドライトによる内部短絡の発生が起こり易くなる場合がある。
セパレータ20の多孔度は、特に制限されるものではないが、充放電性能等の観点から、30%〜70%が好ましい。なお、多孔度とはセパレータ20の体積に対するセパレータ20が有する細孔の総容積の百分率である。
セパレータ20の目付け量は、リチウムデンドライトによる内部短絡防止の観点等から、5g/m2〜20g/m2の範囲が好ましく、10g/m2〜15g/m2の範囲がより好ましい。目付け量が5g/m2〜20g/m2の範囲であれば、上記範囲外の場合と比較して、良好な通気度を維持しながら、セパレータ20の厚みを十分に確保することができるため、内部短絡の防止性能をより発揮することが可能となる。
セパレータ20の最大孔径は、0.4μm以下であることが好ましく、セパレータ20の孔径分布において孔径0.05μm以下の範囲を有する孔が全孔容積の50%以上を占めることがより好ましい。セパレータ20の最大孔径が0.4μmを超えると、最大孔径が0.4μm以下の場合と比較して、セパレータ20の機械的強度、孔径の緻密性等が低下し、リチウムデントライトによる内部短絡が発生し易くなる場合がある。また、セパレータ20の孔径分布において孔径0.05μm超の範囲を有する孔が全孔容積の50%超であると(孔径0.05μm以下の範囲を有する孔が全孔容積の50%未満)、孔径0.05μm以下の範囲を有する孔が全孔容積の50%以上の場合と比較して、セパレータ20の機械的強度、セパレータ20の孔径の緻密性等が低下し、リチウムデントライトによる内部短絡が発生し易くなる。
セパレータ20の孔径分布は、例えば、バブルポイント法(JIS K3832、ASTM F316−86)による細孔径測定ができるパームポロメーターを用いて測定される。パームポロメーターは、例えば、西華産業製、CFP−1500AE型等が挙げられる。なお、試験液として表面張力の低い溶媒であるSILWICK(20dyne/cm)、或いはGAKWICK(16dyne/cm)を用い、ドライエアーを測定圧力3.5Mpaまで加圧することにより、0.01μmまでの細孔を測定することが可能である。そして、測定圧力におけるエアー通過量から孔径分布が得られる。
ここで、セパレータ20の最大孔径とは、上記のように得られる孔径分布から観察されるピークにおける最大孔径のことである。また、孔径分布から観察される全てのピーク面積(A)に対する、孔径0.05μm以下において観察されるピーク面積(B)の割合(B/A)を求めることにより、孔径0.05μm以下の孔が、全孔容積の何%を占めるかを求めることができる。
セパレータ20の孔径分布は、パームポロメーターによる測定において、孔径0.01μm〜0.2μmに亘って広い分布を有していることが好ましく、孔径0.01μm〜0.2μmに1つ以上のピークを有することが好ましい。
セパレータ20の厚みは、機械的強度等に加え、非水電解質二次電池10の充放電性能の向上等の観点から、5μm〜30μmの範囲が好ましい。セパレータ20の厚みが5μm以上であると、厚みが5μm未満の場合と比較して、機械的強度が向上し、リチウムデントライトによる内部短絡の発生がより抑制される。また、セパレータ20の厚みが30μm以下であると、厚みが30μmを超える場合と比較して、充放電性能の低下が抑制される。
<セパレータ20の製造方法>
セパレータ20は、例えば、剥離可能な基材の片面に、セルロース繊維、及びセルロース繊維と水素結合をする置換基を有する樹脂粒子を含むエマルジョン等を水系溶媒に分散した水系分散液を塗工し、乾燥させることにより作製することができる。水系溶媒としては、例えば、界面活性剤、増粘材等を含み、粘度、分散状態を調整したものが挙げられる。また、セパレータ中に孔を形成する点等から、水系分散液に有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒としては、水との相溶性が高いものから選択され、例えばエチレングリコール等のグリコール類、グリコールエーテル類、グリコールジエーテル類、N−メチル−ピロリドン等の極性溶媒が挙げられる。また、CMC、PVAなど水溶液の結着剤、及びSBR等のエマルジョンの結着剤を用いることでスラリーの粘性を調整し、かつセパレータ20の機械的強度を強化させることもできる。さらに、スラリーの塗布性に影響を与えない程度の樹脂の長繊維を混ぜ、熱カレンダープレスにより樹脂繊維を溶着させた多孔膜とすることもできる。
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンの作製]
まず、アクリル酸メチル(MA)30質量部、ノルマルブチルアクリレート70質量部、トリエチレングリコールジアクリレート(3EGA:架橋剤)10質量部、アクリル酸5質量部、アニオン性界面活性剤5質量部、及びイオン交換水100質量部を、ホモミサーを用いて混合し、モノマー乳化物を得た。次に、窒素置換した滴下装置及び撹拌機付きオートクレーブ内に、イオン交換水190質量部を仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温させた後、イオン交換水10質量部に過流酸アンモニウム水溶液0.6質量部を溶解させた水溶液を添加した。70℃の温度を維持した状態で、撹拌を継続しながら、上記モノマー乳化物を4時間かけて滴下し、撹拌及び温度を維持しながら3時間重合を行った。このような操作により、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−1を得た。
[セルロース繊維スラリーの作製]
繊維径0.5μm以下(平均繊維径0.02μm)、繊維長50μm以下のセルロース繊維を固形分として3質量部、上記エマルジョンA−1を固形分として0.6質量部を、100質量部の水に分散させ、次いでエチレングリコール溶液を1質量部添加して、セルロース繊維スラリーを調整した。
[セパレータの作製]
剥離可能な基材の片面に、上記セルロース繊維スラリーを目付け量12g/m2で塗工し、乾燥させることにより、基材の片面にセルロース繊維及びアクリル系架橋樹脂粒子を含む膜を作製した。この膜を140℃のカレンダーロールで圧縮した後、基材から剥離して、膜厚15μmのセパレータを得た。
<実施例2>
アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンの作製において、アクリル酸の添加量を0.5質量部として、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−2を作製したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<実施例3>
セルロース繊維スラリーの作製において、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−1の添加量を1.2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<実施例4>
セルロース繊維スラリーの作製において、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−1の添加量を3質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<実施例5>
アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンの作製において、アクリル酸の添加量を0.1質量部として、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−3を作製したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<実施例6>
アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンの作製において、アクリル酸メチル(MA)の添加量を50質量部、ノルマルブチルアクリレートの添加量を50質量部として、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−4を作製したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<実施例7>
セルロース繊維スラリーの作製において、繊維径5μm以下(平均繊維径0.02μm)、繊維長50μm以下のセルロース繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<実施例8>
セルロース繊維スラリーの作製において、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−1の添加量を4質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<実施例9>
アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンの作製において、トリエチレングリコールジアクリレートの添加量を1質量部として、アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンA−5を作製したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
<比較例>
アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョンを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。
表1に、実施例1〜9で用いたアクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョン(A−1〜A−5)の組成及び物性を示す。
アクリル系架橋樹脂粒子を含むエマルジョン(A−1〜A−5)の物性の測定方法は、以下の通りである。
<MFRの測定>
機器:メルトフローインデクサー(安田精機製作所製)
荷重:2.16kgf
温度:200℃
試料量:50g
上記条件でのMFRの値(g/min)が低い程、200℃で樹脂粒子が溶融しないことを示している。
<ガラス転移点の測定>
示差走査熱量計「DSC−6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料量20mg、昇温速度10℃/min.の条件で測定した。
<ゲル含有量>
ゲル含有量は、非架橋成分の可溶溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)に、上記アクリル系架橋樹脂粒子を1%濃度で溶解させた後、メンブランフィルターでろ過することにより得られた不溶成分の重量比である。ゲル含有量が高いほど、樹脂粒子の架橋度が高いことを示している。なお、架橋度が高い樹脂粒子ほど、高温度で軟化し難くなる。
また、表2に実施例1〜9及び比較例で用いたセルロース繊維スラリーの組成、並びに実施例1〜9及び比較例におけるセパレータの物性を示す。
実施例1〜5及び比較例におけるセパレータの物性の評価方法は、以下の通りである。
[通気度の評価]
JISP 8117(紙及び板紙-透気度及び透気抵抗度試験方法-ガーレー法)(Paper and board-Determination of air permeance and air resistance (medium range)-Part 5: Gurley method)により通気度(透気度)(Permeability (Air Resistance))を評価した。通気度は、100ccの透気時間(秒)とした。
[引張強度の評価]
JISK 7127(プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件)(Plastics−Determination of tensile properties−Part 3 : Test conditions for films and sheets)により引張強度を評価した(20mm/分)。試験片は、幅15mm、長さ150mmとした。
[突刺強度の評価]
JISK 7181(プラスチック-圧縮特性の求め方)(Plastics-Determination of compressive properties)により突刺強度を評価した(5mm/分)。試験片は、15mm以上、突刺しニードルはφ1mmとした。
[バブルポイントの評価]
パームポロメーターを用いてバブルポイントを評価した。バブルポイントの評価結果は、セパレータの最大孔径を意味する。
[平均孔径の評価]
パームポロメーターを用いて平均孔径を評価した。
[耐熱収縮率の評価]
まず、MD(巻回方向に対して平行方向)あるいはTD(巻回方向に対して垂直方向)に切り出した50mm角のセパレータ片を、予め140℃に加熱された流動パラフィン中に入れ、1時間保持した。その後に取出し、以下の計算式により収縮率を求めた。
収縮率(%)=(熱処理後のMDあるいはTD長さ/50mm)×100
セルロース繊維及びアクリル系架橋樹脂粒子を含む実施例1〜9のセパレータはいずれも、アクリル系架橋樹脂粒子を含まない比較例のセパレータより、通気度の値が低く、良好な通気度を示した。また、実施例1〜9のセパレータは、セパレータ作製の際において、樹脂粒子が脱落する粉落ちが抑制されたため、良好な引張強度、突刺強度を示した。すなわち、実施例のセパレータは、良好な通気度を確保しながら、粉落ちの発生が抑制されているため、例えばリチウムデンドライトによる内部短絡の発生を抑えることが可能である。
実施例3,4,8のように、セパレータの全量に対してアクリル系架橋樹脂粒子の含有量を1質量部以上とすることで、セパレータの機械的強度(突刺強度、引張強度)が向上した。これらの実施例の中では、セパレータの全量に対してアクリル系架橋樹脂粒子の含有量を4.4質量部未満とした実施例3,4のセパレータが、4.4質量部以上とした実施例8のセパレータより良好な通気度を示した。なお、実施例8のセパレータでは、セパレータの孔の多くをアクリル系架橋樹脂粒子により塞がれたため、その他の実施例より通気度の値が上昇したと考えられる。また、実施例2,5のように、アクリル系架橋樹脂粒子中のアクリル酸の含有量を0.5質量部未満とするとこで、その他の実施例より体積平均粒径の大きなアクリル系架橋樹脂粒子が形成された。その結果、その他の実施例と比較して、より良好な通気度を示した。また、実施例6のように、アクリル酸メチルの含有量を増やすことで、実施例1よりアクリル系架橋樹脂粒子のガラス転移点が高くなり、且つ実施例1と同等の通気度を示した。また、実施例7のように、セルロースの繊維径が5μm以下であると、その他の実施例と比較して、セパレータのバブルポイントや平均孔径が大きくなった。また、実施例9のセパレータのように、MFRが30g/minでは、耐熱収縮率が高くなるため、耐熱収縮率の点から、アクリル系架橋微粒子のMFRを30g/min未満に調整することが好ましい。
10 非水電解質二次電池、11 正極、12 負極、13 電池ケース、14 封口板、15 上部絶縁板、16 下部絶縁板、17 正極リード、18 負極リード、19 正極端子、20 セパレータ。

Claims (7)

  1. セルロース繊維と、前記セルロース繊維と水素結合する置換基含有の樹脂粒子とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用セパレータ。
  2. 前記セルロース繊維の平均繊維径が0.05μm以下であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
  3. 前記樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv)/数平均粒子径(Dn)は2未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
  4. 前記樹脂粒子の体積平均粒子径は0.05μm〜0.5μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
  5. 前記樹脂粒子の軟化温度は200℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
  6. 前記樹脂粒子は、アクリル系架橋樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
  7. 正極と、
    負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在する請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用セパレータと、
    非水電解質と、
    を備える、非水電解質二次電池。
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