JP2016110769A - 透明電極の製造方法、透明電極、透明電極の製造装置、電子機器 - Google Patents

透明電極の製造方法、透明電極、透明電極の製造装置、電子機器 Download PDF

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Shigeru Kojima
茂 小島
健 波木井
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健 波木井
和央 吉田
Kazuo Yoshida
和央 吉田
隼 古川
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隼 古川
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Abstract

【課題】透明電極の抵抗を低減することが可能となる透明電極の製造方法を提供する。【解決手段】導電性材料と溶媒とを含む塗工液を基板に塗工し、塗工膜を形成する塗工工程と、水分濃度が100ppm以下の、1Pa以下の真空槽またはグローブボックスを用いた乾燥処理槽内で、塗工膜に波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を照射して、塗工膜の溶媒を除去する乾燥処理工程とにより透明電極を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、湿式法を用いる透明電極の製造方法、透明電極、この透明電極を製造するための製造装置、及び、この透明電極を用いた電子機器に係わる。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶・プラズマ・有機エレクトロルミネッセンス・フィールドエミッション等、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式の異なるいずれのディスプレイにおいても、透明電極は必須の構成要素となっている。また、テレビ以外でも、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない構成要素となっている。
透明電極を製造するにあたり、従来用いられてきた真空蒸着法やスパッタリング法等の乾式法よりも、生産性の高い湿式法による製造方法が検討されている。例えば、透明基板上に、金属、金属酸化物、導電性ポリマー等の導電性微粒子を含む分散液を直接塗布し、これを乾燥させ、導電層を形成させる湿式塗布による透明電極の製造方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
また、湿式法において、遠赤外線ヒータ等を用いた輻射伝熱乾燥を行うことが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、乾燥速度が増加することにより、乾燥ムラを低減することができる。
さらに、遠赤外線ヒータを用いる際、溶媒の吸収領域である波長3.5μm以下の輻射エネルギーを高めるため、3.5μm以上の遠赤外線領域をカットする乾燥方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2012−216550号公報 特開平11−242916号公報 特開2012−132662号公報
しかしながら、上述の遠赤外線ヒータを用いた乾燥方法では、塗膜中の溶媒の除去が十分ではない。このため、透明電極の抵抗を十分に低減させることが困難である。
上述した問題の解決のため、本発明においては、透明電極の抵抗を低減することが可能となる透明電極の製造方法、低抵抗の透明電極、この透明電極を製造するための製造装置、及び、透明電極を用いた電子機器を提供するものである。
本発明の透明電極の製造方法は、導電性材料と溶媒とを含む塗工液を基板に塗工し、塗工膜を形成する塗工工程と、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽内で、塗工膜に赤外線を照射して、塗工膜の溶媒を除去する乾燥処理工程と、を有する。
本発明透明電極の製造装置は、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽と、赤外線ランプと、赤外線ランプの周囲に設けられた冷媒の流路と、を備える。
また、本発明の透明電極は、基板と、基板上に設けられた導電性材料層とを備える。そして、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に測定される水分子の量が2mg/m以下であり、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に、高沸点溶媒が検出され、かつ、測定される高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下である。
本発明の電子機器は、上記透明電極を備える。
本発明によれば、透明電極の抵抗を低減することが可能な透明電極の製造方法、低抵抗の透明電極、この透明電極を製造するための製造装置、及び、透明電極を用いた電子機器を提供することができる。
実施形態の透明電極の構成を示す断面図である。 金属導電層を構成する金属粒子の細線パターンの例を示す図である。 金属導電層を構成する金属粒子の細線パターンの例を示す図である。 赤外線乾燥ユニットの概略構成を示す図である。 グローブボックスを用いた枚葉方式の乾燥処理部の構成を示す図である。 グローブボックスを用いたロール・ツー・ロール方式の乾燥処理部の構成を示す図である。 真空槽を用いた枚葉方式の乾燥処理部の構成を示す図である。 真空槽を用いたロール・ツー・ロール方式の乾燥処理部の構成を示す図である。 透明電極を備える有機EL素子の構成の一例を示す図である。 実施例の透明電極の構成を説明するための図である。 実施例の透明電極の構成を説明するための図である。 実施例の透明電極の構成を説明するための図である。 実施例の有機EL素子の構成を説明するための図である。 実施例の有機EL素子の構成を説明するための図である。 実施例の有機EL素子の構成を説明するための図である。 実施例の有機EL素子の構成を説明するための図である。 実施例の有機EL素子の構成を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行なう。
1.透明電極、透明電極の製造方法
2.透明電極の製造装置
3.電子機器
〈1.透明電極、透明電極の製造方法〉
以下、透明電極、及び、透明電極の製造方法の実施形態について説明する。以下に説明する透明電極は、後述する透明電極の製造方法により製造される。
透明電極は、少なくとも、樹脂基板と、この樹脂基板上に設けられた導電性材料層とを有する。さらに、透明電極は、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に水分が検出され、このとき測定される水分子の量が2mg/m以下である。また、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に、高沸点溶媒が検出される。そして、このとき測定される高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下である。
また、透明電極の製造方法は、樹脂基板上にポリマーを含む塗工膜を形成する塗工工程と、この塗工膜に水分濃度が100ppm以下の環境下で赤外線を照射し、塗工膜の溶媒を除去する乾燥処理工程とを有する。
なお、昇温脱離ガス分光による測定は、以下のように行なう。
水分量の分析については、電子科学(株)製昇温脱離分析装置TDS1200装置を用いて、1×10−5Pa以下の状態でロードロック室にサンプルを入れ、30分以上真空引きをして試料室に搬送する。そして、さらに30分待機した後、30分間40℃に加熱する。さらに、80℃に加熱し40分間待機する。ここまでの80℃で40分間待機するまでに観測された水分、及び、溶媒は、本測定における水分量や高沸点溶媒の量に含まれない。
次に、150℃まで加熱し40分間待機する。このときの150℃40分間中で脱離した水分量、溶媒量を、本測定における残留水分、残留溶媒とする。
なお、TDS装置の検出シグナルから水及び溶媒の量への換算は、下記の(式1)により行なうことが可能である。
具体的には上記の装置を用いてMID測定を行い、得られた面積から水及び溶媒の放出量を求めた。
Figure 2016110769
if:イオン化係数
ff:フラグメンテーション係数
tf:スルーパス係数
pr:ポンピングレート
Mass Cal:感度補正
[透明電極の構成]
透明電極の構成について説明する。本実施形態の透明電極の構成(断面図)を図1に示す。また、図1に示す透明電極における、金属導電層の形成パターンの平面配置図を図2〜3に示す。
図1に示すように、透明電極10は、基板11、ガスバリア層12、金属導電層13、及び、導電性材料層14を備える。
ガスバリア層12は、基板11の一方の面上に形成されている。
ガスバリア層12が形成された基板11上に金属導電層13が形成されている。金属導電層13は、金属粒子により形成された一定の細線パターンにより構成されている。金属導電層13を構成する金属粒子の細線パターンの例を、図2、図3に示す。金属粒子の細線パターンは、ガスバリア層12が形成された基板11上に、例えば、図2に示すようなストライプ状、又は、図3に示すようなメッシュ状(網目状)に形成することができる。
導電性材料層14は、金属導電層13上を被覆し、基板11上に形成されている。導電性材料層14は、金属導電層13による凹凸を被覆し、表面が平坦となるように形成されている。
[基板]
基板11は、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が80%以上の透明樹脂基板が好ましく用いられる。なお、透明とは、当該JIS規格に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上のものをいう。
基板11としては、フレキシブル性に優れ、誘電損失係数が十分小さく、マイクロ波の吸収が導電層よりも小さい材質であることが好ましい。基板11としては、例えば、樹脂フィルム等が好適に挙げられ、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚さ等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート又は変性
ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム又は環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム及びトリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。
全光線透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、基板11として好ましく用いうことができる。特に、透明性、赤外線吸収特性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、ポリエステル系樹脂フィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましい。
また、基板11には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。基板11の表面又は裏面には、好ましくは、無機物若しくは有機物の被膜からなるガスバリア層、又は、無機物及び有機物のハイブリッド被膜からなるガスバリア層を形成する。
[ガスバリア層]
透明電極10においては、導電層に微量の水分や酸素が侵入すると、抵抗値の増加等の性能が低下する。また、この透明電極を後述する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に適用する場合には、有機EL素子内部に微量の水分や酸素が侵入すると容易に性能が低下する。透明樹脂基板には、当該透明樹脂基板を通して素子内部に水分や酸素が拡散することを防止するため、水分や酸素に対して高い遮蔽能を有するガスバリア層12を形成することが有効である。
ガスバリア層12のバリア性としては、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下(1atmは、1.01325×105Paである)、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
ガスバリア層12の組成や構造およびその形成方法には特に制限はない。例えば、真空蒸着やCVD法により形成されたシリカ等の無機化合物を含む膜を用いることができる。また、ポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布乾燥後、酸素及び水蒸気を含む窒素雰囲気下で紫外線照射により酸化処理して形成した膜等を用いることができる。ガスバリア層を形成する前に、透明樹脂基板との接着性を向上するために、シランカップリング剤などを用いて透明樹脂基板の表面に前処理を施すこともできる。
ガスバリア層は1層でもよいが、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する場合には、無機化合物の積層構造であってもよいし、無機化合物と有機化合物のハイブリッド被膜として形成してもよい。またガスバリア層の間に応力緩和層を挟んでもよい。
単層の場合でも積層した場合でも1つのガスバリア層の層厚は、30nm〜1000nmが好ましく、更に好ましくは30nm〜500nm、特に好ましくは90nm〜500nmである。30nm以上とすると層厚均一性が良好となり、優れたバリア性能が得られる。1000nm以下にすると、屈曲によるクラックが急激に入ることが極めて少なくなり、成膜時の内部応力の増大をとどめて、欠陥の生成を防止することができる。
ポリシラザン化合物の塗布方法としては、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、塗工方法として、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種印刷方法に加えて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷等の各種塗布法を用いることができる。ガスバリア層をパターン状に形成することが好ましい場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を用いることが好ましい。
ガスバリア層に使用するポリシラザンとは、珪素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiOxNy等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
樹脂基板を用いる場合には、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温でセラミック化してシリカに変性するものがよく、下記一般式(1)で表されるものを好ましく用いることができる。
Figure 2016110769
一般式(1)中、R、R、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
パーヒドロポリシラザンは、R、R、Rの全てが水素原子であり、オルガノポリシラザンは、R、R、Rのいずれかがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基である。得られるバリア膜としての緻密性から、R、R、Rの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
[金属導電層]
金属導電層13は金属材料により形成される層であり、一定の細線パターン状に形成されている。金属材料としては、導電性を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム等の金属、及び、これらの合金でもよい。導電性の観点から銀、銅が好ましく、より好ましくは銀である。
金属導電層13は、透明電極10を形成するために、基板11上に開口部を有するパターンに形成される。開口部は、基板11上で金属導電層13が形成されていない部分であり、透光性窓部となる。金属導電層13の細線パターンの形状には特に制限はない。例えば、図2に示すような導電部がストライプ状のパターンや、図3に示すような導電部が格子状のパターン、又は、ランダムな網目状等とすることができる。
金属導電層13の細線パターンの開口率は、透明性の観点から80%以上であることが好ましい。開口率とは、光不透過の金属導電層13を除いた透光性窓部が全体に占める割合である。例えば、金属導電層13がストライプ状又は格子状であるとき、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。
金属導電層13の細線パターンの線幅は10〜200μmが好ましい。細線の幅が10μm以上で所望の導電性が得られ、また200μm以下では透明性が低下するのを抑制することができる。細線の高さは、0.1〜10μmが好ましい。細線の高さが0.1μm以上で所望の導電性が得られ、また10μm以下では、有機電子デバイスの形成において電流リークや機能層の層厚分布不良が発生するのを抑制することができる。
金属導電層13の細線パターンをストライプ状又は格子状に形成する方法としては、特に、制限はなく、従来公知の方法が利用できる。例えば、基板11の全面に金属層を形成し、公知のフォトリソグラフィ法によって形成することができる。具体的には、基板11上の全面に、印刷法、蒸着法、スパッタ法、めっき法等を用いて導電体層を形成する。或いは、金属箔を接着剤で基板11に積層して導電体層を形成する。この後、公知のフォトリソグラフィ法を用いて、導電体層をエッチングすることにより、所望のストライプ状又は格子状の金属導電層13の細線パターンを形成することができる。
他の方法としては、金属微粒子分散物を用いる方法を適用できる。金属微粒子分散物は、水、アルコール、炭化水素等の分散媒中に金属微粒子を含有する。さらに、必要に応じて、バインダー、金属を分散させるための分散剤等を含んでもよい。
例えば、金属微粒子分散物を用いて、凸版、凹版、孔版印刷、又は、インクジェット方式により所望の形状に印刷する方法がある。また、メッキ可能な触媒インクを用いて、凸版、凹版、孔版印刷、又は、インクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法がある。さらに異なる方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の[0076]〜[0112]に記載の方法、及び、実施例に記載の方法を用いることができる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にすることができる。
金属微粒子分散物に含まれる金属微粒子は、パターン精度等の観点からナノ粒子であることが好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径としては、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、1〜50nmの範囲内であることがより好ましく、1〜30nmの範囲内であることが特に好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径は、金属ナノ粒子の電子顕微鏡観察から、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子をランダムに200個以上観察し、各金属ナノ粒子の粒径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。粒径は、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子の外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。なお、平均粒径を測定する際、明らかに金属ナノ粒子の側面等を表しているものは測定しない。
金属ナノ粒子分散物の製造方法は、多くの提案がされている。例えば、特開2010−265543号公報、特開2011−68936号公報、特開2012−162767号公報、特開2012−144796号公報、特開2012−144795号公報、特開2012−52225号公報、特開2008−214591号公報、特開2007−200775号公報、特開2006−193594号公報、特開2012−119132号公報、特開2011−153362号公報、特表2009−515023号公報等の公報に詳細に記載されている。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
別な方法としては、例えば、特表2009−505358号公報に記載のような、金属ナノワイヤを含有する塗布液を塗布乾燥することで、金属ナノワイヤのランダムな網目構造を形成させる方法を利用できる。金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする繊維状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの短径を有する多数の繊維状構造体を意味する。
金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均短径には特に制限はないが、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。金属ナノワイヤの平均短径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、短径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。金属ナノワイヤの目付け量は0.005〜0.5g/mが好ましく、0.01〜0.2g/mがより好ましい。
金属ナノワイヤに用いられる金属としては、銅、鉄、コバルト、金、銀等を用いることができるが、導電性の観点から銀が好ましい。また、金属は単一で用いてもよいが、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、主成分となる金属と1種類以上の他の金属を任意の割合で含んでもよい。
金属ナノワイヤの製造方法には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837、Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745、金ナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、銅ナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、コバルトナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した銀ナノワイヤの製造方法は、水溶液中で簡便に銀ナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、好ましく適用することができる。
また、金属導電層13の細線部の表面比抵抗は、100Ω/sq.以下であることが好ましく、大面積化するには20Ω/sq.以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
また、金属導電層13には、フィルム基板にダメージを与えない範囲で加熱処理を施すことが好ましい。これにより、金属微粒子や金属ナノワイヤ同士の融着が進み、金属材料からなる細線部の高導電化するため、特に好ましい。加熱処理を施す方法としては、従来一般に行われるオーブンによる加熱やホットプレートによる加熱を用いることができる。また局所加熱処理を用いてもよく、フラッシュパルス光照射処理、マイクロ波処理、プラズマ処理、誘電加熱処理、エキシマ光照射処理、紫外線処理、赤外ヒータ処理、熱風ヒータ処理等を用いることができる。加熱処理は、オーブンによる加熱やホットプレートによる加熱と、局所加熱処理を併用して施してもよい。
金属導電層13は、パターン描画性や基材との接着性を向上させるため、下地層を設けてもよい。下地層は光透過性を有していれば特に制限はなく、アクリル樹脂等の有機粒子又は金属酸化物等の無機粒子を含有した下地層 などが用いられ、これらは有機又は無機樹脂のバインダーを併用してもよい。
[導電性材料層]
導電性材料層14は、少なくとも導電性を有する材料(導電性材料)を含んで構成されている。導電性材料としては、例えば、導電性透明材料、及び、導電性ポリマーを挙げることができる。
なお、導電性材料層14及び導電性材料における「導電性」とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194の「導電電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗が10×8Ω/sq.より低いことをいう。
透明電極10では金属導電層13とともに、導電性を有する導電性材料層14により透明導電層が構成される。金属導電層13上を被覆して導電性を有する導電性材料層14を形成し、透明導電層に金属導電層13と導電性材料層14とを併用することにより、低抵抗かつ均一な面抵抗を有する透明電極10を構成することができる。
導電性材料層14の電気抵抗値としては、金属導電層13と併用して透明電極10の均一な導電性を得るため、表面抵抗率として10000Ω/sq.以下であることが好ましく、2000Ω/sq.以下であることがより好ましい。
導電性材料層14の乾燥層厚は30〜2000nmであることが好ましい。導電性の点から、100nm以上であることがより好ましく、電極の表面平滑性の点から、200nm以上であることがさらに好ましい。また、透明性の点から、1000nm以下であることがより好ましい。
導電性透明材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、IGZO等の導電性酸化物、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質の透明導電膜が挙げられる。
導電性材料層14が導電性ポリマーにより形成される場合には、導電性ポリマーとともに、非導電性ポリマーとを含むことが好ましい。また、導電性材料層14が、導電性ポリマーと非導電性ポリマーとから構成され、かつ、非導電性ポリマーが、自己分散型ポリマー、及び/又は、ヒドロキシ基含有ポリマーからなることにより、導電性材料層14の導電性を損なうことなく、導電性ポリマーの必要量を低減することができる。その結果、高い導電性と透明性を両立した透明電極を得ることができる。
(導電性ポリマー)
導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子と、ポリ陰イオンとを有する。導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリ陰イオンとの存在下で、化学酸化重合することによって容易に製造できる。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類等の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
(π共役系導電性高分子の前駆体モノマー)
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にも主鎖にπ共役系が形成される。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(ポリ陰イオン)
導電性ポリマーに用いられるポリ陰イオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル、及び、これらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなる。
このポリ陰イオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化、又は、分散させる高分子である。また、ポリ陰イオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリ陰イオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリ陰イオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。さらに、これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にさらにフッ素原子を有するポリ陰イオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。さらに、これらフッ素化ポリ陰イオンは、非フッ素化ポリ陰イオンと併用することにより、正孔注入機能を付加した透明電極を一体形成することができ、素子効率及び生産性の観点から望ましい。
ポリ陰イオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリ陰イオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有しないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有しないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリ陰イオン塩である場合には、ポリ陰イオン酸に変質させることが好ましい。ポリ陰イオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
導電性ポリマーに含まれるπ共役系導電性高分子とポリ陰イオンの比率、「π共役系導電性高分子」:「ポリ陰イオン」は質量比で1:1〜20が好ましい。導電性、分散性の観点からより好ましくは1:2〜10の範囲である。
π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、ポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合して、導電性ポリマーを得る際に使用される酸化剤は、例えばJ.Am.Soc.,85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適する、いずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価でかつ取扱い易い酸化剤、例えば鉄(III)塩、例えばFeCl、Fe(ClO、有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩、又は過酸化水素、重クロム酸カリウム、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)又はアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウム及び銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン及びバナジウムイオンの存在下における空気及び酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。
有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例としては、例えば、ラウリル硫酸等の炭素数1〜20のアルカノールの硫酸半エステルの鉄(III)塩、メタンスルホン酸又はドデカンスルホン酸等の炭素数1〜20のアルキルスルホン酸、2−エチルヘキシルカルボン酸等の脂肪族炭素数1〜20のカルボン酸、トリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタノン酸等の脂肪族パーフルオロカルボン酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、ベンゼセンスルホン酸等の芳香族の、随時炭素数1〜20のアルキル置換されたスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩が挙げられる。
こうした導電性ポリマーは、市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、Heraeus社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PS Sの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。
(非導電性ポリマー)
非導電性ポリマーとしては、自己分散型非導電性ポリマー、及び、ヒドロキシ基含有ポリマーを挙げることができる。
(自己分散型非導電性ポリマー)
自己分散型非導電性ポリマーは、水系溶媒に分散可能なポリマーであって、解離性基を含有し、ガラス転移温度が25℃以上150℃以下の自己分散型ポリマーである。水系溶媒に分散可能な解離性基を含有する自己分散型ポリマーとは、ミセル形成を補助する界面活性剤や乳化剤等を含まない。また、ポリマー単体で水系溶媒に分散可能である。「水系溶媒に分散可能」とは、バインダー樹脂からなるコロイド粒子が、水系溶媒中に凝集せずに、分散している状況であることをいう。
解離性基を含有する自己分散型ポリマーの使用量は、導電性ポリマーに対して50〜1000質量%が好ましく、より好ましくは100〜900質量%で、さらに好ましくは200〜800質量%である。
コロイド粒子の大きさは一般的に0.001〜1μm(1〜1000nm)程度である。粒子の大きさとしては3〜500nmが好ましく、より好ましくは5〜300nmで、さらに好ましくは10〜200nmである。上記のコロイド粒子については、光散乱光度計により測定することができる。
また、上記水系溶媒としては、純水(蒸留水、脱イオン水を含む)のみならず、酸、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、さらには親水性の有機溶媒も含まれる。例えば、水系溶媒として、純水(蒸留水、脱イオン水を含む)、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールの混合溶媒等が挙げられる。
透明電極の製造に用いる解離性基を含有する自己分散型ポリマーの分散液のpHは、別途相溶させる導電性ポリマー溶液と分離しない範囲であることが望ましく、0.1〜11.0が好ましく、より好ましくは3.0〜9.0である。
解離性基を含有する自己分散型ポリマーは透明であることが好ましい。解離性基を含有する自己分散型ポリマーとしては、フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はない。また、透明電極表面へのブリードアウト、有機EL素子等の電子機器を作製する際における有機機能層等への影響がなければ特に限定はない。また、自己分散型ポリマーの分散液中に界面活性剤(乳化剤)や造膜温度をコントロールする可塑剤等は含まないことが好ましい。
解離性基を含有する自己分散型ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が25℃以上で150℃以下であり、好ましくは30〜110℃である。
ガラス転移温度が25℃以上では、塗膜の造膜性が向上して透明電極の表面平滑性が向上する。このため、高温下で行われる透明電極、有機EL素子等の電子機器の環境試験において、塗膜の変形による素子性能の悪化を防ぐことができる。また、ガラス転移温度が150℃以下では、導電性ポリマーと自己分散型ポリマーからなる導電性材料層の均質性、表面平滑性が向上し、素子性能が向上する。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度10℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めることができる。
解離性基を含有する自己分散型ポリマーに使用される解離性基としては、特に限定はなく、例えば、アニオン性基(スルホン酸、及びその塩、カルボン酸及びその塩、リン酸及びその塩等)、カチオン性基(アンモニウム塩等)等が挙げられる。導電性高分子溶液との相溶性の観点から、アニオン性基が好ましい。
解離性基の量は、自己分散型ポリマーが水系溶媒に分散可能であればよく、工程適性的に乾燥負荷が低減されるため、可能な限り解離性基の少ない方が好ましい。また、アニオン性基、カチオン性基に使用されるカウンター種に特に限定はないが、透明電極、有機EL素子を積層した場合の性能の観点から、疎水性で少量が好ましい。
解離性基を含有する自己分散型ポリマーの主骨格としては、ポリエチレン、ポリエチレン−ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアクリレート−ポリエステル、ポリアクリレート−ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン−ポリカーボネート、ポリウレタン−ポリエーテル、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリアクリレート、シリコーン、シリコーン−ポリウレタン、シリコーン−ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン−ポリアクリレート、ポリフルオロオレフィン−ポリビニルエーテル等が挙げられる。また、これらの骨格をベースに、さらに他のモノマーを使用した共重合でもよい。これらの中でエステル骨格を有するポリエステル樹脂エマルジョン、ポリエステル−アクリル樹脂エマルジョン、アクリル骨格を有するアクリル樹脂エマルジョン、エチレン骨格を有するポリエチレン樹脂エマルジョンが好ましい。
市販品としては、ヨドゾールAD−176、AD−137(アクリル樹脂:ヘンケルジャパン社製)、バイロナールMD−1200、MD−1245、MD−1500(ポリエステル樹脂:東洋紡社製)、プラスコートRZ570、プラスコートZ561、プラスコートZ565、プラスコートZ687、プラスコートZ690(ポリエステル樹脂:互応化学社製)等を用いることができる。上記水系溶媒に分散可能な、解離性基を含有する自己分散型ポリマー分散液は、1種でも複数種でも使用することができる。
(ヒドロキシ基含有ポリマー)
ヒドロキシ基含有ポリマーは、ヒドロキシ基を有する下記一般式(2)で表される構造単位を有するポリマーである。
Figure 2016110769
一般式(2)中、「R」は水素原子、メチル基を表し、「Q」は−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。「Ra」は水素原子又はアルキル基を表し、「A」は置換又は無置換アルキレン基、−(CHCHRbO)x−(CHCHRb)−を表し、「Rb」は水素原子又はアルキル基を示し、「x」は平均繰り返しユニット数で1〜100の数である。
一般式(2)で表わされる構造単位の一例を以下に示す。
Figure 2016110769
導電性材料層14の導電性ポリマーとヒドロキシ基含有ポリマーとの比率は、導電性ポリマーを100質量部としたとき、ヒドロキシ基含有ポリマーが30質量部から900質量部であることが好ましく、電流リーク防止、透明性の観点から、ヒドロキシ基含有ポリマーが100質量部以上であることがより好ましい。
ヒドロキシ基含有ポリマーは、2.5〜3.0μmに、吸光度0.1以上の吸収を持つことが好ましい。なお、ここでいう吸光度は、基材上に、使用する膜厚で塗布した場合の試料の吸光度をいう。乾燥処理工程で使用する赤外線において主に使用する3.0μm付近に吸収域を持つことにより、導電性材料層14を形成するための塗工膜から溶媒を除去しやすくなる。また、基板11を構成する樹脂フィルムと異なる波長域で吸収を持つことにより、基板11への損傷を与えにくい波長を、乾燥処理工程で選択的に使用することができる。
[透明電極の製造方法]
次に、上述の透明電極10の製造方法について説明する。透明電極10の製造方法は、基板11上へのガスバリア層12の形成工程、ガスバリア層12を形成した樹脂基板上への金属導電層13の形成工程、及び、金属導電層13を被覆する導電性材料層14の形成工程とからなる。
ガスバリア層12の形成工程、及び、金属導電層13の形成工程は、上述の各構成における製法を適用することができる。
導電性材料層14の形成工程は、導電性材料層14を形成するための塗工液の調整、調整した塗工液により塗工膜を形成する塗工工程、及び、形成した塗工膜の乾燥処理工程を有する。
[塗工液の調整]
まず、導電性材料層14の形成工程においては、導電性材料を含む塗工液を調整する。例えば、上述の導電性透明材料の微粒子を溶媒中に分散させた塗工液や、上述の導電性ポリマーと非導電性ポリマーとを溶媒に分散させた塗工液を調整する。溶媒としては、上述の水系溶媒、及び、高沸点溶媒を含む。また、下記の極性溶媒を含むことが好ましい。
(水系溶媒)
水系溶媒としては、上述の自己分散型非導電性ポリマーを分散させる水系溶媒を用いることができる。例えば、水(蒸留水、脱イオン水を含む)、並びに、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールの混合溶媒酸、及び、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、親水性の有機溶媒等が挙げられる。
(高沸点溶媒)
導電性材料層14を形成するための塗工液は、水系溶媒よりも沸点の高い、高沸点溶媒を含む。高沸点溶媒を含むことにより、塗工液中での導電性ポリマーの分散安定性を損なうことなく、表面張力を効果的に低下させることができ、基板上での必要十分な濡れ性を得ることができる。また、インクジェット方式により塗布を行う場合には、安定した吐出性が得られる。
上記高沸点溶媒としては、グリコールエーテルを用いることが好ましい。グリコールエーテルは、水可溶性であり、かつ表面張力が40mN/m以下、好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下であることが好ましい。
グリコールエーテルの添加量は、塗工液の表面張力から決めることができ、塗工液の総重量に対して5%以上30%以下が好ましい。5%以上で表面張力の低下効果が抑えられ、基板に対する塗工液の濡れ性が向上し、30%以下で塗工液の分散安定性及びインクジェット印刷の塗布均一性が向上する。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテルなどがあげられ、塗工液の粘度、表面張力及び塗工液の分散安定性の観点から、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどがあげられ、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルが、特に好ましい。
また、高沸点溶媒として、極性溶媒を含有することが好ましい。極性溶媒を含有することにより解離性基を含有する自己分散型ポリマーの塗工液中での分散安定性を損なわずに、塗工液を安定に保つことができる。このため、インクジェット方式により塗布を行う場合に、塗工液を安定性に吐出できる。
極性溶媒としては、誘電率が25以上のものを、好ましくは30以上、より好ましくは40以上のものを用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等をあげることができる。赤外線による乾燥除去性、塗工液の安定性、インクジェット印刷における吐出性、さらには導電性等の観点から、プロピレングリコール、エチレングリコールが特に好ましい。
極性溶媒の添加量は、塗工液の安定性の観点から決めることができ、塗工液の総重量に対し、5%以上40%以下が好ましい。5%以上で塗工液の安定化効果が向上し、40%以下では塗工液の表面張力が高すぎず、基板に対する濡れ性が向上する。
溶媒の誘電率は、例えば、液体用誘電率計Model−871(日本ルフト社製)を用いて測定することができる。
[塗工工程]
次に、調整した上述の塗工液を、基板11のガスバリア層12及び金属導電層13の形成面上に塗工し、導電性材料を含む塗工膜を形成する。
塗工膜の形成は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。特に、金属導電層13上へ塗工液を積層する場合、インクジェット方式により塗工し、赤外線を照射して乾燥することにより、塗工液の安定した層厚分布、高い表面平滑性、及び、高いパターニング精度を得ることができる。
[乾燥処理工程]
形成した塗工膜に対して赤外線を照射し、塗工膜を乾燥する。乾燥処理により塗工膜に含まれる溶媒を除去し、基板11上に導電性材料層14を形成する。赤外線の照射の方法については特に限定しないが、後述する赤外線(IR)乾燥ユニットを用いることが好ましい。また、乾燥処理は、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽で行なう。乾燥処理槽の水分濃度は、乾燥処理を行なう槽内における乾燥終点における水分濃度で定義する。
赤外線を塗工膜に照射する工程では、当該赤外線として、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を照射する。塗工膜の乾燥に用いる赤外線は、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下であり、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下であり、最も好ましくは0.5%以下である。
導電性材料層14を形成するための塗工液に好ましく用いられる水系溶媒は、約3.0μm付近にOH伸縮振動による強い吸収波長を有している。これに対し、基板11に好ましく用いられるポリエステル等の樹脂フィルムは、3.0μm付近の赤外線波長域には殆ど吸収波長を有さず、5.8μm以上の赤外線波長域に強い吸収波長を有している。このため、塗工膜に対し、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を照射することにより、塗工膜を効率的に乾燥させるとともに、基板11への損傷を抑制することができる。
さらに、乾燥処理は、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽で行なうことにより、導電性材料層14に残存する水、及び、高沸点溶媒の量を低減することができる。導電性材料層14に残存する溶媒を低減することにより、導電性ポリマー、及び、非導電性ポリマーにより構成される導電性材料層14の微細構造、モルフォロジーが良好となり、透明電極10の低抵抗化、及び、安定性の向上が可能となる。
さらに、上記乾燥処理によって、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に測定される、水分子の量が2mg/m以下、高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下となるように透明電極10を乾燥することにより、透明電極10の低抵抗化、及び、安定性の向上が可能となる。
従って、上記透明電極を電子機器に適用した場合に、透明電極の導電性材料層のモルフォロジーの良化による効果、例えば、有機EL素子の透明電極に適用した場合には、駆動電圧の低減、発光ムラの低減、寿命の向上等の効果が得られる。また、タッチパネルの透明電極に適用した場合には、抵抗の低下、光透過特性の向上等の効果が得られる。
〈2.透明電極の製造装置〉
次に、上述の透明電極の製造方法に適用可能な、透明電極の製造装置について説明する。透明電極の製造装置は、少なくとも、導電性材料と溶媒とを含む塗工膜の乾燥処理工程を行なうための、塗工膜の乾燥処理槽を備える。
乾燥処理槽は、塗工膜に赤外線を照射するためのIR乾燥ユニットを備える。また、乾燥処理槽は、塗工膜の乾燥終点における水分濃度を100ppm以下に維持できるように構成されている。
なお、透明電極の製造装置において、塗工膜の乾燥処理工程以外の透明電極を製造するため工程における装置については、従来公知の構成を適用することができる。よって、塗工膜の乾燥処理工程以外の製造装置の構成については説明を省略する。
[IR乾燥ユニット]
図4に、赤外線(IR)乾燥ユニットの概略構成を示す。なお、図4においては、IR乾燥ユニットにおいて、塗工膜の乾燥終点での乾燥処理槽内の水分濃度を100ppm以下に維持するための要部の構成のみを示し、保持部材等の他の構成については省略している。
図4に示すように、IR乾燥ユニット20は、赤外線ランプ21、長波カットフィルタ22、水分センサ23、送風機24,25を備える。
赤外線ランプ21は、フィラメンと、フィラメントの周囲に設けられた保護管とからなり、保護管内にフィラメントが収容され、同心円状に配置された構成を有している。構成となっている。
長波カットフィルタ22は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する機能を有し、長波カットフィルタ22の材質としては、石英ガラス、ホウ珪酸クラウンガラスなどがあり、耐熱性、耐熱衝撃性の点から石英ガラスが好ましい。
IR乾燥ユニット20は、ユニット内に冷媒(例えば冷却空気)を供給する送風機24,25が備えられている。そして、赤外線ランプ21の周囲に、送風機24,25から供給される冷媒の流路が設けられている。この送風機24,25により、IR乾燥ユニット20内へ冷媒が供給され、赤外線ランプ21の発熱温度、及び、長波カットフィルタ22の表面温度等が制御される。
IR乾燥ユニット20内には、矢印29で示す基板の搬送方向の下流側の端部に、水分センサ23が配置されている。この水分センサ23により、塗工膜の乾燥終点での水分濃度を測定し、乾燥処理を行なう乾燥処理槽内の水分濃度とする。
IR乾燥ユニット20の長波カットフィルタ22は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する機能を有している。詳しくは、長波カットフィルタ22が、波長3.5μm以上の赤外線を吸収するため、赤外線ランプ21によって加熱される。このため、長波カットフィルタ22が高温となると、長波カットフィルタ22自体が赤外線の放射体となり、赤外線ランプ21の発する赤外線より長波長の赤外線を、この長波カットフィルタ22自体が放射する(2次放射)。
しかし、IR乾燥ユニット20では、赤外線ランプ21と長波カットフィルタ22との間の中空部に冷媒(例えば冷却空気)が流通するため、この冷却機能により長波カットフィルタ22の表面温度を低下させることができる。このため、長波カットフィルタ22からの2次放射を抑制することができる。この結果、長波カットフィルタ22において、波長3.5μm以上の赤外線放射が減少し、主に樹脂基材の吸収領域である、波長5.8μm以上の遠赤外線放射を大幅に低減することができる。そして、被乾燥物には、溶媒の吸収領域である波長3.0μmの赤外線を選択的に照射することで、樹脂フィルムからなる基材を変形させること無く、導電性材料層を形成するための塗工液の溶媒を除去することができる。
なお、IR乾燥ユニットにおいて、長波カットフィルタの厚さ及び枚数は、必要な赤外線スペクトルにより、適宜選択・変更することができる。IR乾燥ユニットの冷却機能としては、長波カットフィルタを二重又は多重に積層し、長波カットフィルタ間に中空部を設けて、この中空部に空気を流すことが好ましい。なお、長波カットフィルタを3層以上配置し、中空部を2層以上有する構造とする場合、冷却用の空気を、長波カットフィルタ間の中空部同士で互いに逆方向に流すことが冷却効率の点から好ましい。また、排出側の冷却用空気は、系外に排出してもよいし、乾燥処理工程で使用する熱風の一部として利用してもよい。
IR乾燥ユニット20において赤外線ランプ21の温度は、塗工膜の水分低減と樹脂基材の変形防止との両立の観点から、600℃以上が好ましく、フィラメントの耐熱性の点から3000℃以下とすることが好ましい。赤外線ランプ21の温度は所望の乾燥条件によって、適宜選択・変更することができる。赤外線ランプ21の温度を調整することにより、塗工液に含まれる溶媒が吸収しやすい波長域の輻射エネルギーを増加させることができるフィラメント温度は、例えば、放射温度計を用いて測定することができる。
長波カットフィルタ22の被乾燥物側の表面温度は、自身の赤外線吸収による2次放射を抑制する観点から、200℃以下とすることが好ましく、150℃以下とすることがさらに好ましい。長波カットフィルタ22の最外側の表面温度は、長波カットフィルタ22の表面に、送風機24,25から冷媒を供給することにより調整する。
また、送風機24,25から供給される冷媒により、IR乾燥ユニット20内の水部濃度を調整し、乾燥処理層内の水分濃度を100ppm以下に維持する。乾燥処理槽の水分濃度は、塗工膜が形成された基板が層内に搬入された時点で、100ppm以下に調整されていることが好ましく、処理中も常に100ppm以下に調整されていることが好ましい。導電性材料層に残存する溶媒を限りなく少なくし、透明電極の抵抗低減等を達成するためには、少なくとも、基板の塗工膜の乾燥が終了する時点での水分濃度を100ppmとする必要がある。
乾燥処理では、塗工膜中に含まれる溶媒の蒸発により、乾燥処理層内の水分濃度、特に塗工膜の界面付近において水分濃度が上昇する。そこで、基板の搬送方向の下流側の端部に水分センサ23を配置することで、乾燥処理層内の環境における平均的な水分濃度を測定することができる。
IR乾燥ユニットにおける、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合は、例えば、以下の方法により求めることができる。
まず、「平成17年度遠赤外ヒータの放射エネルギーを簡易的に評価する方法の調査研究報告書」(社団法人 日本機械工業連合会、社団法人 遠赤外線協会著)、「FTIR TALK LETTER vol.13」(株式会社 島津製作所著)等に記載の方法を参考にして、赤外線ランプからの放射出力と、赤外線ランプのフィラメント温度と同温度にした標準黒体炉からの放射出力とを、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)で測定することで赤外線ランプの分光放射率を求める。
次に、プランクの放射則に従って計算した黒体放射スペクトルに、赤外線ランプの分光放射率を乗ずることで、赤外線ランプの分光放射スペクトルが得られる。得られた分光放射スペクトルから、波長3.0μmにおける分光放射輝度の値と、波長5.8μmにおける分光放射輝度の値とを読み取り、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合を百分率で計算し、求めることができる。
[乾燥処理部]
次に、透明電極の製造装置における、乾燥処理部の構成を説明する。以下の説明では、上述のIR乾燥ユニットが適用される乾燥処理槽と、乾燥処理に係わる各種装置について説明する。また、以下の説明では、乾燥処理槽として、乾燥気体(例えば、乾燥窒素)を流通させたグローブボックス(GB)、及び、真空槽、基板の搬送方式として、枚葉方式、及び、ロール・ツー・ロール(RTR)方式の装置について説明する。
(グローブボックス:枚葉)
グローブボックスを用いた枚葉方式の乾燥処理部の構成を図5に示す。図5に示す乾燥処理部30は、IR乾燥ユニット20が配置された、乾燥用グローブボックス(GB)からなる乾燥処理槽31を有している。また、乾燥処理槽31は、供給される乾燥空気の気流を槽内で均一化するためのパンチ板37を有している。さらに、この乾燥処理槽31に対して、矢印38で示す気流の流れ方向に、送風機32、溶媒除去装置33、酸素除去装置34、熱交換器35、及び、微粒子除去フィルタ36が配管で接続されている。
図5に示す乾燥処理部30では、乾燥処理槽31から乾燥気体が送風機32により排気され、この排気された乾燥気体が装置内を循環する仕組みとなっている。つまり、送風機32により、乾燥処理に使用され、塗工膜から蒸発した溶媒等を含む排気から、乾燥処理槽31に供給する乾燥気体を再生する。
まず、排気に含まれる塗工膜の乾燥処理で発生した溶媒を、溶媒除去装置33で除去する。同様に、乾燥処理で発生する酸素を、素除去装置34で除去することにより、無酸化雰囲気中での乾燥処理を行なう。熱交換器35により循環させる気体の温度を調整する。さらに、微粒子除去フィルタ36により、循環不純物となる微粒子を除去する。これにより、乾燥処理槽31の排気から、乾燥処理槽31に供給する乾燥気体を再生することができる。
乾燥処理槽31内の体積をAとしたとき、乾燥処理部30内を循環する気流、即ち乾燥処理槽31に供給される乾燥気体の量を、A/min以上とすることが好ましい。このよう乾燥気体を循環させることにより、乾燥処理におけるコストの削減が可能となる。
(グローブボックス:RTR)
次に、グローブボックス(GB)を用いたロール・ツー・ロール(RTR)方式の乾燥処理部の構成を図6に示す。図6に示す乾燥処理部40は、IR乾燥ユニット20が配置された、乾燥用グローブボックスからなる乾燥処理槽31を有している。また、乾燥処理前の基板11が巻回されている繰り出し部43が配置された繰り出し用グローブボックス41と、乾燥処理後の基板11が巻回されている巻き取り部44が配置された巻き取り用グローブボックス42を有する。
そして、繰り出し用グローブボックス41、乾燥処理槽31、及び、巻き取り用グローブボックス42が、それぞれの間に設けられたゲート、及び、基板11が搬送可能な程度に細い通路を介して接続されている。これにより、基板11が搬送可能なように乾燥処理部40が構成されている。また、巻き取り用グローブボックス42をバッファグローブボックスとすることにより、乾燥処理部40を真空槽に接続することも可能である。
なお、図6に示す構成では図示を省略したが、乾燥処理槽31には図5に示す構成と同様に、気流の流れ方向に送風機、溶媒除去装置、酸素除去装置、熱交換器、及び、微粒子除去フィルタが配管で接続される。
各グローブボックス内の圧力は、巻き取り用グローブボックス42を乾燥処理槽31よりも高くし、繰り出し用グローブボックス41を乾燥処理槽31も低くすることが好ましい。このような圧力とすることにより、乾燥処理により発生する溶媒等を含む排気の、巻き取り用グローブボックス42へ流入を防ぎ、巻き取り用グローブボックス42内の乾燥処理済みの基板に、排気が接触することを抑制することができる。
(真空槽:枚葉)
次に、真空槽を用いた枚葉方式の乾燥処理部の構成を図7に示す。図7に示す乾燥処理部50は、乾燥処理槽51として真空槽を有している。そして、真空槽からなる乾燥処理槽51に、IR乾燥ユニット20、真空計52、及び、開口部53が設けられている。
乾燥処理槽51内に設けられたIR乾燥ユニット20は、フィラメント26及び、フィラメント26の周囲を覆う保護管27からなる赤外線ランプ28と、この赤外線ランプ28と基板11との間に設けられた長波カットフィルタ22を備える。また、IR乾燥ユニット20は、フィラメント26と保護管27との間に、図示しない冷媒の流路が設けられ、この流路に冷媒(例えば冷却空気)を供給することにより、赤外線ランプ28の発熱温度が制御される。
真空計52は、矢印29で示す基板11の搬送方向の下流側の端部において、基板11の表面近傍に設けられている。また、開口部53は、図示しない真空ポンプへの接続用の開口である。真空槽51内の圧力は、1Pa以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0×10−3Pa以下、さらに好ましくは1.0×10−5Pa以下である。真空槽内を1Pa程度にするためには、真空ポンプとして、例えば宇野澤組鐵工所製のドライポンプKTS060を用いることができる。また、真空槽内を1×10−3Pa程度にするためには、真空ポンプとして、例えば島津製作所製のTMP−2203 LMを用いることができる。
(真空槽:RTR)
次に、真空槽を用いたロール・ツー・ロール(RTR)方式の乾燥処理部の構成を図8に示す。図8に示す乾燥処理部60は、IR乾燥ユニット20が配置された、真空槽からなる乾燥処理槽51を有している。乾燥処理槽51及びIR乾燥ユニット20は、上述の真空槽を用いた枚葉方式の乾燥処理部と同様の構成とすることができ、乾燥処理槽51に図示しない真空計や、真空ポンプに接続するための開口部が設けられる。
また、乾燥処理部60は、乾燥処理前の基板11が巻回されている繰り出し部63が配置された繰り出し用真空槽61と、乾燥処理後の基板11が巻回されている巻き取り部64が配置された巻き取り用真空槽62を有する。繰り出し用真空槽61、乾燥処理槽51、及び、巻き取り用真空槽62は、それぞれの間に設けられたゲートバルブ65,66を介して接続されている。これにより、基板11が搬送可能なように乾燥処理部60が構成されている。また、乾燥処理工程に続いて、透明電極を用いた電子機器等の製造を行なう場合には、巻き取り用真空槽62を電子機器の製造工程に用いる真空槽、例えば、有機EL素子の有機機能層を形成するための真空成膜装置等とすることも可能である。
〈3.電子機器〉
上述の透明電極は、各種電子機器に適用することができる。例えば、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の電子機器の透明電極に適用することができる。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の透明電極として好適である。有機EL素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることができる。有機EL素子は、均一にムラなく発光させることができるため、照明用途の電子機器として用いることが好ましい。以下、上述の透明電極が適用された電子機器の一例として、透明電極を有する有機EL素子の構成について説明する。
(有機エレクトロルミネッセンス素子)
有機EL素子は、第1の電極、第2の電極、及び、有機機能層を備える。そして、第2の電極が第1の電極に対向配置され、有機機能層が第1の電極と第2の電極との間に設けられた構成を有する。例えば、有機EL素子では、透明電極を陽極として用いることが好ましい。有機機能層や、第2電極(陰極)等については有機EL素子に一般的に使われている従来公知の材料、構成等を適用することができる。
有機EL素子の素子構成として、陽極/有機発光層/陰極、陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、等の各種の構成を挙げることができる。
透明電極を備える有機EL素子の構成の一例を図9に示す。図9に示すように、有機EL素子70は、基板11、ガスバリア層12、金属導電層13、及び、導電性材料層14から構成される透明電極10を有している。そして、透明電極10の基板11の側縁部には取り出し電極73が形成されている。
取り出し電極73は金属導電層13、導電性材料層14と電気的に接続されている。透明電極10の導電性材料層14上には有機機能層72が形成されている。有機機能層72は正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層等から構成されている。有機機能層72上には対向電極71が形成されている。対向電極71は透明電極10に対向する電極であって透明電極10とは反対の極性を有している。
有機EL素子70では、取り出し電極73の一部が露出した状態で封止部材74により封止され、封止部材74が透明電極10や有機機能層72を被覆、保護している。
有機機能層72に使用される発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素及び希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されない。またこれらの化合物において、発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることが好ましい。
有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写等の方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
試料101〜142の透明電極を、図10〜図12に示すように作製した。下記表1に、試料101〜142の各透明電極における各層の構成を示す。以下に、試料101〜142の各透明電極の作製手順を説明する。
[透明電極:試料101〜107]
(基板)
まず、基板11として、透明なPET基板(200mm×200mm)を用意した(図10)。
次に、基板11を市販のUVオゾン洗浄装置にセットし、基板11にUVオゾン洗浄を行った。さらに、基板11をスピンコーターにセットし、カイジョー製28101型発振器、28200型振動子を用いて、超音波流水を流しながら、500rpmで90秒洗浄を行った。また、超音波流水を停止し、3000rpmで30秒乾燥させた。
(ガスバリア層)
次に、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を作製し、ポリシラザン含有液を調整した。
そして、UVオゾン洗浄およびスピン洗浄、乾燥した基板11上に、調整したポリシラザン含有液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が100nmとなるよう全面に塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させた。さらに、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン含有層を形成した。
次に、ポリシラザン含有層を形成した基板を、エキシマ照射装置MECL−M−1−200(株式会社エム・ディ・コム製)の稼動ステージ上に固定し、下記の改質処理条件1で改質処理を行い、100nmからなるポリシラザン改質層を形成した。
(改質処理条件1)
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:0.5%
エキシマランプ照射時間:5秒
さらに、下記の成膜条件(プラズマCVD条件)、酸化ケイ素膜を300nmの厚さで作製した。
(プラズマCVD条件)
原料ガス(HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min
さらに、上述のポリシラザン含有液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させた。そして、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン含有層を形成した。
次に、ポリシラザン含有層を形成した基板を、エキシマ照射装置MECL−M−1−200(株式会社エム・ディ・コム製)の稼動ステージ上に固定し、上記改質処理条件1で改質処理を行い、300nmからなるポリシラザン改質層を形成した。
以上の工程により、ポリシラザン改質層、酸化ケイ素膜、及び、ポリシラザン改質層の3層からなるガスバリア層12を形成した。
(金属導電層)
次に、ガスバリア層12を形成した基板11上に、174mm×149mmの面積で、以下の方法で透明電極の金属導電層13を形成した(図11)。
具体的には、透明樹脂基板1上に、インクジェット装置を用いて、銀ナノインク(ハリマ化成製 NPS−JL)を、50μm幅、1mmピッチのストライプパターンにて、金属細線パターンからなる金属導電層13を形成した。
次に、金属導電層13を形成した基板11に対して、Novacentrix社製PulseForge1300を用いてキセノン光を照射し、焼成を行った。
インクジェット装置は、コニカミノルタ(株)製インクジェットヘッドKM512SHXを取り付けた卓上型ロボット Shotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタIJ社製)にて制御した。金属導電層13の形成は、十分に低抵抗となるように、3回繰り返して行なった。
また、キセノン光は、500μs周期で、250μsのパルス発光とし、1500mJ/cmのエネルギーを与えられるように調整し照射を行った。
金属導電層13のパターンを、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(日本ビーコ社製)で測定したところ、パターンの幅は70μm、平均高さ500nmであった。
(導電性材料層)
まず、導電性材料層14を形成するための塗工液を調整した。
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリマー(ポリ(メチルビニルエーテル)(東京化成社製 30%液))とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、プロピレングリコール(PG)15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、塗工液を調整した。
なお、ポリ(メチルビニルエーテル)(東京化成社製 30%液)を425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2未満であった。よって、本実施例においては、ポリ(メチルビニルエーテル)を、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収しないと表記する。
次に、導電性材料層14を形成するために調整した塗工液を、154mm×150mmの面積で、金属導電層13を形成した基板11上にインクジェット印刷により塗工した。なお、導電性材料層の層厚は、下記表1に記載の層厚とした。
さらに、塗工膜の乾燥処理を、表1の試料101〜試料108に記載の各乾燥方式及び乾燥条件にて行い、導電性材料層14を形成した。乾燥処理は、上述の図5〜図8を用いて説明したグローブボックス装置、真空装置を用いた。
以上の工程により、試料101〜試料107の透明電極を作製した。
[透明電極:試料108〜114]
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料101〜試料107の透明電極と同様に、試料108〜試料114の透明電極を作製した。
(塗工液)
透明導電性ポリマー:Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液) 70質量部
プロピレングリコール:15質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル:12質量部
水:3質量部
[透明電極:試料115〜120]
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料102〜試料107の透明電極と同様に、試料115〜試料120の透明電極を作製した。
(塗工液)
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、プロピレングリコール 15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
PHEAは以下のように合成し、20質量%の水分散液に調整した。
300mlナスフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成社製)5.0g(43.1mmol、Fw116.12)、2,2′−アゾビス(2−メチルイソプロピオニトリル)0.7g(4.3mmol、Fw164.21)、及び、テトラヒドロフラン100mlを加え、8時間加熱還流した。その後、溶液を室温まで冷却し、激しく撹拌されたメチルエチルケトン2.0L中へ滴下した。反応溶液を1時間撹拌後、メチルエチルケトンをデカンテーションし、メチルエチルケトン100mlで壁面に付着した重合体を3回洗浄した。ポリマーはテトラヒドロフラン100mlに溶解し、200mlフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターによりテトラヒドロフランを減圧留去した。その後、80℃3時間減圧することで、残留しているTHFを留去し、数平均分子量57,800、分子量分布1.24のPHEAを4.1g(収率82%)得た。
[透明電極:試料121〜123]
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料118の透明電極と同様に、試料121〜試料123の透明電極を作製した。
(塗工液)
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、表1に示す高沸点溶媒[N−メチルピロリドン(NMP)、DMSO、又は、エチレングリコール(EG)]を15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
[透明電極:試料124〜126]
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料120の透明電極と同様に、試料124〜試料126の透明電極を作製した。
(塗工液)
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、表1に示す高沸点溶媒[N−メチルピロリドン(NMP)、DMSO、又は、エチレングリコール(EG)]を15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
[透明電極:試料127、試料128]
導電性材料層14を形成するための乾燥処理工程を、表1の試料127、試料128に記載の各乾燥方式及び乾燥条件で行なった以外は、試料120の透明電極と同様に、試料127、試料128の透明電極を作製した。
[透明電極:試料129〜134]
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料102〜試料107の透明電極と同様に、試料129〜試料134の透明電極を作製した。
(塗工液)
以下のように、平均粒径30nmの酸化インジウムスズ(ITO)粒子を含むITO粒子液を調整した。
酸化インジウムスズ(ITO)粒子は、まず、In(Cを1mol/L、Sn(Cを0.1mol/L含む溶液を調整した。溶媒は、水とエチレングリコール(EG)を1:1とした。
この溶液を40℃に保持し、水酸化ナトリウムをインジウムに対して2当量加えて中和を行った。
次に、生成したスズ含有インジウム水酸化物粒子からITO粒子を得る為に、得られたスズ含有インジウム水酸化物沈殿溶液を密閉容器中にて加熱処理(オートクレーブ処理)を行った。
続いて、固液分離・洗浄を行い、ITO粒子のスラリーを得た。
このスラリーと、上記PHEA樹脂とを、エチレングリコール(EG)、水混合溶媒中に以下の比率で分散してITO粒子液を作製し、塗工液とした。
ITO粒子スラリー:30質量部
PHEA樹脂:20質量部
エチレングリコール:20質量部
水:30質量部
[透明電極:試料135〜140]
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料115〜試料120の透明電極と同様に、試料135〜試料140の透明電極を作製した。
(塗工液)
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、シクロヘキサノン 15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
[透明電極:試料141,142]
ガスバリア層12の構成を以下のように調整した以外は、試料118、試料120の透明電極と同様に、試料141及び試料142の透明電極を作製した。
(ガスバリア層)
基板11上に、ポリシラザン含有液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が700nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させた。更に、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン含有層を形成した。
次に、ポリシラザン含有層を形成した基板11を、エキシマ照射装置MECL−M−1−200(株式会社エム・ディ・コム製)の稼動ステージ上に固定し、上記改質処理条件1で改質処理を行い、700nmからなるポリシラザン改質層を形成した。
[評価(透明電極)]
(1.面抵抗)
面抵抗の測定は、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で行った。抵抗値は、基準となるサンプルからの相対値でしめした。値が少ないほうが優れている。
(2.残留水分・溶媒)
残留水分及び残留溶媒の測定は、昇温脱離ガス分析装置(電子科学(株)製TDS1200)を用い、以下の加熱方法で水分を測定した。
サンプルを80℃まで加熱し40分維持した後、150℃まで加熱し40分維持した。
150℃40分間中脱離した水分量、溶媒量を残留水分、残留溶媒とした。
値が少ないほうが、デバイスに耐える影響が少なく好ましい。
(3.基材変形)
加熱前後での収縮量を測定して評価した。
A : 0.5%未満
B : 0.5%以上1%未満
C : 1%以上
(4.85℃保存性)
電極を85℃のサーモ(湿度4%以下)に100時間保存した後、抵抗値の変化を測定した
A: 変化率1%未満
B: 変化率1%以上2%未満
C: 変化率2%以上5%未満
D: 変化率5%以上10%未満
E: 変化率10%以上
[有機ELデバイス]
作製した試料101〜試料142の透明電極を用いて図13に示す構成の有機EL素子を作製し、透明電極の評価を行なった。図13に示す有機EL素子70は、上述の方法で作製した各試料の透明電極10、基板11の側縁部に形成された取り出し電極73、透明電極10上に設けられた有機機能層72、及び、対向電極71、並びに、接着層76を介して取り出し電極73の一部が露出した状態に接合された封止部材74により作製した。
また、下記の実施例においては、図14〜図17を参照しながら有機EL素子の製造方法を説明する。
なお、グローブボックスにて乾燥したサンプルはグローブボックスから、大気に触れさせることなく蒸着機に基板を設置した。また、真空層にて乾燥したサンプルは真空中を搬送して、蒸着用の真空層に基板を設置した。
(有機機能層・対向電極)
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、有機機能層の各層を構成する下記に示す材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物M−2の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、膜厚40nmの正孔注入輸送層を形成した。
次に、化合物BD−1及び化合物H−1を、化合物BD−1が5%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、膜厚15nmの青色発光を呈する蛍光発光層を形成した。
次に、化合物GD−1、化合物RD−1及び化合物H−2を、化合物GD−1が17%、RD−1が0.8%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、膜厚15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
その後、化合物E−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
以上により、150mm×150mmの有機機能層72を作製した(図14)。
さらに、LiFを膜厚1.5nm形成した後に、アルミニウムを110nm蒸着して150mm×198mmの対向電極71と、10mm×198mmの取り出し電極73を形成した(図15)。
有機EL素子の作製に使用した化合物M−2、化合物BD−1、化合物H−1、化合物E−1、化合物GD−1、RD−1、及び、化合物H−2の構造を以下に示す。
Figure 2016110769
(封止:接着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂(A)として「オパノールB50(BASF製、Mw:34万)」100質量部、ポリブテン樹脂(B)として「日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)」30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(C)として「TINUVIN765(BASF・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)」0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)として「IRGANOX1010(BASF・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)」0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体(E)として「Eastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)」50質量部を、トルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の接着剤組成物を調製した。
(封止:封止部材の作製)
まず、厚さ100μmのアルミニウム(Al)箔が張り合わされた厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し封止部材74とした。次に、調製した上記接着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される接着層76の厚さが20μmとなるように封止部材74のアルミニウム側(ガスバリアー層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて接着層76を形成した。次に、形成した接着層76面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止部材74を作製した。
上述の方法で作製した封止部材を、窒素雰囲気下24時間以上放置した。
放置後、剥離シートを除去し、80℃に加熱した真空ラミネーターで有機発光素子の陰極を覆う形でラミネートした。さらに、120℃で30分加熱し、200mm×170mmの封止部材74により、有機EL素子を封止した(図16)。
以上の工程により、150mm×150mmの発光エリア75を有する有機EL素子を作製した(図17)。
[評価(有機EL素子)]
(5.輝度均一性)
輝度均一性は、各有機電界発光素子を50A/mの電流を流し発光させた際の輝度を、二次元色彩輝度計CA−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定し、各有機電界発光素子の発光エリア(150mm×150mm)内の輝度測定値のうち、最低値を最高値で割って、発光エリア内の均一性の比率として算出した。
輝度均一性は、基準サンプルからの比較で示した。
輝度均一性は、数値が高いほど、輝度ムラが少なく好ましい結果であることを表す。
(6.85℃保存性)
電極を85℃のサーモ(湿度4%以下)に100時間保存した後、輝度分布の変化を測定した
A: 変化率1%未満
B: 変化率1%以上2%未満
C: 変化率2%以上5%未満
D: 変化率5%以上10%未満
E: 変化率10%以上
各試料の透明電極の構成、及び、評価結果を表1に示す。
Figure 2016110769
表1に示すように、水分濃度100ppm以下のグローブボックス、又は、真空槽で乾燥処理を行なった試料では、残留水分が2mg/m以下、及び、残留高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下を達成できている。これに対し、0.3%水分、100ppm水分の乾燥気体を用いた乾燥処理や、1.6vol%環境の赤外線乾燥を行なった試料では、残留水分が2mg/m以下、及び、残留高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下を達成できていない。従って、水分濃度100ppm以下の環境において乾燥処理を行なうことにより、透明電極に残存する溶媒量を限りなく低減することができる。
また、上記の残留水分量、残留高沸点溶媒量を達成した試料では、これらを達成できなかった試料に対して、透明電極としての抵抗値が低く、基材変形が小さく、保存性も向上している。従って、上記の残留水分量、残留高沸点を達成することにより、透明電極が低抵抗化し、さらに、安定性が向上している。
透明電極を用いた有機EL素子の評価においても同様に、上記の残留水分量、残留高沸点溶媒量を達成した試料では、これらを達成できなかった試料に対して、輝度均一性が高く、保存性も向上している。従って、透明電極の低抵抗化による輝度均一性の向上や、透明電極の保存性の向上による有機EL素子の保存性の向上が可能となる。この結果から、透明電極において上記の残留水分量、残留高沸点を達成することにより、この透明電極を適用した電子機器の特性向上が可能となる。
導電性材料層に、導電性材料とともに2.5〜3.0μmの赤外線を吸収するポリマーを含む試料では、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収しないポリマーを含む試料に比べて、全体的に残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量が小さい結果が得られた。このため、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収するポリマーを含む試料では、これを含まない試料に比べ、保存性が向上している。
また、導電性材料層に、導電性材料とともに2.5〜3.0μmの赤外線を吸収するポリマーを含む試料は、導電性材料以外のポリマーを含まない試料と比較して、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量が同等であるにもかかわらず、保存性が向上している。
有機EL素子の保存性の評価においても同様の結果が得られている。
従って、導電性材料層が、導電性材料とともに2.5〜3.0μmの赤外線を吸収するポリマーを含むことにより、透明電極の保存性の向上に有利となる。さらに、この透明電極を適用した電子機器においても、保存性の向上に有利となる。
溶媒として、プロピレングリコールの替わりにN−メチルピロリドン、又は、DMSOを用いた試料では、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量に同等の結果が得られている。しかし、これらの試料は、保存性が同等か少し低下する傾向にある。
また、プロピレングリコールの替わりにシクロヘキサノンを用いた試料では、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量が僅かに増加しているものの、残留水分が2mg/m以下、及び、残留高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下を達成している。この試料においても、試料の保存性が同等か少し低下する傾向にある。
一方、プロピレングリコールの替わりにエチレングリコールを用いた試料は、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量に同等の結果が得られている。さらに、プロピレングリコールを用いた試料と同等の保存性が得られている。この結果から、溶媒としてプロピレングリコール、エチレングリコールを含むことが特に好ましいことがわかる。
導電性材料としてITO粒子を用いた試料においても、導電性材料として導電性ポリマーを用いた試料と、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量で同等の結果が得られた。また、保存性についても同等の結果が得られている。特に、プロピレングリコールを溶媒に用いた試料では、保存性が良好である。
従って、塗工膜の乾燥処理により形成された導電性材料層では、導電性材料の種類によらず、水分濃度100ppm以下の環境で乾燥処理を行なうことにより、残留水分が2mg/m以下、及び、残留高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下を達成できている。また、上記の残留水分量、残留高沸点を達成することにより、透明電極が低抵抗化し、さらに、安定性が向上している。さらに、透明電極が上記の残留水分量、残留高沸点を達成することにより、この透明電極を適用した電子機器の特性向上が可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 透明電極、11 基板、12 ガスバリア層、13 金属導電層、14 導電性材料層、20 IR乾燥ユニット、21,28 赤外線ランプ、22 長波カットフィルタ、23 水分センサ、24,25,32 送風機、26 フィラメント、27 保護管、29,38 矢印、30,40,50,60 乾燥処理部、31,51 乾燥処理槽、33 溶媒除去装置、34 酸素除去装置、35 熱交換器、36 微粒子除去フィルタ、37 パンチ板、41 繰り出し用グローブボックス、42 巻き取り用グローブボックス、43,63 繰り出し部、44,64 巻き取り部、52 真空計、53 開口部、61 繰り出し用真空槽、62 巻き取り用真空槽、65,66 ゲートバルブ、70 有機EL素子、71 対向電極、72 有機機能層、73 取り出し電極、74 封止部材、75 発光エリア、76 接着層

Claims (12)

  1. 導電性材料と溶媒とを含む塗工液を基板に塗工し、塗工膜を形成する塗工工程と、
    水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽内で、前記塗工膜に赤外線を照射して、前記塗工膜の溶媒を除去する乾燥処理工程と、を有する
    透明電極の製造方法。
  2. 前記乾燥処理工程を、1Pa以下の真空槽内で行なう請求項1に記載の透明電極の製造方法。
  3. 前記乾燥処理工程を、グローブボックス中で行なう請求項1に記載の透明電極の製造方法。
  4. 前記乾燥処理工程に、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を使用する請求項1に記載の透明電極の製造方法。
  5. 前記導電性材料として導電性ポリマーを含む塗工液を用いる請求項1に記載の透明電極の製造方法。
  6. 前記導電性材料として金属粒子を含む塗工液を用いる請求項1に記載の透明電極の製造方法。
  7. 基板と、
    前記基板上に設けられた導電性材料層と、を備え、
    昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に測定される水分子の量が2mg/m以下であり、
    前記昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に、高沸点溶媒が検出され、かつ、測定される高沸点溶媒の量が0.05mg/m以下である
    透明電極。
  8. 前記基板上に設けられた金属導電層と、前記金属導電層を被覆する前記導電性材料層と、を備える請求項7に記載の透明電極。
  9. 前記導電性材料層が導電性ポリマーを含む請求項7に記載の透明電極。
  10. 前記導電性材料層が導電性粒子を含む請求項7に記載の透明電極。
  11. 水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽と、
    赤外線ランプと、
    前記赤外線ランプの周囲に設けられた冷媒の流路と、を備える
    透明電極の製造装置。
  12. 請求項7に記載の透明電極を備える電子機器。
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