JP2016110769A - 透明電極の製造方法、透明電極、透明電極の製造装置、電子機器 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、遠赤外線ヒータを用いる際、溶媒の吸収領域である波長3.5μm以下の輻射エネルギーを高めるため、3.5μm以上の遠赤外線領域をカットする乾燥方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
本発明透明電極の製造装置は、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽と、赤外線ランプと、赤外線ランプの周囲に設けられた冷媒の流路と、を備える。
本発明の電子機器は、上記透明電極を備える。
なお、説明は以下の順序で行なう。
1.透明電極、透明電極の製造方法
2.透明電極の製造装置
3.電子機器
以下、透明電極、及び、透明電極の製造方法の実施形態について説明する。以下に説明する透明電極は、後述する透明電極の製造方法により製造される。
透明電極は、少なくとも、樹脂基板と、この樹脂基板上に設けられた導電性材料層とを有する。さらに、透明電極は、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に水分が検出され、このとき測定される水分子の量が2mg/m2以下である。また、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に、高沸点溶媒が検出される。そして、このとき測定される高沸点溶媒の量が0.05mg/m2以下である。
また、透明電極の製造方法は、樹脂基板上にポリマーを含む塗工膜を形成する塗工工程と、この塗工膜に水分濃度が100ppm以下の環境下で赤外線を照射し、塗工膜の溶媒を除去する乾燥処理工程とを有する。
水分量の分析については、電子科学(株)製昇温脱離分析装置TDS1200装置を用いて、1×10−5Pa以下の状態でロードロック室にサンプルを入れ、30分以上真空引きをして試料室に搬送する。そして、さらに30分待機した後、30分間40℃に加熱する。さらに、80℃に加熱し40分間待機する。ここまでの80℃で40分間待機するまでに観測された水分、及び、溶媒は、本測定における水分量や高沸点溶媒の量に含まれない。
次に、150℃まで加熱し40分間待機する。このときの150℃40分間中で脱離した水分量、溶媒量を、本測定における残留水分、残留溶媒とする。
なお、TDS装置の検出シグナルから水及び溶媒の量への換算は、下記の(式1)により行なうことが可能である。
具体的には上記の装置を用いてMID測定を行い、得られた面積から水及び溶媒の放出量を求めた。
ff:フラグメンテーション係数
tf:スルーパス係数
pr:ポンピングレート
Mass Cal:感度補正
透明電極の構成について説明する。本実施形態の透明電極の構成(断面図)を図1に示す。また、図1に示す透明電極における、金属導電層の形成パターンの平面配置図を図2〜3に示す。
ガスバリア層12は、基板11の一方の面上に形成されている。
ガスバリア層12が形成された基板11上に金属導電層13が形成されている。金属導電層13は、金属粒子により形成された一定の細線パターンにより構成されている。金属導電層13を構成する金属粒子の細線パターンの例を、図2、図3に示す。金属粒子の細線パターンは、ガスバリア層12が形成された基板11上に、例えば、図2に示すようなストライプ状、又は、図3に示すようなメッシュ状(網目状)に形成することができる。
導電性材料層14は、金属導電層13上を被覆し、基板11上に形成されている。導電性材料層14は、金属導電層13による凹凸を被覆し、表面が平坦となるように形成されている。
基板11は、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が80%以上の透明樹脂基板が好ましく用いられる。なお、透明とは、当該JIS規格に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上のものをいう。
ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム又は環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム及びトリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。
透明電極10においては、導電層に微量の水分や酸素が侵入すると、抵抗値の増加等の性能が低下する。また、この透明電極を後述する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に適用する場合には、有機EL素子内部に微量の水分や酸素が侵入すると容易に性能が低下する。透明樹脂基板には、当該透明樹脂基板を通して素子内部に水分や酸素が拡散することを防止するため、水分や酸素に対して高い遮蔽能を有するガスバリア層12を形成することが有効である。
樹脂基板を用いる場合には、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温でセラミック化してシリカに変性するものがよく、下記一般式(1)で表されるものを好ましく用いることができる。
パーヒドロポリシラザンは、R1、R2、R3の全てが水素原子であり、オルガノポリシラザンは、R1、R2、R3のいずれかがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基である。得られるバリア膜としての緻密性から、R1、R2、R3の全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
金属導電層13は金属材料により形成される層であり、一定の細線パターン状に形成されている。金属材料としては、導電性を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム等の金属、及び、これらの合金でもよい。導電性の観点から銀、銅が好ましく、より好ましくは銀である。
導電性材料層14は、少なくとも導電性を有する材料(導電性材料)を含んで構成されている。導電性材料としては、例えば、導電性透明材料、及び、導電性ポリマーを挙げることができる。
導電性材料層14の乾燥層厚は30〜2000nmであることが好ましい。導電性の点から、100nm以上であることがより好ましく、電極の表面平滑性の点から、200nm以上であることがさらに好ましい。また、透明性の点から、1000nm以下であることがより好ましい。
導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子と、ポリ陰イオンとを有する。導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリ陰イオンとの存在下で、化学酸化重合することによって容易に製造できる。
π共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類等の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にも主鎖にπ共役系が形成される。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
導電性ポリマーに用いられるポリ陰イオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル、及び、これらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなる。
また、化合物内にさらにフッ素原子を有するポリ陰イオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。さらに、これらフッ素化ポリ陰イオンは、非フッ素化ポリ陰イオンと併用することにより、正孔注入機能を付加した透明電極を一体形成することができ、素子効率及び生産性の観点から望ましい。
ポリ陰イオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリ陰イオン塩である場合には、ポリ陰イオン酸に変質させることが好ましい。ポリ陰イオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
非導電性ポリマーとしては、自己分散型非導電性ポリマー、及び、ヒドロキシ基含有ポリマーを挙げることができる。
自己分散型非導電性ポリマーは、水系溶媒に分散可能なポリマーであって、解離性基を含有し、ガラス転移温度が25℃以上150℃以下の自己分散型ポリマーである。水系溶媒に分散可能な解離性基を含有する自己分散型ポリマーとは、ミセル形成を補助する界面活性剤や乳化剤等を含まない。また、ポリマー単体で水系溶媒に分散可能である。「水系溶媒に分散可能」とは、バインダー樹脂からなるコロイド粒子が、水系溶媒中に凝集せずに、分散している状況であることをいう。
コロイド粒子の大きさは一般的に0.001〜1μm(1〜1000nm)程度である。粒子の大きさとしては3〜500nmが好ましく、より好ましくは5〜300nmで、さらに好ましくは10〜200nmである。上記のコロイド粒子については、光散乱光度計により測定することができる。
透明電極の製造に用いる解離性基を含有する自己分散型ポリマーの分散液のpHは、別途相溶させる導電性ポリマー溶液と分離しない範囲であることが望ましく、0.1〜11.0が好ましく、より好ましくは3.0〜9.0である。
ガラス転移温度が25℃以上では、塗膜の造膜性が向上して透明電極の表面平滑性が向上する。このため、高温下で行われる透明電極、有機EL素子等の電子機器の環境試験において、塗膜の変形による素子性能の悪化を防ぐことができる。また、ガラス転移温度が150℃以下では、導電性ポリマーと自己分散型ポリマーからなる導電性材料層の均質性、表面平滑性が向上し、素子性能が向上する。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度10℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めることができる。
解離性基の量は、自己分散型ポリマーが水系溶媒に分散可能であればよく、工程適性的に乾燥負荷が低減されるため、可能な限り解離性基の少ない方が好ましい。また、アニオン性基、カチオン性基に使用されるカウンター種に特に限定はないが、透明電極、有機EL素子を積層した場合の性能の観点から、疎水性で少量が好ましい。
ヒドロキシ基含有ポリマーは、ヒドロキシ基を有する下記一般式(2)で表される構造単位を有するポリマーである。
次に、上述の透明電極10の製造方法について説明する。透明電極10の製造方法は、基板11上へのガスバリア層12の形成工程、ガスバリア層12を形成した樹脂基板上への金属導電層13の形成工程、及び、金属導電層13を被覆する導電性材料層14の形成工程とからなる。
ガスバリア層12の形成工程、及び、金属導電層13の形成工程は、上述の各構成における製法を適用することができる。
導電性材料層14の形成工程は、導電性材料層14を形成するための塗工液の調整、調整した塗工液により塗工膜を形成する塗工工程、及び、形成した塗工膜の乾燥処理工程を有する。
まず、導電性材料層14の形成工程においては、導電性材料を含む塗工液を調整する。例えば、上述の導電性透明材料の微粒子を溶媒中に分散させた塗工液や、上述の導電性ポリマーと非導電性ポリマーとを溶媒に分散させた塗工液を調整する。溶媒としては、上述の水系溶媒、及び、高沸点溶媒を含む。また、下記の極性溶媒を含むことが好ましい。
水系溶媒としては、上述の自己分散型非導電性ポリマーを分散させる水系溶媒を用いることができる。例えば、水(蒸留水、脱イオン水を含む)、並びに、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールの混合溶媒酸、及び、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、親水性の有機溶媒等が挙げられる。
導電性材料層14を形成するための塗工液は、水系溶媒よりも沸点の高い、高沸点溶媒を含む。高沸点溶媒を含むことにより、塗工液中での導電性ポリマーの分散安定性を損なうことなく、表面張力を効果的に低下させることができ、基板上での必要十分な濡れ性を得ることができる。また、インクジェット方式により塗布を行う場合には、安定した吐出性が得られる。
グリコールエーテルの添加量は、塗工液の表面張力から決めることができ、塗工液の総重量に対して5%以上30%以下が好ましい。5%以上で表面張力の低下効果が抑えられ、基板に対する塗工液の濡れ性が向上し、30%以下で塗工液の分散安定性及びインクジェット印刷の塗布均一性が向上する。
溶媒の誘電率は、例えば、液体用誘電率計Model−871(日本ルフト社製)を用いて測定することができる。
次に、調整した上述の塗工液を、基板11のガスバリア層12及び金属導電層13の形成面上に塗工し、導電性材料を含む塗工膜を形成する。
塗工膜の形成は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。特に、金属導電層13上へ塗工液を積層する場合、インクジェット方式により塗工し、赤外線を照射して乾燥することにより、塗工液の安定した層厚分布、高い表面平滑性、及び、高いパターニング精度を得ることができる。
形成した塗工膜に対して赤外線を照射し、塗工膜を乾燥する。乾燥処理により塗工膜に含まれる溶媒を除去し、基板11上に導電性材料層14を形成する。赤外線の照射の方法については特に限定しないが、後述する赤外線(IR)乾燥ユニットを用いることが好ましい。また、乾燥処理は、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽で行なう。乾燥処理槽の水分濃度は、乾燥処理を行なう槽内における乾燥終点における水分濃度で定義する。
さらに、上記乾燥処理によって、昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に測定される、水分子の量が2mg/m2以下、高沸点溶媒の量が0.05mg/m2以下となるように透明電極10を乾燥することにより、透明電極10の低抵抗化、及び、安定性の向上が可能となる。
次に、上述の透明電極の製造方法に適用可能な、透明電極の製造装置について説明する。透明電極の製造装置は、少なくとも、導電性材料と溶媒とを含む塗工膜の乾燥処理工程を行なうための、塗工膜の乾燥処理槽を備える。
なお、透明電極の製造装置において、塗工膜の乾燥処理工程以外の透明電極を製造するため工程における装置については、従来公知の構成を適用することができる。よって、塗工膜の乾燥処理工程以外の製造装置の構成については説明を省略する。
図4に、赤外線(IR)乾燥ユニットの概略構成を示す。なお、図4においては、IR乾燥ユニットにおいて、塗工膜の乾燥終点での乾燥処理槽内の水分濃度を100ppm以下に維持するための要部の構成のみを示し、保持部材等の他の構成については省略している。
赤外線ランプ21は、フィラメンと、フィラメントの周囲に設けられた保護管とからなり、保護管内にフィラメントが収容され、同心円状に配置された構成を有している。構成となっている。
長波カットフィルタ22は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する機能を有し、長波カットフィルタ22の材質としては、石英ガラス、ホウ珪酸クラウンガラスなどがあり、耐熱性、耐熱衝撃性の点から石英ガラスが好ましい。
IR乾燥ユニット20は、ユニット内に冷媒(例えば冷却空気)を供給する送風機24,25が備えられている。そして、赤外線ランプ21の周囲に、送風機24,25から供給される冷媒の流路が設けられている。この送風機24,25により、IR乾燥ユニット20内へ冷媒が供給され、赤外線ランプ21の発熱温度、及び、長波カットフィルタ22の表面温度等が制御される。
まず、「平成17年度遠赤外ヒータの放射エネルギーを簡易的に評価する方法の調査研究報告書」(社団法人 日本機械工業連合会、社団法人 遠赤外線協会著)、「FTIR TALK LETTER vol.13」(株式会社 島津製作所著)等に記載の方法を参考にして、赤外線ランプからの放射出力と、赤外線ランプのフィラメント温度と同温度にした標準黒体炉からの放射出力とを、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)で測定することで赤外線ランプの分光放射率を求める。
次に、プランクの放射則に従って計算した黒体放射スペクトルに、赤外線ランプの分光放射率を乗ずることで、赤外線ランプの分光放射スペクトルが得られる。得られた分光放射スペクトルから、波長3.0μmにおける分光放射輝度の値と、波長5.8μmにおける分光放射輝度の値とを読み取り、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合を百分率で計算し、求めることができる。
次に、透明電極の製造装置における、乾燥処理部の構成を説明する。以下の説明では、上述のIR乾燥ユニットが適用される乾燥処理槽と、乾燥処理に係わる各種装置について説明する。また、以下の説明では、乾燥処理槽として、乾燥気体(例えば、乾燥窒素)を流通させたグローブボックス(GB)、及び、真空槽、基板の搬送方式として、枚葉方式、及び、ロール・ツー・ロール(RTR)方式の装置について説明する。
グローブボックスを用いた枚葉方式の乾燥処理部の構成を図5に示す。図5に示す乾燥処理部30は、IR乾燥ユニット20が配置された、乾燥用グローブボックス(GB)からなる乾燥処理槽31を有している。また、乾燥処理槽31は、供給される乾燥空気の気流を槽内で均一化するためのパンチ板37を有している。さらに、この乾燥処理槽31に対して、矢印38で示す気流の流れ方向に、送風機32、溶媒除去装置33、酸素除去装置34、熱交換器35、及び、微粒子除去フィルタ36が配管で接続されている。
次に、グローブボックス(GB)を用いたロール・ツー・ロール(RTR)方式の乾燥処理部の構成を図6に示す。図6に示す乾燥処理部40は、IR乾燥ユニット20が配置された、乾燥用グローブボックスからなる乾燥処理槽31を有している。また、乾燥処理前の基板11が巻回されている繰り出し部43が配置された繰り出し用グローブボックス41と、乾燥処理後の基板11が巻回されている巻き取り部44が配置された巻き取り用グローブボックス42を有する。
次に、真空槽を用いた枚葉方式の乾燥処理部の構成を図7に示す。図7に示す乾燥処理部50は、乾燥処理槽51として真空槽を有している。そして、真空槽からなる乾燥処理槽51に、IR乾燥ユニット20、真空計52、及び、開口部53が設けられている。
次に、真空槽を用いたロール・ツー・ロール(RTR)方式の乾燥処理部の構成を図8に示す。図8に示す乾燥処理部60は、IR乾燥ユニット20が配置された、真空槽からなる乾燥処理槽51を有している。乾燥処理槽51及びIR乾燥ユニット20は、上述の真空槽を用いた枚葉方式の乾燥処理部と同様の構成とすることができ、乾燥処理槽51に図示しない真空計や、真空ポンプに接続するための開口部が設けられる。
上述の透明電極は、各種電子機器に適用することができる。例えば、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の電子機器の透明電極に適用することができる。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の透明電極として好適である。有機EL素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることができる。有機EL素子は、均一にムラなく発光させることができるため、照明用途の電子機器として用いることが好ましい。以下、上述の透明電極が適用された電子機器の一例として、透明電極を有する有機EL素子の構成について説明する。
有機EL素子は、第1の電極、第2の電極、及び、有機機能層を備える。そして、第2の電極が第1の電極に対向配置され、有機機能層が第1の電極と第2の電極との間に設けられた構成を有する。例えば、有機EL素子では、透明電極を陽極として用いることが好ましい。有機機能層や、第2電極(陰極)等については有機EL素子に一般的に使われている従来公知の材料、構成等を適用することができる。
取り出し電極73は金属導電層13、導電性材料層14と電気的に接続されている。透明電極10の導電性材料層14上には有機機能層72が形成されている。有機機能層72は正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層等から構成されている。有機機能層72上には対向電極71が形成されている。対向電極71は透明電極10に対向する電極であって透明電極10とは反対の極性を有している。
有機EL素子70では、取り出し電極73の一部が露出した状態で封止部材74により封止され、封止部材74が透明電極10や有機機能層72を被覆、保護している。
有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写等の方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
(基板)
まず、基板11として、透明なPET基板(200mm×200mm)を用意した(図10)。
次に、基板11を市販のUVオゾン洗浄装置にセットし、基板11にUVオゾン洗浄を行った。さらに、基板11をスピンコーターにセットし、カイジョー製28101型発振器、28200型振動子を用いて、超音波流水を流しながら、500rpmで90秒洗浄を行った。また、超音波流水を停止し、3000rpmで30秒乾燥させた。
次に、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を作製し、ポリシラザン含有液を調整した。
そして、UVオゾン洗浄およびスピン洗浄、乾燥した基板11上に、調整したポリシラザン含有液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が100nmとなるよう全面に塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させた。さらに、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン含有層を形成した。
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:0.5%
エキシマランプ照射時間:5秒
(プラズマCVD条件)
原料ガス(HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min
以上の工程により、ポリシラザン改質層、酸化ケイ素膜、及び、ポリシラザン改質層の3層からなるガスバリア層12を形成した。
次に、ガスバリア層12を形成した基板11上に、174mm×149mmの面積で、以下の方法で透明電極の金属導電層13を形成した(図11)。
具体的には、透明樹脂基板1上に、インクジェット装置を用いて、銀ナノインク(ハリマ化成製 NPS−JL)を、50μm幅、1mmピッチのストライプパターンにて、金属細線パターンからなる金属導電層13を形成した。
次に、金属導電層13を形成した基板11に対して、Novacentrix社製PulseForge1300を用いてキセノン光を照射し、焼成を行った。
インクジェット装置は、コニカミノルタ(株)製インクジェットヘッドKM512SHXを取り付けた卓上型ロボット Shotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタIJ社製)にて制御した。金属導電層13の形成は、十分に低抵抗となるように、3回繰り返して行なった。
また、キセノン光は、500μs周期で、250μsのパルス発光とし、1500mJ/cm2のエネルギーを与えられるように調整し照射を行った。
金属導電層13のパターンを、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(日本ビーコ社製)で測定したところ、パターンの幅は70μm、平均高さ500nmであった。
まず、導電性材料層14を形成するための塗工液を調整した。
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリマー(ポリ(メチルビニルエーテル)(東京化成社製 30%液))とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、プロピレングリコール(PG)15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、塗工液を調整した。
なお、ポリ(メチルビニルエーテル)(東京化成社製 30%液)を425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2未満であった。よって、本実施例においては、ポリ(メチルビニルエーテル)を、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収しないと表記する。
さらに、塗工膜の乾燥処理を、表1の試料101〜試料108に記載の各乾燥方式及び乾燥条件にて行い、導電性材料層14を形成した。乾燥処理は、上述の図5〜図8を用いて説明したグローブボックス装置、真空装置を用いた。
以上の工程により、試料101〜試料107の透明電極を作製した。
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料101〜試料107の透明電極と同様に、試料108〜試料114の透明電極を作製した。
透明導電性ポリマー:Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液) 70質量部
プロピレングリコール:15質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル:12質量部
水:3質量部
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料102〜試料107の透明電極と同様に、試料115〜試料120の透明電極を作製した。
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、プロピレングリコール 15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
300mlナスフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成社製)5.0g(43.1mmol、Fw116.12)、2,2′−アゾビス(2−メチルイソプロピオニトリル)0.7g(4.3mmol、Fw164.21)、及び、テトラヒドロフラン100mlを加え、8時間加熱還流した。その後、溶液を室温まで冷却し、激しく撹拌されたメチルエチルケトン2.0L中へ滴下した。反応溶液を1時間撹拌後、メチルエチルケトンをデカンテーションし、メチルエチルケトン100mlで壁面に付着した重合体を3回洗浄した。ポリマーはテトラヒドロフラン100mlに溶解し、200mlフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターによりテトラヒドロフランを減圧留去した。その後、80℃3時間減圧することで、残留しているTHFを留去し、数平均分子量57,800、分子量分布1.24のPHEAを4.1g(収率82%)得た。
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料118の透明電極と同様に、試料121〜試料123の透明電極を作製した。
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、表1に示す高沸点溶媒[N−メチルピロリドン(NMP)、DMSO、又は、エチレングリコール(EG)]を15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料120の透明電極と同様に、試料124〜試料126の透明電極を作製した。
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、表1に示す高沸点溶媒[N−メチルピロリドン(NMP)、DMSO、又は、エチレングリコール(EG)]を15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
導電性材料層14を形成するための乾燥処理工程を、表1の試料127、試料128に記載の各乾燥方式及び乾燥条件で行なった以外は、試料120の透明電極と同様に、試料127、試料128の透明電極を作製した。
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料102〜試料107の透明電極と同様に、試料129〜試料134の透明電極を作製した。
以下のように、平均粒径30nmの酸化インジウムスズ(ITO)粒子を含むITO粒子液を調整した。
酸化インジウムスズ(ITO)粒子は、まず、In2(C2O4)3を1mol/L、Sn2(C2O4)3を0.1mol/L含む溶液を調整した。溶媒は、水とエチレングリコール(EG)を1:1とした。
この溶液を40℃に保持し、水酸化ナトリウムをインジウムに対して2当量加えて中和を行った。
次に、生成したスズ含有インジウム水酸化物粒子からITO粒子を得る為に、得られたスズ含有インジウム水酸化物沈殿溶液を密閉容器中にて加熱処理(オートクレーブ処理)を行った。
続いて、固液分離・洗浄を行い、ITO粒子のスラリーを得た。
このスラリーと、上記PHEA樹脂とを、エチレングリコール(EG)、水混合溶媒中に以下の比率で分散してITO粒子液を作製し、塗工液とした。
ITO粒子スラリー:30質量部
PHEA樹脂:20質量部
エチレングリコール:20質量部
水:30質量部
導電性材料層14を形成するための塗工液を以下のように調整した以外は、試料115〜試料120の透明電極と同様に、試料135〜試料140の透明電極を作製した。
透明導電性ポリマー Clevios PH1000(Heraeus社製 1.2%液)と、ポリヒドロキシアクリレート(PHEA)(20%液)とを、それぞれ固形分比15:85で混合した。この混合物70質量部と、シクロヘキサノン 15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル 12質量部を混合し、最後に水を加えて100質量部として、導電性材料層を形成するための塗工液を調製した。
なお、PHEAを425nmの膜厚で塗布した際の2.5〜3.0μmの吸光度は0.2以上であった。よって、本実施例においては、PHEAを、2.5〜3.0μmの赤外線を吸収すると表記する。
ガスバリア層12の構成を以下のように調整した以外は、試料118、試料120の透明電極と同様に、試料141及び試料142の透明電極を作製した。
基板11上に、ポリシラザン含有液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が700nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させた。更に、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン含有層を形成した。
(1.面抵抗)
面抵抗の測定は、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で行った。抵抗値は、基準となるサンプルからの相対値でしめした。値が少ないほうが優れている。
残留水分及び残留溶媒の測定は、昇温脱離ガス分析装置(電子科学(株)製TDS1200)を用い、以下の加熱方法で水分を測定した。
サンプルを80℃まで加熱し40分維持した後、150℃まで加熱し40分維持した。
150℃40分間中脱離した水分量、溶媒量を残留水分、残留溶媒とした。
値が少ないほうが、デバイスに耐える影響が少なく好ましい。
加熱前後での収縮量を測定して評価した。
A : 0.5%未満
B : 0.5%以上1%未満
C : 1%以上
電極を85℃のサーモ(湿度4%以下)に100時間保存した後、抵抗値の変化を測定した
A: 変化率1%未満
B: 変化率1%以上2%未満
C: 変化率2%以上5%未満
D: 変化率5%以上10%未満
E: 変化率10%以上
作製した試料101〜試料142の透明電極を用いて図13に示す構成の有機EL素子を作製し、透明電極の評価を行なった。図13に示す有機EL素子70は、上述の方法で作製した各試料の透明電極10、基板11の側縁部に形成された取り出し電極73、透明電極10上に設けられた有機機能層72、及び、対向電極71、並びに、接着層76を介して取り出し電極73の一部が露出した状態に接合された封止部材74により作製した。
また、下記の実施例においては、図14〜図17を参照しながら有機EL素子の製造方法を説明する。
なお、グローブボックスにて乾燥したサンプルはグローブボックスから、大気に触れさせることなく蒸着機に基板を設置した。また、真空層にて乾燥したサンプルは真空中を搬送して、蒸着用の真空層に基板を設置した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、有機機能層の各層を構成する下記に示す材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次に、化合物BD−1及び化合物H−1を、化合物BD−1が5%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、膜厚15nmの青色発光を呈する蛍光発光層を形成した。
次に、化合物GD−1、化合物RD−1及び化合物H−2を、化合物GD−1が17%、RD−1が0.8%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、膜厚15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
その後、化合物E−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
以上により、150mm×150mmの有機機能層72を作製した(図14)。
さらに、LiFを膜厚1.5nm形成した後に、アルミニウムを110nm蒸着して150mm×198mmの対向電極71と、10mm×198mmの取り出し電極73を形成した(図15)。
ポリイソブチレン系樹脂(A)として「オパノールB50(BASF製、Mw:34万)」100質量部、ポリブテン樹脂(B)として「日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)」30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(C)として「TINUVIN765(BASF・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)」0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)として「IRGANOX1010(BASF・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)」0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体(E)として「Eastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)」50質量部を、トルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の接着剤組成物を調製した。
まず、厚さ100μmのアルミニウム(Al)箔が張り合わされた厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し封止部材74とした。次に、調製した上記接着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される接着層76の厚さが20μmとなるように封止部材74のアルミニウム側(ガスバリアー層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて接着層76を形成した。次に、形成した接着層76面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止部材74を作製した。
放置後、剥離シートを除去し、80℃に加熱した真空ラミネーターで有機発光素子の陰極を覆う形でラミネートした。さらに、120℃で30分加熱し、200mm×170mmの封止部材74により、有機EL素子を封止した(図16)。
以上の工程により、150mm×150mmの発光エリア75を有する有機EL素子を作製した(図17)。
(5.輝度均一性)
輝度均一性は、各有機電界発光素子を50A/m2の電流を流し発光させた際の輝度を、二次元色彩輝度計CA−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定し、各有機電界発光素子の発光エリア(150mm×150mm)内の輝度測定値のうち、最低値を最高値で割って、発光エリア内の均一性の比率として算出した。
輝度均一性は、基準サンプルからの比較で示した。
輝度均一性は、数値が高いほど、輝度ムラが少なく好ましい結果であることを表す。
電極を85℃のサーモ(湿度4%以下)に100時間保存した後、輝度分布の変化を測定した
A: 変化率1%未満
B: 変化率1%以上2%未満
C: 変化率2%以上5%未満
D: 変化率5%以上10%未満
E: 変化率10%以上
また、導電性材料層に、導電性材料とともに2.5〜3.0μmの赤外線を吸収するポリマーを含む試料は、導電性材料以外のポリマーを含まない試料と比較して、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量が同等であるにもかかわらず、保存性が向上している。
有機EL素子の保存性の評価においても同様の結果が得られている。
従って、導電性材料層が、導電性材料とともに2.5〜3.0μmの赤外線を吸収するポリマーを含むことにより、透明電極の保存性の向上に有利となる。さらに、この透明電極を適用した電子機器においても、保存性の向上に有利となる。
また、プロピレングリコールの替わりにシクロヘキサノンを用いた試料では、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量が僅かに増加しているものの、残留水分が2mg/m2以下、及び、残留高沸点溶媒の量が0.05mg/m2以下を達成している。この試料においても、試料の保存性が同等か少し低下する傾向にある。
一方、プロピレングリコールの替わりにエチレングリコールを用いた試料は、残留水分量、及び、残留高沸点溶媒量に同等の結果が得られている。さらに、プロピレングリコールを用いた試料と同等の保存性が得られている。この結果から、溶媒としてプロピレングリコール、エチレングリコールを含むことが特に好ましいことがわかる。
従って、塗工膜の乾燥処理により形成された導電性材料層では、導電性材料の種類によらず、水分濃度100ppm以下の環境で乾燥処理を行なうことにより、残留水分が2mg/m2以下、及び、残留高沸点溶媒の量が0.05mg/m2以下を達成できている。また、上記の残留水分量、残留高沸点を達成することにより、透明電極が低抵抗化し、さらに、安定性が向上している。さらに、透明電極が上記の残留水分量、残留高沸点を達成することにより、この透明電極を適用した電子機器の特性向上が可能となる。
Claims (12)
- 導電性材料と溶媒とを含む塗工液を基板に塗工し、塗工膜を形成する塗工工程と、
水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽内で、前記塗工膜に赤外線を照射して、前記塗工膜の溶媒を除去する乾燥処理工程と、を有する
透明電極の製造方法。 - 前記乾燥処理工程を、1Pa以下の真空槽内で行なう請求項1に記載の透明電極の製造方法。
- 前記乾燥処理工程を、グローブボックス中で行なう請求項1に記載の透明電極の製造方法。
- 前記乾燥処理工程に、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を使用する請求項1に記載の透明電極の製造方法。
- 前記導電性材料として導電性ポリマーを含む塗工液を用いる請求項1に記載の透明電極の製造方法。
- 前記導電性材料として金属粒子を含む塗工液を用いる請求項1に記載の透明電極の製造方法。
- 基板と、
前記基板上に設けられた導電性材料層と、を備え、
昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に測定される水分子の量が2mg/m2以下であり、
前記昇温脱離ガス分光法で180℃まで加熱した際に、高沸点溶媒が検出され、かつ、測定される高沸点溶媒の量が0.05mg/m2以下である
透明電極。 - 前記基板上に設けられた金属導電層と、前記金属導電層を被覆する前記導電性材料層と、を備える請求項7に記載の透明電極。
- 前記導電性材料層が導電性ポリマーを含む請求項7に記載の透明電極。
- 前記導電性材料層が導電性粒子を含む請求項7に記載の透明電極。
- 水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽と、
赤外線ランプと、
前記赤外線ランプの周囲に設けられた冷媒の流路と、を備える
透明電極の製造装置。 - 請求項7に記載の透明電極を備える電子機器。
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