JP6319090B2 - 透明電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、太陽電池、電磁波シールド、電子ペーパー、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる透明電極の製造方法にかかり、特に有機発光素子用透明電極の製造方法に関する。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶・プラズマ・有機エレクトロルミネッセンス・フィールドエミッション等、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式の異なる何れのディスプレイにおいても、透明電極は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でも、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない技術要素となっている。
従来、透明電極は、ガラスや透明なプラスチックフィルム等の透明基板上に、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)膜を真空蒸着法やスパッタリング法で製膜したITO透明電極が主に使用されてきた。しかし、ITOに用いられているインジウムはレアメタルであり、かつ価格の高騰により、脱インジウムが望まれている。また、ディスプレイの大画面化、生産性向上に伴い、樹脂基板などのフレキシブル基板(可撓性の透明基板)を用いたロールトゥロール(roll to roll)の生産技術が所望されている。
透明導電層を形成するにあたり、このような真空蒸着法やスパッタリング法といった生産性の低い乾式塗布法に代わり、透明基板上に、金属、金属酸化物、導電性ポリマーなどの導電性微粒子を含む分散液を直接塗布、乾燥し、透明電極を形成する湿式塗布法が開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。
しかしながら、分散液を塗布、乾燥するという湿式処理のために、透明電極の性能低下につながる新たな課題が生じる。透明導電層形成のため、導電性微粒子を含む分散液を塗布した後、乾燥する際、塗膜(塗布層)の温度ムラ、乾燥ムラにより、透明導電層の層厚分布や表面平滑性の低下、コーヒーリングと呼ばれる塗布端部の厚膜化、乾燥収縮によるパターニング不良を引き起こす。これらは、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の電極として用いた際、電極表面抵抗の増加、電流リークといった著しい性能低下をもたらす。
このような課題に対して、熱風やホットプレートなどを用いた伝導伝熱乾燥の乾燥温度を上げる、あるいは赤外線ヒータなどを用いた輻射伝熱乾燥を行うことで、乾燥速度を増加しムラを低減する方法がある(例えば、特許文献3参照)。
しかし、高温による伝導伝熱乾燥では、透明基板として透明樹脂基板を用いる場合、基板自体が変形するため樹脂材料のガラス転移点(Tg)を超える温度での乾燥処理はできない。また、一般的な赤外線ヒータでは、水やアルコールなどの溶媒の吸収領域である波長3.0μmの輻射エネルギーを増加させると、一般的な透明樹脂基板の吸収領域に相当する5.8μm以上の輻射エネルギーも増加し、前述の高温での伝導伝熱乾燥同様、基板自体の変形を引き起こす。
波長3.0μmの輻射エネルギーを有効に活用する方法として、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する赤外線ヒータを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、この方法は、塗布層中の溶媒を効率的に乾燥することに主眼を置かれたものであり、基板自体の赤外線吸収による変形防止を考慮したものではなく、とりわけ透明樹脂基板を用いた場合の赤外線乾燥について言及されていない。
ところで、有機EL素子では、素子内部に残留する水分により、有機層が著しく劣化するため、透明電極や透明樹脂基板を高度に乾燥させる必要がある。
通常、透明樹脂基板にはバリア層が形成されており、基板自体があらわに変形しない乾燥条件下でも、基板の一部が微小変形することでバリア膜が剥離、劣化する場合がある。このような透明電極を有機EL素子に用いると、バリア機能の低下により有機層が劣化し、発光ムラ、さらにはダークスポット発生の要因となる。
このように、透明樹脂基板を用いた有機EL素子用透明電極は、導電層の層厚分布の高い均一性、平滑性、パターニング形状と、高い乾燥度、さらには高いバリア性が求められるが、従来の乾燥方法では、これらを同時に満たすことは困難である。
特開平6−80442号公報 特開平6−273964号公報 特開2006−337545号公報 特許第4790092号公報
したがって、本発明の解決課題は、透明樹脂基板を用いた透明電極を製造する場合において、透明導電層の層厚分布の均一性、平滑性、パターニング精度を満足させ、かつ、透明樹脂基板を変形させることなく透明導電層を高度に乾燥させることができる透明電極の製造方法を提供することある
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
金属導電層を透明樹脂基板上に形成する工程と、
少なくとも導電性ポリマー非導電性ポリマー、水及び極性有機溶媒を含む組成物を、前記透明樹脂基板および前記金属導電層上に塗布し、ポリマー導電層を形成する工程と、
赤外線ヒータのフィラメントの温度を800〜3000℃の範囲内にした条件下で、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を、前記ポリマー導電層に照射する工程と、
を備えることを特徴とする透明電極の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、透明導電層の層厚分布の均一性、平滑性、パターニング精度を満足させ、かつ、透明樹脂基板を変形させることなく透明導電層を高度に乾燥させることができる透明電極の製造方法を提供することができる
透明電極の概略構成を示す断面図である。 透明電極の金属導電層のパターン形状を例示する平面図である。 透明電極の金属導電層のパターン形状を例示する平面図である。 透明電極の金属導電層のパターン形状を例示する平面図である。 透明電極の金属導電層のパターン形状を例示する平面図である。 赤外線ヒータの概略構成を示す断面図である。 赤外線ヒータの変形例を示す断面図である。 有機EL素子の概略構成を示す断面図である。 有機EL素子の製造方法を経時的に説明するための概略的な平面図である。 有機EL素子の製造方法を経時的に説明するための概略的な平面図である。 有機EL素子の製造方法を経時的に説明するための概略的な平面図である。 有機EL素子の製造方法を経時的に説明するための概略的な平面図である。 有機EL素子の製造方法を経時的に説明するための概略的な平面図である。 有機EL素子の製造方法を経時的に説明するための概略的な平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
《透明電極(1)》
透明電極は、透明樹脂基板上に、少なくとも導電性ポリマーと非導電性ポリマーとを含むポリマー導電層を有しており、かかるポリマー導電層は導電性ポリマー及び非導電性ポリマーからなる分散液を、透明樹脂基板上に塗布して乾燥させることで得ることができる。
透明電極の構成を図1に示す。
図1に示すとおり、透明電極1は主に透明樹脂基板2、金属導電層4およびポリマー導電層6から構成されている。
透明樹脂基板2上には、金属粒子の細線パターンからなる金属導電層4が形成されている。金属導電層4では、金属粒子の細線が、図2A〜図2Cに示すとおりにストライプ状に形成されてもよいし、図2Dに示すとおりにメッシュ状(網目状)に形成されてもよい。
金属導電層4上にはポリマー導電層6が形成されている。ポリマー導電層6は面一的に形成され、金属導電層4の表面および金属導電層4間から露出する透明樹脂基板2の表面を被覆している。
透明電極1では、金属導電層4とポリマー導電層とでいわゆる透明導電層が構成され、前述のように、ポリマー導電層6を、金属導電層4上に積層し金属導電層4と併用することで、低抵抗かつ均一な面抵抗が得られる。
《透明樹脂基板(2)》
透明樹脂基板は、導電層を担持しうる板状体であり、透明電極を得るためには、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が80%以上のものが好ましく用いられる。
透明樹脂基板としては、例えば、樹脂基板、樹脂フィルム等が好適に挙げられ、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。透明樹脂フィルムとは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上のものをいう。
好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。
上記全光線透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に用いられる透明樹脂基板として好ましく用いられる。中でも透明性、赤外線吸収特性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、ポリエステル系樹脂フィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましい。
本発明に用いられる透明樹脂基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。
例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
本発明のフィルム基板の表面または裏面には、好ましくは、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜からなるバリア層を形成する。
《バリア層》
有機EL素子などの有機電子素子(後述参照)は、素子内部に微量の水分や酸素が存在すると容易に性能劣化が生ずる。透明樹脂基板には、当該透明樹脂基板を通して素子内部に水分や酸素が拡散することを防止するため、水分や酸素に対して高い遮蔽能を有するバリア層を形成することが有効である。
バリア層の組成や構造およびその形成方法には特に制限はなく、シリカ等の無機化合物による膜を真空蒸着やCVD法により形成することができる。また、ポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布乾燥後、酸素及び水蒸気を含む窒素雰囲気下で紫外線照射により酸化処理してバリア層を形成することもできる。
ポリシラザン化合物の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
ポリシラザン化合物の塗布方法は、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、塗工方法として、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種印刷方法に加えて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷等の各種塗布法を用いることができる。
バリア層をパターン状に形成することが好ましい場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を用いることが好ましい。
本発明で用いられるポリシラザンとは、珪素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Siおよび両方の中間固溶体SiOxNy等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
樹脂基板を用いる場合には、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温でセラミック化してシリカに変性するものがよく、下記一般式(A)で表されるものを好ましく用いることができる。
一般式(A);
Figure 0006319090
一般式(A)中、R1、R2、R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。
パーヒドロポリシラザンは、R1、R2、R3の全てが水素原子であり、オルガノポリシラザンは、R1、R2、R3のいずれかがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基である。得られるバリア膜としての緻密性から、R1、R2、R3の全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
バリア層は1層でもよいが、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する場合には、無機化合物の積層構造であってもよいし、無機化合物と有機化合物のハイブリッド被膜として形成してもよい。またバリア層の間に応力緩和層を挟んでもよい。
単層の場合でも積層した場合でも1つのバリア層の層厚は、30nm〜1000nmが好ましく、更に好ましくは30nm〜500nm、特に好ましくは90nm〜500nmである。30nm以上とすると層厚均一性が良好となり、優れたバリア性能が得られる。1000nm以下にすると、屈曲によるクラックが急激に入ることが極めて少なくなり、成膜時の内部応力の増大をとどめて、欠陥の生成を防止することができる。
バリア層のバリア性としては、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下(1atmは、1.01325×105Paである)、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
バリア層を形成する前に、透明樹脂基板との接着性を向上するために、シランカップリング剤などを用いて透明樹脂基板の表面に前処理を施すこともできる。
《金属導電層(4)》
金属導電層は上記のとおり金属材料により形成される層であり、一定のパターン状を呈している。
金属材料としては、導電性を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム等の金属の他に合金でもよいが、導電性の観点から銀、銅が好ましく、より好ましくは銀である。
金属導電層は、透明電極を形成するために、透明樹脂基板上に開口部を有するパターン状に形成される。開口部は、透明樹脂基板上に金属材料を有さない部分であり透光性窓部である。
パターン形状には特に制限はないが、例えば、導電部がストライプ状(図2A〜図2C)、格子状(図2D)、あるいはランダムな網目状であってもよいが、開口率は透明性の観点から80%以上であることが好ましい。
開口率とは、光不透過の金属導電層を除いた透光性窓部が全体に占める割合である。例えば、金属導電層がストライプ状あるいは格子状であるとき、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。
パターンの線幅は10〜200μmが好ましい。細線の線幅が10μm以上で所望の導電性が得られ、また200μm以下では透明性が低下するのを抑制することができる。
細線の高さは、0.1〜10μmが好ましい。細線の高さが0.1μm以上で所望の導電性が得られ、また10μm以下では、有機電子デバイスの形成において電流リークや機能層の層厚分布不良が発生するのを抑制することができる。
導電部がストライプ状または格子状の電極を形成する方法としては、特に、制限はなく、従来公知な方法が利用できる。
例えば、透明樹脂基板全面に金属層を形成し、公知のフォトリソ法によって形成できる。具体的には、透明樹脂基板上の全面に、印刷、蒸着、スパッタ、めっき等の1あるいは2以上の物理的または化学的形成手法を用いて導電体層を形成するか、あるいは、金属箔を接着剤で透明樹脂基板に積層した後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状あるいは格子状に加工できる。
別な方法としては、金属微粒子分散物を用いて、凸版、凹版、孔版印刷、あるいはインクジェット方式により所望の形状に印刷する方法や、メッキ可能な触媒インクを用いて、凸版、凹版、孔版印刷、あるいはインクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法、さらに別な方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の[0076]−[0112]、及び実施例を参考にして実施できる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にして実施できる。
金属微粒子分散物に含まれる金属微粒子は、パターン精度等の観点からナノ粒子であるのが好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径としては、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、1〜50nmの範囲内であることがより好ましく、1〜30nmの範囲内であることが特に好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒径は、金属ナノ粒子の電子顕微鏡観察から、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子をランダムに200個以上観察し、各金属ナノ粒子の粒径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。
ここで、粒径とは、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子の外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。なお、平均粒径を測定する際、明らかに金属ナノ粒子の側面等を表しているものは測定しない。
金属ナノ粒子分散物の製造方法は、多くの提案がなされており、例えば、特開2010−265543号公報、特開2011−68936号公報、特開2012−162767号公報、特開2012−144796号公報、特開2012−144795号公報、特開2012−52225号公報、特開2008−214591号公報、特開2007−200775号公報、特開2006−193594号公報、特開2012−119132号公報、特開2011−153362号公報、特表2009−515023号公報等の公報に詳細に記載されている。
金属ナノ粒子分散物は、水、アルコール、炭化水素等の分散媒中に金属ナノ粒子を含有するが、必要に応じて、バインダー、金属を分散させるための分散剤等を含んでもよい。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
別な方法としては、例えば、特表2009−505358号公報に記載のような、金属ナノワイヤを含有する塗布液を塗布乾燥することで、金属ナノワイヤのランダムな網目構造を形成させる方法を利用できる。
金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする繊維状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの短径を有する多数の繊維状構造体を意味する。
金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均短径には特に制限はないが、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。金属ナノワイヤの平均短径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、短径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。金属ナノワイヤの目付け量は0.005〜0.5g/m2が好ましく、0.01〜0.2g/m2がより好ましい。
金属ナノワイヤに用いられる金属としては、銅、鉄、コバルト、金、銀等を用いることができるが、導電性の観点から銀が好ましい。また、金属は単一で用いてもよいが、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、主成分となる金属と1種類以上の他の金属を任意の割合で含んでもよい。
金属ナノワイヤの製造方法には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。
例えば、銀ナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837、Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745、金ナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、銅ナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、コバルトナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した銀ナノワイヤの製造方法は、水溶液中で簡便に銀ナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、好ましく適用することができる。
また、金属材料からなる細線部の表面比抵抗は、100Ω/□以下であることが好ましく、大面積化するには20Ω/□以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
また、金属材料からなる細線部はフィルム基板にダメージを与えない範囲で加熱処理を施すことが好ましい。これにより、金属微粒子や金属ナノワイヤ同士の融着が進み、金属材料からなる細線部の高導電化するため、特に好ましい。
加熱処理を施す方法としては、従来一般に行われるオーブンによる加熱やホットプレートによる加熱を用いることができる。また局所加熱処理を用いても良く、フラッシュパルス光照射処理、マイクロ波処理、プラズマ処理、誘電加熱処理、エキシマ光照射処理、紫外線処理、赤外ヒータ処理、熱風ヒータ処理などをあげることができる。加熱処理は、オーブンによる加熱やホットプレートによる加熱と、局所加熱処理を併用して施してもよい。
金属導電層は、パターン描画性や基材との接着性を向上させるため、下地層を設けてもよい。下地層は光透過性を有していれば特に制限はなく、アクリル樹脂等の有機粒子または金属酸化物等の無機粒子を含有した下地層 などが用いられ、これらは有機または無機樹脂のバインダーを併用してもよい。
《ポリマー導電層(6)》
ポリマー導電層は基本的に導電性ポリマーと非導電性ポリマーとから構成される。非導電性ポリマーは基本的に自己分散型ポリマーおよび/またはヒドロキシ基含有ポリマーからなる。
ポリマー導電層が、導電性ポリマーと非導電性ポリマーとから構成され、かつ、非導電性ポリマーが、自己分散型ポリマーまたは/及びヒドロキシ基含有ポリマーからなることにより、ポリマー導電層の導電性を損なう事なく、導電性ポリマーの必要量を低減することができる。その結果、高い導電性と透明性を両立した透明電極を得ることができる。
また、ポリマー導電層は、金属細線からなる金属導電層上に、導電性ポリマー及び非導電性ポリマーを含む液状組成物を塗布して形成され、金属導電層と併用されて透明導電層を形成することができる。これにより、透明電極の高い透明性と高い導電性が両立でき、さらに電極面内の均一性を得ることができる。
導電性ポリマー及び非導電性ポリマーを含むポリマー導電層を形成するための液状組成物は、導電性ポリマーおよび非導電性ポリマーに加え、水系溶媒、極性溶媒およびグリコールエーテルを含むことが好ましく、ポリマー導電層は、これにより、高い透明性と高い導電性とを得るために必要十分な量の該組成物を基板上に印刷することができる。
ポリマー導電層の塗布は、前述のグラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。特に、金属導電層上へポリマー導電層を積層する場合、インクジェット方式により塗設し、本発明の赤外線を照射して乾燥するのが、ポリマー導電層の安定した層厚分布、高い表面平滑性、高いパターニング精度を得ることができるため好ましい。
ポリマー導電層の電気抵抗値としては、金属導電層と併用して透明電極の均一な導電性を得るため、表面抵抗率として10000Ω/□以下であることが好ましく、2000Ω/□以下であることがより好ましい。
ポリマー導電層の乾燥層厚は30〜2000nmであることが好ましい。導電性の点から、100nm以上であることがより好ましく、電極の表面平滑性の点から、200nm以上であることがさらに好ましい。また、透明性の点から、1000nm以下であることがより好ましい。
ポリマー導電層を形成するための組成物について詳細に説明する。
(1)導電性ポリマー
導電性ポリマーにおける「導電性」とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194の「導電電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗が10×8Ω/□より低いことをいう。
本発明に係る導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子とポリ陰イオンとを有してなる導電性ポリマーである。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
(1.1)π共役系導電性高分子
本発明に用いるπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類、の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
(1.1.1)π共役系導電性高分子前駆体モノマー
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(1.2)ポリ陰イオン
本発明に係る導電性ポリマーに用いられるポリ陰イオンは、置換もしくは未置換のポリアルキレン、置換もしくは未置換のポリアルケニレン、置換もしくは未置換のポリイミド、置換もしくは未置換のポリアミド、置換もしくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリ陰イオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化、または分散させる高分子である。また、ポリ陰イオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリ陰イオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリ陰イオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にさらにF(フッ素原子)を有するポリ陰イオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。さらに、これらフッ素化ポリ陰イオンは、前述の非フッ素化ポリ陰イオンと併用することが、正孔注入機能を付加した透明電極を一体形成することができ、素子効率及び生産性の観点から望ましい。
ポリ陰イオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリ陰イオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有しないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有しないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/または重合触媒の存在下で、酸化重合またはラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/または重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリ陰イオン塩である場合には、ポリ陰イオン酸に変質させることが好ましい。ポリ陰イオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
導電性ポリマーに含まれるπ共役系導電性高分子とポリ陰イオンの比率、「π共役系導電性高分子」:「ポリ陰イオン」は質量比で1:1〜20が好ましい。導電性、分散性の観点からより好ましくは1:2〜10の範囲である。
π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーをポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合して、本発明に係る導電性ポリマーを得る際に使用される酸化剤は、例えばJ.Am.Soc.,85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適する、いずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価でかつ取扱い易い酸化剤、例えば鉄(III)塩、例えばFeCl、Fe(ClO、有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩、または過酸化水素、重クロム酸カリウム、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)またはアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウム及び銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン及びバナジウムイオンの存在下における空気及び酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。
有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例としては、炭素数1〜20のアルカノールの硫酸半エステルの鉄(III)塩、例えばラウリル硫酸;炭素数1〜20のアルキルスルホン酸、例えばメタンまたはドデカンスルホン酸;脂肪族炭素数1〜20のカルボン酸、例えば2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族パーフルオロカルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタノン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸並びに殊に芳香族の、随時炭素数1〜20のアルキル置換されたスルホン酸、例えばベンゼセンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩が挙げられる。
こうした導電性ポリマーは、市販の材料も好ましく利用できる。
例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、H.C.Starck社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PSSの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした材料も好ましく用いることができる。
(2)非導電性ポリマー
(2.1)自己分散型非導電性ポリマー
本発明の自己分散型非導電性ポリマーは、水系溶媒に分散可能なポリマーであって、解離性基を含有しかつガラス転移温度が25℃以上で150℃以下の自己分散型ポリマーが使用される。
水系溶媒に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーとは、ミセル形成を補助する界面活性剤や乳化剤等を含まず、ポリマー単体で水系溶媒に分散可能なものである。「水系溶媒に分散可能」とは、水系溶媒中に凝集せずにバインダー樹脂からなるコロイド粒子が分散している状況であることをいう。
コロイド粒子の大きさは一般的に0.001〜1μm(1〜1000nm)程度である。粒子の大きさとしては3〜500nmが好ましく、より好ましくは5〜300nmで、さらに好ましくは10〜200nmである。上記のコロイド粒子については、光散乱光度計により測定することができる。
また、上記水系溶媒としては、純水(蒸留水、脱イオン水を含む)のみならず、酸、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、さらには親水性の有機溶媒であることを意味し、純水(蒸留水、脱イオン水を含む)、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールの混合溶媒等が挙げられる。
本発明に係る解離性基含有自己分散型ポリマーは透明であることが好ましい。
解離性基含有自己分散型ポリマーとしては、フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はない。また、透明電極表面へのブリードアウト、有機EL素子を積層した場合の素子性能に問題がなければ特に限定はないが、ポリマー分散液中に界面活性剤(乳化剤)や造膜温度をコントロールする可塑剤等は含まないことが好ましい。
透明電極の製造に用いる解離性基含有自己分散型ポリマーの分散液のpHは、別途相溶させる導電性ポリマー溶液と分離しない範囲であることが望ましく、0.1〜11.0が好ましく、より好ましくは3.0〜9.0である。
本発明に係る解離性基含有自己分散型ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が25℃以上で150℃以下であり、好ましくは30〜110℃である。
ガラス転移温度が25℃以上では、塗膜の造膜性が向上して透明電極の表面平滑性が向上し、高温下で行われる透明電極、有機EL素子の環境試験において、塗膜が変形し、素子性能が悪化するのを防止することができる。また、ガラス転移温度が150℃以下では、導電性ポリマーと自己分散型ポリマーからなるポリマー導電層の均質性、表面平滑性が向上し、素子性能が向上する。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度10℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めることができる。
解離性基含有自己分散型ポリマーに使用される解離性基としては、アニオン性基(スルホン酸、及びその塩、カルボン酸及びその塩、リン酸及びその塩等)、カチオン性基(アンモニウム塩等)等が挙げられる。特に限定はないが、導電性高分子溶液との相溶性の観点から、アニオン性基が好ましい。
解離性基の量は、自己分散型ポリマーが水系溶媒に分散可能であれば良く、可能な限り少ない方が工程適性的に乾燥負荷が低減されるため好ましい。また、アニオン性基、カチオン性基に使用されるカウンター種に特に限定はないが、透明電極、有機EL素子を積層した場合の性能の観点から、疎水性で少量が好ましい。
解離性基含有自己分散型ポリマーの主骨格としては、ポリエチレン、ポリエチレン−ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアクリレート−ポリエステル、ポリアクリレート−ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン−ポリカーボネート、ポリウレタン−ポリエーテル、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリアクリレート、シリコーン、シリコーン−ポリウレタン、シリコーン−ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン−ポリアクリレート、ポリフルオロオレフィン−ポリビニルエーテル等が挙げられる。また、これらの骨格をベースに、さらに他のモノマーを使用した共重合でもよい。これらの中でエステル骨格を有するポリエステル樹脂エマルジョン、ポリエステル−アクリル樹脂エマルジョン、アクリル骨格を有するアクリル樹脂エマルジョン、エチレン骨格を有するポリエチレン樹脂エマルジョンが好ましい。
市販品としては、ヨドゾールAD−176、AD−137(アクリル樹脂:ヘンケルジャパン社製)、バイロナールMD−1200、MD−1245、MD−1500(ポリエステル樹脂:東洋紡社製)、プラスコートRZ570、プラスコートZ561、プラスコートZ565、プラスコートZ687、プラスコートZ690(ポリエステル樹脂:互応化学社製)などを用いることができる。上記水系溶媒に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマー分散液は1種でも複数種でも使用することができる。
解離性基含有自己分散型ポリマーの使用量は、導電性ポリマーに対して50〜1000質量%が好ましく、より好ましくは100〜900質量%で、さらに好ましくは200〜800質量%である。
(2.2)ヒドロキシ基含有ポリマー
ヒドロキシ基含有ポリマーは、ヒドロキシ基を有する構造単位(I)からなるポリマーである。
Figure 0006319090
構造単位(I)中、「R」は水素原子、メチル基を表し、「Q」は−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。「Ra」は水素原子、アルキル基を表し、「A」は置換または無置換アルキレン基、−(CHCHRbO)x−(CHCHRb)−を表し、「Rb」は水素原子、アルキル基を示し、「x」は平均繰り返しユニット数で1〜100の数である。
以下に、一般式(I)で表わされる構造単位の代表的具体例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
Figure 0006319090
ポリマー導電層の導電性ポリマーとヒドロキシ基含有ポリマーとの比率は、導電性ポリマーを100質量部としたとき、ヒドロキシ基含有ポリマーが30質量部から900質量部であることが好ましく、電流リーク防止、透明性の観点から、ヒドロキシ基含有ポリマーが100質量部以上であることがより好ましい。
(3)極性溶媒
ポリマー導電層を形成するための組成物では、解離性基含有自己分散型ポリマーを含有するが、極性溶媒を含有することにより、解離性基含有自己分散型ポリマーの分散安定性を損なうことなく、当該組成物を安定に保ち、インクジェット方式により塗布を行う場合には、安定性に吐出できる。
極性溶媒としては、誘電率が25以上のものを、好ましくは30以上、より好ましくは40以上のものを用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどをあげることができる。赤外線による乾燥除去性、組成物の安定性、インクジェット印刷における吐出性、さらにはポリマー導電層の導電性等の観点から、プロピレングリコール、エチレングリコールが特に好ましい。
極性溶媒の添加量は、組成物の安定性の観点から決めることができ、組成物の総重量に対し、5%以上40%以下が好ましい。5%以上で組成物の安定化効果が向上し、40%以下では組成物の表面張力が高すぎず、基板に対する濡れ性が向上する。
溶媒の誘電率は、例えば、液体用誘電率計Model−871(日本ルフト社製)を用いて測定することができる。
(4)グリコールエーテル
ポリマー導電層を形成するための組成物には、グリコールエーテルを含有することが好ましい。これにより、導電性ポリマーを含有する組成物の分散安定性を損なうことなく、表面張力を効果的に低下させることができ、基板上での必要十分な濡れ性を得ることができる。また、インクジェット方式により塗布を行う場合には、安定した吐出性が得られる。
グリコールエーテルとしては、上記観点から、水可溶性であり、かつ表面張力40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がさらに好ましく、30mN/m以下が特に好ましい。
グリコールエーテルの添加量は、組成物の表面張力から決めることができ、組成物の総重量に対して5%以上30%以下が好ましい。5%以上で表面張力の低下効果が抑えられ、基板に対する組成物の濡れ性が向上し、30%以下で組成物の分散安定性及びインクジェット印刷の塗布均一性が向上する。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテルなどがあげられ、組成物の粘度、表面張力及び組成物の分散安定性の観点から、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどがあげられ、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルが、特に好ましい。
《透明電極の特性》
透明電極は、全光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
また、本発明の透明電極の電気抵抗値としては、表面抵抗率として1000Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましい。さらには、電流駆動型オプトエレクトロニクスデバイスに適用するためには、50Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。
前記表面抵抗率は、例えば、JIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
本発明の透明電極の厚みには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に10μm以下であることが好ましく、厚みが薄くなるほど透明性や柔軟性が向上するためより好ましい。
《透明電極の製造方法》
透明電極の製造方法は、基本的に、
(i)金属導電層を透明樹脂基板上に形成する工程と、
(ii)導電性ポリマーと非導電性ポリマーとを含む組成物を、透明樹脂基板および金属導電層上に塗布し、ポリマー導電層を形成する工程と、
(iii)赤外線をポリマー導電層に照射する工程とを、備えている。
(i)、(ii)の工程の詳細は上述したとおりである。
(iii)の工程の詳細は下記のとおりである。
《赤外線照射》
赤外線をポリマー導電層に照射する工程では、当該赤外線として、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を照射する。
一般に、「赤外線」とは可視放射の波長より長い光放射のことをいう。
本実施形態にかかる赤外線では、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下であり、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下であり、最も好ましくは0.5%以下である。
ポリマー導電層を形成するための液状組成物に好ましく用いられる水系溶媒は、約3.0μm付近にOH伸縮振動による強い吸収波長を有している。
他方、透明樹脂基板に好ましく用いられるポリエステル樹脂フィルムは、3.0μm付近の赤外線波長域には殆ど吸収波長を有していないが、5.8μm以上の赤外線波長域に強い吸収波長を有している。
そこで本実施形態では、上記赤外線を照射することにより、透明樹脂基板にダメージを与えることなくポリマー導電層を乾燥させ、当該ポリマー導電層において、層厚分布の均一性、表面平滑性、パターニング精度を向上させている。そしてかかる製造方法により製造した透明電極を有機EL素子に用いることで、有機EL素子の駆動電圧の低減、発光ムラの低減、寿命の向上といった効果も得ることができる。
赤外線の照射の方法については、特に限定しないが、赤外線ヒータを用いるのが好ましい。赤外線ヒータとしては、例えば、特許第4790092号に記載されているような、赤外線ヒータを好ましく用いることができる。
以下に、本発明に好ましく用いられる赤外線ヒータについて説明する。
《赤外線ヒータ》
赤外線ヒータ(20)は外観が円柱状を有しており、図3に示すとおり、主にフィラメント22、保護管24およびフィルタ26,28がこの順に同心円状に配置された構成を有している。フィルタ26,28は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する機能を有し、フィルタ26,28の材質としては、石英ガラス、ホウ珪酸クラウンガラスなどがあり、耐熱性、耐熱衝撃性の点から石英ガラスが好ましい。
赤外線ヒータ20は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する機能を有している。詳しくは、フィルタ26,28自体は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収するため、フィラメント22により加熱され高温となるため、自身が赤外線の放射体となり、長波長の赤外線を放射する。しかし、赤外線ヒータ20では、フィルタ26,28の間の中空部30で冷媒(たとえば冷却空気)が流通するようになっており、その冷却機能によりフィルタ26,28の表面温度を低下させ、フィルタ26,28が発する2次放射を抑制することができるようになっている。その結果、波長3.5μm以上の赤外線放射が減少し、主に透明樹脂基板2に吸収領域のある波長5.8μm以上の遠赤外線放射を大幅に低減することができる。そして、被乾燥物には、水系溶媒の吸収領域である波長3.0μmの赤外線を選択的に照射することで、透明樹脂基板2を変形させること無くポリマー導電層を乾燥させることができる。
フィルタ26,28の厚さおよび枚数は、必要な赤外線スペクトルにより、適宜選択・変更することができる。
冷却機能としては、上記のとおり、フィルタを中空で二重または多重積層し、フィルタ間の中空部分に空気を流すことで冷却できる。
フィルタ26,28の形状は、上記のとおり、円柱状のフィラメント22全体を同心円状に覆ってもよいし、図4に示すとおり、フィラメント22(および保護管24)の3方向を反射板32で被覆し、赤外線の放射面側にフィルタ26,28を平行板状に配置してもよい。
フィルタ26,28に加えさらに別のフィルタを配置する多重構造とする場合、冷却用の空気を、フィルタ間の中空部同士で互いに逆方向に流すことが冷却効率の点から好ましい。また、排出側の冷却用空気は、系外に排出してもよいし、乾燥工程で使用する熱風の一部として利用してもよい。
ポリマー導電層の乾燥性と透明樹脂基板の変形防止との両立の観点から、赤外線ヒータ20のフィラメント22の温度は800℃以上が好ましく、フィラメント22の耐熱性の点から3000℃以下とすることが好ましい。
本実施形態によれば、フィラメント温度に応じて、これら水系溶媒の吸収に相当する波長域の輻射エネルギーを増加させることができる。
フィラメント温度は所望の塗布、乾燥条件によって、適宜選択・変更することができる。フィラメント温度は、例えば、放射温度計を用いて測定することができる。
被乾燥物側に配置される最外側のフィルタ(図3、図4の例ではフィルタ28)の表面温度は、自身の赤外線吸収による2次放射を抑制する観点から、200℃以下とすることが好ましく、150℃以下とすることがさらに好ましい。かかる最外側のフィルタの表面温度は、二重または多重に積層されたフィルタ間に空気を流すことで調整できる。
図3および図4に示すとおり、赤外線ヒータ20には中空部30で冷媒を流通(循環)させるための冷却機構40が接続され、さらに冷却機構40とフィラメント22とには制御装置50が接続されている。かかる制御回路において、制御装置50により、冷却機構40による中空部30への冷媒の流通量やフィラメント22の発熱温度などが制御される。
なお、透明樹脂基板の変形が生じない程度であれば、赤外線の照射工程前に、別途、予備加熱処理を実行していてもよい。
予備加熱処理方法としては、特に限定はなく、ホットプレート、ボックス炉、コンベア炉のような電気炉や、近赤外線ヒータ、中赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ、温風、熱風、マイクロ波等を用いた処理が挙げられ、これらを単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
また、赤外線の照射工程では、その乾燥ゾーンを赤外線反射性の高い材料で構成(被覆)することにより、被乾燥物に吸収されなかった赤外線を高効率で利用することもできる。
本実施形態にかかる赤外線において、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合は、例えば、以下の方法により求めることができる。
まず、非特許文献1(平成17年度遠赤外ヒータの放射エネルギーを簡易的に評価する方法の調査研究報告書(社団法人 日本機械工業連合会、社団法人 遠赤外線協会著))、非特許文献2(FTIR TALK LETTER vol.13(株式会社 島津製作所著))等に記載の方法を参考にして、赤外線ヒータからの放射出力と、赤外線ヒータのフィラメント温度と同温度にした標準黒体炉からの放射出力とを、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)で測定することで赤外線ヒータの分光放射率を求める。
次いで、プランクの放射則に従って計算した黒体放射スペクトルに、赤外線ヒータの分光放射率を乗ずることで、赤外線ヒータの分光放射スペクトルが得られる。得られた分光放射スペクトルから、波長3.0μmにおける分光放射輝度の値と、波長5.8μmにおける分光放射輝度の値とを読み取り、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合を百分率で計算し、求めることができる。
《有機電子素子》
有機電子素子は基本的に、第1の電極、第2の電極および有機機能層を備え、第2の電極が第1の電極に対向配置され、有機機能層が第1の電極と第2の電極との間に設けられた構成を有するものである。
かかる有機電子素子の一例として有機EL素子や有機薄膜太陽電池素子などが使用され、特に第1の電極として上述した透明電極が使用される。
たとえば、有機EL素子では、本発明の透明電極を陽極として用いることが好ましく、有機機能層(有機発光層など)、第2電極(陰極)については有機EL素子に一般的に使われている材料、構成等の任意のものを用いることができる。
有機EL素子の素子構成としては、陽極/有機発光層/陰極、陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、等の各種の構成のものを挙げることができる。
有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素及び希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。
有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写等の方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
本発明の有機EL素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることができる。本発明の有機EL素子は、均一にムラなく発光させることができるため、照明用途で用いることが好ましい。
本発明の透明電極は高い導電性と透明性を併せ持ち、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の分野において好適に用いることができる。その中でも、透明電極表面の平滑性が厳しく求められる有機EL素子や有機薄膜太陽電池素子の透明電極として特に好ましく用いることができる。
《有機EL素子(60)の構成およびその製造方法》
図5に示すとおり、有機EL素子60は、透明樹脂基板2、金属導電層4およびポリマー導電層6から構成される透明電極1を有している。
透明電極1の透明樹脂基板2の側縁部には取出電極62が形成されている。
取出電極62は金属導電層4およびポリマー導電層6と接触しており、これら部材と電気的に導通している。透明電極1のポリマー導電層6上には有機機能層64が形成されている。有機機能層64は正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層等から構成されている。有機機能層64上には対電極66が形成されている。対電極66は透明電極1と対向する電極であって透明電極1とは反対の極性を有している。
有機EL素子60では、取出電極62の一部が露出した状態で封止部材68により封止され、封止部材68が透明電極1や有機機能層64を被覆・保護している。
続いて、図6A〜図6Fを参照しながら有機EL素子50の製造方法について説明する。
はじめに、透明樹脂基板2(図6A)上に、金属導電層4をパターニング形成する(図6B)。
その後、導電性ポリマーや非導電性ポリマーなどから構成される一定の組成物を調製し、当該組成物を、金属導電層4の上にインクジェット印刷し、赤外線を照射して乾燥させ、ポリマー導電層6を形成し、金属導電層4をポリマー導電層6で被覆する(図6C)。
その後、ポリマー導電層6(透明電極1)上に、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層等からなる有機機能層64を形成する(図6D)。
その後、取出電極62と、有機機能層64を被覆するように対電極66とを形成し(図6E)、透明電極1および有機機能層64を完全に被覆するように封止部材68にてこれら部材を封止する(図6F)。
以上の工程により有機EL素子60が製造される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(1)透明樹脂基板の作製
(1.1)平滑層の形成
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製)の下引き加工していない面に、JSR株式会社製UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材:OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の平均層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃で3分間乾燥させ、その後空気雰囲気下において高圧水銀ランプ使用して硬化条件1.0J/cm2で硬化を行い、平滑層を形成した。
(1.2)ガスバリア層の形成
次に、上記平滑層を設けた試料基板上にガスバリア層を以下に示す条件で、形成した。
(1.2.1)ガスバリア層塗布液の塗布
パーヒドロポリシラザン(PHPS、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320)の20質量%ジブチルエーテル溶液をワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)層厚が、0.30μmとなるように塗布し、塗布試料を得た。
(1.2.2)乾燥および除湿処理
<第一工程;乾燥処理>
得られた塗布試料を温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分処理し、乾燥試料を得た。
<第二工程;除湿処理>
乾燥試料をさらに温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
(1.2.3)改質処理
除湿処理を行った試料を、下記の装置を用いて下記の条件で改質処理を行い、ガスバリア層を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
<改質処理装置>
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
<改質処理条件>
エキシマ光強度 60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 1mm
ステージ加熱温度 70℃
照射装置内の酸素濃度 1%
エキシマ照射時間 3秒
上記のようにしてガスバリア性を有する透明電極用のフィルム基板(透明樹脂基板)を作製した。
(2)金属導電層の形成
上記で得られたガスバリア性を有する透明電極用フィルム基板上のバリア面に、以下の方法で金属導電層を形成した。
前記フィルム基板上に、グラビア印刷試験機K303MULTICOATER(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用い、銀ナノインク(TEC−PR−030:Inktec社製)を、50μm幅、1mmピッチのメッシュパターンにて印刷し、金属細線パターンからなる金属導電層を形成した(図6B参照)。これを、120℃で30分間熱処理した。
金属導電層のパターンを、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(日本ビーコ社製)で測定したところ、パターンの幅は60μm、平均高さは500nmであった。
(3)ポリマー導電層の形成
(3.1)ヒドロキシ基含有ポリマーの合成
(3.1.1)開始剤1:メトキシキャップされたオリゴエチレングリコールメタクリレートの合成
50ml三口フラスコに2−ブロモイソブチリルブロミド(7.3g、35mmol)とトリエチルアミン(2.48g、35mmol)及びTHF(20ml)を加え、アイスバスにより内温を0℃に保持した。この溶液内にオリゴエチレングリコール(10g、23mmol、エチレングリコールユニット7〜8、Laporte Specialties社製)の33%THF溶液30mlを滴下した。30分攪拌後、溶液を室温にし、さらに4時間攪拌した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧除去後、残渣をジエチルエーテルに溶解し、分液ロートに移した。水を加えエーテル層を3回洗浄後、エーテル層をMgSOにより乾燥させた。エーテルをロータリーエバポレーターにより減圧留去し、開始剤1を8.2g(収率73%)得た。
(3.1.2)リビング重合(ATRP法)によるヒドロキシ基含有ポリマーの合成
開始剤1(500mg、1.02mmol)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(4.64g、40mmol、東京化成社製)、50:50v/v%メタノール/水混合溶媒5mlをシュレンク管に投入し、減圧下液体窒素に10分間シュレンク管を浸した。シュレンク管を液体窒素から出し、5分後に窒素置換を行った。この操作を3回行った後、窒素下で、ビピリジン(400mg、2.56mmol)、CuBr(147mg、1.02mmol)を加え、20℃で攪拌した。30分後、ろ紙とシリカを敷いた4cm桐山ロート上に反応溶液を滴下し、減圧で反応溶液を回収した。ロータリーエバポレーターにより溶媒を減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量13100、分子量分布1.17、数平均分子量<1000の含量0%のヒドロキシ基含有ポリマーとしてポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を2.60g(収率84%)得た。構造、分子量は各々1H−NMR(400MHz、日本電子社製)、GPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。得られたポリマーを水で希釈し、20%液(以下、PHEAと略記)に調整した。
<GPC測定条件>
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414 (Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
(3.2)ポリマー導電層形成用組成物の調製
透明導電性ポリマー Clevios PH510(Heraeus社製 1.89%液)と、表1〜表2に記載の非導電性ポリマーとを、固形分比15:85で混合し、この混合物70質量部に、極性溶媒(表1〜表2中、溶媒−1)15質量部、グリコールエーテル(表1〜表2中、溶媒−2)12質量部を混合した後、水を加えて100質量部として、ポリマー導電層形成用組成物を調製した。
表1〜表2中、非導電性ポリマー、溶媒−1および溶媒−2の略称は以下のとおりである。
Z−561:自己分散型ポリマー プラスコートZ−561(互応化学工業社製 25%液)
Z−690:自己分散型ポリマー プラスコートZ−690(互応化学工業社製 25%液)
PHEA:ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
EGBu:エチレングリコールモノブチルエーテル
PGPr:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
(3.3)塗布と乾燥処理
ガスバリア性を有する透明電極用のフィルム基板および形成した金属導電層上に、前述のポリマー導電層形成用組成物を、インクジェット印刷により塗布した(図6C参照)。
これを、表1〜表2に記載の乾燥条件で乾燥処理して、ポリマー導電層を形成し、金属導電層とポリマー導電層とを有する「透明電極サンプル101〜142」を形成した。
なお、インクジェット印刷は、インクジェットヘッド(コニカミノルタIJ社製)を取り付けた卓上型ロボット Shotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタIJ社製)にて制御した。
表1〜表2中の乾燥方式は下記のとおりである。
HP:ホットプレートによる伝導伝熱乾燥(MH−180CS,アズワン株式会社製)
IR−1:赤外線ヒータによる輻射伝熱乾燥(1000W/色温度2500K,ウシオ電機株式会社製)
IR−2:赤外線ヒータによる輻射伝熱乾燥(上記IR照射装置IR−1に、特許第4790092号を参考に、石英ガラス二重管内に空冷機構を有したもの,図3参照)
なお、IR−1およびIR−2においては、赤外線ヒータとサンプルとの距離(間隔)を100mmに保持した。
表1〜表2中の「HP温度(℃)」は、ホットプレートの加熱温度(設定温度)である。
表1〜表2中の「フィラメント温度(℃)」は、非接触式温度計(IR−AHS 株式会社チノー製)にて、タングステンフィラメントの放射率を0.39として測定し、表1〜表2の温度になるよう赤外線ヒータの出力を調整した。
表1〜表2中の、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの「分光放射輝度の割合(%)」は、以下の方法により求めた。
標準黒体炉(M390,Mikron社製)の温度を、測定した赤外線ヒータのフィラメント温度に合わせ、FT−IR(FT/IR−4100,日本分光株式会社製)を用いて、標準黒体炉および赤外線ヒータの放射出力を、測定波数7800〜350cm−1、分解能4cm−1、積算回数32回で測定し、赤外線ヒータの分光放射率を求めた。
次いで、プランクの放射測に従い、標準黒体炉と同温度における黒体放射スペクトルを求め、赤外線ヒータの分光放射率を乗じて、赤外線ヒータの分光放射スペクトルを得た。
得られた赤外線ヒータの分光放射スペクトルから、波長3.0μmにおける分光放射輝度の値と、波長5.8μmにおける分光放射輝度の値とを読み取り、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合を、百分率で計算した。
(4)サンプルの評価
透明電極サンプルの特性(乾燥性、層厚分布および基材安定性)を、サンプルごとに、下記のように評価した。
(4.1)乾燥性
ポリマー導電層の乾燥性について、塗布層表面を触診し、下記基準で評価した。
○:べたつきが無く、さらさらしている
△:べたつきがある
×:塗布層が剥離し、溶媒が残っている
(4.2)層厚分布
ポリマー導電層の層厚分布(平滑性)について、塗布層表面の干渉縞を目視観察し、下記基準で評価した。
◎:干渉縞が無い
○:干渉縞がほとんど無い
△:弱い干渉縞がある
×:強い干渉縞がある
(4.3)基材安定性
乾燥処理による透明樹脂基板のダメージ評価として、基材変形を下記基準で評価した。
○:変形無し
△:わずかに反りがあるが、基板を自由に曲げられる
×:強い反りがあり、反りの部分で基板が曲がらない
××:基板の一部が溶融、変形している
Figure 0006319090
Figure 0006319090
(5)まとめ
表1〜表2に示すとおり、本発明にかかる赤外線を照射して作製した透明電極のサンプル120〜142は、比較例のサンプル101〜119に対して、ポリマー導電層の乾燥性、層厚分布の均一性および基材安定性のいずれも優れていた。
(1)有機EL素子(サンプル)の作製
実施例1で作製した透明電極101〜142を用いて、以下の方法で、それぞれ対応する有機EL素子のサンプル201〜242を作製した。
(1.1)有機機能層の形成
透明電極上に、下記のようにして、有機機能層(正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層)を形成した。
有機機能層は蒸着により形成した。市販の真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
(1.1.1)正孔輸送層の形成
真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記化合物1の入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明電極上に蒸着し、厚さ30nmの正孔輸送層を設けた(図6D参照)。
(1.1.2)発光層の形成
次に、以下の手順で発光層を設けた。
形成した正孔輸送層上に、下記化合物2が13質量%、下記化合物3が3.7質量%、下記化合物5が83.3質量%の濃度になるように、化合物2、化合物3及び化合物5を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色燐光発光層を形成した(図6D参照)。
次いで、下記化合物4が10.0質量%、化合物5が90.0質量%の濃度になるように、化合物4及び化合物5を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色燐光発光層を形成した(図6D参照)。
(1.1.3)正孔ブロック層の形成
さらに、形成した発光層上に、下記化合物6を蒸着し、厚さ5nmの正孔阻止層を形成した(図6D参照)。
(1.1.4)電子輸送層の形成
引き続き、形成した正孔阻止層上に、CsFを層厚比で10%になるように化合物6と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した(図6D参照)。
Figure 0006319090
(1.2)対電極の形成
形成した電子輸送層の上に、取出電極及び対電極(陰極)形成用材料として、Alを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの対電極を形成した。
(1.3)封止部材による封止
取出電極(外部取り出し端子)が形成できるように、対電極の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上にAlを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を、接着剤の塗布部分に貼合し、熱処理により接着剤を硬化させ(封止し)、「有機EL素子サンプル201〜242」を作製した。
接着剤として、2液性エポキシ配合樹脂(スリーボンド社製)2016Bと2103とを100:3の割合で配合したものを用いた。
(2)サンプルの評価
有機EL素子サンプルの特性(電力効率、発光均一性(発光ムラ)、発光寿命およびダークスポット)を、サンプルごとに、下記のように評価した。
(2.1)電力効率
上記有機EL素子201の作製において、アノード電極として、透明電極101を、下記の方法に従って形成したITOパターン電極からなるアノード電極に変更した以外は同様にして「有機EL素子200」を作製し、これを基準サンプルとした。
<基準サンプルのアノード電極の形成>
前記バリア膜を有する透明樹脂基板上に、陽極としてITO(インジウム−スズの複合酸化物)を110nmの厚さで成膜してパターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明樹脂基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行って、アノード電極を作製した。
基準有機EL素子200および有機EL素子201〜242について、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度が1000cd/mとなる駆動電圧、電流から、電力効率(lm/w)を測定した。
次いで、基準有機EL素子200の電力効率を100%とする相対電力効率を求め、下記の基準に従って、電力効率の評価を行った。
評価結果を表3に示す。
◎:相対電力効率が、150%以上である
○:相対電力効率が、100%以上、150%未満である
△:相対電力効率が、80%以上、100%未満である
×:相対電力効率が、50%以上、80%未満である
××:相対電力効率が、50%未満である
(2.2)発光均一性
基準有機EL素子200および有機EL素子201〜242を、オーブンにて60%RH、80℃5時間加熱したのち、23±3℃、55±3%RHの環境下で1時間以上調湿した後、KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。
1000cd/mで発光させた基準有機EL素子200および有機EL素子201〜242について、50倍の顕微鏡で各々の発光輝度ムラを観察し、下記の基準で評価した。評価結果を表3に示す。
◎:完全に均一発光しており、申し分ない
○:ほとんど均一発光しており、問題ない
△:部分的に若干発光ムラが見られるが、許容できる
×:全面にわたって発光ムラが見られ、許容できない
(2.3)発光寿命
基準有機EL素子200および有機EL素子201〜242について、初期の輝度を5000cd/mとして連続発光させて、電圧を固定して、輝度が半減するまでの時間を求めた。前述のアノード電極をITOとした基準有機EL素子200に対する比率を求め、以下の基準で評価した。評価結果を表3に示す。当該比率は100%以上であることが好ましく、150%以上であることがより好ましい。
◎:150%以上
○:100〜150%未満
△:80〜100%未満
×:80%未満
(2.4)ダークスポット
バリア機能低下の評価として、基準有機EL素子200および有機EL素子201〜242を、オーブンにて60%RH、温度80℃の条件下で10時間加熱したのち、23±3℃、55±3%RHの環境下で1時間温調した後、ダークスポット(DS)の発生度(数、大きさ)を調査し、以下の基準で評価した。評価結果を表3に示す。
◎:微小DS(0〜0.5mm径)が10個以下
○:微小DSが30個以下、小径DS(0.5〜1mm径)が10個以下
△:小径DSが10個以上、大径DS(1mm以上)が5個以下
×:大径DSが6個以上
Figure 0006319090
(3)まとめ
表3に示すとおり、本発明にかかる赤外線を照射して作製した透明電極を用いた有機EL素子のサンプル220〜242は、比較例のサンプル201〜219に対して、素子の電力効率、発光均一性、発光寿命のいずれにも優れている。
また、本発明にかかる赤外線照射による乾燥によれば、劣化試験によるダークスポット発生が少なく、バリア層の機能が損なわれない透明電極を作製できることがわかる。
本発明は透明電極の製造方法にかかり、透明導電層の層厚分布の均一性、平滑性、パターニング精度を満足させ、かつ、透明樹脂基板を変形させることなく透明導電層を高度に乾燥させるのに特に好適に利用することができる。
1 透明電極
2 透明樹脂基板
4 金属導電層
6 ポリマー導電層
20 赤外線ヒータ
22 フィラメント
24 保護管
26,28 フィルタ
30 中空部
32 反射板
40 冷却機構
50 制御装置
60 有機EL素子
62 取出電極
64 有機機能層
66 対電極
68 封止部材

Claims (2)

  1. 金属導電層を透明樹脂基板上に形成する工程と、
    少なくとも導電性ポリマー非導電性ポリマー、水及び極性有機溶媒を含む組成物を、前記透明樹脂基板および前記金属導電層上に塗布し、ポリマー導電層を形成する工程と、
    赤外線ヒータのフィラメントの温度を800〜3000℃の範囲内にした条件下で、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を、前記ポリマー導電層に照射する工程と、
    を備えることを特徴とする透明電極の製造方法。
  2. 前記赤外線が、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が3%以下であることを特徴とする透明電極の製造方法。
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