JP5750908B2 - 透明導電膜の製造方法、透明導電膜および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

透明導電膜の製造方法、透明導電膜および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、太陽電池、電磁波シールド、電子ペーパー、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる透明電極に用いられる透明導電膜の製造方法およびこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶・プラズマ・有機エレクトロルミネッセンス・フィールドエミッション等、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式の異なる何れのディスプレイにおいても、透明電極は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でも、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない技術要素となっている。
従来透明電極は、ガラスや透明なプラスチックフィルム等の透明基材上に、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)膜を真空蒸着法やスパッタリング法で製膜したITO透明電極が主に使用されてきた。しかし、ITOに用いられているインジウムはレアメタルであり、且つ価格の高騰により、脱インジウムが望まれている。また、ディスプレイの大画面化、生産性向上に伴い、フレキシブル基板を用いたロール to ロールの生産技術が所望されている。
近年、このような大面積かつ低抵抗値が要求される製品にも対応できるよう、例えば、特開2005−302508号公報、特開2009−87843号公報などに記載のパターン状に形成された金属細線に導電性ポリマー等の透明導電膜を積層し、電流の面均一性と高い導電性を併せ持つ透明導電フィルムが開発されている。
しかしながら、このような構成では、有機電子デバイスのリークの原因となる金属細線の凹凸を、導電性ポリマー等の透明導電膜でなだらかにする必要があり、導電性ポリマーの厚膜化が必須となる。しかし、導電性ポリマーは可視光領域に吸収を有するため、厚膜化すると、透明電極の透明性が著しく低下してしまうという課題を有していた。
また、導電性と透明性を両立する方法として、金属材料からなり開口部を有する導電層上へ導電性ポリマーと絶縁性ポリマーの混合物を積層する技術が開示されている。そして、これらにおいては膜強度を高めるために絶縁性ポリマーとして架橋性のバインダー樹脂を用いることが知られており、架橋剤としているメタンスルホン酸エステル系化合物を含む各種の架橋剤を用いることが知られている(特許文献1および2参照)。
しかしながら、これらの導電層においてもまだ、絶縁性ポリマーの添加は導電率が低下するばかりではなく、導電性ポリマーへの相溶性の観点から、ポリマー添加量が制限され、十分な透過率を維持することが難しい、またこれらの導電層はまだ硬度が不十分であり、透明電極上に蒸着やスピンコートによる積層を行なった場合膜表面が乱れ、有機電子デバイスを作製するとリークが発生する場合があるなどの問題があった。
特開2009−4348号公報 特開2010−244747号公報
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、透明性、導電性、膜強度に優れると共に、発光寿命が長く耐久性に優れるEL素子を与える透明導電膜およびこれを用いた有機EL素子を提供することにある。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.基材上に、金属材料を含有する第一導電層と、導電性ポリマーおよびバインダー樹脂を含有する第二導電層とを有する透明導電膜を製造する、透明導電膜の製造方法であって、
該基材上に該第一導電層を形成する第一導電層形成工程と、
該第一導電層を有する該基材上に、該導電性ポリマー、該バインダー樹脂としてヒドロキシ基を有する構造単位を有する樹脂、およびアルキルスルホン酸エステル基を複数有しオクタノール/水分配係数(logP)値が−10.0〜−1.8である化合物、を含有する塗布液を塗布し、加熱および乾燥を行い、該第二導電層を形成する第二導電層形成工程と、
を有し、
該アルキルスルホン酸エステル基を有する化合物が、アルキルスルホン酸エステル基を3〜7個含有することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
.前記オクタノール/水分配係数(logP)値が−8.0〜−2.0であることを特徴とする前記1に記載の透明導電膜の製造方法。
.前記1または2に記載の透明導電膜の製造方法により製造されたことを特徴とする透明導電膜。
.前記に記載の透明導電膜を具備することを特徴とする有機エレクトロルミネッセス素子。
本発明の上記手段により、透明性、導電性、膜強度に優れると共に、高温、高湿度環境下においても透明性、導電性、膜強度の劣化が少なく、安定性、発光均一性に優れ、かつ発光均一性の劣化が少なく発光寿命が長く耐久性に優れる有機EL素子を与える透明導電膜およびこれを用いた有機EL素子が提供できる。
本発明の構成の透明導電膜の一例を図解した概略図。
本発明は、基材上に、金属材料を含有する第一導電層と、導電性ポリマーおよびバインダーを含有する第二導電層とを有する透明導電膜を製造する、透明導電膜の製造方法であって、該基材上に該第一導電層を形成する第一導電層形成工程ならびに該第一導電層上に、該導電性ポリマー、ヒドロキシ基を有する構造単位を有する樹脂およびアルキルスルホン酸エステル基を複数有しオクタノール/水分配係数(logP)が−1.8以下である化合物を含有する塗布液を塗布し、加熱および乾燥を行い、該第二導電層を形成する第二導電層形成工程を有することを特徴とする。
本発明では、特に導電性ポリマーを含有する第二導電層を形成する際に、上記特定のアルキルスルホン酸エステル基を有する化合物を架橋剤として用いることで、透明性、導電性、膜強度に優れると共に、発光寿命が長く耐久性に優れるEL素子を与える透明導電膜が得られる。
尚、本発明の透明導電膜は、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が70%以上である膜をいう。
本発明の透明導電膜の例を図解した概略図を示すと図1の如くである。
図1において、(a)は上面図、(b)は断面図である。
図1において、透明導電膜10は、基材3上に、パターン状に形成された金属材料からなる第一導電層1、導電性ポリマーおよびバインダーを含有する第二導電層2を有する。
《第一導電層形成工程》
第一導電層形成工程では、基材上に、金属材料を有する第一導電層を形成する。
(基材)
基材は、第一導電層および第二導電層を担持しうる板状体であり、透明導電膜を得るためには、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が80%以上のものが好ましく用いられる。
基材としては、フレキシブル性に優れており、誘電損失係数が十分小さくて、マイクロ波の吸収が導電層よりも小さい材質であるものが好ましく用いられる。
基材としては、例えば、樹脂基板、樹脂フィルム等が好適に挙げられるが、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。透明樹脂フィルムとは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上のものをいう。
好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。
上記全光線透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に用いられるフィルム基板として好ましく用いられる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましい。
本発明に用いられる基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。
例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
また、フィルム基板の表面または裏面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定した水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定した酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
高バリア性フィルムとするためにフィルム基板の表面または裏面に形成されるバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
(金属材料)
金属材料は、導電性を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等の金属の他に合金でもよい。特に、後述のようにパターンの形成のしやすさの観点から金属材料の形状は、金属微粒子または金属ナノワイヤであることが好ましく、金属材料は導電性の観点から銀であることが好ましい。
本発明に係る第一導電層は、透明導電膜を形成するために、開口部を有するパターン状に基板上に形成される。開口部は、基板上に金属材料を有さない部分であり透光性窓部である。
パターン形状には特に制限はないが、例えば、導電部がストライプ状、メッシュ状あるいはランダムな網目状であってもよいが、開口率は透明性の観点から80%以上であることが好ましい。
開口率とは、光不透過の導電部が全体に占める割合である。例えば、導電部がストライプ状あるいはメッシュ状であるとき、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。
パターンの線幅は10〜200μmが好ましい。細線の線幅が10μm未満では、所望の導電性が得られず、また200μmを超えると透明性が低下する。細線の高さは、0.1〜10μmが好ましい。細線の高さが0.1μm未満では、所望の導電性が得られず、また10μmを超えると有機電子デバイスの形成において、電流リークや機能層の膜厚し分布不良の要因となる。
導電部がストライプ状またはメッシュ状の電極を形成する方法としては、特に、制限はなく、従来公知な方法が利用できる。例えば、基材全面に金属層を形成し、公知のフォトリソ法によって形成できる。具体的には、基材上に全面に、印刷、蒸着、スパッタ、めっき等の1あるいは2以上の物理的または化学的形成手法を用いて導電体層を形成する、あるいは、金属箔を接着剤で基材に積層した後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状あるいはメッシュ状に加工できる。
別な方法としては、金属微粒子を含有するインクをスクリーン印刷により所望の形状に印刷する方法や、メッキ可能な触媒インクをグラビア印刷、あるいは、インクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法、さらに別な方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の[0076]−[0112]、及び実施例を参考にして実施できる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にして実施できる。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
別な方法としては、例えば、特表2009−505358号公報に記載のような、金属ナノワイヤを含有する塗布液を塗布乾燥することで、金属ナノワイヤのランダムな網目構造を形成させる方法を利用できる。
金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする繊維状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの短径を有する多数の繊維状構造体を意味する。
金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均短径には特に制限はないが、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。金属ナノワイヤの平均短径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、短径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。金属ナノワイヤの目付け量は0.005〜0.5g/mが好ましく、0.01〜0.2g/mがより好ましい。
金属ナノワイヤに用いられる金属としては、銅、鉄、コバルト、金、銀等を用いることができるが、導電性の観点から銀が好ましい。また、金属は単一で用いてもよいが、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、主成分となる金属と1種類以上の他の金属を任意の割合で含んでもよい。
金属ナノワイヤの製造方法には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837、Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745、金ナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、銅ナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、コバルトナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した銀ナノワイヤの製造方法は、水溶液中で簡便に銀ナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、好ましく適用することができる。
また、第一導電層の細線部の表面比抵抗は、100Ω/□以下であることが好ましく、大面積化するには20Ω/□以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
また、第一導電層はフィルム基板にダメージを与えない範囲で加熱処理を施すことが好ましい。これにより、金属微粒子や金属ナノワイヤ同士の融着が進み、第一導電層の高導電化するため、特に好ましい。
(第二導電層形成工程)
本発明においては、上記の第一導電層が形成された基材上に、導電性ポリマー、ヒドロキシ基を有する構造単位を有する樹脂およびアルキルスルホン酸エステル基を複数有しオクタノール/水分配係数(logP)値が−1.8以下である化合物(以下単に、スルホネート化合物とも称する)を含有する塗布液を塗布し、加熱および乾燥を行い、第二導電層を形成する。
〈スルホネート化合物〉
スルホネート化合物は、アルキルスルホン酸エステル基、即ち−O−S(=O)(=O)−R(Rはアルキル基を表す)基を複数有する化合物であり、オクタノール/水分配係数(logP値)が−1.8以下の多官能スルホネート化合物である。
本発明に係るLogP値は、計算ソフト、Chem Office 2010のChem Bio Draw Ultra(v12.0(ケンブリッジソフト社製))により計算した値であり、化合物の構造から容易に求めることができる。
LogP値が−1.8以下であるスルホネート化合物としては、複数のアルキルスルホン酸エステル基間を、ヒドロキシ基、スルホン酸基またはスルホン酸エステル基を有するアルキレン基で結合したもの、あるいは複数のアルキルスルホン酸エステル基間エチレンオキシ基を有する2価の有機基で結合したものなどが挙げられる。
本発明に係るスルホネート化合物が有するアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく用いられる。
本発明において、LogPの値としては、透明性、導電性、生産性、耐久性の面から、−1.8以下である必要があるが、−1.0が好ましく−2.0が好ましい。
また、本発明に係るスルホネート化合物が有するアルキルスルホン酸エステル基は、複数であることが必要であるが、膜強度、導電性の面から3以上であることが特に好まし。
本発明に係るスルホネート化合物は、架橋剤として機能するが、LogPの値が上記本発明の範囲にある場合に、透明性、導電性、膜強度に優れると共に、発光寿命が長く耐久性に優れるEL素子を与える透明導電膜が得られるという、本発明の効果を奏する理由は、明確ではないが以下のように推測される。
第二導電層に含有されるヒドロキシ基を有する構造単位を有する樹脂であるバインダーと導電性ポリマーは塗布乾燥後は、分子分散されて均一に混合された状態ではなく、バインダー樹脂が分散された状態で存在すると考えられる。そして、塗布乾燥時に、膜を形成する際には均一に混合された状態になりにくく白濁して透明性が損なわれる傾向にある。
本発明に係るスルホネート化合物を用いた場合には、ヒドロキシ基を有するバインダー樹脂および導電性ポリマーとの相溶性がよいために、バインダー樹脂と導電性ポリマーがより均一に混合された状態となり透明性の高いものが得られ、またバインダー樹脂が、より小さな粒子として存在するために導電性ポリマーの導電効率を損なうことがなく優れた導電性を有すると推測される。
また、LogPの値がより小さくなると水溶性が増す方向であり、乾燥時の負荷が大きくなる傾向にある。
乾燥時の負荷は、デバイスの保存性の悪化防止面では、少ないことが好ましく、この観点からLogPの値は、−10.0以上であることが好ましい。
即ち、LogPの値としては、−10.0〜−1.8の範囲が好ましく、さらに−8.0〜−2.0が好ましく、特に−7.0〜−2.0が好ましい。
本発明に係る、スルホネート系化合物としては、下記一般式(S)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(S):(A)−(Y)m
mは、3以上の整数を表し、Aは、炭素数4以上で水酸基、スルホン酸基等の親水性の置換基を有してもよいアルキル基の残基、アルキレンオキシ結合を含有し、水酸基等の親水性の置換基を有しても良い炭素数4以上のアルキル基の残基、または炭素数4以上で水酸基などの親水性の置換基を有しても良い窒素原子を有するアルキル基の残基を表す。
Yは、−O−S(=O)(=O)−R(Rはアルキル基を表す)基を表す。アルキル基はLogPの観点から、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましい。
本発明に係るスルホネート系化合物の合成法は、有機化学合成で一般的に知られているスルホン酸エステルの合成法ならば特に限定はないが、反応性の観点から多官能アルコールとスルホン酸クロライドとの反応が好ましい。合成溶媒は、非水系の溶媒が好ましく、具体的にはヘプタン、トルエン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。また、合成温度は、使用する溶媒によって異なるが、一般に−10〜150℃、好ましくは−5〜100℃、より好ましくは0〜50℃で実施される。
本発明に係るスルホネート化合物は、市販品として入手でき、その具体例を以下にあげるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005750908
Figure 0005750908
本発明に係るスルホネート系化合物の添加量は所望の膜強度が得られれば特に限定はないが、バインダー樹脂のヒドロキシ基に対し0.1〜50mol%が好ましく、より好ましくは0.5〜30%である。
本発明に係るスルホネート化合物の添加法は、溶解する溶媒に添加し、導電性ポリマー、バインダー樹脂、或いは導電性ポリマーとバインダー樹脂の混合液に添加すれば良い。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。好ましくは、水、アルコール、ジメチルスルホキシドである。
〔バインダー樹脂〕
本発明に係るバインダー樹脂は、ヒドロキシ基を有する構造単位を有する樹脂であり、具体的には、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール)共重合体、ポリ(ヒドロキシアルキルビニルエーテル)、ポリ(ヒドロキシアルキルビニルエーテル)共重合体、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース類、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)共重合体、ポリ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)およびこれの共重合体、ポリ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド)およびこれの共重合体が挙げられる。
本発明においては、透明性、導電性の面から、ポリ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)およびこれの共重合体、ポリ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド)およびこれの共重合体が好ましく、具体的には、下記一般式(1)および一般式(2)で表される構造単位を含むポリマー(A)が好ましく用いられる。
Figure 0005750908
(ポリマー(A))
ポリマー(A)は、上記一般式(1)および一般式(2)で表される構造単位を含むポリマーである。
一般式(1)、(2)中、RおよびRは水素原子またはメチル基を表し、QおよびQは−C(=O)O−または−C(=O)NRa−を表す。Raは水素原子またはアルキル基を表し、AおよびAは置換または無置換のアルキレン基または−(CHCHRbO)x−CHCHRb−を表す。Rbは水素原子またはアルキル基を示し、xは平均繰り返しユニット数を表す。yは0または1を表す。Zはアルコキシ基、−O−C(=O)−Rc、−O−SO−Rdまたは−O−SiReを表す。Rc、Rd、Reはアルキル基、パーフルオロアルキル基またはアリール基を表す。ポリマー(A)内の一般式(1)の構造単位の構成率をm、一般式(2)の構造単位の構成率をnとすると、m+nの構成率(mol%)は、50≦m+n≦100であり、m/(m+n)≧0.2である。
本発明においては、一般式(1)、(2)で表される構造単位の成分の合計が80mol%以上100mol%以下であることがより好ましい。
また、ポリマー(A)は一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位以外に構造単位を含有していても良い。
また、ポリマー(A)における一般式(1)の構造単位の成分が20mol%以上であることが、膜の安定性、水洗耐性の面から好ましい。
一般式(1)で表される水酸基を有する構造単位において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
また、Qは−C(=O)O−または−C(=O)NRa−を表し、Raは水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、或いは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
また、これらのアルキル基は置換基で置換されていても良い。これら置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等で置換されても良い。これらのうち好ましくは、水酸基、アルキルオキシ基である。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。
上記置換基の例として、アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることが更に好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。上記へテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることが更に好ましい。へテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。上記へテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることが更に好ましい。へテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる。上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニル基の例に、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニル基の例に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例に、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシスルホニル基の例に、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例に、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。
上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例に、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。置換基は同一でも異なっていても良く、これら置換基が更に置換されても良い。
本発明一般式(1)で表される水酸基を有する構造単位において、Aは置換または無置換のアルキレン基または−(CHCHRbO)x−CHCHRb−を表す。アルキレン基は、例えば炭素原子数1〜5が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。これらのアルキレン基は前述した置換基で置換されていても良い。また、Rbは水素原子、アルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、或いは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は前述の置換基で置換されていても良い。更に、xは平均繰り返しユニット数を表し、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜10である。繰り返しユニット数は分布を有しており、表記は平均値を示し、小数点以下1桁で表記しても良い。
一般式(2)で表される構造単位において、R、Q、Aは一般式(1)のR、Q、Aで定義した内容と各々同義である。
一般式(2)で表される構造単位において、yは0、1を表す。また、Zはアルコキシ基、−O−C(=O)−Rc、−O−SO−Rd、−O−SiReを表し、アルコキシ基は、例えば炭素原子数1〜12が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基で、更に好ましくはメトキシ基である。これらのアルコキシ基は前述した置換基で置換されても良い。
Rc、Rd、Reはアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基を表し、アルキル基は、例えば炭素原子数1〜12が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基で、更に好ましくはメチル基である。これらのアルキル基は前述した置換基で置換されても良い。パーフルオロアルキル基は、例えば炭素原子数1〜8が好ましく、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基で、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。アリール基は、例えばフェニル基、トルイル基が好ましく、より好ましくはトルイル基である。更に、これらのアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基は前述した置換基で置換されても良い。
ポリマー(A)は主たる共重合成分がそれぞれ一般式(1)、(2)で表される構造単位を形成するモノマー(1)、(2)の共重合で得ることができる。
本発明に係るポリマー(A)は汎用的な重合触媒を用いたラジカル重合により得ることができる。重合様式としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、好ましくは溶液重合である。重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
ポリマー(A)の数平均分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
ポリマー(A)の数平均分子量、分子量分布の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行なうことができる。使用する溶媒は、ポリマー(A)が溶解すれば特に限りはなく、THF、DMF、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
また、ポリマー(A)は数平均分子量において、分子量1000以下の含有量が0〜5質量%以下であることが好ましい。低分子成分が少ないことで、導電層に対して垂直方向に電荷をやりとりがより良くなる。
このポリマー(A)の数平均分子量において、分子量1000以下の含有量が0〜5質量%以下とする方法としては、再沈殿法、分取GPCに、リビング重合による単分散のポリマーを合成等により、低分子量成分を除去する、または低分子量成分の生成を抑制する方法を用いることができる。再沈殿法は、ポリマーが溶解可能な溶媒へ溶解し、ポリマーを溶解した溶媒より溶解性の低い溶媒中へ滴下することにより、ポリマーを析出させ、モノマー、触媒、オリゴマー等の低分子量成分を除去する方法である。また、分取GPCは、例えばリサイクル分取GPCLC−9100(日本分析工業社製)、ポリスチレンゲルカラムで、ポリマーを溶解した溶液をカラムに通すことにより分子量で分けることができ、所望の低分子量成分を除去することができる方法である。
リビング重合は、開始種の生成が経時で変化せず、また停止反応等の副反応が少なく、分子量の揃ったポリマーが得られる。分子量はモノマーの添加量により調整できるため、例えば分子量を2万のポリマーを合成すれば、低分子量体の生成を抑制することができる。生産適性から、再沈殿法、リビング重合が好ましい。
本発明に係るポリマー(A)の分子量分布は1.01〜1.30が好ましく、より好ましくは1.01〜1.25である。分子量分布は(重量平均分子量/数平均分子量)の比で表す。
分子量1000以下の含有量は、GPCにより得られた分布において、分子量1000以下の面積を積算し、分布全体の面積で割ることで割合を換算した。
導電性ポリマーとポリマー(A)の比率は、導電性ポリマーを100質量部とした時、ポリマー(A)が30〜900質量部であることが好ましく、ポリマー(A)の導電性アシスト効果、透明性の視点からは、ポリマー(A)が100〜900質量部であることがより好ましい。
第二導電層は、バインダー樹脂として、その他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂としては、水溶性樹脂が挙げられる。水溶性樹脂とは、25℃の水100gに0.001g程度溶解するバインダー樹脂を意味する。
その他の水溶性樹脂としては、水酸基を含有しなくても良く、例えばゼラチン、セルロース類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)共重合体、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリレート)共重合体、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド)共重合体、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルエーテル)共重合体、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)共重合体等が挙げられる。上記水溶性樹脂でより好ましくは、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリレート)共重合体、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド)共重合体、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルエーテル)共重合体、セルロース類であり、更に好ましくは、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリレート)共重合体、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド)共重合体である。
〈導電性ポリマー〉
本発明では、第二導電層は導電性ポリマーを含有する。
本発明に係る導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子とポリ陰イオンとを有してなる導電性ポリマーである。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
(π共役系導電性高分子)
本発明に用いるπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類、の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
(π共役系導電性高分子前駆体モノマー)
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(ポリ陰イオン)
本発明に用いられるポリ陰イオンは、置換もしくは未置換のポリアルキレン、置換もしくは未置換のポリアルケニレン、置換もしくは未置換のポリイミド、置換もしくは未置換のポリアミド、置換もしくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリ陰イオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリ陰イオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリ陰イオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリ陰イオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にさらにF(フッ素原子)を有するポリ陰イオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、マイクロ波を照射する前に100〜120℃で5分以上の加熱乾燥処理を施してもよい。これにより架橋反応が促進するため、塗布膜の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリ陰イオンは、ヒドロキシ基含有バインダー樹脂との相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリ陰イオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリ陰イオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有しないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/または重合触媒の存在下で、酸化重合またはラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/または重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリ陰イオン塩である場合には、ポリ陰イオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
導電性ポリマーに含まれるπ共役系導電性高分子とポリ陰イオンの比率、「π共役系導電性高分子」:「ポリ陰イオン」は質量比で1:1〜20が好ましい。導電性、分散性の観点からより好ましくは1:2〜10の範囲である。
π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーをポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合して、本発明に係る導電性ポリマーを得る際に使用される酸化剤は、例えばJ.Am.Soc.,85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適する、いずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価でかつ取扱い易い酸化剤、例えば鉄(III)塩、例えばFeCl、Fe(ClO、有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩、または過酸化水素、重クロム酸カリウム、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)またはアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウム及び銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン及びバナジウムイオンの存在下における空気及び酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。
有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例としては炭素数1〜20のアルカノールの硫酸半エステルの鉄(III)塩、例えばラウリル硫酸;炭素数1〜20のアルキルスルホン酸、例えばメタンまたはドデカンスルホン酸;脂肪族炭素数1〜20のカルボン酸、例えば2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族パーフルオロカルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタノン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸並びに殊に芳香族の、随時炭素数1〜20のアルキル置換されたスルホン酸、例えばベンゼセンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩が挙げられる。
こうした導電性ポリマーは、市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、H.C.Starck社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PSSの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることができる。
第二ドーパントとして有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。前記ヒドロキシ基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、等が挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
(塗布、加熱、乾燥)
第二導電層は、上記の導電性ポリマー、バインダー樹脂、スルホネート化合物を含有する塗布液を、上記の第一導電層が形成された基材上に塗布し、加熱、乾燥して形成する。
第二導電層は、パターン形成された第一導電層を完全に被覆してもよいし、一部を被覆または接触してもよい。
第二導電層用の塗布液の塗布は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。
また、第一導電層の一部を第二導電層が被覆または接触している透明電極を作製する手段としては、転写フィルムに第一導電層を上述の方法で形成し、さらに第二導電層を下述の方法で積層したしたものを、上述のフィルム基板に転写する方法が挙げられる。
また、第一導電層の非導電部にインクジェット法等で公知の方法で、第二導電層を形成する方法等が挙げられる。
第二導電層は、さらにヒドロキシ基含有非導電性ポリマーを含むことが特徴である。これにより、高い導電性、高い透明性、強い膜強度を得ることができる。
このような構造を有する本発明の導電層を形成することで、金属または金属酸化物細線、あるいは導電性ポリマー層単独では得ることのできない高い導電性を、電極面内において均一に得ることができる。
第二導電層の導電性ポリマーとヒドロキシ基含有非導電性ポリマーとの比率は、導電性ポリマーを100質量部とした時、ヒドロキシ基含有非導電性ポリマーが30〜900質量部であることが好ましく、電流リーク防止、ヒドロキシ基含有非導電性ポリマーの導電性増強効果、透明性の観点から、ヒドロキシ基含有非導電性ポリマーが100質量部以上であることがより好ましい。
第二導電層の乾燥膜厚は30〜2000nmであることが好ましい。導電性の点から、100nm以上であることがより好ましく、電極の表面平滑性の点から、200nm以上であることがさらに好ましい。また、透明性の点から、1000nm以下であることがより好ましい。
第二導電層を塗布した後、適宜乾燥処理を施すことができる。乾燥処理の条件として特に制限はないが、基材や導電層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。例えば、80〜120℃で10秒から10分の乾燥処理をすることができる。これにより電極の洗浄耐性、溶媒耐性が著しく向上し、さらに素子性能が向上する。特に、有機EL素子においては、駆動電圧の低減、寿命の向上といった効果が得られる。
添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤等の安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料等の着色剤等が挙げられる。さらに、塗布性等の作業性を高める観点から、溶媒(例えば、水や、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類等の有機溶媒)を含んでいてもよい。
本発明において、透明導電層の表面の平滑性を表すRyとRaは、Ry=最大高さ(表面の山頂部と谷底部との高低差)とRa=算術平均粗さを意味し、JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる値である。本発明の透明電極は、透明導電層の表面の平滑性がRy≦50nm、また、併せて透明導電層の表面の平滑性はRa≦10nmであることが好ましい。本発明においてRyやRaの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の方法で測定できる。
AFMとして、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数1Hzで測定する。
本発明において、Ryの値は50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましい。同様に、Raの値は10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
《有機エレクトロルミネッセンス素子》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明電極を有することを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機発光層を含む有機層および本発明の透明電極を有する。
本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明電極を陽極として用いることが好ましく、有機発光層、陰極については有機エレクトロルミネッセンス素子に一般的に使われている材料、構成等の任意のものを用いることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の素子構成としては、陽極/有機発光層/陰極、陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、等の各種の構成のものを挙げることができる。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、および各種蛍光色素および希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。
有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、均一にムラなく発光させることができるため、照明用途で用いることが好ましい。
本発明の透明電極は高い導電性と透明性を併せ持ち、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の分野において好適に用いることができる。その中でも、透明電極表面の平滑性が厳しく求められる有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子の透明電極として特に好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
〈スルホン酸エステル化合物の合成〉
合成例1(例示化合物1の合成:本発明)
例示化合物1はJ.Med.Chem.,2004,47(17),4300に記載の方法に準じて下記のように合成した。
300ml三頭コルベンに滴下ロート、温度計、三方コックを設置し、真空ポンプで系内を脱気した後窒素置換を行なった。同操作を合計3回行なった後、窒素をフローしながら、ジエチレングリコール5.0g(47.1mmol、分子量106.12)、トリエチルアミン10.0g(98.9mmol、分子量101.19)塩化メチレン200mlを添加した。続いて窒素をフローしながら滴下ロートへメタンスルホン酸クロリド11.3g(98.9mmol、分子量114.55)、塩化メチレン25mlを添加した。アイスバスにてジエチレングリコールを含む溶液が5℃以下になったのを確認し、メタンスルホン酸クロリドの塩化メチレン溶液を1時間かけて滴下した。5℃以下を保持しながら更に1時間撹拌後、アイスバスを除去し、室温で2時間撹拌した。9cm桐山ロート(No.5C濾紙使用)にて不溶物を除去後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。得られた残留物を酢酸エチルに溶解し、シリカクロマトグラフィーにより精製を行なった結果、化合物1を9.8g(収率79%)得た。構造は1H−NMR、マススペクトルにより確認した。
合成例2(例示化合物7の合成:本発明)
ジエチレングリコールの代わりにペンタエリスリトール5.0g(36.7mmol、分子量136.15)を用い、その他の試薬量をトリエチルアミン15.6g(154.1mmol、分子量101.19)、メタンスルホン酸クロリド17.7g(154.1mmol、分子量114.55)、塩化メチレントータル量を350mlに変更した以外は合成例1と同様な方法で化合物7を11.5g(収率70%)得た。
合成例3(例示化合物8の合成:本発明)
ジエチレングリコールの代わりにトリス(ヒドロキシメチル)メタン5.0g(36.7mmol、分子量106.12)を用い、その他の試薬量をトリエチルアミン11.7g(115.6mmol、分子量101.19)、メタンスルホン酸クロリド13.2g(115.6mmol、分子量114.55)、塩化メチレントータル量280mlに変更した以外は合成例1と同様な方法で化合物8を10.2g(収率82%)得た。
合成例4(例示化合物13の合成:本発明)
ジエチレングリコールの代わりにジペンタエリスリトール5.0g(19.7mmol、分子量254.28)を用い、その他の試薬量をトリエチルアミン12.6g(124.1mmol、分子量101.19)、メタンスルホン酸クロリド14.2g(124.1mmol、分子量114.55)、塩化メチレントータル量300mlに変更した以外は合成例1と同様な方法で化合物13を9.0g(収率63%)得た。
合成例5(例示化合物16の合成:本発明)
ジエチレングリコールの代わりにトリペンタエリスリトール5.0g(13.4mmol、分子量372.41)を用い、その他の試薬量をトリエチルアミン7.12g(70.4mmol、分子量101.19)、メタンスルホン酸クロリド8.06g(70.4mmol、分子量114.55)、塩化メチレントータル量180mlに変更した以外は合成例1と同様な方法で化合物16を3.81g(収率31%)得た。
合成例6(A[1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン]の合成:比較化合物)
ジエチレングリコールの代わりにエチレングリコール5.0g(80.6mmol、分子量62.07)を用い、その他の試薬量をトリエチルアミン17.1g(169.3mmol、分子量101.19)、メタンスルホン酸クロリド19.4g(169.3mmol、分子量114.55)、塩化メチレントータル量400mlに変更した以外は合成例1と同様な方法で化合物Aを16.2g(収率92%)得た。
〈バインダー樹脂の合成〉
[ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート(P−1)の合成]
300mlナスフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成社製)5.0g(43.1mmol、Fw116.12)、2,2′−アゾビス(2−メチルイソプロピオニトリル)0.7g(4.3mmol、Fw164.21)及びテトラヒドロフラン100mlを加え、8時間加熱還流した。その後、溶液を室温まで冷却し、激しく攪拌されたメチルエチルケトン2.0L中へ滴下した。反応溶液を1時間攪拌後、メチルエチルケトンをデカンテーションし、メチルエチルケトン100mlで壁面に付着した重合体を3回洗浄した。ポリマーはテトラヒドロフラン100mlに溶解し、200mlフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターによりテトラヒドロフランを減圧留去した。その後、80℃3時間減圧することで、残留しているTHFを留去し、数平均分子量57,800、分子量分布1.24のP−1を4.1g(収率82%)得た。
構造、分子量は各々H−NMR(400MHz、日本電子社製)、GPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。
<GPC測定条件>
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414(Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr含有)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
合成例8(P−2の合成:本発明)
200ml三ツ口フラスコにTHF100mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(2.90g、25mmol、分子量:116.05)、N−アクリロイルモルホリン(6.90g、25mmol、分子量:276.16)、AIBN(0.8g、5mmol、分子量:164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温に冷却した後、3000mlのMEK(メチルエチルケトン)中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。MEKをデカンテーション後、100mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量31700、分子量分布2.7の水溶性バインダー樹脂P−2を8.82g(収率90%)得た。
〈基板の作製〉
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製)の下引き加工していない面に、JSR株式会社製UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材:OPSTAR Z7501を塗布、乾燥後の平均膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用して硬化条件1.0J/cmで硬化を行い、平滑層を形成した。
次に、上記平滑層を設けた試料を、この上にガスバリア層を以下に示す条件で、形成した。
(ガスバリア層塗布液)
パーヒドロポリシラザン(PHPS、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320)の20質量%ジブチルエーテル溶液をワイヤレスバーにて、乾燥後の(平均)膜厚が、0.30μmとなるように塗布し、塗布試料を得た。
(第一工程;乾燥処理)
得られた塗布試料を温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分処理し、乾燥試料を得た。
(第二工程;除湿処理)
乾燥試料をさらに温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
(改質処理A)
除湿処理を行った試料を下記の条件で改質処理を行い、ガスバリア層を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
(改質処理装置)
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
稼動ステージ上に固定した試料を以下の条件で改質処理を行った。
(改質処理条件)
エキシマ光強度 60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 1mm
ステージ加熱温度 70℃
照射装置内の酸素濃度 1%
エキシマ照射時間 3秒
上記のようにしてガスバリア性を有する透明電極用のフィルム基板を作製した。
〈第一導電層の形成〉
上記で得られたガスバリア性を有する透明電極用フィルム基板上のバリアのない面に、以下の方法で第一導電層を形成した。
(細線格子)
細線格子(金属材料)については以下に示す、グラビア印刷または銀ナノワイヤにより作製した。
(グラビア印刷)
銀ナノ粒子ペースト1(M−Dot SLP:三ツ星ベルト製)をRK Print Coat Instruments Ltd製グラビア印刷試験機K303MULTICOATERを用いて線幅50μm、高さ1.5μm、間隔1.0mmの細線格子を印刷した後、110℃、5分の乾燥処理を行った。
(銀ナノワイヤによるランダムな網目構造)
ランダムな網目構造については以下に示すように銀ナノワイヤを用いて作製した。
銀ナノワイヤ分散液を、銀ナノワイヤの目付け量が0.06g/mとなるように、銀ナノワイヤ分散液を、バーコート法を用いて塗布し110℃、5分乾燥加熱し、銀ナノワイヤ基板を作製した。
銀ナノワイヤ分散液は、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、PVP K30(分子量5万;ISP社製)を利用して、平均短径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別、洗浄処理した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−50(信越化学工業社製)を銀に対し25質量%加えた水溶液に再分散し、銀ナノワイヤ分散液を調製した。
実施例1
《透明導電膜(透明電極)の作製》
〈透明電極TC−101の作製〉
ガスバリア性を有する透明電極用のフィルム基板上にグラビア印刷にて第一導電層を形成した透明電極上に、下記塗布液Aを、押し出し法を用いて、乾燥膜厚300nmになるように押し出しヘッドのスリット間隙を調整して塗布し、110℃、5分で加熱乾燥し、導電性ポリマーとヒドロキシ基含有非導電性ポリマーからなる第二導電層を形成し、得られた電極を8×8cmに切り出した。得られた電極をオーブンを用いて110℃、30分加熱することで透明電極TC−101を作製した。
〈第二導電層の形成〉
(塗布液A)
塗布液Aは別途調製した溶液Aと溶液Bを混合して作製した。
「溶液A」
ポリチオフェン:PEDOT−PSS CLEVIOS PH510
(固形分濃度1.89%、H.C.Starck社製) 1.59g
P−1(固形分20%水溶液) 0.35g
「溶液B」
ジメチルスルホキシド(DMSO、導電性ポリマー溶液質量の10分の1量)
0.16g
例示化合物1(P−1の水酸基数の20分の1モル) 0.008g
(透明電極TC−102〜TC−105の作製)
透明電極TC−101の作製において、塗布液Aの例示化合物1を、例示化合物7、例示化合物8、例示化合物13及び例示化合物16に変更したこと以外は透明電極TC−101の作製と同様にして、透明電極TC−102〜TC−105を作製した。
(透明電極TC−106の作製)
透明電極TC−101の作製において、塗布液A中のP−1をP−2に変更し、更に例示化合物1を例示化合物8に変更したこと以外は透明電極TC−101の作製と同様にして、透明電極TC−106を作製した。
(透明電極TC−107の作製)
透明電極TC−106の作製において、塗布液A中のP−2をポバールPVA203(クラレ社製)に変更したこと以外は透明電極TC−106の作製と同様にして、透明電極TC−107を作製した。
(透明電極TC−108の作製)
透明電極TC−106の作製において、塗布液A中のP−2をPVP10(アルドリッチ社製)に変更したこと以外は透明電極TC−106の作製と同様にして、透明電極TC−108を作製した。
(透明電極TC−109の作製)
透明電極TC−101の作製において、例示化合物1を例示化合物8に変更し、更に塗布液AのPEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%、H.C.Starck社製)を、ポリアニリンM(固形分濃度6.0%、ティーエーケミカル)0.5gに変更したこと以外は透明電極TC−101の作製と同様にして、透明電極TC−109を作製した。
(透明電極TC−110の作製)
(ランダムな網目構造)
銀ナノワイヤ分散液は、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、PVP K30(分子量5万;ISP社製)を利用して、平均短径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別、洗浄処理した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−50(信越化学工業社製)を銀に対し25質量%加えた水溶液に再分散し、銀ナノワイヤ分散液を調製した。
ランダムな網目構造については以下に示すように銀ナノワイヤを用いて作製した。
銀ナノワイヤ分散液を、銀ナノワイヤの目付け量が0.06g/mとなるように、銀ナノワイヤ分散液を、バーコート法を用いて塗布し110℃、5分乾燥加熱し、銀ナノワイヤ基板を作製した。
銀ナノワイヤによりランダムな網目構造を形成した透明電極上に、例示化合物1を例示化合物8に変更した塗布液Aを用いて第二導電層を形成し、8×8cmに切り出した。得られた電極をオーブンを用いて110℃、30分加熱することで透明電極TC−109を作製した。
(比較透明電極TC−111の作製)
透明電極TC−101の作製において、塗布液A中の例示化合物1を比較化合物Aに変更したこと以外は、透明電極TC−101の作製と同様にして、透明電極TC−111を作製した。
(比較透明電極TC−112の作製)
透明電極TC−101の作製において、例示化合物1を例示化合物8に変更し、更に第一導電層を形成しない以外は透明電極TC−101の作製と同様にして、透明電極TC−112を作製した。
(比較透明電極TC−113の作製)
透明電極TC−101の作製において、例示化合物1を例示化合物8に変更し、更に塗布液A中のP−1を使用しないこと以外は透明電極TC−101の作製と同様にして、透明電極TC−113を作製した。
《透明電極の評価》
得られた透明電極のフィルム形状、透明性、表面抵抗(導電性)及び膜強度を下記のように評価した。また、透明電極の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で3日間置く強制劣化試験後の透明電極試料のフィルム形状、透明性、表面抵抗及び膜強度評価を行なった。
(透明性)
JIS K 7361−1:1997に準拠して、東京電色社製 HAZE METER NDH5000を用いて、全光線透過率を測定し、下記基準で評価した。有機電子デバイスに用いるため、75%以上であることが好ましい。
◎:80%以上
○:75%〜80%未満
△:70%〜75%未満
×:70%未満
(表面抵抗)
JIS K 7194:1994に準拠して、抵抗率計(ロレスタGP(MCP−T610型):(株)ダイヤインスツルメンツ社製)を用いて表面抵抗を測定した。表面抵抗は100Ω/□以下であることが好ましく、有機電子デバイスを大面積にするには、30Ω/□以下であることが好ましい。
[表面粗さ(Ra、Ry)]
AFM(セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニット)を使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を用いて、前記の方法(JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる。)で測定した。
(膜強度)
導電層の膜の強度を、テープ剥離法により評価した。
導電層の上に住友スリーエム社製スコッチテープを用いて圧着/剥離を10回繰り返し、導電層の脱落を目視観察し、下記基準で評価した。
◎:5回の圧着/剥離で変化無し
○:3回の圧着剥離で変化無し
△:1回の圧着剥離で剥離が見られるが8割以上のパターンが残っている
×:1回の圧着剥離で剥離が見られ、残っているパターンが8割未満
評価の結果を表1に示す。
Figure 0005750908
表1に示した結果から、透明電極TC−111〜TC−113に対して、透明電極TC−101〜110は、平滑性、導電性、透明性、膜強度に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、透明性、膜強度の劣化が少なく、安定性に優れることがわかる。
実施例2
《有機ELデバイスの作製》
作製した透明電極基板を超純水で洗浄後、パターン辺長20mmの正方形タイル状透明パターン一個が中央に配置されるように30mm角に切り出し、アノード電極に用いて、以下の手順でそれぞれ有機ELデバイスを作製した。正孔輸送層以降は蒸着により形成した。透明電極TC−101〜TC−113を用い、それぞれ有機EL素子OEL−201〜OEL−213を作製した。
市販の真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に必要量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
まず、正孔輸送層、有機発光層、正孔阻止層、電子輸送層からなる有機EL層を順次形成した。
〈正孔輸送層の形成〉
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物1の入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、厚さ30nmの正孔輸送層を設けた。
〈有機発光層の形成〉
次に、以下の手順で各発光層を設けた。
形成した正孔輸送層上に、化合物2が13.0質量%、化合物3が3.7質量%、化合物5が83.3質量%になるように、化合物2、化合物3及び化合物5を蒸着速度0.1nm/秒で正孔輸送層と同じ領域に共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色燐光発光の有機発光層を形成した。
次いで、化合物4が10.0質量%、化合物5が90.0質量%になるように、化合物4及び化合物5を蒸着速度0.1nm/秒で緑赤色燐光発光の有機発光層と同じ領域に共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色燐光発光の有機発光層を形成した。
〈正孔阻止層の形成〉
さらに、形成した有機発光層と同じ領域に、化合物6を膜厚5nmに蒸着して正孔阻止層を形成した。
〈電子輸送層の形成〉
引き続き、形成した正孔阻止層と同じ領域に、CsFを膜厚比で10%になるように化合物6と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005750908
〈カソード電極の形成〉
形成した電子輸送層の上に、透明電極を陽極として陽極外部取り出し端子及び15mm×15mmの陰極形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの陽極を形成した。
さらに、陰極及び陽極の外部取り出し端子が形成できるように、端部を除き陽極の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレートを基材としAlを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させ封止膜を形成し、発光エリア15mm×15mmの有機EL素子を作製した。
《有機EL素子の評価》
得られた有機EL素子について発光均一性及び寿命を下記のように評価した。
(発光均一性)
発光均一性は、KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。1000cd/mで発光させた有機EL素子OEL−201〜OEL−213について、50倍の顕微鏡で各々の発光輝度ムラを観察した。また、有機EL素子OEL−201〜OEL−215をオーブンにて60%RH、80℃2時間加熱したのち、再び前記23±3℃、55±3%RHの環境下で1時間以上調湿した後、同様に発光均一性を観察した。
◎:完全に均一発光しており、申し分ない
○:ほとんど均一発光しており、問題ない
△:部分的に若干発光ムラが見られるが、許容できる
×:全面にわたって発光ムラが見られ、許容できない
(寿命)
得られた有機EL素子の、初期の輝度を5000cd/mで連続発光させて、電圧を固定して、輝度が半減するまでの時間を求めた。アノード電極をITOとした有機EL素子を上記と同様の方法で作製し、これに対する比率を求め、以下の基準で評価した。100%以上が好ましく、150%以上であることがより好ましい。
◎:150%以上
○:100〜150%未満
△:80〜100%未満
×:80%未満
評価の結果を表2に示す。
Figure 0005750908
表2から、比較の有機EL素子OEL−211〜OEL−213は80℃30分の加熱後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−202〜OEL−210の発光均一性は加熱後でも安定しており耐久性に優れることがわかる。
1 第一導電層
2 第二導電層
3 基材

Claims (4)

  1. 基材上に、金属材料を含有する第一導電層と、導電性ポリマーおよびバインダー樹脂を含有する第二導電層とを有する透明導電膜を製造する、透明導電膜の製造方法であって、
    該基材上に該第一導電層を形成する第一導電層形成工程と、
    該第一導電層を有する該基材上に、該導電性ポリマー、該バインダー樹脂としてヒドロキシ基を有する構造単位を有する樹脂、およびアルキルスルホン酸エステル基を複数有しオクタノール/水分配係数(logP)値が−10.0〜−1.8である化合物、を含有する塗布液を塗布し、加熱および乾燥を行い、該第二導電層を形成する第二導電層形成工程と、
    を有し、
    該アルキルスルホン酸エステル基を有する化合物が、アルキルスルホン酸エステル基を3〜7個含有することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  2. 前記オクタノール/水分配係数(logP)値が−8.0〜−2.0であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の透明導電膜の製造方法により製造されたことを特徴とする透明導電膜。
  4. 請求項に記載の透明導電膜を具備することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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