JP2013101893A - 有機el素子 - Google Patents

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智之 松村
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Abstract

【課題】輝度ムラを抑制しながらパネルの大面積化を図る。
【解決手段】有機EL素子10は、透明基板1と、透明導電膜から構成される陽極層2と、有機化合物層3、陰極層4および絶縁層5をこの順に積層した発光部7と、を備え、透明基板1上に陽極層2が形成され、陽極層2上に複数の発光部7が形成されている。各発光部7では、陰極層4が絶縁層5で被覆され、各発光部7が互いに間隔をあけた状態で陽極層2上に形成され、各発光部7上およびその間隙から露出する陽極層2上には、陽極層2より低抵抗の第3の電極層6が形成され、各発光部7の間隙から露出する陽極層2と第3の電極層6とが接触している。
【選択図】図1

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関する。
消費電力が少なく、容積が小さい面発光素子のニーズが高まっている。このような面発光素子の1つとしてエレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」と略す。)が注目されている。EL素子は使用する材料によって無機エレクトロルミネッセンス素子(「無機EL素子」)と有機エレクトロルミネッセンス素子(「有機EL素子」)とに大別される。
無機EL素子は一般に発光部に高電界を作用させ、電子をこの高電界中で加速して発光中心に衝突させ、これにより発光中心を励起させて発光させるようになっている。
一方、有機EL素子は、電子注入電極(陰極)とホール注入電極(陽極)とから、それぞれ電子とホールとを発光層内に注入し、このように注入された電子とホールとを発光層内で結合させて、有機材料を励起状態にし、この有機材料が励起状態から基底状態に戻るときに発光するようになっている。有機EL素子は、無機EL素子に比べて低い電圧で駆動できるという利点があるため、特に照明器具やディスプレイのバックライトなどの大きな発光面積を有するパネル用途としての展開が期待されている。
パネル用途に用いられる現状の有機EL素子では、通常、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極が用いられる。
かかる有機EL素子では、電極間に電圧を印加した場合に、ITOは抵抗率が大きいために陽極給電部から遠くなる(離れる)に従い電圧が降下する。それに伴い、電極間の有機化合物層(発光層)に印加される電圧も陽極給電部から遠くなるに従い降下し、陽極給電部付近では輝度が高く、陽極給電部から離れた位置では輝度が低くなる。その結果、発光面全体として「輝度ムラ」が生じる。
特に、プラスチック基板上にITOを製膜するような場合には、基板の制約によりITOの抵抗を小さくすることは困難であり、かかる有機EL素子では発光時の面内輝度ムラが顕著に現れる。
このような状況に対し、たとえば、特許文献1の技術では、発光面の外周部に対し、ITOよりも低抵抗率を有する金属で補助電極を形成し、素子中央部の輝度の低下を抑制している(段落0031〜0032,0036〜0037参照)。
しかし、特許文献1の技術では、パネル面積が増大するほど外周部からのITOの電圧降下の影響が大きく、面内輝度ムラを十分に抑制するのは困難である。
特許文献2の技術では、複数の小面積の有機EL素子(発光パネルユニット1)をつなぎ合わせてパネルの大面積化を図っている(図2参照)。
特に、特許文献2の技術では、各発光パネルユニットを、側縁部を折り曲げて配線基板(2)のソケット部(22)に差し込むといった構成を採用している(段落0028や図3参照)。
しかし、特許文献2の技術では、発光パネルユニットの折曲げやソケット部の設置の分だけ高さが必要となってパネルの厚みが増大するし、ソケット部の設置数が増大すればその分だけ非発光部分の面積が大きくなり、特許文献2の技術はパネルの大面積化に好適であるとはいえない。
特許文献3の技術でも、複数の有機EL素子(有機ELパネル10)をつなぎ合わせてパネルの大面積化を図っている(図1参照)。
特に、特許文献3の技術では、各有機ELパネルに対し、陽極用の端子ピン(陽極端子10aおよび陽極側中間タップ端子ピン10p)と陰極用の端子ピン(10b)とを形成して、各端子のピンを、1枚の大面積のパネル搭載用基板(1)上に形成された陽極用コネクタ(1x)と陰極用コネクタ(1y)とにセットする(差し込む)といった構成を採用している(段落0025〜0035や図1参照)。
しかし、特許文献3の技術でも、特許文献2の技術と同様に、端子ピンやコネクタの分だけ高さが必要となってパネルの厚みが増大するし、各有機ELパネルに対し、陽極用の端子ピン(陽極端子10aおよび陽極側中間タップ端子ピン10p)を形成するための領域を確保しなければならず(図2(a)参照)、各有機ELパネルをつなぎ合わせた場合に、非発光部分の面積が大きくなるといった問題があり、特許文献3の技術もパネルの大面積化に好適であるとはいえない。
特許文献4の技術では、1枚の大面積の基板(10)に対し、複数の陽極層(第1電極層20)および有機層(40)を形成してこれらを陰極層(第2電極層50)で被覆し、有機EL素子の大面積化を図っている(図1参照)。
特に、特許文献4の技術では、各陽極層が、ITOなどの透明電極(21〜2n)とこれに給電するための細長の補助電極(31〜3n)とから構成され、補助電極を透明電極の外縁部に重複する位置で延在させ、各透明電極での電圧降下に起因する輝度ムラを抑制している(段落0010、0018〜0019や図1、図2参照)。
しかし、特許文献4の技術では、補助電極自体に幅を確保する必要があるし、透明電極の電気抵抗を低減するためには補助電極をある程度幅広にする必要があり、補助電極の幅の分だけ非発光部分の面積が大きくなる。
特許文献5の技術では、陽極として、パターン状に形成された金属ワイヤや金属グリッドの細線による補助電極(22,23)に対し、導電性ポリマーおよび水酸基を側鎖に有するポリアルキルアクリレート等のポリマーを含有する透明導電膜(導電性ポリマー含有層21)を形成し(図1や図2参照)、電流の面均一性と高い導電性を併せ持つ透明導電フィルムを提供しており(段落0035〜0036参照)、パネルの大面積化に対応させようとしている。
しかし、特許文献5のかかる技術であっても、透明導電膜のシート抵抗は1Ω/□程度が低限であって、透明導電膜の部位によって電圧降下量に高低差が生じ、結果的に輝度ムラが発生する可能性があり、30cm平方を超えるような大面積パネルの作製は困難であると考えられる。
特開平10−214684号公報 国際公開第2008/123416号 特開2003−123456号公報 特開2009−187774号公報 特開2011−65799号公報
以上のように、現在のところ、特許文献1〜5のいずれの技術においても、輝度ムラを抑制しながらパネルの大面積化を図ることは困難となっており、さらなる改良が望まれている。
したがって、本発明の主な目的は、輝度ムラを抑制しながらパネルの大面積化を図ることができる有機EL素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、
透明基板と、
透明導電膜から構成される第1の電極層と、
有機化合物層、第2の電極層および絶縁層をこの順に積層した発光部と、
を備え、前記透明基板上に前記第1の電極層が形成され、前記第1の電極層上に複数の前記発光部が形成された有機EL素子であって、
前記各発光部では、前記第2の電極層が前記絶縁層で被覆され、
前記各発光部が互いに間隔をあけた状態で前記第1の電極層上に形成され、
前記各発光部上およびその間隙から露出する前記第1の電極層上には、前記第1の電極層より低抵抗の第3の電極層が形成され、
前記各発光部の間隙から露出する前記第1の電極層と前記第3の電極層とが接触していることを特徴とする有機EL素子が提供される。
本発明によれば、輝度ムラを抑制しながらパネルの大面積化を図ることができる。
有機EL素子の概略構成を示す断面図である。 電極層(陽極)の変形例を示す断面図である。 有機EL素子の製造方法の一工程を概略的に説明するための図面であって、上段が平面図を示し、下段がその断面図を示している。 図3の後続の工程を概略的に説明するための図面であって、上段が平面図を示し、下段がその断面図を示している。 図4の後続の工程を概略的に説明するための図面であって、上段が平面図を示し、下段がその断面図を示している。 図5の後続の工程を概略的に説明するための図面であって、上段が平面図を示し、下段がその断面図を示している。 図6の後続の工程を概略的に説明するための図面であって、上段が平面図を示し、下段がその断面図を示している。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
[有機EL素子10]
図1に示すとおり、有機EL素子10は透明基板1を有している。
透明基板1上には透明導電膜から構成された電極層2が形成されている。
電極層2上には有機化合物層3、電極層4および絶縁層5がこの順に積層されている。有機化合物層3、電極層4および絶縁層5の積層体が1つの発光部7となって、複数の発光部7が電極層2上に形成されている。各発光部7間には所定の間隔があけられている。
発光部7上には電極層6が形成され、各発光部7上およびその間隙から露出する電極層2上が電極層6により被覆されている。電極層6は、各発光部7の間隙から露出する電極層2と直に接触し電気的に接続されている。
[透明基板1]
透明基板1としては、プラスチックフィルム、ガラスなどを用いることができる。
透明基板1としては、軽量性と柔軟性の観点から、透明プラスチックフィルムを用いることが好ましい。
プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。中でも好ましいのは、PETおよびPENである。
透明基板1は、表面平滑性に優れているものが好ましい。
表面の平滑性は算術平均粗さRaが5nm以下かつ最大高さRzが50nm以下であることが好ましく、Raが2nm以下かつRzが30nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくはRaが1nm以下かつRzが20nm以下である。透明基板1の表面は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等の下塗り層を付与して平滑化してもよいし、研磨などの機械加工によって平滑にすることもできる。ここで、表面の平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)等による測定から、表面粗さ規格(JIS B 0601−2001)に従い、求めることができる。
透明基板1には、大気中の酸素、水分を遮断する目的でガスバリア層を設けるのが好ましい。
ガスバリア層の形成材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物が使用できる。これらの材料は、水蒸気バリア機能のほかに酸素バリア機能も有する。特にバリア性、耐溶剤性、透明性が良好な窒化シリコン、酸化窒化シリコンが好ましい。
また、バリア層は必要に応じて多層構成とすることも可能である。ガスバリア層の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。前記ガスバリア層を構成する各無機層の厚みに関しては特に限定されないが、典型的には1層あたり5nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1層あたり10nm〜400nmである。ガスバリア層は基板の少なくとも一方の面に設けられ、両面に設けられるのがより好ましい。
さらに透明基板1の表面は、ハードコート層等による保護層処理がされていてもよい。
ハードコート層は、光ラジカル発生材、ラジカル重合性の単官能および/又は多官能モノマーの混合物を所望の膜厚に均一に塗布したのち、必要なエネルギー量の紫外光を照射することによってラジカル重合させることにより得られる、透明かつ高硬度のポリマー層である。
金属細線補助電極および透明導電層を高温焼成(150℃以上)が可能な点や、ガスバリア性に優れる点からは、透明基板1はガラス基板であるのが好ましい。
本発明に用いることのできるガラス基板には特に限定は無い。中では無アルカリガラスが好ましく用いられる。
その他、ロールトゥロールでの生産適性、有機エレクトロルミネッセンス素子用の透明電極に供した際の素子のフレキシビリティ等の観点からは、厚さが10〜200μmの薄膜ガラスを用いることが好ましい。更にガラス基板の厚さは50〜120μmであることが破損のしにくさ、ロール搬送の容易さの観点から望ましい。具体的には特開2010−132532号公報にガラスフィルムとして記載あるような薄膜ガラスを用いることができる。
[電極層2]
(1)基本構成
電極層2は、有機EL素子10における陽極(アノード)として機能するものである。
電極層2は、透明な金属酸化物を導電性物質として含有する層である。
当該透明な金属酸化物としては具体的には、酸化インジウムスズ(ITO)を用いる事ができるほか、酸化インジウム(IO)、酸化スズ(TOまたはSnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化チタン(TiO)等も用いることができる。
これら透明な金属酸化物については、書籍「最新透明導電膜大全集〜材料別特性と代替展望/サイクル・工程ノウハウ・応用別要求特性等〜」(株式会社情報機構発行、2007年12月17日第1刷)、および書籍「透明導電膜の最新技術」(株式会社東レリサーチセンター、2010年1月第1刷)に材料構成、成膜方法、パターニング方法含めて詳述されており、本発明ではそれらの記載を一例として使用することができる。
これら透明な金属酸化物のなかで最も好ましいのはITOである。
(2)変形例
電極層2の別の構成として、金属製の細線補助電極上に、導電性ポリマー層を塗設して形成した電極層を用いることができる。
図2に示すとおり、当該電極層2では、透明基板1上に金属細線補助電極8が形成され、金属細線補助電極8上に導電性ポリマー層9が塗設して形成される。
(2.1)金属細線補助電極8
金属細線補助電極8は、透明基板1上にパターン状に形成された金属材料から構成されたものである。
これにより金属材料からなる光不透過の導電部と透光性窓部を併せ持つフィルム基板となり、透明性、導電性に優れた電極基板が作製できる。
金属材料は、導電性に優れていれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等の金属が使用可能であり、その他にそれらの合金であってもよい。特に、後述のようにパターンの形成のしやすさの観点から金属材料の態様は、金属微粒子であることが好ましく、金属材料は導電性の観点から銀であることが好ましい。
パターン形状には特に制限はないが、例えば、導電部がストライプ状(平行線状)、格子状、ハニカム状、あるいはランダムな網目状であってもよく、特にストライプ状、格子状、ハニカム状が好ましい。
パターンの線幅は好ましくは10〜200μmであり、さらに好ましくは10〜100μmの範囲である。細線の線幅が10μm以上で、所望の導電性が得られ、また200μm以下とすることで透明性が向上する。
ストライプ状、格子状のパターンにおいて細線の間隔は、0.5〜4mmが好ましい。またハニカム状のパターンにおいては、一辺の長さが0.5〜4mmが好ましい。
細線の高さは、0.1〜10μmが好ましい。細線の高さが0.1μm以上で、所望の導電性が得られ、また10μm以下とすることで有機EL素子10の形成において、電流リークや機能層の膜厚分布不良の要因となることを防止できる。
金属細線補助電極8の細線パターンは、金属粒子の分散液を用い、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の印刷法により形成できる。各印刷の方式は、一般的に電極パターン形成に使われる手法が本発明に関しても適用可能である。具体的な例として、グラビア印刷法については特開2009−295980、特開2009−259826、特開2009−96189、特開2009−90662記載の方法等が、フレキソ印刷法については特開2004−268319、特開2003−168560記載の方法等が、スクリーン印刷法については特開2010−34161、特開2010−10245、特開2009−302345記載の方法等が例として挙げられる。
その他の方法としては、例えば、基材全面に金属層を形成し、公知のフォトリソ法によって形成できる。具体的には、基材上に全面に、印刷、蒸着、スパッタ、めっき等の1あるいは2以上の物理的または化学的形成手法を用いて導電体層を形成する、あるいは、金属箔を接着剤で基材に積層した後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状あるいはメッシュ状に加工できる。
別な方法としては、金属微粒子を含有するインクをスクリーン印刷により所望の形状に印刷する方法や、メッキ可能な触媒インクをグラビア印刷、あるいは、インクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法、さらに別な方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の[0076]−[0112]、及び実施例を参考にして実施できる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にして実施できる。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
金属細線補助電極8の細線部の表面比抵抗は、10Ω/□以下であることが好ましく、3Ω/□以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
前記金属の細線パターンは金属粒子のペーストを印刷することにより設けることが好ましい。印刷後、導電性を高めるために、加熱し焼成する。基材にPETフィルムを用いる場合、焼成の温度は110℃以下が好ましい。前記金属粒子は、高い導電性が得られることから、金属ナノ粒子が好ましい。
前記金属ナノ粒子とは、粒子径が原子スケールからnmサイズの微粒子状の金属のことをいう。金属ナノ粒子の平均粒径としては3〜300nmが好ましく、5〜100nmであることがより好ましい。本発明に係る金属ナノ粒子に用いられる金属としては、導電性の観点から銀または銅が好ましく、銀または銅単独でもよいし、それぞれの組み合わせでもよく、銀と銅の合金、銀または銅が一方の金属でめっきされていてもよい。中でも特に銀のナノ粒子が好ましい。中でも、平均粒径30nm以下の銀ナノ粒子が好ましい。
透明基板1上に形成された金属細線補助電極8には、加熱焼成処理を施すことが好ましい。これにより、金属微粒子同士の融着が進み、金属細線補助電極が高導電化するため、特に好ましい。加熱焼成の温度は100〜900℃の範囲が好ましく特に150から600℃の範囲が更に好ましい。加熱焼成の時間は、温度によって好ましい範囲が異なるが、1〜60分が好ましい。
(2.2)導電性ポリマー層9
導電性ポリマー層9は、導電性ポリマーを含有する。
導電性ポリマーとしては、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含んで成る導電性ポリマーが好ましく用いられる。
こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
(2.2.1)π共役系導電性高分子
π共役系導電性高分子として、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。
中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。特にポリチオフェン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
(2.2.2)π共役系導電性高分子前駆体モノマー
前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(2.2.3)水溶性バインダー樹脂
導電性ポリマー層9は、少なくとも一般式(I)で表わされる構造単位を含む水溶性バインダー樹脂を含有することができる。
Figure 2013101893
一般式(I)中、「R」は水素原子またはメチル基を表し、「Q」は−C(=O)O−または−C(=O)NRa−を表す。「Ra」は水素原子またはアルキル基を表し、「A」は置換もしくは無置換アルキレン基または−(CHCHRbO)x−(CHCHRb)−を表す。「Rb」は水素原子またはアルキル基を表し、「x」は平均繰り返しユニット数を表す。)
こうした樹脂は導電性ポリマーと容易に混合可能であり、また、ドーパントと同様な効果も有するため、樹脂を混合しても導電性ポリマー層9の抵抗値を大幅には上昇させず、条件によっては寧ろ抵抗値を下げることも可能である。
本発明において水溶性バインダー樹脂とは、水溶性で、かつ、25℃の水100gに0.001g以上溶解するバインダー樹脂を意味する。
前記溶解は、ヘイズメーターや濁度計で測定することができる。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂は、少なくとも前記一般式(I)で表される構造単位を含む構造を有し、前記一般式(I)で表わされるホモポリマーであってもよいし、他の成分を共重合されていてもよい。他の成分を共重合する場合は、前記一般式(I)で表わされる構造単位を10モル%以上含有することが好ましく、30モル%以上含有することがより好ましく、50モル%以上含有することがさらに好ましい。
水溶性バインダー樹脂は、導電性ポリマー層9中に40質量%以上、80質量%以下含まれていることが好ましく、50質量%以上、70質量%以下であることがさらに好ましい。
一般式(I)で表される水酸基を有する構造単位において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
Qは−C(=O)O−または−C(=O)NRa−を表し、Raは水素原子またはアルキル基を表す。
アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、あるいは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は置換基で置換されていてもよい。
これら置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等で置換されてもよい。これらのうち好ましくは、水酸基、アルキルオキシ基である。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。
上記アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることがさらに好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることがさらに好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。
上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。
上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。
上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。
上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。
上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。
上記へテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることがさらに好ましい。へテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。
上記へテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。へテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。
上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。
上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。
上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる。
上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。
上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。
上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニル基の例に、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニル基の例に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例に、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシスルホニル基の例に、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例に、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。
上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例に、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。置換基は同一でも異なっていても良く、これら置換基がさらに置換されてもよい。
一般式(I)で表される水酸基を有する構造単位において、Aは置換もしくは無置換アルキレン基または−(CHCHRbO)x−(CHCHRb)−を表す。
アルキレン基は、例えば炭素原子数1〜5が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。これらのアルキレン基は前述した置換基で置換されていてもよい。
Rbは水素原子、アルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、あるいは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は前述の置換基で置換されていてもよい。
xは平均繰り返しユニット数を表し、0〜100が好ましく、より好ましくは0〜10である。繰り返しユニット数は分布を有しており、表記は平均値を示し、小数点以下1桁で表記してもよい。
以下に、一般式(I)で表わされる構造単位の代表的具体例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない
Figure 2013101893
(2.2.4)その他
導電性ポリマー層9は、上記の少なくとも一般式(I)で表わされる構造単位を含む水溶性バインダー樹脂以外の水溶性高分子、親水性高分子、水分散性高分子等を含有することも可能である。
[有機化合物層3]
有機EL素子10では、電極層2の上に有機化合物層3が形成されている。
有機化合物層3は、発光層に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、電子ブロック層などの層と併用して発光を制御する層を有しても良い。電極層2が導電性ポリマーを含有する場合は正孔注入層として働くことも可能であるので、電極層2が正孔注入層を兼ねることも可能だが、独立に正孔注入層を設けても良い。
有機化合物層3の構成の好ましい具体例(i)〜(v)を以下に示す。
(i)(電極層2)/発光層/電子輸送層/(電極層4)
(ii)(電極層2)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(電極層4)
(iii)(電極層2)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/(電極層4)
(iv)(電極層2)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(電極層4)
(v)(電極層2)/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(電極層4)
発光層は、発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある単色発光層であってもよく、また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよく、さらに発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。本発明の有機EL素子10としては、白色発光層であることが好ましい。
有機化合物層3に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、カルバゾール、アザカルバゾール、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素及び希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。
発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。この発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
本発明の有機化合物層3を構成する前述の発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、電子ブロック層などの層は、特開2010−80473号公報に記載されているものを用いる事ができる。
[電極層4]
電極層4は、有機EL素子10における陰極(カソード)として機能するものである。
電極層4には、金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム/ネオジウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極としての電極層4はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
陰極としての電極層4のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常1〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
[絶縁層5]
電極層4の上には、絶縁層5が形成されている。
絶縁層5は電極層4の上面および側面を被覆しており、電極層4と電極層6との接触(短絡)を防止している。
絶縁層5は、特に制限はないが、例えば、酸化物膜及び窒化物膜のいずれか一方又は両方からなることが好ましい。
絶縁層5を構成する絶縁膜は、シリコン窒化物膜(SiNx膜)及びシリコン酸化物膜(SiOx膜)から選ばれた少なくとも1種の膜であり、好ましくはこれら2種の膜からなる二層構造を有する膜である。
このシリコン窒化物膜は、例えば、シランガスとアンモニアガスとを用い、プラズマCVD法に従って、公知のプロセス条件で、50〜200nmの膜厚で形成することができる。その他に、常圧CVD法、減圧CVD法、スパッタ法及び蒸着法等を用いて形成しても良い。
シリコン酸化物膜は、シランガスと酸素原子含有ガス(例えば、酸素ガスや酸化窒素ガス等)とを用いて、上記したプラズマCVD法等に従って公知のプロセス条件で、50〜300nmの膜厚で形成することができる。
その後、絶縁膜の上に、a−Si膜を、例えばプラズマCVD法に従って、シランガスを用いて、公知のプロセス条件で、40〜100nmの膜厚で形成することができる。
[電極層6]
電極層6は、複数の発光部7上と各発光部7の間隙から露出する電極層2上とを被覆しており、特に各発光部7の間隙から露出する電極層2と直接的に接触し電気的に接続されている。
電極層6は電極層2より低抵抗材料から構成されている。
電極層6には、電極層4と同様の電極物質を用いることが可能である。
電極層6に機械的強度が要求される場合は、電極層6はアルミニウムまたはアルミニウム/ネオジウム合金から選ばれる金属膜により構成されることが好ましい。
[封止膜・封止部材]
(1)封止膜
一般的に有機EL素子においては、使用環境中の酸素、水分による発光阻害を防止する目的で、ガス透過性の低い材料で構成される封止膜で素子構成を覆うことが行われている。
有機EL素子10では、電極層6が封止膜を兼ねる(封止膜として機能する)ことも可能である。
電極層6が封止膜を兼ねる場合においては、電極層6にガス透過性が低いことと、機械的強度が要求される。この要求に適した電極物質としては前述のアルミニウムまたはアルミニウム/ネオジウム合金から選ばれる金属膜が好ましい。電極層6が当該金属膜から構成され封止膜として機能する場合にも、電極層6が電極層2よりも低抵抗となるように電極層2の構成材料を適宜選択する必要がある。
アルミニウムまたはアルミニウム/ネオジウム合金から成る電極層6は、スパッタ、またはEB蒸着による公知の手法によって形成することができる。
封止膜を兼ねた電極層6の厚さは、100nm以上で1μm以下であることが好ましい。この範囲より薄い場合は、ガス透過性が高くなったり、機械的強度が不足したりする場合がある。逆にこの範囲より厚い場合は、電極層6が絶縁層5上から剥離し易くなる場合がある。
(2)封止部材
有機EL素子10においては、電極層6が封止膜を兼ねない構成も選択可能であり、電極層6上に別途封止手段が設けられてもよい。
その場合の封止手段としては、例えば、封止部材と、電極層6(および透明基板1)とを、接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子10の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。
封止部材の透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
封止部材の構成材料としては、具体的に、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。
ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルホン等を挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、パネルを薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
特に、ポリマーフィルムは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更にはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤としては、具体的に、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子10が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
有機化合物層3を挟み透明基板1と対向する側の電極層6の外側に、電極層6を被覆し、透明基板1と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。
この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素などパネルの劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。
封止部材の内部には吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
[保護膜]
有機EL素子10では、電極層6が封止膜を兼ねる(封止膜として機能している)場合、電極層6上に保護膜を貼合することが好ましい。
保護膜としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
[有機EL素子10の製造方法]
はじめに、図3に示すとおり、透明基板1を準備してその一方の面に対し面一的に電極層2を形成する。
その後、図4に示すとおり、電極層2上に対し複数の有機化合物層3を形成する。本実施形態では、有機化合物層3を、電極層2の一方の辺からそれに対向する他方の辺にかけて帯状に延在させ、各有機化合物層3を、一定の間隔をあけながら互いに平行に配置する。
その後、図5に示すとおり、各有機化合物層3上に対しそれより幅狭の電極層4を形成する。
その後、図6に示すとおり、有機化合物層3や電極層4上に対し絶縁層5を形成し、有機化合物層3の電極層4からはみ出た部分や、電極層4の上面および側面を絶縁層5で被覆する。かかる場合、電極層4の図6上段中の上端部および下端部は絶縁層5から露出させ、給電用の部位を形成する。
その結果、有機化合物層3の形成数に応じた複数の発光部7が形成される。各発光部7間には互いに一定の間隔があけられ、各発光部7は互いに平行に配置され、その間隙から電極層2が露出している。
最後に、図7に示すとおり、各発光部7上に対し面一的に電極層6を形成し、透明基板1の側縁部や電極層2の側縁部、各発光部7、各発光部7の間隙から露出する電極層2を、電極層6で被覆する。かかる場合、各発光部7の間隙から露出する電極層2と電極層6とを直に接触させ電気的に接続する。
以上の本実施形態によれば、発光部7上に電極層6を形成し、各発光部7の間隙から露出する電極層2に対しそれより低抵抗の電極層6を電気的に接続しているから、輝度ムラの発生を抑制しながら大面積化を実現することができる。
すなわち、有機EL素子10において電極層6がない場合、陰極に相当する電極層4から給電された電子は、陽極に相当する電極層2を通過してその端部から取り出される。かかる場合、電極層2は透明基板1上に面一的に形成されているから、複数の電極層4のうち、内側の(中央部に近い)電極層4から給電された電子は、外側の電極層4から給電された電子よりも、電極層2の抵抗を多く受け電極層2から取り出されにくい。したがって、有機EL素子10を平面視した場合に、内側の位置と外側の位置とでは、内側の位置で輝度が低下し、発光面全体としてみると輝度ムラが発生している。
これに対し、電極層6が形成された場合は、電極層6が各発光部7の間隙から露出する電極層2と電気的に接続されているから、内側の電極層4から給電された電子が、電極層6を通じて取り出されやすく、内側の位置でも輝度が低下しにくく、発光面全体としての輝度ムラの発生が抑制される。
以上から、各発光部7の間隙から露出する電極層2と電極層6とを接触させ電気的に接続すれば、輝度ムラの発生を抑制しながら有機EL素子10によるパネルの大面積化を実現することができる。
ところで、一般的な有機EL素子の構成の例として、基板上に透明電極層、有機化合物層、非透明電極層を順に積層する、ボトムエミッション構造が挙げられる。かかる構造では、非透明電極層として、金属蒸着膜を用いるなどして、面積抵抗の充分に低い電極層を構成することが可能である。これに対し、透明電極層には、金属と比較して抵抗値の高いITOなどの透明導電性材料を用いる必要があるため、非透明電極層に比較して、面積抵抗の高い電極層を形成せざるを得なかった。したがって、透明電極への給電点から、距離の遠い発光点は、輝度が低くなるという問題がある。この問題を踏まえて、輝度ムラの少ない有機EL素子を設計する場合、発光面を長方形にし、その長辺側に透明電極への給電点を設けることが一般的に行われている。
この発光面を長方形にした有機EL素子を複数組み合わせて大面積化する構成の例として、前述の特許文献2〜4の技術が挙げられるが、いずれも単一の発光面をつなぐ非発光のスペースにおいて、電極配線を複雑に設置する必要があることから、非発光のスペースの面積が大きくなるという欠点がある。
これに対し、本実施形態にかかる有機EL素子10では、前述の長方形の発光面の長辺側にあたる透明電極の接点(各発光部7の間隙から露出する電極層2)に対し、電極層6との接触点を給電部として設けているため、非発光のスペースの面積を極めて縮小化することができ、パネルの大面積化に好適に利用することができる。
《サンプルの作製》
図3〜図7の作製順序にしたがってこれと同様の構成を有する有機EL素子のサンプルを作製した。
(1)陽極の作製
(1.1)金属製細線補助電極の形成
1.0mmの厚さ、一辺500mm正方形の無アルカリガラスを支持体に用い、銀ナノ粒子インキ1(TEC−PA−010;InkTec社製)を用いて、1mmピッチ、幅50μmの平行線パターンを有するスクリーン版(メッシュ#730、乳剤厚3μm)でスクリーン印刷を行った。パターンを印刷するエリアの面積は449mm平方とした。平行線パターンの方向は、図3上段における左右水平方向である(点線部参照)。印刷後の支持体を、電気炉を用いて250℃で2分間焼成し、支持体上に金属製細線補助電極を形成した。
金属製細線補助電極のパターンを高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100で測定したところ、パターンの高さは0.7μm、パターン細線上の中心線に沿って測定した平均粗さRaは0.01μmであった。
(1.2)導電性ポリマー層の形成
上記で得られた金属製細線補助電極パターニング済みの支持体上に、下記組成の透明導電層塗布液をウェット膜厚10μmになるようにインクジェットプリンタでパターン塗布した。パターンのエリアは、金属細線補助電極を覆う位置で450mm平方とした。パターン塗布後の支持体を、循環式恒温槽を用いて90℃で1分間乾燥させ、その後電気炉を用いて230℃で2分間焼成し、導電性ポリマー層を形成した。
以上のようにして、金属製細線補助電極と導電性ポリマー層からなる陽極(図3の電極層2に相当する。)を、透明基板上に形成した。
[透明導電層塗布液の組成]
導電性ポリマー分散液(Clevios TH510;H.C.Starck社製、固形分1.7wt%) 17.6g
ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)20wt%水溶液(粘度2.4cp;振動式粘度計) 3.5g
ジメチルスルホキシド 1.0g
(2)有機化合物層の形成
陽極を形成した透明基板を、真空蒸着装置内にセットし、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。
蒸着用るつぼとしてモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、以下の手順で有機化合物層(正孔輸送層,発光層,正孔ブロック層,電子輸送層)を形成した。
まず、真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記α−NPDの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、30nmの正孔輸送層を設けた。
下記Ir−1が13質量%、下記Ir−14が3.7質量%の濃度になるように、Ir−1、Ir−14及び下記化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色燐光発光層を形成した。
次いで、下記E−66が10質量%になるように、E−66及び化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色燐光発光層を形成した。
その後、下記M−1を膜厚5nmに蒸着して正孔ブロック層を形成し、更にCsFを膜厚比で10%になるようにM−1と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。
以上の蒸着は、長辺452mm、短辺146mmの長方形が4mm間隔で3箇所に配置されるように行った(図4上段参照)。
各層形成に用いた化合物を下記に示す。
Figure 2013101893
(3)陰極の形成
上記で形成した電子輸送層の上に、アルミニウムを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの陰極を形成した。
陰極の蒸着は、長辺458mm、短辺144mmの長方形が6mm間隔で3箇所に配置されるように行った(図5上段参照)。
(4)絶縁層の形成
上記で形成した陰極の上に、シランガスとアンモニアガスとを用い、プラズマCVD法を用いて、シリコン窒化物膜を200nmの膜厚で形成した。
絶縁層は、長辺456mm、短辺148mmの長方形が2mm間隔で3箇所に配置されるように形成した(図6上段参照)。
(5)被覆用の電極層の形成
上記で形成した絶縁層の上に、アルミニウム膜をスパッタリングで400nmの膜厚で形成し、被覆用の電極層を形成した。
当該電極層は、長辺458mm、短辺454mmの長方形とし、短辺方向が図7上段における縦線方向と一致するように配置した。
以上の処理により、有機EL素子のパネルサンプルとして「サンプル1」を作製した。
《サンプルの評価》
図7上段中、上下辺に露出する陰極(電極層4)の6箇所を並列接続して負電荷を印加し、また被覆用の電極層(電極層6)の左右端を並列接続して正電荷を印加し、透明基板(透明基板1)側からの発光の強度分布を測定した。その際、印加した電荷は、発光面の単位面積当たりの電流密度が2.5mA/cmとなるように電圧調整した。
その結果、最大輝度(パネルの正電荷印加点直近)が1790cd/mであり、最小輝度(パネルのほぼ中央)が1520cd/mであり、最小輝度/最大輝度の比が85%であった。
以上の結果から、陽極および陰極のほかに第3の電極層として被覆用の電極層を形成し、当該被覆用の電極層を、各発光部(有機化合物層、陰極および絶縁層の積層体)の間隙から露出する陽極と接触させ電気的に接続することは、輝度ムラの発生を抑制しながらパネルの大面積化を実現するうえで、有用であることがわかった。
《サンプルの作製》
(1)サンプル2−1
実施例1のサンプル1において、陽極を、金属製細線補助電極と導電性ポリマー層とを組み合わせたものから、ITOに変更して、「サンプル2−1」を作製した。
その際、サンプル2−1では、各部材のパターンサイズを下記のとおりに変更した。ただし、下記でいう「長辺」とは図7上段における横方向の辺(左右辺)に相当し、「短辺」とは縦方向の辺(上下辺)に相当する。
透明基板:短辺=300mm、長辺=500mm、無アルカリガラス
陽極:短辺=248mm、長辺=450mm
有機化合物層:短辺=78mm、長辺=452mm、パターン間隔=4mm
陰極:短辺=76mm、長辺=458mm、パターン間隔=6mm
絶縁層:短辺=80mm、長辺=456mm、パターン間隔=2mm
被覆用の電極層:短辺=256mm、長辺=454mm
(2)サンプル2−2
サンプル2−1と同様に、実施例1のサンプル1において、陽極を、金属製細線補助電極と導電性ポリマーとを組み合わせたものから、ITOに変更した。
さらに、サンプル2−1の構成において、パネルサイズを同一にしたまま、パネル中の発光部の部数を3つから1つとして「サンプル2−2」とした。
サンプル2−2では、発光部を複数設けていないため、被覆用の電極層の機能は不要になり、当該被覆用の電極層の設置は行わなかった。
各部材のパターンサイズは下記のとおりとした。
透明基板:短辺=300mm、長辺=500mm、無アルカリガラス
陽極:短辺=248mm、長辺=450mm
有機化合物層:短辺=240mm、長辺=452mm
陰極:短辺=238mm、長辺=458mm
絶縁層:短辺=242mm、長辺=456mm
《サンプルの評価》
サンプル2−1,2−2に対し実施例1と同様の評価をおこなった。ただし、サンプル2−2では、正電荷は陽極の左右端を並列接続して印加した。
その結果、サンプル2−1では、最大輝度(パネルの正電荷印加点直近)が1770cd/mであり、最小輝度(パネルのほぼ中央)が1260cd/mであり、最小輝度/最大輝度の比が71%であった。
これに対し、サンプル2−2では、最大輝度(パネルの正電荷印加点直近)が1800cd/mであり、最小輝度(パネルのほぼ中央)が340cd/mであり、最小輝度/最大輝度の比が19%であった。
以上の結果から、発光部を面一的に形成してその部数を1つ(単一)とするよりも、発光部を複数形成してその間隙を被覆用の電極層で被覆し、当該被覆用の電極層を、発光部間の間隙から露出する陽極と電気的に接続するほうが、発光面全体として輝度ムラの発生を抑制しうることがわかった。
1 透明基板
2 電極層(陽極)
3 有機化合物層
4 電極層(陰極)
5 絶縁層
6 電極層
7 発光部
8 金属細線補助電極
9 導電性ポリマー層
10 有機EL素子

Claims (11)

  1. 透明基板と、
    透明導電膜から構成される第1の電極層と、
    有機化合物層、第2の電極層および絶縁層をこの順に積層した発光部と、
    を備え、前記透明基板上に前記第1の電極層が形成され、前記第1の電極層上に複数の前記発光部が形成された有機EL素子であって、
    前記各発光部では、前記第2の電極層が前記絶縁層で被覆され、
    前記各発光部が互いに間隔をあけた状態で前記第1の電極層上に形成され、
    前記各発光部上およびその間隙から露出する前記第1の電極層上には、前記第1の電極層より低抵抗の第3の電極層が形成され、
    前記各発光部の間隙から露出する前記第1の電極層と前記第3の電極層とが接触していることを特徴とする有機EL素子。
  2. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記第1の電極層が透明な金属酸化物を含有する層であることを特徴とする有機EL素子。
  3. 請求項2に記載の有機EL素子において、
    前記透明な金属酸化物を含有する層がITOであることを特徴とする有機EL素子。
  4. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記第1の電極層が、金属製の細線補助電極上に導電性ポリマー層が塗設された電極層であることを特徴とする有機EL素子。
  5. 請求項4に記載の有機EL素子において、
    前記金属製の細線補助電極が、銀もしくは銅またはそれらの合金で構成されていることを特徴とする有機EL素子。
  6. 請求項4または5に記載の有機EL素子において、
    前記導電性ポリマー層がポリチオフェン誘導体を含有することを特徴とする有機EL素子。
  7. 請求項6に記載の有機EL素子において、
    前記導電性ポリマー層が、一般式(I)で表わされる構造単位を含む水溶性バインダー樹脂を含有することを特徴とする有機EL素子。
    Figure 2013101893
    (一般式(I)中、「R」は水素原子またはメチル基を表し、「Q」は−C(=O)O−または−C(=O)NRa−を表す。「Ra」は水素原子またはアルキル基を表し、「A」は置換もしくは無置換アルキレン基または−(CHCHRbO)x−(CHCHRb)−を表す。「Rb」は水素原子またはアルキル基を表し、「x」は平均繰り返しユニット数を表す。)
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機EL素子において、
    前記発光部の絶縁層が、シリコン窒化物膜(SiNx膜)およびシリコン酸化物膜(SiOx膜)から選ばれる少なくとも1種の膜であることを特徴とする有機EL素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機EL素子において、
    前記第3の電極層が封止膜として機能していることを特徴とする有機EL素子。
  10. 請求項9に記載の有機EL素子において、
    前記第3の電極層がアルミニウムまたはアルミニウム/ネオジウム合金から選ばれる金属膜により構成されていることを特徴とする有機EL素子。
  11. 請求項10に記載の有機EL素子において、
    前記第3の電極層上には保護膜が貼合されていることを特徴とする有機EL素子。
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