JPWO2015050081A1 - 導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイス - Google Patents

導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイス Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止し、導電性に優れた導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイスを提供することである。本発明の導電性基板は、基板上に、少なくとも下地層と金属細線パターンとを備えている導電性基板であって、下地層が、少なくとも金属酸化物微粒子と高分子材料とを含有し、かつ、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値(高分子材料の体積/金属酸化物微粒子の体積)が、0.3〜1.2の範囲内にあることを特徴とする。

Description

本発明は、導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイスに関する。より詳しくは、基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止し、導電性に優れた導電性基板及びその製造方法等に関する。
金属細線パターンを有する導電性基板の製造方法として、これまでサブトラクティブ法やアディティブ法といった方法が考案され、信頼性の高い手法として広く用いられてきた。最近では、様々な電子機器に導電性基板が使用されており、機器の高性能化に伴い、導電性基板内の金属細線パターンにもかなりの高密度化が要求されるようになっている。したがって、上記いずれの方法を用いる場合でも、微細加工が可能なフォトリソグラフィー工程を使用して所望の金属細線パターンを形成することが一般的になっている。
フォトリソグラフィー工程では、レジストを基板全面に塗布し仮焼成を行った後、フォトマスクを介して紫外線等を照射し、現像によってレジストパターンを形成する。この後、このレジストパターンをマスクとして不要な部分をエッチング除去して、金属細線パターンを形成する。しかしながら、従来のフォトリソグラフィー工程を用いた金属細線パターンの形成工程においては、パターン形成のための金属膜及びレジストの材料の大部分が無駄になるという問題があった。また、フォトレジスト工程の工程数が多く、スループットが低下するという問題もあった。
そこで近年、金属細線パターンを印刷により製造する試みがなされている。例えば、導電性金属粒子を含有するインクを用いて、スクリーン印刷や、インクジェット印刷などの各種印刷法により導電層や絶縁層を形成して導電性基板を製造する方法が多方面で検討されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、銀や金、銅などのナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散インクを利用して金属ナノ粒子をパターン状に印刷描画し、その後、金属ナノ粒子を焼成し、金属ナノ粒子を焼結させることによって、金属細線パターンを有する導電性基板を得ることが可能となっている。
しかしながら、上記金属ナノ粒子を焼成し電気的な導通が可能な金属細線パターンを形成するためには、200℃以上の熱処理が必要であるため、耐熱性の低い安価な樹脂基板に適用することは困難であるという問題があった。一方、ガラス系基板又は金属基板のような耐熱性の高い基板を用いる場合であっても、基板を薄くすると、高温の熱処理によって、基板に反りや歪みが生じるおそれがあるため、薄型化が困難であるという問題があった。また、基板の熱ダメージを避けるために熱処理温度を低くすると金属ナノ粒子の焼成に時間を要し、スループットが低下するという問題もあった。
上記問題を解決する手段として、金属ナノ粒子にフラッシュ光を照射することにより、導電性の金属細線パターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
前記特許文献2に記載されるような、フラッシュ光を照射することにより金属細線パターンを形成する方法は、金属細線パターンを局所的に高温にできるため導電性の向上に有効な方法である。
しかし、このフラッシュ光を照射する方法では、金属細線パターン自体が非常に高温となるため、金属細線パターンと基板との界面及びその近傍で基板が熱によるダメージを受けやすいという問題が生じる。特に、耐熱温度の低い樹脂基板を用いる場合には、基板のダメージを抑制しながら十分に焼成して金属細線パターンを形成することにより導電性の向上を図ることは、困難であるという問題がある。
この問題に対し特許文献2には、フラッシュ光の照射条件(エネルギー面密度とパルス長)の設定により、基板を損傷せずに金属膜を焼成できるとの記載がある。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、金属細線パターンの種類(材質や形状)や、使用する基板の種類によって、試行錯誤的に照射条件を設定しなければならず、非常に手間が掛かるという問題が生じる。
その一方、金属細線パターンの導電性を向上させるためには、照射するフラッシュ光のエネルギーを高くすることが必要であるが、高エネルギーのフラッシュ光を照射すると金属細線パターンが基板から吹き飛ばされ剥離するため、金属細線パターンを損傷させることなく十分に焼成することが非常に困難であった。
この問題を解決する手段として、特許文献2の実施例12において、金属膜の膜厚を薄くすることや、真空中でフラッシュ光により焼成する方法が提案されている。しかし、前者の金属膜の厚さについては、金属細線パターンに要求される性能(例えば、電気抵抗など。)に基づき設計すべきものであり、焼成プロセスによって制限されることは好ましくない。後者の光焼成を真空中で行う方法については、設備コストの増大や生産性の低下を招くため好ましい方法といえない。
また、特許文献2の実施例13では、上記問題を解決する別の手段として、金属インクに結合材を添加する方法が提案され実施されている。
しかし、このような添加剤を用いた場合には、結合材を用いない場合と比較すると、フラッシュ光照射後に得られる導電性が顕著に低下してしまう。
さらに、特許文献2の実施例15では、フラッシュ光を分割して照射し、初期のフラッシュ光照射で金属膜の剥離や損傷の原因となるガスを放出させた後、より高い強度のフラッシュ光で十分に焼成させる方法も提案されている。
しかしながら、高強度のフラッシュ光を照射する段階では、金属膜の焼成がある程度進み熱伝導性が高くなっており、高強度のフラッシュ光照射によって金属膜と接している基板表面も高温になる。このため、特許文献2の実施例15に開示された方法は、耐熱温度の低い樹脂基板に適用すると、基板へのダメージが生じるという問題がある。
特開2007−332347号公報 特表2008−522369号公報
以上の問題に鑑み、本発明の主な課題は、基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止し、導電性に優れた導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、金属細線パターンの形成をフラッシュ光照射で行う場合に、基板上に下地層を、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値(高分子材料の体積/金属酸化物微粒子の体積、以下、単に「体積比の値」ともいう。)が0.3〜1.2の範囲内となるように形成することによって、下地層が基板と金属細線パターンとの間で断熱層として機能するため、基板への熱によるダメージを抑制でき、高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合であっても下地層自体が熱によるダメージを受けることなく、金属細線パターンの損傷も防止しながら金属細線パターンの導電性を向上できるという効果を見いだし、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基板上に、少なくとも下地層と金属細線パターンとを備えている導電性基板であって、
前記下地層が、少なくとも金属酸化物微粒子と高分子材料とを含有し、かつ、
前記金属酸化物微粒子と前記高分子材料との体積比の値(前記高分子材料の体積/前記金属酸化物微粒子の体積)が、0.3〜1.2の範囲内にあることを特徴とする導電性基板。
2.前記金属酸化物微粒子の平均粒径が、30〜500nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の導電性基板。
3.前記金属酸化物微粒子が、構成成分として、酸化チタン又は酸化ジルコニウムのうち少なくとも一方を含有していることを特徴とする第1項又は第2項に記載の導電性基板。
4.前記基板が、ガスバリアー層を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の導電性基板。
5.前記金属細線パターン上及び前記下地層上の少なくとも一方が、少なくとも導電性ポリマーと、水溶性バインダー又は水分散性バインダーとを含有する面電極化層を備えていることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の導電性基板。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の導電性基板を製造する導電性基板の製造方法であって、
前記金属細線パターンを、フラッシュ光照射により形成することを特徴とする導電性基板の製造方法。
7.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の導電性基板が、備えられていることを特徴とする有機電子デバイス。
8.前記有機電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンスデバイスであることを特徴とする第7項に記載の有機電子デバイス。
本発明の上記手段により、基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止し、導電性に優れた導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイスを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明においては、基板として耐熱性に劣る樹脂基板を用いた場合でも、高エネルギーのフラッシュ光照射による基板へのダメージを防止することができる。これは、本発明に係る下地層が基板と金属細線パターンとの間で断熱層として機能しているためと考えている。また、下地層には、高分子材料よりも耐熱性のある金属酸化物微粒子が、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値で0.3〜1.2の範囲内となるように含有されており、これにより高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合であっても下地層自体が熱によるダメージを受けることがないと考えられる。
本発明によれば、高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合であっても金属細線パターンの剥離や損傷を防止することができる。これは下地層には、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値が0.3〜1.2の範囲内となるよう金属酸化物微粒子が含有されているにより、下地層表面に微細な凹凸が生じ、金属細線パターンとの接着面積が大きくなることによって、金属細線パターンと下地層との接着力が増し、金属細線パターンの剥離や損傷を抑制できたと考えている。
また、金属細線パターンと下地層との接着力が増したことによって、下地層と金属細線パターンとが下地層ごと基板から剥離してしまうことが懸念されたが、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値が0.3〜1.2の範囲内となるよう高分子材料が下地層内に含有されることによって、下地層と基板との密着性及び下地層自体の膜の機械的強度を高めることができ、高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合においても、下地層ごと金属細線パターンが剥離することを抑制できたと考えている。
ところで、インクジェット法で印刷する際にインクの吸収性を向上させるために、基材上に多孔質状のインクの受容層(下地層)を設置することは一般に知られており、幾つかの方法が提案されている。
例えば、支持体上にケイソウ土や真珠岩粉末などの多孔質構造の粒子を含有する下地層を設ける方法(特開昭61−8385号公報)、相互に混和性の低いプラスチックを溶媒に溶解して塗布した後、凝固浴でプラスチックを凝固させ下地層を設ける方法(特開昭62−197183号公報)、基材上にコロイダルシリカ粒子含有親水無機有機複合層からなる下地層を設ける方法(特開平2−147233号公報)、金属酸化物粒子とアルコキシド化合物の加水分解−縮合物を含有するインク受容膜(下地層)を設ける方法(特開2007−169604号公報)、金属酸化物粒子とポリイミド前駆体を含有するインク受容膜(下地層)を設ける方法(特開2010−161118号公報)などがある。
しかし、これらの従来技術においては、本発明で解決しようとしている課題の提示やその解決法の示唆は何らなされておらず、本発明に係る下地層は、従来知られたインクの吸収性を向上させるための下地層とは全く異なる機能と効果を発現するものである。
本発明の好ましい実施形態に係る導電性基板の一例を示す模式図
本発明の導電性基板は、
基板上に、少なくとも下地層と金属細線パターンとを備えている導電性基板であって、
前記下地層が、少なくとも金属酸化物微粒子と高分子材料とを含有し、かつ、
前記金属酸化物微粒子と前記高分子材料との体積比の値(前記高分子材料の体積/前記金属酸化物微粒子の体積)が、0.3〜1.2の範囲内にあることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
これにより本発明は、基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止し、導電性に優れた導電性基板等を提供できる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記金属酸化物微粒子の粒径が、30〜500nmの範囲内であることが、フラッシュ光照射時に金属細線パターンが剥離してしまうおそれ及び下地層とともに導電性パターンが剥離してしまうおそれを回避できることから好ましい。
さらに、本発明においては、金属酸化物微粒子が、構成成分として、酸化チタン又は酸化ジルコニウムのうち少なくとも一方を含有していることが好ましい。これにより、寿命がより優れた有機電子デバイスを提供できる。
さらに、本発明においては、基板が、ガスバリアー層を有することが好ましい。これにより、有機電子デバイス内部に水分や酸素が拡散することを防止できる導電性基板を提供できる。
さらに、本発明においては、金属細線パターン上及び前記下地層上の少なくとも一方が、少なくとも導電性ポリマーと、水溶性バインダー又は水分散性バインダーとを含有する面電極化層を備えていることが好ましい。これにより、金属細線パターンの剥離や下地層のクラックを防止できるとともに、本発明の導電性基板を面電極として機能させ、有機電子デバイスに好適に用いることができる。
本発明の導電性基板は、有機電子デバイスに好適に備えられ、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイスに備えられることが好ましい。
本発明の導電性基板を製造する導電性基板の製造方法としては、前記金属細線パターンをフラッシュ光照射により形成する態様の製造方法であることが、基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止できるため好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明の導電性基板の概要)
本発明の導電性基板は、基板上に、少なくとも下地層と金属細線パターンとを備えている導電性基板であって、
前記下地層が、少なくとも金属酸化物微粒子と高分子材料とを含有し、かつ、
前記金属酸化物微粒子と前記高分子材料との体積比の値(前記高分子材料の体積/前記金属酸化物微粒子の体積)が、0.3〜1.2の範囲内にあることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態に係る導電性基板は基板、下地層及び金属細線パターンを有しており、そのベースとなる基板上に、少なくとも下地層と導電性の金属細線パターンとを有している。詳しくは、基板上には下地層が形成され、下地層上には金属細線パターンが形成されている。下地層は主に金属酸化物微粒子と高分子材料とからなり、金属細線パターンは金属ナノ粒子分散インクを下地層上に塗布、印刷することで形成される。金属ナノ粒子は、フラッシュ光照射により焼成され、金属細線パターンが形成される。
かかる導電性基板を製造する場合は、基本的には、(i)基板上に下地層を形成し、(ii)その後に下地層上に金属ナノ粒子のパターンを形成し、(iii)最後にナノ粒子のパターンにフラッシュ光を照射して、金属細線パターンが形成される。
図1には、その一例として、基板2上に、下地層4、金属細線パターン6を備えた導電性基板1を示している。
当該導電性基板は、好ましくは基板が透明樹脂基板で構成され、これに加えさらに好ましくは基板と下地層との間に透明なガスバリアー層が形成され、これらに加えさらに好ましくは基板、下地層及びガスバリアー層が透明である。
[基板]
本発明の導電性基板に用いられる基板は、本発明に係る下地層と金属細線パターンを形成し保持する機能を有していれば特に制限はなく、ガラス基板や樹脂基板等を用途に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明に係る基板の透明性は、用途によって任意に選択することができるが、透明性が高いほど透明電極等への適用も可能になり用途拡大の観点で好ましい。
例えば、シリカガラス、無アルカリガラス等の透明なガラスや、透明な樹脂基板や樹脂フィルム等を用いることが好ましく、さらには、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から、透明樹脂基板を用いることがより好ましい。
[透明樹脂基板]
透明樹脂基板における「透明」とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が70%以上であることをいう。
透明樹脂基板の材料としては、透明な樹脂材料であれば特に制限されることはなく、公知のものを使用することができる。特に、軽量性とフレキシブル性といった性能やロール・トゥ・ロールプロセス適性の観点から透明な樹脂フィルム等を用いることが好ましく、その材料、形状、構造、厚さ等については公知のものの中から適宜選択することができる。
樹脂フィルムとして、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nmの範囲内)における透過率が80%以上であるものが好ましい。
中でも透明性、取り扱いやすさ、強度の点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム等であることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート樹脂フィルムであることがより好ましい。
さらに、コストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムであることが最も好ましい。本発明に用いられる透明樹脂基板には、透明樹脂基板上に塗布する塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。
例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理及びレーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
[ガスバリアー層]
有機ELデバイスなどの有機電子デバイス(以下、単に「デバイス」ともいう。)は、デバイス内部に微量の水分や酸素が存在すると容易に性能劣化が生じてしまう。そのため、PETなどの樹脂を使用する透明樹脂基板の場合、透明樹脂基板を通してデバイス内部に水分や酸素が拡散することを防止するため、水分や酸素に対して高い遮蔽能を有するガスバリアー層を形成することが好ましい。
本発明に係るガスバリアー層の組成や構造及びその形成方法には特に制限はなく、シリカ等の無機化合物による層を真空蒸着やCVD法により形成することができる。また、ポリシラザン化合物を含有する塗布液(ガスバリアー層形成用塗布液)を塗布、乾燥及び除湿処理した後、酸素及び水蒸気を含む窒素雰囲気下で紫外線照射により酸化処理(改質処理)を行い、酸窒化ケイ素を含有するガスバリアー層を形成することもできる。
ガスバリアー層形成用塗布液に含有されうる溶媒としては、ポリシラザンと反応するものでなければ特に制限はなく、公知の溶媒が用いられうる。具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素系溶媒や、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。より詳細には、炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン、塩化メチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。また、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で、又は2種以上を混合して用いられうる。
ガスバリアー層形成用塗布液の塗布方法は、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法又はドクターコート法等の各種印刷方法に加えて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法及びインクジェット印刷等の各種塗布方法を用いることができる。ガスバリアー層をパターン状に形成することが好ましい場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法及びインクジェット印刷法を用いることが好ましい。
なお、上述のポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H及びN−H等を有するSiO、Si及び両方の中間固溶体SiOxNy等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
また、樹脂基板に形成させるガスバリアー層としては、特に、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温でセラミック化してシリカに変性するものがよく、下記一般式(1)で表されるものを好ましく用いることができる。
Figure 2015050081
一般式(1)中、R、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
一般式(1)で表されるものの中でも、パーヒドロポリシラザン及びオルガノポリシラザンであることが好ましい。
パーヒドロポリシラザンは、R、R及びRの全てが水素原子であり、オルガノポリシラザンは、R、R及びRのいずれかがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基である。得られるガスバリアー層としての緻密性から、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
本発明に係るガスバリアー層は1層でもよいが、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する場合には、無機化合物の積層構造であってもよいし、無機化合物と有機化合物のハイブリッド被膜として形成してもよい。また、ガスバリアー層の間に応力緩和層を挟んでもよい。また、ガスバリアー層は、透明樹脂基板に対して下地層、金属細線パターン、面電極化層を有する側の面に備えられる構成でもあってもよいし、その反対側の面に備えられる構成であってもよいし、導電層を有する側と反対側の面の両面に備えられる構成であってもよい。
単層の場合でも積層した場合でも一つのガスバリアー層の層厚は、30〜1000nmの範囲内が好ましく、更に好ましくは30〜500nmの範囲内、特に好ましくは90〜500nmの範囲内である。30nm以上とすると層厚均一性が良好となり、優れたガスバリアー性能が得られる。また、1000nm以下にすると、屈曲によるクラックが急激に入ることが極めて少なくなり、成膜時の内部応力の増大をとどめて、欠陥の生成を防止することができる。
本発明に係るガスバリアー層を有する透明樹脂基板は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm(1atmは、1.01325×10Paである)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましい。
本発明に係るガスバリアー層を形成する前に、透明樹脂基板との接着性を向上するために、シランカップリング剤などを用いて透明樹脂基板の表面に前処理を施すこともできる。
また、ガスバリアー層上に下地層形成用分散液を塗布する場合、濡れ性や接着性を確保するために、従来公知の表面処理を施すことができる。具体的には表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理及びレーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
[下地層]
本発明に係る下地層は、少なくとも金属酸化物微粒子と高分子材料とを含有し、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値(前記高分子材料の体積/前記金属酸化物微粒子の体積)が、0.3〜1.2の範囲内にあることを特徴とする。本発明に係る下地層を導電性基板に用いることによって、フラッシュ光照射による基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止しながら金属細線パターンの導電性を向上できる。
本発明において、基板として耐熱性に劣る樹脂基板を用いた場合でも、高エネルギーのフラッシュ光照射による基板へのダメージを抑制・防止することができる。これは、本発明に係る下地層が基板と金属細線パターンとの間で断熱層として効果的に機能しているためと考えている。また、下地層には、高分子材料よりも耐熱性のある金属酸化物微粒子が、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値で0.3〜1.2の範囲内となるように含有されており、これにより高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合であっても下地層自体が熱によるダメージを受けることがないと考えられる。
また、本発明では、金属細線パターンを高導電化するために高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合であっても、金属細線パターンの剥離や損傷を抑制・防止することができる。
これは下地層に含有される金属酸化物微粒子により下地層表面に微細な凹凸が生じ、金属細線パターンとの接着面積が大きくなることによって、金属細線パターンと下地層との接着力が増し、金属細線パターンの剥離や損傷を抑制できたと考えている。
また、金属細線パターンと下地層との接着力が増したことによって、下地層と金属細線パターンが下地層ごと基板から剥離してしまうことが懸念されたが、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値が0.3〜1.2の範囲内となるよう高分子材料が下地層内に含有されることによって、下地層と基板との密着性及び下地層自体の機械的強度を高めることができ、高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合においても、下地層ごと金属細線パターンが剥離することを抑制できたと考えている。
上述の体積比の値が0.3以上の場合は、下地層と基板との密着性及び下地層自体の層の機械的強度が弱くならない。このため、高エネルギーのフラッシュ光を照射した場合であっても、下地層ごと金属細線パターンが剥離することがなく、ひいては、金属細線パターンに損傷が発生することを抑制できる。さらに、高分子材料が金属酸化物微粒子の空隙に充填されるため、下地層内の空隙の割合が高くなることを抑えることができる。本発明の導電性基材を面電極として用いるためには、金属細線パターンと下地層上に面電極化層を積層する必要があり、さらに、有機電子デバイスの電流リークが起きないように、導電性ポリマーを含む面電極化層が下地層を覆う必要がある。そのため、下地層の空隙の割合が高くなることを抑えることができると、面電極化層が下地層の空隙に染み込むことを防ぐことができるため、下地層を被覆するために面電極化層を厚くする必要がなくなり、ひいては、導電性基材の透明性が悪化することを抑制することができる。
一方、上述の体積比の値が1.2以下の場合は、金属酸化物微粒子の凹凸を高分子材料が完全に覆うことがなく、このため、下地層表面が平滑化するおそれを回避できる。これにより、下地層と金属細線パターンとの接着力が弱くなることを防ぎ、ひいては、金属細線パターンの剥離及び損傷を抑制できる。
さらに、上述の体積比の値が1.0以下の場合は、金属細線パターンを形成する金属ナノ粒子分散インクの一部が下地層内に染み込むことによって、金属細線パターンと下地層との接着はより強固なものとなり、金属細線パターンの剥離や損傷を防止することができるため好ましい。また、基板に低粘度の金属ナノ粒子分散インクを用いて金属細線パターンを形成する場合、金属ナノ粒子分散インクの濡れ広がりも抑制できるため好ましい。これは、金属ナノ粒子分散インクの溶媒成分の一部が下地層に染み込み、金属ナノ粒子分散インクの乾燥が早くなるためと考えている。
下地層の厚さは、0.1〜3.0μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μmの範囲内である。下地層の厚さが0.1μm以上であると、下地層自体の断熱材としての効果が低下することを抑制でき、ひいては、フラッシュ光照射により発熱した金属細線パターンによって、基板が熱によるダメージを受けるおそれを回避できる。
一方、下地層の厚さが3.0μm以下であると、導電性基板の下地層に起因した透明性の劣化を抑制できる。また、樹脂基板等のフレキシブルな基板を用いた場合であっても、下地層の厚さが3.0μm以下であれば、基板屈曲時に下地層に割れが生じるおそれを回避できる。
下地層の透明性は、用途によって任意に選択することができるが、透明性が高いほど透明電極等への適用も可能になり、用途拡大の観点で好ましい。下地層の全光線透過率としては、少なくとも40%以上、好ましくは70%以上である。
下地層は、溶媒に高分子材料と後述の金属酸化物微粒子を分散することで下地層形成用分散液を作製し、当該下地層形成用分散液を基板上に塗布することで形成できる。
下地層形成用分散液に用いる分散溶媒には特に制限はないが、高分子材料の析出と金属酸化物微粒子の凝集が起こらない溶媒を選択することが好ましい。
また、分散性の観点から、高分子材料と金属酸化物微粒子とを混合した液を超音波処理やビーズミル処理といった方法で分散させ、フィルター等でろ過することが、塗布乾燥後の基板上に金属酸化物の凝集物が発生することを防ぐことができるため好ましい。基板上に金属酸化物の凝集物が発生すると、有機電子デバイスに用いた際に電流リークの発生の要因となる。
本発明に係る下地層の形成方法は、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、塗工方法として、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷等の各種印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種塗布法を用いることができる。
下地層をパターン状に形成することが好ましい場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を用いることが好ましい。
本発明に係る下地層は、基板上に上記塗工法を用いて成膜した後、温風乾燥や赤外線乾燥などの公知の加熱乾燥法や自然乾燥などにより乾燥して形成することができる。加熱乾燥する場合の温度は、使用する基板に応じて適宜選択することができるが、樹脂基板の場合には一般に200℃以下の温度で実施することが好ましい。また、後述のように選択する高分子材料によっては、紫外線等の光エネルギーによる硬化や、基板へのダメージのない範囲での熱硬化などの処理を行ってもよい。
また、下地層形成用分散液に用いる分散溶媒として、水やその他のヒドロキシ基を有する極性溶媒を選択できる場合は、乾燥方法として光源のフィラメント温度が1600〜3000℃の範囲内にある赤外線ヒーターを用いることが好ましい。該赤外線ヒーターは水やその他のヒドロキシ基を有する極性溶媒に対しては吸収を持つため、溶媒の乾燥が可能である。一方、耐熱性の低いPET基板やPEN基板に対しては、吸収が少ないため、基材に対する熱ダメージがない。
ヒドロキシ基を有する極性溶媒としては、水(蒸留水、脱イオン水などの純水が好ましい。)の他、メタノール又はエタノール等のアルコール系溶媒、グリコール類、グリコールエーテル類、若しくは水とアルコールの混合溶媒等が挙げられる。グリコールエーテル類系有機溶媒としては、具体的には、例えば、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどがある。また、アルコール系有機溶媒としては、具体的には、例えば、上述のメタノール、エタノールの他、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジアセトンアルコール、ブトキシエタノールなどがある。
本発明に係る下地層を形成する前に、基板又はガスバリアー層との接着性を向上するために、シランカップリング剤などを用いて基板又はガスバリアー層の表面に前処理を施すこともできる。
[金属酸化物微粒子]
金属酸化物微粒子の平均粒径は、30〜500nmの範囲内であることが好ましく、特に40〜200nmの範囲内であることが、有機電子デバイスに好適に用いることができ好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒径が30nm以上であると下地層表面に十分な凹凸を作ることができ、このため、金属細線パターンと下地層との接着力が弱くなることを抑制でき、ひいては、フラッシュ光照射時に金属細線パターンが剥離してしまうおそれを回避できる。一方、平均粒径が500nm以下であると、下地層内の高分子材料と基板との界面が減少せず、このため、下地層と基板との接着性が弱くなることを抑制でき、ひいては、フラッシュ光を照射した場合に下地層とともに導電性パターンが剥離してしまうおそれを回避できる。
本発明に係る金属酸化物微粒子の平均粒径は、光散乱方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能であり、具体的には、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて、レーザードップラー法により25℃、サンプル希釈液量1mlにて測定した値をいう。
下地層に含有される金属酸化物微粒子はマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、スズ、バリウム、タンタル等の金属の酸化物である。特に、本発明において、金属酸化物微粒子は、酸化チタン又は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムのいずれかであることが好ましい。さらに、有機電子デバイスの寿命がより優れることから酸化チタン及び酸化ジルコニウムの微粒子うち少なくとも1種類が含有されていることがより好ましい。この有機電子デバイスの寿命がより優れる、という効果を発揮するための詳細な機構は不明であるが、酸化チタンや酸化ジルコニムを用いると有機電子デバイスの発光効率が向上し、ひいては、少ない電流量で有機電子デバイスを駆動できるようになるため寿命に優れた有機電子デバイスが作製できたと考えている。
酸化チタン微粒子は、特開昭59−223231号公報、特開平10−265223号公報、特開2009−179497号公報、特開2010−058047号公報、特開2008−303126号公報、国際公開第2001/016027号等に記載の合成方法や、「酸化チタン−物性と応用技術」(清野学著、技報堂出版(株)、p.255〜258)を参考にして合成することができる。
また、金属酸化物微粒子は、分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施したものを用いるか、又は表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び金属水酸化物のうち少なくとも一方であることが好ましく、金属水酸化物がより好ましい。また、下地層は、金属酸化物微粒子以外の無機化合物を含有していてもよい。無機化合物とは、一般に理解されているように有機化合物以外の化合物であり、具体的には、単純な一部の炭素化合物と、炭素以外の元素で構成される化合物である。
下地層を構成する無機化合物の代表的な例としては、前述の金属酸化物のほか、金属、炭化物、窒化物、ホウ化物等を挙げることができる。
これらの無機微粒子は、金属酸化物微粒子とともに塗布し、乾燥して、下地層の形成を行ってもよい。
[高分子材料]
本発明に係る高分子材料は下地層中に金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値が0.3〜1.2の範囲内となるように含有されることで、膜の機械的強度を高めるとともに、下地層と基板との接着力を強くすることができ、基材からの金属細線パターンと下地層の剥離を抑制できる。
なお、本発明に係る高分子材料の比重は全て1.0g/cmとして固形分質量から体積量を計算するものとする。
本発明に用いる高分子材料は下地層に含まれる金属酸化物微粒子とともに基板上に膜形成ができる高分子材料であれば特に制限はなく、単量体の繰り返し構造を持つ公知の天然高分子材料、合成高分子材料を使用することができる。これらは有機高分子材料、無機高分子材料、有機無機ハイブリッド高分子材料及びこれらの混合物等が使用可能で、高分子材料と金属酸化物微粒子分散物状態、塗布膜の各種物性等により選定することができる。高分子材料は、公知の方法により合成することができる。天然高分子材料は、天然原料からの抽出、セルロース等のように微生物により合成することができる。合成高分子は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、開環重合、重縮合、付加重合、付加縮合及びこれらのリビング重合等で得ることができる。またこれらの高分子材料は、単独重合体でも共重合体でも良く、不斉炭素を有するモノマーを使用する場合、ランダム、シンジオタックチック、アイソタックチックのいずれかの規則性を持つことができる。また、共重合体の場合、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等の形態をとることができる。
本発明に用いる高分子材料の形態は、高分子材料自体が液体でも固体でも良い。また、高分子材料は溶媒に溶解している、又は、高分子材料は溶媒中に均一に分散していることが好ましい。さらに、本発明においては、高分子材料が水溶性樹脂、又は水分散性樹脂であることがより好ましい。
また、本発明に用いる高分子材料は紫外線・電子線によって硬化する電離放射線硬化型樹脂や、熱により硬化する熱硬化性樹脂であってよく、ゾル−ゲル法により作成される樹脂であってもよい。さらに、本発明に用いる高分子材料は架橋していてもよい。また、本発明に用いる高分子材料は、2種以上混合して使用することもできる。
本発明において用いる高分子材料の天然高分子及び合成高分子は、大木道則、大沢利昭、田中元治、千原秀昭編「化学大辞典」(東京化学同人、1989年刊)1551及び769ページのそれぞれの項に記載されているものを一例として使用することができる。
具体的には、天然高分子材料としては天然有機高分子材料が好ましく、綿、麻、セルロース、絹、羊毛などの天然繊維や、ゼラチンなどのたんぱく質、天然ゴムなどを挙げることができる。
合成高分子材料としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン樹脂などを挙げることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリシクロペンテン、ポリノルボルネンなどを挙げることができる。
ポリアクリル樹脂としては、例えば、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。
ポリビニル樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテルなどを挙げることができる。
ポリエーテル樹脂としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートなどを挙げることができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11などを挙げることができる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンなどを挙げることができる。
本発明における水溶性樹脂とは、水溶性の樹脂のことであり、25℃の水100gに0.001g以上溶解する樹脂を意味する。溶解の度合いは、ヘイズメーター、濁度計等で測定することができる。
なお、水溶性樹脂の色は特に限定されないが、透明であることが好ましい。
水溶性樹脂の数平均分子量は、3000〜2000000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは4000〜500000の範囲内、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
水溶性樹脂の数平均分子量、分子量分布の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、バインダーが溶解すれば特に限りはないが、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが、40℃であることが好ましい。
水溶性樹脂としては、具体的には、天然高分子材料、合成高分子材料としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができる。
本発明における水分散樹脂とは水系溶剤に均一分散可能なものであり、水系溶剤中に凝集せずに、樹脂からなるコロイド粒子が分散していることを意味する。コロイド粒子の大きさ(平均粒径)は、一般的に0.001〜1μm(1〜1000nm)の範囲内程度である。上記のコロイド粒子の平均粒径は、光散乱光度計により測定することができる。
また、上記水系溶剤とは、蒸留水及び脱イオン水などの純水のみならず、酸、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、更には親水性の有機溶媒等の溶媒であることを意味し、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
本発明に用いられる水分散性樹脂としては、透明であることが好ましいが、フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はなく、具体的には、例えば、水性アクリル系樹脂、水性ウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
水性アクリル樹脂は、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸−スチレンの重合体、又はその他のモノマーとの共重合体からなる。また、水系溶媒への分散性を付与する機能を担う酸部分がリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等のイオンと対塩を形成したアニオン性、窒素原子を有するモノマーとの共重合体からなり、窒素原子が塩酸塩等を形成したカチオン性、ヒドロキシ基やエチレンオキシド等の部位を導入したノニオン系があるが、好ましくはアニオン性である。
水性ウレタン樹脂としては、水分散型ウレタン樹脂、アイオノマー型水性ウレタン樹脂(アニオン性)等がある。水分散型ウレタン樹脂には、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂があり、好ましくはポリエステル系ウレタン樹脂である。また、光学用途への使用では、芳香環を持たない無黄変イソシアネートを用いることが好ましい。
アイオノマー型水性ウレタン樹脂には、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等があり、好ましくはポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂である。
水性ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分とポリオール成分とから合成される。
多塩基酸成分とは、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸等であり、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよく、特に好適に用いることのできる多塩基酸成分としては、工業的に多量に生産されており、安価であることなどから、テレフタル酸やイソフタル酸が特に好ましい。
ポリオール成分として代表的なものを挙げれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどであり、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよく、特に好適に用いることのできるポリオール成分としては、工業的に量産され、安価であり、しかも、樹脂被膜の耐溶剤性や耐候性が向上するなど、諸性能にバランスがとれていることから、エチレングリコール、プロピレングリコール又はネオペンチルグリコールが特に好ましい。
本発明における無機高分子材料としては、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリシラン、ポリゲルマン、ポリスタナン、ボラジン系ポリマー、ポリメタロキサン、ポリシラザンなどを挙げることができる。
ポリシロキサンとしては、具体的に、シリコーン、シルセスキオキサン、シリコーン樹脂などを挙げることができる。
本発明における有機無機ハイブリッド高分子材料としては、ポリカルボシラン、ポリシリレンアリレン、ポリシロール、ポリホスフィン、ポリホスフィンオキシド、ポリ(フェロセニルシラン)、シルセスキオキサンを基本骨格としたシルセスキオキサン誘導体、樹脂にシリカを複合化させた樹脂などを挙げることができる。
シルセスキオキサンを基本骨格としたシルセスキオキサン誘導体としては、具体的に、光硬化型SQシリーズ(東亞合成株式会社)、コンポセランSQ(荒川化学株式会社)、Sila−DEC(チッソ株式会社)などを挙げることができ、本発明においては好適に用いることができる。また、樹脂にシリカを複合化させた樹脂としては、具体的に、コンポセランシリーズ(荒川化学)などを挙げることができる。
本発明には電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等の硬化性樹脂を用いることができる。
本発明における電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる樹脂である。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keVの範囲内、好ましくは30〜300keVの範囲内のエネルギーを有する電子線等が使用される。
紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
紫外線照射装置としては、具体的には、100〜230nmの範囲内の真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
本発明における熱硬化性型樹脂とは、加熱により硬化する樹脂であり、樹脂内には架橋剤が含まれていることがより好ましい。本発明における熱硬化性型樹脂の加熱方法としては、従来公知の加熱方法を用いることができ、ヒーター加熱、オーブン加熱、赤外線加熱、レーザー加熱などを用いることができる。
本発明における高分子材料は、水溶性樹脂、水分散樹脂、有機無機ハイブリッド高分子材料、硬化性樹脂等を好適に用いることができる。
[金属細線パターン]
金属細線パターンは、金属材料を含有し、下地層上に開口部を有するようにパターン状に形成されている。開口部とは、透明な基板を用いた場合、金属細線パターンを有さない部分であり、金属細線パターンの透光性部分である。
金属細線パターンのパターン形状には特に制限はない。金属細線パターンのパターン形状としては、例えば、ストライプ状(平行線状)、格子状、ハニカム状、ランダムな網目状等が挙げられるが、透明性の観点から、特にストライプ状であることが好ましい。
また、透明な基板を用いる場合、開口部が占める割合、すなわち開口率は透明性の観点から80%以上であることが好ましい。
例えば、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。
金属細線パターンの線幅は、好ましくは10〜200μmの範囲内であり、更に好ましくは10〜100μmの範囲内である。金属細線パターンの線幅が10μm以上で所望の導電性が得られ、また、200μm以下とすることで透明性が向上する。
ストライプ状、格子状のパターンにおいて、金属細線パターンの間隔は、0.5〜4mmの範囲内であることが好ましい。
金属細線パターンの高さ(厚さ)は、0.1〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜2.0μmの範囲内であることがより好ましい。金属細線パターンの高さが0.1μm以上で所望の導電性が得られ、また、5.0μm以下とすることで有機電子デバイスに用いる場合に、その凹凸差が機能層の層厚分布に与える影響を軽減できる。
金属細線パターンを後述する印刷法により形成する場合には、金属ナノ粒子を含有する金属ナノ粒子分散インクが用いられる。
金属ナノ粒子分散インクにおける金属ナノ粒子の平均粒径としては、原子スケールから1000nm以下のものが好ましく適用できる。本発明においては、特に平均粒径が3〜300nmの範囲内であるものが好ましく、5〜100nmの範囲内であるものがより好ましく用いられる。特に平均粒径3〜100nmの範囲内の銀ナノ粒子が好ましい。
金属ナノ粒子分散インクは、水、アルコール等の溶媒中に金属ナノ粒子を含有しているが、必要に応じてバインダー、金属を分散させるための分散剤等を含有してもよい。
本発明に係る金属ナノ粒子の平均粒径は、金属ナノ粒子の電子顕微鏡観察から、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子をランダムに200個以上観察し、各金属ナノ粒子の粒径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。ここで、本発明に係る平均粒径とは、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子の外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。なお、平均粒径を測定する際、明らかに金属ナノ粒子の側面などを表しているものは測定しない。
金属細線パターンの形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が利用できる。この従来公知の金属細線パターンの形成方法としては、例えば、フォトリソ法、塗布法、印刷法を応用した方法等を利用できる。
フォトリソ法とは、具体的には、下地層付きの基材上に全面に、印刷又は塗布にて金属ナノ粒子分散インクを形成し、フラッシュ光照射により焼成した後に、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状、格子状、ハニカム状に加工できる。
公知の印刷法とは、金属ナノ粒子を含有する金属ナノ粒子分散インクを、基板上に塗布して、パターンを形成する方法である。
印刷法としては、具体的には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法が挙げられる。特に金属ナノ粒子分散インクの粘度が低い場合には、インクジェット印刷法が好適に用いられる。
各印刷法は、一般的に電極パターン形成に使われる方法が本発明に関しても適用可能である。具体的な例として、グラビア印刷法については特開2009−295980号公報、特開2009−259826号公報、特開2009−96189号公報、特開2009−90662号公報記載の方法等が、フレキソ印刷法については特開2004−268319号公報、特開2003−168560号公報記載の方法等が、スクリーン印刷法については特開2010−34161号公報、特開2010−10245号公報、特開2009−302345号公報記載の方法等が、インクジェット印刷法については特開2011−180562号公報、特開2000−127410号公報、特開平8−238774号公報記載の方法等が例として挙げられる。
[フラッシュ光照射による焼成]
本発明に係る金属細線パターンを形成する方法は、金属ナノ粒子を含有する金属細線パターンを、フラッシュランプを用いた光照射(フラッシュ光照射)により形成する方法であることが、導電性基板の導電性が向上するため好ましい。
本発明に係るフラッシュ光照射で用いられるフラッシュランプの放電管としては、キセノン、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の放電管を用いることができるが、キセノンランプを用いることが好ましい。
本発明に係るフラッシュランプの好ましいスペクトル帯域としては、240〜2000nmの範囲内であることがフラッシュ光照射により本発明に係る基板に対して熱変形等のダメージを与えないため好ましい。
本発明に係るフラッシュランプの光照射条件は任意であるが、光照射エネルギーの総計が0.1〜50J/cmの範囲内であることが好ましく、0.5〜10J/cmの範囲内であるのがより好ましい。光照射時間は10μ秒〜100m秒の範囲内が好ましく、100μ秒〜10m秒の範囲内で行うのがより好ましい。また、光照射回数は1回でも複数回でも良く、1〜50回の範囲で行うのが好ましい。これらの好ましい条件範囲でフラッシュ光照射を行うことにより、基板にダメージを与えることなく金属細線パターンを形成でき、ひいては、導電性の高い導電性基板を得ることができる。
基板に対するフラッシュランプの照射は、金属細線パターンの印刷してある表側から照射することが好ましいが、基板が透明体である場合には、裏側から照射しても両側から照射することもできる。
本発明に係るフラッシュ光照射は大気中で行ってもよいが、必要に応じ、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。
また、フラッシュ光照射時の基板温度は、基板の耐熱温度や、金属ナノ粒子や金属錯体を含有するインクの分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、インクの分散性や酸化性等の熱的挙動などを考慮して決定すればよく、室温以上200℃以下で行うことが好ましい。また、金属細線パターンを導電性ナノ粒子分散インクで形成した後に、あらかじめプレ乾燥しておくことが、金属細線パターンから溶剤、分散剤成分を除去でき金属細線パターンの剥離が起こりにくくなるため好ましい。なお、プレ乾燥は、ヒーターや温風乾燥や赤外線乾燥などの公知の乾燥法や自然乾燥などにより行うことができる。特に加熱乾燥では、50〜200℃の温度範囲で、基板の変形がない温度で加熱することが好ましい。基板に樹脂基板を用いる場合は、50〜150℃の温度範囲で加熱することがより好ましい。基板にPET基板を用いる場合は、100℃以下の温度範囲で加熱することが特に好ましい。焼成時間は温度や使用する金属ナノ粒子の大きさにもよるが、10秒〜30分の範囲内であることが好ましく、生産性の観点から、10秒〜15分の範囲内であることがより好ましく、10秒〜5分の範囲内であることが特に好ましい。
フラッシュランプの光照射装置は上記の照射エネルギー、照射時間を満足するものであればよい。
[面電極化層]
本発明に係る面電極化層は、少なくとも導電性ポリマーと、水溶性バインダー又は水分散性バインダーを含有することが好ましい。導電性ポリマーを含有することで、金属細線パターン間の電流の面均一性を得ることができる。本発明に係る面電極化層は、金属細線パターンの間隔にもよるが5〜5000Ω/□の範囲内の透明な導電層である。面電極化層は下地層と金属細線パターンを被覆するように形成される。これにより、透明性、フレキシブル基板への適応性(折り曲げ時のクラックが生じない)、金属細線パターンの凹凸を平滑にして有機電子デバイスの電流リークを防止できる。
また、バインダーを含有することで、高い導電性と、導電性ポリマー単独では得られない高い透明性とが得られる。また、金属細線パターンと下地層との補強膜の役割を果たし、金属細線パターンの剥離や下地層のクラックを防止する。
また、面電極化層は、下地層に完全浸透していてもよいし、面電極化層の一部が下地層に浸透していてもよいし、下地層上に形成されていてもよい。
また、面電極化層は、透明な無機微粒子を含有していてもよい。
面電極化層内に無機微粒子を含有させることで、相対的にバインダーの含有量が減少し、乾燥時に水等の溶媒成分の揮発が進みやすくなる。
上記に加えて、無機微粒子の添加により、面電極化層の機械的強度が増大し、ロール・トゥ・ロールプロセスでの巻取りに耐え得る(擦れの発生がない)導電性基板となるため好ましい。
面電極化層内の無機微粒子の平均粒径は、平滑性向上の点から、小さいほどよく、好ましくは100nm以下である。無機微粒子の平均粒径が100nm以下であれば、面電極化層自体に凹凸が生じるのを防止し、有機電子デバイスに用いた際に、電流リークの発生を抑え、良好な整流比を得ることができる。
面電極化層に用いる無機微粒子の成分は、金属、金属酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物等を挙げることができる。特に透明性の観点から金属酸化物であることが好ましい。
金属細線パターン上に面電極化層を形成する場合、面電極化層の乾燥層厚は、100〜700nmの範囲内であることが好ましい。本発明に係る面電極化層の乾燥層厚は、下地層上又は金属細線パターン上の層厚を意味する。
面電極化の乾燥層厚は、導電性の点から、100nm以上であるが、透明電極を有機電子デバイスに用いる場合には、金属細線パターンの凹凸差を平滑化し、機能層の層厚分布への影響を軽減する観点から、150nm以上であることがより好ましい。また、面電極化層の乾燥層厚が100nm以上であれば、有機電子デバイスに用いた際に、電流リークを抑え、整流比を良好にすることができる。さらに、フレキシブルな基板に用いた場合、下地層自体の機械的強度を強くし、折り曲げの際に生じる下地層のクラックを防止することができる。
また、透明性の点から、600nm以下であることがより好ましい。
面電極化層の形成方法としては、任意の適切な方法を選択することができ、具体的には、例えば、導電性ポリマー、水溶性バインダー又は水分散性バインダー、及び水又はヒドロキシ基を有する極性溶媒を混合して面電極化層形成用塗布液を調製し、当該面電極化層形成用塗布液を下地層及び金属細線パターンのうち少なくとも一方の上に塗布する方法が挙げられる。
面電極化層形成用塗布液の塗布方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種塗布法を用いることができる。
また、面電極化層をパターン状に形成する場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を用いることが好ましい。
さらに、面電極化層形成用塗布液は塗布した後、適宜乾燥処理を施すことができる。乾燥処理の条件として特に制限はないが、基板や導電層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。具体的には、ヒーターや赤外線(IR)ヒーターを用いた加熱、減圧乾燥、誘導加熱、マイクロ波加熱、レーザー、プラズマ加熱等が挙げられるが、温度や湿度制御の簡便さの観点から、ヒーターを用いた加熱が好ましい。
加熱乾燥する場合の温度は、使用する基板に応じて適宜選択することができるが、基板に樹脂基板を用いる場合には、150℃以下の温度で実施することが好ましく、基板にPET基板を用いる場合は、120℃以下の温度で実施することがより好ましい。
また、耐熱性の低い樹脂基板を用いる場合には、導電性ポリマー含有層を選択的に乾燥させるために、基板の吸収が少ない赤外線波長域を選択することが好ましい。例えば、基板がPET基板やPEN基板の場合には、前述のような光源のフィラメント温度が1600〜3000℃の範囲内にある赤外線ヒーターを用いることが好ましい。または、迅速に乾燥するために、水の吸収極大が存在する3μm近傍の赤外線波長域を選択することも好ましい。
(導電性ポリマー)
導電性ポリマーとしては、π共役系導電性ポリマーとポリアニオンとを含む導電性ポリマーを好ましく用いることができる。
導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性ポリマーを形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリアニオンとの存在下で、化学酸化重合することによって容易に製造できる。
なお、本発明において、導電性とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗値が1×10Ω/□より低いことをいう。
(π共役系導電性ポリマー)
π共役系導電性ポリマーとして、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。
中でも、導電性、透明性、安定性等の観点から、ポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
(前駆体モノマー)
前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。
前駆体モノマーとしては、例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、アニオン基を複数有するオリゴマー若しくはポリマーである。
ポリアニオンとしては、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体が好ましく、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものが好ましく用いられる。
ポリアニオンは、π共役系導電性ポリマーを溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。
ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性ポリマーに対するドーパント(第1のドーパント)として機能して、π共役系導電性ポリマーの導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性ポリマーへの化学酸化ドープが起こり得る官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ、安定性の観点から、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性ポリマーへのドープ効果の観点から、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にフッ素を有するポリアニオンを含有することが、透明電極を有機電子デバイスに用いた際、整流比の向上につながるため好ましい。
具体的には、パーフルオロスルホン酸基を有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、熱処理を行うことによって、面電極化層の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、より好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、後述の水溶性バインダーとの相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲内であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲内であることがより好ましい。
ポリアニオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有さないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法としては、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び重合触媒のうち少なくとも一方の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。
具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それにあらかじめ溶媒に所定量の酸化剤及び重合触媒のうち少なくとも一方を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは、溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤、酸化触媒及び溶媒は、π共役系導電性ポリマーを形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
導電性ポリマーに含まれるπ共役系導電性ポリマーとポリアニオンの比率(固形分比率(π共役系導電性ポリマー:ポリアニオン))は、導電性、分散性の観点から、質量比の値(ポリアニオン/π共役系導電性ポリマー)で1〜10の範囲内であることが好ましい。より好ましくは2〜8の範囲内である。
π共役系導電性ポリマーを形成する前駆体モノマーをポリアニオンの存在下で化学酸化重合して、導電性ポリマーを得る際に使用される酸化剤としては、例えばJ.Am.Soc.,85,454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適する、いずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価でかつ取り扱いやすい酸化剤、例えば、鉄(III)塩(例えば、FeCl、Fe(ClO)、有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩、過酸化水素、重クロム酸カリウム、過硫酸アルカリ(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)、アンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウム又は銅塩(例えば、四フッ化ホウ酸銅)を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として、随時触媒量の金属イオン、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン又はバナジウムイオンの存在下における空気又は酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が耐腐食性の点から、大きな応用上の利点を有する。
有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例としては、炭素数1〜20の範囲内のアルカノールの硫酸半エステル(例えば、ラウリル硫酸)、炭素数1〜20の範囲内のアルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸)、脂肪族炭素数1〜20の範囲内のカルボン酸(例えば、2−エチルヘキシルカルボン酸)、脂肪族パーフルオロカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタノン酸)、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸)又は芳香族の随時炭素数1〜20の範囲内のアルキル置換されたスルホン酸(例えば、ベンゼセンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸)の、Fe(III)塩が挙げられる。
(市販の材料)
導電性ポリマーとしては、市販の材料も好ましく利用できる。
例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT:PSS)が、Heraeus社からCLEVIOS(登録商標)シリーズとして、SIGMA−ALDRICH社からPEDOT/PSS483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。
また、ポリアニリンが、日産化学工業社からORMECONシリーズとして市販されている。
(第2のドーパント)
面電極化層は、第2のドーパントとして、水溶性有機化合物を含有してもよい。これにより、面電極化層に含有される導電性ポリマーの導電性を高めることができる。
本発明で用いることができる水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に使用される。
酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。例えば、ヒドロキシ基含有化合物としては、エチレングリコール等、カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等、スルホキシド基含有化合物としてはジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[面電極化層に用いられるバインダー]
面電極化層に用いることができるバインダーとしては、水溶性バインダー又は水分散性バインダーであることが好ましく、より好ましくは、水分散性バインダーである。バインダーとして、水溶性バインダー又は水分散性バインダーを用いると、バインダー添加による導電性ポリマーの抵抗値の増大を最小限に抑えることができるため好ましい。また、導電性ポリマーとの相溶性に優れるため好ましい。
(水分散性バインダー)
水分散性バインダーとは、水系溶剤に均一分散可能なものであり、水系溶剤中に凝集せずに、バインダーからなるコロイド粒子が分散していることを意味する。コロイド粒子の大きさ(平均粒径)は、一般的に0.001〜1.000μm(1〜1000nm)の範囲内程度である。
上記のコロイド粒子の平均粒径は、光散乱光度計により測定することができる。
また、上記水系溶剤とは、蒸留水及び脱イオン水などの純水のみならず、酸、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、更には親水性の有機溶媒等の溶媒であることを意味し、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
水分散性バインダーとしては、透明であることが好ましい。
水分散性バインダーとしては、フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はない。水分散性バインダーとしては、例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、水性ウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
アクリル系樹脂エマルジョンは、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸−スチレンの重合体、又は、その他のモノマーとの共重合体からなる。また、酸部分がリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等のイオンと対塩を形成したアニオン性、窒素原子を有するモノマーとの共重合体からなり、窒素原子が塩酸塩等を形成したカチオン性があるが、好ましくはアニオン性である。
水性ウレタン樹脂としては、水分散型ウレタン樹脂、アイオノマー型水性ウレタン樹脂(アニオン性)等がある。水分散型ウレタン樹脂には、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂があり、好ましくはポリエステル系ウレタン樹脂である。
アイオノマー型水性ウレタン樹脂には、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等があり、好ましくはポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂である。
水性ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分とポリオール成分とから合成される。
多塩基酸成分とは、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸等であり、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよく、特に好適に用いることのできる多塩基酸成分としては、工業的に多量に生産されており、安価であることなどから、テレフタル酸やイソフタル酸が特に好ましい。
ポリオール成分として代表的なものを挙げれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどであり、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよく、特に好適に用いることのできるポリオール成分としては、工業的に量産され、安価であり、しかも、樹脂被膜の耐溶剤性や耐候性が向上するなど、諸性能にバランスがとれていることから、エチレングリコール、プロピレングリコール又はネオペンチルグリコールが特に好ましい。
上記水分散性バインダーは、1種でも複数種でも使用することができる。
(水溶性バインダー)
水溶性バインダーとしては、下記一般式(2)で表される構造単位を含む水溶性バインダーであることが好ましい。
Figure 2015050081
一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Qは、C(=O)O又はC(=O)NRaを表す。Raは、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、置換若しくは無置換のアルキレン基又は(CHCHRbO)x−(CHCHRb)を表す。Rbは、水素原子又はアルキル基を表す。xは、平均繰り返しユニット数で0〜100の範囲内の数を表す。
Ra及びRbで表されるアルキル基は、例えば、炭素原子数1〜5の範囲内の直鎖、又は分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は、置換基で置換されていてもよい。
これら置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち好ましくは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基である。
上記置換基群において、アルキル基としては、分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることがより好ましく、1〜8の範囲内であることが更に好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20の範囲内であることが好ましく、3〜12の範囲内であることがより好ましく、3〜8の範囲内であることが更に好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。上記アルコキシ基としては、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることがより好ましく、1〜6の範囲内であることが更に好ましく、1〜4の範囲内であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることがより好ましく、1〜6の範囲内であることが更に好ましく、1〜4の範囲内であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20の範囲内であることが好ましく、6〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールチオ基の例には、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が含まれる。上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜8の範囲内である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。
さらに、上記置換基群において、アリール基の炭素原子数は、6〜20の範囲内であることが好ましく、6〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリール基の例には、フェニル基及びナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20の範囲内であることが好ましく、6〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。上記ヘテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10の範囲内であることが好ましく、3〜6の範囲内であることが更に好ましい。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。上記ヘテロアリール基の炭素原子数は、3〜20の範囲内であることが好ましく、3〜10の範囲内であることが更に好ましい。ヘテロアリール基の例には、チエニル基及びピリジル基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。アシル基の例には、ホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。アルキルカルボンアミド基の例には、アセトアミド基等が含まれる。上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールカルボンアミド基の例には、ベンズアミド基等が含まれる。上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基等が含まれる。上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミド基が含まれる。
さらに、上記置換基群において、上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20の範囲内であることが好ましく、7〜12の範囲内であることが更に好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、2〜12の範囲内であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基が含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20の範囲内であることが好ましく、7〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20の範囲内であることが好ましく、8〜12の範囲内であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、2〜12の範囲内であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20の範囲内であることが好ましく、2〜12の範囲内であることが更に好ましい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20の範囲内であることが好ましく、2〜12の範囲内であることが更に好ましい。アルキニル基の例には、エチニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メチルスルホニル基及びエチルスルホニル基が含まれる。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20の範囲内であることが好ましく、6〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールスルホニル基の例には、フェニルスルホニル基及びナフチルスルホニル基が含まれる。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例には、メトキシスルホニル基及びエトキシスルホニル基が含まれる。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20の範囲内であることが好ましく、6〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールオキシスルホニル基の例には、フェノキシスルホニル基及びナフトキシスルホニル基が含まれる。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜12の範囲内であることが更に好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例には、メチルスルホニルオキシ基及びエチルスルホニルオキシ基が含まれる。上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は、6〜20の範囲内であることが好ましく、6〜12の範囲内であることが更に好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例には、フェニルスルホニルオキシ基及びナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。
これらの置換基は、同一でも異なっていてもよく、これら置換基が更に置換されてもよい。
上記一般式(2)において、Aは置換若しくは無置換のアルキレン基又は(CHCHRbO)x−(CHCHRb)を表すが、アルキレン基としては、例えば、炭素原子数が1〜5の範囲内のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。これらのアルキレン基は、前述した置換基群から選ばれる置換基により置換されていてもよい。
さらに、xは平均繰り返しユニット数を表し、0〜100の範囲内であるが、好ましくは0〜10の範囲内である。通常、繰り返しユニット数xは分布を有しており、表記は平均値で示し、小数点以下一桁で表記してもよい。
以下に、一般式(2)で表される構造単位の代表的な具体例(例示化合物I−1〜I−21)を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2015050081
水溶性バインダーは、導電性ポリマーと容易に混合可能で、また、前述の第2のドーパントのような効果も有するため、水溶性バインダーを併用することにより、導電性、透明性を低下させることなく、面電極化層の層厚を上げることが可能となる。
本発明に係る水溶性バインダーとは、水溶性のバインダーであり、25℃の水100gに0.001g以上溶解するバインダーを意味する。溶解の度合いは、ヘイズメーター、濁度計等で測定することができる。
なお、水溶性バインダーの色は特に限定されないが、透明であることが好ましい。
また、水溶性バインダーは、上記一般式(2)で表される構造単位を含む構造を有することが好ましい。上記一般式(2)で表されるホモポリマーであってもよいし、他の成分が共重合されていてもよい。他の成分を共重合する場合は、上記一般式(2)で表される構造単位を10モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは30モル%以上、更には50モル%以上含有することがより好ましい。
水溶性バインダーの数平均分子量は、3000〜2000000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは4000〜500000の範囲内、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
水溶性バインダーの数平均分子量、分子量分布の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、バインダーが溶解すれば特に限りはないが、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。
また、測定温度も特に制限はないが、40℃であることが好ましい。
(その他の樹脂成分)
本発明に係る面電極化層は、導電性ポリマー、バインダー以外に、成膜性や膜の機械的強度を確保するために、透明なその他の樹脂成分や添加剤を含有していてもよい。
透明な樹脂成分としては、導電性ポリマーと相溶又は混合分散可能であれば特に制限されず、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、ポリエーテル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
[有機電子デバイス]
本発明に係る導電性基板は、有機電子デバイスに好適に備えられることができる。本発明に係る有機電子デバイスとしては、特に限定されないが、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(以下、「有機ELデバイス」ともいう。)、有機光電変換デバイス等が挙げられる。
本発明に係る有機電子デバイスは、本発明の導電性基板のほか、有機機能層を有することが好ましい。
例えば、本発明の導電性基板を第1電極部として、この第1電極部の上に有機機能層を形成し、さらにこの有機機能層の上に対向配置された第2電極部を形成することによって、有機電子デバイスを得ることができる。
有機電子デバイスは、上記導電性基板と有機機能層とを有する。特に有機電子デバイスとして本発明の導電性基板を用いる場合には面電極化層が備えられていることが好ましい形態である。また、基板は透明性を有するガラス基板や透明樹脂基板を用いることが好ましい形態である。
例えば、本発明の導電性基板を第1電極部として、この第1電極部の上に有機機能層を形成し、更にこの有機機能層の上に対向配置された第2電極部を形成することによって、有機電子デバイスを得ることができる。
有機機能層としては、有機発光層、有機光電変換層、液晶ポリマー層等、特に限定なく挙げることができるが、有機機能層が薄膜で、かつ電流駆動系のものである有機発光層、有機光電変換層である場合において、特に有効である。
以下、有機電子デバイスが、有機ELデバイス又は有機光電変換デバイスである場合のその構成要素について説明する。
(1)有機ELデバイス
(1.1)有機機能層構成(有機発光層)
有機機能層としての有機発光層を有する有機ELデバイスは、有機発光層に加えて、正孔(ホール)注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層、電子阻止層等の発光を制御する層を有機発光層と併用してもよい。
導電性基板上の面電極化層は、正孔注入層として働くことも可能であるので、正孔注入層を兼ねることも可能であるが、独立に正孔注入層を設けてもよい。
構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)(第1電極部)/発光層/電子輸送層/(第2電極部)
(ii)(第1電極部)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第2電極部)
(iii)(第1電極部)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/(第2電極部)
(iv)(第1電極部)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極部)
(v)(第1電極部)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極部)
ここで、発光層は、発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲内にある単色発光層であってもよく、また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよく、更に発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。本発明に係る有機ELデバイスとしては、白色発光層であることが好ましい。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料又はドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、各種蛍光色素、希土類金属錯体、リン光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの化合物のうちから選択される発光材料を90.0〜99.5質量部の範囲内で、ドーピング材料を0.5〜10.0質量部の範囲内で含有するようにすることも好ましい。
有機発光層は、上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、その形成方法としては、蒸着、塗布、転写等の方法が挙げられる。
(1.2)電極
本発明の導電性基板は、上記の第1電極部又は第2電極部で使用されるが、第1電極部が本発明の導電性基板であり、かつ陽極であることが好ましい態様である。
この場合、第2電極部(陰極)は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。第2電極部の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第2金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、インジウム−スズの複合酸化物(以下、「ITO」ともいう。)、アルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
陰極としてのシート抵抗値は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。
第2電極部の導電材として金属材料を用いれば、第2電極部側に来た光は反射されて第1電極部側に戻る。第2電極部の導電材として金属材料を用いることで、この光が再利用可能となり、より取り出しの効率が向上する。
(1.3)阻止層(正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報及び「有機ELデバイスとその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなる。電子を輸送しつつ正孔を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する電子輸送層の構成を、必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。本発明に係る有機ELデバイスに設ける正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい電子阻止材料からなる。正孔を輸送しつつ電子を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を、必要に応じて、電子阻止層として用いることができる。
本発明において、正孔阻止層及び電子輸送層の層厚としては、好ましくは100nm以下であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
(1.4)正孔輸送層
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体や導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、更にはポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(略称:TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(略称:NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(略称:MTDATA)等が挙げられる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も、正孔輸送材料、後述の正孔注入材料として使用することができる。
また、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)、特表2003−519432号公報に記載されているような、いわゆるp型半導体的性質を有するとされる正孔輸送材料を用いることもできる。
本発明においては、より高効率の発光デバイスが得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲内の程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
(1.5)電子輸送層
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
単層の電子輸送層又は複数層からなる電子輸送層とする場合、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
また、発光層の材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
電子輸送層の層厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
電子輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。本発明においては、このようなn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることが、より低消費電力のデバイスを作製することができるため好ましい。
(1.6)注入層(電子注入層、正孔注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機機能層間に設ける層のことで、例えば、「有機ELデバイスとその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細が記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
正孔注入層としては、第1透明電極との仕事関数の差が少ないことが要求される。特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性ポリマー層等が挙げられる。特に、塗布法での使用が可能である点から、導電性ポリマー層を使用することが好ましい。
また、正孔注入層に使用する導電性ポリマーは、仕事関数の観点から、化合物内にフッ素(F)を有するポリアニオンであることが好ましい。また、フッ素は後から添加してもよく、パーフルオロ化されたポリアニオンでもよい。
具体的には、パーフルオロスルホン酸基を有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
電子注入層としては、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
注入層は、ごく薄い膜であることが望ましく、使用する素材にもよるが、その層厚は0.1nm〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、導電性ポリマーを用いたときは、透明性の観点から、5〜50nmの範囲内であることが特に好ましい。
(1.7)封止部材
封止部材としては、有機ELデバイスの表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。
本発明においては、有機ELデバイスを薄膜化できるということから、ポリマーフィルムや金属フィルムを好ましく使用することができる。
接着剤層を形成する接着剤としては、例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
また、有機機能層を挟み透明樹脂基板と対向する側の電極の外側には、該電極と有機機能層を被覆し、透明樹脂基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し、封止膜とすることも好適である。
この場合、該封止膜を形成する材料としては、水分や酸素等、デバイスの劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
(2)有機光電変換デバイス
有機光電変換デバイスは、第1電極部、バルクヘテロジャンクション構造(p型半導体層及びn型半導体層)を有する光電変換層(バルクヘテロジャンクション層ともいう。)、第2電極部が積層された構造を有することが好ましい。
本発明における透明電極は、少なくとも入射光側に用いられる。
光電変換層と第2電極部との間に電子輸送層等の中間層を有してもよい。
(2.1)光電変換層
光電変換層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を構成していることが好ましい。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。
ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子とのペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与又は受容するものではなく、光反応によって、電子を供与又は受容するものである。
p型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体又は混合物を挙げることができる。
特に、ポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン等のオリゴマーを好適に用いることができる。
その他、高分子p型半導体の例としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリカルバゾール、ポリイソチアナフテン、ポリヘプタジイン、ポリキノリン、ポリアニリン等が挙げられ、更には、特開2006−36755号公報等の置換−無置換交互共重合ポリチオフェン、特開2007−51289号公報、特開2005−76030号公報、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p4112、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p7246などの縮環チオフェン構造を有するポリマー、国際公開第2008/000664号、Adv.Mater.,2007,p4160、Macromolecules,2007,Vol.40,p1981等のチオフェン共重合体等を挙げることができる。
さらに、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、シングルウォールナノチューブ(SWNT)等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、更にポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料の中でも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニン、金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。また、ペンタセン類がより好ましい。
ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号、国際公開第03/28125号、米国特許第6690029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサー、J.Amer.Chem.Soc.,vol.127,No.14,4986等に記載の置換アセン類及びその誘導体等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。
そのような化合物としては、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123,p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008),No.9,2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物及び米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサー、特開2007−224019号公報等に記載のポルフィリンプレカーサー等のような、プレカーサータイプの化合物(前駆体)が挙げられる。
これらの中でも、後者のプレカーサータイプの方が好ましく用いることができる。これは、プレカーサータイプの方が、変換後に不溶化するため、バルクヘテロジャンクション層の上に正孔輸送層・電子輸送層・正孔阻止層・電子阻止層等を溶液プロセスで形成する際に、バルクヘテロジャンクション層が溶解してしまうことがなくなるため、正孔輸送層等を構成する材料とバルクヘテロジャンクション層を形成する材料とが混合することがなくなり、一層の効率向上・寿命向上を達成することができるためである。
p型半導体材料としては、p型半導体材料前駆体に熱・光・放射線・化学反応を引き起こす化合物の蒸気に晒す等の方法によって化学構造変化を起こし、p型半導体材料に変換された化合物であることが好ましい。中でも熱によって化学構造変化を起こす化合物が好ましい。
n型半導体材料の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む、高分子化合物が挙げられる。
中でも、フラーレン含有高分子化合物が好ましい。フラーレン含有高分子化合物としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等を骨格に持つ高分子化合物が挙げられる。フラーレン含有高分子化合物では、フラーレンC60を骨格に持つ高分子化合物(誘導体)が好ましい。
フラーレン含有ポリマーは、フラーレンが高分子主鎖からペンダントされたポリマーと、フラーレンが高分子主鎖に含有されるポリマーとに大別されるが、フラーレンがポリマーの主鎖に含有されている化合物が好ましい。これは、フラーレンが主鎖に含有されているポリマーは、ポリマーが分岐構造を有さないため、固体化した際に高密度なパッキングができ、結果として高い移動度を得ることができるためではないかと推定される。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。
本発明に係る光電変換デバイスを、太陽電池等の光電変換デバイスとして用いる形態としては、光電変換デバイスを単層で利用してもよいし、積層(タンデム型)して利用してもよい。
また、光電変換デバイスは、環境中の酸素、水分等で劣化しないように、公知の手法によって封止することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[実施例1]
[導電性基板1〜26の作製]
導電性基板1〜26を下記の手順で作製した。
なお、詳細は後述するが、導電性基板1〜26は、それぞれ下地層の有無、金属酸化物分散液、金属酸化物微粒子の粒径、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値(表1における「体積比の値」)、層厚、フラッシュ焼成の有無及び面電極化層に使用される高分子材料(表2の「高分子材料」)を表1、2に記載した条件で作製した。
Figure 2015050081
Figure 2015050081
[ガスバリアー層付き透明樹脂基板の作製]
(1.1)透明樹脂基板の平滑化
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(コスモシャイン(登録商標)A4100、東洋紡株式会社製)の下引き加工をしていない面に、JSR株式会社製UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材:OPSTAR(登録商標) Z7501を、塗布し、乾燥させた後の平均層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃で3分間乾燥させ、その後空気雰囲気下において高圧水銀ランプを使用して硬化条件1.0J/cmで硬化を行い、透明樹脂基板を平滑化した。
(1.2)ガスバリアー層の形成
次に、透明樹脂基板上にガスバリアー層を以下に示す条件で形成した。
(1.2.1)ガスバリアー層形成用塗布液の塗布
パーヒドロポリシラザン(PHPS、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320)の20質量%ジブチルエーテル溶液(ガスバリアー層塗布液)をワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)層厚が、300nmとなるように透明樹脂基板に塗布した。
(1.2.2)乾燥及び除湿処理
(第一工程;乾燥処理)
ガスバリアー層形成用塗布液を塗布した透明樹脂基板を温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間、乾燥処理を行った。
(第二工程;除湿処理)
第一工程において乾燥処理を行った透明樹脂基板をさらに温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
(1.2.3)改質処理
第二工程において除湿処理を行った透明樹脂基板を、下記の装置を用いて下記の条件で改質処理を行い、ガスバリアー層を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
(改質処理装置)
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
(改質処理条件)
エキシマ光強度 60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 1mm
ステージ加熱温度 70℃
照射装置内の酸素濃度 1%
エキシマ照射時間 3秒
上記のようにしてガスバリアー層を有する透明樹脂基板を作製した。
なお、ガスバリアー層を有する透明樹脂基板は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が1×10−3g/m・24h以下であることを確認した。
[下地層形成用分散液の調製]
(金属酸化物分散液)
金属酸化物分散液(1):40質量%水分散SiO 平均粒径80nm スノーテックス(登録商標) ZL(日産化学工業社製)
金属酸化物分散液(2):48質量%水分散SiO 平均粒径30nm スノーテックス(登録商標) 50(日産化学工業社製)
金属酸化物分散液(3):40質量%水分散SiO 平均粒径200nm MP−2040(日産化学工業社製)
金属酸化物分散液(4):40質量%水分散SiO 平均粒径450nm MP−4540M(日産化学工業社製)
金属酸化物分散液(5)〜(6)までは、以下のTiO微粒子と超純水とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップ ステップ型(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散し、1.0μmフィルターでろ過し、30質量%の平均粒径の異なる水分散TiOを作製した。
金属酸化物分散液(5):スーパータイタニア(登録商標)F−1(平均粒径90nm)(昭和電工社製)
金属酸化物分散液(6):平均粒径1μmのTiO微粒子(JR−1000、テイカ社製)を、メディア撹拌型湿式超微粉砕機MSCミル(日本コークス工業社製)を用いて粉砕し、平均粒径500nmのTiO分散液(6)を作製した。
金属酸化物分散液(7):20質量%水分散ZrO 平均粒径40nm ナノユース(登録商標)ZR−20AS(日産化学工業社製)
金属酸化物分散液(8):30質量%水分散ZrO 平均粒径90nm ナノユース(登録商標)ZR−40BL(日産化学工業社製)
金属酸化物分散液(1)〜(8)と、高分子材料として互応化学工業社製のポリエステル系樹脂プラスコートZ−561(25質量%)と、超純水とを混合して、金属酸化物微粒子と高分子材料との体積比の値が表1に示す値になるよう、また下地層形成用分散液中の金属酸化物と高分子材料とをあわせた固形分濃度が10〜30質量%となるように調製した。ここで、金属酸化物の比重は、SiO微粒子は2.2g/cm、TiO微粒子は4.2g/cm、ZrO微粒子は6.0g/cm、また高分子材料の比重は全て1.0g/cmとして濃度から体積量を計算し、下地層形成用分散液を調製した。
例えば、導電性基板8を作製する場合に調製する下地層用塗布液(体積比(金属酸化物微粒子:高分子材料=1.0:0.7、固形分濃度20質量%)は以下を混合し、撹拌したものとなる。
金属酸化物分散液(1):40質量%水分散SiO 粒径80nm スノーテックス(登録商標) ZL(日産化学工業社製)1.00g
プラスコートZ−561(25質量%)0.51g
水1.13g
前述の方法で作製したガスバリアー層付き透明樹脂基板のガスバリアー層上に、アプリケーターにて上記で作製した下地層形成用分散液の濃度を調節して、乾燥層厚0.3μm1.0μm、3.0μmとなるように塗布し、110℃で30分間乾燥を行った。
下地層の基板上での層厚は、下地層の一部を削り、その段差を高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(Veeco社製)を用いて測定した。測定は、任意の10か所における層厚を測定し、その平均値を求めた。
(金属細線パターンの形成)
ガスバリアー層付き透明樹脂基板のガスバリアー層上又は下地層上に金属ナノ粒子分散インクとして、銀ナノ粒子分散液(SW1000、バンドー化学株式会社製)をインクジェット印刷法を用いて、50μm幅、1mmピッチでストライプ状に塗布してパターン形成し、焼成後の金属細線パターンの厚さが1.0μmになるように複数回塗布し、積層した。パターンを印刷するエリアは30mm×40mmとした。インクジェット印刷法としては、インク液滴の射出量が4plのインクジェットヘッドを使用し、塗布速度と射出周波数を調整して、パターンを印刷した。インクジェット印刷装置としては、インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製)を取り付けた卓上型ロボットShotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタ社製)にて制御した。
80℃、10分間乾燥し、以下の方法で、それぞれの基板について焼成を行い、金属細線パターンを形成した。金属細線パターンの厚さは、焼成後に高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(Veeco社製)を用いて測定した。
(導電性基板1の作製)
ガスバリアー層付き透明樹脂基板のガスバリアー層上に、上述の方法で金属細線パターンを形成した後に、ホットプレート上で150℃で30分熱処理を施して、導電性基板1を作製した。
(導電性基板2の作製)
ガスバリアー層付き透明樹脂基板のガスバリアー層上に、上述の方法で金属細線パターンを形成した後に、以下の方法でフラッシュ光照射による焼成を行い、導電性基板2を作製した。
(フラッシュ光照射による焼成)
250nm以下の短波長カットフィルターを装着したキセノンフラッシュランプ2400WS(COMET社製)を用いて、光照射エネルギーの総計が2.5J/cmのフラッシュ光を、金属細線パターン印刷面側から照射時間2m秒で1回照射して焼成を行った。
(導電性基板3の作製)
基板として、透明樹脂基板のかわりに、厚さ0.5mmの透明な無アルカリガラス製の基板を用いたこと及びガスバリアー層の形成をしなかったこと以外は、導電性基板2と同様の方法で導電性基板3を作製した。
(導電性基板4の作製)
ガスバリアー層付き透明樹脂基板のガスバリアー層上に、プラスコートZ−561を乾燥層厚1.0μmとなるように塗布し、110℃で30分間乾燥を行い、その上に上述の方法で金属細線パターンを形成した後に、上述の方法でフラッシュ光照射による焼成を行い、導電性基板4を作製した。
(導電性基板5の作製)
ガスバリアー層付き透明樹脂基板のガスバリアー層上に、金属酸化物分散液(1)を乾燥層厚1.0μmとなるように塗布し、110℃で30分間乾燥を行い、その上に上述の方法で金属細線パターンを形成した後に、上述の方法でフラッシュ光照射による焼成を行い、導電性基板5を作製した。
(導電性基板6〜22の作製)
ガスバリアー層付き透明樹脂基板のガスバリアー層上に、表1に示す条件(金属酸化物分散液、金属酸化物微粒子の粒径、金属酸化物微粒子の体積を1.0としたときの高分子材料の体積比の値(表1における「体積比の値」)、層厚、フラッシュ焼成の有無)で作製した下地層を塗布し、110℃で30分間乾燥を行い、上述の方法で金属細線パターンを形成した後に、上述の方法でフラッシュ光照射による焼成を行い、導電性基板6〜22を作製した。
(導電性基板23の作製)
基板として、透明樹脂基板のかわりに、厚さ0.5mmの透明な無アルカリガラス製の基板を用い、かつ、ガスバリアー層の形成をしなかった以外は、導電性基板8と同様の方法で導電性基板23を作製した。
(導電性基板24の作製)
高分子材料をプラスコートZ−561から後述のPHEAに換えて、導電性基板8と同様の方法で導電性基板24を作製した。
(導電性基板25の作製)
高分子材料をプラスコートZ−561から有機無機ハイブリッド材料である荒川化学社製のコンポセランSQ102−1(登録商標)に換え、コンポセランSQ102−1にテイカ社製のTiO微粒子(平均粒径80nm MT−700B)を添加し、下地層形成用分散液を調整し、下地層塗布後の乾燥の後に紫外線照射により硬化処理を行った以外は、導電性基板8と同様の方法で導電性基板25を作製した。開始剤としては1等量のトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用いた。
(導電性基板26の作製)
高分子材料をプラスコートZ−561から紫外線硬化樹脂材料であるJSR社製のNN803に換え、NN803にテイカ社製のTiO微粒子(平均粒径80nm MT−700B)を添加し、下地層形成用分散液を調整し、下地層塗布後の乾燥の後に紫外線照射により硬化処理を行った以外は、導電性基板8と同様の方法で導電性基板26を作製した。
[導電性基板1〜26の評価]
上記のように作製した導電性基板1〜26について、金属細線パターンの剥離、シート抵抗値、WVTR評価を以下のように評価し、表1、2にまとめた。
(1)金属細線パターンの剥離の有無
導電性基板1〜26について20mm×20mmの面積における金属細線パターンの剥離箇所の数を、電子顕微鏡Miniscope(登録商標) TM−1000((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いてカウントし、以下のように分類した。
(評価)
◎:剥離箇所が無い場合
○:剥離箇所が1〜5か所の場合
△:剥離箇所が6か所以上の場合
×:ほとんど剥離している場合
(2)シート抵抗値
作製した各透明電極について、金属細線部が正方形になるように金属細線の両端に銀電極を蒸着して、銀電極の両端の抵抗を低抵抗計3566(鶴賀電機株式会社製)を用いて測定し、透明電極のシート抵抗値(表面抵抗)を測定した。このとき、銀電極部は細線部の抵抗の1/20以下になるように膜厚を調整した。
(3)水蒸気透過率(WVTR)の評価
水蒸気透過率の測定にはCa法を用いた。導電性基板1〜26(導電性基板3及び23を除く)について作製した下地層と金属細線パターンを剥がし、ガスバリアー層に金属Caを蒸着し、透過した水分で金属Caの腐食面積とそこに到達する時間から水蒸気透過率を算出した。
(評価)
○:1×10−3g/m・24h以下
△:1×10−3g/m・24hより大きく、1×10−2g/m・24h未満
×:1×10−2g/m・24h以上
なお、ガスバリアー層は基板が熱による変形、収縮、溶解等のダメージを受けた場合劣化するため、ガスバリアー層の劣化をWVTRにて評価することで、基材へのダメージを評価できる。
また、導電性基板3及び23については、ガスバリアー層を備えていないため、水蒸気透過率は算出しなかった。
[まとめ]
表1、2から下地層が金属酸化物微粒子と高分子材料とを含有し、かつ、金属酸化物微粒子の体積を1.0としたときの高分子材料の体積比の値が0.3〜1.2の範囲内にあるときに、金属細線パターンの剥離、基材へのダメージが抑制でき、かつ導電性パターンの導電性を高めることができたことがわかる(導電性基板7〜10及び23)。また、下地層を用いない場合、下地層が高分子材料のみの場合、下地層が金属酸化物微粒子のみの場合、体積比の値が0.3〜1.2の範囲内にない場合、フラッシュ照射を行うと、金属パターンの剥離が生じた(導電性基板2〜6、11)。
また、下地層が無い場合は、WVTR評価が悪く、基材へのダメージが全く抑制できていないことがわかる(導電性基板2)。また、フラッシュ照射による焼成のかわりに、ホットプレートで加熱焼成した場合は基材の変形が確認されたとともに、ガスバリアー層へのダメージを抑制できなかった(導電性基板1)。
金属酸化物微粒子の粒径は30〜500nmの範囲で本発明の効果を確認できた(導電性基板12〜14、16)。さらに金属酸化物微粒子にはSiO、TiO、ZrOを用いることができることがわかる(導電性基板14〜18)。下地層の層厚が0.3〜1.0μmの範囲内であることが、この範囲外の層厚の下地層を有する導電性基板よりも、基材へのダメージ及び金属細線パターンの剥離もより抑制でき、かつ、導電性も良好であることがわかった(導電性基板19〜22)。
また、高分子材料として水溶性高分子であるPHEA、有機無機ハイブリッド高分子材料であるコンポセランSQ102−1及び紫外線硬化型樹脂であるNN803を好適に用いることができることが分かる(導電性基板24〜26)。
[実施例2]
[有機ELデバイス1〜21の作製]
以下の方法で有機ELデバイス1〜21を作製した。
各有機ELデバイスに使用した導電性基板は、表3に示すとおりである。
Figure 2015050081
[面電極化層形成用塗布液の調製]
下記の各面電極化層形成材料を、順次混合した後、加熱溶解して、面電極化層形成用塗布液を調製した。なお、有機ELデバイス1〜17及び21の各面電極には、導電性ポリマーとして後述のPH510を用い、バインダーとして前述のプラスコートZ−561を用いた。有機ELデバイス18〜20の各面電極については表3に示す成分を用いた(表3に示す「面電極化層のバインダ−組成」参照)。
1)導電性ポリマー(下記参照)
2)水溶性バインダー又は水分散性バインダー(下記参照)(固形分濃度20質量%)3.5g
3)プロピレングリコール 1.0g
1)〜3)を混合して、これを面電極化層形成用塗布液とした。
1)導電性ポリマー
<PH510>
PEDOT:PSS CLEVIOS PH510、Heraeus社製(固形分濃度1.89質量%、PEDOT:PSS(固形分比率)=1.0:2.5) 15.9g
2)水溶性バインダー又は水分散性バインダー
2−1)水溶性バインダー
<ポリヒドロキシエチルアクリレート(表2、3のPHEA)の合成(例示化合物I−1)>
500mlの三ツ口フラスコに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を200ml加え、10分間加熱還流させた後、窒素下で室温まで冷却した。次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート(10.0g、86mmol、分子量:116.05)と、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、1.41g、8.5mmol、分子量:164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、5000mlのメチルエチルケトン(MEK)中に、上記反応溶液を滴下し、1時間撹拌した。MEKをデカンテーションした後、200mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量35700、分子量分布2.3のポリヒドロキシエチルアクリレート(PHEA)を9.0g(収率90%)得た。
なお、分子量はGPC(Waters2695、Waters社製)を用い、下記の測定条件で測定した。
(GPC測定条件)
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414 (Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
合成した試料を超純水に溶解し、20質量%のPHEA水溶液を作製した。
<ポリヒドロキシエチルアクリレートとポリヒドロキシエチルアクリルアミド(例示化合物I−19)との共重合体(表3のPHEA/PHEAA)の合成>
200ml三ツ口フラスコにTHF100mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温まで冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(4.1g、35mmol、分子量:116.05)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(1.7g、15mmol、分子量:115.15)、AIBN(0.8g、5mmol、分子量:164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、3000mlのMEK中に反応溶液を滴下し、1時間撹拌した。MEKをデカンテーション後、100mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量33700、分子量分布2.4の「ポリヒドロキシエチルアクリレートとポリヒドロキシエチルアクリルアミドの共重合体」を10.3g(収率90%)得た。
合成した試料を超純水に溶解し、20質量%のPHEA/PHEAA溶液を作製した。
2−2)水分散性バインダー
水分散性バインダー(ポリマー)として、下記2種類の樹脂を用いた。
水性ポリエステル系樹脂 プラスコートZ−561
アクリル系樹脂エマルジョン モビニール7820(日本合成化学工業(株)製、表3の7820)
上記に示すそれぞれの樹脂分散液を超純水で希釈し、20質量%の水分散性バインダーを作製した。
上記のようにして調製した面電極化層形成用塗布液を、表3にあるように導電性基板1〜15、17、23及び25について、下地層と金属細線パターン上にインクジェット法を用いて乾燥層厚が金属細線パターン上に600nm積層できるように塗布した。
[乾燥工程]
面電極化層の塗布後、ホットプレートにて120℃、30分乾燥を行った。
[有機ELデバイス(有機電子デバイス)の作製]
乾燥工程の後、以下の方法で、それぞれ対応する有機ELデバイス1〜21を作製した。
また、有機ELデバイス1〜21の各面電極には以下のような処理を施し、有機ELデバイスに使用できるような処理を行っている。
上記のようにして作製したガスバリアー層を有する透明樹脂基板を2−プロパノールで洗浄後、超純水にて洗浄し、80℃で5時間乾燥させた。
これら洗浄済みの透明樹脂基板に対し、ITOをスパッタ法により150nm成膜してITO基板を作製し、フォトリソ法により、取り出し電極にITOをもつフィルム基板(アノード電極部分(中央部にITOがない))を作製した。
その後、取り出し電極にITOをもつ当該フィルム基板上に有機ELデバイス1〜21の各面電極をアノード電極として形成し、更に80℃で1日乾燥させ、当該アノード電極上に、有機EL層(正孔輸送層、有機発光層、正孔阻止層及び電子輸送層)とカソード電極とを以下の手順で形成し、「有機ELデバイス1〜21」を作製した。
なお、取り出し電極ITOと金属細線の一部は接点を持つように形成した。また、多孔質を形成する際には、下地層を塗布形成した後、乾燥する前に不要部分をふきとり、パターニングした。
(有機機能層の作製)
面電極上に、下記のようにして、有機機能層(正孔輸送層、発光層、正孔阻止層及び電子輸送層)を形成した。有機機能層の正孔輸送層以降の層は蒸着により形成した。
市販の真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々デバイス作製に必要量を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
まず、面電極に対し、正孔輸送層、有機発光層、正孔阻止層、電子輸送層からなる有機機能層を、導電性基板の中央部に順次形成した。
(正孔輸送層の作製)
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物1の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、厚さ30nmの正孔輸送層を設けた。
(有機発光層の作製)
次に、以下の手順で各発光層を設けた。
形成した正孔輸送層上に、化合物2が13.0質量%、化合物3が3.7質量%、化合物5が83.3質量%になるように、化合物2、化合物3及び化合物5を蒸着速度0.1nm/秒で正孔輸送層と同じ領域に共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色リン光発光の有機発光層を形成した。
次いで、化合物4が10.0質量%、化合物5が90.0質量%になるように、化合物4及び化合物5を蒸着速度0.1nm/秒で緑赤色リン光発光の有機発光層と同じ領域に共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色リン光発光の有機発光層を形成した。
(正孔阻止層の作製)
さらに、形成した有機発光層と同じ領域に、化合物6を層厚5nmに蒸着して正孔阻止層を形成した。
(電子輸送層の作製)
引き続き、形成した正孔阻止層と同じ領域に、CsFを層厚比率で10%になるように化合物6と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。
Figure 2015050081
(カソード電極(陰極)の作製)
形成した有機EL層の電子輸送層の上に、陰極形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの陰極を形成した。
最終的に、陰極及び陽極の外部取り出し端子が形成できるように、端部を除き陽極の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレートを基板としAlを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させ封止膜を形成し、有機ELデバイス1〜21を作製した。
なお、熱処理は周囲の接着剤だけが加熱されるように、接着剤が塗布された部分に型取ったステージを用いてヒーターで行った。
(基準有機ELデバイスのアノード電極の形成)
有機ELデバイスの作製において、アノード電極として、導電性基板を、下記の方法にしたがって形成したITOパターン電極からなるアノード電極に変更した以外は同様にして有機ELデバイスを作製し、これを基準有機ELデバイスとした。
具体的には、ガスバリアー層を有する透明樹脂基板上に、陽極としてITOを110nmの厚さで成膜してパターニングを行った後、このITO導電性基板を付けた透明樹脂基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行って、アノード電極を作製した。
[有機ELデバイスの評価]
作製した有機ELデバイス1〜21の、発光均一性(発光ムラ)、整流比、発光寿命を下記のように評価した。評価結果を表3に示す。
(1)発光均一性
電流の面均一性は、発光均一性を評価することで行った。KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、各有機ELデバイスに直流電圧を印加して、輝度が1000cd/mになるよう発光させ、発光状態を下記基準で目視評価した。
(評価)
◎:均一発光しており、ダークスポットも見られない
○:均一発光しているが、1〜10個のダークスポットが見られる
×:均一発光しない、又は11個以上のダークスポットが見られる
(2)整流比
作製した各有機ELデバイスについて、整流比を下記のように評価した。
各有機ELデバイスについて、同一作製手順にてそれぞれ10個ずつ作製し、整流比を測定した上で平均値を求め、以下の指標で整流比として評価した。大面積化に対応するためには、下記のランクで2以上のレベルであることが必須で、3以上のレベルであることが好ましい。
整流比=+4V印加時の電流値/−4V印加時の電流値
(評価)
5: 整流比が1.0×10以上
4: 整流比が1.0×10以上1.0×10未満
3: 整流比が1.0×10以上1.0×10未満
2: 整流比が1.0×10以上1.0×10未満
1: 整流比が1.0×10以上1.0×10未満
0: 整流比が1.0×10未満
(3)発光寿命
得られた有機ELデバイスの、初期の輝度を3000cd/mで連続発光させて、電圧を固定して、輝度が半減するまでの時間を求めた。前述のアノード電極をITOとした基準有機ELデバイスに対する比率を求め、以下の基準で評価した。90%以上が好ましく、120%以上であることがより好ましい。
(評価)
◎:120%以上
○:90以上120%未満
△:70以上90%未満
×:70%未満
[まとめ]
表3から本発明の導電性基板を用いて、有機ELデバイスを作製したところ、比較例に比べ、発光均一性、整流比、発光寿命に優れた有機ELデバイスを作製できたことがわかる(有機ELデバイス7〜10、12〜14及び21)。特に金属酸化物にTiO、ZrOを用いた場合には、SiO用いた場合に比べ、発光寿命が優れる結果となった(有機ELデバイス8、15、16)。また、面電極化層のバインダーとしては各種の水溶性バインダーと水分散性バインダーを用いることができることがわかる(有機ELデバイス17〜20)。
以上のように、本発明は、基板へのダメージと金属細線パターンの損傷とを抑制・防止し、導電性に優れた導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイスを提供することに適している。
1 導電性基板
2 基板
4 下地層
6 金属細線パターン

Claims (8)

  1. 基板上に、少なくとも下地層と金属細線パターンとを備えている導電性基板であって、
    前記下地層が、少なくとも金属酸化物微粒子と高分子材料とを含有し、かつ、
    前記金属酸化物微粒子と前記高分子材料との体積比の値(前記高分子材料の体積/前記金属酸化物微粒子の体積)が、0.3〜1.2の範囲内にあることを特徴とする導電性基板。
  2. 前記金属酸化物微粒子の平均粒径が、30〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の導電性基板。
  3. 前記金属酸化物微粒子が、構成成分として、酸化チタン又は酸化ジルコニウムのうち少なくとも一方を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性基板。
  4. 前記基板が、ガスバリアー層を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の導電性基板。
  5. 前記金属細線パターン上及び前記下地層上の少なくとも一方が、少なくとも導電性ポリマーと、水溶性バインダー又は水分散性バインダーとを含有する面電極化層を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の導電性基板。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の導電性基板を製造する導電性基板の製造方法であって、
    前記金属細線パターンを、フラッシュ光照射により形成することを特徴とする導電性基板の製造方法。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の導電性基板が、備えられていることを特徴とする有機電子デバイス。
  8. 前記有機電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンスデバイスであることを特徴とする請求項7に記載の有機電子デバイス。
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