JPWO2014185256A1 - 導電性樹脂基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、基板との密着性に優れた金属細線パターンを有する、低抵抗な導電性樹脂基板の製造方法を提供することである。本発明の導電性樹脂基板の製造方法は、少なくとも下記(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする。(1)透明樹脂基板上に、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を形成する工程(2)無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程(3)光照射により、金属ナノ粒子の細線パターンを焼成し、金属細線パターンを形成する工程

Description

本発明は、主に有機EL素子等の有機電子素子の電極として使用される導電性樹脂基板の製造方法に関する。より詳しくは、基板との密着性の良好な金属細線パターンを有する低抵抗な導電性樹脂基板の製造方法に関する。
金属細線パターンを有する導電性基板の製造方法として、これまでサブトラクティブ法やアディティブ法といった方法が考案され、信頼性の高い手法として広く用いられてきた。最近では、様々な電子機器に導電性基板が使用されており、機器の高性能化に伴い、導電性基板内の金属細線パターンにもかなりの高密度化が要求されるようになっている。したがって、上記いずれの方法を用いる場合でも、微細加工が可能なフォトリソグラフィー工程を使用して所望の金属細線パターンを形成することが一般的になっている。
フォトリソグラフィー工程では、レジストを基板全面に塗布しプリベークを行った後、フォトマスクを介して紫外線等を照射し、現像によってレジストパターンを形成する。この後、このレジストパターンをマスクとして不要な部分をエッチング除去して、金属細線パターンを形成する。
しかしながら、従来のフォトリソグラフィーを用いた金属細線パターンの形成工程においては、パターン形成のための金属膜及びレジストの材料の大部分が無駄になるという問題があった。また、フォトレジスト工程の工程数が多く、スループットが低下するという問題もあった。
そこで近年、金属細線パターンを印刷により製造する試みがなされている。
例えば、導電性金属粒子を含むインクを用いて、スクリーン印刷やインクジェット印刷等の各種印刷法により導電層や絶縁層を形成して導電性基板を製造する方法が多方面で検討されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、銀、金、銅等のナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散インク組成物を利用して金属ナノ粒子パターンを印刷描画し、その後、金属ナノ粒子相互の焼成(焼結)を施すことによって、金属細線パターンを有する導電性基板を得ることが可能となっている。
しかしながら、金属ナノ粒子を相互に焼成して金属ナノ粒子パターンの電気的な導通を確保するためには、200℃以上の熱処理が必要であるため、耐熱性の低い安価な樹脂基板に適用することは困難であるという問題があった。一方、ガラス系基板又は金属基板のような耐熱性の高い基板を用いる場合であっても、基板を薄くすると、高温の熱処理によって、基板に反りや歪みが生じるおそれがあるため、薄型化が困難であるという問題があった。
基板にダメージを与えないことを目的に、低い熱処理温度で焼成を可能にする金属ナノ粒子分散体の検討も行われている(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、銀ナノ粒子の保護分子として、低分子量かつ低沸点の有機化合物を用いることで、100℃以下の温度での焼成を可能にしている。
しかしながら、保護分子に低分子量かつ低沸点の有機化合物を用いることで、焼成後の基板への密着性が不十分となり、例えば、ロール・トゥ・ロール・プロセスでの生産に際して、パターニングと焼成とを施した金属細線パターン付きの樹脂基板をロールで巻き取った場合、接触する基板裏面との摩擦で、金属細線パターンが剥がれてしまう等の問題が生じることがあった。
また、同じく基板にダメージを与えないことを目的に、金属ナノ粒子を用いたパターンの焼成に、パルス光の照射を行うことが知られている(例えば、特許文献3参照。)。具体的には、支持体上に設けた金属ナノ粒子を用いたパターンに対して、20μ秒〜10m秒の範囲内の照射時間で高出力のパルス光を発光させて、金属ナノ粒子による光熱変換を利用したパターン部分のみの選択的かつ短時間の温度上昇によって焼成を行う方法である。
しかしながら、この方法では、金属細線パターンの急激な温度上昇により、焼成が急激に進行すると同時に、金属ナノ粒子中に含まれる溶剤や保護分子成分の急激な揮発が起き、金属細線パターンのアブレーションが起こり、結果として、金属細線パターンが断線するという問題があった。このアブレーションを抑制するため、パルス光の照度や積算エネルギーを抑制することが行われるが、金属細線パターンの抵抗値を充分に下げることは困難であった。
上記のとおり、従来の金属細線パターンの製造方法では、低抵抗の金属細線パターンを形成する上で、基板との密着性に問題があり、また、金属細線パターンの焼成における樹脂基板へのダメージを低減する目的で金属細線パターンをパルス光で焼成する方法においては、金属細線パターンの断線が生じ、低抵抗化が困難である等の問題があった。
特開2007−332347号公報 特開2010−265543号公報 特表2008−522369号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、基板との密着性に優れた金属細線パターンを有する、低抵抗な導電性樹脂基板の製造方法を提供することである。
さらには、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)等の有機電子素子に好適に用いることのできる低抵抗な導電性樹脂基板の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、(1)透明樹脂基板上に、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を形成する工程と、(2)無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程と、(3)光照射により、金属ナノ粒子の細線パターンを焼成し、金属細線パターンを形成する工程と、を有する導電性樹脂基板の製造方法により、基板との密着性に優れた金属細線パターンを有する、低抵抗な導電性樹脂基板を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも下記(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする導電性樹脂基板の製造方法。
(1)透明樹脂基板上に、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を形成する工程
(2)前記無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程
(3)光照射により、前記金属ナノ粒子の細線パターンを焼成し、金属細線パターンを形成する工程
2.前記無機化合物粒子の平均粒径が、70〜300nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の導電性樹脂基板の製造方法。
3.前記金属細線パターンを形成する工程では、パルス光により前記光照射をすることを特徴とする第1項又は第2項に記載の導電性樹脂基板の製造方法。
本発明の上記手段により、基板との密着性に優れた金属細線パターンを有する、低抵抗な導電性樹脂基板の製造方法を提供することができる。
さらには、有機EL素子等の有機電子素子に好適に用いることのできる低抵抗な導電性樹脂基板の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
本発明に係る無機粒子層は、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含んでいる。これにより、無機粒子層上に形成される金属ナノ粒子の細線パターンとの接着性を高めるアンカー効果を有するのみでなく、金属ナノ粒子の細線パターンを光照射によって焼成する際に、より低エネルギーの光照射エネルギーで低抵抗化を可能にする効果があることが見出された。
例えば、本発明に係る無機粒子層に代えて、屈折率が1.9未満の無機化合物粒子を含む無機粒子層を用いた場合では、同エネルギーでの光照射による焼成の結果、導電性樹脂基板の表面抵抗(シート抵抗)は、本発明に係る導電性樹脂基板と比較して、はるかに高い値となり、充分な低抵抗化の効果が得られなかった。また、この場合に、低抵抗化を狙って焼成における光照射エネルギーを高めていくと、充分な低抵抗化の効果が得られる前に金属細線パターンのアブレーションによる断線が顕著に生じ、充分な低抵抗化を図ることができなかった。
この原因は定かではないものの、無機粒子層に用いる無機化合物粒子の屈折率を1.9以上に調整することにより、焼成時に照射された光が無機粒子層内で散乱され、金属細線パターンと無機粒子層界面における金属ナノ粒子の焼成が促進されることで、低エネルギーの光照射での低抵抗化を可能にすると同時に、金属細線パターンと無機粒子層との界面における接着力も高めて、アブレーションを抑制する効果を発現させているものと推察している。
ところで、インクジェット法で印刷する際にインクの吸収性を向上させるために、基板上に多孔質状のインク受容層を設けることが一般的に知られており、いくつかの方法が提案されている。
例えば、支持体上にケイソウ土や真珠岩粉末等の多孔質構造の粒子を含有する無機粒子層を設ける方法(特開昭61−8385号公報)、相互に混和性の低いプラスチックを溶媒に溶解して塗布した後、凝固浴でプラスチックを凝固させ多孔層を設ける方法(特開昭62−197183号公報)、基板上にコロイダルシリカ粒子含有親水無機有機複合層からなる無機粒子層を設ける方法(特開平2−147233号公報)、金属酸化物粒子とアルコキシド化合物の加水分解−縮合物を含むインク受容膜を設ける方法(特開2007−169604号公報)、金属酸化物粒子とポリイミド前駆体を含むインク受容膜を設ける方法(特開2010−161118号公報)等がある。
しかし、これらのインク受容層は、一見本発明に係る無機粒子層に構成が類似しているかに見えるものの、これらの従来技術においては、本発明で解決しようとしている課題の提示やその解決法の示唆は何らなされていない。
本発明の導電性樹脂基板の製造方法は、(1)透明樹脂基板上に、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を形成する工程と、(2)無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程と、(3)光照射により、金属ナノ粒子の細線パターンを焼成し、金属細線パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項3までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、金属細線パターンの光照射による焼成時の低抵抗化やアブレーション抑制、可視光の透過性の観点から、無機化合物粒子の平均粒径が70〜300nmの範囲内であることが好ましい。
また、透明樹脂基板に対して、熱変形等のダメージを与えないことから、パルス光により光照射することが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
[導電性樹脂基板の構成]
本発明の製造方法によって製造される導電性樹脂基板は、透明樹脂基板上に、無機粒子層、金属細線パターンが順次積層されて、構成されている。
無機粒子層には、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子が含まれている。
金属細線パターンには、少なくとも金属ナノ粒子が含まれている。
また、本発明の製造方法によって製造される導電性樹脂基板を、有機EL素子等の面電極を必要とする有機電子素子の透明電極として用いる場合は、金属細線パターンの上に、導電性ポリマーを含有する導電性ポリマー層が設けられる。
さらに、透明樹脂基板を通して素子内部(特に、有機機能層)に水分や酸素が拡散することを防止するため、水分や酸素に対して高い遮蔽能を有するガスバリアー層を形成することが有効である。
[導電性樹脂基板の製造方法]
本発明に係る導電性樹脂基板の製造方法は、主に、
(1)透明樹脂基板上に、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を形成する工程と、
(2)無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程と、
(3)光照射により、金属ナノ粒子の細線パターンを焼成し、金属細線パターンを形成する工程と、
を有している。
以下、各工程について説明する。
(1)無機粒子層を形成する工程
本発明に係る無機粒子層は、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含んでいる。
このような無機粒子層の形成方法としては、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含有する塗布液を、透明樹脂基板上に塗布、乾燥する方法が用いられる。屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含有する塗布液は、該無機化合物粒子を分散媒中に分散させることで作製できる。
分散媒としては、水又は一般的な有機溶媒、あるいは、水と有機溶媒の混合液を用いる。分散媒として用いる有機溶媒の選択に関しては、無機化合物粒子の分散性と、塗膜の乾燥性を両立するものであれば特に制限はない。例えば、一般的な飽和炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、アミド類、スルホキシド類、及びそれらの混合溶媒等が使用できる。
無機粒子層の塗布方法としては、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種塗布法を用いることができる。
無機粒子層をパターン状に形成することが好ましい場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法又はインクジェット印刷法を用いることが好ましい。
無機粒子層は、基板上に上記塗布法を用いて成膜した後、温風乾燥や赤外線乾燥等の公知の加熱乾燥法や自然乾燥等により乾燥して形成することができる。加熱乾燥する場合の温度は、使用する基板に応じて適宜選択することができるが、樹脂フィルム基板を使用するため、200℃以下の温度で実施することが好ましい。特に、PET等の耐熱性の低い基板を用いることを前提とした場合には、100℃以下の温度で実施することがより好ましい。
さらに、分子内にヒドロキシ基を含有する分散媒を用いた塗布液を、ヒドロキシ基の赤外吸収波長域である3μm付近に発光波長を有する赤外線を用いて、フィルム基材の発熱を抑制しつつ、塗布液を乾燥する方法も効果的である。この場合に、分子内にヒドロキシ基を含有する分散媒としては、アルコール又は水を用いる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、モノアセチン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
また、無機粒子層は、有機化合物としてバインダー材料溶液(溶媒としては、無機化合物粒子を溶解しないものを用いる。)に無機化合物粒子を分散し、当該分散液を透明樹脂基板上に塗布することで形成することもできる。
また、無機粒子層に含有可能なバインダーとして、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keVの範囲内、好ましくは30〜300keVの範囲内のエネルギーを有する電子線等が使用される。
紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
紫外線照射装置としては、具体的には、100〜230nmの真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
(2)金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程
金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程では、金属ナノ粒子分散物を印刷法により透明樹脂基板上にパターン形成する。
印刷法としては、特に制限はなく、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の公知の印刷方式により細線パターンを形成することができる。
各印刷方式は、一般的に電極パターン形成に使われる方法が本発明に関しても適用可能である。具体的な例として、グラビア印刷法については特開2009−295980号公報、特開2009−259826号公報、特開2009−96189号公報、特開2009−90662号公報に記載の方法等が、フレキソ印刷法については特開2004−268319号公報、特開2003−168560号公報に記載の方法等が、スクリーン印刷法については特開2010−34161号公報、特開2010−10245号公報、特開2009−302345号公報に記載の方法等が、インクジェット印刷法については特開2012−212784号公報、特開2008−294391号公報に記載の方法等が例として挙げられる。
(3)光照射により金属細線パターンを形成する工程
本発明に係る金属細線パターンは、金属ナノ粒子の細線パターンを光照射により焼成することで形成される。
光照射の手段としては、可視光領域の波長を主体とするパルス光照射であることが好ましい。なお、本発明におけるパルス光とは、発光の時間が1μ秒〜100m秒の範囲内で発光する光をいう。
パルス光照射で用いられるフラッシュランプの放電管としては、キセノン、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の放電管を用いることができるが、キセノンランプを用いることが好ましい。
フラッシュランプの好ましいスペクトル帯域は、240〜2000nmの範囲内であり、かかる帯域はパルス光照射により透明樹脂基板に対して熱変形等のダメージを与えないため好ましい。
フラッシュランプの光照射条件は任意であるが、光照射エネルギーの総計が0.1〜50J/cmの範囲内であることが好ましく、0.5〜10J/cmの範囲内であることがより好ましい。
光照射時間は、10μ秒〜100m秒の範囲内であることが好ましく、20μ秒〜10m秒の範囲内であることがより好ましい。
また、光照射回数は1回でも複数回でもよく、1〜1000回の範囲内で行うことが好ましい。
これらの好ましい条件範囲でフラッシュ光照射を行うことにより、透明樹脂基板にダメージを与えることなく細線パターンを加熱焼成し、高い導電性を得ることができる。
透明樹脂基板に対するフラッシュランプの照射は、細線パターンの印刷してある表側から照射することが好ましいが、透明樹脂基板自体が透明であるため、裏側から照射することも両側から照射することもできる。
パルス光照射は、大気中で行ってもよいが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。
また、パルス光照射時の基板温度は、透明樹脂基板の耐熱温度、金属ナノ粒子や金属錯体を含有するインクの分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、インクの分散性や酸化性等の熱的挙動等を考慮して決定すればよく、室温(25℃)〜200℃の範囲内で行うことが好ましい。
なお、パルス光照射を行う前に、細線パターンを形成した後の基板を、あらかじめ加熱処理しておいてもよい。
フラッシュランプの光照射装置としては、上記の照射エネルギー、照射時間を満足するものであれば特に制限されるものではない。
以下、導電性樹脂基板の各部材の構成や特性等について説明する。
[透明樹脂基板]
本発明に係る透明樹脂基板は、金属細線パターンを形成し、保持する機能を有しており、可視光領域で透明な樹脂基板等を用途に応じて適宜選択して用いることができる。
透明樹脂基板の透明性は、用途によって任意に選択することができるが、透明性が高いほど透明電極等への適用も可能となり、用途拡大の観点から好ましい。
透明樹脂基板として、例えば、透明樹脂板や透明樹脂フィルム等を用いることが好ましく、中でも、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から、透明樹脂フィルムを用いることがより好ましい。
透明樹脂基板の全光線透過率は、70%以上、好ましくは80%以上である。全光線透過率は、JIS K 7375:2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定することができる。
透明樹脂フィルムの材料や形状、構造、厚さ等には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
透明樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視光領域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムとして好ましく適用することができる。
中でも、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム等の二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレート樹脂フィルムであることがより好ましい。
[無機粒子層]
本発明に係る無機粒子層は、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含んでいる。
屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、インジウム、亜鉛、アンチモン、セリウム、ニオブ、タングステン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。
無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、In、ZnO、Sb、ITO、CeO、Nb、WO等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、CeO又はNbが好ましく、TiOが最も好ましい。
また、これらの粒子は、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機化合物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%の範囲内であることが好ましい。表面処理材の被覆量が0.01質量%以上であると、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、99質量%以内であると高屈折率の無機粒子層の屈折率が低下するのを抑制することができる。
上記無機化合物粒子は、その屈折率が1.9以上であり、1.95以上が好ましく、2.0以上が特に好ましい。屈折率が1.9以上であると、本発明の効果である、細線パターンの光焼成におけるアブレーションの抑制と、低抵抗化の効果が得られる。
一方で、無機化合物粒子の屈折率の上限は3.0以下である。3.0を上回る屈折率を有する材料では、本発明に係る導電性樹脂基板の可視光透過性を阻害する。
無機粒子層の透明性は、用途によって任意に選択することができるが、透明性が高いほど透明電極等への適用も可能になり、用途拡大の観点で好ましい。無機粒子層の全光線透過率としては、少なくとも50%以上、好ましくは70%以上である。
無機化合物粒子の平均粒径としては、70〜300nmの範囲内であることが好ましい。無機化合物粒子の平均粒径が70nm以上であれば、細線パターンの光照射による焼成時の低抵抗化の効果が大きく、かつアブレーション抑制効果が期待できる。一方、平均粒径が300nm以下であれば、細線パターンの光照射による焼成時の低抵抗化の効果が大きく、かつアブレーション抑制効果が期待できる上、可視光の透過性を阻害しにくい。
本発明における無機化合物粒子の平均粒径は、光散乱方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能であり、具体的には、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて、レーザードップラー法により、25℃、サンプル希釈液量1mlにて測定した値をいう。
無機粒子層の乾燥層厚は、100〜2000nmの範囲内であることが好ましい。
無機粒子層の乾燥層厚が100nm以上であれば、透明樹脂基板上に、金属細線パターンを保持し、十分な密着性を得ることができるとともに、金属細線パターンの線太りを防止することができる。無機粒子層の乾燥層厚が2000nm以下であれば、透明性を低下させることがなく、また、折り曲げ時にクラックが生じるのを防止できる。
(無機粒子層に含有可能なバインダー)
無機粒子層に含有可能なバインダーとしては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明樹脂(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。
親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
無機粒子層に含有可能なバインダーとして用いられる樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
また、同様に、従来公知の樹脂粒子(エマルジョン)等も好適に使用可能である。
また、無機粒子層に含有可能なバインダーとして、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このようなバインダーとしては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、無機粒子層に含有可能なバインダーは、架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
また、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成し得る化合物が特に好適に使用される。このような化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている、比較的低温で改質処理され得る化合物を好ましく用いることができる。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む。)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合との両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
これらポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む。)、ポリシラザン及びポリシロキサザンは、後述の透明基板のガスバリアー層において説明するものと同様である。
[金属細線パターン]
本発明に係る金属細線パターンは、無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成した後、光照射により金属ナノ粒子の細線パターンを焼成することで形成される。金属ナノ粒子の細線パターンは、金属ナノ粒子分散物を、いわゆる印刷法を用いてパターン形成することで得られる。
(金属ナノ粒子分散物)
金属ナノ粒子分散物に用いる金属ナノ粒子は、導電性に優れていれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等の金属やそれらの合金でもよいが、導電性及び安定性の観点から銀を含むことが好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒径としては、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、1〜50nmの範囲内であることがより好ましく、1〜30nmの範囲内であることが特に好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒径は、金属ナノ粒子の電子顕微鏡観察から、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子をランダムに200個以上観察し、各金属ナノ粒子の粒径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。
ここで、粒径とは、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子の外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。なお、平均粒径を測定する際、明らかに金属ナノ粒子の側面等を表しているものは測定しない。
金属ナノ粒子分散物の製造方法は、多くの提案がなされており、例えば、特開2010−265543号公報、特開2011−68936号公報、特開2012−162767号公報、特開2012−144796号公報、特開2012−144795号公報、特開2012−52225号公報、特開2008−214591号公報、特開2007−200775号公報、特開2006−193594号公報、特開2012−119132号公報、特開2011−153362号公報、特表2009−515023号公報等の公報に詳細に記載されている。
金属ナノ粒子分散物は、水、アルコール、炭化水素等の分散媒中に金属ナノ粒子を含有するが、必要に応じて、バインダー、金属を分散させるための分散剤等を含んでもよい。
(金属細線パターンの形状)
本発明に係る金属細線パターンの形状には特に制限はなく、例えば、パターン形状がストライプ状、あるいは正方格子やハニカム格子等のメッシュ状であってもよいが、開口率は透明性の観点から80%以上であることが好ましい。
開口率とは、単位面積当たりで金属細線パターンが存在しない面積比率を意味し、例えば、金属細線パターンがストライプ状であるとき、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は90%である。
細線の線幅は、10〜200μmの範囲内であることが好ましい。細線の線幅が10μm以上であれば、所望の導電性が得られ、200μm以下であれば、透明電極として用いる場合に十分な透明性が得られる。
細線の高さは、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましい。細線の高さが0.1μm以上であれば、所望の導電性が得られ、5μm以下であれば、有機電子素子に用いる場合に、その凹凸差が有機機能層の層厚分布に与える影響を軽減できる。
(表面比抵抗の測定)
金属細線パターンを一枚の導電性膜とみなした場合の表面比抵抗は、100Ω/□以下であることが好ましく、有機EL素子等の有機電子素子に適した透明電極用部材として用いることを鑑みると、10Ω/□以下であることがより好ましく、更に、例えば、有機EL素子等の大面積化の観点から、5Ω/□以下であることが特に好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K 6911、ASTM D257等に準拠して測定することができ、また、市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
(表面の粗さRaの測定)
金属細線パターンの表面は、平滑であることが好ましい。例えば、金属細線パターンの表面粗さRaは、200nm以下であることが好ましい。
Raの値は、JIS B 0601:1994に規定される表面粗さであり、本発明においては、下記のように測定した値である。
本発明で規定するRaは、金属細線パターンの細線上のRaを測定したものであり、金属細線パターンの細線に対して平行に、長さ10μmの直線上のRaを測定したものである。
Raの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用い、以下の方法で測定する。
AFMとして、セイコーインスツル社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上に試料をセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。
ピエゾスキャナーは、XY20〜150μm、Z25μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツル社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜30nmのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。
測定は、CCDカメラを用いて、金属細線パターンの細線と測定エリアとが平行又は垂直になるように、探針の先が細線の幅手方向の中心部に位置するように調整し、細線の中心部10μm×10μmを走査周波数0.1Hzで測定した。測定後、細線に平行に0.9μmおきに10か所、長さ10μmの線を引き、その線上のRaを算出し、その平均値をRaの値とする。
[導電性ポリマー層]
本発明に係る導電性樹脂基板は、金属細線パターン上に、導電性ポリマーを含有する導電性ポリマー層が形成されていることが好ましい態様である。
なお、本発明において、導電性とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194−1994の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗が1×10Ω/□より低いことをいう。
導電性ポリマーとしては、π共役系導電性ポリマーとポリアニオンとを含む導電性ポリマーであることが成膜時のシート抵抗が低いことから好ましい。
また、導電性ポリマー層は、第2ドーパントとして水溶性有機化合物、バインダー材料として樹脂成分、塗布助剤として各種添加剤、等を含んでいてもよい。
導電性ポリマー層の乾燥層厚は、30〜2000nmの範囲内であることが好ましい。なお、導電性の点からは50nm以上であることがより好ましく、導電性樹脂基板を有機電子素子に用いる場合には、金属細線パターンの凹凸差を平滑化し、有機機能層の層厚分布への影響を軽減する観点から、60nm以上であることが更に好ましい。また、透明性の点から、600nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることが更に好ましい。
導電性ポリマー層の形成方法としては、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、塗工方法として、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種塗布法を用いることができる。
本発明に係る導電性ポリマー層は、少なくとも、π共役系導電性ポリマーとポリアニオンとを含む導電性ポリマーを含有する液を、基板上に上記塗布法を用いて成膜した後、温風乾燥や赤外線乾燥等の公知の加熱乾燥法や自然乾燥等により乾燥して形成することができる。
加熱乾燥する場合の温度は、使用する基板に応じて適宜選択することができるが、樹脂フィルム基板の場合には、200℃以下の温度で実施することが好ましい。
赤外線乾燥を用いる場合には、導電性ポリマー層を選択的に加熱するために、基板の吸収が少ない赤外線波長域を選択することが好ましい。例えば、基板がPETやPENフィルムの場合には、800〜1500nmの近赤外線を用いることが好ましい。又は、迅速に加熱乾燥するために、水の吸収極大が存在する3μm近傍の赤外線領域を選択することも好ましい。
(導電性ポリマー)
本発明に係る導電性ポリマーは、π共役系導電性ポリマーとポリアニオンとを含んでいる。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性ポリマーを形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリアニオンの存在下で、化学酸化重合することによって容易に製造できる。
(π共役系導電性ポリマー)
π共役系導電性ポリマーとしては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類、の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性や、金属ナノ粒子への吸着のしやすさから、ポリチオフェン類、ポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
π共役系導電性ポリマーの形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にも、その主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、遊離酸状態の酸性ポリマーであり、アニオン基を有するモノマーの重合体、あるいはアニオン基を有するモノマーとアニオン基を有しないモノマーとの共重合体である。遊離酸は、一部が中和された塩の形をとっていてもよい。
ポリアニオンとしては、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、少なくともアニオン基を含むものが挙げられる。
ポリアニオンは、π共役系導電性ポリマーを溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性ポリマーに対するドーパントとして機能して、π共役系導電性ポリマーの導電性と耐熱性とを向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性ポリマーへの化学酸化ドープが起こり得る官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ、及び安定性の観点から、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性ポリマーへのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。また、これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、ポリアニオンは、化合物内に更にF(フッ素原子)を有していてもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
導電性ポリマーに含まれるπ共役系導電性ポリマーとポリアニオンの比率(π共役系導電性ポリマー:ポリアニオン)は、質量比で1:1〜20の範囲内であることが好ましい。導電性、分散性の観点から、より好ましくは1:2〜10の範囲内であることがより好ましい。
こうした導電性ポリマーは市販もされており、本発明においては、こうした市販材料も好ましく用いることができる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す。)が、Heraeus社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PSSの483095及び560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。
(第2ドーパント)
本発明に係る導電性ポリマー層には、導電性ポリマーの導電性を高める効果を有する第2ドーパントを添加することができる。
第2ドーパントとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。ヒドロキシ基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
(樹脂成分)
本発明に係る導電性ポリマー層は、少なくともπ共役系導電性ポリマーとポリアニオンとを含む導電性ポリマー以外に、成膜性や膜強度を確保するために、透明な樹脂成分や添加剤を含んでいてもよい。
透明な樹脂成分としては、導電性ポリマーと相溶又は混合分散可能であれば特に制限されず、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、ポリエーテル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
中でも、水系溶剤に均一分散可能な水分散性バインダー又は水溶性バインダーとから形成されることが、高い透明性と導電性を保持したまま、高い表面平滑性が得られる点から好ましい。
(水分散性バインダー)
水系溶剤に均一分散可能な水分散性バインダーとは、水系溶剤に均一分散可能なものであり、水系溶剤中に凝集せずにバインダーからなるコロイド粒子が分散している状態であることを意味する。コロイド粒子の大きさ(平均粒径)は、一般的に0.001〜1μm(1〜1000nm)程度である。
コロイド粒子の平均粒径は、光散乱光度計により測定することができる。
また、上記水系溶剤とは、純水(蒸留水、脱イオン水を含む)のみならず、酸、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、更には親水性の有機溶媒等の溶媒であることを意味し、例えば、純水(蒸留水、脱イオン水を含む。)、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールの混合溶媒等が挙げられる。
水分散性バインダーは、透明であることが好ましい。
水分散性バインダーとしては、フィルムを形成する媒体であれば特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、水性ウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
アクリル系樹脂エマルジョンは、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸−スチレンの重合体又はその他のモノマーとの共重合体からなる。また、酸部分がリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩と対塩を形成したアニオン性、窒素原子を有するモノマーとの共重合体からなり、窒素原子が塩酸塩等を形成したカチオン性があるが、好ましくはアニオン性である。
水性ウレタン樹脂としては、水分散型ウレタン樹脂、アイオノマー型水性ウレタン樹脂(アニオン性)等が挙げられる。水分散型ウレタン樹脂には、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂があり、好ましくはポリエステル系ウレタン樹脂である。アイオノマー型水性ウレタン樹脂には、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等があり、好ましくはポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂である。
水性ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分とポリオール成分とから合成される。多塩基酸成分とは、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸等であり、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよく、特に好適に用いることのできる多塩基酸成分としては、工業的に多量に生産されており、安価であること等から、テレフタル酸とイソフタル酸が特に好ましい。
ポリオール成分として代表的なものを挙げれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール等であり、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよく、特に好適に用いることのできるポリオール成分としては、工業的に量産されているので安価であり、しかも樹脂被膜の耐溶剤性や耐候性が向上する等、諸性能にバランスがとれていることから、エチレングリコール、プロピレングリコール又はネオペンチルグリコールが特に好ましい。
上記水分散性バインダーは、1種でも複数種でも使用することができる。
水系溶媒に分散可能な水分散性バインダーの使用量は、透明性と導電性の観点から、好ましくは導電性ポリマーに対して、50〜1000質量%の範囲内であり、より好しくは100〜900質量%の範囲内であり、更に好ましくは200〜800質量%の範囲内である。
(水溶性バインダー)
水溶性バインダーとしては、下記一般式(1)で表される構造単位を含む水溶性バインダーであることが好ましい。
Figure 2014185256
一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Qは、−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。Raは、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、置換又は無置換のアルキレン基又は−(CHCHRbO)CHCHRb−を表す。Rbは、水素原子又はアルキル基を表す。xは、平均繰り返しユニット数を表す。
水溶性バインダーは、導電性ポリマーと容易に混合可能で、また、前述の第2ドーパントのような効果も有するため、当該水溶性バインダーを併用することにより、導電性及び透明性を低下させることなく、導電性ポリマー層の層厚を増加させることが可能となる。
なお、本発明において、水溶性バインダーとは、水溶性のバインダーであることを意味し、水溶性とは、水溶性バインダーが、25℃の水100gに0.001g以上溶解することを意味する。上記溶解は、ヘイズメーター又は濁度計で測定することができる。
水溶性バインダーは、透明であることが好ましい。
水溶性バインダーは、一般式(1)で表される構造単位を含む構造を有することが好ましい。また、一般式(1)で表されるホモポリマーであってもよいし、他の成分を共重合されていてもよい。他の成分を共重合する場合は、一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上含有することが好ましく、30モル%以上含有することがより好ましく、50モル%以上含有することが更に好ましい。
また、水溶性バインダーは、導電性ポリマー含有層中に40〜95質量%の範囲内で含まれていることが好ましく、50〜90質量%の範囲内であることが更に好ましい。
水溶性バインダーの数平均分子量は、3000〜2000000の範囲内が好ましく、より好ましくは4000〜500000の範囲内、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
水溶性バインダーの数平均分子量、分子量分布の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、バインダーが溶解すれば特に限りはなく、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)又はCHClが好ましく、より好ましくはTHF又はDMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが、40℃が好ましい。
(導電性ポリマー層に添加する無機微粒子)
導電性ポリマー層には、膜形成時の乾燥性、膜の強度、有機EL素子等の有機電子素子に用いた際の光取出し効率向上の観点で、無機微粒子を含有させることも可能である。
無機微粒子材料としては、微粒子ゾルが好ましく、特に金属酸化物微粒子ゾルが好ましい。
金属酸化物微粒子としては、安定性の観点から、TiO(二酸化チタンゾル)が好ましい。また、TiOの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が触媒活性が低いため、導電性ポリマー層や隣接した層の耐候性が高くなることから好ましい。
二酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等を参照することができる。
二酸化チタン微粒子の特に好ましい一次粒子径は、5〜15nmの範囲内であり、最も好ましくは6〜10nmの範囲内である。
[ガスバリアー層]
有機EL素子等の有機電子素子は、素子内部に微量の水分や酸素が存在すると容易に性能劣化が生じる。基板として樹脂基板を使用する場合には、樹脂基板を通して素子内部に水分や酸素が拡散することを防止するため、水分や酸素に対して高い遮蔽能を有するガスバリアー層を形成することが有効である。
本発明に係るガスバリアー層の組成や構造及びその形成方法には特に制限はなく、シリカ等の無機化合物による膜を真空蒸着やCVD法により形成することができる。また、ポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布乾燥後、酸素及び水蒸気を含む窒素雰囲気下で、紫外線照射により酸化処理してガスバリアー層を形成することもできる。
本発明で用いられるポリシラザン化合物とは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
樹脂基板を用いる場合には、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温でセラミック化してシリカに変性するものがよく、下記一般式(2)で表されるものを好ましく用いることができる。
Figure 2014185256
一般式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
一般式(2)で表されるポリシラザン化合物としては、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザン、R、R及びRのいずれか少なくとも一つがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基であるオルガノポリシラザン等が挙げられるが、得られるガスバリアー膜としての緻密性の観点から、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
ポリシラザン化合物の塗布方法は、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、塗布方法として、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種印刷方法に加えて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることができる。
ガスバリアー層をパターン状に形成することが好ましい場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法又はインクジェット印刷法を用いることが好ましい。
本発明において、ガスバリアー層は1層でもよいし、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する場合には、無機化合物の積層構造であってもよいし、無機化合物と有機化合物とのハイブリッド被膜として形成してもよい。また、ガスバリアー層の間に応力緩和層を挟んでもよい。
単層又は複数層を積層した場合でも、一つのガスバリアー層の層厚は、30〜1000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜500nmの範囲内、更に好ましくは90〜500nmの範囲内である。30nm以上とすると、層層厚均一性が良好となり、優れたガスバリアー性能が得られる。1000nm以下にすると、屈曲によるクラックが急激に入ることが極めて少なくなり、成膜時の内部応力の増大をとどめて、欠陥の生成を防止することができる。
本発明におけるガスバリアー層のガスバリアー性としては、JIS K 7129:1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましく、更には、JIS K 7126:1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下(1atmは、1.01325×10Paである。)、及び水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることがより好ましい。
本発明においては、ガスバリアー層を形成する前に、基板との接着性を向上するために、シランカップリング剤等を用いて基板の表面に前処理を施すこともできる。
[有機電子素子]
本発明に係る有機電子素子は、本発明の方法で製造された導電性樹脂基板と有機機能層とを有する。
例えば、本発明の方法で形成された透明な導電性樹脂基板を第1電極部として、この第1電極部の上に有機機能層を形成し、更にこの有機機能層の上に対向配置された第2電極部を形成することによって、有機電子素子を得ることができる。
有機機能層としては、有機発光層(発光層ともいう。)、有機光電変換層、液晶ポリマー層等、特に限定なく挙げることができるが、本発明は、有機機能層が薄膜で、かつ電流駆動系のものである有機発光層、有機光電変換層である場合において、特に有効である。
以下、本発明に係る有機電子素子が、有機EL素子及び有機光電変換素子である場合のその構成要素について説明する。
(1)有機EL素子
(1.1)有機機能層の構成
本発明において、有機機能層として、発光層を有する有機EL素子は、発光層に加えて、正孔(ホール)注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、電子ブロック層等の発光を制御する層を発光層と併用してもよい。
本発明に係る導電性ポリマー層は、正孔注入層として働くことも可能であるので、正孔注入層を兼ねることも可能だが、独立に正孔注入層を設けてもよい。
有機EL素子の構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)(第1電極部)/発光層/電子輸送層/(第2電極部)
(ii)(第1電極部)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第2電極部)
(iii)(第1電極部)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/(第2電極部)
(iv)(第1電極部)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極部)
(v)(第1電極部)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極部)
ここで、発光層は、発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲内にある単色発光層であってもよく、また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよく、更に発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。本発明の有機EL素子としては、白色発光層であることが好ましい。
また、本発明において、発光層に使用できる発光材料又はドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、あるいは各種蛍光色素、希土類金属錯体、リン光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物の中から選択される発光材料を90〜99.5質量%、ドーピング材料を0.5〜10質量%の範囲内で含むようにすることも好ましい。
発光層は、上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写等の方法が挙げられる。
(1.2)電極
本発明に係る導電性樹脂基板は、上記の第1電極部又は第2電極部で使用されるが、第1電極部が透明な導電性樹脂基板であり、かつ陽極であることが好ましい態様である。
第2電極部(陰極)は、導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。第2電極部の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性、酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく、安定な金属である第2金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
第2電極部は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
また、第2電極部としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。
第2電極部の導電材として金属材料を用いれば、第2電極部側に進行してきた光は、第2電極部で反射されて第1電極部側に戻る。第2電極部の導電材として金属材料を用いることで、この光が再利用可能となり、より光取出し効率が向上する。
(2)有機光電変換素子
有機光電変換素子は、第1電極部、バルクヘテロジャンクション構造(p型半導体層及びn型半導体層)を有する光電変換層(以下、バルクヘテロジャンクション層とも呼ぶ。)、第2電極部が積層された構造を有することが好ましい。
本発明に係る導電性樹脂基板は、少なくとも入射光側に用いられる。
光電変換層と第2電極部との間に電子輸送層等の中間層を有してもよい。
(2.1)光電変換層
光電変換層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を構成していることが好ましい。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。
ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子とのペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
p型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン、及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
特に、ポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン等のオリゴマーを好適に用いることができる。
その他、高分子p型半導体の例としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリカルバゾール、ポリイソチアナフテン、ポリヘプタジイン、ポリキノリン、ポリアニリン等が挙げられ、更には、特開2006−36755号公報等の置換−無置換交互共重合ポリチオフェン、特開2007−51289号公報、特開2005−76030号公報、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p4112、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p7246等の縮環チオフェン構造を有するポリマー、国際公開第2008/000664号、Adv.Mater.,2007,p4160、Macromolecules,2007,Vol.40,p1981等のチオフェン共重合体等を挙げることができる。
さらに、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、シングルウォールナノチューブ(SWNT)等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、更にポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料の中でも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニン、金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。また、ペンタセン類がより好ましい。
ペンタセン類の例としては、国際公開第2003/16599号、国際公開第2003/28125号、米国特許第6690029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基を有するペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127,No14,4986等に記載の置換アセン類及びその誘導体等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。
そのような化合物としては、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123,p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008),No.9,2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物、及び米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、特開2007−224019号公報等に記載のポルフィリンプレカーサー等のような、プレカーサータイプの化合物(前駆体)が挙げられる。
これらの中でも、後者のプレカーサータイプを好ましく用いることができる。これは、プレカーサータイプが、変換後に不溶化するため、バルクヘテロジャンクション層の上に正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層等を溶液プロセスで形成する際に、バルクヘテロジャンクション層が溶解してしまうことがなくなるため、上記各層を構成する材料とバルクヘテロジャンクション層を形成する材料とが混合することがなくなり、より一層の効率向上・寿命向上を達成することができるためである。
また、p型半導体材料としては、p型半導体材料前駆体に熱・光・放射線・化学反応を引き起こす化合物の蒸気に晒す、等の方法によって化学構造変化を起こし、p型半導体材料に変換された化合物であることが好ましい。中でも熱によって化学構造変化を起こす化合物が好ましい。
n型半導体材料の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む、高分子化合物が挙げられる。
中でも、フラーレン含有高分子化合物が好ましい。フラーレン含有高分子化合物としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等を骨格に持つ高分子化合物が挙げられる。フラーレン含有高分子化合物では、フラーレンC60を骨格に持つ高分子化合物(誘導体)が好ましい。
フラーレン含有ポリマーとしては、大別してフラーレンが高分子主鎖からペンダントされたポリマーと、フラーレンが高分子主鎖に含有されるポリマーとに大別されるが、フラーレンがポリマーの主鎖に含有されている化合物が好ましい。
これは、フラーレンが主鎖に含有されているポリマーは、ポリマーが分岐構造を有さないため、固体化した際に高密度なパッキングができ、結果として、高い移動度を得ることができるためではないかと推定される。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。
本発明の光電変換素子を、太陽電池等の光電変換デバイスとして用いる形態としては、光電変換素子を単層で利用してもよいし、積層(タンデム型)して利用してもよい。
また、光電変換デバイスは、環境中の酸素、水分等で劣化しないように、公知の手法によって封止することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
[実施例1]
≪導電性樹脂基板の作製≫
(1)導電性樹脂基板原板(I)〜(X)の作製
(1.1.1)無機化合物粒子分散液の調製
下記の各粒子(i)〜(ix)と超純水とを混合し、常温(25℃)で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散し、1.0μmフィルターでろ過し、30質量%のTiO分散液(I)〜(VIII)、ZnO分散液(IX)を作製した。
これに加え、下記のZrO分散液(X)を用意した。
<TiO粒子>
(i)酸化チタン AMT−600(屈折率2.52、平均粒径30nm)(テイカ社製)
(ii)酸化チタン スーパータイタニアF−2(屈折率2.59、平均粒径60nm)(昭和電工社製)
(iii)酸化チタン MT−700B(屈折率2.71、平均粒径80nm)(テイカ社製)
(iv)酸化チタン スーパータイタニアF−1(屈折率2.62、平均粒径90nm)(昭和電工社製)
(v)酸化チタン JA−C(屈折率2.52、平均粒径180nm)(テイカ社製)
(vi)酸化チタン JR−405(屈折率2.71、平均粒径210nm)(テイカ社製)
(vii)酸化チタン JR−301(屈折率2.71、平均粒径300nm)(テイカ社製)
(viii)酸化チタン FPT1(屈折率2.71、平均粒径400nm)(堺化学社製)<ZnO粒子>
(ix)酸化亜鉛(屈折率=1.95、平均粒径=290nm)(堺化学社製)
<ZrO分散液>
(X)酸化ジルコニウム ナノユースZR−30AL(屈折率2.4、平均粒径90nm)、固形分濃度30質量%水分散液(日産化学社製)
(1.1.2)無機粒子層の形成
両面にハードコート層(JSR株式会社製UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材:OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の平均層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃で3分間乾燥させ、その後空気雰囲気下において、高圧水銀ランプを使用して、硬化条件1.0J/cmで硬化して形成した層)を設けた厚さ110μm、大きさ180mm×180mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面に、アプリケーターにて上記で作製した無機化合物粒子分散液(I)〜(X)を、乾燥層厚0.4〜0.6μmとなるように塗布し、100℃、10分間クリーンオーブンを用いて乾燥し、無機粒子層付き樹脂基板(I)〜(X)を形成した。
無機粒子層の基板上での層厚は、無機粒子層の一部を削り、その段差を高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100を用いて測定した。測定は、任意の10か所における層厚を測定し、その平均値を求めた。
(1.1.3)金属ナノ粒子細線パターンの形成
無機粒子層付き樹脂基板(I)〜(X)に、バンドー化学(株)製銀ナノ粒子分散液FlowMetal SR6010を用いて、50μm幅、1.0mmピッチの直角交差の格子パターンを、パターニングエリアが50mm×50mmとなるよう、インクジェットプリンタでパターニングした。インクジェットヘッドは、コニカミノルタ(株)製のKM512S(液滴サイズ4pL)を用い、走査方向解像度3600dpiの条件で出射することで、格子パターンの縦ラインを描画し、更に、基板を90度回転させて同様の描画を行うことで、直角交差の格子パターンを形成した。この際、インクジェット印刷装置としては、前述のインクジェットヘッドを取り付けた卓上型ロボットShotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタ社製)にて制御した。
パターニング後のPETフィルムを、クリーンオーブンを用いて80℃で2分間乾燥して、導電性樹脂基板原板(I)〜(X)を作製した。
金属ナノ粒子細線パターンの厚さは、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100を用いて測定した。
(1.2)導電性樹脂基板原板(RI)の作製
導電性樹脂基板原板(I)〜(X)の作製において、無機粒子層を設けなかった以外は同様にして、導電性樹脂基板原板(RI)を作製した。
(1.3)導電性樹脂基板原板(RII)の作製
導電性樹脂基板原板(I)〜(X)の作製において、無機化合物粒子として、屈折率1.45、平均粒径100nmのシリカ粒子を用いた以外は同様にして、導電性樹脂基板原板(RII)を作製した。
(1.4)導電性樹脂基板原板(RIII)の作製
導電性樹脂基板原板(I)〜(X)の作製において、無機化合物粒子として、屈折率1.76、平均粒径100nmのアルミナ粒子を用いた以外は同様にして、導電性樹脂基板原板(RIII)を作製した。
(2)導電性樹脂基板の作製
(2.1)光照射による焼成
作製した導電性樹脂基板原板(I)〜(X)及び(RI)〜(RIII)に対し、光照射装置PulsForge3300(NovaCentrics社製)による焼成を施し、導電性樹脂基板(A1)〜(D10)及び(RA1)〜(RD3)を作製した。
光照射の条件を表1及び2に示す。なお、表1及び2中、光照射時間は、パルス光を複数回照射した場合には、パルス照射間の休止時間を含む時間を表す。
(2.2)加熱による焼成
作製した導電性樹脂基板原板(I)〜(X)及び(RI)〜(RIII)に対し、光照射による焼成を行わずに、クリーンオーブンを用いて加熱による焼成を行い、導電性樹脂基板(E1)〜(G10)及び(RE1)〜(RG3)を作製した。
加熱焼成の条件を表3に示す。
≪導電性樹脂基板の評価≫
(1)シート抵抗値の測定
作製した各導電性樹脂基板について、抵抗率計ロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)を用いて、四端子法でシート抵抗値(Ω/□)を測定した。
測定結果を表1〜3に示す。
(2)金属細線パターンの密着性(1)(アブレーションの抑制性)
作製した導電性樹脂基板(A1)〜(D10)及び(RA1)〜(RD3)について、光照射による焼成時に生じる金属細線パターンのアブレーション抑制性能を、焼成後の金属細線パターンを走査型電子顕微鏡で観察することで評価した。走査型電子顕微鏡の観察は、S−5000H(日立製作所製)を用いて、加速電圧1.0kV、倍率50000倍で行った。
観察結果を以下の基準で評価した。
評価結果を表1及び2に示す。
○ :金属細線パターンに、剥がれ、断線が観察されない
△ :金属細線パターンの一部に剥がれが観察されるが、断線は生じていない
× :金属細線パターンに明確に断線が観察される
××:金属細線パターンの50%以上がアブレーションにより消失している
(3)金属細線パターンの密着性(2)
作製した各導電性樹脂基板について、焼成後の金属細線パターン上に、スコッチテープを貼り付けた後、直ちに該スコッチテープを剥がし、金属細線パターンの剥離の有無を下記基準で目視評価した。
評価結果を表1〜3に示す。
○ :全く剥離がなく、問題ない
△ :スコッチテープ貼り付け面の金属細線パターンが90%以上残留している
× :スコッチテープ貼り付け面の金属細線パターンが20%以上、90%未満残留している
××:スコッチテープ貼り付け面の金属細線パターンの残留が20%未満
(4)基板の平面性
作製した導電性樹脂基板(E1)〜(G10)及び(RE1)〜(RG3)について、加熱による焼成工程で生じた導電性樹脂基板の変形を下記基準で評価した。
評価結果を表3に示す。
○ :目視上、変形が認められない
△ :焼成後の導電性樹脂基板を金属細線パターンが上面になるように定盤上に置いた場合、部分的に定盤と基材とが離れ、その距離が3mm未満
× :焼成後の導電性樹脂基板を金属細線パターンが上面になるように定盤上に置いた場合、部分的に定盤と基材とが離れ、その距離が3mm以上6mm未満
××:焼成後の導電性樹脂基板を金属細線パターンが上面になるように定盤上に置いた場合、部分的に定盤と基材とが離れ、その距離が6mm以上
Figure 2014185256
Figure 2014185256
Figure 2014185256
(5)まとめ
表1及び2から明らかなように、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を有する導電性樹脂基板(A1)〜(D10)は、屈折率1.9未満の無機化合物粒子を含む無機粒子層を有する導電性樹脂基板(RA1)〜(RD3)と比較して、シート抵抗値、アブレーション抑制性及び密着性の点において、優れていることがわかる。
また、表3から明らかなように、加熱焼成して作製した導電性樹脂基板(E1)〜(G10)及び(RE1)〜(RG10)は、シート抵抗値が測定不能であるか、測定可能であったとしても非常に高い値を示し、また、基板の平面性及び金属細線パターンの密着性において、その性能が低下していた。
以上から、透明樹脂基板上に、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を形成し、該無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成し、光照射により金属ナノ粒子の細線パターンを焼成することが、基板との密着性に優れた金属細線パターンを有する、低抵抗の導電性樹脂基板の製造方法として有用であることが確認できた。
[実施例2]
≪有機EL素子の作製≫
(1)ガスバリアー層を有する導電性樹脂基板の作製
(1.1)透明樹脂基板の平滑化
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製)の下引き加工をしていない面に、JSR株式会社製UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材:OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の平均層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃で3分間乾燥させ、その後空気雰囲気下において、高圧水銀ランプを使用して、硬化条件1.0J/cmで硬化を行い、透明樹脂基板を平滑化した。
(1.2)ガスバリアー層の形成
次に、透明樹脂基板上に、以下に示す条件でガスバリアー層を形成した。
(1.2.1)ガスバリアー層形成用塗布液の塗布
パーヒドロポリシラザン(PHPS、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320)の20質量%ジブチルエーテル溶液(ガスバリアー層塗布液)をワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)層厚が0.30μmとなるように透明樹脂基板に塗布した。
(1.2.2)乾燥及び除湿処理
(第1工程;乾燥処理)
ガスバリアー層形成用塗布液を塗布した透明樹脂基板を温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で、1分間、乾燥処理を行った。
(第2工程;除湿処理)
第1工程において乾燥処理を行った透明樹脂基板を、更に、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
(1.2.3)改質処理
第2工程において除湿処理を行った透明樹脂基板を、下記の装置を用いて、下記の条件で改質処理を行った。改質処理時の露点温度は、−8℃で実施した。
(改質処理装置)
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
(改質処理条件)
エキシマ光強度 60mW/cm(172nm)
試料と光源との距離 1mm
ステージ加熱温度 70℃
照射装置内の酸素濃度 1%
エキシマ照射時間 3秒
上記のようにして、ガスバリアー層を有する透明樹脂基板を作製した。
なお、ガスバリアー層を有する透明樹脂基板は、JIS K 7129:1992に準拠した方法で、温度25±0.5℃及び相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が1×10−3g/(m・24h)以下であることを確認した。
このガスバリアー層を有する透明樹脂基板を用いた以外は、実施例1における導電性樹脂基板(A6)及び(RA2)と同様にして、ガスバリアー層付きの導電性樹脂基板(BA6)及び(BRA2)を作製した。
(2)導電性ポリマー層を有する導電性樹脂基板の作製
ガスバリアー層付きの導電性樹脂基板(BA6)及び(BRA2)の金属細線パターン上に、金属細線パターンの印刷領域に合わせて、下記のように調製した導電性ポリマー液を、アプリケーターコーターを用いて、乾燥平均層厚が500nmとなるように塗布し、金属細線パターンの印刷領域と同じになるよう不要な周辺部分を拭き取り、クリーンオーブンで乾燥処理(110℃で60分間の熱処理)を施して導電性ポリマー層を形成し、導電性ポリマー層を有する導電性樹脂基板(CP−A6)、(CP−RA2)を作製した。
<導電性ポリマー液>
CLEVIOS PH510(PEDOT/PSSの水分散液、Heraeus社製、固形分濃度1.89質量%) 1.60g
プラスコートZ−561(互応化学工業社製、固形分濃度25質量%) 0.16g
ルチル型酸化チタン微粒子分散液(平均粒径=6nm、固形分濃度25質量%) 0.16g
プロピレングリコール 0.10g
(3)有機EL素子の作製
導電性ポリマー層を有する導電性樹脂基板(CP−A6)及び(CP−RA2)を第1電極部(陽極)に用いて、有機EL素子(EL−A6)及び(EL−RA2)を以下の手順でそれぞれ作製した。
導電性樹脂基板(CP−A6)及び(CP−RA2)を、それぞれ市販の真空蒸着装置内にセットし、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各有機機能層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
まず、真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記α−NPDの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚30nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、下記Ir−1が13質量%、下記Ir−14が3.7質量%の濃度になるように、Ir−1、Ir−14及び下記化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、層厚10nmの緑赤色リン光発光層を形成した。
次いで、下記E−66が10質量%になるように、E−66及び化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が471nm、層厚15nmの青色リン光発光層を形成した。
その後、下記M−1を層厚5nmに蒸着して正孔ブロック層を形成し、更に、CsFを層厚比で10%になるようにM−1と共蒸着し、層厚45nmの電子輸送層を形成した。
Figure 2014185256
形成した電子輸送層の上に、第1電極部用外部取出し端子及び50mm×50mmの第2電極部(陰極)形成用材料として、Alを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの第2電極部を形成した。
さらに、第1電極部及び第2電極部の外部取り出し端子が形成できるように、端部を除き第2電極部の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上にAlを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させ封止膜を形成し、発光領域50mm×50mmの有機EL素子(EL−A6)、(EL−RA2)を作製した。
接着剤として、2液性エポキシ配合樹脂(スリーボンド社製)2016Bと2103とを100:3の割合で配合したものを用いた。
≪有機EL素子の評価≫
(1)発光ムラの評価
作製した各有機EL素子について、KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を印加し、輝度が1000cd/mになるよう発光させ、発光状態を下記基準で目視評価した。
評価結果を表4に示す。
◎:完全に均一発光しており、全く問題ない
○:ほぼ均一発光しており、実用的に問題ない
△:部分的に発光ムラが見られ、実用的に許容できない
×:全面に渡って発光ムラが見られ、全く許容できない
(2)発光効率の測定
作製した各有機EL素子について、室温(約23〜25℃の範囲内)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、各サンプルの発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(外部取出し効率)を求めた。発光効率は、有機EL素子(EL−RA2)の発光効率を100とした時の相対値で示した。
評価結果を表4に示す。なお、表4中、光照射時間は、パルス光を複数回照射した場合には、パルス照射間の休止時間を含む時間を表す。
Figure 2014185256
(3)まとめ
表4から明らかなように、屈折率1.9〜3.0の範囲内(屈折率2.71)の無機化合物粒子を含む無機粒子層を有する導電性樹脂基板(BA6)を用いて作製した有機EL素子(EL−A6)は、屈折率1.45の無機化合物粒子を含む無機粒子層を有する導電性樹脂基板(BRA2)を用いて作製した有機EL素子(EL−RA2)と比較して、発光ムラ及び発光効率に優れていることがわかる。
以上から、本発明の導電性樹脂基板の製造方法を用いて作製された導電性樹脂基板が、有機EL素子の電極として適用可能であることが確認できた。
本発明は、基板との密着性に優れた金属細線パターンを有する、低抵抗な導電性樹脂基板の製造方法を提供することに、特に好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. 少なくとも下記(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする導電性樹脂基板の製造方法。
    (1)透明樹脂基板上に、屈折率1.9〜3.0の範囲内の無機化合物粒子を含む無機粒子層を形成する工程
    (2)前記無機粒子層上に、金属ナノ粒子の細線パターンを形成する工程
    (3)光照射により、前記金属ナノ粒子の細線パターンを焼成し、金属細線パターンを形成する工程
  2. 前記無機化合物粒子の平均粒径が、70〜300nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂基板の製造方法。
  3. 前記金属細線パターンを形成する工程では、パルス光により前記光照射をすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性樹脂基板の製造方法。
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