JP2011243529A - 透明導電性基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電層の高い接着性、導電性および透明性を兼ね備えてかつ、高速生産可能であり、有機EL素子、有機太陽電池といった有機電子素子を製造するための洗浄が可能な透明導電性基板を提供すること。
【解決手段】基板上に、下引き層、パターン状に形成された金属細線からなる第一導電層、および該第一導電層を被覆し導電性ポリマーを含有する第二導電層、を有する透明導電性基板において、該第一導電層が印刷方式によりパターン状に、該下引き層上に形成されており、かつ該第二導電層が水酸基含有非導電性のポリマーXを含有しており、該下引き層が水酸基、−NR(式中R,Rは、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基を表す)で表される基の少なくとも一つの基を分子内に有するポリマーYを含有していることを特徴とする透明導電性基板。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)、有機太陽電池といった有機電子素子等に用いられる透明導電性基板に関し、特に、透明支持体の上に透明電極を設けた透明導電性基板であって、有機電子素子の駆動電圧や効率、寿命といった素子性能を向上させることができる透明導電性基板に関する。
近年、有機EL素子や有機太陽電池といった有機電子素子が注目されており、このような素子において、透明支持体の上に透明電極を設けた透明導電性基板は必須の構成技術となっている。
従来、透明電極は、ガラスや透明なプラスチックフィルム等の透明基板上に、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)膜を真空蒸着法やスパッタリング法で製膜したITO透明電極が、その導電性や透明性といった性能の点から、主に使用されてきた。しかし、真空蒸着法やスパッタリング法を用いた透明電極は生産性が悪いため製造コストが高いことや、可撓性に劣るためフレキシブル性が求められる素子用途には適用できないことが問題であった。
これに対し、π共役系高分子に代表される導電性ポリマーを適当な溶媒に溶解または分散した塗液を用い、塗布や印刷によって透明導電体層を形成する方法(例えば特許文献1参照)が提案されている。しかし、真空成膜法によるITO等の金属酸化物透明電極に較べると、透明性、導電性とも著しく低下するという課題があった。さらに、これを用いて有機EL素子といった有機電子素子を形成した場合、透明電極自身の低導電性に加え、該透明電極上に設けられる機能層との界面抵抗が高いと思われる挙動(例えば、有機EL素子では駆動電圧の上昇)が見られ、素子としての性能が低下するという課題があった。
一方、プラスチック基材の表面に接着剤を介して金属皮膜を接着したのち、フォトリソグラフィの手法を用いて金属細線パターンを形成した透明導電フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このような透明導電フィルムの作成においては、所謂ロール・トゥ・ロールの手法を用いて、高速、連続で生産を行うことが困難であるという課題があった。またこのような金属細線パターン電極上を導電性ポリマー電極が覆う形状の透明電極においては、金属細線パターン電極と導電性ポリマー電極の両方が基材表面に接触する構成をとるが、前述の手法では、金属細線パターンを形成する際に、基材表面を、いったん金属皮膜で全面被服したのちに、フォトリソグラフィの手法により細線パターン以外の部分の金属皮膜を取り除く工程を経るため、基材と金属細線パターンの接着性および基材と導電性ポリマーの接着性を共に両立するための下引処理が困難であり、かつそれを施しても、十分な接着性を発現させることは困難であった。
さらに透明支持体上に金属細線パターンを形成する手段として、銀粒子等を含有する導電性ペーストを、スクリーン印刷等の印刷技術を用いたうえで、この金属細線パターンを覆うように導電性ポリマーを塗布し、全面に導電性を発現させた透明電極が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。しかしながら、これらの例においては、支持体と金属細線パターンの間の接着性、および支持体と導電性ポリマー層の接着性を両立する手段が講じられておらず、やはりロール・トゥ・ロールの手法を用いて、高速、連続で生産を行う際に、金属細線パターンや導電性ポリマー層が剥離、脱落する等の問題を解決するには至らなかった。また、これらの例においては、導電性ポリマー層が水に対して溶解性を有するために、次工程で有機電子素子を形成する際に、透明電極上のホコリ等を除くための水による洗浄が困難であり、例えば有機EL素子の場合、洗浄により整流比が低く輝度ムラが生じるという問題があった。
特開平6−273964号公報 特開2000−98912号公報 特開2008−130449号公報 特開2009−231194号公報
前述のように、金属細線と導電性ポリマーとからなる透明電極を用いる従来技術では、ロール・トゥ・ロールの手法を用いて、高速に連続を用いて生産を用いる際に、金属細線パターンや導電性ポリマー層が剥離、脱落する等の問題を解決するには至らなかった。また、これらの例においては、導電性ポリマー層が水に対して溶解性を有するために、透明電極上のホコリ等を除くための洗浄が困難であるという問題があった。
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、導電層の高い接着性、導電性および透明性を兼ね備えてかつ、高速生産可能であり、有機EL素子、有機太陽電池といった有機電子素子を製造するための洗浄が可能な透明導電性基板を提供することにある。
本発明者らは、下記の手段により上記の課題を解決出来ることを見出した。
1.基板上に、下引き層、パターン状に形成された金属細線からなる第一導電層、および該第一導電層を被覆し導電性ポリマーを含有する第二導電層、を有する透明導電性基板において、該第一導電層が印刷方式によりパターン状に、該下引き層上に形成されており、かつ該第二導電層が水酸基含有非導電性のポリマーXを含有しており、該下引き層が水酸基、−NR(式中R,Rは、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基を表す)で表される基の少なくとも一つの基を分子内に有するポリマーYを含有していることを特徴とする透明導電性基板。
金属細線は導電性を高めるために焼成が必要であるが、焼成すると基板との接着性が悪くなる。本発明では、水酸基、−NR基が金属細線との強い接着性を有するため、焼成後も十分な接着性が確保されていると考えられる。
2.前記第二導電層に含有される、前記ポリマーXが、下記ポリマー(A)であることを特徴とする前記1に記載の透明導電性基板。
Figure 2011243529
式中、X〜Xは、水素原子またはメチル基、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数5以下のアルキレン基を示す。
l、m、nは構成率(mol%)を表し、50≦l+m+n≦100である。
ポリマー(A)は側鎖のOH基の間で脱水縮合する性質を有しており、塗布、乾燥後、架橋して水に不溶なため、洗浄を行っても第2導電層が剥離することがないと考えられる。また、通常は導電性ポリマーに添加する非導電性ポリマーの量を増大させると、導電性が低下するが、導電性ポリマーにポリマー(A)を添加した場合は導電性が低下しないという特徴を有する。
3.前記ポリマーYが、ヒドロキシアルキル基置換セルロース、ポリビニルアルコール誘導体ポリマー、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマーおよびポリヒドロキシアルキル(メタ)アクルアミド誘導体ポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーであることを特徴とする前記1または2に記載の透明導電性基板。
4.前記下引き層が、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するラジカル重合性組成物を重合させて形成させられるハードコート層であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
5.前記ポリマーYが、分子内に、水酸基および−NRで表される基のうちの少なくとも一つの基を有する重合性化合物を含有するラジカル重合性組成物を塗布した後、重合することにより形成されることを特徴とする前記4に記載の透明導電性基板。
6.前記第一導電層が、銀微粒子からなるペーストを印刷方式により細線状にパターニングし、かつ焼成することにより形成された細線状電極であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
7.前記銀微粒子が、平均粒径が2〜30nmの銀ナノ粒子であることを特徴とする前記6に記載の透明導電性基板。
本発明によれば、金属細線や導電性ポリマーとからなる透明電極と基板との接着性が高く、高い導電性と透明性を兼ね備えた透明導電性基板を提供し、さらには、有機EL素子、有機太陽電池といった有機電子素子において、電流リークや電界集中を抑制し、素子の駆動電圧を低減し、効率に優れた有機電子素子を提供することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<透明導電性基板>
前記透明導電性基板は、基板上に、下引き層、パターン状に形成された金属細線からなる第一導電層、および該第一導電層を被覆し導電性ポリマーを有する第二導電層を有する。
該下引き層は、水酸基、−NR(式中R,Rは、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基を表す)で表される基の少なくとも一つの基を分子内に有するポリマーYを含有する。
前記第一導電層は、前記下引き層上に、印刷方式によりパターン状に形成された金属の細線パターン(以下、細線、または細線パターン)からなる。
前記第二導電層は、更に、水酸基含有非導電性のポリマーXを含有する。
下引き層は基板に全面に設けられることが好ましい。
第一導電層は、印刷方式によりパターン形成されるため、フォトリソグラフィの工程が不要である。
第二導電層は、第一導電層の細線パターンの全面(金属細線のある部分と金属細線の無い部分の全て)を覆うように設けられることが好ましい。
金属細線の無い部分では、下引き層上に直接、第二導電層が設けられることが、洗浄に対する耐性が優れ好ましい。
第二導電層は第一導電層より導電性が低いが、第一導電層に近接した領域に電流を流せば良いだけなので、一定の導電性が確保できれば大きな障害にはならない。
また、該透明導電性基板の表面は第二導電層であり、その表面は平滑であることが、該透明導電性基板を用いて有機電子素子を製造する上で好ましい。
<基板>
本発明では、前記基板として、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラスなどを用いることができ、軽量性と柔軟性の観点から透明プラスチックフィルムを用いることが好ましい。
プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。中でも好ましいのは、PETおよびPENである。
前記透明導電性基板及び有機電子素子において、基板は、表面平滑性に優れているものが好ましい。表面の平滑性は算術平均粗さRaが5nm以下かつ最大高さRzが50nm以下であることが好ましく、Raが2nm以下かつRzが30nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくはRaが1nm以下かつRzが20nm以下である。基板の表面は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等の下塗り層を付与して平滑化してもよいし、研磨などの機械加工によって平滑にすることもできる。
ここで、表面平滑性を表すRaとRzとは、Ra=算術平均粗さとRz=最大高さ(表面の山頂部と谷底部との高低差)を意味し、JIS B601(2001)に規定される表面粗さに準ずる値である。本発明においてRaとRzおよび段差の測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の方法で測定できる。
AFMとして、セイコーインスツル社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY150μm、Z5μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツル社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数0.1Hzで測定する。
前記基板には、大気中の酸素、水分を遮断する目的でガスバリア層を設けるのが好ましい。ガスバリア層の形成材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物が使用できる。これらの材料は、水蒸気バリア機能のほかに酸素バリア機能も有する。特にバリア性、耐溶剤性、透明性が良好な窒化シリコン、酸化窒化シリコンが好ましい。また、バリア層は必要に応じて多層構成とすることも可能である。ガスバリア層の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。前記ガスバリア層を構成する各無機層の厚みに関しては特に限定されないが、典型的には1層あたり5nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1層あたり10nm〜400nmである。ガスバリア層は基板の少なくとも一方の面に設けられ、両面に設けられるのがより好ましい。
さらに前記基板の表面は、ハードコート層等による平滑化処理がされていることが好ましい。第一の支持体の表面平滑性(凹凸)は算術平均粗さRaが5nm以下、かつ最大高さRzが50nm以下であることが好ましく、より好ましくはRaが1nm以下、かつRzが30nm以下である。
尚、ハードコート層は下記の下引層によって替えられることが出来る。
<下引き層>
前記下引き層は、水酸基、−NR(式中R,Rは、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基を表す)で表される基の少なくとも一つの基を分子内に有するポリマーYを含有する。
前記ポリマーYとしては、ヒドロキシアルキル基置換セルロース、ポリビニルアルコール誘導体ポリマー、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマー、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド誘導体ポリマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド誘導体ポリマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマー等が好ましく用いることが出来る。
前記ヒドロキシアルキル基置換セルロースとしては、具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコール誘導体ポリマーとしては、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーのホモポリマー、同様に選ばれる2種以上のモノマーの共重合体、さらにこれらのモノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。更に具体的には、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)が好ましく用いることができる。
前記ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクルアミド誘導体ポリマーとしては、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、等のヒドロキシアルキル(メタ)アクルアミドモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーのホモポリマー、同様に選ばれる2種以上のモノマーの共重合体、さらにこれらのモノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。更に具体的には、ポリ(N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド)が好ましく用いることができる。
前記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド誘導体ポリマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノプロピルメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種のモノマーのホモポリマー、同様に選ばれる2種以上のモノマーの共重合体、さらにこれらのモノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が好ましく用いることができる。
前記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマーのホモポリマー、同様に選ばれる2種以上のモノマーの共重合体、さらにこれらのモノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が好ましく用いることができる。
これらの下引層を構成するポリマーを単一または複数の、水、アルコール、またはそれらの混合溶媒の溶液として、前述の基板上に塗布、乾燥することで下引層を形成することが出来る。これらの下引層の膜厚は0.01〜1μmの範囲が好ましく、0.05〜0.5μmの範囲がより好ましい。
また、本発明における下引き層は、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するラジカル重合性組成物を重合させることにより形成され、ハードコート層を兼ねることが出来る。その際、ハードコート層を形成するラジカル重合性組成物中に、分子内に、水酸基、−NRで表される基の少なくとも一つの基を有するポリマーYを含有せしめるか、分子内に、水酸基、−NRで表される基の少なくとも一つの基を有する重合性化合物を含有せしめる必要がある。ポリマーYとして好ましくは、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマー、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクルアミド誘導体ポリマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド誘導体ポリマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマーであり、さらに具体的には、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド)、およびこれらのポリマーをベースとした共重合体が好ましい。
また、分子内に、水酸基、−NRで表される基の少なくとも一つの基を有する重合性化合物をラジカル重合性組成物中に含有せしめ、重合プロセスを経て水酸基、−NRで表される基の少なくとも一つの基を有するマトリクスを形成する方法も好ましく用いることが出来る。
該ラジカル重合性組成物に含有せしめる、分子内に水酸基、−NRで表される基の少なくとも一つの基を有する重合性化合物の構造は任意である。
水酸基を有する、重合性化合物の例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等のアルコール性水酸基含有単官能モノマー、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリレート、4−ヒドロキシフェニルマレイミド、ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有単官能モノマー、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の未修飾OH基を残したポリオール(メタ)アクリレート、ポリオールにグリシジル(メタ)アクリレートを反応させることにより、多価の水酸基を持たせた多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また−NRで表される基を有する重合性化合物の例としては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明における下引き層を形成するのに用いるラジカル重合性組成物中には、上記の分子内に水酸基、−NRで表される基の少なくとも一つの基を有する重合性化合物のほかに、ラジカル重合性を発現させるために必要な、一般によく知られているポリオール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートエポキシ(メタ)アクリレート等から選ばれる少なくとも1種の多官能モノマー、多官能オリゴマーと、紫外光の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤が含有されることが好ましい。
該ラジカル重合性組成物を用いて基板上に下引層を形成するためには、基板上に該ラジカル重合性組成物を塗布したのち、紫外光を照射してラジカル重合反応を進行させて、硬化膜とするプロセスを行うことが好ましい。
(多官能(メタ)アクリレート化合物)
前記多官能(メタ)アクリレート化合物とは、分子内に複数のメタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を有する化合物全般を指す。本発明において用いることのできる多官能(メタ)アクリレート化合物は、一般的に光重合性モノマー・オリゴマーとして知られているアクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物等であり、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を単体でまたは複数併用して用いることができる。
これらの化合物に限定は無いが、好ましいものとして、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
また、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するラジカル重合性組成物として、JSR DeSolite Z7501がJSR社より市販されており、特に好ましく用いることが出来る。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等を挙げることができ、また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述のモノマー及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、また、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、また、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、また、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
<導電層>
本発明における導電層は、金属の細線パターン(以下、細線、または細線パターン)からなる第一導電層と、導電性ポリマーからなる第二導電層から構成される。導電層の形成方法としては、前記下引き層を有する基板上に印刷方式により、金属粒子のペーストの細線パターンを印刷、焼成して、第1導電層を形成することが好ましい。前記基板と該基材上に形成された第1導電層とを覆うように、第2導電層の塗布液を塗布することにより、第1導電層の無い細線パターンの間の領域にも電極を展開することが出来る。
(第1導電層)
まず支持体上に第一導電層として、金属からなる細線パターンを形成する。細線パターンは、金属粒子の分散液を用い、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法により形成できる。各印刷の方式は、一般的に電極パターン形成に使われる手法が本発明に関しても適用可能である。具体的な例として、グラビア印刷法については特開2009−295980号、特開2009−259826号、特開2009−96189号、特開2009−90662号記載の方法等が、グラビア印刷法については特開2004−268319号、特開2003−168560号記載の方法等が、スクリーン印刷法については特開2010−34161号、特開2010−10245号、特開2009−302345号記載の方法等が例として挙げられる。
第一導電層における細線の線幅は任意であるが、10〜400μmが好ましく、20〜200μmがさらに好ましく、30〜120μmがより好ましい。細線の高さは、0.2〜2.0μmが好ましく、0.5〜1.5μmがより好ましい。
第一導電層の細線部の表面比抵抗は、100Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
(金属ナノ粒子)
前記金属細線は金属粒子のペーストを印刷することにより設けることが好ましい。印刷後、導電性を高めるために、加熱し焼成する。基材にPETフィルムを用いる場合、焼成の温度は110℃以下が好ましい。前記金属粒子は、高い導電性が得られることから、金属ナノ粒子が好ましい。
前記金属ナノ粒子とは、粒子径が原子スケールからnmサイズの微粒子状の金属のことをいう。金属ナノ粒子の平均粒径としては1〜300nmが好ましく、2〜100nmであることがより好ましい。本発明に係る金属ナノ粒子に用いられる金属としては、導電性の観点から銀または銅が好ましく、銀または銅単独でもよいし、それぞれの組み合わせでもよく、銀と銅の合金、銀または銅が一方の金属でめっきされていてもよい。中でも特に銀のナノ粒子が好ましい。中でも、平均粒径が2〜30nmの銀ナノ粒子が好ましい。
平均粒径が2以上であれば、長期の保存で粒子の凝集することが無く保存性が良好である。また、30nm以下であれば、焼成の時間が短くて済み、また金属細線の表面を平滑にすることができる。
(第2導電層)
さらに、第二導電層として、パターン形成された第一導電層を被覆するように、導電性ポリマーからなる分散液を塗布、乾燥して膜形成する。第二導電層の塗布は、前述のグラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。
第二導電層は、さらに導電性ポリマーの導電性増強効果を有するポリマーXを含む。これにより、高い導電性、高い透明性、耐水性を同時に満たすことができる。
このような積層構造を有する本発明の導電層を形成することで、金属または金属酸化物細線、あるいは導電性ポリマー層単独では得ることのできない高い導電性を、電極面内において均一に得ることができる。
第二導電層の導電性ポリマーとポリマーXとの比率は、導電性ポリマーを100質量部とした時、ポリマーXが30質量部から900質量部であることが好ましく、電流リーク防止、ポリマーXの導電性増強効果、透明性の観点から、ポリマーXが100質量部以上であることがより好ましい。
第二導電層の乾燥膜厚は30nmから2000nmであることが好ましい。導電性の点から、100nm以上であることがより好ましく、電極の表面平滑性の点から、200nm以上であることがさらに好ましい。また、透明性の点から、1000nm以下であることがより好ましい。
第二導電層を導電性ポリマーのみで形成した場合、このような厚みを確保しようとすると、透明性が低下する。透明性を確保するため、透明な非導電性ポリマーを添加することが有効であるが、一般的に添加量が多いと導電性が低下する。前記ポリマーXは伝導性の低下がなく、透明性を低下させないといった優れた効果を有する。
第二導電層を塗布した後、適宜乾燥処理を施すことができる。乾燥処理の条件として特に制限はないが、基材や導電層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。例えば、80℃から150℃で10秒から10分の乾燥処理をすることができる。本発明において、乾燥終了後、さらに熱処理を行う事で、ポリマーXの架橋反応を促進、完了させることができる。これにより電極の洗浄耐性、溶媒耐性が著しく向上し、さらに素子性能が向上する。特に、有機EL素子においては、駆動電圧の低減、寿命の向上といった効果が得られる。
熱処理は、50℃以上200℃以下の温度で、30分以上行う事が好ましい。50℃未満では、反応促進効果が小さく、200℃を超える場合、素材への熱的ダメージが増えるためか、効果が小さくなる。処理温度としては80℃以上150℃以下であることがより好ましく、処理時間としては1時間以上であることがより好ましい。処理時間の上限は特にないが、生産性の観点から24時間以下であることが好ましい。熱処理は、導電層を塗布、乾燥した後、オンラインで行ってもよく、オフラインで行ってもよい。オフラインで行う場合、さらに減圧下で行う事が、水分の乾燥促進にもつながり、好ましい。
本発明において、酸触媒を用いてポリマーXの架橋反応を促進、完了させることができる。酸触媒としては、塩酸、硫酸や硫酸アンモニウムを用いることができる。また導電性ポリマーにドーパントとして用いるポリアニオンにおいて、スルホ基含有ポリアニオンを使用することで、ドーパントと触媒を兼用することができる。また、酸触媒の使用と合わせて、前述の熱処理を行う事ができ、処理時間の短縮にもつながり、好ましい。
<ポリマーX>
本発明における水酸基含有非導電性のポリマーXとしては、前記ポリマー(A)が好ましい。ポリマー(A)の主たる共重合成分は、下記モノマーM1、M2、M3から選ばれる少なくとも1種を有し、共重合成分の50mol%以上の成分が該モノマーのいずれか、あるいは、合計が50mol%以上である。該モノマー成分の合計が80mol%以上であることがより好ましい。前記ポリマー(A)は、さらに、いずれか単独のモノマーから形成されたホモポリマーであっても良く、また、好ましい実施形態である。また、モノマーM1の含有率は0〜50mol%であることが好ましい。
前記ポリマー(A)は、中でもモノマーM2の重合体が特に好ましい。更に具体的には、モノマーM2においてXは水素原子が好ましい。またRは特にエチレン基が好ましい。
モノマーM1 CH=C(X)O−R−OH
モノマーM2 CH=C(X)COO−R−OH
モノマーM3 CH=C(X)CONH−R−OH
式中、X〜Xは、水素原子またはメチル基、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数5以下のアルキレン基を示す。
ポリマー(A)においては、水系溶媒に可溶である範囲において、他のモノマー成分が共重合されていてもかまわないが、親水性の高いモノマー成分であることがより好ましい。また、ポリマー(A)は数平均分子量1000以下の含有量が0〜5%であることが好ましい。低分子成分が少ないことで、素子の保存性や、導電層に対して垂直方向の導電性に障壁があるような挙動をより低下させることができる。
このポリマー(A)の数平均分子量1000以下の含有量を0〜5%とする方法としては、再沈殿法、分取GPCに、リビング重合による単分散のポリマーを合成等により、低分子量成分を除去する、または低分子量成分の生成を抑制する方法を用いることができる。
再沈殿法は、ポリマーが溶解可能な溶媒へ溶解し、ポリマーを溶解した溶媒より溶解性の低い溶媒中へ滴下することにより、ポリマーを析出させ、モノマー、触媒、オリゴマー等の低分子量成分を除去する方法である。
また、分取GPCは例えばリサイクル分取GPCLC−9100(日本分析工業社製)、ポリスチレンゲルカラムで、ポリマーを溶解した溶液をカラムに通すことにより分子量で分けることができ、所望の低分子量をカットすることができる方法である。
リビング重合は、開始種の生成が経時で変化せず、また停止反応等の副反応が少なく、分子量の揃ったポリマーが得られる。分子量は開始剤の添加量により調整できるため、例えば分子量を2万のポリマーを合成すれば、低分子量体の生成を抑制することができる。生産適正から、再沈殿法、リビング重合が好ましい。
本発明のポリマー(A)の数平均分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。本発明のポリマー(A)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)は1.01〜1.30が好ましく、より好ましくは1.01〜1.25である。数平均分子量1000以下の含有量はGPCにより得られた分布において、数平均分子量1000以下の面積を積算し、分布全体の面積で割ることで割合を換算した。リビングラジカル重合溶剤は、反応条件化で不活性であり、モノマー、生成するポリマーを溶解できれば特に制限はないが、アルコール系溶媒と水の混合溶媒が好ましい。リビングラジカル重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
<導電性ポリマー>
本発明における導電性ポリマーは、一般的な半導体と同等以上の電気伝導度を有する有機高分子を表す。具体的には、導電率10−10Ω−1・cm−1以上の電気伝導度を有する。化学構造として好ましい物としてはπ共役系導電性高分子とポリアニオンとを含んで成る導電性ポリマーが好ましい。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
<π共役系導電性高分子>
本発明に用いるπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、例えば、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
<π共役系導電性高分子前駆体モノマー>
前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(ポリアニオン)
前記ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
前記ポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
前記ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
前記ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。
これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。また、化合物内にフッ素を有するポリアニオンであっても良い。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)などをあげることができる。
これらのうち、スルホ基を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、100℃以上200℃以下の温度で加熱処理を施した場合、この塗布膜の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、より好ましい。さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、バインダー樹脂との相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリアニオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有さないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
こうした導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT:PSSと略す)が、H.C.Starck社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT:PSSの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることが出来る。
2nd.ドーパントとして水溶性有機化合物を含有してもよい。該水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。該酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、水酸基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物などが挙げられる。該水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
前記第2導電層は、導電性ポリマー、ポリアニオンおよびポリマーXの溶解特性から、塗布液の作製には、水系溶媒を用いることが好ましい。
<水系溶媒>
本発明において、水系溶媒とは、50質量%以上が水である溶媒を表す。もちろん、他の溶媒を含有しない純水であっても良い。水系溶媒の水以外の成分は、水に相溶する溶剤であれば特に制限はないが、アルコール系の溶媒を好ましく用いることができ、中でも、沸点が比較的水に近いイソプロピルアルコールを用いることが形成する膜の平滑性などには有利である。
本発明の導電性ポリマー及びポリマーXを含む分散液は、導電層の導電性、透明性、平滑性を同時に満たす範囲において、さらに他の透明な非導電性ポリマーや添加剤を含有してもよい。
透明な非導電性ポリマーとしては、天然高分子樹脂または合成高分子樹脂から広く選択して使用することができ、水溶性高分子又は水性高分子エマルジョンが特に好ましい。水溶性高分子としては、天然高分子のデンプン、ゼラチン、寒天等、半合成高分子のヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、合成高分子のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸系高分子、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン等が、水性高分子エマルションとしては、アクリル系樹脂(アクリルシリコン変性樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂等)、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が、使用することができる。
また、前記水性高分子エマルジョンの合成高分子樹脂としては、透明な熱可塑性樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)や、熱・光・電子線・放射線で硬化する透明硬化性樹脂(例えば、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケート等のシリコーン樹脂)を使用することができる。
添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤などの安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料などの着色剤などが挙げられる。更に、塗布性などの作業性を高める観点から、溶媒(例えば、水や、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類等の有機溶媒)を含んでいてもよい。
前記透明導電性基板を用いて、有機EL素子、有機光電変換素子などの有機電子素子を製造できる。
<有機電子素子の構成>
基板(10)上に対向する第一電極(11)と第二電極(12)を有し、第一電極(11)と第二電極(12)電極間に少なくとも1層の有機機能層(13)を有する。本発明において第一電極(11)は、パターン状に形成された金属細線からなる第一導電層(14)と、導電性ポリマーとポリマーXとからなる第二導電層(15)を含み、第二導電層は第1導電層とその間隙を覆っている。基板と第一導電層の間、および基板と第二導電層の間には下引き層が設けられ、前記透明電極基板を形成している。
有機機能層(13)としては、有機発光層、有機光電変換層、液晶ポリマー層など特に限定無く挙げることができるが、本発明は、機能層が薄膜でかつ電流駆動系の素子である有機発光層、有機光電変換層である場合において、特に有効である。
<有機EL素子>
〔有機発光層〕
有機発光層を有する有機電子素子は、有機発光層に加えて、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層、ホールブロック層、電子ブロック層などの有機発光層と併用して発光を制御する層を有しても良い。本発明の導電性ポリマー含有層はホール注入層として働くことも可能であるので、ホール注入層を兼ねることも可能だが、独立にホール注入層を設けても良い。
構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)(第一電極)/発光層/電子輸送層/(第二電極)
(ii)(第一電極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第二電極)
(iii)(第一電極)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/(第二電極)
(iv)(第一電極)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(第二電極)
(v)(第一電極)/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(第二電極)
ここで、第一電極は本発明の透明電極基板の電極を意味する。
発光層は、発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある単色発光層であってもよく、また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよく、さらに発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。本発明の有機EL素子としては、白色発光層であることが好ましい。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素及び希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
〔第二電極〕
前記第二電極は有機EL素子においては陰極となる。本発明の第二電極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。第二電極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
<有機光電変換素子>
有機光電変換素子は、例えば、第一電極、バルクヘテロジャンクション構造(p型半導体層およびn型半導体層)を有する光電変換層(以下、バルクヘテロジャンクション層とも呼ぶ)、第二電極が積層された構造を有する。
光電変換層と第二電極との間に電子輸送層などの中間層を有しても良い。
本発明の透明導電性基板は有機光電変換素子の光入射側の第一電極を有する基材として用いられる。
〔光電変換層〕
光電変換層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、例えば、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を構成している。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
p型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
その他、高分子p型半導体の例としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリカルバゾール、ポリイソチアナフテン、ポリヘプタジイン、ポリキノリン、ポリアニリンなどが挙げられ、更には特開2006−36755号公報などの置換−無置換交互共重合ポリチオフェン、特開2007−51289号公報、特開2005−76030号公報、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p4112、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p7246などの縮環チオフェン構造を有するポリマー、WO2008/000664、Adv.Mater.,2007,p4160、Macromolecules,2007,Vol.40,p1981などのチオフェン共重合体などを挙げることができる。
さらに、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニン、金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。また、ペンタセン類がより好ましい。
ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986等に記載の置換アセン類及びその誘導体等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。そのような化合物としては、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物、及び米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、特開2007−224019号公報等に記載のポルフィリンプレカーサー等のような、プレカーサータイプの化合物(前駆体)が挙げられる。
これらの中でも、後者のプリカーサータイプの方が好ましく用いることができる。
これは、プリカーサータイプの方が、変換後に不溶化するため、バルクヘテロジャンクション層の上に正孔輸送層・電子輸送層・正孔ブロック層・電子ブロック層等を溶液プロセスで形成する際に、バルクヘテロジャンクション層が溶解してしまうことがなくなるため、前記の層を構成する材料とバルクヘテロジャンクション層を形成する材料とが混合することがなくなり、一層の効率向上・寿命向上を達成することができるためである。
p型半導体材料としては、p型半導体材料前駆体に熱・光・放射線・化学反応を引き起こす化合物の蒸気に晒す、等の方法によって化学構造変化を起こし、p型半導体材料に変換された化合物であることが好ましい。中でも熱によって科学構造変化を起こす化合物が好ましい。
n型半導体材料の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む、高分子化合物が挙げられる。
中でも、フラーレン含有高分子化合物が好ましい。フラーレン含有高分子化合物としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等を骨格に持つ高分子化合物が挙げられる。フラーレン含有高分子化合物では、フラーレンC60を骨格に持つ高分子化合物(誘導体)が好ましい。
フラーレン含有ポリマーとしては、大別してフラーレンが高分子主鎖からペンダントされたポリマーと、フラーレンが高分子主鎖に含有されるポリマーとに大別されるが、フラーレンがポリマーの主鎖に含有されている化合物が好ましい。
これは、フラーレンが主鎖に含有されているポリマーは、ポリマーが分岐構造を有さないため、固体化した際に高密度なパッキングができ、結果として高い移動度を得ることができるためではないかと推定される。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。
本発明の光電変換素子を、太陽電池などの光電変換材料として用いる形態としては、光電変換素子を単層で利用してもよいし、積層して(タンデム型)利用してもよい。
また、光電変換材料は、環境中の酸素、水分等で劣化しないために、公知の手法によって封止することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<基板>
基板材料として、両面に易接着加工された125μmの厚さのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テトロンO3)を、170℃で30分アニール加熱処理したものを用いた。
基板材料の片面にJSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 Desolite Z7501を塗布、乾燥後の(平均)膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cm硬化を行い、平滑化処理した。
このときの最大断面高さRzは16nmであった。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さである。
Rzは、JIS B0601:2001で規定するところの最大粗さを表す。
次に、上記平滑層を設けた試料を、この上にガスバリア層を以下に示す条件で、形成した。
(ガスバリア層塗布液)
パーヒドロポリシラザン(PHPS)の20質量%ジブチルエーテル溶液 50質量部
AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320 50質量部
上記ガスバリア層塗布液をワイヤレスバーにて、乾燥後の(平均)膜厚が、0.30μmとなるように塗布し、塗布試料を得た。
(第一工程;乾燥処理)
得られた塗布試料を温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分処理し、乾燥試料を得た。
(第二工程;除湿処理)
乾燥試料をさらに温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
(改質処理A)
除湿処理を行った試料を下記の条件で改質処理を行い、ガスバリア層を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
(改質処理装置)
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
稼動ステージ上に固定した試料を以下の条件で改質処理を行った。
(改質処理条件)
エキシマ光強度 60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 1mm
ステージ加熱温度 70℃
照射装置内の酸素濃度 1%
エキシマ照射時間 3秒
上記のようにしてガスバリア性を有する基板を作成した。
<下引き層>
上記透明電極用基板上に表1の下引き処理を施した。
Figure 2011243529
平滑化処理および表1〜表5に使用されている化合物の商品名および略号の内容を以下に記す。
JSR DeSolite Z7501:JSR社製の多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するラジカル重合性組成物
PHEA:ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)(Mw=60000)
PHEMA:ポリヒドロキシエチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
DMSO:ジメチルスルホキシド
<第一導電層>
上記で得られた下引層付きの透明電極用基板上に、表4で示したように、表2の第一導電層パターニングを施した。
Figure 2011243529
<第二導電層>
上記で得られた第一導電層パターニング済み透明電極用基板上に、表5で示したように、表3の第二導電層を施し、透明導電性基板を作製した。
Figure 2011243529
《有機EL素子の作製》
作製した各透明導電性基板において、パターン辺長20mmの正方形タイル状透明パターン一個が中央に配置される様に30mm角に切り出し、第一電極(陽極)に用いて、以下の手順でそれぞれ有機EL素子を作製した。
切り出した透明導電性基板を、水により洗浄して乾燥した。市販の真空蒸着装置内にセットし、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、以下の手順で各発光層を設けた。
まず、真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記α−NPDの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、30nmの正孔輸送層を設けた。
下記Ir−1が13質量%、下記Ir−14が3.7質量%の濃度になるように、Ir−1、Ir−14及び下記化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色燐光発光層を形成した。
次いで、下記E−66が10質量%になるように、E−66及び化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色燐光発光層を形成した。
その後、下記M−1を膜厚5nmに蒸着して正孔阻止層を形成し、更にCsFを膜厚比で10%になるようにM−1と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。
各層形成に用いた化合物を下記に示す。
Figure 2011243529
形成した電子輸送層の上に、透明電極を陽極として陽極外部取り出し端子および15mm×15mmの陰極形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの陽極を形成した。
さらに、陰極及び陽極の外部取り出し端子が形成できるように、端部を除き陽極の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレートを基材としAlを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させ封止膜を形成し、発光エリア15mm×15mmの有機EL素子を作製した。
<評価>
<第一導電層の膜付き/テープ剥離法>
第一導電層の格子パターン上に住友スリーエム社製スコッチテープを用いて圧着/剥離を10回繰り返し、格子パターンの脱落を目視評価した。
◎ :10回の圧着/剥離で変化無し
○ :5回の圧着/剥離で変化無し
△ :5回の圧着/剥離で剥離が見られるが8割以上のパターンが残っている
× :5回の圧着剥/離で剥離が見られ、残っているパターンが8割未満
××:3回未満の圧着/剥離ですべてのパターンが消失する。
<第二導電層の膜付き/テープ剥離法>
第二導電層の上に住友スリーエム社製スコッチテープを用いて圧着/剥離を10回繰り返し、第二導電層の脱落を目視評価した。
◎ :10回の圧着/剥離で変化無し
○ :5回の圧着/剥離で変化無し
△ :5回の圧着/剥離で剥離が見られるが8割以上のパターンが残っている
× :5回の圧着剥/離で剥離が見られ、残っているパターンが8割未満
××:3回未満の圧着/剥離ですべてのパターンが消失する。
<表面比抵抗の測定>
第二導電層の塗布、乾燥、熱処理後、透明電極の表面比抵抗を測定した。
各透明電極の表面比抵抗を、ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGPを用いて透明電極の表面比抵抗を四端子法で測定した。
<透過率>
第二導電層の塗布、乾燥、熱処理後、透明電極の透過率を測定した。
透過率は、東京電色社製AUTOMATICHAZEMETER(MODEL TC−HIIIDP)を用いて、透明電極の全光線透過率を測定した。
<有機EL素子の測定及び評価>
下記方法で、作製した各有機EL素子の整流比、発光ムラおよび寿命について測定し評価した。
<整流比>
整流比は、各有機EL素子に、+3V/−3Vの電圧を印加した時の電流値を測定し、下記の計算式により整流比を求め、下記基準で評価した。電極間リークがあると、整流比が低い値となる。
整流比=+3V印加時の電流値/−3V印加時の電流値
◎:整流比10以上
○:整流比10以上10未満
△:整流比10以上10未満
×:整流比10未満
<発光ムラ>
発光ムラは、KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、各有機EL素子に直流電圧を印加して輝度が1000cd/mになるよう発光させ、発光状態を下記基準で目視評価した。
◎:完全に均一発光しており、申し分ない
○:殆ど均一発光しており、問題ない
△:部分的に若干発光ムラが見られるが、許容できる
×:全面に渡って発光ムラが見られ、許容できない
上記の透明導電性基板の構成と、その評価結果について表4〜表6に示した。
Figure 2011243529
Figure 2011243529
Figure 2011243529
表4〜表6より、本発明の下引き層、本発明の第1導電層および本発明の第2導電層を積層して作製された透明導電性基板は、導電層の高い接着性、導電性および透明性を兼ね備えていることが分かる。
特に、第2導電層が非導電性ポリマーとしてポリビニルピロリドンを含有する比較例6に対して、水酸基含有非導電性ポリマーを含有する本発明の透明導電性基板は、洗浄耐性が優れるため、有機EL素子の整流比および輝度ムラが優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. 基板上に、下引き層、パターン状に形成された金属細線からなる第一導電層、および該第一導電層を被覆し導電性ポリマーを含有する第二導電層、を有する透明導電性基板において、該第一導電層が印刷方式によりパターン状に、該下引き層上に形成されており、かつ該第二導電層が水酸基含有非導電性のポリマーXを含有しており、該下引き層が水酸基、−NR(式中R,Rは、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基を表す)で表される基の少なくとも一つの基を分子内に有するポリマーYを含有していることを特徴とする透明導電性基板。
  2. 前記第二導電層に含有される、前記ポリマーXが、下記ポリマー(A)であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性基板。
    Figure 2011243529
    式中、X〜Xは、水素原子またはメチル基、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数5以下のアルキレン基を示す。
    l、m、nは構成率(mol%)を表し、50≦l+m+n≦100である。
  3. 前記ポリマーYが、ヒドロキシアルキル基置換セルロース、ポリビニルアルコール誘導体ポリマー、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート誘導体ポリマーおよびポリヒドロキシアルキル(メタ)アクルアミド誘導体ポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性基板。
  4. 前記下引き層が、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するラジカル重合性組成物を重合させて形成させられるハードコート層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
  5. 前記ポリマーYが、分子内に、水酸基および−NRで表される基のうちの少なくとも一つの基を有する重合性化合物を含有するラジカル重合性組成物を塗布した後、重合することにより形成されることを特徴とする請求項4に記載の透明導電性基板。
  6. 前記第一導電層が、銀微粒子からなるペーストを印刷方式により細線状にパターニングし、かつ焼成することにより形成された細線状電極であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
  7. 前記銀微粒子が、平均粒径が2〜30nmの銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項6に記載の透明導電性基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013218857A (ja) * 2012-04-09 2013-10-24 Konica Minolta Inc 透明電極、透明電極の製造方法、及び該透明電極を用いた有機電子素子
JP2014207116A (ja) * 2013-04-12 2014-10-30 尾池工業株式会社 透明導電膜およびその製造方法

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