JP5979929B2 - 赤外線透過型透明導電性積層体 - Google Patents
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また、特許文献1に記載された窓貼用熱線反射フィルムは、ITOなどの金属薄膜層の表面抵抗率が大きいために、10Ω/□以下にするには複数回製膜する必要があり製造コストが高くなる。そのため、ある程度の導電性が必要な透明導電性基材、例えば、透明導電性積層体、電磁波シールド材、ディスプレイ用透明電極などの用途には適用し難いという問題がある。
本発明の赤外線透過型透明導電性積層体は、赤外線を透過できるので、赤外線センサのセンサ部に取り付ける防曇用、或いは凍結防止用の透明面状発熱体として有用である。
図1及び図2は、本発明に係る赤外線透過型透明導電性積層体の、一例を示す図であり、これらの図中符号11は、赤外線透過型透明導電性積層体である。
本例の赤外線透過型透明導電性積層体11は、透明基板12の一方の面上に、金属微粒子層からなる金属細線が網目状に積層された金属網目状導電体層13が積層されるとともに、該金属網目状導電体層13の両端部の近傍に、該金属網目状導電体層13に通電するための電極14,15が対向して設けられ、金属網目状導電体層13が積層された部分は、波長400〜2000nmの光線透過率が、50%以上であることを特徴とする。
この金属細線の部分16は、図4に示すように、微細な金属微粒子が集合し、隣接した粒子同士が結合した状態になっている。この金属細線の部分16で形成された、金属網目状導電体層13を通して通電可能になっている。
前記金属微粒子懸濁溶液は、金属微粒子と、分散剤と、溶媒とを含む懸濁溶液(金属コロイド溶液)である。金属微粒子懸濁溶液に用いる溶媒としては、有機溶剤と水との混合液を用いることができる。
界面活性剤としては、公知の、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤のいずれも使用できるが、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が特に好ましい。
また、アニオン性の界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸アンモニウム塩、アルキルスルホン酸カリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩等のアルキルスルホン酸塩類;アルキルカルボン酸アンモニウム塩、アルキルカルボン酸ナトリウム塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸などが挙げられる。
また、カチオン性の界面活性剤としては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどの第1級ないし第3級のアミン塩、第4級アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
また、ノニオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-プロピレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシアルキレンジアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、などが挙げられる。
また、両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアルキルアミノ脂肪酸類などが挙げられる。
また、高分子系分散剤としては、例えば、極性の官能基を有する(メタ)アクリル酸モノマーの共重合体、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのモノマー、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類などが挙げられる。
これらの有機溶剤群の中から選択された1種以上の有機溶剤と、水との混合液を、金属微粒子懸濁溶液の溶媒として使用することができる。
また、本発明で使用される金属微粒子の材質は、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。金属微粒子の粒子径が、1〜500nm程度の金属ナノ粒子であることが好ましい。金属ナノ粒子としては、銀(Ag)を使用した銀ナノ粒子が、特に好ましい。
また、金属微粒子懸濁溶液を、透明基板12表面に塗布する際には、風速を遅くすることが好ましく、10m/秒以下とすることが好ましい。
さらに、金属微粒子懸濁溶液を、透明基板12表面に塗布する際の温度は、5〜100℃の範囲とすることが好ましく、15〜40℃の範囲とすることがより好ましい。
このときの乾燥条件は、使用する金属微粒子懸濁溶液の成分などに応じて適宜調整されるが、通常は、金属微粒子懸濁溶液を塗布した透明基板を、温度15〜50℃の雰囲気中において、20〜120秒間程度、保持することが望ましい。
この金属網目状導電体層13が積層された部分は、波長400〜2000nmの光線透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
また、前記金属網目状導電体層13の表面抵抗率は、2〜100Ω/□であることが好ましく、2〜20Ω/□であることがより好ましく、2〜5Ω/□であることがさらに好ましい。
金属網目状導電体層13に有機溶剤を接触させる際の温度は、40℃以下が好ましく、30℃以下とすることがより好ましい。
また、有機溶剤の接触時間は、1〜120秒間の範囲が好ましく、1〜30秒間の範囲がより好ましい。
金属網目状導電体層13に酸溶液を接触させる際の温度は、40℃以下が好ましく、30℃以下とすることがより好ましい。
また、酸溶液の接触時間は、10〜500秒間の範囲が好ましく、30〜120秒間の範囲がより好ましい。
この乾燥の方法は、熱風乾燥法、通風乾燥法、オーブン加熱法などが採用できる。乾燥温度としては、140〜170℃程度で通風乾燥する方法が好ましい。
前記電極14,15としては、銀ペーストなどの導電性ペーストを金属網目状導電体層13の両端部の近傍に塗布し、熱処理することで簡単に形成することができる。また、この電極14,15には、アルミ箔や銅箔などの金属箔や銅線、銅線ワイヤを配置した後、導電性ペーストを塗布し、熱処理して形成することもできる。このような金属箔や銅線を透明基板12から突き出すように設けておくことで、金属網目状導電体層13に通電するための端子を形成することができる。
この透明樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
この赤外線透過型透明導電性積層体11は、赤外線を透過できるので、赤外線センサのセンサ部に取り付ける防曇用或いは凍結防止用の透明面状発熱体として有用である。
透明基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる基材(SKC社製、商品名「Skyrol SH34」)の片面を、コロナ処理により親水化処理した。
この親水化処理面上に、金属微粒子懸濁溶液(戸田工業株式会社製、商品名「銀ナノ分散塗料 CET193−32」)を、Wet厚25μmとなるように塗工した。この金属微粒子懸濁溶液の塗工は、ダイコート法により行った。
次に、温度40℃の雰囲気下で45秒間放置して、PET樹脂からなる基材上に、金属網目状構造を形成した。
次に、150℃熱風オーブンで1分間乾燥させた。乾燥後、得られた金属網目状導電体層の表面抵抗率を測定した結果、表面抵抗率は65〜70Ω/□であった。
前記の通り、透明基板上に金属網目状導電体層を形成したサンプルを、アセトン中に30秒間浸漬した後、150℃の熱風オーブンで2分間乾燥した。このアセトン処理した後のサンプルは、表面抵抗率が20〜25Ω/□であった。
次に、アセトン処理後のサンプルを、1N塩酸中に1分間浸漬した後、水洗し、150℃の熱風オーブンで2分間乾燥した。この塩酸処理した後のサンプルは、表面抵抗率が4〜5Ω/□であった。
剥離処理したPET樹脂からなる基材(以下、剥離処理PET基材と呼ぶ)の一方の面に粘着剤を塗工し、その粘着剤の上に、前記剥離処理PET基材とは、剥離力の異なる(剥離力の弱い)剥離処理を施した、剥離処理PET基材を貼合し、両面に剥離処理PET基材が貼合された粘着フィルムを作製した。
次に、前記金属網目状導電体層を形成した面とは反対面に、前記粘着フィルムの片方の剥離処理PET基材を剥離しながらラミネータで貼合し、粘着層を形成した。
次に、前記粘着層の他方の剥離処理PET基材を剥離しながら、ガラス(3mm厚フロートガラス)に貼合した。
次に、金属網目状導電体層の両端部の近傍に、Acheson社製銀ペースト(商品名「Electrodag 820B」)を幅5mm、厚み300μmで塗布後、130℃熱風オーブンで20分間熱処理し、電極を対向させて形成した。
これによって、図5及び図6に示すように、ガラス20上に粘着層24を介して、PET基材23と金属網目状導電体層21が順に積層され、この金属網目状導電体層21の両端部の近傍に電極22が対向して形成された、本発明に係わる赤外線透過型透明導電性積層体(以下、実施例と記す場合がある)を作製した。得られた赤外線透過型透明導電性積層体を、面状発熱体として用いた場合の効果を次に示した。
ガラス(長さ1600mm×幅90mm×厚さ3mm)上に、前記赤外線透過型透明導電性積層体を用いて、面状発熱体を、以下のサイズで形成した。
・サンプルNo.1:長さ1568mm×幅58mm
・サンプルNo.2:長さ1568mm×幅24mm
また、テスター(METLEX M−3870D)を用いて、印加した電圧を計測した。また、電流計(KEITHLEY製KEITHLEY2100 6 1/2Digit Multimeter)を用いて、電流を計測した。
また、熱電対(RKC製、ST−50)をガラス面に貼着して温度を計測し、データロガー(KEYENCE製、NR−600)にて温度変化を記録した。
上記試験を、室温環境下(23℃〜28℃)、及び氷点下環境下(−20℃)にて行い、本発明に係わる赤外線透過型透明導電性積層体の、面状発熱体としての性能を確認した。その結果を、図7及び図8に示す。
また、図8に示す通り、氷点下環境下において面状発熱体のサンプルNo.1は−16℃→5℃(+21℃)、面状発熱体のサンプルNo.2は−18℃→−2℃(+16℃)とガラス表面温度を上昇させた。
日本分光製分光透過率計V−570を用い、前記面状発熱体のサンプルの分光透過率を測定した。その結果を図9に示す。
図9に示すように、前記面状発熱体のサンプルは、可視光線〜赤外線領域までの広い波長帯域において高い光線透過率を有しており、特に、赤外線領域(700nm〜2000nm)の光線透過率は概ね70%程度であった。
Claims (5)
- 透明基板の少なくとも一方の面上に、金属微粒子層からなる金属細線が網目状に積層された金属網目状導電体層が積層されるとともに、該金属網目状導電体層の両端部の近傍に、該金属網目状導電体層に通電するための電極が対向して設けられ、前記金属網目状導電体層が積層された部分は、波長400〜2000nmの光線透過率が、50%以上かつ80%以下であることを特徴とする赤外線透過型透明導電性積層体。
- 前記透明基板が、可撓性を有する透明合成樹脂フィルムであり、該透明合成樹脂フィルムの一方の面上に、前記金属網目状導電体層が積層されたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線透過型透明導電性積層体。
- 前記金属網目状導電体層は、前記金属細線の部分以外の隙間を透明樹脂が満たし、平坦な表面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線透過型透明導電性積層体。
- 前記透明基板が、可撓性を有する透明合成樹脂フィルムであり、前記透明基板が、透明な剛性を有する基板の一方の面上に積層されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線透過型透明導電性積層体。
- 前記金属網目状導電体層は、前記金属細線の部分が、銀微粒子層からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線透過型透明導電性積層体。
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