JP6026758B2 - 透明導電性基板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1に記載された窓貼用熱線反射フィルムは、ITOなどの金属薄膜層の表面抵抗率が大きいために、10Ω/□以下にするには複数回製膜する必要があり製造コストが高くなる。そのため、ある程度の導電性が必要な透明導電性基材、例えば、透明導電性積層体、電磁波シールド材、ディスプレイ用透明電極などの用途には適用し難いという問題がある。
本発明の透明導電性基板の製造方法は、金属微粒子と、分散剤と、溶媒とを含む金属微粒子懸濁溶液を、透明基板の表面に塗布し乾燥させて、前記透明基板表面に金属網目状導電体層を形成する工程(以下、工程1と記す)と、次いで、前記透明基板表面に形成された金属網目状導電体層に、有機溶剤を接触させる工程(以下、工程2と記す)と、次いで、前記透明基板表面に形成された金属網目状導電体層に、酸溶液を接触させ、波長400〜2000nm域の赤外線透過率が50%以上であり、かつ表面抵抗率が20Ω/□以下である透明導電性基板を得る工程(以下、工程3と記す)と、を有することを特徴としている。
界面活性剤としては、公知の、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤のいずれも使用できるが、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が特に好ましい。
また、アニオン性の界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸アンモニウム塩、アルキルスルホン酸カリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩等のアルキルスルホン酸塩類;アルキルカルボン酸アンモニウム塩、アルキルカルボン酸ナトリウム塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸などが挙げられる。
また、カチオン性の界面活性剤としては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどの第1級ないし第3級のアミン塩、第4級アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
また、ノニオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-プロピレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシアルキレンジアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、などが挙げられる。
また、両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアルキルアミノ脂肪酸類などが挙げられる。
また、高分子系分散剤としては、例えば、極性の官能基を有する(メタ)アクリル酸モノマーの共重合体、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのモノマー、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類などが挙げられる。
また、本発明で使用される金属微粒子の材質は、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。金属微粒子の粒子径が、1〜500nm程度の金属ナノ粒子であることが好ましい。金属ナノ粒子としては、銀(Ag)を使用した銀ナノ粒子が、特に好ましい。
また、金属微粒子懸濁溶液を、透明基板表面に塗布する際には、風速を遅くすることが好ましく、10m/秒以下とすることが好ましい。
さらに、金属微粒子懸濁溶液を透明基板表面に塗布する際の温度は、5〜100℃の範囲とすることが好ましく、15〜40℃の範囲とすることがより好ましい。
このときの乾燥条件は、使用する金属微粒子懸濁溶液の成分などに応じて適宜調整されるが、通常は、金属微粒子懸濁溶液を塗布した透明基板を、温度15〜50℃の雰囲気中において、20〜120秒間程度、保持することが望ましい。
金属網目状導電体層に有機溶剤を接触させる際の温度は、40℃以下が好ましく、30℃以下とすることがより好ましい。
また、有機溶剤の接触時間は、1〜120秒間の範囲が好ましく、1〜30秒間の範囲がより好ましい。
金属網目状導電体層に酸溶液を接触させる際の温度は、40℃以下が好ましく、30℃以下とすることがより好ましい。
また、酸溶液の接触時間は、10〜500秒間の範囲が好ましく、30〜120秒間の範囲がより好ましい。
この乾燥の方法は、熱風乾燥法、通風乾燥法、オーブン加熱法などが採用できる。乾燥温度としては、140〜170℃程度で通風乾燥する方法が好ましい。
この透明導電性基板は、光透過性に優れ、特に波長400〜2000nm域の赤外線透過率が50%以上、好ましくは60%以上であり、しかも表面抵抗率が20Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下という特性を有している。
前記電極としては、銀ペーストなどの導電性ペーストを金属網目状導電体層の両端部の近傍に塗布し、熱処理することで簡単に形成することができる。また、この電極には、アルミ箔や銅箔などの金属箔や銅線、銅線ワイヤを配置した後、導電性ペーストを塗布し、熱処理して形成することもできる。このような金属箔や銅線を透明基板から突き出すように設けておくことで、金属網目状導電体層に通電するための端子を形成することができる。
本例の透明導電性基板11は、透明基板12の一方の面上に金属微粒子が網目状に積層された金属網目状導電体層13が積層されるとともに、該金属網目状導電体層13の両端部に、該金属網目状導電体層13に通電するための、電極14,15が設けられた構成になっている。金属網目状導電体層13が積層された部分は、波長400〜2000nmの光線透過率が50%以上である。
この金属細線の部分16は、図4に示すように、微細な金属微粒子が集合し、隣接した粒子同士が結合した状態になっている。この金属細線の部分16で形成された、金属網目状導電体層13を通して通電可能になっている。
この透明樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
(金属網目状導電体層の作製)
透明基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる基材(SKC社製、商品名「Skyrol SH34」)の片面を、コロナ処理により親水化処理した。
この親水化処理面上に、金属微粒子懸濁溶液(戸田工業株式会社製、商品名「銀ナノ分散塗料 CET193−32」)を、Wet厚25μmとなるように塗工した。この金属微粒子懸濁溶液の塗工は、ダイコート法により行った。
次に、温度40℃の雰囲気下で45秒間放置して、PET樹脂からなる基材上に、金属網目状構造を形成した。
次に、150℃熱風オーブンで1分間乾燥した。乾燥後、得られたサンプル(比較例1:アセトン処理前)の表面抵抗率を測定した結果、表面抵抗率は30〜50Ω/□であった。
前記の通り、透明基板上に金属網目状導電体層を形成したサンプルを、アセトン中に30秒間浸漬した後、150℃の熱風オーブンで2分間乾燥した。このアセトン処理後のサンプル(比較例2)の表面抵抗率は13.5Ω/□であった。
次に、アセトン処理後のサンプルを、1N塩酸中に1分間浸漬した後、水洗し、150℃の熱風オーブンで2分間乾燥した。このアセトン処理+塩酸処理後のサンプル(実施例1)の表面抵抗率は2.7Ω/□であった。
前記比較例1〜3及び実施例1の処理と、表面抵抗率の測定結果を表1にまとめて記す。
実験1での(金属網目状導電体層の作製)と同様にして、複数のサンプルを作製した。これらのサンプルを、アセトン中に30秒間浸漬後、150℃熱風オーブンで2分間乾燥した。このアセトン処理後の複数のサンプルについて、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。その結果を表2に記す。表2に記した表面抵抗率は、後述する塩酸処理において、塩酸濃度及び浸漬時間を変更した各サンプルに対応した、塩酸処理前(アセトン処理後)のサンプルの表面抵抗率(Ω/□)の数値である。
塩酸浸漬処理の条件としては、浸漬時間による際は認められなかったが、塩酸濃度による差異が認められた。表面抵抗率6Ω/□以下のサンプルが得られる0.5mol/L以上の濃度が特に有効であった。
日本分光製分光透過率計V−570を用い、前記面状発熱体のサンプルの分光透過率を測定した。その結果を図5に示す。
図5に示すように、前記面状発熱体のサンプルは、可視光線〜赤外線領域までの広い波長帯域において高い光線透過率を有しており、特に、赤外線領域(700nm〜2000nm)の光線透過率は概ね70%程度であった。
本発明の製造方法により得られる透明導電性基板は、例えば、液晶や有機EL素子を用いたディスプレイ製造用、或いは太陽電池パネル製造用等の透明電極材料、ディスプレイ装置や携帯電話用の電磁波シールド材、電極間に通電して発熱する面状発熱体などの、各種用途に使用可能である。
Claims (4)
- 金属微粒子と、界面活性剤及び高分子系分散剤からなる群から選択した1種類以上の分散剤と、溶媒とを含む金属微粒子懸濁溶液を、透明基板の表面に塗布し乾燥させて、前記透明基板表面に金属網目状導電体層を形成する工程(1)と、
次いで、有機溶剤としてケトン系溶剤を使用し、前記有機溶剤を入れた槽内に、前記金属網目状導電体層が形成された前記透明基板を一定時間浸漬して引き上げる方法、又は傾斜させた前記透明基板表面の前記金属網目状導電体層に、前記有機溶剤を噴霧する方法にて行う、前記透明基板表面に形成された前記金属網目状導電体層に、前記有機溶剤を接触させる工程(2)と、
次いで、前記金属網目状導電体層に接触させた前記有機溶剤が残らないように、前記金属網目状導電体層を温度140〜170℃で乾燥させる工程(3)と、
次いで、塩酸を含む酸溶液を使用し、前記酸溶液を入れた槽内に、前記金属網目状導電体層が形成された前記透明基板を一定時間浸漬して引き上げる方法、又は傾斜させた前記透明基板表面の前記金属網目状導電体層に、前記酸溶液を噴霧する方法にて行う、前記透明基板表面に形成された前記金属網目状導電体層に、前記塩酸を含む酸溶液を40℃以下の温度で接触させた後、さらに水で洗浄した後、温度140〜170℃で乾燥させて、波長400〜2000nm域の赤外線透過率が50%以上であり、かつ表面抵抗率が20Ω/□以下である透明導電性基板を得る工程(4)と、を順に経ることを特徴とする透明導電性基板の製造方法。 - さらに、前記工程(4)に次いで、前記金属網目状導電体層の両端部の近傍に、前記金属網目状導電体層に通電するための電極が、対向して設けられる工程(5)を経ることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性基板の製造方法。
- 前記金属微粒子懸濁溶液が、銀の微粒子を含む銀コロイド溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性基板の製造方法。
- 前記透明基板が、可撓性を有する透明合成樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
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