JP2016108273A - (z)−クロロブロモアルケニルシランおよびその製造方法 - Google Patents

(z)−クロロブロモアルケニルシランおよびその製造方法 Download PDF

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哲郎 岩澤
Tetsuo Iwazawa
哲郎 岩澤
将貴 井手
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将貴 井手
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Abstract

【課題】 有機合成化学における基本的な骨格のひとつであるアルケニルシラン骨格を持つ新規なビシナル(Z)−クロロブロモアルケニルシラン、および、該化合物を効率的かつ簡便に合成する方法を提供する。【解決手段】化学式(I):[化1](式中、R1、R2、R3、およびR4は、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であって、置換基を有していてもよく、R1、R2、R3、およびR4は、同一でも異なっていてもよい。また、X1およびX2は一方が塩素原子、他方が臭素原子であって、X1とX2はsyn配置である。)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシラン。【選択図】なし

Description

本発明は、有機合成化学における基本的な骨格のひとつであるアルケニルシラン骨格を持つ新規なアルケン化合物、特にビシナル(Z)−クロロブロモアルケニルシランおよびその製造方法に関する。
アルケン骨格を有する化合物は、医薬品合成の中間体に有用であることが知られている。なかでもハロゲン化ビニルとケイ素化ビニルは様々な官能基へと変換しやすいため、重要なビニル構造として知られている。そして、特に両者の構造を有するジハロアルケニルシランは、二つのハロゲン原子とケイ素原子がビシナル位置に隣接した特有の構造に起因して、2種のハロゲン、ケイ素を選択的に活性化することにより、四置換オレフィンへの誘導ができることから、合成化学的な視点において、きわめて価値が高い化合物である。
しかしながら、ビシナルなクロロブロモアルケニルシランの合成は非常に難しく、たとえばアルキン化合物を出発物質として使用する場合、アルキン化合物の三重結合に対する立体選択的なハロゲンやケイ素の選択的な付加が本質的に困難であって、臭化ヨウ素を付加させても臭素原子しか付加させることができず、収率も低いものであった。また、直接ハロゲン分子を反応させてもハロゲンの付加反応が進行しなかった(Scheme 1参照)。臭素試薬やヨウ素試薬といったハロゲン試薬の中でも、一般的な臭化ヨウ素そのものは取り扱いが困難な物質である。そのため、目的とするジハロアルケニルシラン化合物の効率的かつ簡便な合成法は確立されておらず、四置換アルケンの有用性が認識されるに伴い、ビシナルなジハロアルケニルシランの効率的な合成の確立が望まれていた。
Figure 2016108273
ジハロゲン化合物を合成する方法として、非特許文献1には、アルキン誘導体からブロモアルキンを経由して、1−ヨード−2−ブロモアルケンを位置選択的に合成する2段階反応が開示されている。また、非特許文献2には、ジハロゲンの位置および立体選択的反応が開示されている。しかしながら、いずれも出発物質としてシリルアセチレンを使用するものではなく、また、反応生成物は、いずれも2つのハロゲン原子が(E)配置であって、(Z)配置の化合物は開示されていない。
Zhengwang Chen, Huanfeng Jiang, Yibiao Li, and Chaorong Qi, Chem. Commun., 2010, 46, 8049−8051. Akihiro H. Sato, Kazuhiro Ohashi, and Tstsuo Iwasawa, Tetrahedron Letters 2013, 54, 1309−1311
本発明は、有機合成化学における基本的な骨格のひとつであるアルケニルシラン骨格を持つ新規なビシナル(Z)−クロロブロモアルケニルシラン、および、該化合物を効率的かつ簡便に合成する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、シリルアセチレンの炭素炭素三重結合に対する位置及び立体選択的なハロゲン化について検討したところ、一塩化臭素を炭素炭素三重結合に付加させると、位置および立体選択的なハロゲン化が可能であるとともに、ビシナルなクロロブロモアルケニルシランを簡便かつ効率的に合成可能であることを見出した。また、クロロトリメチルシラン(TMSCl)とN−ブロモスクシンイミド(NBS)を用いれば、一塩化臭素をin situで生成させることが可能であり、該手法を用いることにより、多様なビシナルなクロロブロモアルケにルシラン化合物を簡便かつ高収率で合成することができることを見出し(Scheme 2参照)、本発明を完成した。
Figure 2016108273
すなわち、本発明は、化学式(I):
Figure 2016108273
(式中、R、R、R、およびRは、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であって、置換基を有していてもよく、R、R、R、およびRは、同一でも異なっていてもよい。また、XおよびXは一方が塩素原子、他方が臭素原子であって、XとXはsyn配置である。)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシランに関する。
化学式(I)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシランが、
Figure 2016108273
(式中、Meはメチル基を、iPrはイソプロピル基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
であることが好ましい。
また、本発明は、化学式(II):
−C≡C−Si−R (II)
(式中、R、R、R、およびRは、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、置換基を有していてもよく、R、R、R、およびRは、同一でも異なっていてもよい。)で表されるシリルアセチレンに、一塩化臭素を反応させて、化学式(I)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシランを生成する工程を含む前記(Z)−クロロブロモアルケニルシランの製造方法に関する。
一塩化臭素が、クロロトリメチルシランとN−ブロモスクシンイミドにより系中発生させた一塩化臭素であることが好ましい。
化学式(II)で表されるシリルアセチレンが、
Figure 2016108273
であることが好ましい。
本発明の化合物は、2種のハロゲンが置換したハロゲン化ビニルとケイ素化ビニルの構造を有し、これらの置換基は様々な官能基へと変換しやすいため、医薬品合成の中間体に非常に有用である。また、従来合成が困難であるとされていた(Z)−クロロブロモアルケニルシランをワンステップ反応で、かつ、高い立体選択性を保持して合成することが可能となる。また、市販のバルクの試薬ではなく、反応系中においてトリメチルクロロシラン(TMSCl)とN−ブロモスクシンイミド(NBS)を混ぜて発生させるという簡便な実験手法により、厄介なハロゲン試薬を直接扱う必要がなくなり、多彩で選択的なハロゲン化を達成することができる。
[(Z)−クロロブロモアルケニルシラン]
本発明の(Z)−クロロブロモアルケニルシランは、化学式(I):
Figure 2016108273
(式中、R、R、R、およびRは、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であって、置換基を有していてもよく、R、R、R、およびRは、同一でも異なっていてもよい。また、XおよびXは一方が塩素原子、他方が臭素原子であって、XとXはsyn配置である。)で表される。
芳香族炭化水素基は、芳香性を有するものであれば特に限定されず、環状の基の環員数(環を構成する原子の数)も特に限定されないが、5〜32、5〜24、6〜18、6〜12、または6〜10が好ましい。
具体的には、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基またはピリジル基であることが好ましく、これらの基は、さらに、置換基を有していても有していなくてもよく、該置換基は、複数の場合は同一でも異なっていてもよい。該置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アルカノイル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、メルカプト基、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、アルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基、重水素原子、ホルミル基、置換または無置換フェニル基、置換または無置換ナフチル基、置換または無置換アントリル基、および、置換または無置換ピレニル基からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。また、本発明において、芳香族炭化水素基という場合は、特に断らない限り、ヘテロアリール基も含む。
脂肪族炭化水素基は、特に限定されないが、その炭素数は1〜32が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
なお、アルキル基は、反応に悪影響がない限り、他の官能基(−O−、−S−、−CO−、−COO−、−N−など)を有していてもよい。
としては、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基が好ましく、R、R、Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基が好ましい。
特に好ましい(Z)−クロロブロモアルケニルシランとしては、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016108273
(式中、Meはメチル基を、iPrはイソプロピル基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
[(Z)−クロロブロモアルケニルシランの製造方法]
また、本発明の(Z)−クロロブロモアルケニルシランの製造方法は、
化学式(II):
−C≡C−Si−R (II)
(式中、R、R、R、およびRは、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、置換基を有していてもよく、R、R、R、およびRは、同一でも異なっていてもよい。)で表されるシリルアセチレンに、一塩化臭素を反応させて、化学式(I)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシランを生成する工程を含む。
、R、R、およびRの芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基は、化学式(I)で説明したものと同様である。
特に好ましい化学式(II)で表されるシリルアセチレンとしては、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016108273
一塩化臭素の生成方法は、特に限定されないが、N−ブロモスクシンイミドおよびクロロトリメチルシランの組み合わせ、N−クロロスクシンイミドおよびブロモトリメチルシランの組み合わせ、N−ブロモスクシンイミドおよびクロロトリイソプロピルシランの組み合わせ、N−クロロスクシンイミドおよびブロモトリイソプロピルシランの組み合わせにより系中発生させる方法が、取扱いが容易で簡便である点で好ましい。
より具体的な反応方法を、N−ブロモスクシンイミドおよびクロロトリメチルシランの組み合わせを例として説明する。まず、シリルアセチレンを溶媒に溶解させ、クロロトリメチルシランを溶媒に溶解させた溶液を滴下等の方法により混合し、次に、N−ブロモスクシンイミドを溶媒に溶解させた溶液を加える。これらの一連の操作は、予め脱気および不活性ガス置換を行った反応系(反応容器)内で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。その後、所定時間撹拌することが望ましい。
シリルアセチレンと一塩化臭素の混合割合は、特に限定されないが、シリルアセチレンに対する一塩化臭素が、1当量以上であることが好ましく、1.2当量以上であることがより好ましく、1.4当量以上であることがさらに好ましい。一塩化臭素素が1当量以上であると、(Z)−クロロブロモアルケニルシランへの反応が完結しやすく収率を高くすることができる。また、シリルアセチレンに対する一塩化臭素の割合が7当量以下であることが好ましく、5当量以下であることがより好ましく、3当量以下であることがさらに好ましい。
反応温度は特に限定されないが、−100〜50℃が好ましく、0〜25℃がより好ましい。N−ブロモスクシンイミドを添加した後の反応時間も特に限定されないが、10〜180分が好ましく、30〜90分がより好ましい。
反応溶媒は、例えば、非極性溶媒でもよいし、極性溶媒でもよいし、非極性溶媒と極性溶媒との混合溶媒でもよい。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族溶媒、ペンタン、ヘキサン等のアルカン、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、水等が挙げられる。これらの溶媒は、例えば、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、ジクロロメタン、トルエン、ヘキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、及び、水からなる群から選択された少なくとも1種を用いることが好ましい。
合成した(Z)−クロロブロモアルケニルシランの精製または単離方法も、特に限定されず、定法にしたがって行うことができる。具体的には、例えば、後述の実施例のような方法でもよいし、それに限定されず、他の任意の方法でもよい。また、反応の進行状況は、例えば、TLC(薄層クロマトグラフィー)等により追跡してもよい。
本発明の製造方法によると、異性体が生じることがなく、(Z)−クロロブロモアルケニルシランのみを選択的に得ることができる。また、この反応においては、粗生成物の段階においても異性体は一切観測されず、単一異性体のみが生成する。さらに、本発明の製造方法によると、グラムスケールで(Z)−クロロブロモアルケニルシランのみを選択的に得ることができる。
従来合成が困難であるとされていた(Z)−クロロブロモアルケニルシランをワンステップ反応で、かつ、高い立体選択性を保持して合成することが可能となる。
得られた(Z)−クロロブロモアルケニルシランは医薬、分子スイッチ、光学材料として有用である可能性が高い。たとえば、薬理作用のあるタモキシフェンは四置換オレフィン構造を有し、ジハロアルケニルシランからの合成が最も単純な合成法と言える。
Figure 2016108273
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
<機器>
H及び13CNMRスペクトルは、BRUKER−SPECTROSPIN−400(商品名)および5mmQNPプローブを用い、それぞれ400MHzおよび100MHzで記録した。ケミカルシフト値は、微量のモノプロトン溶媒の共鳴を内部標準とし、外部のテトラメチルシラン(TMS)を間接的に参照して百万分率(ppm)で記録した。略号sは一重線(シングレット)を表し、dは二重線(ダブレット)を表し、tは三重線(トリプレット)を表し、qは四重線(カルテット)を表し、mは多重線(マルチプレット)を表す。元素分析はア・ラビット・サイエンス社(http://www.rabit−sc.jp/)にて実施した。
なお、特に断らない限り、「Anal.」は元素分析値を表し、元素分析値について、「Calcd. For」は計算値を表し、「Found」は実測値を表す。
マススペクトルは、JEOL GC−mate II(商品名)を用いてEIモードで、及び、Finnigan LCQ DECA(商品名)を用いてESIモードで測定した。カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(関東化学株式会社、商品名Silica Gel 60N)を用いて行った。薄層クロマトグラフィー分析は、Merck silica gel 60 F254(商品名)を用いて行った。反応は、特に断らない限り、アルゴン雰囲気下で行った。
<試薬>
試薬は、関東化学株式会社、和光純薬工業株式会社、東京化成工業株式会社から購入した。全ての試薬は、さらなる精製をせずに使用した。
シリルアセチレン化合物は、パラジウム触媒を用いた薗頭クロスカップリング反応から調製した。
本発明の製造方法により合成したクロロブロモアルケニルシランと収率を以下に示す。
Figure 2016108273
[実施例1]
(Z)−(1−ブロモ2−クロロ−2−(ナフタレン−1−)イニル)トリイソプロピルシラン化合物6(Scheme 2)の合成
Figure 2016108273
アルゴン雰囲気下、0℃で無水トルエン(2mL)中の化合物1*(154mg、0.5mmol)の溶液に、TMSCl(ジクロロメタン1M溶液を0.75mL)を5分間で滴下し、反応混合物を5分間撹拌した。その後、3mLのアセトニトリルにNBS(134mg、0.75mmol)を溶解した溶液を5分間かけて滴下した後、冷却槽を外して、反応混合物を室温まで昇温した。さらに1時間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて反応を0℃で停止させた。10分間撹拌して、反応混合物を常温にした。水層をトルエン10mLで3回抽出処理して、有機層と合わせた後、飽和食塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮処理後、粗生成物224mgを得た。展開溶媒をヘキサンのみとするシリカゲルカラムクロマトで、粗生成物を精製して、白色固体の化合物6を205mg得た(収率95%)。化合物6の分析データは、以下のとおりである。
化合物1*
Figure 2016108273
triisopropyl(naphthalen−1−ylethynyl)silane
H NMR(400MHz,CDCl):8.01(d,J=8.3Hz,1H),7.87(d,J=8.8Hz,1H),7.85(d,J=8.8Hz,1H),7.57−7.26(m,4H),0.97(d,J=6.5Hz,9H),0.90(sep,J=6.5Hz,3H),0.76(d,J=6.5Hz,9H)ppm.
13C NMR(100MHz,CDCl):141.2,136.1,133.5,131.2,130.1,128.6,128.3,127.4,126.8,126.4,125.9,124.7,18.9,18.6,12.5ppm.
MS (EI) m/z:422(M+).
IR (neat):2942,1863,1556,1505,1461,1389cm−1. HRMS (DI) calcd for C2128BrClSi:422.0832,found 422.0820.
[実施例2]
1,4−ビス((Z)−2−ブロモ−1−クロロ−2−(トリイソプロピルシリル)ビニル)ベンゼン化合物4の合成
アルゴン雰囲気下、0℃で無水トルエン(2mL)中の化合物2*(329mg、0.75mmol)の溶液に、TMSCl(ジクロロメタン1M溶液を4.5mL)を5分間で滴下し、反応混合物を5分間撹拌した。その後、9mLのアセトニトリルにNBS(800mg、4.5mmol)を溶解した溶液を5分間かけて滴下した後、冷却槽を外して、反応混合物を室温まで昇温した。さらに1時間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて反応を0℃で停止させた。10分間撹拌して、反応混合物を常温にした。水層をトルエン10mLで3回抽出処理して、有機層と合わせた後、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮処理後、粗生成物605mgを得た。展開溶媒をトルエンのみとするシリカゲルカラムクロマトで、粗生成物を精製して、白黄色固体の化合物4を410mg得た(収率82%)。化合物4の分析データは、以下のとおりである。
化合物2*
Figure 2016108273
1,4−bis((triisopropylsilyl)ethynyl)benzene
H NMR(400MHz,CDCl):7.33(s,4H),1.02(brs,42H,iPr−H are over lapped)ppm.
13C NMR(100MHz,CDCl):142.1,140.7,129.2,126.8,19.2,13.1ppm.
IR(neat):2940,2865,1556,1461,1216,1018cm−1
MS(EI)m/z:669(M+).
Anal. Calcd for C2846BrClSi:C,50.23;H,6.92. found: C,50.23;H,6.86.
[実施例3]
(Z)−(1−ブロモ2−クロロ−2−(ナフタレン−1−イニル)ビニル)トリメチルシラン化合物8の合成
アルゴン雰囲気下、0℃で無水トルエン(2mL)中の化合物3*(112mg、0.5mmol)の溶液に、TMSCl(ジクロロメタン1M溶液を0.75mL)を5分間で滴下し、反応混合物を5分間撹拌した。その後、3mLのアセトニトリルにNBS(134mg、0.75mmol)を溶解した溶液を5分間かけて滴下した後、冷却槽を外して、反応混合物を室温まで昇温した。さらに1時間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて反応を0℃で停止させた。10分間撹拌して、反応混合物を常温にした。水層をトルエン10mLで3回抽出処理して、有機層と合わせた後、飽和食塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮処理後、粗生成物199mgを得た。展開溶媒をヘキサンのみとするシリカゲルカラムクロマトで、粗生成物を精製して、無色油状物質の化合物8を90mg得た(収率53%)。化合物8の分析データは、以下のとおりである。
化合物3*
Figure 2016108273
trimethyl(naphthalen−1−ylethynyl)silane
H NMR(400MHz,CDCl):7.95(d,J=8.24Hz,1H),7.88(dd,J=8.24,8.24 Hz,2H),7.59−7.41(m,4H),−0.22 (s,9H)ppm.
13C NMR(100MHz,CDCl):139.3,136.3,133.5,131.3,130.0,129.8,128.3,127.4,127.0,126.5,125.2,124.9,−0.5ppm.
MS(EI)m/z:338 (M+).
IR(neat):3058,2954,2896,1568,1505,1390,1249,1086,1045cm−1
HRMS(DI):calcd for C1516BrClSi:337.9893,found 337.9875.
[比較例1]
以下に示すスキームのように、実施例1に示すような手順で、化合物1をヨードトリメチルシランと反応させたが、化合物1が分解した。化合物1をブロモトリメチルシランまたはクロロトリメチルシランと反応させたが、いずれも付加反応が起こらなかった。
Figure 2016108273
本発明の(Z)−クロロブロモアルケニルシランは、医薬、分子スイッチ、光学材料として有用である。たとえば、薬理作用のあるタモキシフェンは四置換オレフィン構造を有し、ジハロアルケニルシランからの合成が最も単純な合成法といえる。

Claims (5)

  1. 化学式(I):
    Figure 2016108273
    (式中、R、R、R、およびRは、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であって、置換基を有していてもよく、R、R、R、およびRは、同一でも異なっていてもよい。また、XおよびXは一方が塩素原子、他方が臭素原子であって、XとXはsyn配置である。)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシラン。
  2. 化学式(I)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシランが、
    Figure 2016108273
    (式中、Meはメチル基を、iPrはイソプロピル基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
    である請求項1記載の(Z)−クロロブロモアルケニルシラン。
  3. 化学式(II):
    −C≡C−Si−R (II)
    (式中、R、R、R、およびRは、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、置換基を有していてもよく、R、R、R、およびRは、同一でも異なっていてもよい。)で表されるシリルアセチレンに、一塩化臭素を反応させて、化学式(I)で表される(Z)−クロロブロモアルケニルシランを生成する工程を含む請求項1または2記載の(Z)−クロロブロモアルケニルシランの製造方法。
  4. 一塩化臭素が、クロロトリメチルシランとN−ブロモスクシンイミドにより系中発生させた一塩化臭素である請求項3記載の(Z)−クロロブロモアルケニルシランの製造方法。
  5. 化学式(II)で表されるシリルアセチレンが、
    Figure 2016108273
    である請求項3または4記載の(Z)−クロロブロモアルケニルシランの製造方法。
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