JP4477340B2 - 多官能性シクロブタベンゼン及びその製造方法 - Google Patents

多官能性シクロブタベンゼン及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多官能性シクロブタベンゼン及びその製造方法に関する。
ジシクロブタベンゼン及びトリシクロブタベンゼンは、ベンゼン環に複数の四員環が縮環したひずみ構造を有し、高い反応性や興味深い物性を秘めていることから、その合成的有用性が期待されている。多官能性ジシクロブタベンゼン及び多官能性トリシクロブタベンゼンは、四員環上に官能基を有する構造を持つことから、より高い反応性を持つと予想され、特に、酸素官能基化された化合物については、炭素材料や、医薬中間体としての利用が可能となり、その一般的な合成方法の開発が強く望まれている。
しかしながら、四員環上に官能基を有するジシクロブタベンゼン及びトリシクロブタベンゼンの合成は困難であるため、それらの構造、反応性、合成的有用性などについてはほとんど調べられていない。これまでに開発されたトリシクロブタベンゼンの合成法は、工程数や一般性などの点で実用性に乏しいものであった。特に、四員環上に置換基を持つ多官能性トリシクロブタベンゼンの合成法は、ハロゲン置換体について2例が報告されているのみであり、酸素官能基化された化合物については、四員環上にひずみをより蓄えることになるため、合成は困難を伴い、これまでにその合成報告は知られていなかった。以上のように、多官能性ジシクロブタベンゼン及びトリシクロブタベンゼンは、高い産業上の有用性を有するにも関わらず、一般的で効率的な合成手法が確立されていないのが現状である。
A. Stanger, N. Ashkenazi, R. Boese, D. Blaser, P. Stellberg, Chem. Eur. J., 1997, 3, 208. R. P. Thummel, J. D Korp, I. Bernal, R. L. Harlow, R. L. Soulen, J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 6916.
本発明は、多官能性ジシクロブタベンゼン及び多官能性トリシクロブタベンゼン、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様の一側面では、下記式(1)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシロキシ基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、Y1及びY2、並びに、Y3及びY4は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。A1は、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基であり、A2は、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基である。R1は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R2は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R3及びR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシロキシ基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、R1及びR2、並びに、R3及びR4は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。]
本発明の第1態様の一側面において、R1は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基、トリC6〜C10アリールシロキシ基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシロキシ基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシロキシ基であり、R2は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましい。
本発明の第1態様の他の側面では、下記式(2)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y1、Y2、Y3、Y4、A1、A2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
本発明の第1態様において、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;若しくは置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、置換基を有していてもよいジオキソラン環を形成することが好ましい。
本発明の第2態様の一側面では、下記式(3)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、Y5及びY6、並びに、Y7及びY8は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。A3及びA4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基である。R5は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R6は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R7及びR8は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、R5及びR6、並びに、R7及びR8は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。]
本発明の第2態様の一側面において、R5は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基、トリC6〜C10アリールシロキシ基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシロキシ基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシロキシ基であり、R6は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましい。
本発明の第2態様の他の側面では、下記式(4)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y5、Y6、Y7、Y8、A3、A4、R7及びR8は、上記の意味を有する。]
本発明の第2態様において、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;若しくは置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y5及びY6、若しくは、Y7及びY8は、互いに架橋して、置換基を有していてもよいジオキソラン環を形成することが好ましい。
本発明の第3態様の一側面では、下記式(5)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、並びに、Y15及びY16は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。R9は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R10は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R11及びR12は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、R9及びR10、並びに、R11及びR12は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。]
本発明の第3態様の他の側面では、下記式(6)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、R11及びR12は、上記の意味を有する。]
本発明の第3態様の更に他の側面では、下記式(7)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y9、Y10、Y15、Y16、R11及びR12は、上記の意味を有する。]
本発明の第3態様の更に他の側面では、下記式(8)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
[式中、Y9、Y10、Y15及びY16は、上記の意味を有する。]
本発明の第4態様では、本発明の第1態様にかかるジシクロブタベンゼンの製造方法の1態様が提供される。すなわち、本発明の第4態様では、下記式(1)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法であって、
[式中、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、Y1及びY2、並びに、Y3及びY4は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。A1は、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基であり、A2は、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基である。R1は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R2は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R3及びR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、R1及びR2、並びに、R3及びR4は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。] 下記式(9)で示されるベンザインと、
[式中、Y1、Y2、Y3、Y4、A1及びA2は、上記意味を有する。]下記式(10)で示されるエチレン誘導体と
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記意味を有する。]を反応させることを特徴とするジシクロブタベンゼンの製造方法が提供される。
また、本発明の第4態様において、R1は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基、トリC6〜C10アリールシロキシ基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシロキシ基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシロキシ基であり、R2は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましい。
本発明の第4態様において、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;若しくは置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、置換基を有していてもよいジオキソラン環を形成することが好ましい。
本発明の第5態様では、本発明の第2態様にかかるジシクロブタベンゼンの製造方法の1態様が提供される。すなわち、本発明の第5態様では、上記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法であって、
[式中、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、Y5及びY6、並びに、Y7及びY8は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。A3及びA4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基である。R5は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R6は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R7及びR8は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。R5及びR6、並びに、R7及びR8は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。] 下記式(11)で示されるベンザインと、
[式中、Y5、Y6、Y7、Y8、A3及びA4は、上記意味を有する。] 下記式(12)で示されるエチレン誘導体と
[式中、R5、R6、R7及びR8は、上記意味を有する。] を反応させることを特徴とするジシクロブタベンゼンの製造方法が提供される。
本発明の第5態様において、R5は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基、トリC6〜C10アリールシロキシ基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシロキシ基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシロキシ基であり、R6は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましい。
本発明の第5態様において、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;若しくは置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y5及びY6、若しくは、Y7及びY8は、互いに架橋して、置換基を有していてもよいジオキソラン環を形成することが好ましい。
本発明の第6態様では、本発明の第3態様にかかるトリシクロブタベンゼンの製造方法の1態様が提供される。すなわち、本発明の第6態様では、上記式(5)で示されるトリシクロブタベンゼンの製造方法であって、
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、並びに、Y15及びY16は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。R9は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R10は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R11及びR12は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。但し、R9及びR10、並びに、R11及びR12は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。] 下記式(13)で示されるベンザインと、
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、上記意味を有する。] 下記式(14)で示されるエチレン誘導体と
[式中、R9、R10、R11及びR12は、上記意味を有する。] を反応させることを特徴とするトリシクロブタベンゼンの製造方法が提供される。
本発明によれば、高い反応性を持ち、炭素材料や、医薬中間体として利用され得る多官能性ジシクロブタベンゼン、多官能性トリシクロブタベンゼンを簡便に得ることができる。
本発明の第1態様の一側面では、下記式(1)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
本発明の第1態様の他の側面では、下記式(2)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
上記式(1)および(2)中、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシロキシ基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
本明細書において、「C1〜C10炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C10炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1〜C10炭化水素基」には、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C4〜C10アルキルジエニル基、C6〜C8アリール基、C6〜C10アルキルアリール基、C6〜C10アリールアルキル基、C4〜C10シクロアルキル基、C4〜C10シクロアルケニル基、(C3〜C6シクロアルキル)C1〜C4アルキル基などが含まれる。
本明細書において、「C1〜C10アルキル基」は、C1〜C6アルキル基であることが好ましく、C1〜C4アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C10アルケニル基」は、C2〜C6アルケニル基であることが好ましく、C2〜C4アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C10アルキニル基」は、C2〜C6アルキニル基であることが好ましく、C2〜C4アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C10アルキルジエニル基」は、C4〜C6アルキルジエニル基であることが好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C10アリール基」の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C10アルキルアリール基」の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C10アリールアルキル基」の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C10シクロアルキル基」は、C4〜C6シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C10シクロアルケニル基」は、C4〜C6シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C1〜C10アルコキシ基」は、C1〜C6アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C4アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
本明細書において、「C6〜C10アリールオキシ基」の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「アルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。)」において、Z1及びZ3は、C1〜C6アルキル基であることが好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「アリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。)」及び「アリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。)」において、アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル等を挙げることができる。
本発明の第1態様において、Y1、Y2、Y3及びY4で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、「置換基を有していてもよいシロキシ基」の例としては、制限するわけではないが、トリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、トリi−プロピルシロキシ、トリt−ブチルシロキシ、ジメチルt−ブチルシロキシ、ジフェニルt−ブチルシロキシ、トリフェニルシロキシ等がある。
本発明の第1態様において、Y1及びY2、並びに、Y3及びY4は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。
本明細書において、「5員〜7員の炭化水素環」としては、C5〜C7飽和環又は不飽和環を挙げることができ、この環は、ベンゼン環等の芳香族環あってもよいし、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の脂肪族環であってもよい。
本明細書において、「5員〜7員の複素環」としては、フラン、ジオキソラン、ピロリジン、ピラン、ジオキサン、イミダゾリジン、チアゾリン等を挙げることができる。
本発明の第1態様において、「5員〜7員の炭化水素環」、「5員〜7員の複素環」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第1態様において、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;若しくは置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、置換基を有していてもよいジオキソラン環を形成することが好ましく、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;メトキシ;エトキシ;プロポキシ;又はベンジルオキシであり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、ジオキソラン環を形成することが更に好ましい。
本発明の第1態様において、上記式(1)及び(2)中、A1は、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基であり、A2は、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基である。
本発明の第1態様において、A1で示される「C1〜C10炭化水素基」、及び、A2で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第1態様において、A1はメチル;エチル;プロピル;又はベンジルであることが好ましく、A2は水素原子、メチル、エチル、フェニルであることが好ましい。
本発明の第1態様において、上記式(1)中のR1は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R2は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基である。
本発明の第1態様において、R1で示される「シロキシ基」、及び、R2で示される「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第1態様において、上記式(1)及び(2)中のR3及びR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシロキシ基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
本発明の第1態様において、R3及びR4で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第1態様において、R1及びR2、並びに、R3及びR4は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。
本発明の第1態様において、R1は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基、トリC6〜C10アリールシロキシ基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシロキシ基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシロキシ基であり、R2は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、R1は、トリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、トリi−プロピルシロキシ、トリt−ブチルシロキシ、ジメチルt−ブチルシロキシ、ジフェニルt−ブチルシロキシ、トリフェニルシロキシであり、R2は、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ、ベンジルオキシであることが更に好ましい。
本発明の第1態様において、R3及びR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ、ベンジルオキシであることが更に好ましい。
また、本発明の第2態様の一側面では、下記式(3)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
本発明の第2態様の他の側面では、下記式(4)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼンが提供される。
上記式(3)および(4)中、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
本発明の第2態様において、Y5、Y6、Y7及びY8で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第2態様において、Y5及びY6、並びに、Y7及びY8は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。
本発明の第2態様において、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;若しくは置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y5及びY6、若しくは、Y7及びY8は、互いに架橋して、置換基を有していてもよいジオキソラン環を形成することが好ましく、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;メトキシ;エトキシ;プロポキシ;若しくはベンジルオキシであり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、ジオキソラン環を形成することが更に好ましい。
本発明の第2態様において、上記式(3)及び(4)中、A3及びA4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基である。
本発明の第2態様において、A3及びA4で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第2態様において、A3及びA4は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子:メチル;エチル;フェニル;メトキシ;エトキシ又はベンジルオキシであることが好ましく、水素原子であることが好ましい。
本発明の第2態様において、上記式(3)中のR5は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R6は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基である。
本発明の第2態様において、R5で示される「シロキシ基」、及び、R6で示される「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第2態様において、上記式(3)及び(4)中のR7及びR8は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
本発明の第2態様において、R7及びR8で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第2態様において、R5及びR6、並びに、R7及びR8は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。]
本発明の第2態様において、R5は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基、トリC6〜C10アリールシロキシ基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシロキシ基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシロキシ基であり、R6は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、R5は、トリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、トリi−プロピルシロキシ、トリt−ブチルシロキシ、ジメチルt−ブチルシロキシ、ジフェニルt−ブチルシロキシ、又はトリフェニルシロキシであり、R6は、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ、又はベンジルオキシであることが更に好ましい。
本発明の第2態様において、R7及びR8は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ、又はベンジルオキシであることが更に好ましい。
本発明の第3態様の一側面では、下記式(5)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
また、本発明の第3態様の他の側面では、下記式(6)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
また、本発明の第3態様の更に他の側面では、下記式(7)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
本発明の第3態様の更に他の側面では、下記式(8)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼンが提供される。
上記式(5)〜(8)中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
本発明の第3態様において、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第3態様において、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、並びに、Y15及びY16は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。
本発明の第3態様において、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;若しくは置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、若しくは、Y15及びY16は、互いに架橋して、置換基を有していてもよいジオキソラン環を形成することが好ましく、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;メトキシ;エトキシ;プロポキシ;若しくはベンジルオキシであり、又は、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、若しくは、Y15及びY16は、互いに架橋して、ジオキソラン環を形成することが更に好ましい。
本発明の第3態様において、上記式(5)中のR9は、置換基を有していてもよいシロキシ基であり、R10は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシロキシ基である。
本発明の第3態様において、R9で示される「シロキシ基」、及び、R10で示される「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第3態様において、上記式(5)〜(7)中のR11及びR12は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C10アリールオキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SZ2、式中、Z2は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3は置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基を示す。);置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Z4は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
本発明の第3態様において、R11及びR12で示される「C1〜C10炭化水素基」、「C1〜C10アルコキシ基」、「C6〜C10アリールオキシ基」、「シロキシ基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の第3態様において、R9及びR10、並びに、R11及びR12は、それぞれ、互いに架橋して、置換基を有していてもよい5員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。
本発明の第3態様において、R9は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基、トリC6〜C10アリールシロキシ基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシロキシ基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシロキシ基であり、R10は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、R9は、トリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、トリi−プロピルシロキシ、トリt−ブチルシロキシ、ジメチルt−ブチルシロキシ、ジフェニルt−ブチルシロキシ、又はトリフェニルシロキシであり、R10は、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ、又はベンジルオキシであることが更に好ましい。
本発明の第3態様において、R11及びR12は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、t−ブトキシ、又はベンジルオキシであることが更に好ましい。
本発明の第4態様では、本発明の第1態様にかかる上記式(1)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法の1態様が提供される。すなわち、本発明の第4態様では、下記式(1)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法であって、下記式(9)で示されるベンザインと、下記式(10)で示されるエチレン誘導体とを反応させることを特徴とする。
[式中、Y1、Y2、Y3、Y4、A1、A2、R1、R2、R3及びR4は、上記意味を有する。]
本発明の第4態様において、下記式(9)で示されるベンザインが用いられる。
[式中、Y1、Y2、Y3、Y4、A1及びA2は、上記意味を有する。]
上記式(9)で示されるベンザインは、公知の方法で生成させることができる。たとえば、下記スキームで生成する方法などを挙げることができる。
[式中、Y1、Y2、Y3、Y4、A1及びA2は、上記意味を有する。]
上記式中、X1は、水素原子又はハロゲン原子であり、水素原子、I又はBrであることが好ましい。
また、上記式中、X2は、脱離基である。脱離基としては、例えば、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子、トシラート基(―O−S(=O)2−C64−CH3)、トリフルオロメタンスルホン酸エステル(トリフラート)、スルホキシド(―S(=O)−)等が挙げられる。X2は、I、Br、又はトリフラート基であることが好ましい。
また、上記式中、Mは、強塩基試薬由来の金属である。
本明細書において、強塩基試薬としては、n−BuLi等のアルキルリチウム、フェニルリチウム等のアリールリチウム、マグネシウム、MeMgBr等のグリニャール試薬が用いられる。
ベンザイン(9)の生成に関する上記反応式において、強塩基試薬の量は、ベンゼン誘導体(9’’)1モルに対し、それぞれ、1モル〜10モルであり、好ましくは1モル〜5モルであり、更に好ましくは1モル〜2モルである。
ベンザイン(9)の生成に関する上記反応式において、典型的には、上記式(9’’)で示されるベンゼン誘導体の溶液に、強塩基試薬を添加し、攪拌することにより、ベンザイン(9)が生成する。この際、まず中間体(9’)が得られ、引き続き金属Mと脱離基X2とが脱離することによってベンザイン(9)が発生するものと考えられる。
ベンザイン(9)の生成に関する上記反応式において、反応は、好ましくは−100℃〜100℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲、更に好ましくは−80℃〜25℃の温度範囲で行われる。圧力は、常圧であることが好ましい。
ベンザイン(9)の生成に関する上記反応式において、溶媒としては、上記式(9’)で示されるベンゼン誘導体を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素などが用いられる。
本発明の第4態様において、下記式(10)で示されるエチレン誘導体が用いられる。
[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記意味を有する。]
本発明の第4態様において、上記式(10)で示されるエチレン誘導体の量は、ベンザイン(9)1モルに対し、それぞれ、1モル〜10モルであり、好ましくは1モル〜5モルであり、更に好ましくは1モル〜2モルである。
本発明の第4態様において、典型的には、上記式(9)で示されるベンザインの溶液に、上記式(10)で示されるエチレン誘導体を添加し、攪拌して上記式(1)で示されるジシクロブタベンゼンを得る。ベンザイン(9)は溶液中で調製されたベンザインをそのまま用いることが好ましい。
本発明の第4態様において、反応は、好ましくは−100℃〜100℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲、更に好ましくは−80℃〜25℃の温度範囲で行われる。圧力は、常圧であることが好ましい。
本発明の第4態様において、溶媒としては、上記式(9)で示されるベンザインを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素などが用いられる。
本発明の第4態様にしたがって得られた第1態様にかかる上記式(1)で示されるジシクロブタベンゼンは、酸素含有基を多くもち、また高度なひずみを持つ4員環を有するため、高い反応性を有する。たとえば、上記式(1)で示されるジシクロブタベンゼンのアセトニトリル溶液にフッ化カリウム水溶液を作用させると、置換基を有していてもよいシロキシ基であるR1が選択的に反応し、医薬中間体として利用できる第1態様の他の側面にかかる下記式(2)で示されるジシクロブタベンゼンを選択的に得ることができる。
[式中、Y1、Y2、Y3、Y4、A1、A2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
本発明の第5態様では、本発明の第2態様にかかる上記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法の1態様が提供される。すなわち、本発明の第5態様では、下記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法であって、下記式(11)で示されるベンザインと、下記式(12)で示されるエチレン誘導体とを反応させることを特徴とする。
[式中、Y5、Y6、Y7、Y8、A3、A4、R5、R6、R7及びR8は、上記意味を有する。]
本発明の第5態様において、置換基を有していてもよいシロキシ基であるR5が、ベンザイン由来の4員環と同方向に位置する上記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンを位置選択的に生成できる。これは、ベンザイン由来の4員環のひずみに起因するものと推測される。
本発明の第5態様において、下記式(11)で示されるベンザインが用いられる。
[式中、Y5、Y6、Y7、Y8、A3及びA4は、上記意味を有する。]
上記式(11)で示されるベンザインは、公知の方法で生成させることができる。たとえば、下記スキームで生成する方法などを挙げることができる。
[式中、Y5、Y6、Y7、Y8、A3及びA4は、上記意味を有する。]
上記式中、X1は、水素原子又はハロゲン原子であり、水素原子、I又はBrであることが好ましい。
また、上記式中、X2は、脱離基である。脱離基としては、例えば、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子、トシラート基(―O−S(=O)2−C64−CH3)、トリフルオロメタンスルホン酸エステル(トリフラート)、スルホキシド(―S(=O)−)等が挙げられる。X2は、I、Br、又はトリフラート基であることが好ましい。
また、上記式中、Mは、強塩基試薬由来の金属である。
ベンザイン(11)の生成に関する上記反応式についての説明は、本発明の第4態様において、ベンザイン(9)の生成についてしたのと同様である。
本発明の第5態様において、下記式(12)で示されるエチレン誘導体が用いられる。
[式中、R5、R6、R7及びR8は、上記意味を有する。]
本発明の第5態様において、上記式(12)で示されるエチレン誘導体の量は、ベンザイン(11)1モルに対し、それぞれ、1モル〜10モルであり、好ましくは1モル〜5モルであり、更に好ましくは1モル〜2モルである。
本発明の第5態様において、典型的には、上記式(11)で示されるベンザインの溶液に、上記式(12)で示されるエチレン誘導体を添加し、攪拌して上記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンを得る。ベンザイン(11)は溶液中で調製されたベンザインをそのまま用いることが好ましい。
本発明の第5態様において、反応は、好ましくは−100℃〜100℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲、更に好ましくは−80℃〜25℃の温度範囲で行われる。圧力は、常圧であることが好ましい。
本発明の第5態様において、溶媒としては、上記式(11)で示されるベンザインを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素などが用いられる。
本発明の第5態様にしたがって得られた第2態様にかかる上記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンは、酸素含有基を多くもち、高度なひずみを持つ4員環を有するため、高い反応性を有する。たとえば、上記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンのアセトニトリル溶液にフッ化カリウム水溶液を作用させると、置換基を有していてもよいシロキシ基であるR5が選択的に反応し、医薬中間体として利用できる第2態様の他の側面にかかる下記式(4)で示されるジシクロブタベンゼンを選択的に得ることができる。
[式中、Y5、Y6、Y7、Y8、A3、A4、R7及びR8は、上記の意味を有する。]
また、得られた上記式(4)で示されるジシクロブタベンゼンにナトリウムメトキシドを作用させると、下記式(4)中、C1−C4結合で選択的に開裂が起き、エステルが高収率で得られた。これも、式(4)で示されるジシクロブタベンゼン中の4員環(置換基Y5、Y6、Y7及びY8が結合している環)のひずみに起因するものと推測される。
本発明の第6態様では、本発明の第3態様にかかる上記式(5)で示されるトリシクロブタベンゼンの製造方法の1態様が提供される。すなわち、本発明の第6態様では、下記式(5)で示されるトリシクロブタベンゼンの製造方法であって、下記式(13)で示されるベンザインと、下記式(14)で示されるエチレン誘導体とを反応させることを特徴とする。
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、R9、R10、R11及びR12は、上記意味を有する。]
本発明の第6態様において、下記式(13)で示されるベンザインが用いられる。
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、上記意味を有する。]
上記式(13)で示されるベンザインは、公知の方法で生成させることができる。たとえば、下記スキームで生成する方法などを挙げることができる。
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、上記意味を有する。]
上記式中、X1は、水素原子又はハロゲン原子であり、水素原子、I又はBrであることが好ましい。
また、上記式中、X2は、脱離基である。脱離基としては、例えば、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子、トシラート基(―O−S(=O)2−C64−CH3)、トリフルオロメタンスルホン酸エステル(トリフラート)、スルホキシド(―S(=O)−)等が挙げられる。X2は、I、Br、又はトリフラート基であることが好ましい。
また、上記式中、Mは、強塩基試薬由来の金属である。
ベンザイン(13)の生成に関する上記反応式についての説明は、本発明の第4態様において、ベンザイン(9)の生成についてしたのと同様である。
本発明の第6態様において、下記式(14)で示されるエチレン誘導体が用いられる。
[式中、R9、R10、R11及びR12は、上記意味を有する。]
本発明の第6態様において、上記式(14)で示されるエチレン誘導体の量は、ベンザイン(13)1モルに対し、それぞれ、1モル〜10モルであり、好ましくは1モル〜5モルであり、更に好ましくは1モル〜2モルである。
本発明の第6態様において、典型的には、上記式(13)で示されるベンザインの溶液に、上記式(14)で示されるエチレン誘導体を添加し、攪拌して上記式(5)で示されるトリシクロブタベンゼンを得る。ベンザイン(13)は溶液中で調製されたベンザインをそのまま用いることが好ましい。
本発明の第6態様において、反応は、好ましくは−100℃〜100℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲、更に好ましくは−80℃〜25℃の温度範囲で行われる。圧力は、常圧であることが好ましい。
本発明の第6態様において、溶媒としては、上記式(13)で示されるベンザインを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素などが用いられる。
本発明の第6態様にしたがって得られた第2態様にかかる上記式(5)で示されるトリシクロブタベンゼンは、酸素含有基を多くもち、高度なひずみを持つ4員環を有するため、高い反応性を有する。たとえば、上記式(5)で示されるトリシクロブタベンゼンのアセトニトリル溶液にフッ化カリウム水溶液を作用させると、まず、置換基を有していてもよいシロキシ基であるR9が選択的に反応し、医薬中間体として利用できる第3態様の他の側面にかかる下記式(6)で示されるトリシクロブタベンゼンを選択的に得ることができる。
[式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、R11及びR12は、上記の意味を有する。]
同様に、酸素含有基を有する置換基が選択的に反応し、たとえば、下記式(7)、(8)で示されるトリシクロブタベンゼンを得ることができる。
[式中、Y9、Y10、Y15、Y16、R11及びR12は、上記の意味を有する。]
[式中、Y9、Y10、Y15及びY16は、上記の意味を有する。]
また、上記式(7)から、下記反応式にしたがって、ラジアレン(16)を得ることもできる。
[式中、Y9、Y10、Y15、Y16、R11及びR12は、上記の意味を有する。B1、B2及びB3は、トリC1〜C10アルキルシリル基、トリC6〜C10アリールシリル基、ジC1〜C10アルキル−C6〜C10アリールシリル基、又はC1〜C10アルキル−ジC6〜C10アリールシリル基を示す。]
上記反応式中、a)では、0℃〜25℃の温度条件下で、還元剤(例えば、NaBH4, LiAlH4, LiEt3BH等)と反応させる。溶媒としては、例えば、還元剤としてNaBH4を用いる場合は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフランを用いることができ、LiAlH4、LiEt3BHを用いる場合は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンを用いることができる。
上記反応式中、b)では、0℃〜25℃の温度条件下で、シリル化剤(例えば、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)、トリエチルシリルクロリド(TESCl)、t−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSCl)等のシリル化剤及びイミダゾール、トリエチルアミン等の塩基)と反応させる。溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等を用いることができる。
上記反応式中、c)では、100℃以上(例えば、105〜110℃)で加熱させる。溶媒としては、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、DMF等を用いることができる。
1、B2及びB3としては、トリC1〜C10アルキルシリルとしては、たとえば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリi−プロピルシリル、トリt−ブチルシリル、ジメチルt−ブチルシリル、ジフェニルt−ブチルシリル等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
テトラヒドロフラン(THF:脱水)、ジエチルエーテル(Et2O:脱水)、n-ブチルリチウム(n-BuLi:ヘキサン溶液)は、関東化学株式会社より購入したものを用いた。1,3-ジフェニルイソベンゾフランは、東京化成株式会社より購入したものを用いた。ケテンシリルアセタールは公知の方法に従い合成したものを用いた。シリカゲル分取薄層クロマトグラフィーは、Merck silica gel 60 PF254 (Art 7747)を用いた。また、生成物の構造はNMR (1H NMR, 13C NMR), IR, 元素分析によって決定した。
ジシクロブタベンゼン3a

アルゴン雰囲気下、30 mL二ツ口反応容器にて、ブロモトリフラート1(42.7 mg, 0.102 mmol)とケテンシリルアセタール2a(38.9 mg, 0.192 mmol)のTHF溶液(1.5 ml)に−78 ℃にてn-BuLi(1.56 Mヘキサン溶液, 0.10 ml, 0.16 mmol)を加え、この温度で5分間撹拌した。水を用いて反応を停止した後、生成物を酢酸エチル(10 mL×3)で抽出、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン / アセトン= 9 / 1 ×2)で精製した。さらに再度、薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン/ジエチルエーテル = 8 / 1 / 1)で精製し、ジシクロブタベンゼン3a(30.8 mg, 0.0785 mmol, 77%)を得た。
1H NMR (アセトン-d6, δ) 0.06 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.89 (s, 9H), 1.14 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 3.18 (d, 1H, J = 13.7), 3.27 (s,2H), 3.37 (d, 1H, J = 13.7 Hz), 3.66-3.72 (m, 2H), 3.96 (s, 3H), 4.03−4.14 (m, 4H), 6.65 (s, 1H); 13C NMR (アセトン-d6, δ) -3.8, -3.4, 15.7, 18.5, 26.1, 46.9, 47.5, 58.6, 60.9, 65.2, 102.6, 109.1, 112.1, 128.2, 132.5, 146.7, 146.8, 148.6; IR (neat) 2956, 2929, 2891, 1606, 1583, 1475, 1423, 1332, 1301, 1232, 1172, 1149, 1085, 1052, 1014, 946, 837, 779 cm-1; 元素分析 計算値 C21H32O5Si: C, 64.25; H, 8.22. 実測値: C, 64.51; H, 8.14.
実施例1において、反応中間体としてベンザインが生成していることを確認するため、以下の実験を行った。
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ブロモトリフラート1(49.7 mg, 0.119 mmol)のTHF溶液(2.0 mL)に−78 ℃にて1,3-ジフェニルイソベンゾフラン(64.7mg, mmol)を加え、n-BuLi(1.58M ヘキサン溶液, 0.1 mL, 0.16 mmol)を加えた。反応を水を用いて停止した後、生成物を酢酸エチル (10 mL×3)で抽出、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン / 酢酸エチル= 8/2 X3)で精製し、付加体6(45.9 mg, 84%)を得た。このことから、実施例1の反応中間体としてベンザインが生成されていることが確認された。
1H NMR (アセトン-d6, δ) 3.15 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.97-4.15 (m, 4H), 6.82 (s, 1H), 7.00-7.11 (m, 2H), 7.36 (d, 1H, J = 7.0 Hz), 7.40-7.55 (m, 7H), 7.87 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 7.94 (d, 2H, J = 7.2 Hz).
ジシクロブタベンゼン3b
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ブロモトリフラート1(53.8 mg, 0.128 mmol)とケテンシリルアセタール2b(52.4 mg, 0.240 mmol)のTHF溶液(1.5 mL)に−78 ℃にてn-BuLi(1.56 M ヘキサン溶液, 0.12 ml, 0.19 mmol)を加え、この温度で5分間撹拌した。反応を水を用いて停止した後、生成物を酢酸エチル (10 mL×3)で抽出、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン / 酢酸エチル= 7 / 3)で精製し、ジシクロブタベンゼン3b(32.9 mg, 0.0805 mmol, 65%)を得た。
1H NMR (アセトン-d6, δ) −0.11 (s, 3H), 0.02 (s, 3H), 0.93 (s, 9H), 3.26 (s, 2H), 3.44 (s, 3H), 3.49 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 4.00−4.19 (m, 4H), 4.61 (s, 1H), 6.79 (s, 1H); 13C NMR (アセトン-d6, δ) -4.0, -3.5, 19.0, 26.3, 47.3, 52.3, 57.9, 58.6, 65.2, 87.2, 105.1, 109.0, 112.2, 129.0, 132.2, 147.5, 148.9, 149.8; IR(neat) 2962, 2927, 1608, 1587, 1479, 1427, 1338, 1313, 1236, 1199, 1180, 1120, 1081, 1041, 1006, 977, 939, 910, 836, 779 cm-1; 元素分析 計算値 C21H32O6Si: C, 61.73; H, 7.89. 実測値: C, 61.75; H, 8.14.
ジシクロブタベンゼン3c
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート4(48.8 mg, 0.105 mmol)のEt2O溶液(1.5 mL)に−78 ℃にてケテンシリルアセタール2c(44.1 mg, 0.240 mmol)を加え、n-BuLi(1.56 M ヘキサン溶液, 0.1 mL, 0.16 mmol)を加えた。反応を水を用いて停止した後、生成物を酢酸エチル (10 mL×3)で抽出、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン / 酢酸エチル= 6 / 4)で精製し、ジシクロブタベンゼン3c(24.2 mg, 0.0573 mmol, 55%)を得た。
1H NMR (アセトン-d6, δ) −0.03 (s, 3H), −0.93 (s, 3H), 0.91 (s, 9H), 3.27 (s, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.41 (s, 3H), 3.44 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 4.03−4..19 (m, 4H), 6.85 (s, 1H).
ジシクロブタベンゼン3e
アルゴン雰囲気下、30 mL二ツ口反応容器にて、ブロモトリフラート1b(82.3 mg, 0.183 mmol)とケテンシリルアセタール2b(166 mg, 0.300 mmol)のTHF溶液(1.5 ml)に−78 ℃にてn-BuLi(1.58 M ヘキサン溶液, 0.15 ml, 0.24 mmol)を加え、この温度で5分間撹拌した。反応を水を用いて停止した後、生成物を酢酸エチル(10 mL×3)で抽出、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン / 塩化メチレン/ ジエチルエーテル= 4 / 3 / 3 ×2)で精製し、ジシクロブタベンゼン3e(24.5 mg, 31%: 高極性、24.2 mg, 30%: 低極性)を得た。
More polar
1H NMR (アセトン-d6, δ) -0.13 (s, 3H), 0.01 (s, 3H), 0.92 (s, 9H), 3.44 (s, 3H), 3.45 (s, 3H), 3.50 (s, 3H), 4.00 (s, 3H), 4.02-4.29 (m, 4H), 4.63 (s, 1H), 4.73 (s, 1H), 7.00 (s, 1H).
Less polar
1H NMR (アセトン-d6, δ) -0.12 (s, 3H), 0.02 (s, 3H), 0.92 (s, 9H), 3.445 (s, 3H), 3.451 (s, 3H), 3.51 (s, 3H), 4.00 (s, 3H), 3.94-4.24 (m, 4H), 4.63 (s, 1H), 4.76 (s, 1H), 6.96 (s, 1H).
ジシクロブタベンゼン3f
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ブロモトリフラート1b(89.4 mg, 0.199 mmol)のEt2O溶液(4.0 mL)に−78 ℃にてケテンシリルアセタール2c(84.3 mg, 0.339 mmol)を加え、n-BuLi(1.58 M ヘキサン溶液, 0.16 mL, 0.25 mmol)を加えた。反応を水を用いて停止した後、生成物を酢酸エチル (10 mL×3)で抽出、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン / 塩化メチレン/ ジエチルエーテル= 3 / 3 / 4)で精製し、ジシクロブタベンゼン3f (22.7 mg, 24%: 高極性、22.0 mg, 24%: 低極性)を得た。
More polar
1H NMR (アセトン-d6, δ) -0.01 (s, 3H), 0.00 (s, 3H), 0.92 (s, 9H), 3.40 (s, 3H), 3.43 (s, 3H), 3.46 (s, 3H), 3.47 (s, 3H), 3.98-4.28 (m, 4H), 4.02 (s, 3H), 4.75 (s, 1H), 7.04 (s, 1H).
Less polar
1H NMR (アセトン-d6, δ) -0.02 (s, 3H), 0.00 (s, 3H), 0.91 (s, 9H), 3.39 (s, 3H), 3.43 (s, 3H), 3.44 (s , 3H), 3.46 (s, 3H), 3.99-4.25 (m, 4H), 4.01 (s, 3H), 4.77 (s, 1H), 7.03 (s, 1H).
ジシクロブタベンゼン8a、8a'
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート7(131 mg, 0.301 mmol)とケテンシリルアセタール2a(125 mg, 0.618 mmol)のTHF溶液(3.0 mL)に−78 ℃にてn-BuLi (1.52 Mヘキサン溶液, 0.30 mL, 0.46 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて停止し、生成物を酢酸エチルで抽出(10 mL×3)、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル = 8 / 2)にて精製し、環付加体8a(77.7 mg, 71.2%) を無色の油状物質として得た。また8aの位置異性体8a'を得た。8a'は若干の不純物を含んでいたので、これを再び分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン/ジエチルエーテル = 7 / 2 / 1)にて精製し、環付加体8a'(2.5 mg, 2.3%) を無色の油状物質として得た。
ジシクロブタベンゼン8a
1H NMR (アセトン-d6, δ) 0.12 (s, 3H), 0.13 (s, 3H), 0.90 (s, 9H), 1.15 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 3.37 (d, 1H, J = 13.4Hz), 3.41 (d, 1H, J = 13.4 Hz), 3.48 (s, 2H), 3.68 (qd, 1H, J1 = 7.1 Hz, J2 = 8.9 Hz), 3.88 (qd, 1H, J1 = 7.1 Hz, J2 = 8.9 Hz), 3.97-4.19 (m, 4H), 7.16 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.18 (d, 1H, J = 7.5Hz);
13C NMR (アセトン-d6, δ) -3.6, -3.3, 15.5, 18.4, 26.0 (3C), 47.4, 49.3, 60.7, 65.6, 65.9, 103.4, 110.1, 124.8, 125.9, 140.6, 141.3, 141.4, 141.7; IR (neat) 3061, 2930, 2857, 1609, 1472, 1464, 1435, 1390, 1347, 1242, 1133, 1058, 1014, 965, 900, 834, 782 cm-1; 元素分析 計算値 C20H30O4Si: C, 66.25; H, 8.34. 実測値: C, 66.28; H, 8.60.
ジシクロブタベンゼン8a'
1H NMR (アセトン-d6, δ) 0.06 (s, 3H), 0.14 (s, 3H), 0.89 (s, 9H), 1.14 (t, 3H, J = 7.0 Hz), 3.33 (d, 1H, J = 14.0 Hz), 3.46 (d, 1H, J = 14.0 Hz), 3.47 (s, 2H), 3.66 (qd, 1H, J1 = 7.0 Hz, J2 = 8.9 Hz), 3.79 (qd, 1H, J1 = 7.0 Hz, J2 = 8.9 Hz), 4.06 (s, 4H), 7.11 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 7.5 Hz); 13C NMR (アセトン-d6, δ) -3.39, -3.37, 15.6, 18.5, 26.0 (3C), 47.1, 48.0, 60.5, 65.40, 65.44, 103.7, 109.9, 122.5, 123.6, 134.8, 143.0, 144.5, 149.5; IR (neat) 3062, 2932, 1602, 1472, 1412, 1390, 1351, 1252, 1207, 1144, 1038, 982, 938, 905, 834, 780, 730 cm-1. 元素分析 計算値 C20H30O4Si: C, 66.25; H, 8.34. 実測値: C, 66.33; H, 8.41.
実施例6において、反応中間体としてベンザインが生成していることを確認するため、以下の実験を行った。
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート7(50.6 mg, 0.116 mmol)と1,3-ジフェニルイソベンゾフラン (62.6 mg, 0.232 mmol)のTHF溶液 (1.5 mL)を−78℃に冷却し、激しく撹拌しながら、n-BuLi (1.58 M ヘキサン溶液, 0.10 mL, 0.16 mmol)をゆっくり滴下した。−78℃で20分間撹拌した後、水を加えて反応を停止した。生成物を酢酸エチルで三回抽出し、有機層をあわせた後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、黄色の油状物質を得た。これを分取薄層分取薄層クロマトグラフィー(hexane/CH2Cl2/Et2O = 7/2/1)にて精製し、付加体9(37.3 mg, 74.7%)を薄黄色油状物質として得た。このことから、実施例6の反応中間体としてベンザインが生成されていることが確認された。
1H NMR (CDCl3, δ) 3.33-3.44 (m, 2H), 3.64-3.71 (m, 1H), 3.81-3.98 (m, 3H), 6.81-6.84 (m, 1H), 6.99-7.06 (m, 2H), 7.23-7.58 (m, 9H), 9.89-7.92 (m, 2H), 8.04-8.08 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, δ) 47.6, 64.8, 64.9, 90.8, 91.0, 109.6, 119.8, 120.3, 121.2, 122.6, 125.9, 127.0, 128.1, 128.21, 128.23, 128.5, 128.7, 134.6, 134.9, 138.2, 140.0, 145.1, 149.9, 150.8, 151.4; IR (neat) 3062, 3032, 3010, 2962, 2924, 2891, 1601, 1498, 1448, 1410, 1360, 1340, 1309, 1269, 1221, 1097, 1039, 1011, 978, 947, 816, 752, 702 cm-1; 元素分析 計算値 C30H22O3: C, 83.70; H, 5.15. 実測値: C, 83.42; H, 5.40.
ジシクロブタベンゼン8b-cis, 8b-trans, 8b'
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート7(77.0 mg, 0.177 mmol)とケテンシリルアセタール2b(77.0 mg, 0.353 mmol)のTHF溶液(1.5 mL)に−78℃にてn-BuLi (1.74 M ヘキサン溶液, 0.15 mL, 0.26 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて停止し、生成物を酢酸エチルで抽出(10 mL×3)、溶媒を減圧留去し、残渣を分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(hexane / CH2Cl2 / Et2O = 6 / 3 / 1)にて精製し、環付加体8b-cis(47.6 mg, 71.0%) を無色の油状物質として得た。また8b-cisの立体異性体8b-transおよび位置異性体8b'を含むオイルを得た。これを再び分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(benzene / Et2O = 9/1)にて精製し、環付加体8b-trans (1.7 mg, 2.5%) を無色の油状物質として、環付加体8b'(0.9 mg, 1.3%)を無色の油状物質として得た。
環付加体8b-cis
1H NMR (アセトン-d6, δ) -0.03 (s, 3H), 0.05 (s, 3H), 0.93 (s, 9H), 3.41 (d, 1H, J = 13.8 Hz), 3.45 (s, 3H), 3.46 (d, 1H, J = 13.8 Hz), 3.50 (s, 3H), 4.04-4.15 (m, 4H), 4.69 (s, 1H), 7.25 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.39 (d, 1H, J = 7.6 Hz); 13C NMR (アセトン-d 6, δ) -4.0, -3.7, 18.6, 25.9 (3C), 48.1, 51.7, 57.3, 65.27, 65.32, 88.2, 106.1, 109.7, 125.1, 126.5, 140.1, 140.4, 143.7, 144.5; IR (neat) 3061, 2928, 2828, 1602, 1472, 1418, 1389, 1362, 1334, 1244, 1204, 1141, 1087, 1012, 962, 898, 837, 800, 782 cm-1. 元素分析 計算値 C20H30O5Si: C, 63.46; H, 7.99. 実測値: C, 63.70; H, 8.05.
環付加体8b-trans
1H NMR (アセトン-d6, δ) 0.13 (s, 3H), 0.15 (s, 3H), 0.91 (s, 9H), 3.47 (s, 3H), 3.48 (s, 3H), 3.49 (s, 2H), 4.00-4.18 (m, 4H), 4.84 (s, 1H), 7.26 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 7.5 Hz); 13C NMR (アセトン-d6, δ) -3.7, -3.3, 18.5, 26.1 (3C), 48.1, 52.7, 57.1, 65.7, 66.0, 90.0, 106.5, 110.1, 125.5, 126.7, 139.9, 141.4, 143.7, 144.7; IR (neat) 2958, 2928, 2855, 1260, 1080, 1019, 840, 800 cm-1. 高分解能質量分析 m/z = 378.1852 (378.1962 計算値 C20H30O5Si, M+)
環付加体8b'
1H NMR (アセトン-d6, δ) -0.09 (s, 3H), 0.04 (s, 3H), 0.92 (s, 9H), 3.44 (s, 3H), 3.49 (d, 1H, J = 14.5 Hz), 3.51 (s, 3H), 3.52 (d, 1H, 14.5 Hz), 4.06-4.14 (m, 4H), 4.79 (s, 1H), 7.25 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.35 (d, 1H, J = 7.7 Hz); 13C NMR (アセトン-d 6, δ) -3.20, -3.18, 19.0, 26.3 (3C), 47.4, 51.9, 57.3, 65.5, 65.6, 87.6, 106.2, 109.8, 124.84, 124.87, 136.9, 143.7, 145.2, 147.8; IR (neat) 2956, 2928, 2855, 1460, 1420, 1358, 1258, 1208, 1152, 1115, 1073, 1043, 1006, 960, 912, 838, 815, 779 cm -1. 元素分析 計算値 C20H30O5Si: C, 63.46; H, 7.99. 実測値: C, 63.74; H, 8.24.
ジシクロブタベンゼン8c
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート7(403 mg, 0.924 mmol)とケテンシリルアセタール2c(460 mg, 1.85 mmol)のTHF溶液(6.1 mL)に−78℃にてn-BuLi (1.56 M ヘキサン溶液, 1.28 mL, 2.00 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて停止し、生成物を酢酸エチルで抽出(10 mL×3)、溶媒を減圧留去し、残渣ををシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル = 9 / 1)にて精製し、環付加体8c(213 mg, 57%) を無色の油状物質として得た。また8cの位置異性体8c'を含むオイルを得た。これを再び分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/アセトン = 7 / 3)にて精製し、環付加体8c'(1.8 mg, 0.5%)を無色の油状物質として得た。
環付加体8c
1H NMR (アセトン-d6, δ) 0.00 (s, 3H), 0.06 (s, 3H), 0.92 (s, 9H), 3.38 (s, 3H), 3.41 (s, 3H), 3.44 (s, 2H), 3.45 (s, 3H), 4.05-4.16 (m, 4H), 7.27 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.45 (d, 1H, J = 7.6 Hz); 13C NMR (アセトン-d6, δ) -3.7, -3.3, 19.1, 26.4, 48.8, 51.1, 51.7, 52.4, 65.7, 65.9, 108.4, 110.1, 110.2, 125.1, 125.6, 140.8, 141.1, 144.8, 145.5; IR (neat) 2956, 2930, 2856, 1602, 1472, 1418, 1358, 1257, 1200, 1145, 1113, 1084, 1030, 1010, 972, 948, 837, 817, 782 cm-1. 元素分析 計算値C21H32O6Si: C, 61.73; H, 7.89. 実測値: C, 61.80; H, 8.05.
環付加体8c'
1H NMR (アセトン-d6, δ) -0.04 (s, 3H), 0.01 (s, 3H), 0.91 (s, 9H), 3.40 (s, 3H), 3.45 (s, 3H), 3.46 (s, 3H), 3.51 (s, 2H), 4.07-4.12 (m, 4H), 7.29 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 7.6 Hz); 13C NMR (アセトン-d6, δ) -3.9, -3.8, 18.5, 25.8 (2C), 47.8, 51.0, 51.6, 51.7, 65.46, 65.49, 107.7, 109.7, 110.7, 124.7, 124.9, 137.1, 141.8, 144.7, 147.2; IR (neat) 2928, 2855, 1560, 1522, 1458, 1349, 1257, 1157, 1140, 1085, 1040, 946, 919, 837, 779 cm -1; 高分解能質量分析 m/z = 408.1952 (408.1968 計算値 C21H32O6Si, M+).
トリシクロブタベンゼン11a
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート10(98.0 mg, 0.187 mmol)とケテンシリルアセタール2a(381.2 mg, 1.88 mmol)のTHF溶液 (8.6 mL)をに−78℃にてn-BuLi (1.58 M ヘキサン溶液, 0.39 mL, 0.61 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて停止した、生成物を酢酸エチルで抽出(10 mL×3)、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル = 8 / 2)にて精製し、トリシクロブタベンゼン11a(63.7 mg, 75.6 %)を無色油状物質として得た。
1H (アセトン-d6, δ) 0.09 (s, 3H), 0.13 (s, 3H), 0.89 (s, 9H), 1.15 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 3.27-3.41 (m, 18H), 3.59 (qd, 1H, J1 = 7.1 Hz, J2 = 9.0 Hz), 3.82 (qd, 1H, J1 = 7.1 Hz, J2 = 9.0 Hz); 13C (アセトン-d6, δ) -3.6, -3.4, 15.6, 18.5, 26.0 (3C), 43.2, 44.2, 48.7, 51.3 (4C), 61.1, 104.1, 106.7, 107.0, 133.9, 136.3, 138.2, 138.4, 140.3, 145.7; IR (neat) 2956, 2932, 2857, 2832, 1260, 1227, 1181, 1138, 1052, 1032, 939, 851, 839, 780 cm-1; 元素分析 計算値 C24H38O6Si: C, 63.97; H, 8.50. 実測値: C, 63.99; H, 8.66.
実施例9において、反応中間体としてベンザインが生成していることを確認するため、以下の実験を行った。
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート10(36.5 mg, 0.070 mmol)と1,3-ジフェニルイソベンゾフラン (37.9 mg, 0.140 mmol)のTHF溶液 (1.5 mL)をに−78℃にてn-BuLi (1.58 M ヘキサン溶液, 0.06 mL, 0.09 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて停止し、生成物を酢酸エチルで抽出、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル = 8/2)にて精製し、付加体12(26.3 mg, 76.0 %)を薄黄色油状物質として得た。このことから、実施例9の反応中間体としてベンザインが生成されていることが確認された。
1H (アセトン-d6, δ) 3.12 (d, 2H, J = 13.0 Hz), 3.30 (s, 6H), 3.33 (s, 6H), 3.45 (d, 2H, J = 13.0 Hz), 7.06-7.09 (m, 2H), 7.36-7.39 (m, 2H), 7.49-7.54 (m, 2H), 7.60-7.64 (m, 4H), 7.92-7.95 (m, 4H); 13C NMR (アセトン-d6, δ) 44.6, 51.15, 51.21, 91.2, 106.5, 121.2, 126.8, 127.4, 129.1, 129.4, 133.4, 135.9, 136.4, 147.8, 150.9; IR (neat) 3064, 3033, 2956, 2933, 2870, 2831, 1448, 1375, 1311, 1259, 1230, 1157, 1126, 1051, 1032, 1001, 849, 748, 702 cm-1; 元素分析 計算値C34H30O5: C, 78.74; H, 5.83. 実測値: C, 78.49; H, 6.09.
トリシクロブタベンゼン11b
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート10(44.2 mg, 0.084 mmol)とケテンシリルアセタール2b(36.8 mg, 0.169 mmol)のTHF溶液 (2.5 mL)に−78℃にてn-BuLi (1.58 M ヘキサン溶液, 0.10 mL, 0.16 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて停止し、生成物を酢酸エチルで抽出(10 mL×3)、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル = 7/3)にて精製し、トリシクロブタベンゼン11b(24.4 mg, 61.5 %)を無色油状物質として得た。
1H (アセトン-d6, δ) -0.05 (s, 3H), 0.04 (s, 3H), 0.93 (s, 9H), 3.34 (s, 2H), 3.39-3.41 (m, 17H), 3.48 (s, 3H), 4.76 (s, 1H); 13C (アセトン-d6, δ) -3.4, -3.3, 19.0, 26.2 (3C), 43.7, 44.7, 51.3 (3C), 51.38, 51.42, 52.4, 57.5, 88.1, 106.6, 106.7, 107.0, 135.1, 137.5, 140.6, 140.8, 141.0, 144.3; IR (neat) 2987, 2954, 2933, 2906, 2856, 2831, 1464, 1441, 1377, 1338, 1255, 1232, 1205, 1140, 1090, 1053, 1014, 964, 839, 781 cm-1; 元素分析 計算値 C24H38O7Si: C, 61.77; H, 8.21. 実測値: C, 61.90; H, 8.45.
トリシクロブタベンゼン11c
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート10(83.2 mg, 0.159 mmol)とケテンシリルアセタール2c(198 mg, 0.795 mmol)のEt2O溶液 (4.0 mL)に−78℃にてn-BuLi (1.58 M ヘキサン溶液, 0.15 mL, 0.24 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて反応を停止し、生成物を酢酸エチルで抽出(10 mL×3)、溶媒を減圧留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル = 8/2)にて精製し、トリシクロブタベンゼン11c(48.3 mg, 61.1 %)を無色油状物質として得た。
1H (アセトン-d6, δ) 0.021 (s, 3H), 0.024 (s, 3H), 0.92 (s, 9H), 3.37-3.43 (m, 25H); 13C (アセトン-d6, δ) -3.6, -3.4, 19.0, 26.2 (3C), 44.2, 44.7, 51.37, 51.38, 51.43, 51.5, 51.7, 52.2, 52.8, 106.7, 106.8, 108.7, 111.3, 135.4, 135.9, 140.8, 141.1, 141.4, 144.2; IR (neat) 2935, 2856, 2832, 1463, 1380, 1250, 1226, 1140, 1078, 1054, 1032, 850, 780 cm-1; 元素分析 計算値 C25H40O8Si: C, 60.46; H, 8.12. 実測値: C, 60.43; H, 8.16.
トリシクロブタベンゼン13
アルゴン雰囲気下、30mL2ツ口反応容器にて、ヨードトリフラート10(58.4 mg, 0.111 mmol)とケテンシリルアセタール2d(53.7 mg, 0.260 mmol)のEt2O溶液 (3.0 mL)を−78℃にてn-BuLi (1.58 M ヘキサン溶液, 0.15 mL, 0.237 mmol)をゆっくり滴下し、20分間撹拌した。反応を水を用いて停止し、生成物を酢酸エチルで三回抽出、溶媒を減圧留去し、環付加体11dを得た。これを、アセトニトリル(1.5 mL)に溶解し、-16 ℃にてフッ化水素酸(46%水溶液, 3滴)を加え、この温度で20分間撹拌した後、水を加えて反応を停止した。生成物を酢酸エチルで三回抽出し、有機層をあわせた後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、黄色の油状物質を得た。これを分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル = 7/3)にて精製し、トリシクロブタベンゼン13(22.6 mg, 58.1 %)を黄色油状物質として得た。
1H (アセトン-d6, δ) 3.44 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 3.48 (s, 2H), 3.49 (s, 6H), 3.56 (s, 2H); 13C (アセトン-d6, δ) 44.1, 44.8, 51.62 (2C), 51.59 (2C), 52.9 (2C), 106.7, 107.1, 118.0, 136.5, 138.4, 143.2, 145.2, 145.5, 155.6, 188.9; IR (neat) 2995, 2941, 2912, 2835, 1774, 1234, 1171, 1136, 1076, 1053, 1016, 850 cm-1; 元素分析 計算値 C18H22O7: C, 61.71; H, 6.33. 実測値: C, 61.65; H, 6.58.

Claims (13)

  1. 下記式(1)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼン。
    [式中、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    1は、水素原子;又は 1 〜C10炭化水素基であり、
    2は、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基;又は 6 〜C10アリールオキシ基である。
    1は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基であり、
    2は、 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;又はロキシ基であり、
    3及びR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;ロキシ基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。]
  2. 2は、 1 〜C10アルコキシ基である、請求項1に記載のジシクロブタベンゼン。
  3. 下記式(2)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼン。
    [式中、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    1は、水素原子;又は 1 〜C10炭化水素基であり、
    2は、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基;又は 6 〜C10アリールオキシ基である。
    3及びR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
    但し、R3及びR4は、互いに架橋して、員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。]
  4. 下記式(3)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼン。
    [式中、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y5及びY6、若しくは、Y7及びY8は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    3及びA4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基;又は 6 〜C10アリールオキシ基である。
    5は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基であり、
    6は、 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;又はロキシ基であり、
    7及びR8は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。]
  5. 6は、 1 〜C10アルコキシ基である、請求項4に記載のジシクロブタベンゼン。
  6. 下記式(4)で示されることを特徴とするジシクロブタベンゼン。
    [式中、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y5及びY6、若しくは、Y7及びY8は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    3及びA4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基;又は 6 〜C10アリールオキシ基である。
    7及びR8は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
    但し、R7及びR8は、互いに架橋して、員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。]
  7. 下記式(5)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼン。
    [式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、若しくは、Y15及びY16は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    9は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基であり、
    10は、 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;又はロキシ基であり、
    11及びR12は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。]
  8. 下記式(6)で示されることを特徴とするトリシクロブタベンゼン。
    [式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、若しくは、Y15及びY16は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    11及びR12は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。
    但し、R11及びR12は、互いに架橋して、員〜7員の炭化水素環又は複素環を形成してもよい。]
  9. 下記式(1)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法であって、
    [式中、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y1及びY2、若しくは、Y3及びY4は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    1は、水素原子;又は 1 〜C10炭化水素基であり、
    2は、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基;又は 6 〜C10アリールオキシ基である。
    1は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基であり、
    2は、 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;又はロキシ基であり、
    3及びR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。]
    下記式(9)で示されるベンザインと、
    [式中、Y1、Y2、Y3、Y4、A1及びA2は、上記意味を有する。]
    下記式(10)で示されるエチレン誘導体と
    [式中、R1、R2、R3及びR4は、上記意味を有する。]
    を反応させることを特徴とするジシクロブタベンゼンの製造方法。
  10. 2は、 1 〜C10アルコキシ基である、請求項9に記載のジシクロブタベンゼンの製造方法。
  11. 上記式(3)で示されるジシクロブタベンゼンの製造方法であって、
    [式中、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y5及びY6、若しくは、Y7及びY8は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    3及びA4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基;又は 6 〜C10アリールオキシ基である。
    5は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基であり、
    6は、 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;又はロキシ基であり、
    7及びR8は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。]
    下記式(11)で示されるベンザインと、
    [式中、Y5、Y6、Y7、Y8、A3及びA4は、上記意味を有する。]
    下記式(12)で示されるエチレン誘導体と
    [式中、R5、R6、R7及びR8は、上記意味を有する。]
    を反応させることを特徴とするジシクロブタベンゼンの製造方法。
  12. 6は、 1 〜C10アルコキシ基である、請求項11に記載のジシクロブタベンゼンの製造方法。
  13. 上記式(5)で示されるトリシクロブタベンゼンの製造方法であって、
    [式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10アルコキシ基;若しくは 6 〜C10アリールオキシ基であり、又は、Y9及びY10、Y11及びY12、Y13及びY14、若しくは、Y15及びY16は、互いに架橋して、オキソラン環を形成する。
    9は、トリC1〜C10アルキルシロキシ基であり、
    10は、 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;又はロキシ基であり、
    11及びR12は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子; 1 〜C10炭化水素基; 1 〜C10アルコキシ基; 6 〜C10アリールオキシ基;リル基;ルキルチオ基(−SZ1、式中、Z1 1 〜C10アルキル基を示す。);リールチオ基(−SZ2、式中、Z2 6 〜C10アリール基を示す。);ルキルスルホニル基(−SO23、式中、Z3 1 〜C10アルキル基を示す。);リールスルホニル基(−SO24、式中、Z4 6 〜C10アリール基を示す。);水酸基;又はハロゲン原子である。]
    下記式(13)で示されるベンザインと、
    [式中、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16は、上記意味を有する。]
    下記式(14)で示されるエチレン誘導体と
    [式中、R9、R10、R11及びR12は、上記意味を有する。]
    を反応させることを特徴とするトリシクロブタベンゼンの製造方法。

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