JP3806886B2 - (e)−エノールチオエーテル誘導体の立体選択的な製造方法 - Google Patents

(e)−エノールチオエーテル誘導体の立体選択的な製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然に豊富に存在するα−アミノ酸であるL−スレオニンを出発物質として、オナー−ワーズワース−エモンズ(Honor-Wordsworth-Emons,以下“HWE”と略称する。)反応により、下記式(IV)の(E)−エノールチオエーテル誘導体を立体選択的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【化2】
Figure 0003806886
【0003】
(上記の式において、R1はトリアルキルシリル基を表わし、R2は水素、C1-3の低級アルキル、C1-3の低級アルコキシあるいはハロゲン原子、特に塩素原子を表わす。)
【0004】
【従来の技術】
強力な抗生作用を示すカルバペネム系、およびペネム系β−ラクタム抗生物質の製造において、有用な中間化合物である下記の構造式(イ)で表される4−アセトキシアゼチジノン誘導体、構造式(ロ)で表される4−フェニルチオアゼチジノン誘導体および構造式(ハ)で表わされる4−フェニルスルフォンアゼチジノン誘導体などは、上記の構造式(IV)の(E)−エノールチオエーテル誘導体を重要な中間体として合成されている。
【0005】
【化3】
Figure 0003806886
【0006】
(上記の式において、R1とR2は上述したものと同じであり、OAcはアセトキシ基を表わす。)
上記の構造式(IV)の(E)−エノールチオエーテル誘導体は、すでに公知の化合物であり、その製造方法は、(R)−ブテン−1,3−ジオールを出発物質として、5段階を経て合成する方法(J. C. S.,Chen. Commun.,イシグロ(Ishiguro)ら、pp662,1991)、(R)−メチル−3−ヒドロキシブチレートを出発物質として、6段階を経て合成する方法(ヨーロッパ特許第179318/1986号、日本特許公開公報第207373/1986号、およびJ. Antibiotics、イシグロ(Ishiguro)ら、Vol. 41、pp 1685,1988)などが文献に記載されている。
【0007】
特に、(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(フェニルチオ)−1−ブテンの製造方法においては、先ず構造式(A)の(R)−ブテン−1,3−ジオールを塩化トルエン−p−スルフォニルと反応させ、構造式(B)のモノ−p−トルエンスルフォネートを製造し、これをベンゼンチオレートナトリウム(NaSPH)で処理して構造式(C)のフェニルスルフィド化合物を合成した後、遊離された2級ヒドロキシ基をt−ブチルジメチルシリル基で保護し、N−クロロスクシンイミドでα位を塩素化させた後、弱塩基の存在下で、脱塩素化させて次の構造式(D)のエノールチオエーテル誘導体を製造する方法が記載されている。
【0008】
【化4】
Figure 0003806886
【0009】
(上記の式から、R1は上述したものと同じであり、Tsはトルエン−p−スルフォニル基を表わす。)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の製造方法によって上記の構造式(D)のエノールチオエーテル誘導体を製造する場合には、第一に、出発物質として用いられる(R)−ブテン−1,3−ジオールおよび(R)−メチル−3−ヒドロキシブチレートが生化学的な転移反応(Bio-organic transformation)を通じて得られる高価な化合物であり、第二に、合成段階が長くて複雑であり、第三に、上記の構造式(D)のエノールチオエーテル誘導体を合成する際に、E(トランス体)/Z(シス体)の比率が、2.5/1以下の低い立体選択性を示す短所があったので、それに対する改善が要求されていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような従来の製造方法の問題点を解決するために研究を進めた結果、天然に豊富に存在する低廉なα−アミノ酸であるL−スレオニンを出発物質として、従来の合成法より単純化された3段階反応によって、高い立体選択性で目的とする(E)−エノールチオエーテル誘導体を製造することができる方法を発見し、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明によれば、L−スレオニンの遊離された2次ヒドロキシ基を1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセンおよび触媒量の置換されたピリジン誘導体塩基の存在下で、塩化t−トリアルキルシリルデシリルでシリル化し、シリル化されたL−スレオニン誘導体(I)を水溶性の有機溶媒下で、1当量乃至4当量のニンヒドリンでα−アミノ酸の部分を分解させて(2R)−2−(トリアルキルシリルオキシ)プロパナール(II)を合成した後、下記式(III)で表わされる有機燐化合物を強塩基で処理して得られる安定化したホスホネート・イリド、ホスホニウム・イリド、あるいはホスフィン酸化物・イリドと、上記で得られたアルデヒド(II)とを反応させる“HWE反応”によって(E)−エノールチオエーテル誘導体(IV)を立体選択的に製造する方法が提供される。これを反応式で表わすと、次の通りである。
【0013】
【化5】
Figure 0003806886
【0014】
(上記の式において、R1、R2は上述したものと同じであり、R3はC1-3の低級アルキルアルコキシ、アリールアルコキシ、あるいはアリール基を表わす。mは2−3、nは0−1を表わす。)
本発明の第1段階は、L−スレオニンの遊離2次ヒドロキシ基をトルアルキルシリル基で保護する段階である。上記の構造式(I)の化合物は、文献〔Organic Preparation and Procedures INT.,F. Orsini ら、21 Vol., pp505, 1989〕にその製造方法が開示されているが、本発明では0.1乃至0.3当量の4−ジアルキルアミノピリジン、ピロリジノピリジン、あるいはピペリジノピリジンと、1当量乃至1.5当量の1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセンとを一緒に用いて、反応時間を短縮することができるのみでなく、収率も相当に向上させることができた。
【0015】
第1段階で用いられるトリアルキルシリル基としては、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソブチルジメチルシリル基、1,2−ジメチルプロピルジメチルシリル基、ジメチル−1,1,2−トリメチルプロピルシリル基などがあり、特に、t−ブチルジメチルシリル基が反応工程の間、最も安定である。
【0016】
第1段階で用いられる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,0〕オクタン、2,6−ルチニン、4−ジメチルアミノピリジンなどを挙げることができ、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセンと触媒量の4−ジメチルアミノピリジン、ピロリジノピリジンあるいはピペリノジノビリジンを一緒に使用した場合に、最もよい結果が得られた。
【0017】
反応溶媒としては、不活性な有機溶媒を使用する。ここで“不活性な有機溶媒”とは、用いられるあらゆる化合物を溶解することができ、かつ、反応条件の下では、反応に参与、あるいは反応性を低下させず、副反応を最小化する有機溶媒を意味する。具体的には、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどを使用することができるが、アセトニトリルを使用することがより好ましい。
【0018】
反応温度は、副反応を減少させるため、比較的低い温度、望ましくは0℃乃至室温で行うのが良い。反応時間は5時間乃至20時間程度が適当である。
【0019】
本発明の第2段階は、α−アミノ酸の部分を分解させてアルデヒドを製造する段階であり、Strecker分解(Strecker degradation;J.Am.Chem. Soc.,W.S.Pones, Vol.76, pp 1337,1954)ともいう。この反応は、特にニンヒドリンによって選択的に進行される特徴を有しているが、この時、ニンヒドリンの使用量は、1当量乃至4当量が望ましい。
【0020】
反応溶媒は、水およびアルコール類、即ち、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどを単独であるいは混合して使用することができるが、水およびメタノールを適当な比率で混合した混合溶媒を使用することが好ましい。反応温度は、還流温度から進行すると、基質分解の副反応が著るしく発生する虞れがあるので、室温乃至60℃で行うのが好ましく、反応時間は30分乃至4時間ほどが望ましい。
【0021】
第2段階の一般的な製造方法は、先ずヒドロキシ基がトリアルキルシリル基で保護された上記の構造式(I)のL−スレオニン誘導体に対して、水/メタノールの混合溶媒に溶かして適当量の混合溶媒に溶解させた1.5当量乃至3当量のニンヒドリンを一時にあるいは数回にわけて添加することにより、行われる。反応を室温乃至60℃の範囲内で、30分乃至2時間の間、薄膜クロマトグラフィーで観察しながら進行させる。出発物質が消費されるか、あるいはほぼその大部分が消費された時点で、塩化ナトリウムあるいは飽和塩水を反応混合液に加える。続いて、反応中に生成された黒褐色の沈殿物をセライト パッド(celite pad)を通じて除去し、エチルアセテート、ジクロロメタン、クロロホルムあるいはジエチルエーテルのような有機溶媒で抽出した後、溶媒を減圧留去して得られる不純な目的化合物、即ち、アルデヒド誘導体をn−シリカ・ゲルを充填した短管クロマトグラフィーで単純精製することにより、次の反応にそのまま使用することができる比較的純粋なアルデヒド誘導体を高い収率で得る。
【0022】
本発明の第3段階は、先ず構造式(III)のアリールスルフィドホスホネート、アリールスルフィドホスフィン酸化物あるいはアリールスルフィドホスホニウム等の誘導体を強塩基で処理し、生成された安定化したホスホネート・イリド、ホスフィン酸化物・イリドあるいはホスホニウム・イリドと上記の第2段階で得られた構造式(II)のアルデヒド誘導体とを不活性な有機溶媒中で反応させ、構造式(IV)の(E)−エノールチオエーテル誘導体を立体選択的に合成する、いわば、“HWE−二重結合反応”段階である。
【0023】
この時、基質として用いられる上記の構造式(III)のアリールスルフィドホスホネート誘導体、アリールスルフィドホスフィン酸化物、あるいはアリールスルフィドホスホニウム誘導体は、その1当量乃至2当量を使用するのが望ましい。反応溶媒としては、上述した不活性な有機溶媒の中でも、特にテトラヒドロフランが望ましい。
【0024】
強塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、アルコキシドナトリウム(NaOR:RはC1-4の低級アルキルを表わす)、ナトリウム・アミド(NaNH2)、カリウム・アミド(KNH2)、リチウムジイソプロピル・アミド(LDA)、n−ブチルリチウム(n−BuLi)などが用いられる。特に、n−ブチルリチウムを1当量乃至2当量を使用するのが好ましい。反応温度は目的化合物(IV)を充分な収率で得るため、室温乃至−78℃がよいが、−10℃乃至−78℃の範囲内で反応を行うのがより望ましい。
【0025】
上述した様に、アリールスルフィドホスホネート誘導体、アリールスルフィドホスフィン酸化物誘導体、およびアリールスルフィドホスホニウム誘導体は、公知の製造方法(Syn. Commun., Blumenkof, Vol.16, pp139, 1986,およびJ. Chem, Soc. Parkin Trans. I, S. Warrenら,pp967, 1987)を参照して製造した。その誘導体の種類は次のようである。
【0026】
ジアルキルホスホネート誘導体としては、ジメチルフェニルチオメチルホスホネート、ジメチル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジメチル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジメチル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジエチルフェニルチオメチルホスホネート、ジエチル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジエチル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジエチル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピルフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニルフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネートなどが用いられる。
【0027】
トリアリールホスホニウム誘導体の種類としては、塩化フェニルチオメチルトリフェニルホスホニウム、塩化p−クロロフェニルチオメチルトリフェニルホスホニウムなどがある。また、ジアリールホスフィン酸化物誘導体としては、フェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物、p−メチルフェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物、p−メトキシフェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物、p−クロロフェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物などが用いられる。
【0028】
本発明によると、上記の構造式(IV)の(E)−エノールチオエーテル誘導体が高い立体選択性をもちながら、よい収率で得られる。その結果は表1に表した。
【0029】
【表1】
Figure 0003806886
【0030】
上述の反応のように、カルボニル官能基に隣接したα位がステレオジーニク・センター(stereogenic center)を含有する場合には、ウィッティヒー反応により二重結合反応のエピマー化が起るのが一般的な問題であると言われている〔Tetrahedron Lett., M.D. Sophorら、pp211, 1970,およびJ. Am. Chem, Soc. R.L. Sowobiら,Vol.94, pp4758, 1972〕。本発明では、その様なエピマー化が起っていなかった。
【0031】
上記の反応の進行は、薄膜クロマトグラフィーによって確認することができた。また、より詳細な異性体の分離および比率は、高分離能の液体クロマトグラフィーで測定した。反応生成物である上記の構造式(IV)のE/Z−エノールチオエーテル誘導体は、プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルを使用して、それぞれの構造を確認することができた。かつ、シリカ・ゲル カラム・クロマトグラフィーで目的化合物(IV)を精製してから、光学活性のNMR shift試薬であるトリス〔3−(ヘプタフルオロプロピルヒドロキシメチレン)−(−)−カムポラト〕ウロピウム(III)をNMR溶媒に添加した後、測定した光学異性質体の存在を確認し、旋光度(〔a〕D)を測定した。
【0032】
この様に、本発明を従来の製造方法と比較すると、第一に、低廉なα−アミノ酸であるL−スレオニンを出発物質として、短い工程を経て目的化合物(IV)を得るので、製造原価節減が可能であり、第二に、既存の製造方法に比べて、高い立体選択性で(E)−エノールチオエーテル誘導体を製造し得る点にその特徴がある。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこのような実施例にのみ限定されるのはない。
【0034】
第1実施例:0−t−ブチルジメチルシリル−L−スレオニンの製造
窒素気流の下で、50.0g(0.42モル)のL−スレオニンと75.9g(0.5モル)の塩化t−ブチルジメチルシリルとを500mlのアセトニトリルに懸濁させ、室温で20分間かきまぜた。反応温度を0℃まで下げて、6.1g(1.01重量%)の4−ジメチルアミノピリジンと83.73g(0.55モル)の1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセンとを混合物に徐々に加えて、0℃で1時間かきまぜた。反応温度を徐々に室温まで上げて16時間、強くかきまぜると、白色の沈殿物が生成された。この白色の沈殿物を減圧・濾過すると、81.67gの不純な標題化合物が得られた。一方、濾過の後、残った余液を減圧留去して得られた白色の残留物を再び200mlのアセトニトリルに懸濁させ、0℃で2時間強くかきまぜると、白色の沈殿物が生成された。この白色の沈殿を濾過して11.6gの不純な標題化合物を回収した。上記2回の沈殿操作で得られた不純な標題化合物を併せて0℃でメタノール/アセトニトリルの混合溶液で結晶化した後、減圧・濾過すると、90.2g(収率:92%)白色の純粋な標題化合物が得られた。
【0035】
〔α〕25 D −28.2゜(C=3.0,メタノール;lit. −28.26゜,C=2.9 in MeOH)
1H−NMR(CD3OH)δ;0.10(s,6H),0.93(s,9H),1.30(d,3H,J=6.5Hz),3.38(d,1H,J=3.0 Hz),4.65(dq,1H,J=6.5Hz,3.0Hz)ppm
第2〜10実施例:0−t−ブチルジメチルシリル−L−スレオニンの製造
出発物質として、1当量のL−スレオニンおよび1.2当量の塩化t−ブチルジメチルシリルを使用し、かつ、塩基として、1.3当量の1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセンを使用し、以下の表2に表わした条件下で、それぞれの異なる濃度の4−ジメチルアミノピリジン,4−ピロリジノピリジンあるいはピペリジノピリジンで置換されたピリジン塩基触媒を使用して実施例1の工程のように反応を行って、純粋な標題化合物を得た。反応条件および生成物の収率は下記の表2に示した通りである。
【0036】
【表2】
Figure 0003806886
【0037】
第11実施例:(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールの製造
5g(21.4ミリモル)の0−t−ブチルジメチルシリル−L−スレオニンを蒸留水/2−プロパノールの混合溶媒(2/1)150mlに溶かした後、その混合物を60℃まで加熱し、50mlの2−プロパノールに溶かした7.63g(42.8ミリモル)のニンヒドリンを徐々に滴加して、60℃で2.5時間かきまぜた。反応が終わった後、室温まで反応温度を下げて過量の塩化ナトリウムを加えて飽和させ、強くかきまぜると、黒褐色の沈殿物が副生物として生成された。得られた反応副生物を濾過・除去し、余液をジエチルエーテル200ml(100ml×2)で抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その有機溶媒層を減圧留去して3.6gの不純な標題化合物が得られた。
【0038】
上記で得られた3.6gの不純な標題化合物を短管クロマトグラフィー(ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/5:トルエチルアミンを含有する)で精製することにより、3g(収率:75%)の純粋な無色油相の標題化合物が得られた。
【0039】
1H−NMR(CDCL3)δ;0.08(s,6H),0.91(s,9H),1.25(d,3H,J=10Hz),4.22(m,1H),9.52
(s,1H,アルデハイド−H)ppm
第12実施例:(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールの製造
窒素気流の下で、5g(21.4ミリモル)の0−t−ブチルジメチルシリル−L−スレオニンを100mlのメタノールに溶かした後、反応温度を40℃まで上げ、30mlのメタノールに溶かした6.86g(38.5ミリモル)のニンヒドリンを徐々に滴加してから、反応温度を40℃乃至45℃として3時間かきまぜた。反応が終わった後、反応温度を0℃まで下げて60mlの飽和食塩水を加え、20分間かきまぜた。生成した黒褐色の反応副生物を濾過・除去した後、余液を200ml(100ml×2)のジエチルエーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その有機溶媒層を減圧留去して4gの不純な標題化合物が得られた。
【0040】
上記で得られた4gの不純な標題化合物を実施例11と同様の方法で精製して、3.4g(収率:84%)の純粋な無色油相の標題化合物が得られた。
【0041】
第13〜31実施例:(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールの製造
出発物質として、1当量の0−t−ブチルジメチルシリル−L−スレオニンを使用して以下の表3に表わした条件下で、それぞれの異なる濃度のニンヒドリンをα−アミノ酸の分解試薬として使用して実施例11あるいは実施例12の工程によって純粋な標題化合物を得た。反応条件および生成物の収率は下記の表3に示した通りである。
【0042】
【表3】
Figure 0003806886
【0043】
第32実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−フェニルチオ−1−ブテンの立体選択的製造
方法A
窒素気流の下で、4.56g(17ミリモル)のジエチルフェニルチオメチルホスホネートを50mlの無水テトラヒドロフランに溶かし、反応温度を−78℃まで下げた後、10ml(16ミリモル)の1.6M−nBuLiを10分間滴加した。−78℃で30分間かきまぜた後、同じ温度で、15mlのTHFに希釈された3g(16ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加し、反応温度を0℃まで徐々に上げてから、1.5時間かきまぜた。反応が終わった後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、150ml(50ml×3)のジエチルエーテルで抽出してから、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒層を減圧留去することにより、4.5gの不純な標題化合物が得られた。
【0044】
上記で得られた4.5gの不純な標題化合物をカラム・クロマトグラフィー(溶出溶媒として1%のジエチルエーテルを含有するn−ヘキサンを使用)で精製することにより、E/Z比率が100/1以上である3.8g(収率:82%)の純粋な無色油相の標題化合物が得られた。
【0045】
方法B
窒素気流の下で、4.56g(17ミリモル)のジエチルフェニルチオメチルホスホネートを50mlの無水テトラヒドロフランに溶かし、反応温度を−45℃まで下げた後、0.64g(16ミリモル)の60%NaHを一時に加えた。−45℃で1時間かきまぜた後、同じ温度で、15mlのTHFに希釈された3g(16ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加し、反応温度を0℃まで徐々に上げ、0℃で1時間かきまぜた。反応が終わった後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、上記の方法Aと同様にして、後処理および精製することにより、E/Z比率が100/1以上である2.5g(収率:54%)の標題化合物を立体選択的に得た。
【0046】
方法C
窒素気流の下で、4.56g(17ミリモル)のジエチルフェニルチオメチルホスホネートを50mlの無水テトラヒドロフランに溶かし、反応温度を−20℃まで下げた後、1.41g(16ミリモル)の95%t−BuOKを一時に加えた。−20℃で1.5時間かきまぜた後、同じ温度で、15mlのTHFに希釈された3g(16ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加し、反応温度を0℃まで徐々に上げた後、0℃で3時間かきまぜた。反応が終った後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、上記の方法Aと同様の手法で、後処理および精製することにより、E/Z比率が100/1以上である2.3g(収率:50%)の標題化合物を立体選択的に得た。
【0047】
(トランス体)
〔α〕25 D −4.3゜(C=1,CHCl3
1H−NMR(CHCl3)δ;0.06(s,6H),0.89(s,9H),1.22(d,3H,J=6.4Hz),4.34(m,1H),5.86(dd,1H,J=5.3Hz,15Hz),6.31(dd,1H,J=1.4Hz,15Hz),7.20−7.35(m,5H)ppm
(シス体)
1H−NMR(CHCl3)δ;0.01(s,6H),0.83(s,9H),1.16(d,3H,J=6.3Hz),4.73(m,1H),5.75(dd,1H,J=8.1Hz,9.5Hz),6.10(dd,1H,J=0.7Hz,9.5Hz),7.15−7.40(m,5H)ppm
第33〜44実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−フェニルチオ−1−ブテンの立体選択的製造
出発物質として、1.1当量のジメチルフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピルフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニルフェニルチオメチルホスホネート、あるいはフェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物を使用し、下記の表4に示したように、合成方法A,BあるいはCを行って、ホスホネート・イリドあるいはホスフィン酸化物・イリドを生成させた後、実施例32と同様の工程により、1当量の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールと一緒に反応を行って標題化合物を立体選択的に得た。合成方法A,B,Cは、実施例32に記載した合成方法A,B,Cと同様である。生成物のE/Z比率および収率は以下の表4に示す通りである。
【0048】
【表4】
Figure 0003806886
【0049】
第45実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−メトキシフェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
窒素気流の下で、3.24g(11ミリモル)のジエチル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネートを50mlの無水テトラヒドロフランに溶かし、反応温度を−78℃まで下げた後、6.87ml(11ミリモル)の1.6M−nBuLiを10分間かけて、滴加した。混合物を−78℃で30分間かきまぜた後、同じ温度で、10mlのTHFに希釈された1.87g(10ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加してから、反応温度を−78℃から0℃まで徐々に上げ、0℃で1.5時間かきまぜた。反応が終わった後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、実施例32と同様の方法で後処理した後、得られた不純な2.92gの標題化合物をカラム・クロマトグラフィー(溶出溶媒として3%のジエチルエーテルを含有するn−ヘキサンを使用)で精製してから、E/Z比率が100/1以上である2.59g(収率:80%)の標題化合物を立体選択的に得た。
【0050】
(トランス体)
1H−NMR(CHCl3)δ;0.06(s,6H),1.18(d,3H,J=6.4Hz),3.86(s,3H),4.25(m,1H),5.60(dd,1H,J=5.4Hz,14.7Hz),6.33(dd,1H,J=1.4Hz,14.7Hz),6.80−6.90(m,2H),7.25−7.35(m,2H)ppm
第46〜49実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−メトキシフェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
出発物質として、1.1当量のジメチル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−メトキシフェニルメチルホスホネートあるいはp−メトキシフェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物を使用し、下記の表5に示す様に、合成条件の下で、ホスホネート・イリド、あるいはホスフィン酸化物・イリドを生成した後、1当量の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールと実施例42の工程と同様の反応を行って、標題化合物を立体選択的に得た。反応条件、生成物のE/Z比率および収率は、以下の表5に示す通りである。
【0051】
【表5】
Figure 0003806886
【0052】
第50実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−クロロフェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
窒素気流の下で、3.83g(13ミリモル)のジエチル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネートを50mlの無水テトラヒドロフランに溶かし、反応温度を−78℃まで下げた後、7.5ml(12ミリモル)の1.6M−nBuLiを10分間滴加した。混合物を−78℃で30分間かきまぜた後、同じ温度で、10mlの無水テトラヒドロフランに希釈された1.87g(10ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加し、反応温度を0℃まで徐々に上げ、0℃で1時間かきまぜた。反応が終わった後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、実施例32のA方法と同様にしてで後処理した後、得られた不純な3.02gの標題化合物をカラム・クロマトグラフィー(溶出溶媒として、ヘキサンを使用)で精製してから、E/Z比率が50/1以上である2.59g(収率:80%)の標題化合物を立体選択的に得た。
【0053】
(トランス体)
1H−NMR(CHCl3)δ;0.06(s,6H),0.88(s,9H),1.18(d,3H,J=6.4Hz),3.86(s,3H),4.33(m,1H),5.85(dd,1H,J=5.6Hz,14.6Hz),6.28(dd,1H,J=1.1Hz,14.6Hz),6.90−7.30(m,4H)ppm
第51〜54実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−クロロフェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
出発物質として、1.3当量のジメチル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−クロロフェニルメチルホスホネート、あるいはp−クロロフェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物を使用し、下記の表6に示す合成条件の下で、ホスホネート・イリドあるいはホスフィン酸化物・イリドを生成させた後、1当量の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールと実施例46の工程と同様の反応を行って、標題化合物を立体選択的に得た。反応条件、生成物のE/Z比率および収率は、以下の表6に示す通りである。
【0054】
【表6】
Figure 0003806886
【0055】
第55実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−クロロフェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
窒素気流の下で、3.02g(11ミリモル)のジエチル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネートを50mlの無水テトラヒドロフランに溶かし、反応温度を−78℃まで下げた後、6.25ml(10ミリモル)の1.6M−nBuLiを10分間滴加した。混合物を−78℃で30分間かきまぜた後、同じ温度で、10mlの無水テトラヒドロフランに希釈された1.87g(10ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加し、反応温度を0℃まで徐々に上げてから、さらに0℃で1時間かきまぜた。反応が終わった後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、実施例32のA方法と同様の手法で後処理した後、得られた不純な2.8gの標題化合物をカラム・クロマトグラフィー(溶出溶媒として1%のジエチルエーテルを含有するヘキサンを使用)で精製してから、E/Z比率が100/1以上である2.5g(収率:81%)の標題化合物を立体選択的に得た。
【0056】
(トランス体)
1H−NMR(CHCl3)δ;0.06(s,6H),0.90(s,9H),0.21(d,3H,J=6.4Hz),2.35(s,3H),4.33(m,1H),5.78(dd,1H,J=5.5Hz,15.7Hz),6.35(dd,1H,J=1.5Hz,15.7Hz),7.05−7.25(m,4H)ppm
第56〜59実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−メチルフェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
出発物質として、1.1当量のジメチル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネートあるいはp−メチルフェニルチオメチルジフェニルホスフィン酸化物を使用し、下記の表7に示す合成条件の下で、ホスホネート・イリドあるいはホスフィン酸化物・イリドを生成させた後、これを実施例50の工程と同じ反応によって1当量の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールと反応させ、標題化合物を立体選択的に得た。反応条件、生成物のE/Z比率および収率は、以下の表7に示す通りである。
【0057】
【表7】
Figure 0003806886
【0058】
第60実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−フェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
窒素気流の下で、7.15g(17ミリモル)の塩化フェニルチオメチルトリフェニルホスホニウムを30mlの無水テトラヒドロフランと15mlのヘキサメチルフォスフォリク・トリアミドに溶かし、反応温度を−78℃まで下げた後、9.37ml(15ミリモル)の1.6M−nBuLiを10分間滴加した。同じ温度で、混合物を1時間かきまぜた後、10mlの無水テトラヒドロフランに希釈された1.87g(10ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加し、反応温度を−78℃から−40℃まで徐々に上げてから、−40℃で6時間かきまぜた。反応が終わった後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、実施例32のA方法と同様の手法で後処理および精製過程を行って、E/Z比率が20/1以上である1.94g(収率:81%)の標題化合物を立体選択的に得た。
【0059】
第61実施例:(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−クロロフェニルチオ)−1−ブテンの立体選択的製造
窒素気流の下で、7.74g(17ミリモル)の塩化p−クロロフェニルチオメチルトリフェニルホスホニウムを30mlの無水テトラヒドロフランと15mlのヘキサメチルホスホリク・トリアミドの混合物に溶かし、反応温度を−78℃まで下げた後、9.37ml(15ミリモル)の1.6M−nBuLiを10分間滴加した。−78℃で混合物を1時間かきまぜた後、同じ温度で、10mlの無水テトラヒドロフランに希釈された1.87g(10ミリモル)の(2R)−2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパナールを上記の反応溶液に滴加し、反応温度を−78℃から0℃まで徐々に上げてから、0℃で4時間かきまぜた。反応が終わった後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を終結させ、実施例32のA方法と同じ方法で後処理および精製過程を行って、E/Z比率が15/1である1.74g(収率:54%)の標題化合物を立体選択的に得た。

Claims (10)

  1. L−スレオニンの遊離された2級ヒドロキシ基をトリアルキルシリル基で保護し、保護されたL−スレオニン誘導体(I)をニンヒドリンで分解して(2R)−2(トリアルキルシリルオキシ)プロパナール(II)を合成した後、下記の式(III)で表わされる有機燐化合物を強塩基で処理して得られる安定化したホスホネート・イリド、ホスホニウム・イリド、あるいはホスフィン酸化物・イリドと、上記で得られたアルデヒド(II)とを反応させる“HWE反応”によって(E)−エノールチオエーテル誘導体を立体選択的に製造する方法。
    Figure 0003806886
    (上記の式において、R1はトリアルキルシリル基を表わし、R2は水素、C1-3の低級アルキル、C1-3の低級アルコキシあるいはハロゲン原子を表わし、R3はC1-3の低級アルキルアルコキシ、アリールアルコキシ、あるいはアリール基を表わす。mは2−3、nは0−1を表わす。)
  2. 請求項1において、保護基であるトリアルキルシリル基が、t−ブチルジメチルシリル基であることを特徴とする製造方法。
  3. 請求項1において、L−スレオニンの遊離された2級ヒドロキシ基の保護に際し、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,0〕オクタン、2,6−ルチニンおよび4−ジメチルアミノピリジンから選ばれた塩基と、4−ジメチルアミノピリジン、ピロリジノピリジンおよびピペリジノピリジンから選ばれた触媒とを使用することを特徴とする製造方法。
  4. 請求項3において、L−スレオニンの保護に際し、用いる塩基が1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセンであることを特徴とする製造方法。
  5. 請求項1において、構造式(II)の化合物を製造するに際し、反応溶媒として水、メタノール、エタノールおよび2−プロパノールから選ばれた溶媒を単独であるいは混合して使用することを特徴とする製造方法。
  6. 請求項1において、構造式(III)で表わされる有機燐化合物が、ジメチルフェニルチオメチルホスホネート、ジメチル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジメチル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジメチル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジエチルフェニルチオメチルホスホネート、ジエチル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジエチル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジエチル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピルフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジイソプロピル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニルフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−メチルフェニルチオメチルホスホネート、ジフェニル−p−メトキシフェニルチオメチルホスホネートおよびジフェニル−p−クロロフェニルチオメチルホスホネートから選ばれたジアルキルホスホネート誘導体であることを特徴とする製造方法。
  7. 請求項1において、構造式(III)で表わされる有機燐化合物が、ジフェニルフェニルチオメチルホスフィン酸化物、ジフェニル−p−メトキシフェニルチオメチルホスフィン酸化物、ジフェニル−p−メチルフェニルチオメチルホスフィン酸化物およびジフェニル−p−クロロフェニルチオメチルホスフィン酸化物から選ばれたジアリールホスフィン酸化物誘導体であることを特徴とする製造方法。
  8. 請求項1において、構造式(III)で表わされる有機燐化合物が、塩化フェニルチオメチルトリフェニルホスホニウムおよび塩化p−クロロフェニルチオメチルトリフェニルホスホニウムから選ばれたトリアリールホスホニウム誘導体であることを特徴とする製造方法。
  9. 請求項1において、構造式(III)で表わされる有機燐化合物を強塩基で処理して安定化したイリドを合成するに際し、n−ブチルリチウム、カリウムt−ブチル酸化物、あるいは水酸化ナトリウムを使用して0℃以下の低温で反応を行うことを特徴とする製造方法。
  10. 請求項1において、構造式(IV)で表わされる(E)−エノールチオエーテル誘導体が、(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−フェニルチオ−1−ブテン、(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−メトキシフェニルチオ)−1−ブテン、(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−クロロフェニルチオ)−1−ブテンおよび(E)−(3R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−(p−メチルフェニルチオ)−1−ブテンから選ばれたことを特徴とする製造方法。
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