JP3863956B2 - ホスホン酸ジエステルの新規な製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、農薬、もしくは、農薬の中間体として有用なホスホン酸ジエステルの新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホスホン酸ジエステルは、通常、ハロゲン化アルキルと、亜リン酸トリエステル(Arbuzov 反応)または、亜リン酸ジエステルのアルカリ金属塩(Michaelis-Becker反応)とを反応させることにより合成されている。
他方、エポキシドは、リンの求核性の低さと副反応とに原因して、限られたホスホン酸ジエステル合成用の親電子試薬としてしか利用できないことが知られている。(Rico, I.; Bou, A.; Lalo, J. P.; Frehel, D. New J. Chem., 1989, 13, 507)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ホスホン酸ジエステルの合成において、エポキシドを使用することによって、β位に水酸基を有するホスホン酸ジエステルが容易に得られる。
また、例えば、シャープレス酸化により得られる光学活性なエポキシドを使用することによって、光学活性なホスホン酸ジエステルが得られる。
さらに、このようにして得られるホスホン酸ジエステルは、加水分解や水素化分解等の慣用の手段を用いることにより、ホスホン酸に誘導することができる。
これらの事実からも明かなように、エポキシドを経由するホスホン酸ジエステルの合成は、産業上極めて有用である。
そこで、本発明者は、エポキシドを使用して、ホスホン酸ジエステルを収率よく合成する方法を見いだすことを課題とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために、鋭意研究を続けた結果、エポキシドと、亜リン酸ジエステルのハロゲン化マグネシム塩とを反応させることにより、ホスホン酸ジエステルを収率よく合成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の構成】
すなわち、本発明は次の構成上の特徴を有する。
第1の発明は、化3の反応式中、式(II)のエポキシドと、式(III )の亜リン酸ジエステルのハロゲン化マグネシム塩とを反応させることを特徴とする、式(I )のホスホン酸ジエステルの製造方法に関する。なお、本明細書では、いずれか一方もしくは、両方を併せて化合物(I )として示す。
[式中、各記号は次の定義内容を示す。
R1、R2、R3、R4は、各々独立して、水素原子もしくは、置換基を示す。
R1とR2とで、もしくは、R3とR4とで、各々、3 〜8 員環を構成していてもよい。
R1とR2のどちらか一方と、R3とR4のどちらか一方とで、4 〜8 環を構成していてもよい。
R5、R6は、各々独立して、置換していてもよい炭化水素基を示す。
X は、ハロゲン原子を示す。]
【化3】
【0006】
第2の発明は、化4の反応式中、式(IV)の亜リン酸ジエステルと、式(V )のグリニヤール試薬とを反応させることを特徴とする、式(III )の亜リン酸ジエステルのハロゲン化マグネシム塩の製造方法に関する。
[式中、各記号は次の定義内容を示す。
R5、R6は、各々独立して、置換していてもよい炭化水素基を示す。
R7は、置換していてもよい炭化水素基を示す。
X は、ハロゲン原子を示す。]
【化4】
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法で使用する式(II)のエポキシドとしては、市販のエポキシド、文献記載のエポキシド、文献記載の方法で製造できるエポキシドを使用することができる。また、エポキシドに光学異性体が存在する時には、ラセミ体であっても光学活性体であっても差し支えない。
化合物(II)における、各記号の定義に含まれる、具体的な内容について記載する。
「R1、R2、R3、R4は、各々独立して、水素原子もしくは、置換基を示す。」と記載してある置換基には、次に示す基が含まれる。
▲1▼アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基等の炭化水素基。
▲2▼チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環等の酸素、硫黄、窒素からなる群の少なくとも1個を環に含む5 〜6 員の単環式の複素環基
▲3▼上記▲1▼の炭化水素基や▲2▼の5 〜6 員の単環式の複素環基には、さらに置換基が結合していてもよく、この置換基として、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、シアノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環等の酸素、硫黄、窒素からなる群の少なくとも1個を環に含む5 〜6 員の単環式の複素環基をあげることができる。
R1〜R4の定義中のハロアルキル基及び、ハロアルコキシ基は、各々、アルキル基、アルコキシ基の水素原子がハロゲン原子で置換していることを示す。
R1〜R4の定義中のハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。
本発明のホスホン化反応は、炭化水素基の炭素数に特に制限はなく、C1〜C10アルキル基、C6〜C10アリール基、C7〜C10アラルキル基に、容易に適用可能である。
アルキル基、アリール基または、アラルキル基等のR1〜R4に結合している置換基にも制限はない。
【0008】
「R1とR2とで、もしくは、R3とR4とで、各々、3 〜8 員環を構成していてもよい。」との記載の環は、炭素原子のみがつながってできた環であっても、酸素、硫黄、窒素からなる群の少なくとも1個を含む環であってもよく、環の一部に二重結合があっても差し支えない。
「R1とR2のどちらか一方と、R3とR4のどちらか一方とで、4 〜8 環を構成していてもよい。」との記載の環も、炭素原子のみがつながってできた環であっても、酸素、硫黄、窒素からなる群の少なくとも1個を含む環であってもよく、環の一部に二重結合があっても差し支えない。
【0009】
市販のエポキシドとしては、次に示す化合物を例示することができる。
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドール、グリシドールのエーテル(イソプロピル エーテル、メチル エーテル、フェニル エーテル等)、グリシドールのエステル(アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酪酸エステル等)、1,2−エポキシ−3−ブロモプロパン、1,2−エポキシ−3−クロロプロパン、1,2−エポキシ−3−フルオロプロパン。
【0010】
文献記載のエポキシドとしては、次に示す化合物を例示することができる。
化合物(II)において、R1とR2とで、5 員環を構成している、化5の式(II-a)のエポキシド。(特開平1-93574 号公報に記載のエポキシド。特開平1-93574 号公報では、Y11 とY21 とが同時に水素原子の場合を除いているが、本発明では、Y11 とY21 とが同時に水素原子であっても差し支えない)
[式中、各記号は次の定義内容を示す。
Y11 、Y21 は、各々独立して、C1〜C5アルキル基または、水素原子(ただし、Y11 及び、Y21 がともに水素原子である場合を除く)。
X1は、ハロゲン原子、C1〜C5アルキル基または、フェニル基を示す。
n1は、0 〜2 の整数を示す。]
【化5】
【0011】
化合物(II)において、R1とR3とで、5 員環を構成している、化6の式(II-b)のエポキシド。(特開平5-39274 号公報記載のエポキシド)
[式中、各記号は次の定義内容を示す。
Y12 、Y22 は、各々独立して、水素原子またはアルキル基を示す。
X2は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基または、フェニル基を示す。
n2は、0 〜5 の整数を示す。]
【化6】
【0012】
文献記載の方法で製造できるエポキシドとしては、次に示す化合物を例示することができる。
化7の式(II-c)のエポキシド。
[式中、各記号は次の定義内容を示す。
Z1は、置換していてもよいC1〜C5アルキル基、置換していてもよいフェニル基。
Z1がC1〜C5アルキル基の場合は、水酸基、C1〜C5アルコキシ基、フェニル基及び、ハロゲン原子からなる群の1 個以上で置換していてもよい。
Z1がフェニル基の場合の置換基は、水酸基、C1〜C5アルキル基、C1〜C5アルコキシ基、フェニル基及び、ハロゲン原子からなる群の1 個以上で置換していてもよい。。
Z2、Z3は、各々独立して、水素原子、C1〜C5アルキル基、C1〜C5アルコキシ基を示す。]
【化7】
【0013】
化合物(II-c)のような、オキシラン環を構成する炭素原子の一方に水素原子のみが結合し、他方の炭素原子にヒドロキシメチル基とモノ置換メチル基とが結合している化合物(II)は、本発明のホスホン化反応に好ましく使用できる。
【0014】
本第1の発明のホスホン化工程で使用する上記式(III )の亜リン酸ジエステルのハロゲン化マグネシム塩は、上記式(IV)の亜リン酸ジエステルと、上記式(V )のグリニヤール試薬とを反応させることにより製造することがきる。
化合物(III )の調製工程で使用する化合物(IV)、化合物(V )、溶媒、反応温度、反応時間として、次の内容を例示することができる。
化合物(IV)において、R5、R6の定義中の置換していもよい炭化水素基の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が含まれる。この炭化水素基には、さらに置換基が結合していてもよい。
炭化水素基の炭素数に特に制限はなく、C1〜C10アルキル基、C6〜C10アリール基、C7〜C10アラルキル基を使用することができる。
化合物(IV)の具体例として、亜リン酸ジメチルエステル、亜リン酸ジエチルエステル、亜リン酸ジブチルエステル、亜リン酸ジ(フェニルメチル)エステルをあげることができる。
【0015】
化合物(V )において、X で示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子の1種類もしくは、2種類であって、通常、塩素原子1種類で目的とするホスホン化反応に何の不都合もない。
R7の定義中の置換していもよい炭化水素基の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が含まれる。この炭化水素基には、さらに置換基が結合していてもよい。
炭化水素基の炭素数に特に制限はなく、メチル基、エチル基、1−メチルエチル基ル、ブチル基等のC1〜C10アルキル基、フェニル基、ナフチル基等のC6〜C10アリール基、フェニルメチル基等のC7〜C10アラルキル基を使用することができる。
化合物(V )の具体例として、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシムヨード、(1−メチルエチル)マグネシウムクロリドをあげることができる。
【0016】
溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒を好ましく用いることができる。さらに、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素等を化学的に許容される範囲で使用することができる。
化合物(III )は、−100〜50℃、好ましくは、−60〜40℃の反応温度で、上記の溶媒(例えば、無水ジエチルエーテル)中の化合物(IV)に、化合物(V )を添加し、その後、数分〜数時間程度反応せることにより製造することができる。
【0017】
本第1の発明のホスホン化工程で使用する溶媒、反応温度、反応時間は次のようなものである。
好ましい溶媒として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒をあげることができる。さらに、化学的に許容される範囲で使用可能な溶媒として、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素をあげることができる。
上記で調製した化合物(III )を含む混合物と化合物(II)とを、−100〜50℃、好ましくは、−60〜−40℃で、数分〜数時間程度反応させて、化合物(III )を、化合物(II)に付加させた後、付加物中のハロゲン化マグネシウムを、プロトン置換(通常、水のみ使用でも差し支えない)して、目的物である、化合物(I )を製造することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが発明の要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
(2R)-2- ヒドロキシ-2- ヒドロキシメチル-3- メチレンブチルホスホン酸ジ(フェニルメチル)エステルの合成
▲1▼亜リン酸ジ(フェニルメチル)エステルの塩化マグネシム塩の調製
亜リン酸ジ(フェニルメチル)エステル(0.46ml、547mg 、2.09mmol)を無水ジエチルエーテル(15ml)に溶解し、−50℃でアルゴン雰囲気下に攪拌した。
そこへ、(1-メチルエチル)マグネシウムクロリド(2 M in THF、1.04ml、2.09mmol)を滴下し、30分間攪拌し、亜リン酸ジ(フェニルメチル)エステルの塩化マグネシム塩を調製した。
【0019】
▲2▼(1R)-1- (2-プロペニル)-1- ヒドロキシメチルオキシランのホスホン化工程
上の▲1▼で得られた、亜リン酸ジ(フェニルメチル)エステルの塩化マグネシム塩を含む無色懸濁液に、−50℃で、下記の参考製造例1で得られた、(1R)-1- (2-プロペニル)-1- ヒドロキシメチルオキシラン(78.8 mg 、0.691mmol )の無水ジエチルエーテル(2 ml)溶液を滴下して、同温度で2 時間、ついで、0 ℃で30分間攪拌した。反応液を酢酸エチルと水との混合物に注加し、酢酸エチルで3 回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 20 g 、溶出液:ヘキサン−酢酸エチル=1:2)で精製し、(2R)-2- ヒドロキシ-2- ヒドロキシメチル-3- メチレンブチルホスホン酸ジ(フェニルメチル)エステルを103.2 mg(40%)得た。
【0020】
[α]D 23 :-7.2゜(c 1.00、CHCl3 )
IR(film, cm-1):3400, 1640, 1495, 1450
1H NMR(CDCl3, δ) :1.71(3H, br, s), 2.21(1H, dd, J=15.6, 19.3 Hz),
2.35(1H, dd, J=15.6, 16.9 Hz), ca. 3.5(2H, complex), 4.97(1H, br. s),
4.98(4H, d, J=8.3 Hz), 5.23(1H, br, s), 7.28-7.4(10H, complex).
【0021】
参考製造例1
(1R)-1- (2-プロペニル)-1- ヒドロキシメチルオキシランの合成
▲1▼3-メチル-2- メチレン-3- ブテン-1- オールの合成
減圧下で十分に乾燥させたヨウ化リチウム(4.42 g、33 mmol )の無水テトラヒドロフラン(10 ml )溶液にメチルリチウム(1.05 Mジエチルエーテル中、35 mmol )を滴下して、メチルリチウムのヨウ化リチウム錯体の溶液を調製した。
減圧下で十分に乾燥させた臭化リチウム(2.86 g、33 mmol )とメタクリル酸クロリド(1.46 ml 、15 mmol )とクロロヨードメタン(3.06 ml 、33 mmol )のテトラヒドロフラン(60 ml )溶液をアルゴン雰囲気下で−78℃に冷却し、先に得られたメチルリチウムのヨウ化リチウム錯体の溶液をキャヌラを経由して15分かけて滴下した。反応液をさらに1 時間同温度で攪拌し、30分かけて室温まで昇温した。反応液を100 ℃の油浴上で加熱し溶媒を留去して、濃褐色の粘稠な溶液を得た。残渣をジエチルエーテルで希釈して、希亜硫酸水素ナトリウム水溶液で分配し、得られた淡色の有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 40g、溶出液:ペンタン−ジエチルエーテル=4:1〜1:1)で精製し、3-メチル-2- メチレン-3- ブテン-1- オールを413 mg(29 %)得た。
【0022】
IR(film, cm-1):3330, 1600
1H NMR(CDCl3, δ) :1.94(3H, s), 4.37(2H, br, s), 5.04(1H, br, s)
5.10(1H, br, s), 5.24(1H, br, s), 5.29(1H, br, s)
【0023】
▲2▼(1R)-1- (2-プロペニル)-1- ヒドロキシメチルオキシラン
バーナーで強熱したモレキュラーシーブス(powder、200mg )をアルゴン雰囲気下で放冷し、無水塩化メチレン(5 ml)に懸濁して、−20℃に冷却した。そこへ、D−酒石酸ジエチル(88μl 、106 mg、0.51 mmol )とオルトチタン酸イソプロピル(120 μl 、116 mg、0.41 mmol )を加え、30分間攪拌した後、tert-ブチルヒドロペルオキシド(4 M デカン中、0.81 ml 、3.24 mmol )を加えて、さらに30分間攪拌した。3-メチル-2- メチレン-3- ブテン-1- オール(200 mg、2.04 mmol )の塩化メチレン(2 ml)溶液をキャヌラを経由して反応液に滴下し、24時間反応させた。反応液に同温度で水酸化ナトリウム水溶液(3 M 、4 ml)に塩化ナトリウムと亜硫酸ナトリウムを飽和させた溶液を加え1 時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液をクロロホルムで8 回抽出して得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 30g、溶出液:ペンタン−ジエチルエーテル=2:1)で精製し、標題化合物の(1R)-1- (2-プロペニル)-1- ヒドロキシメチルオキシランを132 mg(57 %)得た。MTPA(メトキシトリフルオロメチルフェニル酢酸)エステルに導くと光学収率92 %であった。
【0024】
[α]D 23 :+55.6 ゜(c 1.00、CHCl3 )
IR(film, cm-1):3450, 1740
1H NMR(CDCl3, δ) :1.78(3H, t, J=1.2 Hz),
1.84(1H, dd, J=4.2, 8.8 Hz, OH), 2.75(1H, d, J=5.1 Hz),
3.03(1H, d, J=5.1 Hz), 3.78(1H, dd, J=8.8, 12.3 Hz),
3.94(1H, dd, J=4.2, 12.3 Hz), 5.04(1H, quint, J=〜1.2 Hz), 5.10(1H, m)
【0025】
参考製造例2
(S)-(-)-ホスホノトリキシン[(2S)-2- ヒドロキシ-2- ヒドロキシメチル-3- オキソブチルホスホン酸に同じ。特開平7-8282号公報に記載されている除草性化合物]の合成
▲1▼(2S)-2- ヒドロキシ-2- ヒドロキシメチル-3- オキソブチルホスホン酸ジ(フェニルメチル)エステルの合成
上記製造例1で得られた、(2R)-2- ヒドロキシ-2- ヒドロキシメチル-3- メチレンブチルホスホン酸ジ(フェニルメチル)エステル(83.2 mg )をメタノール(15 ml )に溶解し、−78℃でオゾンを180 秒間吹き込んだ。反応液に硫化ジメチル(1.5 ml)を加え、室温で1 時間反応させた。反応液を濃縮して得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(1 mm層厚、200 x 200 mm、展開液:酢酸エチル)で精製して得られた結晶性残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して、(2S)-2- ヒドロキシ-2- ヒドロキシメチル-3- オキソブチルホスホン酸ジ(フェニルメチル)エステルを無色針状晶として、65.7 mg (79 %)得た。
m.p.84〜86℃
[α]D 23 :-9.7゜(c 1.00、CHCl3 )
IR(film, cm-1):3400, 1710, 1500, 1455
1H NMR(CDCl3, δ) :2.26(3H, s), 2.26-2.32(2H, complex),
3.62(1H, d, J=11.7 Hz), 3.67(1H, dd, J=11.7, 1.5 Hz),
4.90-5.02(4H, complex), 7.30-7.37(10H, complex)
【0026】
▲2▼(S)-(-)-ホスホノトリキシンの合成
上記▲1▼で得られたホスホン酸ジ(フェニルメチル)エステル(37.2 mg 、0.0984 mmol )をメタノール−水1:1(3 ml)の混合溶媒に溶解し、触媒量の10 %パラジウム−炭素を加え、水素雰囲気下で、16時間反応させた。反応液に炭酸水素ナトリウム(8.3 mg、0.10 mmol )を溶解し、ハイフロスーパーセルを重積した濾紙で不溶物を濾過し、濃縮して(S)-(-)-ホスホノトリキシンを27.7 mg 得た。
【0027】
[α]D 23 :-3.2゜(c 1.00、H2O )
1H NMR(pD=8 D2O buffer, δ) :1.89(1H, dd, J=15.3, 16.8 Hz),
2.08(1H, dd, J=15.3, 17.5 Hz), 3.61(1H, d, J=11.7 Hz),
3.79(1H, d, J=11.7 Hz)
【0028】
【発明の効果】
本発明の上記式(III )の亜リン酸ジエステルのハロゲン化マグネシム塩を使用することにより、上記式(II)のエポキシドを親電子試薬として用いる、上記式(I )のホスホン酸ジエステルの合成を改良することができた。
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