JP7023176B2 - 9-(1-ナフチル)-9h-カルバゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体の製造方法に関するものである。
9位に1-ナフチル基をもつ9H-カルバゾール類は、有機EL素子用正孔輸送材の製造中間体として有用な化合物である(例えば特許文献1)。パラジウム触媒を用いた該化合物の製造方法として、9H-カルバゾールと1-ブロモナフタレンをトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリフェニルホスフィン及びナトリウムtert-ブトキシドの存在下に反応させ、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールを製造する方法が、特許文献1に開示されているが、記載の条件が本発明の製造方法に適用可能かは不明であった。また、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体の一つである4-(9H-カルバゾール-9-イル)-N-(アルキル又はフェニル)-1,8-ナフタルイミドを、酢酸パラジウム、トリ(tert-ブチル)ホスフィン及びナトリウムtert-ブトキシドの存在下に、9H-カルバゾールと4-ブロモ-N-(アルキル又はフェニル)-1,8-ナフタルイミドを反応させて製造する方法が非特許文献1に開示されている。しかし、電子求引性基が置換した反応性の高いハロナフタレン(4-ブロモ-N-(アルキル又はフェニル)-1,8-ナフタルイミド)を基質として用いた方法であり、非特許文献1記載の条件が本発明の製造方法に適用可能かは不明であった。一方、9H-カルバゾールの炭素原子上にハロゲン原子が置換した3-ブロモ-9H-カルバゾールと高価な1-ヨードナフタレンを、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム及びトリブチルホスフィンの存在下に反応させて3-ブロモ-9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールを製造する方法が、特許文献2に開示されているが、記載の条件が本発明の製造方法に適用可能かは不明であった。
米国特許出願公開第2015/0053942号明細書 米国特許出願公開第2017/0162796号明細書
Dyes and Pigments,2009年、80巻、11ページ.
特許文献1に、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールの製造方法の記載はあるものの、収率は記載されていない。該方法で、9H-カルバゾールと1-ブロモナフタレンからの9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール製造を試みたが、目的物は確認されなかった(比較例-1)。また、非特許文献1に記載のパラジウム触媒系を用いて、9H-カルバゾールと1-ブロモナフタレンの反応を試みたが、目的物は確認されなかった(比較例-2)。さらに非特許文献1に記載の方法と異なるパラジウム化合物や塩基を用い、9H-カルバゾールと1-ブロモ又はクロロナフタレンの反応も行ったが、いずれも目的物の収率は低いものであった(比較例3-6)。特許文献2に、3-ブロモ-9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールの製造方法の記載はあるものの、該方法で、9H-カルバゾールと1-ブロモナフタレンからの9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール製造を試みたが、目的物は確認されなかった(比較例-7)。
本発明は、パラジウム触媒の存在下、9H-カルバゾール誘導体と1-ハロナフタレンから、効率良く9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体を製造することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、9H-カルバゾール誘導体と1-ハロナフタレンとを、パラジウム化合物、ホスフィン化合物及び塩基の存在下に反応させ、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体を製造する方法において、ホスフィン化合物としてビアリールホスフィン及び塩基としてリチウム塩基を用いることにより、効率良く目的物が製造できることを見出した。すなわち本発明は、
(i)一般式(1)
Figure 0007023176000001
(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を示す。p及びqは、各々独立に、0、1又は2を表す。)
で表される9H-カルバゾール誘導体と、一般式(2)
Figure 0007023176000002
(式中、Xは臭素原子又は塩素原子を示す。)
で表される1-ハロナフタレンとを、パラジウム化合物、ホスフィン化合物及び塩基の存在下に反応させ、一般式(3)
Figure 0007023176000003
(式中、R、R、p及びqは、前記と同じ内容を示す。)
で表される9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体を製造する方法において、ホスフィン化合物が一般式(4)
Figure 0007023176000004
(式中、Rは、各々独立して、炭素数4~10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を示す。R及びRは水素原子又は結合する炭素と一体となって形成されるベンゼン環を示す。R、R、R、R及びR10は、各々独立に、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、又はジメチルアミノ基を示す。RとRは、結合する炭素原子と一体となってベンゼン環を形成してもよい。また、RとRとRは、結合する炭素原子と一体となってフェナレン環を形成してもよい。)
で表されるビアリールホスフィンであり、塩基がリチウム塩基であることを特徴とする製造方法;
(ii)Rが、tert-ブチル基であり、R及びRが水素原子である(i)に記載の製造方法;
(iii)Rが、tert-ブチル基であり、R、R、R、R、R及びR10が水素原子であり、Rがジメチルアミノ基又はメチル基である(i)に記載の製造方法;
(iv)Rが、tert-ブチル基であり、R、R、R、R及びRが水素原子であり、R及びR10がメトキシ基である(i)に記載の製造方法;
(v)Rが、tert-ブチル基であり、R、R、R及びRが水素原子であり、R、R及びR10がイソプロピル基である(i)に記載の製造方法;
(vi)Rが、tert-ブチル基であり、R、R、R及びR10が水素原子であり、RとRとRが、結合する炭素原子と一体となってフェナレン環を形成する(i)に記載の製造方法;
(vii)リチウム塩基が、リチウムtert-ブトキシド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド又はブチルリチウムである(i)から(vi)のいずれかに記載の製造方法;に関するものである。
本発明によれば、有機EL素子用正孔輸送材の原料として有用な化合物である9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体を一工程で、開示された公知方法よりも効率良く製造することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、パラジウム化合物、ビアリールホスフィン(4)及びリチウム塩基の存在下に、9H-カルバゾール誘導体(1)と1-ハロナフタレン(2)を反応させて、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体(3)を得る製造方法である。
本発明の製造方法に用いることのできる9H-カルバゾール誘導体(1)のR及びRで示されるハロゲン原子としては、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素原子を例示することができる。
9H-カルバゾール誘導体(1)としては、特に限定するものではないが、例えば、9H-カルバゾール、2-クロロ-9H-カルバゾール、3-クロロ-9H-カルバゾール、4-クロロ-9H-カルバゾール、2-ブロモ-9H-カルバゾール、3-ブロモ-9H-カルバゾール、4-ブロモ-9H-カルバゾール、2-フルオロ-9H-カルバゾール、3-フルオロ-9H-カルバゾール、4-フルオロ-9H-カルバゾール、2-ヨード-9H-カルバゾール、3-ヨード-9H-カルバゾール、4-ヨード-9H-カルバゾール、2,7-ジクロロ-9H-カルバゾール、2,7-ジフルオロ-9H-カルバゾール、2,7-ジブロモ-9H-カルバゾール、2-クロロ-7-フルオロ-9H-カルバゾール、3-クロロ-6-フルオロ-9H-カルバゾール等を例示することができる。これら9H-カルバゾール誘導体(1)の一部は市販されているが、例えば、Organic Letters,20巻,216ページ,2018年、Green Chemistry,20巻,1362ページ,2018年、Journal of Physical Chemistry C,116巻,20681ページ,2012年、Dyes and Pigments,132巻,1ページ,2016年に従って調製することもできる。
本発明で用いることのできるパラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等の0価パラジウム化合物や塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、π-アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム等の二価パラジウム化合物を例示することができる。これらのうち、収率が良い点で0価パラジウム化合物が好ましく、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムがさらに好ましい。
パラジウム化合物の使用量は、特に限定するものではないが、いわゆる触媒量であることが好ましく、具体的には、9H-カルバゾール誘導体(1)に対して0.0001当量~0.5当量が好ましく、0.01当量~0.25当量がさらに好ましい。
次に、本発明で用いることのできるビアリールホスフィン(4)について説明する。
で示される炭素数4~10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、特に限定するものではないが、具体的には、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基等を例示することができる。
、R、R、R及びR10で示される炭素数1~3のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を例示することができる。
、R、R、R及びR10で示される炭素数1~3のアルコキシ基としては具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等を例示することができる。
本発明で用いることのできるビアリールホスフィン(4)として、次の(A)~(AS)が好ましい。なお、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、tBuはtert-ブチル基、Adは1-アダマンチル基、Cyはシクロヘキシル基を示す。
Figure 0007023176000005
Figure 0007023176000006
上記のビアリールホスフィン(4)のうち、目的物の収率及び選択率がよい点で、(A)~(AD)がさらに好ましく、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’-ジメチルアミノ-1,1’-ビフェニル(C)、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’-メチル-1,1’-ビフェニル(E)、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2,6-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(G)、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(H)、又は1-[2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノフェニル]ピレン(O)がとりわけ好ましい。
ビアリールホスフィン(4)の使用量は、特に限定するものではないが、パラジウム化合物に対して0.01当量~10当量が好ましく、0.1当量~5当量がさらに好ましい。
本発明で用いることのできるビアリールホスフィン(4)の一部は市販されているが、例えば、Advanced Synthesis & Catalysis,360巻,1007ページ,2018年に従って調製することもできる。
本発明で用いることのできるリチウム塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロピルオキシド、リチウムtert-ブトキシド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化リチウム、ブチルリチウム等を例示することができる。収率が良い点で、リチウムtert-ブトキシド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド又はブチルリチウムが好ましい。
リチウム塩基の使用量は、特に限定するものではないが、9H-カルバゾール誘導体(1)に対して0.1当量~10当量が好ましく、0.5当量~5当量がさらに好ましい。
9H-カルバゾール誘導体(1)の使用量は、1-ハロナフタレン(2)に対して0.1等量~10当量が好ましく、0.5等量~5当量がさらに好ましい。
本発明の製造方法は有機溶媒中で実施することができ、反応に害を及ぼす恐れのない有機溶媒であることが好ましい。当該有機溶媒としては、特に限定するものではないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒を例示することができ、上記の溶媒のうち2種類以上を混合しても差し支えない。収率が良い点で、芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、キシレン又はトルエンがさらに好ましい。
本発明の製造方法は、特に限定するものではないが、0℃から200℃の温度から適宜選ばれた温度で実施することができる。収率が良い点で、20℃から180℃が好ましい。
反応の雰囲気として、アルゴン、窒素ガス等の不活性ガスを用いることが収率が良い点で好ましいが、空気雰囲気下であってもよい。
反応後の溶液から目的物を単離することが好ましいが、単離する方法に特については、限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶又は昇華等の汎用的な方法を挙げることができる。
次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載の液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は、以下の方法で行った。
カラム:Agilent Technologies社製ZORBAX Eclipsa XDB-C18(4.6×250mm)
溶離液:メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(体積比)
検出器:UV/Vis検出器(波長:254nm)
HPLCによる目的物のHPLC収率は、以下の方法で算出した。
目的物のHPLC収率:9-(p-トリル)-9H-カルバゾールを内部標準物質として用い、内部標準法により算出した[目的物のモル数]/[9H-カルバゾール誘導体(1)の仕込みモル数]。
実施例-1
Figure 0007023176000007
アルゴン雰囲気下、反応容器に9H-カルバゾール 167mg(1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 4.6mg(5.0μmol)、及び2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2,6-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル 12.5mg(35μmol)をキシレン 5.0mLに懸濁し、ここにリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)の1.0M-トルエン溶液 1.1mL(1.1mmol)及び1-ブロモナフタレン 311mg(1.5mmol)を加えた。この混合物を140℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで放冷後、反応混合物に水25mL及び酢酸エチル 20mLを加えた。有機層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン3.0mLで希釈後、HPLCにて分析することにより、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが95%生成していることを確認した。
反応液を酢酸エチル 25mLで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、ろ過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=30/1(体積比))で精製し、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールを白色固体として得た(275mg、94%)。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):6.98-7.03(2H,m),7.26-7.37(6H,m),7.54(1H,ddd,J=1.5,6.6,8.2Hz),7.62-7.70(2H,m),8.02(1H,d,J=8.3Hz),8.03-8.07(1H,m),8.19-8.23(2H,m).。
実施例-2
1-ブロモナフタレンの使用量を207mg(1.0mmol)とした以外は、実施例-1と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが9H-カルバゾールに対して78%生成していることを確認した。
実施例-3
反応容器に9H-カルバゾール 167mg(1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 4.6mg(5.0μmol)、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル 12.5mg(35μmol)、及びリチウム-tert-ブトキシド 120mg(1.5mmol)を加えた後、反応系内をアルゴンガスで置換した。キシレン 3.0mLを加えた後、さらに1-ブロモナフタレン 207mg(1.0mmol)を加え、140℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで放冷後、水25mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル 20mLを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン 3.0mLで希釈後、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して77%生成していることを確認した。
実施例-4
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’-メチル-1,1’-ビフェニル 11.0mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して74%生成していることを確認した。
実施例-5
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル 14.9mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して75%生成していることを確認した。
実施例-6
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、1-[2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノフェニル]ピレン 14.8mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して78%生成していることを確認した。
実施例-7
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’-ジメチルアミノ-1,1’-ビフェニル 12.0mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して59%生成していることを確認した。
実施例-8
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル 15.3mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して40%生成していることを確認した。
実施例-9
Figure 0007023176000008
反応容器に9H-カルバゾール 167mg(1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 4.6mg(5.0μmol)、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル 12.5mg(35μmol)、及びリチウム-tert-ブトキシド 120mg(1.5mmol)を加えた後、反応系内をアルゴンガスで置換した。キシレン 3.0mLを加えた後、さらに1-クロロナフタレン 163mg(1.0mmol)を加え、140℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで冷却後、水25mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル 20mLを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン 3.0mLで希釈後、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して95%生成していることを確認した。
反応液を酢酸エチル 25mLで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、ろ過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=30/1(体積比))で精製し、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールを白色固体として得た(295mg、94%)。
実施例-10
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’-メチル-1,1’-ビフェニル 11.0mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-9と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して91%生成していることを確認した。
実施例-11
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル 14.9mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-9と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して72%生成していることを確認した。
実施例-12
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、1-[2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノフェニル]ピレン 14.8mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-9と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して80%生成していることを確認した。
実施例-13
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’-ジメチルアミノ-1,1’-ビフェニル 12.0mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-9と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して77%生成していることを確認した。
実施例-14
2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルに替えて、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル 15.3mg(35μmol)を用いた以外は、実施例-9と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して38%生成していることを確認した。
実施例-15
Figure 0007023176000009
反応容器に2-クロロ-9H-カルバゾール 202mg(1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 4.6mg(5.0μmol)、2-ジ(tert-ブチル)ホスフィノ-2,6-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル 17.9mg(0.05mmol)、リチウム-tert-ブトキシド 120mg(1.5mmol)、1-ブロモナフタレン 311mg(1.5mmol)を加えた。反応系内をアルゴンガスで置換した後、140℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで放冷後、水 25mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル 20mLを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン 3.0mLで希釈後、HPLC分析により、2-クロロ-9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが78%生成していることを確認した。


反応液を酢酸エチル 25mLで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、ろ過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=30/1(体積比))で精製し、2-クロロ-9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールを白色固体として得た(229mg、70%)。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):6.95-7.00(2H,m),7.20-7.28(2H,m),7.28-7.38(3H,m),7.55(1H,ddd,J=1.2,6.9,8.2Hz),7.62(1H,dd,J=1.3,7.2Hz),7.68(1H,dd,J=7.7,7.7Hz),8.03(1H,d,J=8.2Hz),8.07(1H,d,J=8.2Hz),8.10(1H,d,J=8.3Hz),8.14-8.18(1H,m).。
比較例-1
反応容器に9H-カルバゾール 167mg(1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 45.8mg(0.05mmol)、トリフェニルホスフィン 26.2mg(0.10mmol)、及びナトリウム-tert-ブトキシド 288mg(3.0mmol)を加え、反応系内をアルゴンガスで置換した。トルエン 3.0mLを加え、さらに1-ブロモナフタレン 228mg(1.1mmol)を加えた後、100℃に加熱し、24時間撹拌した。室温まで放冷後、水 25mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル 20mLを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン 3.0mLで希釈後、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが生成していないことを確認した。
比較例-2
反応容器に9H-カルバゾール 201mg(1.2mmol)、酢酸パラジウム 4.5mg(0.02mmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン 11.6mg(0.04mmol)、及びナトリウム-tert-ブトキシド 144mg(1.5mmol)を加え、反応系内をアルゴンガスで置換した。トルエン 3.0mLを加え、さらに1-ブロモナフタレン 207mg(1.0mmol)を加えた後、120℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで冷却後、水 25mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル 20mLを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン 3.0mLで希釈後、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが生成していないことを確認した。
比較例-3
反応容器に9H-カルバゾール 167g(1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 4.6mg(5.0μmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン 7.1mg(35μmol)、及びナトリウム-tert-ブトキシド 144mg(1.5mmol)を加え、反応系内をアルゴンガスで置換した。トルエン 3.0mLを加え、さらに1-ブロモナフタレン 207mg(1.0mmol)を加えた後、140℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで冷却後、水 25mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル 20mLを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン 3.0mLで希釈後、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが痕跡量生成していることを確認した。
比較例-4
ナトリウム-tert-ブトキシドに替えて、リチウム-tert-ブトキシド 120mg(1.5mmol)を用いた以外は、比較例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが仕込みの9H-カルバゾールに対して27%生成していることを確認した。
比較例-5
1-ブロモナフタレンに替えて、1-クロロナフタレン 163mg(1.0mmol)を用いた以外は、比較例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが痕跡量生成していることを確認した。
比較例-6
ナトリウム-tert-ブトキシドに替えてリチウム-tert-ブトキシド 120mg(1.5mmol)を、1-ブロモナフタレンに替えて1-クロロナフタレン 163mg(1.0mmol)を用いた以外は、比較例-3と同じ操作を行い、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが24%生成していることを確認した。
比較例-7
アルゴン雰囲気下、反応容器に9H-カルバゾール 167mg(1.0mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 27.5mg(30μmol)をトルエン 10.0mLに懸濁した。ここにトリブチルホスフィン 12.1mg(60μmol)及び1-ブロモナフタレン 207mg(1.0mmol)を加えた。この混合物を110℃に加熱し、12時間撹拌した。室温まで冷却後、水 25mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル 20mLを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層 0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン 3.0mLで希釈後、HPLC分析により、9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾールが生成していないことを確認した。

Claims (7)

  1. 一般式(1)
    Figure 0007023176000010
    (式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を示す。p及びqは、各々独立に、0、1又は2を表す。)
    で表される9H-カルバゾール誘導体と、一般式(2)
    Figure 0007023176000011
    (式中、Xは臭素原子又は塩素原子を示す。)
    で表される1-ハロナフタレンとを、パラジウム化合物、ホスフィン化合物及び塩基の存在下に反応させ、一般式(3)
    Figure 0007023176000012
    (式中、R、R、p及びqは、前記と同じ内容を示す。)
    で表される9-(1-ナフチル)-9H-カルバゾール誘導体を製造する方法において、ホスフィン化合物が一般式(4)
    Figure 0007023176000013
    (式中、Rは、各々独立して、炭素数4~10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を示す。R及びRは、水素原子又は結合する炭素と一体となって形成されるベンゼン環を示す。R、R、R、R及びR10は、各々独立に、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、又はジメチルアミノ基を示す。RとRは、結合する炭素原子と一体となってベンゼン環を形成してもよい。また、RとRとRは、結合する炭素原子と一体となってフェナレン環を形成してもよい。)
    で表されるビアリールホスフィンであり、塩基がリチウム塩基であることを特徴とする製造方法。
  2. が、tert-ブチル基であり、R及びRが水素原子である請求項1に記載の製造方法。
  3. が、tert-ブチル基であり、R、R、R、R、R及びR10が水素原子であり、Rがジメチルアミノ基又はメチル基である請求項1に記載の製造方法。
  4. が、tert-ブチル基であり、R、R、R、R及びRが水素原子であり、R及びR10がメトキシ基である請求項1に記載の製造方法。
  5. が、tert-ブチル基であり、R、R、R及びRが水素原子であり、R、R及びR10がイソプロピル基である請求項1に記載の製造方法。
  6. が、tert-ブチル基であり、R、R、R及びR10が水素原子であり、RとRとRが、結合する炭素原子と一体となってフェナレン環を形成する請求項1に記載の製造方法。
  7. リチウム塩基が、リチウムtert-ブトキシド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド又はブチルリチウムである請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
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