JP2016108216A - 蛍光体分散ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】耐湿性に優れ、蛍光体の失活の抑制効果を向上させた蛍光体分散ガラスの提供。【解決手段】質量%で、SiO2を1〜20%、B2O3を10〜40%、ZnOを1〜45%、RO(MgO、CaO、SrO、及びBaOから選ばれる少なくとも1種)を合計で1〜50%、R2O(Li2O、Na2O、及びK2Oから選ばれる少なくとも1種)を合計で0〜20%、Nb2O5、TiO2、及びLa2O3から選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜30%、酸化アンチモン及び酸化スズから選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜15%含む蛍光体分散ガラス。酸化アンチモン及び酸化スズを夫々少なくとも0.1質量%含有する蛍光体分散ガラス。30〜300℃における線膨張係数が6〜13ppm/℃で、軟化点が670℃以下である蛍光体分散ガラス。【選択図】なし

Description

本発明は発光材料である蛍光体をガラス中に分散した蛍光体分散ガラスに関する。
従来より、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等を光源として、該光源から発する光を蛍光体によって波長変換し、所望の色や波長の光を得る発光装置が広く知られている(例えば、特許文献1〜4)。
近年、LEDやLDを光源として用いた発光装置について様々な開発がなされている。そのような発光装置の1つとして、例えばLEDを光源として用いて白色光を得る開発がなされており、省電力かつ高演色性な白色光源が実現されている。現在、市販されている白色光源は、青色GaN系LEDを光源とし、該LEDから発せられた青色の光の一部を黄色に変換する黄色蛍光体を用いて、光源の青色光と蛍光体によって変換された黄色光とを混合し擬似白色光としたものが用いられている。上記の蛍光体としてはセリウム添加YAG酸化物蛍光体が広く用いられている。
この従来の青色LEDとセリウム添加YAG酸化物蛍光体の組み合わせでは、シアン色(〜500nm)、赤色(600nm)の成分が少ないため、色温度の高い白色光(昼光色)を得ることはできるが、色温度の低い白色光(電球色)を得ることができない。従って、複数の蛍光体を添加して不足する赤色等の波長成分を補うことによって、高演色な白色光源を実現している。
近年、高効率な赤色蛍光体として窒化物蛍光体が知られており、例えば特許文献4ではEuで賦活されたCaAlSiN蛍光体粉末が作製されている。LED光源上に、上記の窒化物蛍光体と樹脂の混合物が覆うような構造とすると、自然光に近い色を発する白色光源を得ることが可能となる。
蛍光体をLED光源やLD光源と用いる場合、ほとんどの場合エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はフッ素樹脂などを用いて、該光源上を上記の蛍光体と樹脂の混合物が覆うような構造封止としていた。しかし、LEDやLDの発熱や、LEDやLDから放出される紫外線や青色光により樹脂が劣化し、変色、光透過特性が低下する等の問題があった。また、蛍光体によっては水分によって損傷する場合があり、環境中の水分が封止材である樹脂を透過すると、蛍光体の失活が生じるという問題があった。
そこで、封止する部材として樹脂よりも熱や光への耐久性が高く、水バリア性の高いガラスが注目されている。例えば特許文献5、6に示したように、ガラス粉末に蛍光体の粉末を混合し、この混合物を焼結させた焼結体(以下、「蛍光体分散ガラス」と記載することもある)を用いてLEDを封止している。特許文献5には、酸化物蛍光体とSnO−P−ZnO系ガラスの粉末を混合し焼結して得られる白色光源が、特許文献6には650℃以下の軟化点を有し、PbOを実質的に含まないSiO−TiO−Nb−RO(RはLi、Na、K)系ガラスからなる耐候性を備えた発光色変換材料がそれぞれ報告されている。
上記のようなガラス粉末と蛍光体粉末を用いてLEDを封止する方法としては、例えば特許文献5に、ガラス粉末と蛍光体粉末の混合物を焼結して蛍光体分散ガラスを形成し、該蛍光体分散ガラスをLED上に載置した後軟化流動させることによってLEDを封止する方法や、混合した粉末でLEDを密に被覆し、その後に粉末を軟化流動させることによってLEDの封止と蛍光体分散ガラスの形成を同時に行う方法が開示されている。また、特許文献6には、ガラス粉末、蛍光体粉末、結合剤、溶剤等を混練してペーストを形成し、該ペーストをLED上に塗布した後に焼成して蛍光体分散ガラスとLEDの封止を同時に行う方法や、上記ペーストと同様の材料を用いてグリーンシートを形成し、該グリーンシートをLED上に積層し熱圧着した後に焼成する方法が開示されている。
また、特許文献7には、硫化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体及びケイ酸塩蛍光体は耐湿性に劣ると記載されている。当該文献では、蛍光体分散ガラスを製造する際に水を使用するゾルゲル法で製造を行わず、ガラス粉末と蛍光体粉末を混合・焼成して蛍光体分散ガラスを得ることで、上記の蛍光体分散ガラスを製造する際に蛍光体が水分によって損傷を受ける問題を解決している。
上記のように、ガラス中に蛍光体を分散した蛍光体分散ガラスを用いて光源であるLEDやLDを封止することによって、従来の樹脂による封止で問題となっていた熱や光、大気中の水分に対する耐久性が向上した発光装置が実現できるが、実際に蛍光体分散ガラスを製造したり、該光源を封止する場合、蛍光体粉末とガラス粉末の混合物をガラス転移点以上の温度に上昇させ焼結する必要があり、その際に加えられる熱により蛍光体が失活する可能性がある。
窒化物蛍光体を酸素が存在する環境で加熱した場合、蛍光体が失活することが報告されている(非特許文献1)。非特許文献1では、Sr2−xSi:Eu2+蛍光体は加熱時に酸素が存在すると、2価のEuが3価に酸化されることが報告されている。すなわち、窒化物蛍光体と酸素を含むガラスとを混合して焼結した場合、窒化物蛍光体の発光効率が大幅に低下する可能性がある。
また、特許文献8には酸窒化物蛍光体を用いて、900℃から1200℃の範囲で溶融して用いるRO−R‘O−B−TeO系蛍光体分散ガラスが報告されている。上記のRO−R‘O−B−TeO系ガラスは、加熱時の酸窒化物蛍光体との反応を制御することが可能である。
また、上記の酸窒化物蛍光体の他にも、硫化物蛍光体やハロゲン化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体等は、ガラス粉末と蛍光体粉末を焼成する際の熱によって、発光効率が大幅に低下する可能性がある。例えば特許文献9には、上記のような耐熱性が低い蛍光体粉末を、軟化点が600℃付近のZnO−B−SiO系ガラス粉末と混合・焼結させて、蛍光体の失活を抑制した蛍光体分散ガラスが報告されている。
特開2009−277516号公報 特開2012−155003号公報 特開2003−258308号公報 特許第5045432号公報 特開2005−11933号公報 特開2007−302858号公報 特開2009−177131号公報 特開2011−162398号公報 特開2007−191702号公報
前述したように、LEDやLD等の光源を封止する材料として蛍光体分散ガラスを用いる場合、蛍光体粉末とガラス粉末の焼結時や該光源を封止する為に蛍光体分散ガラスを加熱する際、蛍光体が熱により失活する可能性がある。特に、窒化物蛍光体の場合、蛍光体中の希土類イオンのガラスとの反応性が高いために蛍光体の失活が起こり易く、この問題を克服したガラスを開発することは困難である。
また、上記のように熱に起因する蛍光体の失活を抑制するためには、焼結時に加えられる熱を極力抑制するため、軟化点が低いガラスを用いるのが望ましいが、一方で軟化点が低いガラスは耐候性、特に耐湿性が低下し化学的に不安定になることがある。耐湿性が低いガラスは、長期間の使用で大気中の水分によりガラスに含まれる成分が溶出したり塩が析出して、光の透過率が低下し、その結果発光効率が低下するという問題がある。
例えば特許文献6にはSiO−TiO−Nb−RO系ガラスを用いた耐候性を備えた発光色変換材料が開示されている。該発光色変換材料は、TiOとNbとを必須成分として含有させる事によって、酸化物ガラス粉末に耐候性、特に耐湿性を付与している。しかし、SiOの含有量が20質量%より少なくなると化学的耐久性が悪化する傾向にある、と記載されている。また、焼結時の加熱によりガラスと反応し、発泡や変色などの異常反応を起こしやすい蛍光体を用いる場合は、SiOの含有量を少なくしたり、RO、ZnO、Bの含有量を多くしたりすることによって、軟化点を低下させ蛍光体の焼成温度を低下させればよいと記載されている。
上記のようにTiOとNbとを必須成分としたガラスを用いることによってガラスの耐湿性を改善し、ガラスの軟化点を下げることによって蛍光体の失活を抑制した蛍光体分散ガラスを得る事が可能である。しかし、一方で蛍光体の失活を更に抑制したガラスへの要求は依然として高い。発明者らが鋭意検討を行ったところ、軟化点が同程度のガラスでも成分中に特定成分を含有させることによって、蛍光体の失活を更に抑制できることがわかった。
従って、本発明は耐湿性に優れ、蛍光体の失活の抑制効果を向上させた蛍光体分散ガラスを得ることを目的とした。
本発明は、前記蛍光体分散ガラスにおいて、該ガラスは、質量%で、SiOを1〜20%、Bを10〜40%、ZnOを1〜45%、RO(MgO、CaO、SrO、及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で1〜50%、RO(LiO、NaO、及びKOからなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で0〜20%、Nb、TiO、及びLaからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜30%、酸化アンチモン及び酸化スズからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜15%含むものであることを特徴とする蛍光体分散ガラスである。
酸化物ガラス粉末と酸化物蛍光体とを混合し焼結する場合は、前述した従来技術のようにガラスの軟化点を低くする等、蛍光体に加えられる熱を抑えれば蛍光体の失活を抑制することが可能であることが報告されている。一方で、本願発明は軟化点が同程度であっても、酸化アンチモンをガラスに含有させることによって、焼結時の酸化物蛍光体の失活抑制効果が向上することを見出した。
また、窒化物蛍光体や硫化物蛍光体は、酸化物ガラス粉末と混合し焼結すると、該酸化物ガラス中に含まれる酸素と蛍光体中の成分が反応してしまい、蛍光体の失活が生じ易い。本願発明は軟化点が同程度であっても、酸化スズをガラスに含有させることによって、焼結時の蛍光体の失活抑制効果が向上することを見出した。
また、酸化アンチモンは窒化物蛍光体等の失活し易い蛍光体を失活させる傾向にある。一方で酸化スズは酸化物蛍光体の失活抑制には寄与しないものの、窒化物蛍光体等の失活を抑制する効果が高い。そのため、窒化物蛍光体や硫化物蛍光体と、酸化アンチモンとを共存させる事は避けるのが普通だが、本発明者らの検討によって、0.1〜15%の範囲内であれば酸化アンチモンと酸化スズを共存させたガラスであっても、窒化物蛍光体の失活を抑制できることを見出した。
本明細書における「失活」とは、ガラス粉末と蛍光体粉末との焼結によって得られる蛍光体分散ガラスが、目視で黒色又は灰色となることを指すものとする。
また、目視で失活を確認できなくとも、発光効率の低い蛍光体分散ガラスについては「失活の抑制が不十分」として、上記の「失活」同様、蛍光体分散ガラスとしては不適とした。通常、蛍光体の発光効率は、励起光を吸収する効率(吸収率)、吸収した励起光を蛍光に変換する効率(内部量子効率)、及びそれらの積である励起光を蛍光に変換する効率(外部量子効率)の3種で表される。本願発明は、蛍光体の失活抑制効果の向上を課題としていることから、内部量子効率に着目するものとする。
本発明のようにガラスを用いた場合、ガラスに分散する蛍光体の種類によって焼結時の失活のし易さが異なり、特に窒化物蛍光体や硫化物蛍光体は失活し易い傾向にある。本明細書の実施例では、窒化物蛍光体の場合に内部量子効率が40%未満の時を失活の抑制が不十分であるとし、また、酸化物蛍光体の場合に内部量子効率が50%未満の時失活の抑制が不十分であるとした。
また、本発明の蛍光体分散ガラスは、例えば前述したガラスのガラス粉末を準備し、該ガラス粉末と蛍光体粉末とを混合した後、焼結させることによって得ることが可能である。
本発明により、耐湿性に優れ、蛍光体の失活の抑制効果を向上させた蛍光体分散ガラスを得ること可能となった。
本発明は、前記蛍光体分散ガラスにおいて、該ガラスは、質量%で、SiOを1〜20%、Bを10〜40%、ZnOを1〜45%、RO(MgO、CaO、SrO、及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で1〜50%、RO(LiO、NaO、及びKOからなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で0〜20%、Nb、TiO、及びLaからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜30%、酸化アンチモン及び酸化スズからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜15%含むものであることを特徴とする蛍光体分散ガラスである。
上記に示した特定の組成のガラスとすることにより、焼結時のガラスと蛍光体との反応を抑制し、蛍光体の失活を抑制することが可能となった。また、上記のガラスは化学的に安定であり、特に湿度に対して高い耐久性を有する。
以下、本発明のガラスの組成について記載する。尚、ガラスに含まれる成分の含有量を示す「%」は質量%のことを示し、以下「%」と記載することもある。
本発明に用いるガラスは、ガラスに含有する成分がSiO、B、ZnO、Al、RO、RO、Nb、TiO、La、酸化スズ及び酸化アンチモンであり、基本的に上記成分が合計で100%となるものである。また、通常ガラス成分として許容される任意の成分が15%程度まで含有されてもよい。
上記の任意成分としては、例えば一般的な酸化物で表すZrO、WO、CeO等が挙げられる。
また、Feを上記のガラス中に含有するとガラスの透過率が低下してしまうことがあり、本発明の目的には適さない。従って、上記成分は実質的に含有しないのが好ましい。具体的には、上記成分の含有量が0.3%以下、より好ましくは0.03%以下であるのが好ましい。
また、PbOを上記のガラス中に含有するとガラスが黄色に着色し励起光を吸収してしまうことから、実質的にPbOを含有しない事が好ましい。具体的には、上記成分の含有量が0.3%以下、より好ましくは0.03%以下であるのが好ましい。
また、Biはガラスの軟化点を下げる成分としてよく知られているが、上記のガラス中に含有すると蛍光体と反応し、蛍光体を失活させることがあるため、実質的にBiを含有しないのが好ましい。具体的には、上記成分の含有量が0.3%以下、より好ましくは0.03%以下であるのが好ましい。
すなわち、本願発明はガラス成分中に、実質的にFe、PbO、及びBiを含有しないのが好ましい。
SiOはガラス形成成分であり、別のガラス形成成分であるBと共存させることにより、安定したガラスを形成することができ、1〜20%の範囲で含有させるものである。1%未満ではガラスが不安定になり易くなり、20%を越えるとガラスの軟化点が上昇し易くなる。好ましくは下限値を2以上、より好ましくは7以上としてもよい。また、上限値は好ましくは20%未満、より好ましくは19%以下としてもよい。
はガラス形成成分であり、ガラス溶融を容易とし、ガラスの線膨張係数において過度の上昇を抑え、かつ、焼付け時にガラスに適度の流動性を与えるものであり、ガラス中に10〜40%の範囲で含有させる。10%未満では他の成分との関係によっては、ガラスの流動性が不充分となり、焼結性が損なわれることがある。他方40%を越えると、化学的耐久性が低下する傾向にある。好ましくは下限値を11%以上、より好ましくは14%以上としてもよい。また、上限値を好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは22%以下としてもよい。
ZnOはガラスの軟化点を下げ、線膨張係数を適宜範囲に調整するもので、ガラス中に1〜45%の範囲で含有させる。1%未満だと上記の効果が期待できず、45%を越えるとガラスが不安定となり失透を生じ易い。好ましくは下限値を3%以上、より好ましくは8%以上としてもよい。また上限値を好ましくは43%以下としてもよい。
RO(MgO、CaO、SrO、及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種の合計)はガラスの軟化点を下げるものであり、ガラス中に1〜50%含有させる。1%未満では上記の効果を発揮せず、一方で50%を越えるとガラスの線膨張係数が高くなりすぎることがある。好ましくは45%以下、より好ましくは42%以下の範囲である。また、好ましくは下限値を5%以上、より好ましくは8%以上としてもよい。
O(LiO、NaO、及びKOからなる群から選ばれる少なくとも1種の合計)はガラスの軟化点を下げ線膨張係数を適宜範囲に調整するものであり、0〜30%の範囲で含有させる。含有量が30%を越えるとアルカリ溶出量が増加し、化学的耐久性が低下する。好ましくは26%以下としてもよい。また、好ましくは下限値を0.2%以上、より好ましくは2%以上としてもよい。
上記のRO成分のうち、LiOはガラスの軟化点を下げる効果があるが、一方で含有量が増えるに従ってガラスが結晶化し易くなる傾向にある為、例えば好ましくは5%以下としてもよい。
酸化アンチモンはガラス内にSb、Sbの形で含有されていると推測される。また、酸化スズはSnO(2−x)(ただし、0≦x<2)の形で含有されていると推測され、例えばSnOやSnOとして存在していると考えられる。酸化アンチモン及び酸化スズは蛍光体とガラスの反応性を抑制するもので、合計で0.1〜15%の範囲内で含有させる事により、蛍光体の失活を大きく抑制することが可能である。また、好ましくは0.1〜12%、より好ましくは1〜10%としてもよい。
また、前述したように所定範囲内であれば酸化アンチモンと酸化スズを共存させることによって、複数種類の蛍光体を含有させることが可能である。本発明者らの検討によって、0.1〜15%の範囲内であれば酸化アンチモンと酸化スズを共存させたガラスであっても、窒化物蛍光体の失活を抑制できることを見出した。複数種類の蛍光体を用いることが可能だと、例えば酸化物蛍光体と窒化物蛍光体の2種類を混合するといったように、所望の波長変換特性を得る為に、蛍光体を複合して用いる場合に好適に利用することが可能である。
すなわち、酸化アンチモン及び酸化スズをそれぞれ少なくとも0.1質量%含有することが好ましい。酸化アンチモンと酸化スズを両方含有する場合、酸化アンチモンと酸化スズを合計で0.2〜15%の範囲内となるように含有させるのが好ましく、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは1〜10%としてもよい。
また、使用する蛍光体の種類によっては、酸化アンチモン及び酸化スズを単体で使用してもよい。その場合は含有量を0.1〜10%とするのが好ましく、より好ましくは1〜8%としてもよい。上記のように単独で用いる場合は、窒化物蛍光体や硫化物蛍光体等に用いるガラス内には酸化スズを含有させるのが望ましい。また、酸化物蛍光体に用いるガラス内には酸化アンチモンを含有させるのが望ましい。
Nb、TiO及びLaはガラスの耐湿性を向上させる成分であり、単体で用いても、複合して用いてもよく、Nb+TiO+Laで0.1〜30%含有する。含有量が30%を超えるとガラスが失透しやすくなり、また、好ましくは0.1〜25%、より好ましくは1〜21%としてもよい。
また、上記のうちNbはより効果的に耐湿性を向上させることが可能なため、Nbを0.1〜20%含有することが好ましい。より好ましくは1〜15質量%としてもよい。
Alはガラスの溶融時、焼結時の失透を抑制する0〜18%の範囲で含有させるのが好ましい。18%を超えるとガラスの安定性を低下させる。より好ましくは15%以
下の範囲である。
前述した成分の他にも、ガラスの溶融時又は焼結時の失透を抑制し、ガラスの化学的耐久性を向上させるためにZrOを加えてもよく、0〜5%の範囲で含有させるのが好ましい。5%を超えるとガラスの安定性を低下させる。好ましくは3質量%以下の範囲である。
また、本発明のガラスは30℃〜300℃における線膨張係数が6〜13ppm/℃、軟化点が670℃以下の範囲内であるのが好ましい。軟化点を低くすることにより、焼結時の熱で蛍光体が失活することを抑制することが可能である。好ましくは650℃以下、より好ましくは630℃以下としてもよい。また、軟化点が低くなりすぎると耐湿性が低下してしまうことがあるため、下限値を好ましくは400℃以上としてもよい。
通常蛍光体は、蛍光体を構成する成分によって励起光を発光する波長が異なる。また、光源の種類はLEDやLDであれば蛍光体の励起波長に併せて適宜選択されればよい。特に本発明は波長350〜500nmに励起波長を持つ蛍光体であれば蛍光体の種類を特に限定することなく蛍光体分散ガラスに使用することを可能としたものである。すなわち、本発明は前記蛍光体粒子が、波長350〜500nmに励起波長を持つことが好ましい。また、本発明は特に370nm〜480nmに励起波長を持つ蛍光体粒子に好適であることから、より好ましくは390〜480nmとしてもよい。
上記の蛍光体粒子としては、例えば、酸化物、酸窒化物、窒化物、酸硫化物、硫化物、アルミン酸塩化物、ハロリン酸塩化物、フッ化物及びYAG系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。特に、失活しやすいとされている窒化物について、本発明は特に好適に利用可能である。また、複数種類の蛍光体を用いてもよい。
上記の窒化物蛍光体としては、例えば赤色蛍光体として、(Sr,Ca)AlSiN:Eu蛍光体、CaAlSiN:Eu蛍光体、黄色蛍光体として、LaSi11:Ce蛍光体、酸窒化物蛍光としては、例えば赤色蛍光体として、CaAlSi(ON)3:Eu蛍光体、α−SiAlON:Eu蛍光体、緑色蛍光体として、β−SiAlON:Eu蛍光体、(Sr,Ba)Si:Eu蛍光体、BaSi12:Eu蛍光体が挙げられる。
また、酸化物蛍光体としては、例えば、黄色蛍光体として、(Y,Gd)Al12:Ce蛍光体、TbAl12:Ce蛍光体、LuAl12:Ce蛍光体、(Sr,Ca,Ba)SiO:Eu蛍光体、緑色蛍光体として、Y(Al,Ga)12:Ce3+蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu蛍光体、CaSc:Ce蛍光体、BaMgAl1017:Eu、Mn蛍光体、SrAl:Eu蛍光体、赤色蛍光体として、(Sr,Ba)SiO:Eu蛍光体等が挙げられる。
また、硫化物蛍光体としては、例えば緑色蛍光体として、ZnS:Cu,Al蛍光体、(Ca,Sr)Ga:Eu蛍光体、赤色蛍光体として、(Ca,Sr)S:Eu蛍光体、近赤外蛍光体として、(Zn、Cd)S:Cu蛍光体が挙げられる。酸硫化物蛍光体としては、例えば赤色蛍光体として、YS:Eu蛍光体、LaS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体等が挙げられる。
また、本発明の蛍光体分散ガラスの変換効率(励起光と蛍光の強度比)や発光効率は、ガラス中に分散した蛍光体粒子の種類や含有量、及び蛍光体分散ガラスの厚みによって変化する。蛍光体粒子の含有量と蛍光体分散ガラスの厚みは、発光効率、演色性が最適になるように調整すればよいが、蛍光体粒子が多くなりすぎると焼結しにくくなったり、励起光が効率良く蛍光体粒子に照射されない問題が生じる。また、含有量が少なすぎると十分に発光させることが難しくなる。よって、前記蛍光体粒子の含有量が該蛍光体分散ガラスの全質量に対して0.01〜95体積%となるように混合することが好ましい。より好ましくは0.5〜95体積%としてもよい。
また、本発明の蛍光体分散ガラスは、無機フィラーを含有するものであってもよい。上記の無機フィラーを含有することにより、蛍光体分散ガラスを焼結する時の線膨張係数や軟化点等の熱的性質を調整することが可能である。該無機フィラーとしては、例えば酸化マグネシウム、窒化アルミ、窒化ホウ素、ジルコン、ムライト、シリカ、チタニア、及びアルミナ等が使用できる。また、該無機フィラーの含有量は適宜調整すれば良いが、例えば該蛍光体分散ガラスの全質量に対して、0.1質量%以上、40質量%以下となるように混合してもよい。
前述したように、本発明の蛍光体分散ガラスは、ガラス粉末と蛍光体粉末とを混合した後、焼結させることによって得ることが可能である。その際、ガラス粉末と蛍光体粉末とを混合した後、加圧等の非加熱の方法によってペレット状に成型し、該ペレットを焼結すると熱に由来する蛍光体の失活を抑制できるため好ましい。また、上記以外でもガラス粉末と蛍光体粉末を混合した後、一度成形可能な粘度になるまで加熱し、型等を用いて成型してもよい。
上記の焼結を行う際の焼結温度は、400〜750℃の範囲であることが望ましい。焼結温度が750℃より高くなると、蛍光体が劣化したり、ガラスと蛍光体が反応し、発光効率が著しく低下する場合があり、本発明の目的には適さない。
加熱時の雰囲気は大気中でもよく、減圧または真空の雰囲気、窒素ガスやArガスなどの不活性ガス雰囲気中でも良いが、製造コストを考えると大気雰囲気が望ましい。さらには、ガラス粉末の内部に含まれる気泡を抑制するため、減圧下または真空に雰囲気で焼結しても良いし、焼結中に加圧しても良い。
蛍光体分散ガラスに用いるガラス粉末は、一般的に使用される蛍光体粉末の粒子径は1〜100μm程度な為、汎用的な粉砕機で作製可能な粒子径(1〜50μm程度)や形状であれば問題なく使用することが可能である。また、粉砕には、乳鉢やボールミルを用いて粉砕してもよいが、作業工程での汚染が少ないジェットミル方式の粉砕機を用いても良い。
また、前述したようなガラス粉末と蛍光体粉末のペレットを焼結して蛍光体分散ガラスを得る方法の他に、ガラス粉末、蛍光体粉末、結合剤、及び溶剤等を混練してペースト状とし、該ペーストから蛍光体分散ガラスを得てもよい。ペーストを用いる場合は、該ペーストを基材等に塗布した後に所定温度で焼結することによって蛍光体分散ガラスを得ることが可能となる。尚、上記の結合剤や溶剤は焼結時に揮発するため、焼結後の蛍光体分散ガラス中には残留しない。
また、前述した方法の他にグリーンシートから蛍光体分散ガラスを得てもよい。該グリーンシートは、ガラス粉末、蛍光体粉末、可塑剤、結合剤、及び溶剤等を混練してスラリー状とし、該スラリーをドクターブレード法によってポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム上に成型し、乾燥させることでグリーンシートを得る事が出来る。該グリーンシートを焼結することによって蛍光体分散ガラスを得ることが可能となる。
本発明の蛍光体分散ガラスは、蛍光体分散ガラスと、LED又はLDとを有する発光装置として好適に用いることが可能である。当該発光装置としては、前述したような白色光原や、プロジェクターやセンサー、レーザー用の光源等が挙げられる。また、発光装置に用いる場合は、目的用途に合わせて好適な波長変換性能を有する蛍光体を選択すれば良い。
本発明の蛍光体分散ガラスは白色光源として好適に利用できる。白色光源に用いる場合は、光源であるLEDの周辺を該蛍光体ガラスで封止することによって、該LEDが発する光の波長を変換し、白色光を生成することが可能となる。上記の蛍光体ガラスでLEDを封止する方法としては、例えばガラス粉末と蛍光体粉末の混合物をLED周辺に塗布や密着させた後、加熱して焼結させる方法や、該ガラス粉末と蛍光体粉末の混合物を予め所定形状に成型し焼結体を形成した後に、接着材料等を用いてLED表面に設置する方法等が挙げられる。また、特に赤色蛍光体として有用な窒化物蛍光体を封止することが可能であるため、高演色な白色光源を得ることが可能である。
本発明の蛍光体分散ガラスはプロジェクタ用の光変換部材として好適に利用できる。プロジェクタ用の光変換部材に用いる場合は、LEDが発する光の波長を各波長の光に変換し、緑色、黄色、赤色を生成する。当該光変換部材の製造方法としては、ガラス粉末と蛍光体粉末の混合物をLED周辺に塗布や密着させた後、加熱して焼結させる方法や、該ガラス粉末と蛍光体粉末の混合物を予め所定形状に成型し焼結体を形成した後に、接着材料等を用いてLED表面に設置する方法、LEDから所定距離に離れた位置に該焼結体を設置する方法等が挙げられる。
本発明の実施例及び比較例を以下に記載する。
1:ガラス粉末の作製
まず、表1、表2に記載したA〜J、a〜hの組成となるように各種無機原料を秤量、混合して原料バッチを作製した。この原料バッチを白金ルツボに投入し、電気加熱炉内で1100〜1400℃、1〜2時間で加熱溶融して表1、表2のガラス試料を得た。得られたガラスの一部は型に流し込み、ブロック状にして熱物性(線膨張係数、軟化点)測定用に供した。残余のガラスは急冷双ロール成形機にてフレーク状とし、粉砕装置で平均粒径1〜30μm、最大粒子径200μm未満のガラス粉末に整粒した。
なお、本実施例において酸化スズはSnOを、酸化アンチモンはSbを原料として用いた。ガラス中の酸化スズはSnOやSnO等に酸化状態が変化し、明確な酸化状態を測定することは困難であるため、表1、表2においてはSnOと記載した。また、ガラス中の酸化アンチモンについてもSbやSb等の酸化状態をとり、明確な酸化状態を測定することは困難であるため、表ではSbと記載した。なお、表1、表2においては各成分の含有量を、小数点以下第1位を四捨五入した値を記載したため、見かけ上の合計値が100にならないこともある。
上記の平均粒子径及び最大粒子径はレーザー回折型粒子径測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック)を用いて測定した。測定は水にガラス粉末を分散させた後、レーザー光を照射することで散乱・回折光を得て、その光強度分布から装置に設定されたプログラムに準じてガラス粉末の粒子の大きさを算出して求めた。
上記の軟化点は、熱分析装置TG―DTA(リガク(株)製)を用いて測定した。また、上記の線膨張係数は熱膨張計を用い、5℃/分で昇温したときの30〜300℃での伸び量から線膨張係数を求めた。尚、表2のg、hはガラス化しなかった為、軟化点及び線膨張係数は測定せず、以後の検討にも使用しないこととした。
Figure 2016108216
Figure 2016108216
2:蛍光体の失活抑制の評価
実施例1
得られたガラス粉末に窒化物赤蛍光体粉末((SrCa)AlSiN:Eu2+、発光中心波長610nm)を添加、混合して混合粉末(蛍光体含有量;4体積%)とした。なお、ガラス粉末は表1のA〜Jの組成を用いた。次に、金型で加圧成型して直径10mm、厚み2mmのボタン状予備成型体を作製した。次に、大気中においてそれぞれ30分間加熱することによって焼結し、焼結体を得た。得られた焼結体を、厚み1mmまで研磨した。使用したガラス粉末、蛍光体粉末、焼結温度、得られた焼結体の色調を表3に示した。
実施例2
ガラス粉末に表1のF及びIの組成を使用し、蛍光体粉末に窒化物赤蛍光体(CaAlSiN:Eu2+、発光中心波長630nm)粉末を使用した以外は、実施例1と同様の方法で焼結体を得た。なお、焼結温度は表3に記載した通りである。
実施例3
ガラス粉末に表1のBの組成を使用し、蛍光体粉末に酸化物赤蛍光体(YAl12:Ce3+、発光中心555nm)粉末を使用した以外は、実施例1と同様の方法で焼結体を得た。なお、焼結温度は表3に記載した通りである。
実施例4
ガラス粉末に表1のB、E、H、及びIの組成を使用し、蛍光体粉末に酸化物赤蛍光体(LuAl12:Ce3+、発光中心540nm)粉末を使用した以外は、実施例1と同様の方法で焼結体を得た。なお、焼結温度は表3に記載した通りである。
実施例5
ガラス粉末に表1のEの組成を使用し、蛍光体粉末に酸窒化物蛍光体(α−SiAlON:Eu蛍光体、発光中心600nm)粉末を使用し、蛍光体含有量を20体積%とした以外は、実施例1と同様の方法で焼結体を得た。尚、この時の焼結温度は表3に記載した通りである。
比較例1
ガラス粉末に表2のa〜fの組成を使用した以外は、実施例1と同様の方法で焼結体を得た。なお、焼結温度は表3に記載した通りである。
比較例2
ガラス粉末に表2のd、fの組成を使用した以外は、実施例4と同様の方法で焼結体を得た。なお、焼結温度は表3に記載した通りである。
Figure 2016108216
<量子効率の測定>
実施例1〜5、及び比較例1、2で得られたそれぞれの焼結体について内部量子効率(ηint)及び外部量子効率(ηext)を測定し、表3に示した。測定は、積分球(日本分光製ILF−533)が接続された蛍光分光光度計(日本分光製FP−6500)を用いて、積分球内に進入した励起光スペクトルの積分強度をA、サンプルで吸収された励起光スペクトルの積分強度をB、サンプルから放出された蛍光スペクトルの積分強度をCとして、内部量子効率をC/B、外部量子効率をC/Aで求めた。内部量子効率及び外部量子効率が高い程、発光効率が高いと言える。
尚、検討に使用した各蛍光体の内部量子効率を、ガラス封止する前に測定したところ、(SrCa)AlSiN:Eu2+は84%、CaAlSiN:Eu2+は83%、YAl12:Ce3+は83%、LuAl12:Ce3+は81%、α−SiAlON:Euは77%であった。
窒化物蛍光体を用いた実施例1、2はいずれも内部量子効率が42〜62%、外部量子効率が32〜49%の範囲内となり、窒化物蛍光体の失活を抑制できていた。
比較例1のa〜eはいずれも失活の抑制が不十分なものであった。また、比較例1のガラスdは酸化アンチモン及び酸化スズの両方の成分を含有しない他は請求項1記載の範囲内に入る組成だが、実際に内部量子効率及び外部量子効率が低く、失活の抑制が不十分である。また、ガラスfは失活の抑制効果が高い組成であり、酸化アンチモンと酸化スズを含有し、Nb、TiO、及びLaのいずれも含有していない。上記のことから、酸化アンチモンと酸化スズを組成中に含有することによって失活を抑制できることがわかった。
また、酸化物蛍光体を用いた実施例3、4はいずれも内部量子効率が81〜83%、外部量子効率が70〜72%の範囲内となり、酸化物蛍光体の失活を抑制できていた。一方で酸化アンチモン及び酸化スズを含有しない比較例2のdの組成は、内部量子効率が53%、外部量子効率が42%であり、失活は抑制出来ていたが、実施例と比較すると内部量子効率及び外部量子効率とも低い値となった。また、fの組成は酸化アンチモンと酸化スズを含有し、Nb、TiO、及びLaのいずれも含有していないが、内部量子効率が78%、外部量子効率が68%となり、失活を抑制する効果が高いことがわかった。
また、酸窒化物蛍光体を用いた実施例5は、ガラス封止前の内部量子効率と変化がなく、失活を抑制出来ていた。
以上より、蛍光体分散ガラスに用いるガラス内に酸化アンチモン、酸化スズを含有させると、失活を抑制する効果が向上することがわかった。また、酸化アンチモンと酸化スズを両方とも含む場合、窒化物蛍光体に対しても、酸化物蛍光体に対しても、酸窒化物蛍光体に対しても、失活を抑制する効果があることが示された。
3:硫化物蛍光体の評価
実施例6
ガラス粉末に表1のBの組成を使用し、蛍光体粉末に硫化物蛍光体((Zn,Cd)S:Cu蛍光体、発光中心850nm)粉末を使用し、蛍光体含有量を16体積%、焼結体の厚みが0.5mmになるまで研磨した以外は、実施例1と同様の方法で焼結体を得た。尚、この時の焼結温度は625℃とした。
<硫化物蛍光体の発光の評価>
実施例6で使用した硫化物蛍光体は、前述した装置で外部量子効率を求めることが出来ないため、実施例6については、以下の方法で簡易的に蛍光体の発光を検討した。
まず、300mAの電流で点灯した青色LEDの光(発光ピーク波長445nm)を、上記の方法で得られた蛍光体分散ガラスの片面に入射した。次に、反対側の面から射出した光を校正した積分球内に入射させ、光ファイバーを通じて小型分光器(オーシャンオプティクス製 HR−4000)に取り込み、発光スペクトル(エネルギー分布曲線)を得た。サンプルから放出された蛍光スペクトルの積分強度を算出して、実施例6の蛍光スペクトルの放射束を求めた。
次に、比較の為にシリコーン中に同様の硫化物蛍光体を16vol%分散させた直径10mm、厚み0.5mmのボタン状成型体を作製した。得られた成型体について、蛍光体分散ガラスと同様に上記の発光スペクトルの測定を実施した。その結果、ガラス粉末Bを用いた焼結体の放射束は9.14uW、シリコーンを用いた成型体の放射束は7.31uWであり、上記成型体に対する上記焼結体の放射束は125%となった。
以上より、 シリコーンに分散させた硫化物蛍光体と比べると、本発明の蛍光体分散ガラスの方が放射束が増加することがわかった。放射束とは、ある面を単位時間あたりに通過する放射エネルギーを表す値であり、蛍光体が失活した場合は値が低下する。これにより、本発明の組成は従来用いられているシリコーン等の樹脂よりも、硫化物蛍光体を失活させないことがわかった。
4:耐湿性の評価
実施例7
表1のA〜Jのガラス粉末に窒化物赤蛍光体粉末((SrCa)AlSiN:Eu2+、発光中心波長610nm)を添加、混合して混合粉末(蛍光体含有量;4体積%)とした。次に、金型で加圧成型して直径10mm、厚み2mmのボタン状予備成型体を作製した。次に、大気中においてそれぞれ30分間加熱することによって焼結し、焼結体を得た。得られた焼結体を、厚み1mmまで研磨した。使用したガラス粉末、蛍光体粉末、焼結温度を表4に示した。
実施例8
表1のB、F、H、Iのガラス粉末に酸化物赤蛍光体(YAl12:Ce3+、発光中心555nm)粉末を添加、混合して混合粉末とした。この時の蛍光体含有量は表4に示したように10、12、19体積%とした。次に、金型で加圧成型して直径10mm、厚み2mmのボタン状予備成型体を作製した。次に、大気中においてそれぞれ30分間加熱することによって焼結し、焼結体を得た。得られた焼結体を、厚み1mmまで研磨した。使用したガラス粉末、蛍光体粉末、焼結温度を表4に示した。
実施例9
ガラス粉末として表1のA、D、Hのガラス粉末を用い、蛍光体として酸化物赤蛍光体(LuAl12:Ce3+、発光中心540nm)粉末を使用し、蛍光体含有量を8体積%とした以外は、実施例8と同様の方法で焼結体を得た。尚、この時の焼結温度は表4に記載した通りである。
比較例3
ガラス粉末として表2のfのガラス粉末を用いた他は実施例7と同様の方法で焼結体を得た。尚、この時の焼結温度を表4に示した。
比較例4
ガラス粉末として表2のfを用いた以外は、実施例9と同様の方法で焼結体を得た。尚、この時の焼結温度は表4に記載した通りである。
Figure 2016108216
<耐湿性試験>
実施例7〜9、比較例3、4について外部量子効率を前述した方法と同様に測定し、その後耐湿性試験を行った。耐湿性試験では、得られた焼結体をHAST(不飽和加圧蒸気試験)にて温度130℃、湿度85%の条件下で96時間放置した後、耐湿性試験後の外部量子効率を上記と同様に測定して、耐湿性試験による外部量子効率の低下率を求めた。尚、外部量子効率の低下率は、{1−(耐湿性試験後の外部量子効率/耐湿性試験前の外部量子効率)}×100(%)の式から算出した。本明細書においては、算出した外部量子効率の低下率が10%以下である場合、耐湿性が良好とした。
実施例7〜9はいずれも外部量子効率の低下率が0〜4%となり、良好な耐失性を有していた。一方で、比較例3、4は低下率が45%以上となり、耐湿性に劣るものとなった。

Claims (7)

  1. 前記蛍光体分散ガラスにおいて、該ガラスは、質量%で、
    SiOを1〜20%、
    を10〜40%、
    ZnOを1〜45%、
    RO(MgO、CaO、SrO、及びBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で1〜50%、
    O(LiO、NaO、及びKOからなる群から選ばれる少なくとも1種)を合計で0〜20%、
    Nb、TiO、及びLaからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜30%、
    酸化アンチモン及び酸化スズからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜15%含むものであることを特徴とする蛍光体分散ガラス。
  2. 前記ガラスは、酸化アンチモン及び酸化スズをそれぞれ少なくとも0.1質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体分散ガラス。
  3. 前記ガラスは、Nbを0.1〜20質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光体分散ガラス。
  4. 前記ガラスは30℃〜300℃における線膨張係数が6〜13ppm/℃、軟化点が670℃以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の蛍光体分散ガラス。
  5. 前記蛍光体粒子が、酸化物、酸窒化物、窒化物、硫化物、酸硫化物、ハロリン酸塩化物、フッ化物及びYAG系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蛍光体分散ガラス。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の蛍光体分散ガラスが、無機フィラーを含有することを特徴とする蛍光体分散ガラス。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の蛍光体分散ガラスと、LED又はLDとを有することを特徴とする発光装置。


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