JP2016108005A - 包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】単純な構成でありながら、内容物の保護性に優れ、誤開封を防止しつつ、形成されるつかみやすい摘み部によって易開封性が付与されるとともに、その加工が簡便な包装体を提供する。【解決手段】周囲が、第1のシール部3によってシールされ、内容物100を保持する内容物収納部2と、包装体1の外縁の一部と接する第2のシール部4と、第1のシール部3と、第2のシール部4との間にある未シール部5とを備え、一方のフィルム10a、及び他方のフィルム10bの未シール部5にはそれぞれ開封手段7を有し、開封手段7から第2のシール部4に沿った方向に延びてフィルム10の破れ方向に相当する想定線11に対し、交点を有する開封補助線6を一方のフィルム10aの外縁を除いた未シール部5に有し、一方のフィルム10aの未シール部5は、開封補助線6に沿った裂け目が端部となり、第1のシール部3を剥離する摘み部の一方を構成する。【選択図】図1
Description
本発明は、重ね合わされたフィルムで内容物を保持する包装体に関し、より詳細には、易開封性、及び運搬時等の誤開封防止の機能を有する包装体の開封構造に関する。
包装体は、開封される場合に簡単に手で開けられる易開封性を機能として備えていることが有用である。易開封性を有する包装体の一つとして、重ね合わされたフィルムの接着強度が弱められていることによって密封(シール)箇所が容易に剥離するイージーピールとされたプラスチック製の包装体が広く用いられている。
イージーピールで接着された包装体には開封用の摘み片が設けられている。摘み片は、重ね合わされたフィルムが接着されていない未シール部となっている。そして、摘み片の2枚のフィルムを摘んで引っ張ると、フィルムの接着されている箇所が剥がれて包装体を開封することができる。
このような包装体の開封の際に、未シール部の表裏2枚のフィルムが密着してしまう場合がある。この場合には、摘み片がつかみづらくなり、その結果として、包装体の開封が困難になる。そこで、摘み片がつかみやすくなるような対策が考えられている。
特許文献1には、製剤を挟んで重ねた第1シート材及び第2シート材の周縁を密着させて再剥離可能な密着部を形成し、この密着部で囲まれる収容部に製剤を収容し、第1シート材及び第2シート材の密着部側の各一端を揃える一方で各他端をずらした状態で重ねた包装体が開示されている。
特許文献1の構成によれば、開封の開始時に各他端側に設けた摘み片を容易につかむことができ、2枚の第1シート材及び第2シート材の引き離しを容易に開始することができるとされている。このように、前後一方の摘み片の長さと、他方の摘み片の長さとが変えられることによって、包装体の開封の際に摘み片がつかみやすくされている。このような未シール部の摘み片がひらひらとしていると、包装体の輸送中や、携帯中に引っかかる等して、誤って、接着部が剥がれてしまうおそれがある。そして、特許文献1のように摘み片がつかみやすくなされた場合には、なおさら、誤開封の可能性が高まる。したがって、このような包装体に対して誤開封を防止する方策が必要となる。しかしながら、このような包装体においては、誤開封を防止すると易開封性を発現するのが困難となる。
そこで本発明の目的は、単純な構成でありながら、内容物の保護性に優れ、誤開封を防止しつつ、形成されるつかみやすい摘み部によって易開封性が付与されるとともに、その加工が簡便な包装体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、重ね合わされたフィルムで内容物を保持する包装体において、前記包装体は、周囲が、第1のシール部によってシールされ、前記内容物を保持する内容物収納部と、前記包装体の外縁の少なくとも一部と接する第2のシール部と、前記第1のシール部と、前記第2のシール部との間にある未シール部とを備え、一方の前記フィルムの前記未シール部、及び他方の前記フィルムの前記未シール部にはそれぞれ開封手段を有し、前記開封手段から前記第2のシール部に沿った方向に延びて前記フィルムの破れ方向に相当する想定線に対し、交点を有する開封補助線を前記一方のフィルムの前記外縁を除いた前記未シール部に有し、前記一方のフィルムの前記未シール部は、前記開封補助線に沿った裂け目が端部となり、前記第1のシール部を剥離する摘み部の一方を構成することを特徴とする。
更に、前記開封補助線は、前記想定線から間隔を有してそれぞれ配置される複数の線が前記破れ方向に進むにつれて集まるように形成されることを特徴とする。
更に、前記開封補助線は、曲線からなることを特徴とする。
更に、前記曲線は、弧形であることを特徴とする。
更に、前記曲線は、波形であることを特徴とする。
更に、前記開封補助線は、少なくとも1つの線が前記想定線との前記交点を有する複数の線からなることを特徴とする。
更に、前記開封手段は、前記外縁から離れた位置に形成されることを特徴とする。
更に、前記開封手段は、切り込み、及び破断構造のいずれかであることを特徴とする。
更に、前記開封補助線は、ハーフカット、及びミシン目のいずれかであることを特徴とする。
本発明の包装体によれば、重ね合わされたフィルムで内容物を保持する包装体において、包装体は、周囲が、第1のシール部によってシールされ、内容物を保持する内容物収納部と、包装体の外縁の少なくとも一部と接する第2のシール部と、第1のシール部と、第2のシール部との間にある未シール部とを備え、一方のフィルムの未シール部、及び他方のフィルムの未シール部にはそれぞれ開封手段を有し、開封手段から第2のシール部に沿った方向に延びてフィルムの破れ方向に相当する想定線に対し、交点を有する開封補助線を一方のフィルムの外縁を除いた未シール部に有し、一方のフィルムの未シール部は、開封補助線に沿った裂け目が端部となり、第1のシール部を剥離する摘み部の一方を構成するので、表裏2枚のフィルムのそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間に段差ができて、それぞれの摘み部がつかみやすくなる。一方で、フィルムが引き裂かれる前の状態では包装体が誤って開封される事態を防止することができる。したがって、一方のフィルムにのみ開封補助線を有する単純な構成でありながら、内容物の保護性に優れ、誤開封を防止しつつ、形成されるつかみやすい摘み部によって易開封性が付与されるとともに、その加工が簡便な包装体を提供することができる。
更に、開封補助線は、想定線から間隔を有してそれぞれ配置される複数の線が破れ方向に進むにつれて集まるように形成される構成によれば、一方のフィルムの開封手段から伝播する裂け目を開封補助線により確実に到達させることができる。
更に、開封補助線は、曲線からなる構成によれば、簡便な加工によって、一方のフィルムの開封手段から伝播する裂け目を開封補助線により確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルムのそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間における段差をより大きくすることができる。
更に、曲線は、弧形である構成によれば、より簡便な設計で、一方のフィルムの開封手段から伝播する裂け目を開封補助線により確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルムのそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間における段差をより大きくすることができる。
更に、曲線は、波形である構成によれば、一方のフィルムの開封手段から伝播する裂け目を開封補助線により確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルムのそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間における段差をより形成しやすくすることができる。
更に、開封補助線は、少なくとも1つの線が想定線との交点を有する複数の線からなる構成によれば、一方のフィルムの開封手段から伝播する裂け目を開封補助線により確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルムのそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間により段差ができて、それぞれの摘み部がよりつかみやすくなる。更に、フィルムの開封手段が設けられる位置の許容幅が大となり、製造をより容易にすることができる。
更に、開封手段は、外縁から離れた位置に形成される構成によれば、易開封性を有しつつ、チャイルドレジスタント機能を付与することができる。
更に、開封手段は、切り込み、及び破断構造のいずれかである構成によれば、フィルムをより確実に引き裂くことができる。更に、フィルムに用いられる材料をより自由に選択することができる。
更に、開封補助線は、ハーフカット、及びミシン目のいずれかである構成によれば、より簡便な加工によって、開封補助線に沿った破断線をより確実に形成することができ、表裏2枚のフィルムのそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間により段差ができて、それぞれの摘み部がよりつかみやすくなる。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本実施形態に係る包装体の構成を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る包装体1の一例であって、図1Aは、包装体1の表側が示された平面図であり、図1Bは、包装体1の裏側が示された平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、包装体1が載置された図1の状態において、包装体1が引き裂かれた際に破断線の形成される側を上とし、図1Aのように、包装体1の表側が示された平面図においては図の手前側を表とし、図1Bのように、包装体1の裏側が示された平面図においては図の手前側を裏とする。
本実施形態に係る包装体1は、重ね合わされたフィルム10、例えば、図1Aと、図1Bとにそれぞれ示されるように、表側フィルム10a(図1A参照)と、裏側フィルム10b(図1B参照)とに内容物100が保持されるように構成されている。包装体1は、内容物収納部2と、第1のシール部3と、第2のシール部4と、未シール部5とを備える。包装体1の外観形状は、平面視で例えば、左右の幅方向が短辺である矩形になされている。製袋時におけるフィルム原反の使用効率の観点から包装体1の外観形状は、例示された矩形、又は正方形であることが好ましい。しかしながら、包装体1の外観形状は、矩形や正方形には限らず、三角形や多角形、円形、楕円形、不規則な形状であっても良く、内容物100の形状や、製品の意匠性等に応じて適宜設計できる。なお、本実施形態に係る包装体1は、左右の幅方向が数十mm程度の小型のものに適用されると特に有効である。
包装体1は、例えば、同一形状の2枚のフィルム10、すなわち表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが重ね合わされて構成されている。重ね合わされた表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとのそれぞれの対向面は、予め定められた幅を有する帯状の第1のシール部3、及び第2のシール部4によってシールされる。周囲が、帯状に延びる第1のシール部3によってシールされた領域には内容物100を保持する内容物収納部2が形成される。
図1の例示において、第1のシール部3は、五角形の各辺に相当する形状になされている。第1のシール部3の下辺、並びに下辺の両端から各々延びる左辺、及び右辺は包装体1の外縁と接している。そして、第1のシール部3の左辺、及び右辺のそれぞれの上端は包装体1の上下方向の中途まで延びている。更に、第1のシール部3は、左辺、及び右辺のそれぞれの上端から包装体1の左右の幅方向の内方かつ上方に向けて延びる2つの上辺を有している。そして、包装体1の左右の幅方向の中心において2つの上辺が接続している。
第1のシール部3は、剥離しやすいヒートシール強度を呈するように、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが接着されており、イージーピール性(易剥離性)、すなわち易開封性を有する。このような容易に剥離開封できる接着は弱シールとも称される。第1のシール部3のヒートシール強度は人が開封できる程度であれば良い。具体的には、第1のシール部3のヒートシール強度は4〜8N/15mmであることがより好ましい。なお、内容物収納部2に空気が入らない場合や、内容物100が薄板状の場合には第1のシール部3のヒートシール強度は更に弱くても構わない。一方で、第1のシール部3の下辺、左辺、及び右辺は、剥離の必要がない場合には、弱シールよりもヒートシール強度の強い強シールであっても構わない。なお、ヒートシール強度の測定法としては、JIS−Z−0238に準拠している。
一方で、第2のシール部4は、包装体1の外縁の少なくとも一部と接する外縁シール部である。図1の例示では、第2のシール部4は包装体1の上辺と接している。仮に、第2のシール部4を有していない構成の場合には、シールされていない領域、すなわち未シール部5における重ね合わされた各フィルム10が摘み片となって第1のシール部3が容易に剥離できる状態になってしまう。したがって、包装体1の輸送中や、携帯中に摘み片が引っかかる等して、内容物100を保持するための第1のシール部3が剥がれてしまうおそれがある。そこで、本実施形態に係る包装体1では、第2のシール部4を備える構成によって重ね合わされた各フィルム10が容易にはつかめない状態とされる。
第1のシール部3を剥離する摘み片が露出されないように包装体1が構成されることが第2のシール部4に求められる条件である。このため、第2のシール部4は、包装体1の外縁に沿った形状とされており、更に、第2のシール部4自体が剥離されるきっかけも包装体1の外縁に形成されないようになされる。そして、第2のシール部4が、包装体1の外縁と接して形成されていると、たとえそれが弱シールであっても包装体1の開封は困難である。したがって、上述の第2のシール部4を備える構成によって本実施形態に係る包装体1は初期状態において、第1のシール部3が意図せず剥がれてしまうことが防止される。
なお、図1の例示では、第1のシール部3が、包装体1の3方の外縁と接している。しかしながら、例えば、第2のシール部4が、包装体1の全外縁と接している構成の場合には、第1のシール部3が、包装体1の外縁とは接していなくても構わない。より具体的には例えば、内側から内容物収納部2/第1のシール部3/未シール部5/第2のシール部4のそれぞれの構成が周回状の場合がこれに該当する。
第2のシール部4が弱シールであることは必須ではない。しかしながら、例えば、第1のシール部3が弱シールで、第2のシール部4が強シールの構成の場合には、包装体1の製造時に、第1のシール部3には弱シール材が設けられ、第2のシール部4だけ弱シール材が設けられないという処置になり、製造工程が煩雑になる。したがって、第2のシール部4は弱シールであることが好ましい。
第1のシール部3の外側の領域は、重ね合わされたフィルム10、すなわち、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとのそれぞれの対向面がシールされていない未シール部5とされる。未シール部5は、第1のシール部3と、第2のシール部4との間の領域に位置し、図1の例示では、第2のシール部4より下側、かつ第1のシール部3の上辺より上側に位置している。未シール部5が設けられることによって、第1のシール部3と、第2のシール部4とは接続されていない。そして、包装体1の外縁は、未シール部5の領域以外で、第1のシール部3と、第2のシール部4とによる端部シールとなる。このような構成を有する包装体1は、開封の端、すなわちきっかけが設けられない限り、イージーピール性を有する第1のシール部3、及び第2のシール部4のヒートシール強度が弱くても包装体1を容易に開封することはできない。
未シール部5は、包装体1の外縁において、予め定められた距離L以下とされることが好ましい。すなわち、包装体1の左右の外縁において、第1のシール部3と、第2のシール部4との間がそれぞれ予め定められた距離L以下とされることが好ましい。より具体的には、未シール部5は、包装体1の外縁において、例えば、人の指が入り込まない長さに設計される。このように、未シール部5は、包装体1の外縁において、予め定められた距離L以下とされることによって、包装体1が意図せず開封してしまう事態をより抑止することができる。
包装体1は、未シール部5の領域で、第2のシール部4に沿って、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとがそれぞれ引き裂かれることによって包装体1から、第2のシール部4が取り除かれるように構成される。
表側フィルム10aの未シール部5、及び裏側フィルム10bの未シール部5にはそれぞれ開封手段(開封端)を有する。開封端は、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bそれぞれの引き裂きのきっかけとなるものである。図1Aには、表側フィルム10aの左右両端部に、表側フィルム10aの開封端としての開封ノッチ7を有する包装体1が例示されている。同様に、図1Bには、裏側フィルム10bの左右両端部に、裏側フィルム10bの開封端としての開封ノッチ7を有する包装体1が例示されている。このように、開封端として、開封ノッチ7が用いられることによって、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bのそれぞれをより確実に引き裂くことができる。更に、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bに用いられる材料を引き裂き性の優劣によらずにより自由に選択することができる。
I字型の開封ノッチ7すなわちIノッチは、包装体1の左右の端部から左右の幅方向に延びる切り込みである。そして、開封ノッチ7は、応力を集中させてフィルム10の引き裂きのきっかけとなり、軽い力でもフィルム10を引き裂きやすくする機能を有する。なお、開封ノッチ7は、I字型のIノッチに限らず、V字型のVノッチや、U字型のUノッチ等が用いられても良く、その種類は問われない。
表側フィルム10aの開封ノッチ7と、裏側フィルム10bの開封ノッチ7との位置はフィルム10の上下方向に離れすぎず、かついずれも、第1のシール部3、及び第2のシール部4からは離間していることが好ましい。各フィルム10が支障なく同時に引き裂かれる範囲で各開封ノッチ7の上下方向の位置は設計される。なお、図1A、及び図1Bに示される包装体1においては、表側フィルム10aの開封ノッチ7と、裏側フィルム10bの開封ノッチ7との上下方向の位置が一致するように構成されている。このような構成の各開封ノッチ7は、重ね合わされた表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bの両方のフィルム10を貫通して形成することができる。したがって、開封ノッチ7は、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとを貫通する構成であると包装体1の製造が容易となる。
包装体1は、一方のフィルム10である表側フィルム10aの未シール部5には、第2のシール部4に沿った方向に延びる開封補助線6を有する。一方で、他方のフィルム10である裏側フィルム10bには開封補助線6が設けられない。ここで、図1Aにも示されるように、開封ノッチ7から第2のシール部4に沿った方向に延びてフィルム10の破れ方向に相当する線は想定線11と称される。そして、本実施形態に係る包装体1は、想定線11に対し、交点を有する開封補助線6を表側フィルム10aの外縁を除いた未シール部5に有する。すなわち、本実施形態に係る包装体1の開封補助線6の始点は表側フィルム10aの外縁とは接していない。図1Aに例示される開封補助線6は、左右の両端が開いた矢羽根状に形成され、表側フィルム10aの左側から順に、第1の受け部6aと、直線部6bと、第2の受け部6cとを有している。
第1の受け部6aは2本の直線で構成されている。その内の1本は、想定線11の上方を始点として右下がりで想定線11へと向かい、もう一本は、想定線11の下方を始点として右上がりで想定線11へと向かっている。第1の受け部6aは、各直線が、想定線11と略交差する位置において合流する合流点を有している。すなわち、第1の受け部6aは、左側が開いたV字状に形成されている。
一方で、第2の受け部6cも2本の直線で構成されている。その内の1本は、想定線11の上方を始点として左下がりで想定線11へと向かい、もう一本は、想定線11の下方を始点として左上がりで想定線11へと向かっている。第2の受け部6cも、各直線が、想定線11と略交差する位置において合流する合流点を有している。すなわち、第2の受け部6cは、右側が開いたV字状に形成されている。
直線部6bは、上述された第1の受け部6aの合流点と、第2の受け部6cの合流点との間を結び、想定線11の略上に形成されている。なお、直線部6bを構成する線は直線には限らず曲線であっても良い。
開封補助線6は、表側フィルム10aを貫通する切り込みの連続線でも構成可能ではあるものの、弱め線であることが好ましい。弱め線とは、その線に沿った破断を容易とするものである。弱め線としては、表側フィルム10aの表面、及び裏面のいずれかの表層からその厚さ方向の途中まで切れ目が入ったハーフカット、並びに開封補助線6が延びる方向に間欠的に、表側フィルム10aを貫通する切り込みが入ったミシン目のいずれかであると良い。図1Aには、ハーフカットで加工された線が連続して延びる開封補助線6が例示されている。なお、本実施形態に係る開封補助線6は、ハーフカットであってもミシン目であっても、両方が混在していても構わない。しかしながら、開封補助線6には、製造の効率の観点からは、ハーフカット、及びミシン目のいずれか一方が用いられることが好ましく、確実な破断線の形成されやすさの観点からは連続して延びるハーフカットが用いられることがより好ましい。
開封補助線6は、表側フィルム10aが引き裂かれる際に伝播する裂け目を開封補助線6上に誘導する機能を有する。そして、開封補助線6上を裂け目が伝播することによって、包装体1の表側フィルム10aの未シール部5に設けられた開封補助線6を境に、内容物収納部2や第1のシール部3側と、第2のシール部4側とに容易に分断することができる。したがって、表側フィルム10a上を伝播する裂け目によって形成される破断線は未シール部5の領域内において開封補助線6に略沿った形状となる。そして、第2のシール部4が取り除かれた表側フィルム10aの未シール部5は、開封補助線6に沿った裂け目による破断線が端部となり、第1のシール部3を剥離する摘み部の一方を構成する。このように、開封補助線6を有する構成によれば、より簡便な加工によって、開封補助線6に沿った破断線を確実に形成することができる。
図1に例示される開封補助線6は、想定線11から上下方向に間隔を有してそれぞれ配置される複数の線が破れ方向に進むにつれて集まるように形成されている。このように、開封補助線6の始点は、想定線11より上方、及び下方の両方に上下幅を有して位置することが好ましい。こうすることで、表側フィルム10aの開封ノッチ7から伝播する裂け目が、上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描いたとしても第1の受け部6a、又は第2の受け部6cによって開封補助線6に確実に到達するように包装体1を構成することができる。そして、裂け目は、開封補助線6上に誘導された後には開封補助線6上を伝播する。
第1の受け部6a、及び第2の受け部6cを構成する各線は想定線11に対してそれぞれ予め定められた範囲の角度を有する。各線が、想定線11に対して予め定められた範囲の角度を有することによって、開封補助線6に到達した裂け目が、そのまま横切ってしまうことがなく、効果的に、開封補助線6上を伝播するように誘導することができる。そして、開封補助線6の第1の受け部6a、及び第2の受け部6cは、自身を経由させることによって、開封ノッチ7から伝播してきた裂け目の方向を変更する機能を有する。したがって、開封補助線6、特に第1の受け部6aや、第2の受け部6cを経由し、伝播する裂け目によって形成される破断線は未シール部5の領域内において上下方向に段差を有する形状となる。
第1の受け部6a、及び第2の受け部6cを構成する各線と、想定線11とのなす角αは25〜80度であることが好ましい。角αが25〜80度であれば、裂け目を開封補助線6上に効果的に誘導するとともに、破断線を上下方向に段差を有する形状とすることができる。更に、角αは45〜60度であることがより好ましい。角αが45〜60度であれば、裂け目を開封補助線6上に確実に誘導するとともに、破断線を確実に上下方向に段差を有する形状とすることができる。更に、角αは60度であることが特に好ましい。角αが60度であれば、裂け目を開封補助線6上により確実に誘導するとともに、破断線をより確実に上下方向に段差を有する形状とすることができる。
第1の受け部6aと、第2の受け部6cとの間隔が過小であると段差の部分の幅が過小となって摘み部がつかみづらい。したがって、第1の受け部6a、及び第2の受け部6cの配置は、少なくとも指が入る程度の長さ以上で、裂け目が確実に伝播する長さ以下に適宜設計される。
第1の受け部6a、及び第2の受け部6cを構成する各線は、包装体1の寸法や、上述の想定線11とのなす角αに左右されるものの、おおむね全長10mm程度であれば良い。なお、図1では、直線状の第1の受け部6a、及び第2の受け部6cの各線が例示されている。しかしながら、各線は例えば円弧状、S字状であっても良い。各線が曲線状に形成されることによって裂け目の方向を種々に誘導することができる。
なお、開封補助線6は、第1のシール部3の上端からある程度の間隔を有していることが好ましい。これは、包装体1から、第2のシール部4が取り除かれた際に、開封補助線6と、第1のシール部3との間が摘み部となり、そのつかみやすさが左右されるからである。
更に、図1Aに例示されるように、開封補助線6と、想定線11との交点は上述された合流点とされ、更に、直線部6bは、想定線11の上に形成されていても良い。このような開封補助線6と、想定線11との位置関係、より具体的には第1の受け部6aや、第2の受け部6cと、開封ノッチ7との位置関係とされることによって、表側フィルム10aの開封ノッチ7から伝播する裂け目を開封補助線6により確実に到達させることができる。
一方で、開封補助線6と、想定線11との交点は上述された合流点よりも上側や下側であっても構わない。このような位置関係であると、表裏2枚のフィルム10におけるそれぞれの破断線の間により大きな段差を形成することができる。
更に、開封補助線6の直線部6bは斜めに構成されていても構わない。その場合には、左右の開封ノッチ7が上下に位置がずれていても構わない。
更に、第1の受け部6a、及び第2の受け部6cはいずれか一方のみが形成されていても良い。その際には、第1の受け部6a、及び第2の受け部6cの内で形成された一方側に対応して開封ノッチ7が設けられれば良い。本実施形態に係る包装体1の開封補助線6は、第1の受け部6a、及び第2の受け部6cの片方のみが形成されていると、フィルム10の引き裂きを一方向に指定できる。一方で、開封補助線6は、第1の受け部6a、及び第2の受け部6cの両方が形成されていると、フィルム10の左右両方向からの引き裂きができて、使い勝手が良い。
なお、図1Aと、図1Bとでは、重ね合わされる表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとの対応する位置が表示上左右反転している。したがって、図1Aにおいて例えば、表側フィルム10aの左側に配置された第1の受け部6aのみ有している(右側の第2の受け部6cが形成されていない)構成の場合には、図1Bの裏側フィルム10bの右端のみに開封端が形成されていれば良いということとなる。
開封補助線6を有さない場合には、引き裂かれるフィルム10の裂け目に加わる力は一定ではない。したがって、開封補助線6を有さない裏側フィルム10bの引き裂きの際に生じる裂け目の軌跡は不確定である。すなわち、裏側フィルム10bの未シール部5の領域内を伝播する裂け目によって形成される破断線は不確定である。そして、裏側フィルム10bの第2のシール部4が取り除かれた未シール部5は、不確定に形成される破断線によって、第1のシール部3を剥離する摘み部の他方を構成する。そして、裏側フィルム10bの破断線の軌跡は、表側フィルム10aの開封補助線6に沿った破断線の軌跡とは異なる。
このように、本実施形態に係る包装体1は、一方のフィルム10のみに開封補助線6を有する。このように構成される本実施形態に係る包装体1は、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bのそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間に段差ができて、それぞれの摘み部がつかみやすくなる。一方で、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bのそれぞれが引き裂かれる前の状態では包装体1が誤って開封される事態を防止することができる。更に、開封補助線6、及び開封ノッチ7は、未シール部5に形成されているため、内容物100の保護性に影響を及ぼさない。したがって、本実施形態によれば、内容物100の保護性に優れ、誤開封を防止しつつ、易開封性を有するとともに、その構造が単純で、製造が容易な包装体1を提供することができる。
本実施形態に係る包装体1を構成するフィルム10は、単層フィルムの形態であっても良く、複数の材料の積層された多層フィルムの形態であっても良い。フィルム10は例えば、表面層と、バリア層と、ヒートシール層とで構成される3層構造とすることができる。
表面層としては例えば、合成樹脂フィルムが用いられ、特に、一軸方向に方向性を有している一軸延伸熱可塑性合成樹脂フィルムや、一方向に比較して他方向の配向性が極めて大きい二軸延伸熱可塑性合成樹脂フィルムが用いられる。より具体的には、表面層としては例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタラート(PET:PolyEthylene Terephthalate)フィルムを用いることができる。これらの延伸フィルムは、延伸方向と、開封補助線6の延びる方向とが一致するように積層されることによって、フィルム10の引き裂きをより容易にし、かつその方向性をより安定化させることができる。表面層には、フィルム10の基材としての強度が要求される。表面層の厚さは、12μm〜16μmであることが好ましく、12μmであることがより好ましい。表面層の裏面には印刷層が設けられていても良い。
バリア層としては例えば、金属箔が用いられ、中でも、好ましくは、アルミニウム(Al)箔が用いられる。バリア層の厚さは、7μm〜9μmであることが好ましく、7μmであることがより好ましい。表面層と、バリア層とは、熱融着性樹脂、例えばポリエチレンを溶融押し出しして圧着することによって積層することができる。押し出しポリエチレン層の厚さは15μmであることが好ましい。更に、表面層と、バリア層とは、熱融着性樹脂の代わりに接着剤例えば、ポリウレタン系接着剤によるドライラミネーションによって積層しても良く、一般的な積層方法が利用できる。なお、酸素や、水蒸気等に対するバリア性の不要な内容物100の場合にはバリア層は省略されても構わない。
ヒートシール層は、熱によって溶融し、イージーピール性を呈するように相互に融着する材料であれば良い。より具体的には、ヒートシール層としては例えば、ポリエチレン(PE:PolyEthylene)フィルムを用いることができる。ヒートシール層の厚さは、30μm〜40μmであることが好ましく、30μmであることがより好ましい。バリア層と、ヒートシール層とは、熱融着性樹脂、例えばポリエチレンを溶融押し出しして圧着することによって積層することができる。押し出しポリエチレン層の厚さは15μmであることが好ましい。更に、バリア層と、ヒートシール層とは、熱融着性樹脂の代わりに接着剤例えば、ポリウレタン系接着剤によるドライラミネーションによって積層しても良く、一般的な積層方法が利用できる。
以上のように、本実施形態に係る包装体1を構成するフィルム10は例えば、PET(厚さ:12μm)/PE(押し出し15μm)/Al(7μm)/PE(押し出し15μm)/PE(30μm)の層構成とすることができる。
開封補助線6は、多層フィルムの内の単層(表層)のみに形成されるハーフカットの場合には、フィルム10の積層前に形成されると良い。しかしながら、ハーフカットの開封補助線6はフィルム10の積層後に形成することもできる。フィルム10の積層後であれば表層を含めた複数の層にハーフカットの開封補助線6を形成することもできる。一方で、開封補助線6は、全カットのミシン目の場合には、フィルム10の積層後に形成されると良い。開封補助線6は、全カット、及びハーフカットのいずれであっても、製袋後に、未シール部5となる箇所に適切に形成されていればその形成方法は問わない。開封補助線6は、例えばローラに設けられた刃をフィルム10に押し付けることによって形成することができる。
開封ノッチ7は、製袋時に形成されると良く、包装体1の製袋前であるフィルム10の積層後に形成されても構わない。開封ノッチ7は、製袋後に、開封補助線6に対応してフィルム10の未シール部5の箇所に適切に形成されていればその形成方法は問わず、例えばローラに設けられた刃をフィルム10に押し付けることによって形成することができる。
以上のような開封補助線6が表側フィルム10aに、開封ノッチ7が、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bに、それぞれ適宜位置に形成された各フィルム10から包装体1が製袋される。上述のように、本実施形態では、2枚の包装材が用いられ、それぞれの包装材が重ね合わされて製袋されている。しかしながら、1枚のフィルム10が折り曲げられて包装体1が製袋されても良い。包装体1の製袋時におけるフィルム10の接着は、接着剤が用いられる方法であっても構わない。しかしながら、フィルム10には、ヒートシール層として、例えばポリエチレンフイルムが用いられているため、フィルム10のヒートシール層が対向するように重ね合わされた上でヒートシール(熱融着)される方法であると製造が容易であり、好ましい。
なお、本実施形態に係る包装体1ではフィルム10に、易引き裂き性を有する材料が用いられても良い。フィルム10に用いられる易引き裂き性を有する包装材としては外層から順に、(印刷/)紙/PE(15μm)/Al(7μm)/PE(30μm)の積層体が例示される。基材としての紙にアルミニウム箔が貼りつけられた包装材は引き裂きが容易である。したがって、易引き裂き性を有する包装材自体が、フィルム10の引き裂きのきっかけである開封端となる。このような場合には、フィルム10の左右両端部に開封ノッチ7を必ずしも有していなくても構わない。ただし、開封端から延びる想定線11が開封補助線6との交点を有さないような位置からは開封しにくくする必要がある。なお、包装体1を構成する2枚の包装材が同材質か、異材質かは問わないものの、製造の容易さからは、同材質である方が良い。
次に、本実施形態に係る包装体1の開封方法を詳細に説明する。図2は、包装体1が開封されるに際し、引き裂かれている状態の一例が示された概略図である。図2に示されるように、包装体1の上辺側の左端が右側の方向に引っ張られることによって、包装体1の開封端である開封ノッチ7から、右側の方向を指し示す矢印cの方向、すなわち想定線11に沿って表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとがそれぞれ引き裂かれる。これによって、包装体1は、未シール部5の領域において、下側未シール部5aと、上側未シール部5bとに分断されていく。
表側フィルム10aの裂け目は、開封ノッチ7から、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描きながら未シール部5の上を伝播して例えば、第1の受け部6aの上側の直線に達し、破断線a1を形成する。更に、第1の受け部6aに沿った破断線a2、直線部6bに沿った破断線a3、第2の受け部6cに沿った破断線a4、及びa5を順次形成しながら裂け目は伝播していく。なお、図2では、第2の受け部6cの上側の直線に裂け目が伝播する例が示されており、後述される破断線bとの交点を境としてそれぞれ破断線a4、及びa5と称される。最後に、第2の受け部6cの端部から、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描きながら未シール部5の上を伝播する裂け目は表側フィルム10aの端部に達し、破断線a6を形成する。なお、以下では、必要に応じて、破断線a1、a2、a3、a4、a5及びa6はまとめて破断線aと称される。
一方で、裏側フィルム10bの裂け目は、開封ノッチ7から、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描きながら矢印cの方向に伝播して裏側フィルム10bの端部に達し、破断線bを形成する。
上述のように、開封補助線6、及び開封ノッチ7は、未シール部5の領域内、すなわち、第2のシール部4からは離間した位置に形成されている。このため、表側フィルム10aでは、上側未シール部5bの側に形成されている第2のシール部4は包装体1から切り離される。なお、包装体1のフィルム10の延伸方向は矢印cの方向と一致しており、フィルム10を容易に、かつ矢印cの方向に安定して引き裂くことができる。
図3は、包装体1が開封されるに際し、引き裂かれた後の状態の一例が示された概略図である。上述のように、包装体1は、未シール部5の領域において、下側未シール部5aと、上側未シール部5bとに分断される。包装体1から、第2のシール部4が切り離された後の状態においては下側未シール部5aが上端に位置する。このため、破断線a1、a2、a3、a4、a5、及びa6、並びに破断線bを上端として、下側未シール部5aを構成する表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが包装体1の全幅にわたって別々に離れた状態で露出する。
図3では、破断線bは、破断線a5、及びa6よりも下方に位置している例が示されている。そして、破断線bよりも上方に突出している領域8aには表側フィルム10aのみが存在する。一方で、図3では、破断線bは、破断線a1〜a4よりも上方に位置している例が示されている。そして、破断線a1〜a4よりも上方に突出している領域8bには裏側フィルム10bのみが存在する。したがって、領域8aを摘むと表側フィルム10aをつかむことができ、領域8bを摘むと裏側フィルム10bをつかむことができる。なお、破断線bは、引き裂きが進行するにつれてずれが集積しやすいため、引き裂きの終端付近において破断線aとの段差がよりできやすい。
このように、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとで、その破断線a1、a2、a3、a4、a5、及びa6と、破断線bとが異なる軌跡を描き、その形状が異なることで、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとがつかみやすくなる。そして、未シール部5の領域が密着してしまっている場合においても表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとをそれぞれ別個に確実につかむことができる。
なお、図3には、破断線a、及びbの一例が示されている。そして、実際には、破断線aは、第1の受け部6aや、第2の受け部6cを構成する下側の直線を裂け目が伝播する場合もある。更に、破断線bに、例示とは異なる上下方向のずれが生じたり、傾斜が生じたりする場合もある。しかしながら、本実施形態の包装体1においては、破断線aと、破断線bとの間に段差が生じることによって、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが別個につかむことができるように構成されてさえいれば良い。
図4は、包装体1が開封されるに際し、重ね合わされたフィルム10の密封箇所が剥離されていく状態の一例が示された概略図である。表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとは第1のシール部3を剥離するための摘み部9を構成する。そして、図4の手前側と、奥側とをそれぞれ指し示す矢印で示されるように、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとで構成される摘み部9がそれぞれ表方向と、裏方向とに離れるように引っ張られる。これによって、第1のシール部3が剥離し、内容物収納部2に保持されている内容物100が取り出される。その際に、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが確実につかまれているため、包装体1の開封が容易に行える。
なお、第2のシール部4が切り離された際に、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとがそれぞれ表方向と、裏方向とに離反するように形状が記憶された構成とされていても良い。このような構成によって摘み部9としての表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとがより摘みやすくなる。
以上のように、本実施形態に係る包装体1の構成によれば、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bの2枚それぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線aと、破断線bとの間に段差ができて、それぞれの摘み部9がつかみやすくなる。一方で、フィルム10が引き裂かれる前の状態では包装体1が誤って開封される事態を防止することができる。したがって、一方のフィルム10にのみ開封補助線6を有する単純な構成でありながら、内容物100の保護性に優れ、誤開封を防止しつつ、形成されるつかみやすい摘み部9によって易開封性が付与されるとともに、その加工が簡便な包装体1を提供することができる。
次に、包装体1の変形例の構成を詳細に説明する。なお、以下では、上述の実施形態と同一の構成、及び効果についての説明を適宜省略し、上述の実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
図5は、包装体1の第1の変形例であって、図5Aは、包装体1の表側が示された平面図であり、図5Bは、包装体1の裏側が示された平面図である。第1の変形例に係る包装体1は、一方のフィルム10である表側フィルム10aの未シール部5には、第2のシール部4に沿った方向に曲線状に延びる開封補助線6dを有する。開封補助線6dは、上述された開封補助線6と同様に、ハーフカットや、ミシン目等の弱め線の加工がなされたものである。一方で、第1の変形例に係る包装体1は、他方のフィルム10である裏側フィルム10bの未シール部5には開封補助線6dを有さない。
更に、第1の変形例に係る包装体1は、表側フィルム10aの未シール部5、及び裏側フィルム10bの未シール部5には、各フィルム10の少なくとも一方の端部に開封端としての破断構造13を有する。開封ノッチ7に替えて破断構造13が形成されることによって、フィルム10の引き裂きは容易のままに、両方のフィルム10の開封端に上下方向の幅を持たせることができる。
破断構造13は、他の領域と比べて強度や、剛性等が弱められ、人の手によってフィルム10を容易に引き裂くことが可能とされたものである。破断構造13は、多数の構成要素例えば傷痕が配置されて帯状をなす。破断構造13が、包装体1の外縁に沿って形成されることによって、包装体1は、その外縁からフィルム10を引き裂くことが可能に構成される。なお、傷痕は、未シール部5に形成されていて、内容物100の収納(保護性の確保)とは無関係であるため、フィルム10の厚さ方向に完全に貫通したもの、貫通していないもの、又はこれら双方の混在したものであっても良い。
ここで、破断構造13を有する構成の包装体1の開封端から、裂け目が進行(伝播)すると想定される方向へと延びる領域は想定域11aと称される。なお、想定域11aは、上述の想定線11において、上下幅方向の成分を有するものであり、その幅は、破断構造13の上下幅に相当する。図5Aには、フィルム10の端部の付近から第2のシール部4に沿った方向に延びる想定域11aが示されている。
第1の変形例に係る開封補助線6dは上述の開封補助線6と同様に、想定域11a(想定線11)との交点を有して、表側フィルム10aの外縁を除いた未シール部5に形成される。そして、開封補助線6dは、想定域11aと傾斜角を有して交差し、想定域11aよりも第1のシール部3の側、及び第2のシール部4の側にそれぞれ跨って形成される。図5A、及び図5Bに例示される第1の変形例に係る包装体1は、未シール部5の領域内の左右両端部にそれぞれ長方形状の破断構造13を有し、表側フィルム10aの両端の破断構造13を結ぶ想定域11aに対して2箇所で交点を有して下方向に凸の弧形の開封補助線6dを有している。
開封補助線6dの始点は、想定域11aよりも第1のシール部3側、及び第2のシール部4側の少なくともいずれかにはみ出た位置とされることが好ましい。一方で、始点から延びる開封補助線6dは想定域11aと速やかに交差して、想定域11aよりも第1のシール部3側や、第2のシール部4側の始点とは逆側にはみ出るように形成されることが好ましい。こうすることで、表側フィルム10aの破断構造13から伝播する裂け目が、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描いたとしても開封補助線6dに早い段階で確実に到達するように構成することができる。
このように、開封補助線6dは、表側フィルム10aが引き裂かれる際に伝播する裂け目を開封補助線6d上に早い段階で確実に誘導する機能を有する。そして、開封補助線6dに沿って形成される破断線は、表側フィルム10aの上下方向に大きく湾曲した形状となる。そして、第2のシール部4が取り除かれた表側フィルム10aの未シール部5は、開封補助線6dに沿った裂け目による破断線が端部となり、第1のシール部3を剥離する摘み部9(図4参照)の一方を構成する。
一方で、開封補助線6dを有さない裏側フィルム10bの引き裂きの際に生じる裂け目の軌跡は不確定である。すなわち、裏側フィルム10bの未シール部5の領域内を伝播する裂け目によって形成される破断線は不確定である。そして、裏側フィルム10bの第2のシール部4が取り除かれた未シール部5は、不確定に形成される破断線によって、第1のシール部3を剥離する摘み部9(図4参照)の他方を構成する。そして、裏側フィルム10bの破断線の軌跡は、表側フィルム10aの開封補助線6に沿った破断線の軌跡とは異なる。
したがって、表側フィルム10aに開封補助線6dを有し、裏側フィルム10bに開封補助線6dを有さない構成によれば、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bのそれぞれに形成される破断線の間により段差ができて、それぞれの摘み部9(図4参照)がよりつかみやすくなる。
なお、開封補助線6dと、想定域11aとによって形成される角度は、上述された第1の受け部6a、及び第2の受け部6cを構成する各線と、想定線11とのなす角αと同様の範囲であることが好ましい。更に、開封補助線6dは複数であっても構わない。更に、開封補助線6dは、上述の開封補助線6のような直線と組み合わされた形状であっても良い。開封補助線6dは、上述された直線部6bや、第1の受け部6a、第2の受け部6cと置き換えることもできる。
図5A、及び図5Bでは、破断構造13が明確に示されているものの、実際の破断構造13は、多数の微細な傷痕が不規則に配置され、かつそれらの構成要素は認識しにくい。しかも、破断構造13は、包装体1のフィルム10の全面ではなく予め定められた範囲に形成されている。したがって、その範囲は容易には認識できない。
このため、フィルム10は、破断構造13の目印14を有していても良い。図5A、及び図5Bの例示では、フィルム10の外表面側に、破断構造13の領域の外周を示す線が目印14として描かれている。なお、包装体1は、開封端さえ認識できれば良いため、目印14は、破断構造13の領域全体ではなく、フィルム10の端部付近のみに描かれても良い。目印14を有する構成によって、破断構造13の領域の視認性を向上させることができる。なお、目印14は、破断構造13の領域が認識できれば良く、外周を示す線に限らず、領域の塗りつぶし等であっても良い。
破断構造13の構成要素例えば傷痕は、フィルム10を貫通しない構造の場合にはフィルム10の積層前に形成されると良く、一方で、フィルム10を貫通する構造の場合には、フィルム10の積層後に形成されると良く、製袋時に形成されても構わない。傷痕は、引き裂きの起点となる構造として多数形成されていればその形成方法は問わず、例えばローラに設けられた多数の凸状の刃をフィルム10(貫通)、又はその表面層(非貫通)に押し付けることによって形成することができる。傷痕は、フィルム10から包装体1が形成された際に、所望とされるフィルム10の引き裂きの起点となるような位置に形成される。
なお、破断構造13は、裏側フィルム10bの一方の端部と、他方の端部との間に延びて構成されていても良い。すなわち、破断構造13は、第2のシール部4の下方で、第2のシール部4に沿って、未シール部5の領域内の全幅に、帯状、例えば長方形状に形成されていても良い。このように構成されることによって、裏側フィルム10bを引き裂きやすくすることができるとともに、破断構造13の形成時に、フィルム10の位置決めを行わなくて済むため、包装体1の製造がより容易となる。
図6は、図5の包装体1が開封されるに際し、引き裂かれた後の状態の一例が示された概略図である。上述のように、包装体1は、未シール部5の領域において、下側未シール部5aと、上側未シール部5bとに分断される。包装体1から、第2のシール部4が切り離された後の状態においては下側未シール部5aが上端に位置する。このため、破断線a7、a8、及びa9、並びに破断線bを上端として、下側未シール部5aを構成する表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが包装体1の全幅にわたって別々に離れた状態で露出する。
なお、破断線a7は開封端から、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描きながら未シール部5の上を伝播して開封補助線6dに達するまでの裂け目である。破断線a8は、開封補助線6dに沿った裂け目であり、下に凸の形状である。破断線a9は、破断線bとの交点から、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描きながら未シール部5の上を表側フィルム10aの端部に達するまで伝播する裂け目である。
破断線bは、破断線a7、及びa8よりも上方に位置する。そして、破断線a8よりも上方に突出している平面視で略谷の形状の領域8bには裏側フィルム10bのみが存在する。したがって、領域8bを摘むと裏側フィルム10bをつかむことができる。一方で、破断線bは、破断線a9よりも下方に位置する。そして、破断線bよりも上方に突出している領域8aには表側フィルム10aのみが存在する。したがって、領域8aを摘むと表側フィルム10aをつかむことができる。なお、破断線a7と、破断線bとの間の段差の形成については不確定である。
曲線状、特に、表側フィルム10aの上下方向に大きく湾曲した弧形の開封補助線6dに沿って形成される破断線a8によって、包装体1の中央には、裏側フィルム10bのみが存在する大きな領域8bが形成される。そして、領域8bをつかんで裏側に倒すと、たとえ、領域8aが、小さく形成されたとしても容易につかめる。
このように、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとで、その破断線a7、a8、及びa9と、破断線bとが異なる軌跡を描き、その形状が異なることで、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとがつかみやすくなる。そして、未シール部5の領域が密着してしまっている場合においても表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとをそれぞれ別個に確実につかむことができる。なお、逆側(図6においては右側)からフィルム10が引き裂かれた場合にも形成される段差は略同じである。
なお、図6には、破断構造13から、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描きながら未シール部5の上を伝播する破断線a7、及びbの一例が示されている。そして、実際には、破断線a7、及びbに、例示とは異なる上下方向のずれが生じたり、傾斜が生じたりする場合もある。しかしながら、本実施形態の包装体1においては、特に破断線a8と、破断線bとの間に段差が生じることによって、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが別個につかむことができるように構成されてさえいれば良い。
このように、第1の変形例に係る包装体1は、上述された開封補助線6を有する包装体1と同様の効果を奏する。更に、開封補助線6dは、曲線からなる構成によれば、簡便な加工によって、表側フィルム10aの破断構造13から伝播する裂け目を開封補助線6dにより確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルム10のそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線a8、及びa9と、破断線bとの間における段差をより大きくすることができる。
特に、開封補助線6dを構成する曲線は、弧形である構成によれば、より簡便な設計で、表側フィルム10aの破断構造13から伝播する裂け目を開封補助線6dにより確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルム10のそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線a8、及びa9と、破断線bとの間における段差をより大きくすることができる。
更に、包装体1の開封端として破断構造13を有する構成によって、フィルム10の引き裂きは容易のままに、両方のフィルム10の開封端に上下方向の幅を持たせることができる。
本実施形態に係る包装体1では開封端が包装体1の左右の外縁から離れた位置に形成されても良い。図7は、包装体1の第2の変形例であって、図7Aは、包装体1の表側が示された平面図であり、図7Bは、包装体1の裏側が示された平面図である。図7A、及び図7bに例示された第2の変形例に係る包装体1は、包装体1の左右の外縁からは離間した位置に、重ね合わされたフィルム10の未シール部5を貫通する開封端としての切り込み12を有する。逆に、第2の変形例に係る包装体1のフィルム10の外縁には開封端を有さない。
切り込み12はIノッチ状に形成される。切り込み12は、包装体1の左右の幅方向に延びる。切り込み12は、フィルム10の端部とは接していないため、そのままの状態では、フィルム10の引き裂きのきっかけとはならない。一方で、切り込み12と交差するように包装体1が折り曲げられることによってフィルム10の引き裂きのきっかけとして機能するように構成されている。すなわち、切り込み12は、包装体1に、易開封性と、対小児安全性とを兼ね備えた、いわゆるチャイルドレジスタント(チャイルドプルーフ)・シニアフレンドリー機能を付与する。したがって、第2の変形例に係る包装体1は、易開封性を有しつつ、内容物100の対象外、例えば幼児が、包装体1を簡単に開封する事態を抑止する効果を奏するように構成される。
上述された第1の変形例に係る包装体1の構成においても一定の水準で、チャイルドレジスタント機能を有している。しかしながら、第2の変形例に係る包装体1においてはチャイルドレジスタント機能をより強固なものとすることができる。第2の変形例に係る包装体1は、例えば、米国規格の16CFR1700や、欧州規格のEN14375(医薬品)、及びEN862(医薬品以外)等に適合したものとすることもできる。
切り込み12は、包装体1の折り曲げの目印としての機能も有する。更に、切り込み12は、折り曲げられた包装体1の開封端の視認性を向上させる機能も有する。したがって、図7Aに例示された包装体1の切り込み12は、包装体1が意図せず開封されてしまうという事態を抑止しながら破断の開始点を認識しやすくすることができる。
なお、上述の図5に例示された第1の変形例に係る包装体1では破断構造13に対応した箇所に目印14が描かれている。しかしながら、切り込み12が設けられる第2の変形例に係る包装体1の構成においては切り込み12が、包装体1の折り曲げの目印としての機能を有するため、目印14が省略されても良い。したがって、第2の変形例に係る包装体1はその製造において、目印を作製する工程を省いて製造をより高速、かつ簡便にすることができるという効果も有している。
切り込み12は、重ね合わされたフィルム10の未シール部5の領域に少なくとも1箇所設けられれば良い。切り込み12に替えて他の形態、例えばひし形等の開口部が設けられるという選択肢もある。しかしながら、製造過程で生じる廃棄物を減少させることや、内容物100の対象外にとって開封端の存在を分かりにくくするという観点から形態は開口部よりも切り込み12であることが好ましい。
図7Aにも例示されるように、切り込み12から裂け目が進行(伝播)すると想定される方向へと延びる線は想定線11bと称される。第2の変形例に係る開封補助線6eは上述の開封補助線6と同様に、想定線11bとの交点を有して、表側フィルム10aの外縁を除いた未シール部5に形成される。そして、開封補助線6eは、想定線11bと傾斜角を有して交差し、想定線11bよりも第1のシール部3の側、及び第2のシール部4の側にそれぞれ跨って形成される。
図7Aに例示される第2の変形例に係る包装体1は、表側フィルム10aの上下方向に振幅を有して第2のシール部4に沿った方向に延び、想定線11bに対して4箇所で交点を有する波形の開封補助線6eを有している。開封補助線6eも、ハーフカットや、ミシン目等の弱め線の加工がなされたものである。一方で、第2の変形例に係る包装体1も、裏側フィルム10bの未シール部5には開封補助線6eを有さない。
なお、開封補助線6eの始点の位置、及び始点から延びる開封補助線6eが想定線11bと速やかに交差する構成、開封補助線6eと、想定線11bとの角度等については上述された開封補助線6dと同様である。更に、図7Aにおいては、開封補助線6eの振幅や、波長が一定に設けられているものの、これらは一定ではなく変化しても構わない。そして、開封補助線6eの振幅や、波長の大きさ等は、裂け目が、開封補助線6e上を確実に伝播して、段差が確実に形成される範囲で適宜設計される。更に、開封補助線6eは複数であっても構わない。更に、開封補助線6eは、上述の開封補助線6のような直線と組み合わされた形状であっても良い。開封補助線6eは、上述された直線部6bや、第1の受け部6a、第2の受け部6cと置き換えることもできる。
そして、開封補助線6eは、表側フィルム10aが引き裂かれる際に伝播する裂け目を開封補助線6e上に早い段階で確実に誘導する機能を有する。そして、開封補助線6eに沿って形成される破断線は、表側フィルム10aの上下方向に大きく振幅した形状となる。そして、第2のシール部4が取り除かれた表側フィルム10aの未シール部5は、開封補助線6eに沿った裂け目による破断線が端部となり、第1のシール部3を剥離する摘み部9(図4参照)の一方を構成する。
一方で、開封補助線6eを有さない裏側フィルム10bの引き裂きの際に生じる裂け目の軌跡は不確定である。すなわち、裏側フィルム10bの未シール部5の領域内を伝播する裂け目によって形成される破断線は不確定である。そして、裏側フィルム10bの第2のシール部4が取り除かれた未シール部5は、不確定に形成される破断線によって、第1のシール部3を剥離する摘み部9(図4参照)の他方を構成する。そして、裏側フィルム10bの破断線の軌跡は、表側フィルム10aの開封補助線6に沿った破断線の軌跡とは異なる。
したがって、表側フィルム10aに開封補助線6eを有し、裏側フィルム10bに開封補助線6eを有さない構成によれば、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bのそれぞれに形成される破断線の間により確実に段差ができて、それぞれの摘み部9(図4参照)がよりつかみやすくなる。
なお、切り込み12は、表側フィルム10aの左右の幅方向の中央付近に形成されていても良い。その場合には、切り込み12の左右両側に開封補助線6eが形成されるとなお良い。その際には、開封補助線6eは、切り込み12を中心として対称に形成されると良い。しかしながら、切り込み12が中央付近に形成されていると、合わせて4枚のフィルム10を同時に引き裂くこととなるため、引き裂きやすさの観点から切り込み12は、表側フィルム10aの左右の幅方向の中央よりも左右両端付近に形成されることが好ましい。
次に、第2の変形例に係る包装体1の開封方法を詳細に説明する。図8は、図7の包装体1が開封されるに際し、折り曲げられた状態の一例が示された概略図である。
まず、図8の矢印で示されるように、包装体1の左右の幅方向に延びる切り込み12を横切るように包装体1が、上下方向に沿って折り曲げられる。これによって、切り込み12を上下方向に横切るように折り目fが形成されて、切り込み12が、包装体1の端部に位置することとなる。そして、切り込み12から、包装体1の左右の幅方向に延びる図8中の矢印cに沿ってフィルム10を引き裂くことができる。切り込み12は目視で容易に確認できるため、図5に示された目印14がなくても開封端を容易に把握することができる。なお、図8では、簡単のために、包装体1の上端から下端まですべてが折り曲げられた例が示されているものの、実際には、少なくとも、切り込み12の箇所だけが折り曲げられれば、他の箇所は、折り曲げられなくても構わない。
図9は、図7の包装体1が開封されるに際し、引き裂かれた後の状態の一例が示された概略図である。上述のように、包装体1は、未シール部5の領域において、下側未シール部5aと、上側未シール部5bとに分断される。包装体1から、第2のシール部4が切り離された後の状態においては下側未シール部5aが上端に位置する。このため、破断線a0、a10、a11、a12、a13、a14、及びa15、並びに破断線b0、及びb1を上端として、下側未シール部5aを構成する表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが包装体1の全幅にわたって別々に離れた状態で露出する。なお、破断線a0、a10、及びa15は、略水平方向に延びる形状であり、裂け目が開封補助線6上に誘導されて形成された破断線a12、及びa14は上に凸の山の形状であり、同様に、裂け目が開封補助線6上に誘導されて形成された破断線a11、及びa13は下に凸の谷の形状である。
破断線a12、a14、及びa15は、破断線b1よりも上方に位置する。そして、破断線b1よりも上方に突出している領域8aには表側フィルム10aのみが存在する。一方で、破断線b1は、破断線a10、a11、及びa13よりも上方に位置する。そして、破断線a10、a11、及びa13よりも上方に突出している領域8bには裏側フィルム10bのみが存在する。したがって、領域8aを摘むと表側フィルム10aをつかむことができ、領域8bを摘むと裏側フィルム10bをつかむことができる。なお、破断線a10と、破断線b1との間、及び切り込み12から逆方向に延びる破断線a0と、破断線b0との間の段差の形成については不確定である。
このように、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとで、特に、その破断線a11、a12、a13、及びa14と、破断線b1とが異なる軌跡を描き、その形状が異なることで、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとがつかみやすくなる。そして、未シール部5の領域が密着してしまっている場合においても表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとをそれぞれ別個に確実につかむことができる。
なお、図9には、破断線b1の一例が示されている。そして、実際には、破断線b1に、例示とは異なる上下方向のずれが生じたり、傾斜が生じたりする場合もある。しかしながら、本実施形態の包装体1においては、破断線a11、a12、a13、及びa14と、破断線b1との間に段差が生じることによって、表側フィルム10aと、裏側フィルム10bとが別個につかむことができるように構成されてさえいれば良い。
このように、第2の変形例に係る包装体1も、上述された開封補助線6を有する包装体1と同様の効果を奏する。更に、開封補助線6eを構成する曲線は、波形である構成によれば、表側フィルム10aの切り込み12から伝播する裂け目を開封補助線6eにより確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルム10のそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間における段差をより形成しやすくすることができる。更に、未シール部5の領域内の外縁から離れた位置に切り込み12を備える構成によれば、易開封性を有しつつ、例えば幼児が、包装体1を簡単に開封する事態を抑止することができる。
本実施形態に係る包装体1は、一方のフィルム10の未シール部5に開封補助線6を複数有していても良い。図10は、包装体1の第3の変形例であって、図10Aは、包装体1の表側が示された平面図であり、図10Bは、包装体1の裏側が示された平面図である。第3の変形例に係る包装体1は、表側フィルム10aの未シール部5に、第2のシール部4に沿った方向に各々が延びる複数の開封補助線6fを有する。図10Aには、表側フィルム10aに、全部で7本の平行な直線の開封補助線6fを有する包装体1が例示されている。複数の開封補助線6fは、ハーフカットや、ミシン目等の弱め線の加工がなされたものである。
更に、第1の変形例に係る包装体1は、表側フィルム10aの未シール部5、及び裏側フィルム10bの未シール部5には、包装体1の左右の外縁からは離間した位置に開封端としての破断構造13aを有する。上述された切り込み12に替えて破断構造13aが形成されることによって、フィルム10の引き裂きは容易のままに、両方のフィルム10の開封端に上下方向の幅を持たせることができる。図10A、及び図10Bには、第2のシール部4の下方で、未シール部5の領域内にそれぞれ形成された長方形状の破断構造13aが例示されている。更に、上述の図5に例示された第1の変形例と同様に、破断構造13aに対応した箇所に目印14aが描かれていても良い。破断構造13aは、上述された切り込み12と同様に包装体1に、チャイルドレジスタント機能を付与する。
図10Aには、破断構造13aから第2のシール部4に沿った方向に延びる想定域11cが示されている。開封補助線6fは、少なくとも1つの線が想定域11c(想定線11)との交点を有して、表側フィルム10aの外縁を除いた未シール部5に形成されていれば良い。
図10Aには、開封補助線6fを構成する7本の線の内で5本の線が想定域11cの範囲内に有する包装体1が例示されている。したがって、これらの5本の線が想定域11cとの交点を有していると言える。なお、図10Aにおいては、7本の開封補助線6fの各線がすべて平行に設けられているものの、各線がすべて斜めに形成されていても良く、各線同士が平行でなくても構わない。
複数の開封補助線6fは、表側フィルム10aが引き裂かれる際に伝播する裂け目を開封補助線6fのいずれかの線上に誘導する機能を有する。そして、包装体1の表側フィルム10aは、未シール部5に設けられた開封補助線6fのいずれかを境に、内容物収納部2や第1のシール部3側と、第2のシール部4側とに容易に分断することができる。したがって、表側フィルム10a上を伝播する裂け目によって形成される破断線は未シール部5の領域内において開封補助線6fのいずれかに沿った形状となる。そして、第2のシール部4が取り除かれた表側フィルム10aの未シール部5は、開封補助線6fのいずれかに沿った裂け目による破断線が端部となり、第1のシール部3を剥離する摘み部9(図4参照)の一方を構成する。このように、複数の開封補助線6fを有する構成によれば、簡便な加工によって、開封補助線6fのいずれかに沿った破断線をより確実に形成することができる。
なお、複数の開封補助線6fの内で最も下側に位置する線は、第1のシール部3の上端からある程度の間隔を有していることが好ましい。これは、包装体1から、第2のシール部4が取り除かれた際に、少なくとも開封補助線6fの最も下側に位置する線と、第1のシール部3との間が摘み部9(図4参照)となり、そのつかみやすさが左右されるからである。
少なくとも最も下側の開封補助線6fの始点(破断構造13aに近い側を始点とする)、及び最も上側の開封補助線6fの始点はそれぞれ、想定域11aよりも第1のシール部3側、及び第2のシール部4側にはみ出て形成されることが好ましい。これによって、表側フィルム10aの破断構造13aから伝播する裂け目が、包装体1の上下方向に無作為にぶれが生じた軌跡を描いたとしても開封補助線6fに確実に到達するように構成することができる。なお、開封補助線6f、及び破断構造13aの位置は、第1のシール部3、及び第2のシール部4からは離間していることが好ましい。
一方で、開封補助線6fを有さない裏側フィルム10bの引き裂きの際に生じる裂け目の軌跡は不確定である。すなわち、裏側フィルム10bの未シール部5の領域内を伝播する裂け目によって形成される破断線は不確定である。そして、裏側フィルム10bの第2のシール部4が取り除かれた未シール部5は、不確定に形成される破断線によって、第1のシール部3を剥離する摘み部9(図4参照)の他方を構成する。そして、裏側フィルム10bの破断線の軌跡は、表側フィルム10aの開封補助線6に沿った破断線の軌跡とは異なる。
したがって、表側フィルム10aに複数の開封補助線6fを有し、裏側フィルム10bに開封補助線6fを有さない構成によれば、表側フィルム10a、及び裏側フィルム10bのそれぞれに形成される破断線の間により確実に段差ができて、それぞれの摘み部9(図4参照)がよりつかみやすくなる。
なお、破断構造13aに替えて、上述された開封ノッチ7や、切り込み12が設けられる場合には、想定線11の上方、及び下方の両方に開封補助線6fの各線が存在するように配置されれば良い。
このように、第3の変形例に係る包装体1も、上述された開封補助線6を有する包装体1と同様の効果を有する。更に、開封補助線6fは、少なくとも1つの線が想定域11c(想定線11)との交点を有する複数の線からなる構成によれば、表側フィルム10aの破断構造13aから伝播する裂け目を開封補助線6fにより確実に到達させるとともに、表裏2枚のフィルム10のそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線の間により段差ができて、それぞれの摘み部9(図4参照)がよりつかみやすくなる。更に、フィルム10の開封端が設けられる位置の許容幅が大となり、製造をより容易にすることができる。
なお、以上に説明がなされた本実施形態に係る包装体1や、その変形例等は、矛盾の生じない範囲で自由に組み合わせることができる。例えば、開封補助線6を有する図1Aの包装体1において、その開封端を図10に示された破断構造13aとしてチャイルドレジスタント機能を付与することが可能である。
以上に説明がなされたように、重ね合わされたフィルム10で内容物100を保持する包装体1において、包装体1は、周囲が、第1のシール部3によってシールされ、内容物100を保持する内容物収納部2と、包装体1の外縁の少なくとも一部と接する第2のシール部4と、第1のシール部3と、第2のシール部4との間にある未シール部5とを備え、一方のフィルム10である表側フィルム10aの未シール部5、及び他方のフィルム10である裏側フィルム10bの未シール部5にはそれぞれ開封手段(開封端)としての開封ノッチ7や、破断構造13、及び13a、切り込み12等を有し、開封端から第2のシール部4に沿った方向に延びてフィルム10の破れ方向に相当する想定線11、11b(想定域11a、11c)に対し、交点を有する開封補助線6、6a〜6fを表側フィルム10aの外縁を除いた未シール部5に有し、表側フィルム10aの未シール部5は、開封補助線6、6a〜6fに沿った裂け目が端部(破断線a、及びa0〜a15)となり、第1のシール部3を剥離する摘み部9の一方を構成する。
そして、本実施形態に係る構成によれば、表裏2枚のフィルム10のそれぞれが引き裂かれることによって形成されるそれぞれの破断線a、及びb、特に破断線a、a2〜a6、a8〜a9、a11〜a15と、破断線b、b1との間に段差ができて、それぞれの摘み部9がつかみやすくなる。一方で、フィルム10が引き裂かれる前の状態では包装体1が誤って開封される事態を防止することができる。したがって、一方のフィルム10(表側フィルム10a)にのみ開封補助線6を有する単純な構成でありながら、内容物100の保護性に優れ、誤開封を防止しつつ、形成されるつかみやすい摘み部9によって易開封性が付与されるとともに、その加工が簡便な包装体1を提供することができる。
本開示は、重ね合わされたフィルムで内容物を収容する包装体に好適に利用することができる。しかしながら、本開示は、上述された実施形態、及び変形例に限定されるものではない。本開示の包装体は、内容物として特に、医薬品、化粧品等の非食品、栄養機能食品、栄養補助食品、香辛料等の刺激性物質を含む食材、その他を収容したあらゆる包装体に有用である。
1 包装体
2 内容物収納部
3 第1のシール部
4 第2のシール部
5 未シール部
5a 下側未シール部
6、6a、6b、6c、6d、6e、6f 開封補助線
7 開封ノッチ(開封手段)
8a 表側フィルムのみが存在する領域
8b 裏側フィルムのみが存在する領域
9 摘み部
10 フィルム
10a 表側フィルム
10b 裏側フィルム
11、11b 想定線
11a、11c 想定域
12 切り込み
13、13a 破断構造(開封手段)
100 内容物
a、a0〜a15 表側フィルムの破断線
b、b0、b1 裏側フィルムの破断線
2 内容物収納部
3 第1のシール部
4 第2のシール部
5 未シール部
5a 下側未シール部
6、6a、6b、6c、6d、6e、6f 開封補助線
7 開封ノッチ(開封手段)
8a 表側フィルムのみが存在する領域
8b 裏側フィルムのみが存在する領域
9 摘み部
10 フィルム
10a 表側フィルム
10b 裏側フィルム
11、11b 想定線
11a、11c 想定域
12 切り込み
13、13a 破断構造(開封手段)
100 内容物
a、a0〜a15 表側フィルムの破断線
b、b0、b1 裏側フィルムの破断線
Claims (9)
- 重ね合わされたフィルムで内容物を保持する包装体において、
前記包装体は、
周囲が、第1のシール部によってシールされ、前記内容物を保持する内容物収納部と、
前記包装体の外縁の少なくとも一部と接する第2のシール部と、
前記第1のシール部と、前記第2のシール部との間にある未シール部と
を備え、
一方の前記フィルムの前記未シール部、及び他方の前記フィルムの前記未シール部にはそれぞれ開封手段を有し、
前記開封手段から前記第2のシール部に沿った方向に延びて前記フィルムの破れ方向に相当する想定線に対し、交点を有する開封補助線を前記一方のフィルムの前記外縁を除いた前記未シール部に有し、
前記一方のフィルムの前記未シール部は、前記開封補助線に沿った裂け目が端部となり、前記第1のシール部を剥離する摘み部の一方を構成することを特徴とする
包装体。 - 前記開封補助線は、前記想定線から間隔を有してそれぞれ配置される複数の線が前記破れ方向に進むにつれて集まるように形成されることを特徴とする
請求項1に記載の包装体。 - 前記開封補助線は、曲線からなることを特徴とする
請求項1に記載の包装体。 - 前記曲線は、弧形であることを特徴とする
請求項3に記載の包装体。 - 前記曲線は、波形であることを特徴とする
請求項3に記載の包装体。 - 前記開封補助線は、少なくとも1つの線が前記想定線との前記交点を有する複数の線からなることを特徴とする
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の包装体。 - 前記開封手段は、前記外縁から離れた位置に形成されることを特徴とする
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の包装体。 - 前記開封手段は、切り込み、及び破断構造のいずれかであることを特徴とする
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の包装体。 - 前記開封補助線は、ハーフカット、及びミシン目のいずれかであることを特徴とする
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の包装体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110809552A (zh) * | 2017-06-16 | 2020-02-18 | 凸版印刷株式会社 | 包装袋 |
JP2020505281A (ja) * | 2017-01-23 | 2020-02-20 | ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッドBritish American Tobacco (Investments) Limited | タバコ産業製品用ラッパー |
JP2020104871A (ja) * | 2018-12-26 | 2020-07-09 | 株式会社ベルグリーンワイズ | 青果物の鮮度保持用収納袋 |
-
2014
- 2014-12-04 JP JP2014245575A patent/JP2016108005A/ja active Pending
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