JP2016107701A - 接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】T字形の接合部に作用する曲げ荷重に対する剛性を向上できるようにする。【解決手段】接合構造は、第1部材10に第2部材20が接合され、T字形状をなし、第1上面11a及びフランジ25が、接合部30a、30bで接合される。第1湾曲リブ15a、16aは、第1上面11aの裏側面に設けられ、角部22b、23bを起点として、第2部材20から離れ、第1方向に湾曲して第1方向に延びる。第2湾曲リブ15b、16bは、第1湾曲リブ15a、16aに対向する。第1湾曲リブ15a、16a及び第2湾曲リブ15b、16bは、2点で交差して、囲い領域15c、16cを画定する。囲い領域15c、16cは、接合部30a、30bの接合領域に重なる。【選択図】図4

Description

本発明は、繊維強化樹脂材料からなる2つの部材をT字形に接合する接合構造に関する。
車体の骨格を構成する部材を接合する構造には、部材がT字状に交差するような接合構造がある。例えば、サイドメンバーとクロスメンバーの接合部は、T字形の接合構造となる。サイドメンバーは、車両前後方向に延びる部材で、クロスメンバーは、車幅方向に延びる部材である。これらの部材の接合部は曲げ荷重やねじり荷重を受けるため、当該接合部を補強部材等で補強することがある。このような補強部材には、強度を向上させると共に、応力を分散させることも求められている。これらの部材の接合については、例えば特許文献1に開示されているように、骨格部材の接合部にリブを設ける技術が知られている。
一方で、車両の燃費性能向上や動力性能向上のために、車体の軽量化の重要性が近年増している。車体の軽量化の一つの手法として、例えば金属材料の代わりに繊維強化樹脂材料等を用いるような、より比重の小さい材料を使う材料置換がある。
材料置換に有効な材料として、樹脂材料がある。樹脂材料は、鉄やアルミニウム等の金属材料に比べて比重が小さいが機械特性では劣る。そこで、樹脂材料の機械特性を補うために、炭素繊維やガラス繊維等で樹脂材料を強化した材料が、繊維強化樹脂材料である。繊維強化樹脂材料からなる骨格部材を、車体のような複雑な骨格部材に用いる場合には、材料同士を接合する必要が生じる。材料同士を接合するには、力学的に理想的な位置を狙って接合することが重要である。しかし、現実的には狙った接合位置から一定のばらつきが生じ、剛性、強度等の力学的な性能低下が発生する。このため、当該ばらつきを許容できる接合技術が要求されている。
特許第3985657号公報
上記文献で開示されている構造は、リブの交点に設けたボス部でボルト結合することを前提としている。このような構造を、繊維強化樹脂材料同士の接合部に適用することは、コスト増、重量増の観点から好ましくない。そのため、繊維強化樹脂材料同士は、主に接着接合等により接合される。さらに、熱可塑性繊維強化樹脂材料の場合には、接着接合の他にも、熱融着接合により接合する方法もある。熱融着接合の方法には、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着、レーザー溶着等の手法がある。また、上記文献に開示されているような接合構造を用いて、接合位置等のばらつきの問題を考慮して、繊維強化樹脂材料同士を接合することは困難である。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、繊維強化樹脂材料からなる部材がT字形に接合される構造について、接合位置のばらつきを許容でき、接合部における荷重を効率よく分散できる接合構造を提供することである。
上記目的を達成するため本発明に係る接合構造は、繊維強化樹脂材料からなり第1方向に延びる長尺の第1部材に、繊維強化樹脂材料からなり前記第1方向に垂直な第2方向に延びる長尺の第2部材を接合する接合構造であって、前記第1部材には、前記第1方向に延びる平坦な第1主面と、前記第1方向に延び前記第1主面に垂直な側壁面とが設けられ、前記第1部材は、L字形の横断面形状を有し、前記第2部材には、前記第1主面に隣接し、前記第2方向に延びる平坦な第2主面が設けられ、前記第2主面の前記第1方向両側には、前記意第2方向に延び前記第2主面に垂直な縦壁面が設けられ、前記第2部材は、コの字形の横断面形状を有し、前記第2主面の第2方向端には、前記第1主面に当接するフランジが設けられ、前記第1主面及び前記フランジが、少なくとも1つの接合部で接合することによって、前記第1部材及び前記第2部材でT字形状に構成された接合構造において、前記第1部材の前記側壁面と前記第2部材の前記縦壁面とで角部が構成され、前記第1主面の裏面には、第1湾曲リブと、第2湾曲リブが設けられ、前記第1湾曲リブは、前記角部近傍を起点として、前記第2部材から離れる方向に延び、前記第1方向に湾曲して前記第1方向に延び、前記第2湾曲リブは、前記第1湾曲リブに対向するように形成されており、前記第1湾曲リブ及び前記第2湾曲リブは、互いに2点で交差して、前記第1湾曲リブと前記第2湾曲リブで囲われる囲い領域を画定し、該囲い領域の少なくとも一部が前記接合部の接合領域に重なるように、配置されている。
また、本発明に係る接合構造の一態様では、前記第1部材の前記側壁面は、前記第1主面の前記第2方向両側にそれぞれ設けられ、前記第1部材は、コの字形の横断面形状を有し、前記第2湾曲リブの一方の端部は、前記第2部材から遠い方に配置された前記縦壁面に接続されている。
また、本発明に係る接合構造の一態様では、前記囲い領域には、接合補助部が設けられ、該接合補助部の少なくとも一部が前記接合領域に重合している。
また、本発明に係る接合構造の一態様では、前記第2主面及び前記縦壁面の裏面には、内側リブが設けられ、該内側リブは、前記第1部材に隣接する位置に配置されている。
また、本発明に係る接合構造の一態様では、前記内側リブは、2枚の板材が交差してX字状を構成するX字状リブであり、前記X字状リブは、前記角部に隣接するように配置されている。
本発明によれば、接合部を囲むように第1湾曲リブ及び第2湾曲リブを設けることで、溶着可能領域を広げると共に、接合部と湾曲リブの連結を強化し、更にリブの荷重分散性を向上することができる。第1主面の裏面に湾曲形状のリブを配置することで、より広い面積に荷重を分散することが可能である。
また、本発明に係る接合構造の一態様によれば、第2部材から遠い方に配置されている第1部材の縦壁面に、第2湾曲リブを接続することで、第2部材の両側の縦壁面を、第1湾曲リブ及び第2湾曲リブで連結できるため、接合部の荷重を各縦壁面に効率よく伝達することが可能となる。また、第2湾曲リブが、接合部を経由して配置されるので、荷重分散性がさらに向上する。
また、本発明に係る接合構造の一態様によれば、接合補助部を設けることで、接合部を湾曲リブで囲んで得られる効果をさらに向上させることが可能である。
また、本発明に係る接合構造の一態様によれば、内側リブを設け、第2部材における接合部近傍の剛性を高め、変形を抑えることにより、フランジに発生する変形を抑えることができる。その結果、第2部材から第1部材への荷重の伝達をより確実に行うことができ、接合部に発生する応力を削減することが可能となる。
また、本発明に係る接合構造の一態様によれば、第2部材内にX字状リブを設けることで、第2部材のねじれに対する剛性を高め、接合部に発生する変形をより確実に低減することができる。さらに、第1部材への荷重の分散をより確実にすることで、接合部に発生する局所的に高い応力及び変形を緩和することが可能になる。
本発明に係る接合構造の一例を示し、車体の下部構造の一部を示す概略斜視図である。 本発明に係る接合構造の一実施形態の斜視図で、図1のA部付近を拡大して示す部分斜視図である。 図2の後側湾曲リブを車両下方から見た状態を拡大して示す部分斜視図である。 図2の車両下方から見たときの状態を、模式的に示す概略下面図である。 図4の湾曲リブの変形例を示す部分下面図である。
以下、本発明に係る接合構造の一実施形態について、図面を用いて説明する。本発明に係る接合構造は、2つの部材(第1部材及び第2部材)を備え、第2部材の長手方向端が、第1部材の長手方向の側部に接合され、T字形状をなす構造である。本実施形態では、車体の骨格を構成するクロスメンバー20がサイドメンバー10に接続される構造の例であって、第1部材はサイドメンバー10、第2部材はクロスメンバー20の例について説明する。
本実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態のサイドメンバー10は、車体の骨格を構成する部材で、車両前後方向に延び、車幅方向両側に一対に配置される部材である。この例のサイドメンバー10は、繊維強化樹脂材料により形成されている。クロスメンバー20は、サイドメンバー10と同様に、車体の骨格を構成する部材である。当該クロスメンバー20は、車幅方向に延びる部材であり、サイドメンバー10の側部に接合されている。
上述したように、樹脂材料は鉄やアルミニウム等の金属材料に比べて比重が小さいが機械的特性では劣る。繊維強化樹脂材料は、劣っている機械特性について炭素繊維やガラス繊維で補う材料である。この例では、例えば、GFRP(Glass fiber reinforced plastics)のようなガラス繊維を用いたものや、CFRPのようなカーボン繊維を用いたものにより形成される。サイドメンバー10、クロスメンバー20及びフロアパネル35には、接着剤による接着(接着接合)を適合することができる。また、当該部材が熱可塑性繊維強化樹脂材料の場合には、超音波溶着及び振動溶着等の熱融着接合を適合することができる。
以下、サイドメンバー10及びクロスメンバー20の接合構造について説明する。
図1に示すように、1つのサイドメンバー10は、車幅方向外側に配置され、車両前後方向に延びる部材である。また、図2に示すように、サイドメンバー10は、第1上壁部11、内側壁部12及び外側壁部13を有する。第1上壁部11には、水平に延びる第1上面11aが形成されている。内側壁部12は、第1上壁部11の車幅方向内側に配置されており、第1上面11aに垂直な内側壁面12aが形成されている。また、第1上壁部11の車幅方向外側には、外側壁部13が設けられている。
第1上壁部11と内側壁部12とで、L字形の横断面形状が形成される。この例では、第1上壁部11、内側壁部12及び外側壁部13で、車両下方に開くコの字形の横断面形状が形成される。
内側壁部12及び外側壁部13の裏側には、内側裏面12b及び外側裏面13bがそれぞれ形成されている。内側裏面12b及び外側裏面13bは対向するように配置されており、車両前後方向に延びる面である。
クロスメンバー20は、車幅方向に延びる部材であり、車幅方向外側端がサイドメンバー10の第1上壁部11及び内側壁部12に接続される。接続については後で説明する。
クロスメンバー20は、第2上壁部21と、2つの縦壁部(前方縦壁部22及び後方縦壁部23)を有する。第2上壁部21には、水平に延びる第2上面21aが形成されている。前方縦壁部22は、第2上壁部21の車両前部に配置されており、第2上面21aに垂直な前方縦壁面22aが形成されている。後方縦壁部23は、第2上壁部21の車両後部に配置されており、第2上面21aに垂直な後方縦壁面23aが形成されている。第2上壁部21、前方縦壁部22及び後方縦壁部23で、車両下方に開くコの字形の横断面形状が形成される。
第2上面21aの車幅方向外側端には、車幅方向外側に突出するフランジ25が設けられている。フランジ25は、第2上面21aの車幅方向端から第2上面21aに連続するように延びており、サイドメンバー10の第1上面11aに当接する。フランジ25は、車両前後方向に延びる略長方形状である。また、フランジ25は、第2上面21aの車両前端よりも車両前方に突出する前方突出領域25aが形成され、車両後端よりも車両後方に突出する後方突出領域25bが形成されている。第1上面11a及びフランジ25は、2つの接合部、すなわち、前側接合部30a及び後側接合部30bで接合されている。これらの接合部30a、30bは、車両前後方向に間隔を空けて設けられている。当該接合は、接着剤による接着接合や、超音波溶着及び振動溶着等の熱融着接合により行われるものであり、所定の接合領域(溶接領域)を有している。接合部30a、30bの接合領域は、その輪郭を図4では仮想的な円形状で示しており、接合領域の中心31を、接合領域の輪郭を示す円の内側に示している。なお、図2では、接合領域の中心31のみを示し、図4で示しているような接合部30a、30bの接合領域の輪郭を示す円の図示は省略している。
前側接合部30aは、図2及び図4に示すように、フランジ25の前方突出領域25aに配置され、後側接合部30bは、後方突出領域25bに配置されている。
また、前方縦壁部22の車幅方向外側には、サイドメンバー10の内側壁面12aに当接する前方当接部22cが設けられている。この前方当接部22cと内側壁面12aとは、接合されている。一方、後方縦壁部23の車幅方向外側には、サイドメンバー10の内側壁面12aに当接する後方当接部23cが設けられている。この後方当接部23cと内側壁面12aとは、接合されている。当該接合は、フランジ25と第1上面11aとの接合と同様に接着剤による接着接合や、超音波溶着及び振動溶着等の熱融着接合により行われる。なお、接合部の図示は省略している。また、サイドメンバー10及びクロスメンバー20の車両下部には、下部フランジが設けられており、この下部フランジでフロアパネル35に上記のように溶着(接着剤による接着接合や、超音波溶着及び振動溶着等の熱融着接合を含む。)されている。
図2に示すように、サイドメンバー10の内側壁面12aと、クロスメンバー20の前方縦壁面22aとで、前方角部22bが構成される。ここでは、クロスメンバー20の前方当接部22cと前方縦壁面22aとで前方角部22bが構成されている。また、図3及び図4に示すように、内側壁面12a(後方当接部23c)と後方縦壁面23aとで後方角部23bが形成される。後述するX字状リブ26は、これら前方角部22b及び後方角部23bに隣接するように配置されている。X字状リブ26については、後で説明する。
図2〜図4に示すように、第1上面11aの裏面には、複数の湾曲リブが設けられている。なお、図2のフロアパネル35については、図3では仮想的に示し、図4では省略している。本実施形態では、前方角部22bの近傍には、2つの前側湾曲リブ(第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15b)が対をなすように配置され、後方角部23bの近傍には、2つの後側湾曲リブ(第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16b)が対をなすように配置されている。これらの湾曲リブは、第1上面11aの裏面から車両下方に突出し水平方向に延びる板状であり、所定の水平方向に湾曲している。詳細な形状について以下に説明する。
先ず、第1前側湾曲リブ15aと第2前側湾曲リブ15bについて、図2及び図4を用いて説明する。図4に示すように、第1前側湾曲リブ15aは、前方角部22bの近傍を起点として、クロスメンバー20から離れる方向(車幅方向外側に向かう方向)且つ車両前方に向かって斜めに延び、さらに、前側接合部30aの接合領域上で車両前方に湾曲して、車両前方に延びている。すなわち、第1前側湾曲リブ15aは、前方角部22bを起点として、図4において右斜め下に向かって延び、前方接合部30aの接合領域の中心31を囲むように当該中心31の周りを湾曲して、右方に延びている。
第2前側湾曲リブ15bは、第1前側湾曲リブ15aに対向するように形成され、第1前側湾曲リブ15aに一体的に形成されている。この例では、図4に示すように、前方角部22bよりもやや車両後側且つやや車幅方向外側の部分を起点として、車両前方に延び、前側接合部30aの接合領域上で図4における右斜め下方向に湾曲して、当該右斜め下方向(車幅方向外側に向かう方向で且つ車両前方)に延び、端部が外側裏面13bに接続している。第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bは、第1上面11aの裏面に一体的に形成されている。
第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bは、図4に示すように、互いに2点の交差部15dで交差している。各交差部15dの間には、第1前側湾曲リブ15aと第2前側湾曲リブ15bで囲われる前側囲い領域15cが画定されている。第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bは、第1上面11aの裏面のうちの前側接合部30aの接合領域に対応する位置に配置され、前側囲い領域15cの少なくとも一部が前側接合部30aの接合領域に重なっている。
第1前側湾曲リブ15aにおける前側囲い領域15cを画定する部分は、前側接合部30aの接合領域上で湾曲している部分である。当該湾曲している部分は、上記の通り、前側接合部30aの接合領域の中心31の周りを通るように湾曲している。第2前側湾曲リブ15bにおける前側囲い領域15cを画定する部分は、第1前側湾曲リブ15aと同様に、前側接合部30aの接合領域上で湾曲している部分であり、当該湾曲している部分は、前側接合部30aの接合領域の中心31の周りを通るように湾曲している。
第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bのうち、上記の湾曲している部分は、前側接合部30aの接合領域上に重なった状態で配置されている。この例では、前側接合部30aの接合領域の中心31は、前側囲い領域15c内に配置される。すなわち、当該中心31は、前側囲い領域15cを画定する前側湾曲リブ15a、15bに取り囲まれている。
続いて、第1後側湾曲リブ16aと第2後側湾曲リブ16bの構成について、説明する。第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bは、クロスメンバー20に対して、第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bと線対称になるように設けられている。以下、詳細に説明する。
第1後側湾曲リブ16aは、図4に示すように、後方角部23bの近傍を起点として、車両後方且つ車幅方向外側に向かって斜めに延び、後側接合部30bの接合領域上で車両後方に湾曲して、車両後方(図4における左方)に延びている。
第2後側湾曲リブ16bは、後方角部23bよりもやや車両前側且つやや車幅方向外側部を起点として、車両後方に延び、後側接合部30bの接合領域上で図4における左斜め下方向に湾曲して、当該左斜め下方向(車幅方向外側に向かう方向且つ車両後方)に延び、外側裏面13bに接続している。
第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bは、第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bと同様に、第1上面11aの裏面に一体的に形成され、互いに2点の交差部16dで交差した状態で一体的に形成されている(図3)。各交差部16dの間には、第1後側湾曲リブ16aと第2後側湾曲リブ16bで囲われる後側囲い領域16cが画定されている。後側囲い領域16cの少なくとも一部は、後側接合部30bの接合領域に重なっている。すなわち、第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bのうち、湾曲している部分は、後側接合部30bの接合領域上に重なった状態で配置されている。この例では、後側接合部30bの接合領域の中心31が後側囲い領域16c内にあるように、湾曲している部分が接合領域上に配置されている。すなわち、当該中心31は、後側囲い領域16cに取り囲まれている。
上記のように、前側接合部30aの接合領域の中心31が前側囲い領域15cにより囲まれるように、第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bを設けることで、前側接合部30aにおける溶着可能領域を広げると共に、前側接合部30aと、第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bとの連結を強化し、更に第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bによる荷重分散性を向上させることが可能となる。また、後側接合部30bの接合領域の中心31が前側囲い領域15cにより囲まれるように、第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bを設けることで、同様の効果を得ることができる。各接合部30a、30bにおける溶着可能領域を広がるため、接合位置のばらつきを許容できる。さらに、サイドメンバー10の第1上面11aの裏面に湾曲リブを配置することで、より広い面積にクロスメンバー20から伝わる荷重をより広い面積に分散させることが可能である。
曲げ荷重(特に、車両上下方向の曲げ荷重)によってサイドメンバー10及びクロスメンバー20の角部22b、22cに応力集中しやすくなる。これに対して、第1前側湾曲リブ15a及び第1後側湾曲リブ16aが、当該角部22b、23bを起点として各接合部30a、30bの接合領域に向かって延びているため、効果的に応力(曲げ応力)の分散を行うことができ、変形を抑えることができる。さらに、クロスメンバー20の角部22b、23bの周辺の剛性を高め、それによってクロスメンバー20のフランジ25の変形を抑えることができ、剛性が高まるため、応力の集中を和らげることができるようになる。
さらに、第1前側湾曲リブ15aは、湾曲している部分から車両前側の端部まで車両前方に直線的に延びており、且つ第1後側湾曲リブ16aは、湾曲している部分から車両後側の端部まで車両後方に直線的に延びているため、クロスメンバー20がねじれたときに接合部30a、30bに生じる曲げモーメントに対する剛性を高め、サイドメンバー10及びクロスメンバー20のそれぞれに垂直な方向(車両上下方向)の曲げに対する強度及び剛性を向上させることが可能となる。
湾曲リブを上記のように構成することで、各接合部30a、30bにおける信頼性と、接合部30a、30bからの荷重を効率よく分散でき、T字形の接合構造の剛性を確保することができる。
また、本実施形態では、上記のようにサイドメンバー10の横断面形状をコの字形状とし、クロスメンバー20から遠い方(車幅方向外側)に配置されている外側壁部13の外側裏面13bに、第2前側湾曲リブ15b及び第2後側湾曲リブ16bが接続している。これにより、第1前側湾曲リブ15a及び第2前側湾曲リブ15bが、サイドメンバー10の内側壁部12と外側壁部13とを連結するため、前側接合部30aの荷重を、内側壁部12と外側壁部13とに効率よく伝達することが可能となる。
同様に、第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bが、サイドメンバー10の内側壁部12と外側壁部13とを連結するため、後側接合部30bの荷重を、内側壁部12と外側壁部13とに効率よく伝達することが可能となる。すなわち、各接合部30a、30bの荷重を車幅方向に分散させることができ、応力の発生を効果的に抑えることができる。さらに、サイドメンバー10自体もゆがみにくくなり変形しにくい構造にするでき、クロスメンバー20との接合部30a、30bでの変形の発生を抑制できる。
クロスメンバー20の第2上面21aに裏面には、上述したように、X字状リブ26が設けられている。このX字状リブ26は、2枚の板材が交差して、車両上方視でX字形状を構成する。X字状リブ26は、クロスメンバー20がサイドメンバー10に接合される接合部30a、30bの付近に配置されている。X字状リブ26の車幅方向外側端は、前方角部22b及び後方角部23bに隣接するように配置されている。
X字状リブ26を設けて、クロスメンバー20における接合部30a、30bの近傍の剛性を高め、変形を抑えることにより、フランジ25に発生する変形を抑えることができる。特に、車両上下方向視でX字状にすることにより、クロスメンバー20のねじれや曲げに対する剛性を高めることができる。これにより、接合部30a、30bに発生する変形をより確実に低減することができる。その結果、クロスメンバー20からサイドメンバー10への荷重の伝達をより確実に行うことができ、接合部30a、30bに発生する局所的に高い応力及び変形を緩和することが可能になる。
また、X字状リブ26のサイドメンバー10に近い方の端部(車幅方向外側端)から、X字状リブ26を構成する板材の長手方向(交差方向)に延長したときの延長線上に、前側接合部30a及び後側接合部30bを配置してもよい。これにより、サイドメンバー10上の湾曲リブ15a、15b、16a、16bとクロスメンバー20上のX字状リブ26を連動させることができ、その結果、ねじれや曲げによって発生する応力を、クロスメンバー20の長手方向(車幅方向)によって効果的に分散させることができる。
また、本実施形態の変形例として、上記の湾曲リブ15a、15b、16a、16bに、図5に示すように接合補助部18を設けてもよい。当該接合補助部18は、第1上面11aの裏面から車両下方に突出する部分である。以下、第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bのそれぞれに接合補助部18を設けた例について説明する。
接合補助部18は、前側囲い領域16cを形成する部分の第1後側湾曲リブ16aの内側部と、後側囲い領域16cを形成する部分の第2後側湾曲リブ16bの内側部とにそれぞれ設けられている。各接合補助部18は、後側接合部30bの接合領域の中心31を介在し、対向するように配置されている。各接合補助部18は、各後側湾曲リブ16a、16bに一体的に設けられているが、別体としてもよい。別体に設ける場合には、接合補助部18が各後側湾曲リブ16a、16bの内側部に当接させるとよい。また、後側湾曲リブ16a、16bの外側部に設けてもよい。
本実施形態では、接合補助部18について、第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bの両方に設けているが、これに限らず、第1後側湾曲リブ16a及び第2後側湾曲リブ16bのどちらか一方に設けてもよい。また、前側湾曲リブ15a、15bについても、同様に接合補助部18を設けることができる。
接合補助部18を設けることで、各接合部30a、30bを湾曲リブで囲んで得られる効果をさらに向上させることが可能である。
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、高い応力が発生しやすい前側接合部30a及び後側接合部30bの接合領域に、前側湾曲リブ15a、15b及び後側湾曲リブ16a、16bを設けることにより、各接合部30a、30bの接合位置のばらつきを許容し、当該応力を分散させることができ、サイドメンバー10等の変形を抑制することが可能となる。
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、車体を構成する部材であるサイドメンバー10とクロスメンバー20の接合について説明したが、これに限らない。例えば、センターピラーとサイドシルを接合する構造や、フロントピラーとフロントサイドメンバーを接合する構造等にも適用することができる。さらに、本発明に係る接合構造は、車体を構成する部材に限られるものではなく、2つの部材をT字形に接合する構造に適用可能である。
また、本実施形態では、クロスメンバー20にX字状リブ26を設けているが、X字状に限らない。例えば、クロスメンバー20の横断面形状に沿うようなコの字状のリブを設けてもよい。
10 サイドメンバー(第1部材)
11 第1上壁部
11a 第1上面
12 内側壁部
12a 内側壁面
12b 内側裏面
13 外側壁部
13b 外側裏面
15a 第1前側湾曲リブ
15b 第2前側湾曲リブ
15c 前側囲い領域
15d 交差部
16a 第1後側湾曲リブ
16b 第2後側湾曲リブ
16c 後側囲い領域
16d 交差部
18 接合補助部
20 クロスメンバー(第2部材)
21 第2上壁部
21a 第2上面
22 前方縦壁部
22a 前方縦壁面
22b 前方角部
22c 前方当接部
23 後方縦壁部
23a 後方縦壁面
23b 後方角部
23c 後方当接部
25 フランジ
25a 前方突出領域
25b 後方突出領域
26 X字状リブ
30a 前側接合部(接合領域)
30b 後側接合部(接合領域)
31 接合領域の中心
35 フロアパネル

Claims (5)

  1. 繊維強化樹脂材料からなり第1方向に延びる長尺の第1部材に、繊維強化樹脂材料からなり前記第1方向に垂直な第2方向に延びる長尺の第2部材を接合する接合構造であって、
    前記第1部材には、前記第1方向に延びる平坦な第1主面と、前記第1方向に延び前記第1主面に垂直な側壁面とが設けられ、前記第1部材は、L字形の横断面形状を有し、
    前記第2部材には、前記第1主面に隣接し、前記第2方向に延びる平坦な第2主面が設けられ、前記第2主面の前記第1方向両側には、前記意第2方向に延び前記第2主面に垂直な縦壁面が設けられ、前記第2部材は、コの字形の横断面形状を有し、
    前記第2主面の第2方向端には、前記第1主面に当接するフランジが設けられ、
    前記第1主面及び前記フランジが、少なくとも1つの接合部で接合することによって、前記第1部材及び前記第2部材でT字形状に構成された接合構造において、
    前記第1部材の前記側壁面と前記第2部材の前記縦壁面とで角部が構成され、
    前記第1主面の裏面には、第1湾曲リブと、第2湾曲リブが設けられ、
    前記第1湾曲リブは、前記角部近傍を起点として、前記第2部材から離れる方向に延び、前記第1方向に湾曲して前記第1方向に延び、前記第2湾曲リブは、前記第1湾曲リブに対向するように形成されており、
    前記第1湾曲リブ及び前記第2湾曲リブは、互いに2点で交差して前記第1湾曲リブと前記第2湾曲リブで囲われる囲い領域を画定し、前記囲い領域の少なくとも一部が前記接合部の接合領域に重なるように、配置されていることを特徴とする接合構造。
  2. 前記第1部材の前記側壁面は、前記第1主面の前記第2方向両側にそれぞれ設けられ、前記第1部材は、コの字形の横断面形状を有しており、
    前記第2湾曲リブの一方の端部は、前記第2部材から遠い方に配置された前記縦壁面に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の接合構造。
  3. 前記囲い領域には、接合補助部が設けられ、該接合補助部の少なくとも一部が前記接合領域に重合していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合構造。
  4. 前記第2主面及び前記縦壁面の裏面には、内側リブが設けられ、該内側リブは、前記第1部材に隣接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の接合構造。
  5. 前記内側リブは、2枚の板材が交差してX字状を構成するX字状リブであり、
    前記X字状リブは、前記角部に隣接するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の接合構造。
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