JP2016106513A - 電気発生のためのデバイスおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱エネルギーを電気に直接に変換するためのセルデバイスを提供する。【解決手段】第1および第2の表面12、14であって、間隙dを前記表面間に有するものと、前記間隙中で熱運動しているガス分子18を有するガス媒体16とを含み、前記第1の表面が、電荷を、前記第1の表面と相互作用するガス分子に移動させるようなガスの存在下での正電荷移動性を有し、かつ、前記第2の表面が、前記電荷を、前記第2の表面と相互作用する帯電されたガス分子から受け取るようなガスの存在下での負電荷移動性を有し、前記間隙が7μmに等しいか、またはそれより小さく、前記第1および第2の表面が互いに50℃以内である、セルデバイス10。【選択図】図1A−1B

Description

本発明は、そのいくつかの実施形態において、エネルギー変換に関し、より具体的には、限定されないが、電気を発生させるためのデバイスおよび方法に関する。
エネルギー変換システムは、ある形態のエネルギーを受け取り、そのエネルギーを別の形態のエネルギーに変換する。例えば、熱電変換器は熱エネルギーを受け取り、電気を生じさせる。
1つのタイプの熱電変換器では、電流が異なる導電性材料の2つの接合点の間で発生するゼーベック熱電効果が用いられる。ゼーベック効果に基づく熱電発電体が典型的には、熱電対としてもまた知られている温度センサーとして使用される。しかし、熱電発電体を電子回路に電力供給するために使用するための試みもまた行われている(例えば、国際特許出願公開番号WO07/149185を参照のこと)。
別のタイプの熱エネルギー変換器が、十分に高い温度では電子が固体表面から放出され得る熱電子放出効果を用いる熱電子変換器である。熱電子変換器は典型的には、少なくとも数百度の熱勾配を伴う、高温体と、低温体とを含む。高温体は、熱電子放出効果が生じるために十分に高い温度で保たれる(典型的には1000℃を超える)。電子が高温体の表面から放出され、低温体の表面と衝突し、それにより、電圧をこれらの表面の間隙の両端で生じさせる。熱電子変換器の記述を米国特許第7109408号に見出すことができる。
熱電子変換器の作動原理は、熱電発電体の作動原理とは異なる。1つの違いは、デバイスを横切る電荷輸送の本質においてである。熱電子変換器では、電荷輸送が自由電子の運動によって支配され、一方、熱電発電体では、電荷輸送が、物理的に接触している導体における電子および正孔の拡散によって支配される。
さらなるタイプの熱変換器が熱トンネル変換器であり、熱トンネル変換器では、粒子がその運動エネルギーよりも大きいポテンシャル障壁を突き抜けることができる量子力学的トンネル効果が用いられる。熱トンネル変換器は、高温表面と、低温表面とを含み、典型的には真空中で作動する。これらの表面は、電子がトンネル効果によって高温表面から低温表面に移動可能になるように互いに十分に接近して保持される。熱トンネル変換器の記述が米国特許第3169200号および同第6876123号に見出される。熱電子原理および熱トンネル原理を組み合わせるハイブリッド型エネルギー変換器が米国特許第6489704号に開示される。
同様に注目されるものが、「マックスウエルの圧力悪魔および熱力学の第二法則」と題されるJ.M.Dudleyによるエッセイである(Infinite Energy Magazine、66(2006)、21)。Dudleyは、2つのガラス繊維スクリーンがアルミニウムプレートの間にあり、銅箔がガラス繊維スクリーンの間にある1対のアルミニウムプレートを含むデバイスを記述する。Dudleyは、圧力がアルミニウムプレートに加えられたとき、デバイスの両端における電圧降下が増大したことを主張している。Dudleyは、電気化学的反応の影響を除外するか、または、電気化学的反応の影響を減らすように周囲湿度を排除することを試みるが、電圧降下がトンネル効果から生じることを前提としている。
本発明のいくつかの実施形態が、電気を発生させるためのデバイスで、そのエネルギーをガス分子の熱運動から引き出すデバイスに関する。本発明のいくつかの実施形態において、本デバイスは、異なる材料から作製される1対の離して置かれた表面と、これらの表面の間のガス媒体とを含む。それぞれのそのような1対の表面および介在ガスは本明細書中ではセルとして示されることがある。ガス分子がこの対の第1の表面で帯電し、熱運動によってこの対の第2の表面に移動して、この対の第1の表面からの正味の電荷をこの対の第2の表面に移動させる。本発明のいくつかの実施形態において、系全体が周囲温度または周囲温度近くで作動する。
何らかの特定の理論にとらわれることを望まないが、表面間の電荷の輸送が2つの機構間の相互作用によって達成されることが考えられる。第1の機構が、ガス媒体と、熱源(これは環境であってもよい)との間の熱交換である。第2の機構がガス媒介による電荷移動であり、これは本明細書中下記でさらに詳述され、また、下記の実施例の節において例示される。
熱交換により、ガス分子の熱運動が維持され、ガス媒介による電荷移動により、2つの表面間の電位差が維持される。その熱エネルギーにより、十分に速いガス分子は電荷を一方の表面から他方の表面に輸送することができる。ガス分子と、表面との間の相互作用のために、電荷移動が生じ得る。この相互作用は、本明細書中下記で記載されるように、(例えば、弾性衝突プロセスまたは非弾性衝突プロセスを介して)瞬間的であり得るか、または、(例えば、吸着・脱着プロセスを介して)長期的であり得る。
ガス分子が第1の表面と相互作用するとき、第1の表面は、例えば、電子をガス分子に移動させることによって、または、電子をガス分子から移動させることによって、分子を帯電させることができる。帯電したガス分子が第2の表面と相互作用するとき、第2の表面はその過剰な電荷を帯電したガス分子から受け取ることができる。したがって、第1の表面が電荷ドナー表面として働き、第2の表面が電荷レシーバー表面として働くか、または、逆に、第1の表面が電荷レシーバー表面として働き、第2の表面が電荷ドナー表面として働く。
移された電荷は、これらの表面間の電位差を、必要な場合には外部印加電圧を何ら用いることなく生じさせ、また、電気回路を作るために使用することができる。
ガスは、電荷をその鏡像電荷の引力に打ち勝って間隙の両端の間で輸送することにおいてなされる仕事のためにガス分子が遅くなることの結果として冷えることが考えられる。定常状態の系を提供するために、熱エネルギーが好ましくは、例えば、環境からガスに移される。
表面間の電位差が、一方の表面から他方の表面への電荷輸送体として働く分子の熱運動によって発生するので、表面間の温度勾配を維持する必要が全くない。したがって、これら2つの表面は互いに50℃以内に、または10℃以内に、または1℃以内にすることができる。本発明のいくつかの実施形態において、ケルビン尺度における表面間の温度差が5%未満または3%未満または2%未満であり、例えば、1%以下である。
本発明の様々な例示的実施形態において、これら2つの表面は、実質的に同じ温度であることが可能である。極端な温度条件がセルまたはデバイスの作動のために何ら必要ないが、効率的な電荷輸送体であり得る高速度のガス分子の割合が温度とともに大きくなる。したがって、何らかの所与のセルまたはデバイスの効率が、その作動範囲の範囲内において、温度の上昇とともに大きくなることが予想される。本発明の様々な例示的実施形態において、両方の表面が、400℃未満または200℃未満または100℃未満または50℃未満である温度である。本発明のいくつかの実施形態において、両方の表面が、30℃未満かつ15℃を超える温度であり、例えば、室温(例えば、約25℃)またはその近傍である。本発明のいくつかの実施形態において、両方の表面が、15℃未満かつ0℃を超える温度であり、また、本発明のいくつかの実施形態において、両方の表面が、0℃未満である温度である。
本発明の様々な例示的実施形態において、ある特定の極性の電荷をガス媒体に移す第1の表面の能力が、電荷をガス媒体に移す第2の表面の能力とは異なる。この形態は、ガス分子が、これらの表面の一方と相互作用したときに電荷を獲得し、他方の表面と相互作用したときに電荷を失うことを可能にする。
表面が外部の電気負荷に対して電気接点を介して接続されるとき、電流が、負電荷をガス媒体に対してより失いやすい表面から、負荷を通って、負電荷をガス媒体からより得やすい表面に流れる。
電荷の効率的な移動を提供するためには、著しい数の帯電した分子が第1の表面から第2の表面にまで進まなければならないことが理解される。本発明の好ましい実施形態において、表面間の距離が十分に小さく、その結果、この条件が満たされる。十分に小さい間隙は分子間衝突の数を減らし、また、帯電した分子によってもたらされる虚像電荷のポテンシャル障壁を低くし、したがって、第1の表面の近傍を離れる十分に速い分子が、他のガス分子と衝突することなく間隙を無事に横切り、電荷を第2の表面に移動させる確率を増大させる。好ましくは、表面間の間隙がガス分子の平均自由行程の程度である。一般には、表面間の距離が、作動温度および作動圧力において、分子の平均自由行程の10倍未満であり、好ましくは、5倍未満、2倍未満もしくはややより小さい倍数、または、中間の倍数であることが望ましい。理想的には、表面間の距離は1平均自由行程以下であるにちがいない。一般には、表面間の距離が1000nm未満、より好ましくは100nm未満、より好ましくは10nm未満であり、理想的には、必ずとは限らないが、2nm未満であることが望ましい。
上記で記載される理論が妥当であるにもかかわらず、本発明者は、特定の状況のもとでは、電流および電圧が、ガス分子の熱エネルギーを介することを除いてはエネルギーを系に何ら投入することなく、系の2つの構成要素間のガス媒介による電荷移動によって発生し得ることを見出している。
数個のそのようなセルを、電源デバイスを形成するために一緒に配置することができる。この実施形態において、電流が、直列で配置される隣接セルの間を流れることを可能にするように、数個のセルがそれらの間で配置される。好ましくは、そのようなセルは直列および/または並列で配置され、直列配置により、ただ1個だけのセルと比較した場合、増大した電圧出力がもたらされ、並列配置により、増大した電流がもたらされる。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換するためのセルデバイスが提供される。このセルデバイスは、間隙を表面間に有する第1および第2の表面と、これらの表面の間に位置する熱運動しているガス分子を有するガス媒体とを含み、この場合、第1の表面が、電荷を、第1の表面と相互作用するガス分子に移動させるために作動可能であり、かつ、第2の表面が、前記電荷を、第2の表面と相互作用するガス分子から受け取るために作動可能であり、ただし、これらの表面間の電位差が外部印加電圧の非存在下での電荷移動によって発生する。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換するためのセルデバイスが提供される。このセルデバイスは、間隙を表面間に有する第1および第2の表面と、これらの表面の間に位置する熱運動しているガス分子を有するガス媒体とを含み、この場合、第1の表面が、電荷を、第1の表面と相互作用するガス分子に移動させるために作動可能であり、かつ、第2の表面が、前記電荷を、第2の表面と相互作用するガス分子から受け取るために作動可能であり、ただし、間隙が1000nm未満である。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換するためのセルデバイスが提供される。このセルデバイスは、間隙を表面間に有する第1および第2の表面と、これらの表面の間に位置する熱運動しているガス分子を有するガス媒体とを含み、この場合、第1の表面が、電荷を、第1の表面と相互作用するガス分子に移動させるために作動可能であり、かつ、第2の表面が、前記電荷を、第2の表面と相互作用するガス分子から受け取るために作動可能であり、ただし、第1および第2の表面が互いに50℃以内である。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換するためのセルデバイスが提供される。このセルデバイスは、間隙を表面間に有する第1および第2の表面と、これらの表面の間に位置する熱運動しているガス分子を有するガス媒体とを含み、この場合、第1の表面が、電荷を、第1の表面と相互作用するガス分子に移動させるために作動可能であり、かつ、第2の表面が、前記電荷を、第2の表面と相互作用するガス分子から受け取るために作動可能であり、ただし、第1および第2の表面が200℃未満の温度である。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、第1の表面が正電荷移動性を有し、第2の表面が負電荷移動性を有する。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、電気を発生させるためのセルデバイスが提供される。このセルデバイスは、第1の電気接点と電気的に連絡している第1の表面と、第2の電気接点と電気的に連絡し、かつ、第1の表面の50℃以内である第2の表面と、これらの表面の間の間隙に位置するガス媒体とを含み、この場合、第1の表面が正電荷移動性を有し、かつ、これらの電気接点が、第1の表面から負荷を経由して第2の表面に流れる負荷電流を提供するために負荷に対して接続可能である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面の少なくとも一方が電気伝導性基板の表面である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面の少なくとも一方が、10−9S/m未満の電気伝導率を有する基板の表面である。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、電源デバイスが提供される。この電源デバイスは、本明細書中に記載されるような複数のセルデバイスを含み、この場合、少なくとも1対の隣接セルデバイスが導体によって相互接続され、その結果、電流が、導体を経由してこの対の第1のデバイスの第2の表面からこの対の第2のデバイスの第1の表面に流れるようにされている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、そのような複数対のセルデバイスは、電源デバイスの電流がいずれかただ1個だけのセルの電流よりも大きくなるように、また、電源デバイスの電圧がいずれかただ1個だけのセルデバイスの電圧よりも大きくなるように、直列配置および並列配置で配置される。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、電源デバイスが提供される。この電源デバイスは、第1および第2の電気伝導性電極;これらの電極間の第1および第2のセルデバイス積み重ね体(ただし、それぞれのセルデバイスは本明細書中に記載される通りである)を含み、この場合、それぞれの積み重ね体において、積み重ね体の各1対の隣接セルデバイスが導体によって相互接続され、その結果、電流が、導体を経由してこの対の第1のセルデバイスの第2の表面からこの対の第2のセルデバイスの第1の表面に流れるようにされており、かつ、第1および第2の積み重ね体の両方が電荷を第1の電極から第2の電極に運搬する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、導体は、2つの面を有する電気伝導性基板であり、ただし、それらのうちの一方の面が1つのセルデバイスの表面を構成し、かつ、反対側の面が隣接セルデバイスの表面を構成する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、導体は、基板の第1の面と第2の面との間の電気伝導を確立するように、導電性材料により被覆される基板であり、この場合、導体は、2つの面を有する電気伝導性基板であり、ただし、それらのうちの一方の面が1つのセルデバイスの表面を構成し、かつ、反対側の面が隣接セルデバイスの表面を構成する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、セルの表面が、ただ1つの基板表面が少なくとも2つのセルによって部分的に共有されるように、秩序のある様式で、または、無秩序な様式で相互に重なる。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換する方法が提供される。この方法は、間隙を表面間に有する第1および第2の表面を提供すること;ガス媒体の分子を、電荷をガス分子の少なくとも一部に移動させるように第1の表面と相互作用させること;および、ガス分子の一部を、前記電荷をガス分子の少なくとも一部から第2の表面に移動させるように第2の表面と相互作用させ、それにより、表面間の電位差を発生させることを含み、ただし、間隙が1000nm未満である。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換する方法が提供される。この方法は、間隙を表面間に有する第1および第2の表面を提供すること;ガス媒体の分子を、電荷をガス分子の少なくとも一部に移動させるように第1の表面と相互作用させること;および、ガス分子の一部を、前記電荷をガス分子の少なくとも一部から第2の表面に移動させるように第2の表面と相互作用させ、それにより、表面間の電位差を発生させることを含み、ただし、第1および第2の表面が互いに50℃以内である。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換する方法が提供される。この方法は、間隙を表面間に有する第1および第2の表面を提供すること;ガス媒体の分子を、電荷をガス分子の少なくとも一部に移動させるように第1の表面と相互作用させること;および、ガス分子の一部を、前記電荷をガス分子の少なくとも一部から第2の表面に移動させるように第2の表面と相互作用させ、それにより、表面間の電位差を発生させることを含み、ただし、第1および第2の表面が200℃未満の温度である。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、熱エネルギーを電気に直接に変換する方法が提供される。この方法は、間隙を表面間に有する第1および第2の表面を提供すること;ガス媒体の分子を、電荷をガス分子の少なくとも一部に移動させるように第1の表面と相互作用させること;および、ガス分子の一部を、前記電荷をガス分子の少なくとも一部から第2の表面に移動させるように第2の表面と相互作用させ、それにより、表面間の電位差を発生させることを含み、ただし、表面間の電位差が外部印加電圧の非存在下での電荷移動によって発生する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面の一方がガス分子を帯電させ、他方の表面が、帯電したガス分子を中和する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面の両方がガス分子を帯電させ、この場合、一方がガス分子を正に帯電させ、他方がガス分子を負に帯電させる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面間の何らかの電圧が外部印加電圧の非存在下での電荷移動によって発生する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、デバイスはさらに、ガス媒体の漏出を防止するための密閉された筺体を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、密閉された筺体の内部の圧力が周囲圧力よりも高い。本発明のいくつかの実施形態によれば、密閉された筺体の内部の圧力が周囲圧力よりも低い。本発明のいくつかの実施形態によれば、密閉された筺体の内部の圧力が1.1気圧よりも高い。本発明のいくつかの実施形態によれば、密閉された筺体の内部の圧力が2気圧よりも高い。
本発明のいくつかの実施形態によれば、間隙が1000nm未満または100nm未満または10nm未満または5nm未満または2nm未満である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面が互いに50℃以内または10℃以内または1℃以内である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面が200℃未満または100℃未満または50℃未満の温度である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面が実質的に平滑であり、スペーサーによって離される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、間隙が、表面の少なくとも一方から外向きに突き出る粗さ特徴物によって維持される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面の少なくとも一方が、金属、半金属、合金、真性またはドープされた無機半導体または有機半導体、誘電性材料、層状材料、真性またはドープされたポリマー、導電性ポリマー、セラミックス、酸化物、金属酸化物、塩、クラウンエーテル、有機分子、第四級アンモニウム化合物、サーメット、ならびに、ガラスおよびケイ酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1つの磁性物質または非磁性物質を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面がそれぞれ独立して、アルミニウム、カドミウム、クロム、コバルト、銅、ガドリニウム、金、グラファイト、グラフェン、ハフニウム、鉄、鉛、マグネシウム、マンガン、モリブデン、パラジウム、白金、ニッケル、銀、タンタル、スズ、チタン、タングステン、亜鉛;アンチモン、ヒ素、ビスマス;グラファイト酸化物、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化マンガン、マンガンニッケル酸化物、二酸化タングステン、三酸化タングステン、インジウムスズ酸化物、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ストロンチウム、イットリウムカルシウムバリウム銅酸化物;黄銅、青銅、ジュラルミン、インバール、スチール、ステンレススチール;硫化バリウム、硫化カルシウム;真性またはドープされたシリコンウエハー、ゲルマニウム、シリコン、ヒ化ガリウムアルミニウム、セレン化カドミウム、ヒ化ガリウムマンガン、テルル化亜鉛、リン化インジウム、ヒ化ガリウムおよびポリアセチレン;MACOR(登録商標)、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、六ホウ化ランタン;炭化ハフニウム、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン;チタン酸バリウム、フッ化カルシウム、カルシウム塩、希土類塩、ジルコニウム塩、マンガン塩、鉛塩、コバルト塩、亜鉛塩;ケイ化クロム、CrSi−SiO、Cr−Ni、TiN−Mo;ガラスおよびキンウンモ、ニグロシン、ナトリウムペトロナート、ポリエチレンイミン、マラガガム、OLOA1200、レシチン、真性およびドープされたニトロセルロース系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ならびに、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの磁性物質または非磁性物質を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表面は、アルミニウム、クロム、ガドリニウム、金、マグネシウム、モリブデン、ステンレススチール、シリカ、二酸化マンガン、マンガンニッケル酸化物、三酸化タングステン、還元されたグラファイト酸化物、グラファイト、グラフェン、クロムシリシドシリカ、フッ化セシウム、HOPG、炭酸カルシウム、塩素酸マグネシウム、ガラス、キンウンモ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ガラスセラミックス、ドープされたニトロセルロース、ホウ素がドープされたシリコンウエハー、およびリンがドープされたシリコンウエハーからなる群から独立して選択される少なくとも1つ物質を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面のそれぞれがグラフェン基板によって支持される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面のそれぞれがグラファイト基板によって支持される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面のそれぞれが、修飾されたグラファイト基板またはグラフェン基板である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面のうちの一方が、修飾されたグラファイト基板またはグラフェン基板であり、他方が非修飾のグラファイト基板またはグラフェン基板である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の表面が、金、マグネシウム、フッ化セシウム、HOPG、炭酸カルシウム、アルミニウム、クロム、ガドリニウム、モリブデン、ステンレススチール、シリカ、キンウンモ、二酸化マンガン、マンガンニッケル酸化物、三酸化タングステン、還元されたグラファイト酸化物、グラファイト、グラフェン、クロムシリシドシリカ、ホウ素がドープされたシリコンウエハー、リンがドープされたシリコンウエハー、および窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の表面が、金、マグネシウム、塩素酸塩、アルミニウム、ガラスセラミックス、ドープされたニトロセルロース、ガラス、シリカ、窒化アルミニウム、およびリンがドープされたシリコンウエハーからなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ガス媒体は、ハロゲン、窒素、イオウ、酸素、水素含有ガス、不活性ガス、アルカリガスおよび希ガスからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ガス媒体は、At、Br、Cl、F、I、WF、PF、SeF、TeF、CF、AsF、BF、CHF、C、C、C、CO、C、GeF、C、CFCOCl、CHF、SiF、HFC−CF、CHF、Ar、He、Kr、Ne、Rn、Xe、N、NF、NH、NO、NO、NO、SF、SF、SO、O、CO、CO、H、重水素、i−C10、CH、Cs、Li、Na、K、Cr、RbおよびYbからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ガス媒体は、六フッ化イオウ、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、窒素、メタン、四塩化炭素、オクタフルオロプロパン、水蒸気および空気からなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ガス媒体がデバイスの作動期間中に消費されない。
本発明のいくつかの実施形態の局面によれば、電気活性化学種をその中に有する液体媒体で満たされる間隙を表面間に有する第1および第2の表面を有し、前記間隙が50μm未満である少なくとも1つのセルデバイスを提供すること;電圧を、前記電気活性化学種と、前記表面の少なくとも一方との電気化学的相互作用または電気泳動的相互作用を誘導するように第1の表面と、第2の表面との間に加え、それにより、相互作用した表面の表面性状を改変すること;および、前記液体の少なくとも一部を、前記間隙を少なくとも50%減少させるように排出することを含む方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、この方法は複数のセルデバイスについて同時に実行される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、排出により、間隙が少なくとも90%減少する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の表面が表面改変の前に同じ材料から作製され、かつ、電気活性化学種が、電解析出後、第1の表面の特徴的な電荷移動性が第2の表面の特徴的な電荷移動性と異なるように選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記同じ材料はグラフェンである。
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記同じ材料はグラファイトである。
本発明のいくつかの実施形態によれば、電気活性化学種が、塩および色素からなる群から選択される。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が適用される。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1A−1Bは、本発明の様々な例示的実施形態による、電気を発生させるためのセルの概略的例示である。
図1C−1Fは、図1Aのセルまたはその改変型の内部における電位の概略的例示である。図1Cおよび図1Dは、同一の表面を有するように改変される図1Aのセルの間隙の両端における虚像電荷電位を示す。図1Eおよび図1Fは、表面が異なる図1Aのセルの間隙の両端における電位を示す。
図1G−1Hは、図1Aのセルの内部における間隙サイズの関数としてのポテンシャル障壁(図1G)および表面積あたりの電流(図1H)を示す。
図2A−2Bは、本発明の様々な例示的実施形態による電源デバイスの概略的例示である。
図3は、メッシュを通り抜けるガスジェットに応答して、標的メッシュとジェットノズルとの間で発生する電流に関して電荷移動性を測定するために本発明のいくつかの例示的実施形態に従って使用される実験構成の概略的例示である。
図4は、様々な材料について図3で例示される構成で測定されるピーク電流を示す。
図5は、様々なガスの存在下における様々な材料についてのケルビンプローブによる測定を示す。
図6は、電流をガス分子の熱運動によって発生させるために本発明のいくつかの実施形態に従って使用される実験構成の概略的例示であり、この場合、表面が直接に接触していないか、または、間接的に接触している。
図7Aは、図6で例示される実験構成を使用して本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験の期間中に得られる典型的なオシロスコープ出力である。
図7B−7Cは、図6で例示される実験構成を使用して本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験の期間中に得られる典型的なオシロスコープ出力である。
図8は、本発明のいくつかの実施形態による仕事関数改変のために使用される実験構成の概略的例示である。
図9は、本発明のいくつかの実施形態によるスペーサーとしての使用のためのいくつかの非導電性材料の分析のために使用される実験構成の概略的例示である。
図10は、図9で例示される実験構成を使用して、本発明のいくつかの実施形態によるスペーサーとしての使用について調べられるいくつかの材料についての放電グラフを示す。
図11は、電流をガス分子の熱運動によって発生させるために本発明のいくつかの実施形態に従って使用される実験構成の概略的例示であり、この場合、表面が凸凹またはスペーサーを介して直接的または間接的に接触している。
図12は、図11で例示される実験構成を使用して本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験の期間中にいくつかのガス圧力について測定される場合、時間の関数として電流を示す。矢印はガス圧力の変化を示す。
図13は、本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験で測定されるような、最大電流を特定の構成で得るための閾値圧力を示すグラフである。圧力がガス分子の直径の二乗の逆数の関数として表される。
図14は、図11で例示される実験構成を使用して本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験の期間中にいくつかの温度について測定されるような、時間の関数として電流を示す。
図15は、本発明のいくつかの実施形態に従って行われる8回の実験運転で測定されるような、温度の関数として電流を示す。
図16は、本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験で、ただ1対だけの表面(連続線)の両端において経時的に分単位(下側の横軸)で、または、積み重ねられた多数の表面(点線)の両端において経時的に時間単位(上側の横軸)で測定されるような、経時的に累積する電圧を示す。
図17は、本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験で同時に測定されるような、時間の関数(横軸)としての電流の変化(左側の縦軸)およびチャンバー温度の変動(右側の縦軸)を示す。
図18は、本発明のいくつかの実施形態に従って行われる9回の実験運転で測定されるような、スペーサーのサイズの関数として、閾値圧力における電流を示す。
図19は、本発明のいくつかの実施形態に従って行われるスペーサーの非存在下または存在下における9回の実験運転で測定されるような、ガス分子の直径の二乗の逆数の関数として、最大電流を得るために必要とされる閾値圧力を示す。
図20A−20Dは、本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験で測定されるような、印加電圧の関数として電流(図20Aおよび図20C)および出力(図20Bおよび図20D)を示す。
図21は、本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験で測定されるような、圧力の関数として電流を示す。
本発明は、そのいくつかの実施形態において、エネルギー変換に関し、より具体的には、限定されないが、電気を発生させるためのデバイスおよび方法に関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。さらに、本発明者は、本発明の様々な実施形態の作動のために与えられる理論的説明が正しいと考えるが、記載および特許請求されるような装置および方法は前記理論に依存していない。いくつかの実施形態は、新しい実施形態を形成するために1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができるので、本発明の様々な実施形態は必ずしも相互に排他的であるとは限らない。明確化のために、図面のいくつかにおける特定の要素は原寸に比例して例示されていない。図面は青写真的仕様書と見なしてはならない。
次に図面を参照して、図1Aは、本発明の様々な例示的実施形態による、電気を発生させるためのデバイス10(単セル)を例示する。セルデバイス10は、1対の離れて置かれた表面12および14と、表面12および14の間におけるガス媒体16とを含む。表面12および14はそれぞれ、基板32および34の一部であるか、または、基板32および34によって支持される。ガス分子18により、電荷が第1の表面12から第2の表面14に輸送される。ガス分子の運動がその熱エネルギーによって引き起こされ、ガスの温度によって決定される。ガスの温度が、本明細書中下記で詳述されるような熱リザーバー20によって供給される熱エネルギー22によって維持される。図1Aの概略的例示において、表面12は、負電荷を、分子と表面12との相互作用の期間中に電気的中性の分子に移動させ、したがって、分子を負電荷により帯電させる。負に帯電した分子が表面14に到達し、表面14と相互作用したとき、表面14は負電荷を分子から受け取り、分子を中和する。
分子とこれらの表面との間における相互作用は、例えば、弾性衝突プロセスまたは非弾性衝突プロセスを介して瞬間的であり得るか、あるいは、例えば、吸着・脱着プロセスを介して長期的であり得る。
本明細書中で使用される「吸着・脱着プロセス」または「吸着・脱着による電荷移動プロセス」は、分子が最初に、分子がその運動エネルギーの著しい量を失うように十分に長い時間、表面によって吸着され、その後、表面から脱着されるプロセスであって、吸着前の分子の正味電荷が脱着後の分子の正味電荷と異なるプロセスを意味する。
いくつかの吸着・脱着プロセスにおいて、分子および表面は、分子が吸着される時間間隔の期間中、熱的平衡状態にある。吸着期間中、分子は表面の一部と見なすことができる。したがって、この時間間隔の期間中、表面の電子波動関数は、表面によって吸着された分子を含めて、表面におけるすべての分子の電子波動関数を包含する。典型的には、しかし、必ずとは限らないが、吸着された分子は表面の最も外側の分子層に存在する。
分子と表面との間における「瞬間的プロセス」は、ガス分子が表面に十分に接近していて、表面と分子との間における電荷移動を可能にするプロセスであって、プロセスの時間間隔が、分子と表面との間における熱的平衡に達するために要求される時間よりも著しく短いプロセスを示す。
典型的なタイプの瞬間的プロセスが衝突である。ガス分子および固体表面は、少なくとも部分的な空間的重なりが、分子の電子波動関数と表面の電子波動関数との間に存在するならば、「衝突している」と言われる。典型的には、ガス分子および固体表面は、ガス分子の中心と固体表面の最も外側の原子との間の距離が10Å未満であるか、または、代替では5Å未満であるならば、衝突していると見なされる。
衝突は、衝突前の運動エネルギーが衝突後の運動エネルギーと等しいときには「弾性」であると言われ、衝突前の運動エネルギーが衝突後の運動エネルギーよりも大きいときには「非弾性」であると言われる。分子と表面との間における衝突は弾性または非弾性であり得る。
図1Aは、分子を、表面14から表面12に移動する間は中性であり、表面12から表面14に移動する間は負に帯電するとして例示するが、このことは、必ずしも当てはまるとは限らない。これは、分子が代替では、表面14から表面12に移動する間は正に帯電することができ、また、表面12から表面14に移動する間は中性であることが可能であるからである。上記シナリオのいずれにおいても、当業者は、このプロセスは、図1Aで例示されるように、表面12を正に帯電させ、表面14を負に帯電させることを理解する。したがって、本発明の実施形態によれば、ガス分子により、表面12から表面14への負電荷移動、および/または、表面14から表面12への正電荷移動が媒介される。
本発明の様々な例示的実施形態において、表面12から分子への電荷移動、および分子から表面14への電荷移動が、電子を移動させることによって促進される。したがって、これらの実施形態において、分子が電子を表面12から受け取り、電子を表面14に移動させる。
図1Bは、二方向の電荷移動が用いられる種々の実施形態におけるデバイス10を概略的に例示する。これらの実施形態において、分子は、表面12から表面14に移動する間は、図1Aの場合のように負に帯電し、表面14から表面12に移動する間は正に帯電する。これらの実施形態の利点が、熱エネルギー変換プロセスの効率がより大きいことである。本発明のいくつかの実施形態による二方向の電荷移動が次に記載される。
負電荷を表面12からちょうど受け取った分子で、表面14の方向に移動している分子を考える。この負に帯電した分子が表面14と衝突し、表面14と相互作用することを仮定する。この衝突プロセスは即時的ではない。分子が表面14の近傍で費やす期間中に、分子は1個の負電荷を表面14に移動させることができ(または、等価であるが、1個の正電荷を表面14から受け取ることができ)、あるいは、2個以上の電荷を表面14に移動させることができる(または、等価であるが、2個以上の正電荷を表面14から受け取ることができる)。例えば、相互作用の前半の期間中に(分子が表面14に接近するか、または、表面14によって吸着されつつある間に)、分子は第1の負電荷を表面14に移動させて、電気的中性になることができ、そして、相互作用の後半の期間中に(分子が表面14から離れるか、または、表面14から脱着されつつある間に)、分子は第2の負電荷を表面14に移動させて、正に帯電することができる。相補的な電荷移動プロセスが表面12の近傍においてもまた生じ得る。例えば、正に帯電した分子と表面12との間の相互作用の前半の期間中に、分子は第1の負電荷を表面12から受け取って、電気的中性になることができ、そして、相互作用の後半の期間中に、分子は第2の負電荷を表面12から受け取って、負に帯電することができる。分子によって、電荷が一方の表面から他方の表面に輸送されるとき、表面12が正に帯電し、表面14が負に帯電し、したがって、これらの表面間の電位差が確立される。この電位差は、負荷24を(例えば、電気接点26を介して)これらの表面に接続することによって利用することができる。電流iが負荷を経由して表面12から表面14に流れる。したがって、デバイス10を、回路、電気器具または他の負荷に電流を供給する電源デバイスに組み込むことができる。
本発明の様々な例示的実施形態において、ガス分子の運動エネルギーは単にガスの温度に起因するだけである。これらの実施形態において、さらなる機構(例えば、外部の電圧供給源など)が、完全に熱エネルギーに起因するガス分子の運動を維持するために何ら要求されない。そのうえ、ガスが作動表面と相互作用するが、燃料電池とは異なり、そのような相互作用は不可逆的な化学反応を伴わず、かつ、ガスがプロセスにおいて消費されない。
デバイス10が定常状態に達するとき、負荷を通過する電荷の量が、ガス分子によってそれぞれの表面に移動させられる電荷の量とおおよそ同じであり、所与の負荷および温度については、表面間の電位差がおおよそ一定である。表面間の小さい温度差は、そのような温度差がたとえ存在するとしても、意味のある役割を、上記で記載される電荷移動機構において果たさない。
表面12および14における電荷の存在は、電荷を一方の表面から他方の表面に輸送する分子に対する障壁をもたらす電気的ポテンシャルを生じさせる。これが、逆荷電の分子に対する、表面12または14によって加えられる引力として現れ、また、分子がそれぞれの表面から跳ね返る際の、似たように帯電した分子に対する反発力として現れる。
熱的に隔離された条件では、表面との間で反発する(そして、反発することにおいて、ポテンシャル障壁に打ち勝つ)分子による電荷の移動はガス分子の平均運動エネルギーを絶えず減少させ、その結果、ガス分子の運動エネルギーがもはやポテンシャル障壁に打ち勝つことができない温度へのガス媒体の冷却が生じる。しかしながら、デバイス10は熱リザーバー20と熱に連絡しているので、熱エネルギー22が絶えずガス媒体に供給され、これにより、ガス分子の運動エネルギーが補充される。熱リザーバー20は、例えば、デバイス10が作動する環境(例えば、自然環境)が可能であり、熱エネルギーを、伝導、対流および/または放射によってデバイス10に供給することができ、結果として、ガス媒体に移すことができる。
表面間の電位差が定常状態に達すると、電荷移動が、表面における電荷の蓄積の後で増大している電場のために抑制される。デバイス10が負荷24に接続されるとき、蓄積した電荷が表面から負荷を経由して伝えられ、それにより、電荷移動のプロセスを続けることを可能にする。電流が負荷を経由して流れることにより、熱または他の有用な仕事が負荷においてもたらされる。したがって、リザーバー20からガス媒体16に移される熱エネルギーの少なくとも一部が、有用な仕事を行うために負荷24によって使用される。
一般に、所与の非ゼロ温度において、すべてのガス分子が運動しているが、すべての分子が同じ速度を有するとは限らない。したがって、すべての帯電したガス分子が、帯電している表面から反発した後で表面間の間隙を無事に横切ることができるとは限らない。ポテンシャル障壁を通過した後で十分な運動エネルギーを有する分子だけが間隙を横断することができ、電荷移動を確実にすることができる。より遅い(より低エネルギーの)分子はポテンシャル障壁に打ち勝つことができず、電荷移動プロセスに関与しない。所与の熱力学的条件については、ガス分子の運動を、統計力学的によって、特に、分子が特定の速度範囲の範囲内で運動する確率(または、等価であるが、分子が特定の運動エネルギーを有する確率)を記述するスカラー関数であるマックスウエル・ボルツマン速度分布によって分析することができる。したがって、表面12および14の間におけるポテンシャル障壁に打ち勝つために十分なエネルギーを有するガス分子の割合を、マックスウエル・ボルツマン分布を使用して推定することができる。マックスウエル・ボルツマン分布は任意の正の運動エネルギーについて正であることが特筆される。したがって、十分なエネルギーを有する分子を見出すという非ゼロ確率が常に存在する。本発明者によって行われた実験において、バックグラウンドノイズを有意に越える電流シグナルが負荷24を介して観測された。このことは、少なくとも一部のガス分子が首尾よくポテンシャル障壁に打ち勝ったことを明らかにする。これらの実験が下記において説明される。
分子が表面から離れる方向は多くのパラメーターに依存し、例えば、表面に到達する分子の速度(すなわち、速さおよび方向)、および分子と表面との間における相互作用のタイプ(例えば、衝突に関与する表面原子の数、場所および配向)などに依存する。ガス分子が特定の方向に表面から離れると、ガス分子は、ガス分子が表面または別のガス分子と衝突し、方向を変えるまで特定の距離を進む。ガス分子の2回の連続する衝突の間における平均距離が平均自由行程として知られており、ギリシャ文字λによって示される。λの値は、分子の直径、ガス圧力および温度に依存する。本発明の様々な例示的実施形態において、ガスの任意の所与の圧力および組成については、表面間の間隙dが、分子間衝突の数を制限するように十分に小さい。この形態は、他のガス分子と衝突することなく間隙を無事に横切る、十分なエネルギーを有する分子の確率を増大させる。
分子間衝突の数を減らすことのほかに、十分に小さい間隙はまた、図1C〜図1Fを参照して次に説明されるように、帯電した分子と、表面との間における相互作用によってもたらされる虚像電荷のポテンシャル障壁を低くする。虚像電荷のポテンシャル障壁は両方の表面の虚像電荷電位の寄与の総和である。2つの表面の間におけるどのような帯電したガス分子も、両方の表面に引き寄せられる。
図1Cは、表面が同一であり、2nmの間隙によって隔てられる場合について、表面12と14との間における虚像電位を例示する。この電位のz依存性が曲線62として示されており、ガス分子への1個の電子の電荷移動が表面から5Åの距離で生じる場合について計算された。虚像電位は、間隙の両端のほぼ中間にある局所的最大64の点、すなわち、帯電した分子に対して作用する虚像電荷力が存在しない点を有する。局所的最大64における虚像電荷電位がVmaxとして示され、その値は、d、すなわち、間隙のサイズに依存する。
図1Dは、間隙のサイズdが10nmに増大させられるとき、Vmaxのレベルが増大する状況を例示する。図1Eおよび図1Fは、0.5eVの仕事関数の差によってこの場合には例示されるが、表面12および14が同一でないときの、同じ2nmおよび10nmの例示的間隙の両端における電位を示す。この場合、プロットされた電位は、虚像電荷電位と、仕事関数の差に起因する電位とに対応する。帯電した分子に対して作用する正味の力が存在しない局所的最大64が、より大きい仕事関数を有する表面の方に移動し、ポテンシャル障壁Vmaxが、間隙サイズの増大とともに増大する。
したがって、間隙のサイズが小さくなるとき、虚像電荷のポテンシャル障壁を含むポテンシャル障壁に打つ勝つために要求される運動エネルギーの量もまた低下し、このことは、より遅い帯電した分子が間隙を横断することを可能にする。
好ましくは、表面12と表面14との間における間隙dは、デバイス10の作動温度および作動圧力におけるガス分子の平均自由行程の程度である。例えば、dは平均自由行程の10倍未満、より好ましくは5倍未満、より好ましくは2倍未満であることが可能である。例えば、dはおおよそ平均自由行程またはそれ以下であってもよい。表面12と表面14との間における間隙dについての典型的な値が約1000nm以下、より好ましくは約100nm未満、より好ましくは約10nm未満、より好ましくは約2nm以下である。
表面12と表面14との間の隔たりを、2つ以上の方法で維持することができる。本発明のいくつかの実施形態において、1つまたは複数の非導電性スペーサー28が、隔たりを維持するためにこれらの表面の間に置かれる。このスペーサーは、スペーサーが間隙における短絡を防止するという意味で「非導電性」である。スペーサー28のサイズが間隙のサイズdに従って選択される。好ましくは、スペーサーの大きさは、所望される間隔である。スペーサーは、例えば、任意の形状のナノ構造物であることが可能である。表面に対して本質的に並行する平面でのスペーサーの断面積が好ましくは、表面の十分かつ効果的な相互の露出を可能にするように、表面12および14の面積よりも実質的に小さい(例えば、10%未満)。
本発明のいくつかの実施形態において、表面間の隔たりが、表面の外向きに突き出る粗さ特徴物によって維持される(ここでは示されないが、例示については図2Bを参照のこと)。これらの実施形態は、表面12および14の少なくとも一方が、電気伝導率が不良である材料から作製されるときに特に有用である。
分子18は、ガス分子が、表面と相互作用したときに電荷を獲得するか、または、電荷を失うガス媒介による電荷移動効果を介して電荷を表面から引き抜き、また、表面に移動させる。例えば、ガス分子は、電子を表面から引き抜くことによって電子を獲得することができ、または、電子を表面に供与することによって電子を失うことができる。ガス媒介による電荷移動を2つ以上の機構によって達成することができる。分子実体への電子の移動は、ある種の結合エネルギーが、電子と分子実体の正に荷電した核との間に存在する分子−電子ユニットを生じさせることができる。しかしながら、(短距離の)電子結合と(長距離の)クーロン反発との間における相互作用が存在し、これらにより、分子−電子ユニットの安定性が影響を受ける。大まかに言えば、分子−電子ユニットの量子力学的状態が、安定、準安定または不安定となり得る。
結合エネルギーが十分に大きいとき、量子力学的状態は安定であり、分子−電子ユニットはイオンであると言われる。より低い結合エネルギーについては、電子が分子に緩く結合するだけであり、量子力学的状態は準安定または不安定である。電子結合に関する研究、特に、準安定または不安定な分子ユニットの形成に関する研究が文献に見出される。例えば、Cadez他、「分子分光法のための分子への電子結合およびその使用」、Acta Chim.Slov.、51(2004)、11〜21;R.A.KennedyおよびC.A.Mayhew、「トリフルオロメチルイオウペンタフルオリド(SFCF)に対する低エネルギー電子結合の研究:大気のかかわり」、International Journal of Mass Spectrometry、206(2001)i〜iv;Xue−Bin WangおよびLai−Sheng Wang、「分子における負の電子結合エネルギーの観測」、Letters to Nature、400(1999)、245〜248を参照のこと。
緩く結合した電子を有する分子−電子ユニットは電子を表面12から表面14に輸送することができることが本発明者によって見出された。これは、分子−電子の量子力学的状態の寿命が典型的には、分子−電子ユニットが表面間の間隙を横切るために要求される平均時間よりも長いからである。表面間の電荷移動が主として、準安定または不安定な量子力学的状態にある分子−電子ユニットを介してであることが仮定される。それにもかかわらず、イオン化した分子による電荷移動が除外されない。
本発明を構想し、その実施化を行っているとき、ガス分子または表面への電子の結合、およびガス分子または表面からの電子の脱離が、摩擦電気的効果と類似するガス媒介機構によって、または、摩擦電気的効果に関連づけられるガス媒介機構によって達成され得ることが仮定されている。
摩擦電気的効果(これはまた、「接触帯電」または「摩擦電気」として知られている)は、2つの異なる物体が一緒にこすれて、または、互いに関して相対的な運動でこすれて帯電すること、および電子が一方の物体から他方の物体にはぎ取られることである。この帯電効果は、絹およびガラスを用いて容易に明らかにすることができる。本発明者は、摩擦電気様の効果もまたガスによって媒介され得ることを発見しており、また、信じている。
本発明の様々な例示的実施形態において、分子は、例えば、本明細書中上記でさらに詳述されるような吸着・脱着プロセスまたは衝突プロセスを介して、表面と接触したとき、電子を獲得し、または、電子を失う。
本発明のいくつかの実施形態による表面間のガス媒介による電荷移動が、実質的には400℃未満、または、200℃未満、または、100℃未満、または、50℃未満である温度で生じる。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、ガス媒介による電荷移動が、400℃よりも高い温度でもまた生じる。
本発明の様々な例示的実施形態において、両方の表面が、30℃未満かつ15℃を超える温度であり、例えば、室温(例えば、約25℃)またはその近傍である。本発明のいくつかの実施形態において、両方の表面が、15℃未満かつ0℃を超える温度、また、本発明のいくつかの実施形態において、両方の表面が、0℃未満である温度である。
表面間の電位差が、一方の表面から他方の表面への電荷輸送体として働く分子の熱運動によって発生するので、表面間の温度勾配を維持する必要がない。したがって、これら2つの表面は実質的に同じ温度であることが可能である。このことは、エミッター電極が、コレクター電極に対して高い温度で保たれ、かつ、電気負荷を通過する電子の流れがゼーベック効果によって維持される従来の熱電変換体とは異なる。そのような従来の熱電変換体では、電荷輸送体として働くガス分子が全く存在しない。むしろ、熱電子が高温のエミッター電極から低温のコレクター電極に直接に流れる。
表面12および14はどのような形状でも有することができる。典型的には、図1Aおよび図1Bで例示されるように、表面は平面であり、しかし、非平面の形態もまた意図される。表面12および14は、ガス分子が、ガス媒介による電荷移動効果を介して、表面12と接触している間に(例えば、電子を獲得することによって)負電荷を獲得すること、および/または、表面14と接触している間に(例えば、電子を失うことによって)正電荷を獲得することを可能にするように、異なる材料から一般に作製されるか、または、同じ材料の表面改変物である。
本発明の実施形態のガス媒介による電荷移動は電荷移動性に起因すると考えられる。
「電荷移動性」は、本明細書中で使用される場合、電荷をガス分子に移動させる表面の能力、または、電荷をガス分子から受け取る表面の能力、あるいは、代替では、電荷を表面に移動させるガス分子の能力、または、電荷を表面から受け取るガス分子の能力を意味する。
電荷移動性が表面およびガス分子の性質によって決定され、電荷移動性はまた、温度に依存する場合がある。電荷移動性は、特定の表面と特定のガス分子との間における相互作用を記述し、この相互作用によって引き起こされる電荷移動の可能性、この相互作用によって引き起こされる電荷移動の程度、ならびに、この相互作用によって引き起こされる電荷移動の極性を反映する。本文書において、表面は、ガス分子が表面を正に帯電させるときには正電荷移動性を有すると言われ、ガス分子が表面を負に帯電させるときには負電荷移動性を有すると言われる。例えば、正電荷移動性を有する表面は、電子を失ってガス分子に渡し、これにより、ガス分子を中和するか、または、分子−電子ユニットを形成するかのどちらかをもたらす表面である。負電荷移動性を有する表面は、電子を中性ガス分子または分子−電子ユニットから受け取る表面である。電荷移動性は、電荷移動に関与する表面およびガスの両方に依存する。電荷移動性はまた、温度に依存する場合がある。これは、温度が、多くの材料特性(例えば、エネルギーギャップ、熱膨張、導電率および仕事関数など)と同様に、ガス分子の運動エネルギーに影響を及ぼすからである。定量的には、Θとして示される電荷移動性はエネルギーの単位で表すことができる。例えば、正電荷移動性を、Θ=E min(式中、E minは、電子を表面から取り除き、その電子を中性のガス分子に結合させるために要求される最少エネルギーである)として定義することができ、また、負電荷移動性を、Θ=−E min(式中、E minは、電子を中性のガス分子から取り除き、その電子を表面に移動させるために要求される最少エネルギーである)として定義することができる。
Θが、上記で定義されるようにエネルギーの単位で表されるとき、その値は、一部の場合には、電荷を中性の分子に移動させるために要求されるエネルギーと必ずしも同一であるとは限らないことが理解される。これは、電荷移動がまた、分子および/または表面が既に帯電しているときにも生じ得るからである。したがって、次により詳しく説明されるように、電子をガス分子から取り除き、その電子を表面に結合させるために要求されるエネルギーは、E minよりも大きくまたは小さくなる可能性があり、また、電子を表面から取り除き、その電子をガス分子に結合させるために要求されるエネルギーは、E minよりも大きくまたは小さくなる可能性がある。
ガス分子が正に帯電するとき、この分子と電子との間にはクーロン引力が存在する。したがって、電子を表面から取り除き、その電子を正に帯電した分子に結合させることにおいてなされる仕事は、E minよりも小さくなる可能性がある。これは、正に帯電した分子はそのような結合に有利であるからである。他方で、電子を正に帯電した分子から取り除き、その電子を表面に移動させることにおいてなされる仕事は、E minよりも大きくなる可能性がある。これは、正に帯電した分子はこの分子からの電子の脱離には有利でないからである。
ガス分子が負に帯電するときには、状況が逆転する。電子を負に帯電した分子から取り除き、その電子を表面に移動させることにおいてなされる仕事は、電子が分子に緩く結合する場合には特に、E minよりも小さくなる可能性がある。これは、緩く結合した電子の結合エネルギーが中性分子の原子価電子の結合エネルギーよりも低いからである。電子を表面から取り除き、その電子を負に帯電した分子に結合させることにおいてなされる仕事は、電子と分子との間におけるクーロン反発力のために、E minよりも大きくなる可能性がある。
minおよびE minはともに、ガス媒体と同様に、固体表面の性質に依存する。したがって、所与の固体表面とある1つのガス媒体との相互作用を記述する電荷移動性は、同じ固体表面と別のガス媒体との相互作用を記述する電荷移動性と必ずしも同じであるとは限らない。
いくつかの固体表面については、表面の電荷移動性が表面の仕事関数に相関させられる。しかしながら、これら2つの量は同じではない。表面の仕事関数は、電子を表面から(一般には真空に)自由にするために要求される最少エネルギーとして定義されるが、電荷移動性は、電荷を取り除き、その電荷をガス分子に結合させるために要求されるエネルギーに関連づけられ、したがって、電荷移動性は、表面の性質だけでなく、ガス分子の性質に依存する。
特定の仕事関数を真空中で有する固体材料は、ガス媒体の存在下では異なる挙動を有する場合があり、また、様々なガス環境では全く異なる接触電位差を示す場合があることは特筆される。本明細書中を通して、また、特許請求項において、電荷移動性の用語は、真空中ではなく、特定のガス媒体の存在下における特定の固体表面の挙動を記述する。
仕事関数に加えて、表面の電荷移動性はまた、その誘電率、および電荷を受け取り、または、電荷を失うガス分子の能力に依存する。電荷を受け取り、または、電荷を失うガス分子の能力は、ガス媒体の電子親和性、イオン化ポテンシャル、電気陰性度および電気陽性度(したがって、これらもまた、電荷移動性と大雑把には相関する)によって影響を受ける。
本発明者は、試験材料の電荷移動性を評価するための技術を発見した。この技術において、超音速ガスジェットノズルが、試験材料から作製されるか、または、試験材料により被覆される導電性の標的メッシュに向けられる超音速のガスジェットを発生させるために使用される。電流計が、標的メッシュとジェットノズルとの間で接続される。電流計を通って流れる電流の方向および大きさにより、ガスの存在下における試験材料に関連する電荷移動性の符号およびレベルが示される。本発明者によって行われた超音速ガスジェット実験の代表的な結果が下記の実施例の節の実施例2および図3に示される。
本発明のいくつかの実施形態において、電荷移動性Θが、本明細書中ではImeshとして示される量を測定することによって評価される。この場合、Imeshは、所定の密度のメッシュを通り抜ける超音速のガスジェットに応答して、標的メッシュとジェットノズルとの間で発生する電流である。Imeshのいくつかの例示される測定結果が下記の実施例の節において記載される(実施例2を参照のこと)。
本発明の様々な実施形態において、ガス媒体との表面12の相互作用を記述を電荷移動性が正である。典型的には、しかし、必ずとは限らないが、ガス媒体との表面14の相互作用を記述を電荷移動性が負である。表面12の電荷移動性が正であることが十分であることが理解される。これは、緩く結合した電子を有する分子が表面14と衝突するか、または、表面14によって吸着されるとき、緩く結合した電子を有する分子は、表面14の電荷移動性が中性分子に対して負でないときでさえ、電子を表面14に移動させる無視できない確率を有するからである。
それぞれの表面についての適切な電荷移動性を、ガス媒体、ならびに、(基板32および34の表面改変物であってもよい)表面12および14が作製される材料の慎重な選択によって達成することができる。好適な材料から作製される基板を、何ら改変することなく使用することができる。代替では、基板が選択されると、それぞれの表面を、本発明のいくつかの実施形態に従って、電荷移動性を所望のレベルに強化または低下するように改変または被覆することができる。表面改変には、基板の表面を変化させること、物質(1つまたは複数)を基板の表面に付加すること、物質(1つまたは複数)を表面から除くこと、または、これらの手順の組合せが含まれ得る。表面改変にはまた、基板の下層材料が依然として基板の一部であり、かつ、電荷移動プロセスに関与するように、物質を表面に付加することが含まれ得る。基板の表面を変化させることには、酸化または還元(これらに限定されない)を含めて、様々な化学反応が含まれる場合がある。物質(1つまたは複数)を表面に付加することには、限定されないが、1つまたは複数の層によって被覆すること、および分子または原子の1層または複数層を吸着させることなどが含まれる場合がある。物質(1つまたは複数)を表面から除くことには、限定されないが、リフトオフ技術およびエッチングなどが含まれる。そのような表面改変のいずれもが、本明細書中では表面活性化として示されることがある。
表面改変は被覆を含むことができる。基板の被覆を2つ以上の方法で達成することができる。いくつかの実施形態において、それぞれの表面を形成する材料により直接、基板が被覆される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のアンダーコートが施され、基板と、それぞれの表面を形成する材料との間に置かれる。
基板表面の改変または被覆は、同じ材料を基板32および34の両方のために使用することを可能にすることができ、それによって、表面12および14の特徴的な電荷移動性における差が、異なる表面処理手順を使用して達成される。例えば、基板32および34の両方を、電気伝導性のためのアンダーコートを形成するために金により最初に被覆されるガラスから作製することができる。表面12のために、金のアンダーコートはさらに、フッ化セシウム(CsF)または炭酸カルシウム(CaCO)により被覆することができ、表面14のために、金のアンダーコートはさらに、塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)により被覆することができる。
基板はまた、薄膜被覆の技術分野において知られているスパッタリング技術によって被覆することができる。この技術では、薄膜が、材料をターゲットから基板上にスパッタリングすることによって堆積させられる。
被膜がスパッタリングにより施され得る基板として使用することができる材料の代表的な例には、限定されないが、アルミニウム、ステンレススチール、金属箔、ガラス、フロートガラス、プラスチックフィルム、セラミックスおよび半導体(様々なドーパント(例えば、リン系ドーパントおよびホウ素系ドーパント)によりドープ処理され、様々な結晶学的配向(例えば、<100>、<110>、<111>)でのシリコンを含む)、ならびに、片面または両面が以前に被覆された任意の基板(アルミニウムがスパッタリングされたガラス、アルミニウムがスパッタリングされたフロートガラス、およびクロムがスパッタリングされたフロートガラス(これらに限定されない)を含む)が含まれる。被膜またはアンダーコートをその表面に形成するために基板上にスパッタリングされ得るターゲット材料として使用することができる材料の代表的な例には、限定されないが、アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、銅(Cu)、金(Au)、六ホウ化ランタン(LaB)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、パラジウム−金(Pd−Au)、ハフニウム(Hf)、マンガン(Mn)、二酸化マンガン(MnO)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ガドリニウム(Gd)、シリカ(SiO)、イットリア(Y)、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化タングステン(WC)、酸化ジルコニウム(ZrO)、三酸化タングステン(WO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化ランタン(La)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化ストロンチウム(SrO)、フッ化カルシウム(CaF)、イットリウムカルシウムバリウム銅酸化物(YCaBaCuO)、酸化カルシウム(CaO)、ケイ化クロム(CrSi)、アルミナ(Al)、硫化バリウム(BaS)、硫化カルシウム(CaS)、およびそれらの組合せが含まれる。
本発明のいくつかの実施形態において、基板32および34は、表面12および14の特徴的な電荷移動性における差を確実にするための処理にその場で供される。例えば、基板32および34を有するデバイス10を、電気活性化学種(例えば、塩および色素など、これらに限定されない)をその中に有する液体媒体で満たすことができる。基板32と34との間の間隙が液体媒体で満たされるとき、間隙のサイズはかなり大きくすることができ、例えば、50μmを超えることができる。液体媒体は極性溶媒または非極性溶媒を含むことができる。
基板32および34ならびに液体媒体は、例えば、電解析出(ED)プロセスを開始させるなどのために、例えば、基板32および34を外部電源に接続することによって電流に供される。電解析出としては、電気活性化学種が溶媒内でイオンに解離させられる電気化学的析出(ECD)、または、電気活性化学種が溶媒内で帯電させられる電気泳動的析出(EPD)が可能である。
EDプロセスにより、基板32および34の表面の少なくとも一方の改変、または、基板32および34の表面の少なくとも一方におけるオーバーコートが、それらの特徴的な電荷移動性における差が存在するようにもたらされ得ることが本発明者によって見出された。例えば、電気化学的析出では、表面のどちらか一方が、液体媒体に存在するイオンによって改変されるか、または、液体媒体に存在するイオンにより被覆され、あるいは、両方の表面が同時に改変または被覆される(この場合、一方の表面がアニオンにより改変または被覆され、他方の表面がカチオンにより改変または被覆される)。電気泳動的析出では、液体媒体における溶解または懸濁されている化学種を一方の表面または両方の表面に電気泳動的に析出させることができる。
いずれにせよ、液体媒体、ならびに、基板32および34の材料は、EDプロセス後、得られた表面12および14がそれぞれ、異なる特徴的な電荷移動性を有するように選択される。
基板32および34の一方または両方がEDプロセスによって改変または被覆されると、液体媒体が好ましくは、オーブンにおける乾燥によるか、または、真空によるか、または、何らかの他の知られている乾燥方法によるかのどれかでデバイス10から排出される。本発明のいくつかの実施形態において、この排出手順または乾燥手順により、総体積(表面および液体)が、排出後には、表面間の距離が乾燥前よりも実質的に小さくなり得るように小さくなる。例えば、間隙を排出前の50μmから少なくとも50%または少なくとも60%または少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%縮小することができ、また、少なくとも5μm未満にまで縮小することさえできる。はるかにより大きい間隙縮小比もまた可能である。
したがって、上記手順は、表面12と表面14との間における特徴的な電荷移動性の差を確実にする活性化プロセスとして役立つ。活性化プロセスを、基板32および34が同じ材料であろうとも、または、それぞれの基板が異なる材料から作製されようとも、実行することができる。上記手順は、記載されるようなただ1つのセルデバイスまたは多数のセルデバイスについて行うことができる。多数のセルデバイスについては、手順が好ましくは、デバイスのすべてについて同時に行われる。
本発明の実施形態のために好適な表面処理手順のさらなる例が下記の実施例の節において詳述される。
表面12および14のそれぞれが好ましくは、しかし、必ずとは限らないが、平滑である。実質的に平滑ではなく、互いに接触しない表面もまた意図される。好ましくは、表面12および14は、標準的な手順を使用する原子間力顕微鏡法(AFM)の画像分析によって通常的に求められるように、約20Å以下、より好ましくは、約10Å以下、より好ましくは、約5Å以下のRMS粗さである表面粗さを有する。同様に意図されるものが、原子的に平坦な表面である。さらに意図されるものが、数十nm(例えば、約100nm)のRMA粗さを有する表面である。
表面12および/または14のために使用することができる好適な材料には、磁性物質または非磁性物質が含まれ、例えば、金属、半金属、合金、真性またはドープされた無機半導体または有機半導体、誘電性材料、真性ポリマーまたはドープされたポリマー、導電性ポリマー、層状材料、セラミックス、酸化物、金属酸化物、塩、クラウンエーテル、有機分子、第四級アンモニウム化合物、サーメット、ならびに、ガラスおよびケイ酸塩化合物、ならびに、それらの任意の組合せなどが含まれるが、これらに限定されない。
代表的な例には、限定されないが、下記のものが含まれる:金属および半金属(例えば、ニッケル、金、コバルト、パラジウム、白金、グラファイト、グラフェン、アルミニウム、クロム、カドリニウム、モリブデン)ならびにそれらの酸化物(例えば、グラファイト酸化物(必要に応じて還元または部分還元される)、シリカ、二酸化マンガン、マンガンニッケル酸化物および三酸化タングステン)、合金(例えば、ステンレススチール)、半導体(例えば、ホウ素またはリンがドープされたシリコンウエハー)、セラミックス(例えば、ガラスセラミックス(例えば、MACOR(登録商標)など)、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素)、サーメット(例えば、クロムシリシドシリカ)、ガラスおよびケイ酸塩化合物(例えば、ガラスおよびキンウンモ)、塩、例えば、カルシウム塩(例えば、カルシウムペトロナート、ナフテン酸カルシウム(例えば、NAP−ALL(登録商標)など))、希土類塩(例えば、希土類のネオデカン酸塩またはベルサターテ(versatate)塩(例えば、TEN−CEN(登録商標)など)、希土類のオクタン酸塩(例えば、2−エチルヘキサン酸から調製されるオクタン酸塩であるHEX−CEM(登録商標)など))、ジルコニウム塩(例えば、ジルコニウムのカルボン酸塩、例えば、CEM−ALL(登録商標)、ジルコニウムHEX−CEM(登録商標)など)、マンガン塩(例えば、マンガンHEX−CEM(登録商標)、マンガンNAP−ALL(登録商標)、マンガンHydroCure(登録商標)およびHydroCure(登録商標)IIなど)、第四級アンモニウム塩Arquad(登録商標)(例えば、Arquad3HT−75(登録商標))、鉛塩(例えば、鉛CEM−ALL(登録商標)、鉛NAP−ALL(登録商標))、コバルト塩(例えば、コバルトTEN−CEN(登録商標)、コバルトNAP−ALL(登録商標)、コバルトCEM−ALL(登録商標))、亜鉛塩(例えば、亜鉛NAP−ALL(登録商標)、亜鉛CEM−ALL(登録商標)、亜鉛HEX−CEM(登録商標)、ステアリン酸亜鉛)、ニグロシン、ナトリウムペトロナート、ポリエチレンイミン、マラガガム、OLOA1200、レシチン、ポリマー(例えば、ニトロセルロース、ニトロセルロース系ポリマー、必要な場合にはドープされたニトロセルロース系ポリマー(例えば、Zaponlack)、ポリ塩化ビニル系ポリマー(例えば、Episol(登録商標)310、Episol(登録商標)410、Episol(登録商標)440、Epivyl(登録商標)32、Epivyl(登録商標)40、Epivyl(登録商標)43、Epivyl(登録商標)S43、Epivyl(登録商標)46)およびアクリル樹脂(例えば、Elvacite(登録商標)2041)など)、およびそれらの任意の組合せ。
上記材料のいくつかはまた、自立型構造物を形成することができるという範囲で、基板32および/または34のために好適である。
本明細書中で参照されるいくつかの商標は、第三者の慣習上の商標または登録された商標であり得る。これらの商標の使用は例としてであり、したがって、記述的であるとして解釈してはならず、また、本発明の範囲をそのような商標にただ関連するだけである材料に限定してはならない。
ガス媒体16として使用することができる好適な材料には、限定されないが、ハロゲンおよびハロゲン含有ガス、例えば、At、Br、Cl、F、I、WF、PF、SeF、TeF、CF、AsF、BF、CHF、C、C、C、CO、C、GeF、C、CFCOCl、CHF、SiF、HFC−CF、CHFおよびCHF;不活性ガス、例えば、Ar、He、Kr、Ne、RnおよびXe;窒素含有ガス、例えば、N、NF、NH、NO、NOおよびNO;イオウ含有ガス、例えば、SF、SF、SO;酸素を含むガス、例えば、O、COおよびCO;水素含有ガス、例えば、H、重水素、i−C10およびCH;アルカリガス、例えば、Cs、Li、Na、K、Fr、RbおよびYb;ならびに、それらの組合せが含まれる。本発明の様々な例示的実施形態において、ガス媒体は、セルまたはデバイスの表面に関して化学的に不活性である。
表面12および14は、本明細書中上記でさらに詳述されるようなガス媒体の存在下におけるそれらの電荷移動性に従って対にすることができる。好ましくは、表面12は正電荷移動性を有し、いくつかの実施形態において、表面14は負電荷移動性を有する。
本発明のいくつかの実施形態において、表面12を、実施例の節の表1に列挙されるような材料番号1〜19から選択される材料から作製することができ、表面14を、材料番号23〜46から選択される材料から作製することができる(実施例2を参照のこと)。しかしながら、このことは必ずしも当てはまるとは限らない。これは、いくつかの実施形態において、表面12および14の両方を材料番号1〜19から選択することができ、他の実施形態においては、表面12および14の両方を材料番号23〜46から選択することができるからである。同様に意図されるものが、表面12および14の一方または両方が、実施例8の表6に列挙される材料から選択される材料から作製される。
少数の限定されない対形成の例として、ガス媒体が六フッ化イオウ(SF)であるとき、一方の表面をジルコニウムCEM−ALL(登録商標)から作製することができ、別の表面を下記の材料の1つから作製することができる:マンガンHydroCure(登録商標)II、ジルコニウムHEX−CEM(登録商標)、Arquad(登録商標)3HT−75(登録商標)、鉛NAP−ALL(登録商標)、希土類HEX−CEM(登録商標)、コバルトCEM−ALL(登録商標)、ニッケル、カルシウムNAP−ALL(登録商標)、マンガンNAP−ALL(登録商標)、グラファイト酸化物、コバルトNAP−ALL(登録商標)、希土類TEN−CEN(登録商標)、ニグロシン、鉛CEM−ALL(登録商標)、マンガンHEX−CEM(登録商標)、亜鉛NAP−ALL(登録商標)、コバルトTEN−CEN(登録商標)、Caペトロナート、OLOA1200、亜鉛HEX−CEM(登録商標)、レシチン、マンガンHydroCure(登録商標)、金、コバルト、ステアリン酸亜鉛、Naペトロナート、パラジウム、Epivyl(登録商標)32、亜鉛CEM−ALL(登録商標)、グラファイト、白金、ポリエチレンイミン(PEI)、Epivyl(登録商標)40、マラガガム、ニトロセルロース、Episol310、Episol440、Epivyl(登録商標)S43、Elvacite(登録商標)2041、Epivyl(登録商標)46、Epivyl(登録商標)43およびEpisol410。さらなる限定されない対形成例および好適なガス媒体が実施例8の表6に示される。
所望される電荷移動性が表面改変技術によって達成され得るので、材料が、少なくとも厚さ方向で、十分な電流を伝えることができるならば、基板32および34はどのような材料からでも作製することができる。本発明のいくつかの実施形態において、一方または両方の基板が、大きいバルク導電率を有する材料から作製され、例えば、金属などから作製される。しかしながら、材料の電気コンダクタンスがその幾何形状および配向によって影響されるので、このことは必ずしも当てはまるとは限らない。不良なバルク導電率を有すると見なされるかもしれないある種の材料は、それらの結晶軸の1つにおいて十分に電流を伝えることができる。例えば、ある種の層状材料は、不良なバルク導電率を有する場合があり、しかし、1層または複数層の原子単層を含むかどうかによらず、材料の薄い層を通過する十分な導電率を有する場合がある。
さらなる例として、ガラスおよびMACOR(登録商標)は不良な導体であると見なされる。これは、室温におけるそれらの典型的な導電率(それぞれ、10−15S/mおよび10−12S/m)が、(10S/m程度である)金属の典型的な導電率よりもかなり低いからである。それにもかかわらず、そのような材料の十分に薄い層は、ある種の低電力用途のためには十分である十分な電流を伝えることができる。デバイス10の基板の一方が、直径が50mmで、厚さが100μmであるガラスプレートである構築物を考える。ガス媒介による電荷移動により、1Vの電圧がガラスの厚さの両端で発生することを仮定する。そのような電圧は、ガラスプレートを通過する数pAの測定可能な電流を発生させることができる。したがって、ある種の低電流用途のために、基板32および34はまた、比較的不良な導電率を有する材料から作製することができる。
基板32および34のために好適な材料の代表的な例には、限定されないが、金属、例えば、アルミニウム、カドミウム、クロム、銅、ガドリニウム、金、鉄、鉛、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、銀、タンタル、スズ、チタン、タングステンおよび亜鉛など(これらに限定されない);半金属、これには、アンチモン、ヒ素およびビスマスが含まれるが、これらに限定されない;合金、これには、黄銅、青銅、ジュラルミン、インバールおよびスチールが含まれるが、これらに限定されない;真性およびドープされた無機および有機の半導体および半導体ヘテロ構造物、これには、シリコンウエハー、ゲルマニウム、シリコン、ヒ化ガリウムアルミニウム、セレン化カドミウム、ヒ化ガリウムマンガン、テルル化亜鉛、リン化インジウム、ヒ化ガリウムおよびポリアセチレンが含まれるが、これらに限定されない;ラメラ状材料、これには、グラファイト、グラフェン、グラファイト酸化物、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、二硫化スズおよび六方晶窒化ホウ素が含まれるが、これらに限定されない;真性またはドープされた酸化物、これには、シリカ、三酸化タングステン、二酸化マンガン、マンガンニッケル酸化物、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)が含まれるが、これらに限定されない;真性またはドープされたセラミックス、これには、窒化ホウ素、窒化アルミニウムおよびガラスセラミックス(例えば、MACOR(登録商標)など)が含まれるが、これらに限定されない;サーメット、これには、クロムシリシドシリカが含まれるが、これに限定されない;ガラスおよびケイ酸塩化合物、これには、ガラスおよびキンウンモが含まれるが、これらに限定されない;または、それらの組合せが含まれる。同様に意図されるものが、上記材料のいずれかにより被覆されるいずれかの材料の基板である。
基板および被覆物のために好適な材料が、磁性体(例えば、Co、Fe、Gd、NiおよびGaMnAsなど)および非磁性体(例えば、AlおよびCuなど)であり得る。
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、基板は、本明細書中上記でさらに詳述されるように(例えば、電流が負荷を通って流れることを可能にするために)十分な電気伝導性を提供しなければならない。十分な電気伝導性を、基板が厚さ方向(すなわち、電流が流れる方向)において十分なコンダクタンスを有するならば、大きいバルク導電率(例えば、10S/m超)を有する基板、または、不良なバルク導電率(例えば、10−9S/m未満)を有する基板、または、中程度のバルク導電率(例えば、10−9S/m〜10S/mの間)を有する基板のどれかを使用して確立することができる。
表面12および14は、むき出しの基板(32および34)、表面改変された基板、または、被覆された基板が可能である。むき出し基板(32および34)の典型的な厚さが約1nm〜約100μmである。本発明のいくつかの実施形態において、むき出し基板の厚さは1nm〜20nmの間が可能である。いくつかの実施形態において、厚さは1層の原子単層と同じくらい小さくすることができる(グラフェンの場合には0.34nm)。ある種の表面改変された基板(例えば、電気化学的に改変された基板、酸化された基板または還元された表面など)の場合、表面12および14の典型的な厚さは1nm未満が可能である。しかしながら、被覆された表面の場合、表面12および14の典型的な厚さが約1nm〜約600nmであり、しかし、他の厚さは本発明の範囲から除外されない。基板32と表面12との間における、または、基板34と表面14との間における何らかの中間層またはバインダー層の場合(これらの層が存在するならば)、典型的な厚さが1nm未満〜約250nmである。
本発明の様々な例示的実施形態において、デバイス10はさらに、ガス圧力を維持し、かつ、ガス媒体の漏れまたは汚染を防止するための密閉された筺体36を含む。筺体36の内部の圧力は周囲圧力と(加圧方向または減圧方向のどちらかで)異なることが可能である。筺体36の内部の圧力は、所望される平均自由行程および/または所望される熱伝導度(圧力が高いほど、熱伝導は大きくなる)を達成するように選択することができる。下記の実施例の節において式1で説明されるように、平均自由行程は圧力に対して反比例する。したがって、筺体36の内部の圧力を下げることによって、平均自由行程を増大させることができる。圧力を上げることによって、熱伝導度が増大するように、キャリア分子の数が増大する。最適な圧力は、最大電流を生じさせるためにこれらの影響を平衡化させる。本発明の様々な例示的実施形態において、筺体36の内部の圧力は10気圧未満であり、だが、接近した間隔で置かれる間隙については特に、より大きい圧力もまた意図される。実際、ナノメートル範囲での間隙については、とりわけ、分子直径が小さいガス(例えば、ヘリウムなど)を使用するときには、大きい効率を数百気圧のガス圧力で達成することができる。一般に、そのような小さい間隙については、上限の圧力限界が、圧力閉じ込め検討によるか、または、作動温度におけるガスの液化圧力によるかのどちらかによって設定される。好ましいガス圧力は1気圧を超える。典型的には、ガス圧力は1.1気圧よりも高く、または、2気圧よりも高く、または、3気圧よりも高く、または、4気圧よりも高く、または、5気圧よりも高い。
次に、図2Aおよび図2Bが参照される。図2Aおよび図2Bは、本発明の様々な例示的実施形態による電源デバイス40の概略的例示である。デバイス40は、上記で記載される1対の表面12および14と、これらの表面の間におけるガス媒体(示されず、例示については図1Aおよび図1Bを参照のこと)とをそれぞれが有する多数のセル10を含む。ガス媒介電荷移動効果により、ガス媒体の分子が、本明細書中上記でさらに詳述されるように、表面12から表面14への負電荷、および/または、表面14から表面12への正電荷を輸送する。
複数のセル10が、電流が、隣接する直列接続されたセルの間を流れることを可能にするようにそれらの間で相互接続される。図2Aおよび図2Bで示される例示において、デバイス40は、表面の一方が負電荷をガス分子の少なくとも一部に移動させ、反対側の表面が負電荷を帯電したガス分子の少なくとも一部から受け取る、2つの向かい合わせの表面12および14を有するコア42からそれぞれが形成される多数の二元的構成体44として配置される。二元的構成体44は、異なる電荷移動性を有する表面が互いに向かい合っているように配置される。図2Aに示される例示では、二元的構成体44がスペーサー28によって隔てられ、それぞれの二元的構成体の2つの表面が基板42により電気的に連絡している。図2Bに示される例示では、二元的構成体44の間における間隙が、対向して向かい合っている表面の外向きに突き出る粗さ特徴物50によって維持される。同様に意図されるものが、一部の二元的構成体が、図2Aで例示されるようなスペーサーによって隔てられ、かつ、一部の二元的構成体が、図2Bで例示されるような外向きに突き出る粗さ特徴物によって隔てられる実施形態である。向かい合っている表面の少なくとも一方が、不良な導電性の材料から作製され、かつ、接触面積が小さいならば、接触によって引き起こされる「漏電」が最小限に抑えられる。
この二元的構成体形態により、セル10に類似する数個のセルの配置が例示される。2つの隣接する相互接続されたセルがコアを共有し、それにより、コア42の片側での表面12が、例えば、1つのセルの電子ドナーとして働き、一方、コア42の反対側での表面14が、例えば、別のセルの電子レシーバーとして働く。ガス媒体と、熱リザーバー20との間における熱交換により、電荷をそれぞれのセルの表面の間で輸送するガス分子の運動エネルギーが維持される。前記熱交換が、ガスと、リザーバー20との間において、および/または、基板42の熱伝導性により直接に達成され得る。2つのセルの間における電気的相互接続性を、コア層42の大部分を電気伝導性にすることによって、および/または、層42を、基板42の端部を介して電気伝導性を提供する電気伝導性材料によって被覆することによって達成することができる。
二元的構成体の配置を、第1の導電性部材46と、第2の導電性部材48との間に置くことができる。導電性部材46および48の内側表面はまた、電子ドナー表面および電子レシーバー表面としてそれぞれ働くことができる。したがって、電子が導電性部材46から二元的構成体44を介して導電性部材48に輸送され、それにより、導電性部材46と48との間における電位差を、必要な場合には何らかの外部電圧源の非存在下において発生させる。導電性部材46および48は外部負荷24に接続することができる。
電気的観点から、そのようなセルは直列および/または並列で配置され、直列配置により、ただ1個だけのセルと比較して、増大した電圧出力がもたらされ、並列配置により、増大した電流がもたらされることには留意すること。デバイスの総電圧が、直列方向に沿った電圧の和であり、総電流が横方向での輸送面積によって決定される。
本発明の好ましい実施形態において、デバイス40はさらに、上記で定義されるように、ガス媒体の漏れおよび汚染を防止するための、また、チャンバー内の圧力の制御を可能にするための密閉されたチャンバーを含む。
本明細書中で使用される用語「約」は、±20%を示す。
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
(実施例1)
理論的考察
ガス分子は、温度依存的なマックスウエル・ボルツマン分布関数によって定義される範囲に含まれる様々な速度でランダムな方向に運動することが、ガスの運動理論から証明され、この場合、そのようなマックスウエル・ボルツマン分布関数は、統計力学の方法を使用して導くことができる。マックスウエル・ボルツマン分布関数により、量子的影響が無視できる、非常に多数の非相互作用粒子からなる衝突支配系における速度分布が記述される。
ガス分子は互いに衝突し、同様に、ガス分子が閉じ込められる容器とも衝突する。直径σのガス分子について、ある特定の圧力Pおよび絶対温度T(°K)における平均自由行程λが次式によって与えられる:
式中、Rは一般ガス定数であり(R=0.082atm・L・mol−1・°K−1)、Nはアボガドロ数である。したがって、所与の圧力および温度について、ガス分子の平均自由行程はガス分子の直径に依存し、この場合、より小さい分子は、より大きい分子と比較して、より大きい平均自由行程を有する。
直径σ(Å)と、5気圧の圧力Pおよび25℃の温度における少数の代表的なガスについて式1を使用して計算されるときの対応する平均自由行程λ(nm)とが下記の通りである:
アルゴン(σ=4.0Å、λ=11.2nm)、CF(σ=4.2Å、λ=10.3nm)、C(σ=4.8Å、λ=7.9nm)、CH(σ=4.4Å、λ=9.6nm)、ヘリウム(σ=2.4Å、λ=31.5nm)、クリプトン(σ=4.6Å、λ=8.6nm)、ネオン(σ=2.9Å、λ=22.2nm)、N(σ=3.8Å、λ=13.0nm)、SF(σ=5.5Å、λ=6.0nm)およびキセノン(σ=5.4Å、λ=6.2nm)。これらの計算は、一般的なガスの平均自由行程の値が、示された条件のもとでは、一般にナノメートル範囲の距離にあることを示している。より高い温度(25℃超)および/またはより低い圧力(5気圧未満)については、これらの分子の平均自由行程がより長くなる。
ガス分子が、d<λの距離によって隔てられる表面の間に置かれるとき、主たる相互作用が、分子と、表面との間であり、ほんの小さい割合の相互作用が分子間衝突である。したがって、d<λの場合、ほとんどの分子が表面の間で前後に運動する。単位時間あたり表面と相互作用する分子の数が圧力に線形依存する。好適な表面と相互作用するとき、分子は電子の喪失または獲得を行うことができ、したがって、正電荷または負電荷を獲得する。表面の近傍では、様々な力が、帯電したガス分子に対して作用し得る。帯電したガス分子は逆極性の虚像電荷を表面において誘導し、この虚像電荷により、結果として、引力が、帯電した分子と表面との間に生じる。十分に大きい速度の帯電したガス分子は、第1の表面を逃れ、間隙を横断して、反対側の表面に到達するように、虚像電荷の引力に打ち勝つことができる。
ガス分子が、d>λの距離によって隔てられる表面の間に置かれるとき、分子間衝突がより頻繁になり、表面間の間隙を横断するガス分子の確率ηが次式のように書き表され得る:
したがって、式1において記述されるλおよびPの間における依存性の結果として、間隙を横断する分子の確率が圧力の増大とともに低下する。
ガス分子の平均速度が次式のように書き表され得る:
式中、Tは温度であり、Mはガスの分子量である。式3から計算されるときのいくつかの代表的なガスについての25℃の温度における平均速度(m/秒)が下記の通りである:
アルゴン(398m/s)、CF(268m/s)、C(183m/s)、CH(627m/s)、ヘリウム(1256m/s)、クリプトン(274m/s)、ネオン(559m/s)、N(474m/s)、SF(208m/s)およびキセノン(219m/s)。これらの平均速度のいくつかは音速(25℃において空気中で約346m/s、これはまた、マッハ1として定義される)を超えている。
帯電した分子が、虚像電荷によって生じるポテンシャル障壁Vmaxを無事に横断し、反対側の表面に到達するためには、その運動エネルギーがVmaxよりも大きくなければならない。このことは、分子の速度が、次式によって与えられるνminを超えるならば、分子はこのポテンシャル障壁を横断することができることを暗示する:
式中、mは分子の質量である。この値を超える速度を有するガス分子が、電荷を表面間において輸送できることが予想される。
ポテンシャル障壁Vmaxに打ち勝つことによって表面から逃れることができる分子の割合xを、マックスウエル・ボルツマン分布に基づく下記の式に従って計算することができる:
νminは、上記の式4に従ってVmaxから計算することができる。十分に速い分子の割合xの計算値は、電荷移動効率が100%である理想的な状況を反映する。実際には、著しくより少ない割合の分子が電荷移動プロセスに関与することが予想される。例えば、表面に対して垂直でない方向に運動する分子については、要求される脱出速度が、表面に対して垂直に運動する分子の場合よりも大きくなる。
1つの数値例として、0.5eVの仕事関数の差を有する理想的な金属から作製される2つの表面(12および14)を考える。ガス分子あたり1個の電子の電荷移動が表面から5Åの距離で生じること、および表面間の間隙がSFガス(M=146グラム/Mol、直径σ≒5.5Å)により満たされることを仮定する。
2nmの間隙サイズdについては、ポテンシャル障壁Vmaxが0.39eVであると推定され、この場合、虚像電荷電位だけにより、0.25eVが与えられる。式3を使用して計算されるときのνminの値が、νmin=710m/s(約2.1のマッハ数)(これは25℃の温度におけるSF分子の平均速度(νバー=208m/sec)の約3倍である)であり、式4を使用して計算されるときのxの値が1.6×10−4%である。パーセンテージが低いが、表面12および14と、(吸着を伴って、または、吸着を伴うことなく)衝突する分子の数が大きいことには留意すること(例えば、1Atmおよび25℃におけるSFについては、衝突が1μmあたり1021回/秒の程度である)。したがって、この例については、およそ1015個/秒の分子が、ポテンシャル障壁に打ち勝つことによって表面の一方から潜在的には逃れ、かつ、電荷移動プロセスに関与し得る。
10nmの間隙サイズ(ならびに同じ表面およびガス)については、ポテンシャル障壁Vmaxの値が0.92eVであり(この場合、虚像電荷電位は0.62eVを与える)、νminの値が、25℃における平均速度の約5倍である1084m/s(約3.1のマッハ数)であり、xの値が2.5×10−11%である。
間隙のサイズに対する虚像ポテンシャル障壁の依存性が、1個の電子を2つの同一表面の間において運ぶ分子について計算された。このときの依存性が2nmの間隙については図1Cに示され、10nmの間隙については図1Dに示される。虚像電荷のポテンシャル障壁を含むポテンシャル障壁の依存性が、表面12の仕事関数が表面14の仕事関数よりも0.5eVだけ低い場合について計算された。このときの依存性が図1E(2nmの間隙)および図1F(10nm間隙)に示される。示されるように、表面が同一でないときには、局所的最大64の点が、より大きい仕事関数を有する表面の方に移動する。表面が異なるときのポテンシャル障壁Vmaxの値は、表面が同じであるときのVmaxの値よりも大きく、そのような場合、Vmaxは虚像電荷のポテンシャル障壁だけに対応する。
図1Gは、分子が、1個の電子を、0.5eVの仕事関数の差を有する表面の間において運ぶという同じ例示的条件のもとで、予想されるポテンシャル障壁Vmax(V)を、100nmに至るまでの間隙について間隙dのサイズ(nm)の関数として示す。
maxは、電荷移動に関与し得る分子の数(したがって、表面間の有効電荷移動の確率)に影響を与えるので、生じる電流もまた、間隙サイズに依存する。例えば、1個の電子を上記の数値例の条件のもとで表面12から表面14に運ぶSFの分子については、間隙サイズ(nm)の関数としての表面積あたりの発生電流(A/cm)が、理想的には図1Hに例示されるように挙動する。図1Hは、表面12と相互作用したそれぞれのガス分子が電子を表面12から受け取り、かつ、それぞれの十分に速い帯電した分子が間隙を無事に横断し、電子を表面14に移動させる完全な状況に対応することが特筆される。そのうえ、上記の計算は、表面12および14が本質的には平坦で、平行で、かつ、重なっており、その結果、間隙サイズが表面の至るところで同じであるという仮定のもとで行われた。実際には、面積あたりのより低い電流が予想される。それにもかかわらず、間隙サイズに対する電流の非線形依存性が類似していることが予想される。下記の実施例のいくつかにおいて明らかにされるように、発生した電流が間隙サイズの低下とともに増大する。
したがって、間隙が小さいほど、ポテンシャル障壁に打ち勝つために必要とされる最少速度が低くなり、かつ、間隙を無事に横切る帯電したガス分子の割合が大きくなる。同様に、より小さい間隙は、より大きいガス圧力を用いることを、すなわち、より短い平均自由行程およびより大きい熱伝導性とともに可能にする。高すぎる圧力レベルは、表面間のガス媒介による電荷移動の効率を低下させるかもしれない。これは、より大きい圧力が、分子間衝突についてのより大きい確率に対応するからである。しかしながら、より高いガス圧力はまた、表面と相互作用することができる分子で、電荷を効率的に輸送することができる分子の数を増大させる。したがって、分子間衝突の割合と、電荷キャリアとして働く分子の数と、間隙の幅との間におけるバランスが存在する。下記の実施例のいくつかにおいて明らかにされるように、ガス媒介による電荷移動がその最大効率に達する閾値圧力が存在する。閾値圧力を超えると、電流は、より大きい圧力の対抗する影響(表面と相互作用する分子の増大した数に対する増大した分子間衝突)が互いに釣り合うならば、プラトー値のままであり得る。理想的なバランス状況でない場合、閾値圧力点を超えると、電流が圧力の増大とともに低下し得る。
(実施例2)
超音速ガス流による電荷移動性の測定
本実施例は、ガス媒体の存在下における表面の電荷移動性を測定するために本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験を記載する。本実施例における電荷移動性は、メッシュを通り抜ける超音速ガスジェットに応答して、標的メッシュとジェットノズルとの間で発生する電流に関して表される。
方法
図3は、測定のための実験構成の概略的例示である。この構成では、ガスで満たされるガス供給ユニット302、標的ワイヤメッシュ306、ジェットノズル312、およびメッシュ306とノズル312との間において1対の接続配線314を介して接続される電流計304が含まれた。
ガス供給ユニット302には、チャンバー320、および導管324を介して接続される出口322が含まれた。チャンバー320はガス媒体により満たされ、導管324を通るチャンバー320から出口322へのガス流量を制御するためのバルブ326を備えた。
ノズル312はNASA設計KSC−11883(NASA Tech Briefs、KSC−11883)に基づく。流れを導くためのインサート310が、精密な中ぐり円筒状区域308の対称軸に沿って中心に配置された。インサート310は、直径が徐々に増大する第1の部分316と、直径が徐々に減少する第2の部分とを有するマンドレルとして形状化された。供給ユニット302の出口322からのガス媒体は、円筒状区域308の内壁とインサート310との間に形成される体積328においてインサート310の外側を流れることが許された。インサート310の第1の部分316の外側を流れている間に、ガスは、体積328の狭まりを、第1の部分316の徐々に増大する直径のために受け、一方、インサート310の第2の部分318の外側を流れている間に、ガスは、体積328の広がりを、第2の部分318の徐々に低下する直径のために受けた。例示目的のために、ガスのいくつかの流れ軌跡が図3において濃い矢印によって示される。
体積328の狭まりは、ガスが圧縮を受け、速度を増大させ、それにより、インサート310の最大直径の面で音速に達することを引き起こした。(図3の面に対して垂直である)この面が点線340によって示される。その面の後で、流れは広がり、速度を増大させ、それにより、ノズル312の超音速出口342において超音速の速度をさらに達成することができた。
メッシュ306は、ステンレススチールのワイヤが750μmまたは450μmによってそれぞれ隔てられるタイプ20またはタイプ40のメッシュワイヤスクリーンを使用する20mmの円盤であった。ワイヤが、目的とする材料により被覆された。メッシュを、目的とする材料を含む溶液または懸濁物に15分間浸漬することによって被覆を達成した。懸濁物を、メッシュの均一な被覆を達成し、そして同時に、開いている空間が余分な材料によって目詰まりすることを避けるために十分な目的とする材料の濃度で、水または揮発性有機溶媒(例えば、アセトン、酢酸ブチル、エタノールおよびヘキサンなど)において調製した。典型的には、0.05%(w/w)〜30%(w/w)の材料を含む懸濁物を使用した。浸漬後、過剰な材料を毛細管現象によってメッシュから除き、ワイヤを110℃で48時間乾燥した。
被覆されたメッシュを、ガス媒体が超音速の速度としてメッシュを通過するように超音速出口342と向かい合わせで配置した。
電流計304はピコアンメーター(モデル617;Keithley)であった。電流計を通る電流(大きさおよび方向)により、ガス分子と被覆材料との間における電荷移動が示された。電流測定を少なくとも2秒間行い、ピーク電流を目的とするそれぞれの材料について記録した。
実験のすべてを、熱を標的に加えることなく、または、外部電場を加えることなく行った。このことは、ハイパーサーマル表面イオン化技術とは異なる(例えば、Danon A.およびAmirav A.、「ハイパーサーマル表面イオン化:分析的応用を有する新しいイオン源」、International Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes、96(1990)、139〜167を参照のこと)。
平面の標的に衝突させるのではなく、むしろ、細いワイヤメッシュスクリーンを抜けて流れる超音速のガスジェットを使用する理由が、前者の条件では、ガスの流れが表面電荷をはぎ取ることを妨げる実質的な境界層が生じるからである。対照的に、メッシュの細いワイヤを通過する超音速のジェットは、著しい数のガス分子がワイヤ表面に衝突し、その後、はぎ取るガス流れによってその電荷と一緒に離れることを可能にする。
結果
表1には、六フッ化イオウ(SF;BOC Gases;99.999%の純度)のガス媒体および46種の目的とする材料についてピコアンメーターによって測定されるピーク電流がまとめられる。SFを本実験で使用することの動機が、SFは無毒性のガスであり、また、(L.G.GerchikovおよびG.F.Gribakinによって、「SFへの電子結合およびSF 負イオンの寿命」、Phys.Rev.A77(2008)042724 1〜15に記載されるように)低エネルギー電子結合が可能であることが知られていることであった。
結果の一部がまた、図4のグラフで示される。
表1は、実験番号1〜19における有意な正の電流、実験番号23〜46における有意な負の電流、および実験番号20〜22における有意でない電流を明らかにする。したがって、実験1〜19における材料は、正に帯電したことにより、正電荷移動性をSFガス媒体の存在下で有する;実験23〜46における材料は、負に帯電したことにより、負電荷移動性をSFガス媒体の存在下で有する。SFガス媒体の存在下での実験20〜22における材料の電荷移動性は低いか、または、ゼロと一致する。
いくらかの小さい変動(±20%以内)が、この実験構成を使用して見出されたが、これらの変動は、周囲空気条件、湿度、残留ガス凝縮および/またはガス−表面の化学反応のような要因のためであると考えられた。しかしながら、これらの不一致にもかかわらず、電荷移動性の一般的傾向が、試験された材料の仕事関数および/または摩擦電気特性と無理なく十分に相関した。
考察
この一連の実験で得られた結果は、固体材料とガス分子との間における電荷移動に関する情報を提供する。ガス分子は電荷(正または負)を被覆されたメッシュから獲得し、これにより、被覆されたメッシュを逆電荷に帯電させる。細いワイヤメッシュの表面の至るところを通り抜けるガス分子の少なくとも一部の大きい速度は、それらが、表面とガス分子との間の引力として現れる虚像電荷電位に打ち勝つことを可能にする。
本実験により、エネルギーを有するガス分子が電荷を特定の表面に、また、特定の表面から移動させ得ることが示されている。マックスウエル・ボルツマン分布によれば、一部の分子がそのような電荷移動のための十分なエネルギーを有する確率がゼロでないので、分子の外部加速がない場合でさえ、電荷移動が生じる。
本実施例により、熱運動が、帯電した分子が電荷を逆荷電に帯電した表面から離れて輸送することを可能にするために十分であり、このことにより、ガス分子の熱運動が、電荷を2つの表面の間において移動させるための好適な機構になることが明らかにされた。本実施例によりまた、本発明のいくつかの実施形態に従って定義されるような電荷移動性が測定可能な量であることが明らかにされた。
(実施例3)
ケルビンプローブによる測定
本実施例は、表面の電荷移動性をケルビンプローブによって評価するために本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験を記載する。
ケルビンプローブは、プローブ表面と目的とする表面との間の接触電位差(CPD)を測定するデバイスである。接触電位差は、参照表面および試験された表面の仕事関数における差に対して相関関係がある。この測定が、目的とする表面の非常に近くでプローブを振動させることによって行われる。ケルビンプローブの表面と試験している表面との間の仕事関数における差により、電場が生じる。導体の表面の仕事関数が、電子を導体の内部から虚像電荷領域を超える点にまで移動させるために要求される仕事の最少量として定義される。
したがって、ケルビンプローブもまた、電荷移動性を少なくとも評価するために使用することができる。これは、ケルビンプローブが、電荷を目的とする表面から取り除き、その電荷をガス分子に結合させるために要求されるエネルギーを測定するために使用され得るからである。具体的には、ケルビンプローブが、真空中および様々なガス媒体の存在下における様々な表面の挙動を比較するために、したがって、表面−ガスの様々な対の、電荷移動性についての好適性の目安を提供するために本実施例において使用された。
方法
ケルビンプローブ(Kelvin Control 07、Besocke Delta Phi)を、ガス環境が制御される密閉可能なチャンバーに入れた。測定を、真空中、または、様々な圧力での周囲空気中もしくは様々なガスの存在下のいずれかで行った。すべての測定を室温で行った。
試験される固体材料ならびに参照用の固体材料を回転する台に乗せ、したがって、それらの表面において無数の点でプローブ探査し、その結果、測定が、単にただ1箇所だけではなく、それぞれのサンプルの走査されたセグメントに関連するようにした。この方法により、材料の性状を表す全体的な値ではなく、局所的異常を反映し得るただ1点だけの測定が避けられた。ケルビンプローブは、仕事関数が既知であるサンプル材料(例えば、金など)を使用して較正された。
ポリエチレンイミンの80%エトキシル化体(PEI;Sigma Aldrich;37%(w/w)水溶液);炭酸セシウム(CsCO;Alfa Aeser;99%);フッ化セシウム(CsF;Sigma Aldrich;99%);およびマグネシウム(Mg)のサンプルを回転する円盤に載せ、真空中、空気中、三フッ化窒素(NF;BOC Gases;99.999%の純度)、キセノン(Xe、BOC Gases;99.999%の純度)、アルゴン(Ar)、アセチレン(C)、二酸化炭素(CO)、クリプトン(Kr)、窒素(N)、酸素(O)および六フッ化イオウ(SF;BOC Gases;99.999%の純度)において試験した。
結果
表2には、室温および1気圧(4Atmで試験されたNFガスを除く)においてケルビンプローブによって評価されたときの接触電位差(eV)がまとめられる。これらのガス媒体のいくつか(空気、NF、Xe、OおよびSF)についての結果が図5に示される。
示されるように、CPDが真空中およびガスの存在下では同じでなく、CPDがガス媒体のタイプに依存する。所与の固体材料については、CPDが、真空条件と比較して、ある1つタイプのガス媒体の存在下では増大し、別のタイプのガス媒体の存在下では低下した。同様に、所与のガス媒体の存在は、真空条件と比較して、ある1つの固体材料についてはCPDを増大させ、別の固体材料についてはCPDを低下させた。
測定チャンバーにおけるガス分子が、試験材料の表面とのその相互作用の結果として帯電することが仮定される。多数の帯電したガス分子が、虚像電荷の引力によって保持されて表面の近くに捕捉されたままであり、このことが、測定されたCPDをその電荷の程度および極性の関数として変化させる。
この現象により、ゼロ電荷移動性(ZCT)の点をそれぞれのガス媒体について定義することができる。この点が、ガスが電子ドナーから電子レシーバーに変わる材料のCPDとして定義される。言い換えれば、ガスのZCTが、CPDにおける増大を示す材料の最高仕事関数とCPDにおける低下を示す材料の最低仕事関数との間にある。
例えば、PEIについては、空気の存在はCPDを真空中での約4.6eVから空気の存在下での約4.4eVに低下させた。したがって、空気は、PEIについては電子レシーバーとして挙動する。この挙動が、真空条件での4.6eVの点をガス条件での4.4eVの点と結ぶ低下する実線として図5において例示される。CsCOについては、空気の存在はCPDを真空中での約4.0eVから空気の存在下での約4.5eVに増大させた。したがって、空気は、CsCOについては電子ドナーとして挙動する。この挙動が、真空条件での4.0eVの点をガス条件での4.5eVの点と結ぶ増加する実線として図5において例示される。上記定義によれば、空気のZCTがおよそ4.45eVであることが推定される。
同じ推定をXeについてもまた行い、約4.45eVのZCTが得られた。NFは、試験された材料のすべてについて電子レシーバーとして挙動するので、ZCTを評価することができなかった。しかし、ZCTが2.9eV未満であることが予想される。上記手順に従って推定されるときのいくつかのガス媒体についてのZCT値が表3に示される。
本実施例により、ガス分子が正電荷または負電荷を固体表面から離れて輸送すること、および表面がガス分子との相互作用のために帯電する電位が、ガス媒体だけでなく、固体材料のタイプに依存することが明らかにされた。本実施例によりさらに、ケルビンプローブが、本発明のいくつかの実施形態において定義されるような電荷移動性の目安を提供するために有用であり得ることが明らかにされた。
(実施例4)
ガス分子の熱運動による電流の発生
本実施例は、直接に接触しているか、または、スペーサーをその間に有するかのどちらでもない隣接する表面の間におけるガス分子の熱運動によって電流を発生させるために本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験を記載する。
方法
実験構成が図6に概略的に例示される。ステンレススチールから作製される2つの向かい合う円盤形状の保持電極(601および602)を、ステンレススチールから作製される加圧可能かつ密閉可能なチャンバー607に試験ガスと一緒に入れた。代替では、保持電極およびチャンバーを、熱膨張係数が低い材料(例えば、Super Invar32−5など)から作製することができる。チャンバー607は形状が円筒状であり、直径が9cmで、高さが4.3cmで、ガス容量が14cmであった。チャンバー607の壁の厚さは少なくとも2.3cmであった。入口バルブ622を有する入口ポート605、および出口バルブ624を有する出口ポート606が、チャンバー内のガスの組成および圧力を制御するために設けられた。チャンバー607は10Atmの最大圧力に耐えることができた。チャンバー607における圧力を入口ポート605および出口ポート606によって変化させ、マノメーター620(モデルATM0−10Bar;STS)を使用してモニターした。
電極601および電極602は、本明細書中下記でさらに詳述されるような、負電荷移動性および正電荷移動性を有するサンプルを保持するために役立った。いくつかの実施形態において、電極上のサンプルは平面であった(平坦な円盤)。また、いくつかの実施形態において、ガラスから作製される1つまたは2つの平凸レンズ(611および612)が試験サンプルによって被覆され、電極に載せられた。
電極601を、高電圧電源装置およびコントローラー604(モデルE516/E761;Physik Instrumente)によって駆動される積み重ねられた圧電性結晶603(Physik Instrumente)に接続した。電極601の往復運動を、コントローラー604からのシグナルに応答して圧電性結晶603によって生じさせた。容量性センサー613(モデルD105;Physik Instrumente)により、電極601と602との間の距離がモニターされ、フィードバックシグナルがコントローラー604に送られた。この形態は、電極上のサンプルの最も外側の層の間の距離を約0.2nmの分解能により制御することを可能にした。実験で使用された距離の範囲が約1nmから数十μmまでであった。
電極602を固定し、チャンバー607に機械的に接続した。金属電極614により、電極602を、自身は電極601に電気的に接続される高感度電流計615(ピコアンメーター、モデル617;Keithley)に接続した。電流計615により、電極601および602に置かれた2つのサンプルの間におけるガス媒介による電荷移動によって生じる電流iが測定された。出力がオシロスコープ618(Tektronix TDS3012)に示された。
結晶603を、DCから2Hzにまで及ぶ振動数を伴う三角波電圧パルスによって振動させ、その結果、完全接触から数十ミクロンの隔たりまでの間の任意の距離が利用可能であるように設定した。振動に加えて、結晶603はまた、DC電圧を加えることによって一定の距離を動かすことができた。いくつかの実施形態において、DC電圧および振動電圧の両方を、結晶603の位置を制御するために、電極に置かれた2つのサンプルの外側表面の間の距離を制御するために連続して使用した。振動期間中、これら2つの表面の両端で生じる電流を電流計によって測定した。容量性センサー613からのアナログ電圧シグナルを、表面間の距離をモニターするために同時に測定した。アナログ電圧シグナルと電流シグナルのアナログ出力との両方をオシロスコープ618によって示し、測定した。
すべての実験を室温で行った。使用された唯一の電圧が、圧電性結晶の運動を制御するためであり、また、オシロスコープに電力供給するためであった。電源および距離測定システムが電場を電極間に生じさせないことを確実にするために、電極を電源から隔離し、かつ、対策を採った。
正電荷移動性を有する下記の試験材料を使用した:(a)マグネシウムの円盤(1mmの厚さおよび10mmの直径)、(b)高配向熱分解グラファイト(HOPG)の四角片(1mmの厚さおよび10mm×10mmの大きさ;Micromasch、USA、タイプ:ZYH品質、モザイクスプレッド(mosaic spread):3.5±1.5度、30nm〜40nmの範囲での結晶粒サイズ)、(c)金が被覆されたガラスレンズ、および(d)正電荷移動性を有する材料(例えば、CsFおよびCaCO)によりさらに被覆される金被覆のガラスレンズ。
試験材料の表面をこの技術分野で知られているように研磨し、その粗さを、AFMを標準的手順に従って使用して求めた(例えば、C.NoguesおよびM.Wanunu、「雲母表面における再現可能かつ原子的に平坦な金薄膜のための迅速な手法」、Surface Science、573(2004)、L383〜L389を参照のこと)。HOPGは、サブナノメートル範囲で原子的に平坦かつ平滑であると見なされる材料であり、したがって、さらなる表面研磨処理を行うことなく使用された。様々な研磨技術が、0.5nm未満の表面粗さを達成するために産業界では容易に利用できる。試験されたすべての材料が本質的に平滑であり、ほとんどが5ÅRMS未満の表面粗さを有した。
下記の手順を、金が被覆されたレンズの調製のために用いた。この金被覆レンズはむき出しで使用され(金被覆のみ)、あるいは、その最初の電荷移動性の増大または低下のどちらかをもたらす材料によりさらに被覆された。
ガラスレンズを従来のe−ビーム蒸着によって99.999%純度の金の厚さ200nmの層により被覆した。ホウケイ酸ガラスレンズ(52mmの直径および2mmの厚さ;Casix Inc.)を、エタノール(分析規格;Gadot)の第1の浴における超音波処理によって清浄化し、その後、n−ヘキサン(分析規格;Gadot)における第2の超音波処理清浄化を行った。その後、レンズを室温においてN雰囲気下で乾燥した。レンズの凸側を、e−ビーム蒸着によって、最初に、99.999%純度のクロム(Cr)の薄い接着層(約2nm〜5nmの厚さ)により被覆し、次いで、99.999%純度の金(Au)のより厚い層(約200nm〜250nmの厚さ)により被覆した。蒸着を10−7mbarの圧力下で行った。クロム層および金層の厚さを、石英結晶のミクロ天秤を使用してモニターした。金の最外層をアニーリングし、その表面粗さを、Nogues(上掲)に開示されるように、AFM、その後での画像分析によって評価した。得られた表面は、5ÅRMS未満である粗さを有した。
いくつかの実験では、金層を、異なる電荷移動性を有する材料によりさらに被覆した。さらなる被覆を、下記の技術の1つを使用して達成した:(a)スピンコーティング、(b)担体表面に塗布された1滴の乾燥、(c)電気化学的析出、および(d)分子の自己集合した単分子層を、例えば、フリーチオール(−SH)末端を有する分子を使用することによって作製することによる。
正電荷移動性または負電荷移動性の表面を提供するさらなる方法が下記の実施例5において例示される。
結果
図7A〜図7Cは、3つの異なる実験におけるオシロスコープ出力である。
図7Aは、正電荷移動性の表面がCsFから作製され、負電荷移動性の表面がMg(ClOから作製された実験で、両方の材料が、ガラスレンズによって担持される金層の上に堆積させられた実験に対応する。
図7Bは、正電荷移動性の表面がMgの平坦な円盤から作製され、負電荷移動性の表面が、ガラスレンズによって担持される金層であった実験に対応する。
図7Cは、実験に対するコントロールとしての役割を果たすために、2つの表面の位置が反対になったこと、したがって、電流が逆方向になったことを除いて、図7Bの実験と類似した実験に対応する。
これらの実験で使用されたガスがSFであり、チャンバーが3Atmの圧力で維持された。
図7A〜図7Cには、電流計615からのシグナルi(下側のグラフ)、および電極601と電極602との間の距離dを示す容量性センサー613の出力(上側のグラフ)が示される。図7Cでは、電極における正電荷移動性の材料および負電荷移動性の材料の位置が逆になったことのために、図7A〜図7Bと比較して逆向きの電流が示されることに留意すること。
点Amin(最大印加電圧および電極間の最小距離)において、dが数nmに等しくなった。点Amax(最小印加電圧および電極間の最大距離)において、dが約300nmに等しくなった。類似する振幅の2つの大きな電流ピーク(図7A〜図7Cにおける示されるaおよびb)が観測された(図7Aではともに約20pA)。これら2つのピークは、圧電性結晶603により、電極が互いに5nm未満の距離の範囲内に近づけられた1回の振動サイクルに含まれる2つの時間事例に対応する。
図7A〜図7Cに示される電流のプロフィルは実験の多くについて典型的である。類似する結果が、正電荷移動性の表面が高配向熱分解グラファイト(HOPG)の平坦な表面から作製され、かつ、負電荷移動性の表面が、ガラスレンズによって担持される金層であった実験で得られ、また、正電荷移動性の表面が、ガラスレンズによって担持される金層に堆積させたCaCOから作製され、かつ、負電荷移動性の表面が、ガラスレンズによって担持される金層であった実験で得られた。いくつかの実験において、異なるプロフィルが観測された。
両方の表面が同一の金被覆レンズであったコントロール実験では、電流が、同じ範囲にわたって試験されたすべての距離で何ら検出されなかった。
デバイスは、直接の接触を示唆していたであろうただ1つだけの電流ピークが存在しないことによって確認されるように、試験された表面の間における直接の接触を防止するように設定された。
実験が、外部電場が何ら存在しないもとで行われたので(電極がどの電源からも隔離されたので)、電流計615における電流シグナルは、ガス分子の熱運動を介する電荷輸送を示していた。
本実施例により、エネルギーをガス分子の熱運動から引き出すことによって電流が発生することが明らかにされた。
(実施例5)
電解析出
本実施例は、電解析出(ED)による被覆を記載する。電解析出は、電気活性化学種(一般には塩)が溶媒内でイオンに解離させられる電気化学的析出(ECD)と、電気活性化学種が溶媒内で帯電させられる電気泳動的析出(EPD)とに分けることができる。両方の場合において、溶媒は極性または非極性であり得る。
電気化学的析出において、例えば、水溶液における電気化学的析出では、どちらか一方の表面が、電解溶液に存在するイオンにより被覆されるか、または、電解溶液に存在するイオンによって改変され、あるいは、両方の表面が同時に被覆または改変される(この場合、一方の表面がアニオンにより被覆または改変され、他方の表面がカチオンにより被覆または改変される)。電気化学的析出は表面の仕事関数を改変することができる。
電気泳動的析出において、例えば、非極性溶媒における電気泳動的析出では、仕事関数が、溶解または懸濁された材料によって改変された。いくつかの場合において、溶解または懸濁された化学種(例えば、色素など)が極性溶媒(例えば、水またはアルコールなど)において電気泳動的に析出させられた。
一般に、表面が陽極として作用したときには、その表面が、より大きい仕事関数を有する材料により被覆され、または、より大きい仕事関数を有する材料によって改変され、そして、表面が陰極として作用したときには、その表面が、より低い仕事関数を有する材料により被覆され、または、より低い仕事関数を有する材料によって改変された。
本発明者によって行われた実験において、上記の結果が、ただ1つだけの塩を含む溶媒を用いて、また、他の溶解または懸濁された化学種を含む溶媒を用いて、また、それらの混合物を含む溶媒を用いて得られた。
方法
図8は、本発明のいくつかの実施形態に従って仕事関数の改変のために使用された実験構成の概略的例示である。
EDセル800が、導電性基板の間で、すなわち、陰極810と陽極808との間で形成された。電圧源806を、陰極と陽極との間における電位差を加えるために使用した。EDセルにはまた、少なくとも1つの導電性支持体構造物(802または804)と、1つまたは複数の塩あるいは他の溶解または懸濁された化学種の、極性溶媒または非極性溶媒における溶液とが含まれた。図8に概略的に示されるように、導電性支持体構造物802および導電性支持体構造物804が、(互いに同一または異なり得る)導電性基板を収容し、かつ、それらを所定位置に維持するために構築される溝付き金属リングとして組み立てられた。
いくつかの実験において、支持体構造物が金属円盤であり、また、いくつかの実験において、基板が金被覆のガラスレンズであり、この場合、電流が、保持電極から、導電性の金層を介して被覆されることになる表面に運ばれた。ただ1回だけの電極被覆のために、これらの基板を陽極または陰極のどちらかとして使用した。同時被覆のために、これらの基板を陽極および陰極の両方として使用した。基板のために使用される材料が本明細書中下記に示される。
陽極および陰極を、DC電源装置806(Titan TPS6030)を介して接続し、一定の電圧を一定の期間にわたって加えた。回路を流れる電流をDCミリアンペア計812によってモニターした。
電解析出のための測定の正確性を確保するために、また、支持体表面から溶液に戻るカチオンおよびアニオンのランダムな拡散を防止するために、電気活性化学種を含む溶液を、被覆されることになる表面の間に置かれる多孔性材料814に含浸した。多孔性材料はガラス微細繊維ろ紙(Whatman(登録商標);GF/D、2.7μm)から作製されたか、または、熱可塑性ポリエステルから作製される、約5μmの細孔直径を有する不織布から作製された。浸漬された多孔性材料を、接触および導電性を保証するために穏やかな圧力とともに標的表面に適用した。それぞれの電解析出実験が終了したとき、湿った多孔性材料をセルから取り出した。
その後、被覆された表面をEDセルから取り出し、室温において約10−2mbarの圧力で真空チャンバーに4時間置いた。被覆を、ケルビンプローブ(Kelvin Control 07、Besocke Delta Phi)を使用して以前に記載されたように仕事関数を測定することによって評価した。プローブにより、仕事関数が真空中で測定された。
いくつかの実験において、表面被覆または表面改変の性質もまた、エネルギー分散X線分析(EDX)によって分析した。EDXにより、基板表面における新しい物質の存在が確認された。
下記の材料から作製される円盤を実験において基板として用いた:ステンレススチール(研磨されたAISI314;直径、25mm;厚さ、1.5mm);アルミニウム(Al6061;直径、25mm;厚さ、1.5mm);金(金がスパッタリングされたステンレススチール);Grafoil(登録商標)として商業的に知られているグラファイト(GrafTech;GT(商標)Aグラファイト;厚さ、約0.13mm)、Hummersの方法(米国特許第2798878号、ならびに、W.S.HummersおよびR.E.Offeman、「グラファイト酸化物の調製」、J.Am.Chem.Soc.、80(1958)、1339)に従ってグラファイトフレーク(Asbury Carbon 3763;40ミクロン〜71ミクロンの間のサイズ)の酸化によって調製されるグラファイト酸化物GO、Hummers法によって調製されるGrafoil(登録商標)酸化物(GFO)の柔軟な層で覆われるステンレススチール円盤;および実施例4で記載されるように調製される金被覆されたガラスレンズ。
第1の一連の実験において、支持体材料を、下記の塩または色素のいずれかの20mMまたは2μMを含む水溶液により上記EDセルにおいて処理した:Ba(CHCOO)、Ba(NO、BaSO、CsBr、CsF、CsN、エチレンジアミン(EDA)、KF、KNO、Na(CHCOO)、NaNO、NHCO、(NHCO、ベーシックブルー7および同9、ベーシックグリーン1および同5、ベーシックオレンジ2および同14、ベーシックレッド1、同1:1、同2、同12、同13、同14および同18、ベーシックバイオレット2、同10、同11および同11:1、ベーシックイエロー2、同11および同37、ダイレクトレッド80、メチルバイオレット2B、ローダミンFB、ならびに、これらの塩および色素の混合物。塩は、Sigma Aldrichまたは他の供給者から購入される純粋な化学品であった。色素を、Dynasty Chemicalまたは他の供給者から購入した。
水溶液を調製するために使用される水は2回蒸留され、濾過された(Milliporeろ過システム;ExtraPure;18.2MΩ.cm)。得られた溶液を、塩または色素の完全な溶解を保証するために最大出力で5分間にわたって超音波処理した(SoniClean)。色素を用いるとき、ろ過のさらなる工程を加えた(0.2μmのフィルター)。
第2の一連の実験において、支持体材料を、分析規格のエタノールに溶解され、本明細書中上記でさらに詳述されるように超音波処理された0.002M CsN+0.002M CsFにより上記EDセルにおいて処理した。
第3の一連の実験において、支持体材料を、下記の組成の1つを含むIsopar(登録商標)L系溶液により上記EDセルにおいて処理した:30%(w/w)Caペトロナート;30%(w/w)ルブリゾール(Lubrizol);30%(w/w)レシチン、3%(w/w)レシチン、0.3%(w/w)レシチン、30%(w/w)Zr−Hex−Cem(登録商標)12%、3%(w/w)Zr−Hex−Cem(登録商標)12%。レシチン(Eastman Kodak)、およびZr−Hex−Cem(登録商標)(Mooney Chemicals)として商業化される2−エチルヘキサン酸オクトアートは、食品添加物およびペイントドライヤーとしてそれぞれ使用される。
結果
下記の表4には、結果の一部がまとめられる。表4のすべての項目において、基板材料はEDセルの陰極部位および陽極部位について同一であった。実施例3に記載されるようにケルビンプローブを使用して真空中で測定されたときの、析出後の陽極および陰極の仕事関数が、絶対値(それぞれ、第5欄および第7欄)および相対値(それぞれ、第6欄および第8欄)の両方で表4に示される。相対値は、差Δ=W−Wを示す(式中、Wは(析出前の)支持体材料の初めの仕事関数であり、Wは析出後の陽極または陰極の最終的な仕事関数である)。したがって、正の相対値は増大を示し、負の相対値は減少を示す。
GOが被覆された材料は、被覆方法に依存して、他の材料よりも変動し易いことは特筆される。下記に示される結果の正確性は、絶対的測定値については約±20%であり、相対的測定値については数パーセント以内である。
表4は、記載される電解析出技術が、塩および色素を含む極性溶媒において、同様にまた、様々な溶解/分散された化学種を含む非極性溶媒において、比較的大きい仕事関数の材料を陽極に析出させることができ、また、比較的低い仕事関数の材料を陰極に析出させることができることを明らかにする。一般に、用いられているガスに依存して、この場合の技術に従って被覆または改変される陽極および陰極が、好適なガス媒体にさらされるとき、陽極は一般に、陰極よりも負の電荷移動性を有し、一方、陰極は、より正の電荷移動性を有する。
(実施例6)
非導電性スペーサーの選択
本実施例は、いくつかの材料の電気抵抗を推定するために、また、本発明の実施形態のセルデバイスおよび電源デバイスの可能性のある非導電性スペーサーとしてのそれらの効率を評価するために本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験を記載する。
方法
実験構成が図9に例示される。金属円盤900を、下記の技術の1つを使用してスペーサー試験材料の均一な薄膜によって被覆した:スピンコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティング、または、この技術分野で知られている何らかの他のコーティング方法。均一な被覆に容易に作製することができない不溶性材料の場合には、金属円盤を、試験材料の粉末層が接着された導電性の粘着性樹脂により最初に被覆した。
その後、被覆された円盤900を、電気的に接地された回転するアルミニウムテーブル902(30回転/分)に載せた。円盤900を、回転するテーブルの上方に置かれた、米国特許第2836725号に記載されるようなコロナ放電デバイス904によって25秒間帯電させた。コロナ放電デバイスのタングステンワイヤのエミッター906が+5kVのDCバイアスで保たれた。その後、電圧のスイッチを切り、テーブル902を回転させ続けることにより、円盤の電荷を、回転する円盤の上方に置かれた、オシロスコープ910に接続される円盤形状の銅電極908によって測定した。円盤表面電荷の減衰速度を、銅電極表面上に誘導される電位降下を観測することによって8分間モニターした。したがって、様々な候補スペーサー材料の電気抵抗率を、静電気放電速度を使用することによって比較した。
加えて、窒素の存在下での電荷移動性を、実施例3で記載されるようなケルビンプローブを使用して、すべての試験材料について評価した。
結果
図10は、この実験で調べられているいくつかの材料についての放電グラフを示す。結果が、時間(秒)に対する残留電荷のパーセントとして表される。示されるように、いくつかの材料、例えば、酢酸マグネシウムおよび酢酸アンモニウムなどは、その初期電荷の約80%を放電後の8分間にわたって失い、一方、他の材料、例えば、酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムなどは、その初期電荷の約100%を、全測定期間の期間中、保持した。その電荷を最も良く保持した材料を、本発明の様々な例示的実施形態のセルデバイスおよび電源デバイスにおける非電導性スペーサーとしての可能性のある候補であると見なした。
間隔設置以外の使用のために意図される材料の非電導性をこの手順によって評価した。例えば、キンウンモおよびMACOR(登録商標)をこの実験構成で調べた。これらは2分後において約90%および約98%の残留電荷をそれぞれ示し、この残留電荷は8分後には約50%および約75%に低下した。
(実施例7)
スパッタリング
本実施例は、材料の電荷移動性を、陰極スパッタリングによって放射される別の材料の薄い層をその表面に堆積させることによって改変するために本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験を記載する。
方法
スパッタリングが、材料をターゲットから基板上に堆積させることによって薄い薄膜を堆積させるために、または、このプロセスを逆にすることで、望まれない薄膜を除くために広く使用される。様々なスパッタリング方法が薄膜被覆の技術分野において知られている(例えば、Milton Ohring(2001)による“Materials science of thin films”の第2版の第4章および第5章を参照のこと)。
近くの基板を被覆するためにターゲット材料にアルゴンイオンを衝突させることによって達成されるスパッタリングプロセスを、2.7×10−7mbarにまで下げられた低いベース圧力のもと、真空チャンバーの中で行った。スパッタリングを、ATC Orion 8HVスパッタリングシステム(AJA International Inc.)を使用して行った。スパッタリングシステムはDC電源およびRF電源を含み、4枚までの3”のターゲット(約7.62cm)を収容するように特注され、これにより、異なる材料による連続スパッタリング、または、異なる材料の組合せによる同時スパッタリングを行うことができた。スパッタリングシステムはまた、反応スパッタリングを行うために反応性ガス(例えば、NおよびOなど)を受け入れることができた。システムは、直径が約15cmまでの基板において1%未満の変動を有する厚さ均一性を達成するために最適化された。
下記の構造物を基板として使用した:(i)アルミニウム(Al、AL6061−T4)またはステンレスチール(S/S、AISI303)の円盤、50mmの直径、5mmの厚さ、最大でも100nmの粗さ;(ii)薄いガラス円盤(TGD、Menzel−Glaser Inc.)、50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の粗さ;(iii)フロートガラス円盤(FGD、Perez Brothers、イスラエル)、40mmまたは50mmの直径、5mmまたは10mmの厚さ、および10nm未満の粗さ;(iv)両面研磨のシリコン(Si)ウエハー円盤(Virginia Semiconductor Inc.)、50.8mmの直径、300μmの厚さ、最大でも1nmの粗さ、結晶学的配向:<100>、および電気抵抗率:8Ω・cm〜12Ω・cm、または、0.1Ω・cm〜1.2Ω・cm(ホウ素ドーパント)、または、8Ω・cm〜12Ω・cm(リンドーパント);および(v)片面研磨のSiウエハー円盤(Virginia Semiconductor Inc.)、50.8mmの直径、350μmの厚さ、結晶学的配向:<111>、および電気抵抗率:7Ω・cm〜10Ω・cm(リンドーパント)。
基板の粗さを表面プロフィロメーター(Veeco−Dektak 3ST)によって求めた。
下記の材料を、基板を単独または組合せで最終的に被覆するためのターゲット材料として使用した:アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、金(Au)、六ホウ化ランタン(LaB)、ニッケル(Ni)、パラジウム−金(Pd−Au)、ハフニウム(Hf)、マンガン(Mn)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ガドリニウム(Gd)、シリカ(SiO)、イットリア(Y)、タングステン(W)、酸化ジルコニウム(ZrO)、三酸化タングステン(WO)、酸化ランタン(La)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)およびケイ化クロム(CrSi)。それぞれのターゲット材料の純度が少なくとも99.9%であった。すべてのターゲット材料をAJA International Inc.またはKurt Lesker Companyから購入した。最適な接着および均質な薄い薄膜堆積を保証するために、基板を、有機溶媒中での超音波処理(順次、n−ヘキサン、アセトンおよびイソプロパノールにおける超音波処理、それぞれ5分間)によって最初に清浄化し、その後、ろ過された脱イオン水における超音波処理のもとで1分間洗浄し、窒素ガスの流れのもとで乾燥した。スパッタリングの前に、サンプルは、基板を250℃に加熱しながら、4×10−3mbar、30WのRF出力、10SccmのArでの典型的には20分間のプラズマを使用して、何らかの残留する有機汚染/非有機汚染を表面から除くためのプラズマエッチングを受けた。
結果
そのように調製された被覆基板の選択されたサンプルが表5に示される。表5には、電源装置のタイプおよびその強度(ワット)、ガスの流速(標準立方センチメートル/分、sccm)、チャンバー内の圧力(mbar)、ならびに、スパッタリングの継続期間(秒)を含めて、主なスパッタリング条件が示される。すべての下記の実施例において、ターゲットと、基板との間の距離が146mmであった。得られた均一な薄膜の厚さ(nm)および粗さを表面プロフィロメーターによって測定した。薄膜被覆は十分に薄く、基板の元の平滑度を著しく変えなかった。TGD/AlおよびFGD/Alは、基板の両面がアルミニウムによりもっぱらスパッタリングされた薄いガラス円盤およびフロートガラス円盤をそれぞれ示す。同様に、FGD/Crは、クロムによりもっぱらスパッタリングされたガラス基板を示す。スパッタリングを、所望に応じて、基板の片面または両面で行うことができる。星印は、スパッタリング手順後、サンプルが10−6mbarにおいて500℃で1時間にわたってポストアニーリングされたことを示す。
上記方法に従って調製される表面を、実施例8においてさらに詳述されるように、図11に概略的に例示される実験構成で使用した。
(実施例8)
ガス分子の熱運動による電流の発生
本実施例は、異なる電荷移動性を有する表面の間におけるガス分子の熱運動によって電流を発生させるために本発明のいくつかの実施形態に従って行われる実験を記載する。下記で記載される実験において、表面は、スペーサーによって、または、外向きに突き出る粗さ特徴物によって離されて保たれた。
実験の概略
構成
本実施例のすべての実験で使用される実験構成が図11に概略的に例示される。電気的に接地された構造物1101を密封可能なステンレススチールチャンバー1125(AISI316)の中に設置した。構造物1101を、内部ヒーター1105の電気絶縁性セラミック境界面1103を覆って配置した。コントローラー1107(Ceramisis、1200℃までの制御が可能なサンプルヒーター)を接続配線1128によりヒーター1105に接続した。接地電位への構造物1101の接続が1109において示される。接地されない構造物1111をチャンバー1125内において構造物1101の上方に配置した。構造物1101の表面の電荷移動性が構造物1111の電荷移動性とは異なった。
構造物1101および1111の1つまたは複数が、不良なバルク電導率の材料から作製された実験では、構造物1111を、別途示される場合を除き、構造物1101の上方に直接、配置した。これらの実験において、構造物1101および1111の向かい合う表面の間の距離が、部分的にはそれらの粗さによって決定された。距離が、粗さ特徴物のサイズおよび分布に依存して、表面の至るところで、0nm(すなわち、直接の接触)から、他の区域における数十nmまたは数百nmにまで変化した。
構造物1101および1111の両方がバルク導電性材料から作製された実施では、スペーサー1113をそれらの間に導入した。スペーサー1113は、1111と向かい合う接地された構造物1101の表面にスピンコーティングされた。z方向(一般には、構造物1101および1111の表面に対して垂直;図11を参照のこと)に沿ったスペーサー1113の高さが数百nmから数μmまでであった。
導電性スプリング1115(高炭素鋼のピアノ線から作製される)をチャンバー1125内において構造物1111の上方に配置し、チャンバー1125の上部壁における電気フィードスルーを介して外部の電位計1117(Keithley 6517A)に接続した。電位計は較正され、±1%未満の高い精度の読み取り値を示した。いくつかの実験において、それぞれが1対の構造物1101および1111を構造物間の間隙とともに含む多数のセルをチャンバー内において積み重ねた。これらの実験において、積み重ね体の最も下側の構造物1101を接地1109に接続し、積み重ね体の最も上側の構造物1111を電位計1107に接続した。積み重ね体の最も上側の構造物は以降、「接地されない構造物」として示される。
チャンバー1125は、ガスをチャンバー内に注入するための注入口1119、1121および1123と、ガスを真空ポンプ1129(Boc Edwards、XDS10;必要に応じて、第2の真空ポンプ(Boc Edwards、EXT−255H Turbo)を介して直列につながれる)によりチャンバーから排出するために構成される排気口1127とを備えた。チャンバー1125は形状が円筒状であり、平均直径が約8.5cmで、高さ約7cmで、壁が約0.17cmの厚さであり、ガス容積が約400cmであった。チャンバーは耐食性の低ガス放出材料から組み立てられ、この場合、部品、およびO−リングによる接続が、操作上の真空条件および温度条件に少なくとも耐えるように適合化された。チャンバー1125内の圧力をガスの注入および排出に基づいて制御した。圧力を、マノメーター1131(BOC Edwards、Activeデジタルコントローラー、これには、ゲージモデルAPG100−XLC、同ASG 2000mbar、および同WRG−SL(それぞれが圧力測定範囲で異なる部分を扱う)が伴う)を使用してモニターした。実験を10−10bar〜8barの範囲において様々な圧力で行った。
実験期間中の温度を2つの方法で制御した:構造物1101の温度TInを内部ヒーター1105およびコントローラー1107により制御し、チャンバー1125の壁の温度TExを、チャンバーの外壁につながれる外部リボンヒーター(示されず)によって制御した。実験を様々な内部温度および外部温度で行った。具体的には、TInを25℃から400℃まで変化させ、TExを50℃から150℃まで変化させた。TInおよびTExを、k型熱電対およびコントローラー1133(Eurotherm 2216e)を使用してモニターした。
構造物1101および1111の両方が熱電対に接続された予備実験において、内部加熱のみが(ヒーター1105により)加えられ、一方、外部加熱のスイッチが切られたとき、構造物1101と構造物1111との間の温度差が、ガスの存在下で無視できるほどであったことが明らかにされた。具体的には、構造物1101のケルビン温度が、構造物1111のケルビン温度よりも最大で1%高かった。そのうえ、残留温度勾配があれば、残留温度勾配は、低温での熱電子放出を仮定すると、接地された構造物が加熱されるこの実験構成では負の電流を発生させると思われる。熱電子放出が、本実験の作動温度では、または、温度勾配の非存在下では予想されない。加えて、熱電子による発生電流はまた、真空中でも存在するにちがいない。これは、本発明に従って発生する電流とは対照的であり、本発明に従って発生する電流は、述べられたように、ガス媒介による電荷移動に依拠しており、したがって、真空中では存在しない。下記の結果の節によって明らかにされるように、真空中では、ノイズレベルを超える電流が全く存在しなかった。
本実験においてモニターされるシグナルは一般に1mA未満であったので、記録されたシグナルに影響を及ぼし得るデバイスで、測定時において必須でなくなったデバイスはどれも、もはや必要でなくなると、外された。例えば、所望される安定した圧力が達成され、測定されると、マノメーターのスイッチが切られた。
材料
下記に記載される実験において、構造物1101および1111のために、大きい電気伝導率(10S/m超)、不良な電気伝導率(10−9S/m未満)、または、中程度の電気伝導率(10−9S/m〜10S/mの間)を有する材料を用いた。
方法
表面の粗さが製造者によって提供されなかったとき、構造物1101および1111の表面の粗さを表面プロフィロメーターによって測定した。一般に、金属表面は、研磨用バフ(Struers、MD−NAP)を0.1μmの凝集α−アルミナの懸濁物とともに使用して穏やかに研磨された。したがって、別途述べられない限り、表面は約100nm以下の粗さを有した。
それぞれの実験の前に、構造物1101と構造物1111との間の抵抗を、Wavetek Meterman DM28XT Multimeter(描かれず)を使用して測定した。抵抗は常に2ギガオームを超えていた。このことは、表面間の電気的短絡がなかったことを保証した。
それぞれの実験に先立って、チャンバー1125の排気を下記の手順に従って行った。チャンバーを密封し、真空を少なくとも1時間加えた(最大でも10−5barのベースライン圧力にした)。その間、接地された構造物を、残留水分を除くために少なくとも100℃に加熱した。チャンバーを、実験間のガス放出汚染の可能性をさらに排除するために、150℃のTExに加熱しながら高真空で一晩にわたって定期的に排気した。実験構成の安定化を、安定したベースライン圧力Pおよび約ゼロのベースライン電流iを確保することによって確認した。別途述べられない限り、Pは10−5bar未満であり、iは0.1pA未満であった。
それぞれの実験のために、下記のパラメーターを変化させ、モニターした:(i)事前に排気されたチャンバーに供給されるガスのタイプ、(ii)チャンバーにおける圧力(P)、(iii)内部ヒーターの温度(TIn)、および(iv)チャンバーの壁の温度(TEx)。
それぞれの一連のパラメーターについての構造物の両端における生じた電流または電圧を1秒あたりおよそ1回の測定のサンプリング速度で測定し、記録した。1回の実験のための典型的な時間スケールが10時間〜50時間であったので、1回の運転あたり10回〜10回の測定が行われた。したがって、実験の統計学的誤差はわずかである。本発明者は、接地された構造物の電荷移動性が正であり、かつ、接地されない構造体の電荷移動性が負である実験については負の電流シグナルを予測した。本発明者はまた、逆の形態(接地された構造物については負電荷移動性、および接地されない構造体については正電荷移動性)については正の電流シグナルを予測した。
構造物1101および1111の向かい合う表面はそれぞれが、下記の実験では少なくとも2.5cmの直径を有することがあり、また、いくつかの場合には1対あたり約20cmの理論的重なり領域を有することがあるが、有効領域は最大理論的重なり領域よりも小さくなるかもしれないことを理解しなければならない。どのような対の材料についても、隣接表面が、操作上の条件のもとで使用されているガスの平均自由行程の数倍を超えない間隙によって、(スペーサーによるか、または、外向きに突き出る粗さ特徴物によるかのどちらかで)離して置かれるとき、重なり領域が最も効果的であることが見出された。2つの表面の間における有効重なり部分の割合は、それぞれの表面の幾何学、形状、平坦度、粗さ、および突き出る特徴物の分布に依存する。
実験I
材料および方法
ガドリニウム(Gd;24.7mmの直径および1.5mmの厚さの円盤;99.95%の純度;Testbourne Ltd.)を接地された構造物として使用し、アルミニウム(Al;AL6061−T4;50mmの直径および12mmの厚さの円盤)を接地されない構造物として使用し、C(大きい電子親和性を有するガス)をガス媒体として使用した。ガドリニウムの真空中での測定された仕事関数が3.2eVであり、アルミニウムの真空中での測定された仕事関数が3.9eVであった。平均粒子サイズが約5μmであるアルミナのマイクロ粒子(Al;K.C.A.)をイソプロパノールにおける0.01重量%の懸濁物から2000RPMでガドリニウム円盤上にスピンコーティングし、これにより、高分散スペーサーを円盤の表面に得た。
実験の初期段階において、チャンバーを排気し、内部ヒーターを400℃に加熱した。外部加熱をチャンバーに加えなかった。続いて、5mbar、11mbarおよび23mbarのCを3つの異なる時点でチャンバーに注入した。
Gd構造物およびAl構造物を使用するこの実験を、両方の電気的形態と、様々なタイプのスペーサーおよびガスとを用いて様々な条件のもとで繰り返した。
結果
図12は、測定された電流(pA)を時間(s)の関数として示す。図12に示されるように、一晩の排気の後、真空条件下での電流が約+0.1pAであった。矢印1は、5mbarのCがチャンバーに注入された時点を示す。約30分の一時的な電流増大の後、電流がガスの存在下で安定化して、約−0.2pAの負の値になった。矢印2は、Cの圧力が11mbarに上げられた時点を示す。正電流の短いスパイクが再び、測定条件を変更したときに観測されたが、その後は、電流は安定化して、約−0.25pAの負の電流に戻った。矢印3は、Cの圧力が23mbarにまでさらに上げられたときを示しており、このときには、(一時的な正のピークの後で)、約−0.4pAの安定した負の電流がもたらされた。観測された電流が負であるという事実は、ガドリニウム−アルミニウムの対の両端における電位が負であることを示している。これらの金属の標準還元電位がGdについては−2.4Vであり、Alについては−1.67Vであるので、上記で記載される構成は、Cガスが液体電解質によって置き換えられたならば、正の電気化学的電流をもたらすことが予想される。したがって、負電流が測定されたことにより、観測された電流が電気化学的反応から生じるという可能性が除外される。
図12は、発生した電流が、真空条件で観測されるベースライン電流と比較して、より大きい振幅を有し、かつ、逆方向であることを明らかにする。図12はさらに、電流の絶対値が、ガス媒介による電荷移動の原理と一致して、圧力依存的であったことを明らかにする。
チャンバー内において逆配向で設置されるこの1対の材料(接地されたAl、接地されないGd)を異なるスペーサーおよび/またはガスとともに用いて行われたさらなる実験運転の結果が、入力番号2〜4として下記の表6に示される。
実験II
材料および方法
MACOR(登録商標)は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al)、酸化カリウム(KO)、三酸化二ホウ素(B)およびフッ素(F)を含む機械加工可能なガラス−セラミックスである。巨視的スケールで、室温におけるMACOR(登録商標)の電気伝導率が約10−15S/mである。
本実験では、MACOR(登録商標)の円盤(50mmの直径、3.5mmの厚さおよび400nm未満の粗さ)を接地された構造物として使用した。アルミニウムの円盤(Al;AL6061−T4;50mmの直径および12mmの厚さの円盤)を接地されない構造物として使用した。CF、C、SF、N、ならびに、希ガスのアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)のガスのそれぞれ(すべてが少なくとも99.99%の純度であり、乾燥している)をガス媒体として別々に使用した。MACOR(登録商標)の円盤およびアルミニウムの円盤を、スペーサーを何ら用いることなく、直接に接触させてチャンバーにおいて配置した。この場合、材料の表面粗さにより、間隙がもたらされた。
内部ヒーターを200℃に加熱し、外部加熱をチャンバーに加えなかった。チャンバーを排気した後で、かつ、ほぼゼロの正の電流のベースライン値が安定化した後、それぞれのガスを個々に注入した。
それぞれのガスについて、圧力を徐々に上げた。電流が安定化すると、電流をそれぞれの圧力について測定し、記録した。
MACOR(登録商標)の構造物およびアルミニウムの構造物を使用するこの実験を、空気(体積比で約78:21:0.9:0.04のN:O:Ar:COの比率)、ならびに、体積比で1:1の比率でのCFおよびCの組合せを含めて、ガスの様々な組合せを用いる様々な条件のもとで繰り返した。
この実験ではさらに、薄いガラス円盤(実施例7で記載されるような円盤、すなわち、50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の表面粗さ)を接地された構造物とするいくつかの実験運転が含まれた。室温におけるガラスの電気伝導率が約10−12S/mである。ガラス円盤は、接地端子への良好な接触を容易にするために、実施例7で記載されるように、片面がアルミニウムによりスパッタリングされた。これらの運転における接地されない構造物がアルミニウムの円盤(実験Iにおいて記載されるような円盤、すなわち、12mmの厚さおよび50mmの直径)であり、上記ガスのいくつかがガス媒体としてであった。ガラス円盤を配置し、非被覆面がアルミニウム円盤と向かい合った。さらなる運転を、接地に対する接触のためにクロムが片面にスパッタリングされた薄いガラス円盤(同じ大きさ)を接地された構造物として、かつ、フロートガラス円盤への完全なスパッタリング被覆によって調製されるクロムの円盤(10mmの厚さおよび50mmの直径を有するガラス基板を覆う230nmのCr厚さ)を接地されない構造物として用いて、また、上記タイプのガス媒体のいくつかを用いて行った。
結果
すべての場合において、測定された電流が正であった。このことは、MACOR(登録商標)が電子アクセプターとして働き、一方、アルミニウムが電子ドナーとして働いたことを示している。ガス圧力に対する電流の絶対値の依存性が認められた。具体的には、それぞれのガスについて、電流が圧力の増大とともに直線的に増大し、ついには、電流が最大値に達し、その後、圧力のある範囲にわたって、一定のままであったか、または、ゆっくり低下した第1の段階が存在した。本実験において、閾値圧力の用語は、最大電流がプラトー段階で最初に測定された最小圧力に関連する。この観測結果が、下記に記載される実験XIにおいて詳述される。様々な純ガスおよび混合ガスを用いて観測された閾値圧力および最大電流が下記の表6において入力番号5〜15として報告される。
図13はいくつかのガスの閾値圧力(mbar)を1/σ(式中、σはガス分子の直径(Å)である)の関数として示す。上記の式1によれば、平均自由行程λが1/σに直線的に比例する。図13に示されるように、直線的相関(R=0.9898)が、測定された閾値圧力と1/σとの間に存在する。すなわち、ガス分子の直径が小さいほど、最大電流が観測された圧力が大きくなる。
接地された構造物としての、片面がアルミニウムによりスパッタリングされた薄いガラス円盤、スペーサーを用いることなくガラス面に並置された接地されないアルミニウム円盤、ならびに、TIn=200℃およびTEx=70℃での純ガスを用いた実験についての最大電流および閾値圧力が、下記の表6において入力番号16〜20として示される。類似する結果が、接地された構造物が、片面がクロムによりスパッタリングされた薄いガラス円盤であり、接地されない構造物が、平坦なガラスへの完全なスパッタリング被覆によって調製されるクロム円盤であり、純ガスをTIn=150℃で用いた、スペーサーを用いない実験で得られた。外部リボンヒーターを作動させなかった。これらの結果が下記の表6において入力番号21〜23として報告される。スペーサーを用いて行われた実験が入力番号33〜41として報告され、本明細書中下記で記載される(実験IIIおよび実験VIIIを参照のこと)。
ガスの混合物が好適であるという事実(MACOR(登録商標)−アルミニウムの形態についての入力番号14〜15を参照のこと)が、別個の実験で、すなわち、アルミニウム−ガラスの形態における811mbarの乾燥空気が、表6において入力番号24として報告されるような電流を発生させた実験で確認されたことは特筆され得る。
実験IIにより、様々なガスに関して、電流が様々な表面の間のガス媒介による電荷移動によって発生することが確認された。電流がガスの非存在下で何ら観測されず、このことから、電流に対する検出可能な熱電子の寄与が存在しなかったことが確認された。電流の圧力依存性が認められた。何らかの理論にとらわれないが、閾値圧力の値が、表面間の間隙とガスの平均自由行程との間における関係性に依存することが仮定される。安定した電流が、不活性ガスを使用して観測されたという事実により、ガスの化学反応からの寄与が除外される。実験IIによりさらに、本発明のセルデバイスの作動表面がまた、比較的低い導電率を有する材料(例えば、ガラスおよびMACOR(登録商標)など)から作製され得ることが明らかにされた。ガスの組合せを用いて得られた結果からは、本実施形態のセルデバイスはガスの混合物に関してもまた作動可能であることが明らかにされる。
実験III
材料および方法
本実験には、下記のように運転(a)〜(i)として下記において示されるいくつかの実験運転が含まれた。運転(a)において、ラメラ状キンウンモの薄い円盤(50mmの直径、50μmの厚さ)を接地されない構造物として使用した。キンウンモは、導電性スプリング1115との電気的接触を高めるために、片面がPd/Auによりスパッタリングされた。アルミニウムの円盤(AL6061−T4;40mmの直径、3mmの厚さ)を接地された構造物として使用した。接地された構造物および接地されない構造物は、スペーサーを用いることなく直接に接触していた。内部ヒーターを400℃に加熱した。外部ヒーターのスイッチは切られた。チャンバーを排気し、真空下でのベースライン電流が1fA未満(すなわち、10−15A未満)であった。この段階で、300mbarのヘリウムをチャンバーに注入した。内部温度を約80時間の全期間にわたって変化させ、電流を測定し、記録した。
運転(b)において、ドープされたニトロセルロースを接地された構造物として使用し、ステンレスチール(AISI303、40mmの直径および5mmの厚さの円盤)を接地されない構造物として使用し、100mbarの一定の圧力でのアルゴンガスをガス媒体として使用した。接地された構造物を、ニトロセルロース系の、Zweihorn Zaponlack NR10026(Akzo Nobel Deco GmbH、5重量%の溶媒)と、LiClOとを含むシクロヘキサノン溶液(40重量%のZaponlack)をアルミニウムの円盤(AL6061−T4;50mmの直径および12mmの厚さ)に1000rpmでスピンコーティングすることによって調製した。接地された構造物および接地されない構造物は、スペーサーを用いることなく直接に接触していた。TInを約25℃から約85℃にまで徐々に上げた。
運転(c)において、アルミニウムの円盤(Al;AL6061−T4;50mmの直径および12mmの厚さ)を接地された構造物として使用し、薄いガラス円盤(50mmの直径、100μmの厚さ、50nm未満の粗さ、導電性スプリングとの接触のためにアルミニウムがスパッタリングされる)を接地されない構造物として使用し、300mbarの一定の圧力でのヘリウムをガス媒体として使用した。接地された構造物および接地されない構造物は、スペーサーを用いることなく直接に接触していた。TExを60℃から100℃にまで徐々に上げた。
運転(d)において、MACOR(登録商標)の円盤(50mmの直径、3.5mmの厚さおよび400nm未満の粗さ)を接地された構造物として使用し、アルミニウム(AL6061−T4、上記の通り)を接地されない構造物として使用し、300mbarのアルゴンをガス媒体として使用した。接地された構造物および接地されない構造物は、スペーサーを用いることなく直接に接触していた。TInを100℃から200℃にまで徐々に上げた。
運転(e)において、薄いガラス円盤(50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の表面粗さ、接地との接触のためにクロムが片面にスパッタリングされる)を接地された構造物として使用し、クロムの230nmの層により完全にスパッターコーティングされた平坦なより厚いガラス円盤(50mmの直径、10mmの厚さおよび10nm未満の粗さ)を接地されない構造物として使用した。接地された構造物および接地されない構造物が、3μmの平均高さを有するアルミナのスペーサーによって隔てられた。スペーサーを、実験Iにおいて記載されるように、ガラス表面にスピンコーティングした。TInを130mbarの一定の圧力でのキセノンの存在下において150℃から250℃にまで徐々に上げた。
運転(f)〜(i)において、薄いガラス円盤(50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の表面粗さ、接地との接触のためにクロムが片面にスパッタリングされる)を接地された構造物として使用した。運転(f)において、接地されない構造物が、実験XIIにおいて記載されるように、ステンレススチールの円盤にスピンコーティングされたr−GOであった。運転(g)において、接地されない構造物が、40mmの直径、5mmの厚さおよび10nm未満の表面粗さを有する平坦なガラス円盤への完全なスパッターコーティングによって調製されるMnOの円盤(220nmの厚さ)であった。運転(h)において、接地されない構造物が、40mmの直径、5mmの厚さおよび10nm未満の表面粗さを有する平坦なガラス円盤への完全なスパッターコーティングによって調製されるモリブデンの円盤(330nmの厚さ)であった。運転(i)において、接地されない構造物が、50mmの直径、100μmmの厚さおよび50nm未満の表面粗さを有する薄いガラス円盤へのスパッターコーティングによって調製される、CrSiおよびSiOから作製されるサーメットの円盤(540nmの厚さ)であった。
接地された構造物および接地されない構造物は、スペーサーを何ら用いることなく直接に接触していた。TInを1100mbarの一定の圧力でのヘリウムの存在下において約70℃から約180℃にまで徐々に上げた。
結果
図14は、キンウンモ−アルミニウムの対を有する運転(a)について、測定された電流(pA)を時間(秒)の関数として示す。それぞれの時間間隔での内部温度が図14の上部部分に示される。内部温度が400℃であったとき、測定された電流が少なくとも7時間にわたって約2.1pAであった。t=194500秒(約54時間)で、内部ヒーターの温度TInを300℃に下げると、電流が約0.2pAに降下し、この場合、この電流が、約10時間にわたる測定の間、安定したままであった。t=231000秒(約64時間)における200℃へのさらなる冷却により、約4fAへの電流降下が生じた。t=280000秒(約78時間)において、温度を300℃に戻すと、電流が約0.25pAに増大し、これは、この温度で以前に得られた値に近かった。
この形態において、電流の方向が正であった。このことは、アルミニウムが電子アクセプターとして作用し、これに対して、キンウンモが電子ドナーとして作用したことを示している。本実験により、バルク絶縁体が本発明のデバイスおよび方法において使用され得ることが確認された。測定された電流が、測定の時間枠の間ずっと、数時間にわたって安定であったことは特筆される。電流が温度依存的であるという事実は、本発明者によって発見されたガス媒介電荷移動機構と一致している。
図15は、運転(b)〜(i)について、絶対値での測定された電流(A)を温度(℃)の関数として示す。
図15における四角は、ドープされたニトロセルロース−ステンレススチールの対を有する運転(b)に対応する。示されるように、TInを約25℃から約85℃にまで徐々に上げることにより、約76fAから20pAへの電流の増大が生じた。ほぼ室温で測定されるこの低い電流が、真空条件下で測定されるベースライン電流(1fA)を超えていたことは特筆される。
図15における丸は、アルミニウム−薄いガラスの対を有する運転(c)に対応する。示されるように、TExを60℃から100℃にまで徐々に上げることにより、65fAから0.4pAへの電流の増大が生じた。
図15における三角は、MACOR(登録商標)−アルミニウムの対を有する運転(d)に対応する。示されるように、TInを約100℃から約200℃にまで徐々に上げることにより、11fAから3.67pAへの電流の増大が生じた。
図15における菱形は、薄いガラス−クロムの対を有する運転(e)に対応する。示されるように、TInを約150℃から約250℃にまで徐々に上げることにより、78fAから17pAへの電流の増大が生じた。これらの結果が表6において入力番号25〜29として示される。
図15における十字は、薄いガラス−r−GOの対を有する運転(f)に対応する。示されるように、TInを約72℃から約180℃にまで徐々に上げることにより、78fAから86pAへの電流の増大が生じた。白丸は、薄いガラス−MnOの対を有する運転(g)に対応する。示されるように、TInを約136℃から約180℃にまで徐々に上げることにより、43fAから0.16pAへの電流の増大が生じた。
図15におけるプラス記号は、薄いガラス−Moの対を有する運転(h)に対応する。示されるように、TInを約111℃から約180℃にまで徐々に上げることにより、15fAから3pAへの電流の増大が生じた。白四角は、薄いガラス−(CrSi−SiO)の対を有する運転(i)に対応する。示されるように、TInを約126℃から約180℃にまで徐々に上げることにより、15fAから0.48pAへの電流の増大が生じた。これらの結果が表6において入力番号63〜66として示される。
これらの実験により、加熱のために用いられた技術(運転(b)、(d)〜(i)における内部加熱、および運転(c)における外部加熱)にもかかわらず、測定された電流の温度依存性が一般に類似しており、大雑把には指数関数的であることが明らかにされる。このことから、測定された電流が、下側の表面のみを加熱するときには表面の間に存在するかもしれないどのような小さい温度勾配からも生じておらず、ガス自体の温度から生じることが確認される。
安定した電流が、不活性ガスを使用して観測されたという事実により、ガスの化学反応からの寄与が除外される。運転(b)の結果は、ただ1対の構造物が、ノイズレベルを十分に超える測定可能な電流を室温において発生させるために十分であることが明らかにされる。さらに、図15における曲線のいずれかを外挿することにより、ノイズレベルを十分に超える測定可能な電流が、運転(b)〜(i)のいずれについても室温以下においてただ1対から発生し得ることが示唆される。連続した積み重ねでの多数のそのような対の使用は積み重ね体の両端における発生電位を増大させ、また、並列での多数のそのような対は電流を増大させることが明白である。
実験IV
本実験は、2つの構造物を逆にすることにより、電流の方向が逆になるという予測を確認することに関した。本実験は、ガラス円盤を接地された構造物として使用し、アルミニウム円盤を接地されない構造物として使用したことを除いて、実験IIIの運転(c)に類似した。チャンバー排気後、チャンバーをTEx=60℃に外側から加熱しながら、300mbarのヘリウムを注入した。生じた電流が−100fAであった。これは、実験IIIの運転(c)において測定される電流(+65fA)に対して符号が逆であり、一般に類似する大きさである。逆にされた構造物の結果が表6において入力番号27および30として報告される。この発見により、測定された電流が、これら2つの表面の間における違い、およびガス媒体とのそれらの相互作用から生じるのであって、望まれない実験的影響から生じるのではないことが確認される。2つの電流の間における絶対値での差は、間隙の大きさおよび重なり領域におけるわずかな違いなどの数多くの要因に起因すると考えられ得る。
実験V
材料および方法
薄いガラス円盤(50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の粗さ)に、実施例7で記載されるように、アルミニウムを片面にスパッタリングした。10枚のそのようなアルミニウムスパッタリングされたガラス円盤の積み重ね体を、2つ毎の隣接する円盤について、一方の円盤のスパッタリング面が他方の円盤の露出した(非スパッタリング)面と接触したようにチャンバーに入れた。最も下の円盤を、そのスパッタリング面が内部ヒーターに向かい合い、接地され、かつ、その露出面が最も下から2番目の円盤と向かい合って配置した。したがって、本実験では、接地面がガラスであり、非接地面がアルミニウムであった。ヘリウムをガス媒体として使用した。
チャンバーを排気した後、内部ヒーターを200℃に加熱し、300mbarのヘリウムを注入した。電圧シグナルを測定し、記録した。この手順をただ1対だけのガラス−アルミニウム対について繰り返した。
結果
図16は、ただ1対だけの構造物(連続線)および10対の積み重ね体(点線)について、電圧を時間の関数として示す。原点(t=0)は、実験構成が、電流測定のために短絡回路から、電圧測定のための開回路に切り換えられた時間点に対応する。時間が、ただ1つだけの対については分単位で示され(下側軸)、積み重ね体については、積み重ね体はより大きい抵抗を有するので、時間単位で示される(上側軸)。実験構成の総キャパシタンスが、すべての実験運転について同じであった測定デバイスによって支配されることは特筆される。したがって、総抵抗が、積み重ね体についてはただ1つだけの対よりも著しく大きいが、キャパシタンスは一般に、両方の場合について同じである。特徴的な応答時間が、キャパシタンスを乗じた抵抗に比例しているので、積み重ね体の応答時間が、ただ1つだけの対の応答時間よりも著しく大きい。
図16に示されるように、積み重ね体についての累積電圧が6時間後には3Vに近づき、一方、ただ1つだけの対についての累積電圧が6分後には0.3Vに近づく。これらの電圧の間における比率が10:1であり、これは、積み重ね体の運転におけるセルの数(10)と、ただ1つだけの対の運転におけるセルの数(1)との間における比率と同じである。この発見により、測定された電圧が、それぞれのガス充填セルによって発生する電位から生じるのであって、何らかの望まれない実験的影響から生じるのではないという結論が裏付けられる。
実験VI
本実験では、累積電圧を、3つの異なるドナー・アクセプターの構造体対について測定した。第1の運転において、ガラス−アルミニウムの対を用い、第2の運転において、アルミニウム−MACOR(登録商標)の対を用い、第3の運転において、ガラス−MACOR(登録商標)の対を用いた。すべての運転において、内部ヒーターが200℃に加熱され、チャンバー排気後、300mbarのヘリウムが注入された。
第1の運転において、約0.3Vの電圧プラトーが生じた。アルミニウムが電子ドナーとして働き、ガラスが電子アクセプターとして働いた。第2の運転において、約0.9Vの電圧プラトーが生じた。MACOR(登録商標)が電子ドナーとして働き、アルミニウムが電子アクセプターとして働いた。第3の運転において、約1.15Vの電圧プラトーが生じた。MACOR(登録商標)が電子ドナーとして働き、ガラスが電子アクセプターとして働いた。
ガラス−MACOR(登録商標)の対を使用して測定される累積電圧(1.15V)は、ガラス−アルミニウムの対を使用して測定される電圧(0.3V)と、アルミニウム−MACOR(登録商標)の対を使用して測定される電圧(0.9V)との和におおよそ等しいことが明らかにされる。電圧が加成性であるという事実により、測定値が、表面間において生じるガス媒介による電荷移動から生じるのであって、外部回路から生じるのではないことが確認される。
実験VII
材料および方法
発生した電流が少なくとも数時間の期間にわたって安定していたこと、および電流がTInまたはTExに依存したことが、前記実験において明らかにされた(例えば、実験III、特に図14および図15を参照のこと)。本実験では、TInおよびTExの両方を、4日間を超えてモニターした。本実験における接地される構造物が、LiClOドープされたニトロセルロースによってスピンコーティングされるアルミニウム円盤であり、接地されない構造物がステンレススチールの円盤(40mmの直径、5mmの厚さ)であり、アルゴンをガス媒体として使用した。
内部ヒーターを80℃に加熱し、チャンバーを排気し、ベースライン電流が約0.1pAで安定化した。およそ17時間後、100mbarのアルゴンを注入し、系をこれらの条件のもとで4日間モニターした。
結果
図17は電流および外部温度TExを時間の関数として示す。電流が左側の縦座標でpA単位で示され、TExが右側の縦座標で摂氏度単位で示され、時間が横座標で時間単位で示される。電流および外部温度が同じ時間点で記録された。図17において、t=0時間からt=19時間までの期間が、安定化のためのチャンバーからの空気の最初の排気に対応する。実験が、アルゴンをt=19時間でチャンバーに導入することにより開始された。
一時的な電流ピークが、ガスをチャンバーに導入したときに観測された。その後およそ20時間で、系は定常状態に達し、電流が一般に、約1pAの値に安定化した。電流の変動が、チャンバー温度が変化した際に観測された。チャンバーが約24℃であったとき、電流レベルが約1.25pAであり、チャンバー温度が約12時間後に約18℃に下がったときには約0.8pAに低下した。
本実験により、定常状態に達すると、電流が一般に、数日間にわたって(サブピコアンペアの変動とともに)安定していることが確認される。本実験によりまた、温度に対する電流の依存性が明らかにされる。約21℃の平均温度における1.0pAの平均電流を仮定すると、本実験は、チャンバー温度における±3℃の変動により、測定された電流における約±20%の変化が生じ得ることを示す。結果が表6において入力番号31として示される。違いが、表6の入力番号26と31との間に存在するが、この違いは、間隙の大きさにおけるわずかな違い、およびドープされたニトロセルロースの被覆の厚さにおける違いなどのいくつかの要因に起因すると考えられ得る。
実験VIII
本実験は、2つの表面の間における間隙のサイズに対する電流(および最大電流が得られる圧力)の依存性を調べることを目的とする。
大まかに言って、電気を本発明の実施形態のデバイスによって発生させるためには、下記の2つの条件が存在する:ガスと、固体表面との間における電荷移動、および帯電したガス分子による表面間の間隙の成功した横断。ガス分子による電荷輸送の確率が、(間隙が、ガス分子が進入することを可能にするために十分に大きいならば)より小さい間隙については大きくなる。したがって、他のすべてのことが等しいならば、より小さい間隙はより大きい電流を発生させ、最大電流が、より大きい圧力において達成される。
材料および方法
本実験には、下記のように運転(a)〜(i)として下記において示される9つの実験運転が含まれた。
運転(a)〜(c)では、実験IIIの運転(e)において記載されるように、接地された構造物が、クロムにより片面がスパッタリングされる薄いガラス円盤(50mmの直径、100μmの厚さ、50nm未満の粗さ)であり、接地されない構造物が、クロムの230nmの層により完全にスパッターコーティングされた平坦なガラス円盤(50mmの直径、10mmの厚さ、10nm未満の粗さ)であった。片面が被覆されたガラス円盤をチャンバーに配置し、その被覆面を接地端子に接続し、その非被覆面を完全被覆のクロム円盤と向かい合わせた。これら2つの構造物は、3μmの平均高さを有するアルミナ(Al)のスペーサーで分けられた。アルミナのスペーサーを、上記の実験Iにおいて記載されるように、薄いガラス表面にスピンコーティングした。運転(a)において、ガス媒体がキセノンであり、運転(b)において、ガス媒体がアルゴンであり、運転(c)において、ガス媒体がヘリウムであった。
運転(d)〜(f)は、1μmの平均高さを有するアルミナのスペーサーを用いたことを除いて、運転(a)〜(c)とそれぞれ同じであった。
運転(g)〜(i)は、スペーサーを用いなかったことを除いて、運転(a)〜(c)とそれぞれ同じであった。これらの運転については、間隙サイズが0でなく、表面の平均粗さに対応する。
すべての運転をTIn=150℃で行った。運転(a)は、TInと、測定電流との関係が150℃〜250℃の内部温度範囲にわたって確立された実験IIIの運転(e)において記載される曲線における最も低い温度点に対する。7μmの平均高さを有するアルミナのスペーサーを用いたことを除いて(a)〜(c)に類似する3つのさらなる運転をTIn=250℃で行った。それぞれの運転において、閾値圧力を求め、最大電流を記録した。これらの測定値が、表6において、入力番号21〜23および32〜41として示される。
結果
図18は、使用された3つのガスのそれぞれについて、閾値圧力において測定される電流(pA)を間隔(μm)の関数として示す。四角はヘリウム(σ=2.4Å)に対応し、丸はアルゴン(σ=4.0Å)に対応し、三角はキセノン(σ=5.4Å)に対応する。示されるように、電流が間隔の増大とともに低下した。間隙サイズに対する依存性の非線形により、本発明者は、間隙サイズのさらなる低下が、はるかにより大きい電流を生じさせるという結論に至っている。図18はまた、ガス分子の直径が小さいほど、閾値圧力において測定される電流が大きくなり、このことは、より小さい分子は平均自由行程がより大きく、したがって、電荷を、所与の間隙を横断して輸送する確率がより大きいガス媒介電荷移動モデルと一致していることを明らかにする。
図19は、最大電流がプラトー段階で最初に測定された閾値圧力(mbar)を1/σ(式中、σはガス分子の直径(Å)である)の関数として示す。図19において、菱形は、運転(a)〜(c)、すなわち、3μmのスペーサーを用いた運転に対応し、三角は、運転(d)〜(f)、すなわち、1μmのスペーサーを用いた運転に対応し、四角は、運転(g)〜(i)、すなわち、スペーサーを用いない運転に対応する。重なりが、運転(a)および(g)に対応するデータ点の間に存在すること、すなわち、キセノンを用いて行われた3μmのスペーサーを用いる運転と、キセノンを用いて行われたスペーサーを用いない運転との間に存在することには留意すること。
示されるように、直線的相関が、閾値圧力と1/σとの間に存在する。すなわち、ガス分子の直径が小さいほど、閾値圧力が大きくなり、このことは、上記で示される実験IIの結果と一致している。図19はまた、反相関(anti−correlation)が、間隙サイズと閾値圧力との間に存在することを示す。すなわち、より大きい間隙サイズは、最大電流を発生させるために、より低い圧力を必要とする。
実験IX
本実験は、電気化学的に由来する電流が故意に発生させられたコントロール実験であった。この目的のために、水蒸気をガス媒体として使用した。他のガス(例えば、上記で記載されるガスなど)とは異なり、水は、実験が行われた温度および圧力において液相で存在することができる。
材料および方法
薄いガラス円盤(100μmの厚さ、50mmの直径および50nm未満の粗さ)を接地された構造物として使用した。ガラス円盤は、接地端子に対する良好な接触を容易にするために、アルミニウムが片面にスパッタリングされた。これらの運転における接地されない構造物がアルミニウムの円盤(7mmの厚さおよび40mmの直径)であり、水蒸気をガス媒体として使用した。ガラス円盤は、非被覆面がスペーサーを伴うことなくアルミニウム円盤と向かい合わせで配置された。
内部ヒーターを60℃に設定し、圧力を7mbarに設定し、その結果、水の凝縮がチャンバーにおいて生じないことを保証した。その後、圧力を、内部ヒーターを60℃で維持しながら27mbarに設定し、その結果、水の凝縮を誘導した。電流を、実験期間中を通してモニターし、記録した。
結果
7mbarの水蒸気の存在下で測定される電流が+0.6pAであり、これに対して、27mbarのより高い圧力で測定される電流が−12pAであった(表6の入力番号42〜43を参照のこと)。27mbarの圧力は、チャンバーを室温におけるその蒸気圧にまで水蒸気で飽和することによって達成される圧力に対応する。水凝縮モードにおける電流の方向が、電気化学的に基づく電流と一致しており、一方、水凝縮の非存在下における電流の方向は逆である。本実験により、境界間の間隙が非凝縮ガスによって満たされるときに発生する電流が電気化学的プロセスから生じないことが明らかにされる。
実験X
本実験は、出力発生領域を明らかにすること、および最大出力が、本発明のデバイスまたは方法を使用して得られる最適な作用点(電流および電圧)を見出すことに関した。
材料および方法
実験構成(図11を参照のこと)をわずかに改変し、DC電圧源(Yokogawa7651)を、構造物1101と接地1109との間で接続した。DC電圧源は図11には示されない。電圧を加え、電流を、第2の構造物1111に接続される外部の電位計1117によってモニターした。2回の実験運転を行った。運転(a)において、シリカの円盤(接地への接触のためにアルミニウムが前もってプレコーティングされた、40mmの直径、5mmの厚さおよび10nm未満の粗さを有する平坦なガラス円盤に600nmの厚さでスパッタリングされたSiO)を接地された構造物として使用し、二酸化マンガン(アルミニウムがプレスパッターコーティングされた、50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の粗さを有する薄いガラス円盤にスパッタリングされた220nm)が、接地されない構造物として働いた。二酸化マンガンが、スペーサーを何ら用いることなく、接地された構造物のシリカ面と向かい合った。運転(b)において、接地への接触のためにアルミニウムが片面にスパッタリングされる、50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の粗さを有する薄いガラス円盤を接地された構造物として使用し、52mmの直径および5mmの厚さを有するステンレススチールの円盤にスピンコーティングされる還元されたグラファイト酸化物(r−GO)が、接地されない構造物として働いた。r−GO円盤の調製が下記でさらに詳述される(実施例XIIを参照のこと)。r−GOは、スペーサーを何ら用いることなく、接地された構造物のガラス面と向かい合った。運転(a)および(b)のために、内部ヒーターを180℃に加熱し、チャンバー排気後、ガス媒体として働いたヘリウムを1100mbarで注入した。
結果
図20Aおよび図20Cは、測定された電流I(pA)を印加電圧V(V)の関数として示し、図20Bおよび図20Dは、計算された出力p(pW)(p=I・V)を印加電圧V(V)の関数として示す。図20Aおよび図20Bは運転(a)に関し、図20Cおよび図20Dは運転(b)に関する。
図20Aに示されるように、電圧が何ら加えられないときの運転(a)における短絡回路電流が約21.5pAであり、これに対して、電流が0pAであるとき、開回路電圧が−0.63Vである。図20Bに示されるように、出力が、−0.63Vから0Vまでの印加電圧の間で発生し、絶対値での得られた最大出力が、約−0.34Vの印加電圧Vにおいて約3.3pWである。図20Cに示されるように、電圧が何ら加えられないときの運転(b)における短絡回路電流が約94pAであり、これに対して、電流が0pAであるとき、開回路電圧が−1Vである。図20Dに示されるように、出力が、−1Vから0Vまでの印加電圧の間で発生し、絶対値での得られた最大出力が、約−0.4Vの印加電圧Vにおいて約16.3pWである。したがって、運転(a)については0Vから−0.63Vの範囲で、また、運転(b)については0Vから−1Vの範囲で、抵抗が負であり、システムが電気発生体として作動する。本実験の結果により、本発明のデバイスは電気出力をガス分子の熱運動から発生させることが明らかにされる。
実験XI
本実験は、最大電流が、本出願の教示を使用して得られる閾値圧力を求めるために、電流値を圧力の関数として測定することに関した。
材料および方法
接地された構造物および接地されない構造物が、上記で記載される実験VIIIにおいて使用される薄いガラス構造物およびクロム構造物と同じであった。TInを200℃に設定し、TExを50℃に設定し、ヘリウムをガス媒体として使用した。チャンバーの排気およびゼロのベースライン電流の安定化の後、ヘリウムを50mbarから1200mbarを超えるまで50mbarの圧力ステップで注入した。最初の圧力ステップで、システムを少なくとも2時間安定化させ、その後、電流を記録した。それぞれのその後の圧力ステップで、電流を安定化させ、その後、記録した。本実験では、測定が、真空中ではなく、50mbarの圧力で開始されたので、また、50mbarの小さい圧力ステップが加えられたので、15分の安定化期間が十分であった。
結果
図21は、測定された電流(pA)をガス圧力(mbar)の関数として示す。図21に示されるように、電流が、圧力が50mbarの増分で50mbarから約700mbarにまで徐々に上げられる第1の段階において約2.7pAから約5.7pAにまで単調に上昇する。約700mbarから約1250mbarまでの第2の段階において、電流が圧力の関数としてプラトー状態に達する。
観測された圧力依存性は、本発明者によって発見されるガス媒介電荷移動機構と一致している。発生した電流が、ガス分子の平均自由行程が2つの表面の間の間隙よりも小さい圧力に至るまでの圧力とともに増大する。圧力を、この点を超えて高くすることはまた、ガス分子が、その電荷を、間隙を横断して第2の表面に輸送し得る前のガス分子の間における衝突の確率を増大させ、しかし、圧力を、この点を超えて高くすることはまた、前記電荷を輸送することができる分子の数を増大させる。したがって、1分子あたりの電荷輸送の割合を低下させる分子間衝突と移動させられているガス媒介による電荷の総量を増大させる分子の総数との間にはバランスが存在する。図21はそのようなバランスを明らかにすることが考えられる。これら2つの相反する影響は互いに釣り合うようであり、その結果、閾値圧力を超えた場合、電流がガス圧力にもはや依存しないか、または、ほんの弱く依存するだけである。
グラフの単調増大部分は、間隙サイズよりも大きい平均自由行程をもたらす圧力に対応する。実施例1において説明されるように、λ>dの条件のもとでは、表面と単位時間あたり相互作用する分子の数が圧力に直線的に依存していることが予想される。グラフのプラトー部分が、間隙サイズよりも小さい平均自由行程をもたらす圧力に対応する。閾値圧力は、電流が圧力とともにもはや著しく増大しない最低圧力として定義することができる。表面材料、ガスおよび作動条件の特定の組合せについては、電流が、プラトー状態で安定化するのではなく、むしろ、圧力の増大とともに低下し得ることが起こり得る。本実験、すなわち、図21において、閾値圧力は約700mbarである。
実験XII
実験IIIの運転(a)では、ラメラ状材料が表面として使用され得ることが示された。このことが、表面の一方が、導電率が不良な鉱物であるキンウンモ(天然のケイ酸塩化合物)から作製されたときに明らかにされた。本実験では、使用されるラメラ状材料が、グラフェン(グラファイトを構成する単一層物)に対応する電気伝導性の還元されたグラファイト酸化物(r−GO)であった。
材料および方法
グラファイト(フレークサイズが約25μm〜75μmの範囲にあるAsburyグラファイト3763)を、Hirataの方法を使用して酸化した(例えば、米国特許第6596396号を参照のこと)。得られたグラファイト酸化物(GO)を、Microza(登録商標)メンブランろ過(Pall Corp.、UMP−1047R)を使用して清浄化し、洗浄し、濃縮した。AFM走査により、そのようにして得られたGOナノ小板物は、約1nmの厚さのただ1つだけのGOシートから多数のシートにまで及ぶ厚さを有し、全体の平均厚さが約3nmであったことが明らかにされた。
その後、GOを、真空中において230℃で一晩加熱することによってグラフェンに熱還元し、これにより、ほんの15%〜20%の残留官能基を含むことが予想される還元されたGOを達成した。r−GOを0.4%の重量濃度で1%酢酸溶液に分散した。
52mmの直径、約5mmの厚さおよび50nm未満の粗さを有する研磨されたD2スチール円盤が支持体表面として役立った。円盤の周辺部を、被覆期間中におけるr−GOの厚さの増加を避けるために機械加工した。円盤を、最初にイソプロパノールにより清浄化した後、接着剤プライマーの薄い層(Microlite HST−XE20の上清)によりプレコーティングした。プレコーティングされた円盤をスピンコーターに置き、r−GOの懸濁物により湿らした。その後、円盤を1200RPMで回転させた。r−GO(グラフェン)の薄い生じた被覆を、回転させながら、80℃を超えない温度で熱風送風機により乾燥した。層が乾燥したように見えたとき、このスピンコーティング手順を、合計で9gのr−GO懸濁物が使用されるまで繰り返した。スピンコーティングを、ラメラ状のグラフェン層が、配向した層状被覆として積み重ねられ続けることを保証するために使用した。
その後、層状のr−GOがスピンコーティングされた円盤を、真空オーブンにおいて95℃で24時間さらに乾燥した。この予備乾燥工程の後、円盤を炉(Ney Vulcan 3−1750)に移し、炉において、円盤を、温度が230℃に達するまで20℃の増分でそれぞれ2時間加熱し、230℃で、円盤を、完全な乾燥を保証するための最後の10時間の焼成のために放置した。その後、円盤を使用までデシケーター中に保管した。
薄いガラス円盤(50mmの直径および100μmの厚さ、これは、接地との接触のためにアルミニウムが片面にスパッタリングされた)が、接地された構造物として使用され、r−GO円盤が、接地されない構造物として働いた(この場合、r−GOが、スペーサーを何ら用いることなくガラスと向かい合い、ステンレススチール基板が外部回路への接点として役立った)。TInを180℃に設定し、チャンバーの排気およびゼロのベースライン電流の確立の後、ヘリウムをガス媒体として使用した。
結果
1100mbarのヘリウムが存在する場合、測定された電流が、下記の表6において入力番号59として報告されるように、約+150pAであった。本構成では、ガラスが電子アクセプターとして働き、r−GOが電子ドナーとして働いた。本実験により、ラメラ状材料が本発明のいくつかの実施形態のデバイスにおいて使用され得ることが明らかにされる。
実験XIII
上記の実験により、様々な範囲のバルク電導率を有する様々な材料が本発明のいくつかの実施形態のデバイスの表面のために好適であることが立証された。本実験では、半導体から作製される表面を7つの実験運転において調べた。
材料および方法
運転(a)において、<100>の表面の結晶学的配向および8Ω・cm〜12Ω・cmの電気抵抗率を有する、リンがドープされたシリコンウエハーの円盤(両面研磨され、50.8mmの直径、300μmの厚さおよび1nm未満の粗さを有する)を接地された構造物として使用した。
運転(b)において、抵抗率が0.1Ω・cm〜1.2Ω・cmであることを除いて、同じ大きさおよび結晶学的配向を有する、ホウ素がドープされたシリコンウエハーの円盤を接地された構造物として使用した。
運転(a)および(b)の両方において、アルミニウムの円盤(40mmの直径および5mmの厚さの平坦なガラス円盤にスパッタリングされた200nmの厚さ)を接地されない構造物として使用した。
運転(c)において、運転(a)および(b)のシリコンウエハー円盤を対にした。すなわち、リンがドープされたシリコンウエハーの上記円盤を接地された構造物として使用し、ホウ素がドープされたシリコンウエハーの円盤を接地されない構造物として使用した。
運転(d)において、<110>の表面の結晶学的配向および0.7Ω・cm〜1.3Ω・cmの抵抗率を有する、リンがドープされたシリコンウエハーの円盤(両面研磨され、50.8mmの直径、140μmの厚さおよび1nm未満の粗さを有する)を接地された構造物として使用し、ガドリニウムの円盤(40mmの直径および5mmの厚さの平坦なガラス円盤にスパッタリングされた560nmの厚さ)を接地されない構造物として使用した。
運転(a)〜(d)のすべてにおいて、接地された構造物および接地されない構造物は、スペーサーを用いることなく互いに向かい合った。ヘリウムを1100mbarの一定の圧力でガス媒体として使用した。内部温度TInは、下記で詳述されるようにそれぞれの運転について異なったが、200℃での共通する点を常に含んでいた。
運転(e)〜(g)において、運転(a)〜(b)の場合でのようなアルミニウムの円盤が、接地された構造物として働き、かつ、運転(a)の場合でのような、リンがドープされたシリコンウエハーの円盤が、接地されない構造物として働いた。7μmの平均高さを有するアルミニウムのスペーサーを、実験Iにおいて記載されるように、接地された構造物にスピンコーティングした。内部ヒーターをTIn=250℃で設定し、外部ヒーターをTEx=70℃で設定した。ガス媒体を1100mbarの一定の圧力でチャンバー排気後に注入した。ガス媒体は運転(e)においてキセノンであり、運転(f)においてアルゴンであり、運転(g)においてヘリウムであった。
結果
実験の結果が下記の表6の入力番号44〜50に示される。
入力番号44〜47に示されるように、スペーサーを何ら用いることなく使用される表面の少なくとも一方が半導体材料から作製されるとき、測定された電流が、ナノアンペア範囲にまで数桁、劇的に増大した。運転(a)において、TInを150℃から200℃にまで増大させると、電流が8.5nAから52nAにまで増大した。運転(b)において、内部温度における同じ増大は電流を−2.7nAから−15nAにまで上昇させた。この負の電流は、この構成において、ホウ素がドープされたシリコンウエハーが電子ドナーとして働いたことを示している。運転(c)において、異なるドープを受けた2つのシリコンウエハーを含む対がTIn=200℃で試験され、測定された電流が0.9nAであった。
入力番号48〜50に示されるように、スペーサーが、金属表面と半導体表面との間において使用されたとき、測定された電流が、ガス媒体がキセノンであったときには0.24pAであり、ガス媒体がアルゴンまたはヘリウムであったときには1pAであった。スペーサーの存在は、測定された電流における劇的な降下を引き起こしたが、測定された電流は依然として著しかった。これらの実験により、半導体材料が本発明のいくつかの実施形態のデバイスにおいて使用され得ることが明らかにされる。中程度のバルク電導率を有する材料(例えば、半導体など)の利点の1つが、そのような材料は、電流を輸送するために十分に導電性であり、かつ、スペーサーを何ら用いることなく使用されるために十分に非電導性であることである。
実験XIV
本実験では、本発明のいくつかの実施形態に従った電解析出によるインシトゥー表面活性化を調べた。
材料および方法
接触のためにクロムが片面にスパッタリングされる薄いガラス円盤(50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の表面粗さ)を接地された構造物として使用した。(実験XIIにおいて記載されるように調製される)r−GO円盤を接地されない構造物として使用した。0.01重量%のナトリウムペトロナート(登録商標)L(Witco)を電気活性化学種として含有するIsopar(登録商標)Lの溶液をガラス表面に置いた。r−GOを、スペーサーを何ら用いることなく、非極性溶液の上に置いた。最初の段階において、接地されないr−GO構造物を、そのスチール支持体を介して電圧源の正側端子に接続し、+100Vを室温で2時間加えた。
電解析出後、活性化されたセルを、電圧バイアス下に置いたまま、TIn=120℃に加熱し、チャンバーを10時間にわたって排気して、Isopar(登録商標)L系溶液および何らかの残留水分を除いた。セルを、表面を短絡させることによって完全に放電させ、このようにして、ゼロのベースライン電流を確立した。ヘリウムを1100mbarの一定の圧力でガス媒体として注入した。
結果
下記の表6に示されるように、入力番号61において、表面の少なくとも一方が電解析出プロセスによって活性化されたとき、測定された電流が約130pAであった。約120℃の同じ温度において、ガラス−r−GOの非活性化セルは約2pAの電流を発生させたことは特筆される。本実験により、本発明のいくつかの実施形態による表面の活性化が発生電流における約2桁の著しい増大を引き起こしたことが明らかにされる。
上記実験のすべてにおいて、ガス圧力における降下がなかったことは特筆される。このことは、ガスがガスの反応により全く消費されなかったことを示している。
表6には、実験I〜実験XIVで得られた結果、および図11の構成を使用して行われた他の実験で得られた結果がまとめられる。表6において、NAは、所与の項目が該当しないことを示す。ガラスは、使用された表面が、50mmの直径、100μmの厚さおよび50nm未満の粗さを有する薄いガラス円盤であったことを示す。示される温度は、該当するならば、TInおよび/またはTExに関する。
表6は、電流が、本発明の様々な例示的実施形態によるデバイスおよび方法を使用して発生したことを明らかにする。実験により、測定された電流および電圧が、選択された材料およびガス媒体の間における相互作用から生じたことが示された。このことが、電流の温度依存性および圧力依存性によって証明され、また、電流が真空中では観測されなかったという事実によって証明され、また、電流の方向が、セル構造が逆にされたときには逆になったという事実によって証明された。実験によりさらに、電流が、希ガスおよび/または不活性ガスを用いてでさえ発生したことが示された。したがって、このことから、電気化学的反応が除外された。実験によりさらに、電流の方向が、電気化学的プロセスによって発生していたと考えられる電流に対して反対であることが明らかにされた。
多数の対の構造物からなる積み重ね体の総電圧がただ1つだけの対の電圧の適切な倍数に対応するという事実(実験V)はさらに、本発明によって発生する測定された電気出力が何らかの外部回路または望まれない実験的影響に由来しないことを示している。
本発明のいくつかの実施形態に従う電流および電圧の発生と併せて行われた観測結果は、本発明者によって発見されるガス媒介電荷移動機構と一致していた。電気の発生が、導電率の範囲が数桁にまたがる、電荷移動性が異なる様々な表面について示された。数多くのガスが、様々な作動条件のもとで好適であることが見出された。温度および圧力に対する効率の依存性により、本発明のガス媒介電荷移動機構の存在が証明される。実験により、本発明に従って、電流が、室温においてノイズを越えて既に十分であるが、温度とともに指数関数的に大きくなることが示される(図15)。所与の1対の離して置かれた表面と、特定のガスとについては、電流が、ガス分子のサイズと相関する閾値圧力において最大値のプラトー状態に達する。所与の1対の表面と、特定のガスとについては、間隙が小さいほど、測定された電流が大きくなり、また、間隙が小さいほど、最大電流が発生する閾値圧力が大きくなる。
実験データにより、本発明の根本的な機構、すなわち、熱エネルギーを直接に電流に変換するガス媒介電荷移動効果が明瞭に証明される。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。例えば、図2のデバイスは、直列に接続されたセルの並列配置の柱を有するとして示される。本発明のいくつかの実施形態において、セルは、セルが、並列配置の柱の形態ではなく、むしろ、より複雑な構造(例えば、レンガ積み構造またはランダム構造など)を形成するセルの形態であるように重なっている場合がある。さらに、スペーサーが、粒子または別個の要素から形成されるとして記載されるが、部分的導電性表面の表面凸凹(表面粗さ)自体が、一方の表面のほんの小さい割合が他方の表面と実際に接触するという点で、スペーサーとして作用することができ、その結果、表面の凸凹が接触するにもかかわらず、表面間の全体的な導電率が低いままである。加えて、本発明は、室温または室温近くで作動する方法およびデバイスを記載するが、本発明の方法は、高い温度において、例えば、50℃、100℃、150℃、200℃または400℃などにおいて、同様にまた、より高い温度、中間の温度、およびより低い温度において実施することができる。
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。

Claims (15)

  1. 熱エネルギーを電気に直接に変換するためのセルデバイスであって、
    第1および第2の表面であって、間隙を前記表面間に有するものと、前記間隙中で熱運動しているガス分子を有するガス媒体とを含み、
    前記第1の表面が、電荷を、前記第1の表面と相互作用するガス分子に移動させるような前記ガスの存在下での正電荷移動性を有し、かつ、前記第2の表面が、前記電荷を、前記第2の表面と相互作用する帯電されたガス分子から受け取るような前記ガスの存在下での負電荷移動性を有し、
    前記間隙が7μmに等しいか、またはそれより小さく、
    前記第1および第2の表面が互いに50℃以内である、セルデバイス。
  2. 前記ガス媒体の漏出を防止するための密閉された筺体をさらに含む、請求項1に記載のセルデバイス。
  3. 前記密閉された筺体の内部の圧力が周囲圧力よりも高い、請求項2に記載のセルデバイス。
  4. 前記密閉された筺体の内部の圧力が周囲圧力よりも低い、請求項2に記載のセルデバイス。
  5. 前記表面間の何らかの電圧が外部印加電圧の非存在下での前記電荷移動によって発生する、請求項1〜4のいずれかに記載のセルデバイス。
  6. 前記間隙は10λ未満であり、前記λはセルデバイスの操作温度及び圧力でのガス分子の特徴的な平均自由行程である、請求項1〜5のいずれかに記載のセルデバイス。
  7. 前記第1表面および第2表面のうちの少なくとも一方が以下のものからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載のセルデバイス:
    (i)実質的に平滑な表面、ただし前記間隙はスペーサによって維持される;および
    (ii)外向きに突き出る粗さ特徴物を有する実質的に平滑でない表面、ただし前記間隙は前記粗さ特徴物によって維持される。
  8. 前記第1および第2の表面のそれぞれがグラフェン基板およびグラファイト基板からなる群から選択される基板によって支持される、請求項1〜7のいずれかに記載のセルデバイス。
  9. 前記第1および第2の表面のうちの少なくとも一方が、修飾されたグラファイト基板またはグラフェン基板である、請求項1〜8のいずれかに記載のセルデバイス。
  10. 前記ガス媒体がデバイスの作動期間中に消費されない、請求項1〜9のいずれかに記載のセルデバイス。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の複数のセルデバイスを含み、少なくとも1対の隣接セルデバイスが導体によって相互接続され、その結果、電流が、前記導体を経由して前記対の第1のデバイスの第2の表面から前記対の第2のデバイスの第1の表面に流れるようにされている、電源デバイス。
  12. セルの表面が、ただ1つの基板の表面が少なくとも2つのセルによって部分的に共有されるように、秩序のある様式で、または、無秩序な様式で相互に重なる、請求項11に記載の電源デバイス。
  13. 第1および第2の電気伝導性電極と、前記電極間の第1および第2のセルデバイス積み重ね体(ただし、それぞれのセルデバイスは請求項1〜10のいずれかに記載される通りのものである)とを含み、
    それぞれの積み重ね体において、前記積み重ね体の各1対の隣接セルデバイスが導体によって相互接続され、その結果、電流が、前記導体を経由して前記対の第1のセルデバイスの第2の表面から前記対の第2のセルデバイスの第1の表面に流れるようにされており、かつ、前記第1および第2の積み重ね体の両方が電荷を前記第1の電極から前記第2の電極に運搬する、電源デバイス。
  14. 前記導体が以下のものからなる群から選択される、請求項11または13に記載の電源デバイス:
    (i)一方の面が1つのセルデバイスの表面を構成し、かつ反対側の面が隣接セルデバイスの表面を構成する、2つの面を有する電気伝導性基板;および
    (ii)前記基板の第一面と前記基板の第二面の間の電気伝導性を確立するように電気伝導性物質で被覆された基板であって、前記基板が2つの面を有し、一方の面が1つのセルデバイスの表面を構成し、かつ反対側の面が隣接セルデバイスの表面を構成する基板。
  15. 熱エネルギーを電気に直接に変換する方法であって、
    第1および第2の表面であって、間隙を前記表面間に有するものを提供すること、ただし前記第1表面はガス媒体の存在下で正電荷移動性を有し、かつ前記第2表面は前記ガス媒体の存在下で負電荷移動性を有する;
    前記ガス媒体の分子を、電荷をガス分子の少なくとも一部に移動させるように前記第1の表面と相互作用させること;および、
    前記帯電されたガス分子の一部を、前記電荷を前記ガス分子の少なくとも一部から前記第2の表面に移動させるように前記第2の表面と相互作用させ、それにより、前記表面間の電位差を発生させることを含み、
    前記間隙が7μmに等しいか、またはそれより小さく、
    前記第1および第2の表面が互いに50℃以内である、方法。
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